説明

プラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス、プラズマディスプレイ用ガラス基板およびプラズマディスプレイ用保護板

【課題】可視光の透過率および赤色純度の低下を抑えつつ、近赤外線を充分に吸収できるプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス、プラズマディスプレイ用ガラス基板およびプラズマディスプレイ用保護板を提供する。
【解決手段】Si、Al、Ca、Mg、Na、Feの各元素を含有する酸化物ガラスであり、各元素のガラス中の含有量が、各酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:65〜75%、Al:0.8〜3%、CaO:5〜12%、MgO:0.2〜10%、NaO:10〜20%、Fe:0.56〜1.59%であり、Feには2価のFeが含まれ、該2価のFeのガラス中の含有量が、FeO基準の質量百分率表示で、0.33〜0.48%であり、Fe元素全量のうちの2価のFeの割合が、40〜65モル%である近赤外線吸収ガラスを、保護板1のガラス基板10として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス、プラズマディスプレイ用ガラス基板およびプラズマディスプレイ用保護板に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す。)からは、可視光線と同時に、近赤外線、電磁波等も放射される。たとえば、近赤外線は、家電製品用の近赤外線リモコンを誤作動させる。そのため、PDPの前面(視認側)には、近赤外線(800〜1000nm)を吸収し得るプラズマディスプレイ用保護板の設置が必要となっている。
【0003】
プラズマディスプレイ用保護板に近赤外線吸収能を付与する方法としては、下記の方法が知られている。
(1)シアニン系またはジイモニウム系の近赤外線吸収色素を含む近赤外線吸収層を有する近赤外線吸収フィルムをプラズマディスプレイ用保護板に設ける方法。
(2)プラズマディスプレイ用保護板において、ガラス基板や各種フィルムを貼り合わせている粘着剤層に、フタロシアニン系の近赤外線吸収色素を含ませる方法。
【0004】
しかし、(1)の方法には、シアニン系およびジイモニウム系の近赤外線吸収色素の耐久性が低いという問題がある。
(2)の方法には、フタロシアニン系の近赤外線吸収色素が高価であるという問題がある。
【0005】
近赤外線吸収色素を用いることなく、PDPから放射される近赤外線を吸収または反射する方法としては、下記の方法が提案されている。
(3)プラズマディスプレイ用保護板のガラス基板、またはPDP本体の前面ガラス基板に、Feを含ませる方法(特許文献1、2)。
【0006】
(3)の方法において、Feのうち、近赤外線の吸収に特に有効な成分は、2価のFeである。よって、近赤外線吸収能を高めるためには、2価のFeの量を増やせばよいことも知られている(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−265024号公報
【特許文献2】特開2007−161549号公報
【特許文献3】国際公開第2007/111079号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2価のFeの量を増やすと波長610nm付近の可視光(赤色)も吸収され、可視光の透過率が低下し、かつディスプレイの赤色の純度が低下し、ディスプレイの画像の色の鮮やかさが失われるという問題がある。また、2価のFeの量を増やすと、ガラス自体の熱伝導率が低下することから、ガラス製造時にガラス内で温度分布が発生し、ガラス組成のムラやひずみが発生する問題がある。
逆に、2価のFeの量を少なくして波長610nm付近の光の透過率を高くした場合に、近赤外線領域、特に可視光領域と近接する820nm付近の光の透過率が高くなるという問題がある。
【0009】
前記の問題点を解決するために、本発明は、可視光の透過率および赤色純度の低下を抑えつつ、近赤外線を充分に吸収できる近赤外線吸収ガラス、ディスプレイ用ガラス基板およびプラズマディスプレイ用保護板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラスは、Si、Al、Ca、Mg、Na、Feの各元素を含有する酸化物ガラスであり、
Si、Al、Ca、Mg、Na、Feのガラス中の含有量が、下記成分基準の質量百分率表示で、
SiO:65〜75%、
Al:0.8〜3%、
CaO:5〜12%、
MgO:0.2〜10%、
NaO:10〜20%、
Fe:0.56〜1.59%であり、
Feには2価のFeが含まれ、該2価のFeのガラス中の含有量が、FeO基準の質量百分率表示で、0.33〜0.48%であり、
Fe元素全量のうちの2価のFeの割合が、40〜65モル%であることを特徴とする。
【0011】
本発明のプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラスにおける、波長610nmにおける光の透過率(T610)と波長820nmにおける光の透過率(T820)との比(T610/T820)は、3.0以上であることが好ましい。
【0012】
