プレストレストコンクリートポール及びパイルとその製造方法。
【課題】 PC鋼線又は鋼棒の耐食性と耐塩性を改善したPCコンクリ−トポール及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【解決手段】 鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成した外周面に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成したらせん鋼線を配筋して、その外周にコンクリートを遠心成形したプレストレストコンクリートポール及びパイル及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【解決手段】 鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成した外周面に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成したらせん鋼線を配筋して、その外周にコンクリートを遠心成形したプレストレストコンクリートポール及びパイル及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱やパイルに用いるプレストレストコンクリ−ト(以下「PCコンクリ−ト」という)製のポール及びパイルとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PCコンクリ−トは、PC鋼線又は鋼材に予め緊張力を与えた後、コンクリートに埋め込んで、そのコンクリートの固化後に、PC鋼線又は鋼材の両端を開放してコンクリートにプレストレス を導入する工法によって製造される。近年防食機能を持つ防錆被覆PC鋼線又は鋼材を緊張した後、直接コンクリ−ト内に埋め込むプレテンションボンド法が開発され、その有用性からこの方法が使用範囲を広げつつある。
【0003】
プレテンションボンド法は、直接コンクリ−トとPC鋼線又は鋼材が接触するため、コンクリ−トのひび割れ等の欠陥部からの水分等に由来するPCコンクリートの腐食進行が、特に問題になる。
【0004】
またPCコンクリ−トポールは、送配電用、通信用架空電線路の支持物として使用されることが多い。各種構造体の緊張材として用いられるPCコンクリ−トも布設場所の環境条件による腐食促進要因(酸性雨、含塩水霧雨、SOX 、NOX ガス、日光、摩擦、微生物等)により、緊張状態で腐食が生じると急激に破断、又は土中埋設部付近の鋼線又は鋼材の劣化から倒壊事故が多発しているため、PCコンクリ−トの防食対策は、極めて重要なテ−マになっている。
【0005】
特に、港湾施設、海上資源掘削装置等の沿岸又は海洋環境にある緊張材として用いられるPCコンクリ−トポールは、コンクリ−ト中の塩分濃度が増大し、鋼線又は鋼材が腐蝕し、発生した錆によって鋼線又は鋼材とコンクリ−トとの付着力が低下し、PCコンクリ−トポールの強度が低下し、破断することもある。
【0006】
PCコンクリ−トポールの防食対策としては、特開平6−166971号公報に記載のように、PC鋼線又は鋼材の表面にポリエチレン等からなる熱可塑性樹脂からなる被覆層と、その表面にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を被覆した粗面層を形成したPCコンクリ−トが記載されている。
【特許文献1】特開平6−166971号公報
【0007】
しかしながら、ポリエチレンは耐アルカリ性等の耐食性に優れるが、コンクリートとの付着性は悪い。またエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂はコンクリートとの付着性はよいが耐アルカリ性等の耐食性が乏しい。また、熱硬化性樹脂を形成するためには、約180℃以上の加熱が必要である。一方、ポリエチレン等からなる熱可塑性樹脂は、約150℃で軟化し、約180℃以上に加熱すると原形を崩してしまう。したがって、ポリエチレン等からなる熱可塑性樹脂層の上にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の層を形成することができないという問題があった。
【0008】
また耐塩性を有する鋼材として、Cu,W,Cr,Ni,Mo等を組み合わせて添加した成分のものが開示されている(特開昭50−23310号公報、特開昭50−98420号公報、特開昭62−188754号公報)。
しかしながら、熱処理を繰り返すことにより、コストが上昇するため、使用が困難であった。
【特許文献2】特開昭50−23310号公報
【特許文献3】特開昭50−98420号公報
【特許文献4】特開昭62−188754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の事情に鑑み、本発明は、PC鋼線又は鋼棒の耐食性と耐塩性を改善したPCコンクリ−トポール及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の如き従来の問題を解決するために、本発明は、鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層のPC鋼線又は鋼棒の耐食性と耐塩性を改善したPCコンクリ−トポール及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【0011】
