説明

プロジェクタ及びプロジェクタの製造方法

【課題】投写画像のコントラスト特性及び階調特性をさらに向上することが可能なプロジェクタを提供する。
【解決手段】照明装置100と、液晶装置400R,400G,400Bと、投写光学系600と、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材700と、遮光部材700の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部とを備えるプロジェクタ1000。制御部は、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材700の遮蔽状態を制御する遮蔽状態制御機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ及びプロジェクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被照明領域側に照明光束を射出する照明装置と、照明装置からの照明光束を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系と、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材とを備えるプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
照明装置は、被照明領域側に照明光束を射出する光源装置と、光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとを有している。
遮光部材は、第1レンズアレイと第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで回動可能に配置されている。
【0003】
従来のプロジェクタによれば、遮光部材を回動させて第1レンズアレイから射出された照明光束を部分的に遮蔽することにより照明光束の光量調整を行うことが可能となる。このため、表示するコンテンツの内容やプロジェクタの使用環境にあわせて照明光束の光量を適切に調整することにより、投写画像のコントラスト特性及び階調特性を向上することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−69966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、家庭での映画鑑賞等の用途にプロジェクタを使用する機会が増えてきており、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をさらに向上したいという要望が高まっている。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をさらに向上することが可能なプロジェクタを提供することを目的とする。また、そのような投写画像のコントラスト特性及び階調特性に優れたプロジェクタを製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、上記目的を達成するため、従来のプロジェクタにおいて投写画像のコントラスト特性及び階調特性の向上を阻んでいる原因を究明すべく鋭意努力を重ねた結果、従来のプロジェクタには以下に示すような問題があることが判明した。
【0008】
一般に、プロジェクタに使用する光源装置は、発光管にリフレクタを取り付ける際の取付誤差等に起因して、光源装置ごとにリフレクタから射出される照明光束の面内光強度分布がばらついている。このため、このような光源装置を従来のプロジェクタに用いた場合、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率がばらついてしまう。その結果、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じることとなる。
【0009】
また、プロジェクタに使用する遮光部材は、例えば、遮光部材自体の形状ばらつきや遮光部材の取付誤差等に起因して、遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついている。このため、このような遮光部材を従来のプロジェクタに用いた場合、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率がばらついてしまう。その結果、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じることとなる。
【0010】
すなわち、従来のプロジェクタにおいては、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりすることに起因して、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまい、そのことがプロジェクタにおける投写画像のコントラスト特性及び階調特性をさらに向上するうえでの障害になっていたのである。
【0011】
そこで、本発明者は、以上の知見に基づいて、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値になるようにすれば、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうという問題を解決することが可能になることに想到し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明のプロジェクタは、被照明領域側に照明光束を射出する光源装置を有する照明装置と、前記照明装置からの照明光束を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系と、前記光源装置から前記電気光学変調装置までの光路内又は前記投写光学系の内部に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材と、前記遮光部材の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部とを備えるプロジェクタであって、前記制御部は、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、前記遮光部材の遮蔽状態を制御する遮蔽状態制御機能を有することを特徴とする。
【0013】
このため、本発明のプロジェクタによれば、制御部が上記した遮蔽状態制御機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように制御部が遮光部材の遮蔽状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0014】
