説明

プリント配線板及びその製造方法

【課題】シルク印刷やインクジェット方式による印刷に依ることなく、明瞭で判別可能な記号をプリント配線板のソルダレジストの表面に形成する。
【解決手段】プリント配線板の製造方法であって、プリント配線板10の基材表面(最外層の配線パターン12を含む最外層の絶縁層11の表面)に、例えば熱硬化性のソルダレジスト13を塗布成する工程と、塗布後のソルダレジスト13を半乾燥または半硬化する工程と、半乾燥または半硬化されたソルダレジスト13の表面を、プリント配線板10の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、加圧後のソルダレジスト13を硬化する工程と、を含み、ソルダレジスト13の厚さを変えることで、当該ソルダレジスト13の表面にプリント配線板10の情報を表す記号である凹み文字14を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に係り、より詳細には、電子機器に使用されるプリント配線板の情報の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、一般的なプリント配線板の断面図を示している。ただし、図12は、図を簡略化するため、本発明が着目するソルダレジストに関連する最外層の導体パターンを含む最外層の絶縁層から外側の部分のみを表示し、それより下部にある絶縁層や内層などは省略している。
【0003】
通常のプリント配線板100では、最外層となる配線パターン102の絶縁・保護と、部品実装時の半田ブリッジや余分な箇所への半田付着を防ぐため、ソルダレジスト103がプリント配線板の基材表面(具体的には、最外層の導体パターン102を含む最外層の絶縁層101の表面)に形成されている。
【0004】
ソルダレジスト103は、多くはエポキシ系の樹脂を着色したものが用いられ、インク状の物を所望形状に印刷したり、感光性を付与した樹脂をフィルム状に成形したものを貼付けたり、インク状の感光性樹脂を印刷後、フォトツール(フォトマスクとも言われる。)を介して露光、現像を行ったりして形成される。
【0005】
そして、従来は、プリント配線板に実装される部品の情報や仕様・定格、端子部などの名称、さらには、プリント配線板の名称やロット番号、メーカー名などの情報を表す文字や、実装時の加工方向などを示す符号、マーク類等といった記号104を、ソルダレジスト103の表面に、ソルダレジストとは異なった色のインクで印刷していた。
【0006】
この情報を表す文字や符号、マーク類等を総称して、通常、シルク文字と呼ぶ。これは、この文字や符号、マーク類等の印刷に、従来、スクリーン印刷法が多用されていたためである。もちろん、このシルク文字を形成するのに、感光性材料を利用したフォト印刷法を用いることもある。
【0007】
この場合、スクリーン印刷法やフォト印刷法を採用すると、情報の内容が変わるたびにスクリーン版やフォトツールを作り直す必要があり、頻繁に変える必要のあるロット番号等の表示には向かないので、最近では、スクリーン版やフォトツールが不要なインクジェット方式での印刷も多用されている。
【0008】
ここで問題になるのが、このシルク文字の印刷品質である。
【0009】
第1に、ソルダレジストはその目的及びその性格上、比較的難接着性の材質を使用し、表面も平滑、光沢状に仕上げることが多い。そのため、このソルダレジストの表面に印刷されたシルク文字は、そのインクの密着強度が低い場合が多い。さらに、ソルダレジストがシルク印刷用のインクをはじく場合もある。
【0010】
このような事情から、印刷時にシルク印刷用のインクの載りが悪く、インクがはじかれたり、かすれたりして、文字やマーク類等が正確に表示されない場合があるといった問題があった。また、完成後のプリント配線板において、その取扱途中で他のものにこすれたり、ぶつかったりして、盛り上がっているシルク文字の一部が欠けたり、剥離するといった問題も起きている。
【0011】
そこで、このような問題を解決する最も簡単な方法として、情報を表す文字等をソルダレジストの抜き文字で表示する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ソルダレジストを抜くと、その下に配線パターンがあった場合に、配線パターンが露出することになる。また、近年のようにプリント配線板の面積が小さく、実装密度も高い場合には、配線パターンの位置を外して抜き文字を形成する場所を確保することが難しく、実際にこの方法を適用することは困難な場合が多い。さらに、抜き文字部分に配線パターンが無かったとしても、露出した絶縁層が吸湿しやすくなるといった問題もある。
【0012】
これらの問題に対し、抜き文字部分にシルク印刷を施して、露出部を無くす方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開昭62−8669号公報
【特許文献2】実開昭61−182062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、抜き文字部分にシルク印刷を施す場合、その位置合わせ等が難しく、抜き文字が細かな文字や符号、マーク類等であった場合には現実的な方法とは言えないといった問題があった。
【0015】
また、近年多用されているインクジェット方式では、使用できるインクの性状による制約で、インクがはじかれるケースが多く、また、印刷された文字もインクの厚みがスクリーン印刷法より厚く盛り上がる傾向にある。そのため、インクの載りが悪く、インクがはじかれたり、かすれたりして、文字やマークが正確に表示(印刷)されない場合があるといった問題があった。また、完成後のプリント配線板において、その取扱途中で他のものにこすれたり、ぶつかったりして、盛り上がっている文字の一部が欠けたり、剥離するといった問題もあった。
【0016】
さらに、印刷法では、小さな文字の印刷が難しいため、近年のように機器が小型化し、プリント配線板のサイズが小さくなると共に、部品実装密度や配線密度が高くなって、小さな印刷エリアしか確保出来ない場合には、文字自体の配置に苦労する場合も多い。
【0017】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、シルク印刷やインクジェット方式による印刷に依ることなく、明瞭で判別可能な文字や符号、マーク類等の記号を、プリント配線板のソルダレジストの表面に形成することのできるプリント配線板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成する過程において、前記ソルダレジストの厚さを変えることで当該ソルダレジストの表面に前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する工程を含むことを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、プリント配線板の情報である例えばロット番号等の記号を、シルク印刷やインクジェット方式による印刷に依らずにソルダレジストの表面に凹凸形状で明瞭に表示することができる。これにより、スクリーン印刷法によってソルダレジストの表面に記号を印刷する方法に比べて、インクのはじき、かすれ、欠けといった問題が発生しない。
【0020】
なお、本発明でいう記号は、文字、図形、模様、符号、標章などを含む広い概念として使用している。
【0021】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面に熱硬化性のソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを半乾燥または半硬化する工程と、半乾燥または半硬化された前記ソルダレジストの表面に、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、加圧後の前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを半露光する工程と、半露光された前記ソルダレジストの表面に、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、加圧後の前記ソルダレジストを再露光する工程と、再露光後、現像及びポストキュアを行って前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴としている。
【0023】
