説明

プリプレグの製造方法、プリプレグの製造装置、プリプレグ及び積層板

【課題】 優れた含浸性を高い均一性で発現することができるプリプレグの製造方法と、この製造方法を実施することができるプリプレグの製造装置、並びに、上記製造方法により得られたプリプレグと、これを成形してなる積層板を提供する。
【解決手段】 繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置であって、
(a)液状樹脂を貯留する貯留手段と、
(b)繊維基材に液状樹脂が含浸されるように繊維基材を搬送する搬送手段と、
(c)繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引する吸引手段と、
(d)液状樹脂を吸引する方向に繊維基材を接触支持する接触支持手段と、
を有することを特徴とする、プリプレグの製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグの製造方法、プリプレグの製造装置、プリプレグ及び積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板用途の積層板や多層プリント配線板の製造に用いられるプリプレグは、一般に、長尺の繊維基材に液状樹脂を含浸させた後、これを加熱乾燥・半硬化することにより製造される。
積層板は通常、プリプレグの1枚あるいは多数枚を重ね、さらにこの両面に銅箔を重ねたものを加熱加圧成形されることにより製造される。また、多層プリント配線板は、上記積層板の表裏に回路加工を施したものを内層回路基板として用い、これにプリプレグを重ね合わせて加熱加圧成形されることにより製造される。
上記の方法で得られた積層板や多層プリント配線板の絶縁層部分(プリプレグが加熱加圧されて硬化成形された部分)は、絶縁信頼性を確保するため、成形性や厚み精度が良好であることのほか、回路加工時や部品実装時の精度と作業性のため、反り特性や寸法安定性等の機械的特性が良好であることが求められる。
【0003】
積層板や多層プリント配線板を成形する場合、その成形性を向上させる手段としては、高い圧力で成形したり、プリプレグに用いる樹脂の流動性を高めたりする方法が挙げられる。
しかし、これらの方法では成形時にプリプレグに用いる基材に内部歪を生じやすく、機械的特性に影響を与えることがある。また、樹脂の流動が過剰であると、厚み精度が低下することがある。
このため、プリプレグとして含浸性に優れたものを用いるのが、有効な手段の1つであると考えられている。
【0004】
繊維基材に液状樹脂を含浸させる方法としては、繊維基材を液状樹脂中に浸漬する方法、キスロールを用いる方法などがある(例えば、特許文献1参照。)。
繊維基材を液状樹脂中に浸漬する方法は、液状樹脂中で繊維基材内部の空気と液状樹脂とを置換するものであり、キスロールを用いる方法は、繊維基材の片側から液状樹脂を押し込むことで、繊維基材内部の空気と液状樹脂との置換を促進させる方法である。
このほか、含浸性を向上させる方法として、液状樹脂の流動が可能な多数の孔部を有した含浸ロールを用いる方法がある。これは、液状樹脂中に含浸ロールを浸漬し、含浸ロール表面に沿って繊維基材を移送する際に、吸引手段等により液状樹脂を孔部で流動させ、繊維基材内部に空気が残存するのを抑制するというものである(例えば、特許文献2、3参照。)。
【特許文献1】特開昭60−165213号公報
【特許文献2】特開2003−159706号公報
【特許文献3】特開2003−025328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、繊維基材を液状樹脂中に浸漬する上記方法では、簡易な装置でプリプレグを製造することができるが、繊維基材内部の空気が閉じ込められて残存するため、未含浸部分を有したプリプレグとなりやすい。
また、キスロールを用いる上記方法は、通常、繊維基材とキスロールとの接触距離が短いため、液状樹脂を繊維基材に含浸できる時間が短い。このため、これらの方法を組み合わせても、含浸性が充分に向上しないという問題があった。
また、含浸ロールを用いる方法では、含浸ロールに設けられた孔部においてのみ液状樹脂が流動するため、液状樹脂の流動が局在化し、繊維基材全体において含浸性の向上効果を充分に発現させることが難しかった。
本発明は、このような背景を鑑み、優れた含浸性を高い均一性で発現することができるプリプレグの製造方法と、この製造方法を実施することができるプリプレグの製造装置、並びに、上記製造方法により得られたプリプレグと、これを成形してなる積層板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、以下の本発明(1)〜(10)により達成される。
(1)繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法であって、
液状樹脂の液面上に接触させながら、又は、液状樹脂中に浸漬させながら、繊維基材を搬送して、
該搬送中に、繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引するとともに、該吸引する方向に繊維基材を接触支持する工程、を有することを特徴とする、プリプレグの製造方法。
