プリンタ及び印刷制御方法
【課題】フレーム印刷等の機能を用いて印刷する際に、ユーザが印画環境に適した色を選択するようにして、画質品位が高い画質で印画可能としたプリンタを提供する。
【解決手段】サーマルプリンタのモード選択操作部で、画像データの一部と、レイアウトの領域とを含む合成画像として印画される合成可能モード処理を選択した際に、環境検知部で取得した印画環境に関する情報に基づいて、表示部が印画環境に適した色の範囲を示す色選択部の表示を行う。ユーザは、彩色選択操作部を操作して表示部に表示された色選択部により所望の色を選択する。画像処理部は、画像データの一部と、彩色選択操作部で選択された色で彩色されたレイアウトの領域を含む合成画像データを生成し、これに基づいて印画環境に適した色により画質品位が高い画質で印刷する。
【解決手段】サーマルプリンタのモード選択操作部で、画像データの一部と、レイアウトの領域とを含む合成画像として印画される合成可能モード処理を選択した際に、環境検知部で取得した印画環境に関する情報に基づいて、表示部が印画環境に適した色の範囲を示す色選択部の表示を行う。ユーザは、彩色選択操作部を操作して表示部に表示された色選択部により所望の色を選択する。画像処理部は、画像データの一部と、彩色選択操作部で選択された色で彩色されたレイアウトの領域を含む合成画像データを生成し、これに基づいて印画環境に適した色により画質品位が高い画質で印刷する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて印刷するプリンタ及び印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙とインクを媒体として画像を出力するプリンタでは、デジタルカメラ等で撮像された画像をフレームなどに嵌め込み印画する機能を搭載したものがある。
【0003】
このようなプリンタでは、ユーザが、表示機能を利用してフレームの色をいくつかの選択肢から選択し、ユーザが選択した色でフレームをプリントすることを可能とするものの開発が進められている。
【0004】
また、従来のプリンタでは、フレーム等の特殊な印刷方法にとらわれず、画像の色をユーザが自由に変更できるようにする色調整装置を備えたものが提案されている。この色調整装置を搭載したプリンタでは、ユーザが、表示画面に表示される色相環の表示を利用して画像の色相を指定することにより、ユーザが所望の色の画像をプリントさせることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−27052
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サーマルヘッドによりインクリボンを熱昇華させることにより染料面の印画が行なわれるサーマルプリンタに、従来の色調整装置を搭載することを考えると、以下のような画質品位劣化を起こすことが懸念される。
【0007】
例えばユーザが色を選択し、かつ印画時の環境が低温低湿(低温少湿)環境の場合には、ユーザの選択した色のYUV値におけるY値が高い、つまり色が薄い場合には、その色が印画された箇所でかすれを生じ易くなる。
【0008】
また、高温高湿(高温多湿)環境の場合には、ユーザの選択した色のYUV値におけるY値が低い、つまり色が濃い場合に、その色が印画された箇所に皺が発生し易くなるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、印画環境に適した色をユーザが選択可能とすることにより、画質品位が高い画質で印画できるようにする、プリンタ及び印刷制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のプリンタは、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて印刷するプリンタにおいて、画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択手段と、印画環境に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択手段により選択可能な色を制限する制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の印刷制御方法は、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて画像を印刷するための印刷制御方法であって、画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択ステップと、印画環境に関する情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択ステップにより選択可能な色を制限する制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印画環境に適した色を選択可能とすることにより、画質品位が高い画質で印画できるようにしたプリンタ及び印刷制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)(B)は、本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタを示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタの側面ドアを開けた状態の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタの構成を例示するブロック図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおいて、一般画像との合成の形式を選択するためのユーザインタフェース表示の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、一般画像との合成における背景色を選択するためのユーザインタフェース表示の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、環境と背景色選択パターンの関係を示す説明図である。
