プロジェクター、プロジェクションシステム、及びプロジェクターの制御方法
【課題】プロジェクターの設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信可能なプロジェクター、プロジェクションシステム、及びプロジェクターの制御方法を提供する。
【解決手段】画像情報入力部22には、左眼用の画像を表す左眼用の画像情報と、右眼用の画像を表す右眼用の画像情報とが入力され、プロジェクター1は、左眼用の画像と右眼用の画像とをフレーム単位で時分割して投写面SC上に交互に投写(表示)する。また、筐体5の前面5a及び天面5bの一部は、赤外線を透過するカバー部材7で覆われており、このカバー部材7の内側には、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期信号を送信する送信部24が備えられている。送信部24は、カバー部材7の内側で筐体5に対して回動可能になっており、筐体5の側面5eには、送信部24を回動させるためのハンドル8が配置されている。
【解決手段】画像情報入力部22には、左眼用の画像を表す左眼用の画像情報と、右眼用の画像を表す右眼用の画像情報とが入力され、プロジェクター1は、左眼用の画像と右眼用の画像とをフレーム単位で時分割して投写面SC上に交互に投写(表示)する。また、筐体5の前面5a及び天面5bの一部は、赤外線を透過するカバー部材7で覆われており、このカバー部材7の内側には、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期信号を送信する送信部24が備えられている。送信部24は、カバー部材7の内側で筐体5に対して回動可能になっており、筐体5の側面5eには、送信部24を回動させるためのハンドル8が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写する画像を鑑賞者に立体像として認識させるプロジェクター、プロジェクションシステム、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターが表示する画像を鑑賞者に立体像として認識させるために、鑑賞者の右目及び左目に、それぞれ異なる画像(視差画像)を視認させるシステムが種々提案されている。このようなシステムの1つとして、例えば、左目用の画像と右目用の画像とをプロジェクターが時分割で交互に投写する態様のシステムがある。この態様では、鑑賞者は、画像の切り替えに同期して左右交互に開閉するシャッターメガネを通して画像を鑑賞することにより、立体像を認識することができる。特許文献1に記載の立体映像システムでは、プロジェクターからスクリーンに画像を投写するとともに、プロジェクターに備わる出射部から、シャッターメガネの開閉を制御する同期信号(制御信号)を出射してスクリーンに反射させ、シャッターメガネに受光させている。これにより、プロジェクターによる画像の切り替えと、シャッターメガネの開閉との同期をとることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3101542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのプロジェクターは、机上のみならず天井に設置できたり、レンズシフト機能等によって画像の投写位置を調整できたり、設置の自由度が高いため、様々な設置状態で使用され得る。一方、特許文献1に記載の立体映像システムにおいて、同期信号の出射方向は、プロジェクターの設置状態(向き)によって定まるため、プロジェクターの設置状態によっては、シャッターメガネが同期信号を受信できる位置が制限されてしまうという問題を有している。
【0005】
また、同期信号の出射部をプロジェクターの本体から分離させて、本体と出射部とをケーブルで接続する態様のシステムも提案されている。この態様では、プロジェクターの設置状態に拘らずに同期信号を任意の方向に送信できるため、同期信号をシャッターメガネに受信させやすくなるが、出射部とプロジェクター本体とが分離しているため、取り扱いが煩雑になる。また、この態様では、本体と出射部とがケーブルで接続されているため、設置後の外観が損なわれてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、前記画像投写部を収容する筐体と、前記筐体に対して一体的に備えられ、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記同期信号の送信方向を調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
このプロジェクターによれば、同期信号を送信する送信部が、送信方向を調整可能に構成されているため、プロジェクターの設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信部は、前記筐体に対して回動することが望ましい。
【0010】
このプロジェクターによれば、送信部が回動する構成であるため、送信方向の調整を容易に行うことが可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信部は、前記同期信号を送信する複数の送信装置を含んで構成されていることが望ましい。
【0012】
このプロジェクターによれば、送信部が複数の送信装置を含んで構成されているため、同期信号を広い範囲に送信することが可能となる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記複数の送信装置は、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されていることが望ましい。
【0014】
このプロジェクターによれば、複数の送信装置は、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されているため、より広い範囲に同期信号を送信することが可能となる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、当該プロジェクターの設置状態に応じて前記送信方向を調整する送信方向調整部をさらに備えることが望ましい。
【0016】
このプロジェクターによれば、プロジェクターの設置状態に応じて送信方向が調整されるため、ユーザーが自ら調整を行う必要がなくなり、利便性が向上する。
【0017】
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、当該プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかに応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0018】
このプロジェクターによれば、送信方向調整部は、プロジェクターの姿勢(基本姿勢又は反転姿勢)に応じて送信方向を調整するため、プロジェクターの姿勢に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0019】
[適用例7]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの姿勢が前記反転姿勢である場合には、前記基本姿勢である場合よりも下側に向けて同期信号を送信することが望ましい。
【0020】
[適用例8]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記画像が投写される投写面に対する当該プロジェクターの傾きに応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0021】
このプロジェクターによれば、送信方向調整部は、投写面に対するプロジェクターの傾きに応じて送信方向を調整するため、プロジェクターの傾きに応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0022】
[適用例9]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの傾きに起因する台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信することが望ましい。
【0023】
[適用例10]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記画像投写部は、投写レンズを光軸に対して垂直に移動させて、前記画像の投写位置を調整するレンズシフト機能を有し、前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能による前記投写位置の調整状態に応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0024】
このプロジェクターによれば、送信方向調整部は、投写位置の調整状態に応じて送信方向を調整するため、画像の投写位置、即ちプロジェクターの設置位置に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0025】
[適用例11]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能によって前記投写位置が移動している側に向けて同期信号を送信することが望ましい。
【0026】
[適用例12]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、当該プロジェクターの設置状態を検出する検出部をさらに備え、前記送信方向調整部は、前記検出部の検出結果に応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0027】
[適用例13]本適用例に係るプロジェクションシステムは、上記適用例のいずれかに記載のプロジェクターと、前記プロジェクターから送信される前記同期信号を受信し、受信した前記同期信号に基づいて左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを開放させるシャッターメガネと、を備えたことを特徴とする。
【0028】
このプロジェクションシステムによれば、上記プロジェクターと同様の効果を得ることが可能となる。
【0029】
[適用例14]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記画像投写部によって前記左眼用の画像と前記右眼用の画像とを投写する投写ステップと、前記送信部によって前記同期信号を送信する送信ステップと、前記同期信号の送信方向を調整する調整ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0030】
[適用例15]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記プロジェクターの設置状態を検出する検出ステップをさらに備え、前記調整ステップでは、前記検出ステップでの検出結果に基づいて前記送信方向を調整することが望ましい。
【0031】
このプロジェクターの制御方法によれば、プロジェクターの設置状態に応じて同期信号の送信方向を調整するため、プロジェクターの設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0032】
[適用例16]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記検出ステップでは、前記プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかを検出し、前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの姿勢に基づいて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0033】
[適用例17]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記検出ステップでは、前記画像が投写される投写面に対する前記プロジェクターの傾きを検出し、前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの傾きに基づいて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0034】
[適用例18]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記検出ステップでは、レンズシフト機能による投写位置の調整状態を検出し、前記調整ステップでは、検出された前記投写位置の調整状態に基づいて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態のプロジェクションシステムの概略構成を示す斜視図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、前方から見た図。
【図2】プロジェクターが天井に取り付けられた状態を示す斜視図。
【図3】第1実施形態に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図4】液晶シャッターメガネの内部構成を示すブロック。
【図5】第1実施形態の送信部を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのA−A断面図、(c)は、B−B断面図。
【図6】送信部が回動する様子を示す側面図であり、(a)は、同期信号を前方の正面に向けて送信する状態を示す図、(b)は、同期信号をやや上側に向けて送信する状態を示す図、(c)は、同期信号をやや下側に向けて送信する状態を示す図。
【図7】プロジェクターの設置姿勢と同期信号の送信方向との関係を示す側面図であり、(a)は、プロジェクターを基本姿勢で設置した状態を示す図、(b)は、プロジェクターを反転姿勢で天吊りした状態を示す図。
【図8】第2実施形態の送信部を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのC−C断面図、(c)は、D−D断面図。
【図9】第2実施形態に係るプロジェクターの斜視図。
【図10】プロジェクターの設置位置と同期信号の送信方向との関係を示す平面図であり、(a)は、プロジェクターを投写面の正面中央に設置した状態を示す図であり、(b)は、プロジェクターを投写面に向かって右側にずらして設置した状態を示す図。
【図11】第3実施形態に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図12】設置モードを選択するための設置モード選択画像を示す説明図。
【図13】第3実施形態の他の態様に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図14】第4実施形態に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図15】第5実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブを示す正面図、(b)は、投写面を示す正面図、(c)は、プロジェクターの傾きと同期信号の送信方向との関係を示す側面図。