また、鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成する工程と、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成する工程と、前記外部被覆層の外周面にらせん筋を配筋する工程と、その外周にコンクリートを遠心成形する工程とからなるプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法を構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の防食被覆のPCコンクリートポール及びパイルは、防錆力に優れ、コンクリートとの付着力のよい防錆被覆の鋼線及び鋼棒を有する高い耐食性と耐塩性を有するプレストレストコンクリートポール及びパイルが得られた。
【0013】
そして本発明の製造方法は、普通のらせん筋を使用してもPCコンクリートポール及びパイルは十分性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて、さらに詳しく説明するが、本発明は勿論これ等の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明のPC鋼線又は鋼材の製造装置の一実施例を示す略示側面図、図2は、PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される押出機の実施例を示す断面図、図3は、PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイス部分の実施例を示す断面図、図4は、PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイスの実施例を示す断面図、図5は、PC鋼線又は鋼材の実施例を示す斜視図、図6は、図5のA−A面で切断した断面視図である。
【0015】
図1に示すように、先ず繰り出し装置1のリール2から、PC鋼線又は鋼材3が制動装置(図示せず)を経て連続して繰り出しできるようにする。繰り出されたPC鋼線又は鋼材3は、熱硬化性樹脂供給装置4の硬化剤と組み合わせた樹脂液内に導入される。ここでPC鋼線又は鋼材3に熱硬化性樹脂Pが塗布され、加熱装置5で約200℃に加熱され、内層被覆材となる熱硬化性樹脂PがPC鋼線又は鋼材3の外面に被覆される。
【0016】
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが好適である。エポキシ樹脂は液状のものを用い、塗布は常温又は加熱下で行う。エポキシ樹脂は単独で加熱しても硬化せず、硬化剤の添加が必要である。本発明は、鋼線の外周面に熱硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成してから連続して該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなる外部被覆層を形成するので、高温硬化剤として例えばDDSA(Acid−Anhydride)を用いる。その他、エポキシ樹脂は硬化樹脂の特性を満足させるように希釈材、充填材等を用いてもよい。
【0017】
また、熱硬化性樹脂に代えて常温硬化性樹脂を用いてもよい。この場合は、PC鋼線又は鋼材3は、熱硬化性樹脂供給装置に代えて常温硬化性樹脂供給装置の噴霧機内に導入される。ここで内層被覆材となる常温硬化性樹脂が、噴霧機で噴霧される。そのため、PC鋼線又は鋼材3の外面は、常温硬化性樹脂で包み込まれるように被覆される。
【0018】
本発明の常温硬化型液状樹脂としては、次のような三種に分類される、アクリル系等からなる二液性樹脂を使用することが好ましい。
(1)反応型アクリル系接着剤に分類される第二世代アクリル接着剤(SGA)、変性アクリル系接着剤、ハニムーン接着剤と呼ばれる接着剤のうち、無溶剤タイプでアクリル系常温硬化型液状の接着剤に属するものが使用できる。例えばアクリレートモノマ−とメタアクリレートモノマーと各種エラストマーを主成分とし、硬化剤(有機過酸化物)と硬化促進剤(還元剤)とによって、レドックス重合反応型の硬化現象を示すものが使用できる。
(2)常温硬化型無溶剤アクリル系反応性液状組成物で、通常アクリルシラップと呼ばれる反応性液状材料も使用できる。例えばアクリレート系モノマーとアクリレート系オリゴマーとアクリレート系ポリマー等を主成分とし、硬化剤(有機過酸化物)と硬化促進剤(還元剤)とによってレドックス重合反応型の硬化現象を示すものも使用できる。
(3)常温硬化型無溶剤アクリル系反応性液状組成物で、アクリレート系モノマーを主成分とし、硬化剤(有機過酸化物)と硬化促進剤(還元剤)によってレドックス重合反応型の硬化現象を示すものも使用できる。
【0019】
これ等の組成物には、必要に応じて熱可塑性樹脂粉末、熱硬化性樹脂粉末、無機質材粉末や屑材等の粉粒体を混合し、被覆時の流動粘度の調整や、接着性の向上や、止水性の向上や、熱安定性の向上等をはかることもできる。そして、主成分と硬化剤、硬化促進剤を均一に混合し、加圧状態で押出して被覆する。
【0020】
被覆層が形成されたPC鋼線又は鋼材3は、押出成形機8のクロスヘッド6内に導入される。図2に示すように、押出成形機8では溶融筒内81から約200℃で加熱された外層被覆材となる熱可塑性合成樹脂材料であるポリエチレン樹脂Eが、加熱溶融状態で押し出される。
