説明

プリント処理システム及び画像処理装置

【課題】画像処理装置と複数の写真処理装置がネットワークにより接続されたシステムにおいて、待ち時間を少なくしてプリント処理の効率を良くする。
【解決手段】写真処理装置1の特性に依存しない第1の画像処理を行なう第1画像処理手段21cと、特性に依存する第2の画像処理を行なう第2画像処理手段21dと、第1の画像処理が行われた処理途中の画像データを保存する画像保存手段24と、第2画像処理手段21dにより作成された画像データを送信すべき写真処理装置1を決定する送信先決定手段26と、写真処理装置1毎に第2の画像処理の処理内容データを記憶した処理内容記憶手段23と、画像データに対して第1の画像処理を行なわせて処理途中の画像データを生成し、写真処理装置1の決定後、対応する処理内容データと、処理途中の画像データを読み出し、第2の画像処理を施してプリント用画像データを作成させる画像処理制御手段27と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データに対して画像処理を行い、プリント作成用のプリント用画像データを作成する画像処理装置と、この画像処理装置により作成されたプリント用画像データを受信して画像プリントを作成する画像形成装置と、を備え、これら画像処理装置と複数の画像形成装置がネットワークにより接続されたプリント処理システム、及び、これに用いられる画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の写真処理装置(画像形成装置の一例)と端末処理装置(画像処理装置の一例)とをネットワークで接続したプリント処理システムとしては、例えば、下記特許文献1により公知である。一般的に、写真処理装置でプリントを作成するためには、入力された画像データに対して画像処理を施してプリント用画像データを作成する必要がある。この画像処理は、写真処理装置に備えられたプリントエンジンに適した形の画像データに変換したり、適切な画質のプリントを作成したり、顧客の依頼に係るプリントサイズへの変換などのために必要とされるものである。従って、かかる画像処理を行なうための機能を有する画像処理手段が必要であり、特許文献1においては、写真処理装置と端末処理装置の両方に画像処理手段が設けられている。
【0003】
例えば、デジタルカメラの記憶媒体から入力された画像データについては、端末処理装置において画像処理が施されてプリント用画像データを生成し、ネットワーク経由で写真処理装置へと送信される。写真処理装置では、受信したプリント用画像データを用いて、レーザー露光エンジン等により写真プリントを作成することができる。端末処理装置で画像処理を行う場合には、写真処理装置において改めて画像処理を行う必要はない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−173714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、端末処理装置で画像処理を施して写真処理装置にプリント用画像データを送信するシステムにおいては、次のような課題が存在する。
【0006】
すなわち、端末処理装置と複数の写真処理装置がネットワークで接続されるシステムの場合、端末処理装置においてどの写真処理装置に対してプリント用画像データを送信するのか(プリント処理の依頼をするのか)を決定しなければならない。
【0007】
一方、画像処理には種々の内容があり、写真処理装置が決定しなければ行うことのできない画像処理がある。例えば、写真処理装置が銀塩プリントを作成する画像形成装置であれば、現像処理液の日々の状態を考慮した画像処理(補正処理)を行う必要がある。かかる画像処理は画一的なものではなく、写真処理装置ごとに特有なものである。また、写真処理装置において使用される露光エンジンの特性に応じたシャープネスの補正を行うことがあるが、この補正内容も写真処理装置ごとに異なる処理内容になる。従って、写真処理装置が決定するまでは、画像処理を行なうことができない。
【0008】
しかしながら、端末処理装置で画像データが入力されても、直ちにプリント処理を依頼する写真処理装置が決定できないことがある。例えば、接続されている複数の写真処理装置がどれも稼働中であり、どの写真処理装置において一番最初にプリント処理が終了するのかが直ちに認識できない場合、また、一部の写真処理装置がメンテナンス中(ペーパーの交換作業中やエラー対処中など)で、残りの写真処理装置が稼働中である場合、などが例としてあげられる。
【0009】
かかる場合に、写真処理装置が決定されるまで待機するのは、時間の無駄であり、写真店におけるプリント処理の効率を低下させる。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、画像処理装置と複数の画像形成装置がネットワークにより接続されたシステムにおいて、待ち時間を極力少なくしてプリント処理の効率を良くすることのできるプリント処理システム、及び、このシステムに用いられる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明に係るプリント処理システムは、