したがって、本発明のプロジェクタは、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をさらに向上することが可能なプロジェクタとなる。
【0015】
なお、この明細書において「遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するとき」には、「遮光部材が照明光束を全く遮蔽しないとき」を含む。
【0016】
本発明のプロジェクタにおいては、前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、前記遮光部材は、前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な複数の遮光板を有し、前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記複数の遮光板の回動状態を制御する機能を有することが好ましい。
【0017】
遮光部材として、第1レンズアレイと第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な複数の遮光板を有する遮光部材を用いたプロジェクタにおいて、制御部は、遮蔽状態制御機能として複数の遮光板の回動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、複数の遮光板の回動状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0018】
上記の遮光板は、照明光束を挟んで両側から遮蔽するように対向配置されているため、例えば、第1レンズアレイ及び第2レンズアレイの間を通過する照明光束を光路の片側のみから遮蔽するように遮光板が配置されている場合と比較して、電気光学変調装置の画像形成領域近傍において照度むらの発生を抑制することが可能となる。
【0019】
前記遮光板は、光反射型の遮光板であることが好ましい。これにより、遮光部材において遮蔽された照明光束は反射されるため、遮光部材における熱の発生が抑制される。前記遮光板は、金属板からなることが好ましく、放熱部を有することが好ましい。
【0020】
本発明のプロジェクタにおいては、前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、前記遮光部材は、前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸に垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された複数の遮光板を有し、前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記複数の遮光板の移動状態を制御する機能を有することが好ましい。
【0021】
遮光部材として、第1レンズアレイと第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸に垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された複数の遮光板を有する遮光部材を用いたプロジェクタにおいて、制御部は、遮蔽状態制御機能として複数の遮光板の移動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、複数の遮光板の移動状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0022】
本発明のプロジェクタにおいては、前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、前記遮光部材は、前記光源装置と第1レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸に垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された複数の遮光板を有し、前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記複数の遮光板の移動状態を制御する機能を有することが好ましい。
【0023】
遮光部材として、光源装置と第1レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸に垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された複数の遮光板を有する遮光部材を用いたプロジェクタにおいて、制御部は、遮蔽状態制御機能として複数の遮光板の移動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、複数の遮光板の移動状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0024】
本発明のプロジェクタにおいては、前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光に変換して射出する偏光変換素子と、前記偏光変換素子から射出される各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、前記偏光変換素子は、前記第2レンズアレイからの各部分光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分に係る光束を透過し他方の直線偏光成分に係る光束を反射する偏光分離層と、前記偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分に係る光束を照明光軸に略平行な方向に向けて反射する反射層と、前記偏光分離層を透過した一方の直線偏光成分に係る光束が通過する部分又は前記反射層で反射された他方の直線偏光成分に係る光束が通過する部分のいずれかに配置される位相差板とを有し、前記遮光部材は、前記偏光変換素子の前記偏光分離層に対応する開口部を有し、前記偏光変換素子の光入射面側に配置され照明光軸に垂直な仮想平面内で移動可能に構成された遮光板を有し、前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記遮光板の移動状態を制御する機能を有することが好ましい。
【0025】
遮光部材として、偏光変換素子の偏光分離層に対応する開口部を有し、偏光変換素子の光入射面側に配置され照明光軸に垂直な仮想平面内で移動可能に構成された遮光板を有する遮光部材を用いたプロジェクタにおいて、制御部は、遮蔽状態制御機能として遮光板の移動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、遮光板の移動状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0026】