【図16】第6実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブを示す正面図、(b)は、投写面を示す正面図、(c)は、プロジェクターの傾きと同期信号の送信方向との関係を示す平面図。
【図17】(a)、(b)は、変形例に係るプロジェクターを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のプロジェクションシステムの概略構成を示す斜視図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、前方から見た図である。また、図2は、プロジェクションシステムを構成するプロジェクターが天井に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0037】
図1(a)、(b)に示すように、プロジェクションシステム100は、両眼視差を利用して鑑賞者に立体像を認識させるシステムであり、プロジェクター1と、液晶シャッターメガネ2とを備えて構成されている。
【0038】
プロジェクター1は、装置本体(後述する画像投写部10等)を収容する筐体5を備えて構成されており、筐体5の天面5bには、ユーザーにより入力操作が行われる入力操作部21が配置されている。筐体5の背面5cには、複数の入力端子を備えた画像情報入力部22が設けられており、画像情報入力部22には、外部の画像供給装置(図示省略)から画像情報が入力される。筐体5の前面5aには、投写レンズ13を露出させるための開口部6が形成されており、この投写レンズ13から、画像情報に基づく画像が前方の投写面(例えば、スクリーン)SCに投写される。なお、本図において、前方、即ち筐体5の前面5aから筐体5の外部に向かう方向で投写レンズ13の光軸に平行な方向を+Z方向とし、+Z方向に垂直で筐体5の天面5bから筐体5の外部に向かう方向を+Y方向とし、+Y方向及び+Z方向に垂直で天面5bを上方に向けた姿勢において投写面SCに向かって右向きの方向を+X方向とする。
【0039】
画像情報入力部22には、左眼用の画像を表す左眼用の画像情報と、右眼用の画像を表す右眼用の画像情報とが入力され、プロジェクター1は、左眼用の画像と右眼用の画像とをフレーム単位で時分割して投写面SC上に交互に投写(表示)する。また、筐体5の前面5a及び天面5bの一部は、赤外線を透過するカバー部材7で覆われており、このカバー部材7の内側には、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期信号を送信する送信部24が備えられている。送信部24は、カバー部材7の内側で筐体5に対して回動可能になっており、筐体5の側面5eには、送信部24を回動させるためのハンドル8が配置されている。ハンドル8は、送信部24の送信方向を手動で調整するための手動調整部に相当する。
【0040】
液晶シャッターメガネ2は、プロジェクター1が投写する画像を鑑賞する鑑賞者に装着されるものであり、鑑賞者の左眼に対峙する左眼用の液晶シャッター44Lと、右眼に対峙する右眼用の液晶シャッター44Rとを備えている。また、液晶シャッターメガネ2の前面には、プロジェクター1から送信される赤外線の同期信号を受信するための受信部41が設けられており、プロジェクター1から送信された同期信号は、投写面SCで反射して液晶シャッターメガネ2に受信される。液晶シャッターメガネ2は、左眼用の画像が鑑賞者の左眼のみで認識され、右眼用の画像が鑑賞者の右眼のみで認識されるよう、受信した同期信号に同期して左右の液晶シャッター44L,44Rを交互に開放させる。
【0041】
また、図2に示すように、プロジェクター1は、天井等への取り付け(以降、「天吊り」とも呼ぶ。)も可能になっている。この場合には、プロジェクター1は、筐体5の底面(図示せず)に天吊り用の固定具9が装着され、この固定具9によって天地を反転させた姿勢(反転姿勢)で天井等に取り付けられる。つまり、通常の姿勢(基本姿勢)で机上等に設置される場合に上方を向く天面5bは、反転姿勢では下方を向くことになる。
【0042】
図3は、本実施形態に係るプロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、入力操作部21、画像情報入力部22、画像処理部23、送信部24等を備えている。
【0043】
画像投写部10は、光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等で構成されている。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源装置11から射出された光を液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して、上述した左眼用の画像及び右眼用の画像を交互に形成する。そして、形成した左眼用及び右眼用の画像を、投写レンズ13から前方(+Z方向)に向けて拡大投写して、投写面SC上に交互に表示する。
【0044】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0045】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、液晶駆動部14の駆動により、入力される画像情報に応じた駆動電圧が各画素に印加されると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像となった後、投写レンズ13から拡大投写される。
【0046】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)等を備えており、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、コンピューターとして機能する。
【0047】
入力操作部21は、ユーザーの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。本実施形態の入力操作部21が備える操作キーとしては、電源のオンとオフとを切り替えるための電源キー、各種設定用のメニュー画像を表示させるメニューキー、メニュー画像における項目の選択等に用いられる方向キー、選択した項目を確定させるための決定キー等がある。ユーザーが入力操作部21の各種操作キーを操作すると、入力操作部21は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、入力操作部21として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しない受信手段がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0048】
画像情報入力部22には、パーソナルコンピューターや各種映像再生装置等の図示しない外部の画像供給装置から、左眼用及び右眼用の画像情報が入力される。そして、画像情報入力部22は、入力された画像情報を画像処理部23に出力する。また、画像情報入力部22には、画像の表示タイミングを計るための同期信号(以降、「基準同期信号」と呼ぶ。)が画像情報とともに画像供給装置から入力され、画像情報入力部22は、この基準同期信号を制御部20に出力する。
【0049】
画像処理部23は、画像情報入力部22から入力される左眼用及び右眼用の画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。また、画像処理部23は、制御部20の指示に基づき、変換した画像情報に対して、明るさやコントラスト等を調整するための画質調整処理や、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するためのOSD処理等を必要に応じて行う。
【0050】
画像処理部23には、画像情報を一時的に記憶する画像メモリー(図示省略)が備えられており、左眼用及び右眼用の画像情報は、上記の各種処理が施された後、フレーム単位で画像メモリーに記憶される。そして、画像処理部23は、制御部20からの指示に基づいて、画像メモリーに記憶されている左眼用及び右眼用の画像情報を1フレームずつ交互に液晶駆動部14に出力する。
【0051】
液晶駆動部14が、画像処理部23から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。この結果、投写面SCには、左眼用の画像と右眼用の画像がフレーム単位で交互に表示される。
【0052】
送信部24は、赤外線を発光する複数の発光装置24a(図5参照)等を備えて構成され、上述したように、筐体5の内部で、筐体5に対して回動可能に備えられている。送信部24は、制御部20の指示に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期信号を送信し、液晶シャッターメガネ2に受信させる。
【0053】
制御部20は、画像供給装置からの基準同期信号に基づいて、所定の周期で画像処理部23に指示を行い、左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とを1フレームずつ交互に出力させるとともに、送信部24に指示をして、所定の波形パターンからなる同期信号を、画像処理部23からの画像情報の出力に同期させて送信させる。そして、送信部24は、制御部20からの指示に応じて、赤外線の同期信号を送信する。
【0054】
図4は、液晶シャッターメガネ2の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、液晶シャッターメガネ2は、上述した液晶シャッター44L,44Rに加えて、受信部41と、制御部42と、駆動部43とを有している。受信部41は、フォトセンサー等によって構成され、プロジェクター1から送信される赤外線の同期信号を受信(受光)して電気信号に変換する。
【0055】
制御部42は、受信した同期信号に基づいて、液晶シャッター44L,44Rの開閉を制御するための制御信号を生成し、駆動部43に出力する。駆動部43は、入力される制御信号に基づいて液晶シャッター44L,44Rの開閉(開放及び閉塞)を駆動する。
【0056】
液晶シャッター44L,44Rは、それぞれ液晶パネルの表裏両側に偏光板が貼り付けられた構成を有している。左眼用の液晶シャッター44Lは、駆動部43の駆動により、左眼に入射する光を透過させる開放状態と、左眼に入射する光を遮蔽する閉塞状態とを切り替え、右眼用の液晶シャッター44Rは、駆動部43の駆動により、右眼に入射する光を透過させる開放状態と、右眼に入射する光を遮蔽する閉塞状態とを切り替える。
【0057】
プロジェクションシステム100は、上記のように構成されているため、プロジェクター1の画像処理部23が、制御部20からの指示に基づいて、左眼用の画像の表示と右眼用の画像の表示とを切り替え、液晶シャッターメガネ2が、プロジェクター1から送信される同期信号に基づいて、開放する液晶シャッター44L,44Rを切り替えることにより、左眼用の画像を左眼のみに認識させ、右眼用の画像を右眼のみに認識させることができる。
【0058】
次に、プロジェクター1の送信部24について詳述する。
図5は、送信部24を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのA−A断面図、(c)は、B−B断面図である。また、図6(a)〜(c)は、送信部24が回動する様子を示す側面図である。
図5(a)〜(c)に示すように、送信部24は、正面視で矩形状の発光部51に、送信装置としての複数の発光装置24aを備えた構成を有しており、各発光装置24aは、発光部51の前面51aにマトリクス状に配列されている。発光部51の前面51aは、球面状に形成されており、各発光装置24aは、前面51aのそれぞれの位置から垂直な方向に同期信号を射出(送信)する。つまり、各発光装置24aは、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されており、同期信号は、送信部24から発散するように射出される。
【0059】
発光部51の裏面51bには、発光部51を支持する支持部52の一端が固定されている。支持部52の他端には、±X方向に平行な回転軸53が固定されており、送信部24は、この回転軸53を中心にして回動可能になっている。回転軸53は、ハンドル8(図1参照)に接続されており、ユーザーは、ハンドル8を操作することによって送信部24を回動させ、同期信号の射出方向(送信方向)を変更することができる。このため、同期信号を前方(+Z方向)の正面に向けて送信する態様(図6(a)参照)のみならず、やや上側(+Y側)に向けて送信したり(図6(b)参照)、やや下側(−Y側)に向けて送信したり(図6(c)参照)することをユーザーが選択することができる。
【0060】
図7(a)、(b)は、プロジェクター1の設置姿勢と同期信号の送信方向との関係を示す側面図である。
例えば、図7(a)に示すように、プロジェクター1を机上等に基本姿勢で設置して画像を投写させる場合には、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させることにより、液晶シャッターメガネ2に受信させることができる。一方、図7(b)に示すように、プロジェクター1を高い天井に反転姿勢で天吊りする場合には、同期信号を前方正面に向けて送信させると、液晶シャッターメガネ2で同期信号を受信できなくなる恐れがあるため、同期信号がやや下向き(反転姿勢での+Y向き)に送信されるように、ハンドル8で操作すればよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0062】
(1)本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号を送信する送信部24が、送信方向を調整可能に構成されているため、プロジェクター1の設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、送信部24が筐体5に対して一体的に備えられているため、筐体5と分離してケーブルで接続される場合に比べて、取り扱いが容易であるうえ、設置後の外観が損なわれずに済む。
【0063】
(2)本実施形態のプロジェクター1によれば、送信部24が回動する構成であるため、送信方向の調整を容易に行うことが可能となる。
【0064】
(3)本実施形態のプロジェクター1によれば、送信部24が複数の発光装置24aを含んで構成されているため、同期信号を広い範囲に送信することが可能となる。
【0065】
(4)本実施形態のプロジェクター1によれば、複数の発光装置24aが、それぞれの送信方向がずれるように配置されているため、より広い範囲に同期信号を送信することが可能となる。