入力された画像データに対して画像処理を行い、プリント作成用のプリント用画像データを作成する画像処理装置と、この画像処理装置により作成されたプリント用画像データを受信して画像プリントを作成する画像形成装置と、を備え、これら画像処理装置と複数の画像形成装置がネットワークにより接続されたプリント処理システムであって、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存しない第1の画像処理を行なう第1画像処理手段と、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存する第2の画像処理を行なう第2画像処理手段と、
第1画像処理手段により第1の画像処理が行われた処理途中の画像データを保存する画像保存手段と、
第2画像処理手段により作成されたプリント用画像データを送信すべき画像形成装置を決定する送信先決定手段と、
画像形成装置ごとに第2の画像処理の処理内容データを記憶した処理内容記憶手段と、
送信先決定手段により画像形成装置が決定する前であっても、入力された画像データに対して第1の画像処理を行なわせて処理途中の画像データを生成・保存させ、前記送信先決定手段により画像形成装置が決定された後、その画像形成装置に対応する処理内容データを処理内容記憶手段から読み出すと共に、画像保存手段から処理途中の画像データを読み出し、第2の画像処理を施してプリント用画像データを作成するように各手段に対する制御を行う画像処理制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、このプリント処理システムにおいて用いられる画像処理装置は、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存しない第1の画像処理を行なう第1画像処理手段と、画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存する第2の画像処理を行なう第2画像処理手段と、第1画像処理手段により第1の画像処理が行われた処理途中の画像データを保存する画像保存手段と、第2画像処理手段により作成されたプリント用画像データを送信すべき画像形成装置を決定する送信先決定手段と、画像形成装置ごとに第2の画像処理の処理内容データを記憶した処理内容記憶手段と、
送信先決定手段により画像形成装置が決定する前であっても、入力された画像データに対して第1の画像処理を行なわせて処理途中の画像データを生成・保存させ、前記送信先決定手段により画像形成装置が決定された後、その画像形成装置に対応する処理内容データを処理内容記憶手段から読み出すと共に、画像保存手段から処理途中の画像データを読み出し、第2の画像処理を施してプリント用画像データを作成するように各手段に対する制御を行う画像処理制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
これらプリント処理システム及び画像処理装置の作用・効果について説明する。このシステムは、画像形成装置において画像処理を行い、プリント作成用のプリント用画像データを作成し、複数の画像形成装置のうちのいずれか1つの画像形成装置に対して送信される。ここで、画像処理を第1の画像処理と第2の画像処理に分けており、画像形成装置の特性に依存しない第1の画像処理のみを先に行っておくことが可能である。
【0014】
すなわち、プリント用画像データを送信すべき画像形成装置が決定されていない段階であっても、第1の画像処理は進めることができるので、無駄な時間を減らすことができる。第1の画像処理が行われた処理途中の画像データは、画像保存手段に一時的に保存させておく。そして、その後、送信先である画像形成装置が決定されると、その画像形成装置に特有の処理内容データを読み出して、第2の画像処理が行なわれる。これにより、最終的に画像形成装置において必要とされるプリント用画像データが作成されて、決定された画像形成装置へとプリント用画像データが送信される。以上の構成により、待ち時間を極力少なくしてプリント処理の効率を良くすることのできるプリント処理システム、及び、このシステムに用いられる画像処理装置を提供することができる。
【0015】
本発明に係る前記第1の画像処理には、画像データの拡大処理・画像データの縮小処理・トリミング処理・フレーム画像との合成処理のうちの少なくとも1つが含まれることが好ましい。
【0016】
これらの画像処理は、画像形成装置の特性に関係のない処理であり、画像形成装置が決定される前であっても処理を行うことができる。
【0017】
