プリント配線板及びその製造方法
【課題】工業化が容易で、高信頼性且つ低誘電特性を有するプリント配線板を提供する。
【解決手段】 絶縁層の表面に配置された第1配線12と、第1配線12の上に設けられ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層16と、層間絶縁層16の表面に配置された第2配線22と、層間絶縁層16を貫通して設けられ、第1及び第2配線12、22を接続するビア導体24とを備える。
【解決手段】 絶縁層の表面に配置された第1配線12と、第1配線12の上に設けられ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層16と、層間絶縁層16の表面に配置された第2配線22と、層間絶縁層16を貫通して設けられ、第1及び第2配線12、22を接続するビア導体24とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電特性を有するプリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス機器や情報ネットワークの進歩により情報量が増大し、伝送特性の優れたプリント配線板が望まれている。プリント配線板に用いる基板の有機絶縁材料は誘電体である。高速伝送においては、電気信号が基板により熱エネルギに変換されてしまうため、伝送損失が引き起こされる。このような問題から、基板の低誘電率化による伝送損失の低減が望まれている。
【0003】
従来から基板に用いられているエポキシ樹脂等は、極性基を多く含み、低誘電率化が困難である。低誘電率基板として、官能基の導入や構造変性等による樹脂を用いているものがある(特許文献1及び2参照)。樹脂の官能基の導入や構造変性は、工業化が難しく、結果的に製造コストの増加を招いてしまう。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を基板として用いるものもある。PTFEは、誘電特性は優れているが、多層化や耐熱性に問題がある。
【0004】
また、低誘電率のガラス組成の無機充填材を混合した樹脂を基板として用いて低誘電率化しているものがある(特許文献3参照)。更に、誘電率は空気が最も低いことから、中空ガラス充填材を樹脂に混合して用いているものもある(特許文献4参照)。これらの無機充填材の量産化や価格の問題から、無機充填材を混合する方法の工業化は実現が難しい。
【0005】
また、シリコーン系整泡剤を用いて発泡構造とした樹脂を低誘電率基板としたプリント配線板が提案されている(特許文献5参照)。特許文献5で提案されている発泡樹脂は、機械発泡による独立気泡を多数含むため、誘電率を低減することができる。
【0006】
しかしながら、機械発泡では、発泡体密度の調整が困難で、発泡による樹脂体積増加の制御等の課題がある。また、発泡樹脂の厚さを調整する研磨工程等が必要となり、製造コストの増加を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4202171号公報
【特許文献2】特開2005−29734号公報
【特許文献3】特許第3954130号公報
【特許文献4】特開平11−251748号公報
【特許文献5】特開平06−125154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、工業化が容易で、高信頼性且つ低誘電特性を有するプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、絶縁層の表面に配置された第1配線と、第1配線の上に設けられ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層と、層間絶縁層の表面に配置された第2配線と、層間絶縁層を貫通して設けられ、第1及び第2配線を接続するビア導体とを備えるプリント配線板が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、層間絶縁層に第1配線の一部が露出するビアホールを形成する工程と、層間絶縁層の表面にビアホールを介して第1配線の一部に接続する第2配線を形成する工程とを含むプリント配線板の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、第1配線の一部に接続するビア導体を形成する工程と、絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、層間絶縁層の表面にビア導体に接続する第2配線を形成する工程とを含むプリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、工業化が容易で、高信頼性且つ低誘電特性を有するプリント配線板及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その1)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その2)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その3)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その4)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その5)である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その1)である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その2)である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その3)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その4)である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その5)である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その6)である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の他の例を示す工程断面図(その1)である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の他の例を示す工程断面図(その2)である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の他の例を示す工程断面図(その3)である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