本発明によれば、ソルダレジストの表面に加圧治具で加圧を行うことにより、プリント配線板の情報を表す記号をソルダレジストの表面に凹み記号として形成することができる。すなわち、プリント配線板の情報である例えばロット番号等の記号を、シルク印刷やインクジェット方式による印刷に依らずにソルダレジストの表面に形成することができる。これにより、スクリーン印刷法によってソルダレジストの表面に記号を印刷する方法に比べて、インクのはじき、かすれ、欠けといった問題が発生しない。また、従来のスクリーン印刷では困難であった細かな模様や細い線、小さな文字等の記号も容易に表現することが可能となる。また、インクジェット方式による印刷方法では、インクの性状による制約で、インクがはじかれる場合が多く、また、印刷された記号もインクの厚みがスクリーン印刷法よりも厚く盛り上がる傾向にあるため、プリント配線板の取り扱い途中で他の物に擦れたり、ぶつかったりして、盛り上がっている記号の一部か欠けたり、剥離するといった問題があるが、本発明の製造方法によれば、このような問題は発生しない。
【0024】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面に熱硬化性のソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを乾燥または硬化する工程と、乾燥または硬化された前記ソルダレジストの表面を、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、を含むことを特徴としている。
【0025】
本発明によれば、加圧工程をソルダレジストを完全に硬化させた後に行う構成としたので、熱硬化性のソルダレジスト形成工程におけるソルダレジストの半乾燥または半硬化といった工程を必要としないので、製造工程をその分簡略化することが可能となり、ひいては、製造効率を向上させることができる。
【0026】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを露光する工程と、露光された前記ソルダレジストの表面を、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、加圧後、現像及びポストキュアを行って前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴としている。
【0027】
本発明によれば、加圧工程をソルダレジストを完全に硬化させた後に行う構成としたので、感光性のソルダレジスト形成工程におけるソルダレジストの半露光といった工程を必要としないので、製造工程をその分簡略化することが可能となり、ひいては、製造効率を向上させることができる。
【0028】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記加圧工程では、前記加圧治具の前記ソルダレジストに接触する部分を加熱した状態で加圧を行う構成としてもよい。
【0029】
このような構成とすれば、加圧治具のソルダレジストに接触する部分を加熱した状態で加圧工程を実施することにより、ソルダレジストが熱で軟化して変形が容易となるため、加圧治具による加圧力と相まって、ソルダレジストの表面に情報を凹み記号でくっきりと形成することができる。そのため、小さな記号でも判別可能に表示することができる。すなわち、記号が例えば文字である場合には、小さな文字でも判読可能に表示することができる。
【0030】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記加圧治具は、前記ソルダレジストの表面に表示する記号を反転させた反転記号が凸状に形成された構成としてもよい。
【0031】
このような構成とすれば、ソルダレジストの表面に形成された記号は凹状の正規の記号となる。この場合、プリント配線板の情報をソルダレジストの表面に凹み記号として表示することで、ソルダレジストの表面に形成された記号部分の膜厚が他の部分の膜厚より薄く形成されることになる。ただし、ソルダレジストの表面に形成された記号部分の膜厚は薄くなるだけで、配線パターンを含むプリント配線板の基材表面(具体的には、最外層の導体パターンを含む最外層の絶縁層)が露出することはない。また、一般にソルダレジストは、透明樹脂に着色をしたものが多く、その膜厚を減じると、その色が薄くなり、下地の絶縁層や配線パターンの色をより多く反映するようになって色調も変化するため、単純な凹み記号という以上に、記号は判別しやすくなる。すなわち、記号が例えば文字である場合には、単純な凹み文字という以上に、文字は判読しやすくなる。
【0032】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記加圧治具は、その先端に、前記ソルダレジストの表面に表示する情報を表す記号を反転させた反転記号がその縁取り部のみ凸状とした形状に形成された構成としてもよい。
【0033】
このような構成とすれば、反転記号を縁取り部のみ凸状とした形状(いわゆる、袋文字状)に形成することで、加圧後にソルダレジストの表面に形成される記号は、その縁取り部の膜厚のみが他の部分の膜厚より薄く形成されることになる。この場合、ソルダレジストの表面に形成された記号の縁取り部分の膜厚は薄くなるだけで、プリント配線板の基材表面(最外層の配線パターンや絶縁層)が露出することはない。また、記号の全体を凹ます場合に比べて、凹み部分が少ないため、加圧によってプリント配線板の表面が不測に露出してしまうといった可能性を大幅に低減することができる。また、一般にソルダレジストは、透明樹脂に着色をしたものが多く、その膜厚を減じると、その色が薄くなり、下地の絶縁層や配線パターンの色をより多く反映するようになって色調も変化するため、単純な縁取り記号という以上に、記号は判別しやすくなる。すなわち、記号が例えば文字である場合には、単純な縁取り文字という以上に、文字は判読しやすくなる。
【0034】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記反転記号の表面が、細かい平行線状、または細かいランダム状、またはその他のテクスチャー状に凹凸形成されており、加圧後の前記ソルダレジストの表面に形成された記号部分の表面が、細かい筋状の凹凸、または細かいランダム状の凹凸、またはその他のテクスチャーに形成される構成としてもよい。
【0035】
このような構成とすれば、加圧後のソルダレジストの表面に形成された記号部分の表面を、細かい筋状の凹凸、または細かいランダム状の凹凸、またはその他のテクスチャー(梨地あるいは絹目状等)に形成することで、ソルダレジストの表面に形成された記号に凹凸が反映され、文字がハッチングされたり、梨地や絹目に仕上がり、光沢仕上げとなっている他の部分との対比で、記号の判別がさらに容易となる。
【0036】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記加圧治具が外形加工金型内に設けられており、外形加工と同時に前記加圧工程が実施される構成としてもよい。
【0037】
このような構成とすれば、加圧工程を外形加工と同時に行うことで、製造工程の増加を抑えることができ、その結果として、製造効率を向上させることができる。
【0038】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程と、前記ソルダレジスト形成工程を実施した後、外形加工を完了するまでの工程において、前記ソルダレジストの表面に前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する記号形成工程と、を含み、前記記号形成工程は、形成する前記記号の形状に前記ソルダレジストの表面を削り取る切削工程であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【0039】
本発明によれば、ソルダレジストの表面を削り取る切削工程は、ソルダレジスト形成工程を実施した後、外形加工を完了するまでの間(すなわち、最終の外形加工を行うまでの間)の任意の工程において実施することができるため、製造工程の実施の自由度が増す。
【0040】
外形加工には、「(1)加工ワーク上に1個あるプリント配線板を、金型加工で加工しろを取り除き、最終完成配線板形状に加工する。(2)加工ワーク上に複数個あるプリント配線板を、金型加工で最終完成配線板形状の個片に加工する。(3)加工ワーク上に複数個配されたプリント配線板の外形の一部(例えば、寸法精度が厳しい部分やバリなどの許容度が小さい部分)のみ加工する。(4)加工ワーク上に複数個配されたプリント配線板の外形の大半を加工し、残った一部でプリント配線板を加工ワークやキットフレームに接続しておく。(5)上記(4)で残した一部を切断し、個片またはキットに分割する。」など、非常に多くのケースがある。すなわち、基板個片、加工ワーク、綴りなど、外形の一部でも形状加工をする場合の全てを総称して外形加工という。
【0041】
