説明

プリン誘導体の結晶性形態

本発明は、優れた抗腫瘍活性を呈するプリン誘導体の新たな結晶性形態に関する。本発明は、前記結晶性形態を活性成分として含有する医薬組成物、及び疾患の予防又は治療におけるその使用にも関する。本発明はさらに、該結晶性形態を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリン誘導体の結晶性形態に関する。本発明は、前記結晶性形態を活性成分として含有する医薬組成物、及び疾患の予防又は治療におけるその使用にも関する。本発明はさらに、該結晶性形態を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下「化合物(I)」と称する式(I)のプリン誘導体は、Cyclacel Limited社の名のもとに国際公開第2008/122767号パンフレットの明細書において最初に開示された。
【0003】
【化1】


(I)
【0004】
研究は、化学名(2R,3S)−3−(6−((4,6−ジメチルピリジン−3−イルメチルアミノ)−9−イソプロピル−9H−プリン−2−イルアミノ)ペンタン−2−オールを有する化合物(I)が、強力なCDK阻害活性を呈し、故に、増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに呼吸器障害の治療において潜在的な治療用途を有することを実証した。
【0005】
有利なことに、化合物(I)は、様々な異なる細胞株の細胞毒性研究において、驚くほど高い効力を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/122767号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、結晶性形態の化合物(I)を提供しようとするものである。特に、本発明は、該化合物の所望の薬理学的活性を保持する結晶性形態を提供しようとするものである。より具体的には、しかし排他的にではなく、本発明は、非晶質形態よりも改善された1又は2以上の特性を呈する化合物(I)の結晶性形態を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、化合物(I)の結晶性形態
【0009】
【化2】


