説明

プロジェクタ、及びプロジェクタ等に用いられる偏光部材

【課題】
複数の反射により光路方向が異なる反射光を処理することにより、小型でありながら、入射光に対して広い有効な領域を有する反射型の偏光部材及びこれを用いることにより長寿命であるプロジェクタを提供する。
【解決手段】
光入射面34における全反射条件を考慮し、さらに、底角αを好適には90°又は略90°とすることにより、光排出面36に対する各戻り光RLの傾斜方向が逆で、略等しい入射角度となるように配置された状態で、反射光すなわち不要光成分が光排出面36の透過領域面ATから排出されるので、光路方向が異なる不要光成分を入射面側に戻すことなく排出し、吸光体に入射させる等の処理が施される。また、これをプロジェクタに用いることにより長寿命化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を投射するプロジェクタ及び偏光調整機能を有することによりプロジェクタ等に用いられる偏光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ライトバルブを組み込んだタイプのプロジェクタ等において、偏光状態を調整するために、通常、液晶パネルの入射面側及び射出面側には偏光素子が配置される。
【0003】
偏光素子としては、光吸収型の偏光板が多く用いられるが、光吸収型の偏光板は、耐光性及び耐熱性に劣り寿命が短いという問題があった。このような問題を解決するべく構造複屈折偏光板といった光反射型の偏光板を用いることにより偏光素子の耐光性や耐熱性を向上させるものが知られている(特許文献1参照)。また、特許文献1には、射出側に設けた反射型の偏光板で反射された不要光である反射光が光の入射側に戻り誤動作の原因となることがないように、偏光板からの反射光が入射面側に対して全反射条件を満たすようなプリズムが開示されている。
【特許文献1】WO01/055778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリズム内で生じる2回以上の反射により、反射光の光路はさらに複雑なものとなる。例えば、プリズムの入射面で全反射された後に再び射出側の偏光板で反射される多重反射光についても考える必要がある。この場合、入射面を介してプリズム内に入射する入射光のうち、例えば、入射箇所が排出領域から遠いものは、最終的に多重反射光が排出領域から排出されず入射面側に戻ってしまう可能性があり、これを回避するために、入射時に有効な入射光の領域をプリズム全体に対して狭くするといった対策をしなくてはならないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、プリズム内での複数回の反射により光路方向が異なる反射光を処理することにより、小型でありながら、入射光に対して広い有効領域を有する反射型の偏光部材及びこれを用いることにより長寿命であるプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る偏光部材は、入射する光のうち所定方向の直線偏光成分を透過し前記所定方向の直線偏光以外の成分を反射する反射型偏光素子と、入射光を入射する光入射面と、光入射面に対して所定の傾き角で配置された光射出面と、前記光射出面に設けられた前記反射型偏光素子によって反射され前記光射出面を介して内部に入射する戻り光を前記光入射面に入射する入射光の光路および前記反射型偏光素子を透過した光の光路に交差しない方向へ排出する光排出面とを有し、前記光排出面が、光射出面を介して内部に入射する戻り光のうち光入射面及び/又は前記反射型偏光素子で異なる回数反射し光路が異なる光が、傾斜方向が逆でも略等しい入射角度で入射し透過する透過領域面を含む戻り光分岐プリズムと、を備える。
【0007】
上記偏光部材の光入射面から入射した入射光は、光射出面より射出され、所定方向の直線偏光成分以外が、反射型偏光素子によって反射され、戻り光として戻り光分岐プリズム内に入射する。入射した戻り光は、入射位置に依存して当該プリズム内で異なる回数の反射をすることにより、光路が異なる。このうち、例えば、光変調装置が位置する当該プリズムの入射面側に戻る戻り光が存在する可能性がある。しかし、当該プリズムが、入射面側に戻る戻り光を光入射面で全反射させ、この全反射された戻り光を透過させることで光路外へ排出する透過領域を含む光排出面を有し、これらの戻り光が光排出面に対して傾斜方向が逆でも略等しい入射角で入射されることにより、光路方向が異なる戻り光を光入射面から入射光の光路へ戻すことなく処理できる。このような光反射型の偏光素子を、例えばプロジェクタ等の光学装置に用いれば、光吸収型の偏光素子を用いた場合に比べ、プロジェクタ等の光学装置の寿命が長くなる。
【0008】
また、本発明の具体的な態様として、偏光部材が、反射型偏光素子の光路後段に配置され、当該反射型偏光素子を透過した全ての光の前記偏光部材内の光学的光路長が同一となるように調節する光路調整プリズムをさらに備える。この場合、光路調整プリズムによって、反射型偏光素子を透過した光の戻り光分岐プリズム内での光学的光路長差が補正されて偏光部材内での光学的光路長を同一に揃えることが可能となる。
【0009】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、前記戻り光分岐プリズムは、光排出面の透過領域面が、光射出面に対して垂直である。この場合、光入射面に垂直に入射する光に関しては、光排出面を、戻り光の成分のうち異なる回数の反射により光路方向が異なった複数のものに対して、傾斜方向が逆で略等しい入射角度となるように配置することができる。また、光射出面で反射されて光排出面に直接入射する光は、光排出面で反射され入射光の光路を平行移動した経路を入射時とは逆向きに進行し、外部に排出される。
【0010】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、前記戻り光の光入射面での反射は全反射である。この場合、反射の回数は、入射光の入射箇所に依存し、また、全反射であることから、反射される光は、光入射面から排出されない。
【0011】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、戻り光分岐プリズムが、屈折率が1.415以上である。この場合、光入射面で、全反射が生じやすくなる。
【0012】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、反射型偏光素子が、光射出面に対して平行に配置される。この場合、反射型偏光素子で反射された反射光が、戻り光として戻り光分岐プリズムへ再入射する際、戻り光の光路方向が一様に保てる。
【0013】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、前記戻り光分岐プリズムの光入射面と光射出面とが、ともに矩形であり、所定の傾き角が、矩形の短辺方向間に関して設けられる。この場合、傾き角が矩形の長辺方向間に関して設けられる場合よりも戻り光分岐プリズムを薄くすることができる。
【0014】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、反射型偏光素子が、光射出面の傾斜方向に対応して相対的に透過性が高くなる偏光成分を選択的に透過させる。この場合、必要光をより効果的に透過させることができ、コントラストを向上させることができる。
【0015】
また、本発明の偏光部材の具体的な態様として、戻り光分岐プリズムが、光排出面と光射出面とによって形成されるべき稜部分が前記光入射面に平行な面で面取りされて形成された全反射面を備える。この場合、戻り光分岐プリズムを厚くすることなく反射光の光路を制御できる。