又、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板は、図1に示すように、コア基板(絶縁層)10、第1配線12、層間絶縁層16、第2配線22、及びビア導体24を備える。第1配線12は、コア基板10の表面に配置される。層間絶縁層16は、第1配線12の上に設けられる、第2配線22は、層間絶縁層16の表面に配置される。ビア導体24は、層間絶縁層16を貫通するビアホール18の側面に設けられる。ビア導体24は、第1配線12及び第2配線22を接続する。
【0017】
層間絶縁層16は、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂であり、発泡樹脂内の各気泡が独立した独立気泡構造を有する。発泡樹脂として、例えば発泡ポリウレタン樹脂や、ウレタン結合を有する樹脂とスチレン等の樹脂とを含む混合樹脂等が用いられる。また、発泡樹脂の改質材として、エポキシ等の熱硬化性樹脂や、アクリレート等の光硬化性樹脂を含んでもよい。発泡樹脂の発泡ガスとして、炭酸ガス(CO2)、代替フロン、フロン、炭化水素、及び塩素化炭化水素等が用いられる。炭酸ガスは不活性であり、第1及び第2配線12、22やビア導体24に用いる銅等の低抵抗導体に対する腐食性がないので、発泡ガスとして望ましい。
【0018】
コア基板10には、エポキシ、ポリイミド、液晶ポリマ等の絶縁性樹脂が用いられる。低誘電率化の観点から、比誘電率がエポキシ樹脂よりも小さなポリイミドや液晶ポリマが望ましい。なお、コア基板10の裏面に配線を配置してもよく、裏面の配線と第1配線12を接続するビア導体をコア基板10に設けてもよい。
【0019】
第1の実施の形態に係るプリント配線板では、層間絶縁層16にウレタン樹脂を含む発泡樹脂が用いられている。以下、簡単のため発泡ポリウレタン樹脂を例として説明する。ポリウレタンの比誘電率は約5である。一方、炭酸ガス等の発泡ガスは、比誘電率が実質的に1である。ポリウレタンと発泡ガスの比、即ち発泡樹脂の発泡体密度を調整することにより層間絶縁層16の比誘電率を低減することができる。例えば、発泡体密度を1/2以下にすることにより、層間絶縁層16の比誘電率を3以下にすることができる。ここで、「発泡体密度」は、発泡体に含まれる気泡の割合である。
【0020】
また、ウレタン樹脂は、エポキシ樹脂等に比べて低価格である。したがって、製造コストの低減が可能である。発泡ポリウレタン樹脂は、独立気泡構造を有し、かつ表面が気泡を含まないスキン層となり、優れた撥水性を有する。そのため、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0021】
なお、図1に示したプリント配線板では、第1配線12の上に層間絶縁層16を挟んで第2配線22が積層されているが、第2配線22の上に更に配線を積層してもよい。例えば、第2配線22の上に設けた発泡ポリウレタン樹脂からなる新たな層間絶縁層の表面に第3配線が配置される。新たな層間絶縁層を貫通するビアホールに新たなビア導体が設けられる。このように、新たな配線を積層することにより、多層プリント配線板とすることができる。
【0022】
次に、第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法を、図2〜図6を参照して説明する。なお、以下の説明においては、層間絶縁層16として発泡ポリウレタン樹脂を用いて説明する。
【0023】
図2に示すように、コア基板10の表面に第1配線12を形成する。例えば、コア基板10上に貼り合わされた銅箔の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、ウェットエッチング等により銅箔を選択的に除去する。レジストパターンを除去して、第1配線12が形成される。
【0024】
図3に示すように、第1配線12が形成されたコア基板10の上に樹脂層14を印刷法等により塗布する。樹脂層14は、ウレタン反応を起こす官能基を有する高分子化合物と発泡剤を含む。具体的には、イソシアネート基(−N=C=O)を有する高分子化合物と水酸基(−OH)を有する高分子化合物との混合化合物に、発泡剤として水(H2O)が添加されている。そのため、腐食の心配がない発泡構造とすることができる。
【0025】
図4に示すように、樹脂層14の表面がモールド20の一主面に一定距離で離間するようにコア基板10を配置する。減圧又は常圧で温度を約25℃〜約100℃に設定することにより、樹脂層14において、ウレタン反応及び発泡反応が促進される。
【0026】
図5に示すように、樹脂層14がモールド20で規定される空間で発泡硬化して、層間絶縁層16が形成される。イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物のウレタン反応により、ポリウレタンが生成される。また、イソシアネート基と水の反応により、炭酸ガスが発生する。発生した炭酸ガスは、発泡ガスとしてポリウレタン樹脂の内部でそれぞれが孤立した独立気泡を形成する。その後、モールド20を層間絶縁膜16から取り除く。
【0027】
例えば、イソシアネート基を有する高分子化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネートやトルエンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、あるいは1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが用いられる。水酸基を有する高分子化合物として、ポリエーテルジオール、ポリエステルトリオール、ポリエーテルテトラオール、及びビスフェノールA−PO付加体等のポリアルキレングリコール誘導体、あるいはポリエステルポリオール等が用いられる。