なお、第2の画像処理としては、前述のような、現像処理液の日々の状態を考慮した画像処理(補正処理)や露光エンジンの特性に応じたシャープネスの補正などが例としてあげられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るプリント処理システムの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、システムの概要を示す模式図である。
【0019】
<プリント処理システムの構成>
図1において、複数の写真処理装置(画像形成装置に相当)1と画像管理装置(画像処理装置に相当)2がネットワーク3により接続されている。なお、画像管理装置2は、1台ではなく複数台をネットワークに接続してもよい。写真処理装置2は、基本的には複数台が設置されるが、何台接続するかは任意である。ネットワーク3はイーサネット等の汎用性のあるLANにより構築されるが、これに限定されるものではない。ネットワーク3は、有線・無線のいずれであってもよく、有線と無線を組み合わせてもよい。
【0020】
写真処理装置1は、銀塩ペーパーに画像形成する方式のものが一般的には使用されるが、画像形成装置としてはこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェットプリンタを用いてもよく、種々の方式の画像形成装置を組み合わせてプリント処理システムを構築してもよい。
【0021】
受付端末4は、プリント依頼を行なうために来店した顧客により操作される装置であり、デジタルカメラの記憶媒体から画像データが入力される。かかる記憶媒体としては、コンパクトフラッシュTM、スマートメディアTMなどが例としてあげられる。その他に、CD−Rやフラッシュメモリなども記憶媒体の例としてあげられる。なお、受付端末4を介して画像データを入力するのではなく、画像管理装置2に直接入力させるように構成してもよい。
【0022】
受付端末4は、実際には複数台がネットワークに接続されており、入力された画像データは、適宜のタイミングにて画像管理装置2に送信され、一旦保存される。
【0023】
<画像管理装置の構成>
次に、画像管理装置2の主要な機能について図2のブロック図により説明する。画像管理装置2は、汎用性を有するコンピュータ(パソコン)及びその周辺機器により構成することができる。
【0024】
オーダーデータ保存部20は、プリント処理を行なうべき画像データが保存される。画像データは、受付端末4から送信されてくるものであり、オーダー単位でオーダーデータ保存部20に保存される。ここで、オーダー単位とは、プリント処理を管理する場合の単位を示すものであり、画像データはオーダーごとに付与される管理番号(管理用ID)により管理される。例えば、顧客が1つの記憶媒体を持参して50枚分のプリント処理の依頼を行った場合、その50枚分のプリント処理に係る画像データ群により、1オーダーが構成される。従って、2つの記憶媒体を持参した場合は、2オーダーが構成される。なお、1オーダー(1つの記憶媒体)に係るプリント枚数が多い場合は、2つ以上のオーダーに分割して管理してもよい。
【0025】
オーダーデータ保存部20は、ハードディスクなどの大容量記憶装置により構成される。保存される画像データは、プリント処理を行なった後に削除されるが、削除するタイミングは適宜設定することができる。例えば、プリント処理を行った後に削除してもよいし、後日の焼き増し注文に備えて所定期間(例えば、1週間)保存した後に削除してもよい。
【0026】
オーダー単位で画像データを保存する場合には、画像データのみが保存されるのではなく、そのほかのオーダデータも合わせて保存される。例えば、プリント作成のためには、プリントサイズを指定する必要があるため、サイズデータが保存されている。また、個々の画像データについて、何枚プリントをするのかについてのプリント枚数データも保存される。また、赤目補正などの特殊な補正の依頼があれば、それを表すデータも保存される。
【0027】
画像処理部21は、入力された画像データ(オーダーデータ保存部20に保存されている画像データ)に対して画像処理を行い、プリント作成のために必要なプリント用画像データを作成する機能を有する。画像処理部21は、画像処理を行なうために必要なソフトウェアにより構築することができるが、機能の一部もしくは全部をハードウェアにより構成することも可能である。
【0028】
プレジャッジ用画像処理手段21aは、プレジャッジを行なうために必要な機能を提供する。プレジャッジとは、表示手段であるモニター22に画像データを表示させて、適切な色・濃度のプリントに仕上がるか否かを判定することをいう。モニター22に画像を表示させる場合は、オーダーデータ保存部20に保存されている画像データからサムネイル画像データを生成することで、モニター22に画像表示をさせることができる。
【0029】
オペレータは、モニター22に映し出された画像を見ながら、適切な画質のプリントが作成されるか否かを判定する。画質が適切でないと判断した場合は、色・濃度の補正データを入力する。また、前述の赤目補正のほか、階調補正などの特殊な補正についても必要に応じて行われ、その補正データが入力される。これらの補正データは、個々の画像データに付随するデータとしてオーダーデータ保存部20に保存される。
