説明

プラズマディスプレイパネル

【課題】
アリス方式により駆動されるPDPにおいて、ラインフリッカを低減できるプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】
上記課題を解決するために、アリス方式のプラズマディスプレイパネルであって、 前面板と背面板とから成るプラズマディスプレイパネルであって、該前面板はパネル駆動に用いられる第1及び第2の電極を備え、該前面板と略平行に該第1の電極と該第2の電極とが配置されており、該第1の電極と該第2の電極の配線構造が該前面板と略平行な面に対して凹凸形状が繰り返されるように構成すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルに係わり、特に複数の第1及び第2の電極を隣接して配置し、全ての電極間で表示行(ライン)を形成するAlternate Lighting of surfaces方式(以下、「ALIS方式」又は「アリス方式」と省略)のプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な面放電構造のAC型プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と省略する)では、対を成す表示電極(XおよびY電極)が複数配設され、該表示電極対間で表示を行うための発光がなされ、画素に対応する放電セルの配列行(ライン)である表示行(ライン)が行方向に平行に形成されている。この場合、表示行数がNであるPDPでは、表示電極対数がNすなわち表示電極数(X電極とY電極の総数)は2Nとなり、表示行間隔が狭くなり、垂直方向の高精細化が難しい。
【0003】
そこで、表示電極数を低減するために、全ての表示電極間で表示のための発光を行うアリス方式が例えば特許文献1,特許文献2等で開示されている。アリス方式では全ての表示電極間で表示を行うので、表示電極数はN+1となり、高精細化が容易となる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−2993号公報
【特許文献2】特許第2801893号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アリス方式では、全ての表示電極間で表示を行うために、例えば特許文献2の図6に示されるように、1フレームを奇数フィールドと偶数フィールドに分割し、奇数フィールドでは奇数番目の表示行(ライン)で表示を行い、偶数フィールドでは偶数番目の表示行(ライン)で表示を行う、いわゆるインターレース走査を行う。
【0006】
従って、各表示行は奇数フィールドまたは偶数フィールドのいずれかで表示されることになるので、例えばNTSC(フィールド周波数60Hz)では30Hzで表示されることになり、フィールド周波数が低いため残像効果が得られず明滅して見える現象、いわゆる、ラインフリッカが問題となる。通常、映像表示であれば、30Hzのフリッカは大きな問題にはならないが、文字などを表示する場合には問題になる場合がある。特にPALではフィールド周波数が50Hzのため顕著となる。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アリス方式のPDPにおいて、ラインフリッカを低減できるプラズマディスプレイパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば、アリス方式のプラズマディスプレイパネルであって、パネル駆動に用いられる第1及び第2の電極を備え、該第1の電極と該第2の電極の配線構造が光の出射側から見て凹凸形状が繰り返されるように構成すればよい。 より具体的に言えば、単位画素に対応する単位放電セル毎に、X電極およびY電極を櫛の歯形状とし、隣接する電極間で形成する放電セルを2表示行の範囲で互い違いとなる千鳥状に配置する。
【0009】
