説明

プロジェクター、会議システム、音源方向決定方法およびカメラ制御方法

【課題】 より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定することが可能なプロジェクター等を提供すること。
【解決手段】 プロジェクター100が、音声を入力して音声情報を生成する4つのマイク110−1〜110−4と、前記音声情報に基づき、前記音声の音源(参加者30−1〜30−3)の方向を決定する音源方向決定部を含み、4つのマイク110−1〜110−4がプロジェクター100の外部または内部の前記音源の方向を決定可能な位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、会議システム、音源方向決定方法およびカメラ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平6−351015号公報では、カメラスタンドに設置された3つのマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定し、カメラおよび高指向性集音マイクを当該方向に向けるように制御する撮像システムが記載されている。
【特許文献1】特開平6−351015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特開平6−351015号公報に記載されたシステムは、大型のものになり、持ち運びが不便である。また、システムを小型化するために、カメラにマイクを内蔵する手法も考えられるが、この手法の場合、カメラ自体が大きくなってしまう。
【0004】
本発明の第1の目的は、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定することが可能なプロジェクターおよび音源決定方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定して当該方向に応じてカメラを制御することが可能なプロジェクター、会議システムおよびカメラ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクターは、音声を入力して音声情報を生成する少なくとも1つのマイクと、前記音声情報に基づき、前記音声の音源の方向を決定する音源方向決定部と、を含むプロジェクターであって、前記少なくとも1つのマイクは、前記音源の方向を決定可能な位置に配置されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、プロジェクターは、プロジェクターの有するマイクからの音声情報に基づいて音源の方向を決定することができるため、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定することができる。
【0007】
また、前記プロジェクターは、前記音声情報と、前記音源方向決定部による決定とに基づき、前記音源を示す音源データを生成するデータ生成部を含んでもよい。
【0008】
これによれば、プロジェクターは、音源と当該音源の音声を関連付けることにより、例えば、誰による音声であるかを容易に決定することができる。
【0009】
また、前記プロジェクターは、外部のカメラと有線または無線で接続可能であって、前記カメラによる撮像情報を入力する投写側入力部と、前記カメラを制御する制御情報を前記カメラに出力する投写側出力部と、を含んでもよい。
【0010】
これによれば、プロジェクターは、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定するとともに、カメラを制御することができる。
【0011】
また、前記プロジェクターは、前記撮像情報に基づく画像を生成する画像生成部と、前記画像を投写する投写部と、を含んでもよい。
【0012】
これによれば、プロジェクターは、音源の方向にある対象の撮像画像を投写することができるため、例えば、話者の撮像画像等を投写することができる。
【0013】
また、前記プロジェクターは、前記撮像情報と、前記音声情報とを、ネットワークを介して表示装置へ向け送信する通信部を含んでもよい。
【0014】
これによれば、プロジェクターは、例えば、遠隔地の表示装置で話者の撮像画像を表示させ、話者の音声を出力させることができる。
【0015】
また、前記プロジェクターは、前記音声情報に基づく出力音声を出力する音声出力部を含んでもよい。
【0016】
これによれば、プロジェクターは、例えば、話者の撮像画像を表示しつつ、話者の音声を出力することができる。
【0017】