【0028】
図6に示すように、レーザ加工等により、第1配線12の一部が露出するように層間絶縁層16にビアホール18を形成する。次いで、層間絶縁層16の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、めっき法等により銅等の第2配線22を選択的に形成する。第2配線22のめっきにより、ビアホール18の側面にはビア導体24が形成される。第2配線22は、ビア導体24を介して第1配線12の一部に接続される。このようにして、図1に示したプリント配線板が製造される。
【0029】
第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法では、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物を用いてウレタン反応を起こさせて層間絶縁層16を形成している。したがって、製造コストを低減することができる。
【0030】
また、層間絶縁層16の発泡ポリウレタン樹脂は、発泡剤として水を用いて発生した炭酸ガスを発泡ガスとした独立気泡構造である。発泡ポリウレタン樹脂の表面は、撥水性のスキン層となる。したがって、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、モールド20を用いて発泡硬化後の発泡ポリウレタン樹脂の体積増加及び発泡体密度を制御することができる。したがって、層間絶縁層16の厚さ及び比誘電率を容易に制御することが可能となる。
【0032】
なお、上述の説明では、第2配線22及びビア導体24をめっき法で形成しているが、第2配線22の形成方法は限定されない。例えば、導電ペーストを用いて印刷法により第2配線22及びビア導体24を形成してもよい。この場合、ビアホール18を充填するようにビア導体24が形成される。
【0033】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板は、図7に示すように、コア基板(絶縁層)10、第1配線12、層間絶縁層16、第2配線22、及びビア導体26を備える。第1配線12は、コア基板10の表面に配置される。層間絶縁層16は、第1配線12の上に設けられる、第2配線22は、層間絶縁層16の表面に配置される。ビア導体26は、層間絶縁層16を貫通して、第1配線12及び第2配線22を接続する。
【0034】
第2の実施の形態では、第1及び第2配線12、22がビア導体26により接続される点が第1の実施の形態と異なる。他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、重複する記載は省略する。
【0035】
第2の実施の形態に係るプリント配線板では、層間絶縁層16に発泡ポリウレタン樹脂等が用いられている。したがって、発泡樹脂の発泡体密度を調整することにより層間絶縁層16の比誘電率を低減することができる。また、ウレタン樹脂は、エポキシ樹脂等に比べて低価格である。したがって、製造コストの低減が可能である。発泡ポリウレタン樹脂は、独立気泡構造を有し、かつ表面が気泡を含まないスキン層となり、優れた撥水性を有する。そのため、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0036】
次に、第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法を、図8〜図13を参照して説明する。なお、以下の説明においては、層間絶縁層16として発泡ポリウレタン樹脂を用いて説明する。
【0037】
図8に示すように、コア基板10の表面に第1配線12を形成する。例えば、コア基板10上に貼り合わされた銅箔の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、ウェットエッチング等により銅箔を選択的に除去する。レジストパターンを除去して、第1配線12が形成される。
【0038】
図9に示すように、コア基板10の上にレジスト膜30を塗布する。塗布したレジスト膜30に、第1配線12の一部が露出するように開口部32を形成する。
【0039】
図10に示すように、アディティブめっき等により開口部32に銅等の導体を埋め込み、ビア導体26を形成する。その後、レジスト膜30を除去する。なお、ビア導体26は、導電ペーストを用いて印刷法により形成してもよい。
【0040】
図11に示すように、第1配線12及びビア導体26が形成されたコア基板10の上に樹脂層14を印刷法等により塗布する。樹脂層14は、ウレタン反応を起こす官能基を有する高分子化合物と発泡剤を含む。具体的には、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物に、発泡剤として水が添加されている。その後、ビア導体26の表面がモールド20の一主面に接するようにコア基板10を配置する。減圧又は常圧で温度を約25℃〜約100℃に設定することにより、樹脂層14において、ウレタン反応及び発泡反応が促進される。
【0041】
図12に示すように、樹脂層14がモールド20で規定される空間で発泡硬化して、層間絶縁層16が形成される。イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物のウレタン反応により、ポリウレタンが生成される。また、イソシアネート基と水の反応により、炭酸ガスが発生する。発生した炭酸ガスは、発泡ガスとしてポリウレタン樹脂の内部でそれぞれが孤立した独立気泡を形成する。その後、モールド20を層間絶縁膜16から取り除く。
【0042】
図13に示すように、層間絶縁層16に第2配線22を形成する。例えば、層間絶縁層16の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンの一部には、ビア導体26の表面が露出する。レジストパターンをマスクとして、アディティブめっき法等により銅等の第2配線22を選択的に形成する。第2配線22は、ビア導体26を介して第1配線12の一部に接続される。このようにして、図7に示したプリント配線板が製造される。