そして、アリス方式の駆動方法に従って、例えば、一つのフィールドでは全てのY電極とこれらの下側隣接X電極との間で形成される千鳥状の放電セルを駆動し、次のフィールドでは、全てのY電極とこれらの上側隣接X電極との間で形成される千鳥状の放電セルを駆動すれば、各フィールドで全表示行の半数の放電セルが駆動されることとなり、ラインフリッカを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラインフリッカを低減できるアリス方式のプラズマディスプレイパネルを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。なお、アリス方式のPDPについては、例えば特許文献2で詳細に述べられているのでその詳細は省略する。また、説明を容易とするために、便宜上、以下ではPDPは単一色(例えば白黒)とし、一つの絵素は一つの放電セル(以下、「セル」と省略)で構成されているものとする。勿論、カラ−の場合には、一つの絵素は例えばR,G,Bの3つの画素からなり、これら1組のR,G,Bの3つの画素(以下、「単位画素」と称する)は1組のR,G,B光を発光する3つのセル(以下、「単位セル」と称する)で構成されるので、以下の記述は、画素(セル)を単位画素(単位セル)とすればカラーの場合にも適用できる。詳細は後述する。また、全図で共通な機能を有する要素には同一な符号を付して示し、一度説明したものについては、それ以降の詳細な説明を省略する。また、本明細書においては、行方向にセルが一列に並ぶように配列された配列行を従来通りの呼称である「表示行」とし、疑義がない限り単に「行」と省略して示すことにする。
【0012】
まず、図5と図6を用いて本実施例によるPDPの駆動原理を説明する。図5は、PDPのセル配置図、図6は本実施例によるPDPの駆動原理を説明する図である。以下では、説明を簡単にするため、図5で示された、8行(R1〜R8),6列(a1〜a6)のセル(画素)で構成されたPDPを駆動する場合を考える。ここで、表示行(以下、便宜上「行」と省略する)Riと列akの交点のセル(画素)を符号Cikで表記するものとすると、例えば行R2と列6の交点のセルはC26で示される。
【0013】
図5で示されるPDPを従来のアリス方式で駆動する場合、図6(b)で示されるように、奇数フィールドで奇数番目の行R1,R3,R5,R7を駆動し、偶数フィールドで偶数番目の行R2,R4,R6,R8を駆動する。従って、課題の項で述べたラインフリッカが問題となる。
【0014】
図6(a)は本実施例による駆動原理の一例を示すものである。図6(a)において、奇数フィールドでは、列方向に隣接するR2−R3,R4−R5,R6−R7,R7−R8の2行毎に、囲み枠101のごとく、2行のセルを行方向で一セルおきに互い違いになるような形態(千鳥状)に駆動して表示する。
【0015】
具体的には、例えばR2−R3行では、セルC21,C32,C23,C34,C25,C36を駆動して表示する。そして、偶数フィールドでは、列方向に隣接するR1−R2,R3−R4,R5−R6,R7−R8の2行毎に、囲み枠102のごとく、千鳥状に駆動して表示する。具体的には、例えばR1−R2行では、セルC11,C22,C13,C24,C15,C26を駆動して表示する。なお、奇数フィードのR1とR8行では、偶数フィールドのR1とR8と180°異なる位相で、つまり偶数フィールドで駆動されなかったセルを駆動する。このことはR1,R8以外の他の行についてもいえる。
【0016】
より詳細に述べれば、任意の一つの行例えば行R2に着目すれば、奇数フィールドでは、C21,C23,C25のセルが駆動され、偶数フィールドでは180°位相が異なるC22,C24,C26のセルが駆動されている。つまり、全ての行において、行方向で一つおきに半数のセルがフィールド毎に180°の位相で交互に駆動されることになる。すなわち、全ての行で、フィールド毎に位相を反転させながら、行方向に1セルおきにセルの半分を駆動して表示できる。
【0017】
このように駆動すれば、全ての行でフィールド毎にセルの半数を駆動して表示できるので、従来駆動の図6(b)に比べて、ラインフリッカを大幅に低減することが可能となる。
【0018】
以下、上記駆動原理を適用できる電極構造を備えたPDPについて、図1乃至図4を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、一実施例であるPDPの要部構成図、図2は一実施例であるPDPの電極構造の平面拡大詳細図、図3は一実施例のPDPを用いたプラズマディスプレイ装置の要部構成図、図4は第1の実施例であるPDPの駆動方法を示す図である。
【0020】