また、本発明に係る会議システムは、プロジェクターと、カメラとを有する会議システムであって、前記プロジェクターは、音声を入力して第1の音声情報を生成する少なくとも1つのマイクと、前記第1の音声情報に基づき、音源の方向を決定する音源方向決定部と、当該方向に応じて前記音源を前記カメラが撮像するように前記カメラを制御する制御情報を生成する制御情報生成部と、当該制御情報を前記カメラに出力する投写側出力部と、前記カメラによる第1の撮像情報を入力する投写側入力部と、前記第1の撮像情報と、前記第1の音声情報とを、ネットワークを介して表示装置へ向け送信するとともに、前記表示装置から第2の撮像情報と、第2の音声情報とを受信する通信部と、前記第1の撮像情報および前記第2の撮像情報の少なくとも一方に基づく画像を生成する画像生成部と、前記画像を投写する投写部と、前記第1の音声情報および前記第2の音声情報の少なくとも一方に基づく出力音声を生成する音声生成部と、前記出力音声を出力する音声出力部と、を含み、前記カメラは、前記制御情報を入力する撮像側入力部と、前記第1の撮像情報を生成する撮像部と、前記制御情報に基づき、前記撮像部を制御する撮像制御部と、前記第1の撮像情報を前記プロジェクターに出力する撮像側出力部と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、プロジェクターは、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定して当該方向に応じてカメラを制御することができる。これにより、プロジェクターは、より簡易に会議システムとして機能することができる。
【0019】
また、本発明に係る音源方向決定方法は、プロジェクターの内部または外部に配置された少なくとも1つのマイクで音声を入力して音声情報を生成し、前記プロジェクターの有する音源方向決定部が、前記音声情報に基づき、前記音声の音源の方向を決定することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、プロジェクターは、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定することができる。
【0021】
また、本発明に係るカメラ制御方法は、外部のカメラと有線または無線で接続可能なプロジェクターによるカメラ制御方法であって、プロジェクターの内部または外部に配置された少なくとも1つのマイクで音声を入力して音声情報を生成し、前記プロジェクターの有する音源方向決定部が、前記音声情報に基づき、前記音声の音源の方向を決定し、前記プロジェクターの有する制御部が、決定された前記音源の方向に応じて前記音源を前記カメラが撮像するように前記カメラを制御することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、プロジェクターは、より簡易にマイクからの音声情報を用いて話者の方向を決定して当該方向に応じてカメラを制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明をプロジェクターに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例における投写状況を示す図である。例えば、会議室で、3人の参加者30−1〜30−3がテーブル10を囲んで座って会議を行うものとする。テーブル10には、プロジェクター100が設置され、プロジェクター100は、スクリーン20に画像を投写する。なお、参加者30−1はプロジェクター100の左側に座り、参加者30−2はプロジェクター100の右側に座り、参加者30−3はプロジェクター100の後ろ側に座っている。
【0025】
プロジェクター100には、4隅にマイク110−1〜110−4が設けられ、プロジェクター100は、各マイク110からの音声情報に基づいて話者の位置を決定する機能を有する。
【0026】
次に、このような機能を有するプロジェクター100の機能ブロックについて説明する。図2は、第1の実施例におけるプロジェクター100の機能ブロック図である。プロジェクター100は、参加者30の音声を入力して音声情報を生成するマイク110と、音声情報に基づき、音声の音源(参加者30)の方向を決定する音源方向決定部120と、種々のデータを生成するデータ生成部130と、種々のデータを記憶する記憶部140と、操作部180と、音声生成部182と、音声出力部188と、画像生成部190と、投写部198を含んで構成されている。
【0027】
また、記憶部140は、音声情報を示す音声データ142、音源等を示す音源データ144、ユーザー名等を示すユーザーデータ146等を記憶している。ここで、音源データ144とユーザーデータ146についてより詳細に説明する。
【0028】
