プリンタおよびプリンタシステム
【課題】オフィスの印刷環境を向上できるプリンタを提供すること。
【解決手段】このプリンタ100は、発光、文字表示その他のサインにより、ユーザに対して印刷にかかるプリンタを視認させる報知手段を有する。この報知手段は、プリンタ100の上方に設けられかつ複数の色の点灯部3を有するサインポール2である。サインポール2の点灯させる点灯部3およびその組合せには、意味を含ませる。たとえば全部の点灯は印刷ジョブの受信を意味する。ユーザはこのサインポール2のサインを見ることでプリンタ100の位置を知ることができ、オフィス内でプリンタを探し回る必要がなくなる。
【解決手段】このプリンタ100は、発光、文字表示その他のサインにより、ユーザに対して印刷にかかるプリンタを視認させる報知手段を有する。この報知手段は、プリンタ100の上方に設けられかつ複数の色の点灯部3を有するサインポール2である。サインポール2の点灯させる点灯部3およびその組合せには、意味を含ませる。たとえば全部の点灯は印刷ジョブの受信を意味する。ユーザはこのサインポール2のサインを見ることでプリンタ100の位置を知ることができ、オフィス内でプリンタを探し回る必要がなくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主にオフィスで用いられる比較的大きなタイプのプリンタにかかり、当該プリンタのオフィスにおける使用環境を改善できるプリンタおよびプリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
比較的広いオフィスにおいて、パーソナルコンピュータは各人が保有しているが、プリンタについては共有であることが殆どである。多くの場合、20人以上で一台又は複数のプリンタを共有する。かかるオフィス環境においては、印刷時にプリンタの状態が判らないという問題がある。たとえば、プリンタがどの程度の印刷待ち状態であるか判らず、あるいはプリンタが何を印刷しているのか、プリンタのそばに居てもよく判らない。次は自分の書類が印刷されると思って待っていても、他人の書類が印刷されてくるという状況はよくあることである。
【0003】
また、複数のプリンタが設置されている場合、いずれのプリンタから印刷されるのかよく判らないという問題がある。通常、ドライバにはプリンタの番号のみが表示され、当該プリンタがどこに位置するのかはよく判らないことが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オフィスの印刷環境を向上できるプリンタおよびプリンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明にかかるプリンタは、発光、文字表示その他のサインにより、ユーザに対して印刷にかかるプリンタを視認させる報知手段を有することを特徴とする。
【0006】
プリンタを示すサインをユーザに視認させれば、ユーザはオフィス内のプリンタの位置を把握できる。このため、プリンタを探す手間が省けて業務効率が上がる。
【0007】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ複数の色の点灯部を有するサインポールであることを特徴とする。
【0008】
サインポールを点灯させることで、ユーザはプリンタの位置を認識できる。サインポールはオフィス内で視認容易な高さを有する。たとえば、少なくともオフィス内の机の高さより高く、好ましくは着座している人の高さより高く設定する。サインポールにより報知すれば、周囲360度に報知できかつ構造を簡単にできる。
【0009】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ文字等を表示できる表示パネルを含むことを特徴とする。
【0010】
表示パネルによりプリンタ上方で文字等を表示することで、ユーザはプリンタの位置等を認識できる。表示パネルはオフィス内で視認容易な高さを有する。たとえば、少なくともオフィス内の机の高さより高く、好ましくは着座している人の高さより高く設定する。表示パネルにより報知することで、より多くの情報をユーザに提供できる。また、サインポールと併用することもできる。
【0011】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段は、画像や文字等を表示できるプロジェクタを含むことを特徴とする。
【0012】
プロジェクタにより画像や文字等を表示することで、ユーザはプリンタの位置等を認識できる。プロジェクタにより報知することで、より多くの情報をユーザに提供できる。また、報知面積が大きくなるので、ユーザが視認しやすい。更に、サインポールや表示パネルと併用してもよい。
【0013】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段による報知内容には、印刷終了、印刷渋滞または排紙トレイに関する情報が含まれることを特徴とする。
【0014】
印刷終了、印刷渋滞または排紙トレイに関する情報を報知することでユーザはプリンタから離れたところで、それらの情報を得ることができる。
【0015】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、印刷ジョブを受信した状態で、プリンタに設けた入力手段から所定の内容を入力し、印刷を実行することを特徴とする。
【0016】
すなわち、印刷ジョブを受信した場合、当該印刷を一時保留しておき、キーボード等の入力手段から所定内容(たとえばパスワード)を入力することで印刷を実行できるようにする。このようにすれば、印刷した書類を他人に見られ難いので、プリンタまで急いで駆けつける必要がない。
【0017】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、印刷実行中に、プリンタに設けた中止ボタンを押すことで印刷を中止することを特徴とする。
【0018】
すなわち、印刷中に当該印刷を中止できるようにすれば、不満足な書類が印刷されているとき等に直ちに中止できる。
【0019】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、プリンタの排紙トレイに設けたセンサにより排紙トレイ上の書類を検出する検出手段を有し、この検出手段により書類が一定期間排紙トレイ上にあることを検出した場合、その旨を前記報知手段によりユーザに報知することを特徴とする。
【0020】
一定期間排紙トレイ上に書類があるということは、ユーザが書類を放置しているか忘れている等の原因が考えられ、そのとき、報知手段によりユーザにその旨を報知し、書類を取ることを促す。これにより、次のユーザが早い時期に印刷の機会を得られる。
【0021】