【0043】
第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法では、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物を用いてウレタン反応を起こさせて層間絶縁層16を形成している。したがって、製造コストを低減することができる。
【0044】
また、層間絶縁層16の発泡ポリウレタン樹脂は、発泡剤として水を用いて発生した炭酸ガスを発泡ガスとした独立気泡構造である。発泡ポリウレタン樹脂の表面は、撥水性のスキン層となる。したがって、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、モールド20を用いて発泡硬化後の発泡ポリウレタン樹脂の体積増加及び発泡体密度を制御することができる。したがって、層間絶縁層16の厚さ及び比誘電率を容易に制御することが可能となる。
【0046】
また、第2の実施の形態では、上述のように先にビア導体26を形成した後に層間絶縁膜16を形成している。そのため、層間絶縁膜にビアホールを形成してビア導体を形成する場合と比べて、層間絶縁膜にレーザ加工等によるビアホールを形成する必要はない。
【0047】
なお、上述の説明では、モールド20は、ビア導体26の高さに合わせて配置されている。しかし、比誘電率を低減するために発泡体密度を高くして更に体積を増加する必要がある場合、モールド20の配置を調整すればよい。
【0048】
例えば、図14に示すように、樹脂層14を塗布後、発泡樹脂が所望の体積となるように、モールド20をビア導体26の表面から所望の位置まで離間させる。図15に示すように、樹脂層14を発泡硬化させて、層間絶縁層16aを形成する。その後、モールド20を層間絶縁膜16aから取り除く。この時、ビア導体26は、層間絶縁層16a中に埋もれている。図16に示すように、研磨等により層間絶縁層16aの一部を除去してビア導体26の表面を露出させる。その後、図13に示すように、層間絶縁層16の上に第2配線22を形成すればよい。
【0049】
また、図15に示したように発泡硬化させて形成した層間絶縁層16aの表面に、図17に示すように、第2配線22を形成してもよい。例えば、レーザ加工等により、ビア導体26の表面が露出するように層間絶縁層16aにビアホール40を形成する。次いで、層間絶縁層16aの表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、めっき法等により銅等の第2配線22を選択的に形成する。第2配線22のめっきにより、ビアホール40の側面にはビア導体42が形成される。第2配線22は、ビア導体26、42を介して第1配線12の一部に接続される。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者にはさまざまな代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係わる発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、高周波回路用のプリント配線板及びその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…コア基板
12…第1配線
14…樹脂層
16…層間絶縁層
18…ビアホール
20…モールド
22…第2配線
24、26…ビア導体
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電特性を有するプリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス機器や情報ネットワークの進歩により情報量が増大し、伝送特性の優れたプリント配線板が望まれている。プリント配線板に用いる基板の有機絶縁材料は誘電体である。高速伝送においては、電気信号が基板により熱エネルギに変換されてしまうため、伝送損失が引き起こされる。このような問題から、基板の低誘電率化による伝送損失の低減が望まれている。
【0003】
従来から基板に用いられているエポキシ樹脂等は、極性基を多く含み、低誘電率化が困難である。低誘電率基板として、官能基の導入や構造変性等による樹脂を用いているものがある(特許文献1及び2参照)。樹脂の官能基の導入や構造変性は、工業化が難しく、結果的に製造コストの増加を招いてしまう。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を基板として用いるものもある。PTFEは、誘電特性は優れているが、多層化や耐熱性に問題がある。
【0004】
また、低誘電率のガラス組成の無機充填材を混合した樹脂を基板として用いて低誘電率化しているものがある(特許文献3参照)。更に、誘電率は空気が最も低いことから、中空ガラス充填材を樹脂に混合して用いているものもある(特許文献4参照)。これらの無機充填材の量産化や価格の問題から、無機充填材を混合する方法の工業化は実現が難しい。
【0005】
また、シリコーン系整泡剤を用いて発泡構造とした樹脂を低誘電率基板としたプリント配線板が提案されている(特許文献5参照)。特許文献5で提案されている発泡樹脂は、機械発泡による独立気泡を多数含むため、誘電率を低減することができる。
【0006】
しかしながら、機械発泡では、発泡体密度の調整が困難で、発泡による樹脂体積増加の制御等の課題がある。また、発泡樹脂の厚さを調整する研磨工程等が必要となり、製造コストの増加を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4202171号公報
【特許文献2】特開2005−29734号公報
【特許文献3】特許第3954130号公報
【特許文献4】特開平11−251748号公報