【0066】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1の画像投写部10は、投写される画像の位置(投写位置)を調整するためのレンズシフト機能を有している。レンズシフト機能は、投写レンズ13を光軸に対して垂直に移動させることによって投写位置を移動させるものであり、この機能により、プロジェクター1を投写面SCの正面中央に設置する必要がなくなり、プロジェクター1の設置の自由度が高まる。つまり、レンズシフト機能は、プロジェクター1の設置位置を調整するための機能であるとも言える。
【0067】
図8は、本実施形態の送信部24を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのC−C断面図、(c)は、D−D断面図である。また、図9は、本実施形態のプロジェクター1の斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の送信部24は、第1実施形態の送信部24と同様の形状であるが、第1実施形態とは向きが90°異なるように配置される。具体的には、本実施形態では、支持部52の端部に、±Y方向に平行な回転軸53が固定され、送信部24は、この回転軸53を中心にして回動可能になっている。図9に示すように、筐体5の天面5bには、回転軸53に接続されたハンドル8が配置されており、ユーザーは、ハンドル8を操作することによって送信部24を回動させ、同期信号の送信方向を左右に変更することができる。このため、同期信号を前方(+Z方向)の正面に向けて送信する態様のみならず、やや右側(+X側)に向けて送信したり、やや左側(−X側)に向けて送信したりすることをユーザーが選択することができる。
上記以外の構成は、第1の実施形態と同一である。
【0068】
図10(a)、(b)は、プロジェクター1の設置位置と同期信号の送信方向との関係を示す平面図である。
例えば、図10(a)に示すように、レンズシフト機能を使用せずに、プロジェクター1を投写面SCの正面中央に設置して画像を投写し、鑑賞者も投写面SCの正面中央で画像を鑑賞する場合には、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させることにより、液晶シャッターメガネ2に受信させることができる。一方、図10(b)に示すように、プロジェクター1を正面中央よりも右側(投写面SCに向かって右側)にずらして設置し、レンズシフト機能によって左側に画像を投写する場合には、同期信号を前方(+Z方向)の正面に向けて送信させると、プロジェクター1の左側にいる鑑賞者の液晶シャッターメガネ2で同期信号を受信できなくなる恐れがあるため、同期信号がやや左向き(−X向き)に送信されるように、ハンドル8で操作すればよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態では、レンズシフト機能によって投写位置を左右に移動させる場合を例にして説明したが、第1実施形態と同様、±X方向に平行な回転軸53によって送信部24を上下に回動させることが可能なプロジェクター1を用いれば、投写位置を上下に移動させるレンズシフト機能を備える場合にも適用可能である。
【0071】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第1実施形態と同様の構成を有しており、±X方向に平行な回転軸53によって送信部24を上下に回動させることが可能になっているが、送信部24は、ハンドル8によって手動で回動する代わりに、電動で回動するようになっている。
【0072】
図11は、本実施形態に係るプロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、同期信号の送信方向を自動的に調整する送信方向調整部25を備えている。送信方向調整部25は、回転軸53を回転させるためのモーター等を備えて構成され、制御部20の制御に基づいて送信部24を回動させる。
【0073】
第1実施形態と同様、プロジェクター1は、机上等に設置される場合には通常の基本姿勢(図1参照)で設置され、天井等に天吊りされる場合には、基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢(図2参照)で固定される。反転姿勢では、投写される画像も上下が逆さまになってしまうため、天吊りで利用する場合には、画像を意図的に上下反転(180°回転)させておく必要がある。プロジェクター1は、基本姿勢に対応する通常モードと、反転姿勢に対応する天吊りモードの2つの設置モードのうちのいずれか一方に設定されるようになっている。そして、設置モードが天吊りモードに設定された場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして画像を上下反転させる処理を行わせる。
【0074】
入力操作部21に備わるメニューキーがユーザーによって操作されると、プロジェクター1の制御部20は、画像処理部23に指示をして、各種設定を行うための図示しないOSD画像(設定メニュー画像)を重畳表示させる。その後、ユーザーが設定メニュー画像の内容に従って所定の入力操作を行うと、制御部20は、画像処理部23に指示をして、設置モードを選択するためのメニュー画像(設置モード選択画像)を重畳表示させる。
【0075】
図12は、設置モードを選択するための設置モード選択画像を示す説明図である。
図12に示すように、設置モード選択画像Pmには、選択を促すメッセージとともに、「通常モード」と「天吊りモード」の2つの項目が表示されている。ユーザーは、方向キーを操作して所望の設置モードを指定した後で決定キーを操作することにより、設置モードを選択することができる。ユーザーが選択した設置モードに関する情報は、制御部20のROMに記憶される。
【0076】
設置モードとして通常モードが選択された場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、基本姿勢で画像を投写した際に正しい向きで画像が表示されるように、これ以降の画像処理を行わせる。一方、設置モードとして天吊りモードが選択された場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、これ以降、反転姿勢で画像を投写した際に正しい向きで画像が表示されるよう、上下を反転させる処理を行わせる。
【0077】
また、設置モードとして通常モードが選択された場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させる(図7(a)参照)。一方、設置モードとして天吊りモードが選択された場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや下向き(反転姿勢での+Y向き)に送信されるように、送信部24を回動させる(図7(b)参照)。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号の送信方向が、プロジェクター1の設置姿勢、即ち設置モードの設定に応じて調整されるため、設置姿勢に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、ユーザーが設置モードを設定すれば、設定された設置モード(設置姿勢)に適した方向に同期信号が送信されるため、ユーザーが自ら送信方向を調整する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0079】
なお、図13に示すように、加速度センサー等を用いてプロジェクター1の姿勢を検出する姿勢検出部26を備えるようにして、制御部20が、姿勢検出部26の検出結果に基づいて、設置モードを設定、及び同期信号の送信方向の調整を行うようにしてもよい。例えば、姿勢検出部26が検出した姿勢が基本姿勢の場合には、制御部20は、設置モードを通常モードに設定するとともに、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させる。また、姿勢検出部26が検出した姿勢が反転姿勢の場合には、制御部20は、設置モードを天吊りモードに設定するとともに、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや下向きに送信されるように、送信部24を回動させればよい。このように、姿勢検出部26の検出結果に基づいて、設置モードの設定及び送信方向の調整を行う場合には、設置モードを設定するための入力操作、及び送信方向を調整するための操作の双方とも実施する必要がなくなり、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0080】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第2実施形態と同様の構成を有しており、レンズシフト機能を有するとともに、±Y方向に平行な回転軸53によって送信部24を左右に回動させることが可能になっている。ただし、本実施形態の送信部24は、ハンドル8によって手動で回動する代わりに、電動で回動するようになっている。
【0081】
図14は、本実施形態に係るプロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図14に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、第3実施形態と同様、同期信号の送信方向を自動的に調整する送信方向調整部25を備えている。送信方向調整部25は、回転軸53を回転させるためのモーター等を備えて構成され、制御部20の制御に基づいて送信部24を回動させる。
【0082】
また、プロジェクター1は、投写レンズ13の位置(基準位置からのシフト量)に基づいて、レンズシフト機能による投写位置の調整状態を検出するレンズシフト検出部27を備えている。そして、本実施形態の制御部20は、レンズシフト検出部27の検出結果に応じて同期信号の送信方向を調整する。
【0083】
例えば、図10(a)に示したように、レンズシフト機能を使用せずに、プロジェクター1の正面に向けて画像を投写していることをレンズシフト検出部27が検出した場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させる。また、図10(b)に示したように、レンズシフト機能によって左側に画像を投写していることをレンズシフト検出部27が検出した場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや左向きに送信されるように送信部24を回動させる。同様に、レンズシフト機能によって右側に画像を投写していることをレンズシフト検出部27が検出した場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや右向きに送信されるように送信部24を回動させる。このように、レンズシフト機能によって画像の投写位置を調整している場合には、制御部20は、投写位置が移動している側に向けて同期信号を送信させる。なお、同期信号の送信方向は、投写レンズ13のシフト量に応じて段階的に調整できるようにしてもよいし、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号の送信方向が、レンズシフト機能による投写位置の調整状態に応じて調整されるため、画像の投写位置、即ちプロジェクターの設置位置に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、ユーザーがレンズシフト機能によって投写位置を調整すれば、調整された投写位置に適した方向に同期信号が送信されるため、ユーザーが自ら送信方向を調整する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0085】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第3実施形態と同様、±X方向に平行な回転軸53によって送信部24を電動で上下に回動させることが可能になっている。また、このプロジェクター1の画像処理部23は、台形歪補正機能を有しており、投写面SCに対してプロジェクター1(筐体5)を上下に傾けて斜め方向から画像を投写した場合に生じる台形歪を補正可能になっている。
【0086】
台形歪は、画像を斜め方向から投写した場合に、投写面SCに投写される画像がプロジェクター1から遠い位置ほど拡大してしまう歪であり、画像処理部23は、台形歪が相殺されるように、プロジェクター1から遠くなる位置ほど画像を予め縮小させておく補正を施す。台形歪が生じている場合には、ユーザーは、入力操作部21を操作することにより、台形歪の向きやその程度に応じて補正量を調整することができる。そして、ユーザーによって補正量が調整されると、制御部20は、画像処理部23に指示をして、補正量に応じた台形歪補正を行わせるとともに、送信方向調整部25に指示をして、補正量に応じて同期信号の送信方向を調整させる。ここで、台形歪の補正量は、投写面SCに対する筐体5の傾きに応じて変化するものであるから、上記の調整により、筐体5の傾きに応じて適切な方向に同期信号を送信することができる。
【0087】
図15は、本実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを示す正面図、(b)は、投写面SCを示す正面図、(c)は、プロジェクター1の傾きと同期信号の送信方向との関係を示す側面図である。
【0088】
図15(a)に示すように、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、矩形の表示領域12aを備えており、この表示領域12aに含まれる複数の画素によって画像を形成する。プロジェクター1が投写面SCと正対する場合には、矩形の表示領域12aの全域で画像が形成され、この画像は、投写面SCにも矩形状に表示される。これに対し、プロジェクター1が斜め方向から画像を投写する場合には、図15(b)に示すように、台形歪が生じる。即ち表示領域12aの全域で形成された矩形の画像は、投写面SCでは台形状の画像Paとて表示される。このとき、図15(a)に示すように、ユーザーによって調整された補正量に基づいて、台形歪を相殺可能な有効領域12eを表示領域12a内に設定し、この有効領域12e内に画像を形成するようにすれば、形成された画像は、投写面SCには矩形状の画像Peとして表示され、台形歪が補正される。なお、有効領域12eの外側の領域(無効領域)は、黒色、即ち光透過率が最小となる状態に設定される。
【0089】