図3は、第1の実施例における音源データ144とユーザーデータ146の一例を示す図である。音源データ144の項目としては、例えば、プロジェクター100の正面を基準とした位置を示す「音源位置」、録音開始からの経過時間を示す「経過時間」等が該当する。また、ユーザーデータ146の項目としては、例えば、プロジェクター100の正面を基準とした位置を示す「位置」、参加者30の名前を示す「ユーザー名」、ユーザー(参加者30)の顔画像を示す「画像」等が該当する。
【0029】
なお、これらの各部の機能をプロジェクター100に実装するためのハードウェアは以下のものであってもよい。例えば、音源方向決定部120、データ生成部130はCPU等、記憶部140はRAM等、操作部180はボタン、リモコン(リモートコントローラ)等、音声生成部182は音声生成回路等、音声出力部188はアンプ、スピーカ等、画像生成部190は画像生成回路等、投写部198はランプ、液晶パネル、液晶駆動回路、レンズ等であってもよい。
【0030】
次に、音源方向決定部120等を用いたプロジェクター100における音声処理手順について説明する。図4は、第1の実施例における処理手順を示すフローチャートである。会議の開始後、プロジェクター100は画像を投写する。各マイク110は音声を入力し、音源方向決定部120は各マイク110からの音声情報を入力する(ステップS1)。
【0031】
音源方向決定部120は、音声情報に基づき、音声が途切れたかどうかを判定し(ステップS2)、音声が途切れていないと判定した場合は音源が変わったかどうかを判定する(ステップS3)。音声が途切れた場合または音源が変わった場合、音源方向決定部120は、音声情報に基づき、音源の方向を決定する(ステップS4)。
【0032】
具体的には、例えば、音源方向決定部120は、4つのマイク110−1〜110−4からの4つの音声情報で示される音声の大きさを比較し、最も大きな音声が入力された方向を音源の方向として決定する。例えば、音源方向決定部120は、マイク110−1、110−2から入力された音声の大きさがほぼ同じでマイク110−3、110−4から入力された音声よりも大きい場合、音源の方向を左と決定する。
【0033】
また、例えば、音源方向決定部120は、マイク110−3、110−4から入力された音声の大きさがほぼ同じでマイク110−1、110−2から入力された音声よりも大きい場合、音源の方向を右と決定する。また、例えば、音源方向決定部120は、マイク110−1、110−4から入力された音声の大きさがほぼ同じでマイク110−2、110−3から入力された音声よりも大きい場合、音源の方向を後ろと決定する。
【0034】
データ生成部130は、音源方向決定部120による決定に応じて記憶部140に音源データ144を生成する(ステップS5)。例えば、データ生成部130は、内部のタイマで画像投写開始時からの経過時間をカウントし、音源方向決定部120によって決定された音源位置と、カウントした経過時間を音源データ144の一部として記憶部140に記憶していく。
【0035】
なお、データ生成部130は、例えば、電源ボタン操作を示す情報、リモコンの再生ボタン操作を示す情報等に基づき、画像投写開始時を決定してもよい。例えば、この場合、これらのボタン操作時が画像投写開始時になる。また、データ生成部130は、マイク110からの音声情報を音声データ142として記憶部140に記憶していく。
【0036】
音声生成部182は、例えば、リモコンのリプレイ操作を示す情報等に基づき、会議状況の再生指示があったかどうかを判定する(ステップS6)。例えば、リモコンのリプレイ操作があった場合、会議状況の再生指示があったことになる。
【0037】
会議状況の再生指示があった場合、音声生成部182は、音声データ142に基づき、音声を生成し、音声出力部188は当該音声を出力する(ステップS7)。また、会議状況の再生指示があった場合、画像生成部190は、音源データ144と、ユーザーデータ146に基づき、会議状況を示す画像を生成し、投写部198は当該画像を投写する(ステップS8)。
【0038】
具体的には、例えば、画像生成部190は、CPUのタイマ値を参照して経過時間を決定し、当該経過時間が該当する音源データ144の経過時間を決定し、決定した音源データ144の経過時間が該当する音源位置を決定し、ユーザーデータ146を参照して当該音源位置の画像データを用いて話者を示す画像を生成してもよい。
【0039】
プロジェクター100は、終了操作(例えば、電源オフ操作等)があったかどうかを判定し(ステップS9)、終了操作があった場合は一連の処理(ステップS1〜S9)を終了し、終了操作がなかった場合は当該一連の処理を続行する。
【0040】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター100は、プロジェクター100の有するマイク110からの音声情報に基づいて音源の方向を決定することができるため、より簡易にマイク110からの音声情報を用いて話者の方向を決定することができる。