【0021】
図2、図3、図4に示すように、成形ダイス82は中央に円形の中空部83を有する円筒形状からなっており、その内面に多数の小さな凹溝84が放射状に設けられ、これによって被覆層が被覆される。したがって外層被覆材となる熱可塑性合成樹脂材料であるポリエチレンの表面に凸部Sが形成される。成形ダイス82はクロスヘッド6に対してモータ85によって回転させられる。したがって図5に示すように、外層被覆材となる熱可塑性合成樹脂材料であるポリエチレン樹脂Eの表面に形成される凸部Sは、らせん条が形成される。
その後、冷却装置9で冷却された被覆PC鋼線又は鋼材Wは引き取り装置10を経て巻き取り装置12によりリール11に巻き取られる。
【0022】
本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールにおける鋼線とコンクリートとの付着力を確認するためにコンクリート引き抜き試験を行った。
試験は、建材試験センターの「引き抜き試験による鉄筋とコンクリートとの付着強さ試験方法(JSTM)C2101」に準拠して実施した。
【0023】
試験体は圧縮強度40.7N・mm2のコンクリートに埋設したひれ山高さ0.107mm,0.180mmの回転ひれを有し、被覆厚さ0.296mm,0.228mm,直径7mmのPC鋼線と圧縮強度40.7N・mm2のコンクリートに埋設したひれ山高さ0.107mm,0.180mmのストレートひれを有し、被覆厚さ0.296mm,0.228mm,直径7mmのPC鋼線と圧縮強度40.7N・mm2のコンクリートに埋設したインデント付きで被覆がない直径7mmのPC鋼線とを用いた。
【0024】
万能引っ張り圧縮試験機(ミネベアTMO100000X)にて上記試験体にかかる荷重をロードセル、試験体付着位置の変異を変位計で測定した。なお、この試験は財団法人日本船舶品質管理協会製品安全評価センターにおいて、上記の設備を使用して行った。
なお、インデントI付き鋼線とは、図6に示すように、鋼線の表面に凹部を形成したものをいう。その結果、図7に示すように、本発明の防錆被覆鋼線の最大付着応力度は無被覆鋼線の100%を超えており、高い付着性能を有していることが確認された。また、被覆表面のひれ状の凹凸加工は、鋼線の長さ芳香のストレートひれの鋼線に比較してスパイラル状(回転ひれ)の鋼線のほうが付着応力は高いことが解る。
【0025】
次に、本発明のPCコンクリートポール及びパイルの製造方法を説明する。
巻き取り装置26によりリール25に巻き取られたコイル状の被覆PC鋼線又は鋼材をまっすぐに延伸し一定長に切断する。
一定長に切断した後、軸筋の一端の被覆層をはがし、その部分にボタンヘッド加工を行う。図8に示すように、被覆PC鋼線又は鋼材Wの一端を押し電極101で把持し、押し電極101から一定長間隔を置いてクランプ電極102で被覆PC鋼線又は鋼材Wを把持し、500ボルトの電圧を両電極にかけ、押し電極101をクランプ電極102方向に押圧する。図9に示すように、数分後押し電極101側に軸筋の一端にボタンヘッドBが形成される。図10に示すように、ボタンヘッドBは端板111に係合され、その後の被覆PC鋼線又は鋼材のプレストレスのために用いられる。
【0026】
ボタンヘッドBが形成された被覆PC鋼線又は鋼材は軸筋として用途に応じて所定数量を配筋する。一方、熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成した又は熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成しないらせん筋を編組機により正確に組立てる。前記配筋された軸筋とらせん筋を編組して軸筋とらせん筋を結束又は溶接し鉄筋籠を形成する。次いで図10に示すように、鉄筋籠の両端に端板111が設けられる。
【0027】
次いで、鉄筋籠を型枠に取り付け、油圧ジャッキで端板を把持し一気に40ないし100kg/mm2の緊張が加えられる。型枠に鉄筋籠を収納した後、型枠にコンクリートを注入する。型枠の回転数、回転時間を自動制御し、遠心成形してコンクリートを締め固めする。その後、約80℃の温度で8時間養生する。その後、鉄筋籠の緊張を解除し、PCコンクリートポール及びパイルに圧縮強度を与えプレストレスが導入される。その後、脱型し図11に示す軸筋200とらせん筋201とコンクリート202とからなるPCコンクリートポール及びパイルが完成品として形成される。
なお、上記実施例では、PCコンクリートポール及びパイルが円柱状に成形されるものを示したが、通常の方法で、角柱状に成形し、壁体に形成することもできる。
【0028】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成した直線状被覆鋼線の外周面に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成しない普通らせん筋を捲回して、これにコンクリートを遠心成形したプレストレストコンクリートポール(改良品)と、鋼線の外周面にらせん鋼線を捲回して、これにコンクリートを遠心成形したプレストレストコンクリートポール(標準品)とについて曲げ試験を行ったところ、表1及び図12に示すように、改良品は標準品と同様なたわみ値を示し、設計破壊荷重以上の値を示し、曲げ変形能力を有していることが明らかになった。
【表1】