ここで、図15(a)に示すように、ユーザーによって調整された補正量が、画像の上側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、図15(b)、(c)に示すように、プロジェクター1は、斜め上方に画像が投写されるように傾いて設置され、投写された画像は、上側ほど拡大していることが想定される。このとき、同期信号を筐体5から+Z方向に真っ直ぐ送信すると、投写面SCで上方に反射してしまうため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや下側(−Y側)に向けて送信させる。これにより、投写面SCの正面で画像を鑑賞する鑑賞者の液晶シャッターメガネ2に同期信号を受信させやすくすることができる。同様に、ユーザーによって調整された補正量が、画像の下側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、投写された画像は、下側ほど拡大していることが想定されるため、この場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや上側(+Y側)に向けて送信させる。このように、投写面SCに対してプロジェクター1を傾けて投写する場合には、制御部20は、プロジェクター1の傾きに起因する台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信させる。一方、補正量が0の場合、即ち台形歪補正を行わない場合には、プロジェクター1は投写面SCの正面中央に設置されていることが想定されるため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)に真っ直ぐ送信させる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号の送信方向が、ユーザーによって調整された台形歪の補正量、即ち投写面SCに対する筐体5の傾きに応じて調整されるため、筐体5の傾きに応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、ユーザーが台形歪の補正量を調整すれば、適切な方向に同期信号が送信されるため、ユーザーが自ら送信方向を調整する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0091】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第4実施形態と同様、±Y方向に平行な回転軸53によって送信部24を電動で左右に回動させることが可能になっている。また、このプロジェクター1の画像処理部23は、台形歪補正機能を有しており、投写面SCに対して筐体5を左右に傾けて斜め方向から画像を投写した場合に生じる台形歪を補正可能になっている。そして、ユーザーによって補正量が調整されると、制御部20は、画像処理部23に指示をして、補正量に応じた台形歪補正を行わせるとともに、送信方向調整部25に指示をして、補正量に応じて同期信号の送信方向を調整させる。
【0092】
図16は、本実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを示す正面図、(b)は、投写面SCを示す正面図、(c)は、プロジェクター1の傾きと同期信号の送信方向との関係を示す平面図である。
例えば、図16(a)に示すように、ユーザーによって調整された補正量が、画像の右側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、図16(b)、(c)に示すように、プロジェクター1は、右斜め前方向に画像が投写されるように傾いて設置され、投写された画像は、右側ほど拡大していることが想定される。このとき、同期信号を筐体5から+Z方向に真っ直ぐに送信すると、投写面SCで右側に反射してしまうため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや左側(−X側)に向けて送信させる。これにより、投写面SCの正面で画像を鑑賞する鑑賞者の液晶シャッターメガネ2に同期信号を受信させやすくすることができる。同様に、ユーザーによって調整された補正量が、画像の左側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、投写された画像は、左側ほど拡大していることが想定されるため、この場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや右側(+X側)に向けて送信させる。このように、第5実施形態と同様、投写面SCに対してプロジェクター1を傾けて投写する場合には、制御部20は、台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信させる。一方、補正量が0の場合、即ち台形歪補正を行わない場合には、プロジェクター1は投写面SCの正面中央に設置されていることが想定されるため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)に真っ直ぐ送信させる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0095】
上記実施形態において、プロジェクター1の設置状態と同期信号の送信方向との関係は、上記に限定されず、種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、送信部24を回動させることによって同期信号の送信方向を調整しているが、これに限定されず、他の調整方法を採用することも可能である。
【0096】
上記実施形態では、送信部24が筐体5の内部に収容された構成を示しているが、送信部24が筐体5と一体的(分離していない状態)であれば、この構成に限定されない。例えば、図17(a)、(b)に示すように、送信部24を筐体5の外側に取り付けることも可能である。
【0097】
上記実施形態では、送信部24が前方(+Z方向)に同期信号を送信し、投写面SCに反射させて液晶シャッターメガネ2に受信させる態様を示したが、この態様に限定されない。例えば、プロジェクター1が短焦点の投写レンズ13を備えた構成である場合には、プロジェクター1は投写面SCの直前に設置され、鑑賞者はその後方に位置することになるため、同期信号を後方(−Z方向)に送信させ、液晶シャッターメガネ2に直接受信させる態様としてもよい。
【0098】
上記実施形態(第5及び第6実施形態)では、台形歪の補正量に基づいて送信方向を調整しているが、例えば、図13に示した姿勢検出部26によって、投写面SCに対する筐体5の上下方向の傾きを検出し、この検出結果に基づいて、送信方向を調整するようにしてもよい。また、前方の投写面SCを撮像する撮像手段を備えるようにして、撮像した画像に含まれる投写面SC(スクリーン)の形状(歪み)に基づいて投写面SCに対する筐体5の上下及び左右の傾きを検出し、この検出結果に基づいて送信方向を調整するようにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、±X方向又は±Y方向に平行な回転軸53によって送信部24を上下及び左右のいずれか一方に回動させるようにしているが、例えば、送信部24を二軸で回動可能な構成すれば、送信方向を上下左右の任意の方向に調整することが可能となる。
【0100】
上記実施形態では、液晶シャッターメガネ2の受信部41が、液晶シャッターメガネ2の前面に配置されているが、これに限定されない。つまり、液晶シャッターメガネ2は、鑑賞者の前方から送信される同期信号を受信する態様に限定されず、鑑賞者の後方や左右方向から送信される同期信号を受信可能な態様としてもよい。
【0101】
上記実施形態では、液晶シャッターメガネ2は、受信した同期信号に同期して左右の液晶シャッター44L,44Rを交互に開放させるようにしているが、左眼用の液晶シャッター44Lを開放して右眼用の液晶シャッター44Rを閉塞する状態と、右眼用の液晶シャッター44Rを開放して左眼用の液晶シャッター44Lを閉塞する状態との間に、双方の液晶シャッター44L,44Rを閉塞する状態を挿入するようにしてもよい。
【0102】
上記実施形態では、制御部20は、外部の画像供給装置から入力される基準同期信号に基づいて、赤外線の同期信号を送信させる指示を送信部24に行っているが、この基準同期信号は外部から入力される態様に限定されず、プロジェクター1自体(例えば、制御部20)が基準同期信号を生成する態様としてもよい。
【0103】
上記実施形態では、プロジェクター1の送信部24と、液晶シャッターメガネ2の受信部41との間で、赤外線の同期信号を送受信する態様を示したが、同期信号は、赤外線に限定されない。例えば、赤外線以外の光通信を利用するようにしてもよい。
【0104】
上記実施形態のプロジェクター1では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0105】
上記実施形態において、画像供給装置からプロジェクター1に画像情報を供給する方式としては、左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とをフレーム単位で交互に出力するフレームシーケンシャル方式を採用することができるが、画像情報の供給方式はこれに限定されない。例えば、左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とを左右に並べて1フレーム内に収めるサイドバイサイド方式を採用することも可能である。この場合には、プロジェクター1が、供給される画像情報を左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とに分離し、それぞれの画像情報に基づく画像を交互に表示すればよい。
【符号の説明】
【0106】
1…プロジェクター、2…液晶シャッターメガネ、5…筐体、5a…前面、5b…天面、5c…背面、5d,5e…側面、6…開口部、7…カバー部材、8…ハンドル、9…固定具、10…画像投写部、11…光源装置、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、12a…表示領域、12e…有効領域、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…入力操作部、22…画像情報入力部、23…画像処理部、24…送信部、24a…発光装置、25…送信方向調整部、26…姿勢検出部、27…レンズシフト検出部、41…受信部、42…制御部、43…駆動部、44L,44R…液晶シャッター、51…発光部、51a…前面、51b…裏面、52…支持部、53…回転軸、100…プロジェクションシステム、SC…投写面、Pm…設置モード選択画像、Pa,Pe…画像。
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写する画像を鑑賞者に立体像として認識させるプロジェクター、プロジェクションシステム、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターが表示する画像を鑑賞者に立体像として認識させるために、鑑賞者の右目及び左目に、それぞれ異なる画像(視差画像)を視認させるシステムが種々提案されている。このようなシステムの1つとして、例えば、左目用の画像と右目用の画像とをプロジェクターが時分割で交互に投写する態様のシステムがある。この態様では、鑑賞者は、画像の切り替えに同期して左右交互に開閉するシャッターメガネを通して画像を鑑賞することにより、立体像を認識することができる。特許文献1に記載の立体映像システムでは、プロジェクターからスクリーンに画像を投写するとともに、プロジェクターに備わる出射部から、シャッターメガネの開閉を制御する同期信号(制御信号)を出射してスクリーンに反射させ、シャッターメガネに受光させている。これにより、プロジェクターによる画像の切り替えと、シャッターメガネの開閉との同期をとることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3101542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのプロジェクターは、机上のみならず天井に設置できたり、レンズシフト機能等によって画像の投写位置を調整できたり、設置の自由度が高いため、様々な設置状態で使用され得る。一方、特許文献1に記載の立体映像システムにおいて、同期信号の出射方向は、プロジェクターの設置状態(向き)によって定まるため、プロジェクターの設置状態によっては、シャッターメガネが同期信号を受信できる位置が制限されてしまうという問題を有している。
【0005】
また、同期信号の出射部をプロジェクターの本体から分離させて、本体と出射部とをケーブルで接続する態様のシステムも提案されている。この態様では、プロジェクターの設置状態に拘らずに同期信号を任意の方向に送信できるため、同期信号をシャッターメガネに受信させやすくなるが、出射部とプロジェクター本体とが分離しているため、取り扱いが煩雑になる。また、この態様では、本体と出射部とがケーブルで接続されているため、設置後の外観が損なわれてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、前記画像投写部を収容する筐体と、前記筐体に対して一体的に備えられ、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記同期信号の送信方向を調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
このプロジェクターによれば、同期信号を送信する送信部が、送信方向を調整可能に構成されているため、プロジェクターの設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信部は、前記筐体に対して回動することが望ましい。
【0010】
このプロジェクターによれば、送信部が回動する構成であるため、送信方向の調整を容易に行うことが可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信部は、前記同期信号を送信する複数の送信装置を含んで構成されていることが望ましい。
【0012】
このプロジェクターによれば、送信部が複数の送信装置を含んで構成されているため、同期信号を広い範囲に送信することが可能となる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記複数の送信装置は、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されていることが望ましい。
【0014】
このプロジェクターによれば、複数の送信装置は、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されているため、より広い範囲に同期信号を送信することが可能となる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、当該プロジェクターの設置状態に応じて前記送信方向を調整する送信方向調整部をさらに備えることが望ましい。
【0016】
このプロジェクターによれば、プロジェクターの設置状態に応じて送信方向が調整されるため、ユーザーが自ら調整を行う必要がなくなり、利便性が向上する。
【0017】
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、当該プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかに応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0018】