【0041】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、データ生成部130によって音源データ144を生成することにより、音源と当該音源の音声を関連付けることができるため、誰による音声であるかを容易に決定することができる。これにより、例えば、プロジェクター100は、話者ごとに音声を出力したりすることができる。
【0042】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、データ生成部130によってユーザーデータ146を生成することにより、音源の位置とユーザーを関連付けることができるため、例えば、話者の音声出力と話者の画像表示を同期させたり、音声認識を行って話者名と話者の音声を文字列化した議事録を作成したりすることができる。
【0043】
また、本実施例によれば、プロジェクター100は、音声データ142、経過時間ごとの音源位置を示すデータ、各参加者30の画像データ等を記憶しておくことにより、会議状況の再生指示に応じて音声を出力し、話者の顔画像を投写することができる。
【0044】
(第2の実施例)
次に、外部のカメラと接続して話者を撮像して話者を示す画像を投写するプロジェクターについて説明する。図5は、第2の実施例における投写状況を示す図である。
【0045】
プロジェクター101は、外部のカメラ200と有線または無線で接続可能に形成されている。カメラ200は、いわゆるネットワークカメラ、ウェブカメラ等であり、少なくとも水平方向に回転可能に形成されている。ここでは、プロジェクター101とカメラ200がUSBケーブルを介して接続されるものとする。
【0046】
図6は、第2の実施例におけるカメラ200とプロジェクター101の機能ブロック図である。カメラ200は、参加者30を撮像して撮像画像を示す撮像情報を生成する撮像部210と、USBインターフェイス部260と、制御情報に応じて撮像部210を制御する撮像制御部220を含んで構成されている。なお、USBインターフェイス部260は、撮像情報をプロジェクター101に出力する撮像側出力部として機能するともに、プロジェクター101から制御情報を入力する撮像側入力部として機能する。
【0047】
また、プロジェクター101は、第1の実施例のプロジェクター100と同様の構成であるが、制御情報生成部150と、USBインターフェイス部160を有し、データ生成部130、記憶部140、操作部180を有しておらず、音源方向決定部121が制御情報生成部150に音源方向を伝達し、音声生成部183が音声情報に基づく音声を生成し、画像生成部191が撮像情報に基づく画像を生成する点でプロジェクター100と相違している。なお、USBインターフェイス部160は、カメラ200から撮像情報を入力する投写側入力部として機能するとともに、カメラ200に制御情報を出力する投写側出力部として機能する。
【0048】
プロジェクター101のハードウェア構成はプロジェクター100と同様であり、例えば、制御情報生成部150はCPU等であってもよい。また、撮像部210はCCDカメラ、CMOSカメラ等および回転機構等、撮像制御部220はCPU等であってもよい。
【0049】
次に、音源方向決定部121等を用いたプロジェクター101における音声処理手順について説明する。図7は、第2の実施例における処理手順を示すフローチャートである。会議の開始後、プロジェクター101は画像を投写する。各マイク110は音声を入力し、音源方向決定部121および音声生成部183は各マイク110からの音声情報を入力する(ステップS11)。
【0050】
音源方向決定部121は、音声情報に基づき、音源の方向を決定する(ステップS12)。なお、実際の処理は第1の実施例のステップS2〜S4の処理と同様である。
【0051】
制御情報生成部150は、音源方向決定部121の決定に応じて制御情報を生成する(ステップS13)。具体的には、例えば、音源が左に決定された場合、制御情報生成部150は、カメラ200の撮像方向を左に向ける制御情報を生成する。なお、この場合、カメラ200の初期状態の撮像方向をプロジェクター101の正面方向に向けておけば、プロジェクター101はカメラ200の撮像方向を制御しやすい。
【0052】
プロジェクター100のUSBインターフェイス部160は、制御情報を、USBケーブルを介してカメラ200に出力する(ステップS14)。
【0053】
カメラ200のUSBインターフェイス部260は、プロジェクター100から制御情報を入力する。撮像制御部220は、制御情報に基づき、撮像部210を水平方向に回転させて音源を撮像させる。撮像部210は、音源である参加者30を撮像して撮像画像を示す撮像情報を生成する(ステップP1)。
【0054】
