説明

プリンタ

【課題】 印刷ジョブの実行履歴を的確に把握することができるプリンタを提供する。
【解決手段】 プリンタシステム1は、ネットワーク2を介して相互に接続されたPC10と、プリンタ20と、印刷データ管理装置30と、からなる。
PC10から印刷データがプリンタ20に出力されると、プリンタ20は、その印刷データに基づき作成されるページの縮小画像の画像データであるサムネイル画像データを印刷データ管理装置30に記憶させ、その後、印刷データに基づいてプリンタ20にて画像の印刷を行う。
記憶されるサムネイルは、印刷データにおける対応するページが有する情報に応じて表示態様が変更されている。また、印刷の成否に応じて名称が変更されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データに基づいて印刷を行なうプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の画像形成管理システム(プリンタ管理システム)では、画像形成装置(プリンタ)の使用状況を把握するために、印刷ジョブに基づく印刷処理(画像形成処理)の終了後に、その印刷ジョブにより印刷された用紙の枚数及び印刷命令を発したユーザ等の情報を履歴情報としてプリントサーバに書き込んでいる。
【特許文献1】特開2003−67174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した画像形成管理システムは、どのような内容の文章や画像が印刷されたかを確認できないという問題があった。さらに、印刷ジョブの終了後に履歴情報をプリントサーバに書き込んでいるので、例えば、印刷枚数が複数枚となる印刷ジョブの実行途中で、プリントサーバ及び画像形成装置のうち少なくとも一方に障害が発生した場合には、その印刷ジョブに関する履歴情報が全くプリントサーバに残らず、画像形成装置の使用状況を的確に把握することができない。
【0004】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、印刷ジョブの実行履歴を的確に把握することができるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、印刷データに基づいて画像を印刷する印刷手段を備え、各種データを記憶可能な記憶装置と通信可能に接続されたプリンタであって、前記印刷データに基づき印刷される各ページに対応するサムネイル画像データを作成するサムネイル作成手段と、前記サムネイル作成手段により作成されたサムネイル画像データを、前記記憶装置に記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段が前記記憶装置に前記サムネイル画像データを記憶させたことを条件として、前記印刷手段に前記サムネイル画像データに対応する画像の印刷を許可する印刷制御手段と、を備えることを特徴とするプリンタである。
【0006】
このように構成されたプリンタでは、印刷が開始される前にサムネイル画像データが記憶装置に記憶されるので、確実に印刷の履歴を残すことができる。また、印刷の履歴を、サムネイル画像データに基づいて示されるサムネイルにて確認できることから、ユーザは各画像の内容を確認するために、PCに残された印刷データのファイルや、ログとして残された印刷データなどを開いて確認する必要がなくなり、記憶されている印刷履歴の内容を短時間で把握することができる。さらに、印刷ジョブの進行に合わせてサムネイル画像データが順次記憶されるので、一の印刷データに基づき複数ページが印刷される場合であっても、その一の印刷データに基づき印刷されるページの中で、いずれのページまで印刷が進んだのかその進捗具合をユーザに判断させることが可能となる。
【0007】
このように、上述した構成のプリンタであれば印刷の履歴を確実に残すことができ、またその内容の確認が容易であることから、ユーザに対して印刷ジョブの実行履歴を的確に把握させることができる。
【0008】
なお、ここでいうサムネイル画像データとは、印刷されるページに基づき作成されるページの縮小画像の画像データである。
【0009】
また、印刷データとは、パーソナルコンピュータ(以降、単にPCという)などからプリンタに送信されるデータであって、1以上の印刷画像を作成可能なデータをいう。この印刷データは、ラスタライズが必要なデータであってもよいし、PCなどによりラスタライズされたデータであってもよい。
【0010】
また、記憶装置とは、サムネイル画像データを記憶可能な記憶領域を有する装置であって、プリンタ内部に存在し、プリンタのバスによって通信可能に接続されてなるものであってもよいし、プリンタにネットワークを介して接続されてなるものであってもよい。
【0011】
また、記憶制御手段により記憶装置にサムネイル画像データを記憶させる処理は、プリンタが記憶装置を直接的に操作してサムネイル画像データを記憶させる場合、及び、プリンタはサムネイル画像データを記憶装置に送信するのみで、実際の記憶する作業は記憶装置が行う場合、のいずれの場合も含む意味である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリンタであって、前記サムネイル作成手段により作成されるサムネイル画像データに対して付す名称を作成する名称作成手段を備えており、前記記憶制御手段が、前記サムネイル画像データに、前記名称作成手段により作成された名称を付して記憶させることを特徴とする。
【0013】
このように構成されたプリンタであれば、サムネイル画像データに名称を付した状態で記憶させることができる。よって、ユーザは、その付された名称を確認することにより、サムネイル画像データの画像以外の情報を取得することができる。
【0014】
なお、名称作成手段により作成サムネイル画像データの名称は、どのような規則に従って作成されてもよいが、例えば請求項3に記載のプリンタのように構成することが考えられる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のプリンタであって、前記印刷データから、当該印刷データに基づき印刷される総ページ数を決定する決定手段を備えており、前記名称作成手段が、前記決定手段により決定された総ページ数、及び、前記印刷データのうち、前記サムネイル作成手段により作成されるサムネイル画像データに対応するページのページ番号を含む名称を作成することを特徴とする。なお、画像のページ番号とは、印刷データに基づき印刷される総ページ中の該当するページの順序を示す番号である。
【0016】
このように構成されたプリンタであれば、記憶装置に記憶されるサムネイル画像データが、印刷データに基づく総ページ中、何ページ目に対応するサムネイル画像データであるかを容易に把握することができる。これにより、例えば、印刷データに基づく印刷中にエラーなどにより印刷が止まってしまった場合でも、印刷データに基づく総ページ中、何ページまで印刷が行われたのかなどが容易に判断できるようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のプリンタであって、前記名称作成手段が、前記記憶装置に記憶された前記サムネイル画像データに対応する画像の印刷に成功したか否かに応じて、前記サムネイル画像データの名称を再作成し、前記記憶制御手段が、前記名称作成手段が前記サムネイル画像データの名称を再作成した場合には、前記サムネイル画像データの名称を前記名称作成手段により再作成された名称に付し直すことを特徴とする。
