説明

プリフォーム用圧縮成形方法およびプリフォーム用圧縮成形装置

【課題】溶融樹脂塊の量の長い周期でのばらつきを低減し、これによりプリフォームの外形寸法のばらつきを小さくすることができるプリフォーム用圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】プリフォーム用圧縮成形方法は、押出機11により溶融樹脂材料を押出す工程と、押出機11により押出された溶融樹脂材料を切断機構30が切断して溶融樹脂塊12とする工程と、溶融樹脂塊12をプリフォーム成形機15の圧縮成形用金型14内に投入する工程とを備えている。次に、圧縮成形用金型14内に投入された溶融樹脂塊12は圧縮成形されてプリフォーム17として成形される。次に、測定装置19は、プリフォーム17の物理的特徴を測定し、この測定結果に基づいて押出機11からの溶融樹脂材料の押出量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形により容器等を製造する際に用いられる熱可塑性樹脂製のプリフォームを圧縮成形するプリフォーム用圧縮成形方法およびプリフォーム用圧縮成形装置に係り、とりわけ寸法精度の良いプリフォームを製造することができるプリフォーム用圧縮成形方法およびプリフォーム用圧縮成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリフォームの成形方法の一つとして圧縮成形方法が知られている。すなわち、押出機により熱可塑性樹脂の材料を可塑化し、溶融状態として押出機のノズルより押出す。次に、このようにして押出された熱可塑性樹脂(溶融樹脂材料)がタイミングよくカッターにより切り離され、溶融樹脂塊(ビレット)が生成される。このカッターで切り離された溶融樹脂塊は、圧縮成形用金型のメス型内に投下される。その後、メス型内の溶融樹脂塊は、圧縮成形金型のオス型により圧縮されて賦形され、更に冷却されてプリフォームとなる。その後、圧縮成形金型を開としてプリフォームが取り出される。
【0003】
上述した圧縮成形用金型のメス型とオス型との間に形成されるキャビティ空間の体積は一定である。これに対して、キャビティ空間に供給される溶融樹脂塊の量はばらつくことがある。このため、溶融樹脂塊の量が少ないと、ショートショットとなったり、成形されたプリフォームが所望の外形寸法より小さくなる。逆に溶融樹脂塊の量が大きければ、プリフォームにバリが発生したり、プリフォームが所望の外形寸法より大きくなる。
【0004】
このような問題を解決する方法として特許文献1に記載された技術が存在する。すなわち特許文献1は、圧縮成形用金型に供給される溶融樹脂塊の量の変動に応じてプリフォームの底部厚みが変動するような圧縮成形用金型を用いてプリフォームを成形するものである。
【0005】
このような特許文献1に記載された技術を用いた場合、プリフォームの底部の厚みが変動するため、ブロー成形性やブロー成形された容器の性能に悪影響を及ぼす。とりわけ加温販売飲料用の容器や炭酸飲料用の容器は、容器が変形しにくいように容器底部に大きな凹凸が設けられているため、元来ブロー成形しにくい形状からなっている。このため、このような容器のプリフォームの底部を厚くした場合、容器を成形する際のブロー成形性が悪化するという新たな問題が生じる。またプリフォームの底部の厚みが変動した場合、ブロー成形された後の容器底部の厚みも変動するため、最終的な容器の全高がばらつくという別の問題も生じる。
【0006】
ところで、溶融樹脂塊の量がばらつく現象には、長い周期でばらつくものと、短い周期でばらつくものとの2つが存在する。
【0007】
このうち長い周期でばらつくものとしては、次のようなものがある。すなわち熱可塑性樹脂材料の製造ロット間のばらつきによるもの、熱可塑性樹脂の吸湿量の相違によるもの、あるいは押出機のヒータ温度の変動によるものなどである。このような要因により溶融樹脂材料の粘度や比重が変動する。このため、仮に押出機のスクリュー回転数が一定であっても、溶融樹脂材料の粘度が低くなれば、押し出される溶融樹脂材料の量(ここでいう量とは重量のことである)が増加し、また溶融樹脂材料の温度が低くなると溶融樹脂材料の比重が大きくなって押し出される溶融樹脂材料の量が増加する。このようなばらつきの周期は、数十分から数時間と比較的長い。このようなばらつきは、上述したような外乱が原因であることが多いため、制御しにくく、このため長い周期のばらつきを低減することはむずかしい。
【0008】
これに対して、短い周期のばらつきとしては、次のようなものがある。すなわち押出機のスクリュー回転数のばらつきによるもの、押出された溶融樹脂材料をカッターで切断する際に生じるばらつきによるものなどである。これらのばらつきは溶融樹脂塊1個毎に生じ、またばらつきの周期は短い。このようなばらつきは、押出機やプリフォーム成形機の機械的精度を向上させることにより低減させることが可能である。したがって、短い周期のばらつきに起因するプリフォームの寸法変動は、実用上問題にならないくらい小さくすることができる。