上記の遮光部材は、第2レンズアレイと偏光変換素子との間に配置されている。すなわち、偏光変換素子上で形成されるアーク像により近い位置で照明光束を遮蔽することができるため、個々のアーク像に対して遮光することができ、照明光束の光量を精度よく、かつ、照明むらを生じさせることなく制御することが可能となる。
【0027】
前記遮光板は、光反射型の遮光板であることが好ましい。これにより、遮光部材において遮蔽された照明光束は反射されるため、遮光部材における熱の発生が抑制される。遮光板は、金属板からなることが好ましい。
【0028】
本発明のプロジェクタにおいては、前記遮光部材は、前記投写光学系の内部に配置され照明光束の光量を絞るように構成された遮光部材であり、前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記遮光部材の絞り状態を制御する機能を有することが好ましい。
【0029】
遮光部材として、投写光学系の内部に配置され照明光束の光量を絞るように構成された遮光部材を用いたプロジェクタにおいて、制御部は、遮蔽状態制御機能として遮光部材の絞り状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、遮光部材の絞り状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0030】
本発明のプロジェクタにおいては、前記遮光部材は、前記投写光学系における第2次光源像が形成される位置の近傍に配置されていることが好ましい。
【0031】
このように構成することにより、結像面である投写面において投写画像の全面にわたって均質に光量を絞ることができる開口絞りとして作用するようになる。このため、投写画像におけるフレアの発生及び輝度むらの発生を抑制しながら照明光束の光量を調整することができる。
【0032】
本発明のプロジェクタにおいては、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態と、前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態とを記憶する記憶部をさらに備えることが好ましい。
【0033】
このように構成することにより、一度、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける遮光部材の遮蔽状態と、遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける遮光部材の遮蔽状態とを測定して記憶部に記憶させておけば、爾後、制御部は記憶部に記憶された上記遮蔽状態を用いて遮光部材の遮蔽状態を制御することが可能になる。
【0034】
本発明のプロジェクタにおいては、前記記憶部は、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態と、前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態とに加えて、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときと前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときとの間で前記遮光部材が照明光束を所定割合だけ遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態を記憶することが好ましい。
【0035】
遮光部材の遮蔽動作(例えば、遮光板の回動動作、遮光板の移動動作、絞り部材の絞り動作など)と照明光束の通過光量とは非線形の関係にあることもある。このような場合であっても、本発明のように、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける遮光部材の遮蔽状態(最大光量状態)と、遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける遮光部材の遮蔽状態(最小光量状態)との間の遮光部材が照明光束を所定割合だけ遮蔽するときにおける遮光部材の遮蔽状態(中間光量状態)を記憶部に記憶させておけば、照明光束の光量を常に適切な光量に制御することが可能になり、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をより一層向上することが可能となる。
【0036】
本発明のプロジェクタにおいては、画像情報の処理を行う画像処理部をさらに備え、前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記画像処理部からの画像情報に基づいて、前記遮光部材の遮蔽状態を動的に制御する機能を有することが好ましい。
【0037】
このように構成することにより、コンテンツの内容に応じて適切に照明光束の通過光量を調整することが可能になるため、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をより一層向上することが可能となる。
【0038】
本発明のプロジェクタの製造方法は、被照明領域側に照明光束を射出する光源装置を有する照明装置と、前記照明装置からの照明光束を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系と、前記光源装置から前記電気光学変調装置までの光路内又は前記投写光学系の内部に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材と、前記遮光部材の遮蔽状態を制御することにより照明光束の光量を調整する制御部とを備えるプロジェクタを製造するための製造方法であって、前記遮光部材の遮蔽状態を変化させながら照明光束の通過光量を測定するステップと、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、前記制御部が遮光部材の遮蔽状態を制御する際に用いる制御パラメータを決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0039】
このため、本発明のプロジェクタの製造方法によれば、上記のようにして決定された制御パラメータに基づいて、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材の遮蔽状態を制御することが可能となるため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0040】
したがって、本発明のプロジェクタの製造方法は、投写画像のコントラスト特性及び階調特性に優れたプロジェクタを製造するための製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明のプロジェクタ及びプロジェクタの製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0042】