本発明のプラズマディスプレイ用ガラス基板は、本発明のプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラスからなることを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイ用ガラス基板は、波長610nmにおける光の透過率(T610)は60%以上であり、波長820nmにおける光の透過率(T820)は22%以下であることが好ましい。
本発明のプラズマディスプレイ用ガラス基板は、厚さが1〜10mmであることが好ましい。
【0013】
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、本発明のプラズマディスプレイ用ガラス基板を備えたことを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、ディスプレイ用ガラス基板のPDP側の面に、銀を主成分とする層を有する電磁波遮蔽膜が配置されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の近赤外線吸収ガラス、ディスプレイ用ガラス基板およびプラズマディスプレイ用保護板によれば、可視光の透過率、特に赤色光の透過率の低下を抑えつつ、近赤外線を充分に吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第2の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第3の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第4の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第5の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第6の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第7の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第8の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明のプラズマディスプレイ用保護板の第9の実施形態を示す断面図である。
【図10】例36、例37のプラズマディスプレイ用保護板の透過率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<プラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス>
本発明のプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス(以下、近赤外線吸収ガラスと記す。)は、Si、Al、Ca、Mg、Na、Feの各元素を含有する酸化物ガラスである。
【0017】
Siのガラス中の含有量は、SiO基準の質量百分率表示で、65〜75%であり、67〜73%が好ましく、68〜72%がより好ましい。以下、SiO基準のSi含有量を、SiO含有量と記す。
SiO含有量が65%以上であれば、耐候性が良好となる。SiO含有量が75%以下であれば、粘性が低くなり、溶融性が良好となる。
【0018】
Alのガラス中の含有量は、Al基準の質量百分率表示で、0.8〜3%であり、1.0〜2.4%が好ましく、1.2〜2.2%がより好ましい。以下、Al基準のAl含有量を、Al含有量と記す。
Al含有量が0.8%以上であれば、耐候性が良好となる。Al含有量が3%以下であれば、粘性が低くなり、溶融性が良好となる。
【0019】
Caのガラス中の含有量は、CaO基準の質量百分率表示で、5〜12%であり、6.5〜11%が好ましく、7〜10%がより好ましい。以下、CaO基準のCa含有量を、CaO含有量と記す。
CaO含有量が5%以上であれば、溶融性が良好となる。CaO含有量が12%以下であれば、失透しにくくなり、フロート法でガラスに成形する際の安定性がよくなる。
【0020】
Mgのガラス中の含有量は、MgO基準の質量百分率表示で、0.2〜10%であり、0.4〜9%が好ましく、1〜6%がより好ましい。以下、MgO基準のMg含有量を、MgO含有量と記す。
MgO含有量が0.2%以上であれば、溶融性が良好となる。MgO含有量が10%以下であれば、失透しにくくなり、フロート法でガラスに成形する際の安定性がよくなる。
【0021】
また、Caの含有量とMgの含有量については、これらの含有量の比率が2価のFeの吸光度に影響する。CaO含有量とMgO含有量との質量比(CaO/MgO)が、小さければ小さいほど、2価のFeの波長610nmにおける光の吸光度が下がり、波長820nmにおける光の吸光度が上がる。すなわち、CaO/MgOが小さいほど、本発明の近赤外線吸収ガラスの波長610nmにおける光の透過率を高くでき、波長820nmにおける光の透過率を低くできる。そして、CaO/MgOは、30以下であることが好ましく、0.8〜2.5がより好ましく、1.3〜1.8がさらに好ましい。CaO/MgOが30以下であれば、2価のFeの量を増やして近赤外線吸収能を高めても、可視光の透過率の低下を抑えることができる。前記可視光の中でも特に赤色の波長領域(波長610nm付近)での光の透過率の低下を抑え、透過する光の赤色純度の低下を抑えることができる。CaO/MgOが0.8以上であれば、ガラスが失透しにくくなり、フロート法でガラスに成形する際の安定性がよくなる。