【0029】
本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールにおける防錆効果について試験した結果について説明する。
図14に示すように、試料は直径7mmのインデント付き鋼線にポリエチレン樹脂を300ミクロンの厚さに被覆した300mm長の試験片に、両端切断面からの水分の浸入を防止するためにパテ状詰め物で処理したものを試料1とし、試料1の中央部分を幅3mm、長さ30mm の被覆層を切除した試料2とをそれぞれ3本用意した試験方法は、JIS Z 2371中性塩水噴霧試験の方法を用い、試験時間は2000時間とした。試験後、試料に錆の発生の有無を観察した。試験結果は表2のとおりであった。
【表2】
【0030】
本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールはコンクリート中における塩分による腐蝕に対して優れた耐食性を有するものであり、沿岸又は海洋環境にあるPCコンクリートポール又はパイル等に使用すれば、これらの構築物の安全性、耐久性を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のPC鋼線又は鋼材の製造装置の一実施例を示す略示側面図である。
【図2】PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される押出機の実施例を示す断面図である。
【図3】PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイス部分の実施例を示す断面図である。
【図4】PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイスの実施例を示す断面図である。
【図5】PC鋼線又は鋼材の実施例を示す斜視図である。
【図6】インデント付き鋼線の一実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールにおける鋼線とコンクリートとの付着力を確認するためにコンクリート引き抜き試験を示す比較図である。
【図8】ボタンヘッド加工装置の概略図である。
【図9】ボタンヘッドの一実施例を示す部分斜視図である。
【図10】本発明のボタンヘッド加工装置の部分斜視図である。
【図11】本発明のPCコンクリートポール及びパイルの部分斜視図である。
【図12】本発明のPCコンクリートポール及びパイルの曲げ試験図である。
【図13】本発明のPCコンクリートポール及びパイルの防錆効果を試験するための試料の概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 繰り出し装置
2 リール
3 PC鋼線又は鋼材
4 熱硬化性樹脂供給装置
5 加熱装置
6 押出成形機のクロスヘッド
7 押出成形機の成形ダイス
8 押出成形機
9 冷却装置
10 引き取り装置
11 リール
12 巻き取り装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱やパイルに用いるプレストレストコンクリ−ト(以下「PCコンクリ−ト」という)製のポール及びパイルとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PCコンクリ−トは、PC鋼線又は鋼材に予め緊張力を与えた後、コンクリートに埋め込んで、そのコンクリートの固化後に、PC鋼線又は鋼材の両端を開放してコンクリートにプレストレス を導入する工法によって製造される。近年防食機能を持つ防錆被覆PC鋼線又は鋼材を緊張した後、直接コンクリ−ト内に埋め込むプレテンションボンド法が開発され、その有用性からこの方法が使用範囲を広げつつある。
【0003】
プレテンションボンド法は、直接コンクリ−トとPC鋼線又は鋼材が接触するため、コンクリ−トのひび割れ等の欠陥部からの水分等に由来するPCコンクリートの腐食進行が、特に問題になる。
【0004】
またPCコンクリ−トポールは、送配電用、通信用架空電線路の支持物として使用されることが多い。各種構造体の緊張材として用いられるPCコンクリ−トも布設場所の環境条件による腐食促進要因(酸性雨、含塩水霧雨、SOX 、NOX ガス、日光、摩擦、微生物等)により、緊張状態で腐食が生じると急激に破断、又は土中埋設部付近の鋼線又は鋼材の劣化から倒壊事故が多発しているため、PCコンクリ−トの防食対策は、極めて重要なテ−マになっている。
【0005】
特に、港湾施設、海上資源掘削装置等の沿岸又は海洋環境にある緊張材として用いられるPCコンクリ−トポールは、コンクリ−ト中の塩分濃度が増大し、鋼線又は鋼材が腐蝕し、発生した錆によって鋼線又は鋼材とコンクリ−トとの付着力が低下し、PCコンクリ−トポールの強度が低下し、破断することもある。
【0006】
PCコンクリ−トポールの防食対策としては、特開平6−166971号公報に記載のように、PC鋼線又は鋼材の表面にポリエチレン等からなる熱可塑性樹脂からなる被覆層と、その表面にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を被覆した粗面層を形成したPCコンクリ−トが記載されている。
【特許文献1】特開平6−166971号公報
【0007】