【0016】
本発明に係る第1のプロジェクタは、照明光を射出する照明装置と、照明装置からの照明光を変調する光変調装置と、光変調装置の後段に配置されるとともに、前記光変調装置で変調された変調光のうち所定方向の直線偏光のみ透過させて像光を射出する偏光部材と、光変調装置及び前記偏光部材で形成された像光を投射する投射光学系とを備え、前記偏光部材は、前記いずれかの本発明の偏光部材であることを特徴とする。
【0017】
このように、当該プロジェクタでは、前記本発明の偏光部材の同様の効果を奏するとともに、前記偏光部材は、前記いずれかの本発明の偏光部材であることを特徴とする光反射型の偏光素子を用いることにより、光吸収型の偏光素子を用いた場合に比べ長寿命となるだけでなく、省スペースで確実に戻り光の発生を抑えることができる。
【0018】
また、本発明に係る第2のプロジェクタは、照明光を射出する照明装置と、前記照明装置からの照明光を変調する光変調装置と、前記光変調装置の光路前段に配置され、所定方向の直線偏光のみを前記光変調装置に射出する偏光素子と、前記光変調装置の後段に配置されるとともに、前記光変調装置で変調された変調光のうち前記所定方向の直線偏光と直交する方向の直線偏光のみ透過させて像光を射出する偏光部材と前記偏光素子、前記光変調装置及び前記偏光部材で形成された像光を投射する投射光学系とを備え、前記偏光素子は、前記いずれかの本発明の偏光部材であることを特徴とする。
【0019】
このように、当該プロジェクタでは、前記本発明の偏光部材の同様の効果を奏するとともに、当該偏光部材によって、光変調装置に入射する照明光の偏光方向を特定方向に限定することができ、さらに、光反射型の偏光素子を用いることにより、光吸収型の偏光素子を用いた場合に比べ長寿命となる。
【0020】
また、本発明に係る第3のプロジェクタは、照明光を射出する照明装置と、照明光を所定波長ごとに色分離する色分離光学系と、色分離光学系で分離された各色光をそれぞれ変調する複数の光変調装置と、前記複数の光変調装置の光路後段にそれぞれ配置されるとともに、前記複数の光変調装置で変調された変調光のうち所定方向の直線偏光のみを透過させて像光を射出する複数の偏光部材と、前記複数の光変調装置及び前記複数の偏光部材で形成された前記各色光それぞれの像光を合成する色合成光学系と、前記色合成光学系で合成された像光を投射する投射光学系とを備え、前記複数の偏光部材のうち少なくとも1つは、前記いずれかの本発明の偏光部材であることを特徴とする。
【0021】
このように、当該プロジェクタでは、前記本発明の偏光部材の同様の効果を奏するとともに、各色光のうち必要な箇所に光反射型の偏光素子を用いることにより、光吸収型の偏光素子のみを用いた場合に比べ長寿命となるだけでなく、省スペースで確実に戻り光の発生を抑えることができる。また、この場合、当該プロジェクタは、カラー画像を投影することができる。
【0022】
また、本発明に係る第4のプロジェクタは、照明光を射出する照明装置と、前記照明光を所定波長ごとに色分離する色分離光学系と、前記色分離光学系で分離された各色光をそれぞれ変調する複数の光変調装置と、前記複数の光変調装置の光路前段にそれぞれ配置され、所定方向の直線偏光のみを前記光変調装置に射出する複数の偏光素子と、前記複数の光変調装置の光路後段にそれぞれ配置されるとともに、前記複数の光変調装置で変調された変調光のうち前記所定方向の直線偏光と直交する方向の直線偏光のみを透過させて像光を射出する複数の偏光部材と、前記複数の光変調装置及び前記複数の偏光部材で形成された前記各色光それぞれの像光を合成する色合成光学系と、前記色合成光学系で合成された像光を投射する投射光学系とを備え、前記複数の偏光素子のうち少なくとも1つは、前記いずれかの本発明の偏光部材であることを特徴とする。
【0023】
このように、当該プロジェクタでは、前記本発明の偏光部材の同様の効果を奏するとともに、当該偏光部材によって、光変調装置に入射する照明光の偏光方向を特定方向に限定することができ、さらに、光反射型の偏光素子を用いることにより、光吸収型の偏光素子を用いた場合に比べ長寿命となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るプロジェクタ50を説明するための図である。本実施形態に係るプロジェクタ50は、照明光を形成する照明装置10と、偏光度を高める偏光子20と、変調光を形成する光変調装置である液晶パネル25と、変調光から像光を形成する偏光部材30と、投射光学系である投射レンズ40とを備える。照明装置10、偏光子20、液晶パネル25、偏光部材30および投射レンズ40を構成する光学素子は、所定の照明光軸を基準に位置決めされている。
【0025】
照明装置10は、光源装置1と、レンズアレイ2、3と、偏光変換素子アレイ4と、重畳レンズ5と、フィールドレンズ6とを備える。
【0026】
光源装置1は、光源ランプと該光源ランプから放射された光を一定方向に揃えて光源光WLを射出するリフレクタとを備える。光源光WLの中心軸は照明光軸と一致する。本例では、光源ランプとして高圧水銀ランプを採用しているが、これ以外にメタルハライドランプやハロゲンランプを採用することもある。また、本例では、リフレクタとして放物面鏡を採用しているが、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成も採用することもできる。
【0027】
レンズアレイ2は、照明光軸に直交する面内に配列される複数の小レンズを備える。レンズアレイ2の各小レンズの輪郭形状は、液晶パネル25の外装形成領域の形状と略層字形をなすように設定される。例えば、液晶パネル25の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定される。
【0028】
レンズアレイ3は、レンズアレイ2と略同様の構成であり、照明光軸に直交する面内に配列された小レンズを備える。
【0029】
偏光変換素子アレイ4は、照明光軸に対して傾斜配置される変光分離膜および反射膜を交互に配列した構成を備える。
【0030】
偏光子20は、サファイアガラス等の基板に偏光膜が設けられた構成を備える。
【0031】
液晶パネル25は、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたパネル本体を、保持枠内に収納して構成される。
【0032】
偏光部材30は、詳しくは後述するが、戻り光分岐プリズム31と、反射型偏光素子32と、光路調整プリズム33とを備える。
【0033】
投射レンズ40は、筒状の筐体内に複数のレンズが収納された組レンズを備える。
【0034】
以下、画像形成の手順に従って、本実施形態におけるプロジェクタ50を説明する。
【0035】
光源装置1は、該光源ランプから放射された光を一定方向に揃えて光源光WLを射出する。
【0036】
レンズアレイ2は、光源装置1より射出された光束を部分光束に分割する。
【0037】
レンズアレイ3は、重畳レンズ5とともに、レンズアレイ2によって分割された各部分光束を液晶パネル25の画像形成領域上に重畳させて液晶パネル25の画像形成領域上での照明光の光量分布を均一化する。
【0038】
偏光変換素子アレイ4は、レンズアレイ3からの各部分光束の偏光方向を1種類の直線偏光光に偏光変換する。偏光変換素子アレイ4で1種類の直線偏光に変換された各部分光束は、重畳レンズ5によって液晶パネル25の画像形成領域上に重畳される。
【0039】