【特許文献1】特開2003−159739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、溶融樹脂塊の量の長い周期でのばらつきを低減し、これによりプリフォームの外形寸法のばらつきを小さくすることができるプリフォーム用圧縮成形方法およびプリフォーム用圧縮成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、溶融樹脂材料を押出す工程と、押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする工程と、溶融樹脂塊をプリフォーム成形機の圧縮成形用金型内に投入する工程と、圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形する工程と、を備え、プリフォームの物理的特徴を測定し、この測定結果に基づいて溶融樹脂材料の押出量を調整することを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法である。
【0011】
本発明は、プリフォームの物理的特徴は、プリフォームの外形寸法からなることを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法である。
【0012】
本発明は、プリフォームの物理的特徴は、プリフォームの重量からなることを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法である。
【0013】
本発明は、溶融樹脂材料を押出す工程と、押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする工程と、溶融樹脂塊をプリフォーム成形機の圧縮成形用金型内に投入する工程と、圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形する工程と、を備え、プリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴を測定し、この測定結果に基づいて溶融樹脂材料の押出量を調整することを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法である。
【0014】
本発明は、プリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴は、プリフォームを成形する際の成形圧力であることを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法である。
【0015】
本発明は、溶融樹脂材料を押出す押出機と、押出機で押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする切断機構と、溶融樹脂塊が投入される圧縮成形用金型を有し、圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形するプリフォーム成形機と、プリフォーム成形機からのプリフォームを排出する排出路と、プリフォームの物理的特徴を測定する測定装置と、測定装置に接続され、測定装置からの測定結果に基づいて押出機における溶融樹脂材料の押出量を調整する制御装置と、を備えたことを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置である。
【0016】
本発明は、測定装置は、排出路に設けられ、プリフォームの外形寸法を測定する寸法測定機からなることを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置である。
【0017】
本発明は、測定装置は、排出路に設けられ、プリフォームの重量を測定する重量測定機からなることを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置である。
【0018】
本発明は、排出路に、排出路を通過する複数のプリフォームのうちの一部が迂回する測定路が連結され、測定装置は、この測定路に設けられていることを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置である。
【0019】
本発明は、溶融樹脂材料を押出す押出機と、押出機で押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする切断機構と、溶融樹脂塊が投入される圧縮成形用金型を有し、圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形するプリフォーム成形機と、プリフォーム成形機からのプリフォームを排出する排出路と、を備え、プリフォーム成形機の圧縮成形用金型にプリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴を測定する測定装置を設け、測定装置に、測定装置からの測定結果に基づいて押出機における溶融樹脂材料の押出量を調整する制御装置を接続したことを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、溶融樹脂塊の量の長い周期でのばらつきを低減し、これによりプリフォームの外形寸法のばらつきを小さくすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂の製造ロット、熱可塑性樹脂の吸湿量、あるいは押出機のヒータ温度の変動などに起因する溶融樹脂塊の量のばらつきを小さくすることができる。したがって、圧縮成形用金型に溶融樹脂塊の量の変動を吸収する機能を設けなくても、寸法精度の良いプリフォームを得ることができる。
