説明

プリペイドカードシステム

【課題】予めPINコードが印刷されているプリペイドカードであっても、販売店で販売しない限りPINコードが有効にならず、販売店側にとっては管理がしやすく、安全性に優れたプリペイドカードシステムを提供すること
【解決手段】電子マネー管理センター6はプリペイドカードAに付与するPINコードCをPIN管理センター10に提供し、PIN管理センター10ではPINコードCに紐付けしてGS1バーコードBを作成してプリペイドカードAに表示して販売店13に提供し、販売店13は販売時にプリペイドカードAのGS1バーコードBを読み取り、読み取ったGS1バーコードBを共同VANセンター16に送信し、PIN管理センター10では受信したGS1バーコードBに紐付けされているPINコードCを上記電子マネー管理センター6に送信し、電子マネー管理センター6は受信したPINコードCを有効化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリペイドカードシステム、詳しくはコンビニエンスストアやスーパー・量販店などで販売する際の安全性を確保することができるプリペイドカードシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを利用してオンラインショッピングなどの電子商取引が定着している。このような電子商取引においては様々な決済方法が実施されているが、安全性の面や小額の取引では予め一定の金額を支払うプリペイド方式が普及している。その一つとしてプリペイドカードを利用するものがあり、決済時にはプリペイドカードに記載されているPINコードを入力することにより、電子マネー管理センターは受信したPINコードに対応する残高と支払い金額とをチェックして決済を行うようにしたものであるが、プリペイドカードの購入後に不正使用をされる可能性があるため、不正使用ができないようなプリペイドカードシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−117349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上記のプリペイドカードシステムでは、販売後の問題点を回避することはできるが、プリペイドカードにはPINコード(ID)が既に印刷されているため、コンビニエンスストアやスーパー・量販店などの販売店で販売する場合、盗難にあうとそのまま使用されてしまうため被害が大きくなる問題があり、その在庫管理には気を使わなければならない問題があるとともに、プリペイドカードの販売時点または販売前に販売店での金額登録の不正は制御できない問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決する為、プリペイドカードに予めPINコードが印刷されている従来のプリペイドカードの形態であっても、販売店で利用者がカード代金を支払わない限りPINコードが有効にならず、販売店側にとっては管理がしやすく、ECサイト、電子マネー管理センターにおいても被害の発生しない安全性に優れた、しかも販売店に特別な機器を設置する必要のないコストの面でも有効なプリペイドカードシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に関るプリペイドカードシステムは、プリペイドカードに表示したPINコードに基づいて電子マネー管理センターが電子マネーを決済するプリペイドカードシステムにおいて、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記電子マネー管理センターはプリペイドカードに付与するPINコードを作成し、作成したPINコードをデータベースに登録するとともにPIN管理センターに提供すること
(ロ)上記PIN管理センターでは上記PINコードに紐付けしてバーコードを作成し、作成したバーコードと上記PINコードとをデータベースに登録するとともに、上記PINコードとバーコードとを表記したプリペイドカードを作成し、作成したプリペイドカードを販売店に提供すること
(ハ)上記販売店は上記プリペイドカードを販売する際、POS端末でプリペイドカードのバーコードを読み取り、読み取ったバーコードを共同VANセンターに送信する
(二)上記共同VANセンターでは受信したバーコードの内容から、該バーコードに紐付けされているPIN管理センターの情報を識別して、PIN管理センターにバーコードに付加情報を追加して送信する。
(ホ)上記PIN管理センターでは受信したバーコードから、該バーコードに紐付けされているPINコードを上記データベースから読み出し、読み出したPINコードを上記電子マネー管理センターに送信すること
(へ)上記電子マネー管理センターは受信したPINコードをデータベースに保存してあるPINコードと照合し、これを有効化すること。
【0007】
なお、前記販売店がコンビニエンスストアで、前記共同VANセンターがコンビニVANセンターであればよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、プリペイドカードの販売時にPOS端末で決済し、GS1コードをPIN管理センターに送信しない限りはPINコードが有効にならないので、決済前のプリペイドカードは単なる印刷物に過ぎず、厳密な在庫管理が要求されないので盗難、紛失、破損が生じてもカードを販売する販売店、プリペイドカード発行事業社に被害を与えることはない。
【0009】