フィールドレンズ6は、レンズアレイ3から射出された部分光束を照明光軸に対して略平行な光束に変換することによって、照明光SLの偏光子20への入射角度が調整され、照明光SLとして照明装置10より偏光子20へ射出される。
【0040】
偏光子20に入射した照明光SLは、偏光子20が液晶パネル25で変調される一定方向の直線偏光のみを透過し一定方向の直線偏光以外の光を吸収することによって偏光方向がより狭い範囲に限定され、偏光度が高められた状態で、液晶パネル25に入射する。
【0041】
液晶パネル25は、画像情報に応じて照明光SLを変調し変調光MLを形成する。形成された変調光MLは、偏光部材30により所定方向の直線偏光のみが透過される。なお、偏光子20で透過される直線偏光の方向と、偏光部材30で透過される直線偏光の方向とは互いに直交するように設定されている。液晶パネル25で変調された変調光MLは、まず、液晶パネル25の光路後段側に配置されている偏光部材30の戻り光分岐プリズム31に入射する。戻り光分岐プリズム31を透過した変調光MLは、次に、反射型偏光素子32に入射する。ここで、入射した変調光MLの偏光成分のうち、必要光である所定方向の直線偏光成分(例えば紙面に対して垂直な偏光光)は、反射型偏光素子32を透過し、光路調整プリズム33によって偏光部材30を透過する全ての光束の光学的光路長が同一となるように調整される。
【0042】
一方、入射した変調光MLの偏光成分のうち、不要光である所定方向の直線偏光成分以外の光は、反射型偏光素子32で反射され、反射型偏光素子32での反射光が、戻り光RLとして戻り光分岐プリズム31に再入射する。再入射した戻り光RLは、戻り光分岐プリズム31が有する機構により、液晶パネル25側に戻ることなく変調光MLの光路外に排出される(詳しくは後述する。)。本実施形態のプロジェクタ50では、光反射型偏光素子32を用いているので、光吸収型の偏光素子を用いた場合に比べ、発熱量が低く、長寿命となる。
【0043】
投射レンズ40は、偏光子20、液晶パネル25および偏光部材30により形成された光学像を投射光としてスクリーン等に所望の拡大率で投影する。
【0044】
また、本実施形態では、反射型偏光素子32を備える偏光部材30を液晶パネル25の後段に設けたが、反射型偏光素子を用いた同様の偏光部材を液晶パネル25の前段に用いることも可能である。この場合、偏光部材30と同様の構成を有し、偏光部材30が透過する直線偏光の方向と直交する方向の直線偏光を透過する反射型偏光素子を用いた偏光部材を偏光子20に置き換えて設置することによって、偏光子20と同様に液晶パネル25で変調される直線偏光の方向をより狭い範囲に限定し、偏光度を高めることができるだけでなく、その耐久性を高めることができる。
【0045】
図2は、図1のプロジェクタ50に用いられている偏光部材30を説明するための図である。既述のように、偏光部材30は、戻り光分岐プリズム31と、反射型偏光素子32と、光路調整プリズム33とを備える。
【0046】
戻り光分岐プリズム31は、三角柱プリズムであり、液晶パネル25に対向し、液晶パネル25からの変調光MLが略垂直に入射する入射領域AIを含む光入射面34と、光入射面34に対して所定の傾き角である頂角θで配置された光射出面35と、光射出面35を介して内部に入射する戻り光RLを変調光MLの光路外へ排出する透過領域面ATを含む光排出面36とを備える。これら三面によって戻り光分岐プリズム31の側面が形成されている。また、光射出面35と光排出面36とがなす角を底角αとし、特に、本実施形態において、底角αは90°とする。即ち、光排出面36は、光射出面35に対して垂直である。尚、戻り光RLを排出する領域であって、光入射面34上の入射領域AI外を透過領域AT′とする。
【0047】
反射型偏光素子32は、戻り光分岐プリズム31の光射出面35に対して平行に配置されている。特に、本実施形態では、サファイア等の透明板に反射型偏光層が設けられた反射型偏光素子32が戻り光分岐プリズム31の光射出面35に貼付されているものとする。
【0048】
また、光路調整プリズム33は、反射型偏光素子32を透過した透過光TLが入射する入射面37と、光路調整プリズム33を透過した透過光TLを射出する射出面38とを備える。入射面37は、反射型偏光素子32に対して平行になるように、また、射出面38は戻り光分岐プリズム31の光入射面34と平行になるように構成されている。特に、本実施形態においては、光路調整プリズム33は入射面37が反射型偏光素子32に貼付されているものとする。
【0049】
尚、光路調整プリズム33は、戻り光分岐プリズム31の屈折率nと同一の屈折率を有し、入射面37と射出面38とがなす角φが頂角θに等しい。光路調整プリズム33により、戻り光分岐プリズム31の光入射面34から入射し光路調整プリズム33の射出面38から射出される光束の全ての偏光部材30内の光学的光路長が同一となるように揃えることが可能となる。さらに、射出面38は戻り光分岐プリズム31の光入射面34と平行であるから、戻り光分岐プリズム31の光入射面34から入射した必要光である直線偏光成分が光路調整プリズム33によって屈折すること無く射出される。
【0050】
また、光路調整プリズム33の屈折率が戻り光分岐プリズム31の屈折率nと異なる場合には、角φを適宜調節することによって透過光TLの光学的光路長を揃えればよい。
【0051】
なお、本実施形態では、反射型偏光素子32はサファイア等の透明板に反射型偏光層が設けられた構成とし、反射型偏光素子32の光入射面に戻り光分岐プリズム31の光射出面35を、光射出面に光路調整プリズム33の入射面37を貼付する構成としたが、戻り光分岐プリズム31の光射出面35および光路調整プリズム33の入射面37のいずれか一方に対して反射型偏光層を直接成膜し、又は、偏光シートを直接貼付し、他方を接着させる構成としても良い。
【0052】
以下、変調光MLの入射領域AIへの入射位置ごとにおける各光路に関し、主に、反射型偏光素子32での反射光である戻り光RLを辿ることによって、本実施形態における像光の形成方法の特徴について説明する。特に、本実施形態において問題となるのは、戻り光RLの処理である。つまり、不要光である戻り光RLが、液晶パネル25の画像形成領域に戻らないようにすることが肝要である。
【0053】
図2において、戻り光分岐プリズム31の底角αをなす光射出面35と光排出面36との稜を含む光入射面34に垂直な面を分岐面DLとする。分岐面DLは、光入射面34を、液晶パネル25からの変調光MLが略垂直に入射する入射領域AIと、戻り光RLを排出する領域の1つである透過領域AT′とに分岐する。従って、液晶パネル25は、図2中分岐面DLの下方側に位置することになる。つまり、戻り光RLは、透過領域AT′から排出される場合、分岐面DLに交差しない方向に向けられることにより液晶パネル25への影響をあたえず処理される。つまり、戻り光RLは、透過領域AT′で分岐面DLに平行若しくは図2中上方すなわち液晶パネル25から遠ざかる方向に排出され、光学系外へ導かれる。
【0054】
ここで、変調光MLは、液晶パネル25から射出され、光入射面34に対して、垂直に入射するものとする。変調光MLのうち、底角αに近いほうから順に変調光ML1、ML2、ML3とする。即ち、変調光ML1は、図2を参照して、図面上入射領域AIの上方側に位置し、変調光ML2は、入射領域AIの中央付近にあり、変調光ML3は、入射領域AIの下方側に位置する。
【0055】
