説明

プリント基板

【課題】プローブピンの先端係止用の溝を確実に発生させることができると共に、部品実装バラツキにも対応することができるプリント基板を提供する。
【解決手段】プリント基板1は、チップ型電子部品10を表面実装するための1対の同形のランド2,2を有する。ランド2,2の配線パターン3,3は、ソルダレジスト4で覆われ、各ランド2上には、ソルダレジスト5が設けられている。ソルダレジスト5は、ランド2の先端21から後端22に至る長さの直線状レジストである。このソルダレジスト5は、1対のランド2,2の並び方向を向くように、ランド2の上面のほぼ中央部に形成されている。好ましくは、ランド2線幅dを、外部電極12の幅wの1/3倍以下でプローブピン200の先端201の直径以上に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話等に使用される微小なチップ型電子部品を実装するプリント基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に表面実装された電子部品では、その電気的特性をスペクトルアナライザ等の測定器で測定するのが一般的である。測定時においては、プローブピンをランドと電子部品の端子との半田付け部分に押し当てて、電圧値や電流値等の各種特性を測定する。このとき、半田付け部分の表面が滑らかに湾曲しているため、プローブピンの先端が滑り、半田付け部分から外れてしまうおそれがある。
そこで、プローブピンの先端が滑ることなく確実に半田付け部分に接触して測定作業の安定化を図ったプリント基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このプリント基板は、図9に示すように、 ソルダレジスト120が塗布されたランド101を有している。これにより、リード端子111をランド101上に半田付けすると、図10に示すように、リード端子111とランド101上に盛られた半田130がソルダレジスト120によって弾かれ、窪み131が半田130に生じる。これにより、プローブピン140を半田130の窪み131に係止させることで、プローブピン140を、滑らすことなく、半田130に確実に接触させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−115263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術は、LSIパッケージ等、多数のリード端子111を有する大型の電子部品110を想定しているため、例えば0.6mm×0.3mm等という微小なチップ型電子部品を測定するするには、適していない。すなわち、微小なチップ型電子部品を実装する場合には、ランド101の大きさを微小にしなければならず、ランド101上に塗布するソルダレジスト120も極小にしなければならなくなる。この結果、半田130の窪み131が、プローブピン140を係止することができない程度まで小さくなってしまい、プローブピン140を半田130に確実に接触させることができなくなる。
特に、微小なチップ型電子部品を実装するプリント基板では、電子部品の実装バラツキが生じることが多い。このような場合には、電子部品の位置が所望位置より、長さ方向にずれて、一方の外部電極が幅広のソルダレジスト120上に載ってしまい、半田を盛っても、半田の大部分がソルダレジスト120によって弾かれ、当該一方の外部電極に付着せず、接続不良を起こすおそれがある。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、プローブピンの先端係止用の溝を確実に発生させることができると共に、部品実装バラツキにも対応することができるプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、直方体状のチップ本体の両端部にそれぞれ設けられた外部電極を有するチップ型電子部品を、並んだ1対のランド上に載置して半田付けすることにより、チップ型電子部品を表面実装することが可能なプリント基板であって、各ランドの上面のほぼ中央部に、1対のランドの並び方向を向き且つ各ランドの一方端から他方端に至る直線状のソルダレジストを付着させた構成とする。
かかる構成により、チップ型電子部品の両端部の外部電極を1対のランド上にそれぞれ載置すると、各ランド中央部のソルダレジストが各外部電極の前に露出した状態になる。この状態で、当該外部電極をランド上に半田付けすると、ランド上の半田がソルダレジストによって弾かれ、ソルダレジストに沿った細い溝が半田に形成される。この結果、プローブピンの先端をこの細い溝に係止させることで、プローブピンによるチップ型電子部品の安定した測定が可能となる。
また、実装時に、チップ型電子部品がランドの並び方向にズレても、ソルダレジストが直線状を成し、細いので、外部電極の前側ランド部分に、十分な半田盛り領域を確保することができる。この結果、部品実装のバラツキが発生した場合のおいても、チップ型電子部品をランド上に確実に半田付けすることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプリント基板において、ソルダレジストの線幅を、チップ型電子部品の外部電極の幅の1/3倍以下であって、チップ型電子部品の特性測定用に使用するプローブピンの先端の直径以上に設定した構成とする。
