説明

プラズマ処理装置

【課題】ワークに対して異常放電が生じるのを防止しつつ、効率よくプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理装置を提供すること。
【解決手段】プラズマ処理装置1は、ワーク10の上方に設けられた電極ユニット2と、通電手段3と、処理ガス供給手段4と、冷却手段5とを有している。電極ユニット2は、長手形状の柱状体で構成された電極本体211と、この電極本体211の内部に、長手方向に沿って設けられた貫通孔212とを備えるアース電極21と、貫通孔212に挿通された電極棒221を備える印加電極22とを有する。貫通孔212と電極棒221との間には隙間が形成されており、この隙間がプラズマ生成空間27として機能する。また、アース電極21には、プラズマ生成空間27を外部に開放するスリット28が形成されている。このスリット28からプラズマPを噴出することにより、ワーク10にプラズマ処理が施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの表面にプラズマ処理を施す装置が知られている。
このようなプラズマ処理装置は、例えば、高周波電圧が印加された電極間にガスを導入してプラズマを発生させ、ワークの表面をプラズマに曝すことによりプラズマ処理を施すものである(例えば、特許文献1参照)。
図5は、従来のプラズマ処理装置を模式的に示す縦断面図である。
図5に示すプラズマ処理装置9は、放電空間91を形成するための一対の電極92、93と、放電空間91の出口側に設けられ、プラズマ処理に供するワーク(被処理物)90を配置する被処理物配置部94と、一対の電極92、93の内側の面からワーク90側の面にかけて覆うように設けられた絶縁性のホルダ本体95とを有するものである。このうち、一対の電極92、93とホルダ本体95とで電極ユニット96が構成されている。
【0003】
また、電極ユニット96には、電極92と電極93との間に電圧を印加する通電手段97が接続されている。
このようなプラズマ処理装置9では、放電空間91に処理ガスGを供給するとともに電極93に電圧を印加すると、放電空間91中の処理ガスGがプラズマ化する。その後、プラズマ化された処理ガスGを放電空間91から被処理物配置部94側に噴出させることにより、プラズマ化された処理ガスGをワーク90に接触させ、これによりワーク90にプラズマ処理が施される。このようなプラズマ処理装置9は、一般に「リモート式プラズマ処理装置」と称される。
【0004】
ところで、図5に示すプラズマ処理装置9では、電極ユニット96とワーク90とを近づけることにより、処理効率(処理速度)を高めることができる。
しかしながら、電極ユニット96とワーク90とを近づけた場合、離間距離がある距離より小さくなると、電極93とワーク90との間に異常放電(アーク放電)Dが生じる。このような異常放電Dが生じると、ワーク90に変質・劣化をもたらすばかりか、電極ユニット96にも不具合を生じさせる。
一方、異常放電Dを避けるため、電極ユニット96とワーク90との離間距離をしきい値より大きくした場合、プラズマ化された処理ガスGがワーク90に到達するまでに時間がかかり過ぎることとなり、プラズマ化された処理ガスGの活性度が経時的に低下する。このため、プラズマ処理の効率低下を招くこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−226634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ワークに対して異常放電が生じるのを防止しつつ、効率よくプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のプラズマ処理装置は、長手形状の第1の電極と、
前記第1の電極と離間して、前記第1の電極の外周を覆うように設けられ、電気的に接地された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する通電手段と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されたプラズマ生成空間に、プラズマ処理を行うための処理ガスを供給する処理ガス供給手段とを有し、
前記第2の電極の側面には、前記プラズマ生成空間の一部を外部に開放する孔部が、長手方向に沿って連続的または断続的に設けられており、
前記処理ガス供給手段により前記プラズマ生成空間に前記処理ガスを供給するとともに、前記通電手段により前記第1の電極に通電し、前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記孔部を介して前記プラズマをワークに向けて噴出させることにより、前記ワークにプラズマ処理を施すよう構成されたことを特徴とする。
これにより、ワークに対して異常放電が生じるのを防止しつつ、効率よくプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理装置が得られる。
【0008】
本発明のプラズマ処理装置は、前記第1の電極は、横断面形状の外周全体が丸みを帯びていることが好ましい。
これにより、第1の電極は、その外周面に角部や突起部が存在しないものとなるため、放電に至る電圧を高めることができ、異常放電の発生を防止し得るものとなる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極と前記第2の電極との離間距離は、長手方向全体で均一であることが好ましい。