また、この発明にかかるプリンタシステムは、複数の上記プリンタが ネットワークによりコンピュータに接続されており、当該コンピュータから送信した印刷ジョブを受信した一つのプリンタは、印刷渋滞などの所定条件に基づいて前記印刷ジョブを別のプリンタに転送するとともに、その旨を発光、文字表示その他のサインにより当該別のプリンタの報知手段からユーザに報知することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、印刷するプリンタが別のものになっても、報知手段によりその旨を報知するので、ユーザはプリンタの位置を把握できる。このため、プリンタを探す手間が省けて業務効率が上がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0024】
図1は、この発明の実施例1にかかるプリンタを示す斜視図である。図2は、図1に示したプリンタの排紙機構を示す断面図である。このプリンタ100は、箱型の筐体1の上部にサインポール2が設けられており、このサインポール2は、赤、青、黄、緑の複数色の点灯部3を有する。この点灯部3は、電球、LED、EL等の光源を有する。サインポール2は、オフィス内にて離れた場所から視認しやすいように、たとえば120cmから200cmの高さとするのが好ましい。
【0025】
また、箱型の筐体1には、複数の排紙トレイ4が縦方向に連設されており、更に各排紙トレイ4ごとに排紙口5が設けられている。筐体1上部には液晶表示パネル6が設けられている。この液晶表示パネル6は、画面サイズが8インチから15インチ程度である。液晶表示パネル6には所定の印刷ステイタスが表示される。
【0026】
前記各排紙トレイ4は、ユーザが自分の書類を複数の排紙トレイ4から見つけやすいように、それぞれ異なる色を付けた透明アクリル板からなる。具体的には前記排紙トレイ4の色は、赤、青、黄、緑からなる。筐体1の下方には、用紙を供給する給紙トレイ7が複数設けられている。なお、プリンタ100の下面にはキャスターが設けられる(図示省略)。サインポール2のサインである、点灯させる点灯部3およびその組合せには、所定の意味を含ませる。たとえば、各色は該当する色の排紙トレイ4、全部の点灯は印刷ジョブの受信、全部の点滅は印刷終了、ランダムな点灯は印刷渋滞、などである。
【0027】
図2に示すように、この筐体1内の後部には4つの異なる排紙口5に至る排紙パス10が設けられている。この排紙パス10は、上下方向に設けた主排紙パス11と、用紙を送るための複数の送りローラ12と、主排紙パス11から各排紙口5に至る湾曲部排紙パス13と、この湾曲部排紙パス13の入口に設けた排紙方向を選択する複数のフラップ14と、を備えている。また、各排紙トレイ4の下面には、用紙の有無を検知するセンサ15が設けられている。
【0028】
また、このプリンタ100は、サインポール2の点灯や排紙口5の選択等の制御を行う制御装置16と、サインポール2の点灯を行うコントローラ17と、各フラップ14を駆動する駆動装置18と、液晶表示パネル6の表示を行うための表示ドライバ19と、印刷ジョブの内容を一時記憶する記憶装置20とを備えている。
【0029】
図3は、このプリンタをオフィス内に複数設置した状態を示す説明図である。図4は、このプリンタの動作を示すフローチャートである。図5は、サインポールの点灯例を示す説明図である。オフィス内には上記図1および図2に示したプリンタ100が複数設置されている。各プリンタ100はLANによりオフィス内のコンピュータ150と接続されてプリンタシステム160を構成する。
【0030】
また、各プリンタ100は、オフィス内にて互いに離れた場所に設置されており、各プリンタ100の前記サインポール2は、オフィスの殆どの場所から視認できる。まず、ユーザは、自分のコンピュータ150から任意のプリンタ100に対して印刷指令を行う(ステップS1)。コンピュータ150に複数のプリンタ100を接続している場合、プリンタドライバにはプリンタ100の機種と番号が表示されるが、実際にどのプリンタ100が印刷を実行するのか判り難いことが多い。すなわち、プリンタドライバに表示された番号を有するプリンタ100をユーザ自身がオフィス内で見つけなければならない。プリンタ100を移動させた場合には、より一層プリンタ100の位置が判り難くなる。
【0031】
そこで、このプリンタ100は、印刷ジョブを受け取るとともにビジー状態か否かを判断し(ステップS2)、続いて、プリンタの位置を報知するため、前記受信した印刷ジョブに基づいてサインポール2を点灯させる(ステップS3)。たとえば、図5の「a」に示すように、サインポール2の全ての色の点灯部3を点滅させる。前記点灯部3の点灯および色の組合せは、図示しないROM等の主記憶装置に記憶されたプログラムに従い、制御装置16により制御する。ユーザはこの点灯部3の点滅を視認することで、印刷にかかるプリンタ100がどこに位置しているのか知ることができる。このため、ユーザがプリンタ100を探し回ることがなくなり、オフィスの業務効率が向上する。
【0032】
一方、印刷するプリンタ100は、前記プリンタドライバの画面上でユーザが指定するが、当該指定したプリンタ100がビジーの場合(ステップS2:Yes)、自動的に別のプリンタ100に印刷ジョブを送信(転送)する(ステップS4)。この場合、印刷ジョブの受け取りに基づいて当該別のプリンタ100のサインポール2が点灯し、ユーザに印刷を行うプリンタ100の位置を報知する。
【0033】
ユーザは、このサインポール2を視認して印刷されるプリンタ100を認知する。すなわち、ユーザは、報知にかかるプリンタ100が印刷を実行する旨を認知する。このとき、コンピュータ150の画面上において、要求と異なるプリンタ100が選択された旨の報知を行うようにしてもよい。このように、印刷待ちのないプリンタ100を自動選択して印刷することで、オフィスの業務効率を向上できる。
【0034】
続いて、印刷するプリンタ100が確定した後、排紙するトレイが選択される(ステップS5)。まず、前記制御装置16は、センサ15の出力信号に基づき、各排紙トレイ4に書類が存在するか否かを判断する。そして、制御装置16は、空いている排紙トレイ4を認識し、駆動装置18により前記フラップ14を駆動し、当該排紙トレイ4にかかる排紙口5の湾曲部排紙パス13に切り換える。また、制御装置16は、選択された排紙トレイ4の色の点灯部3を点灯させる。たとえば、赤色の排紙トレイ4が選択された場合、図5の「b」に示すように、サインポール2の赤色の点灯部3を点灯する。なお、空いている排紙トレイ4が複数ある場合、上から順番に排紙トレイ4を選択するのが好ましい。
【0035】
液晶表示パネル6には、排紙する排紙トレイ4(たとえば排紙トレイ4の色を表示する)、印刷ジョブの内容、印刷状況が表示される。ここで、印刷ジョブの内容には、ユーザ名、印刷する書類の内容が含まれる。また、印刷状況には、終了枚数、残枚数、待ち時間が含まれる。このため、ユーザがプリンタ100の前にいても印刷状況を把握できる。
【0036】
