説明

プラント制御システム

【課題】配線診断を正確に行うことができるプラント制御システムを実現することを目的にする。
【解決手段】本発明は、プラントの制御を行うプラント制御システムに改良を加えたものである。本システムは、トリガ信号を出力する制御装置と、この制御装置のトリガ信号を入力し、トリガ信号の入力からスロット番号に対応した時間経過後、プラントとの配線診断を行う複数のモジュールとを備えたことを特徴とする装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントの制御を行うプラント制御システムに関し、配線診断を正確に行うことができるプラント制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラント制御システムは、プラントのフィールド機器(バルブ、流量計、温度計等)にI/Oモジュールを接続し、プラントの制御を行っている。近年、プラントからトリップ要求を入力して、プラントを安全に停止させるようになってきた。このように、トリップにより作動する入力スイッチの接点情報を、フィールド配線を介して、I/Oモジュールに入力しているが、フィールド配線異常により、プラントの停止操作をしないように、配線異常の診断を行っている。このような装置は、下記特許文献1,2等に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−209470号公報
【特許文献2】特開2006−209618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
I/Oモジュールは、1つのプラントに対して、例えば数千設けられ、各I/Oモジュールは、例えば、10msのクロックで、非同期で動作している。このため、CPUモジュールは、各I/Oモジュールの動作クロックより高速な周期、例えば1ms周期で、I/Oモジュールに対して入力または出力要求を行っている。
【0005】
そして、I/Oモジュールが非同期で配線異常の診断を行っているので、異なるI/Oモジュール間で診断タイミングが同期してしまうと、配線状態によりケーブル間の容量等で結合し、自モジュールあるいは他モジュールの配線診断に影響を及ぼしてしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、配線診断を正確に行うことができるプラント制御システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
プラントの制御を行うプラント制御システムにおいて、
トリガ信号を出力する制御装置と、
この制御装置のトリガ信号を入力し、トリガ信号の入力からスロット番号に対応した時間経過後、前記プラントとの配線診断を少なくとも行う複数のモジュールと
を備えたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、
前記モジュールは、
前記プラントとの配線診断を少なくとも行う配線診断回路と、
前記制御装置からのトリガ信号を入力し、スロット番号に対応した時間経過後、前記配線診断回路に診断指示を行う制御部と
を設けたことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明であって、
前記モジュールが複数搭載される複数のバックプレーンを設け、
前記制御装置は、バックプレーンごとにトリガ信号を出力することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明であって、
前記モジュールは、起動時にスロット番号に対応した時間経過後、前記プラントとの配線診断を少なくとも行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御装置がトリガ信号を出力し、このトリガ信号により、複数のモジュールが、スロット番号に対応した時間経過後、プラントとの配線診断を行うので、各モジュール間の診断タイミングを重ならないようにし、ケーブル間の容量等によるモジュール間の診断の干渉等を防ぎ、配線診断を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示した構成図である。
【0011】
図1において、CPUモジュール1は制御装置で、トリガ信号を出力する。複数のバックプレーン2は、CPUモジュール1に接続し、配線をハイレベル、ロウレベルに接続することにより、n(n:自然数)個のスロット番号が設定される。n個のI/Oモジュール3は、バックプレーン2に接続され、バックプレーン2のスロット番号の配線に接続されると共に、プラント4に接続される。そして、I/Oモジュール3は、CPUモジュール1のトリガ信号を、バックプレーン2を介して入力し、トリガ信号の入力から、バックプレーン2からのスロット番号に対応した時間経過後、プラント4との配線診断を行う。I/Oモジュール3は、x(x:自然数)チャンネルの入出力回路31、制御部32を有する。入出力回路31は、プラント4に接続し、入出力の少なくとも一方を行い、配線診断回路311を有する。配線診断回路311は、プラント3との配線診断を行う。制御部32は、入出力回路31を制御し、CPUモジュール1からのトリガ信号を入力し、バックプレーン2からのスロット番号に対応した時間経過後、配線診断回路311に診断指示を行う。
【0012】
このような装置の動作を以下に説明する。図2は図1に示す装置のタイミングチャートを示した図である。ここで、ノード番号とは、バックプレーン2に対応して付される番号で、n=8とし、(a)はノード番号”1”、(b)はノード番号”2”のバックプレーン2のタイミングチャートを示す。