本発明によれば、ソルダレジストの表面を削り取る切削工程は、そのような多種多用な外形加工の中の任意の工程において実施することが可能である。ただし、ソルダレジストに表示する内容によっては、特定の加工を行う前でなければならない場合もある。例えば、製品の名前のようなものはいつでもよいが、複数の個片が綴られた加工ワークのどの場所に配置されて製造されたかを示すアドレスマークのような場合は、ワークから個片に切り離す前、または、ワークからキットに切り離す前などに、ソルダレジストの表面に情報を表示しておく(すなわち、ソルダレジストの表面を削り取る切削工程を実施しておく)必要がある。
【0042】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記切削工程は、配線パターンを含む前記プリント配線板の基材表面が露出しない深さに段差を形成する工程とすることができる。
【0043】
このような構成とすれば、ソルダレジストの表面を削り取る深さを、プリント配線板の基材表面(最上部の配線パターンや絶縁層)が露出しない深さに制限することで、プリント配線板の基材表面が誤って露出してしまうといった不具合の発生を低減することができる。すなわち、ソルダレジストの本来の目的である、導体パターン層の絶縁や基材保護といった性能が阻害されることはない。
【0044】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記切削工程では、NC制御されたエンドミル加工装置、またはサンドブラスト装置、または液体ホーニング装置を用いて前記ソルダレジストの表面を削り取る構成とすることができる。
【0045】
このような構成とすれば、切削工程として、NC制御されたエンドミル加工装置、またはサンドブラスト装置、または液体ホーニング装置を用いることによって、細かな記号まで正確に削り取ることが可能となる。
【0046】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記切削工程は、ソルダレジストの表面に表示する記号の形状に開口部を有する加工用レジストを前記ソルダレジスト上に形成する工程と、機械的研磨処理または化学的研磨処理によって前記加工用レジストで覆われていない前記開口部のソルダレジストを研磨する工程と、研磨後に前記加工用レジストを剥離する工程と、を含む構成とすることができる。
【0047】
このような構成とすれば、切削工程として、サンドブラストまたは液体ホーニングといった機械的研磨処理またはアルカリ溶液による化学的研磨処理によって加工用レジストで覆われていない開口部のソルダレジストを研磨することによって、ソルダレジストの表面に表示する記号の形状に正確に研磨することができる。これにより、細かな形状の記号まで正確に削り取ることが可能となる。
【0048】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程を備え、前記ソルダレジスト形成工程は、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための記号形状領域が設けられるとともに、前記記号形状領域のインクの透過量が他の領域より制限されるように形成されたスクリーン版を用いて、前記プリント配線板の基材表面にソルダレジストインクを印刷する印刷工程と、印刷された前記ソルダレジストインクのレベリングを行う工程と、レベリング後の前記ソルダレジストインクを硬化する工程と、を含むことを特徴としている。
【0049】
本発明によれば、記号形状領域のインクの透過量を制限したスクリーン版を用いてソルダレジストのスクリーン印刷を行い、その後、レベリングを行うことで、ソルダレジストの表面に凹状の記号を形成している。すなわち、スクリーン版を工夫するだけで、従来のスクリーン印刷法をそのまま適用できるので、ソルダレジストの表面に凹状の記号を形成するための製造コストを安価に抑えることができる。
【0050】
ここで、レベリングは、適切な温度環境で適切な時間保持することによって行う。温度環境や保持時間は、使用するインクの種類や印刷条件、印刷環境などによって異なるが、少なくとも、厚さの差が維持されていて、かつ、薄い部分において、プリント配線板の基材表面が露出しておらず、レジストとしての機能(表面保護、半田付着防止など)が発揮できる状態になるまで行われる。具体例を一例挙げると、例えば常温から50度位までの温度範囲内の任意の温度において、5〜15分程度保持することでレベリングを行う。
【0051】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記スクリーン版は、スクリーン印刷用のステンレス製またはテトロン製の紗に乳剤層を形成したものであり、前記記号形状領域に前記乳剤層を独立ドットまたはディザパターンに形成することによって、インクの透過量を制限する構成とすることができる。
【0052】
このような構成とすれば、スクリーン版として、スクリーン印刷用のステンレス製またはテトロン製の紗に乳剤層を形成したものを使用し、記号形状領域に乳剤層を独立ドットまたはドットの集合体であるディザパターンで形成することによって、インクの透過量を容易に制限することができる。これにより、ソルダレジストの表面に凹状の記号を容易かつ確実に形成することができる。
【0053】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記スクリーン版がメタルマスク版であり、前記記号形状領域を他の領域より厚く、または薄く形成することによって、インクの透過量を制限する構成とすることができる。
【0054】
このような構成とすれば、記号形状領域を他の領域より厚く、または薄く形成したメタルマスク版を使用して、インクの透過量を制限することで、ソルダレジストの表面に凹状または凸状の記号を容易かつ確実に形成することができる。
【0055】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程を備え、前記ソルダレジスト形成工程は、前記プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、塗布された前記ソルダレジストをフォトツールを使って露光する工程と、露光後に現像及びポストキュアを行う工程と、を含み、前記フォトツールは、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための記号形状領域が、他の領域に対して前記ソルダレジストの厚さを変えることができる形状に形成されていることを特徴としている。
【0056】
本発明によれば、記号形状領域が、他の領域に対して前記ソルダレジストの厚さを変えることができる形状に形成されたフォトツールを用いて、プリント配線板の基材表面に形成された感光性のソルダレジストを露光することで、ソルダレジストの表面に凹状の記号を形成することができる。すなわち、フォトツールを工夫するだけで、従来のフォト印刷法をそのまま適用できるので、ソルダレジストの表面に凹状の記号を形成するための製造コストを安価に抑えることができる。
【0057】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記フォトツールは、前記記号形状領域が細かなドットまたはディザパターンに形成された構成としている。
【0058】
このような構成とすれば、記号形状領域が細かなドットまたはディザパターンに形成されているフォトツールを用いて、プリント配線板の基材表面に形成された感光性のソルダレジストを露光することで、ソルダレジストの表面に凹状の記号を形成することができる。すなわち、フォトツールを工夫するだけで、従来のフォト印刷法をそのまま適用できるので、ソルダレジストの表面に凹状の記号を形成するための製造コストを安価に抑えることができる。
【0059】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記フォトツールは、前記記号形状領域の透過度が他の領域より低いハーフトーン、または、高いハーフトーンに形成された構成としている。
【0060】
このような構成とすれば、記号形状領域の透過度が他の領域より低いハーフトーン、または、高いハーフトーンに形成されているフォトツールを用いて、プリント配線板の基材表面に形成された感光性のソルダレジストを露光することで、ソルダレジストの表面に凹状または凸状の記号を形成することができる。すなわち、フォトツールを工夫するだけで、従来のフォト印刷法をそのまま適用できるので、ソルダレジストの表面に凹状または凸状の記号を形成するための製造コストを安価に抑えることができる。