排紙トレイ4が選択されたら、印刷を実行する(ステップS6)。排紙が終了したら、サインポール2により当該排紙終了をユーザに報知する。たとえば、図5の「c」に示すように、印刷時に点灯した色と同じ色の点灯部3を、高速かつ所定時間点滅させる。また、ユーザのコンピュータ150に印刷終了の情報を送信するようにしてもよい。プリンタ100が印刷終了を報知することで、ユーザが何時書類を取りに行けばよいか判断できるので、プリンタ100の前で待っていたり、書類を放置したりするような事態を回避できる。また、ユーザが書類を排紙トレイ4から印刷後早くに取ることで、排紙トレイ4が空になるため、次のユーザが当該排紙トレイ4を使用できる。これにより、プリンタ100の使用効率が向上する。
【0037】
図6は、液晶表示パネルの表示例を示す説明図である。また、ステップS5において排紙トレイ4を選択した後、実際の印刷を保留しておき、ユーザが液晶表示パネル6の表示部60に設けた印刷実行ボタン61を押すことで印刷を実行してもよい。すなわち、液晶表示パネル6の印刷ジョブ表示64に表示された印刷ジョブにかかる印刷実行ボタン61をタッチすることで当該印刷を実行する。
【0038】
また、パスワードをキーボード62から入力後、印刷実行ボタン61をタッチすることで、印刷が実行されるようにしてもよい。このようにすれば、他人に見られたくない書類などを印刷するとき、急いでプリンタ100まで駆けつける必要がなくなる。パスワードは、印刷ジョブごとにパスワードを設定してもよい。具体的には、ユーザのコンピュータ150から印刷ジョブとともにプリンタ100に送信し、これを記憶装置20に一時記憶しておく。そして、当該印刷ジョブの印刷実行の際にこの印刷ジョブに対応するパスワードを入力する。また、ユーザごとに規定のパスワードを与えて記憶装置20に記憶しておき、当該ユーザの全ての印刷ジョブに共通のパスワードにしてもよい。なお、排紙トレイ4の選択前に印刷を保留しておき、パスワード入力後に排紙トレイ4を自動選択するようにしてもよい。
【0039】
また、このプリンタ100では、液晶表示パネル6に表示されている印刷ジョブを選択してキャンセル(印刷中止)ボタン63を押すことで、印刷ジョブをキャンセルできる。このため、実際に印刷した書類に不満足な場合等にプリンタ100の前で印刷ジョブを中止できるため、無駄な印刷を行わずに済む。
【0040】
以上のプリンタ100によれば、サインポール2によりユーザがプリンタ100の位置を認識できるので、オフィス内でプリンタ100を探し回るような事態を回避でき、その結果、オフィスの印刷環境を改善できる。また、空いている排紙トレイ4を選択して排紙するので、印刷待ち時間を短縮できる。更に、プリンタシステム160において、ビジー状態のプリンタ100は別のプリンタ100に印刷ジョブを転送して当該別のプリンタ100により印刷を行うので印刷待ち時間を短縮できる。
【0041】
また、前記複数の排紙トレイ4によりソーティングできる。制御装置16は、前記フラップ14を制御して同じ内容の書類を各排紙トレイ4に振り分けて排紙する。このようにすれば、必要部数の書類を簡単に用意できる。また、上記実施例では、サインポール2の点灯パターンとして、印刷ジョブの受信時に全ての色の点滅、排紙トレイ4の選択時に排紙トレイ4と同じ色の点灯、印刷終了時に排紙トレイ4と同じ色の高速点灯、としたが、これに限定されない。また、排紙トレイ4の数と点灯部3の数は同じで、色も同一であるとしたが、ユーザが判りやすければ数および色はこれに限定されない。
【実施例2】
【0042】
図7は、この発明の実施例2にかかるプリンタを示す斜視図である。このプリンタ200は、実施例1のプリンタ100と同一であるが、サインポール2の上部に情報表示部201を設けた点が異なる。その他の構成は実施例1と同一なので説明を省略する。なお、外観デザインは実施例1と異なり、筐体1が円筒形となっている。
【0043】
前記情報表示部201はケーキ形状になっており、その下面中央をサインポール2で支持しかつ側面にはLEDをマトリックス状に設けたLED表示パネル202が展開されている。このLED表示パネル202には、所望の情報が表示される。また、LED表示パネル202の代わりに、フレキシブル液晶や有機ELを用いて前記表示パネルを構成してもよい。
【0044】
この情報表示部201は、サインポール2と併用してもよいし、単独で用いてもよい。サインポール2と併用する場合、情報表示部201は、サインポール2の点灯内容に相当する内容を文字や数字等で表示する。たとえば、印刷ジョブを受け取ったとき、サインポール2の全ての色の点灯部3が点滅とともに、情報表示部201に「印刷ジョブ受信」等と表示する。なお、この表示内容は、全方位のユーザが読めるように周方向に回転する(図中回転方向を矢印で示す)。
【0045】
一方、情報表示部201のみを用いて報知する場合、たとえば印刷ジョブを受信したとき、当該情報表示部201に「印刷ジョブ受信」等と表示する。また、情報表示部201の全体を緑色に点滅させ、その後に具体的な内容を表示するようにしてもよい。情報表示部201には前記内容の他、様々な内容を表示できる。たとえば、印刷指令をしたユーザの名前、排紙トレイ、印刷状況、印刷終了、印刷待ち時間等である。また、オフィスのユーザ全体に何らかの報告事項がある場合、サインポール2を高速で点滅させる等の目立つ点滅方法を行い、これとともに前記報告事項を情報表示部201に表示する。
【0046】
このように、情報表示部201をサインポール2の上端に設けることで、詳細な印刷情報をユーザに提供できる。なお、上記サインポール2の代わりに単なる支持棒を用い、前記情報表示部201のみで報知を行うようにしてもよい。
【実施例3】
【0047】
図8は、この発明の実施例3にかかるプリンタを示す斜視図である。このプリンタ300は、実施例2のプリンタ200と同一であるが、サインポール2および情報表示部201の代わりにプロジェクタ301を用いた点が異なる。筐体1の上部には開閉可能な半球状の透明シールド302が設けられ、その中にプロジェクタ301が設けられている。このプロジェクタ301はアーム303により支持され、投射角度を自由に変更できる。
【0048】
図9は、このプリンタの使用状態を示す説明図である。図9に示すように、プロジェクタ301による画像Gはオフィスの天井Cに投射される。通常、オフィスの天井Cは白色でかつ十分な面積を持つため、プロジェクタ301による投影に好適である。なお、天井Cの他にオフィスの壁Wや柱P、スクリーン等に投射できる。このプロジェクタ301により、印刷ジョブの受信等の情報を示す画像を天井Cに投射することでユーザに報知する。プロジェクタ301は前記内容の他、様々な内容を表示できる。たとえば、印刷指令をしたユーザの名前、排紙トレイ、印刷状況、印刷終了、印刷待ち時間等である。表示方法は、色のみであってもよいし、文字や図形を表示してもよい。更に、動画を表示してもよい。
【0049】