(I)
【0010】
に関し、前記化合物は、遊離塩基若しくは薬学的に許容されるその塩の形態、又は該遊離塩基の溶媒和形態若しくはその塩形態である。
【0011】
本発明の結晶性形態は、典型的には、非晶質形態よりも改善された1又は2以上の特性を実証する。適切な特性は、例えば、より良好な保存安定性、取り扱いの容易さの改善(流動性、圧縮性、安定性)、より容易な精製、及びより容易な合成スケールアップを包含する。
【0012】
本発明の第二の態様は、活性成分としての上記した通りの結晶性形態と、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む、医薬組成物に関する。
【0013】
本発明の第三の態様は、医療において使用するための、上記した通りの結晶性形態に関する。
【0014】
本発明の第四の態様は、増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに/又は呼吸器障害の予防又は治療において使用するための、上記した通りの結晶性形態に関する。
【0015】
本発明の第五の態様は、増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに/又は呼吸器障害の予防又は治療用薬剤の調製における、上記した通りの結晶性形態の使用に関する。
【0016】
本発明の第六の態様は、薬理学的に有効な量の上記した通りの結晶性形態を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに/又は呼吸器障害の予防又は治療のための方法に関する。
【0017】
本発明の第七の態様は、上記した通りの結晶性形態を調製する方法に関する。
【0018】
下記の図を参照して、本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例5.2によって取得される通りの、化合物(I)のL−酒石酸塩の形態EのX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、PANalytical社製回折計を使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図2】PerkinElmer社製DSC4000を使用し、20℃/minの加熱速度で取得される、化合物(I)のL−酒石酸塩の形態EのDSCサーモグラムを示す図である。ピーク最大値は、182.40℃で観察される。
【図3】実施例4によって取得される通りの、化合物(I)のL−酒石酸塩の形態DのX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS C2 GADDSを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図4】実施例4によって、Mettler社製DSC823eを使用し、20℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のL−酒石酸塩の形態DのDSCサーモグラムを示す図である。ピーク最大値は、151.83℃で観察される。
【図5】実施例1によって取得される通りの、化合物(I)の結晶性遊離塩基(形態A)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、PANalytical社製回折計を使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図6】実施例1によって、PerkinElmer社製Pyris 6を使用し、20℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)の結晶性遊離塩基(形態A)のDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、137.63℃で観察される)。上部トレースは、Pyris 1 TGAを使用し、20℃/minの加熱速度で計測された同じ塩についてのTGAを示す。有意な質量損失は250℃まで観察されず、開始は369.39℃で観察された。
【図7】実施例2によって取得される通りの、化合物(I)のクエン酸塩(形態F)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS C2 GADDSを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図8】実施例2によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のクエン酸塩(形態F)のDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は150.83℃及び187.83で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図9】実施例3によって取得される通りの、化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩(形態G)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS C2 GADDSを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図10】実施例3によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩(形態G)のDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、153.00で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図11】実施例7によって取得される通りの、化合物(I)のリン酸塩(形態B)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS C2 GADDSを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図12】実施例7によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)の形態1のリン酸塩(形態B)のDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、84.95及び123.93で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図13】実施例6によって取得される通りの、化合物(I)のリン酸塩(形態C)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS C2 GADDSを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図14】実施例6によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のリン酸塩(形態C)の形態2のDSCサーモグラムを示す図である(ピーク最大値は、86.50及び132.17で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図15】Hiden Isochema社製水分収着分析計を使用して計測される通りの、形態Aについての等温線プロット(重量変化%対RH%)を示す図である。
【図16】形態Aの重量変化(%)対時間及び相対湿度%の速度論的プロットを示す図である。
【図17】GVS後の形態AのXRPD分析を示す図である。
【図18】溶解度研究前後の形態AのXRPD分析を示す図である。
【図19】実施例8によって取得される通りの、化合物(I)の塩酸塩(形態H)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図20】実施例9によって取得される通りの、化合物(I)の塩酸塩(形態I)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図21】実施例10によって取得される通りの、化合物(I)の臭化水素酸塩(形態J)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図22】実施例12によって取得される通りの、化合物(I)のメシル酸塩(形態L)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図23】実施例13によって取得される通りの、化合物(I)のマレイン酸塩(形態M)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図24】実施例15によって取得される通りの、化合物(I)のゲンチシン酸塩(形態O)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図25】実施例16によって取得される通りの、化合物(I)のフマル酸塩(形態P)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図26】実施例17によって取得される通りの、化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態Q)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図27】実施例18によって取得される通りの、化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態R)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図28】実施例11によって取得される通りの、化合物(I)の臭化物塩(形態K)のX線粉末回折パターンを示す図である。回折パターンは、Bruker社製AXS D8 Advanceを使用する結晶性生成物の照射によって取得した。
【図29】実施例11によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のHBr塩形態KのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、74及び95℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図30】実施例12によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のメシル酸塩形態LのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、132℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図31】実施例13によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のマレイン酸塩形態MのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、123℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図32】実施例15によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のゲンチシン酸塩形態OのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、99℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図33】実施例16によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のフマル酸塩形態PのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、143℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図34】実施例17によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のL−リンゴ酸塩形態QのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、92℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図35】実施例18によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のL−リンゴ酸塩形態RのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、114℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図36】実施例8によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のHCl塩形態HのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、68、87、104及び148℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図37】実施例9によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のHCl塩形態IのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、120及び139℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【図38】実施例10によって、Mettler社製DSC823eを使用し、10℃/minの加熱速度で取得される通りの、化合物(I)のHBr塩形態JのDSCサーモグラム(下部トレース)を示す図である(ピーク最大値は、142℃で観察される)。上部トレースは、Mettler社製TGA/SDTA 851eを使用する、10℃/minの加熱速度での同じ塩についてのTGA分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の結晶性形態は、x線粉末回折及び示差走査熱量測定を包含する様々な異なる分析技術によって特徴付けることができる。これらの技術及び設備のさらなる詳細は、添付の実施例の項において説明する。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「溶媒和物」又は「溶媒和形態」は、結晶構造の固有部分として、溶媒の1又は2以上の分子が会合した結晶を指す。好ましくは、溶媒和物又は溶媒和形態は、水和物である。
【0022】
概して、同じ化合物の異なる複数の結晶性形態(多形)は、使用される結晶化条件を変動させることによって生成され得る。これらの異なる結晶性形態は、異なる三次元構造及び異なる物理化学的特性を有する。しかしながら、多形の存在は本質的に予測不可能であり、多形を予測するための理論計算は、実施時に実際に単離され得るよりもはるかに多くの多形が予測され、極めて信頼性に欠けるものである。
【0023】
好ましくは、本発明の結晶性形態は、少なくとも95%純粋(結晶形態の純度の観点から)、より好ましくは少なくとも97%純粋、さらに一層好ましくは少なくとも98又は99%純粋である(例えば、HPLCによって分析した際)。またさらに好ましくは、本発明の結晶性形態は、少なくとも99.5%純粋である。
【0024】
本発明は、化合物(I)の遊離塩基の結晶性形態、及び種々の薬学的に許容されるその塩の結晶性形態を包括する。具体的には、本発明は、化合物(I)のL−酒石酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、L−リンゴ酸塩、フマル酸塩、ゲンチシン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩及びリン酸塩の結晶性形態を包括する。
【0025】
種々の結晶性形態及びそれらの特性の概要を、下記の表において説明する。各形態については、以下でさらに詳細に論じる。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
塩酸塩は、高RHで潮解又は形態変化が観察される4つのXRPDパターンの観察を伴う数種の形態を呈した。臭化水素酸塩は、一方は吸湿性であり他方は高RHでの保存によってのみ観察される、2つの形態で存在するようであった。メシル酸塩は、25℃/97%RH及び40℃/75%RHの両方で潮解を呈した。マレイン酸塩は、40℃/70%RH超では吸湿性であることを立証した。L−リンゴ酸塩は、1つ目は40℃/75%RHで潮解を呈し、2つ目は非吸湿性であることを立証する、2つの結晶性形態を呈した。ゲンチシン酸塩は、一方は部分的に結晶性の形態であり他方はアセトニトリル溶媒和物であってよい結晶性単塩である、2つの形態で存在するようであった。
【0029】
結晶性遊離塩基(形態A)は、132℃で融解し、非吸湿性であり、且つ0.33mg/mlの水中での水溶解度を有する、化合物(I)の非溶媒和形態であることが分かった。
【0030】
出願人による研究は、2つのリン酸塩(形態B及びC)が、加熱及び/又は周囲湿度を低減させることで脱水して、2つのさらなる無水形態をそれぞれ生じさせ得ることを示した。脱水ステップは、冷却及び/又は湿度を増大させることで可逆性である。2つのリン酸塩のうち、形態Cは、低い吸湿性、100℃未満での完全脱水、125℃でのそれぞれの無水形態の融解、及び高い水溶解度(20mg/mlを超える)を呈する、最も安定な水和物であることが判明した。
【0031】
L−酒石酸塩(形態D)は、酒石酸及び化合物(I)について、非水和、非溶媒和の1:1塩であることが分かった。形態Dは、147℃での融解、高い水溶解度(20mg/mlを超える)を呈し、70%RH超でのみ吸湿性である。形態Dは準安定性であり、形態E多形へ容易に転換する。L−酒石酸塩(形態E)は、酒石酸及び化合物(I)について、非水和、非溶媒和の1:1塩であることが分かった。形態Eは、178℃での融解を呈し、高い水溶解度(43.9mg/ml)を有し、わずかにだけ吸湿性である。2つの酒石酸塩のうち、形態Eがより高い融点を持つ最も安定な形態である。形態Eのほうが吸湿性も低い。
【0032】
クエン酸塩(形態F)は、クエン酸及び化合物(I)について、非水和、非溶媒和の1:1塩であることが分かった。形態Fは、145℃での融解、続いて分解、高い水溶解度(15mg/mlを超える)を呈し、70%RH超でのみ吸湿性である。
【0033】
ベンゼンスルホン酸塩(形態G)は、ベンゼンスルホン酸及び化合物(I)について、非水和、非溶媒和の1:1塩であることが分かった。形態Gは、147℃での融解、高い水溶解度(20mg/mlを超える)を呈し、75%RH超では非常に吸湿性である。
【0034】
結晶性遊離塩基形態A及びL−酒石酸塩形態Eは、非水和であり、非常に吸湿性というわけではなく、且つ適度に高い融点を呈するため、とりわけ好ましい。
【0035】
形態EのL−酒石酸塩は、高い融点を有し、良好な水溶解度を有し、且つわずかにだけ吸湿性であるため、最も好ましい。フマル酸(形態P)塩も、同じ理由で非常に好ましい。
【0036】
本明細書において開示されている種々の形態は、下記の通り望ましい順に記載され得る:
1.L−酒石酸塩(形態E)及び結晶性遊離塩基(形態A);
2.フマル酸塩(形態P);
3.L−リンゴ酸塩形態(形態R);
4.クエン酸塩(形態F)、リン酸塩(形態C)(エタノールから);
5.リン酸塩(形態B)(IPAから);
6.ベンゼンスルホン酸塩(形態G)、マレイン酸塩(形態M)、メシル酸塩(形態L);
7.L−リンゴ酸塩[形態Q]、酒石酸塩[形態D];
8.塩酸塩、臭化水素酸塩、ゲンチシン酸塩(形態H、I、J、K、N、O)。
【0037】
化合物(I)の結晶性形態が大気にさらされるように又は水若しくは溶媒と混合されるように該形態を静置させると、水又は溶媒を吸収して、水和物又は溶媒和物を形成することができる。本発明は、これらの水和物及び溶媒和物、並びに無水/非溶媒和形態を包括する。
【0038】
化合物(I)は、国際公開第2008/122767号パンフレットにおいて記述されている手順に従って、又は添付の実施例の項において記述されている修正された手順によって、調製され得る。
【0039】
1つの好ましい実施形態において、本発明の結晶性形態は、過飽和溶液から取得され得る。過飽和溶液は、適正な溶媒への化合物(I)の溶解、前記溶液の任意選択のpH調整、前記溶液の濃縮、前記溶液を冷却すること、化合物(I)が難溶性である溶媒の、化合物(I)が易溶性である溶媒中の化合物(I)の溶液への添加を介して調製され得る。
【0040】
別の好ましい実施形態において、適正な溶媒中の化合物(I)の結晶又は非晶質固体の懸濁液をスラリーに変換し、次いで撹拌して、代替的な結晶性形態に転換する。これは、溶媒介在転換として公知である。
【0041】
別の好ましい実施形態において、結晶の沈殿は、反応槽内で自然発生的に起こる、又は、結晶性種子の添加によって、超音波の使用を介して等の機械的刺激によって、若しくは反応槽の内側を擦ることによって、開始又は加速され得る。
【0042】
化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩の結晶化のための温度は、典型的には約0〜約100℃、好ましくは約5℃〜約75℃である。
【0043】
沈殿した結晶は、濾過、遠心分離又はデカンテーション法によって収集され得る。単離された結晶を、適正な溶媒で洗浄してよい。
【0044】
単離された結晶を、必要ならば、シリカゲル又は塩化カルシウム等の乾燥剤の存在下、場合により減圧下で、典型的には約10〜約100℃、好ましくは約30〜約50℃の温度にて、結晶の重量が一定になるまで乾燥させる。
【0045】
乾燥した結晶は、約10〜約30℃の温度で約20〜90%の相対湿度、好ましくは、約20〜約30℃の温度で約50〜約80%の相対湿度の条件下、結晶性形態の重量が一定になるまで、水を吸収することができる。
【0046】
本発明に従って取得された結晶を、再結晶又はスラリー精製によってさらに精製してよい。
【0047】
再結晶は、下記の方法を包含する、当業者によく知られている技術によって遂行され得る:
(1)冷却法:化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩を熱溶媒に溶解し、得られた溶液を冷却する;
(2)濃縮法:化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩の溶液を濃縮する;
(3)沈殿法:化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩が難溶性である溶媒を、化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩が易溶性である溶媒中の化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩の溶液に添加する。
【0048】
スラリー精製は、典型的には、適正な溶媒中の化合物(I)又は薬学的に許容されるその塩の懸濁液を撹拌するステップを含む。
【0049】
化合物(I)の結晶性形態の調製において用いられる溶媒は、ICHクラス2又は好ましくはクラス3溶媒を包含する。例えば、酢酸エチル等のエステル、エタノール等のアルコール、メチルエチルケトン等のケトン、メチルt−ブチルエーテル等のエーテル、ヘプタン等のアルカン、及び水。これらの溶媒は、単独に、又は混合物として使用され得る。好ましい溶媒は、IMS、アセトニトリル、テトラリン、クメン、3−メチル−1−ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、水、ヘプタン、TBME、THF、MEK、メチルイソブチルケトン、nPrOH及びnBuOAcを包含する。
【0050】
本発明は、上記で定義した通りの個々の結晶性形態、及びそれと1又は2以上の他の結晶性形態との混合物を包括する。
【0051】
化合物(I)の結晶性遊離塩基(形態A)
本発明の1つの好ましい実施形態は、化合物(I)の遊離塩基の結晶性形態に関する。
【0052】
好ましくは、結晶性形態は、7.53±0.2、9.60±0.2、10.22±0.2、11.29±0.2、11.66±0.2、12.26±0.2、12.62±0.2、13.17±0.2、14.06±0.2、14.85±0.2、15.15±0.2、15.57±0.2、16.99±0.2、17.68±0.2、18.30±0.2、18.39±0.2、18.63±0.2、18.97±0.2、19.32±0.2及び20.20±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。さらに一層好ましくは、結晶性形態は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0053】
さらに一層好ましくは、結晶性形態は、7.53±0.2、12.26±0.2、14.06±0.2、14.85±0.2及び15.57±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0054】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図5に示されている又は表1に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0055】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、約130℃〜約140℃、より好ましくは約132℃〜約138℃、さらに一層好ましくは約135℃〜約138℃、またさらに好ましくは約136℃〜約138℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0056】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図6に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0057】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、a=15.19±2Å、b=18.34±2Å、c=8.65±2Å及び[ベータ]=95.53±2°の単位格子寸法を持つ単斜晶P21/c空間群である。
【0058】
本発明のさらなる態様は、遊離塩基形態の非晶質化合物(I)をメチルt−ブチルエーテル(MTBE,methyl t-butyl ether)から結晶化させるステップを含む、結晶性形態の遊離塩基化合物(I)を調製するプロセスに関する。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、遊離塩基の結晶性形態は、過飽和溶液から取得される。
【0060】
好ましくは、プロセスは、化合物(I)をMTBE中で加熱還流するステップと、混合物を室温に冷却させるステップと、そのようにして形成された固体を濾過するステップと、該固体をMTBEで洗浄するステップと、真空下で乾燥させるステップとを含む。より好ましくは、還流させた後、室温に冷却させる前に、反応混合物を還流未満の温度(例えば、45〜50℃)で1〜3時間保つ。
【0061】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0062】
結晶性クエン酸塩(形態F)
本発明の1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、化合物(I)のクエン酸塩である。
【0063】
好ましくは、結晶性形態は、5.14±0.2、7.73±0.2、10.24±0.2、12.70±0.2、13.06±0.2、14.42±0.2、15.30±0.2、15.98±0.2、16.74±0.2、17.24±0.2、18.05±0.2、19.04±0.2、20.23±0.2、21.04±0.2、22.45±0.2、22.75±0.2、24.01±0.2、25.43±0.2、26.51±0.2、27.48±0.2、28.77±0.2及び29.71±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態F]。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。さらに一層好ましくは、結晶性形態は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0064】
より好ましくは、結晶性形態は、17.24±0.2、18.05±0.2、19.04±0.2、22.45±0.2、22.75±0.2、24.01±0.2及び25.43±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする[形態F。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。さらに一層好ましくは、結晶性形態は、6又は7の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0065】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図7に示されている又は表3に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0066】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、約145℃〜約155℃及び約165℃〜約200℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、約146℃〜約152℃、より好ましくは約147℃〜約151℃の温度での第一の最大吸熱ピーク、及び約170℃〜約195℃、より好ましくは約175℃〜約190℃の温度でのより広い第二の最大吸熱ピークを特徴とする。
【0067】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図8に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0068】
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)のクエン酸塩の結晶性形態は、過飽和溶液から取得される。
【0069】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、クエン酸塩を酢酸エチルから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のクエン酸塩を調製する方法に関する。
【0070】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、クエン酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性クエン酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のクエン酸塩を調製する方法に関する。
【0071】
好ましくは、プロセスは、酢酸エチル中の化合物(I)及びクエン酸の混合物を、周囲温度で撹拌するステップと、該混合物を加熱/冷却サイクル(60℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供するステップと、そのようにして形成された固体を濾過するステップと、該固体を酢酸エチルで洗浄するステップと、真空下で乾燥させるステップとを含む。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0072】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0073】
結晶性リン酸塩(形態B及びC)
本発明の1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、リン酸塩である。
【0074】
出願人による研究は、結晶性リン酸塩が、結晶化に使用される溶媒に応じて少なくとも2つの異なる形態で存在することを示した。そして、これらの2つの異なる形態のそれぞれは、水和及び無水形態で存在し、それにより、少なくとも4つの異なる結晶性形態を生じさせる。周囲温度及び湿度において、2つの形態は形態B及びCと指定される。
【0075】
1つの好ましい実施形態において、リン酸塩は、プロパン−2−オールから結晶化される(形態B)。
【0076】
別の好ましい実施形態において、リン酸塩は、エタノールから結晶化される(形態C)。
【0077】
結晶性リン酸塩−プロパン−2−オール調製(形態B)
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、6.46±0.2、8.88±0.2、9.67±0.2、10.47±0.2、12.78±0.2、15.33±0.2、16.12±0.2、16.82±0.2、18.13±0.2、19.38±0.2、19.95±0.2、20.97±0.2、24.11±0.2、24.83±0.2、26.54±0.2及び28.11±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態B]。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、7、8、9、10、11、12、13、14又は15以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0078】
好ましくは、結晶性形態は、6.46±0.2、16.12±0.2、18.13±0.2、19.38±0.2、19.95±0.2、20.97±0.2、24.11±0.2及び24.83±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする[形態B]。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、6、7又は8の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0079】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図11に示されている又は表6に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0080】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、約65℃〜約90℃及び約114℃〜約130℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。好ましくは、結晶性形態は、約70℃〜約88℃、より好ましくは約75℃〜約85℃の温度での第一の最大吸熱ピークを特徴とする。好ましくは、結晶性形態は、約118℃〜約125℃、より好ましくは約120℃〜約125℃の温度での第二の最大吸熱ピークを特徴とする。
【0081】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図12に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0082】
本発明は、無水及び水和形態の結晶性リン酸塩を包括する。
【0083】
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)のリン酸塩の結晶性形態は、沈殿によって取得される。
【0084】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、リン酸塩をプロパン−2−オールの溶液から結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のリン酸塩を調製する方法に関する。
【0085】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、プロパン−2−オール、及び水中のリン酸の溶液を含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性リン酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、化合物(I)の結晶性リン酸塩を調製する方法に関する。
【0086】
好ましくは、プロセスは、冷水浴中、室温のプロパン−2−オール中の化合物(I)の撹拌溶液に、水中のリン酸の溶液を添加するステップを含む。より好ましくは、プロセスは、混合物にプロパン−2−オールをさらに添加し、少なくとも1時間撹拌した後、そのようにして形成された固体を濾過するステップと、該固体をプロパン−2−オールで洗浄するステップと、真空下で乾燥させるステップとを含む。好ましくは、固体は真空濾過によって単離される。
【0087】
好ましくは、水中のリン酸の溶液は、85%溶液(w/w)である。
【0088】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0089】
結晶性リン酸塩−エタノール調製(形態C)
別の好ましい実施形態において、結晶性形態は、6.49±0.2、8.91±0.2、9.75±0.2、10.52±0.2、13.03±0.2、15.44±0.2、16.27±0.2、17.85±0.2、18.29±0.2、19.52±0.2、20.02±0.2、21.11±0.2、22.80±0.2、24.92±0.2、28.33±0.2及び29.41±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態C]。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、7、8、9、10、11、12、13、14又は15以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0090】
好ましくは、結晶性形態は、6.49±0.2、16.27±0.2、18.29±0.2、19.52±0.2、20.02±0.2、21.11±0.2、22.80±0.2、24.92±0.2及び29.41±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする[形態C]。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、6、7、8又は9の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0091】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図13に示されている又は表5に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0092】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、約66℃〜約90℃及び約120℃〜約135℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。好ましくは、結晶性形態は、約70℃〜約88℃、より好ましくは約80℃〜約87℃の温度での第一の最大吸熱ピークを特徴とする。好ましくは、結晶性形態は、約125℃〜約135℃、より好ましくは約130℃〜約135℃の温度での第二の最大吸熱ピークを特徴とする。
【0093】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図14に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0094】
本発明は、無水及び水和形態の結晶性リン酸塩を包括する。
【0095】
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)のリン酸塩の結晶性形態は、沈殿によって取得される。
【0096】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、リン酸塩をエタノールから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のリン酸塩を調製する方法に関する。
【0097】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、エタノール、及び水中のリン酸の溶液を含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性リン酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、化合物(I)の結晶性リン酸塩を調製する方法に関する。
【0098】
好ましくは、プロセスは、冷水浴中、室温のエタノール中の化合物(I)の撹拌溶液に、水中のリン酸の溶液を添加するステップを含む。より好ましくは、プロセスは、混合物を室温で少なくとも2時間さらに撹拌した後、そのようにして形成された固体を濾過するステップと、該固体をエタノールで洗浄するステップと、真空下で乾燥させるステップとを含む。好ましくは、固体は真空濾過によって単離される。好ましくは、固体を、真空オーブン内、例えば少なくとも40℃の温度で少なくとも12時間、より好ましくは24時間乾燥させる。
【0099】
好ましくは、水中のリン酸の溶液は、85%溶液(w/w)である。
【0100】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0101】
結晶性L−酒石酸塩
本発明の1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、酒石酸塩、より好ましくはL−酒石酸塩である。出願人による研究は、酒石酸塩が、以後、形態D及び形態Eと指定される少なくとも2つの異なる形態で存在することを明らかにした。
【0102】
L−酒石酸塩(形態D)
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、3.82±0.2、7.57±0.2、8.12±0.2、10.53±0.2、11.39±0.2、12.00±0.2、13.54±0.2、15.15±0.2、16.35±0.2、16.88±0.2、17.37±0.2、18.51±0.2、18.98±0.2、19.77±0.2、21.06±0.2、22.70±0.2、23.47±0.2、24.66±0.2及び28.73±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態D]。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0103】
好ましくは、結晶性形態は、3.82±0.2、7.57±0.2、15.15±0.2、16.88±0.2、19.77±0.2、22.70±0.2、23.47±0.2、24.66±0.2及び28.73±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする[形態D]。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、6、7、8又は9の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0104】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図3に示されている又は表2に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0105】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、約145℃〜約154℃、より好ましくは約148℃〜約153℃、さらに一層好ましくは約150℃〜約152℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0106】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図4に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0107】
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の酒石酸塩の結晶性形態は、沈殿によって取得される。
【0108】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、L−酒石酸塩を酢酸エチルの溶液から結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0109】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−酒石酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を該反応混合物から単離するステップと
を含む、化合物(I)のL−酒石酸塩の結晶性形態を調製する方法に関する。
【0110】
好ましくは、プロセスは、L−酒石酸、化合物(I)及び酢酸エチルの混合物を、周囲条件下で少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間撹拌し、そのようにして形成された沈殿物を単離するステップと、酢酸エチルで洗浄するステップと、真空オーブン内で乾燥させるステップとを含む。好ましくは、沈殿物は真空濾過によって単離される。好ましくは、沈殿物を、少なくとも40℃の温度で少なくとも12時間、より好ましくは24時間乾燥させる。
【0111】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0112】
L−酒石酸塩(形態E)
本発明の1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、6.67±0.2、8.237±0.2、9.777±0.2、11.96±0.2、12.38±0.2、13.06±0.2、13.38±0.2、13.94±0.2、14.90±0.2、15.40±0.2、15.95±0.2、16.27±0.2、16.54±0.2、17.36±0.2、17.57±0.2、17.86±0.2、19.64±0.2、19.86±0.2、20.12±0.2、20.73±0.2、21.14±0.2、21.58±0.2、22.57±0.2、22.95±0.2、23.29±0.2、23.57±0.2、24.07±0.2、24.63±0.2、25.30±0.2、26.38±0.2、27.09±0.2、27.67±0.2、27.97±0.2、28.91±0.2、29.28±0.2、30.08±0.2、30.41±0.2、31.90±0.2及び34.49±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする(形態E)。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、7、8、9、10…38以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0113】
好ましくは、結晶性形態は、6.67±0.2、13.06±0.2、13.38±0.2、14.90±0.2、17.36±0.2、17.57±0.2、19.64±0.2、20.73±0.2、23.57±0.2及び25.30±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする(形態E)。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、6、7、8、9又は10の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0114】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図1に示されている又は表7に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0115】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、約176℃〜約185℃、より好ましくは約178℃〜約184℃、さらに一層好ましくは約180℃〜約183℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0116】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図2に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0117】
1つの好ましい実施形態において、形態EのL−酒石酸塩は、化合物(I)の形態DのL−酒石酸塩を、エタノール及びアセトニトリルの混合物から再結晶させることによって取得される。
【0118】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、L−酒石酸塩(形態D)を、エタノール及びアセトニトリルの混合物から結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のL−酒石酸塩(形態E)を調製する方法に関する。好ましくは、L−酒石酸塩(形態E)は、エタノール及びアセトニトリルの混合物から再結晶される。
【0119】
故に、本発明の一態様は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−酒石酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を該反応混合物から単離するステップと、
(iii)ステップ(ii)において取得された結晶性L−酒石酸塩(形態D)を、エタノール及びアセトニトリルの混合物から再結晶させるステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0120】
好ましくは、ステップ(iii)は、ステップ(ii)において取得された結晶性L−酒石酸塩(形態D)のエタノール中の懸濁液を形成し、少なくとも60℃に加熱するステップと、アセトニトリルを混合物に添加するステップと、混合物を加熱還流して溶液を形成するステップとを含む。好ましくは、次いで溶液を熱濾過し、より好ましくは毎時約5〜10℃の速度で、室温に冷却させる。好ましくは、次いで、得られた懸濁液を室温で少なくとも12時間撹拌した後、固体を濾過除去し、エタノールで洗浄し、乾燥させる。好ましくは、固体を、真空オーブン内、少なくとも50℃の温度で少なくとも12時間、より好ましくは24時間乾燥させる。このプロセスを、以後「非播種」プロセスと称する。
【0121】
好ましくは、エタノール対アセトニトリルの比は、約3:1〜約10:1である。より好ましくは、エタノール対アセトニトリルの比は、4:1又は6:1である。さらに一層好ましくは、エタノール対アセトニトリルの比は、4:1、5:1又は6:1である。
【0122】
別の実施形態において、形態EのL−酒石酸塩は、化合物(I)の形態DのL−酒石酸塩及び化合物(I)の形態EのL−酒石酸塩の混合物のスラリー変換から調製される。
【0123】
故に、本発明の別の態様は、
(i)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を上記したプロセスによって調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を上記したプロセスによって調製するステップと、
(iii)L−酒石酸塩(形態D)及びL−酒石酸塩(形態E)のスラリーを、酢酸エチル、プロパン−2−オール、IMS及びアセトニトリルから選択される溶媒中で形成するステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を該スラリーから単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0124】
1つの好ましい実施形態において、ステップ(iii)におけるスラリーは、50〜99重量%のL−酒石酸塩(形態D)及び1〜50重量%のL−酒石酸塩(形態E)の混合物である。より好ましくは、ステップ(iii)におけるスラリーは、L−酒石酸塩(形態D)及びL−酒石酸塩(形態E)の50:50混合物である。
【0125】
好ましくは、スラリーを、少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも45℃の温度で少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間加熱した後、固体を濾過によって単離し、洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0126】
1つの好ましい実施形態において、形態EのL−酒石酸塩は、形態DのL−酒石酸塩を、形態EのL−酒石酸塩の1又は2以上の結晶とともに播種することにより、エタノール及びアセトニトリルの混合物から再結晶させることによって取得される。
【0127】
故に、一態様は、形態DのL−酒石酸塩を、好ましくは形態EのL−酒石酸塩の1又は2以上の結晶を使用して播種することで、エタノール及びアセトニトリルの混合物から再結晶させるステップを含む、形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0128】
故に、より好ましくは、本発明は、
(i)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を上記したプロセスによって調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を上記したプロセスによって調製するステップと、
(iii)ステップ(i)において取得された結晶性L−酒石酸塩(形態D)を、エタノール及びアセトニトリルの混合物に溶解し、結晶性L−酒石酸塩(形態E)とともに播種するステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0129】
このプロセスを、以後「播種」プロセスと称する。この態様の好ましい実施形態は、「非播種」プロセスについて上記で説明したものと同一である。
【0130】
本発明のまた別の態様は、
(i)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を上記したプロセスによって調製するステップと、
(ii)遊離塩基形態の化合物(I)、L−酒石酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(iii)ステップ(ii)において取得された混合物を、結晶性L−酒石酸塩(形態E)とともに播種するステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0131】
故に、一態様は、形態EのL−酒石酸塩を、好ましくは形態EのL−酒石酸塩の1又は2以上の結晶とともに播種することで、酢酸エチルの溶液から結晶化させるステップを含む、形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0132】
1つの好ましい実施形態において、形態EのL−酒石酸塩は、遊離塩基形態の化合物(I)から調製される。好ましくは、形態EのL−酒石酸塩は、遊離塩基形態の化合物(I)を、水/エタノール中の酒石酸の溶液で処理し、得られた混合物を、本明細書において記述されている方法のいずれかによって取得された形態EのL−酒石酸塩の結晶とともに播種することによって取得される。
【0133】
故に、本発明の1つの特に好ましい実施形態は、
(i)遊離塩基化合物(I)を含む反応混合物をエタノール中で調製するステップと、
(ii)水/エタノール中の酒石酸の溶液を、ステップ(i)において取得された反応混合物に添加するステップと、
(ii)ステップ(ii)において形成された反応混合物を濾過するステップと、
(iii)濾液を、上述の方法の1つに従って調製された結晶性L−酒石酸塩(形態E)ともに播種するステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の形態EのL−酒石酸塩を調製する方法に関する。
【0134】
好ましくは、この実施形態について、ステップ(i)において形成された反応混合物を加熱還流する。好ましくは、温度を還流に維持しながら、水/エタノール中の酒石酸の溶液を添加する。好ましくは、ステップ(ii)は、反応混合物を研磨濾過した後、約70℃に冷却するステップを含む。好ましくは、種晶の添加後、室温に冷却させる前に、混合物を少なくとも70℃の温度で少なくとも1時間撹拌する。好ましくは、次いで混合物を少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間撹拌した後で、濾過する。好ましくは、濾過ステップにおいて取得された生成物をエタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0135】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0136】
結晶性ベンゼンスルホン酸塩(形態G)
本発明の1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、ベンゼンスルホン酸塩である。
【0137】
好ましくは、結晶性形態は、5.72±0.2、11.45±0.2、11.79±0.2、15.56±0.2、16.57±0.2、18.04±0.2、19.14±0.2、20.02±0.2、21.05±0.2、22.80±0.2、23.16±0.2、24.44±0.2、25.40±0.2及び28.74±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態G]。より好ましくは、結晶性形態は、3以上、4以上、5以上、又は6以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、7、8、9、10、11、12又は13以上の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0138】
より好ましくは、結晶性形態は、15.56±0.2、16.57±0.2、18.04±0.2、20.02±0.2、21.05±0.2、22.80±0.2、23.16±0.2及び24.44±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含むx線粉末回折パターンを特徴とする[形態G]。より好ましくは、結晶性形態は、3、4又は5の前述の回折ピークを有することを特徴とする。より好ましくは、結晶性形態は、6、7、8、9、10、11、12、13又は14の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0139】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、ピーク位置が図9に示されている又は表4に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0140】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、約145℃〜約155℃、より好ましくは約146℃〜約154℃、さらに一層好ましくは約147℃〜約154℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0141】