【0061】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面にソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを半乾燥または半硬化する工程と、半乾燥または半硬化した前記ソルダレジストの表面であって、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する記号形状領域にさらにソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴としている。また、本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、前記ソルダレジストが重ねて形成された部分において、その色調が重ねて形成されていない部分と異なることになる。
【0062】
本発明によれば、プリント配線板の情報を表す記号を形成するソルダレジストの表面の記号形状領域の上に、さらに同種のソルダレジストを形成して、凸状の記号を形成している。すなわち、本発明は、同じソルダレジストを2重に形成する構造であり、従来のように、ソルダレジストとシルクインクといった異種材料での組み合わせではないため、インクのはじきやかすれ、密着不足による剥離といった問題が起きることがない。従って、この凸状の記号部分に外部から多少の衝撃が加わったとしても、容易に欠けたり、剥がれたりする心配がないため、長年使用しても文字が変容して読みづらくなるといった心配がない。また、ソルダレジストが重ねて形成された部分において、その色調が重ねて形成されていない部分と異なるため、細かな形状の記号でも容易に判別可能となる。
【0063】
なお、本発明の製造方法を用いて製造されたプリント配線板は、ソルダレジストの厚さ、色調、表面状態を変えることで、ソルダレジストの表面にロット番号等のプリント配線板の情報を容易かつ明瞭に表示することができる。
【発明の効果】
【0064】
本発明は上記のように構成したので、ソルダレジストの厚さ、色調、表面状態を変えることで、プリント配線板の情報を表す記号、例えばロット番号等の文字情報を、シルク印刷に依らずソルダレジストの表面に容易かつ明瞭に形成することができる。これにより、従来のシルク印刷やインクジェット方式による印刷に係わる問題点をすべて解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態1において、外層パターンまで形成を終わったプリント配線板の断面図である。
【図2】実施形態1において、絶縁層上にソルダレジストを塗布した状態を示すプリント配線板の断面図である。
【図3】スタンピング治具の斜視図である。
【図4】スタンピング治具でスタンプすることにより、ソルダレジストの表面に記号を形成したプリント配線板を記号部分で切断した状態を示す断面斜視図である。
【図5】ソルダレジストの表面に、プリント配線板の情報である記号を形成した状態を示す斜視図である。
【図6A】スタンピング治具の記号形状部の表面に細かい凹凸模様を設けた例を示すスタンピング治具の斜視図である。
【図6B】ソルダレジストの表面に、プリント配線板の情報である記号を図6Aに示すスタンピング治具で形成した状態を示す斜視図である。
【図7A】スタンピング治具の記号形状部を袋文字状とした例を示すスタンピング治具の斜視図である。
【図7B】ソルダレジストの表面に、プリント配線板の情報である記号を図7Aに示すスタンピング治具で形成したプリント配線板を、記号部分で切断した状態を示す断面斜視図である。
【図8A】実施形態4の製造方法におけるソルダレジスト形成工程を示す概略断面図である。
【図8B】実施形態4の製造方法におけるソルダレジスト形成工程後のプリント配線板の状態を示す断面図である。
【図8C】実施形態4の製造方法におけるレベリング後のプリント配線板の状態を示す断面図である。
【図8D】実施形態4の製造方法におけるレベリング後のプリント配線板の他の状態を示す断面図である。
【図9A】実施形態5の製造方法におけるプリント配線板の絶縁層上に配線パターンが形成された状態を示す断面図である。
【図9B】図9Aに示す絶縁層の表面上に感光性のソルダレジストを形成した状態を示す断面図である。
【図9C】実施形態5の製造方法における露光工程を示す概略断面図である。
【図9D】実施形態5の製造方法における露光後のプリント配線板の状態を示す断面図である。
【図9E】実施形態5の製造方法におけるレベリング後のプリント配線板の他の状態を示す断面図である。
【図10】実施形態6の製造方法において、ソルダレジストの上にさらにソルダレジストを記号の形状に形成した状態を示す断面図である。
【図11】実施形態6の製造方法において、ソルダレジスト上に別のソルダレジストで凸状の記号を形成したプリント配線板を、記号部分で切断した状態を示す断面斜視図である。
【図12】従来のプリント配線板の製造方法によって製造されたプリント配線板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0067】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成する過程において、前記ソルダレジストの厚さを変えることで当該ソルダレジストの表面に前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する工程を含むことを特徴としている。ここで、プリント配線板の情報を表す記号としては、文字の他、図形や符号、マーク、標章などがあるが、以下の説明では、文字を例に挙げて説明する。
【0068】
[実施形態1]
実施形態1は、プリント配線板(以下この明細書において、単に「配線板」ともいう。)の表面に記号(文字)を形成する方法として、スタンピング治具を用いた実施形態である。以下、図1ないし図5を参照して実施形態1に係るプリント配線板の製造方法を説明する。図1は、外層パターンまで形成を終わった配線板の断面図である。また、図2は、絶縁層上にソルダレジストを塗布した状態を示す断面図、図3は、スタンピング治具の斜視図、図4は、ソルダレジストの表面に記号(文字)を形成した状態を示す断面図、図5は、ソルダレジストの表面に記号(文字)を形成した状態を示す斜視図である。ただし、図1,2,4,5では、説明を簡単にするために、最外層の配線パターンとその直下(最外層)の絶縁層のみを図示しており、スルホールやバイアホール、絶縁層下の他の配線層やパターンなどは図示を省略している。このことは、後述する他の実施形態においても同様である。
【0069】
実施形態1に係る配線板の製造方法では、まず、最外層の配線パターン12まで形成を終わった配線板10(図1参照)の基材表面(正確には、配線パターン12を含む最外層の絶縁層11の表面:以下、この明細書において同じ)に、従来通り、スクリーン印刷で熱硬化性のソルダレジストインクを印刷して、ソルダレジスト(層)13を塗布する工程を実施する。図2は、この状態を示している。図示は省略しているが、ソルダレジストインクの印刷では、電子部品の実装用ランドや端子部に印刷を行わないのは言うまでもない。
【0070】
次に、このソルダレジストインクを半乾燥または半硬化させる工程を実施する。ただし、ここでは、インクのセルフレベリングが起こりにくい程度までの半乾燥または半硬化で、一旦止める。
【0071】
次に、図3に示したスタンピング治具(加圧治具)20を準備する。
【0072】
このスタンピング治具20は、金属製、または樹脂製、またはその複合材料等で作製されており、その先端21に、配線板10に表示したい情報を表す記号を反転させた反転記号である記号形状部22が形成されている。図3では、記号の一例として、ロット記号の「E」を反転させた反転記号(いわゆる鏡像文字)が凸状に形成されている。記号形状部22は、形状的には、書籍等の印刷で従来から使用されている凸版印刷用の活字と類似の形状をしている。スタンピング治具20は、凸版印刷用の活字の場合と同様、鋳造法や光硬化樹脂による成型などによって製造することができる。
【0073】
次に、半乾燥または半硬化させたソルダレジスト13の表面に、このスタンピング治具20の先端21を所定圧力で加圧する加圧工程を実施する。加圧する圧力は、図4及び図5に示すように、半硬化したソルダレジスト13が窪む程度で、かつ、配線板10の配線パターン12や絶縁層11の表面が露出しない程度の深さに調整する。
【0074】
このようにして、スタンピング治具20の記号形状部22の形状にソルダレジスト13の表面を凹状に加工した後、ソルダレジスト13を完全に硬化する工程を実施する。この加工により、配線板10の情報は、ソルダレジスト13の表面に凹み記号(以下、凹み文字という。)14として形成され、判読可能となる。凹み文字14は凹状とされるため、従来のようなインクのはじき、かすれ、欠けといった問題は起こらない。さらに、スタンピングで処理するので、インクのにじみも発生しないため、従来の印刷では困難であった細かな模様、小さな文字、細い線等も容易に形成することができる。