図1において、10は図6(a)で示した本発明による駆動原理に基づく電極構造を備えたアリス方式のPDPである。図1は、表示側の前面板(図示せず)の内面に設けられた表示電極(X電極およびY電極)と、背面板(図示せず)の前面板側に設けられた表示電極の延伸方向に直交する方向のアドレス電極Aのみが抜き出され、前面板(図示せず)側から見た上面図であり、前面板の基板であるガラス板,そのガラス板の内面の表示電極上に設けられた誘電体,その誘電体の保護膜であるMgOや背面板の基板であるガラス板,そのガラス板の前面板側に塗布された蛍光体,また隔壁などは便宜上図示が省略されている。また、上記図1は、前述の光の出射方向から見た図であるとも言える。
【0021】
PDP10は、図1から明らかなように、各表示電極(X電極,Y電極)は行方向に延伸しており、その構造が行方向で単位画素(ここでは単一色PDPなので1セル)毎に凹凸を繰り返す櫛の歯形状の構造である。そして、このような櫛の歯形状構造の表示電極であるX電極とY電極がアドレス方向(列方向)に交互に平行に配設されている。アリス方式のPDPでは、アドレス方向に隣接するX電極とY電極あるいはY電極とX電極の間に画素(セル)つまり表示領域が形成されるので、表示領域は千鳥状となる。以降、この表示領域を従来の行方向にセルが一列に並ぶように配列された配列行である「表示行」と区別するために「駆動行」と称する。また、符号Rと数字とを組み合わせて表記するものとする(但し、行の総称を指す場合は「行R」と記す)。ここでは、8行6列に配列されたセルで構成された画像形成領域を有するPDPを考慮しているので、画像形成領域は、行R1から行R8の範囲となる。
【0022】
前記駆動行について、本実施例で具体的に述べれば、X電極X1とY電極Y1,Y電極Y1とX電極X2,X電極X2とY電極Y2,Y電極Y2とX電極X3,X電極X3とY電極Y3,Y電極Y3とX電極X4,X電極X4とY電極Y4,Y電極Y4とX電極X5,X電極X5とY電極Y5で形成される9駆動行となる。
【0023】
なお、特許文献1,2記載の従来のアリス方式PDPの「行」数に比べて「駆動行」数が1つ多いことに注意して欲しい。このため、表示電極(X電極,Y電極)の総数は従来の9(行数8(N)+1)本から10(行数8(N)+2)本と1本多くなっている。すなわち、本発明では、行数がNであれば、表示電極の総数は(N+2)となり、N行(R1〜RN)で構成された画像が形成される画像形成領域のアドレス方向の両外側に表示電極がそれぞれ1本配置される電極構成(例えば本実施例ではX電極X1とY電極Y5)となる。
【0024】
アリス方式では、インターレース駆動を行うため、本実施例では、X電極の内奇数番目のX1,X3,X5はPDP内部または外部で接続され、また偶数番目のX2,X4も接続されている。
【0025】
各駆動行、例えば、Y電極Y1−X電極X2間に形成される駆動行(以下、符号「L」に電極符号を添えて「LY1−X2」と記す)は、表示電極(X電極,Y電極)が行方向で櫛の歯形状構造なので、行RiとアドレスAkの交点の画素に対応するセルを符号「Cik」で表記するものとすると、駆動行(LY1−X2)の駆動セルはC11,C22、C13,C24,C15,C26となり、点線枠のセル12で示されるように、2行(行R1と行R2)に渡る千鳥状となる。そこで、例えば行R1のセルを駆動するためには、X電極X1とY電極Y1でセルC12,C14,C16を駆動し、Y電極Y1とX電極X2でセルC11,C13,C15を駆動すれば行R1を表示することができる。つまり、セルC12,C14,C16を駆動するタイミングとセルC11,C13,C15を駆動するタイミングを別にして、異なるフィールドで例えば奇数フィールドと偶数フィールドで交互に行えばよいことになる。これらの駆動方法については、図4で後述する。
【0026】
また、上記したように、駆動行が2行に渡る千鳥状となるので、例えばY電極Y1とX電極X2で形成される駆動行(LY1−X2)に着目すると、行R1はY電極Y1に交差し、行R2はX電極X2に交差している。なお、X電極X1に交差する行をREX、Y電極Y5に交差する行をREYと記すものとする。これらの行は画像形成領域外にあり、画像形成に寄与しない行である。
【0027】
図2は、図1に示すPDP電極構造の一部の平面拡大詳細図である。本実施例は、上記したように、前面板の内面側に配設された表示電極の電極構造に特長があり、その他については、従来のアリス方式のPDPに同じであり、表示電極が設けられている前面板のガラス板や表示電極の延伸方向(行方向)に直交するように配列されているアドレス電極,蛍光体等を省略し、表示電極と隔壁の要部構成のみを図示している。
【0028】