(2)上記工程において、液状樹脂を吸引する際に、液状樹脂の流れを整流する、上記(1)に記載のプリプレグの製造方法。
(3)上記工程において、液状樹脂の液面上に接触させながら、繊維基材を実質的に水平方向に搬送する、上記(1)又は(2)に記載のプリプレグの製造方法。
(4)上記工程において、液状樹脂中に浸漬させながら、繊維基材を実質的に水平方向に搬送する、上記(1)又は(2)に記載のプリプレグの製造方法。
(5)上記工程において、繊維基材がガラス織布である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
(6)繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法であって、
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の工程を少なくとも一つ含む含浸工程を有するプリプレグの製造方法。
(7)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の製造方法により得られるものであることを特徴とするプリプレグ。
(8)上記(7)に記載のプリプレグを加熱加圧成形してなることを特徴とする積層板。
(9)繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置であって、
(a)液状樹脂を貯留する貯留手段と、
(b)繊維基材に液状樹脂が含浸されるように繊維基材を搬送する搬送手段と、
(c)繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引する吸引手段と、
(d)液状樹脂を吸引する方向に繊維基材を接触支持する接触支持手段と、
を有することを特徴とする、プリプレグの製造装置。
(10)さらに、
(e)吸引手段と、繊維基材との間に、液状樹脂の流れを整流する整流手段と、
を有する、上記(9)に記載のプリプレグの製造装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプリプレグの製造方法によれば、優れた含浸性を高い均一性で発現することができるプリプレグを製造することができる。また、本発明のプリプレグの製造装置によれば、上記製造方法を簡易に実施することができる。そして、本発明により得られたプリプレグは含浸性に優れ、これを用いた積層板は成形性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明のプリプレグの製造装置と、本発明のプリプレグの製造方法について説明する。
【0009】
本発明のプリプレグの製造装置(以下、単に「製造装置」ということがある)は、
繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置であって、
(a)液状樹脂を貯留する貯留手段と、
(b)繊維基材に液状樹脂が含浸されるように繊維基材を搬送する搬送手段と、
(c)繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引する吸引手段と、
(d)液状樹脂を吸引する方向に繊維基材を接触支持する接触支持手段と、
を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のプリプレグの製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、
繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法であって、
液状樹脂の液面上に接触させながら、又は、液状樹脂中に浸漬させながら、繊維基材を搬送して、
該搬送中に、繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引するとともに、上記吸引する方向に上記繊維基材を接触支持する工程(以下、単に「本発明の工程」ということがある)、を有することを特徴とする。
そして、本発明の製造方法は、上記本発明の製造装置により実施することができる。
【0011】
図1(1)に、本発明の製造装置に係る第1の実施形態例(以下、単に「実施形態[1]」ということがある)を示す。
実施形態[1]は、繊維基材1aの搬送手段としての搬送ロール2と、液状樹脂5の貯留手段4と、含浸装置3とから構成される。
含浸装置3は、繊維基材1aを接触支持する接触支持手段6と、液状樹脂5を吸引する吸引手段9とを有しており、さらに、繊維基材1aと吸引手段9との間に整流手段7を備えている。
繊維基材1aは、例えばシート状の繊維基材の長尺品を巻物形態としたものなどを用い、これより連続的に巻き出すことにより供給することができる。
液状樹脂5は、貯留手段4中に貯留されている。
二つの搬送ロール2、2は、繊維基材1aを含浸装置3に沿わせて、液状樹脂5の液面上に接触させながら搬送するように構成されている。
【0012】