【0075】
なお、一般にソルダレジストインクは、透明樹脂を着色したものが多い。従って、実施形態1のように配線板10の情報を凹み文字14で形成することで、その部分のインク厚を減じると、その部分の色が薄くなり、下地の絶縁層11や配線パターン12の色をより多く反映するようになって色調も変化するため、単純に凹みという以上に文字は判読しやすくなる。
【0076】
上記製造方法では、ソルダレジスト13の形成方法としてスクリーン印刷法を用いたが、感光性樹脂フィルムを用いる場合も、全く同じ要領でソルダレジスト13を形成することができる。
【0077】
すなわち、最外層の配線パターン12まで形成を終わった配線板10(図1参照)の基材表面に、感光性のソルダレジスト13を塗布する工程を実施する(図2参照)。
【0078】
次に、このソルダレジスト13を半露光する工程を実施する。そして、半露光したソルダレジスト13の表面にスタンピング治具20(図3参照)でスタンピングを行う。すなわち、スタンピング治具20を所定圧力で加圧する工程を実施する。この後、スタンピング後のソルダレジスト13に再露光を行う工程を実施し、その後、現像及びポストキュアを行ってソルダレジスト13を完全に硬化させる工程を実施する。この加工により、配線板10の情報は、ソルダレジスト13の表面に凹み文字14として形成(図4,図5参照)され、判読可能となる。
【0079】
ところで、スタンピングを実施する工程を、上記のように、ソルダレジスト13の半硬化や半露光の状態で行わず、通常の配線板の製造工程と同様に、ソルダレジスト13を完全に硬化した後に行ってもよい。
【0080】
すなわち、配線板10の基材表面に熱硬化性のソルダレジスト13を塗布する工程と、塗布後のソルダレジスト13を乾燥または硬化する工程と、乾燥または硬化されたソルダレジスト13の表面に、配線板の情報を表す記号を形成するためのスタンピング治具20で加圧する加圧工程と、を実施するようにしてもよい。または、配線板10の基材表面に感光性のソルダレジスト13を塗布する工程と、塗布後のソルダレジスト13を露光する工程と、露光されたソルダレジスト13の表面に、配線板10の情報を表す記号を形成するためのスタンピング治具20で加圧する加圧工程と、加圧後、現像及びポストキュアを行ってソルダレジスト13を硬化する工程と、を実施するようにしてもよい。
【0081】
このように、加圧工程をソルダレジストを完全に硬化させた後に行う構成とすれば、熱硬化性のソルダレジスト形成工程におけるソルダレジストの半乾燥または半硬化といった工程、または、感光性のソルダレジスト形成工程におけるソルダレジストの半露光といった工程を必要としないので、製造工程をその分簡略化することが可能となり、ひいては、製造効率を向上させることができる。
【0082】
この場合、スタンピング治具20を外形加工工程などで使用される外形金型内に組み込み、外形加工と同時にスタンピングを実施すると、製造工程の増加を抑えることができ、その結果として、製造効率を向上させることができる。
【0083】
ここで、外形加工には、「加工ワーク上に1個ある配線板を、金型加工で加工しろを取り除き、最終完成配線板形状に加工する。」、「加工ワーク上に複数個ある配線板を、金型加工で最終完成配線板形状の個片に加工する。」、「加工ワーク上に複数個配された配線板の外形の一部(例えば、寸法精度が厳しい部分やバリなどの許容度が小さい部分)のみ加工する。」、「加工ワーク上に複数個配された配線板の外形の大半を加工し、残った一部で配線板を加工ワークやキットフレームに接続しておく。」、「配線板を加工ワークやキットフレームに接続しておいた部分を切断し、個片、あるいは、キットに分割する。」など、非常に多くの加工があるが、本発明では、これら全てを総称して外形加工といっている。すなわち、スタンピング工程は、このような多種多用な外形加工の中の任意の加工工程において実施することが可能である。
【0084】
ただし、ソルダレジストに表示する内容によっては、特定の加工を行う前でなければならない場合もある。例えば、製品の名前のようなものはいつでもよいが、複数の個片が綴られた加工ワークのどの場所に配置されて製造されたかを示すアドレスマークのような場合は、ワークから個片に切り離す前、または、ワークからキットに切り離す前などに、ソルダレジストの表面に情報を表示しておく(すなわち、スタンピング工程を実施しておく)必要がある。
【0085】
また、ソルダレジスト13が半硬化であるか完全硬化であるかに係わらず、スタンピングを行う際、スタンピング治具20の少なくとも記号形状部22を含む先端21部分を加熱しておいてもよい。記号形状部22を加熱しておくことで、ソルダレジスト13が熱で軟化して変形が容易となるため、スタンピング治具20による加圧力と相まって、ソルダレジスト13の表面に凹み文字14をより効果的にくっきりと形成することができる。そのため、小さな文字でも判読可能に表示することができる。
【0086】
実施形態1によれば、配線板10の情報である例えばロット番号等の記号を、シルク印刷やインクジェット方式による印刷に依らずにソルダレジスト13の表面に形成することができる。これにより、スクリーン印刷法によってソルダレジストの表面に情報を印刷する方法に比べて、インクのはじき、かすれ、欠けといった問題が発生しない。また、従来のスクリーン印刷では困難であった細かな模様や細い線、小さな文字等も容易に形成することが可能となる。また、インクジェット方式による印刷方法では、インクの性状による制約で、インクがはじかれる場合が多く、また、印刷された文字(シルク文字)もインクの厚みがスクリーン印刷法よりも厚く盛り上がる傾向にある。そのため、配線板10の取り扱い途中(例えば、搬送中等)で他の物に擦れたり、ぶつかったりして、盛り上がっているシルク文字の一部か欠けたり、剥離するといった問題があるが、実施形態1に係る製造方法によれば、このような問題は発生しない。
【0087】
また、配線板10のソルダレジスト13の表面に必要な情報を表す記号を形成する場合、実施形態1に係る方法と、従来型のシルク印刷法とを併用することも可能である。例えば、完成した配線板への部品実装等の作業や修理作業等に必要な品名や部品名、部品定格等、常用する、または、比較的変更が少ない情報は、従来法のシルク印刷により形成する。一方、万一の際の製造過程のトレースや製造管理に用いる情報や、頻繁に内容の変わるロット番号や履歴管理用バーコード、QRコード等の情報は、実施形態1の方法によって形成する、といった使い分けが可能である。
【0088】
[実施形態2]
実施形態1に係る配線板の製造方法によれば、半硬化または半露光とすることで、ある程度流動性を失った状態の樹脂に、スタンピング治具20で圧力をかけて凹みを形成することで、情報(記号)を表示するものであり、かなり細かな形状で表現できることが特徴である。
【0089】
しかし、ロット番号等の文字自体は、あまり小さくしても肉眼で読みつらくなるだけで、メリットが無い。そこで、このように形成した文字をさらに読みやすくするための工夫が実施形態2である。すなわち、実施形態2は、実施形態1の製造方法において、スタンピング治具20の記号形状部22の表面処理や形状を工夫したものであり、以下、図6及び図7を参照して実施形態2を説明する。
【0090】
スタンピング治具20の記号形状部22の表面処理や形状の工夫として、実施形態2では、スタンピング治具20の記号形状部22の表面に、細かい凹凸、例えば、細かい平行な直線から構成される凹凸(ハッチングライン)、またはランダムな凹凸、または一定のテクスチャーなどの凹凸模様24を設けた構成としている。図6Aは、細かい凹凸模様として、細かい平行な直線から構成される凹凸(ハッチングライン)が設けられた例を示している。
【0091】
このように、スタンピング治具20の記号形状部22の表面に、細かい凹凸模様24を設けることで、図6Bに示すように、完成後の配線板10において、ソルダレジスト13の表面に形成された凹み文字14自体の表面に凹凸模様14aが反映され、文字がハッチングされたり、梨地や絹目に仕上がり、光沢仕上げとなっている他の部分との対比で、文字の判読がさらに容易となる。
【0092】
また、記号形状部22の他の形状としては、図7Aに示すように、記号形状部22の縁取り部22aのみ凸状とした袋文字状に形成してもよい。
【0093】