【特許文献5】特開平06−125154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、工業化が容易で、高信頼性且つ低誘電特性を有するプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、絶縁層の表面に配置された第1配線と、第1配線の上に設けられ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層と、層間絶縁層の表面に配置された第2配線と、層間絶縁層を貫通して設けられ、第1及び第2配線を接続するビア導体とを備えるプリント配線板が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、層間絶縁層に第1配線の一部が露出するビアホールを形成する工程と、層間絶縁層の表面にビアホールを介して第1配線の一部に接続する第2配線を形成する工程とを含むプリント配線板の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、第1配線の一部に接続するビア導体を形成する工程と、絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、層間絶縁層の表面にビア導体に接続する第2配線を形成する工程とを含むプリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、工業化が容易で、高信頼性且つ低誘電特性を有するプリント配線板及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その1)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その2)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その3)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その4)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その5)である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その1)である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その2)である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その3)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その4)である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その5)である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を示す工程断面図(その6)である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の他の例を示す工程断面図(その1)である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の他の例を示す工程断面図(その2)である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の他の例を示す工程断面図(その3)である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付してある。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
又、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るプリント配線板は、図1に示すように、コア基板(絶縁層)10、第1配線12、層間絶縁層16、第2配線22、及びビア導体24を備える。第1配線12は、コア基板10の表面に配置される。層間絶縁層16は、第1配線12の上に設けられる、第2配線22は、層間絶縁層16の表面に配置される。ビア導体24は、層間絶縁層16を貫通するビアホール18の側面に設けられる。ビア導体24は、第1配線12及び第2配線22を接続する。
【0017】
層間絶縁層16は、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂であり、発泡樹脂内の各気泡が独立した独立気泡構造を有する。発泡樹脂として、例えば発泡ポリウレタン樹脂や、ウレタン結合を有する樹脂とスチレン等の樹脂とを含む混合樹脂等が用いられる。また、発泡樹脂の改質材として、エポキシ等の熱硬化性樹脂や、アクリレート等の光硬化性樹脂を含んでもよい。発泡樹脂の発泡ガスとして、炭酸ガス(CO2)、代替フロン、フロン、炭化水素、及び塩素化炭化水素等が用いられる。炭酸ガスは不活性であり、第1及び第2配線12、22やビア導体24に用いる銅等の低抵抗導体に対する腐食性がないので、発泡ガスとして望ましい。
【0018】
コア基板10には、エポキシ、ポリイミド、液晶ポリマ等の絶縁性樹脂が用いられる。低誘電率化の観点から、比誘電率がエポキシ樹脂よりも小さなポリイミドや液晶ポリマが望ましい。なお、コア基板10の裏面に配線を配置してもよく、裏面の配線と第1配線12を接続するビア導体をコア基板10に設けてもよい。
【0019】
第1の実施の形態に係るプリント配線板では、層間絶縁層16にウレタン樹脂を含む発泡樹脂が用いられている。以下、簡単のため発泡ポリウレタン樹脂を例として説明する。ポリウレタンの比誘電率は約5である。一方、炭酸ガス等の発泡ガスは、比誘電率が実質的に1である。ポリウレタンと発泡ガスの比、即ち発泡樹脂の発泡体密度を調整することにより層間絶縁層16の比誘電率を低減することができる。例えば、発泡体密度を1/2以下にすることにより、層間絶縁層16の比誘電率を3以下にすることができる。ここで、「発泡体密度」は、発泡体に含まれる気泡の割合である。
【0020】
また、ウレタン樹脂は、エポキシ樹脂等に比べて低価格である。したがって、製造コストの低減が可能である。発泡ポリウレタン樹脂は、独立気泡構造を有し、かつ表面が気泡を含まないスキン層となり、優れた撥水性を有する。そのため、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0021】