【図7】(A)(B)(C)は、本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のパターンを示す説明図である。
【図8】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のユーザインタフェース表示の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のユーザインタフェース表示での警告を示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、合成画像の一例と各方向ライン数の関係を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、合成画像に嵌め込む一般画像の画像データに関する条件を示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択にあたり参照する印画環境のパターンを示す説明図である。
【図13】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のパターンを決定するための画像データ印画環境の条件を示す説明図である。
【図14】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択パターンを示す説明図である。
【図15】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタで実行される、合成可能モード処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施の形態)
以下、本発明の第1実施の形態について図1乃至図9及び図15を参照しながら説明する。
【0015】
図1(a)のサーマルプリンタ(昇華型プリンタ)の概略構成説明図において、201は、用紙カセットであり、記録紙Pが積載されている。このサーマルプリンタは、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドで熱溶融又は昇華させて記録媒体に印刷するプリンタである。このサーマルプリンタで印刷動作を行う場合には、用紙カセット201に積載されている記録紙Pの束から給紙ローラ202と分離部材203により最上層の記録紙だけを分離する。そして、分離された一葉の記録紙Pは、サーマルヘッド204とプラテンローラ205の部所へ搬送される。
【0016】
このサーマルプリンタ(昇華型プリンタ)では、記録紙Pに1色目のインクシート206を重ねた状態にしてサーマルヘッド204とプラテンローラ205とで圧接する。これと共に、このサーマルプリンタでは、印画方向下流に設けた1対のキャプスタンローラ207とピンチローラ208との間に記録紙Pを挟持した状態で転接することにより、記録紙Pを搬送させる。
【0017】
このサーマルプリンタでは、上述のようにして記録紙Pを搬送しながらサーマルヘッド204を発熱制御して1色目のインクシート206上のインクを記録紙P上に熱転写させる。
【0018】
次に、このサーマルプリンタでは、図1(b)に示すように、1色目の印画を終えた後に次色の印画を行うため、サーマルヘッド204の圧接を開放する。そして、このサーマルプリンタでは、キャプスタンローラ207とピンチローラ208を印刷動作時とは逆方向に回転させて、記録紙Pを印刷開始位置まで戻す。次に、このサーマルプリンタでは、上述した1色目と同様の動作で2色目以降を印画する。このようにしてこのサーマルプリンタでは、イエロー・マゼンタ・シアンの3色を重ねてフルカラー印刷を行う。
【0019】
また、このサーマルプリンタでは、図2のサーマルプリンタの全体外観図に示すように、側面ドア1を開けることによりインクシート挿入口4からインクシート206を挿入可能に構成されている。このサーマルプリンタでは、用紙カセット挿入口蓋5を開けて用紙カセット201を挿入可能に構成されている。
【0020】
このサーマルプリンタは、印画したい画像のデータが記録されたメディアを挿入するためのメディア挿入部6を備える。
【0021】
このサーマルプリンタは、その上面部に表示部2が配置されている。この表示部2には、電源部が起動された際にプリンタ本体のステータスが表示される。ここで、ステータスとは、メディア挿入部6に挿入されたメディアに記録された画像データの有無、用紙カセット201又はインクシート206の挿入有無等である。
【0022】
このサーマルプリンタでは、表示部2がタッチパネル機能又はタッチペン機能を具備する。このサーマルプリンタは、操作部3を備える。操作部3は、電源のOn/OFF、画像の選択、印刷設定、印刷コマンド送信の指令を入力する機能を備える。
【0023】
このサーマルプリンタでは、ユーザが、操作部3を操作して電源をON状態とし、表示部2を操作して印刷の設定を行うように構成されている。
【0024】
このサーマルプリンタでは、図3に示す各部及びサーマルプリンタ全般に関連する種々の制御(印刷制御)が、単数若しくは複数のブロックで制御され又は個々に専用のブロックで制御されるように構成しても良い。
【0025】
このサーマルプリンタの印刷制御では、画像処理部36によって、印画したい画像データをCMYベースのデータに変換し、画像補正を行う。画像処理部36では、画像データと、レイアウトのための合成領域やフレーム画像、スタンプ画像等とを合成し、合成画像データを生成する合成処理も行う。この画像処理部36で生成される合成画像データを生成する際には、合成領域やフレーム画像、スタンプ画像の色は、背景色選択画面で選択された色で彩色されたものである。
【0026】
このサーマルプリンタの印刷制御では、環境検知部31により、プリンタ本体が置かれ印画が実行される環境を取得(検出)し、取得した印画環境(印刷環境)に関する情報を記憶部35に蓄積する。この環境検知部31は、プリンタ本体内の基板等に実装された温度センサ及び湿度センサを備える。このサーマルプリンタでは、環境に関する情報を、環境検知部31が検知した温度と湿度としている。