これにより、プラズマ生成空間の長手方向全体で電界強度が均一になり、プラズマ生成空間に発生するプラズマの密度の均一化を図ることができる。その結果、ワークに対して均一なプラズマ処理を施すことができる。
【0009】
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極および前記第2の電極の横断面内において、前記第1の電極と前記第2の電極との離間距離は均一であることが好ましい。
これにより、プラズマ生成空間の厚さは長手方向のいずれの位置においても一定になり、その結果、第1の電極および第2の電極の全体で均一になる。そして、プラズマ生成空間全体における電界強度が均一になり、プラズマ生成空間に発生するプラズマの密度の均一化を図ることができる。
【0010】
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極は、電極本体と、その側面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部と、を有することが好ましい。
これにより、仮に第1の電極と第2の電極との間で異常放電が発生したとしても、異常放電によって第1の電極の電極本体が損傷を受けるのを防止することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第2の電極は、前記第1の電極を挿通可能な貫通孔を備える本体と、この電極本体の前記プラズマ生成空間に臨む面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部と、を有することが好ましい。
これにより、仮に第1の電極と第2の電極との間で異常放電が発生したとしても、異常放電によって第2の電極の電極本体が損傷を受けるのを防止することができる。また、第2の電極の貫通孔に第1の電極を挿通すれば、貫通孔により第1の電極の外周のほとんどが覆われることになるため、ワークに対して異常放電が生じるのをより確実に防止することができる。
【0011】
本発明のプラズマ処理装置では、前記貫通孔の横断面形状は、前記第1の電極の横断面形状との間で相似の関係にあることが好ましい。
これにより、プラズマ生成空間の厚さを簡単に均一化することができる。その結果、プラズマ生成空間における電界強度が均一になり、プラズマ生成空間に発生するプラズマの密度の均一化を図ることができる。
【0012】
本発明のプラズマ処理装置では、前記誘電体部は、誘電体材料で構成された管状体で構成されていることが好ましい。
これにより、誘電体部がより緻密なものとなるため、誘電体部による第1の電極または第2の電極に対する保護機能をより高めることができる。また、第1の電極または第2の電極と誘電体部との分離が可能になることから、部分的な交換によるメンテナンスが可能になる。その結果、定期的に部品交換を行うことによって、均一かつ高効率のプラズマ処理を長期にわたって簡単に維持し得るだけでなく、メンテナンスコストの低減を図ることもできる。
【0013】
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極と前記第2の電極との離間距離は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。
これにより、第1の電極と第2の電極との離間距離が最適化されることから、プラズマ生成空間における異常放電の発生を防止しつつ、処理ガスを効率よくプラズマ化することができる。
【0014】
本発明のプラズマ処理装置では、前記第2の電極の長手方向に直交する方向を幅方向とするとき、前記孔部の幅は、3mm以下であることが好ましい。
これにより、第1の電極のうち、ワークに直接臨む部分の面積を最小限に抑えつつ、孔部を介して、十分な量のプラズマをワークの被処理面に対して噴出させることができる。その結果、第1の電極とワークとの間で発生する異常放電をより確実に防止しつつ、高効率のプラズマ処理が可能になる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第2の電極の内部または表面に、冷媒を流すための流路が設けられていることが好ましい。
これにより、プラズマ生成に伴う第2の電極の温度上昇を緩和し、熱影響に伴う第2の電極の劣化を防止することができる。
【0015】
本発明のプラズマ処理装置は、長手形状の円柱体で構成された電極本体と、その側面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部とを備える第1の電極と、
長手形状の柱状体で構成され、前記第1の電極を隙間を介して挿通可能な円柱状の貫通孔を備える電気的に接地された電極本体と、前記貫通孔の内面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部とを備える第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する通電手段と、
前記貫通孔に前記第1の電極の電極本体が挿通されており、この状態で、前記第2の電極と前記第1の電極との隙間に形成されたプラズマ生成空間に対して、プラズマ処理を行うための処理ガスを供給する処理ガス供給手段とを有し、
前記第2の電極の側面には、前記プラズマ生成空間の一部を外部に開放する孔部が、長手方向に沿って連続的または断続的に設けられており、
さらに、前記第1の電極が備える前記電極本体、前記第1の電極が備える前記誘電体部、前記第2の電極が備える前記貫通孔、および前記第2の電極が備える前記誘電体部は、横断面において同心円状になるよう配置されており、