【0022】
Naのガラス中の含有量は、NaO基準の質量百分率表示で、10〜20%であり、11〜18%が好ましく、12〜16%がより好ましい。以下、NaO基準のNa含有量をNaO含有量と記す。
NaO含有量が10%以上であれば、溶融性が良好となる。NaO含有量が10%以下であれば、耐候性が良好となる。
【0023】
Feのガラス中の含有量は、Fe基準の質量百分率表示で、0.56〜1.59%であり、0.66〜1.09%が好ましく、0.70〜0.90%がより好ましい。以下、Fe基準のFe含有量を、全Fe含有量と記す。
全Fe含有量が0.56%以上であれば、近赤外線吸収能が充分に高くなる。全Fe含有量が1.59%以下であれば、可視光の透過率の低下が抑えられ、また溶融性が良好となる。
【0024】
Feのうち、近赤外線の吸収に特に有効な成分は、2価のFe(Fe2+)である。
2価のFeのガラス中の含有量は、FeO基準の質量百分率表示で、0.33〜0.48%であり、0.35〜0.45%が好ましく、0.36〜0.40%がより好ましい。以下、FeO基準の2価のFe含有量をFeO含有量と記す。
FeO含有量を0.33%以上とすることで必要な近赤外線吸収能を付与できる。また、FeO含有量が0.48%を超えると波長610nmの光の吸収が大きくなりすぎるため、プラズマディスプレイの画像の赤色の純度が低下する不具合がある。また、FeO含有量が0.48%を超えると、ガラスの熱伝導率が低下する。このことからガラス製造時に、ガラス内で温度分布が発生し、その結果ガラスの組成にムラが発生する。そしてこの組成のムラが、ひずみ(リーム)となる不具合がある。
【0025】
Fe元素全量のうちの2価のFeの割合は、40〜65モル%であり、45〜60モル%が好ましく、50〜55モル%がより好ましい。以下、Fe元素全量のうちの2価のFeの割合を、Redoxと記す。
Redoxが40モル%以上であれば、全Fe含有量を抑えつつ、近赤外線吸収能を高めることができる。Redoxが60モル%以下であれば、ガラス成形時の還元剤の量を減らすことができ、製造コストが抑えられる。
【0026】
本発明の近赤外線吸収ガラスは、必要に応じて、他の元素(K、Li、Ti、Ce、Ba、Sr、B、Zn、Zr、Sn、S、F、Cl、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Se、Mo、Ag、In、Te、La、Pr、Nd、Ho、Er、W、Au等。)を含んでいてもよい。
【0027】
本発明の近赤外線吸収ガラスは、2価のFeの量を特定の範囲とすることで、波長610nmにおける光の透過率(T610)を高く、かつ波長820nmにおける光の透過率(T820)を低くできる。通常、2価のFeを含有させることで、波長820nmの光を含む近赤外線領域の光の透過率を抑えることができるが、波長610nmの光の透過率も低下させてしまう。これは、近赤外線領域の波長と、可視光領域のうち赤色の波長である610nmとが近接していることで発生する問題である。しかし、2価のFeの量を特定の範囲とすることで、近赤外線領域の波長と可視光領域の波長の境界付近(近赤外線側である波長820nmにおける光と可視光側である波長610nmにおける光との間)での透過率の差を大きくできる。すなわち、近赤外線領域におけるT820を低く、赤色の領域におけるT610を高くできる。
【0028】
本発明の近赤外線吸収ガラスにおけるT610/T820は、3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましい。T610/T820が3.0以上であれば、近赤外線の吸収と可視光の透過および赤色純度とを、高いレベルで両立できる。T610/T820の値は、大きければ大きいほどよいが、製造の困難性の問題から上限値は8であることが好ましく、6であることがより好ましい。
【0029】
本発明の近赤外線吸収ガラスは、たとえば、下記の工程(a)〜(d)を経て製造される。
(a)各元素源、還元剤、清澄剤等を、目標とするガラス組成となるような割合にて混合してガラス原料を調製する。
(b)該ガラス原料を溶融窯内に投入し、所定の温度にて溶融させ溶融ガラスとする。
(c)該溶融ガラスを、フロート法等の公知の成形法により所定の厚さの板となるように成形する。
(d)成形されたガラスリボンを徐冷した後、所定の大きさに切断し、板状のガラスを得る。
【0030】
以上説明した本発明の近赤外線吸収ガラスにあっては、ガラス中のCaO/MgOを適正範囲におさめているため、ガラス中の2価のFeの量を増やして近赤外線吸収能を高めても、可視光の透過率の低下および赤色純度の低下を抑えることができる。
【0031】
本発明の近赤外線吸収ガラスは、近赤外線を吸収し、かつ波長610nmの赤色の可視光の透過率を高くできることから、ディスプレイ用ガラス基板に用いることが好ましい。本発明の近赤外線吸収ガラスをディスプレイ用ガラス基板に用いると、ディスプレイの画像の赤色純度を高くできることから好ましい。ディスプレイの中でも特に、プラズマディスプレイは近赤外線を発生することから、プラズマディスプレイ用ガラス基板として用いると、近赤外線を吸収し、かつ画像の赤色純度を高くできるため好ましい。
