説明

プロアントシアニジンの豊富な抽出物、及び関連する調製方法

【課題】プロアントシアニジンの含有量の高い破砕した果実、植物、又は、事前に精製済みの抽出物から出発する、プロアントシアニジンの豊富な抽出物を得る工業スケールでも実現可能な方法の提供。
【解決手段】プロアントシアニジンの豊富な破砕した果実若しくは植物又は既に前もって精製された抽出物の水性エタノールによる処理、濾過、真空下での濃縮、脱塩水で任意に希釈された濃縮物の任意保存、濾過、溶液の巨大網状脂肪族架橋ポリマー樹脂への負荷、前記樹脂の水洗浄、水性エタノールによる溶出、溶出溶液の真空下での濃縮、濃縮生成物の真空下での乾燥、又は噴霧乾燥の各ステップ有することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い含量でプロアントシアニジンを含有する抽出物、及び出発反応物として破砕した果実若しくは植物、又はプロアントシアニジンの豊富な前もって調製した抽出物を使用することを含む関連する調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロアントシアニジン、いわゆる縮合タンニン類は、遍在しており、最も豊富な天然のフェノール誘導体である。プロアントシアニジンは、C4〜C8又はC4〜C6結合を介して結合したフラバン−3−オールの繰り返し単位からなるオリゴマー又はポリマーの混合物である。このフラバン−3−オール単位は、C2−O7(Aタイプ)間の追加の二重結合により、二重結合されてもよい。プロアントシアニジンの大きさは、重合度(polymerization degree;DP)で定義される。
【0003】
プロアントシアニジンに含まれる最も一般的なフラバン−3−オールは、アフザレチン(Afzalechin)、エピアフザレチン(Epiafzalechin)、カテキン(Catechin)、エピカテキン(Epicatechin)、ガロカテキン(Gallocatechin)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)である。排他的にカテキン及びエピカテキンからなるプロアントシアニジンは、プロシアニジンと称され、アフザレチン及びエピアフザレチン、又はガロカテキン及びエピガロカテキンを含有するものは、プロペラルゴニジン及びプロデルフィニジンである。プロシアニジンは、天然で最も豊富である。
【0004】
文献に報告されているプロアントシアニジンの生物学的活性には、抗腫瘍、抗炎症、老化防止、抗酸化、抗アレルギー、特に尿路の抗菌、毛髪の成長促進等が挙げられる(非特許文献1及び2)。
【0005】
ツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon)、ぶどうの種、茶葉(tea leave)、ピーナッツ、松樹皮などの種々の起源の植物及び果実からプロアントシアニジンが豊富な抽出物を調製する多くの方法が知られている。
【0006】
これらの方法のいくつかは、例えば特許文献1に記載のような鉱酸の存在下で水性アルコール性溶媒を用いて行う抽出ステップを包含し、或いは特許文献2に開示のようなCOなどの超臨界溶媒を使用することを包含し、或いは、特許文献3に開示の方法におけるように、超濾過膜(ultra filtration membrane)を使用することを必要とする逆浸透濾過を含むものである。
【0007】
その他の方法は、複数の種類の有機溶媒を単独又は互いに組み合わせたものを用いる多段の抽出ステップの組合せを必要とし、少なくとも一つのステップは、特許文献4及び5に開示のように、抽出物を含有する溶液を、巨大網状(macroreticular)ポリマー樹脂上に吸着し、吸着された液体を、続いて溶出し、濃縮し、且つ霧化することに関連する。
【0008】
他の方法によると、非常に高い含量のプロアントシアニジンを含有する抽出物を得ることが可能である。例えば、特許文献6に開示の工程によって、23〜45%の量のオリゴマープロアントシアニジン(OPC)を有する80〜90%の範囲の全プロアントシアニジン含量の抽出物を得ることが可能であり、この方法は、松樹皮などの植物又はその抽出物若しくは分泌液を、いわゆる材料の種類、細孔半径、特定の表面積及び分子量分布範囲の特徴の少なくとも1つが異なる少なくとも2つの種類の吸着樹脂で処理することを含む。又は、特許文献7に開示の方法により、67〜85%の全プロアントシアニジン含量及び12.5〜51%のOPC含量を有する抽出物を得ることが可能であって、この方法は、植物の抽出物又は圧搾した分泌液について、塩又はアルカロイドと処理し、且つ合成吸着樹脂を用いた処理の両方を組み合わせた処理を行うことを含む。
【0009】
多数の先行技術が、高いプロアントシアニジンの力価を有する抽出物を得ることを可能にするにもかかわらず、市販の抽出物は、7%未満のプロアントシアニジンの力価を有する。
【0010】