前記処理ガス供給手段により前記プラズマ生成空間に前記処理ガスを供給するとともに、前記通電手段により前記第1の電極に通電し、前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記孔部を介して前記発生させたプラズマをワークに向けて噴出させることにより、前記ワークにプラズマ処理を施すよう構成されたことを特徴とする。
【0016】
これにより、ワークに対して異常放電が生じるのを防止しつつ、効率よくプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理装置が得られる。また、これにより、プラズマ生成空間の厚さを簡単に均一化することができる。その結果、プラズマ生成空間における電界強度が均一になり、プラズマ生成空間に発生するプラズマの密度の均一化を図ることができる。そして、プラズマ生成空間の厚さを簡単に均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2に示すB−B線断面図である。
【図4】孔部をワーク側から見たときの平面図である。
【図5】従来のプラズマ処理装置を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のプラズマ処理装置について、図示の好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のプラズマ処理装置の実施形態を模式的に示す斜視図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図2に示すB−B線断面図である。なお、以下の説明では、図1〜3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図2中の右側を「右」、下側を「下」と言う。
【0019】
図1に示すプラズマ処理装置1は、ワーク10の被処理面101に対して、所定の膜を成膜する成膜処理、被処理面101を厚さ方向に研削したり所定の形状に加工したりするエッチング加工、被処理面101上の不要物を分解・除去するアッシング処理、被処理面101に親水性を付与する親水化処理、被処理面101に撥水性を付与する撥水化処理等の各種プラズマ処理を施す装置である。
このプラズマ処理装置1は、ワーク10の上方に設けられた電極ユニット2と、この電極ユニット2に通電する通電手段3と、電極ユニット2に処理ガスを供給する処理ガス供給手段4と、電極ユニット2中に冷却水(冷媒)Wを循環させる冷却手段5とを有している。以下、各部の構成について詳細に説明する。
【0020】
電極ユニット2は、図2または図3に示すように、長手形状の柱状体で構成された電極本体211と、この電極本体211の内部に、長手方向に沿って設けられた貫通孔212とを備えるアース電極(第2の電極)21と、貫通孔212に挿通された電極棒221および電極棒221の右端部に設けられた印加部222を備える印加電極(第1の電極)22と、アース電極21の右端に隣接して設けられ、アース電極21と印加電極22とを絶縁する絶縁部23と、アース電極21の左端に隣接して設けられ、アース電極21と印加電極22とを絶縁する絶縁部24とを有している。
【0021】
なお、電極棒221は、アース電極21より右方に突出するように設けられており、さらに、アース電極21の右端に隣接する絶縁部23を貫通して右方に突出している。そして、印加部222は、この電極棒221の突出部に接続されている。また、電極棒221は、その軸線がワーク10の被処理面101と平行になるよう配置されている。これにより、電極棒221と被処理面101との離間距離が均一になり、被処理面101に対して均一なプラズマ処理が可能になる。
【0022】
また、印加電極22は、電極棒221(電極本体)の側面を覆うように設けられた誘電体管(誘電体部)25を有している。この誘電体管25は、誘電体材料で構成された管状体であり、電極棒221の外径と誘電体管25の内径とがほぼ一致するようになっている。これにより、電極棒221の外周面と誘電体管25の内周面とが摺接した状態になっている。
【0023】
一方、アース電極21も、電極本体211に形成された貫通孔212の内周面を覆うように設けられた誘電体管(誘電体部)26を有している。この誘電体管26も、誘電体管25と同様、誘電体材料で構成された管状体であり、貫通孔212の内径と誘電体管26の外径とがほぼ一致するようになっている。これにより、貫通孔212の内周面と誘電体管26の外周面とが摺接した状態になっている。
【0024】
さらに、誘電体管25と誘電体管26との間には、隙間が形成されている。この隙間の両端部は、前述したように絶縁部23および絶縁部24が設けられており、これらにより、前記隙間の両端部が閉塞されている。なお、この隙間には、前述した処理ガス供給手段4により処理ガスGが供給される。処理ガスGが供給された状態で、通電手段3によりアース電極21と印加電極22との間に通電すると、処理ガスGがプラズマ化され、プラズマPが生成される。すなわち、誘電体管25と誘電体管26との隙間は、プラズマ生成空間27として機能する。
そして、アース電極21の電極本体211および誘電体管26には、これらの軸線に対して直交する方向に設けられた2本の配管41が挿通されている。この配管41は、プラズマ生成空間27と外部とを連通するように設けられており、この配管41を介してプラズマ生成空間27に処理ガスGを供給し得るよう構成されている。
【0025】