USBインターフェイス部260は、撮像情報を、USBケーブルを介してプロジェクター101に出力する(ステップP2)。
【0055】
USBインターフェイス部160は、撮像情報をカメラ200から入力する(ステップS15)。音声生成部183は、マイク110からの音声情報に基づき、音声を生成し、音声出力部188は、当該音声を出力する(ステップS16)。画像生成部191は、カメラ200からの撮像情報に基づき、撮像画像を生成し、投写部198は、当該撮像画像を投写する(ステップS17)。
【0056】
プロジェクター101は、終了操作があったかどうかを判定し(ステップS18)、終了操作があった場合は一連の処理(ステップS11〜S18)を終了し、終了操作がなかった場合は当該一連の処理を続行する。
【0057】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター101が音声入力、カメラ200の制御等を行うことにより、汎用的なカメラ200を適用することができる。すなわち、カメラ200のメーカーやサイズは任意である。
【0058】
また、本実施例によれば、プロジェクター101は、より簡易にマイク110からの音声情報を用いて話者の方向を決定することができる上、当該方向に応じてカメラ200を制御することができる。これにより、プロジェクター101は、音源の方向にいる参加者30の撮像画像を投写することができる。
【0059】
また、本実施例によれば、プロジェクター101は、話者である参加者30の撮像画像を投写しつつ、当該参加者30の音声を出力することができる。これにより、参加者30は、発言ごとに話者の方向を見ることなく、常にスクリーン20を見ながら会議を行うことができるため、より効果的に会議を行うことができる。
【0060】
(第3の実施例)
次に、第2の実施例のプロジェクター101と同様のプロジェクターに表示装置(ここではプロジェクター)との通信機能を追加し、4つのマイク110を1つのステレオマイクに変更し、ネットワーク会議を行う実施例について説明する。図8は、第3の実施例における投写状況を示す図である。
【0061】
会議室40−1にはプロジェクター102−1が配置され、会議室40−2にはプロジェクター102−2が配置されている。プロジェクター102−1とプロジェクター102−2はLANで接続されており、相互に情報を送受信することができるように形成されている。また、プロジェクター102−1にはカメラ200−1がUSBケーブルで接続され、プロジェクター102−2にはカメラ200−2がUSBケーブルで接続されている。
【0062】
図9は、第3の実施例におけるプロジェクター102の機能ブロック図である。プロジェクター102は、第2の実施例のプロジェクター101と同様の構成であるが、通信部170を有し、マイク111がステレオマイクであり、音声生成部184が音声情報を通信部170に出力し、画像生成部192が画像情報を通信部170に出力する点でプロジェクター101と相違している。通信部170は、例えば、LANカード等であり、無線通信機能または有線通信機能を有する。
【0063】
次に、これらの各部を用いたプロジェクター102における音声処理手順について説明する。図10は、第3の実施例における処理手順を示すフローチャートである。ネットワーク会議の開始後、プロジェクター102は画像を投写する。マイク111は音声を入力し、音源方向決定部121および音声生成部184はマイク111からの音声情報を入力する(ステップS21)。
【0064】
なお、マイク111は、ステレオマイクであるため、少なくとも2方向の指向性を有し、各方向の音声を示す音声情報を生成することが可能である。音源方向決定部121は、音声情報で示されるマイク111で検出可能な各方向の音量等に基づき、音源の方向を決定する(ステップS22)。
【0065】
制御情報生成部150は、音源方向決定部121の決定に応じて制御情報を生成し(ステップS23)、USBインターフェイス部160は当該制御情報をカメラ200に出力する(ステップS24)。カメラ200での処理は第2の実施例と同様のため、説明を省略する。
【0066】
USBインターフェイス部160は、撮像情報をカメラ200から入力する(ステップS25)。通信部170は、音声生成部184からの参加者30の音声を示す音声情報と、画像生成部192からの参加者30の撮像画像を示す撮像情報を他のプロジェクター102へ向け送信する(ステップS26)。
【0067】
また、同様に、通信部170は、参加者30の撮像画像を示す撮像情報、参加者30の音声を示す音声情報を他のプロジェクター102から受信する(ステップS27)。
【0068】