【0018】
このように構成されたプリンタであれば、ユーザが履歴を確認した際に、サムネイル画像データの名称を見るだけで、そのサムネイル画像データに対応するページの印刷が成功したか否かを確認することができる。
【0019】
なお、ここでいう再作成としては、既に設定されているサムネイル画像データの名称に対し、全く新しい名称を作成することや、既に設定されている名称に新たに文字列を追加した名称を作成することなどが考えられる。
【0020】
また、記憶制御手段による名称の付し直しは、印刷に成功したページに対応するサムネイル画像データ、または印刷に失敗したページに対応するサムネイル画像データ、のうちのいずれか一方の名称を付し直すことであってもよいし、両方の名称を付し直すことであってもよい。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載のプリンタであって、前記記憶装置に前記サムネイル画像データを格納可能なフォルダを作成するフォルダ作成手段を備えており、前記名称作成手段が、前記フォルダ作成手段により作成されるフォルダに付する名称を作成し、前記記憶制御手段が、前記名称作成手段により作成されたフォルダの名称を、前記フォルダ作成手段により作成されたフォルダに付して前記記憶装置に記憶させるとともに、前記サムネイル作成手段が作成した前記サムネイル画像データを、前記フォルダ作成手段により作成されたフォルダに記憶させることを特徴とする。
【0022】
このように構成されたプリンタであれば、作成されたサムネイル画像データが所定のフォルダに記憶されるため、履歴を確認する際に、適切なフォルダを選択することで、必要な履歴を効率的に確認することができる。
【0023】
なお、フォルダとは、データファイルを分類・整理するための保管場所を示す。
【0024】
具体的なサムネイル画像データのフォルダ振り分け方法は特に限定されない。例えば、印刷データを送信するクライアントPCごと、またはユーザごとに異なるフォルダを作成し、クライアントPCごと、またはユーザごとにサムネイル画像データを振り分けて記憶する構成であってもよいし、所定時間ごとにフォルダを作成し、その時間内に印刷されたページに対応するサムネイル画像データをそのフォルダに記憶する構成であってもよい。また、上記以外に、請求項6のようにサムネイル画像データを振り分けてもよい。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のプリンタであって、前記フォルダ作成手段が、前記印刷データごとに、前記印刷データに対応する印刷データ対応フォルダを作成し、前記記憶制御手段が、前記印刷データ対応フォルダに、当該印刷データ対応フォルダに対応する印刷データに基づくサムネイル画像データを記憶させることを特徴とする。
【0026】
このように構成されたプリンタであれば、印刷データごとにサムネイル画像データを管理することができる。
【0027】
なお、上記請求項5および請求項6の構成においては、フォルダを階層構造とすることで、更に細分化してサムネイル画像データを分類することができる。例えば、クライアントPCごとのフォルダに印刷データごとのフォルダを形成することなどが考えられる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載のプリンタであって、前記名称作成手段が、前記印刷データに基づくすべてのページの印刷が成功したか否かに応じて、前記印刷データ対応フォルダの名称を再作成し、前記記憶制御手段が、前記名称作成手段が前記印刷データ対応フォルダの名称を再作成した場合には、前記データ対応フォルダの名称を前記名称作成手段により再作成された名称に付し直すことを特徴とする。
【0029】
このように構成されたプリンタであれば、ユーザは、フォルダの名称を見ることで、その階層に存在するサムネイル画像データに対応する画像の印刷が成功したか否かを即座に確認することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプリンタであって、前記サムネイル作成手段が、前記印刷手段が前記印刷データの所定のページの印刷に成功した場合または失敗した場合のうち、少なくともいずれか一方の場合に、前記所定のページに対応するサムネイル画像データと表示態様の異なる新たなサムネイル画像データを作成し、前記記憶制御手段が、前記記憶装置に記憶されている前記所定のページに対応するサムネイル画像データを、前記新たに作成されたサムネイル画像データに更新することを特徴とする。
【0031】
このように構成されたプリンタであれば、印刷データに基づき同一ページを複数回印刷したとしても、印刷に成功したページに対応するサムネイル画像データと、印刷に失敗したページに対応するサムネイル画像データと、の表示態様を異ならせることができるため、ユーザが履歴を確認した際に、印刷に成功したページ、または印刷に失敗したページを容易に発見することができる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプリンタであって、前記サムネイル作成手段が、前記サムネイル画像データの表示態様を、そのサムネイル画像データを作成する時刻に応じて異ならせることを特徴とする。
【0033】
このように構成されたプリンタであれば、サムネイル画像データが作成された時刻、つまり印刷が行なわれた時刻を、履歴を確認するだけで容易に知ることができるため、例えば業務時間外の印刷履歴などを容易に発見することができる結果、不正な印刷の発見を容易に行なえるようになる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプリンタであって、前記印刷データのページの種類を分別する分別手段を備えている。そして、前記サムネイル作成手段は、印刷データにおける2ページ目以降にある所定のページの種類が、その直前のページの種類と異なる場合に、前記所定のページに対応して作成されるサムネイル画像データを、前記直前のページに対応して作成されたサムネイル画像データとは種類が異なることを示す表示態様のサムネイル画像データとして作成することを特徴とする。
【0035】
このように構成されたプリンタであれば、サムネイルの種類が変化した場合、つまり印刷ページの内容が大きく変化したことを印刷の履歴から容易に発見することができる。
【0036】
なお、ここでいうページの種類とは、テキスト情報を有するページ、画像情報を有するページ、そのいずれも有するページ、そのいずれも有さないページなどである。
【0037】
また、所定のページに対応して作成されるサムネイル画像データの表示態様は、どのような表示態様とすることで直前のページに対応して作成されたサムネイル画像データと種類が異なることを示すこととしてもよいが、例えば、所定のページに対応して作成されるサムネイル画像データの表示態様を、その直前のページに対応して作成されたサムネイル画像データの表示態様と異ならせることが考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
[実施例1]
(1.1)全体構成