従って、このことが意味するのは、高いプロアントシアニジンの力価を有する抽出物を調製する先行技術の方法が、有害な抽出溶媒を使用すること、長時間(約24時間)にわたる非常に高い抽出温度(約100℃)、超臨界溶媒の場合などで圧力装置を使用すること、又は超浸透膜を使用することなどのいくつかの理由により、工業スケールで容易に実現可能ではないことである。
【特許文献1】中華民国特許第1454896号明細書
【特許文献2】中華民国特許第174923号明細書
【特許文献3】特開昭63−267774号公報
【特許文献4】米国特許第6,608,102号明細書
【特許文献5】米国特許第6,440,471号明細書
【特許文献6】カナダ国特許第2539724号明細書
【特許文献7】欧州特許第1,602,653号明細書
【非特許文献1】Bart Schwitters及びJack Masquelier著、”21th century Biophylaxis substance OPC”、Fragrance Journal、1997年、p.50〜135
【非特許文献2】Tomoya Takajashiら著、Journal of investigative dermatology、1999年、p.112(310.316)
【非特許文献3】Gu L.Kelmら著、”Fractionation of polymeric from low bush blueberry and quantification of procyanidins in selected foods with optimized normal phase HPLC.MS fluorescent detection method”、J.Agr.Food Chem.、2002年、50巻、p.4852〜4860
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、先行技術の方法の欠点に影響されない高いプロアントシアニジンの力価を有する抽出物の調製方法を得ること、従って、工業スケールで実現可能な方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願出願人は、高いプロアントシアニジンの力価を有する抽出物を工業スケールで容易に実現し得る方法を見出した。
【0013】
この方法は、既に前もって精製された抽出物又はプロアントシアニジンの豊富な果実若しくは植物から出発して、プロアントシアニジンの豊富な抽出物を得ることを可能にするものであって、下記の各ステップを有する。
【0014】
a)プロアントシアニジンの高い含量の破砕した果実又は植物又はプロアントシアニジンの豊富な既に前もって精製した抽出物を、室温で、50〜80容量%のエタノールを有する水性エタノールで抽出するステップ;
b)ステップa)に由来の混合物を濾過するステップ;
c)ステップb)に由来する濾過した溶液を、真空下で濃縮するステップ;
d)ステップc)に由来の濃縮した生成物を、5〜24時間の時間の間、任意で保存するステップであって、この生成物は、任意で前もって脱塩水で希釈されたものである、ステップ;
e)ステップc)に由来の濃縮して保存された生成物、又は水を用いた濃縮がステップd)で行われなかった場合のステップd)に由来の生成物を脱塩水で希釈するステップ;
f)ステップe)に由来の混合物を濾過するステップ;
g)上記の溶液を、巨大網状脂肪族架橋ポリマー樹脂に負荷するステップ;
h)この樹脂を水で洗浄するステップ;
i)ステップh)に由来の巨大網状脂肪族架橋ポリマー樹脂を、50〜80容量%のエタノール含量を有する水性エタノールで溶出するステップ;
j)前のステップに由来する溶出溶液を、真空下で濃縮するステップ;及び
k)ステップj)に由来する濃縮生成物を真空下で乾燥し、又は噴霧乾燥するステップ。
【0015】
この方法は、水性エタノールを用いた穏やかな条件を用いることにより、且つ水性エタノールなどの無毒性の溶媒を脱離ステップで用いた巨大網状ポリマー樹脂によるひとつのみの吸着ステップを用いることにより、10%以上のプロアントシアニジン、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上のプロアントシアニジンを含有する抽出物を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の目的においてプロアントシアニジンの豊富な果実又は植物の意味するところは、例えば、ツルコケモモ、リンゴ、黒イチゴ、ブドウ、プラム、ザクロ、キイチゴ、イチゴ、ソラマメ、レンティル、茶である。
【0017】
本発明による方法において、出発材料として、ツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon)が好ましく用いられる。
【0018】
ステップa)において、抽出溶媒は、好ましくは60〜75容量%、より好ましくは70容量%のエタノール含量を有する。
【0019】
抽出時間は、好ましくは、10分〜2時間、より好ましくは30分である。
【0020】