また、プロジェクタ301によりオフィスが快適になるような画像や動画を投射してもよい。たとえば印刷ジョブがないときは、魚の遊泳や青空等を投影する。また、当該プリンタ300はネットワークでコンピュータに接続されているため、当該プリンタ300をプロジェクタとして用いることで、オフィス内で簡単なプレゼンテーションを行うことができる。なお、プロジェクタ301の代わりに複数の色を投射できるスポットライトを用いてもよい(図示省略)。この場合、複数色を用意することで、上記実施例1のサインポール2と実質的に同一の機能を持たせることができる。更に、図示しないが、上記実施例1のサインポール2、実施例2の情報表示部201(表示パネル)と併用してもよい。
【実施例4】
【0050】
図10は、この発明の実施例4にかかるプリンタを示す斜視図である。このプリンタ400は、実施例1のプリンタ100と同一であるが、排紙トレイ401を着脱式にした点が異なる。その他の構成は実施例1と同一なので説明を省略する。この排紙トレイ401は、各排紙口の下側に設けた差し込み穴402にその一端部401aを差し込んで固定する。
【0051】
一方、排紙トレイ401を引っ張り出せば、前記差し込み穴402から排紙トレイ401の一端部401aが抜けるので、当該排紙トレイ401を容易に抜くことができる。この排紙トレイ401は、色付きの透明アクリル板からなり、プリンタ400に差し込んでいるもの以外に、予備の排紙トレイ401が多数用意されている。なお、排紙トレイ401は、段ボール等の強度の高い紙製であってもよい。また、この排紙トレイ401は、書類がこぼれ落ち難いように、前記一端以外の三辺に縁403が設けられている。
【0052】
ユーザは、所望の排紙トレイ401に書類を排紙したとき、当該排紙トレイ401を引き抜いて持ち運ぶことができる。特に、大量の書類を印刷した場合、そのまま持ち運べるので大変便利である。また、上記ソーティング機能を用いて各排紙トレイ401に用紙を排紙した場合、排紙トレイ401ごと書類を持ち運ぶことができる。
【0053】
図11は、このプリンタの排紙トレイの別の例を示す斜視図である。この排紙トレイ405は、前記排紙トレイ401に板状の蓋406を設けたもので、この蓋406は排紙トレイ405の縁403にチョウバン407で取り付けられており、開閉自在になっている。蓋406の両側には、縁403に引っ掛けて蓋406を閉状態に保持するフック408が設けられている。この蓋406を閉じた状態で、前記プリンタ400の差し込み穴402に排紙トレイ405を差し込む。印刷された書類は、この蓋406を閉じた状態の排紙トレイ405の中に排紙され、ユーザは、この排紙トレイ405をプリンタ400から引き抜いてそのまま持ち運び、蓋406を開いて用紙を取り出す。なお、この排紙トレイ405には、取っ手となる穴409が設けられている。
【0054】
このようにすれば、排紙トレイ405により書類を運ぶときに当該書類が排紙トレイ405からこぼれ落ちるのを防止できる。また、排紙トレイ405を手に下げて持ち運べるので便利である。なお、蓋406の形状は書類がこぼれ落ちなければよいので、板状の蓋406以外に網状の蓋、スリットが入った蓋等を用いることができる。また、板状の蓋406は、排紙トレイ405と同様に色付きの透明板を用いるのが好ましい。
【実施例5】
【0055】
図12−1〜図12−3は、この発明の他の実施例を示す説明図である。この発明のプリンタには、次のような形態のものが含まれる。図12−1に示すプリンタ250は、実施例2のプリンタ200の情報表示部251を旗形状にしたものである。
【0056】
この情報表示部251はELディスプレイからなる。図12−2に示すプリンタ150は、実施例1に記載したプリンタ100のサインポール2の代わりに、円筒形のサイン筒151をちょうちん状に支持したものである。サイン筒151は4色の点灯部152を有する。図12−3に示すプリンタ260は、実施例2のプリンタ200に、サインボール261を設けたものである。サインボール261は天井Cから吊り下げられ、4色の点灯部262を有する。サインボール261は無線制御される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施例1にかかるプリンタを示す斜視図。
【図2】図1に示したプリンタの排紙機構を示す断面図。
【図3】図1に示したプリンタをオフィス内に複数設置した状態を示す説明図。
【図4】図1に示したプリンタの動作を示すフローチャート。
【図5】サインポールの点灯例を示す説明図。
【図6】液晶表示パネルの表示例を示す説明図。
【図7】この発明の実施例2にかかるプリンタを示す斜視図。
【図8】この発明の実施例3にかかるプリンタを示す斜視図。
【図9】図8に示したプリンタの使用状態を示す説明図。
【図10】この発明の実施例4にかかるプリンタを示す斜視図
【図11】図10に示したプリンタの排紙トレイの別の例を示す斜視図。
【図12−1】この発明の他の実施例を示す説明図。
【図12−2】この発明の他の実施例を示す説明図。
【図12−3】この発明の他の実施例を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
100 プリンタ、1 筐体、2 サインポール、3 点灯部、4 排紙トレイ、5 排紙口、6 液晶表示パネル
【技術分野】
【0001】
この発明は、主にオフィスで用いられる比較的大きなタイプのプリンタにかかり、当該プリンタのオフィスにおける使用環境を改善できるプリンタおよびプリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
比較的広いオフィスにおいて、パーソナルコンピュータは各人が保有しているが、プリンタについては共有であることが殆どである。多くの場合、20人以上で一台又は複数のプリンタを共有する。かかるオフィス環境においては、印刷時にプリンタの状態が判らないという問題がある。たとえば、プリンタがどの程度の印刷待ち状態であるか判らず、あるいはプリンタが何を印刷しているのか、プリンタのそばに居てもよく判らない。次は自分の書類が印刷されると思って待っていても、他人の書類が印刷されてくるという状況はよくあることである。
【0003】
また、複数のプリンタが設置されている場合、いずれのプリンタから印刷されるのかよく判らないという問題がある。通常、ドライバにはプリンタの番号のみが表示され、当該プリンタがどこに位置するのかはよく判らないことが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オフィスの印刷環境を向上できるプリンタおよびプリンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明にかかるプリンタは、発光、文字表示その他のサインにより、ユーザに対して印刷にかかるプリンタを視認させる報知手段を有することを特徴とする。
【0006】
プリンタを示すサインをユーザに視認させれば、ユーザはオフィス内のプリンタの位置を把握できる。このため、プリンタを探す手間が省けて業務効率が上がる。
【0007】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ複数の色の点灯部を有するサインポールであることを特徴とする。