本実施例のプリンタシステム1は、図1に示すように、インターネットやLANなどのネットワーク2を介して相互に接続されたPC10と、プリンタ20と、印刷データ管理装置30と、からなり、PC10から出力された印刷データに基づいてプリンタ20にて画像の印刷を行うと共に、その印刷データに基づき作成されるページの縮小画像の画像データであるサムネイル画像データを印刷データ管理装置30に記憶させるシステムである。
【0039】
PC10は、画像を表示するディスプレイや入力手段としてのキーボードやマウスなどを備える一般的なコンピュータシステムであり、アプリケーションソフトなどを用いて印刷データを作成し、ネットワーク2を介してプリンタ20に出力する。
【0040】
プリンタ20は、ネットワーク2を介してPC10から送信される印刷データにもとづくサムネイル画像データを生成して印刷データ管理装置30に出力すると共に、印刷データに基づく画像を用紙等の印刷媒体上に形成し出力(印刷)するものである。
【0041】
このプリンタ20は、制御部21と、ネットワーク送受信部22(NW送受信部22)と、RIP処理部23と、画像処理部24と、画像特徴抽出部25と、印刷部26と、記憶部27と、時計28と、ユーザインターフェース部29(ユーザI/F部29)と、を備える。
【0042】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、プリンタ20を構成する各部を統括制御する。また、この制御部21は、上記ROMや記憶部27から読み込んだアプリケーションプログラムや各種データに従って、後述する各処理を実行する。
【0043】
ネットワーク送受信部22は、ネットワーク2を構成する通信ケーブルが接続された状態で、その通信ケーブルを介して外部装置との間でデータの送受信処理を行う。これによりプリンタ20はPC10や印刷データ管理装置30との間でデータ通信が可能となる。
【0044】
RIP処理部23は、印刷データからラスタデータ(ビットマップ画像)を生成する。このラスタデータは、印刷データに基づく各ページごとに1つのデータファイルとして生成される。
【0045】
画像処理部24は、RIP処理部23により生成されたラスタデータからサムネイル画像データを作成する。サムネイル画像データの作成は、ラスタデータの画素を単純に間引きする方法(ニアレストネイバー法)により縮小することで作成してもよいし、画素間を補完する縮小方法(バイリニア法、バイキュービック法など)により縮小することで作成してもよい。
【0046】
画像特徴抽出部25は、画像処理部24が生成したサムネイル画像データに対応する印刷データの各ページの画像特徴情報を抽出する。具体的には、テキスト情報を含むテキスト領域、画像情報を含む画像領域が、各ページをそれぞれどれだけ占有しているか、および、予め定められた文字列がページに含まれているか否かを、公知の方法を用いて判定する。
【0047】
なお、各ページに含まれるテキスト領域および画像領域を判別する方法は多数提案されているが、一例として、特開平8−51537号公報、特開2001−43363号公報などに記載される技術を用いることができる。
【0048】
印刷部26は、RIP処理部23にて生成されたラスタデータに基づいて用紙にカラー画像を印刷する。
【0049】
記憶部27は、図示しないハードディスクを備えており、そのハードディスクは、ヘッダ情報を記憶する記憶領域、印刷実行中のサムネイルを一時的に記憶する記憶領域、後述する各処理を制御部21に実行させるためのプログラムを含む各種データを記憶する記憶領域などを備えている。
【0050】
ユーザI/F部29は、ユーザからの外部操作による指令を入力するための各種操作ボタン(図示せず)と、ユーザに対して各種情報を表示するための液晶ディスプレイ(図示せず)と、を備えている。このユーザI/F部29は、操作ボタンで行われた外部操作の内容を制御部21へ出力する。また、制御部21からの指令に基づき、メッセージや画像等の情報を液晶ディスプレイに表示する。
【0051】
印刷データ管理装置30は、制御部31と、ユーザインターフェース部32(ユーザI/F部32)と、サムネイル記憶部33と、を備える装置であって、ネットワーク2を介してプリンタ20から送信されるサムネイル画像データを記憶すると共に、そのサムネイル画像データにより示されるサムネイルを後述する液晶ディスプレイに表示するものである。
【0052】
制御部31は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、印刷データ管理装置30を構成する各部を統括制御する。
【0053】
ユーザI/F部32は、ユーザからの外部操作による指令を入力するためのマウスやキーボードなどの各種入力装置(図示せず)と、ユーザに対して各種情報を表示するための液晶ディスプレイ(図示せず)と、を備えている。そして、上述した入力装置で行われた外部操作の内容を制御部31へ出力すると共に、制御部31からの指令に基づき、メッセージや画像等の情報を液晶ディスプレイに表示する。
【0054】
また、このユーザI/F部32では、出力ページ条件、および画像特徴抽出の実行の有無を設定できるように構成されており、印刷データ管理装置30を操作するユーザは、予めその設定を行なう。
【0055】
上述した出力ページ条件とは、プリンタ20にて印刷を実行する際に、何ページおきにサムネイル画像データを履歴として記憶させるかの設定であり、例えば、全ページ,5ページおき,10ページおき,などと記憶させるべきサムネイル画像データの対応するページの間隔を定めることができる。また、画像特徴抽出とは、画像特徴抽出部が抽出したページの情報に基づいてサムネイル画像データを記憶させるべき特殊ページであるか否かを判定することある。特殊ページとは、直前のページと内容が大きく変わるページや、予め定められた文字列が記載されたページである。なお、ユーザI/F部32にて入力された出力ページ条件と画像特徴抽出の設定は、プリンタ20に送信されて記憶部27に記憶される。
【0056】
サムネイル記憶部33は、図示しないハードディスクを備えており、そのハードディスクの有する記憶領域に、プリンタ20から送信されたサムネイル画像データを記憶する。
(1.2)サムネイル画像データの表示
サムネイル表示画面の一例を図2に示す。このサムネイル表示画面は、印刷データ管理装置30のユーザI/F部32におけるディスプレイに表示される画面であり、ユーザI/F部32の入力装置により履歴を表示する旨の操作を行なった際にユーザI/F部32のディスプレイに表示される。
【0057】
サムネイル表示画面は、ディレクトリのツリー構造が示されるツリー領域Aと、サムネイルが表示されるサムネイル領域Bと、から構成される。
【0058】
サムネイル領域Bには、ツリー領域Aにて選択されたフォルダに記憶されているサムネイル画像データに基づくサムネイルが表示される。
【0059】
図2においては、「JobHistory」というフォルダ内に生成された「Printer1」フォルダの内の「201tachi2008083114020101−成功」というフォルダ内に記憶されたサムネイルを表示している。
【0060】
上述したフォルダのうち、「JobHistory」は印刷ジョブの全ての履歴を記憶するフォルダであることを示しており、全ての印刷ジョブの履歴(サムネイル画像データ)はこのフォルダ内に記憶される。
【0061】