1つの非常に好ましい実施形態において、結晶性形態は、図10に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0142】
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩の結晶性形態は、過飽和溶液から取得される。
【0143】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、ベンゼンスルホン酸塩をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)の溶液から結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩を調製する方法に関する。
【0144】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、ベンゼンスルホン酸及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)を含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性ベンゼンスルホン酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩を調製する方法に関する。
【0145】
好ましくは、プロセスは、MTBE中の化合物(I)及びベンゼンスルホン酸の混合物を、周囲温度で少なくとも24時間撹拌するステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を、加熱/冷却サイクル(60℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供し、そのようにして形成された固体を濾過し、該固体をMTBEで洗浄し、真空下で乾燥させる。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0146】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0147】
結晶性塩酸塩(形態H)
本発明の1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、塩酸塩である。
【0148】
好ましくは、結晶性形態は、5.6±0.2、8.6±0.2、9.5±0.2、10.9±0.2、11.2±0.2、12.7±0.2、13.0±0.2、14.3±0.2、16.0±0.2、17.3±0.2、17.7±0.2、18.8±0.2、19.1±0.2、20.3±0.2、20.7±0.2、22.9±0.2、23.6±0.2、24.5±0.2、25.0±0.2、25.5±0.2、25.8±0.2、26.4±0.2及び29.1±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態H]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4…22又は23の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0149】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図19に示されている又は表8に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0150】
好ましくは、結晶性形態は、約51℃、約84℃、約97℃及び約144℃で開始する温度で吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0151】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、塩酸塩(形態H)をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)から結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)の塩酸塩(形態H)を調製する方法に関する。
【0152】
本発明のさらなる態様は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、塩酸及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)を含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性塩酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の塩酸塩を調製する方法に関する。
【0153】
好ましくは、プロセスは、MTBE中の化合物(I)及び塩酸の混合物を、周囲温度でかき混ぜるステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を、加熱/冷却サイクル(40℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供し、そのようにして形成された固体を濾過し、該固体をMTBEで洗浄し、真空下で乾燥させる。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0154】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0155】
結晶性塩酸塩(形態I)
別の好ましい実施形態において、塩酸塩の結晶性形態は、4.9±0.2、6.4±0.2、7.5±0.2、12.1±0.2、14.4±0.2、19.8±0.2、21.5±0.2、23.4±0.2及び25.7±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態I]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7、8又は9の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0156】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図20に示されている又は表9に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0157】
好ましくは、結晶性形態は、約98℃及び約130℃を開始温度とする吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0158】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、塩酸塩(形態I)を酢酸エチルから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)の塩酸塩(形態I)を調製する方法に関する。
【0159】
本発明のさらなる態様は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、塩酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性塩酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の塩酸塩を調製する方法に関する。
【0160】
好ましくは、プロセスは、酢酸エチル中の化合物(I)及び塩酸の混合物を、周囲温度でかき混ぜるステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を、加熱/冷却サイクル(40℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供する。好ましくは、そのようにして形成された固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させる。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0161】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0162】
結晶性臭化水素酸塩(形態J)
本発明の1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、臭化水素酸塩である。
【0163】
好ましくは、結晶性形態は、6.4±0.2、7.2±0.2、12.0±0.2、14.4±0.2、17.1±0.2、19.6±0.2、21.4±0.2及び25.5±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態J]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7又は8の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0164】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図21に示されている又は表10に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0165】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、約138℃の温度で開始する最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0166】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、臭化水素酸(形態J)塩を酢酸エチルから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)の臭化水素酸塩(形態J)を調製する方法に関する。
【0167】
本発明のさらなる態様は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、臭化水素酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性臭化水素酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の臭化水素酸塩を調製する方法に関する。
【0168】
好ましくは、プロセスは、酢酸エチル中の化合物(I)及び臭化水素酸の混合物を、周囲温度でかき混ぜるステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を、加熱/冷却サイクル(40℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供する。好ましくは、そのようにして形成された固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させる。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0169】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0170】
結晶性臭化水素酸塩(形態K)
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、約51℃及び90℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0171】
好ましくは、結晶性形態は、5.7±0.2、16.4±0.2、17.7±0.2、18.4±0.2、19.6±0.2、20.5±0.2、24.1±0.2、25.3±0.2、26.0±0.2及び28.1±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態K]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0172】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図28に示されている又は表17に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0173】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図29と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0174】
本発明のさらなる態様は、形態Jの臭化水素酸塩を、少なくとも75%の相対湿度で少なくとも40℃の温度に7日間供するステップを含む、結晶性形態の化合物(I)の臭化水素酸塩(形態K)を調製する方法に関する。
【0175】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、臭化水素酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性臭化水素酸塩(形態J)を該反応混合物から単離するステップと、
(iii)ステップ(ii)からの結晶性臭化水素酸塩(形態J)を、40℃/75%RHで保存して、結晶性臭化水素酸塩(形態K)を形成するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)の臭化水素酸塩(形態K)を調製する方法に関する。
【0176】
好ましくは、ステップ(iii)は、結晶性臭化水素酸塩(形態J)を、長期間にわたって、より好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間、さらに一層好ましくは少なくとも7日間保存するステップを含む。次いで、結晶性生成物を濾過し、洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0177】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0178】
結晶性メシル酸塩(形態L)
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、メシル酸塩である。
【0179】
好ましくは、結晶性形態は、6.3±0.2、7.9±0.2、12.5±0.2、13.4±0.2、14.6±0.2、15.9±0.2、16.5±0.2、17.5±0.2、18.1±0.2、18.7±0.2、19.3±0.2、20.0±0.2、20.6±0.2、20.9±0.2、21.7±0.2、22.6±0.2、23.8±0.2、24.5±0.2、25.1±0.2、25.5±0.2、26.1±0.2、27.5±0.2、29.1±0.2、29.7±0.2及び30.3±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態L]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5……25の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0180】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図22に示されている又は表11に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0181】
好ましくは、結晶性形態は、約126℃を開始温度とする最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0182】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図30と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0183】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、メシル酸塩をTBMEから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のメシル酸塩を調製する方法に関する。
【0184】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、メタンスルホン酸及びTBMEを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性メシル酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のメシル酸塩を調製する方法に関する。
【0185】
好ましくは、プロセスは、TBME中の化合物(I)及びメタンスルホン酸の混合物を、周囲温度で少なくとも12時間、より好ましくは少なくとも16時間、又は少なくとも24時間かき混ぜるステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を少なくとも40℃に加熱し、少なくとも1時間撹拌した後、室温に冷却し、少なくとも12時間撹拌する。好ましくは、THFを混合物に添加し、撹拌を少なくともさらに2時間続ける。好ましくは、次いで、混合物を、加熱/冷却サイクル(40℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供する。好ましくは、TBMEを混合物に添加し、得られた固体を濾過し、TBMEで洗浄し、真空下で乾燥させる。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0186】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0187】
結晶性マレイン酸塩(形態M)
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、マレイン酸塩である。
【0188】
好ましくは、結晶性形態は、3.8±0.2、7.6±0.2、8.5±0.2、10.8±0.2、11.4±0.2、12.2±0.2、15.2±0.2、15.8±0.2、17.0±0.2、18.0±0.2、18.8±0.2、19.4±0.2、20.3±0.2、21.6±0.2、22.6±0.2、23.6±0.2、24.3±0.2、24.8±0.2、26.0±0.2、27.2±0.2、27.9±0.2、28.2±0.2、28.8±0.2、29.9±0.2、30.2±0.2、31.7±0.2、32.7±0.2及び33.2±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態M]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6…又は28の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0189】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図23に示されている又は表12に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0190】
好ましくは、結晶性形態は、約116℃の開始温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0191】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図31と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0192】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、マレイン酸塩をTBMEから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のマレイン酸塩を調製する方法に関する。
【0193】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、マレイン酸及びTBMEを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性マレイン酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のマレイン酸塩を調製する方法に関する。
【0194】
好ましくは、プロセスは、TBME中の化合物(I)及びマレイン酸の混合物を、周囲温度で少なくとも12時間、より好ましくは少なくとも16時間かき混ぜるステップを含む。好ましくは、そのようにして形成された固体を濾過し、TBMEで洗浄し、真空下で乾燥させる。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。
【0195】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0196】
結晶性ゲンチシン酸塩(形態O)
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、ゲンチシン酸塩である。
【0197】
好ましくは、結晶性形態は、6.32±0.2、12.16±0.2、12.45±0.2、13.13±0.2、14.41±0.2、14.83±0.2、16.37±0.2、17.12±0.2、18.79±0.2、19.49±0.2、20.42±0.2、23.37±0.2及び23.77±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態O]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0198】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図24に示されている又は表13に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0199】
好ましくは、結晶性形態は、約92℃の温度で開始する最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0200】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図32と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0201】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、ゲンチシン酸塩をアセトニトリルから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のゲンチシン酸塩を調製する方法に関する。
【0202】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、ゲンチシン酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)化合物(I)のゲンチシン酸塩を該反応混合物から単離するステップと、
(iii)ステップ(ii)において形成されたゲンチシン酸塩をアセトニトリルから結晶化させるステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のゲンチシン酸塩(形態O)を調製する方法に関する。
【0203】
好ましくは、プロセスは、酢酸エチル中の化合物(I)及びゲンチシン酸の混合物を、周囲温度でかき混ぜるステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を、加熱/冷却サイクル(40℃/室温、4時間)に少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間供する。より好ましくは、加熱/冷却サイクルの間、混合物を振とう機内に保存する。好ましくは、次いで、混合物を、約5℃に少なくとも24時間、その後、約−18℃に少なくとも24時間冷却する。好ましくは、ステップ(ii)において形成されたゲンチシン酸塩を真空下で乾燥させ、次いでアセトニトリルから結晶化させる。より好ましくは、ステップ(ii)において形成されたゲンチシン酸塩にアセトニトリルを添加し、約26℃で少なくとも6時間、混合物を振とう機内に保存する。好ましくは、次いで、混合物を、5℃に少なくとも12又は16時間冷却し、その後、−18℃に少なくとも24時間冷却する。好ましくは、式(I)の結晶性ゲンチシン酸塩は、アセトニトリルの低速蒸発によって取得される。
【0204】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0205】
結晶性フマル酸塩(形態P)
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、フマル酸塩である。
【0206】
好ましくは、結晶性形態は、3.8±0.2、7.7±0.2、8.1±0.2、8.8±0.2、10.2±0.2、11.3±0.2、13.1±0.2、15.2±0.2、15.5±0.2、16.5±0.2、17.7±0.2、19.1±0.2、19.6±0.2、20.0±0.2、20.9±0.2、21.5±0.2、21.9±0.2、22.7±0.2、23.2±0.2、23.8±0.2、24.1±0.2、25.0±0.2、25.3±0.2、26.7±0.2、27.9±0.2及び28.9±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態P]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7…又は26の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0207】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図25に示されている又は表14に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0208】
好ましくは、結晶性形態は、約140℃の温度で開始する最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0209】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図33と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0210】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、フマル酸塩を酢酸エチルから結晶化されるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のフマル酸塩を調製する方法に関する。
【0211】
本発明のさらなる態様は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、フマル酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性フマル酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のフマル酸塩を調製する方法に関する。
【0212】
好ましくは、プロセスは、酢酸エチル中の化合物(I)及びフマル酸の混合物を周囲温度でかき混ぜるステップと、少なくとも12時間、より好ましくは少なくとも16時間かき混ぜるステップとを含む。好ましくは、そのようにして形成された固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0213】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0214】
結晶性L−リンゴ酸塩(形態Q)
1つの好ましい実施形態において、化合物(I)の結晶性形態は、L−リンゴ酸塩である。
【0215】
好ましくは、結晶性形態は、6.7±0.2、8.6±0.2、9.3±0.2、11.0±0.2、12.7±0.2、13.6±0.2、14.1±0.2、15.1±0.2、15.8±0.2、16.5±0.2、17.8±0.2、18.7±0.2、19.5±0.2、19.8±0.2、21.2±0.2、22.5±0.2、23.5±0.2、24.9±0.2及び25.7±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態Q]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7…又は19の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0216】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図26に示されている又は表15に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0217】
好ましくは、結晶性形態は、約81℃の温度で開始する最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0218】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図34と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0219】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、L−リンゴ酸塩を酢酸エチルから結晶化させるステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のL−リンゴ酸塩を調製する方法に関する。
【0220】
本発明のさらなる態様は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−リンゴ酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−リンゴ酸塩を該反応混合物から単離するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のL−リンゴ酸塩を調製する方法に関する。
【0221】
好ましくは、酢酸エチル中の化合物(I)及びL−リンゴ酸の混合物を、周囲温度で少なくとも24時間かき混ぜるステップを含む。好ましくは、次いで、混合物を約40℃の温度に加熱し、少なくとも1時間撹拌した後、室温に冷却し、少なくとも12時間撹拌する。好ましくは、次いで、混合物を約5℃に少なくとも72時間冷却した後、約−18℃に少なくとも30時間冷却する。好ましくは、混合物を室温で1時間撹拌した後、そのようにして形成された固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0222】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0223】
結晶性L−リンゴ酸塩(形態R)
別の好ましい実施形態において、結晶性形態は、6.77±0.2、9.85±0.2、12.19±0.2、13.36±0.2、13.59±0.2、14.15±0.2、15.88±0.2、16.44±0.2、17.33±0.2、17.75±0.2、19.73±0.2、20.11±0.2、20.50±0.2、20.84±0.2、21.30±0.2、22.23±0.2、23.27±0.2、23.83±0.2、24.19±0.2、24.61±0.2、25.18±0.2、25.67±0.2、26.03±0.2、26.31±0.2、26.91±0.2、27.78±0.2、28.76±0.2、31.11±0.2、32.35±0.2及び33.24±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする[形態R]。より好ましくは、結晶性形態は、1、2、3、4、5、6、7……又は30の前述の回折ピークを有することを特徴とする。
【0224】
好ましくは、結晶性形態は、ピーク位置が図27に示されている又は表16に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする。
【0225】
好ましくは、結晶性形態は、約104℃の温度で開始する最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする。
【0226】
1つの好ましい実施形態において、結晶性形態は、図35と実質的に一致するDSC/TGAトレースを特徴とする。
【0227】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、L−リンゴ酸塩(形態Q)を、少なくとも40℃の温度及び少なくとも75%の相対湿度に7日間供するステップを含む、結晶性形態の化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態R)を調製する方法に関する。
【0228】
より好ましくは、本発明は、
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−リンゴ酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−リンゴ酸塩(形態Q)を該反応混合物から単離するステップと、
(iii)ステップ(ii)からの結晶性L−リンゴ酸塩(形態Q)を、40℃/75%RHで保存して、結晶性L−リンゴ酸塩(形態R)を形成するステップと
を含む、結晶性形態の化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態R)を調製する方法に関する。
【0229】
好ましくは、ステップ(iii)は、結晶性臭化水素酸塩(形態J)を、長期間にわたって、より好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは48時間、さらに一層好ましくは72時間、より好ましくは少なくとも7日間保存するステップを含む。次いで、結晶性生成物を濾過し、洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0230】
本発明の別の態様は、上記のプロセスによって取得可能な、又はそれによって取得される生成物に関する。
【0231】
治療的使用
化合物(I)は、増殖、転写及び細胞骨格構築を調節するサイクリン依存性キナーゼに対して強力な阻害活性を呈することを示しており、したがって、増殖性障害(がん及び脱毛症等)、免疫介在性及び炎症性障害(移植片対宿主病(GvHD,graft-versus-host disease)、移植片拒絶反応及び乾癬等)、自己免疫性及び自己免疫介在性障害(橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、I型糖尿病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、薬剤誘発性エリテマトーデス、多発性硬化症(scleroris)、重症筋無力症、ライター症候群及びグレーブス(Grave's)病、尋常性天疱瘡等)、腎臓障害(糸球体腎炎及び多発性嚢胞腎等)、心血管障害(再狭窄及び心筋症等)、眼科障害(緑内障、滲出性加齢黄斑変性及び増殖性糖尿病網膜症等)、神経変性障害(アルツハイマー病及び脳卒中等)、精神障害(双極性疾患等)、ウイルス性障害(ヒトサイトメガロウイルス(HCMV,human cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1,herpes simplex virus type 1)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1,human immunodeficiency virus type 1)及び水痘帯状疱疹ウイルス(VZV,varicella zoster virus)等、代謝障害(II型糖尿病、糖尿病性神経障害)、並びに呼吸器障害(特発性肺線維症、嚢胞性線維症及び慢性閉塞性肺障害)の治療に役立つと考えられている。
【0232】
故に、本発明の一態様は、医療において使用するための、上記した通りの結晶性形態に関する。
【0233】
本発明のまた別の態様は、増殖性障害の予防又は治療において使用するための、上記した通りの結晶性形態に関する。
【0234】
本発明の別の態様は、増殖性障害の予防又は治療用薬剤の調製における、上記した通りの結晶性形態の使用に関する。
【0235】
本発明の別の態様は、薬理学的に有効な量の上記した通りの結晶性形態を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、増殖性障害の予防又は治療のための方法に関する。好ましくは、該対象は、温血動物、またさらに好ましくはヒトである。
【0236】
本明細書において使用される場合、句「薬剤の調製」は、さらなる抗増殖剤のためのスクリーニングプログラムにおける、又はそのような薬剤の製造の任意の段階におけるそれらの使用に加えて、直接的に薬剤としての上記した形態の1又は2以上の使用を包含する。
【0237】
本明細書において定義される通り、本発明の範囲内の抗増殖効果は、インビトロ全細胞アッセイにおいて細胞増殖を阻害する能力によって実証され得る。そのようなアッセイを使用して、ある化合物が本発明の文脈において抗増殖性であるかどうかが決定され得る。
【0238】
1つの好ましい実施形態は、増殖性障害の治療における、本発明の1又は2以上の化合物の使用に関する。好ましくは、増殖性障害は、がん又は白血病である。増殖性障害という用語は、本明細書において、細胞周期の制御を必要とする任意の障害、例えば、再狭窄及び心筋症等の心血管障害、多発性嚢胞腎等の遺伝子性の増殖性疾患を包含するために広い意味で使用される。
【0239】
1つの好ましい実施形態において、増殖性障害は、固形腫瘍である。
【0240】
別の好ましい実施形態において、増殖性障害は、血液がんである。好ましくは、血液がんは、白血病、より好ましくは進行性白血病又は骨髄異形成症候群(MDS,myelodysplastic syndromes)である。他の例は、急性骨髄性白血病(AML,acute myelogenous leukaemia)、急性リンパ性白血病(ALL,acute lymphocytic leukaemia)又は慢性リンパ球性白血病(CLL,chronic lymphocytic leukaemia)を包含する。
【0241】
別の好ましい実施形態において、増殖性障害は、糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬及び慢性閉塞性肺障害から選択される。
【0242】
本発明の化合物は、種々の眼科障害の治療用薬剤の調製においても有用である。好ましくは、眼科障害は、緑内障、滲出性加齢黄斑変性(AMD,exudative age-related macular degeneration)又は増殖性糖尿病網膜症(PDR,proliferative diabetic retinopathy)である。
【0243】
医薬組成物
本発明の結晶性形態が、薬剤として、好ましくは増殖性障害の治療又は予防のための作用物質として使用される場合、該結晶性形態は、単独で、又は結晶性形態と適正な薬理学的に許容される賦形剤(複数可)及び/若しくは希釈剤(複数可)及び/若しくは担体(複数可)との混合物として投与され得る。
【0244】
したがって、本発明の別の態様は、上記した通りの結晶性形態と、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む、医薬組成物に関する。
【0245】
本発明による組成物は、経口、局所(例えば乾癬用)又は非経口投与のための、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、エアゾール剤、口内錠等の形態の単位剤形であってよい。
【0246】
医薬担体、賦形剤又は希釈剤の選択肢は、意図されている投与ルート及び標準的な医薬実務に関連して選択され得る。医薬組成物は、担体、賦形剤若しくは希釈剤として、又はそれらに加えて、任意の適切な結合剤(複数可)、滑沢剤(複数可)、懸濁化剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)を含み得る。医薬組成物は、ヒト及び獣医学におけるヒト又は動物用法のためのものであってよい。
【0247】
医薬組成物は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤、矯味剤、懸濁化剤、希釈剤及び溶媒等の添加物を使用することにより、公知の様式で調製され得る。
【0248】
本明細書において記述されている種々の異なる形態の医薬組成物のための、そのような適切な賦形剤の例は、"Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Wellerにおいて見ることができる。賦形剤の例は、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール又はソルビトール等の糖誘導体;コーンスターチ、バレイショデンプン、アルファデンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶性セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体;アカシア;デキストラン;プルラン;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等を包含する。
【0249】
治療的使用のための許容される担体又は希釈剤は、薬学分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)において記述されている。適切な担体の例は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトール等を包含する。適切な希釈剤の例は、エタノール、グリセロール及び水を包含する。
【0250】
崩壊剤の例は、以上で記述した賦形剤、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体、架橋ポリビニルピロリドン等を包含する。
【0251】
保存剤、安定剤、染料さらには香味剤が医薬組成物中に提供され得る。保存剤の例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを包含する。酸化防止剤及び懸濁化剤を使用してもよい。
【0252】
安定化剤の例は、メチルパラベン(methylparabene)、プロピルパラベン(propylparabene)等のパラ−ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチル(phenetyl)アルコール等のアルコール誘導体;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾール等のフェノール誘導体;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等を包含する。矯正薬の例は、甘味剤(sweetning)、酸味剤及び香味剤等を包含し、これらはすべて通常使用されるものである。
【0253】
溶媒の例は、水、エタノール、グリセリン等を包含する。
【0254】
適切な結合剤の例は、以上で記述した賦形剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等、デンプン、グルコース、無水ラクトース、フリーフローラクトース、ベータ−ラクトース、コーン甘味料等の天然糖、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム等の天然及び合成ガム、カルボキシメチルセルロース並びにポリエチレングリコールを包含する。
【0255】
滑沢剤の例は、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム等のステアリン酸金属塩誘導体;コロイド状シリカ;ビーガム;蜜ロウ又は鯨ロウ等のロウ;ホウ酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸誘導体;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム;硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸;軽質無水ケイ酸、ケイ酸水和物等のケイ酸誘導体;賦形剤として上記したデンプン誘導体;オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を包含する。
【0256】
投与
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、経膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、くも膜下腔内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、経鼻、口腔又は舌下投与ルートに適合され得る。
【0257】
経口投与では、特定の使用は、圧縮錠、丸剤、錠剤、ジェル剤、ドロップ剤及びカプセル剤で成り立っている。好ましくは、これらの組成物は、用量当たり1〜250mg、より好ましくは10〜100mgの活性成分を含有する。
【0258】
他の投与形態は、静脈内に、動脈内に、くも膜下腔内に、皮下に、皮内に、腹腔内に又は筋肉内に注射されてよく、且つ滅菌又は滅菌可能溶液から調製される、液剤又は乳剤を含む。本発明の医薬組成物は、坐剤、ペッサリー、懸濁剤、乳剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、スプレー剤、液剤又は撒布剤の形態であってもよい。
【0259】
経皮投与の代替手段は、皮膚パッチ剤の使用によるものである。例えば、活性成分は、ポリエチレングリコールの水性エマルション又は流動パラフィンからなるクリーム剤に組み込まれてよい。活性成分は、必要に応じて、白ロウ又は白色軟パラフィン基剤からなる軟膏剤に、1〜10重量%の濃度で、そのような安定剤及び保存剤と一緒に組み込まれてもよい。
【0260】
注射用形態は、用量当たり10〜1000mg、好ましくは10〜250mgの活性成分を含有し得る。
【0261】
組成物は、単位剤形で、すなわち、単位用量、又は単位用量の複数若しくはサブユニットを含有する不連続部分の形態で製剤化され得る。
【0262】
投薬量
化合物(I)の結晶性形態の用量は、患者の症状、体重及び年齢等の要因によって決まることになる。適切な投薬量レベルは、1日当たり0.1mg(好ましくは1mg)〜1日当たり100mg(好ましくは50mg)である。式(I)の化合物の結晶性形態は、いずれかの単一単位投薬量として投与され得、又は、所望ならば、患者の症状に応じて、1日を通して1〜数回で投与される好都合なサブユニットに投薬量を分割してよい。
【0263】
当業者であれば、対象に投与するための即席組成物の1つの適正な用量を、必要以上の実験をすることなく簡単に決定することができる。典型的には、医師が個々の患者に最も適切な実際の投薬量を決定することになり、これは、用いられる特定化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用長さ、年齢、体重、全般的健康、性別、食習慣、投与モード及び投与時期、排泄率、薬物組合せ、特定の状態の重症度、並びに療法を受けている個体を包含する様々な要因によって決まることになる。本明細書において開示されている投薬量は、平均的事例の例示である。当然ながら、より高い又は低い投薬量範囲がふさわしい個々の場合があってよく、それらは本発明の範囲内である。
【0264】
下記の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに記述する。
[実施例]
【0265】
機器及び方法論詳細
X線粉末回折(XRPD,X-Ray Powder Diffraction)
本明細書において参照されるすべてのXRPDパターンは、銅K−アルファ放射を使用して取得される。本明細書において使用される場合、添付の明細書、図又は表において記述される通りのXRPD値は、近似値を指す。表に収載されているXRPD値が参照される場合、これは、ピーク強度等、表に収載されている任意の他のパラメーターとは無関係に、2シータ値を指す。
【0266】
リン酸塩(形態B、C)、クエン酸塩(形態F)、ベンゼンスルホン酸塩(形態G)及びL−酒石酸塩(形態D)に対するXRPDは、後述する通りのBruker社製AXS C2 GADDS回折計を使用して行った。
【0267】
塩酸塩(形態H、I)、臭化水素酸塩(形態J、K)、メシル酸塩(形態L)、マレイン酸塩(形態M)、ゲンチシン酸塩(形態O)、フマル酸塩(形態P)及びL−リンゴ酸塩(形態Q、R)に対するXRPDは、後述する通りのBruker社製AXS D8 Advance回折計を使用して行った。遊離塩基(形態A)化合物(I)及びL−酒石酸塩(形態E)に対するXRPDは、後述する通りのPANalytical社製回折計を使用して行った。
【0268】
Bruker社製AXS C2 GADDS
X線粉末回折パターンは、Cu Kα放射(40kV、40mA)、自動XYZステージ、自動試料位置決め用レーザービデオ顕微鏡及びHiStar二次元面積検出器を使用し、Bruker社製AXS C2 GADDS回折計で収集した。X線光学は、0.3mmのピンホールコリメーターと連結された単一のゲーベル多層膜鏡からなる。ビーム広がり、すなわち試料に対して有効なX線ビームのサイズは、およそ4mmであった。3.2°〜29.7°の有効な2θ範囲を生じさせる20cmの試料検出器距離で、θ−θ連続スキャンモードを用いた。典型的には、試料はX線ビームに120秒間暴露されることになる。データ収集に使用したソフトウェアは、GADDS for WNT 4.1.16であり、Diffrac Plus EVA v 9.0.0.2又はv 13.0.0.2を使用してデータを分析及び提示した。
【0269】
Bruker社製AXS D8 Advance
X線粉末回折パターンは、Cu Kα放射(40kV、40mA)、θ−2θ角度計、並びにV4及び受光スリットの広がり、Geモノクロメーター及びLynxeye検出器を使用し、Bruker社製D8回折計で収集した。機器は、認定コランダム標準(NIST 1976)を使用して性能検査する。データ収集に使用したソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.5.0であり、Diffrac Plus EVA v 11.0.0.2又はv 13.0.0.2を使用してデータを分析及び提示した。別段の規定がない限り、この機器で収集されたXRPDパターンを使用して、XRPDピークリストを生成した。
【0270】
試料は、受け取ったままの粉末を使用し、平板検体として周囲条件下で実行した。およそ10mgの試料を、研磨したゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハーに切り込んだ空洞にゆるく詰めた。分析中、試料をその自平面内で回転させた。データ収集の詳細は次の通りである:
・角度範囲:2〜42°2θ
・刻み幅:0.05°2θ
・収集時間:0.5秒/目盛
【0271】
周囲条件
周囲条件下で実行する試料は、受け取ったままの粉末を粉砕することなく使用し、平板検体として調製した。およそ1〜2mgの試料をスライドガラスに軽く押しつけて、平面を取得した。
【0272】
非周囲条件
非周囲条件下で実行する試料を、熱伝導化合物とともにシリコンウエハーに載置した。次いで、試料を約10℃/minで適正な温度に加熱し、その後、約1分間等温的に保った後、データ収集を始めた。
【0273】
PANalytical社製X'Pert PRO
X線粉末回折パターンは、Cu Kα放射(45kV、40mA)、角度計、集束ミラー、発散スリット(1/2”)、入射及び発散ビーム両方におけるソーラースリット(4mm)並びにPIXcel検出器を使用し、PANalytical社製回折計で収集した。データ収集に使用したソフトウェアは、X'Pert Data Collector、バージョン2.2fであり、X'Pert Data Viewer、バージョン1.2dを使用してデータを分析及び提示した。
【0274】
試料は、受け取ったままの粉末試料を使用して、周囲条件下で実行し、透過箔XRPDによって分析した。およそ2〜5mgの試料を、ポリイミド(Kapton、厚さ12.7μm)フィルムに支持された96位置試料プレートに載置した。連続スキャン(0.146°/秒のスピード)により3〜40°2の範囲でデータを収集した。データ収集全体を通し、2mm/秒のスピードでx平面内±2mmにて試料を振動させて、粒子試料採取を最大化し、好ましい配向効果を最小化した。
【0275】
核磁気共鳴(NMR,Nuclear Magnetic Resonance)
1H NMRスペクトルは、オートサンプラーを備えたBruker社製400MHz機器で収集し、DRX400コンソールによって制御した。自動化実験は、標準的なBruker社製負荷実験を使用し、Topspin v 1.3(パッチレベル8)で実行するICONNMR v4.0.4(ビルド1)を使用して獲得した。非ルーチンの分光法では、Topspin単独での使用によってデータを獲得した。試料は、別段の規定がない限り、d6-DMSO中で調製した。オフライン分析は、ACD SpecManager v 9.09(ビルド7703)を使用して行った。
【0276】
示差走査熱量測定(DSC,Differential Scanning Calorimetry)
リン酸塩(形態B、C)、クエン酸塩(形態F)、ベンゼンスルホン酸塩(形態G)、L−酒石酸塩(形態D)、塩酸塩(形態H及びI)、臭化水素酸塩(形態J及びK)、メシル酸塩(形態L)、マレイン酸塩(形態M)、ゲンチシン酸塩(形態O)、フマル酸塩(形態P)、L−リンゴ酸塩(形態Q及びR)についてのDSC研究は、後述する通りのMettler社製DSC 823eを使用して行った。
【0277】
遊離塩基(形態A)化合物(I)についてのDSC研究は、後述するPerkinElmer社製Pyris 6 DSCを使用して行った。
【0278】
L−酒石酸塩(形態E)についてのDSC研究は、後述するPerkinElmer社製DSC 4000 DSCを使用して行った。
【0279】
Mettler社製DSC 823e
DSCデータは、50位置オートサンプラーを備えたMettler社製DSC 823eで収集した。認定インジウムを使用して、該機器をエネルギー及び温度について較正した。典型的には、0.5〜3mgの各試料を、ピンホールアルミニウムパン中、10℃/minで25℃〜350℃に加熱した。50ml/minでの窒素パージを試料上で維持した。機器制御及びデータ分析ソフトウェアは、STARe v9.10であった。
【0280】
PerkinElmer社製Pyris 6 DSC/DSC 4000
DSCデータは、PerkinElmer社製Pyris 6 DSC又はDSC 4000で収集した。認定インジウムを使用して、該機器をエネルギー及び温度較正について検証した。所定量の試料(単位:mg)をピンホールアルミニウムパンに入れ、20℃/minで30℃〜320℃に加熱した。機器制御及びデータ分析は、Pyrisソフトウェアv9.0.1.0174であった。
【0281】
熱重量分析(TGA,Thermo-Gravimetric Analysis)
Mettler社製TGA/SDTA 851e
TGAデータは、34位置オートサンプラーを備えたMettler社製TGA/SDTA 851eで収集した。認定インジウムを使用して、該機器を温度較正した。典型的には、5〜30mgの各試料を、予め秤量したアルミニウムるつぼに装填し、10℃/minで周囲温度〜350℃に加熱した。50ml/minでの窒素パージを試料上で維持した。機器制御及びデータ分析ソフトウェアは、STARe v9.10であった。
【0282】
Pyris 1 TGA
TGAデータは、20位置オートサンプラーを備えたPyris 1 TGAで収集した。認定インジウムを使用して、該機器を較正した。6.329mgの試料を、予め秤量したアルミニウムるつぼに装填し、20℃/min(又は40℃/min)で周囲温度〜500℃に加熱した。20ml/minでの窒素パージを試料上で維持した。機器制御及びデータ分析は、Pyrisソフトウェアv9.0.1.0174であった。
【0283】
偏光顕微鏡法(PLM,Polarised Light Microscopy)
試料を、画像キャプチャー用デジタルビデオカメラ付きのLeica社製LM/DM偏光顕微鏡で研究した。少量の各試料をスライドガラスに載せ、液浸油中に設置し、スリップガラスで覆い、個々の粒子を可能な限り分離した。適正な倍率及びλ着色フィルターに連結された部分偏光で試料を視認した。
【0284】
顕微鏡法
試料を、画像キャプチャー用デジタルビデオカメラ付きのLeica社製DME偏光顕微鏡で研究した。少量の試料をスライドガラスに載せ、スリップガラスで覆い、個々の粒子を可能な限り分離した。適正な倍率(10×/0.22)及び完全偏光で試料を視認して、結晶化度を評価した。
【0285】
ホットステージ顕微鏡法(HSM,Hot Stage Microscopy)
ホットステージ顕微鏡法は、Mettler-Toledo社製MTFP82HTホットステージ及び画像キャプチャー用デジタルビデオカメラと組み合わせたLeica社製LM/DM偏光顕微鏡を使用して行った。少量の各試料をスライドガラスに載せ、個々の粒子を可能な限り分離した。周囲温度から典型的には10〜20℃/minで加熱しながら、適正な倍率及びλ着色フィルターに連結された部分偏光で試料を視認した。
【0286】
重量蒸気収着(GVS,Gravimetric Vapour Sorption)
SMS社製DVS Intrinsic
収着等温線は、SMS社製Analysis Suiteソフトウェアによって制御されたSMS社製DVS Intrinsic水分収着分析計を使用して取得した。機器制御によって試料温度を25℃に維持した。湿度は、乾式及び湿式窒素流を、200ml/minの総流速で混合することによって制御した。相対湿度は、試料の付近に位置する較正したRotronic社製プローブ(1.0〜100%RHのダイナミックレンジ)によって計測した。%RHの関数としての試料の重量変化(質量緩和)を、微量天秤(精度±0.005mg)によって常にモニターした。典型的には、5〜20mgの試料を、周囲条件下で、風袋既知のメッシュステンレス鋼バスケットに入れた。試料を、40%RH且つ25℃(典型的な室内条件)で装填及び脱装填した。水分収着等温線は、以下で概説する通りに実施した(2回のスキャンで1つの完全なサイクルとする)。標準的な等温線は、25℃、10%RH間隔で0.5〜90%RH範囲にわたって実施した。
【0287】
【表3】