【0030】
1オーダー分の画像データについてプレジャッジが終了すると、プリント処理指示手段21bにより、そのオーダーに関してプリント処理を開始するように指令を与えることができる。例えば、画面上に表示されるプリント開始ボタンをクリックすることにより、プリント処理の開始を行なうことができる。
【0031】
プリント処理の開始は、例えば、1オーダーに50枚分の画像データが含まれる場合、50枚分すべての画像についてのプレジャッジが終了した後に、プリント処理の開始を行なうことができる。また、モニター22に画像表示を行う場合、所定枚数(例えば、6枚)ずつ行なうことが一般的であるので、当該所定枚数のプレジャッジが終了するごとにプリント処理の指示を与えるようにしてもよい。
【0032】
画像処理部21で行なわれる画像処理には種々の種類の画像処理があるが、大きく分けて、写真処理装置1の特性に依存しない第1の画像処理と、写真処理装置1の特性に依存する第2の画像処理がある。第1の画像処理は、第1画像処理手段21cにより行なわれ、第2の画像処理は、第2画像処理手段21dにより行なわれる。
【0033】
まず、第1の画像処理の具体例について説明する。上記説明したプレジャッジにおいて設定される補正データにより行われる画像処理は、写真処理装置1の特性には関係なく第1の画像処理に含まれる。また、作成されるプリントサイズに対応した画像データとするために、入力した画像データに対する拡大処理もしくは縮小処理が行われるが、これも第1の画像処理に相当する。また、JPEGなどの圧縮形式の画像ファイルをビットマップに展開する処理も第1の画像処理に含まれる。
【0034】
また、画像データのトリミング処理やフレームとの合成処理についても、第1の画像処理に相当する。フレームとの合成については、例えば、年賀状プリント、カレンダープリントなどの作成の場合は、予め決められたフレームデータと画像データとの合成処理が行われる。
【0035】
次に、第2の画像処理の具体例を説明する。第2の画像処理は、写真処理装置1の特性に依存する画像処理であり、その代表的なものとしては、前述のように現像処理液の経時変化に起因するものがある。すなわち、現像処理液は使用している間に劣化していくものであり、これにより、発色にも影響を及ぼす。従って、写真処理装置1を毎日立ち上げる時にテストプリントを作成し、テストプリントに形成された色・濃度のチェックを行なっている。そして、予め設定された発色が得られるように、補正データが作成される。補正データは、例えば、LUT(ルックアップテーブル)のような形態で提供されるものである。また、現像処理液の状態は、仮に全く同じ機種であったとしても写真処理装置1ごとに異なるものであるから、かかる補正データによる画像処理は、写真処理装置1に固有の第2の画像処理になる。
【0036】
また、写真処理装置1において画像形成を行う場合には、露光エンジンが用いられる。露光エンジンには、レーザー光により画像形成を行なわせるレーザーエンジンの他に、PLZTエンジン、CRTエンジンなどがある。これらエンジンの特性に応じたシャープネスの補正を行う必要がある。エンジンの種類が異なれば、当然、補正データも異なり、また、同じレーザーエンジンであっても機体差により特性は異なる。従って、かかる補正データも写真処理装置1の特性に依存する第2の画像処理に相当する。
【0037】
また、銀塩式の画像形成装置ではなく、インクジェットプリンタを用いる場合は、インクジェット用に対応した画像データの展開を行う必要があるため、かかる画像処理も第2の画像処理に相当する。
【0038】
処理内容記憶手段23は、写真処理装置1に特有の第2の画像処理の処理内容データ(補正データ)を記憶している。前述の現像処理液の変化に起因する補正データは、日々変化するものであるから、毎日補正データが更新される。また、シャープネスに関する補正データやその他の第2の画像処理用の補正データも記憶される。また、各写真処理装置1には固有の識別情報が割り振られており、この識別情報と関連付けて処理内容データが記憶されている。従って、識別情報を指定することで、対応する処理内容データを読み出すことができる。
【0039】
処理内容記憶手段23は、オーダーデータ保存部20と同じようにハードディスクにより構成することができる。両者は、別々のハードウェアである必要はなく、同じハードディスクの記憶領域を区分けして、オーダーデータ保存部20及び処理内容記憶手段23として機能させることもできる。
【0040】
画像処理には第1の画像処理と第2の画像処理があることを説明したが、写真処理装置1においてプリントを作成するためには、第1の画像処理と第2の画像処理の両方を行なってプリント用画像データを作成する必要がある。そして、第2の画像処理を行なうためには、プリント用画像データを送信すべき写真処理装置1がその時点で決定していなければならない。仮に、プリント処理を指示したとしても、写真処理装置1が決定していなければ、画像処理を進めることができない。従って、写真処理装置1が決定されるまで、待機しなければならないことになるが、時間の無駄を発生させプリント処理の効率を低下させる。