以下、本発明の近赤外線吸収ガラスを、プラズマディスプレイ用ガラス基板として用いた例について説明する。
【0032】
<プラズマディスプレイ用ガラス基板>
本発明のプラズマディスプレイ用ガラス基板(以下、ガラス基板と記す。)は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるため、可視光の透過率、特に赤色光の透過率の低下を抑えつつ、近赤外線を充分に吸収できる。また、本発明のガラス基板は、ガラス中に赤外線吸収機能を有する成分を含んでいることから、熱、光、湿気等により近赤外線吸収機能がほとんど劣化しない。
【0033】
本発明のガラス基板の厚さは、1〜10mmであることが好ましく、2〜5mmであることがより好ましい。厚さが1mm以上であれば、物理的な強度が充分である。また、厚さが1mm以上であることで、単位面積あたりの2価のFe量を充分な量とすることができるため、近赤外線吸収能が充分なものとなる。また、厚さを10mm以下とすることで、ガラス基板が重くなりすぎず実用性に優れる。また、厚さが10mm以下であることで、単位面積あたりの2価のFe量が適度な量となるため、赤色光の透過が充分なものとなる。
【0034】
本発明のガラス基板におけるT820は、22%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましい。本発明のガラス基板のT820が22%以下であると、PDPから発生する近赤外線を充分に遮蔽できる。近赤外線を22%超透過させると、近赤外線により通信しているリモコンの誤動作が発生する等の不具合がある。
【0035】
本発明のガラス基板におけるT610は、60%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましい。本発明のガラス基板のT610が、60%以上であることで、赤色光の透過を十分なものとすることができるため、画像全体の明るさを落とすことなくプラズマディスプレイの画像の赤色を充分表示できる。
【0036】
本発明のガラス基板におけるT610/T820は、3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましい。T610/T820が3.0以上であれば、近赤外線の吸収と可視光の透過および赤色純度とを、高いレベルで両立できる。T610/T820の値は、大きければ大きいほどよいが、製造の困難性の問題から上限値は8であることが好ましく、6であることがより好ましい。
【0037】
本発明のガラス基板は、プラズマディスプレイ用保護板のガラス基板、PDP本体の前面ガラス基板、広告用途等のために外部環境におかれ、太陽光等の熱線を遮断し、プラズマディスプレイの温度上昇を防ぐことが可能な保護板等として用いることができる。
以下、本発明のガラス基板を、プラズマディスプレイ用保護板のガラス基板として用いた例について説明する。
【0038】
<プラズマディスプレイ用保護板>
本発明のプラズマディスプレイ用保護板(以下、保護板と記す。)は、本発明のガラス基板を備えたものである。
【0039】
本発明の保護板においては、ガラス基板そのものが近赤外線吸収機能を有する。ガラス中に近赤外線吸収機能を有する成分を含んでいることから、本発明の保護板は、熱、光、湿気等により近赤外線吸収機能がほとんど劣化しない。すなわち、たとえば有機染料を含む樹脂層を積層することにより近赤外線吸収機能が付与された場合に比べて、耐候性等の耐久性に優れる。また、本発明のガラス基板は優れた近赤外線吸収機能を有すると同時に、波長610nmの赤色光の透過にも優れる。以上のことから、本発明の保護板は、近赤外線遮吸収能、赤色光透過性および耐久性の全てを同時に満たすことができる。保護板は、近赤外線吸収機能だけでなく、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、色調補正機能等の機能を有することが好ましい。
【0040】
保護板としては、PDP側の面に、銀を主成分とする層(以下、銀層と記す。)を有する電磁波遮蔽膜が配置された保護板が好ましく挙げられる(たとえば、後述の図7、図8の構成の保護板)。前記の構成の保護板においては、PDP側から、電磁波遮蔽膜、ガラス基板がこの順に配置される。この構成の保護板がPDPの視認側に装着された場合、PDP側から入射した外光の一部は、電磁波遮蔽膜において反射する。電磁波遮蔽膜に銀層が含まれる場合、その反射光が赤色光(650nm付近の不要な赤色光)を多く含むおそれがあり、プラズマディスプレイの外観を損ねるという問題があった。しかし、本発明の保護板の構成においては、電磁波遮蔽膜よりも視認側に本発明のガラス基板が配置されている。本発明のガラス基板は、波長610nmにおける光の透過率は高いが、そこから長波長になるにしたがって急峻に透過率が下がり、波長650nmにおける光の吸収は大きくなる。したがって、電磁波遮蔽膜で反射された波長650nmの光の多くは、本発明のガラス基板において吸収される。したがって、視聴者にはその一部しか到達しないため、反射色の赤色が低減されるという効果を奏する。特に、銀層を有する電磁波遮蔽膜が、高屈折率の金属酸化物層と銀層とがこの順に(2n+1)層積層された膜である場合、nが小さい、具体的にはn=1〜3であるときには、電磁波遮蔽性能を充分なものとするために、銀層1層あたりの厚さを厚くする必要がある。銀層1層あたりの厚さが厚くなると、波長650nmの光の反射量がより多くなる傾向があるが、前記の保護板の構成であれば、nが1〜3であっても、電磁波遮蔽膜における波長650nmの反射光をガラス基板が吸収できるため、本発明の保護板の反射色が赤くなるという外観不良を低減できる。