また、「Printer1」は、印刷ジョブを実行したプリンタを示す名称である。また、「201tachi2008083114020101−成功」は、ジョブID(201),ユーザ名(tachi),日時(2008083114020101),印刷ジョブの結果を示しており、印刷ジョブ,印刷を行なったユーザ名,当該フォルダが生成された日時,印刷結果などの情報を得ることができる。
【0062】
サムネイル領域Bには、印刷履歴として、印刷された、または印刷を失敗したページのサムネイルが表示される。サムネイルの名称は「(ページ番号)−(総ページ数)」として作成される。当該印刷ジョブでは、10ページの印刷が行なわれている。
【0063】
このサムネイル領域Bに表示されるサムネイルのうち、テキスト中心のページが画像中心に変わった「3−10.jpg」(図中101)、画像中心からテキスト中心のページに変わった「4−10.jpg」(図中102)、また、「印刷禁止」の文字が記載された「7−10.jpg」(図中103)が、画像とその周囲を着色することにより強調表示されている。
【0064】
また、上記フォルダと異なるフォルダのサムネイルを示した表示画面を図3に示す。
【0065】
このフォルダ名は、ツリー領域Aに「202tachi2008090112300001−失敗」と表示されている。フォルダ名に「失敗」と記載されており、印刷ジョブが正常に完了しなかった(印刷データに基づくページのうち1ページ以上の印刷を失敗した)ことを示している。
【0066】
サムネイル領域Bに示されているサムネイルは、前10ページ中の6ページ目までである。6ページ目のサムネイル(図中104)は、名称が「6−10−miss」となっているとともに、サムネイルが強調表示されており、印刷が失敗したことを示している。
【0067】
なお、サムネイルを強調表示する具体例としては、上述したようにサムネイルの色を変化させる以外に、サムネイルの大きさや形状を異ならせることや、サムネイルをアニメーションさせることなどが考えられる。
(1.3)プリンタ20による処理
以下に、プリンタ20が備える制御部21により実行される各種処理について説明する。
(1.3.1)印刷制御処理
印刷制御処理の処理手順を、図4に基づいて説明する。本処理は、PC10から印刷データを受信した際に、印刷データ管理装置30のサムネイル記憶部33にサムネイルを記憶し、それを条件として画像の印刷を実行する処理である。本処理は、PC10から印刷データを受信する毎に実行される。
【0068】
本処理では、まず、印刷データにおけるヘッダ情報を受信する(S1)。印刷データは、印刷ジョブのジョブ名,印刷データの送信を指示したユーザ名,印刷対象の総ページ数情報などを含んだヘッダ情報と、ユーザが印刷を所望する印刷対象データとからなり、S1ではそのヘッダ情報を受信する。なお、受信したヘッダ情報は、記憶部27に記憶される。
【0069】
次に、印刷の実行に必要な最低量の(画像1ページ分の)データ(以降、ページデータという)を受信する(S2)。ここでは、印刷対象データのうち、未受信のデータを受信する。
【0070】
次に、S2にて受信したページデータをRIP処理する(S3)。これにより、印刷画像1ページ分のラスタデータが生成される。そしてこの生成されたラスタデータに基づいてサムネイル画像データ(以降、単にサムネイルという)を作成する(S4)。このときのサムネイルには、「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)」で示される名称が付される。ページ番号とは、作成されたサムネイルのページ順序を示す数値を指す。作成したサムネイルは、制御部21のRAMに一時的に記憶する。既に記憶されているサムネイルがあれば、上書き更新する。
【0071】
次に、送信判定処理を実行する(S5)。ここでは、S4にて作成されたサムネイルが印刷データ管理装置30に送信して記憶させるべきサムネイルであるか否かを判定するが、送信判定処理の詳細は後述する。
【0072】
次に、送信判定処理にてサムネイルを送信すると判定されたか否かをチェックする(S6)。具体的には、後述する送信判定処理にてサムネイル送信フラグがONとされたかOFFとされたかをチェックする。送信判定処理にてサムネイルを送信しないと判定された場合(S6:No)、つまり、サムネイル送信フラグがOFFとされた場合、処理がS16に移行する。
【0073】
一方、サムネイルを送信すると判定された場合(S6:YES)、つまりサムネイル判定処理にてサムネイル送信フラグがONとされた場合、S2にて受信したページデータが印刷ジョブの1ページ目であるか否かを判断する(S7)。印刷ジョブの1ページ目でなければ(S7:No)、処理がS10に移行する。一方、印刷ジョブの1ページ目であれば(S7:Yes)、フォルダ作成処理を実行して、印刷データ管理装置30のサムネイル記憶部33に、印刷ジョブに関する印刷データに対応するフォルダを作成する(S8)。このフォルダ作成処理の詳細は後述する。
【0074】
このS8におけるフォルダ作成が成功しなければ(S9:No)、つまり、プリンタ20と印刷データ管理装置30との間の通信障害や、サムネイル記憶部33の故障などにより所定の記憶領域にフォルダが作成されなければ、本処理を終了する。この場合、印刷の実行やサムネイルの記憶などは行なわれず、送信された印刷データは破棄される。一方、フォルダ作成が成功すれば(S9:Yes)、処理がS10に移行する。
【0075】
次に、サムネイルを印刷データ管理装置30に送信する(S10)。ここでは、上記S8にて作成されたフォルダに、制御部21のRAMに格納されているサムネイルを記憶させる。なお、上記フォルダにサムネイルを記憶させた後、同一のサムネイルを記憶部27におけるサムネイル記憶領域に記憶させ、RAMに記憶されたサムネイルを消去する。
【0076】
このS10におけるサムネイルの送信が成功すれば(S11:Yes)、処理がS16に移行する。一方、サムネイルの送信が成功しなければ(S11:No)、リカバリ処理を行う(S12)。ここでは、サムネイル送信を所定回数までリトライする。所定回数以内にサムネイルの送信が成功すれば(S13:Yes)、処理がS16に移行する。
【0077】
一方、所定回数以内にサムネイル送信が成功しなければ(S13:No)、現在のページの印刷を継続するか否かのユーザによる入力を待つ(S14)。具体的には、当該サムネイルが記憶できない旨をPC10の表示装置およびプリンタ20のユーザI/F部29のディスプレイに表示させ、現在のページの印刷をスキップして「次のページの印刷に移行する」、「当該サムネイルを記憶する処理を再度実行する」、のいずれかをユーザに選択させる。この選択操作は、PC10の入力装置およびユーザI/F部29のいずれで行なうこととしてもよい。
【0078】
上記S14にて、「次のページの印刷に移行する」と選択された場合(S15:Yes)、処理がS2に戻る。一方、「当該サムネイルを記憶する処理を再度実行する」と選択された場合(S15:No)、処理がS12に戻る。
【0079】
次に、S3にてRIP処理した画像の印刷を実行する(S16)。ここでは、印刷部26に画像印刷指令を送り、用紙上に画像を印刷させる。この印刷の過程でジャムが発生するなどして印刷が成功しなければ(S17:No)、S10にてサムネイル記憶部33に記憶されたサムネイルの名称を、「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)−miss」に付し直し(S18)、S19に移行する。なお、対応するサムネイルがサムネイル記憶部33に記憶されていない場合には、制御部21のRAMに格納されているサムネイルを、上記名称を付して記憶させる。サムネイルを記憶させた後、RAMに記憶されているサムネイルを消去する。