本発明による方法は、ステップa)において破砕した果実又は植物を出発材料として用いる場合、さらなるステップを包含し、水性エタノールを用いた抽出ステップa)に由来の上記の破砕した果実又は植物は、ステップb)の濾過が行われる前に、圧搾される。
【0021】
ステップd)は、任意のステップであって、いかなる場合であっても、このステップが行われる場合、保存時間は、好ましくは8〜20時間、より好ましくは15時間である。
【0022】
吸着された溶液を含有する樹脂の脱塩水による洗浄、いわゆる本発明の方法のステップh)は、糖及びフェノール酸を除去する目的で行われる。
【0023】
果実がアントシアニンを豊富に有する場合、本発明による方法は、水を用いた上記の洗浄ステップの後、60%(容量/容量)のメタノール含量を有する水性メタノールを用いて樹脂からアントシアニンを除去するさらなる洗浄ステップを有してもよい。
【0024】
ステップi)において、溶出溶媒、いわゆる水性エタノールの濃度は、60〜75容量%、より好ましくは70容量%のエタノール含量を有する。このステップで利用される巨大網状脂肪族架橋樹脂は、公知且つ市販のものから選択してもよい。
【0025】
ステップj)は、35〜45℃、より好ましくは40℃の温度で、真空下で好ましく実行される。
【0026】
また、本願出願人は、最終抽出物におけるプロアントシアニジンの力価をHPLCにより同定する分析方法を最適化した。
【0027】
この方法は、下記の2つの異なるステップを有する。
【0028】
1.分析対象の抽出物の精製
2.その分析
【0029】
(ステップ1:分析対象の抽出物の精製)
SephadexLH20カラムの調製
10gのSephadexLH20を、少なくとも3時間、脱塩水(約50mL)で膨潤させ、その後、Pharmacia Biotech社製のガラスカラムC16に充填した。この樹脂を、約130mLの脱塩水で洗浄した。
【0030】
SephadexLH20樹脂に負荷される溶液の調製
カラムに負荷されるλ=280nmの吸光を有する傾向の化合物を得る目的で、分光光度分析を行った。
【0031】
抽出物又は溶液を、λ=280nmにおいて32〜48の吸光度(又は、1/50で希釈後した吸光度が0.8±20%)を得るように、20%メタノールで希釈した。
【0032】
SephadexLH20での精製
20%のメタノールで希釈し上記の範囲の吸光度を有する上記の溶液を、4000rpmで15分間、遠心分離した。
【0033】
その上清の溶液20mLを、上記の樹脂に負荷し、下記の3つの溶出を行った。
【0034】
溶出1:20%メタノール80mL
溶出2:60%メタノール160mL
溶出3:100%メタノール240mL
【0035】
約2mL/分の流速で、これらの溶出を行った。溶出1及び2に由来する溶出された溶液は、廃棄した。
【0036】
溶出3に由来する溶液の最初の20〜30mLは、廃棄し、その後、残りの溶出された溶液を収集した。
【0037】
溶出された溶液から、蒸発により溶媒を除去し、得た残渣を乾燥した。
【0038】
乾燥抽出物を、HPLCによる分析用の79:29.5:0.5の容量比を有するアセトン/水/酢酸の混合物で希釈して、1〜1.7mLの最終容量のものを得た。なお、この容量は、Vとして表記する。
【0039】
(2.HPLC分析)
較正表
プロアントシアニジンの分析に用いる標準物質は、プロシアニジンB2(エピカテキン4β→8)である。
【0040】
各溶液を、下記の表に記載の通り、調製した。
【0041】
溶液 プロシアニジンB2(mg) アセトン/水/酢酸
(70:29.5:0.5)(mL)
1 0.15 10
2 0.75 5
3 1.7 5
4 0.6 1
5 0.9 1
【0042】
プロシアニジンB2の濃度の算出
B2=(m×1000)/V
ここで、CB2は、プロシアニジンB2の濃度(mg/L)であり、
mは、プロシアニジンの重量(mg)であり、
Vは、アセトン/水/酢酸の容量(mL)である。
【0043】
HPLCの条件
カラム:
Luna silica5μm(250×4.6mm)(Phenomenex社製)
検出カートリッジ(カートリッジのグレード)3mm
溶出溶媒:
溶媒(A):メタノール
溶媒(B):ジクロロメタン
溶媒(C):酢酸/水(1:1)(v/v)
【0044】
溶出時間(分) 溶媒(A)(%) 溶媒(B)(%) 溶媒(C)(%)
0 14.0 82.0 4
20 23.6 72.4 4
50 35.0 61.0 4
55 86.0 10.0 4
65 86.0 10.0 4
70 14.0 82.0 4
:容量百分率
【0045】
溶出の流速:1mL/分
カラム温度:37℃
スペクトルの範囲:200〜700nm
波長:λ=280nm
注入容量:5μL
【0046】
標準溶液の分析
上記の標準溶液を、HPLCで分析した。
【0047】
分析後、上記の較正表を、HPLCソフトウェアに挿入する(プロシアニジンB2濃度に対する面積)。
【0048】
サンプルの分析