【0027】
このサーマルプリンタは、ユーザが操作して、電源のオンオフをはじめ印画に関する設定を行うための操作部34を備える。この操作部34は、画像データの一部と、レイアウトの領域とを含む合成画像として印画される合成可能モード処理を選択可能とすることが可能である。また、ユーザは表示部の背景色選択画面を見ながら、この操作部34を操作することにより、所望の色を選択することができる。
【0028】
このサーマルプリンタは、操作部34により電源がオンの状態とされたときに、表示部37を起動し、印画に関する情報等を表示するよう構成されている。このサーマルプリンタでは、ユーザが操作部34と、表示部37とから入力した印画条件(印刷の設定)の指令に基づいて、ヘッド制御部33がサーマルヘッド204を駆動制御する。
【0029】
このサーマルプリンタでは、ユーザが選択したレイアウトパターンで画像を合成したり、画像にフレームやカレンダー等を合成して印刷したりする合成機能を備える。このような合成モードを選択した場合の動作について、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
ユーザが合成モードを選択するまで待機し(ステップS1でNO)、このモードが選択された際に、処理が開始される(ステップS1でYES)。この合成モード処理は、画像データと、レイアウト用のテンプレートやフレーム画像やスタンプ画像とをとを合成した合成画像として印画する処理である。
【0031】
この合成可能モード処理が開始すると、表示部37は、表示部2に、図4に例示するようなユーザが印画したい画像を嵌め込むために用いる各種のレイアウト用パターン(テンプレート)や吹き出し等のスタンプ画像の候補の表示を行う(ステップS2)。
【0032】
次に、ユーザが印画したい画像を嵌め込みたいレイアウトのパターンを選択すると、表示部37は、各パターンからより細分化されたレイアウトを選択できるようにする。この細分化されたレイアウトは、それぞれ色、形状などが異なるものである。表示された複数のレイアウトパターンまたはスタンプ画像の中から、ユーザから所望のレイアウトパターンまたはスタンプ画像が選択されたら(ステップS3)、次に、表示部37は、背景色選択画面を表示するための表示処理を実行する。この表示処理は、表示部2に、図5に例示するレイアウトの背景部分の背景色またはスタンプの色を選択するための色選択画面を表示するための処理である。
【0033】
この図5に例示した色を選択するための表示では、いわゆる色立体の如く、各色を3次元の座標で特定できるように現わしたものである。この図5に示す色を選択するための立体的表示では、Lが色彩の輝度、aと、bとが色味を示す。なお、L値は、数値が大きいほど明るく、小さいほど暗い。a値は、数値が正方向に大きいほど赤みが強い色になり、小さいほど緑味が強い色になる。b値は、数値が正方向に大きいほど黄色味が強い色になり、小さいほど青みが強い色になる。
【0034】
この図5に例示した色を選択するための表示では、ユーザが、指もしくはタッチペンを用いてレイアウト背景色やスタンプ画像の背景色として所望の色を選択可能に設定されている。また、レイアウトやスタンプだけでなく、画像に合成するフレーム画像の色を同様の方法で選択可能にしても良い。
【0035】
この色を選択するための表示処理を開始するにあたって、環境検知部31は、プリンタ本体が設置されている環境に関するデータを検出する(ステップS4)。そして、表示部37は、図6に示すマトリクス上の符号に対応して表示パターンを図7に例示するように可変させる(ステップS5)。なお、図7では、背景色選択画面の表示パターン例を3種類としてあるが、パターン数は、これに限られるものでは無い。
【0036】
この図7に例示するものでは、環境検知部31が感じ取った環境が温度20℃、湿度50%の場合には、図7における(B)の表示方法が適用される。また、環境温度26℃、湿度54%の場合は、各値を四捨五入し環境温度30℃、湿度50%として、図7における(B)の表示方法を適用する。
【0037】
図7における各表示方法に関して、(A)の表示方法は、低温低湿と判断される環境下で適用されているがこれはかすれ易い色、つまりY値が高い色を選択させないように制限する。図7の(C)の表示方法は、高温高湿と判断される環境下で適用されているが、これは皺が発生しやすい色、つまりY値が低い色を選択させないように制限する。上述した図6と図7とによって説明した環境と表示パターンの関係は、レイアウトのパターン毎にそれぞれ独自に設定されている。要するに、この各表示方法では、印画環境(印刷環境)で出力するのに相応しくない色を表示させないように制限するよう設定されている。本実施形態では、印画環境で出力するのに相応しくない色は表示させないようにしたが、他の方法(例えばグレーアウト表示)で選択不可能になるようにしても良い。
【0038】
図6のマトリクスを参照して図7に示す印画環境に適した色の範囲を示す背景色選択画面を利用して、ユーザは、操作部34により所望の色の選択指示を行う(ステップS6)。
【0039】
次に、画像処理部36では、SS6で選択された背景色で表示部37は、画像処理部36等で処理された記録メディア内の画像と選択したレイアウトの合成結果をプレビュー表示する。そして、このプレビュー表示を確認したユーザが、操作部34により印画コマンドを発した場合には、ヘッド制御部33がサーマルヘッド204の駆動を制御して印画処理を実行して(ステップS7)この合成モード処理を終了する。
【0040】
また、上述した合成可能モード処理で用いられる背景色選択画面の表示方法は、図7に例示する以外に、図8に例示するような、背景色となる色彩データの具体的数値を入力する形式の表示方法としても良い。
【0041】
この図8に例示する背景色選択画面の表示方法では、RGBベースでのデータ数値入力用の表示例を示しているが、RGB(RGB空間)の代わりに形式がCMYであったり、Lab(Lab空間)であってもよい。この図8に示すパターンで表示された場合には、環境検知部により検知された環境に応じて入力可能数値範囲が表示される。
【0042】