まず、光入射面34に入射した変調光ML1は、光射出面35から射出され、このうち必要光である直線偏光成分は、反射型偏光素子32を透過し、これにより得られた透過光TLは、光路調整プリズム33によって光学的光路長が調整される。一方、入射した変調光ML1の偏光成分のうち、不要光である成分は、反射型偏光素子32で反射され、戻り光RL1となって戻り光分岐プリズム31内に戻ってくる。この戻り光RL1は、光排出面36の透過領域面ATで反射される。透過領域面ATで反射された戻り光RL1は、底角αが90°であることから、入射光である変調光ML1に平行、即ち分岐面DLに平行となり、液晶パネル25に戻ることなく透過領域AT′から排出し、吸光体に入射させる等の処理が施される。
【0056】
次に、光入射面34に入射した変調光ML2は光射出面35から射出され、このうち必要光である直線偏光成分は、反射型偏光素子32を透過し、これにより得られた透過光TLは、光路調整プリズム33によって光学的光路長が調整される。一方、入射した変調光ML2の偏光成分のうち、不要光である成分は、反射型偏光素子32で反射され、戻り光RL2となって戻り光分岐プリズム31内に戻ってくる。ここで、戻り光RL2が液晶パネル25に戻らないように、戻り光RL2を光入射面34において全反射するように戻り光分岐プリズム31は構成されている。この際、戻り光RL2の光入射面34に対する入射角は2θである。従って、戻り光分岐プリズム31は、全反射条件として、頂角θ及び屈折率nについて以下の条件(1)

を満たしている。即ち、頂角θを小さくするには屈折率nの大きな物質を戻り光分岐プリズム31に用いる必要がある。この条件(1)が満たされるとき、戻り光RL2は、光入射面34において全反射される。全反射された戻り光RL2は、光排出面36の透過領域面ATに入射する。このときの光排出面36に対する戻り光RL2の入射角ψの角度は(180°―α)―3θとなる。特に、本実施形態では、α=90°としているので、ψ=90°―3θとなる。ここで、戻り光RL2は、光排出面36上で全反射されないように戻り光分岐プリズム31は構成されている。なぜなら、光排出面36で全反射された場合、反射された戻り光RL2は、戻り光分岐プリズム31内で迷光となってしまい。液晶パネル25に戻ってきてしまう可能性があるからである。従って、入射角ψは、全反射しないために、条件

を満たし、ψ=90°―3θであるから、この条件は、

と同値である。これを条件(2)とする。従って、これらの条件(1)、(2)が満たされる条件下において戻り光RL2は、液晶パネル25に戻ることなく排出し、吸光体に入射させる等の処理が施される。
【0057】
次に、光入射面34に入射した変調光ML3は光射出面35から射出され、このうち必要光である直線偏光成分は、反射型偏光素子32を透過し、これにより得られた透過光TLは、光路調整プリズム33によって光学的光路長が調整される。一方、入射した変調光ML3の偏光成分のうち、不要光である成分は、反射型偏光素子32で反射され、戻り光RL3となって戻り光分岐プリズム31内に戻ってくる。ここで、変調光ML2と変調光ML3とは反射型偏光素子32に対して同一角度で入射するので反射型偏光素子32で反射され戻り光分岐プリズム31に入射された戻り光RL2と戻り光RL3とは同一角度で光入射面34に入射する。従って、上述したように戻り光RL2が全反射する条件(1)を満たす戻り光分岐プリズム31において、光入射面34に入射した戻り光RL3は液晶パネル25側に戻らずに、戻り光RL2の場合と同様に光入射面34において全反射される。さらに、光入射面34において全反射された戻り光RL3は、再び戻り光分岐プリズム31の光射出面35から射出され、反射型偏光素子32により反射される。反射型偏光素子32で反射され再び戻り光分岐プリズム31に戻った戻り光RL3は、光排出面36の透過領域面ATに入射する。このときの光排出面36に対する入射角ξの角度はα―3θとなる。特に、本実施形態では、α=90°としているので、ξ=90°―3θとなる。ここで、戻り光RL3は、戻り光RL2のときと同様、光排出面36上で全反射されないように戻り光分岐プリズム31は構成されている。ここで、入射角ψと入射角ξとは、それぞれψ=(180°―α)―3θ、ξ=α―3θで求められ、本実施形態では底角αを90°としているので、入射角ψ及び入射角ξともに、ψ=(90°)―3θ、ξ=90°―3θで求められ、すなわち、ψ=ξである。従って、上述したように戻り光RL2が全反射しない条件(2)を満たす戻り光分岐プリズム31において、光排出面36に入射した戻り光RL3は光排出面36で全反射せずに射出される。
【0058】
なお、底角αを90°以外にした場合、戻り光RL2と戻り光RL3のうち一方の光排出面36への入射角の角度は小さくなるが、もう一方の入射角の角度は大きくなってしまう。入射角の角度が大きくなると全反射が起こりやすくなる。従って、底角αを90°とするのが最適な条件であり、実用上底角αを90°又は略90°とすることが望ましい。
【0059】
従って、上述した条件(1)、(2)が満たされる戻り光分岐プリズム31において、戻り光RL3は、液晶パネル25に戻ることなく光排出面36から排出され、吸光体に入射させる等の処理が施される。
【0060】
以上、反射型偏光素子32によって反射され戻り光分岐プリズム31に戻った戻り光RL2、RL3を光入射面34において全反射する条件を考慮し、さらに、底角αを好適には90°又は略90°とすることにより、光排出面36に対する各戻り光RLの傾斜方向が逆で、略等しい入射角度となるように配置された状態で、反射型偏光素子32での反射光すなわち不要光成分が光排出面36の透過領域面ATから排出されるので、光路方向が異なる不要光成分を液晶パネル25に戻すことなく変調光MLの光路外へ排出し、吸光体に入射させる等の処理が施される。
【0061】
尚、頂角θの値によって光分岐プリズム31内での戻り光RLの全反射の回数が定まり、例えば、頂角θが22.5°未満である場合等においては、上述した戻り光に対しさらにもう一度又は二度以上戻り光分岐プリズム内で全反射をする可能性もあるが、この場合も同様に考察することができる。
【0062】
図3(a)、(b)は、それぞれ従来技術と知られている偏光部材の例である。各偏光部材30a、30bは、それぞれ、戻り光分岐プリズム31a、31bと、反射型偏光素子32a、32bと、光路調整プリズム33a、33bとを備える。尚、戻り光分岐プリズム31a、31bの形状を除いては同様の構造を有するので、同様の部分については説明を割愛する。
【0063】
図3(a)において、戻り光分岐プリズム31aは、光入射面34aと光排出面36aとのなす角度が垂直である。この場合、反射型偏光素子32aで反射された戻り光RL2a、RL3aは、戻り光分岐プリズム31aに戻り、光入射面34aで全反射されるように、戻り光分岐プリズム31aは、頂角θ′及び戻り光分岐プリズム31aの屈折率n′について本実施形態と同様に以下の条件

を満たしている。
【0064】
さらに、戻り光RL3aは、入射角ξaで光排出面36aに入射し、反射型偏光素子32aで反射され戻り光分岐プリズム31aに戻り、直接光排出面36aに入射する戻り光RL1aおよび上述した戻り光RL2aは、光排出面36aの垂線に対して互いに傾斜方向が逆で略等しい入射角ψaで光排出面36aに入射する。
【0065】
ここで、光入射面34aと光排出面36aとのなす角度が垂直である戻り光分岐プリズム31aは、戻り光RL3aの光排出面36aへの入射角ξaはξa=90°−4θ′で求められ、戻り光RL1a、RL2aの光排出面36aに対する入射角ψaはψa=90°―2θ′で求められる。従って、戻り光RL3aの光排出面36aへの入射角ξaに比べ戻り光RL1a、RL2aの光排出面36aへの入射角ψaの方が大きくなり、戻り光RL1a、RL2aは戻り光RL3aよりも光排出面36aにおいて全反射が起こりやすくなる。もし戻り光RL1aが光排出面36aで反射された場合は、光排出面36aで反射された戻り光RL1aは液晶パネルに向かって偏光部材30aから射出される。また、もし戻り光RL2aが光排出面36aで反射された場合は、反射型偏光素子32aで反射され液晶パネルに向かって偏光部材30aから射出される。