しかしながら、ポリエチレンは耐アルカリ性等の耐食性に優れるが、コンクリートとの付着性は悪い。またエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂はコンクリートとの付着性はよいが耐アルカリ性等の耐食性が乏しい。また、熱硬化性樹脂を形成するためには、約180℃以上の加熱が必要である。一方、ポリエチレン等からなる熱可塑性樹脂は、約150℃で軟化し、約180℃以上に加熱すると原形を崩してしまう。したがって、ポリエチレン等からなる熱可塑性樹脂層の上にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の層を形成することができないという問題があった。
【0008】
また耐塩性を有する鋼材として、Cu,W,Cr,Ni,Mo等を組み合わせて添加した成分のものが開示されている(特開昭50−23310号公報、特開昭50−98420号公報、特開昭62−188754号公報)。
しかしながら、熱処理を繰り返すことにより、コストが上昇するため、使用が困難であった。
【特許文献2】特開昭50−23310号公報
【特許文献3】特開昭50−98420号公報
【特許文献4】特開昭62−188754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の事情に鑑み、本発明は、PC鋼線又は鋼棒の耐食性と耐塩性を改善したPCコンクリ−トポール及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の如き従来の問題を解決するために、本発明は、鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層のPC鋼線又は鋼棒の耐食性と耐塩性を改善したPCコンクリ−トポール及びパイルとその製造方法を提供するものである。
【0011】
また、鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成する工程と、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成する工程と、前記外部被覆層の外周面にらせん筋を配筋する工程と、その外周にコンクリートを遠心成形する工程とからなるプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法を構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の防食被覆のPCコンクリートポール及びパイルは、防錆力に優れ、コンクリートとの付着力のよい防錆被覆の鋼線及び鋼棒を有する高い耐食性と耐塩性を有するプレストレストコンクリートポール及びパイルが得られた。
【0013】
そして本発明の製造方法は、普通のらせん筋を使用してもPCコンクリートポール及びパイルは十分性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて、さらに詳しく説明するが、本発明は勿論これ等の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明のPC鋼線又は鋼材の製造装置の一実施例を示す略示側面図、図2は、PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される押出機の実施例を示す断面図、図3は、PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイス部分の実施例を示す断面図、図4は、PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイスの実施例を示す断面図、図5は、PC鋼線又は鋼材の実施例を示す斜視図、図6は、図5のA−A面で切断した断面視図である。
【0015】
図1に示すように、先ず繰り出し装置1のリール2から、PC鋼線又は鋼材3が制動装置(図示せず)を経て連続して繰り出しできるようにする。繰り出されたPC鋼線又は鋼材3は、熱硬化性樹脂供給装置4の硬化剤と組み合わせた樹脂液内に導入される。ここでPC鋼線又は鋼材3に熱硬化性樹脂Pが塗布され、加熱装置5で約200℃に加熱され、内層被覆材となる熱硬化性樹脂PがPC鋼線又は鋼材3の外面に被覆される。
【0016】
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが好適である。エポキシ樹脂は液状のものを用い、塗布は常温又は加熱下で行う。エポキシ樹脂は単独で加熱しても硬化せず、硬化剤の添加が必要である。本発明は、鋼線の外周面に熱硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成してから連続して該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなる外部被覆層を形成するので、高温硬化剤として例えばDDSA(Acid−Anhydride)を用いる。その他、エポキシ樹脂は硬化樹脂の特性を満足させるように希釈材、充填材等を用いてもよい。
【0017】
また、熱硬化性樹脂に代えて常温硬化性樹脂を用いてもよい。この場合は、PC鋼線又は鋼材3は、熱硬化性樹脂供給装置に代えて常温硬化性樹脂供給装置の噴霧機内に導入される。ここで内層被覆材となる常温硬化性樹脂が、噴霧機で噴霧される。そのため、PC鋼線又は鋼材3の外面は、常温硬化性樹脂で包み込まれるように被覆される。
【0018】