このように表示される図8の背景色選択画面では、ユーザが、操作部3を操作して数値を入力する。なお、この操作部3は、例えば十字キーなど数値の増減に関する入力が可能なボタン等で構成されている。
【0043】
この図8の背景色選択画面では、ユーザが、入力可能数値範囲外の数値を入力した場合に、図9に例示するような入力不可能である旨の表示を行い、適切な入力を促す。
【0044】
(第2実施の形態)
以下、本発明の第2実施の形態について図10乃至図14を参照しながら説明する。なお、本第2実施の形態は、YUVベースの画像データを扱うもので、第1に、主走査方向に輝度が高い、白っぽい画像が嵌め込まれた場合と、第2に、副走査方向に輝度が低い、すなわち黒くつぶれがちな画像が嵌め込まれた場合とに対応する。
【0045】
本第2実施の形態に係わるサーマルプリンタでは、図10に例示するようなメディア挿入部6に挿入された記録媒体に記録された画像データがYUVベースで各画素読みされる。ここでは、サーマルプリンタにおいて、例えば図10に示すような、ライン数のレイアウトならびに画像データによる合成結果になる場合について説明する。なお、主走査方向m(mは自然数)ライン、副走査方向n(nは自然数)ラインが存在する画像データ中、主走査方向i(i≦m) ライン目、副走査方向jライン目(j≦n)の画素データを[Y ij,U ij,V ij]とする。
【0046】
このとき、サーマルプリンタでは、図11で示すY,U,Vの条件を満たすライン数ならびに、図12で示す環境検知部が検知する環境のパターンから、図13を参照して表示部2で背景色選択画面のパターンが決定される。このとき、図13の符号と背景色選択画面のパターンの対応例は、図14(A)(B)(C)に示すようになる。
【0047】
また、このサーマルプリンタにおける図11で示す条件1の場合には、主走査方向に輝度が高い、白っぽい画像が嵌め込まれた場合となる。このように主走査方向に輝度が高いライン数が多い場合には、コモンドロップが発生しやすい。そのため、サーマルプリンタでは、図13で示す主走査方向のライン数条件を満たす、つまり輝度が高いライン数が多い場合に、発生しやすいコモンドロップを背景色で目立たなくさせる必要がある。
【0048】
また、このサーマルプリンタにおける図11で示す条件2の場合には、副走査方向に輝度が低い、つまり黒つぶれがちな画像が嵌め込まれた場合となる。このように副走査方向に輝度が低いライン数が多い場合には、尾引きが発生しやすい。そのため、サーマルプリンタでは、図13で示す副走査方向のライン数条件を満たす、つまり輝度が低い黒つぶれし易いライン数が多い場合に、発生しやすい尾引きを背景色で目立たなくさせる必要がある。
【0049】
すなわち、このサーマルプリンタでは、嵌め込む元の画像データの特性により誘発されやすい、画質品位劣化を招く現象を目立たなくさせ、かつ印画環境により皺やかすれなどといった現象を回避する必要がある。そこで、このサーマルプリンタでは、背景色選択画面で設定されるパターンを図14(A)(B)(C)に例示するパターンの何れかに設定する。
【0050】
このサーマルプリンタでは、図14(A)(B)(C)に例示するパターンの何れかが背景色選択画面で設定された場合に、ユーザが画質品位劣化を起こす原因となり得る背景色が選択されることが無い。よって、このサーマルプリンタでは、図14(A)(B)(C)に例示する何れかのパターンを背景色選択画面で設定することにより、画質品位を良好に維持し、かつ印画環境により皺やかすれなどといった現象を回避できる。
【0051】
なお、本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用及び効果は、前述した第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて印刷するプリンタ及び印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙とインクを媒体として画像を出力するプリンタでは、デジタルカメラ等で撮像された画像をフレームなどに嵌め込み印画する機能を搭載したものがある。
【0003】
このようなプリンタでは、ユーザが、表示機能を利用してフレームの色をいくつかの選択肢から選択し、ユーザが選択した色でフレームをプリントすることを可能とするものの開発が進められている。
【0004】
また、従来のプリンタでは、フレーム等の特殊な印刷方法にとらわれず、画像の色をユーザが自由に変更できるようにする色調整装置を備えたものが提案されている。この色調整装置を搭載したプリンタでは、ユーザが、表示画面に表示される色相環の表示を利用して画像の色相を指定することにより、ユーザが所望の色の画像をプリントさせることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−27052
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サーマルヘッドによりインクリボンを熱昇華させることにより染料面の印画が行なわれるサーマルプリンタに、従来の色調整装置を搭載することを考えると、以下のような画質品位劣化を起こすことが懸念される。
【0007】
例えばユーザが色を選択し、かつ印画時の環境が低温低湿(低温少湿)環境の場合には、ユーザの選択した色のYUV値におけるY値が高い、つまり色が薄い場合には、その色が印画された箇所でかすれを生じ易くなる。
【0008】