【0041】
以下の第1〜第9の実施形態においては、低反射層が形成された側が視認側であり、その反対側がPDP側となる。
【0042】
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態の保護板を示す。保護板1は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に透明粘着剤層12を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム14と、電磁波遮蔽フィルム14の表面(ただし、該表面の周縁部を除く。)に着色粘着剤層16を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、電磁波遮蔽フィルム14の表面の周縁部、保護板1の周側面およびガラス基板10の裏面の周縁部に導電性粘着剤層20を介して貼り合わされた金属箔22とを有するものである。
【0043】
透明粘着剤層12は、透明粘着剤からなる層である。透明粘着剤層12は、紫外線遮蔽能を有していてもよい。粘着剤としては、市販されている粘着剤が挙げられる。たとえば、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン−ブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、シリコーン樹脂等の粘着剤が挙げられる。粘着剤には、紫外線吸収剤が配合されていてもよい。
【0044】
電磁波遮蔽フィルム14は、樹脂フィルム24の表面に銅からなる導電性メッシュ層26を形成したものであり、電磁波遮蔽能を有する。導電性メッシュ層26は、たとえば、樹脂フィルム24の表面に銅箔を貼り合わせた後、メッシュ状に加工することにより形成される。樹脂フィルム24としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルム等が挙げられる。
【0045】
着色粘着剤層16は、色調補正能を有する粘着剤からなる層である。透明粘着剤層が紫外線遮蔽能を有さない場合、着色粘着剤層16は、さらに紫外線遮蔽能を有する。粘着剤としては、市販されている粘着剤が挙げられる。粘着剤には、着色剤が配合され、さらに紫外線吸収剤が配合されていてもよい。
【0046】
低反射フィルム18は、樹脂フィルム28の表面に低反射層30を形成したものであり、反射抑制能を有する。低反射層30としては、スパッタリング法またはウエットコーティング法によって形成された、SiO、含フッ素樹脂等の低屈折率の材料からなる膜等が挙げられる。樹脂フィルム24としては、PETフィルム等が挙げられる。
【0047】
導電性粘着剤層20は、導電性フィラー(ニッケル粉、銀粉、銅粉、カーボン粉等。)または導電性高分子を含む粘着剤からなる層である。粘着剤としては、市販されている粘着剤が挙げられる。
金属箔22としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
【0048】
(第2の実施形態)
図2に、第2の実施形態の保護板を示す。保護板2は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に着色粘着剤層16を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、ガラス基板10の裏面に透明粘着剤層12を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム14と、電磁波遮蔽フィルム14の表面(ただし、該表面の周縁部を除く。)に透明粘着剤層32を介して貼り合わされた樹脂フィルム34とを有するものである。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
透明粘着剤層32は、透明粘着剤からなる層である。透明粘着剤層32は、紫外線吸収能を有していてもよい。粘着剤としては、市販されている粘着剤が挙げられる。粘着剤には、紫外線吸収剤が配合されていてもよい。
樹脂フィルム34としては、PETフィルム等が挙げられる。
【0050】
(第3の実施形態)
図3に、第3の実施形態の保護板を示す。保護板3は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に着色粘着剤層16を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、ガラス基板10の裏面に透明粘着剤層12を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム36とを有するものである。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
電磁波遮蔽フィルム36は、樹脂フィルム38の表面に銀からなる導電性メッシュ層40を形成したものであり、電磁波遮蔽能を有する。導電性メッシュ層40は、たとえば、樹脂フィルム38の表面に、銀ペーストをメッシュ状に印刷し、銀ペーストを焼成することにより形成される。樹脂フィルム38としては、PETフィルム等が挙げられる。