【0008】
サインポールを点灯させることで、ユーザはプリンタの位置を認識できる。サインポールはオフィス内で視認容易な高さを有する。たとえば、少なくともオフィス内の机の高さより高く、好ましくは着座している人の高さより高く設定する。サインポールにより報知すれば、周囲360度に報知できかつ構造を簡単にできる。
【0009】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ文字等を表示できる表示パネルを含むことを特徴とする。
【0010】
表示パネルによりプリンタ上方で文字等を表示することで、ユーザはプリンタの位置等を認識できる。表示パネルはオフィス内で視認容易な高さを有する。たとえば、少なくともオフィス内の机の高さより高く、好ましくは着座している人の高さより高く設定する。表示パネルにより報知することで、より多くの情報をユーザに提供できる。また、サインポールと併用することもできる。
【0011】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段は、画像や文字等を表示できるプロジェクタを含むことを特徴とする。
【0012】
プロジェクタにより画像や文字等を表示することで、ユーザはプリンタの位置等を認識できる。プロジェクタにより報知することで、より多くの情報をユーザに提供できる。また、報知面積が大きくなるので、ユーザが視認しやすい。更に、サインポールや表示パネルと併用してもよい。
【0013】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、前記報知手段による報知内容には、印刷終了、印刷渋滞または排紙トレイに関する情報が含まれることを特徴とする。
【0014】
印刷終了、印刷渋滞または排紙トレイに関する情報を報知することでユーザはプリンタから離れたところで、それらの情報を得ることができる。
【0015】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、印刷ジョブを受信した状態で、プリンタに設けた入力手段から所定の内容を入力し、印刷を実行することを特徴とする。
【0016】
すなわち、印刷ジョブを受信した場合、当該印刷を一時保留しておき、キーボード等の入力手段から所定内容(たとえばパスワード)を入力することで印刷を実行できるようにする。このようにすれば、印刷した書類を他人に見られ難いので、プリンタまで急いで駆けつける必要がない。
【0017】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、印刷実行中に、プリンタに設けた中止ボタンを押すことで印刷を中止することを特徴とする。
【0018】
すなわち、印刷中に当該印刷を中止できるようにすれば、不満足な書類が印刷されているとき等に直ちに中止できる。
【0019】
また、この発明にかかるプリンタは、上記発明において、プリンタの排紙トレイに設けたセンサにより排紙トレイ上の書類を検出する検出手段を有し、この検出手段により書類が一定期間排紙トレイ上にあることを検出した場合、その旨を前記報知手段によりユーザに報知することを特徴とする。
【0020】
一定期間排紙トレイ上に書類があるということは、ユーザが書類を放置しているか忘れている等の原因が考えられ、そのとき、報知手段によりユーザにその旨を報知し、書類を取ることを促す。これにより、次のユーザが早い時期に印刷の機会を得られる。
【0021】
また、この発明にかかるプリンタシステムは、複数の上記プリンタが ネットワークによりコンピュータに接続されており、当該コンピュータから送信した印刷ジョブを受信した一つのプリンタは、印刷渋滞などの所定条件に基づいて前記印刷ジョブを別のプリンタに転送するとともに、その旨を発光、文字表示その他のサインにより当該別のプリンタの報知手段からユーザに報知することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、印刷するプリンタが別のものになっても、報知手段によりその旨を報知するので、ユーザはプリンタの位置を把握できる。このため、プリンタを探す手間が省けて業務効率が上がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0024】
図1は、この発明の実施例1にかかるプリンタを示す斜視図である。図2は、図1に示したプリンタの排紙機構を示す断面図である。このプリンタ100は、箱型の筐体1の上部にサインポール2が設けられており、このサインポール2は、赤、青、黄、緑の複数色の点灯部3を有する。この点灯部3は、電球、LED、EL等の光源を有する。サインポール2は、オフィス内にて離れた場所から視認しやすいように、たとえば120cmから200cmの高さとするのが好ましい。
【0025】
また、箱型の筐体1には、複数の排紙トレイ4が縦方向に連設されており、更に各排紙トレイ4ごとに排紙口5が設けられている。筐体1上部には液晶表示パネル6が設けられている。この液晶表示パネル6は、画面サイズが8インチから15インチ程度である。液晶表示パネル6には所定の印刷ステイタスが表示される。
【0026】
前記各排紙トレイ4は、ユーザが自分の書類を複数の排紙トレイ4から見つけやすいように、それぞれ異なる色を付けた透明アクリル板からなる。具体的には前記排紙トレイ4の色は、赤、青、黄、緑からなる。筐体1の下方には、用紙を供給する給紙トレイ7が複数設けられている。なお、プリンタ100の下面にはキャスターが設けられる(図示省略)。サインポール2のサインである、点灯させる点灯部3およびその組合せには、所定の意味を含ませる。たとえば、各色は該当する色の排紙トレイ4、全部の点灯は印刷ジョブの受信、全部の点滅は印刷終了、ランダムな点灯は印刷渋滞、などである。
【0027】
図2に示すように、この筐体1内の後部には4つの異なる排紙口5に至る排紙パス10が設けられている。この排紙パス10は、上下方向に設けた主排紙パス11と、用紙を送るための複数の送りローラ12と、主排紙パス11から各排紙口5に至る湾曲部排紙パス13と、この湾曲部排紙パス13の入口に設けた排紙方向を選択する複数のフラップ14と、を備えている。また、各排紙トレイ4の下面には、用紙の有無を検知するセンサ15が設けられている。
【0028】
また、このプリンタ100は、サインポール2の点灯や排紙口5の選択等の制御を行う制御装置16と、サインポール2の点灯を行うコントローラ17と、各フラップ14を駆動する駆動装置18と、液晶表示パネル6の表示を行うための表示ドライバ19と、印刷ジョブの内容を一時記憶する記憶装置20とを備えている。
【0029】
図3は、このプリンタをオフィス内に複数設置した状態を示す説明図である。図4は、このプリンタの動作を示すフローチャートである。図5は、サインポールの点灯例を示す説明図である。オフィス内には上記図1および図2に示したプリンタ100が複数設置されている。各プリンタ100はLANによりオフィス内のコンピュータ150と接続されてプリンタシステム160を構成する。