図1(1)に示した形態においては、含浸装置3の一単位を構成するユニット10が、2つの搬送ロール2、2間に合計5つ設置されているが、この形態に限定されるものではなく、繊維基材や液状樹脂の性状、繊維基材の搬送速度、吸引手段により付与される負圧の大きさなどにより、適宜このユニット数を設定することができる。
なおここで、ユニット10は、2つの接触支持手段6と、1つの吸引手段9と、1つの整流手段7とから構成されているものである。
【0013】
図1(2)に、上記ユニット10の拡大図を示して説明する。
繊維基材1aは、上面側を接触支持手段6により接触支持されながら液状樹脂5の液面上で搬送される。
液状樹脂5は、図示されない真空ポンプ等の吸引手段9により、繊維基材1aの上面側から、その厚み方向に吸引され、液状樹脂の流動8が発生する。これにより、液状樹脂5は繊維基材1aの上面側にしみ出すように移動する。
整流手段7は、繊維基材1aと、吸引手段9との間に設けられている。整流手段7は、空気が通過可能な整流孔7aを有している。
【0014】
実施形態[1]において用いられる液状樹脂5としては特に限定されないが、通常、積層板の製造に使用されるものであれば特に限定されることなく使用することができる。
液状樹脂5に用いることができる樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
さらに、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、無機充填材、有機充填材などのほか、カップリング剤などの添加剤を適宜配合することができる。
液状樹脂5としては、上記樹脂成分等の固形分を有機溶剤等により溶解及び/又は分散させ、液状形態としたものを好適に用いることができる。
【0015】
上記液状樹脂5を貯留する貯留手段4としては、所定量の液状樹脂5を貯留しておくことができ、本発明の製造装置を構成する手段を収納できる大きさを有するものであればよく、例えば、広い開口部を有するバット形状のものを好適に用いることができる。
【0016】
実施形態[1]において用いられる繊維基材1aの種類としては特に限定されないが、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維布、ガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維布、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維布等が挙げられる。
これらの中でも、ガラス繊維布であるガラス織布を用いると、高い成形性を要求される積層板に好適なプリプレグとすることができる。
【0017】
図1(1)には、繊維基材1aを搬送する搬送手段として、搬送ロール2を用いた構成を示したが、これに限定されるものではなく、同様の機能を有するものであれば適用することができる。
上記搬送ロール2としては、駆動ロールまたはガイドロールを用いることができる。
ここで、駆動ロールは、それ自身が駆動力を有して繊維基材1aを搬送するとともに、繊維基材1aを所定位置に導く機能を有するものである。また、ガイドロールは、それ自身が駆動力を有さずに繊維基材1aを所定位置に導く機能のみを有するものである。ガイドロールを用いる場合は、他の駆動手段を適用することができる。
【0018】
吸引手段9は、繊維基材1aの上面側から繊維基材1aの厚み方向に液状樹脂5を吸引するものである。具体的には、繊維基材1aの下面側にある液状樹脂5を、繊維基材1aの上面側に流動させるものである。これにより、繊維基材1aに大きな応力を作用させることなく、含浸性を向上させることができる。
ここで、液状樹脂5を吸引する方向が、繊維基材1aの面方向(厚み方向と直交方向)になると、液状樹脂5の流動に対する繊維基材1aの抵抗が相対的に大きくなり、繊維基材1aに作用する応力が増大するため、液状樹脂5の流動速度によっては繊維基材1aを構成する繊維束に曲がりを生じたり、繊維基材1aを連続的に安定して搬送することが難しくなったりすることがある。
【0019】
吸引手段9としては、例えば、真空ポンプを用いて直接吸引する構成、真空ポンプ等により減圧された減圧タンクを介在させて、間接的に吸引する構成などを好適に用いることができる。
この吸引手段9により作用させる負圧は、液状樹脂5の粘度、繊維基材1aの坪量(単位面積当たりの重量)などにより異なるが、一例を挙げると、大気圧よりも100〜500Torr減圧させた圧力とすることができる。これにより、繊維基材1aに過剰な応力を作用させることなく、含浸性向上効果を高めることができる。
【0020】
接触支持手段6は、液状樹脂5を吸引する方向に繊維基材1aを接触支持するものであり、その構成としては特に限定されないが、例えば、正方形、長方形などの四角形、円、楕円などの円形の断面形状を有し、繊維基材1aの幅方向寸法(ここで幅方向とは、繊維基材1aの搬送方向と直交の方向を指す)と同等以上の寸法を有する長い棒形状の接触支持手段6を用いた構成を好適に適用することができる。
上記接触支持手段6を用いて繊維基材1aを接触支持する方法としては、例えば、断面形状が四角形である接触支持手段6を繊維基材1aの搬送方向に対して水平に設置して、繊維基材1aと接触支持手段6とが面で接触するようにしたり、断面形状が円形である接触支持手段6を設置して、繊維基材1aと接触支持手段6とがゆるやかな曲面で接触するようにしたりすることが好ましい。