また、プラズマ生成空間27の下方に位置するアース電極21と誘電体管26には、プラズマ生成空間27を外部に開放する孔部であって、ワーク10側から見たときに細長い帯状をなすスリット28が設けられている。なお、スリット28は、電極ユニット2のワーク10側に形成されている。これにより、プラズマ生成空間27で発生したプラズマPを、処理ガスGの流れに伴って、スリット28からワーク10の被処理面101に噴出させることができる。その結果、被処理面101にプラズマ処理を施すことができる。
このような構成のプラズマ処理装置1では、処理ガスGに対して電圧(一般的には高周波電圧)を印加するための電極棒221の外周のほとんどが、アース電極21で覆われることとなる。換言すれば、電極棒221の外周は、スリット28を除いて、アース電極21で覆い隠されている。
【0026】
ところで、従来のプラズマ処理装置9では、図4に示すように、電圧を印加する電極93が、絶縁性のホルダ本体95で覆われているものの、ホルダ本体95を貫通する電界によって、電極93とワーク90との間に異常放電が発生し、この異常放電に伴ってワーク90に変質・劣化が生じることが避けられなかった。
これに対し、本発明によれば、前述したように電極棒221の外周のほとんどがアース電極21で覆われているため、電極棒221とワーク10との間に異常放電が生じるのを確実に避けることができる。
【0027】
また、このように異常放電の発生を避けることができるので、従来に比べて、電極ユニット2とワーク10とをより近づけることができる。これにより、プラズマ生成空間27とワーク10との距離が近づくため、プラズマ生成空間27で発生したプラズマPは、より短時間でワーク10に到達することができる。その結果、プラズマP中のラジカルは、失活する(ラジカルとしての寿命が尽きる)前にワーク10と接触することができるようになり、プラズマ処理の効率を高めることができる。
【0028】
さらに、電極棒221の外周を覆うようにアース電極21が設けられた結果、プラズマ生成空間27の形状は細長い管状をなすものとなる。これにより、配管41からプラズマ生成空間27に供給された処理ガスGは、直接的にスリット28に向かうのではなく、電極棒221を回り込むようにしてスリット28に向かうこととなる。このため、プラズマ生成空間27内における処理ガスGの流れに均一な抵抗が付与されることとなり、配管41の取り付け位置によらず、処理ガスGの流速の均一化が図られる。その結果、スリット28から噴出されるプラズマPの密度のバラつきを抑制し、ワーク10に対して均一なプラズマ処理を施すことができる。
【0029】
ここで、図3に示す電極棒221、誘電体管25、誘電体管26および貫通孔212では、それぞれ、外周面および内周面の横断面形状が円形をなしている。各部がこのような形状をなしていることにより、アース電極21の貫通孔212と印加電極22の電極棒221との間における異常放電(アーク放電等)の発生を防止することができる。これは、貫通孔212および電極棒221の横断面形状が円形である場合、貫通孔212の内周面や電極棒221の外周面に角部や突起部が存在しないため、放電に至る電圧を高めることができ、その結果、放電が起き難くなることに起因している。
このようにして貫通孔212と電極棒221との間における異常放電を防止することにより、異常放電に伴うアース電極21や印加電極22の変質・劣化を防止することができる。その結果、長期にわたってプラズマPを安定的に発生させることが可能になるとともに、電極ユニット2の長寿命化を図ることができる。
【0030】
なお、電極棒221、誘電体管25、誘電体管26および貫通孔212では、それぞれの外周面および内周面の横断面形状は、図3のような真円に限られない。例えば、前記横断面形状が、楕円、長円またはこれらの形状に準じた形状(丸みを帯びた形状)であっても、異常放電の発生が防止され、上述したような効果を奏する。
また、電極棒221および誘電体管25の外周面の横断面形状が丸みを帯びた形状になっていることにより、電極棒221および誘電体管25を回り込むように流れる処理ガスGの流れが滑らかになり、電極棒221や誘電体管25近傍における処理ガスGの滞留が抑制される。その結果、プラズマ化した処理ガスGをスリット28から偏りなく噴出させることができる。
【0031】
また、図3に示す電極ユニット2では、電極棒221、誘電体管25、誘電体管26および貫通孔212が、その横断面において同心円状になるよう配置されている。さらに、電極棒221、誘電体管25、誘電体管26および貫通孔212は、その軸線がそれぞれ平行である。電極棒221、誘電体管25、誘電体管26および貫通孔212の各部がこのように配置された結果、プラズマ生成空間27の厚さ(誘電体管25と誘電体管26との離間距離)は、電極ユニット2のいずれの位置においても一定であり、また、電極ユニット2の全体で均一になる。これにより、プラズマ生成空間27における電界強度が均一になり、プラズマ生成空間27に発生するプラズマPの密度の均一化を図ることができる。このような特徴を有するプラズマ処理装置1は、ワーク10に対して均一なプラズマ処理を施すことができる。
【0032】
なお、電極棒221の外周面、誘電体管25の内外周面、誘電体管26の内外周面および貫通孔212の内周面は、その横断面形状が互いに相似の関係にあるのが好ましい。この関係としては、例えば、図3に示すように、いずれもが真円であり、かつそれぞれの円の半径が互いに異なっているような場合である。これにより、プラズマ生成空間27の厚さを簡単に均一化することができる。
【0033】
また、電極棒221と貫通孔212のうち、プラズマ生成空間27に臨む面に各誘電体管25、26を設けたことにより、電極棒221の外周面と貫通孔212の内周面とが放電の影響から保護されることとなる。すなわち、各誘電体管25、26を設けたことにより、仮に貫通孔212と電極棒221との間に異常放電が発生したとしても、異常放電によって貫通孔212の内周面や電極棒221の外周面が損傷を受けるのを防止することができる。