本発明の常温硬化型液状樹脂としては、次のような三種に分類される、アクリル系等からなる二液性樹脂を使用することが好ましい。
(1)反応型アクリル系接着剤に分類される第二世代アクリル接着剤(SGA)、変性アクリル系接着剤、ハニムーン接着剤と呼ばれる接着剤のうち、無溶剤タイプでアクリル系常温硬化型液状の接着剤に属するものが使用できる。例えばアクリレートモノマ−とメタアクリレートモノマーと各種エラストマーを主成分とし、硬化剤(有機過酸化物)と硬化促進剤(還元剤)とによって、レドックス重合反応型の硬化現象を示すものが使用できる。
(2)常温硬化型無溶剤アクリル系反応性液状組成物で、通常アクリルシラップと呼ばれる反応性液状材料も使用できる。例えばアクリレート系モノマーとアクリレート系オリゴマーとアクリレート系ポリマー等を主成分とし、硬化剤(有機過酸化物)と硬化促進剤(還元剤)とによってレドックス重合反応型の硬化現象を示すものも使用できる。
(3)常温硬化型無溶剤アクリル系反応性液状組成物で、アクリレート系モノマーを主成分とし、硬化剤(有機過酸化物)と硬化促進剤(還元剤)によってレドックス重合反応型の硬化現象を示すものも使用できる。
【0019】
これ等の組成物には、必要に応じて熱可塑性樹脂粉末、熱硬化性樹脂粉末、無機質材粉末や屑材等の粉粒体を混合し、被覆時の流動粘度の調整や、接着性の向上や、止水性の向上や、熱安定性の向上等をはかることもできる。そして、主成分と硬化剤、硬化促進剤を均一に混合し、加圧状態で押出して被覆する。
【0020】
被覆層が形成されたPC鋼線又は鋼材3は、押出成形機8のクロスヘッド6内に導入される。図2に示すように、押出成形機8では溶融筒内81から約200℃で加熱された外層被覆材となる熱可塑性合成樹脂材料であるポリエチレン樹脂Eが、加熱溶融状態で押し出される。
【0021】
図2、図3、図4に示すように、成形ダイス82は中央に円形の中空部83を有する円筒形状からなっており、その内面に多数の小さな凹溝84が放射状に設けられ、これによって被覆層が被覆される。したがって外層被覆材となる熱可塑性合成樹脂材料であるポリエチレンの表面に凸部Sが形成される。成形ダイス82はクロスヘッド6に対してモータ85によって回転させられる。したがって図5に示すように、外層被覆材となる熱可塑性合成樹脂材料であるポリエチレン樹脂Eの表面に形成される凸部Sは、らせん条が形成される。
その後、冷却装置9で冷却された被覆PC鋼線又は鋼材Wは引き取り装置10を経て巻き取り装置12によりリール11に巻き取られる。
【0022】
本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールにおける鋼線とコンクリートとの付着力を確認するためにコンクリート引き抜き試験を行った。
試験は、建材試験センターの「引き抜き試験による鉄筋とコンクリートとの付着強さ試験方法(JSTM)C2101」に準拠して実施した。
【0023】
試験体は圧縮強度40.7N・mm2のコンクリートに埋設したひれ山高さ0.107mm,0.180mmの回転ひれを有し、被覆厚さ0.296mm,0.228mm,直径7mmのPC鋼線と圧縮強度40.7N・mm2のコンクリートに埋設したひれ山高さ0.107mm,0.180mmのストレートひれを有し、被覆厚さ0.296mm,0.228mm,直径7mmのPC鋼線と圧縮強度40.7N・mm2のコンクリートに埋設したインデント付きで被覆がない直径7mmのPC鋼線とを用いた。
【0024】
万能引っ張り圧縮試験機(ミネベアTMO100000X)にて上記試験体にかかる荷重をロードセル、試験体付着位置の変異を変位計で測定した。なお、この試験は財団法人日本船舶品質管理協会製品安全評価センターにおいて、上記の設備を使用して行った。
なお、インデントI付き鋼線とは、図6に示すように、鋼線の表面に凹部を形成したものをいう。その結果、図7に示すように、本発明の防錆被覆鋼線の最大付着応力度は無被覆鋼線の100%を超えており、高い付着性能を有していることが確認された。また、被覆表面のひれ状の凹凸加工は、鋼線の長さ芳香のストレートひれの鋼線に比較してスパイラル状(回転ひれ)の鋼線のほうが付着応力は高いことが解る。
【0025】
次に、本発明のPCコンクリートポール及びパイルの製造方法を説明する。
巻き取り装置26によりリール25に巻き取られたコイル状の被覆PC鋼線又は鋼材をまっすぐに延伸し一定長に切断する。
一定長に切断した後、軸筋の一端の被覆層をはがし、その部分にボタンヘッド加工を行う。図8に示すように、被覆PC鋼線又は鋼材Wの一端を押し電極101で把持し、押し電極101から一定長間隔を置いてクランプ電極102で被覆PC鋼線又は鋼材Wを把持し、500ボルトの電圧を両電極にかけ、押し電極101をクランプ電極102方向に押圧する。図9に示すように、数分後押し電極101側に軸筋の一端にボタンヘッドBが形成される。図10に示すように、ボタンヘッドBは端板111に係合され、その後の被覆PC鋼線又は鋼材のプレストレスのために用いられる。
【0026】
ボタンヘッドBが形成された被覆PC鋼線又は鋼材は軸筋として用途に応じて所定数量を配筋する。一方、熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成した又は熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成しないらせん筋を編組機により正確に組立てる。前記配筋された軸筋とらせん筋を編組して軸筋とらせん筋を結束又は溶接し鉄筋籠を形成する。次いで図10に示すように、鉄筋籠の両端に端板111が設けられる。