これにより、繊維基材1aと接触支持手段6とが接触する部分に過剰な応力が作用せず、繊維基材1aを構成する繊維束に曲がりが発生するのを防止することができる。
【0021】
実施形態[1]においては、吸引手段9と、繊維基材1aとの間に、整流手段7が設けられている。
整流手段7は、液状樹脂5の流れを整流するものである。具体的には、繊維基材1aの上面側に存在する、液状樹脂5を吸引する空気の流れを面方向で整えることにより、繊維基材1aの下面側から上面側への液状樹脂5の流れを整流し、繊維基材1aの面方向における含浸性向上効果の均一性を高めることができる。また、繊維基材1aを安定して搬送することもできる。
【0022】
この整流手段7としては、整流孔7aを有したプレート形状のものを好適に用いることができる。
整流孔7aの形状としては特に限定されないが、例えば、スリット形状、円形状(円、楕円を含む)のものを好適に用いることができる。
この場合、整流孔7sの部分の面積比率としては、整流板を設けない場合に液状樹脂5が流動可能な全面積に対して、例えば、20〜70面積%とすることができる。
【0023】
整流手段7を設ける場合は、吸引手段9と繊維基材1aとの間に、繊維基材1aと接触しない程度に離間して設けられていることが好ましい。これにより、整流孔7aを通過する空気や液状樹脂5が一時的に局在化する影響を実質的に受けることなく、上記作用を効果的に発現させることができる。
【0024】
実施形態[1]に係る本発明の製造方法においては、液状樹脂5の液面上で繊維基材1aを接触させながら搬送する。これにより、液状樹脂5は繊維基材1aと接触している側から含浸することができる。そして、液状樹脂5と接触していない側の繊維基材1aの上面側は大気解放となっているので、吸引手段9により繊維基材1aの上面側から繊維基材1aの厚み方向に液状樹脂5を吸引することにより、繊維基材1a中に残存する空気と液状樹脂5との置換を促進して、含浸性向上効果を高めることができる。
実施形態[1]に係る製造方法おいては、吸引された液状樹脂5は、繊維基材1aに含浸することができる程度の位置、すなわち、繊維基材1aの上面よりも少し上昇した程度の位置となるように、吸引手段による負圧を調整することが好ましい。これにより、上記作用を効果的に発現させることができる。
【0025】
実施形態[1]に係る製造方法においては、繊維基材1aの搬送位置と、液状樹脂5の液面位置とを制御して、繊維基材1aと液状樹脂5とを常時接触させることにより、含浸性向上効果を高く発現させることができる。
このため、繊維基材1aは、液状樹脂5の液面と平行な実質的に水平方向に搬送することが好ましい。これにより、上記制御を容易に行うことができる。
【0026】
実施形態[1]に係る製造方法においては、液状樹脂5を吸引する方向に繊維基材1aを接触支持する。これにより、液状樹脂5の吸引により繊維基材1aの厚み方向に作用する応力を分散させ、繊維基材1aの変形を防止することができる。そして、液状樹脂5の流動により繊維基材1aの上面側に排出された空気が繊維基材1aの上面側に付着している場合でも、接触支持によりこれを効率的に除去することができるので、含浸性向上効果を高めることができる。
【0027】
図2(1)に、本発明の製造装置に係る第2の実施形態例(以下、単に「実施形態[2]」ということがある)を示す。
実施形態[2]は、繊維基材1bの搬送手段としての搬送ロール12と、液状樹脂15の貯留手段14と、含浸装置13とから構成される。
含浸装置13は、繊維基材1bを接触支持する接触支持手段16と、液状樹脂15を吸引する吸引手段19とを有しており、さらに、繊維基材1bと吸引手段19との間に整流手段17を備えている。
繊維基材1bは、例えばシート状の繊維基材の長尺品を巻物形態としたものなどを用い、これより連続的に巻き出すことにより供給することができる。
液状樹脂15は、貯留手段14中に貯留されている。
二つの搬送ロール12、12は、繊維基材1bを含浸装置13に沿わせて、液状樹脂15の液中に浸漬させながら搬送するように構成されている。
【0028】
図2(1)に示した形態においては、含浸装置13の一単位を構成するユニット20が、2つの搬送ロール12、12間に合計5つ設置されているが、この形態に限定されるものではなく、繊維基材や液状樹脂の性状、繊維基材の搬送速度、吸引手段により付与される負圧の大きさなどにより、適宜このユニット数を設定することができる。
なおここで、ユニット20は、2つの接触支持手段16と、1つの吸引手段19と、1つの整流手段17とから構成されているものである。
【0029】
図2(2)に、上記ユニット20の拡大図を示して説明する。
繊維基材1bは、上面側を接触支持手段16により接触支持されながら液状樹脂15の液中で搬送される。
液状樹脂15は、図示されない真空ポンプ等の吸引手段19により、繊維基材1bの上面側から、その厚み方向に吸引され、液状樹脂の流動18が発生する。これにより、液状樹脂15は繊維基材1bの下面側から上面側に移動する。
整流手段17は、繊維基材1bと、吸引手段19との間に設けられている。整流手段17は、液状樹脂15が通過可能な整流孔17aを有している。