【0080】
次に、現在のページの印刷を継続するか否かのユーザによる入力を待つ(S19)。具体的には、印刷が成功しなかった旨をPC10の表示装置およびプリンタ20のユーザI/F部29のディスプレイに表示させ、「印刷ジョブを終了する」、「当該ページの再印刷を実行する」、のいずれかをユーザに選択させる。この選択操作は、PC10の入力装置およびユーザI/F部29のいずれで行なうこととしてもよい。
【0081】
上記S19にて、「当該ページの再印刷を実行する」と選択された場合(S20:Yes)、上記ページに対応するサムネイルの名称を「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)」に戻した後、処理がS16に戻る。一方、「印刷ジョブを終了する」と選択された場合(S20:No)、処理がS22に移行する。
【0082】
次に、S16にて印刷を行なったページが最終ページであるか否かを判定する(S21)。上記ページが最終ページでなければ(S21:No)、処理がS2に戻る。
【0083】
上記ページが最終ページならば(S21:Yes)、完了処理を実行する(S22)。この完了処理では、すべてのページの印刷が正常に終了したか否かに応じて上記S8にて作成したフォルダの名称を付し直すが、詳細は後述する。その後、本処理を終了する。
(1.3.2)送信判定処理
送信判定処理の処理手順を、図5に基づいて説明する。本処理は、印刷制御処理のS5にて実行される。
【0084】
本処理では、まず、画像特徴抽出を実行するように設定されているか否かを判定する(S31)。画像特徴抽出とは、ページの内容から、サムネイルを記憶させるべき特殊ページであるか否かを判定するためにページの内容を判断することであって、印刷データ管理装置30のユーザI/F部32にて予め設定入力されている。
【0085】
画像特徴抽出を実行するように設定されていなければ(S31:No)、出力ページ条件にマッチしているか否かを判定する(S32)。出力ページ条件とは、サムネイルを履歴としてサムネイル記憶部33に記憶させる条件であり、印刷データ管理装置30のユーザI/F部32にて何ページ毎にサムネイルを記憶させるかを予め設定入力されている。
【0086】
印刷しようとするページが出力ページ条件にマッチしていなければ(S32:No)、出力フラグをOFFに設定し(S33)、本処理を終了する。また、出力ページ条件にマッチしていれば(S32:Yes)、出力フラグをONに設定し(S34)、本処理を終了する。
【0087】
一方、上記S31にて画像特徴抽出を実行するように設定されていれば(S31:Yes)、画像特徴抽出を実行する(S35)。
【0088】
ここでは、まず、S3にてRIP処理されたデータに基づいて、該当ページに含まれるテキスト領域および画像領域の占有割合を判定する。そして、該当ページは、各領域が所定の割合(例えば、全ページの1/4)以上を占有する場合に、それらの情報を有するページであると判定される。そして、上記ページがテキスト情報を有するページ、画像情報を有するページ、いずれの情報も有するページ、またはいずれの情報も有しないページのいずれであるかに分類される。
【0089】
次に、上記ページに所定の文字列が含まれているか否かを判定する。ここでいう文字列とは、例えば「印刷禁止」「社外秘」などであり、予め印刷データ管理装置30のユーザインターフェース部32にて予め印刷を管理するユーザにより設定入力されている。
【0090】
判定結果は記憶部27に記憶される。記憶部27には、図6に示すデータテーブルが予め作成されている。このデータテーブルは、「テキスト情報」、「画像情報」、「文字列」からなる項目がページごとに備えられたデータ群からなり、各項目は当初「0」に設定されている。テキスト情報、画像情報、文字列などを該当ページが有している場合、該当する各項目を「1」に設定する。
【0091】
次に、特殊ページであるか否かを判定する(S36)。ここでは、上記データテーブルにおける該当ページの項目をチェックし、テキスト情報、画像情報の項目が直前(一つ上)のページのものといずれも同じであり、かつ、文字列の項目が「0」であれば、特殊ページではないと判定される。
【0092】
一方、テキストページ、画像ページのフラグの少なくともいずれか一方が直前のページと異なるか、もしくは文字列の項目が「1」であれば、特殊ページであると判定される。
【0093】
上記S36にて特殊ページであると判定された場合は(S36:Yes)、サムネイル表示態様の調整を行う(S37)。ここでは、S4にて作成されたサムネイルに基づいて、そのサムネイルを強調表示した加工を施したサムネイルを新たに作成する。また、サムネイルの名称を「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)−注意」として付する。作成したサムネイルは、制御部21のRAMに一時的に記憶する。既に記憶されているサムネイルがあれば、上書き更新する。その後、出力フラグをONとし(S34)、本処理を終了する。
【0094】
一方、上記S36にて特殊サムネイルであると判定されなかった場合は(S36:No)、処理が上述したS32に移行する。
(1.3.3)フォルダ作成処理
フォルダ作成処理の処理手順を、図7に基づいて説明する。本処理は、印刷制御処理のS8にて実行される。
【0095】
本処理では、まず、実行中の印刷ジョブのジョブ名を記憶部27より取得する(S41)。
【0096】
次に、PC10を用いて実行中の印刷ジョブを開始したユーザ名を記憶部27より取得する(S42)。
【0097】
次に、日時を時計より取得する(S43)。
【0098】
次に、S41からS43にて取得した各情報に基づいて、フォルダ名を決定する(S44)。具体的には、図2、図3に示すように、ジョブ名,ユーザ名,日時からなるフォルダ名を決定する。決定したフォルダ名は、記憶部27に記憶させる。
【0099】
次に、S44にて決定したフォルダ名のフォルダを、サムネイル記憶部33に作成する(S45)。サムネイル記憶部33には、予め作成されているプリンタ名のフォルダ内に上記フォルダを作成する。プリンタ名のフォルダが無い場合は、新たにプリンタ名のフォルダを作成し、その中にS44にて決定したフォルダ名を付したフォルダを作成する。
【0100】
このS45におけるフォルダの作成が成功すれば(S46:Yes)、本処理を終了する。一方、フォルダの作成が成功しなければ(S46:No)、リカバリ処理を行う(S47)。具体的には、フォルダの作成を所定回数までリトライする。リカバリ処理が成功すれば(S48:Yes)、本処理が終了する。リカバリ処理が成功しなければ(S48:No)、本処理を終了するとともに、印刷制御処理を終了する。
(1.3.4)印刷完了処理
印刷完了処理の処理手順を、図8に基づいて説明する。本処理は、印刷制御処理のS22にて実行される。
【0101】
本処理では、まず、記憶部27から本印刷ジョブに対応するフォルダ名を読み出し(S51)、次に、サムネイル記憶部33から上記フォルダ名のフォルダを選択し、そこに記憶されるサムネイルのうち、名称が「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)−失敗」となっているサムネイルが存在するか否かをチェックする(S52)。