図2において、各表示電極(X電極,Y電極)は、1セル分ずれて対向する行方向に平行な2種類の行方向電極部13a,13bと、行方向電極部13aと13bとを結ぶ列方向電極部13cとからなり、列方向電極部13c−行方向電極部13a−列方向電極部13c−行方向電極部13bで描かれる1セル毎の凸凹形状が、行方向で繰り返される櫛の歯形状の構造をしている。すなわち、各表示電極において、その電極構造形状がアドレスA1で電極の添え字番号の小さい側方向(以下、「上側」と表記)に凸、隣接するアドレスA2で電極の添え字番号の大きい側方向(以下、「下側」と表記)に凹、そして以下順次この凸凹を交互に繰り返している。従って、例えば隣接するX電極X2とY電極Y2の表示電極間のセルで形成される駆動行(LX2−Y2)は、行RでいえばR2とR3の2行に渡り、千鳥状となる。
【0029】
また、例えば行R3上のセルに着目すれば、アドレスA1から順に、Y電極Y2とX電極X3で構成されるセルと、X電極X2とY電極Y2で構成されるセルが交互に配設されている。つまり、行R3上では、行R3に交差する表示電極であるY電極Y2は、単位セル(ここでは単一色PDPなので1セル)毎に交互に、隣接する2つのX電極X2とX3のいずれか一方と電極対を形成している。また、R2上では、行R2に交差する表示電極であるX電極X2は、単位セル(ここでは単一色PDPなので1セル)毎に交互に、隣接する2つのY電極Y1とY2の一方と電極対を形成している。一般的にいえば、任意のR行上で、任意行Rに交差する表示電極(X電極またはY電極)は、単位セル毎に交互に、隣接する2つの表示電極の一方と電極対を形成していると言える。
【0030】
各表示電極例えばY電極Y2は、アドレスA1では、上側隣接のX電極X2との間で放電を形成するために、透明な突起電極11aを有し、また、下側隣接のX電極X3との間で放電を形成するために、透明な突起電極11bを有する。また、アドレスA2では、上側隣接のX電極X2との間で放電を形成するために、透明な突起電極11cを有し、また、下側隣接のX電極X3との間で放電を形成するために、透明な突起電極11dを有する。突起電極11bと突起電極11cはそれぞれ行R3上にセルが配列されるように所定の長さとされており、突起電極11aは行R2上にセルが配列されるようにその長さが別の所定の長さとされており、また突起電極11dは行R4上にセルが配列されるようにその長さが別の所定の長さとされている。以降は、行方向に、アドレス1とアドレス2突起電極の構成が繰り返される。このように、各表示電極の透明な突起電極の長さを適切に設定することにより、同一行上にセルを並べることができる。
【0031】
なお、図2において、各表示電極X,Yは透明電極(図示せず)とバス電極の金属電極(図示せず)からなるが、その列方向電極部13cでは、図示しない蛍光体からの光を遮らないように、少なくとも金属電極は隔壁15の幅内で配設されている。また、画像形成領域外にある行REX,REY上のセルは画像形成に寄与しないので、突起電極を設けないようにするのが好ましい。
【0032】
上記した本実施例のPDPを用いたプラズマディスプレイ装置は、図3のように、PDP10と、PDP10のY電極を駆動するY電極駆動回路(走査電極駆動回路ともいう)30と、X電極を駆動するX電極駆動回路(維持電極駆動回路ともいう)40と、アドレス電極を駆動するアドレス電極駆動回路20と、これらの駆動回路を制御する制御回路50を少なくとも備える。
【0033】
制御回路50は、外部から供給される表示データ(図示せず)をPDP10用のデータに変換して、アドレス駆動回路20に供給し、また、図示しない外部から供給されるクロックCLK、垂直同期信号VSYNC及び水平同期信号HSYNCに基づき、各種制御信号を生成して、各駆動回路20,30,40に供給する。
【0034】
アドレス駆動回路20は、アドレス期間に、制御回路50から供給された1駆動行分のデータをY電極駆動回路30からの走査パルスに合わせてアドレス電極Aに出力する。
【0035】
アドレス期間では、Y電極駆動回路30でY電極を所定の順次で走査(例えば負走査パルスを印加)し、これに同期させてアドレス電極駆動回路20からアドレス電極Aにアドレスパルスを印加するとともに、アドレス対象のセルに壁電荷(図示せず)を形成するために、走査Y電極Yiに隣接する2つのX電極(XiあるいはXi+1)の内の所定の一方にX電極駆動回路40はパルス(例えば正パルス)を印加する。なお、この時、アドレス期間を短縮するために、選択されたX電極が奇数番目の場合、X電極駆動回路40は接続された奇数番目のX電極群にパルスを出力し、偶数番目の場合には接続された偶数番目のX電極群にパルスを出力する。このようにすれば、点灯させるセルのアドレス電極とY電極との間で放電が起こり、これを種火(プライミング)として、指定されたX電極とY電極との放電に移行し、維持放電が可能な壁電荷が形成され、指定セルへの書込みができることになる。