【0052】
(第4の実施形態)
図4に、第4の実施形態の保護板を示す。保護板4は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に形成された低反射層42と、ガラス基板10の裏面に着色粘着剤層44を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム36とを有するものである。
なお、第4の実施形態において、第1の実施形態および第3の実施形態と同じ構成については図1、図3と同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
低反射層42は、ガラス基板10の表面に直接形成されたものであり、反射抑制能を有する。低反射層30としては、スパッタリング法またはウエットコーティング法によって形成されたSiO等の低屈折率の材料からなる膜等が挙げられる。
【0054】
着色粘着剤層44は、色調補正機能と紫外線遮蔽機能とを併せ持つ粘着剤からなる層である。粘着剤としては、市販されている粘着剤が挙げられる。粘着剤には、着色剤、紫外線吸収剤が配合される。
【0055】
(第5の実施形態)
図5に、第5の実施形態の保護板を示す。保護板5は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に形成された導電性メッシュ層46と、導電性メッシュ層46の表面(ただし、該表面の周縁部を除く。)に着色粘着剤層44を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、導電性メッシュ層46の表面の周縁部、保護板1の周側面およびガラス基板10の裏面の周縁部に導電性粘着剤層20を介して貼り合わされた金属箔22とを有するものである。
なお、第5の実施形態において、第1の実施形態および第4の実施形態と同じ構成については図1、図4と同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
導電性メッシュ層46は、ガラス基板10の表面に直接形成されたものであり、電磁波遮蔽能を有する。導電性メッシュ層46は、たとえば、ガラス基板10の表面に、銅ペーストをメッシュ状に印刷し、銅ペーストを焼成することにより形成される。
【0057】
(第6の実施形態)
図6に、第6の実施形態の保護板を示す。保護板6は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に透明粘着剤層12を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム48と、電磁波遮蔽フィルム48の表面(ただし、該表面の周縁部を除く。)に着色粘着剤層16を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、電磁波遮蔽フィルム48の表面の周縁部、保護板1の周側面およびガラス基板10の裏面の周縁部に導電性粘着剤層20を介して貼り合わされた金属箔22とを有するものである。
なお、第5の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
電磁波遮蔽フィルム48は、樹脂フィルム50の表面にスパッタリング法で透明導電層52を形成したものであり、電磁波遮蔽能を有する。透明導電層52としては、低抵抗タイプおよび高抵抗タイプが挙げられる。
【0059】
低抵抗タイプの透明導電層(シート抵抗:2Ω/□以下)は、電磁波遮蔽機能と近赤外線遮蔽能とを併せ持つものであり、たとえば、金属酸化物層(InとSnとの酸化物、TiとZnとの酸化物、AlとZnとの酸化物、Nbの酸化物等。)と、金属層(Ag、Ag合金等。)とをスパッタリング法にて交互に形成し、金属層の数がnであり、金属酸化物層の数がn+1(ただし、nは1以上の整数である。)である積層膜である。低抵抗タイプの透明導電層は、一般的に近赤外線遮蔽能が高いが、本発明の近赤外線吸収ガラスと併用することで、より高度に近赤外線吸収能を高めることができる。なお。低抵抗タイプの透明導電層は、PDPからの電磁波の不要輻射レベルが高い場合に用いることが好ましい。
【0060】
高抵抗タイプの透明導電層(シート抵抗:2Ω/□超)は、低抵抗タイプに比べ電磁波遮蔽能および近赤外線遮蔽能が劣るが、簡便に、かつ低コストで形成できるものであり、たとえば、Znの酸化物層と、金属層(Ag、Ag合金等。)とをスパッタリング法にて交互に形成し、金属層の数が2であり、金属酸化物層の数が3である積層膜、またはCVD法で形成されたSnの酸化物層からなる単層膜である。高抵抗タイプの透明導電層と本発明の近赤外線吸収ガラスとを併用することで、保護板の近赤外線吸収能は、プラズマディスプレイ用として充分なレベルとすることができる。なお、高抵抗タイプの透明導電層は、PDPからの電磁波の不要輻射レベルが低い場合に用いることが好ましい。
樹脂フィルム50としては、PETフィルム等が挙げられる。
【0061】
(第7の実施形態)