かかる構成により、ソルダレジストの線幅が、チップ型電子部品の外部電極の幅の1/3倍以下に設定されているので、ランド上に盛る半田の量を十分確保することができ、この結果、ランド上へのチップ型電子部品の確実な半田付け接続を行うことができる。
また、ソルダレジストの線幅が、プローブピンの先端の直径以上に設定されているので、半田付け時に生じる細い溝に、チップ型電子部品の特性測定用のプローブピンの先端を確実に挿入して、係止させることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のプリント基板において、ランドの幅は、チップ型電子部品の外部電極の幅より大きく、且つランドの長さ以上である構成とした。
【発明の効果】
【0009】
以上詳しく説明したように、この発明のプリント基板によれば、ランド上に半田付け実装したチップ型電子部品に対するプローブピンによる安定した測定が可能となり、しかも、部品実装にバラツキが生じた場合においても、チップ型電子部品をランド上に確実に半田付けすることができるという優れた効果がある。
特に、請求項2の発明によれば、ランド上へのチップ型電子部品の半田付け接続と、半田溝へのプローブピンの先端の係止とを、より確実に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施例に係るプリント基板の要部を示す平面図である。
【図2】実施例のプリント基板の要部示す断面図である。
【図3】プリント基板に実装されるチップ型電子部品の斜視図である。
【図4】チップ型電子部品の実装方法を示す平面図である。
【図5】半田溝を示す斜視図である。
【図6】半田溝へのプローブピンの係止状態を示す斜視図である。
【図7】従来型の幅広のソルダレジストを用いた場合の問題点を説明するための平面図である。
【図8】この実施例のソルダレジストを用いた場合の利点を説明するための平面図である。
【図9】従来技術の一例を示す平面図である。
【図10】従来技術の測定方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、この発明の一実施例に係るプリント基板の要部を示す平面図であり、図2は、この実施例のプリント基板の要部示す断面図であり、図3は、プリント基板に実装されるチップ型電子部品の斜視図である。
図1に示すように、この実施例のプリント基板1は、チップ型電子部品10を表面実装するための1対の同形のランド2,2を有している。
【0013】
チップ型電子部品10は、図3に示すように、外部電極12,12を直方体状のチップ本体11の両端部にそれぞれ有しており、図1に示すように、ランド2,2は、これら外部電極12,12を載置できるように、並べられている。
具体的には、各ランド2は、配線パターン3の先端部に接続され、その形状は長方形を成す。そして、ランド2の幅Wは、チップ型電子部品10の外部電極12の幅wより大きく、且つランド2の長さL以上に設定されている。
【0014】
図2に示すように、このようなランド2,2が接続された配線パターン3,3は、ソルダレジスト4で覆われている。そして、各ランド2上には、この実施例の特徴であるソルダレジスト5が設けられている。
【0015】
ソルダレジスト5は、図1に示すように、ランド2の先端21から後端22に至る長さの直線状レジストである。このソルダレジスト5は、1対のランド2,2の並び方向(図1の左右方向)を向くように、ランド2の上面のほぼ中央部に形成されている。
つまり、ソルダレジスト5は、チップ型電子部品10の長さ方向を向く直線状のレジストである。
そして、その線幅dは、チップ型電子部品10の外部電極12の幅wの1/3倍以下に設定されている。線幅dがこれ以上広いと、ランド2上の半田盛り領域がソルダレジスト5によって食われてしまい、チップ型電子部品10をランド2上に半田付けすることができなくなるおそれがあるからである。
また、線幅dは、チップ型電子部品10の特性測定用に使用するプローブピン200の先端201の直径以上に設定してある。線幅dがこれより狭いと、線幅dによって形成される半田溝が非常に狭くなり、プローブピン200の先端201を半田溝に係止させることができなくなるおそれがあるからである。
【0016】
次に、この実施例の作用及び効果について説明する。
図4は、チップ型電子部品の実装方法を示す平面図であり、図5は、半田溝を示す斜視図であり、図6は、半田溝へのプローブピンの係止状態を示す斜視図である。
この実施例のプリント基板1では、図4の(a)に示すように、外部電極12,12の端面12a,12aをランド2,2のほぼ中央部に位置させるようにして、チップ型電子部品10をランド2,2に載置することができる。
したがって、チップ型電子部品10をランド2,2に載置すると、各ソルダレジスト5のほぼ半分であるレジスト半部51が、各ランド2上において、外部電極12の前に露出した状態になる。
この状態で、図4の(b)に示すように、半田210をランド2上に盛ると、外部電極12がこの半田210によって、ランド2上に半田付けされる。