【0034】
ところで、アース電極21および印加電極22の電極棒221は、それぞれ導電性材料で構成されている。
かかる導電性材料としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銀等の金属単体、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等の各種合金、金属間化合物、各種炭素材料等が挙げられる。このうち、導電性、耐久性等の観点から、ステンレス鋼が好ましく用いられる。
【0035】
一方、印加電極22の印加部222は、銅または銅合金のような特に導電性の高い材料で構成されるのが好ましい。
また、誘電体管25および誘電体管26を構成する誘電体材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ、チタニア、窒化ケイ素、チタン酸バリウムのような各種セラミックス材料、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドのような各種熱可塑性樹脂材料、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂のような各種熱硬化性樹脂材料等が挙げられる。このうち、耐熱性、耐久性等の観点から、アルミナが好ましく用いられる。
【0036】
また、絶縁部23および絶縁部24を構成する絶縁材料としては、前述した誘電体材料と同様のものが挙げられる。このうち、絶縁性、耐久性等の観点から、アルミナが好ましく用いられる。
なお、図2に示す誘電体管25と誘電体管26との隙間(プラズマ生成空間27)の両端部は、前述したように、絶縁部23および絶縁部24で閉塞されているが、この閉塞を担っている絶縁部23、24の一部を、樹脂製部品で代替するようにしてもよい。これにより、閉塞部の気密性をより高めることができる。
【0037】
かかる樹脂製部品を構成する樹脂材料としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等の各種ゴム材料が挙げられる。
また、誘電体管25と誘電体管26との離間距離(プラズマ生成空間27の平均厚さ)は、アース電極21と印加電極22との間に印加される電圧等のプラズマ生成条件に応じて若干異なるものの、0.5mm以上5mm以下であるのが好ましく、0.8mm以上3mm以下であるのがより好ましい。プラズマ生成空間27の平均厚さを前記範囲内に設定することにより、前記離間距離が最適化されることから、異常放電の発生を防止しつつ、処理ガスを効率よくプラズマ化することができる。
【0038】
また、誘電体管25および誘電体管26の平均厚さは、アース電極21と印加電極22との間に印加される電圧等のプラズマ生成条件に応じて若干異なるものの、3mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下であるのがより好ましい。これにより、各誘電体管25、26の機械的特性、製造容易性および耐久性が高くなるとともに、異常放電の発生をより確実に防止することができるようになる。
【0039】
なお、各誘電体管25、26は、上述したような誘電体材料で構成された管状体に限らず、各種成膜方法で成膜された被膜であってもよい。このような被膜を作製する成膜方法としては、例えば溶射法、CVD法、ゾル・ゲル法等が挙げられる。しかしながら、上述したような管状体を用いた場合には、各誘電体管25、26が被膜に比べてより緻密なものとなるため、貫通孔212の内周面と電極棒221の外周面に対する保護機能をより高めることができる。
【0040】
さらには、各誘電体管25、26として管状体を用いた場合、必要に応じて、貫通孔212と誘電体管26との分離や、電極棒221と誘電体管25との分離が可能になる。このため、長期間の稼働によって、貫通孔212や電極棒221が消耗・損傷したり、各誘電体管25、26が消耗・損傷したりした場合には、電極ユニット2全体を交換することなく、部分的な交換が可能になる。このため、プラズマ処理装置1では、定期的に部品交換を行うことによって、均一かつ高効率のプラズマ処理を長期にわたって簡単に維持し得るだけでなく、メンテナンスコストの低減を図ることもできる。
【0041】
一方、スリット28の幅(図3に示す幅Ws)は、3mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下であるのがより好ましい。スリット28の幅を前記範囲内にすることにより、電極棒221のうち、ワーク10に直接臨む部分の面積を最小限に抑えつつ、スリット28を介して、十分な量のプラズマPをワーク10の被処理面101に対して噴出させることができる。その結果、電極棒221とワーク10との間で発生する異常放電をより確実に防止しつつ、高効率のプラズマ処理が可能になる。
なお、スリット28は、図3に示すように、アース電極21の電極本体211の下面に設けられている。この下面は、ワーク10の被処理面101とほぼ平行な面である。
【0042】
そして、本実施形態では、電極本体211は図1および図3に示すように、その横断面形状が六角形になっており、下面に隣接する側面は被処理面101に対して傾斜している。その結果、スリット28から噴出されたプラズマPは、ワーク10に対してプラズマ処理を施した後、両側に流れ、電極ユニット2とワーク10との間に閉じ込められることなく、速やかに拡散することができる。これにより、プラズマPが被処理面101近傍に長期間滞在するのを防止して、意図しないプラズマ処理が進行するのを避けることができる。