記号形状部22を縁取り部のみ凸状とした袋文字状に形成することで、図7Bに示すように、スタンプ後にソルダレジスト13の表面に形成される凹み文字14は、その縁取り部14bの膜厚のみが他の部分の膜厚より薄く形成されることになる。この場合、ソルダレジスト13の表面に形成された凹み文字14の縁取り部14bの膜厚のみが薄くなるだけなので、配線板10の最外層の配線パターン12や絶縁層11が露出することはない。また、文字の全体を凹ます場合に比べて、凹み部分が少ないため、スタンプによって配線板の表面が露出してしまう可能性も大幅に低減することができる。また、人間の目や光学センサは微分特性が高いため、単純な縁取り文字という以上に、文字は判読しやすくなる。
【0094】
なお、実施形態1,2の製造方法を用いることによって、かなり細かな形状まで表現できる特徴をさらに積極的に利用し、配線板10の表面に表示する情報として、通常の文字やマーク等ではなく、製造情報などとリンクできるバーコードやQRコードを形成しても良い。本明細書では、これらバーコードやQRコードも記号として取り扱うことができる。
【0095】
[実施形態3]
実施形態3は、スタンピング以外の方法を用いて、ソレダレジスト表面に情報文字の凹部を形成する実施形態である。
【0096】
すなわち、実施形態3に係る配線板の製造方法は、配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程と、ソルダレジスト形成工程を実施した後、外形加工を完了するまでの工程において、ソルダレジストの表面に配線板の情報を表す記号を形成する記号形成工程と、を含み、記号形成工程は、形成する記号の形状にソルダレジストの表面を削り取る切削工程を実施することによって行われる。このように、ソルダレジストの表面を削り取ることで、実施形態1の場合と同様、図4や図5に示すように、ソルダレジスト13の表面に配線板10の情報である凹み文字14を形成することができる。
【0097】
ソルダレジスト13の表面を削り取る切削工程は、ソルダレジスト形成工程を実施した後、外形加工を完了するまでの間(すなわち、最終の外形加工を行うまでの間)の任意の工程において実施することができるため、製造工程の自由度が増す。
【0098】
ここで、外形加工は、実施形態1で説明したように、非常に多くのケースがある。実施形態3では、ソルダレジストの表面を削り取る切削工程は、そのような多種多用な外形加工の中の任意の工程において実施することが可能である。ただし、ソルダレジストに表示する内容によっては、特定の加工を行う前でなければならない場合もある。例えば、製品の名前のようなものはいつでもよいが、複数の個片が綴られた加工ワークのどの場所に配置されて製造されたかを示すアドレスマークのような場合は、ワークから個片に切り離す前、あるいは、ワークからキットに切り離す前などに、ソルダレジストの表面に情報を表示しておく(すなわち、ソルダレジストの表面を削り取る切削工程を実施しておく)必要がある。
【0099】
また、切削工程においてソルダレジストの表面を削り取る深さは、配線パターン12を含む最外層の絶縁層11の表面(配線板の基材表面)が露出しない深さとする。このような深さに制限することで、配線パターン12を含む絶縁層11の表面が露出してしまう可能性を低減することができる。すなわち、ソルダレジストの本来の目的である、導体パターン層の絶縁や基材保護といった性能を阻害されることはない。
【0100】
ここで、切削工程では、NC制御されたエンドミル加工装置、またはサンドブラスト装置、または液体ホーニング装置を用いてソルダレジストの表面を削り取る構成とすることができる。このように、エンドミル加工装置、またはサンドブラスト装置、または液体ホーニング装置を用いることによって、細かな文字まで正確に削り取ることが可能となる。
【0101】
なお、ソルダレジストの表面を削り取る切削工程を、ソレダレジストの半硬化状態で行うか、完全硬化状態で行うかは、表面研削に用いる手法に応じて適宜選択すればよい。
【0102】
また、実施形態3に係るプリント配線板の他の製造方法として、前記切削工程を、ソルダレジストの表面に表示する記号の形状に開口部を有する加工用レジストをソルダレジスト上に形成する工程と、サンドブラストまたは液体ホーニングといった機械的研磨処理あるいはアルカリ溶液による化学的研磨処理によって、加工用レジストで覆われていない開口部を研磨する工程と、研磨後に加工用レジストを剥離する工程と、を含む構成とすることができる。これにより、NC制御されたサンドブラスト加工やエンドミル加工を使わずに、ソルダレジストの表面にダイレクトに記号を形成することができる。このように、サンドブラストまたは液体ホーニングといった機械的研磨処理あるいはアルカリ溶液による化学的研磨処理によって加工用レジストで覆われていない開口部のソルダレジストを研磨することによって、細かな文字まで正確に削り取ることが可能となる。
【0103】
[実施形態4]
実施形態4は、実施形態3と同様、基本的にソルダレジストの厚みを変えて、配線板の情報である記号をソルダレジストの表面に形成する実施形態であるが、ソルダレジストの厚さを変える手法として、実施形態3とは別の手法を用いた例である。
【0104】
すなわち、実施形態4に係る配線板の製造方法は、配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程を備え、前記ソルダレジスト形成工程は、前記配線板の情報を表す記号を形成するための記号形成領域が形成されるとともに、前記記号形成領域のインクの透過量が他の領域より制限されるように形成されたスクリーン版を用いて、前記配線板の表面にソルダレジストインクを印刷する印刷工程と、印刷された前記ソルダレジストインクのレベリングを行う工程と、レベリング後の前記ソルダレジストインクを硬化する工程とからなる。
【0105】
実施形態4の製造方法によれば、記号形状領域のインクの透過量を制限したスクリーン版を用いてソルダレジストのスクリーン印刷を行い、その後、レベリングを行うことで、ソルダレジストの表面に記号を形成している。すなわち、スクリーン版の形状を工夫するだけで、従来のスクリーン印刷法をそのまま適用して、ソルダレジストの表面に記号を形成できるので、ソルダレジストの表面に記号を形成するための配線板の製造コストを安価に抑えることができる。
【0106】
実施形態4では、スクリーン版は、スクリーン印刷用のステンレス製またはテトロン製の紗(糸条の素材を搦(から)み織りしたもの)に乳剤層を形成したものであり、記号形状領域に乳剤層を独立ドットあるいはドットの集合体であるディザパターンに形成することによって、インクの透過量を制限することができる。これにより、ソルダレジストの表面に凹状の記号を容易かつ確実に形成することができる。
【0107】
図8A〜図8Dは、実施形態4の製造方法の各工程を示す説明図である。
【0108】
すなわち、図8Aに示すように、配線パターン12が形成された絶縁層11の表面上に、スクリーン版31を位置合わせして載置し、その上からソルダレジストインク13aを、スキージ32を用いて伸ばしていくようにして均等に塗布していく。図中、符号34で示す部分が、スクリーン版31の記号形状領域であり乳剤層35が独立ドットあるいはディザパターンに形成されている。
【0109】
図8Bは、スクリーン印刷法によって、ソルダレジストインク13aを印刷した直後の理想的な状態を示した図である。上記したように、スクリーン版31の記号形状領域34に対応するソルダレジスト13の凹み文字15部分は、基本的には記号の形状にソルダレジストインク13aを抜いてあり、かつ、その抜き部分内に、細かくドット状にインク13a1が印刷されている状態となっている。
【0110】
ただし、実際には、ソルダレジストインク13aには流動性があり、このようは理想的な状態とはならず、多少流れたり、ドットが小さいために、にじんだりして、図8Cに示すようにドット状のインク13a1は平滑な状態13bとなる。実施形態4では、このような状態になるまでレジストインク13aのレベリングを行っている。この後、レジストインク13aを硬化させることで、表示したい配線板の情報をソルダレジスト13の表面に凹み文字(凹み記号)15として形成することができる。
【0111】
レジストインク13a,13bのレベリングの程度や凹み量は、レベリングにかける時間や温度、あるいは、スクリーン版31のメッシュや乳剤抜きドットサイズ、あるいは、インク自体の粘度やチクソ性でコントロールすることができる。このレベリングは、少なくとも凹み文字15とその他の部分との厚さの差が維持されていて、かつ、凹み文字15部分において、配線板10の基材表面が露出しておらず、レジストとしての機能(表面保護、半田付着防止など)が発揮できる状態になるまで行われる。具体例を一例挙げると、例えば常温から50度位までの温度範囲内の任意の温度において、5〜15分程度保持することでレベリングを行う。
【0112】
また、このレベリングの際、インク13a1のドット状態を積極的に残せば、図8Dに示すように、ソルダレジスト13の表面に形成された凹み文字15自体の表面に、細かな凹凸等の模様15aを残して、さらに見やすくすることもできる。