【0288】
等温線の完成後に試料を回収し、XRPDによって再分析した。
【0289】
Hiden Isochema社製水分収着分析計(IGAsorp)
収着等温線は、IGAsorp SystemsソフトウェアV6.50.48によって制御されたHiden Isochema社製水分収着分析計(IGAsorp)を使用して取得した。機器制御によって試料温度を25℃に維持した。湿度は、乾式及び湿式窒素流を、250ml/minの総流速で混合することによって制御した。3つの較正したRotronic社製塩溶液(10、50、88%)を計測することによって、該機器を相対湿度含有量について検証した。%RHの関数としての試料の重量変化を、微量天秤(精度±0.005mg)によってモニターした。規定量の試料を、周囲条件下で、風袋既知のメッシュステンレス鋼バスケットに入れた。全実験サイクルは、一定温度(25℃)且つ10%RH間隔での、10〜90%RH範囲(各湿度レベルについて90分間)にわたる2回のスキャン(収着及び脱着)からなるものであった。
【0290】
カールフィッシャー滴定(KF,Karl Fischer Titration)による水の測定
各試料の含水量は、Hydranal Coulomat AG試薬及びアルゴンパージを使用し、Mettler社製Toledo DL39電量計で計測した。水の浸入を回避するためにシュバシールと接続された白金TGAパン上の槽に、秤量した固体試料を導入した。1回の滴定につきおよそ10mgの試料を使用し、二通りの決定が為された。
【0291】
熱力学的水溶解度
水溶解度は、十分な化合物をHPLCグレード(grage)水に懸濁させて、最大最終濃度が10mg/ml以上である化合物の親遊離形態を生じさせることによって決定した。懸濁液を25℃で24時間平衡化し、次いでpHを計測した。その後、懸濁液をガラス繊維Cフィルターに通して96ウェルプレート内に濾過した。次いで、濾液を101倍に希釈した。定量化は、DMSO中およそ0.1mg/mlの標準溶液を参照するHPLCによるものであった。異なる体積の、標準、希釈及び非希釈試料溶液を注射した。溶解度は、標準的な注射における第一ピークと同じ保持時間で見られるピークの積分によって決定されたピーク面積を使用して算出した。
【0292】
【表4】