このプロジェクターによれば、送信方向調整部は、プロジェクターの姿勢(基本姿勢又は反転姿勢)に応じて送信方向を調整するため、プロジェクターの姿勢に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0019】
[適用例7]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの姿勢が前記反転姿勢である場合には、前記基本姿勢である場合よりも下側に向けて同期信号を送信することが望ましい。
【0020】
[適用例8]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記画像が投写される投写面に対する当該プロジェクターの傾きに応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0021】
このプロジェクターによれば、送信方向調整部は、投写面に対するプロジェクターの傾きに応じて送信方向を調整するため、プロジェクターの傾きに応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0022】
[適用例9]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの傾きに起因する台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信することが望ましい。
【0023】
[適用例10]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記画像投写部は、投写レンズを光軸に対して垂直に移動させて、前記画像の投写位置を調整するレンズシフト機能を有し、前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能による前記投写位置の調整状態に応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0024】
このプロジェクターによれば、送信方向調整部は、投写位置の調整状態に応じて送信方向を調整するため、画像の投写位置、即ちプロジェクターの設置位置に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0025】
[適用例11]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能によって前記投写位置が移動している側に向けて同期信号を送信することが望ましい。
【0026】
[適用例12]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、当該プロジェクターの設置状態を検出する検出部をさらに備え、前記送信方向調整部は、前記検出部の検出結果に応じて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0027】
[適用例13]本適用例に係るプロジェクションシステムは、上記適用例のいずれかに記載のプロジェクターと、前記プロジェクターから送信される前記同期信号を受信し、受信した前記同期信号に基づいて左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを開放させるシャッターメガネと、を備えたことを特徴とする。
【0028】
このプロジェクションシステムによれば、上記プロジェクターと同様の効果を得ることが可能となる。
【0029】
[適用例14]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記画像投写部によって前記左眼用の画像と前記右眼用の画像とを投写する投写ステップと、前記送信部によって前記同期信号を送信する送信ステップと、前記同期信号の送信方向を調整する調整ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0030】
[適用例15]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記プロジェクターの設置状態を検出する検出ステップをさらに備え、前記調整ステップでは、前記検出ステップでの検出結果に基づいて前記送信方向を調整することが望ましい。
【0031】
このプロジェクターの制御方法によれば、プロジェクターの設置状態に応じて同期信号の送信方向を調整するため、プロジェクターの設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。
【0032】
[適用例16]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記検出ステップでは、前記プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかを検出し、前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの姿勢に基づいて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0033】
[適用例17]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記検出ステップでは、前記画像が投写される投写面に対する前記プロジェクターの傾きを検出し、前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの傾きに基づいて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【0034】
[適用例18]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記検出ステップでは、レンズシフト機能による投写位置の調整状態を検出し、前記調整ステップでは、検出された前記投写位置の調整状態に基づいて前記送信方向を調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態のプロジェクションシステムの概略構成を示す斜視図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、前方から見た図。
【図2】プロジェクターが天井に取り付けられた状態を示す斜視図。
【図3】第1実施形態に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図4】液晶シャッターメガネの内部構成を示すブロック。
【図5】第1実施形態の送信部を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのA−A断面図、(c)は、B−B断面図。
【図6】送信部が回動する様子を示す側面図であり、(a)は、同期信号を前方の正面に向けて送信する状態を示す図、(b)は、同期信号をやや上側に向けて送信する状態を示す図、(c)は、同期信号をやや下側に向けて送信する状態を示す図。
【図7】プロジェクターの設置姿勢と同期信号の送信方向との関係を示す側面図であり、(a)は、プロジェクターを基本姿勢で設置した状態を示す図、(b)は、プロジェクターを反転姿勢で天吊りした状態を示す図。
【図8】第2実施形態の送信部を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのC−C断面図、(c)は、D−D断面図。
【図9】第2実施形態に係るプロジェクターの斜視図。
【図10】プロジェクターの設置位置と同期信号の送信方向との関係を示す平面図であり、(a)は、プロジェクターを投写面の正面中央に設置した状態を示す図であり、(b)は、プロジェクターを投写面に向かって右側にずらして設置した状態を示す図。
【図11】第3実施形態に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図12】設置モードを選択するための設置モード選択画像を示す説明図。
【図13】第3実施形態の他の態様に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図14】第4実施形態に係るプロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図15】第5実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブを示す正面図、(b)は、投写面を示す正面図、(c)は、プロジェクターの傾きと同期信号の送信方向との関係を示す側面図。
【図16】第6実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブを示す正面図、(b)は、投写面を示す正面図、(c)は、プロジェクターの傾きと同期信号の送信方向との関係を示す平面図。
【図17】(a)、(b)は、変形例に係るプロジェクターを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のプロジェクションシステムの概略構成を示す斜視図であり、(a)は、後方から見た図、(b)は、前方から見た図である。また、図2は、プロジェクションシステムを構成するプロジェクターが天井に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0037】
図1(a)、(b)に示すように、プロジェクションシステム100は、両眼視差を利用して鑑賞者に立体像を認識させるシステムであり、プロジェクター1と、液晶シャッターメガネ2とを備えて構成されている。
【0038】
プロジェクター1は、装置本体(後述する画像投写部10等)を収容する筐体5を備えて構成されており、筐体5の天面5bには、ユーザーにより入力操作が行われる入力操作部21が配置されている。筐体5の背面5cには、複数の入力端子を備えた画像情報入力部22が設けられており、画像情報入力部22には、外部の画像供給装置(図示省略)から画像情報が入力される。筐体5の前面5aには、投写レンズ13を露出させるための開口部6が形成されており、この投写レンズ13から、画像情報に基づく画像が前方の投写面(例えば、スクリーン)SCに投写される。なお、本図において、前方、即ち筐体5の前面5aから筐体5の外部に向かう方向で投写レンズ13の光軸に平行な方向を+Z方向とし、+Z方向に垂直で筐体5の天面5bから筐体5の外部に向かう方向を+Y方向とし、+Y方向及び+Z方向に垂直で天面5bを上方に向けた姿勢において投写面SCに向かって右向きの方向を+X方向とする。
【0039】
画像情報入力部22には、左眼用の画像を表す左眼用の画像情報と、右眼用の画像を表す右眼用の画像情報とが入力され、プロジェクター1は、左眼用の画像と右眼用の画像とをフレーム単位で時分割して投写面SC上に交互に投写(表示)する。また、筐体5の前面5a及び天面5bの一部は、赤外線を透過するカバー部材7で覆われており、このカバー部材7の内側には、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期信号を送信する送信部24が備えられている。送信部24は、カバー部材7の内側で筐体5に対して回動可能になっており、筐体5の側面5eには、送信部24を回動させるためのハンドル8が配置されている。ハンドル8は、送信部24の送信方向を手動で調整するための手動調整部に相当する。
【0040】
液晶シャッターメガネ2は、プロジェクター1が投写する画像を鑑賞する鑑賞者に装着されるものであり、鑑賞者の左眼に対峙する左眼用の液晶シャッター44Lと、右眼に対峙する右眼用の液晶シャッター44Rとを備えている。また、液晶シャッターメガネ2の前面には、プロジェクター1から送信される赤外線の同期信号を受信するための受信部41が設けられており、プロジェクター1から送信された同期信号は、投写面SCで反射して液晶シャッターメガネ2に受信される。液晶シャッターメガネ2は、左眼用の画像が鑑賞者の左眼のみで認識され、右眼用の画像が鑑賞者の右眼のみで認識されるよう、受信した同期信号に同期して左右の液晶シャッター44L,44Rを交互に開放させる。
【0041】
また、図2に示すように、プロジェクター1は、天井等への取り付け(以降、「天吊り」とも呼ぶ。)も可能になっている。この場合には、プロジェクター1は、筐体5の底面(図示せず)に天吊り用の固定具9が装着され、この固定具9によって天地を反転させた姿勢(反転姿勢)で天井等に取り付けられる。つまり、通常の姿勢(基本姿勢)で机上等に設置される場合に上方を向く天面5bは、反転姿勢では下方を向くことになる。
【0042】
図3は、本実施形態に係るプロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、入力操作部21、画像情報入力部22、画像処理部23、送信部24等を備えている。
【0043】
画像投写部10は、光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等で構成されている。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源装置11から射出された光を液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して、上述した左眼用の画像及び右眼用の画像を交互に形成する。そして、形成した左眼用及び右眼用の画像を、投写レンズ13から前方(+Z方向)に向けて拡大投写して、投写面SC上に交互に表示する。
【0044】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0045】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、液晶駆動部14の駆動により、入力される画像情報に応じた駆動電圧が各画素に印加されると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像となった後、投写レンズ13から拡大投写される。
【0046】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)等を備えており、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、コンピューターとして機能する。
【0047】
入力操作部21は、ユーザーの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。本実施形態の入力操作部21が備える操作キーとしては、電源のオンとオフとを切り替えるための電源キー、各種設定用のメニュー画像を表示させるメニューキー、メニュー画像における項目の選択等に用いられる方向キー、選択した項目を確定させるための決定キー等がある。ユーザーが入力操作部21の各種操作キーを操作すると、入力操作部21は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、入力操作部21として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しない受信手段がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0048】