【0036】
維持放電期間(サスティン期間)では、Y電極駆動回路30とX電極駆動回路40から、X電極とY電極間に維持放電パルス(サスティンパルス)を印加する。なお、アリス方式のプラズマディスプレイ装置のアドレス駆動や維持放電駆動の動作については特許文献2に開示されているので、ここではこれ以上の詳しい説明を省略する。
【0037】
PDP10のアドレス期間での駆動行の一走査実施例について、図4を用いて説明する。図4では、図示を容易とするために、PDPのうちアドレスA1とA2に対応した要部のみを図示している。アリス方式では、インターレース駆動のため、奇数フィールドと偶数フィールドではアドレス期間での駆動方法が異なる。奇数フィールド期間では、図4(a)に示すように、先ず、アドレス電極駆動回路20からアドレス電極Aに書込みパルスを印加するとともに、Y電極駆動回路30からY電極Y1に例えば負走査パルス、X電極駆動回路40からX電極X1に例えば正パルスを印加して、X電極X1−Y電極Y1間に形成される駆動行(LX1−Y1)の書込みを行う。次に、X電極X3−Y電極Y3間に形成される駆動行(LX3−Y3)の書込みを行い、その後、X電極X5−Y電極Y5間に形成される駆動行(LX5−Y5)の書込みを行う。この間奇数番目X電極はX電極駆動回路40により正電圧に保持されている。次に、偶数番目X電極(X2,X4)に正電圧を印加して、X電極X2−Y電極Y2間に形成される駆動行(LX2−Y2)の書込み、X電極X4−Y電極Y4間に形成される駆動行(LX4−Y4)の書込みを順に行う。このようにして、奇数フィールドの走査が終了する。この後、書込まれたセルの間で維持放電が成され、図6(a)に示された奇数フィールドのセル駆動が実現される。
【0038】
但し、X電極X1−Y電極Y1間に形成される駆動行(LX1−Y1)の内の奇数番目のアドレス電極A1,A3,A5に対応するセルと、X電極X5−Y電極Y5間に形成される駆動行(LX5−Y5)の内の偶数番目のアドレス電極A2,A4,A6に対応するセルは、画像形成領域がR1からR8の範囲なので、本実施例では点灯不要となる。従って、制御回路50からアドレス電極駆動回路20に駆動行(LX1−Y1),(LX5−Y5)のデータを出力する際、未書込みデータを出力するようにするか、あるいは、点灯不要該当セル部分のX1,Y1およびX5,Y5の突起電極を設けないようして、つまり、画像形成領域外にある行REX,REY上のセルに突起電極を設けないようにして、不点灯とするのはいうまでもない。
【0039】
以上のように、奇数フィールドでは、全てのY電極とこれらの上側隣接X電極との間で形成される千鳥状の駆動行、具体的には、全ての駆動行のうち、一番上側の駆動行(LX1−Y1)と、一つおきの駆動行である(LX2−Y2),(LX3−Y3),(LX4−Y4),(LX5−Y5)を選択して駆動する。
【0040】
偶数フィールドでは、図4(b)に示すように、まず、アドレス電極駆動回路20からアドレス電極Aに書込みパルスを印加するとともに、Y電極駆動回路30からY電極Y1に例えば負走査パルス、X電極駆動回路40から偶数番目のX電極(X2,X4)に例えば正パルスを印加して、Y電極Y1−X電極X2間に形成される駆動行(LY1−X2)の書込みを行う。次に、Y電極Y3−X電極X4間に形成される駆動行(LY3−X4)の書込みを行う。次に、奇数番目X電極(X1,X3,X5)に正電圧を印加して、Y電極Y2−X電極X3間に形成される駆動行(LY2−X3)の書込み、Y電極Y4−X電極X5間に形成される駆動行(LY4−X5)の書込みを順に行う。このようにして偶数フィールドの走査が終了する。この後、書込まれたセルの間で維持放電が成され、図6(a)に示された偶数フィールドのセル駆動が実現される。
【0041】
すなわち、偶数フィールドでは、全てのY電極とこれらの下側隣接X電極との間で形成される千鳥状の駆動行、具体的には、全ての駆動行のうち、駆動行(LY1−X2)と、一つおきの駆動行である(LY2−X3),(LY3−X4),(LY4−X5)を選択して駆動する。
【0042】