【0030】
また、各プリンタ100は、オフィス内にて互いに離れた場所に設置されており、各プリンタ100の前記サインポール2は、オフィスの殆どの場所から視認できる。まず、ユーザは、自分のコンピュータ150から任意のプリンタ100に対して印刷指令を行う(ステップS1)。コンピュータ150に複数のプリンタ100を接続している場合、プリンタドライバにはプリンタ100の機種と番号が表示されるが、実際にどのプリンタ100が印刷を実行するのか判り難いことが多い。すなわち、プリンタドライバに表示された番号を有するプリンタ100をユーザ自身がオフィス内で見つけなければならない。プリンタ100を移動させた場合には、より一層プリンタ100の位置が判り難くなる。
【0031】
そこで、このプリンタ100は、印刷ジョブを受け取るとともにビジー状態か否かを判断し(ステップS2)、続いて、プリンタの位置を報知するため、前記受信した印刷ジョブに基づいてサインポール2を点灯させる(ステップS3)。たとえば、図5の「a」に示すように、サインポール2の全ての色の点灯部3を点滅させる。前記点灯部3の点灯および色の組合せは、図示しないROM等の主記憶装置に記憶されたプログラムに従い、制御装置16により制御する。ユーザはこの点灯部3の点滅を視認することで、印刷にかかるプリンタ100がどこに位置しているのか知ることができる。このため、ユーザがプリンタ100を探し回ることがなくなり、オフィスの業務効率が向上する。
【0032】
一方、印刷するプリンタ100は、前記プリンタドライバの画面上でユーザが指定するが、当該指定したプリンタ100がビジーの場合(ステップS2:Yes)、自動的に別のプリンタ100に印刷ジョブを送信(転送)する(ステップS4)。この場合、印刷ジョブの受け取りに基づいて当該別のプリンタ100のサインポール2が点灯し、ユーザに印刷を行うプリンタ100の位置を報知する。
【0033】
ユーザは、このサインポール2を視認して印刷されるプリンタ100を認知する。すなわち、ユーザは、報知にかかるプリンタ100が印刷を実行する旨を認知する。このとき、コンピュータ150の画面上において、要求と異なるプリンタ100が選択された旨の報知を行うようにしてもよい。このように、印刷待ちのないプリンタ100を自動選択して印刷することで、オフィスの業務効率を向上できる。
【0034】
続いて、印刷するプリンタ100が確定した後、排紙するトレイが選択される(ステップS5)。まず、前記制御装置16は、センサ15の出力信号に基づき、各排紙トレイ4に書類が存在するか否かを判断する。そして、制御装置16は、空いている排紙トレイ4を認識し、駆動装置18により前記フラップ14を駆動し、当該排紙トレイ4にかかる排紙口5の湾曲部排紙パス13に切り換える。また、制御装置16は、選択された排紙トレイ4の色の点灯部3を点灯させる。たとえば、赤色の排紙トレイ4が選択された場合、図5の「b」に示すように、サインポール2の赤色の点灯部3を点灯する。なお、空いている排紙トレイ4が複数ある場合、上から順番に排紙トレイ4を選択するのが好ましい。
【0035】
液晶表示パネル6には、排紙する排紙トレイ4(たとえば排紙トレイ4の色を表示する)、印刷ジョブの内容、印刷状況が表示される。ここで、印刷ジョブの内容には、ユーザ名、印刷する書類の内容が含まれる。また、印刷状況には、終了枚数、残枚数、待ち時間が含まれる。このため、ユーザがプリンタ100の前にいても印刷状況を把握できる。
【0036】
排紙トレイ4が選択されたら、印刷を実行する(ステップS6)。排紙が終了したら、サインポール2により当該排紙終了をユーザに報知する。たとえば、図5の「c」に示すように、印刷時に点灯した色と同じ色の点灯部3を、高速かつ所定時間点滅させる。また、ユーザのコンピュータ150に印刷終了の情報を送信するようにしてもよい。プリンタ100が印刷終了を報知することで、ユーザが何時書類を取りに行けばよいか判断できるので、プリンタ100の前で待っていたり、書類を放置したりするような事態を回避できる。また、ユーザが書類を排紙トレイ4から印刷後早くに取ることで、排紙トレイ4が空になるため、次のユーザが当該排紙トレイ4を使用できる。これにより、プリンタ100の使用効率が向上する。
【0037】
図6は、液晶表示パネルの表示例を示す説明図である。また、ステップS5において排紙トレイ4を選択した後、実際の印刷を保留しておき、ユーザが液晶表示パネル6の表示部60に設けた印刷実行ボタン61を押すことで印刷を実行してもよい。すなわち、液晶表示パネル6の印刷ジョブ表示64に表示された印刷ジョブにかかる印刷実行ボタン61をタッチすることで当該印刷を実行する。
【0038】
また、パスワードをキーボード62から入力後、印刷実行ボタン61をタッチすることで、印刷が実行されるようにしてもよい。このようにすれば、他人に見られたくない書類などを印刷するとき、急いでプリンタ100まで駆けつける必要がなくなる。パスワードは、印刷ジョブごとにパスワードを設定してもよい。具体的には、ユーザのコンピュータ150から印刷ジョブとともにプリンタ100に送信し、これを記憶装置20に一時記憶しておく。そして、当該印刷ジョブの印刷実行の際にこの印刷ジョブに対応するパスワードを入力する。また、ユーザごとに規定のパスワードを与えて記憶装置20に記憶しておき、当該ユーザの全ての印刷ジョブに共通のパスワードにしてもよい。なお、排紙トレイ4の選択前に印刷を保留しておき、パスワード入力後に排紙トレイ4を自動選択するようにしてもよい。
【0039】
また、このプリンタ100では、液晶表示パネル6に表示されている印刷ジョブを選択してキャンセル(印刷中止)ボタン63を押すことで、印刷ジョブをキャンセルできる。このため、実際に印刷した書類に不満足な場合等にプリンタ100の前で印刷ジョブを中止できるため、無駄な印刷を行わずに済む。
【0040】
以上のプリンタ100によれば、サインポール2によりユーザがプリンタ100の位置を認識できるので、オフィス内でプリンタ100を探し回るような事態を回避でき、その結果、オフィスの印刷環境を改善できる。また、空いている排紙トレイ4を選択して排紙するので、印刷待ち時間を短縮できる。更に、プリンタシステム160において、ビジー状態のプリンタ100は別のプリンタ100に印刷ジョブを転送して当該別のプリンタ100により印刷を行うので印刷待ち時間を短縮できる。
【0041】
また、前記複数の排紙トレイ4によりソーティングできる。制御装置16は、前記フラップ14を制御して同じ内容の書類を各排紙トレイ4に振り分けて排紙する。このようにすれば、必要部数の書類を簡単に用意できる。また、上記実施例では、サインポール2の点灯パターンとして、印刷ジョブの受信時に全ての色の点滅、排紙トレイ4の選択時に排紙トレイ4と同じ色の点灯、印刷終了時に排紙トレイ4と同じ色の高速点灯、としたが、これに限定されない。また、排紙トレイ4の数と点灯部3の数は同じで、色も同一であるとしたが、ユーザが判りやすければ数および色はこれに限定されない。