【0102】
上記名称のサムネイルが存在しなければ(S53:No)、フォルダの名称を、最後に「−成功」をつけた名称に付し直し(S54)、処理がS58に移行する。一方、上記名称のサムネイルが存在すれば(S53:Yes)、該当するサムネイルすべてを記憶部27から読み出し、その読み出したサムネイルに基づいて、そのサムネイルを強調表示した加工を施したサムネイルを新たに作成する(S55)。そして、そのサムネイルをサムネイル記憶部33に記憶されている同一印刷ジョブの同一ページのサムネイルに置き換えて記憶させ(S56)、続いてフォルダの名称を最後に「−失敗」を付けた名称に付し直し(S57)、処理がS58に移行する。
【0103】
次に、フォルダ名の再設定が成功したか否かを判定する(S58)。フォルダ名の再設定が成功していれば(S58:Yes)、本処理を終了する。フォルダ名の再設定が成功していなければ(S58:No)、リカバリ処理を行う(S59)。具体的には、フォルダ名の付し直しを所定回数までリトライする。その後、フォルダ名の付し直しが成功したか否かにかかわらず、本処理を終了する。
(1.4)効果
以上説明した構成のプリンタシステム1であれば、(a)印刷の履歴を確実に残すことができ、また、(b)ユーザに対して印刷ジョブの実行履歴を的確に把握させることができる。
【0104】
上記(a)について説明すると、印刷されるページのサムネイルが、その印刷が開始される前に印刷データ管理装置30のサムネイル記憶部33に記憶され、記憶されたことを条件として印刷が開始されるので、確実に印刷の履歴を残すことができる。
【0105】
また、上記(b)については、以下のように説明できる。
【0106】
上述したように、印刷の履歴を、サムネイルにて確認できることから、ユーザは各画像のファイルを開いて確認する必要がなくなり、記憶されている画像データの内容を短時間で把握することができる。さらに、印刷ジョブの進行に合わせてサムネイルが順次記憶されるので、一の印刷データに基づき複数ページが印刷される場合であっても、その一の印刷データに基づき印刷されるページの中で、いずれのページまで印刷が進んだのかその進捗具合をユーザに判断させることが可能となる。
【0107】
また、記憶されるサムネイルの名称には、印刷される総ページ数、該当するページのページ番号、印刷の失敗などの情報が含まれるため、ユーザは、その付された名称を確認することにより、サムネイル画像データの画像以外の情報を取得することができる。
【0108】
また、記憶されるサムネイルは、印刷データごとに1つのフォルダに記憶される。そのフォルダの名称には、印刷ジョブ,ユーザ名、印刷日時、印刷が成功したか否かなどの情報が含まれる。よって、管理者は、どのような内容の印刷が、誰によりいつ行なわれたかを容易に把握することができる。
【0109】
また、記憶されるサムネイルは、元のページの有する情報の種類が一つ前のページから変わったとき、元のページが所定の文字列を有しているとき、または印刷に失敗したときに強調表示される。よって、ユーザが履歴を確認した際に、注目すべきページを容易に発見することができる。
【0110】
また、出力ページ条件を設定することによりサムネイルを記憶させるページの間隔を設定できる。よって、予め間隔を広く設定しておけば、履歴の確認を迅速に行うことができ、また予め間隔を狭く、例えば全ページサムネイルを記憶させることにしておけば、より詳細に履歴を確認することができる。なお、予め間隔を広く設定した場合でも、特殊サムネイルであると判定された場合にはサムネイルが記憶されるので、重要なサムネイルを見落とすことがなくなる。
【0111】
なお、記憶されたサムネイルは、印刷データ管理装置30のみでなく、クライアントのPC10にても確認できるようにすることで、印刷を行なわせたユーザ自身も印刷の進行状況などを把握できるようになる。
[実施例2]
実施例2におけるプリンタシステム1の構成は、基本的に実施例1と同じ構成である。しかしながら、制御部21による処理が一部変更されているため、変更された処理を以下に示す。
(2.1)制御部21による処理
本実施例では、印刷制御処理の一部が実施例1と異なると共に、送信判定処理に代えてサムネイル作成処理を実行する。
(2.1.1)印刷制御処理
本実施例における印刷制御処理の処理手順を、図9に基づいて説明する。なお、この印刷制御処理において、実施例1における図4の印刷制御処理と同様の処理を行う箇所は図4と同じ符号を付して説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0112】
本実施例の印刷制御処理では、S3におけるRIP処理の後、サムネイル作成処理を実行する(S101)。このサムネイル作成処理では、サムネイルの種類を判別し、判別したサムネイルの種類に応じて異なる表示態様のサムネイルを作成するが、詳細は後述する。その後、処理がS6に移行し、以降は実施例1の印刷制御処理と同様の処理を実行する。
(2.1.2)サムネイル作成処理
サムネイル作成処理の処理手順を、図10に基づいて説明する。本処理は、印刷制御処理のS101にて実行される。
【0113】
本処理では、まず、画像特徴抽出部25に画像特徴抽出を実行させる(S111)。ここでは、上述した図5におけるS35と同様の処理を実行し、該当するページを、テキスト情報を有するページ、画像情報を有するページ、いずれの情報も有するページ、またはいずれの情報も有しないページのいずれであるかに分類する。
【0114】
次に、S111にて分類したページの種類に応じて異なる表示態様のサムネイルを作成する(S112)。具体的には、図11に示すように、テキスト情報を有するページは背景が着色され(図中121)、画像情報を有するページは画像の周辺部が着色され(図中122)、いずれの情報も有するページはその両方が着色され(図中123)、いずれの情報も有しないページは強調表示されない(図中124)。なお、この図11は、本実施例における印刷制御処理が終了した状態を示している。
【0115】
次に、出力ページ条件にマッチしているか否かを判定し(S113)、印刷しようとするページが出力ページ条件にマッチしていなければ(S113:No)、出力フラグをOFFに設定し(S114)、本処理を終了する。また、出力ページ条件にマッチしていれば(S113:Yes)、出力フラグをONに設定し(S115)、本処理を終了する。このS113〜S115の処理は、図5におけるS32〜S34と同様の処理である。
(2.2)効果
以上説明した構成のプリンタシステム1であれば、上記実施例1と同様に印刷履歴を確実に残すことができるうえ、作成されたサムネイルに対応するページがどのような種類の情報を有しているかをそのサムネイルの表示態様によって見分けることができるようになるため、サムネイルにより表わせられる履歴情報の中から特異な印刷履歴情報を容易に発見できるようになる。
[実施例3]
実施例3におけるプリンタシステム1の構成は、基本的に実施例1と同じ構成である。しかしながら、制御部21による処理が一部変更されているため、変更された処理を以下に示す。
(3.1)制御部21による処理
本実施例では、送信判定処理の一部が実施例1と異なる。
(3.1.1)送信判定処理