アセトン/水/酢酸(70:29:0.5)で希釈したサンプルを、HPLCで分析した。
【0049】
クロマトグラフ分析
精製及びHPLC分析の後に得たツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon)を、質量分光光度分析により同定し、プロアントシアニジンは、13.5〜50分の保持時間を有するピークに対応する。
【0050】
積分方法は、非特許文献3に由来するものである。
【0051】
これは、開始から終点までの平坦なベースラインを描くことからなる。隣合うオリゴマーのピーク間の谷の最も低い位置から上記の平坦なベースラインまでに垂線をひく。曲線のカーブ、2つの隣り合う垂線及び平坦なベースラインで囲まれた面積を積分した。この面積は、上記の較正表に含まれるべきである。
【0052】
得たデータの分析
HPLCソフトウェアにより、分析する溶液のプロアントシアニジン濃度(mg/L)を算出することが可能となる。
【0053】
プロシアニジンB2の較正表により、各ピーク面積に対応したプロアントシアニジンの濃度を有することが可能となる。
【0054】
プロアントシアニジンの各ピークの濃度を加算し、その結果は、分析する溶液のプロアントシアニジンの濃度に対応する(CLUE(mg/mL))。
【0055】
プロシアニジンB2の等量として表現された、上記のSephadexに負荷した溶液のプロアントシアニジンの濃度C(mg/L)は、下記の式を適用して得てもよい。
C=(CLUE×V)/20
は、分析した溶液の容量(1〜1.7mL)を示す。
【0056】
破砕したツルコケモモ(例1)から出発して調製した例、及び既に前もって精製された抽出物(例2)の例を、例証目的で且つ非限定的な目的で報告する。
【0057】
(例1−破砕したツルコケモモに由来のプロアントシアニジンの豊富な抽出物)
50kgの破砕したツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon)、及び100Lの70%(v/v)水性エタノールを30分間攪拌し、その後、この破砕した果実を圧搾し、全混合物を、25μmのふるい上で濾過し、約120kgの重量の澄明なエタノール抽出物を得た。
【0058】
このエタノール抽出物を、40℃の温度で、真空下、濃縮し、約10kgの重量の残渣を得た。その後、これを、10Lの脱塩水で希釈し、約20kgの重量の希釈抽出物を得、これを、15時間、室温で保存する。
【0059】
その後、この希釈抽出物を、10μmのふるい上で濾過した。
【0060】
25Lの市販の巨大網状脂肪族架橋樹脂を、75Lの脱塩水で洗浄し、その後、これを、ガラスカラムに充填し、20kgの上記の濾過した水溶液を添加した。吸着した抽出物を有する上記の樹脂を、100Lの脱塩水で洗浄し、その後、100Lの70%(v/v)エタノールで溶出した。
【0061】
その後、溶出した溶液を、40℃で、真空下、濃縮し、約20kgの濃縮抽出物を得、最終的に霧化して、粉末を得た。
【0062】
この抽出物を、上記に言及した分析方法で分析した。図1及び2は、HPLCのクロマトグラム、その保持時間、各ピークの面積、及び各ピークをmg/mLで表記した対応する濃度、並びに6824.24mg/Lであるプロアントシアニジンの全濃度又はCLUEを示す。
【0063】
は、1.7mL(HPLCで分析した全容量)である。
【0064】
従って、C=(CLUE×V)/20の式を適用すると、C=6824.24×1.7/20=580.06mg/Lである。
【0065】
201.5mgの最終抽出物を用いて水性エタノール溶液(MeOH20%)を調製した。この溶液の容量Vは、72mLである。
【0066】
580.06×0.072=41.76mgのプロアントシアニジン
(41.76/201.5)×100=20.73%
【0067】
(例2−既に前もって精製された抽出物から調製した抽出物)
この例で使用したツルコケモモの抽出物は、Tournay technologies社製のバッチ番号L7015であるEXOCYAN CRAN10であって、上記に開示の方法で分析した。プロアントシアニジンの含量は、7%であった。
【0068】
このツルコケモモの抽出物607.7mgを、100mLの70%(v/v)の水性エタノールで30分処理した。この溶液を濾過し、その後、例1の様式を用いて真空下で濃縮し、一昼夜保存した。
【0069】
この濃縮した溶液を、10mLの脱塩水で希釈し、その後、濾過した。
【0070】
この溶液を、市販の巨大網状脂肪族架橋樹脂上に負荷し、その後、水(200mL)で洗浄し、70%エタノールで溶出し、得た溶液を、真空下で濃縮した。
【0071】
得た濃縮物を、乾燥し、最終的に得た抽出物(158.2mg)を分析した。上記の方法で評価したそのプロアントシアニジンの含量は、18.0%である。
【0072】
従って、この最終的な抽出物におけるプロアントシアニジンの濃度は、出発物質である上記の抽出物よりも、2.6倍高いものであった。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】HPLCクロマトグラムを示す。