【0113】
なお、スクリーン版をメタルマスク版とし、記号形状領域34を他の領域より厚く、または薄く形成することによって、インクの透過量を制限する構成としてもよい。この場合も、ソルダレジストの表面に、図8Cや図8Dに示す凹み文字15を容易かつ確実に形成することができる。
【0114】
[実施形態5]
実施形態5は、実施形態4と同様、基本的にソルダレジストの厚みを変えて、配線板の情報である記号をソルダレジストの表面に形成する実施形態であるが、ソルダレジストとして感光性のインクや樹脂フィルムを用いた場合の実施形態である。感光性のインクや樹脂フィルムを用いた場合も、実施形態4とほぼ同様の処理によってソルダレジストの表面に凹み文字を形成することができる。
【0115】
この場合は、露光用に使うフォトツールの記号形状部分に細かい独立ドット等で網掛け、あるいは、ディザパターンを形成するか、樹脂フィルムの場合には記号形状部分の感光度を制御するようにハーフトーンとすればよい。これによって、記号形状部分のソルダレジストを他の部分より薄く形成し、さらには、記号(文字)自体の表面の凹凸も制御することができる。
【0116】
すなわち、実施形態5係る配線板の製造方法は、配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程を備え、前記ソルダレジスト形成工程は、前記プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、塗布された前記ソルダレジストをフォトツールを使って露光する工程と、露光後に現像及びポストキュアを行う工程と、を含み、前記フォトツールは、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための記号形状領域が、他の領域に対して前記ソルダレジストの厚さを変えることができる形状に形成されたものである。
【0117】
以下、実施形態5に係る配線板の製造方法について具体的に説明する。
【0118】
図9A〜図9Eは、感光性のインクや樹脂フィルムを用いて配線板を製造する実施形態5に係る製造方法の各工程を示す説明図(断面図)である。
【0119】
図9Aは、最外層の絶縁層11上に最外層の配線パターン12を形成した配線板10の状態を示している。
【0120】
図9Bは、この図9Aに示す配線パターン12が形成された絶縁層11の表面上に、感光性のインクを塗布して(または、樹脂フィルムを載置して)、ソルダレジスト13Aを設けた状態を示している。
【0121】
この後、図9Cに示すように、記号形状領域44が独立ドット等の網かけやディザパターンに形成されたフォトツール40を、ソルダレジスト13A上に位置合わせして載置し、その上から露光を行う工程を実施する。図9Cに示すように、フォトツール40の記号形状領域44に乳剤層45が独立ドットまたはディザパターンに形成されている。
【0122】
ただし、フォトツール40として、このような独立ドットやディザパターンではなく、図示は省略しているが、記号形状領域44の透過度が他の領域より低いハーフトーン、または、高いハーフトーンに形成されたフォトツールを用いて露光を行ってもよい。記号形状領域44の透過度が他の部分より低いハーフトーンに形成されたフォトツールを用いるか、高いハーフトーンに形成されたフォトツールを用いるかは、感光性のソルダレジストとしてポジ型を用いるのか、ネガ型を用いるのかによって適宜選択すればよい。すなわち、記号形状領域44部分の光の透過度を増やす場合には、記号形状領域44の透過度が他の部分より高いハーフトーンに形成されたフォトツールを用い、記号形状領域44部分の光の透過度を減らす場合には、記号形状領域44の透過度が他の部分より低いハーフトーンに形成されたフォトツールを用いればよい。
【0123】
図9Dは、上記露光工程終了直後のソルダレジスト13Aの理想的な状態を示した図であり、フォトツール40の記号形状領域44に対応したソルダレジスト13Aの表面の凹み文字(凹み記号)15部分に細かくドット状にソルダレジスト13A1が形成されている。
【0124】
この後、現像工程、及び、ポストキュア工程(応力緩和により材料を安定化させるための加熱エージング)を経て、ソルダレジスト13Aを完全に硬化させる。これにより、図9Eに示すように、配線板の情報をソルダレジスト13の表面に凹み文字(凹み記号)15として形成することができる。
【0125】
実施形態5によれば、フォトツール40を工夫するだけで、従来のフォト印刷法をそのまま適用して、ソルダレジスト13の表面に凹み文字15を形成できるので、ソルダレジスト13の表面に凹み文字15を形成するための配線板の製造コストを安価に抑えることができる。
【0126】
[実施形態6]
実施形態6は、実施形態1〜5と同様、基本的にはソルダレジストの厚みを変えて、配線板の情報である記号をソルダレジストの表面に形成する実施形態であるが、実施形態1〜5がソルダレジストの厚さを減じて記号を形成する実施形態であるのに対し、実施形態6はソルダレジストの厚さを厚くして記号を形成する実施形態である。
【0127】
すなわち、実施形態6に係る配線板の製造方法は、配線板の基材表面にソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを半乾燥または半硬化する工程と、半乾燥または半硬化した前記ソルダレジストの表面であって、前記配線板の情報を表す記号を形成する記号形状領域にさらにソルダレジストを塗布する工程と、塗布後の前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含み、前記ソルダレジストが重ねて形成された部分において、その色調が重ねて形成されていない部分と異なる構成としたものである。
【0128】
より具体的に説明すると、実施形態1と同様に、最外層の配線パターン12まで形成を終わった配線板10の基材表面に、従来通り、スクリーン印刷でソルダレジストインクを印刷して、ソルダレジスト13Bを形成する。この状態は図2と同じであり、電子部品の実装用ランドや端子部に印刷を行わないのは言うまでもない。
【0129】
次に、このソルダレジストインクを指触乾燥状態(指で触れても痕跡が残らない程度に乾燥した状態)にさせる。
【0130】
次に、このソルダレジスト13Bの表面であって、配線板10の情報を表す記号を形成する部分に、スクリーン印刷でさらにソルダレジスト13Cを塗布する。この状態を図10に示す。
【0131】
なお、上層のソルダレジスト13Cとして感光性のレジストを使用している場合には、一旦、ソルダレジスト13Bを形成し、現像、硬化させた後、その上に感光性のソルダレジスト13Cの層を形成し、図示しないフォトツールを使用して、配線板10の情報を表す記号を形成する部分に露光を行った後、再び現像、硬化を行えばよい。
【0132】
この結果、図11に示すように、配線板10の情報を表す凸状の記号(たとえば、英語のEという凸状の英文字)16が、ソルダレジスト13Bの表面に形成される。
【0133】
実施形態6によれば、最初に形成されたソルダレジストの表面であって、配線板10の情報を表す記号を形成する部分に、さらに同種のソルダレジストを形成して、凸状の記号(文字)を形成している。すなわち、同じソルダレジストを2重に形成する構造であり、従来のように、ソルダレジストとシルクインクといった異種材料での組み合わせではないため、インクのはじきやかすれ、密着不足による剥離といった問題が起きることがない。従って、この凸状の記号部分に外部から多少の衝撃が加わったとしても、容易に欠けたり、剥がれたりする心配がないため、長年使用しても記号(文字)部分が変容して読みづらくなるといった心配がない。
【0134】
なお、実施形態1〜6の製造方法を用いて製造された配線板は、ソルダレジストの厚さ、色調、表面状態を変えることで、配線板の情報をソルダレジストの表面に容易、かつ、明瞭に形成(表示)されるものである。
【符号の説明】
【0135】
10 プリント配線板(配線板)
11 絶縁層
12 配線パターン
13,13A,13B,13D,13D ソルダレジスト
13a ソルダレジストインク
13a1 ドット状のインク
13b インクの平滑な状態
13A1 ソルダレジスト(ドット状)
14,15 凹み文字(凹み記号)
15a 模様
16 凸状の記号(凸状の英文字)
20 スタンピング治具(加圧治具)
21 先端
22 記号形状部
22a 縁取り部
24 凹凸模様
31 スクリーン版
32 スキージ
34 記号形状領域
35 乳剤層
40 フォトツール
44 記号形状領域