図7に、第7の実施形態の保護板を示す。保護板7は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に着色粘着剤層16を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、ガラス基板10の裏面に透明粘着剤層12を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム48と、電磁波遮蔽フィルム48の表面(ただし、該表面の周縁部を除く。)に透明粘着剤層32を介して貼り合わされた樹脂フィルム34とを有するものである。
なお、第7の実施形態において、第1の実施形態、第2の実施形態および第6の実施形態と同じ構成については図1、図2、図7と同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
(第8の実施形態)
図8に、第8の実施形態の保護板を示す。保護板8は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に形成された低反射層42と、ガラス基板10の裏面に着色粘着剤層44を介して貼り合わされた電磁波遮蔽フィルム48とを有するものである。
なお、第8の実施形態において、第1の実施形態、第4の実施形態および第6の実施形態と同じ構成については図1、図4、図7と同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
(第9の実施形態)
図9に、第9の実施形態の保護板を示す。保護板9は、本発明の近赤外線吸収ガラスからなるガラス基板10と、ガラス基板10の表面に形成された透明導電層54と、透明導電層54の表面(ただし、該表面の周縁部を除く。)に着色粘着剤層44を介して貼り合わされた低反射フィルム18と、透明導電層54の表面の周縁部、保護板1の周側面およびガラス基板10の裏面の周縁部に導電性粘着剤層20を介して貼り合わされた金属箔22とを有するものである。
なお、第9の実施形態において、第1の実施形態および第5の実施形態と同じ構成については図1、図5と同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
透明導電層54は、ガラス基板10の表面に直接形成されたものであり、電磁波遮蔽能を有する。透明導電層54としては、上述した透明導電層52と同様に、低抵抗タイプおよび高抵抗タイプが挙げられる。
【0065】
以上説明した本発明の保護板にあっては、本発明の近赤外線吸収ガラスをガラス基板として用いているため、可視光の透過率および赤色純度の低下を抑えつつ、近赤外線を充分に吸収できる。したがって、本発明の保護板は、PDPより発せられる不要な近赤外線を充分に遮蔽でき、かつPDPからの可視光、特には赤色の光を充分高く透過でき、プラズマディスプレイの画像における赤色の純度を高くできる。したがって、プラズマディスプレイに表示される画像を、きれいな画像とすることができる。
【実施例】
【0066】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1〜12、14、15、17、18、20、22、23、25〜30、34、36は実施例であり、例13、16、19、21、24、31〜33、35、37は比較例である。
【0067】
(2価の鉄の濃度)
ガラスサンプルの小片を酸分解、溶液化した後、指示薬を滴下して発光させ、吸光光度法により2価の鉄の濃度を測定した。該濃度および全Fe含有量に基づいて、FeO含有量、Redoxを求めた。
【0068】
(光の透過率)
ガラスサンプルを研削、研磨して厚さを2.8mmに整え、表面を鏡面状に仕上げたものについて、積分球付の分光光度計(島津製作所社製、UV3100PC)を用いて、T610およびT820を測定した。
【0069】
(失透温度)
ガラスサンプルを、様々な温度に保持した電気炉内で加熱し、急冷した後に光学顕微鏡で観察して失透の有無を調べた。失透が確認された最低温度を失透温度とした。失透温度が1100℃以上では、ガラス成形が困難となる。
【0070】
〔例1〜35〕
ケイ砂、長石、苦灰石、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カリウム、ソーダ灰、芒硝、酸化第二鉄、コークスを、表1、表2に示す組成が得られるように調合したガラス原料を、酸素濃度2%の雰囲気下、白金るつぼ中で溶融した。溶融ガラスをカーボン板上に流し出してから徐冷し、ガラスサンプルを得た。ガラスサンプルについて、光の透過率および失透温度を測定した。結果を表1、表2に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
〔例36〕
例2と同じ組成となるようにフロート法で厚さ2.8mmのガラス基板を製造した。該ガラス基板を用いて、以下の方法で図1に示す構成の保護板1を製造し、透過率を測定した。結果を図10に示す。
【0074】
テトラアザポルフィリン系色素(山田化学社製、商品名「TAP−18」)の0.0300g、キノフタロン系色素(三井化学社製、商品名「MS−Yellow HD−137」)の0.0031gからなる色調補正色素と、紫外線吸収剤(チバスペシャリティケミカルズ社製のトリアジン系化合物、商品名「TINUVIN 479」)の2.0000gとをメチルエチルケトンの12gに溶解させた。この中に、アクリル系粘着剤(東洋インキ社製、商品名「NCK101」、酸価:0mgKOH/g、濃度:37%)の68gおよび架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHL」)の0.5gを溶解させて着色粘着剤組成物を調製した。