【0293】
分析は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent社製HP1100シリーズシステムで、ChemStationソフトウェアvB.02.01-SR1を使用して実施した。
【0294】
HPLCによる化学的純度決定
純度分析は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent社製HP1100シリーズシステムで、ChemStationソフトウェアvB.02.01-SR1を使用して実施した。
【0295】
【表5】

【0296】
イオンクロマトグラフィー(IC,Ion Chromatography)
データは、ion Chromatography Netソフトウェアv2.3を使用し、Metrohm社製761 Compactionクロマトグラフィー(カチオン用)及びMetrohm社製861 Advanced Compactionクロマトグラフィー(アニオン用)で収集した。正確に秤量した試料を、DMSO中のストック溶液として調製し、試験前にDMSO又は水のいずれかで1:9に希釈した。数量化は、分析されているイオンの公知の濃度の標準溶液との比較によって達成した。
【0297】
【表6】

【0298】
pKa決定及び予測
決定
データは、D-PASアタッチメント付きのSirius社製GlpKa機器で収集した。計測は、水溶液中25℃でUVによって、及びメタノール水混合物中で電位差測定によって為された。滴定媒体を、0.15MのKCl(水溶液)でイオン強度調整(ISA,ionic-strength adjusted)した。メタノール水混合物において見られた値を、Yasuda−Shedlovsky外挿法によって0%の共溶媒に補正した。Refinement Proソフトウェアv2.2を使用して、データを精緻化した。
【0299】
予測
pKa値の予測は、ACD pKa予測ソフトウェアv11を使用して為された。
【0300】
Log P決定
データは、Log P、Log Pion及びLog D値を生成するためにオクタノール:イオン強度調整(ISA)水の3つの比率を使用し、Sirius社製GlpKa機器における電位差滴定によって収集した。Refinement Proソフトウェアv2.2を使用して、データを精緻化した。Log P値の予測は、ACD v11ソフトウェアを使用して為された。
【0301】
化合物調製
化合物(I)は、国際公開第2008/122767号パンフレット(Cyclacel Limited社)において記述されている方法論に従って調製され得る。
【0302】
代替として、化合物(I)は、下記の手順によって調製され得る。
【0303】
エチレングリコール(270mL)中の(4,6−ジメチルピリジン−3イルメチル)−(2−フルオロ−9−イソプロピル9H−プリン−6−イル)−アミン(30g)、(2R,3S)−3−アミノ−ペンタン−2−オール(29.5g)及びDIEA(33.0mL)の溶液を、窒素下125℃で終夜加熱した。さらに0.5当量の(2R,3S)−3−アミノ−ペンタン−2−オール(4.9g)を添加し、反応物を追加で6時間撹拌した。HPLCによる分析は、1.9%の(4,6−ジメチルピリジン−3イルメチル)−(2−フルオロ−9−イソプロピル9H−プリン−6−イル)−アミンが残っていることを指示した。そこで、反応物を125℃で終夜撹拌させておいた。HPLCによる分析は、今度は0.35%の(4,6−ジメチルピリジン−3イルメチル)−(2−フルオロ−9−イソプロピル9H−プリン−6−イル)−アミンしか残っていないことを指示した。そこで、反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(2460mL)に添加した。水(1320mL)を添加し、相を分離した。水相を酢酸エチル(2×2460mL)で抽出し、合わせた有機物を水(2×2460mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、揮散させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1500gシリカ、溶離液としてDCM中3%MeOH)による精製により、所望の生成物を白色固体として生じさせた。真空オーブン内において終夜乾燥させることにより、化合物(I)を59%収率(22.3g、JCCA824)で生じさせた。1H NMRにより生成物の同定を確認し、HPLCにより99.16%の純度を生じさせた。
【実施例1】
【0304】
形態Aを生じさせるための遊離塩基化合物(I)の結晶化
化合物(I)は、下記の方法によってMTBEから結晶化させた。MTBE(2体積)を化合物(I)に添加し、加熱還流した。混合物を還流にて30〜60分間保った後、温度を50℃に低減させた(2時間保った)。懸濁液をゆっくり室温に冷却させた後、濾過し、MTBE(3×1体積)ですすいだ。固体を真空オーブン内40℃で8時間乾燥させて、所望の結晶性遊離塩基(質量回復84.5%、LC純度97.4%)を得た。
【0305】
形態AについてのXRPD情報は、表1において見られる。
【0306】
形態Aへの重量蒸気収着
11.254mgの試料を、周囲条件下で、風袋既知の(tarred)メッシュステンレス鋼バスケットに入れた。全実験サイクルは、一定温度(25℃)且つ10%RH間隔での、40〜90%範囲(各湿度レベルについて180分間)にわたる2回のスキャン(収着及び脱着)からなるものであった。およそ0.09mg(約0.8%)の質量増加、並びに湿度レベルの割に簡易な取込み及び損失は、表面が水分で湿るだけの非吸湿性試料を指示している。図15は、形態Aについての等温線プロット(重量変化%対RH%)を示し、一方、図16は、重量変化(%)対時間及び相対湿度%の速度論的プロットを示す。GVS実行後の試料の分析は、XRPDにより変化を示さなかった(図17)。
【0307】
形態Aの熱力学的水溶解度
水溶解度は、十分な化合物をHPLCグレード水に懸濁させて、最大最終濃度が10mg/ml以上である化合物の親遊離形態を生じさせることによって決定した。懸濁液を25℃で24時間平衡化した。次いで、懸濁液をフィルターに通してHPLCバイアル内に濾過した。次いで、濾液を適正倍に希釈した。数量化は、1mLのアセトニトリル/水(1:1)中0.5mgの標準溶液を参照するHPLCによって行った。異なる体積の、標準、希釈及び非希釈試料溶液を注射した。溶解度は、標準的な注射における第一ピークと同じ保持時間で見られるピークの積分によって決定されたピーク面積を使用して算出した。水溶解度は、0.329mg/mLであると決定された。溶解度研究後の形態Aの分析は、XRPDにより変化を示さなかった(図18)。
【実施例2】
【0308】
化合物(I)のクエン酸塩(形態F)の調製
化合物(I)(100mg、0.25mmol、1当量)、クエン酸(49mg、0.26mmol、1.02当量)及び酢酸エチル(1ml、10体積)をバイアルに投入し、周囲条件下で24時間撹拌すると、粘着性固体の小塊が溶解せずに残っていた。加熱/冷却サイクル(60℃/室温、4時間)で、混合物を振とう機内に68時間保存した。結果として得られた白色沈殿物を真空濾過によって単離し、EtOAc(2×500μl、2×5体積)で洗浄し、真空オーブン内30℃で16時間乾燥させて、クエン酸塩を白色固体(53mg、40%収率)として産出した。
【0309】
クエン酸塩のH NMRスペクトルは構造と一致しており、ジアステレオトピックなピークのセットがクエン酸アニオンに対応して存在していた。H NMR分析も、残留酢酸エチルの存在を確認した。XRPD分析は、材料が結晶性であることを確認した。DSC分析は、145℃で開始する融解に対応する鋭いピーク及び165℃で開始する広域イベントという2つの吸熱イベントを示した。TGA分析は、融解前にも最中にも重量損失を示さず、続いて180℃超でも分解を示さず、DSCにおける第二の吸熱イベントが分解である可能性が高いことを確認した。TGA分析は、材料が溶媒和物ではないことも立証した。
【0310】
生成物の試料を、湿度室内25℃且つ94%RHで3日間保存し、この時間の後、材料はわずかに粘着性となったが、潮解していなかった。この材料のXRPD分析は、有意な非晶質ハローがあることを除いて、初期生成物について取得されたものと同じパターンを示した。第二の試料を、湿度室内25℃且つ75%RHで70時間保存し、この時間の後、試料は不変のようであり、この材料について取得されたXRPDパターンは、最初の生成物のものと一致していた。GVS分析は、高いRHにおいて水和物は形成されないことを確認したが、該材料が70%RH超では吸湿性であることを立証した。
【0311】
クエン酸塩についてのXRPD情報は、表3において見られる。
【0312】
【表7】

【実施例3】
【0313】
化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩(形態G)の調製
化合物(I)(100mg、0.25mmol、1当量)、ベンゼンスルホン酸(41mg、0.26mmol、1.02当量)及びtert−ブチル−メチルエーテル(1ml、10体積)をバイアルに周囲条件下で投入し、撹拌を始めたが、混合物は溶液にならなかった。混合物を30分間撹拌し、この時間の後、試料は有意な分量の粘着性固体を含有していた。混合物をさらに23.5時間撹拌したが、変化を示さなかった。加熱/冷却サイクル(60℃/室温、4時間)で、混合物を振とう機内に68時間保存した。結果として得られた白色沈殿物を真空濾過によって単離し、TBME(3×500μl、3×5体積)で洗浄し、真空オーブン内30℃で16時間乾燥させて、ベンゼンスルホン酸塩を白色固体(65mg、47%収率)として産出した。
【0314】
ベンゼンスルホン酸塩の1H NMRスペクトルは、ベンゼンスルホン酸塩に対応する芳香族ピークを明らかに示した。しかしながら、化合物(I)に対応するピークの大部分は、正常な割り当てを非自明にするスルホン酸基の存在がおそらくは原因で、広域多重項として出現する。有意な分量の残留TBMEも可視であるが、これは、溶媒和物ではなく非結合溶媒であると考えられている。XRPD分析は、材料が結晶性であることを確認した。DSC分析は、147℃で開始する唯一の吸熱イベントを示し、ホットステージ顕微鏡法は、このイベントが融解であることを確認した。TGA分析は、DSCにおいて吸熱が付随せず、且つ非結合溶媒の損失に起因する1.1%の重量損失を75〜120℃で呈し、材料が非溶媒和であることを立証した。湿度室内25℃且つ94%RHで2時間の保存後、生成物の試料の潮解が観察された。第二の試料を、湿度室内25℃且つ75%RHで70時間保存し、この時間の後、試料はわずかに粘着性になった。この材料について取得されたXRPDパターンは、わずかに大きい非晶質ハローがあることを除いて、最初の生成物のものと一致していた。
【0315】
ベンゼンスルホン酸塩についてのXRPD情報は、表4において見られる。
【0316】
【表8】

【実施例4】
【0317】
化合物(I)のL−酒石酸塩(形態D)の調製
化合物(I)(500mg、1.26mmol、1当量)、L−酒石酸(193mg、1.28mmol、1.02当量)及び酢酸エチル(5ml、10体積)をフラスコに投入し、周囲条件下で2時間撹拌すると、1時間以内に沈殿が発生した。白色沈殿物を真空濾過によって単離し、EtOAc(3×0.5ml、2×1ml)で洗浄し、真空オーブン内40℃で16時間乾燥させて、L−酒石酸塩を白色固体(565mg、82%収率)として産出した。
【0318】
酒石酸塩のH NMRスペクトルは構造と一致しており、酒石酸アニオンに対応する4.31ppmでの一重項を呈した。XRPD分析は、材料が結晶性であることを確認した。DSC分析は、147℃で開始する単一の吸熱イベントを示し、これはホットステージ顕微鏡法によって融解であることが確認された。TGA分析は、融解前にも最中にも重量損失を示さず、続いて200℃超でも分解を示さず、この材料が溶媒和物ではないことを示した。
【0319】
生成物の試料を、湿度室内25℃且つ94%RHで70時間保存し、この時間の後、材料はわずかに粘着性となったが、潮解していなかった。この材料のXRPD分析は、最初の生成物について獲得されたパターンにおけるものに対応する同じピークの存在を示したが、水の取込みが原因で、有意な非晶質ハローも可視であった。第二の試料を、湿度室内25℃且つ75%RHで4日間保存し、この時間の後、試料は不変であった。この材料について取得されたXRPDパターンは、最初の生成物のものと一致していた。GVS分析は、高いRHにおいて水和物は形成されないことを確認したが、該材料が70%RH超では吸湿性であることを立証した。
【0320】
L−酒石酸塩(形態D)についてのXRPD情報は、表2において見られる。
【0321】
【表9】