【0066】
図4は、図3(a)で示された戻り光分岐プリズム31aにおける戻り光RL1a、RL2aの下記に示す条件(1)′、(2)′に関するグラフである。横軸を戻り光分岐プリズム31aの屈折率n′、縦軸を頂角θ′とする。この場合、光入射面34aで戻り光RL1a、RL2aが全反射する条件(1)′は、

となる。この不等式の右辺をθとしたものが図4のグラフ上に示されている。また、光排出面36aで戻り光RL1a、RL2aが全反射しない条件(2)′は、戻り光RL1a、RL2aの光排出面36aに対する入射角ψaがψa=90°―2θ′であることから、

となる。この不等式の右辺をθとしたものが図4のグラフ上に示されている。つまり、頂角θ′が満たすべき条件は、グラフ上、θ′≧θかつ、θ′≧θの領域となる。従って、グラフから読み取れるように、屈折率n′が1.415未満であれば、条件(1)′で求められるθの値が条件(2)′で求められるθの値よりも大きくなり、頂角θ′は、条件(1)′さえ満たせばよいが、逆に、屈折率n′が1.415以上であれば、条件(2)′で求められるθの値が条件(1)′で求められるθの値よりも大きくなり、頂角θ′は、条件(2)′を満たさなければいけない。
【0067】
しかし、戻り光分岐プリズム31aの屈折率n′が1.415未満であれば、条件(1)′が条件(2)′よりも厳しくなり、条件(1)′さえ満たせばよいことになるが、実用上1.415程度および1.415未満の屈折率であるプリズムを製造するには、材質が非常に限られる。また、屈折率が小さいとプリズムでは光入射面34aで戻り光RL2a、RL3aが全反射を起こし難くなるので、条件(1)′を満たすために頂角θ′をある程度大きくしなくてはいけない。一方、屈折率が大きいプリズムでは光排出面36aで戻り光RL1a、RL2aが全反射しやすくなるので、条件(2)′を満たすために頂角θ′を大きくしなくてはいけない。
【0068】
すなわち、偏光部材30aでは、頂角θ′を小さくしようとすると、条件(1)′または条件(2)′のどちらかが満たされなくなる。または、条件(2)′を戻り光RL3aが光排出面36aで全反射しない条件として入射角ξaからθを求めるようにすれば、戻り光RL1a、RL2aの入射角ψaから求めた場合よりもθの値が小さくでき、頂角θ′を小さくすることができるが、戻り光RLを偏光部材30aから液晶パネルに向かって射出させなため、液晶パネルからの変調光の不要光が戻り光RL1a、RL2aの光路を辿らないように、液晶パネルからの変調光が入射する領域を制限する必要があり、その結果、液晶パネルからの変調光の入射領域を確保するために偏光部材30aを厚くしなければならなくなる。
【0069】
ここで、反射型偏光素子32bで反射され光入射面34bで全反射されて光排出面36bから排出される戻り光RL2を光排出面から効率よく排出するための方法として、図3(b)のような偏光部材30bが知られている。図3(b)において、戻り光分岐プリズム31bは、反射型偏光素子32bで反射され光入射面34bで全反射されて光排出面36bから排出される戻り光RL2が光排出面36bに対して垂直に入射し透過して排出されるような底角α′に設計されている。
【0070】
しかし、この場合、偏光部材30bでは、反射型偏光素子32bで反射されて光入射面34bで全反射されて再び反射型偏光素子32bで反射されて光排出面36bに入射する戻り光RL3のような光路を辿るものは、光排出面36bで全反射されやすくなってしまい、光入射面34bのうち、戻り光RL3の発生源である変調光ML3が入射する領域を使わない等の制限をかける必要が生じ得る。このように入射領域が限られると、プリズムを厚くしなくてはいけない。また、戻り光分岐プリズム31bの場合、垂直となる箇所を持たないため、製造も複雑になる。
【0071】
尚、図4のグラフ中θ、θは、それぞれ、変調光MLが光入射面31aの垂線に対して角度幅を持って光入射面に入射した場合の条件(1)′、(2)′について同様に考察したものであるが、この場合もやはり屈折率の値が1.415の場合を境界として考慮すべき条件が変わる。
【0072】
これまでの説明において、液晶パネル25からの変調光MLは、光入射面34、34a、34bに対して基本的に垂直であるとして説明したが、ここでは、変調光MLが光入射面の垂線に対して角度幅を有する場合について具体的に説明する。
【0073】
図5は、本実施形態において、変調光ML2、ML3が光入射面34の垂線に対して角度幅を有する場合の偏光部材30内の光路について説明するための図である。この場合、光入射面34の垂線に対して角度幅を有する変調光MLは、光入射面34から戻り光分岐プリズム30に入射した後、屈折する。光入射面34に対する屈折角を屈折角βとして、変調光ML2、ML3が光入射面34に垂直に入射する場合と同様に戻り光RL2、RL3について辿る。この場合、戻り光RL2は、合計2回、戻り光RL3は、3回反射された後(全反射を含む)、光排出面36の透過領域面ATより透過射出される。この際、反射型偏光素子32で反射された戻り光RL2、RL3の光入射面34に対する入射角は2θ―βである。従って、この場合、光入射面34での全反射条件はともに、

となる。また、光排出面36で全反射しないための条件は、入射角をそれぞれ入射角ζ、ηとすると、


となる。ここで、ζ=(180°―α)―3θ+βであり、η=α―3θ+βである。さらに、α=90°であるから、ζ=η=90°―3θ+βとなり、戻り光RL2、RL3が光排出面36で全反射しない戻り光分岐プリズム31の条件はともに、

と同値である。従って、これらの条件(3)、(4)が満たされる条件下において戻り光RL2、RL3は、液晶パネル25側に戻ることなく排出され、処理される。また、入射角ζ、ηの条件式から分かるように、先に説明した変調光MLが光入射面34に垂直に入射した場合と同様、底角αを90°以外にした場合、一方の入射角の角度は小さくなるが、もう一方の角度は大きくなってしまう。入射角の角度が大きくなると全反射が起こりやすくなる。従って、底角αを90°とするのが最適な条件であり、実用上底角αを90°又は略90°とすることが望ましい。また、上述の条件(1)、(2)と比較して、この場合、それぞれ屈折角βを含む右辺末項の分だけ条件が厳しくなっていることが分かる。
【0074】
尚、図5では、変調光MLの角度幅を光入射面34の垂線に対して一方の傾斜、図中下向きにしているが、光入射面34の垂線に対して他の方向からの傾斜、例えば図中上向きであっても同様に考察可能である。また、実用上当該角度幅は、±15°前後であり、これに伴う屈折角βの角度は、8°ほどである。
【0075】
〔第2実施形態〕
第1実施形態におけるプロジェクタ50は、所謂単板式のものであるが、第2実施形態では、三板式のプロジェクタに光反射型の偏光素子30を用いる場合について説明する。
【0076】
図6は、本実施形態に係るプロジェクタ250の構造を説明するための図である。プロジェクタ250は、照明光SLを形成する照明装置210と、照明光SLを特定波長ごとの色光に分離する色分離光学系220と、各色ごとに像光を形成する光変調装置、さらにこれらを合成して合成光を形成する色合成光学系を備える投射光形成光学系270と、形成された合成光を投射光としてスクリーン等に所望の拡大率で投影する投射光学系である投射レンズ240とを備える。照明装置210、色分離光学系220、投射光形成光学系270および投射レンズ240を構成する光学素子は、所定の照明光軸を基準に位置決めされている。