【0030】
実施形態[2]において、液状樹脂、繊維基材、貯留手段、搬送手段、吸引手段、接触支持手段、整流手段としては、実施形態[1]において用いられるものと同じ構成のものを好適に用いることができる。
なお、実施形態[2]において用いられている整流手段17は、繊維基材1bの上面側に存在する液状樹脂15の流れを面方向で整えることにより、繊維基材1bの下面側から上面側への液状樹脂15の流れを整流し、繊維基材1bの面方向における含浸性向上効果の均一性を高めることができる。また、繊維基材1bを安定して搬送することもできる。
【0031】
実施形態[2]に係る本発明の製造方法においては、繊維基材1bを液状樹脂15中に浸漬させながら搬送する。
これにより、液状樹脂15は繊維基材1bの両側から含浸することができる。そして、吸引手段19により繊維基材1bの上面側から繊維基材1bの厚み方向に液状樹脂15を吸引することにより、繊維基材1b中に残存する空気と液状樹脂15との置換を促進して、含浸性向上効果を高めることができる。
実施形態[2]に係る製造方法おいては、ユニット20内における液状樹脂15の液面を、整流手段17よりも高い位置とすることが好ましい。これにより、液状樹脂15を整流化することによる含浸性向上作用を効果的に発現させることができる。
また、吸引手段19により流動を付与された液状樹脂15は、循環して使用することが好ましい。これにより、ユニット20内において、液状樹脂15中の有機溶剤などが揮発することで液状樹脂15中の固形分濃度が変動することを抑制し、液状樹脂15の粘度を所定水準に保つことができるので、含浸性向上効果を経時的に維持することができる。
【0032】
この形態で実施する場合、繊維基材1bの搬送位置は、繊維基材1bが液状樹脂15中に浸漬している範囲内で制御すればよい。繊維基材1bの搬送方向については特に限定されないが、実質的に水平方向とすると、繊維基材1bの搬送手段として駆動ロールを用いた場合でも、駆動ロールの駆動軸部分が液状樹脂15中に浸漬しないように設置しやすいので、装置構成上簡易とすることができ、また、プリプレグの品質上も好ましいものである。
【0033】
本発明の製造方法は、以上に説明した本発明の工程を少なくとも一つ含む含浸工程を有するものである。
具体的には、本発明の工程のみから構成される含浸工程によりプリプレグを製造する方法のほか、複数の工程を有し、その少なくとも一部に本発明の工程を有する含浸工程によりプリプレグを製造する方法によっても実施することができる。
【0034】
以下に、複数の工程を有し、その少なくとも一つに本発明の工程を有する含浸工程によりプリプレグを製造する形態について説明する。
本発明の製造方法における第3の形態(以下、単に「実施形態[3]」ということがある)は、本発明の工程の前段階において、本発明の工程とは異なる方式による含浸工程(以下、単に「他の工程」ということがある)を併せて設けるものである。
このような他の工程としては、例えば、キスロールを用いて繊維基材に液状樹脂を含浸させる工程、液状樹脂中に繊維基材を浸漬して含浸させる工程、繊維基材に液状樹脂をコーターにより塗布する工程等が挙げられる。
そして、実施形態[3]の一例としては、キスロールを用いて繊維基材に液状樹脂を含浸させる工程を前段階で用いた後、本発明の工程を後段階で用いる方法等が挙げられる。
【0035】
また、本発明の製造方法における第4の形態(以下、単に「実施形態[4]」ということがある)は、本発明の工程の後段階において、上記他の工程を併せて設けるものである。
そして、実施形態[4]の一例としては、本発明の工程を前段階で用いた後、液状樹脂中に繊維基材を浸漬して含浸させる工程を後段階で用いる方法等が挙げられる。
【0036】
このほか、本発明の工程のみを二つ以上用いる方法、あるいは、本発明の工程の前段階と後段階とに、他の工程を併せて設ける方法、などによっても、本発明の製造方法を実施することができる。
【0037】
図3は、本発明の工程と併せて適用できる他の工程を例示したものである。
図3(A)は、キスロールを用いて繊維基材に液状樹脂を含浸させる工程を実施する形態の一例である。
図3(A)において、繊維基材1cは、ロール23とロール24とにより、その間でキスロール25の上面側円周部に接触している。キスロール25は、下部が貯留装置21内に貯留された液状樹脂22中に浸漬しており、キスロール25の回転により、液状樹脂22が繊維基材1cに接触して含浸が行われるものである。
また、図3(B)は、液状樹脂中に繊維基材を浸漬して含浸させる工程を実施する形態の一例である。
図3(B)において、繊維基材1dは、ガイドロール33、ガイドロール34により、貯留装置31内に貯留された液状樹脂32中に浸漬されて、液状樹脂32が含浸されるものである。
【0038】
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上記本発明の製造方法により得られるものであることを特徴とする。
【0039】
本発明のプリプレグは、以上に説明したような本発明の工程による含浸工程、あるいは、複数の工程を有し、その少なくとも一つに本発明の工程を有する含浸工程を経た後、必要に応じて、繊維基材に対する液状樹脂の含浸量を調節して、これを加熱乾燥することにより製造することができる。