【0043】
通電手段3は、電極ユニット2に通電するものである。
このような通電手段3は、印加電極22に高周波電圧を印加する高周波電源31と、高周波電源31と印加電極22との間を電気的に接続するとともに、高周波電源31やアース電極21を電気的に接地するための配線32とを有している。
また、図示しないものの、通電手段3は、供給する高周波電圧に対する整合回路(インピーダンスマッチング回路)や、高周波電圧の周波数を変える周波数調整手段(回路)や、高周波電源31の高周波電圧の最大値(振幅)を変える電圧調整手段(回路)等を有していてもよい。これにより、ワーク10に対するプラズマ処理の処理条件を適宜調整することができる。
【0044】
また、高周波電圧の周波数は、特に限定されないが、1kHz以上100MHz以下であるのが好ましく、1MHz以上70MHz以下であるのがより好ましい。
さらに、高周波電圧の出力密度は、特に限定されないが、0.01W/cm以上10W/cm以下であるのが好ましく、0.1W/cm以上2.5W/cm以下であるのがより好ましい。
【0045】
処理ガス供給手段4は、プラズマ生成空間27に処理ガスGを供給するものである。
このような処理ガス供給手段4は、処理ガスGを供給するガス供給部42と、ガス供給部42とアース電極21とを接続する配管43とを有している。配管43は、途中で2つに分岐しており、アース電極21の両端部にそれぞれ処理ガスGを供給し得るようになっている。また、各配管43は、それぞれアース電極21に設けられた配管41と、インレット44を介して接続されている。
【0046】
これにより処理ガス供給手段4は、ガス供給部42で発生した処理ガスGを、配管43、インレット44および配管41を介して、プラズマ生成空間27に供給することができる。
また、図示しないものの、処理ガス供給手段4は、ガス供給部42から供給される処理ガスGの流量を調整するマスフローコントローラー(流量調整手段)、配管43の途中に設けられ、配管43を開閉するバルブ等を有していてもよい。
【0047】
処理ガスG中に含まれる反応ガスとしては、例えば、CF、C、C、C、CClF、SF、WFのようなフッ素原子含有化合物ガス、Cl、BCl、CCl、AlClのような塩素原子含有化合物ガス等の各種ハロゲン系ガス、SiH、SiHCl、SiClのようなシラン系ガス、窒素ガス、酸素ガス、オゾンガス、水蒸気等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合ガスが用いられる。
【0048】
上記のガス(反応ガス)の処理ガスG中の割合は、0.1vol%以上10vol%以下程度に設定するのが好ましく、0.5vol%以上5vol%以下程度に設定するのがより好ましい。
また、ガス供給部42から供給される処理ガスGの流量は、0.1slm以上50slm以下程度であるのが好ましく、5slm以上15slm以下程度であるのがより好ましい。
【0049】
なお、処理ガスGは、上記反応ガスの他に、ヘリウム、アルゴン等の希ガス等を含んでいてもよい。
冷却手段5は、アース電極21中に冷却水(冷媒)Wを循環させ、アース電極21を冷却するものである。
このような冷却手段5は、冷却水Wを送出する冷却水ポンプ52と、冷却水ポンプ52とアース電極21とを接続する配管53とを有している。
【0050】
また、アース電極21の電極本体211の内部には、電極本体211の下面側を循環するような流路51が形成されており、流路51の両端には、それぞれインレット54が設けられている。
このような冷却手段5は、冷却水ポンプ52から送出された冷却水Wが、配管53、インレット54、流路51、インレット54および配管53を経て、再び冷却水ポンプ52に戻るよう構成されている。かかる冷却手段5により、プラズマ生成に伴うアース電極21の温度上昇を緩和し、熱影響に伴うアース電極21の劣化を防止することができる。
【0051】
なお、プラズマ処理に供されるワーク10は、いかなるものでもよいが、例えば、Al、Au、Cr、Cu、Ga、Fe、Mo、Nb、Ni、Ta、Ti、V、W、またはこれらの金属を含む合金等の各種金属系材料、水晶、サファイア、LiTaO、LiNbO、ダイヤモンド等の各種結晶性材料、石英ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス材料、アルミナ、チタニア等の各種セラミックス材料、シリコン、ガリウム−ヒ素等の各種半導体材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、液晶ポリマー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の各種プラスチック(樹脂材料)等が挙げられる。
【0052】
以上のようなプラズマ処理装置1によれば、電極ユニット2とワーク10とを近づけたとしても、その間における異常放電の発生を防止することができるので、異常放電に伴うワーク10の変質・劣化を防止しつつ、プラズマ処理の効率を高めることができる。
このようなプラズマ処理装置1を用いてワーク10にプラズマ処理を行う場合、まず、処理ガス供給手段4により、プラズマ生成空間27中に処理ガスGを供給する。
【0053】
次いで、通電手段3により、アース電極21と印加電極22との間に高周波電圧を印加し、処理ガスGをプラズマ化する。これによりラジカルを含むプラズマPが生成される。
このプラズマPは、処理ガスGの流れとともにスリット28からワーク10に向けて噴出され、ワーク10に対してプラズマ処理が行われる。