【実施例5】
【0322】
化合物(I)のL−酒石酸塩(形態E)の調製
実施例5.1
(a)エタノール(12ml)中の化合物(I)の形態DのL−酒石酸塩(1.0g)の懸濁液を、加熱還流した。アセトニトリル(3ml)を30分間かけて少量ずつ添加した。この添加の後、溶液は取得されなかった。追加分のエタノール(4.5ml)及びアセトニトリル(1ml)を溶液が取得されるまで添加した。溶液を研磨濾過(熱)し、次いで、10℃/時の速度で室温に冷却した(結晶化は約65℃で始まった)。室温で終夜撹拌した後、得られた固体を濾過し、冷エタノール(5ml)で洗浄し、引き抜き乾燥(pull dry)させた。真空オーブン内50℃でさらに乾燥させることにより、所望の生成物を白色結晶性固体(0.725g、73%)として産出した。1H NMR分析により1:1塩を確認し、XRPDにより形態Eを確認した。
【0323】
25℃における溶解度研究は、43.905mg/mlの形態Eの溶解度を指示した)常にかき混ぜながら水中で24時間インキュベーション)。残った固体を乾燥させ、XRPD分析は、水性スラリー後の粉末パターンにおいて違いを示さなかった。溶解度後の溶液のpHは、pH5であった。
【0324】
形態EについてのTGA研究も行った(100℃で24時間保った)。結果は、材料がこの温度で安定であることを指示し、TGA安定性研究後の材料のXRPD分析は、粉末パターンにおいて違いを示さなかった。
【0325】
L−酒石酸塩(形態E)についてのXRPD情報は、表7において見られる。
【0326】
実施例5.2
エタノール(120ml)中の化合物(I)の形態DのL−酒石酸塩(10.2g)の懸濁液を、65℃に加熱した。アセトニトリル(20ml)を添加し、懸濁液を10分間加熱還流し、この時間の後、溶液が取得された。溶液を2〜3時間かけて室温に冷却し、結晶化は約50℃で始まった。得られた懸濁液を室温で終夜撹拌した。得られた固体を濾過し、エタノール(10ml)で洗浄し、引き抜き乾燥させた。真空オーブン内50℃でさらに乾燥させることにより、所望の生成物を白色結晶性固体(8.76g、88%)として産出した。1H NMR分析により1:1塩を確認し、XRPDにより形態Eを確認した。
【0327】
実施例5.3−スラリー変換
化合物(I)のL−酒石酸塩の形態Eは、4つの異なる溶媒(酢酸エチル、IPA、IMS又はアセトニトリル)からのスラリー変換によっても調製された。形態D:形態EのL−酒石酸塩の重量で1:1混合物(計200mg)を、2mlの溶媒中48時間にわたって45℃で加熱した後、濾過及び分析した。形態Eは、各スラリー中で生成された(純度98%以上)。
【0328】
実施例5.4−播種
エタノール(120ml)中の形態DのL−酒石酸塩化合物(I)(10.2g)の懸濁液を、65℃に加熱した。アセトニトリル(20ml)を添加し、懸濁液を10分間加熱還流した。混合物をHPLCフィルターフリットに通して研磨濾過した。プロセス中に沈殿は観察されなかった。次いで、材料を還流から冷却し、形態EのL−酒石酸塩(上記で調製した通りのもの)とともに70℃で播種し、15時間ごとに10℃の速度で冷却した。最初の種が完全に溶解したら、播種を60℃で繰り返した。種子が残っており、溶液は、非常にかすかな不透明相を示すように変化した。結晶化は、およそ50℃で現れた。80%の単離収率が取得された。
【0329】
実施例5.5−化合物(I)の遊離塩基からの形成
CYC065遊離塩基形態A(0.2g)をエタノール(9体積、1.8mL)に溶解し、加熱還流した。温度を還流に維持しながら、水(1.7体積、0.34mL)/エタノール(1体積、0.2mL)中の酒石酸(1当量、0.076g)の溶液を滴下添加した。次いで、得られた溶液を研磨濾過(polish filter)した後、70℃に冷却した。形態Eの種子を添加して、濁った溶液を生じさせた。バッチを70℃で1時間撹拌した後、室温に冷却した。室温で2時間撹拌後、固体を濾過し、エタノール(2×0.5mL)で洗浄し、引き抜き乾燥させた。真空オーブン内50℃でのさらなる乾燥により、CYC065−L−酒石酸塩形態Eを白色固体(0.2g、72%)として産出した。1H NMRにより1:1塩を確認し、HPLCは97.97%の純度を指示した。XRPD及びDSCにより形態Eを確認した。
【実施例6】
【0330】
エタノールからの、化合物(I)のリン酸塩(形態C)の調製
水中のリン酸(85%w/w)の溶液(192μl、1.67mmol、1.02当量)を、室温のエタノール(6.5ml、10体積)中の化合物(I)の撹拌溶液(650mg、1.64mmol、1当量)に、冷水浴内で2分間かけて添加し、添加の間中、混合物は淡黄色溶液のままであった。水浴を除去し、混合物を室温で2時間撹拌し、結果として得られた白色沈殿物を真空濾過によって単離し、エタノール(2×1.3ml、2×2体積)で洗浄し、真空オーブン内40℃で16時間乾燥させて、リン酸塩を白色固体(641mg、66%収率)として産出した。
【0331】
生成物について取得されたXRPDパターンは、IPAから結晶化された対応する材料と、同一ではないが同様であった(実施例7を参照)。これらの結果は、エタノールからの結晶化が、結果として得られたリン酸塩の、IPAからの結晶化とは異なる多形を産出することを示唆している。DSC分析は、67及び125℃で開始する2つの広域吸熱イベントを示した。第一の吸熱は、IPA中で形成された材料のDSCトレースにおいて観察される第一のイベントに匹敵するものであった(実施例7を参照)。興味深いことに、第二の吸熱は、IPAから取得された匹敵する材料(116℃)よりも有意に高い開始(123℃)を有し、ここでも異なる固体形態の存在を示唆していた。
【0332】
取得されたH NMRスペクトルは構造と一致しており、微量の残留エタノールを示した。
【0333】
TGA分析は、DSCにおける第一の吸熱に対応する45〜98℃で2.9%の重量損失を示し、故に、DSCにおいて観察される第一の吸熱が非結合溶媒の損失を原因とするものであることを確認した。この段階では、この溶媒損失が、IPA若しくは水、又は両方の混合物のいずれの損失を原因とするかは確認されなかった。TGA分析は、DSCにおいて観察された第二のイベントに関連する重量損失を示さず、続いて220℃超でも分解を示さなかった。ホットステージ顕微鏡法は、DSCにおいて観察された第二の吸熱が融解であることを確認した。
【0334】
GVS分析は25℃で施され、60〜90%RHで0.5重量%の水の漸次取込みが観察されたため、材料が吸湿性ではないことを示した。10〜0%RHで0.5%の重量損失が観察され、これはTGAにおいて観察された重量損失よりも低かった。
【0335】
DSCにおいて観察された溶媒の損失が形態の変化をもたらしたか否かを解明するために、形態Cの試料に対して可変温度XRPD分析が施された。試料を各温度に加熱し、3分間保って平衡させ、XRPDパターンを収集した。材料を10度の増分で100℃にし、パターンを収集し、試料を100℃で15分間保ち、第二のパターンを収集した。試料を冷却して室温に戻し、最終参照パターンを取得した。
【0336】
冷却する前と後の両方に室温で獲得されたXRPDパターンと、100℃で取得されたパターンとの間に、微妙な変化が観察された。これは、溶媒の損失が形態の変化を引き起こすこと、及びこのプロセスが空気の存在下では可逆性であることを示唆している。VT XRPD分析を受けた後の試料のDSC分析は、67及び124℃で開始する2つの広域吸熱を呈し、VT XRPD実験を受ける前の試料について取得されたDSCトレースと類似していた。この結果は、溶媒の損失が空気中で可逆性であることを確認するものであり、したがって、生成物が周囲条件下で、アルコール溶媒和物としてではなく水和形態として存在することを暗示している。
【0337】
この仮説にさらなる重みを加えるために、加熱/冷却/加熱DSC分析を施した。この実験においては、生成物の試料を100℃に加熱し、10分間保ち、30℃に冷却し、5分間保ち、次いで250℃に再加熱した。予想通り、第一の加熱は、水の損失に対応する所望の吸熱を示した。第二の加熱は、無水形態の融解に対応する単一の吸熱のみを呈し、したがって、水の損失が窒素の不活性雰囲気下では非可逆性であることを確認した。
【0338】
エタノールから調製されたリン酸塩(形態C)についてのXRPD情報は、表5において見られる。
【0339】
【表10】

【0340】
すべての残留エタノールの除去は、真空オーブン内、60℃で24時間(76mgスケール、試料A)又は50℃で68時間(346mgスケール、試料B)のいずれかで乾燥させることによって達成した。H NMR、HPLC純度、XRPD及びDSC分析はいずれも、乾燥材料が出発生成物と類似しており、乾燥プロセス中に分解されないことを確認した。TGA及びカールフィッシャー分析を使用して、水の等価を算出した。
【0341】
【表11】

【実施例7】
【0342】
プロパン−2−オールからの、化合物(I)のリン酸塩(形態B)の調製
水中のリン酸(85%w/w)の溶液(147μl、1.28mmol、1.02当量)を、室温のイソプロパノール(5ml、10体積)中の化合物(I)(500mg、1.26mmol、1当量)の撹拌溶液に、冷水浴内で2〜3分間かけて添加した。添加中に、粘着性白色材料が円盤状に形成された。混合物を30分間激しく撹拌し、この時間の後、混合物は濃黄色のスラッジになり、撹拌が弱くなった。さらに750μlのIPAを添加し、混合物をさらに1時間撹拌した。結果として得られた白色沈殿物を真空濾過によって単離し、IPA(2×1.5ml、2×3体積)で洗浄し、吸引下で乾燥させた。2つの別種の材料がケーキ中において明らかに可視であり、乾燥白色粉末状固体が外周を取り巻き、粘着性オフホワイト固体が中央にあった。乾燥固体を単離して、リン酸塩を白色固体(110mg、15%収率)として産出した。
【0343】
生成物のH NMRスペクトルは構造と一致しており、微量の残留IPAも見つかった。XRPDは、生成物が結晶性形態であることを確認した。DSCトレースは、67及び116℃で開始する2つのイベントを呈し、TGAは、DSCにおける第一の吸熱イベント中の非結合溶媒の損失に対応する、45〜98℃での2.6%の重量損失を呈した。この段階では、この溶媒損失が、IPA若しくは水、又は両方の混合物のいずれの損失を原因とするかは確認されなかった。TGAは、DSCにおける第二のイベントに関連する重量損失を示さず、続いて220℃超でも分解を示さなかった。ホットステージ顕微鏡法は、DSCにおいて観察された第二の吸熱が融解であることを確認した。
【0344】
プロパン−2−オールから調製されたリン酸塩(形態B)についてのXRPD情報は、表6において見られる。
【0345】
【表12】

【0346】
DSCにおいて観察された溶媒の損失が形態の変化をもたらしたか否かを解明するために、生成物に対して可変温度XRPD分析が施された。試料を各温度に加熱し、3分間保って平衡させ、XRPDパターンを収集した。材料を10度の増分で100℃にし、パターンを収集し、次いで、試料を100℃で15分間保ち、第二のパターンを収集した。試料を冷却して室温に戻し、最終参照パターンを取得した。
【0347】
室温及び100℃で取得されたXRPDパターンには非常に微妙な変化があるに過ぎないが、室温に冷却すると違いが再度消失するため、可逆性のようである。
【0348】
VT XRPD分析から、生成物が、可逆的に失われ、次いで加熱することで水を再獲得することができる水和物であるかもしれないという示唆を前提として、窒素の不活性雰囲気下で加熱/冷却/加熱DSC実験を施した。生成物の試料を100℃に加熱し、10分間保ち、30℃に冷却し、5分間保ち、次いで250℃に再加熱した。予想通り、第一の加熱は、溶媒の損失を示した。しかしながら、第二の加熱は、溶媒の損失に対応する吸熱イベントを示さず、したがって、このプロセスが窒素の不活性雰囲気下では非可逆性であることを示した。
【0349】
リン酸塩が、空気の存在下の温度で可逆的に脱水され得る水和物として、周囲条件下で存在するかどうかを調査するために、一連のTGA実験を施して、材料が周囲条件下でいかに迅速に再水和するかを明確にした。窒素下、TGA設備を使用して、一連の試料を100℃にし、次いで25℃に冷却した。試料を周囲条件下(空気中室温)で時間を変動させて保存し、次いでTGA実験を再実行した。比較として、TGAを使用して、窒素の不活性雰囲気下で加熱/冷却/加熱実験を施し、試料を100℃に加熱し、25℃に冷却し、二度目の100℃に加熱した。
【0350】
これらの結果は、リン酸塩が周囲条件(およそ25℃且つ40%RHと推定される)下で容易に再水和することを示すものであった。蓋のないTGAパン中の8mgの生成物の試料は、30分以内に完全に再水和した。この結果は、乾燥プロセス中に水の一部又は全部が試料から失われたとしても、周囲条件下での保存時に再水和することを示すため、任意の潜在的なスケールアップに有望である。
【0351】
生成物の試料を、湿度室内25℃且つ94%RHで88時間保存し、この時間の後、潮解は観察されなかった。この材料について取得されたXRPDパターンは、親化合物のものではなく、エタノールから結晶化されたリン酸塩について獲得されたもの(実施例6を参照)と合致していた。DSC分析は、IPAからの結晶化によって生成された結晶性形態及びエタノールから生成された結晶性形態に対応する2つの控えめな融解を呈し、エタノール形態の融解が主要なイベントであるようであった。GVS分析は25℃で施され、80%RH超で約1.5重量%の水の漸次取込みしか観察されなかったため、材料が吸湿性ではないことを示した。興味深いことに、0%RHにした際、TGAにおいては2%を超えて失われたことが観察されたのと比較して、0.5重量%の水しか失われなかった。この材料について取得されたXRPDパターンは、親化合物のものではなく、エタノールから結晶化された生成物から獲得されたものと合致していた。DSC分析は、融解に対応する吸熱の広域化を呈したが、やはり単一のイベントとして出現した。
【0352】
水の完全損失は昇温でのみ発生し得ると推論され、故に、第二のGVS実験は40℃で実行した。40℃において、生成物は80%RH超で約2重量%の水の漸次取込みを呈し、ここでも材料が吸湿性ではないことを立証した。この時に0%RHにすると材料は約2.6重量%の水を失い、これはTGAにおいて観察される質量損失とほぼ一致している。この材料について取得されたXRPDパターンは、親化合物のものではなく、エタノールから結晶化された生成物から獲得されたものと合致していた。DSC分析は、IPAからの結晶化によって生成された結晶性形態及びエタノールから生成された結晶性形態に対応する2つの控えめな融解を呈し、エタノール形態の融解が主要であるようだった。
【実施例8】
【0353】
化合物(I)の塩酸塩(パターン1;形態Hと指定されるもの)の調製
HCl(水中37wt%溶液)(88μl、0.88mmol、1当量)を、室温のTBME(17.5ml、50相対体積)中の遊離塩基化合物(I)(350.22mg、0.88mmol、1当量)の溶液に、旋回させながら滴下添加し、粘着性白色固体が瞬時に形成された。加熱/冷却サイクル(40℃/室温、各4時間)で、試料を振とう機内に63時間保存した。熟成中、混合物を元の体積のおよそ3分の1に濃縮した。結果として得られた固体を真空濾過によって単離し、TBME(2×5ml)で洗浄した。固体を吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで20時間乾燥させて、塩酸塩を白色固体(158.69mg、一塩化物塩形成に基づき42%)として産出した。
【0354】
【表13】

【0355】
化合物(I)の塩酸塩(形態H)についてのXRPD情報は、表8及び図19において見られる。
【0356】
生成物のXRPD分析はHClパターン1(形態H)の形成を示唆しているようであったが、イオンクロマトグラフィー結果はHClパターン1(形態H)について先に取得されたものと一致せず、それが一塩化物であることを示唆していた。これらの結果は予想外であり、40℃/75%RHにおいて保存するとHClパターン2(形態I、一塩化物塩)がHClパターン1(形態H)への変換を示すという観察には合致しない。
【0357】
ビス−HCl塩の形成を確認するための試みにおいて、塩酸塩(形態H)の試料(25.99mg)をEtOAc中3%の水(1.3ml、50相対体積)中でスラリー化し、加熱/冷却サイクル(40℃/室温、4時間)で、混合物を振とう機内に72時間保存した。無色ガム状物が取得された。単離された材料の化学量論を検証するための2つのさらなる試みにおいて、塩酸塩(形態H)の試料をEtOAc又はTBME中3%の水(3×750μl)で洗浄し、吸引下で乾燥させた。残念なことに、いずれの場合にも、所望の固体の代わりに粘着性固体が単離された。
【0358】
生成物のVT−XRPD分析は、80℃超でのHClパターン1(形態H)から新たなパターン(HClパターン4)への変換、続いて100℃超での結晶化度の完全損失を示唆していた。VT−XRPDに使用した試料の視覚分析は、昇温において泡状物の形成を示し、結晶化度が失われると、揮発性材料(おそらくTBME又は過剰HCl)の損失を指示した。TGAは、45〜105℃で、0.8当量のHOと同等であり且つTBMEの観察されるレベルよりも大きい、3.4%の重量損失を示す。重量損失は、脱溶媒和してVT−XRPDによって観察された異なる形態となる、溶媒和物の存在を指示し得る。実際に、HSMは、60℃前後において、脱溶媒和に続いて融解を指示し得る複屈折の損失、又は、85℃から溶媒の損失が付随する、シリコーン油の存在を原因とするガム状物の形成を示した。これらの結果は、HClパターン1(形態H)材料が溶媒和物であることを指示しているが、NMRによるTBMEの存在及びTGAによる2つの重量損失が原因で、該材料がTBME溶媒和物であるか水和物であるかを検証することができない。
【実施例9】
【0359】
化合物(I)の塩酸塩(パターン2;形態Iと指定されるもの)の調製
HCl(水中37wt%溶液)(95μl、0.95mmol、0.9当量)を、室温のEtOAc(12ml、30相対体積)中の遊離塩基化合物(I)(399.72mg、1.01mmol、1当量)の溶液に、旋回させながら滴下添加し、粘着性白色固体が瞬時に形成された。加熱/冷却サイクル(40℃/室温、各4時間)で、試料を振とう機内に63時間保存した。結果として得られた固体を真空濾過によって単離し、EtOAc(2×3ml)で洗浄した。固体を吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで20時間乾燥させて、塩酸塩(形態I)を黄色固体(151.71mg、一塩化物塩形成に基づき35%)として産出した。
【0360】
【表14】