【0077】
照明装置210は、光源装置201と、レンズアレイ202、203と、偏光変換素子アレイ204と、重畳レンズ205と、ミラー206とを備える。光源装置201は、光源光WLを発生し、レンズアレイ2、3と、重畳レンズ5とは、後述する投射光形成光学系270に備えられる液晶パネル272r、272g、272bの画像形成領域での光量を光束断面内で均一化する。ミラー206は、光源光WLの光路変更を行う。
【0078】
色分離光学系220は、ミラー55、56、57と、ダイクロイックミラー58、59と、リレーレンズ60、61と、フィールドレンズ62、63、64とを備える。ダイクロイックミラー58、59は、ガラス基板等の透明基板に誘電体多層膜をコーティングしたものである。
【0079】
投射光形成光学系270は、色分離光学系220で分離された各色光の偏光度を高める偏光子271r、271g、271bと、各偏光子271r、271g、271bから射出された各色光を変調し変調光を形成する光変調装置である各色の液晶パネル272r、272g、272bと、各液晶パネル272r、272g、272bで変調された変調光から像光を形成する偏光部材273r、273g、273bと、各色の像光を合成して合成光を形成する色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム280とを備える。液晶パネル272r、272g、272bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたパネル本体を、保持枠内に収納して構成される。クロスダイクロイックプリズム280は、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。尚、偏光部材273r、273g、273bは、それぞれ、戻り光分岐プリズムと、反射型偏光素子と、光路調整プリズムとを備えるが、第1実施形態での同名のものと同様の機能を有するので図面上での記載及び説明を割愛する。
【0080】
投射レンズ40は、筒状の筐体内に複数のレンズが収納された組レンズを備える。
【0081】
以下、画像形成の手順に従って、プロジェクタ250の機能を説明する。図6において、光源装置201から光源光WLは、まず、レンズアレイ202を透過する。その後、光源光WLは、ミラー206で反射され、さらに、レンズアレイ203、偏光変換素子アレイ204及び重畳レンズ205を透過する。ここで、レンズアレイ202、203及び重畳レンズ205は、光源光WLが後述する投射光形成光学系270に備えられる液晶パネル272r、272g、272bの画像形成領域での光量を光束断面内で均一化するはたらきがある。また、光源光WLに含まれている光は、全てミラー206で反射されることによって方向転換される。以上によって光源光WLより照明光SLが形成され、光分割光学系220に入射する。照明装置210の光源装置201と、レンズアレイ202、203と、偏光変換素子アレイ204と、重畳レンズ205とは、先に説明した第1実施形態の照明装置10の光源装置1と、レンズアレイ2、3と、偏光変換素子アレイ4と、重畳レンズ5と同様の構成でるため詳細な説明は省略する。
【0082】
色分離光学系220に入射した照明光SLは、第1のダイクロイックミラー58の誘電体多層膜によって、照明光SLが、赤色光RLと、青色光BL及び緑色光GLを含む光とに分離される。
【0083】
さらに、緑色光GL及び青色光BLを含む光は、第2のダイクロイックミラー59によって緑色光GLと青色光BLとに分離される。第2のダイクロイックミラー59は、緑色光GLを反射し、青色光BLを透過する特性を持つ。
【0084】
以上のダイクロイックミラー58、59の機能により、照明光SLは、波長帯ごとに赤色光RL、緑色光GL、青色光BLに分離される。
【0085】
ダイクロイックミラー58を透過した赤色光RLは、反射ミラー55で反射され、集光素子としてのフィールドレンズ62を通って、赤色用の偏光子271r及び液晶パネル272rに入射する。前記フィールドレンズ62は、レンズアレイ203から射出された各部分光束を照明光軸に対して略平行な光束に変換する。他の液晶パネル272g、272bの光入射側に設けられたフィールドレンズ63、64も同様である。
【0086】
ダイクロイックミラー59によって反射された緑色光BLは、フィールドレンズ63を通って、緑色用の偏光子271g及び液晶パネル272gに入射する。
【0087】
一方、ダイクロイックミラー59を透過した青色光BLは、リレーレンズ60、61を通り、さらにフィールドレンズ64を通って、青色用の偏光子271b及び液晶パネル272bに入射する。
【0088】
リレーレンズ60、61と、反射ミラー56、57とでリレー光学系が構成され、ダイクロイックミラー58、59で分離された色光である青色光BLを液晶パネル271bまで導く機能を有している。
【0089】
尚、本実施形態では、ダイクロイックミラー58から青色光BLが入射する偏光子271bまでの青色光BLの幾何学的光路長は、ダイクロイックミラー58から緑色光GLが入射する偏光子271gまでの緑色光GLの幾何学的光路長及びダイクロイックミラー58から赤色光RLが入射する偏光子271rまでの赤色光RLの幾何学的光路長より長くなっている。よって、青色光にリレー光学系が用いられているのは、青色光BLの光路の幾何学的長さが他の色光の光路の幾何学的長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するため青色光BLの補正が必要となり、かかる補正のためにリレーレンズ60、61等が青色光の光路中に設けられている。すなわち、リレーレンズ60に入射した光束をそのまま、フィールドレンズ64に伝えるためである。
【0090】
色分離光学系220で分離された各色光は、光学装置44において、これら3枚の液晶パネル272r、272g、272b、偏光子271r、271g、271b、および偏光部材273r、273g、273bによって画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0091】
偏光子271r、271g、271bに入射された各色光RL、GL、BLは、偏光子271r、271g、271bが液晶パネル272r、272g、272bで変調される一定方向の直線偏光のみを透過し一定方向の直線偏光以外の光を吸収することによって偏光方向がより狭い範囲に限定され、偏光度が高められた状態で、液晶パネル272r、272g、272bに入射する。液晶パネル272r、272g、272bは、画像情報に応じて、各色RL、GL、BLを変調し変調光MLを形成する。形成された変調光MLは、第1実施形態と同様にして、偏光部材273r、273g、273bによって必要光である所定方向の直線偏光成分がクロスダイクロイックプリズム280へと射出され、不要光である偏光成分が光路外に排出される。なお、偏光子271r、271g、271bで透過される直線偏光の方向と、偏光部材273r、273g、273bで透過される直線偏光方向とは互いに直交するように設定されている。
【0092】
さらに、各色ごとに形成された像光は、クロスダイクロイックプリズム280によって合成され、クロスダイクロイックプリズム280で合成された各液晶パネル272r、272g、272bからの像光は、投射レンズ240によってスクリーン等に投影され、当該スクリーン上に所望の拡大率のカラー合成画像が表示される。
【0093】