この際、電極ユニット2とワーク10との離間距離は、特に限定されないが、0.3mm以上5mm以下であるのが好ましく、0.5mm以上3mm以下であるのがより好ましい。離間距離を前記範囲内とすることにより、ワーク10に対する異常放電を確実に防止しつつ、プラズマ処理を効率よく行うことができる。
【0054】
また、プラズマ処理を行いつつ、電極ユニット2とワーク10とを相対的に移動することにより、移動の軌跡に沿った広い領域に対してプラズマ処理を行うことができる。
なお、電極ユニット2のスリット28の長さは、ワーク10の幅より長くても短くてもよい。前者の場合には、ワーク10の長手方向に沿って電極ユニット2を走査することにより、被処理面101の全面に対して1回の走査で均一なプラズマ処理を行うことができる。また、後者の場合には、ワーク10の幅方向に電極ユニット2を徐々にずらしつつ、電極ユニット2を往復させることにより、被処理面101に均一なプラズマ処理を行うことができる。
【0055】
したがって、スリット28の長さは、ワーク10の寸法に応じて適宜設定されるものの、一例としては、50mm以上2000mm以下とされる。
また、スリット28の長さによらず、処理ガスGをアース電極21に導入する際の導入口となる2つのインレット44の配置は、スリット28の長手方向の中央に対して対称になっているのが好ましい。これにより、処理ガスGの濃度がプラズマ生成空間27内において均一となり、均一なプラズマPが生成する。その結果、スリット28の全体において、均一なプラズマ処理が可能になる。
【0056】
また、図4は、電極ユニット2をワーク10側から見たときの平面図である。
図2および図3に示すスリット28は、図4(a)に示すように、一定の幅を有する長方形をなしている。しかしながら、スリット28の平面視形状は、このような形状に限定されず、幅が一定でない四角形、他の多角形等であってもよい。
図4(b)、(c)は、スリット28の他の構成例である。
図4(b)に示すスリット28’は、長手方向の両端部においてその幅が相対的に狭く、長手方向の中央部においてその幅が相対的に広くなっている。これにより、スリット28’から噴出されるプラズマPの流量の均一化を図ることができる。その理由としては以下のことが考えられる。
【0057】
配管41の本数が少ない場合、スリットの長手方向全体で噴出させるプラズマの流量の均一化を図ることが難しい。図2では、スリット28の両端部付近に対応して配管41が設けられているため、スリット28の両端部と中央部とを比べた場合、中央部に比べて両端部におけるプラズマPの流量が大きくなってしまうと考えられる。その結果、ワーク10では、スリット28の両端部に対応する領域において、プラズマ処理が過度に進行し、均一な処理が困難になるおそれがある。
【0058】
これに対し、図4(b)に示すスリット28’では、長手方向の両端部においてその幅が相対的に狭くなっているため、両端部ではプラズマPの流量が制限される一方、長手方向の中央部においてはその幅が相対的に広くなっているため、プラズマPの流量がほとんど制限されない。その結果、スリット28’の全体において流量の均一化が図られることとなり、均一なプラズマ処理が可能になると考えられる。
【0059】
また、図4(c)に示す孔部29は、図4(a)に示すスリット28を代替するものであり、アース電極21の長手方向に沿って等間隔に設けられた複数の孔部で構成されている。これらの孔部29は、それぞれ平面視で円形をなしている。これらの孔部29の内径は、複数の孔部間で等しくてもよいが、図4(c)に示すように、アース電極21の端部に向かうほど相対的に小さくなり、中央部に向かうほど相対的に大きくなっているのが好ましい。このようにして各孔部29の内径を異ならせることにより、図4(b)に示すスリット28’と同様、各孔部29から噴出させるプラズマPの流量の均一化を図ることができる。これにより、均一なプラズマ処理が可能になる。
なお、各孔部29の平面視形状は、円形に限らず、多角形等の形状であってもよい。
【0060】
以上、本発明のプラズマ処理装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、プラズマ処理装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、または、任意の構成のものを付加することもできる。
例えば、冷却水Wは、ガス状の冷却ガスで代替することもできる。
また、スリット28は、図2に示すような長手方向に沿って連続的に形成された孔部であってもよいが、長手方向に沿って断続的に形成された孔部であってもよい。この場合、複数の孔部の配置は、等間隔であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0061】
1……プラズマ処理装置 10……ワーク 101……被処理面 2……電極ユニット 21……アース電極 211……電極本体 212……貫通孔 22……印加電極 221……電極棒 222……印加部 23、24……絶縁部 25、26……誘電体管 27……プラズマ生成空間 28、28’……スリット 29……孔部 3……通電手段 31……高周波電源 32……配線 4……処理ガス供給手段 41、43……配管 42……ガス供給部 44……インレット 5……冷却手段 51……流路 52……冷却水ポンプ 53……配管 54……インレット 9……プラズマ処理装置 90……ワーク 91……放電空間 92、93……電極 94……被処理物配置部 95……ホルダ本体 96……電極ユニット 97……通電手段 G……処理ガス W……冷却水 P……プラズマ D……異常放電 Ws……幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手形状の第1の電極と、