【0021】
また、本発明によれば、プリフォーム成形機の圧縮成形用金型に設けられた測定装置によりプリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴を測定するので、より多くのプリフォームを高速で排出路に流すことができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、排出路に、排出路を通過する複数のプリフォームのうちの一部が迂回する測定路が連結され、測定装置は、この測定路に設けられているので、測定装置によりプリフォームを測定する間隔を長くすることができる。したがって、測定装置が必ずしも高速で測定しなくてもよいため、測定機器や測定方法の選択の幅を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の第1の実施の形態を示す平面図であり、図2は、圧縮成形用金型を示す断面図である。また図3は、プリフォームを示す断面図であり、図4は、制御装置の制御テーブルを示す図である。また図5は、本発明の第1の実施の形態の変形例を示す平面図である。
【0024】
まず、図1乃至図3により、本実施の形態によるプリフォーム用圧縮成形装置の概略について説明する。
図1に示すように、プリフォーム用圧縮成形装置10は、溶融樹脂材料を押出す押出機11と、押出機11で押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊12とする切断機構30と、図1の矢印方向に回転しながらプリフォーム17を成形するプリフォーム成形機(成形ロータリー)15とを備えている。このうちプリフォーム成形機15は、樹脂供給ロータリー13を介して溶融樹脂塊12が投入される複数の圧縮成形用金型14を有しており、各圧縮成形用金型14内に投入された溶融樹脂塊12を圧縮成形してプリフォーム17を成形するものである。
【0025】
すなわち圧縮成形用金型14は、図2に示すように、メス型21と、メス型21に対応して設けられ、メス型21との間で溶融樹脂塊12を圧縮成形するオス型22とを有している。また、メス型21上に、プリフォーム17の口部17aを成形する摺動可能な2つのスライド型23、23がオス型22を囲むように設けられている。
【0026】
またプリフォーム成形機15の後工程側に、排出ロータリー16と、排出路18とが順次設けられている。このうち排出路18は、排出ロータリー16を介してプリフォーム成形機15からのプリフォーム17を排出する。
【0027】
また図1に示すように、排出路18の途中に、プリフォーム17の物理的特徴を測定する測定装置19が設けられている。この測定装置19に、測定装置19からのプリフォーム17の物理的特徴に関する測定結果に基づいて、押出機11における溶融樹脂材料の押出量を調整する制御装置20が接続されている。
【0028】
この測定装置19は、例えばプリフォーム17の外形寸法を測定する寸法測定機からなっている。すなわち、例えばプリフォーム17の外形寸法を高速かつ精密に測定できる装置である、レーザ光を用いる外径測定機などが用いられる。この場合、上述したプリフォーム17の物理的特徴は、プリフォーム17の外径寸法となる。
【0029】
ところで、プリフォーム17を測定する箇所は、測定装置19が測定しやすく、かつ溶融樹脂塊12の量が変動した場合にプリフォーム17の外形寸法が敏感に変化する箇所が望ましい。このようなプリフォーム17の測定箇所は、プリフォーム17の外径に限らず、プリフォーム17の全長やその他の箇所、または複数の箇所を測定しても良い(図3参照)。
【0030】
他方、測定装置19がプリフォーム17の重量を測定する重量測定機からなっていても良い。この場合、上述したプリフォーム17の物理的特徴は、プリフォーム17の重量となる。
【0031】
またプリフォーム17を構成する樹脂(溶融樹脂材料)としては、ブロー成形可能な様々な種類の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、その他の合成樹脂を用いることができる。
【0032】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず、図1に示すプリフォーム用圧縮成形装置10において、ペレット状の熱可塑性樹脂が押出機11に投入されて溶融され、これが押出機11により溶融樹脂材料とされて押出される。次に、切断機構30により、この溶融樹脂材料が切断されて溶融樹脂塊12が生成される。その後、この溶融樹脂塊12は、回転する樹脂供給ロータリー13によりプリフォーム成形機15の圧縮成形用金型14まで搬送され、圧縮成形用金型14内に投入される。
【0033】
この際、圧縮成形用金型14は開となっており(すなわちメス型21と、オス型22と、スライド型23とが互いに分離しており)、メス型21とオス型22との間に配置された樹脂供給ロータリー13から、メス型21内に溶融樹脂塊12が投入される。