画像情報入力部22には、パーソナルコンピューターや各種映像再生装置等の図示しない外部の画像供給装置から、左眼用及び右眼用の画像情報が入力される。そして、画像情報入力部22は、入力された画像情報を画像処理部23に出力する。また、画像情報入力部22には、画像の表示タイミングを計るための同期信号(以降、「基準同期信号」と呼ぶ。)が画像情報とともに画像供給装置から入力され、画像情報入力部22は、この基準同期信号を制御部20に出力する。
【0049】
画像処理部23は、画像情報入力部22から入力される左眼用及び右眼用の画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。また、画像処理部23は、制御部20の指示に基づき、変換した画像情報に対して、明るさやコントラスト等を調整するための画質調整処理や、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するためのOSD処理等を必要に応じて行う。
【0050】
画像処理部23には、画像情報を一時的に記憶する画像メモリー(図示省略)が備えられており、左眼用及び右眼用の画像情報は、上記の各種処理が施された後、フレーム単位で画像メモリーに記憶される。そして、画像処理部23は、制御部20からの指示に基づいて、画像メモリーに記憶されている左眼用及び右眼用の画像情報を1フレームずつ交互に液晶駆動部14に出力する。
【0051】
液晶駆動部14が、画像処理部23から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。この結果、投写面SCには、左眼用の画像と右眼用の画像がフレーム単位で交互に表示される。
【0052】
送信部24は、赤外線を発光する複数の発光装置24a(図5参照)等を備えて構成され、上述したように、筐体5の内部で、筐体5に対して回動可能に備えられている。送信部24は、制御部20の指示に基づいて、左眼用の画像と右眼用の画像との切り替えに同期するための赤外線の同期信号を送信し、液晶シャッターメガネ2に受信させる。
【0053】
制御部20は、画像供給装置からの基準同期信号に基づいて、所定の周期で画像処理部23に指示を行い、左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とを1フレームずつ交互に出力させるとともに、送信部24に指示をして、所定の波形パターンからなる同期信号を、画像処理部23からの画像情報の出力に同期させて送信させる。そして、送信部24は、制御部20からの指示に応じて、赤外線の同期信号を送信する。
【0054】
図4は、液晶シャッターメガネ2の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、液晶シャッターメガネ2は、上述した液晶シャッター44L,44Rに加えて、受信部41と、制御部42と、駆動部43とを有している。受信部41は、フォトセンサー等によって構成され、プロジェクター1から送信される赤外線の同期信号を受信(受光)して電気信号に変換する。
【0055】
制御部42は、受信した同期信号に基づいて、液晶シャッター44L,44Rの開閉を制御するための制御信号を生成し、駆動部43に出力する。駆動部43は、入力される制御信号に基づいて液晶シャッター44L,44Rの開閉(開放及び閉塞)を駆動する。
【0056】
液晶シャッター44L,44Rは、それぞれ液晶パネルの表裏両側に偏光板が貼り付けられた構成を有している。左眼用の液晶シャッター44Lは、駆動部43の駆動により、左眼に入射する光を透過させる開放状態と、左眼に入射する光を遮蔽する閉塞状態とを切り替え、右眼用の液晶シャッター44Rは、駆動部43の駆動により、右眼に入射する光を透過させる開放状態と、右眼に入射する光を遮蔽する閉塞状態とを切り替える。
【0057】
プロジェクションシステム100は、上記のように構成されているため、プロジェクター1の画像処理部23が、制御部20からの指示に基づいて、左眼用の画像の表示と右眼用の画像の表示とを切り替え、液晶シャッターメガネ2が、プロジェクター1から送信される同期信号に基づいて、開放する液晶シャッター44L,44Rを切り替えることにより、左眼用の画像を左眼のみに認識させ、右眼用の画像を右眼のみに認識させることができる。
【0058】
次に、プロジェクター1の送信部24について詳述する。
図5は、送信部24を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのA−A断面図、(c)は、B−B断面図である。また、図6(a)〜(c)は、送信部24が回動する様子を示す側面図である。
図5(a)〜(c)に示すように、送信部24は、正面視で矩形状の発光部51に、送信装置としての複数の発光装置24aを備えた構成を有しており、各発光装置24aは、発光部51の前面51aにマトリクス状に配列されている。発光部51の前面51aは、球面状に形成されており、各発光装置24aは、前面51aのそれぞれの位置から垂直な方向に同期信号を射出(送信)する。つまり、各発光装置24aは、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されており、同期信号は、送信部24から発散するように射出される。
【0059】
発光部51の裏面51bには、発光部51を支持する支持部52の一端が固定されている。支持部52の他端には、±X方向に平行な回転軸53が固定されており、送信部24は、この回転軸53を中心にして回動可能になっている。回転軸53は、ハンドル8(図1参照)に接続されており、ユーザーは、ハンドル8を操作することによって送信部24を回動させ、同期信号の射出方向(送信方向)を変更することができる。このため、同期信号を前方(+Z方向)の正面に向けて送信する態様(図6(a)参照)のみならず、やや上側(+Y側)に向けて送信したり(図6(b)参照)、やや下側(−Y側)に向けて送信したり(図6(c)参照)することをユーザーが選択することができる。
【0060】
図7(a)、(b)は、プロジェクター1の設置姿勢と同期信号の送信方向との関係を示す側面図である。
例えば、図7(a)に示すように、プロジェクター1を机上等に基本姿勢で設置して画像を投写させる場合には、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させることにより、液晶シャッターメガネ2に受信させることができる。一方、図7(b)に示すように、プロジェクター1を高い天井に反転姿勢で天吊りする場合には、同期信号を前方正面に向けて送信させると、液晶シャッターメガネ2で同期信号を受信できなくなる恐れがあるため、同期信号がやや下向き(反転姿勢での+Y向き)に送信されるように、ハンドル8で操作すればよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0062】
(1)本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号を送信する送信部24が、送信方向を調整可能に構成されているため、プロジェクター1の設置状態に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、送信部24が筐体5に対して一体的に備えられているため、筐体5と分離してケーブルで接続される場合に比べて、取り扱いが容易であるうえ、設置後の外観が損なわれずに済む。
【0063】
(2)本実施形態のプロジェクター1によれば、送信部24が回動する構成であるため、送信方向の調整を容易に行うことが可能となる。
【0064】
(3)本実施形態のプロジェクター1によれば、送信部24が複数の発光装置24aを含んで構成されているため、同期信号を広い範囲に送信することが可能となる。
【0065】
(4)本実施形態のプロジェクター1によれば、複数の発光装置24aが、それぞれの送信方向がずれるように配置されているため、より広い範囲に同期信号を送信することが可能となる。
【0066】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1の画像投写部10は、投写される画像の位置(投写位置)を調整するためのレンズシフト機能を有している。レンズシフト機能は、投写レンズ13を光軸に対して垂直に移動させることによって投写位置を移動させるものであり、この機能により、プロジェクター1を投写面SCの正面中央に設置する必要がなくなり、プロジェクター1の設置の自由度が高まる。つまり、レンズシフト機能は、プロジェクター1の設置位置を調整するための機能であるとも言える。
【0067】
図8は、本実施形態の送信部24を示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、そのC−C断面図、(c)は、D−D断面図である。また、図9は、本実施形態のプロジェクター1の斜視図である。
図8に示すように、本実施形態の送信部24は、第1実施形態の送信部24と同様の形状であるが、第1実施形態とは向きが90°異なるように配置される。具体的には、本実施形態では、支持部52の端部に、±Y方向に平行な回転軸53が固定され、送信部24は、この回転軸53を中心にして回動可能になっている。図9に示すように、筐体5の天面5bには、回転軸53に接続されたハンドル8が配置されており、ユーザーは、ハンドル8を操作することによって送信部24を回動させ、同期信号の送信方向を左右に変更することができる。このため、同期信号を前方(+Z方向)の正面に向けて送信する態様のみならず、やや右側(+X側)に向けて送信したり、やや左側(−X側)に向けて送信したりすることをユーザーが選択することができる。
上記以外の構成は、第1の実施形態と同一である。
【0068】
図10(a)、(b)は、プロジェクター1の設置位置と同期信号の送信方向との関係を示す平面図である。
例えば、図10(a)に示すように、レンズシフト機能を使用せずに、プロジェクター1を投写面SCの正面中央に設置して画像を投写し、鑑賞者も投写面SCの正面中央で画像を鑑賞する場合には、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させることにより、液晶シャッターメガネ2に受信させることができる。一方、図10(b)に示すように、プロジェクター1を正面中央よりも右側(投写面SCに向かって右側)にずらして設置し、レンズシフト機能によって左側に画像を投写する場合には、同期信号を前方(+Z方向)の正面に向けて送信させると、プロジェクター1の左側にいる鑑賞者の液晶シャッターメガネ2で同期信号を受信できなくなる恐れがあるため、同期信号がやや左向き(−X向き)に送信されるように、ハンドル8で操作すればよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態では、レンズシフト機能によって投写位置を左右に移動させる場合を例にして説明したが、第1実施形態と同様、±X方向に平行な回転軸53によって送信部24を上下に回動させることが可能なプロジェクター1を用いれば、投写位置を上下に移動させるレンズシフト機能を備える場合にも適用可能である。
【0071】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第1実施形態と同様の構成を有しており、±X方向に平行な回転軸53によって送信部24を上下に回動させることが可能になっているが、送信部24は、ハンドル8によって手動で回動する代わりに、電動で回動するようになっている。
【0072】
図11は、本実施形態に係るプロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、同期信号の送信方向を自動的に調整する送信方向調整部25を備えている。送信方向調整部25は、回転軸53を回転させるためのモーター等を備えて構成され、制御部20の制御に基づいて送信部24を回動させる。
【0073】
第1実施形態と同様、プロジェクター1は、机上等に設置される場合には通常の基本姿勢(図1参照)で設置され、天井等に天吊りされる場合には、基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢(図2参照)で固定される。反転姿勢では、投写される画像も上下が逆さまになってしまうため、天吊りで利用する場合には、画像を意図的に上下反転(180°回転)させておく必要がある。プロジェクター1は、基本姿勢に対応する通常モードと、反転姿勢に対応する天吊りモードの2つの設置モードのうちのいずれか一方に設定されるようになっている。そして、設置モードが天吊りモードに設定された場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして画像を上下反転させる処理を行わせる。
【0074】
入力操作部21に備わるメニューキーがユーザーによって操作されると、プロジェクター1の制御部20は、画像処理部23に指示をして、各種設定を行うための図示しないOSD画像(設定メニュー画像)を重畳表示させる。その後、ユーザーが設定メニュー画像の内容に従って所定の入力操作を行うと、制御部20は、画像処理部23に指示をして、設置モードを選択するためのメニュー画像(設置モード選択画像)を重畳表示させる。
【0075】
図12は、設置モードを選択するための設置モード選択画像を示す説明図である。
図12に示すように、設置モード選択画像Pmには、選択を促すメッセージとともに、「通常モード」と「天吊りモード」の2つの項目が表示されている。ユーザーは、方向キーを操作して所望の設置モードを指定した後で決定キーを操作することにより、設置モードを選択することができる。ユーザーが選択した設置モードに関する情報は、制御部20のROMに記憶される。
【0076】
設置モードとして通常モードが選択された場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、基本姿勢で画像を投写した際に正しい向きで画像が表示されるように、これ以降の画像処理を行わせる。一方、設置モードとして天吊りモードが選択された場合には、制御部20は、画像処理部23に指示をして、これ以降、反転姿勢で画像を投写した際に正しい向きで画像が表示されるよう、上下を反転させる処理を行わせる。
【0077】