【0361】
化合物(I)の塩酸塩(形態I)についてのXRPD情報は、表9及び図20において見られる。
【0362】
生成物の分析は、HClパターン2(形態I)材料が、HBrパターン1と同形であるような一塩化物塩であることを確認した。HSMは、DSCにおいて観察される広域吸熱に対応する融解を示すのに対し、VT−XRPDは、融解前には形態の変化を示さない。これらの結果は、材料が非溶媒和であることを示唆しており、故に、NMRにおいて観察される残留溶媒は、結晶格子内に閉じ込められている可能性が高く、TGAにおいて観察される通り、融解時に失われる。40℃/75%RHにおけるHClパターン2(形態I)材料の保存は、高レベルの相対湿度下では該材料が不安定であることを示した。
【0363】
HClパターン1(形態H)の分析
HClパターン2(形態I)は、40℃/75%において保存すると、HClパターン1(形態H)への変換を示した。この結果は、HClパターン1(形態H)が一塩化物塩である可能性が高いことを指示し得る。実施例8からの分析試料は残留TBME及びおそらく過剰HClの存在によって複雑化されていたため、HClパターン1(形態H)材料の特性を明確にするための試みにおいて、この試料に対してプロトンNMR及びTGA分析が施された。プロトンNMRは、残留TBMEの非存在を確認したのに対し、TGAは、1.2当量の水と同等の4.6%の段階的重量損失を示した。これらの結果は、HClパターン1(形態H)材料が化合物(I)の一水和一塩化物塩であることを示唆している。
【実施例10】
【0364】
化合物(I)の臭化水素酸塩(パターン1;形態Jと指定されるもの)の調製
HBr(水中48wt%溶液)(77μl、0.45mmol、0.9当量)を、室温のEtOAc(10ml、50相対体積)中の化合物(I)の遊離塩基(200.46mg、0.50mmol、1当量)の溶液に、旋回させながら滴下添加し、粘着性白色固体が瞬時に形成された。加熱/冷却サイクル(40℃/室温、各4時間)で、試料を振とう機内に18時間保存した。結果として得られた粘着性固体を真空濾過によって単離し、EtOAc(2×2ml)で洗浄した。固体を吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで14h時間乾燥させて、臭化水素酸塩を黄色固体(86.54mg、一臭化物塩形成に基づき40%)として産出した。
【0365】
【表15】

【0366】
化合物(I)の臭化水素酸塩(形態J)についてのXRPD情報は、表10及び図21において見られる。
【0367】
分析は、HBrパターン1(形態J)が、HClパターン2(形態I)と同形であるような部分的に結晶性の一臭化物塩であることを確認した。HSM及びDSC分析は、およそ138℃で開始する融解を示唆している。HClパターン2(形態I)と同様に、材料が非溶媒和であること、及びTGAにおいて観察される重量損失が、結晶格子内に閉じ込められている溶媒の融解時における損失を原因とするものであることが提唱される。40℃/75%RHにおける保存は、新たなパターン−HBrパターン2(形態K)への変換を示した。
【実施例11】
【0368】
化合物(I)の臭化水素酸塩(パターン2;形態Kと指定されるもの)の調製
HBr塩に対応する新たなXRPDパターンは、40℃/75%相対湿度におけるHBrパターン1(形態J)の保存時に取得された。HBrパターン1(形態J)は、15時間後に潮解を示したが、結晶化は7日間の長期にわたる保存時に観察された。
【0369】
【表16】

【0370】
分析は、HBrパターン2(形態K)が、およそ50℃で開始する脱水を呈する一水和一臭化物塩であることを示唆している。この材料のさらなるスケールアップ及び分析は、これらの観察をさらに確認するのに有益となり得る。
【実施例12】
【0371】
化合物(I)のメシル酸塩(形態L)の調製
メタンスルホン酸(59μl、0.91mmol、0.9当量)を、室温のTBME(20ml、50相対体積)中の遊離塩基化合物(I)(400.08mg、1.0mmol、1当量)の撹拌溶液に滴下添加し、粘着性白色固体が瞬時に形成され、混合物を室温で16時間撹拌した。沈殿物が形成されたようであったので、アリコートを取り、真空濾過によって単離した。単離された固体から粘着性固体が取得され、乾燥させても改善しなかった。残った試料を室温でさらに8時間撹拌し、40℃に加熱し、さらに1.5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、14時間撹拌した。アリコートを取り、固体を真空濾過によって単離して、粘着性固体を産出した。残った混合物にTHF(1ml)を添加し、試料を3時間撹拌した。加熱/冷却サイクル(40℃/室温、各4時間)で、混合物を振とう機内に63時間保存し、蒸発が観察された。TBME(10ml)を添加し、固体を真空濾過によって単離し、TBME(2×2ml)で洗浄した。固体を吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで20時間乾燥させて、メシル酸塩(形態L)を白色固体(256.73mg、一メシル酸塩形成に基づき51%)として産出した。
【0372】
【表17】

【0373】
化合物(I)のメシル酸塩(形態L)についてのXRPD情報は、表11及び図22において見られる。
【0374】
分析は、メシル酸塩パターン1が、およそ126℃で融解する非溶媒和一メシル酸塩であることを示唆していた。水溶解度は約140mg/mlであると決定され、この作業の経過中に取得された塩の中で最高であった。40℃且つ75%RHにおいて15時間以内に潮解が観察されたため、試料は吸湿性であることが分かった。
【実施例13】
【0375】
化合物(I)のマレイン酸塩(形態M)の調製
遊離塩基化合物(I)(400.85mg、1.01mmol、1当量)、マレイン酸(117.01mg、1.01mmol、1当量)及びTBME(20ml、50相対体積)をフラスコに投入し、室温で16時間撹拌した。微細な黄色懸濁液が少数の黄色固体の塊に沿って観察された。アリコートを取り、固体を真空濾過によって単離し、吸引下で乾燥させ、XRPDによって分析した(マレイン酸塩パターン1と一致する)。残った混合物を室温でさらに8時間撹拌した。固体を真空濾過によって単離し、吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで15時間乾燥させて、マレイン酸塩(形態M)を黄色固体(279.67mg、一マレイン酸塩形成に基づき54%)として産出した。
【0376】
【表18】

【0377】
化合物(I)のマレイン酸塩(形態M)についてのXRPD情報は、表12及び図23において見られる。
【0378】
分析は、マレイン酸塩パターン1が、およそ116℃で融解する非溶媒和一マレイン酸塩であることを示唆していた。マレイン酸塩パターン1を生じさせる材料は、75%RH超で吸湿性のようであり、潮解は25℃/97%において観察され、粘着性固体は、XRPDによりマレイン酸塩パターン1と一致しているが、40℃/75%RHにおいて取得された。
【実施例14】
【0379】
化合物(I)のゲンチシン酸塩(形態N)の調製
遊離塩基化合物(I)(400.27mg、1.01mmol、1当量)、ゲンチシン酸(155.25mg、1.01mmol、1当量)及びEtOAc(8ml、20相対体積)を、室温でフラスコに投入した。加熱/冷却サイクル(40℃/室温、各4時間)で、混合物を振とう機内に63時間保存して、淡黄色溶液を生じさせた。混合物を5℃に24時間冷却し、沈殿物は観察されなかった。混合物を−18℃に24時間冷却し、淡黄色固体が形成された。−18℃に予め冷却したガラス製品を使用し、固体を真空濾過によって単離した。単離及び室温に加温すると、試料は黄色油になった。湿った試料を真空オーブン内30℃/3mbarで20時間乾燥させて、ゲンチシン酸塩を黄色泡状物(160.61mg、一ゲンチシン酸塩形成に基づき29%)として産出した。
【0380】
【表19】

【0381】
所望の部分的に結晶性のゲンチシン酸塩パターン1の形成は観察されず、代わりに非晶質一ゲンチシン酸塩の形成が観察された。材料を結晶化させるための試みにおいて、試料を小範囲の溶媒中で熟成させ、結果を以下の表にまとめる。
【実施例15】
【0382】
化合物(I)のゲンチシン酸塩(形態O)の調製
実施例14において調製した通りの非晶質ゲンチシン酸塩(形態N)(15mg)を、アセトニトリル(20体積)に溶解して、室温で溶液を生じさせた。溶媒を元の体積の半分までゆっくり蒸発させて、結晶性ゲンチシン酸塩(形態O)を生じさせた。
【0383】
【表20】

【0384】
Bruker社製AXS C2 GADDS機器を使用するゲンチシン酸塩パターン2についてのXRPDピークリスト及び標識化XRPDディフラクトグラムは、それぞれ以下の表13及び図24において見ることができる。
【0385】
これらの結果は、ゲンチシン酸塩パターン2(形態O)材料が、吸熱イベントと同時に失われるおよそ0.5当量のアセトニトリルを含有する一ゲンチシン酸塩であることを示唆している。試料がヘミ溶媒和物であるか又は閉じ込められた溶媒を含有するかを解明するためのさらなる分析は、微量の材料が生成されたことが原因で、不可能であった。
【実施例16】
【0386】
化合物(I)のフマル酸塩(形態P)の調製
遊離塩基化合物(I)(400.18mg、1.01mmol、1当量)、フマル酸(116.71mg、1.01mmol、1当量)及びEtOAc(4ml、10相対体積)をフラスコに投入し、室温で16時間撹拌した。非常に濃厚な白色懸濁液が取得された。EtOAc(2ml)を添加し、アリコートを取った。固体を真空濾過によって単離し、吸引下で乾燥させ、XRPDによって分析した(フマル酸塩パターン1と一致する)。残った混合物を室温でさらに3時間撹拌した。固体を真空濾過によって単離し、EtOAc(3×2ml)で洗浄し、吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで15時間乾燥させて、フマル酸塩を黄色固体(261.35mg、一フマル酸塩形成に基づき50%)として産出した。
【0387】
【表21】

【0388】
化合物(I)のフマル酸塩(形態P)についてのXRPD情報は、表14及び図25において見られる。
【0389】
分析は、フマル酸塩パターン1が、およそ140℃で融解する非溶媒和一フマル酸塩であることを示唆していた。水溶解度はおよそ50mg/mlであると決定され、この作業中に取得された塩の中で最低であった。GVS分析は、該材料が、0〜90%RHにおいて吸着される水が0.4wt%未満の非吸湿性であることを確認した。
【実施例17】
【0390】
化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態Q)の調製
遊離塩基化合物(I)(400.19mg、1.01mmol、1当量)、L−リンゴ酸(135.35mg、1.01mmol、1当量)及びEtOAc(20ml、50相対体積)をフラスコに投入し、室温で24時間撹拌した。酸の不完全溶解が観察された。混合物を40℃に加熱し、1.5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、さらに14時間撹拌した。混合物を5℃に72時間冷却し、大きな沈殿は観察されなかった。混合物を−18℃に30時間冷却し、若干の沈殿物が形成された。試料を室温で1時間撹拌して、移動懸濁液を産出した。固体を真空濾過によって単離し、EtOAc(2×3ml)で洗浄し、吸引下及び真空オーブン内30℃/3mbarで14時間乾燥させて、L−リンゴ酸塩を白色固体(325.99mg、一L−リンゴ酸塩形成に基づき61%)として産出した。
【0391】
【表22】

【0392】
化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態Q)についてのXRPD情報は、表15及び図26において見られる。
【0393】
分析は、L−リンゴ酸塩パターン1材料が、およそ81℃で融解する非溶媒和一リンゴ酸塩であることを示唆していた。L−リンゴ酸塩パターン1材料は、40℃/75%RHにおいて15時間以内に潮解が発生するため、吸湿性のようであった。しかしながら、40℃/75%RHにおいて長期にわたって保存すると(72時間)、新たな固体形態の結晶化が観察された。XRPD分析は、この材料がL−リンゴ酸塩パターン1(形態Q)と一致しないことを確認し、L−リンゴ酸塩パターン2(形態R)の同定を与えた。
【実施例18】
【0394】
化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態R)の調製
L−リンゴ酸塩形態Qの試料(75.45mg)を、40℃/75%RHで72時間保存すると、2時間以内に潮解が観察され、72時間以内に結晶化が発生した。試料を真空オーブン内40℃/3mbarで18時間乾燥させて、L−リンゴ酸塩(形態R)を白色固体として産出した。40℃/75%RHにおける形態Qの保存中に形成された形態Rの試料のNMR分析は、それが一リンゴ酸塩であることを確認した。興味深いことに、DSC分析は、材料がL−リンゴ酸塩形態Qよりも高い融点(103.5℃)を持つ非溶媒和であることを示唆しているようであった。
【0395】
【表23】

【0396】
より大量のL−リンゴ酸塩パターン2の形成を試みた。化合物の試料(75.45mg)を40℃/75%RHで72時間保存すると、2時間以内に潮解が観察され、72時間以内に結晶化が発生した。試料を真空オーブン内40℃/3mbarで18時間乾燥させて、生成物を白色固体として産出した。
【0397】
【表24】

【0398】
化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態R)についてのXRPD情報は、表16及び図27において見られる。
【0399】
これらの結果は、L−リンゴ酸塩パターン2(形態R)が無水一L−リンゴ酸塩であることを確認するもののようである。GVS分析は、該材料がベンゼンスルホン酸塩(benzensulfonate)及びクエン酸塩よりも吸湿性が低いことを示した。
【0400】
本発明の記述された態様の、種々の修正形態及び変形形態が、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、当業者には明白であろう。本発明を具体的な好ましい実施形態との関連で記述してきたが、特許請求される通りの本発明は、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解すべきである。実際に、関連分野の当業者には明らかな、本発明を行う記述されているモードの種々の修正形態は、下記の請求項の範囲内となるよう意図されている。
【0401】
【表25】