請求項2の発明によれば、全国全てのコンビニエンスストアのPOSが繋がっているコンビニVANセンターを使用することにより、コンビニエンスストアはプリペイドカードを販売するだけで他の商品を販売する場合と同様に特別な処理をするための装置も操作も必要とせず、コンビニエンスストアにとっても取り扱いに優れたプリペイドカードシステムを提供することができるし、コンビニVANセンターにアクセスできるPOSシステムを備えた販売店、例えばスーパーや量販店であればコンビニエンスストアだけではなくあらゆる販売店で本システムを容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のプリペイドカードシステムに適用されるプリペイドカードの一例を示す説明図
【図2】インターネットを介して電子マネーが決済される過程の説明図
【図3】電子マネーが決済される過程を説明するフローチャート図
【図4】PINコードが有効になる過程の説明図
【図5】PINコードが有効になる過程を説明するフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係るプリペイドカードシステムに用いられるプリペイドカードの一例を示し、このプリペイドカードAはカードの販売時にPOS端末で読み取るバーコード(GS1バーコード)Bと、PINコードCとが表示されているもので、カードを販売する販売店(例えば、コンビニエンスストア)で購入することができ、購入したプリペイドカードAの金額内で商品や情報(例えば、本の購入や音楽のダウンロードなど)の購入ができるようになっているもので、例えば、図2、図3に示すように、利用者1がパソコン等の端末2でインターネット3を介して情報提供者(以下、ECサイトという)4の情報提供サーバー5にアクセスし(a101)、希望する商品や情報を要求すると、ECサイト4の情報提供サーバー5は利用者1の端末2にPINコードCを要求するので(a102)、利用者1はプリペイドカードAに記載されているPINコードCを入力すると、入力されたPINコードCはECサイト4の情報提供サーバー5に送信される(a103)。
【0012】
ECサイト4の情報提供サーバー5は受信したPINコードCと販売金額とを電子マネー管理センター6の管理サーバー7に送信し(b101)、PINコードCが有効か否かと決済可能か否かを問い合わせる。電子マネー管理センター6の管理サーバー7はデータベース8を参照し、受信したPINコードCの有効の有無と、残高を確認し、PINコードCの有効をフィードバックするとともに、情報に設定されている金額を決済し、決済金額をECサイト4の情報提供サーバー5に支払処理を行い(b102)、ECサイト4は情報や商品を利用者1に提供する(a104)ようになっているものである。
【0013】
ところで、本システムでは、上記プリペイドカードAには既にPINコードCが印刷されているのでプリペイドカードAが販売されるまではPINコードCを無効にし、利用者が販売店で購入し、カード代金を支払った時点でPINコードCを有効にするようにした。
【0014】
そのため、本システムでは、図4、5に示すように、PINコードCを管理するPIN管理センター10を配置した。電子マネーを管理する電子マネー管理センター6はプリペイドカードAに個別に付与するPINコードCを作成し、作成したPINコードCを管理サーバー7のデータベース8のPINコードテーブル8aに保存するとともにPIN管理センター10に適宜手段(印刷物、CD−ROM、通信等)を用いて供給する(c101)。
【0015】
上記PIN管理センター10は電子マネー管理センター6から提供されたPINコードCに紐付けしてGS1のバーコードBを作成し、プリペイドカードAにGS1バーコードBとPINコードCとを印刷又はシールなどで形成し(図1参照)、PIN管理サーバー11のデータベース12aにPINコードCを保存する。また作成したGS1バーコードBはデータベース12bに保存する。
【0016】
GS1バーコードBはGS1−128という規格により、特別な開発をせずにリアルタイムにPOS端末から電文を受信することが可能なもので、コンビニエンスストアの料金収納代行に使用されている企画化された共同VAN用メーカーコードであり、この共同VANに接続されているPOS端末であれば特別な設備投資を行うことなく、指定されたPIN管理センター10にGS1バーコードBを送信することができるようになっているものである。
【0017】
上記PIN管理センター10は、作成したプリペイドカードAをPOS端末14を備えたコンビニエンスストアなどの販売店13に提供する(d101)。
【0018】
販売店13では、利用者1がプリペイドカードAを購入し(e101)、代金Mを支払うと(e102)、販売店13の販売員はPOS端末14のバーコードリーダーでGS1バーコードBを読み取り、読み取ったGS1バーコードBに記載されている金額に基づいてカード代金の決済を行うとともに、共同VANセンター16に読み取ったGS1バーコードBを送信する(d102)。
【0019】
上記共同VANセンター16は受信したGS1バーコードBの情報から登録された企業(この場合はPIN管理センター10)をデータベース18から検索し、PIN管理センター10のPIN管理サーバー11に受信したGS1バーコードBを送信する(d103)。
【0020】
GS1バーコードBを受け取ったPIN管理センター10のPIN管理サーバー11はデータベース12aを参照し、GS1バーコードBに紐付けされたPINコードCを読み出し、読み出したPINコードCを電子マネー管理センター6の管理サーバー7に送信する(c102)。
【0021】
電子マネー管理センター6の管理サーバー7は受信したPINコードCを有効にする。
管理サーバー7が受け取ったPINコードCを有効にした時点で、そのPINコードCが表示されたプリペイドカードAは有効になるので、販売店13ではカード代金を精算するだけでプリペイドカードAは有効になるため、特別な処理を行う必要がないので販売員はプリペイドカードAも一般の商品と同じように処理することができ、しかもPOS端末を通すまではプリペイドカードAは有効にならないので在庫管理にも特別な配慮を行うことがなく取り扱い性に非常に優れたプリペイドカードシステムを実現することができる。