【0075】
PETフィルムからなる樹脂フィルム28の一方の面に低反射層30が形成された低反射フィルム18(日本油脂社製の反射防止フィルム、商品名「リアルック RL7800」、100×100mm、厚さ:100μm)を用意した。
低反射フィルム18の樹脂フィルム28側の表面に、乾燥塗膜の厚さが25μmとなるように、前記着色粘着剤組成物をアプリケーターにて塗布して、着色粘着層16付きの低反射フィルム18を得た。
【0076】
メチルエチルケトンの12gの中に、アクリル系粘着剤(東洋インキ社製、商品名「NCK101」、酸価:0mgKOH/g、濃度:37%)の68gおよび架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHL」)の0.5gを溶解させて透明粘着剤組成物を調製した。
【0077】
銅からなる導電性メッシュ層26とPETフィルムからなる樹脂フィルム24とが接着層(図示略)を介して積層された電磁波遮蔽フィルム14(大日本印刷社製のメッシュフィルム、商品名「AR50GA0T−75 P300 L10」、100×100mm)の樹脂フィルム24側の表面に、前記透明粘着剤組成物を塗布し透明粘着剤層12を形成した。
【0078】
前記電磁波遮蔽フィルム14の透明粘着剤層12と、100×100mmの前記ガラス基板10とを貼り合わせた。ついで、電磁波遮蔽フィルム14の導電性メッシュ層26表面と、低反射フィルム18の着色粘着層16とが接触するように貼り合わせた。最後に、貼り合わせたものをオートクレーブ内に入れて、温度:60℃、圧力:1MPa、時間:30分の条件で加熱、加圧処理を施して保護板1を作製した。
【0079】
〔例37〕
下記の点を変更した以外は、例36と同様にして、図2に示す構成と同様の保護板2を製造し、透過率を測定した。結果を図10に示す。
ガラス基板10として厚さ2.8mmの市販のソーダライムガラスを用いた。
電磁波遮蔽フィルム14をガラス基板10のPDP側に貼り合わせた。
電磁波遮蔽フィルム14の表面に、前記透明粘着剤組成物に近赤外線吸収色素を加えた組成物からなる透明粘着剤層32と、PETフィルムからなる樹脂フィルム34とを有する保護フィルムを貼り合わせた。
低反射フィルム18をガラス基板10の視認側に直接貼り合わせた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の近赤外線吸収ガラスは、可視光の透過率および赤色純度の低下を抑えつつ、近赤外線を充分に吸収できるため、プラズマディスプレイ用保護板のガラス基板等として有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 保護板
2 保護板
3 保護板
4 保護板
5 保護板
6 保護板
7 保護板
8 保護板
9 保護板
10 ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si、Al、Ca、Mg、Na、Feの各元素を含有する酸化物ガラスであり、
Si、Al、Ca、Mg、Na、Feのガラス中の含有量が、下記成分基準の質量百分率表示で、
SiO:65〜75%、
Al:0.8〜3%、
CaO:5〜12%、
MgO:0.2〜10%、
NaO:10〜20%、
Fe:0.56〜1.59%であり、
Feには2価のFeが含まれ、該2価のFeのガラス中の含有量が、FeO基準の質量百分率表示で、0.33〜0.48%であり、
Fe元素全量のうちの2価のFeの割合が、40〜65モル%である、プラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス。
【請求項2】
波長610nmにおける光の透過率(T610)と波長820nmにおける光の透過率(T820)との比(T610/T820)が、3.0以上である、請求項1に記載のプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ用近赤外線吸収ガラスからなる、プラズマディスプレイ用ガラス基板。
【請求項4】
波長610nmにおける光の透過率(T610)が60%以上であり、波長820nmにおける光の透過率(T820)が22%以下である、請求項3に記載のプラズマディスプレイ用ガラス基板。
【請求項5】
厚さが1〜10mmである、請求項3または4に記載のプラズマディスプレイ用ガラス基板。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用ガラス基板を備えた、プラズマディスプレイ用保護板。
【請求項7】
プラズマディスプレイ用ガラス基板のプラズマディスプレイパネル側の面に、銀を主成分とする層を有する電磁波遮蔽膜が配置された、請求項6に記載のプラズマディスプレイ用保護板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−275144(P2010−275144A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128695(P2009−128695)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】