また、高温高湿(高温多湿)環境の場合には、ユーザの選択した色のYUV値におけるY値が低い、つまり色が濃い場合に、その色が印画された箇所に皺が発生し易くなるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、印画環境に適した色をユーザが選択可能とすることにより、画質品位が高い画質で印画できるようにする、プリンタ及び印刷制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のプリンタは、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて印刷するプリンタにおいて、画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択手段と、印画環境に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択手段により選択可能な色を制限する制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の印刷制御方法は、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて画像を印刷するための印刷制御方法であって、画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択ステップと、印画環境に関する情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択ステップにより選択可能な色を制限する制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印画環境に適した色を選択可能とすることにより、画質品位が高い画質で印画できるようにしたプリンタ及び印刷制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)(B)は、本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタを示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタの側面ドアを開けた状態の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタの構成を例示するブロック図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおいて、一般画像との合成の形式を選択するためのユーザインタフェース表示の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、一般画像との合成における背景色を選択するためのユーザインタフェース表示の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、環境と背景色選択パターンの関係を示す説明図である。
【図7】(A)(B)(C)は、本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のパターンを示す説明図である。
【図8】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のユーザインタフェース表示の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のユーザインタフェース表示での警告を示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、合成画像の一例と各方向ライン数の関係を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、合成画像に嵌め込む一般画像の画像データに関する条件を示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択にあたり参照する印画環境のパターンを示す説明図である。
【図13】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択のパターンを決定するための画像データ印画環境の条件を示す説明図である。
【図14】本発明の第2実施の形態に係わる昇華型プリンタにおける、背景色選択パターンを示す説明図である。
【図15】本発明の第1実施の形態に係わる昇華型プリンタで実行される、合成可能モード処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施の形態)
以下、本発明の第1実施の形態について図1乃至図9及び図15を参照しながら説明する。
【0015】
図1(a)のサーマルプリンタ(昇華型プリンタ)の概略構成説明図において、201は、用紙カセットであり、記録紙Pが積載されている。このサーマルプリンタは、インクリボン上のインクを、サーマルヘッドで熱溶融又は昇華させて記録媒体に印刷するプリンタである。このサーマルプリンタで印刷動作を行う場合には、用紙カセット201に積載されている記録紙Pの束から給紙ローラ202と分離部材203により最上層の記録紙だけを分離する。そして、分離された一葉の記録紙Pは、サーマルヘッド204とプラテンローラ205の部所へ搬送される。
【0016】
このサーマルプリンタ(昇華型プリンタ)では、記録紙Pに1色目のインクシート206を重ねた状態にしてサーマルヘッド204とプラテンローラ205とで圧接する。これと共に、このサーマルプリンタでは、印画方向下流に設けた1対のキャプスタンローラ207とピンチローラ208との間に記録紙Pを挟持した状態で転接することにより、記録紙Pを搬送させる。
【0017】
このサーマルプリンタでは、上述のようにして記録紙Pを搬送しながらサーマルヘッド204を発熱制御して1色目のインクシート206上のインクを記録紙P上に熱転写させる。
【0018】
次に、このサーマルプリンタでは、図1(b)に示すように、1色目の印画を終えた後に次色の印画を行うため、サーマルヘッド204の圧接を開放する。そして、このサーマルプリンタでは、キャプスタンローラ207とピンチローラ208を印刷動作時とは逆方向に回転させて、記録紙Pを印刷開始位置まで戻す。次に、このサーマルプリンタでは、上述した1色目と同様の動作で2色目以降を印画する。このようにしてこのサーマルプリンタでは、イエロー・マゼンタ・シアンの3色を重ねてフルカラー印刷を行う。
【0019】
また、このサーマルプリンタでは、図2のサーマルプリンタの全体外観図に示すように、側面ドア1を開けることによりインクシート挿入口4からインクシート206を挿入可能に構成されている。このサーマルプリンタでは、用紙カセット挿入口蓋5を開けて用紙カセット201を挿入可能に構成されている。
【0020】