[実施形態1]
まず、実施形態1に係るプロジェクタ1000について、図1を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係るプロジェクタ1000を説明するために示す図である。図1(a)はプロジェクタ1000の光学系を上面から見た図であり、図1(b)はプロジェクタ1000の光学系を側面から見た図であり、図1(c)は遮光部材700の斜視図である。
【0043】
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれz軸方向(図1(a)における照明光軸100ax方向)、x軸方向(図1(a)における紙面に平行かつz軸に直交する方向)及びy軸方向(図1(a)における紙面に垂直かつz軸に直交する方向)とする。
【0044】
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、図1(a)及び図1(b)に示すように、照明装置100と、照明装置100からの照明光束を赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して被照明領域に導光する色分離導光光学系200と、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としての3つの液晶装置400R,400G,400Bと、これら3つの液晶装置400R,400G,400Bによって変調された色光を合成するクロスダイクロイックプリズム500と、クロスダイクロイックプリズム500によって合成された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系600とを備えたプロジェクタである。
なお、遮光部材700についての詳細は後述する。
【0045】
照明装置100は、被照明領域側に略平行な照明光束を射出する光源装置110と、光源装置110から射出される照明光束を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ122(図示せず。)を有する第1レンズアレイ120と、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132(図示せず。)を有する第2レンズアレイ130と、第2レンズアレイ130からの各部分光束を偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光に変換して射出する偏光変換素子140と、偏光変換素子140から射出される各部分光束を被照明領域で重畳させるための重畳レンズ150とを有している。
【0046】
光源装置110は、楕円面リフレクタ114と、楕円面リフレクタ114の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管112と、楕円面リフレクタ114の反射面と対向する反射面を有する補助ミラー116と、楕円面リフレクタ114で反射された集束光を略平行光に変換して第1レンズアレイ120に向けて射出する凹レンズ118とを有している。光源装置110は、照明光軸100axを中心軸とする光束を射出する。
【0047】
発光管112は、管球部と、管球部の両側に延びる一対の封止部とを有している。
楕円面リフレクタ114は、発光管112の一方の封止部に挿通・固着される筒状の首状部と、発光管112から放射された光を第2焦点位置に向けて反射する反射凹面とを有している。
【0048】
補助ミラー116は、発光管112の管球部を挟んで楕円面リフレクタ114と対向して設けられ、発光管112から放射された光のうち楕円面リフレクタ114に向かわない光を発光管112に戻し楕円面リフレクタ114に入射させる。
【0049】
凹レンズ118は、楕円面リフレクタ114の被照明領域側に配置されている。そして、楕円面リフレクタ114からの光を第1レンズアレイ120に向けて射出するように構成されている。
【0050】
第1レンズアレイ120は、凹レンズ118からの光を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸100axと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第1小レンズ122(図示せず。)を備えた構成を有している。第1小レンズ122は、図1(b)に示すように、横方向に4列、縦方向に8行に配置され、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=9:16の長方形」の平面形状を有している。
【0051】
第2レンズアレイ130は、上述した第1レンズアレイ120により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ120と同様に照明光軸100axに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の第2小レンズ132(図示せず。)を備えた構成を有している。
【0052】
なお、図1に示す第1レンズアレイ120及び第2レンズアレイ130における各小レンズは、その偏心について捨象して示している。
【0053】
第2レンズアレイ130から射出された各部分光束は、ランダムな偏光方向の光を1種類の直線偏光に揃える機能を有する偏光変換素子140の、偏光分離層142近傍に集光される。
【0054】
図2は、偏光変換素子140を説明するために示す図である。
偏光変換素子140は、図2に示すように、照明光軸100axに対して傾斜配置される偏光分離層142及び反射層144を交互に配列した構成を有している。偏光分離層142は、s偏光成分及びp偏光成分を含む非偏光光(ランダムな偏光方向を有する入射光)を、例えばs偏光光束及びp偏光光束に分離する。そして、偏光分離層142によって分離されたs偏光光束は、偏光分離層142によってほぼ垂直に反射され、反射層144によってさらに反射されて偏光変換素子140から射出される。一方、偏光分離層142によって分離されたp偏光光束は、偏光分離層142をそのまま透過する。偏光分離層142を透過したp偏光光束は、偏光変換素子140の光射出面に配設された位相差板146によって偏光変換され、s偏光光束となって偏光変換素子140から射出される。従って、偏光変換素子140を通過した照明光束は、そのほとんどがs偏光光束となって射出されることとなる。なお、偏光変換素子140から射出される照明光束をp偏光光束としたい場合には、位相差板146を、反射層144によって反射されたs偏光光束が通過する光射出面に配設すればよい。
【0055】
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130及び偏光変換素子140を経た複数の部分光束を集光して液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させる光学素子である。なお、図1(a)及び図1(b)に示す重畳レンズ150は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0056】