また、設置モードとして通常モードが選択された場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させる(図7(a)参照)。一方、設置モードとして天吊りモードが選択された場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや下向き(反転姿勢での+Y向き)に送信されるように、送信部24を回動させる(図7(b)参照)。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号の送信方向が、プロジェクター1の設置姿勢、即ち設置モードの設定に応じて調整されるため、設置姿勢に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、ユーザーが設置モードを設定すれば、設定された設置モード(設置姿勢)に適した方向に同期信号が送信されるため、ユーザーが自ら送信方向を調整する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0079】
なお、図13に示すように、加速度センサー等を用いてプロジェクター1の姿勢を検出する姿勢検出部26を備えるようにして、制御部20が、姿勢検出部26の検出結果に基づいて、設置モードを設定、及び同期信号の送信方向の調整を行うようにしてもよい。例えば、姿勢検出部26が検出した姿勢が基本姿勢の場合には、制御部20は、設置モードを通常モードに設定するとともに、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させる。また、姿勢検出部26が検出した姿勢が反転姿勢の場合には、制御部20は、設置モードを天吊りモードに設定するとともに、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや下向きに送信されるように、送信部24を回動させればよい。このように、姿勢検出部26の検出結果に基づいて、設置モードの設定及び送信方向の調整を行う場合には、設置モードを設定するための入力操作、及び送信方向を調整するための操作の双方とも実施する必要がなくなり、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0080】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第2実施形態と同様の構成を有しており、レンズシフト機能を有するとともに、±Y方向に平行な回転軸53によって送信部24を左右に回動させることが可能になっている。ただし、本実施形態の送信部24は、ハンドル8によって手動で回動する代わりに、電動で回動するようになっている。
【0081】
図14は、本実施形態に係るプロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図14に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、第3実施形態と同様、同期信号の送信方向を自動的に調整する送信方向調整部25を備えている。送信方向調整部25は、回転軸53を回転させるためのモーター等を備えて構成され、制御部20の制御に基づいて送信部24を回動させる。
【0082】
また、プロジェクター1は、投写レンズ13の位置(基準位置からのシフト量)に基づいて、レンズシフト機能による投写位置の調整状態を検出するレンズシフト検出部27を備えている。そして、本実施形態の制御部20は、レンズシフト検出部27の検出結果に応じて同期信号の送信方向を調整する。
【0083】
例えば、図10(a)に示したように、レンズシフト機能を使用せずに、プロジェクター1の正面に向けて画像を投写していることをレンズシフト検出部27が検出した場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)のほぼ正面に向けて送信させる。また、図10(b)に示したように、レンズシフト機能によって左側に画像を投写していることをレンズシフト検出部27が検出した場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや左向きに送信されるように送信部24を回動させる。同様に、レンズシフト機能によって右側に画像を投写していることをレンズシフト検出部27が検出した場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号がやや右向きに送信されるように送信部24を回動させる。このように、レンズシフト機能によって画像の投写位置を調整している場合には、制御部20は、投写位置が移動している側に向けて同期信号を送信させる。なお、同期信号の送信方向は、投写レンズ13のシフト量に応じて段階的に調整できるようにしてもよいし、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号の送信方向が、レンズシフト機能による投写位置の調整状態に応じて調整されるため、画像の投写位置、即ちプロジェクターの設置位置に応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、ユーザーがレンズシフト機能によって投写位置を調整すれば、調整された投写位置に適した方向に同期信号が送信されるため、ユーザーが自ら送信方向を調整する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0085】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第3実施形態と同様、±X方向に平行な回転軸53によって送信部24を電動で上下に回動させることが可能になっている。また、このプロジェクター1の画像処理部23は、台形歪補正機能を有しており、投写面SCに対してプロジェクター1(筐体5)を上下に傾けて斜め方向から画像を投写した場合に生じる台形歪を補正可能になっている。
【0086】
台形歪は、画像を斜め方向から投写した場合に、投写面SCに投写される画像がプロジェクター1から遠い位置ほど拡大してしまう歪であり、画像処理部23は、台形歪が相殺されるように、プロジェクター1から遠くなる位置ほど画像を予め縮小させておく補正を施す。台形歪が生じている場合には、ユーザーは、入力操作部21を操作することにより、台形歪の向きやその程度に応じて補正量を調整することができる。そして、ユーザーによって補正量が調整されると、制御部20は、画像処理部23に指示をして、補正量に応じた台形歪補正を行わせるとともに、送信方向調整部25に指示をして、補正量に応じて同期信号の送信方向を調整させる。ここで、台形歪の補正量は、投写面SCに対する筐体5の傾きに応じて変化するものであるから、上記の調整により、筐体5の傾きに応じて適切な方向に同期信号を送信することができる。
【0087】
図15は、本実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを示す正面図、(b)は、投写面SCを示す正面図、(c)は、プロジェクター1の傾きと同期信号の送信方向との関係を示す側面図である。
【0088】
図15(a)に示すように、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、矩形の表示領域12aを備えており、この表示領域12aに含まれる複数の画素によって画像を形成する。プロジェクター1が投写面SCと正対する場合には、矩形の表示領域12aの全域で画像が形成され、この画像は、投写面SCにも矩形状に表示される。これに対し、プロジェクター1が斜め方向から画像を投写する場合には、図15(b)に示すように、台形歪が生じる。即ち表示領域12aの全域で形成された矩形の画像は、投写面SCでは台形状の画像Paとて表示される。このとき、図15(a)に示すように、ユーザーによって調整された補正量に基づいて、台形歪を相殺可能な有効領域12eを表示領域12a内に設定し、この有効領域12e内に画像を形成するようにすれば、形成された画像は、投写面SCには矩形状の画像Peとして表示され、台形歪が補正される。なお、有効領域12eの外側の領域(無効領域)は、黒色、即ち光透過率が最小となる状態に設定される。
【0089】
ここで、図15(a)に示すように、ユーザーによって調整された補正量が、画像の上側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、図15(b)、(c)に示すように、プロジェクター1は、斜め上方に画像が投写されるように傾いて設置され、投写された画像は、上側ほど拡大していることが想定される。このとき、同期信号を筐体5から+Z方向に真っ直ぐ送信すると、投写面SCで上方に反射してしまうため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや下側(−Y側)に向けて送信させる。これにより、投写面SCの正面で画像を鑑賞する鑑賞者の液晶シャッターメガネ2に同期信号を受信させやすくすることができる。同様に、ユーザーによって調整された補正量が、画像の下側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、投写された画像は、下側ほど拡大していることが想定されるため、この場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや上側(+Y側)に向けて送信させる。このように、投写面SCに対してプロジェクター1を傾けて投写する場合には、制御部20は、プロジェクター1の傾きに起因する台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信させる。一方、補正量が0の場合、即ち台形歪補正を行わない場合には、プロジェクター1は投写面SCの正面中央に設置されていることが想定されるため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)に真っ直ぐ送信させる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、同期信号の送信方向が、ユーザーによって調整された台形歪の補正量、即ち投写面SCに対する筐体5の傾きに応じて調整されるため、筐体5の傾きに応じた適切な方向に同期信号を送信することが可能となる。また、ユーザーが台形歪の補正量を調整すれば、適切な方向に同期信号が送信されるため、ユーザーが自ら送信方向を調整する必要がなくなり、ユーザーの利便性が向上する。
【0091】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態のプロジェクションシステムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、第4実施形態と同様、±Y方向に平行な回転軸53によって送信部24を電動で左右に回動させることが可能になっている。また、このプロジェクター1の画像処理部23は、台形歪補正機能を有しており、投写面SCに対して筐体5を左右に傾けて斜め方向から画像を投写した場合に生じる台形歪を補正可能になっている。そして、ユーザーによって補正量が調整されると、制御部20は、画像処理部23に指示をして、補正量に応じた台形歪補正を行わせるとともに、送信方向調整部25に指示をして、補正量に応じて同期信号の送信方向を調整させる。
【0092】
図16は、本実施形態における同期信号の送信方向の調整を説明するための説明図であり、(a)は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを示す正面図、(b)は、投写面SCを示す正面図、(c)は、プロジェクター1の傾きと同期信号の送信方向との関係を示す平面図である。
例えば、図16(a)に示すように、ユーザーによって調整された補正量が、画像の右側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、図16(b)、(c)に示すように、プロジェクター1は、右斜め前方向に画像が投写されるように傾いて設置され、投写された画像は、右側ほど拡大していることが想定される。このとき、同期信号を筐体5から+Z方向に真っ直ぐに送信すると、投写面SCで右側に反射してしまうため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや左側(−X側)に向けて送信させる。これにより、投写面SCの正面で画像を鑑賞する鑑賞者の液晶シャッターメガネ2に同期信号を受信させやすくすることができる。同様に、ユーザーによって調整された補正量が、画像の左側ほど縮小させる補正を行わせるものである場合には、投写された画像は、左側ほど拡大していることが想定されるため、この場合には、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号をやや右側(+X側)に向けて送信させる。このように、第5実施形態と同様、投写面SCに対してプロジェクター1を傾けて投写する場合には、制御部20は、台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信させる。一方、補正量が0の場合、即ち台形歪補正を行わない場合には、プロジェクター1は投写面SCの正面中央に設置されていることが想定されるため、制御部20は、送信方向調整部25に指示をして、同期信号を前方(+Z方向)に真っ直ぐ送信させる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0095】
上記実施形態において、プロジェクター1の設置状態と同期信号の送信方向との関係は、上記に限定されず、種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、送信部24を回動させることによって同期信号の送信方向を調整しているが、これに限定されず、他の調整方法を採用することも可能である。
【0096】
上記実施形態では、送信部24が筐体5の内部に収容された構成を示しているが、送信部24が筐体5と一体的(分離していない状態)であれば、この構成に限定されない。例えば、図17(a)、(b)に示すように、送信部24を筐体5の外側に取り付けることも可能である。
【0097】
上記実施形態では、送信部24が前方(+Z方向)に同期信号を送信し、投写面SCに反射させて液晶シャッターメガネ2に受信させる態様を示したが、この態様に限定されない。例えば、プロジェクター1が短焦点の投写レンズ13を備えた構成である場合には、プロジェクター1は投写面SCの直前に設置され、鑑賞者はその後方に位置することになるため、同期信号を後方(−Z方向)に送信させ、液晶シャッターメガネ2に直接受信させる態様としてもよい。
【0098】
上記実施形態(第5及び第6実施形態)では、台形歪の補正量に基づいて送信方向を調整しているが、例えば、図13に示した姿勢検出部26によって、投写面SCに対する筐体5の上下方向の傾きを検出し、この検出結果に基づいて、送信方向を調整するようにしてもよい。また、前方の投写面SCを撮像する撮像手段を備えるようにして、撮像した画像に含まれる投写面SC(スクリーン)の形状(歪み)に基づいて投写面SCに対する筐体5の上下及び左右の傾きを検出し、この検出結果に基づいて送信方向を調整するようにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、±X方向又は±Y方向に平行な回転軸53によって送信部24を上下及び左右のいずれか一方に回動させるようにしているが、例えば、送信部24を二軸で回動可能な構成すれば、送信方向を上下左右の任意の方向に調整することが可能となる。