【実施例2】
【0042】
図7は、この発明の実施例2にかかるプリンタを示す斜視図である。このプリンタ200は、実施例1のプリンタ100と同一であるが、サインポール2の上部に情報表示部201を設けた点が異なる。その他の構成は実施例1と同一なので説明を省略する。なお、外観デザインは実施例1と異なり、筐体1が円筒形となっている。
【0043】
前記情報表示部201はケーキ形状になっており、その下面中央をサインポール2で支持しかつ側面にはLEDをマトリックス状に設けたLED表示パネル202が展開されている。このLED表示パネル202には、所望の情報が表示される。また、LED表示パネル202の代わりに、フレキシブル液晶や有機ELを用いて前記表示パネルを構成してもよい。
【0044】
この情報表示部201は、サインポール2と併用してもよいし、単独で用いてもよい。サインポール2と併用する場合、情報表示部201は、サインポール2の点灯内容に相当する内容を文字や数字等で表示する。たとえば、印刷ジョブを受け取ったとき、サインポール2の全ての色の点灯部3が点滅とともに、情報表示部201に「印刷ジョブ受信」等と表示する。なお、この表示内容は、全方位のユーザが読めるように周方向に回転する(図中回転方向を矢印で示す)。
【0045】
一方、情報表示部201のみを用いて報知する場合、たとえば印刷ジョブを受信したとき、当該情報表示部201に「印刷ジョブ受信」等と表示する。また、情報表示部201の全体を緑色に点滅させ、その後に具体的な内容を表示するようにしてもよい。情報表示部201には前記内容の他、様々な内容を表示できる。たとえば、印刷指令をしたユーザの名前、排紙トレイ、印刷状況、印刷終了、印刷待ち時間等である。また、オフィスのユーザ全体に何らかの報告事項がある場合、サインポール2を高速で点滅させる等の目立つ点滅方法を行い、これとともに前記報告事項を情報表示部201に表示する。
【0046】
このように、情報表示部201をサインポール2の上端に設けることで、詳細な印刷情報をユーザに提供できる。なお、上記サインポール2の代わりに単なる支持棒を用い、前記情報表示部201のみで報知を行うようにしてもよい。
【実施例3】
【0047】
図8は、この発明の実施例3にかかるプリンタを示す斜視図である。このプリンタ300は、実施例2のプリンタ200と同一であるが、サインポール2および情報表示部201の代わりにプロジェクタ301を用いた点が異なる。筐体1の上部には開閉可能な半球状の透明シールド302が設けられ、その中にプロジェクタ301が設けられている。このプロジェクタ301はアーム303により支持され、投射角度を自由に変更できる。
【0048】
図9は、このプリンタの使用状態を示す説明図である。図9に示すように、プロジェクタ301による画像Gはオフィスの天井Cに投射される。通常、オフィスの天井Cは白色でかつ十分な面積を持つため、プロジェクタ301による投影に好適である。なお、天井Cの他にオフィスの壁Wや柱P、スクリーン等に投射できる。このプロジェクタ301により、印刷ジョブの受信等の情報を示す画像を天井Cに投射することでユーザに報知する。プロジェクタ301は前記内容の他、様々な内容を表示できる。たとえば、印刷指令をしたユーザの名前、排紙トレイ、印刷状況、印刷終了、印刷待ち時間等である。表示方法は、色のみであってもよいし、文字や図形を表示してもよい。更に、動画を表示してもよい。
【0049】
また、プロジェクタ301によりオフィスが快適になるような画像や動画を投射してもよい。たとえば印刷ジョブがないときは、魚の遊泳や青空等を投影する。また、当該プリンタ300はネットワークでコンピュータに接続されているため、当該プリンタ300をプロジェクタとして用いることで、オフィス内で簡単なプレゼンテーションを行うことができる。なお、プロジェクタ301の代わりに複数の色を投射できるスポットライトを用いてもよい(図示省略)。この場合、複数色を用意することで、上記実施例1のサインポール2と実質的に同一の機能を持たせることができる。更に、図示しないが、上記実施例1のサインポール2、実施例2の情報表示部201(表示パネル)と併用してもよい。
【実施例4】
【0050】
図10は、この発明の実施例4にかかるプリンタを示す斜視図である。このプリンタ400は、実施例1のプリンタ100と同一であるが、排紙トレイ401を着脱式にした点が異なる。その他の構成は実施例1と同一なので説明を省略する。この排紙トレイ401は、各排紙口の下側に設けた差し込み穴402にその一端部401aを差し込んで固定する。
【0051】
一方、排紙トレイ401を引っ張り出せば、前記差し込み穴402から排紙トレイ401の一端部401aが抜けるので、当該排紙トレイ401を容易に抜くことができる。この排紙トレイ401は、色付きの透明アクリル板からなり、プリンタ400に差し込んでいるもの以外に、予備の排紙トレイ401が多数用意されている。なお、排紙トレイ401は、段ボール等の強度の高い紙製であってもよい。また、この排紙トレイ401は、書類がこぼれ落ち難いように、前記一端以外の三辺に縁403が設けられている。
【0052】
ユーザは、所望の排紙トレイ401に書類を排紙したとき、当該排紙トレイ401を引き抜いて持ち運ぶことができる。特に、大量の書類を印刷した場合、そのまま持ち運べるので大変便利である。また、上記ソーティング機能を用いて各排紙トレイ401に用紙を排紙した場合、排紙トレイ401ごと書類を持ち運ぶことができる。
【0053】
図11は、このプリンタの排紙トレイの別の例を示す斜視図である。この排紙トレイ405は、前記排紙トレイ401に板状の蓋406を設けたもので、この蓋406は排紙トレイ405の縁403にチョウバン407で取り付けられており、開閉自在になっている。蓋406の両側には、縁403に引っ掛けて蓋406を閉状態に保持するフック408が設けられている。この蓋406を閉じた状態で、前記プリンタ400の差し込み穴402に排紙トレイ405を差し込む。印刷された書類は、この蓋406を閉じた状態の排紙トレイ405の中に排紙され、ユーザは、この排紙トレイ405をプリンタ400から引き抜いてそのまま持ち運び、蓋406を開いて用紙を取り出す。なお、この排紙トレイ405には、取っ手となる穴409が設けられている。
【0054】
このようにすれば、排紙トレイ405により書類を運ぶときに当該書類が排紙トレイ405からこぼれ落ちるのを防止できる。また、排紙トレイ405を手に下げて持ち運べるので便利である。なお、蓋406の形状は書類がこぼれ落ちなければよいので、板状の蓋406以外に網状の蓋、スリットが入った蓋等を用いることができる。また、板状の蓋406は、排紙トレイ405と同様に色付きの透明板を用いるのが好ましい。
【実施例5】
【0055】
図12−1〜図12−3は、この発明の他の実施例を示す説明図である。この発明のプリンタには、次のような形態のものが含まれる。図12−1に示すプリンタ250は、実施例2のプリンタ200の情報表示部251を旗形状にしたものである。
【0056】