音声生成部183は、マイク111からの音声情報(第1の音声情報)と、通信部170からの音声情報(第2の音声情報)に基づき、発言中の参加者30の音声を生成し、音声出力部188は、当該音声を出力する(ステップS28)。また、画像生成部192は、USBインターフェイス部160からの撮像情報(第1の撮像情報)と、通信部170からの撮像情報(第2の撮像情報)に基づき、発言中の参加者30の撮像画像を生成し、投写部198は当該撮像画像を投写する(ステップS29)。
【0069】
プロジェクター102は、終了操作があったかどうかを判定し(ステップS30)、終了操作があった場合は一連の処理(ステップS21〜S30)を終了し、終了操作がなかった場合は当該一連の処理を続行する。
【0070】
以上のように、本実施例によれば、プロジェクター102は、より簡易にマイク111からの音声情報を用いて話者の方向を決定して当該方向に応じてカメラ200を制御することができる。これにより、プロジェクター102は、より簡易に会議システムとして機能することができる。
【0071】
また、本実施例によれば、プロジェクター102は、ステレオ音声の音声情報を送受信することにより、より臨場感のある会議システムを実現することができる。
【0072】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、音源方向決定部120、121が音源の方向を決定したり、データ生成部130が音源データを生成したりする条件として、一定時間(例えば、3秒、5秒等)以上連続して音声が入力されたという条件、音源の方向が一定時間以上変化しなかったという条件等が採用されてもよい。
【0073】
これによれば、プロジェクター100〜102は、発言以外の音声(例えば、物音、相づち等)に対する処理を実行せず、発言に対してのみ処理を実行することができるため、より正確に音源の方向を決定したり、カメラ200を音源の方向に向けたりすることができる。
【0074】
また、マイク110、111の位置は、上述したプロジェクター100、101の4隅やプロジェクター102の後部には限定されず、音源の方向を決定可能な位置であればどこでもよい。また、マイク110、111の個数は1個や4個には限定されず、2個、3個、5個以上であってもよい。例えば、参加者30が左右1人ずつである場合、マイク110はプロジェクター100〜102の左右に1つずつ配置されてもよい。
【0075】
また、例えば、第3の実施例のプロジェクター102の通信対象となる装置は、プロジェクター102には限定されず、例えば、テレビ、通信会議システム等であってもよい。
【0076】
また、第1〜第3の実施例の構成は適宜組合せられてもよい。例えば、プロジェクター101、102がデータ生成部130、音声データ142、音源データ144等を用いてもよい。また、プロジェクター101、102は、データ生成部130を用いてカメラ200からの撮像情報を撮像データとして内部の記憶部に記憶してもよい。
【0077】
例えば、プロジェクター101、102は、音声データ142、経過時間ごとの音源位置を示すデータ、話者の撮像データ等を記憶しておくことにより、会議状況の再生指示に応じて音声を出力し、話者の撮像画像を投写したり、話者を指定した再生指示に応じて当該話者の音声を出力し、当該話者の撮像画像を投写したりすることができる。
【0078】
また、プロジェクター100〜102は、液晶プロジェクター(透過型、LCOS等の反射型)には限定されず、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクター等であってもよい。なお、DMDは米国テキサス・インスツルメンツ社の商標である。また、プロジェクター100〜102の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクター等)に分散して実装してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1の実施例における投写状況を示す図である。
【図2】第1の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図3】第1の実施例における音源データとユーザーデータの一例を示す図である。
【図4】第1の実施例における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施例における投写状況を示す図である。
【図6】第2の実施例におけるカメラとプロジェクターの機能ブロック図である。
【図7】第2の実施例における処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施例における投写状況を示す図である。
【図9】第3の実施例におけるプロジェクターの機能ブロック図である。
【図10】第3の実施例における処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