このサーマルプリンタは、印画したい画像のデータが記録されたメディアを挿入するためのメディア挿入部6を備える。
【0021】
このサーマルプリンタは、その上面部に表示部2が配置されている。この表示部2には、電源部が起動された際にプリンタ本体のステータスが表示される。ここで、ステータスとは、メディア挿入部6に挿入されたメディアに記録された画像データの有無、用紙カセット201又はインクシート206の挿入有無等である。
【0022】
このサーマルプリンタでは、表示部2がタッチパネル機能又はタッチペン機能を具備する。このサーマルプリンタは、操作部3を備える。操作部3は、電源のOn/OFF、画像の選択、印刷設定、印刷コマンド送信の指令を入力する機能を備える。
【0023】
このサーマルプリンタでは、ユーザが、操作部3を操作して電源をON状態とし、表示部2を操作して印刷の設定を行うように構成されている。
【0024】
このサーマルプリンタでは、図3に示す各部及びサーマルプリンタ全般に関連する種々の制御(印刷制御)が、単数若しくは複数のブロックで制御され又は個々に専用のブロックで制御されるように構成しても良い。
【0025】
このサーマルプリンタの印刷制御では、画像処理部36によって、印画したい画像データをCMYベースのデータに変換し、画像補正を行う。画像処理部36では、画像データと、レイアウトのための合成領域やフレーム画像、スタンプ画像等とを合成し、合成画像データを生成する合成処理も行う。この画像処理部36で生成される合成画像データを生成する際には、合成領域やフレーム画像、スタンプ画像の色は、背景色選択画面で選択された色で彩色されたものである。
【0026】
このサーマルプリンタの印刷制御では、環境検知部31により、プリンタ本体が置かれ印画が実行される環境を取得(検出)し、取得した印画環境(印刷環境)に関する情報を記憶部35に蓄積する。この環境検知部31は、プリンタ本体内の基板等に実装された温度センサ及び湿度センサを備える。このサーマルプリンタでは、環境に関する情報を、環境検知部31が検知した温度と湿度としている。
【0027】
このサーマルプリンタは、ユーザが操作して、電源のオンオフをはじめ印画に関する設定を行うための操作部34を備える。この操作部34は、画像データの一部と、レイアウトの領域とを含む合成画像として印画される合成可能モード処理を選択可能とすることが可能である。また、ユーザは表示部の背景色選択画面を見ながら、この操作部34を操作することにより、所望の色を選択することができる。
【0028】
このサーマルプリンタは、操作部34により電源がオンの状態とされたときに、表示部37を起動し、印画に関する情報等を表示するよう構成されている。このサーマルプリンタでは、ユーザが操作部34と、表示部37とから入力した印画条件(印刷の設定)の指令に基づいて、ヘッド制御部33がサーマルヘッド204を駆動制御する。
【0029】
このサーマルプリンタでは、ユーザが選択したレイアウトパターンで画像を合成したり、画像にフレームやカレンダー等を合成して印刷したりする合成機能を備える。このような合成モードを選択した場合の動作について、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
ユーザが合成モードを選択するまで待機し(ステップS1でNO)、このモードが選択された際に、処理が開始される(ステップS1でYES)。この合成モード処理は、画像データと、レイアウト用のテンプレートやフレーム画像やスタンプ画像とをとを合成した合成画像として印画する処理である。
【0031】
この合成可能モード処理が開始すると、表示部37は、表示部2に、図4に例示するようなユーザが印画したい画像を嵌め込むために用いる各種のレイアウト用パターン(テンプレート)や吹き出し等のスタンプ画像の候補の表示を行う(ステップS2)。
【0032】
次に、ユーザが印画したい画像を嵌め込みたいレイアウトのパターンを選択すると、表示部37は、各パターンからより細分化されたレイアウトを選択できるようにする。この細分化されたレイアウトは、それぞれ色、形状などが異なるものである。表示された複数のレイアウトパターンまたはスタンプ画像の中から、ユーザから所望のレイアウトパターンまたはスタンプ画像が選択されたら(ステップS3)、次に、表示部37は、背景色選択画面を表示するための表示処理を実行する。この表示処理は、表示部2に、図5に例示するレイアウトの背景部分の背景色またはスタンプの色を選択するための色選択画面を表示するための処理である。
【0033】
この図5に例示した色を選択するための表示では、いわゆる色立体の如く、各色を3次元の座標で特定できるように現わしたものである。この図5に示す色を選択するための立体的表示では、Lが色彩の輝度、aと、bとが色味を示す。なお、L値は、数値が大きいほど明るく、小さいほど暗い。a値は、数値が正方向に大きいほど赤みが強い色になり、小さいほど緑味が強い色になる。b値は、数値が正方向に大きいほど黄色味が強い色になり、小さいほど青みが強い色になる。
【0034】
この図5に例示した色を選択するための表示では、ユーザが、指もしくはタッチペンを用いてレイアウト背景色やスタンプ画像の背景色として所望の色を選択可能に設定されている。また、レイアウトやスタンプだけでなく、画像に合成するフレーム画像の色を同様の方法で選択可能にしても良い。
【0035】
この色を選択するための表示処理を開始するにあたって、環境検知部31は、プリンタ本体が設置されている環境に関するデータを検出する(ステップS4)。そして、表示部37は、図6に示すマトリクス上の符号に対応して表示パターンを図7に例示するように可変させる(ステップS5)。なお、図7では、背景色選択画面の表示パターン例を3種類としてあるが、パターン数は、これに限られるものでは無い。
【0036】
この図7に例示するものでは、環境検知部31が感じ取った環境が温度20℃、湿度50%の場合には、図7における(B)の表示方法が適用される。また、環境温度26℃、湿度54%の場合は、各値を四捨五入し環境温度30℃、湿度50%として、図7における(B)の表示方法を適用する。
【0037】