色分離導光光学系200は、第1のダイクロイックミラー210及び第2のダイクロイックミラー220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、重畳レンズ150から射出される照明光束を、赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる3つの液晶装置400R,400G,400Bに導く機能を有している。
【0057】
第1のダイクロイックミラー210及び第2のダイクロイックミラー220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。第1のダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過するミラーである。第2のダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射し、青色光成分を透過するミラーである。
【0058】
第1のダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ300Rを介して赤色光用の液晶装置400Rの画像形成領域に入射する。
【0059】
集光レンズ300Rは、重畳レンズ150からの各部分光束を各主光線に対して略平行な光束に変換するために設けられている。他の液晶装置400G,400Bの光路前段に配置される集光レンズ300G,300Bも、集光レンズ300Rと同様に構成されている。
【0060】
第1のダイクロイックミラー210を透過した緑色光成分及び青色光成分のうち緑色光成分は、第2のダイクロイックミラー220で反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶装置400Gの画像形成領域に入射する。一方、青色光成分は、第2のダイクロイックミラー220を透過し、入射側レンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250及び集光レンズ300Bを通過して青色光用の液晶装置400Bの画像形成領域に入射する。入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250は、第2のダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置400Bまで導く機能を有している。
【0061】
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
【0062】
液晶装置400R,400G,400Bは、照明光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、光源装置110の照明対象となる。なお、図示を省略したが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が介在配置され、各液晶装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が介在配置されている。これら入射側偏光板、液晶装置400R,400G,400B及び射出側偏光板によって入射する各色光の光変調が行われる。
液晶装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に従って、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
液晶装置400R,400G,400Bとしては、「y軸方向に沿った縦寸法:x軸方向に沿った横寸法=9:16の長方形」の平面形状を有するワイドビジョン用の液晶装置を用いている。
【0063】
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板から射出された各色光毎に変調された光学像を合成して、カラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
【0064】
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で大画面画像を形成する。
【0065】
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材700と、遮光部材700の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部800(図示せず。)とを備えている。
以下、遮光部材700及び制御部800について詳細に説明する。
【0066】
遮光部材700は、図1に示すように、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な2つの遮光板702,702と、遮光板702をそれぞれ回動する2つの回動装置704,704とを有している。
【0067】
遮光板702は、図1(c)に示すように、板状の部材であり、照明光束を部分的に遮蔽する機能を有している。遮光板702は、光反射型の遮光板である。遮光板702は、例えば、アルミニウム合金からなる金属板である。
【0068】
遮光板702は、回動端部が第1レンズアレイ120側に位置し、かつ、回動中心が第2レンズアレイ130側に位置している。なお、遮光板702が、最も光を遮蔽する際に第1レンズアレイ120よりも第2レンズアレイ130に近い所に位置するように、遮光板702の回動機構を構成するのが好ましい。
【0069】
なお、ここでは図示を省略したが、遮光板702の外表面(遮光板702における照明光束が照射される面とは反対の面)には、互いに平行に形成された複数の凹凸の溝からなる放熱部が形成されている。これにより、照明光束を遮蔽した際に生じた熱を速やかに放出することができる。また、放熱部は、互いに平行とされた複数の凹凸の溝から形成されているため、放熱部の構造を簡易なものとすることができる。
【0070】
遮光板702は、回動装置704のモータ軸に連結されており、回動装置704の駆動によって照明光束の光量を調整するための回動動作が行われるように構成されている。
【0071】
回動装置704は、ステッピングモータを有している。ステッピングモータは、パルス信号が入力されるごとに一定角度ずつ回転するように構成されている。なお、ステッピングモータ以外のモータを用いてもよく、例えば、超音波モータを用いることにより、遮光板702の回動動作を高速に行うことが可能となる。
【0072】