【0100】
上記実施形態では、液晶シャッターメガネ2の受信部41が、液晶シャッターメガネ2の前面に配置されているが、これに限定されない。つまり、液晶シャッターメガネ2は、鑑賞者の前方から送信される同期信号を受信する態様に限定されず、鑑賞者の後方や左右方向から送信される同期信号を受信可能な態様としてもよい。
【0101】
上記実施形態では、液晶シャッターメガネ2は、受信した同期信号に同期して左右の液晶シャッター44L,44Rを交互に開放させるようにしているが、左眼用の液晶シャッター44Lを開放して右眼用の液晶シャッター44Rを閉塞する状態と、右眼用の液晶シャッター44Rを開放して左眼用の液晶シャッター44Lを閉塞する状態との間に、双方の液晶シャッター44L,44Rを閉塞する状態を挿入するようにしてもよい。
【0102】
上記実施形態では、制御部20は、外部の画像供給装置から入力される基準同期信号に基づいて、赤外線の同期信号を送信させる指示を送信部24に行っているが、この基準同期信号は外部から入力される態様に限定されず、プロジェクター1自体(例えば、制御部20)が基準同期信号を生成する態様としてもよい。
【0103】
上記実施形態では、プロジェクター1の送信部24と、液晶シャッターメガネ2の受信部41との間で、赤外線の同期信号を送受信する態様を示したが、同期信号は、赤外線に限定されない。例えば、赤外線以外の光通信を利用するようにしてもよい。
【0104】
上記実施形態のプロジェクター1では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0105】
上記実施形態において、画像供給装置からプロジェクター1に画像情報を供給する方式としては、左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とをフレーム単位で交互に出力するフレームシーケンシャル方式を採用することができるが、画像情報の供給方式はこれに限定されない。例えば、左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とを左右に並べて1フレーム内に収めるサイドバイサイド方式を採用することも可能である。この場合には、プロジェクター1が、供給される画像情報を左眼用の画像情報と右眼用の画像情報とに分離し、それぞれの画像情報に基づく画像を交互に表示すればよい。
【符号の説明】
【0106】
1…プロジェクター、2…液晶シャッターメガネ、5…筐体、5a…前面、5b…天面、5c…背面、5d,5e…側面、6…開口部、7…カバー部材、8…ハンドル、9…固定具、10…画像投写部、11…光源装置、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、12a…表示領域、12e…有効領域、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…入力操作部、22…画像情報入力部、23…画像処理部、24…送信部、24a…発光装置、25…送信方向調整部、26…姿勢検出部、27…レンズシフト検出部、41…受信部、42…制御部、43…駆動部、44L,44R…液晶シャッター、51…発光部、51a…前面、51b…裏面、52…支持部、53…回転軸、100…プロジェクションシステム、SC…投写面、Pm…設置モード選択画像、Pa,Pe…画像。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、
前記画像投写部を収容する筐体と、
前記筐体に対して一体的に備えられ、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記同期信号の送信方向を調整可能に構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記送信部は、前記筐体に対して回動することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロジェクターであって、
前記送信部は、前記同期信号を送信する複数の送信装置を含んで構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターであって、
前記複数の送信装置は、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターの設置状態に応じて前記送信方向を調整する送信方向調整部をさらに備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、当該プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかに応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの姿勢が前記反転姿勢である場合には、前記基本姿勢である場合よりも下側に向けて同期信号を送信することを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記画像が投写される投写面に対する当該プロジェクターの傾きに応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの傾きに起因する台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信することを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記画像投写部は、投写レンズを光軸に対して垂直に移動させて、前記画像の投写位置を調整するレンズシフト機能を有し、
前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能による前記投写位置の調整状態に応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項10に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能によって前記投写位置が移動している側に向けて同期信号を送信することを特徴とするプロジェクター。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターの設置状態を検出する検出部をさらに備え、
前記送信方向調整部は、前記検出部の検出結果に応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロジェクターと、
前記プロジェクターから送信される前記同期信号を受信し、受信した前記同期信号に基づいて左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを開放させるシャッターメガネと、
を備えたことを特徴とするプロジェクションシステム。
【請求項14】
左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記画像投写部によって前記左眼用の画像と前記右眼用の画像とを投写する投写ステップと、
前記送信部によって前記同期信号を送信する送信ステップと、
前記同期信号の送信方向を調整する調整ステップと、
を備えたことを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記プロジェクターの設置状態を検出する検出ステップをさらに備え、
前記調整ステップでは、前記検出ステップでの検出結果に基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記検出ステップでは、前記プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかを検出し、
前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの姿勢に基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項17】
請求項15に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記検出ステップでは、前記画像が投写される投写面に対する前記プロジェクターの傾きを検出し、
前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの傾きに基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項18】
請求項15に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記検出ステップでは、レンズシフト機能による投写位置の調整状態を検出し、
前記調整ステップでは、検出された前記投写位置の調整状態に基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項1】
左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、
前記画像投写部を収容する筐体と、
前記筐体に対して一体的に備えられ、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記同期信号の送信方向を調整可能に構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記送信部は、前記筐体に対して回動することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロジェクターであって、
前記送信部は、前記同期信号を送信する複数の送信装置を含んで構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターであって、
前記複数の送信装置は、それぞれの送信方向が互いにずれるように配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターの設置状態に応じて前記送信方向を調整する送信方向調整部をさらに備えたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、当該プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかに応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの姿勢が前記反転姿勢である場合には、前記基本姿勢である場合よりも下側に向けて同期信号を送信することを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記画像が投写される投写面に対する当該プロジェクターの傾きに応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記プロジェクターの傾きに起因する台形歪によって画像が拡大する側の反対側に向けて同期信号を送信することを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項5に記載のプロジェクターであって、
前記画像投写部は、投写レンズを光軸に対して垂直に移動させて、前記画像の投写位置を調整するレンズシフト機能を有し、
前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能による前記投写位置の調整状態に応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項10に記載のプロジェクターであって、
前記送信方向調整部は、前記レンズシフト機能によって前記投写位置が移動している側に向けて同期信号を送信することを特徴とするプロジェクター。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
当該プロジェクターの設置状態を検出する検出部をさらに備え、
前記送信方向調整部は、前記検出部の検出結果に応じて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクター。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロジェクターと、
前記プロジェクターから送信される前記同期信号を受信し、受信した前記同期信号に基づいて左眼用のシャッターと右眼用のシャッターとを開放させるシャッターメガネと、
を備えたことを特徴とするプロジェクションシステム。
【請求項14】
左眼用の画像と右眼用の画像とを投写する画像投写部と、前記左眼用の画像と前記右眼用の画像との切り替えに同期するための同期信号を送信する送信部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記画像投写部によって前記左眼用の画像と前記右眼用の画像とを投写する投写ステップと、
前記送信部によって前記同期信号を送信する送信ステップと、
前記同期信号の送信方向を調整する調整ステップと、
を備えたことを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記プロジェクターの設置状態を検出する検出ステップをさらに備え、
前記調整ステップでは、前記検出ステップでの検出結果に基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記検出ステップでは、前記プロジェクターが所定の基本姿勢、及び前記基本姿勢の天地を反転させた反転姿勢のいずれの姿勢であるかを検出し、
前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの姿勢に基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項17】
請求項15に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記検出ステップでは、前記画像が投写される投写面に対する前記プロジェクターの傾きを検出し、
前記調整ステップでは、検出された前記プロジェクターの傾きに基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【請求項18】
請求項15に記載のプロジェクターの制御方法であって、
前記検出ステップでは、レンズシフト機能による投写位置の調整状態を検出し、
前記調整ステップでは、検出された前記投写位置の調整状態に基づいて前記送信方向を調整することを特徴とするプロジェクターの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−133190(P2012−133190A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285974(P2010−285974)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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