【0402】
【表26】

【0403】
【表27】

【0404】
【表28】

【0405】
【表29】

【0406】
【表30】

【0407】
【表31】

【0408】
【表32】

【0409】
【表33】

【0410】
【表34】

【0411】
【表35】

【0412】
【表36】

【0413】
【表37】

【0414】
【表38】

【0415】
【表39】

【0416】
【表40】

【0417】
【表41】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I)
【化1】


(I)
が、遊離塩基若しくは薬学的に許容されるその塩の形態、又は前記遊離塩基の溶媒和物若しくはその塩形態である、前記化合物の結晶性形態。
【請求項2】
酒石酸塩、より好ましくはL−酒石酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項3】
6.67±0.2、8.237±0.2、9.777±0.2、11.96±0.2、12.38±0.2、13.06±0.2、13.38±0.2、13.94±0.2、14.90±0.2、15.40±0.2、15.95±0.2、16.27±0.2、16.54±0.2、17.36±0.2、17.57±0.2、17.86±0.2、19.64±0.2、19.86±0.2、20.12±0.2、20.73±0.2、21.14±0.2、21.58±0.2、22.57±0.2、22.95±0.2、23.29±0.2、23.57±0.2、24.07±0.2、24.63±0.2、25.30±0.2、26.38±0.2、27.09±0.2、27.67±0.2、27.97±0.2、28.91±0.2、29.28±0.2、30.08±0.2、30.41±0.2、31.90±0.2及び34.49±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態(形態E)。
【請求項4】
x線粉末回折パターンが、6.67±0.2、13.06±0.2、13.38±0.2、14.90±0.2、17.36±0.2、17.57±0.2、19.64±0.2、20.73±0.2、23.57±0.2及び25.30±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項2に記載の結晶塩形態(形態E)。
【請求項5】
ピーク位置が図1に示されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項6】
約176℃〜約185℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項7】
図2に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項8】
3.82±0.2、7.57±0.2、8.12±0.2、10.53±0.2、11.39±0.2、12.00±0.2、13.54±0.2、15.15±0.2、16.35±0.2、16.88±0.2、17.37±0.2、18.51±0.2、18.98±0.2、19.77±0.2、21.06±0.2、22.70±0.2、23.47±0.2、24.66±0.2及び28.73±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態[形態D]。
【請求項9】
x線粉末回折パターンが、3.82±0.2、7.57±0.2、15.15±0.2、16.88±0.2、19.77±0.2、22.70±0.2、23.47±0.2、24.66±0.2及び28.73±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項2に記載の結晶塩形態[形態D]。
【請求項10】
ピーク位置が図3に示されている又は表2に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項11】
約145℃〜約154℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項12】
図4に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項13】
化合物(I)が遊離塩基形態である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項14】
7.53±0.2、9.60±0.2、10.22±0.2、11.29±0.2、11.66±0.2、12.26±0.2、12.62±0.2、13.17±0.2、14.06±0.2、14.85±0.2、15.15±0.2、15.57±0.2、16.99±0.2、17.68±0.2、18.30±0.2、18.39±0.2、18.63±0.2、18.97±0.2、19.32±0.2及び20.20±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項13に記載の結晶性形態[形態A]。
【請求項15】
x線粉末回折パターンが、7.53±0.2、12.26±0.2、14.06±0.2、14.85±0.2及び15.57±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項16】
ピーク位置が図5に示されている又は表1に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項17】
約130℃〜約140℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分20℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項18】
図6に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項19】
a=15.19±2Å、b=18.34±2Å、c=8.65±2Å及び[ベータ]=95.53±2°の単位格子寸法を持つ単斜晶P21/c空間群である、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項20】
クエン酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項21】
5.14±0.2、7.73±0.2、10.24±0.2、12.70±0.2、13.06±0.2、14.42±0.2、15.30±0.2、15.98±0.2、16.74±0.2、17.24±0.2、18.05±0.2、19.04±0.2、20.23±0.2、21.04±0.2、22.45±0.2、22.75±0.2、24.01±0.2、25.43±0.2、26.51±0.2、27.48±0.2、28.77±0.2及び29.71±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項20に記載の結晶性形態[形態F]。
【請求項22】
x線粉末回折パターンが、17.24±0.2、18.05±0.2、19.04±0.2、22.45±0.2、22.75±0.2、24.01±0.2及び25.43±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項20に記載の結晶性形態[形態F]。
【請求項23】
ピーク位置が図7に示されている又は表3に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項20に記載の結晶性形態。
【請求項24】
約145℃〜約155℃及び約165℃〜約200℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項20に記載の結晶性形態。
【請求項25】
図8に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項20に記載の結晶性形態。
【請求項26】
ベンゼンスルホン酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項27】
5.72±0.2、11.45±0.2、11.79±0.2、15.56±0.2、16.57±0.2、18.04±0.2、19.14±0.2、20.02±0.2、21.05±0.2、22.80±0.2、23.16±0.2、24.44±0.2、25.40±0.2及び28.74±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項26に記載の結晶性形態[形態G]。
【請求項28】
x線粉末回折パターンが、15.56±0.2、16.57±0.2、18.04±0.2、20.02±0.2、21.05±0.2、22.80±0.2、23.16±0.2及び24.44±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項26に記載の結晶性形態[形態G]。
【請求項29】
ピーク位置が図9に示されている又は表4に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項26に記載の結晶性形態。
【請求項30】
約145℃〜約155℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項26に記載の結晶性形態。
【請求項31】
図10に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項26に記載の結晶性形態。
【請求項32】
リン酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項33】
6.46±0.2、8.88±0.2、9.67±0.2、10.47±0.2、12.78±0.2、15.33±0.2、16.12±0.2、16.82±0.2、18.13±0.2、19.38±0.2、19.95±0.2、20.97±0.2、24.11±0.2、24.83±0.2、26.54±0.2及び28.11±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態[形態B]。
【請求項34】
x線粉末回折パターンが、6.46±0.2、16.12±0.2、18.13±0.2、19.38±0.2、19.95±0.2、20.97±0.2、24.11±0.2及び24.83±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項32に記載の結晶性形態[形態B]。
【請求項35】
ピーク位置が図11に示されている又は表6に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態。
【請求項36】
約65℃〜約90℃及び約114℃〜約130℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態。
【請求項37】
図12に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態。
【請求項38】
化合物が、6.49±0.2、8.91±0.2、9.75±0.2、10.52±0.2、13.03±0.2、15.44±0.2、16.27±0.2、17.85±0.2、18.29±0.2、19.52±0.2、20.02±0.2、21.11±0.2、22.80±0.2、24.92±0.2、28.33±0.2及び29.41±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態[形態C]。
【請求項39】
x線粉末回折パターンが、6.49±0.2、16.27±0.2、18.29±0.2、19.52±0.2、20.02±0.2、21.11±0.2、22.80±0.2、24.92±0.2及び29.41±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを含む、請求項32に記載の結晶性形態[形態C]。
【請求項40】
ピーク位置が図13に示されている又は表5に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態。
【請求項41】
約66℃〜約90℃及び約120℃〜約135℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態。
【請求項42】
図14に示されているものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項32に記載の結晶性形態。
【請求項43】
塩酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項44】
5.6±0.2、8.6±0.2、9.5±0.2、10.9±0.2、11.2±0.2、12.7±0.2、13.0±0.2、14.3±0.2、16.0±0.2、17.3±0.2、17.7±0.2、18.8±0.2、19.1±0.2、20.3±0.2、20.7±0.2、22.9±0.2、23.6±0.2、24.5±0.2、25.0±0.2、25.5±0.2、25.8±0.2、26.4±0.2及び29.1±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項43に記載の結晶性形態[形態H]。
【請求項45】
ピーク位置が図19に示されている又は表8に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項43に記載の結晶性形態。
【請求項46】
約51℃、約84℃、約97℃及び約144℃の温度で吸熱ピークの開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図36と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項43に記載の結晶性形態。
【請求項47】
4.9±0.2、6.4±0.2、7.5±0.2、12.1±0.2、14.4±0.2、19.8±0.2、21.5±0.2、23.4±0.2及び25.7±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項43に記載の結晶性形態[形態I]。
【請求項48】
ピーク位置が図20に示されている又は表9に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項43に記載の結晶性形態。
【請求項49】
約98℃及び約130℃の温度で吸熱ピークの開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図37と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項43に記載の結晶性形態。
【請求項50】
臭化水素酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項51】
6.4±0.2、7.2±0.2、12.0±0.2、14.4±0.2、17.1±0.2、19.6±0.2、21.4±0.2及び25.5±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項50に記載の結晶性形態[形態J]。
【請求項52】
ピーク位置が図21に示されている又は表10に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項50に記載の結晶性形態。
【請求項53】
約138℃の温度で吸熱ピーク開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図38と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項50に記載の結晶性形態。
【請求項54】
約51℃及び90℃の温度で吸熱ピーク開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図29と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項50に記載の結晶性形態。
【請求項55】
メシル酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項56】
6.3±0.2、7.9±0.2、12.5±0.2、13.4±0.2、14.6±0.2、15.9±0.2、16.5±0.2、17.5±0.2、18.1±0.2、18.7±0.2、19.3±0.2、20.0±0.2、20.6±0.2、20.9±0.2、21.7±0.2、22.6±0.2、23.8±0.2、24.5±0.2、25.1±0.2、25.5±0.2、26.1±0.2、27.5±0.2、29.1±0.2、29.7±0.2及び30.3±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項55に記載の結晶性形態[形態L]。
【請求項57】
ピーク位置が図22に示されている又は表11に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項55に記載の結晶性形態。
【請求項58】
約126℃の温度で吸熱ピーク開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図30と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項55に記載の結晶性形態。
【請求項59】
マレイン酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項60】
3.8±0.2、7.6±0.2、8.5±0.2、10.8±0.2、11.4±0.2、12.2±0.2、15.2±0.2、15.8±0.2、17.0±0.2、18.0±0.2、18.8±0.2、19.4±0.2、20.3±0.2、21.6±0.2、22.6±0.2、23.6±0.2、24.3±0.2、24.8±0.2、26.0±0.2、27.2±0.2、27.9±0.2、28.2±0.2、28.8±0.2、29.9±0.2、30.2±0.2、31.7±0.2、32.7±0.2及び33.2±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項59に記載の結晶性形態[形態M]。
【請求項61】
ピーク位置が図23に示されている又は表12に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項59に記載の結晶性形態。
【請求項62】
約116℃の温度で吸熱ピーク開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図31と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項59に記載の結晶性形態。
【請求項63】
ゲンチシン酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項64】
6.32±0.2、12.16±0.2、12.45±0.2、13.13±0.2、14.41±0.2、14.83±0.2、16.37±0.2、17.12±0.2、18.79±0.2、19.49±0.2、20.42±0.2、23.37±0.2及び23.77±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項63に記載の結晶性形態[形態O]。
【請求項65】
ピーク位置が図24に示されている又は表13に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項63に記載の結晶性形態。
【請求項66】
約92℃の温度で吸熱ピーク開始を示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図32と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項63に記載の結晶性形態。
【請求項67】
フマル酸塩である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項68】
3.8±0.2、7.7±0.2、8.1±0.2、8.8±0.2、10.2±0.2、11.3±0.2、13.1±0.2、15.2±0.2、15.5±0.2、16.5±0.2、17.7±0.2、19.1±0.2、19.6±0.2、20.0±0.2、20.9±0.2、21.5±0.2、21.9±0.2、22.7±0.2、23.2±0.2、23.8±0.2、24.1±0.2、25.0±0.2、25.3±0.2、26.7±0.2、27.9±0.2及び28.9±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項67に記載の結晶性形態[形態P]。
【請求項69】
ピーク位置が図25に示されている又は表14に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項67に記載の結晶性形態。
【請求項70】
約140℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図33と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項67に記載の結晶性形態。
【請求項71】
リンゴ酸塩、より好ましくはL−リンゴ酸塩(L−リンゴ酸)である、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項72】
6.7±0.2、8.6±0.2、9.3±0.2、11.0±0.2、12.7±0.2、13.6±0.2、14.1±0.2、15.1±0.2、15.8±0.2、16.5±0.2、17.8±0.2、18.7±0.2、19.5±0.2、19.8±0.2、21.1±0.2、22.5±0.2、23.5±0.2、24.9±0.2及び25.7±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項71に記載の結晶性形態[形態Q]。
【請求項73】
ピーク位置が図26に示されている又は表15に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項71に記載の結晶性形態。
【請求項74】
約81℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図34と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項71に記載の結晶性形態。
【請求項75】
6.77±0.2、9.85±0.2、12.19±0.2、13.36±0.2、13.59±0.2、14.15±0.2、15.88±0.2、16.44±0.2、17.33±0.2、17.75±0.2、19.73±0.2、20.11±0.2、20.50±0.2、20.84±0.2、21.30±0.2、22.23±0.2、23.27±0.2、23.83±0.2、24.19±0.2、24.61±0.2、25.18±0.2、25.67±0.2、26.03±0.2、26.31±0.2、26.91±0.2、27.78±0.2、28.76±0.2、31.12±0.2、32.35±0.2及び33.24±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項71に記載の結晶性形態[形態R]。
【請求項76】
ピーク位置が図27に示されている又は表16に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項71に記載の結晶性形態。
【請求項77】
約104℃の温度で最大吸熱ピークを示す、毎分10℃の加熱速度で記録された示差走査熱量測定トレース、又は図35と実質的に一致する示差走査熱量測定トレースを特徴とする、請求項71に記載の結晶性形態。
【請求項78】
請求項1〜77のいずれかに記載の結晶性形態と、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項79】
医療において使用するための、請求項1〜77のいずれかに記載の結晶性形態。
【請求項80】
増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに/又は呼吸器障害の予防又は治療において使用するための、請求項1〜77のいずれかに記載の結晶性形態。
【請求項81】
増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに/又は呼吸器障害の予防又は治療用薬剤の調製における、請求項1〜77のいずれかに記載の結晶性形態の使用。
【請求項82】
薬理学的に有効な量の請求項1〜77のいずれかに記載の結晶性形態を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、増殖性障害、免疫介在性及び炎症性障害、自己免疫性及び自己免疫介在性障害、腎臓障害、心血管障害、眼科障害、神経変性障害、精神障害、ウイルス性障害、代謝障害並びに/又は呼吸器障害の予防又は治療方法。
【請求項83】
遊離塩基形態Aの化合物(I)をメチルt−ブチルエーテル(MTBE)から結晶化させるステップを含む、請求項13に記載の化合物(I)の結晶性遊離塩基(形態A)を調製する方法。
【請求項84】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−酒石酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項8に記載の化合物(I)の結晶性L−酒石酸塩(形態D)を調製する方法。
【請求項85】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−酒石酸、エタノール及び水を含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項3に記載の化合物(I)の結晶性L−酒石酸塩(形態E)を調製する方法。
【請求項86】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−酒石酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を前記反応混合物から単離するステップと、
(iii)ステップ(ii)において得られた前記結晶性L−酒石酸塩(形態D)を、エタノール及びアセトニトリルの混合物から再結晶させるステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項3に記載の化合物(I)の結晶性L−酒石酸塩(形態E)を調製する方法。
【請求項87】
(i)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を請求項84に記載の方法によって調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を請求項85又は86に記載の方法によって調製するステップと、
(iii)L−酒石酸塩(形態D)及びL−酒石酸塩(形態E)のスラリーを、酢酸エチル、プロパン−2−オール、IMS及びアセトニトリルから選択される溶媒中で形成するステップと、
(iv)前記結晶性L−酒石酸塩(形態E)を前記スラリーから単離するステップと
を含む、請求項3に記載の化合物(I)の結晶性L−酒石酸塩(形態E)を調製する方法。
【請求項88】
(i)結晶性L−酒石酸塩(形態D)を請求項84に記載のプロセスによって調製するステップと、
(ii)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を請求項85又は86に記載のプロセスによって調製するステップと、
(iii)ステップ(i)において得られた前記結晶性L−酒石酸塩(形態D)を、エタノール及びアセトニトリルの混合物に溶解し、結晶性L−酒石酸塩(形態E)とともに播種するステップと、
(iv)前記結晶性L−酒石酸塩(形態E)を反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項3に記載の化合物(I)の結晶性L−酒石酸塩(形態E)を調製する方法。
【請求項89】
(i)遊離塩基化合物(I)を含む反応混合物をエタノール中で調製するステップと、
(ii)水/エタノール中の酒石酸の溶液を、ステップ(i)において得られた前記反応混合物に添加するステップと、
(iii)ステップ(ii)において形成された前記反応混合物を濾過するステップと、
(iv)濾液を、請求項85〜87のいずれかの方法で調製された結晶性L−酒石酸塩(形態E)とともに播種するステップと、
(iv)結晶性L−酒石酸塩(形態E)を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項3に記載の化合物(I)の結晶性L−酒石酸塩(形態E)を調製する方法。
【請求項90】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、クエン酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性クエン酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項20に記載の化合物(I)の結晶性クエン酸塩(形態F)を調製する方法。
【請求項91】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、ベンゼンスルホン酸及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)を含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性ベンゼンスルホン酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項26に記載の化合物(I)の結晶性ベンゼンスルホン酸塩(形態G)を調製する方法。
【請求項92】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、水中のリン酸の溶液及びプロパン−2−オールを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性リン酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項33に記載の化合物(I)の結晶性リン酸塩(形態B)を調製する方法。
【請求項93】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、水中のリン酸の溶液及びエタノールを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性リン酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項38に記載の化合物(I)の結晶性リン酸塩(形態C)を調製する方法。
【請求項94】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、メタンスルホン酸及びTBMEを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性メシル酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項55に記載の結晶性形態の化合物(I)のメシル酸塩(形態L)を調製する方法。
【請求項95】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、マレイン酸及びTBMEを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性マレイン酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項59に記載の結晶性形態の化合物(I)のマレイン酸塩(形態M)を調製する方法。
【請求項96】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、フマル酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性フマル酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項67に記載の結晶性形態の化合物(I)のフマル酸塩(形態P)を調製する方法。
【請求項97】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−リンゴ酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−リンゴ酸塩を前記反応混合物から単離するステップと
を含む、請求項72に記載の結晶性形態の化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態Q)を調製する方法。
【請求項98】
(i)遊離塩基形態の化合物(I)、L−リンゴ酸及び酢酸エチルを含む反応混合物を調製するステップと、
(ii)結晶性L−リンゴ酸塩(形態Q)を前記反応混合物から単離するステップと、
(iii)ステップ(ii)からの前記結晶性L−リンゴ酸塩(形態Q)を40℃/75%RHで保存して、結晶性L−リンゴ酸塩(形態R)を形成するステップと
を含む、請求項75に記載の結晶性形態の化合物(I)のL−リンゴ酸塩(形態R)を調製する方法。
【請求項99】
5.7±0.2、16.4±0.2、17.7±0.2、18.4±0.2、19.6±0.2、20.5±0.2、24.1±0.2、25.3±0.2、26.0±0.2及び28.1±0.2から選択される2[シータ]値における2又は3以上の回折ピークを有するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項50に記載の結晶性形態[形態K]。
【請求項100】
ピーク位置が図28に示されている又は表17に記載されているパターンのピーク位置と実質的に一致するx線粉末回折パターンを特徴とする、請求項99に記載の結晶性形態。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate


【公表番号】特表2013−518041(P2013−518041A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549413(P2012−549413)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000087
【国際公開番号】WO2011/089401
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(506138030)サイクラセル リミテッド (21)
【Fターム(参考)】