制御部800(図示せず。)は、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材700の遮蔽状態を制御する遮蔽状態制御機能を有している。制御部800は、遮蔽状態制御機能として、2つの遮光板702,702の回動状態を制御する機能を有している。
【0073】
ここで、実施形態1に係るプロジェクタ1000の効果について、図3を用いて詳細に説明する。
図3は、実施形態1に係るプロジェクタ1000の効果を説明するために示す図である。図3(a)は遮光板の回動角αと遮光部材における光通過率との関係を示す図である。図3中、符号Aは遮光板の回動に伴って光透過率が比較的急激に減衰する光源装置110A(図示せず。)を用いた場合の遮光部材の特性曲線を示し、符号Aは遮光板の回動に伴って光透過率がAの場合よりも緩やかに減衰する光源装置110A(図示せず。)を用いた場合の遮光部材の特性曲線を示し、符号Aは遮光板の回動に伴って光透過率がAの場合よりもさらに緩やかに減衰する光源装置110A(図示せず。)を用いた場合の遮光部材の特性曲線を示す。図3(b)〜図3(b)は比較例に係るプロジェクタ1000aに各光源装置110A〜110Aを用いたときの遮光部材の特性曲線を示す図であり、図3(c)〜図3(c)は実施形態1に係るプロジェクタ1000に各光源装置110A〜110Aを用いたときの遮光部材の特性曲線を示す図である。
【0074】
なお、図3(a)中の「遮光部材における光通過率」とは、第1レンズアレイ120から射出される照明光束の光強度に対する第2レンズアレイ130に入射する照明光束の光強度の割合である。
【0075】
比較例に係るプロジェクタ1000a(図示せず。)は、基本的には実施形態1に係るプロジェクタ1000と同様の構成を有しているが、上記したような、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材の遮蔽状態を制御する遮蔽状態制御機能を有する制御部を備えていない点で、実施形態1に係るプロジェクタ1000と異なっている。
【0076】
一般に、プロジェクタに使用する光源装置は、発光管にリフレクタを取り付ける際の取付誤差等に起因して、光源装置ごとにリフレクタから射出される照明光束の面内光強度分布がばらついている。
【0077】
例えば、遮光板の回動角αと遮光部材における光通過率との関係は、図3に示すように、光源装置110Aを用いた場合には遮光板の回動角αを45度にすれば遮光部材における光通過率が30%となるが、光源装置110Aを用いた場合には遮光板の回動角αを50度にしなければ遮光部材における光通過率が30%にならず、光源装置110Aを用いた場合には遮光板の回動角αを55度にしなければ遮光部材における光通過率が30%にならない。
このように、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたことに起因して、遮光板の回動角αと遮光部材における光通過率とがばらつくことになる。
【0078】
このため、比較例に係るプロジェクタ1000aの場合においては、遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の回動角を50度に設定したとき、光源装置110Aを用いた場合には遮光部材における光通過率は20%となるが(図3(b)参照。)、光源装置110Aを用いた場合には遮光部材における光通過率は30%になり(図3(b)参照。)、光源装置110Aを用いた場合には遮光部材における光通過率は45%になる(図3(b)参照。)。その結果、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が大きくばらついてしまうこととなり、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性に大きなばらつきが生じることとなる。
【0079】
これに対し、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合においては、上記したように、制御部800(図示せず。)が、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材700の遮蔽状態を制御する遮蔽状態制御機能を有しているため、図3(c)〜図3(c)に示すように、遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率がばらつくこともなくなる。その結果、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じることもなくなる。
【0080】
なお、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合においては、遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明部材における光通過率を30%としたとき、光源装置110Aを用いた場合には遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明板の回動角を45度とし(図3(c)参照。)、光源装置110Aを用いた場合には遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明板の回動角を50度とし(図3(c)参照。)、光源装置110Aの場合には遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの遮光板の回動角を55度としている(図3(c)参照。)。
【0081】
このように、実施形態1に係るプロジェクタ1000は、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材700と、遮光部材700の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部800(図示せず。)とを備え、制御部800は、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板702,702の回動状態を制御する機能を有している。
【0082】
このため、実施形態1に係るプロジェクタ1000によれば、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、2つの遮光板702,702の回動状態を制御することで、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0083】
したがって、実施形態1に係るプロジェクタ1000は、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をさらに向上することが可能なプロジェクタとなる。
【0084】
以上、実施形態1に係るプロジェクタ1000における遮光部材700及び制御部800について説明したが、実施形態1に係るプロジェクタ1000は次に示すような特徴及び効果も有している。