【0041】
そこで、本発明においては、写真処理装置1が決まらなくても行なうことができる第1の画像処理を先に行なうことができるようにした。第1の画像処理は、写真処理装置1の特性に依存しないため、どの写真処理装置1が指定されたとしても、同じ内容の処理となる。
【0042】
そのため、画像保存手段24を設けており、入力された画像データに対して、第1画像処理手段21cにより第1の画像処理のみを行い、その処理途中の画像データを一時的に保存する。写真処理装置1が決定すれば第2の画像処理を行なうことができるので、処理途中の画像データを読み出して、第2画像処理手段21dの機能により第2の画像処理を行いプリント用画像データを作成する。画像保存手段24も、オーダーデータ保存部20や処理内容記憶手段23と同様の記憶装置により構成することができる。
【0043】
入力操作部25は、キーボードやマウス等により構成されるものであり、プレジャッジ作業を行う場合などに、必要なデータの入力を行なったり、その他の種々の操作指令を行なうものである。
【0044】
送信先決定手段26は、画像処理部21により作成されたプリント用画像データを送信すべき写真処理装置1を決定する機能を有する。複数の写真処理装置1の中から1つを決定するまでのアルゴリズムは、適宜決めることができる。例えば、次のようにして決めることができる。
【0045】
まず、3台の写真処理装置1が接続されているとし、そのうちの2台が稼働中であり、残りの1台が稼動していなければ、その写真処理装置1を選択することができる。稼働中か否かの状態を表わす信号は、各写真処理装置1から所定時間間隔ごとに受信することができる。仮に、すべての写真処理装置1が稼働中であれば、その時点では決定することができず、どれか1台が空くまで待機することになる。
【0046】
また、上記において、稼働中でなくても、メンテナンス中であることもあり、その場合も写真処理装置1を決定できない場合に相当する。メンテナンスの例としては、ペーパーの交換作業や、ペーパー詰まり対策などがある。メンテナンスが終了すれば、その旨の信号が画像管理装置2に送信される。これに基づいて、写真処理装置1を決定することもできる。
【0047】
更に、3台の写真処理装置1がすべて稼働中であった場合、どの写真処理装置1が一番先にプリント処理を終了するかを予想することは可能である。例えば、画像管理装置2では、どの写真処理装置1にどのようなオーダーを依頼したかは一括して管理されているため、各写真処理装置1におけるプリント枚数を把握することができる。プリント処理時間は、プリントサイズ及びプリント枚数に依存するため、プリント処理の終了時刻を予測演算することができる。これに基づいて、一番早くプリント処理が終了すると予測された写真処理装置1を次の送信先として決定することができる。
【0048】
ただし、一旦写真処理装置1が決定された後に、前述したメンテナンスのために写真処理装置1の稼動を停止しなければならないことがある。この場合は、他の写真処理装置1に変更しなければならないが、写真処理装置1を変更した場合、第2の画像処理の内容が異なってくる。
【0049】
かかる場合に、既にプリント用画像データを作成済みである場合、最初から画像処理をやりなおすと、時間が無駄になり効率も悪くなる。そこで、写真処理装置1が早めに決定して、第1の画像処理と第2の画像処理の両方を行った場合、その処理途中の画像データを画像保存手段24に保存しておけば、第2の画像処理のみをやり直せばよいので、無駄な時間の発生を抑制することができる。従って、中間的な処理途中の画像データを一時的に保存しておく利点は、この面においても存在する。
【0050】
画像処理制御手段27は、図2に図示される各手段及びオーダーデータ保存部20に対する制御などの装置全体を統括するコントローラとして機能する。具体的には、送信先決定手段26により送信先の写真処理装置1が決定される前であっても、入力された画像データに対して第1の画像処理を行わせて、画像保存手段24に処理途中の画像データを保存させる。その後に、写真処理装置1が決定されると、その写真処理装置1に対応した処理内容データを処理内容記憶手段23から読み出す。そして、上記処理途中の画像データと、読み出された処理内容データを用いて、第2画像処理手段21dに第2の画像処理を行なわせ、プリント用画像データを作成させる。
【0051】
通信手段28は、ネットワーク3を経由して送信されてくる画像データを受信し、また、各写真処理装置1からの種々のデータや信号を受信する。また、作成されたプリント用画像データは、オーダー単位で指定された写真処理装置1へと送信される。
【0052】
<プリント作成までの手順>
次に、入力された画像データを用いて画像プリントを作成するまでの手順を図3のフローチャートにより説明する。