本実施形態のプロジェクタ250では、光反射型の偏光素子を用いているので、光吸収型の偏光素子を用いた場合に比べ、長寿命となる。
【0094】
尚、本実施形態では、反射型偏光素子を備える偏光部材273r、273g、273bを液晶パネル272r、272g、272bの光路後段側に設けたが、反射型偏光素子を用いた偏光部材を光変調装置の光路前段側に用いることも可能である。この場合、偏光部材273r、273g、273bと同様の機構を持つ反射型の偏光部材を偏光子271r、271g、271bに置き換えて設置することになり、このような反射型の偏光部材が有する偏光の透過・反射特性によって偏光子271r、271g、271bと同様に偏光方向をより狭い範囲に限定し、偏光度を高めることができるだけでなく、その耐久性を高めることができる。
【0095】
尚、本実施形態では、各色光の全ての光路上に反射型偏光素子を備える偏光部材273r、273g、273bを用いているが、光路によっては、特に寿命等に問題を生じなければ、いずれかの偏光部材273r、273g、273bを光吸収型の偏光素子に適宜置き換えても構わない。例えば、青色光BLの光路のみ偏光部材273bを用い、他色の光路上には偏光部材273r、273gを光吸収型の偏光素子に置き換える、としてもよい。
【0096】
〔第3実施形態〕
図7は、第3実施形態における液晶パネル25及び偏光部材30を模式的に示す斜視図である。この場合、液晶パネル25は、横長の矩形形状であるものとし、これにより形成される変調光MLも横長の矩形であるものとする。また、偏光部材30の戻り光分岐プリズム31において、光入射面34と光射出面35とは、ともに矩形であり、変調光MLの形状に合わせて光入射面34内の入射領域AIが形成されている。
【0097】
ここで、頂角θは、横長の矩形の短辺E2、E3の方向に関して設けられている。つまり、矩形の光入射面34の一方の長辺E1を矩形の光射出面35となす稜として光入射面34と光射出面35とのなす角度を頂角θとなるように戻り光分岐プリズム31を形成する。これにより、光入射面34と光射出面35とが接する稜が矩形の長辺に設けられるように戻り光分岐プリズム31を形成する場合の方が、光入射面34の一方の短辺(例えば短辺E2)を矩形の光射出面35と接する稜として光入射面34と光射出面35のなす角度を頂角θとなるように戻り光分岐プリズム31を形成する場合よりも、同じ頂角θを有するより薄い戻り光分岐プリズム31を作製することができる。
【0098】
図8は、反射型光学素子32において反射・透過する変調光MLの偏光成分について説明するための図である。変調光MLに含まれる偏光方向の異なる各偏光成分をそれぞれ、点線の矢印及び黒点によって表している。一般に、戻り光分岐プリズム31の光射出面35や光路調整プリズム33の入射面37は、その傾斜方向対応してその面に交差する方向の直線偏光成分(点線の矢印)を透過させやすく、面に平行な方向の直線偏光成分(黒点)を反射しやすい。また、反射型偏光素子32は、微細構造のパターン方向によって、入射光の各偏光成分に対する透過・反射特性が異なるという性質を持つ。従って、黒点の偏光方向を持つものを戻り光RL、点線の矢印の偏光方向をもつものを透過光TLとなるように設定するとともに、反射型偏光素子32に設けた微細構造のパターンの向きもこれに応じて合わせることにより、必要光である透過光TLをより効果的に透過させることができ、コントラストを向上させることができる。
【0099】
〔第4実施形態〕
図9は、前記実施形態の戻り光分岐プリズムを変形した第4実施形態の戻り光分岐プリズム331を備える偏光部材330を説明するための図である。以下、本実施形態の戻り光分岐プリズム331の形状について述べる。以下の説明では、第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0100】
光分岐プリズム331は、光入射面、光排出面及び光射出面の三面からなる三角柱形状のプリズムの戻り光分岐プリズム31に対して、光排出面と光射出面とによって形成されるべき稜部分(図中点線部)を例えば面取りされている点が異なる。尚、ここで、戻り光分岐プリズム31と同様に光排出面と光射出面とがなす角度は、直角であるものとする。面取りによってあらたに形成された面を全反射面339とする。全反射面339は、光入射面334に対して平行である。また、面取りによって残った光射出面335と、不図示の反射型偏光素子とは、第1実施形態と同様に形状が合うように設計されている。
【0101】
光分岐プリズム331のような形状である場合、例えば、戻り光RL1が排出される透過領域AT′と、入射領域AIとを離すことができる。これにより、不要光である戻り光RL1を不図示の液晶パネルからさらに遠ざける、といった反射光の光路の制御ができる。また、全反射面339が、光入射面334に対して平行であるように面取りすることで、戻り光分岐プリズム331は、戻り光分岐プリズム31に比べ、厚くならない。尚、各戻り光RLは、光入射面334の透過領域AT′、光排出面336の透過領域面ATより排出され、吸光体に入射させる等の処理が施される。尚、全反射面339に入射する戻り光RLは、条件(1)により全反射されるが、全反射後の光路は、戻り光RL1と平行となるので、同様に扱われる。
【0102】
〔第5実施形態〕
図10は、前記実施形態の光路調整プリズムを変形した第5実施形態の光路調整プリズムを説明するための図である。以下、本実施形態の光路調整プリズムの形状について述べる。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0103】
図10(a)は、前実施形態1の戻り光分岐プリズム31及び反射型偏光素子32と本実施形態の光路調整プリズム333aとを備える偏光部材330aを示す。
【0104】
偏光部材330aの光路調整プリズム333aは戻り光分岐プリズム31と同一である。従って、部品の種類が減り、量産などの場合に有利である。
【0105】
図10(b)は、前実施形態1の戻り光分岐プリズム31及び反射型偏光素子32と本実施形態の光路調整プリズム333bとを備える偏光部材330bを示す。
【0106】
偏光部材330bの光路調整プリズム333bは、戻り光分岐プリズム31の光入射面34と同一平面を形成しうる面である位置調整面340を有する四角柱である。従って、反射型偏光素子32を介して戻り光プリズム31と光路調整プリズム333bを組み合わせる際に、戻り光分岐プリズム31と光路調整プリズム333bとの位置あわせが容易となる。さらに、光路調整プリズム333bの位置調整面340と射出面338bとが平行であり、位置調整面340と射出面338bとに垂直な底面341を有する光路調整プリズム333bは、偏光部材330bをプロジェクタ等に組み込む場合に位置決めおよび固定が容易である。
【0107】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0108】
前記実施形態では、青色光をリレー光学系に通し、青色光の光路の幾何学的長さを他の色光の光路の幾何学的長さよりも長く設定したが、これに限らず、たとえば、赤色光をリレー光学系に通すような構成としてもよい。
【0109】
さらに、前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを説明したが、本発明では、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクタを説明するための図である。
【図2】第1、第2実施形態のプロジェクタに用いる偏光部材を説明するための図である。
【図3】(a)、(b)は、従来技術の偏光部材を説明するための図である。