45 乳剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成する過程において、前記ソルダレジストの厚さを変えることで当該ソルダレジストの表面に前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する工程を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面に熱硬化性のソルダレジストを塗布する工程と、
塗布後の前記ソルダレジストを半乾燥または半硬化する工程と、
半乾燥または半硬化された前記ソルダレジストの表面に、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、
加圧後の前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、
塗布後の前記ソルダレジストを半露光する工程と、
半露光された前記ソルダレジストの表面に、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、
加圧後の前記ソルダレジストを再露光する工程と、
再露光後、現像及びポストキュアを行って前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面に熱硬化性のソルダレジストを塗布する工程と、
塗布後の前記ソルダレジストを乾燥または硬化する工程と、
乾燥または硬化された前記ソルダレジストの表面に、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、
塗布後の前記ソルダレジストを露光する工程と、
露光された前記ソルダレジストの表面を、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための加圧治具で加圧する加圧工程と、
加圧後、現像及びポストキュアを行って前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記加圧工程では、前記加圧治具の前記ソルダレジストに接触する部分を加熱した状態で加圧を行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記加圧治具は、前記ソルダレジストの表面に表示する記号を反転させた反転記号が凸状に形成されていることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記加圧治具は、前記ソルダレジストの表面に表示する記号を反転させた反転記号がその縁取り部のみ凸状とした形状に形成されていることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記反転記号の表面が、細かい平行線状、または細かいランダム状、またはその他のテクスチャー状に凹凸形成されており、加圧後の前記ソルダレジストの表面に形成された記号部分の表面が、細かい筋状の凹凸、または細かいランダム状の凹凸、またはその他のテクスチャーに形成されることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
請求項2から請求項9までのいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記加圧治具が外形加工金型内に設けられており、外形加工と同時に前記加圧工程が実施されることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程と、
前記ソルダレジスト形成工程を実施した後、外形加工を完了するまでの工程において、前記ソルダレジストの表面に前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する記号形成工程と、を含み、
前記記号形成工程は、形成する前記記号の形状に前記ソルダレジストの表面を削り取る切削工程であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記切削工程は、配線パターンを含む前記プリント配線板の基材表面が露出しない深さに段差を形成する工程であることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記切削工程では、NC制御されたエンドミル加工装置、またはサンドブラスト装置、または液体ホーニング装置を用いて前記ソルダレジストの表面を削り取ることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記切削工程は、
ソルダレジストの表面に表示する記号の形状に開口部を有する加工用レジストを前記ソルダレジスト上に形成する工程と、
機械的研磨処理または化学的研磨処理によって前記加工用レジストで覆われていない前記開口部のソルダレジストを研磨する工程と、
研磨後に前記加工用レジストを剥離する工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程を備え、
前記ソルダレジスト形成工程は、
前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための記号形状領域が設けられるとともに、前記記号形状領域のインクの透過量が他の領域より制限されるように形成されたスクリーン版を用いて、前記プリント配線板の基材表面にソルダレジストインクを印刷する印刷工程と、
印刷された前記ソルダレジストインクのレベリングを行う工程と、
レベリング後の前記ソルダレジストインクを硬化する工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記スクリーン版は、スクリーン印刷用のステンレス製またはテトロン製の紗に乳剤層を形成したものであり、前記記号形状領域に前記乳剤層を独立ドットまたはディザパターンに形成することによって、インクの透過量を制限することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記スクリーン版がメタルマスク版であり、前記記号形状領域を他の領域より厚く、または薄く形成することによって、インクの透過量を制限することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面にソルダレジストを形成するソルダレジスト形成工程を備え、
前記ソルダレジスト形成工程は、
前記プリント配線板の基材表面に感光性のソルダレジストを塗布する工程と、
塗布された前記ソルダレジストをフォトツールを使って露光する工程と、
露光後に現像及びポストキュアを行う工程と、を含み、
前記フォトツールは、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成するための記号形状領域が、他の領域に対して前記ソルダレジストの厚さを変えることができる形状に形成されていることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記フォトツールは、前記記号形状領域が細かなドットまたはディザパターンに形成されていることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記フォトツールは、前記記号形状領域の透過度が他の領域より低いハーフトーン、または、高いハーフトーンに形成されていることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項21】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
プリント配線板の基材表面にソルダレジストを塗布する工程と、
塗布後の前記ソルダレジストを半乾燥または半硬化する工程と、
半乾燥または半硬化した前記ソルダレジストの表面であって、前記プリント配線板の情報を表す記号を形成する記号形状領域にさらにソルダレジストを塗布する工程と、
塗布後の前記ソルダレジストを硬化する工程と、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記ソルダレジストが重ねて形成された部分において、その色調が重ねて形成されていない部分と異なることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項23】
請求項1から請求項22までのいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−119522(P2011−119522A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276566(P2009−276566)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】