以上述べたように、図1に示した表示電極の櫛の歯状構造と図4の駆動により、図6(a)に示した表示が可能となった。つまり、奇数フィールドでは、任意の行R上の半数のセルが行方向で一つおきに駆動され、偶数フィールドでは、奇数フィールドとは180°異なる位相で、残りの半数のセルが行方向で一つおきに駆動されるので、各フィールドの全ての行で半数のセルが駆動されることになり、ラインフリッカを大幅に低減することができる。
【0043】
以上では、説明を容易とするために、8行6列の表示を行うPDPについて述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、1024行852列や1024行1024列等の表示を行うPDPに適用できることはいうまでもない。
【0044】
なお、本実施例では、既に述べたように、従来のアリス方式のPDPに対して表示電極(X電極またはY電極)の数が1本増加するが、1000本のオーダーの電極数に1本増えてもパネル製造上の支障はなく、特に問題になることはない。
【0045】
また、本実施例では、各表示電極において、その電極構造形状がアドレスA1で上側に凸、隣接するアドレスA2で下側に凹、そして以下順次この凸凹を交互に繰り返しているが、これに限定されるものではなく、アドレスA1で下側に凹、隣接するアドレスA2で上側に凸、そして以下順次この凹凸を交互に繰り返すようにしてもよい。勿論、これに合わせて、駆動方法を適宜最適に設定するのはいうまでもない。
【0046】
また、上記では、説明を容易とするために、単一画素が1個のセルからなる単一色のPDPについて述べたが、単一画素がR,G,Bの3つのセルで構成される場合には、図7に示すように、R,G,Bの3つのセルを単位(単位セル、すなわち単位画素)として、行方向に凹凸を繰り返す櫛の歯形状の表示電極構造とすれば、本実施例はカラーPDPに適用できることはいうまでもない。
【0047】
なお、本実施例による表示電極構造のアリス方式のPDPでは、行方向にセルが配列された行Rの全てにおいて、行方向で一つおきに半数のセルがフィールド毎に180°の位相で交互に駆動されるので、各フィールドでの垂直方向の画素数は行Rの総数に等しく、インターレース駆動方式でありながら、プログレッシブ駆動方式の特長も兼ね備えているといえる。
【0048】
図8は、各フィールドでの垂直方向の画素数が768の電極構造を備えたアリス方式PDPの要部構成図である。図8においてPDP10’は、本実施例を適用したアリス方式PDPであり、画像形成領域を構成する行数が768本である。各フィールドで、垂直方向の画素数が768であり、上記した意味で、擬似プログレッシブ方式のPDPともいえる。
【0049】
プログレッシブ方式で垂直画素数が768の場合、この画質は一般にXGA(米国IBM Corp.の登録商標)と呼ばれるが、上記実施例によるPDP10’での表示で、擬似的にXGAの画質を実現できて画質が「XGA」と称するのが許容されるならば、従来のプログレッシブ方式のPDPより表示電極数を略半減できるのでコストダウンを図ることができる。
【0050】
なお、上記実施例では、囲み枠101のような2行のセルを行方向で一セルおきに互い違いになるような形態形状を便宜上「千鳥状」という表現をしたがこれはあくまで一例であるのはいうまでもなく、要は囲み枠101のような形状を表すような表現であればよいのは言うまでもない。
【0051】
また、上記実施例では、電極構造は囲み枠101のように四角形状を想定したが、例えば、図9(a)に示されるように八角形状等の多角形状や、図9(b)に示されるように半円状を含むような形態であってもよい。
【0052】
上記実施例に限らず,その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。更に、上記実施の形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される前構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも一つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも一つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施例であるPDPの要部構成図。
【図2】一実施例であるPDPの電極構造の平面拡大詳細図。
【図3】一実施例のPDPを用いたプラズマディスプレイ装置の要部構成図。