上記加熱乾燥する条件は、液状樹脂の成分、含浸量などにより異なるため特に限定されないが、一例を挙げると、温度150〜190℃、時間1〜10分間で実施することができる。
【0040】
次に、本発明の積層板について説明する。
本発明の積層板は、上記本発明のプリプレグを加熱加圧成形してなるものであることを特徴とする。
本発明の積層板は、上記プリプレグを1枚あるいは複数枚重ねて、これを加熱加圧成形することによって積層板を製造することができる。また、1枚あるいは複数枚重ねたプリプレグの片面又は両面に銅箔などの金属箔を重ねて加熱加圧成形することによって金属箔張り積層板を製造することできる。
加熱加圧成形する方法としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度150〜200℃、圧力1〜4MPa、時間60〜120分間で実施することができる。
【0041】
以上に説明したように、本発明は、繊維基材に液状樹脂を含浸させるにあたり、液状樹脂の液面上に接触させながら、又は、液状樹脂中に浸漬させながら、繊維基材を搬送して、該搬送中に、繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引するとともに、該吸引する方向に繊維基材を接触支持する工程を有することを特徴とするプリプレグの製造方法、及びかかる方法で得られたプリプレグと積層板であり、従来のものと比較して、高い含浸性を有するプリプレグと、良好な成形性を有する積層板を提供することができるものである。
【実施例1】
【0042】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0043】
1.原材料
以下の実施例、比較例で用いた原材料は下記の通りである。
(1)テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂:
ジャパンエポキシレジン社製・「エピコート5047」、エポキシ当量550
(2)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
大日本インキ化学工業社製・「エピクロンN−690」、エポキシ当量210
(3)繊維基材
日東紡社製・「WEA−7628」、厚さ0.18mm、幅1000mmの長尺のガラス織布
(4)電解銅箔
古河サーキットフォイル社製・「GTS−MP 18」、厚み18μm
【0044】
2.液状樹脂の調製
(1)液状樹脂aの調製
テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂85重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂15重量部、ジシアンジアミド2.3重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1重量部をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、固形分濃度30重量%の液状樹脂aを調製した。
【0045】
(2)液状樹脂bの調製
テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂85重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂15重量部、ジシアンジアミド2.3重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1重量部をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、固形分濃度55重量%の液状樹脂bを調製した。
【0046】
3.プリプレグの製造
<実施例1>
図2に示した形態の製造装置を用いて前段階の含浸を実施し、次いで、図3(B)に示した形態の製造装置を用いて後段階の含浸を実施し、その後、図示されないスクイズロールにより繊維基材への液状樹脂の含浸量を調整した後、180℃の加熱乾燥装置で2分間加熱乾燥して、樹脂組成物の含有量が51重量%であるプリプレグを製造した。装置の仕様、運転条件、及び、各含浸工程で使用した液状樹脂は以下の通りである。
【0047】
[1]前段階の含浸
(1)液状樹脂
液状樹脂aを使用した。
(2)繊維基材の搬送手段
・ガイドロール:径150mm、幅1200mm(繊維基材の移送は図示しない駆動手段により実施した。)
・2本のガイドロール間の距離:2000mm
・繊維基材の搬送速度:5m/分
(3)接触支持手段
・断面形状が100mm×200mmの長方形で、幅1200mmの棒状部材を用い、100mm側を繊維基材に接触支持させた。
・接触支持手段間の距離:200mm
(4)吸引手段
・真空ポンプにより、大気圧より100Torr減圧した減圧タンクを用いた。
(5)整流手段
・10mm×1100mmのスリット形状の整流孔が10mm間隔で形成されたプレート状の整流板を用いた。
(6)含浸装置のユニット数