【0034】
次に、プリフォーム成形機15により圧縮成形用金型14が回転され、また圧縮成形用金型14が閉とされる。この際圧縮成形用金型14内に投入された溶融樹脂塊12が圧縮成形されてプリフォーム17が成形される。すなわち、圧縮成形用金型14のメス型21内に入れられた溶融樹脂塊12は、圧縮成形用金型14のオス型22により圧縮され、メス型21、オス型22、およびスライド型23により賦形される。その後、このようにして賦形された溶融樹脂塊12は、冷却されてプリフォーム17として成形される。
【0035】
その後、圧縮成形用金型14が開となり、プリフォーム17は排出ロータリー16の近傍で圧縮成形用金型14から離型される。このようにして成形されたプリフォーム17は、回転する排出ロータリー16により排出路18へ搬送される。
【0036】
次に測定装置19が、例えばプリフォーム17の外径からなるプリフォーム17の物理的特徴を測定し、この測定結果に基づいて押出機11の溶融樹脂材料の押出量を調整する。この場合、測定装置19により測定されたプリフォーム17の物理的特徴(測定結果)が制御装置20に送信される。更に制御装置20は、この測定結果と図4に示すような制御テーブルとに基づき、押出機11のスクリュー回転数を制御する。
【0037】
すなわち制御装置20は、図4に示す制御テーブルに基づいて、測定装置19により測定されたプリフォーム17の外径(物理的特徴)が所定の基準値Sより大きくなった場合、押出機11のスクリュー回転数を遅くして溶融樹脂材料の押出量を減らすように設定されている。これにより、圧縮成形用金型14内へ投入される溶融樹脂塊12の量を減らすことができ、このようにしてプリフォーム17の外径を基準値Sに近づけることができる。他方、測定装置19により測定されたプリフォーム17の外径が所定の基準値Sより小さくなった場合、押出機11のスクリュー回転数を早くし、これによりプリフォーム17の外径を基準値Sに近づける。なお、このような図4に示す制御テーブルは、実験的に求めることができる。
【0038】
なお、制御装置20により押出機11を制御する際、必ずしもプリフォーム17を測定して得たデータ(物理的特徴)1個ずつに基づいてこのような制御を行なう必要はない。例えば10個のデータ(物理的特徴)を平均し、その平均値に基づいて押出機11を制御してもよい。これは、とりわけ短い周期でのばらつきの影響が大きい場合に有効である。
【0039】
また制御装置20が押出機11を制御する場合、例えば押出機11にギヤポンプ等の定量押出装置を設け、この制御装置20が定量押出装置を制御することにより溶融樹脂塊12の量のばらつきを低減しても良い。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、溶融樹脂塊12の量の長い周期でのばらつきを低減し、これによりプリフォーム17の外形寸法のばらつきを小さくすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂の製造ロット、熱可塑性樹脂の吸湿量、あるいは押出機11のヒータ温度の変動などに起因する溶融樹脂塊12の量のばらつきを小さくすることができる。したがって、圧縮成形用金型14に溶融樹脂塊12の量の変動を吸収する機能を設けなくても、寸法精度の良いプリフォーム17を得ることができる。
【0041】
変形例
次に第1の実施の形態におけるプリフォーム用圧縮成形装置10の変形例を図5により説明する。図5に示す変形例は、測定装置19が測定路25上に設けられている点が異なるものであり、他は図1乃至図4に示すプリフォーム用圧縮成形装置と略同一である。
【0042】
すなわち図5において、排出路18に、排出路18を通過する複数のプリフォーム17のうちの一部が迂回する測定路25が連結され、測定装置19は、この測定路25に設けられている。また、測定路25の入口部分に開閉扉24が設けられており、この開閉扉24を開とすることによりプリフォーム17を排出路18から測定路25に導入することができる。
【0043】
この場合、通常、大部分のプリフォーム17は測定路25を通ることはないが、開閉扉24を作動させることにより、ある一定の間隔を空けて(例えば100個につき1個の割合で)プリフォーム17が測定路25を通るようになっている。測定装置19は測定路25を通るプリフォーム17のみを測定する。
【0044】
この場合、プリフォーム17を測定する間隔が長くなるため、測定装置19は必ずしも高速で測定を行なう性能を有する必要がない。したがって、測定装置19の選定や測定方法の選択の幅が広がる。例えば、重量測定機からなる測定装置19によりプリフォーム17の重量を測定することも更に容易となる。
【0045】
なお、測定路25のうち開閉扉24から測定装置19までの間の距離を十分長くして、圧縮成形されたプリフォーム17が測定装置19に達するまでの間に、プリフォーム17の温度が室温近くになるようにしてもよい。これにより、プリフォーム17の外形寸法等を更に安定して測定することができる。
【0046】