本実施例における送信判定処理の処理手順を、図12に基づいて説明する。なお、この送信判定処理において、実施例1における図5の印刷制御処理と同様の処理を行う箇所は図5と同じ符号を付して説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0116】
本実施例の送信判定処理では、S31にて画像特徴抽出を実行するように設定されていれば(S31:Yes)、画像類似度判定を行う(S121)。
【0117】
ここでは、画像特徴抽出部25に画像特徴抽出を実行させ、該当ページに含まれるテキスト領域および画像領域の占有割合を判定する。判定結果は、記憶部27に記憶される。記憶部27には、図13に示すデータテーブルが予め作成されている。このデータテーブルは、「テキスト領域」、「画像領域」、「判定」からなる項目がページごとに備えられたデータ群からなる。テキスト領域および画像領域の占有割合を判定すると、判定結果(%)が対応する各項目に登録される。そして、2ページ目以降では、いずれかの項目の占有割合が直前のページと比較して所定の閾値(本実施例では20%)以上変化した場合に、判定の項目に「1」を登録し、いずれの項目も閾値以下の変化であった場合には、判定の項目に「0」を登録する。
【0118】
次に、特殊ページであるか否かを判定する(S122)。ここでは、上記データテーブルにおける該当ページの「判定」項目をチェックし、「0」が登録されていれば特殊ページではないと判定し(S122:No)、処理がS32に移行する。一方、「1」が登録されていれば、特殊ページであると判定し(S122:Yes)、処理がS37に移行する。
(3.2)効果
以上説明した構成のプリンタシステム1であれば、上記実施例1と同様に印刷履歴を確実に残すことができるうえ、作成されたサムネイルに対応するページの内容が大きく変化したこと、例えばページに記載されたテキストや画像の量が大幅に増減したことを、そのサムネイルの表示態様によって見分けることができるようになるため、内容が大きく変化したページを容易に発見できるようになる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0119】
例えば上記各実施例においては、印刷を失敗したページのサムネイルの名称を「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)−miss」と付し直す構成を例示したが、印刷に成功したサムネイルの名称を変更する構成であってもよい。例えば、図4のS17にて印刷が成功したときに、サムネイルの名称を「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)−success」と付し直すことが考えられる。
【0120】
また、上記各実施例においては、印刷を失敗したページのサムネイルの表示態様を変更する構成を例示したが、成功したページのサムネイルの表示態様を変更することとしてもよいし、両方のサムネイルの表示態様を変更することとしてもよい。
【0121】
また、サムネイルの強調表示の態様は、上記各実施例の記載に限定されない。画像の色、形状、配置など、注目すべきサムネイルが強調される態様であればよい。たとえば、該当するサムネイルが中心となる魚眼レンズのようにサムネイル表示画面自体を表示する構成であってもよいし、所定のサムネイルのみアニメーションするように構成してもよい。
【0122】
また、上記実施例においては、各ページに対応するサムネイルが、それぞれ異なる画像データである構成を例示したが、全てのページのサムネイルを示す1つの画像データを作成する構成であってもよい。このように構成されたプリンタシステム1であれば、印刷ジョブごとに1の画像データを生成することになるため、管理するファイル数を削減でき、印刷履歴の管理が容易になる。具体的には、印刷制御処理のS22の後、記憶部27に記憶されている当該印刷ジョブに該当する全てのサムネイルを表示させた1つの画像を作成し、サムネイル記憶部33に記憶された当該印刷ジョブに基づくサムネイルと置き換えることとしてもよい。
【0123】
また、図5のS35における画像特徴抽出は、RIP処理されたデータでなく、作成したサムネイルに基づいて実行してもよい。それにより、判定の精度は落ちるものの、データが小さいことから、処理を迅速に行うことができるようになる。
【0124】
また、サムネイルを記憶させるフォルダの名称は、印刷が成功したか否かに応じて変更する構成を例示したが、当該フォルダに名称を「(ページ番号)−(印刷データの総ページ数)−注意」として設定されたサムネイルが存在するか否かに応じてフォルダの名称を変更してもよい。
【0125】
また、上記各実施例においては、1つの印刷データに基づいて1のフォルダを形成する構成を例示したが、それ以外の条件でフォルダを形成する構成であってもよい。例えば、印刷データごとにフォルダを形成せず、プリンタ20に対応するフォルダにサムネイルを記憶させる構成や、日時で分類したフォルダにサムネイルを記憶させる構成などが考えられる。
【0126】
また、図5のS36における特殊ページであるか否かの判定においては、データテーブルにおける該当ページのテキストページおよび画像ページの項目が、直前のページの各項目といずれも同一である場合に特殊ページであると判定する構成を例示したが、図6のデータテーブルに登録されている全てのページと比較して、同一でないページが存在する場合に特殊ページであると判定することとしてもよい。
【0127】
なお、同一のフォルダに異なる印刷データのサムネイルが登録される構成とする場合には、例えばそのフォルダにデータテーブルを登録しておき、当該フォルダにサムネイルを登録する印刷ジョブを実行する際には、そのデータテーブルに追記するようにデータテーブルの登録を行うことで、既に記憶されているサムネイルを対象として上記の判定を行うことができる。
【0128】
また、サムネイルの表示態様は、印刷を実行した時刻に応じて変化させる構成であってもよい。例えば、図10のS111、S112に代えて、サムネイルを、8時〜20時は通常色、20時〜24時は黄色、24時〜8時は赤色に強調表示させる処理を実行することが考えられる。これにより、サムネイルが作成された時刻、つまり印刷が行なわれた時刻を、履歴を確認するだけで容易に知ることができるため、例えば業務時間外の印刷履歴などを容易に発見することができる結果、不正な印刷の発見を容易に行なえるようになる。このことは、同一のフォルダに異なる印刷データに基づくサムネイルが記載されている場合に特に効果的であるが、印刷データごとにフォルダが作成され、フォルダ名に時間が登録されている場合であっても、サムネイルの表示態様により印刷時刻を感覚的に認識することができ、より不正な印刷の発見を容易に行なえるようになる。
【0129】
また、上記実施例では、PC10から印刷データが送信される構成を例示したが、プリンタ20と、例えばフラッシュメモリのような記憶媒体とを接続し、その記憶媒体に記憶されたデータから印刷を行なう構成であってもよい。
【0130】
また、印刷中のページに対応するサムネイルを強調表示する構成であってもよい。その場合は、印刷データ管理装置30の制御部31が、ディスプレイに表示させる画像を変化させるように指令を出す構成とすれば、別途サムネイル画像データを作成する必要が無くなる。
【0131】