・図2において、含浸装置13の一単位を構成するユニット20として、5つのユニットからなるものを用いた。
【0048】
[2]後段階の含浸
(1)液状樹脂
液状樹脂bを使用した。
(2)浸漬含浸装置の仕様と運転条件
・ガイドロール:径100mm、幅1200mm(繊維基材の移送は図示しない駆動手段により実施した。)
・2本のガイドロール間の距離:300mm
・繊維基材の搬送速度:5m/分
【0049】
<実施例2>
実施例1において、前段階の含浸における吸引手段として、真空ポンプにより、大気圧より300Torr減圧した減圧タンクを用い、含浸装置のユニット数を3つとした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを製造した。
【0050】
<実施例3>
実施例1において、前段階の含浸における吸引手段として、真空ポンプにより、大気圧より500Torr減圧した減圧タンクを用い、含浸装置のユニット数を1つとした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを製造した。
【0051】
<実施例4>
図1に示した形態の製造装置を用いて前段階の含浸を実施し、次いで、図3(B)に示した形態の製造装置を用いて後段階の含浸を実施し、その後、図示されないスクイズロールにより繊維基材への液状樹脂の含浸量を調整した後、180℃の加熱乾燥装置で2分間加熱乾燥して、樹脂組成物の含有量が51重量%であるプリプレグを製造した。装置の仕様、運転条件、及び、各含浸工程で使用した液状樹脂は以下の通りである。
【0052】
[1]前段階の含浸
(1)液状樹脂
液状樹脂aを使用した。
(2)繊維基材の搬送手段
・ガイドロール:径150mm、幅1200mm(繊維基材の移送は図示しない駆動手段により実施した。)
・2本のガイドロール間の距離:2000mm
・繊維基材の搬送速度:5m/分とした。
(3)接触支持手段
・断面形状が100mm×200mmの長方形で、幅1200mmの棒状部材を用い、100mm側を繊維基材に接触支持させた。
・接触支持手段間の距離:200mm
(4)吸引手段
・真空ポンプにより、大気圧より100Torr減圧した減圧タンクを用いた。
(5)整流手段
・10mm×1100mmのスリット形状の整流孔が10mm間隔で形成されたプレート状の整流板を用いた。
(6)含浸装置のユニット数
・図1において、含浸装置3の一単位を構成するユニット10として、5つのユニットからなるものを用いた。
【0053】
[2]後段階の含浸
液状樹脂bを用い、実施例1の後段階の含浸と同様の装置の仕様、運転条件で行なった。
【0054】
<実施例5>
図3(A)に示した形態の製造装置を用いて前段階の含浸を実施し、次いで、図2に示した形態の製造装置を用いて後段階の含浸を実施し、その後、図示されないスクイズロールにより繊維基材への液状樹脂の含浸量を調整した後、180℃の加熱乾燥装置で2分間加熱乾燥して、樹脂組成物の含有量が51重量%であるプリプレグを製造した。装置の仕様、運転条件、及び、各含浸工程で使用した液状樹脂は以下の通りである。
【0055】
[1]前段階の含浸
(1)液状樹脂
液状樹脂aを使用した。
(2)キスロール含浸装置の仕様と運転条件
・キスロール:径200mm、幅1200mm
・キスロールと繊維基材とが接触する距離(基材の移送方向):100mm
・キスロールの回転数:10rpm
・繊維基材の移送速度:5m/分
【0056】
[2]後段階の含浸
(1)液状樹脂
液状樹脂bを使用した。
これ以外は、実施例1において第1の含浸装置として用いた際と同じ仕様、運転条件で行なった。
【0057】
<比較例1>
図3(A)に示した形態の製造装置を用いて前段階の含浸を実施し、次いで、図3(B)に示した形態の製造装置を用いて後段階の含浸を実施し、その後、図示されないスクイズロールにより繊維基材への液状樹脂の含浸量を調整した後、180℃の加熱乾燥装置で2分間加熱乾燥して、樹脂組成物の含有量が51重量%であるプリプレグを製造した。装置の仕様、運転条件、及び、各含浸工程で使用した液状樹脂は以下の通りである。
[1]前段階の含浸
液状樹脂aを用い、実施例5の前段階の含浸と同様の装置の仕様、運転条件で行なった。
[2]後段階の含浸
液状樹脂bを用い、実施例1の後段階の含浸と同様の装置の仕様、運転条件で行なった。
【0058】
4.積層板の製造
実施例1〜5、及び、比較例1で得られたプリプレグを、各々5枚積層し、さらに、表裏両面に電解銅箔を積層して、平板プレス装置で、圧力4MPa、温度190℃、時間100分間で加熱加圧成形して、厚さ約1.0mmの両面銅張積層板を製造した。
【0059】
5.プリプレグの評価
実施例1〜5、及び、比較例1で得られたプリプレグを、100×100mmの大きさに裁断した後、150℃の乾燥装置内に15分間吊り下げて加熱し、次いで、冷却したものについて、樹脂が含浸されていないボイドの有無を目視で観察して評価した。得られた結果を以下に示す。
(1)実施例1:ボイドなし
(2)実施例2:ボイドなし
(3)実施例3:ボイドなし
(4)実施例4:ボイドなし
(5)実施例5:ボイドなし
(6)比較例1:ボイドあり
【0060】
6.積層板の評価