図7における各表示方法に関して、(A)の表示方法は、低温低湿と判断される環境下で適用されているがこれはかすれ易い色、つまりY値が高い色を選択させないように制限する。図7の(C)の表示方法は、高温高湿と判断される環境下で適用されているが、これは皺が発生しやすい色、つまりY値が低い色を選択させないように制限する。上述した図6と図7とによって説明した環境と表示パターンの関係は、レイアウトのパターン毎にそれぞれ独自に設定されている。要するに、この各表示方法では、印画環境(印刷環境)で出力するのに相応しくない色を表示させないように制限するよう設定されている。本実施形態では、印画環境で出力するのに相応しくない色は表示させないようにしたが、他の方法(例えばグレーアウト表示)で選択不可能になるようにしても良い。
【0038】
図6のマトリクスを参照して図7に示す印画環境に適した色の範囲を示す背景色選択画面を利用して、ユーザは、操作部34により所望の色の選択指示を行う(ステップS6)。
【0039】
次に、画像処理部36では、SS6で選択された背景色で表示部37は、画像処理部36等で処理された記録メディア内の画像と選択したレイアウトの合成結果をプレビュー表示する。そして、このプレビュー表示を確認したユーザが、操作部34により印画コマンドを発した場合には、ヘッド制御部33がサーマルヘッド204の駆動を制御して印画処理を実行して(ステップS7)この合成モード処理を終了する。
【0040】
また、上述した合成可能モード処理で用いられる背景色選択画面の表示方法は、図7に例示する以外に、図8に例示するような、背景色となる色彩データの具体的数値を入力する形式の表示方法としても良い。
【0041】
この図8に例示する背景色選択画面の表示方法では、RGBベースでのデータ数値入力用の表示例を示しているが、RGB(RGB空間)の代わりに形式がCMYであったり、Lab(Lab空間)であってもよい。この図8に示すパターンで表示された場合には、環境検知部により検知された環境に応じて入力可能数値範囲が表示される。
【0042】
このように表示される図8の背景色選択画面では、ユーザが、操作部3を操作して数値を入力する。なお、この操作部3は、例えば十字キーなど数値の増減に関する入力が可能なボタン等で構成されている。
【0043】
この図8の背景色選択画面では、ユーザが、入力可能数値範囲外の数値を入力した場合に、図9に例示するような入力不可能である旨の表示を行い、適切な入力を促す。
【0044】
(第2実施の形態)
以下、本発明の第2実施の形態について図10乃至図14を参照しながら説明する。なお、本第2実施の形態は、YUVベースの画像データを扱うもので、第1に、主走査方向に輝度が高い、白っぽい画像が嵌め込まれた場合と、第2に、副走査方向に輝度が低い、すなわち黒くつぶれがちな画像が嵌め込まれた場合とに対応する。
【0045】
本第2実施の形態に係わるサーマルプリンタでは、図10に例示するようなメディア挿入部6に挿入された記録媒体に記録された画像データがYUVベースで各画素読みされる。ここでは、サーマルプリンタにおいて、例えば図10に示すような、ライン数のレイアウトならびに画像データによる合成結果になる場合について説明する。なお、主走査方向m(mは自然数)ライン、副走査方向n(nは自然数)ラインが存在する画像データ中、主走査方向i(i≦m) ライン目、副走査方向jライン目(j≦n)の画素データを[Y ij,U ij,V ij]とする。
【0046】
このとき、サーマルプリンタでは、図11で示すY,U,Vの条件を満たすライン数ならびに、図12で示す環境検知部が検知する環境のパターンから、図13を参照して表示部2で背景色選択画面のパターンが決定される。このとき、図13の符号と背景色選択画面のパターンの対応例は、図14(A)(B)(C)に示すようになる。
【0047】
また、このサーマルプリンタにおける図11で示す条件1の場合には、主走査方向に輝度が高い、白っぽい画像が嵌め込まれた場合となる。このように主走査方向に輝度が高いライン数が多い場合には、コモンドロップが発生しやすい。そのため、サーマルプリンタでは、図13で示す主走査方向のライン数条件を満たす、つまり輝度が高いライン数が多い場合に、発生しやすいコモンドロップを背景色で目立たなくさせる必要がある。
【0048】
また、このサーマルプリンタにおける図11で示す条件2の場合には、副走査方向に輝度が低い、つまり黒つぶれがちな画像が嵌め込まれた場合となる。このように副走査方向に輝度が低いライン数が多い場合には、尾引きが発生しやすい。そのため、サーマルプリンタでは、図13で示す副走査方向のライン数条件を満たす、つまり輝度が低い黒つぶれし易いライン数が多い場合に、発生しやすい尾引きを背景色で目立たなくさせる必要がある。
【0049】
すなわち、このサーマルプリンタでは、嵌め込む元の画像データの特性により誘発されやすい、画質品位劣化を招く現象を目立たなくさせ、かつ印画環境により皺やかすれなどといった現象を回避する必要がある。そこで、このサーマルプリンタでは、背景色選択画面で設定されるパターンを図14(A)(B)(C)に例示するパターンの何れかに設定する。
【0050】
このサーマルプリンタでは、図14(A)(B)(C)に例示するパターンの何れかが背景色選択画面で設定された場合に、ユーザが画質品位劣化を起こす原因となり得る背景色が選択されることが無い。よって、このサーマルプリンタでは、図14(A)(B)(C)に例示する何れかのパターンを背景色選択画面で設定することにより、画質品位を良好に維持し、かつ印画環境により皺やかすれなどといった現象を回避できる。
【0051】
なお、本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用及び効果は、前述した第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて印刷するプリンタにおいて、
画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択手段と、