このとき、上記したように、ソルダレジスト5の幅wが、チップ型電子部品10の外部電極12の幅Wの1/3倍以下に設定されているので、外部電極12,12及びソルダレジスト5から露出するランド2の半田盛り領域20が広くなり、十分な量の半田210を半田盛り領域20上に盛ることができる。この結果、ランド2,2上へのチップ型電子部品10の確実な半田付け接続を行うことができる。
【0017】
さらに、ランド2上の半田210は、ランド2上に露出したソルダレジスト5のレジスト半部51によって弾かれる。この結果、図5にも示すように、ソルダレジスト5に沿った細い半田溝211が半田210に形成される。
このとき、上記したように、ソルダレジスト5の線幅dが、チップ型電子部品10の特性測定用のプローブピン200の先端201の直径以上に設定されているので、図6に示すように、プローブピン200の先端201を半田溝211に確実に挿入して、係止させることができる。この結果、プローブピン200によるチップ型電子部品10の安定した測定が可能となる。
【0018】
ところで、チップ型電子部品10をランド2,2に確実に半田付けするためには、この実施例では、外部電極12,12の端面12a,12aをランド2,2のほぼ中央部に位置させることが好ましい。
しかし、実装のバラツキにより、チップ型電子部品10が上記所望の位置に載置されない場合がある。
図7は、従来型の幅広のソルダレジストを用いた場合の問題点を説明するための平面図であり、図8は、この実施例のソルダレジストを用いた場合の利点を説明するための平面図である。
図7の(a)に示すように、従来型の幅広三角形のソルダレジスト5′を用いた場合には、チップ型電子部品10をランド2,2の所望位置に載置することで、各ランド2において所望広さの半田盛り領域20を確保することができる。しかし、例えば、図7の(b)に示すように、チップ型電子部品10がランド2,2の並び方向左側にずれると、ソルダレジスト5′が幅広のため、左側のランド2の半田盛り領域20が非常に狭くなる。このため、左側のランド2には、十分な量の半田210(図4の(b)参照)を盛ることができず、外部電極12に対する確実な半田付け接続が不可能となる。
【0019】
これに対して、この実施例では、細いソルダレジスト5を用いているので、図8の(a)に示すように、チップ型電子部品10をランド2,2の所望位置に載置すると、従来型のソルダレジスト5′を用いた場合よりも広い半田盛り領域20を確保することができる。
しかも、図8の(b)に示すように、チップ型電子部品10がランド2,2の並び方向左側にずれた場合においても、ソルダレジスト5が細いため、左側のランド2に、十分な広さの半田盛り領域20を確保することができる。このため、左側のランド2にも、十分な量の半田210を盛ることができ、この結果、外部電極12に対する確実な半田付け接続を行うことができる。
【0020】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、図4の(a)や図8の(a)に示したように、ランド2,2のほぼ中央部の位置が、チップ型電子部品10の所望実装位置であるとして、説明したが、チップ型電子部品10の所望実装位置は、これに限定されるものではなく、ランドの大きさや長さに対応して、任意に設定することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
1…プリント基板、 2…ランド、 3…配線パターン、 4,5…ソルダレジスト、 10…チップ型電子部品、 11…チップ本体、 12…外部電極、 12a…端面、 20…半田盛り領域、 21…先端、 22…後端、 51…レジスト半部、 200…プローブピン、 201…先端、 210…半田、 211…半田溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状のチップ本体の両端部にそれぞれ設けられた外部電極を有するチップ型電子部品を、並んだ1対のランド上に載置して半田付けすることにより、チップ型電子部品を表面実装することが可能なプリント基板であって、
各ランドの上面のほぼ中央部に、1対のランドの並び方向を向き且つ当該各ランドの一方端から他方端に至る直線状のソルダレジストを付着させた、
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント基板において、
上記ソルダレジストの線幅を、チップ型電子部品の外部電極の幅の1/3倍以下であって、チップ型電子部品の特性測定用に使用するプローブピンの先端の直径以上に設定した、
ことを特徴とするプリント基板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプリント基板において、
上記ランドの幅は、上記チップ型電子部品の外部電極の幅より大きく、且つ当該ランドの長さ以上である、
ことを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−3802(P2011−3802A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146893(P2009−146893)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】