上記の実施例1〜5、及び、比較例1で得られた積層板を、両面銅箔をエッチング除去して、基板表面にカスレ、ボイドの有無を目視で観察して評価した。得られた結果を以下に示す。
(1)実施例1:カスレ、ボイドなし
(2)実施例2:カスレ、ボイドなし
(3)実施例3:カスレ、ボイドなし
(4)実施例4:カスレ、ボイドなし
(5)実施例5:カスレ、ボイドなし
(6)比較例1:カスレ、ボイドあり
【0061】
実施例1〜5は、本発明の製造方法を適用して製造されたプリプレグであり、ボイドがなく、含浸性に優れたものであった。そして、このプリプレグを用いて得られた積層板についても、ボイドやカスレがなく、成形性が良好なものであった。
これに対して比較例1は、キスロールを用いて繊維基材に液状樹脂を含浸させる工程と、液状樹脂中に繊維基材を浸漬して含浸させる工程とを組み合わせた方法を適用して製造されたプリプレグであるが、得られたプリプレグを処理後に観察するとボイドが認められた。そして、このプリプレグを用いて得られた積層板は、表面に未成形部分であるカスレやボイドが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1(1)は、本発明の製造装置における実施形態の一例(実施形態[1])の概略側断面図であり、図1(2)は、実施形態[1]における含浸装置ユニットの拡大図である。
【図2】図2(1)は、本発明の製造装置における実施形態の一例(実施形態[2])の概略側断面図であり、図2(2)は、実施形態[2]における含浸装置ユニットの拡大図である。
【図3】図3(A)は、キスロールを用いて繊維基材に液状樹脂を含浸させる形態の一例の概略側断面図であり、図3(B)は、液状樹脂中に繊維基材を浸漬して含浸させる形態の一例の概略側断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1a、1b、1c、1d 繊維基材
2、12 搬送ロール
3、13 含浸装置
4、14 貯留手段
5、15 液状樹脂
6、16 接触支持手段
7、17 整流手段
7a、17a 整流孔
8、18 液状樹脂の流動
9、19 吸引手段
10、20 含浸装置のユニット
21、31 貯留装置
22、32 液状樹脂
23、24 ロール
25 キスロール
33、34 ガイドロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法であって、
液状樹脂の液面上に接触させながら、又は、液状樹脂中に浸漬させながら、繊維基材を搬送して、
該搬送中に、繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引するとともに、該吸引する方向に繊維基材を接触支持する工程、を有することを特徴とする、プリプレグの製造方法。
【請求項2】
前記工程において、液状樹脂を吸引する際に、液状樹脂の流れを整流する、請求項1に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項3】
前記工程において、液状樹脂の液面上に接触させながら、繊維基材を実質的に水平方向に搬送する、請求項1又は2に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項4】
前記工程において、液状樹脂中に浸漬させながら、繊維基材を実質的に水平方向に搬送する、請求項1又は2に記載のプリプレグの製造方法。
【請求項5】
前記工程において、繊維基材がガラス織布である、請求項1ないし4のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
【請求項6】
繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造方法であって、
請求項1ないし5のいずれかに記載の工程を少なくとも一つ含む含浸工程を有するプリプレグの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法により得られるものであることを特徴とするプリプレグ。
【請求項8】
請求項7に記載のプリプレグを加熱加圧成形してなることを特徴とする積層板。
【請求項9】
繊維基材に液状樹脂を含浸させるプリプレグの製造装置であって、
(a)液状樹脂を貯留する貯留手段と、
(b)繊維基材に液状樹脂が含浸されるように繊維基材を搬送する搬送手段と、
(c)繊維基材の上面側から繊維基材の厚み方向に液状樹脂を吸引する吸引手段と、
(d)液状樹脂を吸引する方向に繊維基材を接触支持する接触支持手段と、
を有することを特徴とする、プリプレグの製造装置。
【請求項10】
さらに、
(e)吸引手段と、繊維基材との間に、液状樹脂の流れを整流する整流手段と、
を有する、請求項9に記載のプリプレグの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−83508(P2007−83508A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274283(P2005−274283)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】