この情報表示部251はELディスプレイからなる。図12−2に示すプリンタ150は、実施例1に記載したプリンタ100のサインポール2の代わりに、円筒形のサイン筒151をちょうちん状に支持したものである。サイン筒151は4色の点灯部152を有する。図12−3に示すプリンタ260は、実施例2のプリンタ200に、サインボール261を設けたものである。サインボール261は天井Cから吊り下げられ、4色の点灯部262を有する。サインボール261は無線制御される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施例1にかかるプリンタを示す斜視図。
【図2】図1に示したプリンタの排紙機構を示す断面図。
【図3】図1に示したプリンタをオフィス内に複数設置した状態を示す説明図。
【図4】図1に示したプリンタの動作を示すフローチャート。
【図5】サインポールの点灯例を示す説明図。
【図6】液晶表示パネルの表示例を示す説明図。
【図7】この発明の実施例2にかかるプリンタを示す斜視図。
【図8】この発明の実施例3にかかるプリンタを示す斜視図。
【図9】図8に示したプリンタの使用状態を示す説明図。
【図10】この発明の実施例4にかかるプリンタを示す斜視図
【図11】図10に示したプリンタの排紙トレイの別の例を示す斜視図。
【図12−1】この発明の他の実施例を示す説明図。
【図12−2】この発明の他の実施例を示す説明図。
【図12−3】この発明の他の実施例を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
100 プリンタ、1 筐体、2 サインポール、3 点灯部、4 排紙トレイ、5 排紙口、6 液晶表示パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光、文字表示その他のサインにより、ユーザに対して印刷にかかるプリンタを視認させる報知手段を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ複数の色の点灯部を有するサインポールであることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ文字等を表示できる表示パネルを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記報知手段は、画像や文字等を表示できるプロジェクタを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記報知手段による報知内容には、印刷終了、印刷渋滞または排紙トレイに関する情報が含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項6】
印刷ジョブを受信した状態で、プリンタに設けた入力手段から所定の内容を入力し、印刷を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項7】
印刷実行中に、プリンタに設けた中止ボタンを押すことで印刷を中止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項8】
プリンタの排紙トレイに設けたセンサにより排紙トレイ上の書類を検出する検出手段を有し、
この検出手段により書類が一定期間排紙トレイ上にあることを検出した場合、その旨を前記報知手段によりユーザに報知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項9】
上記請求項1〜8のいずれか一つに記載した複数のプリンタがネットワークによりコンピュータに接続されており、当該コンピュータから送信した印刷ジョブを受信した一つのプリンタは、印刷渋滞などの所定条件に基づいて前記印刷ジョブを別のプリンタに転送するとともに、その旨を発光、文字表示その他のサインにより当該別のプリンタの報知手段からユーザに報知することを特徴とするプリンタシステム。
【請求項1】
発光、文字表示その他のサインにより、ユーザに対して印刷にかかるプリンタを視認させる報知手段を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ複数の色の点灯部を有するサインポールであることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記報知手段は、プリンタの上方に設けられかつ文字等を表示できる表示パネルを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記報知手段は、画像や文字等を表示できるプロジェクタを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記報知手段による報知内容には、印刷終了、印刷渋滞または排紙トレイに関する情報が含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項6】
印刷ジョブを受信した状態で、プリンタに設けた入力手段から所定の内容を入力し、印刷を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項7】
印刷実行中に、プリンタに設けた中止ボタンを押すことで印刷を中止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項8】
プリンタの排紙トレイに設けたセンサにより排紙トレイ上の書類を検出する検出手段を有し、
この検出手段により書類が一定期間排紙トレイ上にあることを検出した場合、その旨を前記報知手段によりユーザに報知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のプリンタ。
【請求項9】
上記請求項1〜8のいずれか一つに記載した複数のプリンタがネットワークによりコンピュータに接続されており、当該コンピュータから送信した印刷ジョブを受信した一つのプリンタは、印刷渋滞などの所定条件に基づいて前記印刷ジョブを別のプリンタに転送するとともに、その旨を発光、文字表示その他のサインにより当該別のプリンタの報知手段からユーザに報知することを特徴とするプリンタシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12−1】
【図12−2】
【図12−3】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12−1】
【図12−2】
【図12−3】
【公開番号】特開2006−1085(P2006−1085A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178390(P2004−178390)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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