また、上記実施例においては、サムネイルを記憶させる記憶装置として、プリンタ20にネットワークを介して接続された印刷データ管理装置30のサムネイル記憶部33に記憶させる構成を例示したが、記憶装置はプリンタ20の内部に配置されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】プリンタの構成を示すブロック図
【図2】サムネイル表示画面を示す図
【図3】サムネイル表示画面を示す図
【図4】印刷制御処理の処理手順を示すフローチャート
【図5】送信判定処理の処理手順を示すフローチャート
【図6】データテーブルを示す図
【図7】フォルダ作成の処理手順を示すフローチャート
【図8】印刷完了処理の処理手順を示すフローチャート
【図9】実施例2の印刷制御処理の処理手順を示すフローチャート
【図10】サムネイル作成処理の処理手順を示すフローチャート
【図11】サムネイル表示画面を示す図
【図12】実施例3の送信判定処理の処理手順を示すフローチャート
【図13】データテーブルを示す図
【符号の説明】
【0133】
1…プリンタシステム、2…ネットワーク、10…PC、20…プリンタ、21…制御部、22…ネットワーク送受信部、23…RIP処理部、24…画像処理部、25…画像特徴抽出部、26…印刷部、27…記憶部、28…時計、29…ユーザインターフェース部、30…印刷データ管理装置、31…制御部、32…ユーザインターフェース部、33…サムネイル記憶部、101,102,103,104,111,112,113,114…サムネイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて画像を印刷する印刷手段を備え、各種データを記憶可能な記憶装置と通信可能に接続されたプリンタであって、
前記印刷データに基づき印刷される各ページに対応するサムネイル画像データを作成するサムネイル作成手段と、
前記サムネイル作成手段により作成されたサムネイル画像データを、前記記憶装置に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段が前記記憶装置に前記サムネイル画像データを記憶させたことを条件として、前記印刷手段に前記サムネイル画像データに対応する画像の印刷を許可する印刷制御手段と、を備える
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記サムネイル作成手段により作成されるサムネイル画像データに対して付す名称を作成する名称作成手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記サムネイル画像データに、前記名称作成手段により作成された名称を付して記憶させることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記印刷データから、当該印刷データに基づき印刷される総ページ数を決定する決定手段を備え、
前記名称作成手段は、前記決定手段により決定された総ページ数、及び、前記印刷データのうち前記サムネイル作成手段により作成されるサムネイル画像データに対応するページのページ番号を含む名称を作成する
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記名称作成手段は、前記記憶装置に記憶された前記サムネイル画像データに対応する画像の印刷に成功したか否かに応じて、前記サムネイル画像データの名称を再作成し、
前記記憶制御手段は、前記名称作成手段が前記サムネイル画像データの名称を再作成した場合には、前記サムネイル画像データの名称を前記名称作成手段により再作成された名称に付し直す
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記記憶装置に前記サムネイル画像データを格納可能なフォルダを作成するフォルダ作成手段を備え、
前記名称作成手段は、前記フォルダ作成手段により作成されるフォルダに付する名称を作成し、
前記記憶制御手段は、前記名称作成手段により作成されたフォルダの名称を、前記フォルダ作成手段により作成されたフォルダに付して前記記憶装置に記憶させるとともに、前記サムネイル作成手段が作成した前記サムネイル画像データを、前記フォルダ作成手段により作成されたフォルダに記憶させる
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項6】
前記フォルダ作成手段は、前記印刷データごとに、前記印刷データに対応する印刷データ対応フォルダを作成し、
前記記憶制御手段は、前記印刷データ対応フォルダに、当該印刷データ対応フォルダに対応する印刷データに基づくサムネイル画像データを記憶させる
ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記名称作成手段は、前記印刷データに基づくすべてのページの印刷が成功したか否かに応じて、前記印刷データ対応フォルダの名称を再作成し、
前記記憶制御手段は、前記名称作成手段が前記印刷データ対応フォルダの名称を再作成した場合には、前記データ対応フォルダの名称を前記名称作成手段により再作成された名称に付し直す
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記サムネイル作成手段は、前記印刷手段が前記印刷データの所定のページの印刷に成功した場合または失敗した場合のうち、少なくともいずれか一方の場合に、前記所定のページに対応するサムネイル画像データと表示態様の異なる新たなサムネイル画像データを作成し、
前記記憶制御手段は、前記記憶装置に記憶されている前記所定のページに対応するサムネイル画像データを、前記新たに作成されたサムネイル画像データに更新する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項9】
前記サムネイル作成手段は、前記サムネイル画像データの表示態様を、そのサムネイル画像データを作成する時刻に応じて異ならせる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項10】
前記印刷データのページの種類を分別する分別手段を備え、
前記サムネイル作成手段は、印刷データにおける2ページ目以降にある所定のページの種類が、その直前のページの種類と異なる場合に、前記所定のページに対応して作成されるサムネイル画像データを、前記直前のページに対応して作成されたサムネイル画像データとは種類が異なることを示す表示態様のサムネイル画像データとして作成する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のプリンタ。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図2】
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【図3】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−113508(P2010−113508A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285449(P2008−285449)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】