【0027】
次いで、鉄筋籠を型枠に取り付け、油圧ジャッキで端板を把持し一気に40ないし100kg/mm2の緊張が加えられる。型枠に鉄筋籠を収納した後、型枠にコンクリートを注入する。型枠の回転数、回転時間を自動制御し、遠心成形してコンクリートを締め固めする。その後、約80℃の温度で8時間養生する。その後、鉄筋籠の緊張を解除し、PCコンクリートポール及びパイルに圧縮強度を与えプレストレスが導入される。その後、脱型し図11に示す軸筋200とらせん筋201とコンクリート202とからなるPCコンクリートポール及びパイルが完成品として形成される。
なお、上記実施例では、PCコンクリートポール及びパイルが円柱状に成形されるものを示したが、通常の方法で、角柱状に成形し、壁体に形成することもできる。
【0028】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成した直線状被覆鋼線の外周面に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を形成しない普通らせん筋を捲回して、これにコンクリートを遠心成形したプレストレストコンクリートポール(改良品)と、鋼線の外周面にらせん鋼線を捲回して、これにコンクリートを遠心成形したプレストレストコンクリートポール(標準品)とについて曲げ試験を行ったところ、表1及び図12に示すように、改良品は標準品と同様なたわみ値を示し、設計破壊荷重以上の値を示し、曲げ変形能力を有していることが明らかになった。
【表1】
【0029】
本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールにおける防錆効果について試験した結果について説明する。
図14に示すように、試料は直径7mmのインデント付き鋼線にポリエチレン樹脂を300ミクロンの厚さに被覆した300mm長の試験片に、両端切断面からの水分の浸入を防止するためにパテ状詰め物で処理したものを試料1とし、試料1の中央部分を幅3mm、長さ30mm の被覆層を切除した試料2とをそれぞれ3本用意した試験方法は、JIS Z 2371中性塩水噴霧試験の方法を用い、試験時間は2000時間とした。試験後、試料に錆の発生の有無を観察した。試験結果は表2のとおりであった。
【表2】
【0030】
本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールはコンクリート中における塩分による腐蝕に対して優れた耐食性を有するものであり、沿岸又は海洋環境にあるPCコンクリートポール又はパイル等に使用すれば、これらの構築物の安全性、耐久性を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のPC鋼線又は鋼材の製造装置の一実施例を示す略示側面図である。
【図2】PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される押出機の実施例を示す断面図である。
【図3】PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイス部分の実施例を示す断面図である。
【図4】PC鋼線又は鋼材の製造装置に使用される成形ダイスの実施例を示す断面図である。
【図5】PC鋼線又は鋼材の実施例を示す斜視図である。
【図6】インデント付き鋼線の一実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明の防錆被覆のPCコンクリートポールにおける鋼線とコンクリートとの付着力を確認するためにコンクリート引き抜き試験を示す比較図である。
【図8】ボタンヘッド加工装置の概略図である。
【図9】ボタンヘッドの一実施例を示す部分斜視図である。
【図10】本発明のボタンヘッド加工装置の部分斜視図である。
【図11】本発明のPCコンクリートポール及びパイルの部分斜視図である。
【図12】本発明のPCコンクリートポール及びパイルの曲げ試験図である。
【図13】本発明のPCコンクリートポール及びパイルの防錆効果を試験するための試料の概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 繰り出し装置
2 リール
3 PC鋼線又は鋼材
4 熱硬化性樹脂供給装置
5 加熱装置
6 押出成形機のクロスヘッド
7 押出成形機の成形ダイス
8 押出成形機
9 冷却装置
10 引き取り装置
11 リール
12 巻き取り装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成した外周面に、らせん筋を配筋して、その外周にコンクリートを遠心成形したことを特徴とするプレストレストコンクリートポール及びパイル。
【請求項2】
前記鋼線の外部被覆層のヒレ状凸部の高さが、前記外部被覆層の表面から0.1ないし0.15mmである請求項1記載のプレストレストコンクリートポール及びパイル。
【請求項3】
前記内部被覆層及び外部被覆層を有する鋼線のコンクリートとの最大付着応力度が、無被覆鋼線の100%以上である請求項1又は請求項2記載のプレストレストコンクリートポール及びパイル。