【図4】従来技術の各条件について説明するためのグラフである。
【図5】変調光が角度幅を有する場合について説明するための図である。
【図6】第2実施形態に係るプロジェクタを説明するための図である。
【図7】偏光部材を示す斜視図である。
【図8】反射型光学素子を反射・透過する偏光成分について説明するための図である。
【図9】第3実施形態とは異なる態様の戻り光分岐プリズムを説明するための図である。
【図10】前記実施形態とは異なる態様の光路調整プリズムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0111】
50、250…プロジェクタ、 10、210…照明装置、 20、271r、271g、271b…偏光子、 25、272r、272g、272b…液晶パネル、 30、273r、273g、273b…偏光部材、 40、240…投射レンズ、 31…戻り光分岐プリズム、 32…反射型偏光素子、 33…光路調整プリズム、 AI…入射領域、 AT…透過領域面、 34、334…光入射面、 35、335…光射出面、 36、336…光排出面、 θ…頂角、 α…底角、 β…屈折角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光のうち所定方向の直線偏光成分を透過し前記所定方向の直線偏光以外の成分を反射する反射型偏光素子と、
入射光を入射する光入射面と、前記光入射面に対して所定の傾き角で配置された光射出面と、前記光射出面に設けられた前記反射型偏光素子によって反射され前記光射出面を介して内部に入射する戻り光を前記光入射面に入射する入射光の光路および前記反射型偏光素子を透過した光の光路に交差しない方向へ排出する光排出面とを有し、前記光排出面が、前記光射出面を介して内部に入射する戻り光のうち前記光入射面及び/又は前記反射型偏光素子で異なる回数反射し光路が異なる光が、傾斜方向が逆でも略等しい入射角度で入射し透過する透過領域面を含む戻り光分岐プリズムと、
を備えることを特徴とする偏光部材。
【請求項2】
前記反射型偏光素子の光路後段に配置され、当該反射型偏光素子を透過した全ての光の前記偏光部材内の光学的光路長が同一となるように調節する光路調整プリズムをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の偏光部材。
【請求項3】
前記戻り光分岐プリズムは、前記光排出面の透過領域面が、前記光射出面に対して垂直であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光部材。
【請求項4】
前記戻り光の前記光入射面での反射は全反射であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の偏光部材。
【請求項5】
前記戻り光分岐プリズムは、屈折率が1.415以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の偏光部材。
【請求項6】
前記反射型偏光素子は、前記光射出面に対して平行に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の偏光部材。
【請求項7】
前記戻り光分岐プリズムの前記光入射面と前記光射出面とは、ともに矩形であり、前記所定の傾き角は、前記矩形の短辺方向間に関して設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項記載の偏光部材。
【請求項8】
前記反射型偏光素子は、前記光射出面の傾斜方向に対応して相対的に透過性が高くなる偏光成分を選択的に透過させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項記載の偏光部材。
【請求項9】
前記戻り光分岐プリズムは、前記光排出面と前記光射出面とによって形成されるべき稜部分が前記光入射面に平行な面で面取りされて形成された全反射面を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項記載の偏光部材。
【請求項10】
照明光を射出する照明装置と、
前記照明装置からの照明光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置の後段に配置されるとともに、前記光変調装置で変調された変調光のうち所定方向の直線偏光のみ透過させて像光を射出する偏光部材と、
前記光変調装置及び前記偏光部材で形成された像光を投射する投射光学系とを備え、
前記偏光部材は、請求項1から請求項9のいずれか一項記載の偏光部材であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項11】
照明光を射出する照明装置と、
前記照明装置からの照明光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置の光路前段に配置され、所定方向の直線偏光のみを前記光変調装置に射出する偏光素子と、
前記光変調装置の後段に配置されるとともに、前記光変調装置で変調された変調光のうち前記所定方向の直線偏光と直交する方向の直線偏光のみ透過させて像光を射出する偏光部材と、
前記偏光素子、前記光変調装置及び前記偏光部材で形成された像光を投射する投射光学系とを備え、
前記偏光素子は、請求項1から請求項9のいずれか一項記載の偏光部材であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項12】
照明光を射出する照明装置と、
前記照明光を所定波長ごとに色分離する色分離光学系と、
前記色分離光学系で分離された各色光をそれぞれ変調する複数の光変調装置と、
前記複数の光変調装置の光路後段にそれぞれ配置されるとともに、前記複数の光変調装置で変調された変調光のうち所定方向の直線偏光のみを透過させて像光を射出する複数の偏光部材と、
前記複数の光変調装置及び前記複数の偏光部材で形成された前記各色光それぞれの像光を合成する色合成光学系と、
前記色合成光学系で合成された像光を投射する投射光学系とを備え、
前記複数の偏光部材のうち少なくとも1つは、請求項1から請求項9のいずれか一項記載の偏光部材であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項13】
照明光を射出する照明装置と、
前記照明光を所定波長ごとに色分離する色分離光学系と、
前記色分離光学系で分離された各色光をそれぞれ変調する複数の光変調装置と、
前記複数の光変調装置の光路前段にそれぞれ配置され、所定方向の直線偏光のみを前記光変調装置に射出する複数の偏光素子と、
前記複数の光変調装置の光路後段にそれぞれ配置されるとともに、前記複数の光変調装置で変調された変調光のうち前記所定方向の直線偏光と直交する方向の直線偏光のみを透過させて像光を射出する複数の偏光部材と、
前記複数の光変調装置及び前記複数の偏光部材で形成された前記各色光それぞれの像光を合成する色合成光学系と、
前記色合成光学系で合成された像光を投射する投射光学系とを備え、
前記複数の偏光素子のうち少なくとも1つは、請求項1から請求項9のいずれか一項記載の偏光部材であることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−98451(P2006−98451A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281116(P2004−281116)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】