10 テーブル、20 スクリーン、30 参加者、40 会議室、100〜102 プロジェクター、110、111 マイク、120、121 音源方向決定部、130 データ生成部、140 記憶部、142 音声データ、144 音源データ、146 ユーザーデータ、150 制御情報生成部、160、260 USBインターフェイス部、170 通信部、180 操作部、182〜184 音声生成部、188 音声出力部、190〜192 画像生成部、198 投写部、200 カメラ、210 撮像部、220 撮像制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力して音声情報を生成する少なくとも1つのマイクと、
前記音声情報に基づき、前記音声の音源の方向を決定する音源方向決定部と、
を含むプロジェクターであって、
前記少なくとも1つのマイクは、前記音源の方向を決定可能な位置に配置されている、
プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記音声情報と、前記音源方向決定部による決定とに基づき、前記音源を示す音源データを生成するデータ生成部を含む、
プロジェクター。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記プロジェクターは、外部のカメラと有線または無線で接続可能であって、
前記カメラによる撮像情報を入力する投写側入力部と、
前記カメラを制御する制御情報を前記カメラに出力する投写側出力部と、
を含む、
プロジェクター。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターにおいて、
前記撮像情報に基づく画像を生成する画像生成部と、
前記画像を投写する投写部と、
を含む、
プロジェクター。
【請求項5】
請求項3、4のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記撮像情報と、前記音声情報とを、ネットワークを介して表示装置へ向け送信する通信部を含む、
プロジェクター。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記音声情報に基づく出力音声を出力する音声出力部を含む、
プロジェクター。
【請求項7】
プロジェクターと、カメラとを有する会議システムであって、
前記プロジェクターは、
音声を入力して第1の音声情報を生成する少なくとも1つのマイクと、
前記第1の音声情報に基づき、音源の方向を決定する音源方向決定部と、
当該方向に応じて前記音源を前記カメラが撮像するように前記カメラを制御する制御情報を生成する制御情報生成部と、
当該制御情報を前記カメラに出力する投写側出力部と、
前記カメラによる第1の撮像情報を入力する投写側入力部と、
前記第1の撮像情報と、前記第1の音声情報とを、ネットワークを介して表示装置へ向け送信するとともに、前記表示装置から第2の撮像情報と、第2の音声情報とを受信する通信部と、
前記第1の撮像情報および前記第2の撮像情報の少なくとも一方に基づく画像を生成する画像生成部と、
前記画像を投写する投写部と、
前記第1の音声情報および前記第2の音声情報の少なくとも一方に基づく出力音声を生成する音声生成部と、
前記出力音声を出力する音声出力部と、
を含み、
前記カメラは、
前記制御情報を入力する撮像側入力部と、
前記第1の撮像情報を生成する撮像部と、
前記制御情報に基づき、前記撮像部を制御する撮像制御部と、
前記第1の撮像情報を前記プロジェクターに出力する撮像側出力部と、
を含む、
会議システム。
【請求項8】
プロジェクターの内部または外部に配置された少なくとも1つのマイクで音声を入力して音声情報を生成し、
前記プロジェクターの有する音源方向決定部が、前記音声情報に基づき、前記音声の音源の方向を決定する、
音源方向決定方法。
【請求項9】
外部のカメラと有線または無線で接続可能なプロジェクターによるカメラ制御方法であって、
プロジェクターの内部または外部に配置された少なくとも1つのマイクで音声を入力して音声情報を生成し、
前記プロジェクターの有する音源方向決定部が、前記音声情報に基づき、前記音声の音源の方向を決定し、
前記プロジェクターの有する制御部が、決定された前記音源の方向に応じて前記音源を前記カメラが撮像するように前記カメラを制御する、
カメラ制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−85688(P2010−85688A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254353(P2008−254353)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】