【請求項4】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成する工程と、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成する工程と、前記外部被覆層の外周面に、らせん筋を配筋する工程と、これにコンクリートを遠心成形する工程とからなることを特徴とするプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法。
【請求項5】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成する工程と、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成して直線状被覆鋼線を形成する工程と、該直線状被覆鋼線の外周面にらせん筋を配筋する工程と、油圧ジャッキで直線状被覆鋼線を緊張する工程と、前記直線状被覆鋼線とらせん状被覆鋼線を型枠に収納する工程と、前記型枠にコンクリートを注入する工程と、前記コンクリートをミキシングする工程と、前記コンクリートを遠心成形する工程と、前記直線状被覆鋼線とらせん状被覆鋼線をコンクリート内に配置したプレストレストコンクリートを蒸気養生する工程と、前記プレストレストコンクリートを前記型枠から脱型する工程と、前記プレストレストコンクリートを養生する工程とからなる請求項4記載のプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法。
【請求項6】
前記直線状被覆鋼線の端部の被覆層をはがした部分にボタンヘッド加工をなす請求項5記載のプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法。
【請求項1】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成し、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成した外周面に、らせん筋を配筋して、その外周にコンクリートを遠心成形したことを特徴とするプレストレストコンクリートポール及びパイル。
【請求項2】
前記鋼線の外部被覆層のヒレ状凸部の高さが、前記外部被覆層の表面から0.1ないし0.15mmである請求項1記載のプレストレストコンクリートポール及びパイル。
【請求項3】
前記内部被覆層及び外部被覆層を有する鋼線のコンクリートとの最大付着応力度が、無被覆鋼線の100%以上である請求項1又は請求項2記載のプレストレストコンクリートポール及びパイル。
【請求項4】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成する工程と、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成する工程と、前記外部被覆層の外周面に、らせん筋を配筋する工程と、これにコンクリートを遠心成形する工程とからなることを特徴とするプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法。
【請求項5】
鋼線の外周面に熱硬化性樹脂又は常温硬化性樹脂を被覆して内部被覆層を形成する工程と、該内部被覆層の外周面を熱可塑性樹脂からなりヒレ状凸部を有する外部被覆層を形成して直線状被覆鋼線を形成する工程と、該直線状被覆鋼線の外周面にらせん筋を配筋する工程と、油圧ジャッキで直線状被覆鋼線を緊張する工程と、前記直線状被覆鋼線とらせん状被覆鋼線を型枠に収納する工程と、前記型枠にコンクリートを注入する工程と、前記コンクリートをミキシングする工程と、前記コンクリートを遠心成形する工程と、前記直線状被覆鋼線とらせん状被覆鋼線をコンクリート内に配置したプレストレストコンクリートを蒸気養生する工程と、前記プレストレストコンクリートを前記型枠から脱型する工程と、前記プレストレストコンクリートを養生する工程とからなる請求項4記載のプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法。
【請求項6】
前記直線状被覆鋼線の端部の被覆層をはがした部分にボタンヘッド加工をなす請求項5記載のプレストレストコンクリートポール及びパイルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−180068(P2009−180068A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22702(P2008−22702)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000228660)日本コンクリート工業株式会社 (50)
【出願人】(390021119)ヒエン電工株式会社 (7)
【出願人】(592042406)北海道コンクリート工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000228660)日本コンクリート工業株式会社 (50)
【出願人】(390021119)ヒエン電工株式会社 (7)
【出願人】(592042406)北海道コンクリート工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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