前記第1の電極と離間して、前記第1の電極の外周を覆うように設けられ、電気的に接地された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する通電手段と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成されたプラズマ生成空間に、プラズマ処理を行うための処理ガスを供給する処理ガス供給手段とを有し、
前記第2の電極の側面には、前記プラズマ生成空間の一部を外部に開放する孔部が、長手方向に沿って連続的または断続的に設けられており、
前記処理ガス供給手段により前記プラズマ生成空間に前記処理ガスを供給するとともに、前記通電手段により前記第1の電極に通電し、前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記孔部を介して前記プラズマをワークに向けて噴出させることにより、前記ワークにプラズマ処理を施すよう構成されたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の電極は、横断面形状の外周全体が丸みを帯びている請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の電極と前記第2の電極との離間距離は、長手方向全体で均一である請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の電極および前記第2の電極の横断面内において、前記第1の電極と前記第2の電極との離間距離は均一である請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1の電極は、電極本体と、その側面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部と、を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第2の電極は、前記第1の電極を挿通可能な貫通孔を備える本体と、この電極本体の前記プラズマ生成空間に臨む面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部と、を有する請求項1ないし5のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記貫通孔の横断面形状は、前記第1の電極の横断面形状との間で相似の関係にある請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記誘電体部は、誘電体材料で構成された管状体で構成されている請求項5ないし7のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第1の電極と前記第2の電極との離間距離は、0.5mm以上5mm以下である請求項1ないし8のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第2の電極の長手方向に直交する方向を幅方向とするとき、前記孔部の幅は、3mm以下である請求項1ないし9のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第2の電極の内部または表面に、冷媒を流すための流路が設けられている請求項1ないし10のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
長手形状の円柱体で構成された電極本体と、その側面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部とを備える第1の電極と、
長手形状の柱状体で構成され、前記第1の電極を隙間を介して挿通可能な円柱状の貫通孔を備える電気的に接地された電極本体と、前記貫通孔の内面を被覆するように設けられ、誘電体材料で構成された誘電体部とを備える第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する通電手段と、
前記貫通孔に前記第1の電極の電極本体が挿通されており、この状態で、前記第2の電極と前記第1の電極との隙間に形成されたプラズマ生成空間に対して、プラズマ処理を行うための処理ガスを供給する処理ガス供給手段とを有し、
前記第2の電極の側面には、前記プラズマ生成空間の一部を外部に開放する孔部が、長手方向に沿って連続的または断続的に設けられており、
さらに、前記第1の電極が備える前記電極本体、前記第1の電極が備える前記誘電体部、前記第2の電極が備える前記貫通孔、および前記第2の電極が備える前記誘電体部は、横断面において同心円状になるよう配置されており、
前記処理ガス供給手段により前記プラズマ生成空間に前記処理ガスを供給するとともに、前記通電手段により前記第1の電極に通電し、前記処理ガスを活性化させてプラズマを発生させ、前記孔部を介して前記発生させたプラズマをワークに向けて噴出させることにより、前記ワークにプラズマ処理を施すよう構成されたことを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−251162(P2010−251162A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100386(P2009−100386)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】