このように、本変形例によれば、排出路18に、排出路18を通過する複数のプリフォーム17のうちの一部が迂回する測定路25が連結され、測定装置19は、この測定路25に設けられているので、測定装置19によりプリフォーム17を測定する間隔を長くすることができる。したがって、測定装置19が必ずしも高速で測定しなくてもよいため、測定装置19の選定や測定装置19による測定方法の選択の幅を広げることができる。
【0047】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について図6乃至図8を参照して説明する。
ここで、図6は、本発明の第2の実施の形態を示す平面図であり、図7は、圧縮成形用金型のオス型に測定装置が取り付けられている状態を示す断面図である。また図8は、圧縮成形用金型のメス型に測定装置が取り付けられている状態を示す断面図である。図6乃至図8に示す第2の実施の形態は、測定装置19がプリフォーム成形機15の圧縮成形用金型14に設けられている点が異なるものであり、他の構成や作用効果は上述した第1の実施の形態と略同一である。図6乃至図8において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
図6に示すように、プリフォーム成形機15の圧縮成形用金型14に、プリフォーム17を成形する際の溶融樹脂塊12の物理的特徴を測定する測定装置19が設けられている。測定装置19は、例えば圧電式センサーや歪みゲージ等からなる圧力センサーからなっている。この場合、プリフォーム17を成形する際の溶融樹脂塊12の物理的特徴とは、圧縮成形用金型14内でプリフォーム17を成形する際の成形圧力である。なお、上述したように、プリフォーム成形機15は複数の圧縮成形用金型14を有しているが、測定装置19は、これら全ての圧縮成形用金型14に設けられている必要はない。
【0049】
また、測定装置(圧力センサー)19に、測定装置19からの測定結果に基づいて押出機11における溶融樹脂材料の押出量を調整する制御装置20が接続されている。
【0050】
また、測定装置19は、図7に示すように、圧縮成形用金型14のオス型22とこのオス型22を上方から押圧する押圧ロッド27との間に設けられている。
【0051】
一方、図8に示すように、測定装置19が圧縮成形用金型14のメス型21下部に設けられていても良い。この場合、測定装置19は、高温の溶融樹脂塊12に接するため、射出成形用の内圧センサーからなるのが好ましい。
【0052】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について簡単に述べる。
プリフォーム成形機15の圧縮成形用金型14内に投入された溶融樹脂塊12を圧縮成形してプリフォーム17を成形する工程において、測定装置19がプリフォーム17を成形する際の溶融樹脂塊12の物理的特徴(成形圧力)を測定する。次に、この測定結果に基づいて、測定装置19からの信号が制御装置20に送信される。次に、制御装置20は、この測定結果に基づいて押出機11の溶融樹脂材料の押出量を調整する。
【0053】
すなわち、圧縮成形用金型14内に供給された溶融樹脂塊12の量が多ければ、測定装置19が測定する成形圧力が大きくなる。逆に、溶融樹脂塊12の量が少なければ、測定装置19が測定する成形圧力は小さくなる。したがって、制御装置20は、成形圧力が大きい場合に押出機11のスクリュー回転数を遅くし、成形圧力が小さい場合に押出機11のスクリュー回転数を早くするような制御を行なう。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、溶融樹脂塊12の量の長い周期でのばらつきを低減し、これによりプリフォーム17の外形寸法のばらつきを小さくすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂の製造ロット、熱可塑性樹脂の吸湿量、あるいは押出機11のヒータ温度の変動などに起因する溶融樹脂塊12の量のばらつきを小さくすることができる。したがって、圧縮成形用金型14に溶融樹脂塊12の量の変動を吸収する機能を設けなくても、寸法精度の良いプリフォーム17を得ることができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、プリフォーム成形機15の圧縮成形用金型14に設けられた測定装置19によりプリフォーム17を成形する際の溶融樹脂塊12の物理的特徴を測定するので、排出路18内に測定装置19を設ける必要がなく、より多くのプリフォーム17を高速で排出路18に流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す平面図。
【図2】圧縮成形用金型を示す断面図。
【図3】プリフォームを示す断面図。
【図4】制御装置の制御テーブルを示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の変形例を示す平面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す平面図。
【図7】圧縮成形用金型のオス型に測定装置が取り付けられている状態を示す断面図。