【図2】例1で言及したように調製した分析サンプルの、保持時間、面積、各ピークの対応する濃度をmg/mLで表示したもの、及び全濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物、果実、又はプロアントシアニジンの豊富な既に前もって精製された抽出物から出発するプロアントシアニジンの豊富の抽出物を得る方法であって:
a)プロアントシアニジンの豊富な破砕した果実若しくは植物又は既に前もって精製された抽出物を、50〜80容量%のエタノール濃度を有する水性エタノールで処理するステップと;
b)ステップa)に由来の混合物を濾過するステップと;
c)ステップb)に由来する濾過した溶液を、真空下で濃縮するステップと;
d)ステップc)に由来の濃縮した生成物を、5〜24時間の時間の間、任意で保存するステップであって、この生成物は、前もって脱塩水で任意に希釈されたものである、ステップと;
e)ステップc)に由来の保存された生成物、又は水を用いた濃縮がステップd)で行われなかった場合のステップd)に由来の濃縮され保存された生成物を脱塩水で希釈するステップと;
f)ステップe)に由来の混合物を濾過するステップと;
g)前記溶液を、巨大網状脂肪族架橋ポリマー樹脂に負荷するステップと;
h)前記樹脂を水で洗浄するステップと;
i)ステップh)に由来の巨大網状脂肪族架橋ポリマー樹脂を、50〜80容量%のエタノール含量を有する水性エタノールで溶出するステップと;
j)前のステップに由来する溶出溶液を、真空下で濃縮するステップと;
k)ステップj)に由来する濃縮生成物を真空下で乾燥し、又は噴霧乾燥するステップと;
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップa)で使用されるプロアントシアニジンの豊富な前記果実又は植物は、ツルコケモモ、リンゴ、黒イチゴ、ブドウ、プラム、ザクロ、キイチゴ、イチゴ、ソラマメ、レンティル及び茶から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記のプロアントシアニジンの豊富な果実は、ツルコケモモ(Vaccinium macrocarpon)であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)で使用される前記水性エタノールは、60〜75容量%のエタノール含量を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水性エタノールは、70容量%のエタノール含量を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップa)は、10分〜2時間の時間の間、行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記時間は、30分であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップa)においてプロアントシアニジンの豊富な破砕した果実が使用される場合、エタノールを用いた処理に由来する破砕した果実は、前記ステップb)を行う前に、圧搾されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップd)の保存時間は、8〜20時間であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記保存時間は、15時間であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップi)において、60〜75容量%のエタノール含量を有する水性エタノールが使用されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記水性エタノールは、70容量%のエタノール含量を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法で調製した、10%以上のプロアントシアニジン力価を有することを特徴とする抽出物。
【請求項14】
前記プロアントシアニジン力価は、15重量%以上であることを特徴とする請求項13に記載の抽出物。
【請求項15】
前記プロアントシアニジン力価は、20重量%以上であることを特徴とする請求項14に記載の抽出物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−35550(P2009−35550A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199935(P2008−199935)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(508234394)フェルラックス エス.エイ. (1)
【Fターム(参考)】