【0053】
受付端末4において取り込まれた画像データ群は、ネットワーク3を介して画像管理装置2に受信される(S1)。受信された画像データは、オーダー単位でオーダーデータ保存部20に保存され、オーダー単位で管理される(S2)。
【0054】
保存された画像データについては、プレジャッジが行われる(S3)。どのようなオーダーが現在保存されているかについては、プレジャッジ用画像処理手段21aの機能を用いて、モニター画面に表示させることができる。プレジャッジを開始する場合は、どのオーダーについて行なうのかモニター22を見ながら指定する。なお、プレジャッジが終了しているオーダーに関しては、その旨の識別表示がなされるようにしている。
【0055】
プレジャッジの開始指令を行なうと、オーダーデータ保存部20に保存されている、そのオーダーの画像データからサムネイル画像データを作成する(S4)。このサムネイル画像データは、画像をモニター22に表示させるために使用するものである。モニター22に表示させる場合は、例えば、1画面につき6枚ずつ画像を表示させる。
【0056】
オペレータは、モニター22に表示された画像を見ながら、色・濃度が適切な画像プリントが作成されるか否かを判定する(S5)。そのままでは適切な画質にならないと判断した場合は、色・濃度の補正データを入力操作部25を用いて入力する(S6)。補正データを入力した結果は、モニター画面にすぐに反映されるので、適切な画質になるまで補正データの入力・修正を行なうことができる。確定した補正データは、対応する画像データと対応付けられた形でオーダーデータ保存部20に保存される(S7)。
【0057】
画像のすべてについてプレジャッジが終了すれば(S8)、プリント処理の開始指令を行なう(S9)。まず、第1画像処理手段21cの機能に基づき、第1の画像処理が行われる(S10)。第1の画像処理が行われた画像データは、処理途中の画像データとして、画像保存手段24に保存される(S11)。
【0058】
次に、送信先の写真処理装置1が決定しているか否かを送信先決定手段26の機能に基づいて判断し(S12)、決定していれば、その写真処理装置1の処理内容データを処理内容記憶手段23から読み出す(S13)。また、処理途中の画像データを画像保存手段24から読み出す(S14)。
【0059】
これら読み出されたデータを用いて、第2画像処理手段21dにより第2の画像処理を行なう(S15)。これにより、プリント画像データが作成され、一旦オーダーデータ保存部20に保存する。
【0060】
次に、作成されたプリント用画像データを決定された写真処理装置1に送信可能であるか否かを判断する(S17)。例えば、決定された写真処理装置1において、処理中のプリント処理がすべて終了すれば、送信可能になる。まだ送信できる状態でなければ待機する。
【0061】
このとき、送信先の写真処理装置1の変更事由が発生したか否かを判断する(S18)。これは、送信先の写真処理装置1においてペーパーがなくなったため交換作業のため稼動停止になるとか、ペーパー詰まりが発生して稼動停止状態になった場合などが例としてあげられる。かかる場合には、送信先の写真処理装置1を変更する処理を行う(S19)。この変更処理は、送信先決定手段26の機能により行なうことができる。
【0062】
送信先が変更された場合は、S13に戻り、処理途中の画像データを読み出して、変更後の写真処理装置1に係る処理内容データを読み出して、第2の画像処理を行なう。写真処理装置1が緊急に変更されても、第1の画像処理は既に行なわれた状態であるので、プリント処理の効率が低下するのを抑制することができる。
【0063】
S17において、送信可能であれば、プリント用画像データを指定された写真処理装置1へと送信する(S20)。プリント用画像データは、通信手段28によりネットワーク3へと送出され、指定された写真処理装置1により受信される。
【0064】
写真処理装置1が銀塩式のプリンタである場合は、概ね、次のような手順でプリントが作成される。受信されたプリント用画像データは、レーザーエンジンに送信され、画像データにより光変調されたレーザー光により、ペーパーの乳剤面に潜像を形成させる。潜像が形成されたペーパーは、現像処理部へと送られて潜像が顕在化され、写真プリントが作成される。プリントは、オーダー単位で集積部に集積され、袋詰めされる。
【0065】
<別実施形態>
本実施形態において、画像処理はすべて画像管理装置2において行なうようにし、写真処理装置1においては画像処理を行なわないようにしている。すなわち、写真処理装置1は、画像処理機能を持たせる必要はなく、コストダウンに寄与できるものであるが、写真処理装置1が画像処理の機能を備えていてもよい。また、画像処理機能を有する写真処理装置1と、画像処理機能を有していない写真処理装置1とが混在した状態でシステムを構築してもよい。
【0066】