【0022】
上述のように、PINコードCが有効になったプリペイドカードAをECサイト4で使用する場合は、図2、3で説明したように、利用者1は販売店(コンビニエンスストアなど)13で購入したプリペイドカードAを用意した上で、端末2を立ち上げてインターネット3に接続し、ECサイト4にアクセスした上で必要な情報を検索し、必要な情報にヒットしてこれを購入する場合は、ECサイト4からPINコードCを要求する画面が表示されるので、キーボードからプリペイドカードAに表示されたPINコードCを入力し、画面上に表示される送信ボタン(図示せず)をクリックすると、入力したPINコードCはインターネット3を経由してECサイト4に送られ、ECサイト4は受け取ったPINコードCを電子マネー管理センター6に送る。
【0023】
PINコードを受信した電子マネー管理センター6は受け取ったPINコードCが有効なPINコードか否か、有効なPINコードであれば決済可能な残高があるか否かを判断し、有効であると判断した場合はECサイト4にその旨通知するとともに、情報の提供代金を決済し、電子マネーによる支払処理を行われる。
【0024】
上述したように、販売する前のプリペイドカードAには金額を含めた各種情報が記載されたGS1バーコードBとカード固有の識別情報であるPINコードCとが表示されているが、販売店13のPOS端末14で入金処理を行わない限り、PINコードCが有効にならないので、もし販売前に盗難や紛失するトラブルがあっても、POS端末で入金処理を行わない限りPINコードは無効のままなので、カードを販売する者、情報を提供するものにとってリスクの極めて小さなプリペイドカードシステムを提供することができる。
【0025】
なお、プリペイドカードAには金額を含めた各種情報が記載されたGS1バーコードBとカード固有の識別情報であるPINコードCとが表示されており、GS1バーコードBを受け取ったPIN管理センター10のPIN管理サーバー11はデータベース12aを参照し、GS1バーコードBに紐付けされたPINコードCを読み出し、読み出したPINコードCを電子マネー管理センター6の管理サーバー7に送信するので、金額を改竄しようとしてGS1バーコードBに加工を施したとしても、そのバーコードにはPINコードが紐付けされているのでPIN管理センター10のPIN管理サーバー11はアンマッチを検証することができる。
【0026】
また、販売店がコンビニエンスストアであれば全国全てのコンビニエンスストアのPOSが繋がっているコンビニVANセンターを使用することにより、コンビニエンスストアはプリペイドカードを販売するだけで他の商品を販売する場合と同様に特別な処理をするための装置も操作も必要とせず、コンビニエンスストアにとっても取り扱いに優れるとともに安全性に優れたプリペイドカードシステムを実現することができる。また、スーパーや量販店においてもコンビニVANセンターにアクセスできるPOSシステムを備えていれば本システムを容易に適用させることができる
【符号の説明】
【0027】
1 利用者
2 端末
3 インターネット
4 ECサイト(情報提供者)
6 電子マネー管理センター
10 PIN管理センター
13 販売店
14 POS端末
16 共同VANセンター
A プリペイドカード
B GS1バーコード
C PINコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリペイドカードに表示したPINコードに基づいて電子マネー管理センターが電子マネーを決済するプリペイドカードシステムにおいて、以下の要件を備えることを特徴とするプリペイドカードシステム。
(イ)上記電子マネー管理センターはプリペイドカードに付与するPINコードを作成し、作成したPINコードをデータベースに登録するとともにPIN管理センターに提供すること
(ロ)上記PIN管理センターでは上記PINコードに紐付けしてバーコードを作成し、作成したバーコードと上記PINコードとをデータベースに登録するとともに、上記PINコードとバーコードとを表記したプリペイドカードを作成し、作成したプリペイドカードを販売店に提供すること
(ハ)上記販売店は上記プリペイドカードを販売する際、POS端末でプリペイドカードのバーコードを読み取り、読み取ったバーコードを共同VANセンターに送信する
(二)上記共同VANセンターでは受信したバーコードの内容から、該バーコードに紐付けされているPIN管理センターの情報を識別して、PIN管理センターにバーコードに付加情報を追加して送信する。
(ホ)上記PIN管理センターでは受信したバーコードから、該バーコードに紐付けされているPINコードを上記データベースから読み出し、読み出したPINコードを上記電子マネー管理センターに送信すること
(へ)上記電子マネー管理センターは受信したPINコードをデータベースに保存してあるPINコードと照合し、これを有効化すること。
【請求項2】
前記販売店がコンビニエンスストアで、前記共同VANセンターがコンビニVANセンターである、請求項1記載のプリペイドカードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−165115(P2010−165115A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5909(P2009−5909)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(504287859)株式会社アーツテック (2)
【Fターム(参考)】