【0013】
各I/Oモジュール3の制御部32は、バックプレーン2の配線からスロット番号を読み取る。そして、CPUモジュール1からバックプレーン2を介して指示を受け、各I/Oモジュール3の制御部32は、各チャンネルの入出力回路31を制御し、入出力回路31はプラント4に対して入出力の少なくとも一方を行う。
【0014】
そして、CPUモジュール1は、時刻t1のとき、ノード番号”1”のバックプレーン2に対して、トリガ信号を出力する。このトリガ信号がバックプレーン2を介して、各I/Oモジュール3に入力される。このトリガ信号を受けて、各I/Oモジュール3の制御部32は、スロット番号ごとに対応した時間T1〜T8経過後、各チャンネルの入出力回路31の配線診断回路311に対して、時間をずらして診断指示を行う。この指示により、各チャンネルの配線診断回路311は、プラント4との配線診断を行い、次のI/Oモジュール3の配線診断が始まる前に、すべてのチャンネルの配線診断回路311の診断を終了する。
【0015】
また、CPUモジュール1は、時刻t2(>t1+T8−T1)のとき、ノード番号”2”のバックプレーン2に対して、トリガ信号を出力する。このトリガ信号がバックプレーン2を介して、各I/Oモジュール3に入力される。このトリガ信号を受けて、各I/Oモジュール3の制御部32は、スロット番号ごとに対応した時間T1〜T8経過後、各チャンネルの入出力回路31の配線診断回路311に対して、時間をずらして、診断指示を行う。この指示により、各チャンネルの配線診断回路311は、プラント4との配線診断を行い、次のI/Oモジュール3の配線診断が始まる前に、すべてのチャンネルの配線診断回路311の診断を終了する。
【0016】
このような動作をバックプレーン21ごとに行い、再び、時刻t3のとき、CPUモジュール1が、ノード番号”1”のバックプレーン2に対して、トリガ信号を出力し、上記の動作を繰り返す。
【0017】
このように、CPUモジュール1がトリガ信号を出力し、このトリガ信号により、複数のI/Oモジュール3が、スロット番号に対応した時間経過後、プラント4との配線診断を行うので、各モジュール間の診断タイミングを重ならないようにし、ケーブル間の容量等によるモジュール間の診断の干渉等を防ぎ、配線診断を正確に行うことができる。
【0018】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、I/Oモジュール3は、バックプレーン2の配線により、制御部32がスロット番号を読み取る構成を示したが、I/Oモジュール3ごとにスロット番号を格納する記憶部を設け、制御部32が記憶部からスロット番号を読み取る構成にしてもよい。また、CPUモジュール1が、バックプレーン2を介して、各I/Oモジュール3の制御部32にスロット番号を設定する構成にしてもよい。
【0019】
また、I/Oモジュール3は、CPUモジュール1からのトリガ信号の入力によりプラント3の配線診断を行う構成を示したが、I/Oモジュール3は、パワーオンリセット時、つまり、起動時にスロット番号に対応した時間経過後、プラント4との配線診断を行う構成にしてもよい。
【0020】
また、CPUモジュール1を示したが、これに限定されるものではなく、I/Oモジュール3にトリガ信号を出力する制御装置であればよい。また、CPUモジュール1が、バックプレーン2に接続される構成でもよい。
【0021】
そして、配線診断回路311は、配線の短絡や断線だけでなく、接続されるフィールド機器の機器異常(オープン故障、短絡故障など)も配線異常として診断することはいうまでもない。
【符号の説明】
【0022】
1 CPUモジュール
2 バックプレーン
3 モジュール
311 配線診断回路
32 制御部
4 プラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの制御を行うプラント制御システムにおいて、
トリガ信号を出力する制御装置と、
この制御装置のトリガ信号を入力し、トリガ信号の入力からスロット番号に対応した時間経過後、前記プラントとの配線診断を少なくとも行う複数のモジュールと
を備えたことを特徴とするプラント制御システム。
【請求項2】
前記モジュールは、
前記プラントとの配線診断を少なくとも行う配線診断回路と、
前記制御装置からのトリガ信号を入力し、スロット番号に対応した時間経過後、前記配線診断回路に診断指示を行う制御部と
を設けたことを特徴とする請求項1記載のプラント制御システム。
【請求項3】
前記モジュールが複数搭載される複数のバックプレーンを設け、
前記制御装置は、バックプレーンごとにトリガ信号を出力することを特徴とする請求項1または2記載のプラント制御システム。
【請求項4】
前記モジュールは、起動時にスロット番号に対応した時間経過後、前記プラントとの配線診断を少なくとも行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラント制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−65254(P2011−65254A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213394(P2009−213394)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】