印画環境に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択手段により選択可能な色を制限する制御手段とを有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記選択手段により選択可能な色を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記取得手段により取得した印画環境に基づいて、印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記制御手段は、Lab空間のうち印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記制御手段は、Lab空間のうち印刷環境に適さない色の範囲を表示しないまたはグレーアウト表示することを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記選択手段は、Labの数値を入力することにより色を選択することを特徴とする請求項4または5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適さない色の範囲を表示しないまたはグレーアウト表示することを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記選択手段は、RGBの数値を入力することにより色を選択することを特徴とする請求項7または8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適さない色の範囲を表示しないまたはグレーアウト表示することを特徴とする請求項10に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記選択手段は、RGBの数値を入力することにより色を選択することを特徴とする請求項10または11に記載のプリンタ。
【請求項13】
インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて画像を印刷するための印刷制御方法であって、
画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択ステップと、
印画環境に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択ステップにより選択可能な色を制限する制御ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項1】
インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて印刷するプリンタにおいて、
画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択手段と、
印画環境に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択手段により選択可能な色を制限する制御手段とを有することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記選択手段により選択可能な色を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記取得手段により取得した印画環境に基づいて、印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記制御手段は、Lab空間のうち印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記制御手段は、Lab空間のうち印刷環境に適さない色の範囲を表示しないまたはグレーアウト表示することを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記選択手段は、Labの数値を入力することにより色を選択することを特徴とする請求項4または5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適さない色の範囲を表示しないまたはグレーアウト表示することを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記選択手段は、RGBの数値を入力することにより色を選択することを特徴とする請求項7または8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適した色の範囲を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記制御手段は、RGB空間のうち印刷環境に適さない色の範囲を表示しないまたはグレーアウト表示することを特徴とする請求項10に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記選択手段は、RGBの数値を入力することにより色を選択することを特徴とする請求項10または11に記載のプリンタ。
【請求項13】
インクリボン上のインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて画像を印刷するための印刷制御方法であって、
画像データと共に印刷する背景色の色を選択する選択ステップと、
印画環境に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した前記印画環境に関する情報に基づいて、前記選択ステップにより選択可能な色を制限する制御ステップとを有することを特徴とする印刷制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−126180(P2011−126180A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287751(P2009−287751)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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