【図8】圧縮成形用金型のメス型に測定装置が取り付けられている状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0057】
10 プリフォーム用圧縮成形装置
11 押出機
12 溶融樹脂塊
13 樹脂供給ロータリー
14 圧縮成形用金型
15 プリフォーム成形機
16 排出ロータリー
17 プリフォーム
18 排出路
19 測定装置
20 制御装置
21 メス型
22 オス型
23 スライド型
24 開閉扉
25 測定路
27 押圧ロッド
30 切断機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂材料を押出す工程と、
押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする工程と、
溶融樹脂塊をプリフォーム成形機の圧縮成形用金型内に投入する工程と、
圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形する工程と、を備え、
プリフォームの物理的特徴を測定し、この測定結果に基づいて溶融樹脂材料の押出量を調整することを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法。
【請求項2】
プリフォームの物理的特徴は、プリフォームの外形寸法からなることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム用圧縮成形方法。
【請求項3】
プリフォームの物理的特徴は、プリフォームの重量からなることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム用圧縮成形方法。
【請求項4】
溶融樹脂材料を押出す工程と、
押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする工程と、
溶融樹脂塊をプリフォーム成形機の圧縮成形用金型内に投入する工程と、
圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形する工程と、を備え、
プリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴を測定し、この測定結果に基づいて溶融樹脂材料の押出量を調整することを特徴とするプリフォーム用圧縮成形方法。
【請求項5】
プリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴は、プリフォームを成形する際の成形圧力であることを特徴とする請求項4に記載のプリフォーム用圧縮成形方法。
【請求項6】
溶融樹脂材料を押出す押出機と、
押出機で押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする切断機構と、
溶融樹脂塊が投入される圧縮成形用金型を有し、圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形するプリフォーム成形機と、
プリフォーム成形機からのプリフォームを排出する排出路と、
プリフォームの物理的特徴を測定する測定装置と、
測定装置に接続され、測定装置からの測定結果に基づいて押出機における溶融樹脂材料の押出量を調整する制御装置と、
を備えたことを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置。
【請求項7】
測定装置は、排出路に設けられ、プリフォームの外形寸法を測定する寸法測定機からなることを特徴とする請求項6に記載のプリフォーム用圧縮成形装置。
【請求項8】
測定装置は、排出路に設けられ、プリフォームの重量を測定する重量測定機からなることを特徴とする請求項6に記載のプリフォーム用圧縮成形装置。
【請求項9】
排出路に、排出路を通過する複数のプリフォームのうちの一部が迂回する測定路が連結され、測定装置は、この測定路に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のプリフォーム用圧縮成形装置。
【請求項10】
溶融樹脂材料を押出す押出機と、
押出機で押出された溶融樹脂材料を切断して溶融樹脂塊とする切断機構と、
溶融樹脂塊が投入される圧縮成形用金型を有し、圧縮成形用金型内に投入された溶融樹脂塊を圧縮成形してプリフォームを成形するプリフォーム成形機と、
プリフォーム成形機からのプリフォームを排出する排出路と、を備え、
プリフォーム成形機の圧縮成形用金型にプリフォームを成形する際の溶融樹脂塊の物理的特徴を測定する測定装置を設け、
測定装置に、測定装置からの測定結果に基づいて押出機における溶融樹脂材料の押出量を調整する制御装置を接続したことを特徴とするプリフォーム用圧縮成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−126636(P2008−126636A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317404(P2006−317404)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】