本実施形態において、画像処理を開始する時点で写真処理装置1が決まっているか否かに関わらず、必ず処理途中の画像データを保存するようにしているが、画像処理を開始する時点で写真処理装置1が決まっている場合には、処理途中の画像データを保存せずに、プリント画像データのみを作成するように構成してもよい。
【0067】
本実施形態において、第1の画像処理と第2の画像処理の具体的な内容を説明したが、これらはあくまでも例示であり、本発明は、これに限定されるものではない。
【0068】
本発明において、プリント用画像データとは、プリントを作成するために必要とされる最終的な形態のデータを意味するものである。単に画像データという場合には、本実施形態で説明しているような処理途中の画像データや、入力された(オリジナルの)画像データを指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】プリント処理システムの概要を示す模式図
【図2】画像管理装置の主要な機能を示すブロック図
【図3】プリント作成するときの処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0070】
1 写真処理装置
2 画像管理装置
3 ネットワーク
20 オーダーデータ保存部
21 画像処理部
21c 第1画像処理手段
21d 第2画像処理手段
23 処理内容記憶手段
24 画像保存手段
26 送信先決定手段
27 画像処理制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに対して画像処理を行い、プリント作成用のプリント用画像データを作成する画像処理装置と、この画像処理装置により作成されたプリント用画像データを受信して画像プリントを作成する画像形成装置と、を備え、これら画像処理装置と複数の画像形成装置がネットワークにより接続されたプリント処理システムであって、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存しない第1の画像処理を行なう第1画像処理手段と、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存する第2の画像処理を行なう第2画像処理手段と、
第1画像処理手段により第1の画像処理が行われた処理途中の画像データを保存する画像保存手段と、
第2画像処理手段により作成されたプリント用画像データを送信すべき画像形成装置を決定する送信先決定手段と、
画像形成装置ごとに第2の画像処理の処理内容データを記憶した処理内容記憶手段と、
送信先決定手段により画像形成装置が決定する前であっても、入力された画像データに対して第1の画像処理を行なわせて処理途中の画像データを生成・保存させ、前記送信先決定手段により画像形成装置が決定された後、その画像形成装置に対応する処理内容データを処理内容記憶手段から読み出すと共に、画像保存手段から処理途中の画像データを読み出し、第2の画像処理を施してプリント用画像データを作成するように各手段に対する制御を行う画像処理制御手段と、を備えたことを特徴とするプリント処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント処理システムにおいて用いられる画像処理装置であって、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存しない第1の画像処理を行なう第1画像処理手段と、
画像処理のうち、画像形成装置の特性に依存する第2の画像処理を行なう第2画像処理手段と、
第1画像処理手段により第1の画像処理が行われた処理途中の画像データを保存する画像保存手段と、
第2画像処理手段により作成されたプリント用画像データを送信すべき画像形成装置を決定する送信先決定手段と、
画像形成装置ごとに第2の画像処理の処理内容データを記憶した処理内容記憶手段と、
送信先決定手段により画像形成装置が決定する前であっても、入力された画像データに対して第1の画像処理を行なわせて処理途中の画像データを生成・保存させ、前記送信先決定手段により画像形成装置が決定された後、その画像形成装置に対応する処理内容データを処理内容記憶手段から読み出すと共に、画像保存手段から処理途中の画像データを読み出し、第2の画像処理を施してプリント用画像データを作成するように各手段に対する制御を行う画像処理制御手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の画像処理には、画像データの拡大処理・画像データの縮小処理・トリミング処理・フレーム画像との合成処理のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−81676(P2009−81676A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249575(P2007−249575)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】