【図4】一実施例であるPDPの駆動方法を示す図。
【図5】従来のアリス方式のPDP。
【図6】本実施例によるPDPの駆動原理を説明する図。
【図7】単一画素がR,G,Bの3つのセルで構成される場合の電極構造を示す図。
【図8】各フィールドでの垂直方向の画素数が768の本実施例による電極構造を備えたアリス方式PDPの要部構成図。
【図9】PDPの電極構造例を示した図。
【符号の説明】
【0054】
10 PDP、11 突起電極、12 セル、15 隔壁、20 アドレス電極駆動回路、30 Y電極駆動回路、40 X電極駆動回路、50 制御回路、101,102 囲み枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板と背面板とから成るプラズマディスプレイパネルであって、
該前面板はパネル駆動に用いられる第1及び第2の電極を備え、
該前面板と略平行に該第1の電極と該第2の電極とが配置されており、該第1の電極と該第2の電極の配線構造が該前面板と略平行な面に対して多角形状もしくは半径状が繰り返されるように構成されたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記背面板は隔壁及びアドレス走査のための第3の電極を備え、
前記第1の電極、前記第2の電極、該第3の電極及び該隔壁によって形成される放電セルが画面水平方向に略平行に並んでおり、その放電セルに対して千鳥状に駆動して表示するように構成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前面板と背面板とから形成されるALIS方式のプラズマディスプレイパネルであって、
該前面板はパネル駆動用のX電極及びY電極を有し、
該X電極と該Y電極との電極構造が該前面板側から見て櫛の歯形状であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
請求項3記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
隔壁及びアドレス電極を備え、
前記第X電極、前記Y電極、アドレス電極及び隔壁によって形成される放電セルが画面水平方向に略平行に並んでおり、その放電セルに対して千鳥状に駆動して表示するように構成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
駆動電圧の印加に際して対となるX電極とY電極とが行方向に延伸して交互に配列された前面板と、該X電極および該Y電極の延伸方向に略直交するようにアドレス電極が複数配列された背面板と、該前面板と該背面板とが隔壁を介して対向して配置されており、単位画素に対応する放電セルがマトリクス状に形成されたプラズマディスプレイパネルであって、
該X電極および該Y電極の電極構造が単位放電セル毎に凹凸を繰り返す櫛の歯形状であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
隣接する前記X電極と前記Y電極との間で形成される放電セルが行方向に略平行に略一列に並んだ放電セルの2行の範囲において、単位画素に対応する単位放電セル毎に互い違いとなる千鳥状に形成されていることを特長とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
請求項5または6のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記表示行の総数がN本である場合、前記X電極と前記Y電極の総数が(N+2)本であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記隔壁は、前記セルを区画するためのアドレス方向に延伸しており、前記X電極と前記Y電極とは透明電極と低抵抗のバス電極である金属電極とからなり、前記X電極と前記Y電極のアドレス方向の少なくとも前記金属電極は隔壁からはみ出さないように配設されていることを特長とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−228489(P2006−228489A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38567(P2005−38567)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】