なお、図1に示したプリント配線板では、第1配線12の上に層間絶縁層16を挟んで第2配線22が積層されているが、第2配線22の上に更に配線を積層してもよい。例えば、第2配線22の上に設けた発泡ポリウレタン樹脂からなる新たな層間絶縁層の表面に第3配線が配置される。新たな層間絶縁層を貫通するビアホールに新たなビア導体が設けられる。このように、新たな配線を積層することにより、多層プリント配線板とすることができる。
【0022】
次に、第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法を、図2〜図6を参照して説明する。なお、以下の説明においては、層間絶縁層16として発泡ポリウレタン樹脂を用いて説明する。
【0023】
図2に示すように、コア基板10の表面に第1配線12を形成する。例えば、コア基板10上に貼り合わされた銅箔の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、ウェットエッチング等により銅箔を選択的に除去する。レジストパターンを除去して、第1配線12が形成される。
【0024】
図3に示すように、第1配線12が形成されたコア基板10の上に樹脂層14を印刷法等により塗布する。樹脂層14は、ウレタン反応を起こす官能基を有する高分子化合物と発泡剤を含む。具体的には、イソシアネート基(−N=C=O)を有する高分子化合物と水酸基(−OH)を有する高分子化合物との混合化合物に、発泡剤として水(H2O)が添加されている。そのため、腐食の心配がない発泡構造とすることができる。
【0025】
図4に示すように、樹脂層14の表面がモールド20の一主面に一定距離で離間するようにコア基板10を配置する。減圧又は常圧で温度を約25℃〜約100℃に設定することにより、樹脂層14において、ウレタン反応及び発泡反応が促進される。
【0026】
図5に示すように、樹脂層14がモールド20で規定される空間で発泡硬化して、層間絶縁層16が形成される。イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物のウレタン反応により、ポリウレタンが生成される。また、イソシアネート基と水の反応により、炭酸ガスが発生する。発生した炭酸ガスは、発泡ガスとしてポリウレタン樹脂の内部でそれぞれが孤立した独立気泡を形成する。その後、モールド20を層間絶縁膜16から取り除く。
【0027】
例えば、イソシアネート基を有する高分子化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネートやトルエンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、あるいは1,6‐ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが用いられる。水酸基を有する高分子化合物として、ポリエーテルジオール、ポリエステルトリオール、ポリエーテルテトラオール、及びビスフェノールA−PO付加体等のポリアルキレングリコール誘導体、あるいはポリエステルポリオール等が用いられる。
【0028】
図6に示すように、レーザ加工等により、第1配線12の一部が露出するように層間絶縁層16にビアホール18を形成する。次いで、層間絶縁層16の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、めっき法等により銅等の第2配線22を選択的に形成する。第2配線22のめっきにより、ビアホール18の側面にはビア導体24が形成される。第2配線22は、ビア導体24を介して第1配線12の一部に接続される。このようにして、図1に示したプリント配線板が製造される。
【0029】
第1の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法では、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物を用いてウレタン反応を起こさせて層間絶縁層16を形成している。したがって、製造コストを低減することができる。
【0030】
また、層間絶縁層16の発泡ポリウレタン樹脂は、発泡剤として水を用いて発生した炭酸ガスを発泡ガスとした独立気泡構造である。発泡ポリウレタン樹脂の表面は、撥水性のスキン層となる。したがって、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、モールド20を用いて発泡硬化後の発泡ポリウレタン樹脂の体積増加及び発泡体密度を制御することができる。したがって、層間絶縁層16の厚さ及び比誘電率を容易に制御することが可能となる。
【0032】
なお、上述の説明では、第2配線22及びビア導体24をめっき法で形成しているが、第2配線22の形成方法は限定されない。例えば、導電ペーストを用いて印刷法により第2配線22及びビア導体24を形成してもよい。この場合、ビアホール18を充填するようにビア導体24が形成される。
【0033】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るプリント配線板は、図7に示すように、コア基板(絶縁層)10、第1配線12、層間絶縁層16、第2配線22、及びビア導体26を備える。第1配線12は、コア基板10の表面に配置される。層間絶縁層16は、第1配線12の上に設けられる、第2配線22は、層間絶縁層16の表面に配置される。ビア導体26は、層間絶縁層16を貫通して、第1配線12及び第2配線22を接続する。
【0034】
第2の実施の形態では、第1及び第2配線12、22がビア導体26により接続される点が第1の実施の形態と異なる。他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、重複する記載は省略する。
【0035】
第2の実施の形態に係るプリント配線板では、層間絶縁層16に発泡ポリウレタン樹脂等が用いられている。したがって、発泡樹脂の発泡体密度を調整することにより層間絶縁層16の比誘電率を低減することができる。また、ウレタン樹脂は、エポキシ樹脂等に比べて低価格である。したがって、製造コストの低減が可能である。発泡ポリウレタン樹脂は、独立気泡構造を有し、かつ表面が気泡を含まないスキン層となり、優れた撥水性を有する。そのため、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0036】
次に、第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法を、図8〜図13を参照して説明する。なお、以下の説明においては、層間絶縁層16として発泡ポリウレタン樹脂を用いて説明する。
【0037】
図8に示すように、コア基板10の表面に第1配線12を形成する。例えば、コア基板10上に貼り合わされた銅箔の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、ウェットエッチング等により銅箔を選択的に除去する。レジストパターンを除去して、第1配線12が形成される。
【0038】
図9に示すように、コア基板10の上にレジスト膜30を塗布する。塗布したレジスト膜30に、第1配線12の一部が露出するように開口部32を形成する。
【0039】
図10に示すように、アディティブめっき等により開口部32に銅等の導体を埋め込み、ビア導体26を形成する。その後、レジスト膜30を除去する。なお、ビア導体26は、導電ペーストを用いて印刷法により形成してもよい。
【0040】
図11に示すように、第1配線12及びビア導体26が形成されたコア基板10の上に樹脂層14を印刷法等により塗布する。樹脂層14は、ウレタン反応を起こす官能基を有する高分子化合物と発泡剤を含む。具体的には、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物に、発泡剤として水が添加されている。その後、ビア導体26の表面がモールド20の一主面に接するようにコア基板10を配置する。減圧又は常圧で温度を約25℃〜約100℃に設定することにより、樹脂層14において、ウレタン反応及び発泡反応が促進される。
【0041】
図12に示すように、樹脂層14がモールド20で規定される空間で発泡硬化して、層間絶縁層16が形成される。イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物のウレタン反応により、ポリウレタンが生成される。また、イソシアネート基と水の反応により、炭酸ガスが発生する。発生した炭酸ガスは、発泡ガスとしてポリウレタン樹脂の内部でそれぞれが孤立した独立気泡を形成する。その後、モールド20を層間絶縁膜16から取り除く。
【0042】
図13に示すように、層間絶縁層16に第2配線22を形成する。例えば、層間絶縁層16の表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンの一部には、ビア導体26の表面が露出する。レジストパターンをマスクとして、アディティブめっき法等により銅等の第2配線22を選択的に形成する。第2配線22は、ビア導体26を介して第1配線12の一部に接続される。このようにして、図7に示したプリント配線板が製造される。
【0043】
第2の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法では、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物を用いてウレタン反応を起こさせて層間絶縁層16を形成している。したがって、製造コストを低減することができる。
【0044】
また、層間絶縁層16の発泡ポリウレタン樹脂は、発泡剤として水を用いて発生した炭酸ガスを発泡ガスとした独立気泡構造である。発泡ポリウレタン樹脂の表面は、撥水性のスキン層となる。したがって、層間絶縁層16の絶縁信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、モールド20を用いて発泡硬化後の発泡ポリウレタン樹脂の体積増加及び発泡体密度を制御することができる。したがって、層間絶縁層16の厚さ及び比誘電率を容易に制御することが可能となる。
【0046】
また、第2の実施の形態では、上述のように先にビア導体26を形成した後に層間絶縁膜16を形成している。そのため、層間絶縁膜にビアホールを形成してビア導体を形成する場合と比べて、層間絶縁膜にレーザ加工等によるビアホールを形成する必要はない。
【0047】
なお、上述の説明では、モールド20は、ビア導体26の高さに合わせて配置されている。しかし、比誘電率を低減するために発泡体密度を高くして更に体積を増加する必要がある場合、モールド20の配置を調整すればよい。
【0048】
例えば、図14に示すように、樹脂層14を塗布後、発泡樹脂が所望の体積となるように、モールド20をビア導体26の表面から所望の位置まで離間させる。図15に示すように、樹脂層14を発泡硬化させて、層間絶縁層16aを形成する。その後、モールド20を層間絶縁膜16aから取り除く。この時、ビア導体26は、層間絶縁層16a中に埋もれている。図16に示すように、研磨等により層間絶縁層16aの一部を除去してビア導体26の表面を露出させる。その後、図13に示すように、層間絶縁層16の上に第2配線22を形成すればよい。
【0049】
また、図15に示したように発泡硬化させて形成した層間絶縁層16aの表面に、図17に示すように、第2配線22を形成してもよい。例えば、レーザ加工等により、ビア導体26の表面が露出するように層間絶縁層16aにビアホール40を形成する。次いで、層間絶縁層16aの表面にレジストパターンを形成する。レジストパターンをマスクとして、めっき法等により銅等の第2配線22を選択的に形成する。第2配線22のめっきにより、ビアホール40の側面にはビア導体42が形成される。第2配線22は、ビア導体26、42を介して第1配線12の一部に接続される。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者にはさまざまな代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係わる発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、高周波回路用のプリント配線板及びその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…コア基板
12…第1配線
14…樹脂層
16…層間絶縁層
18…ビアホール
20…モールド
22…第2配線
24、26…ビア導体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層の表面に配置された第1配線と、
前記第1配線の上に設けられ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の表面に配置された第2配線と、
前記層間絶縁層を貫通して設けられ、前記第1及び第2配線を接続するビア導体
とを備えることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記層間絶縁層が、二酸化炭素を発泡ガスとして含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記層間絶縁層が、複数の独立気泡を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、
前記絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して前記樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、
前記層間絶縁層に前記第1配線の一部が露出するビアホールを形成する工程と、
前記層間絶縁層の表面に前記ビアホールを介して前記第1配線の一部に接続する第2配線を形成する工程
とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、
前記第1配線の一部に接続するビア導体を形成する工程と、
前記絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して前記樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、
前記層間絶縁層の表面に前記ビア導体に接続する第2配線を形成する工程
とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記モールドの一主面が、前記ビア導体の表面に接して配置されることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記モールドの一主面が、前記ビア導体の表面から離間して配置され、前記第2配線の形成前に前記ビア導体の表面が露出するように前記層間絶縁層の一部が除去されることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記ウレタン反応を起こす高分子化合物が、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物であり、前記発泡剤が水であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項1】
絶縁層の表面に配置された第1配線と、
前記第1配線の上に設けられ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の表面に配置された第2配線と、
前記層間絶縁層を貫通して設けられ、前記第1及び第2配線を接続するビア導体
とを備えることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記層間絶縁層が、二酸化炭素を発泡ガスとして含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記層間絶縁層が、複数の独立気泡を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、
前記絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して前記樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、
前記層間絶縁層に前記第1配線の一部が露出するビアホールを形成する工程と、
前記層間絶縁層の表面に前記ビアホールを介して前記第1配線の一部に接続する第2配線を形成する工程
とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
絶縁層の表面に第1配線を形成する工程と、
前記第1配線の一部に接続するビア導体を形成する工程と、
前記絶縁層の表面に、ウレタン反応を起こす高分子化合物又はウレタン結合を有するプレポリマと、発泡剤とを含む樹脂混合物を塗布して樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の表面がモールドの一主面に一定距離で離間するように配置して前記樹脂層を発泡硬化させ、ウレタン樹脂を含む発泡樹脂からなる層間絶縁層を形成する工程と、
前記層間絶縁層の表面に前記ビア導体に接続する第2配線を形成する工程
とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記モールドの一主面が、前記ビア導体の表面に接して配置されることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記モールドの一主面が、前記ビア導体の表面から離間して配置され、前記第2配線の形成前に前記ビア導体の表面が露出するように前記層間絶縁層の一部が除去されることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記ウレタン反応を起こす高分子化合物が、イソシアネート基を有する高分子化合物と水酸基を有する高分子化合物との混合化合物であり、前記発泡剤が水であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−198995(P2011−198995A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63980(P2010−63980)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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