【0085】
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態と、遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態とを記憶する記憶部802(図示せず。)をさらに備えている。
【0086】
このため、実施形態1に係るプロジェクタによれば、一度、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態と、遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態とを測定して記憶部802に記憶させておけば、爾後、制御部800は記憶部802に記憶された上記遮蔽状態を用いて遮光部材700の遮蔽状態を制御することが可能になる。
【0087】
実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、記憶部802は、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態と、遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態とに加えて、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときと遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときとの間で遮光部材700が照明光束を所定割合だけ遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態を記憶するように構成されている。
【0088】
遮光部材700の遮蔽動作(遮光板702の回動動作)と照明光束の通過光量とは非線形の関係にあることもある。このような場合であっても、実施形態1に係るプロジェクタ1000のように、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態(最大光量状態)と、遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態(最小光量状態)との間の遮光部材700が照明光束を所定割合だけ遮蔽するときにおける遮光部材700の遮蔽状態(中間光量状態)を記憶部802に記憶させておけば、照明光束の光量を常に適切な光量に制御することが可能になり、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をより一層向上することが可能となる。
【0089】
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、画像情報の処理を行う画像処理部804(図示せず。)をさらに備えている。そして、制御部800は、上記した遮蔽状態制御機能として、画像処理部804からの画像情報に基づいて、遮光部材700の遮蔽状態を動的に制御する機能をさらに有している。
【0090】
このため、実施形態1に係るプロジェクタ1000によれば、コンテンツの内容に応じて適切に照明光束の通過光量を調整することが可能になるため、投写画像のコントラスト特性及び階調特性をより一層向上することが可能となる。
【0091】
次に、実施形態1に係るプロジェクタの製造方法について説明する。
【0092】
実施形態1に係るプロジェクタの製造方法は、照明装置100と、液晶装置400R,400G,400Bと、投写光学系600と、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材700と、遮光部材700の遮蔽状態を制御することにより照明光束の光量を調整する制御部800(図示せず。)とを備えるプロジェクタ1000を製造するための製造方法であって、遮光部材700の遮蔽状態を変化させながら照明光束の通過光量を測定するステップと、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、制御部800が遮光部材700の遮蔽状態を制御する際に用いる制御パラメータを決定するステップとを含むものである。
【0093】
このため、実施形態1に係るプロジェクタの製造方法によれば、上記のようにして決定された制御パラメータに基づいて、遮光部材700が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材700が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材700の遮蔽状態を制御することが可能となるため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0094】
したがって、実施形態1に係るプロジェクタの製造方法は、投写画像のコントラスト特性及び階調特性に優れたプロジェクタを製造するための製造方法となる。
【0095】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係るプロジェクタ1002を説明するために示す図である。図4(a)はプロジェクタ1002の光学系を上面から見た図であり、図4(b)はプロジェクタ1002の光学系を横から見た図であり、図4(c)は遮光部材710の正面図であり、図4(d)は遮光部材710の背面図である。
なお、図4において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0096】
実施形態2に係るプロジェクタ1002は、基本的には実施形態1に係るプロジェクタ1000とよく似た構成を有しているが、図4に示すように、遮光部材の構成が実施形態1に係るプロジェクタ1000とは異なっている。
【0097】
すなわち、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、図1に示すように、遮光部材として、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な2つの遮光板702,702を有する遮光部材700を用いている。
これに対し、実施形態2に係るプロジェクタ1002においては、図4に示すように、遮光部材として、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸100axに垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された2つの遮光板714,716を有する遮光部材710を用いている。
【0098】
遮光部材710は、図4に示すように、中央部に開口部が形成された板状部材712と、照明光束を挟んで対向配置され照明光軸100axに垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された一対の遮光板714,716と、遮光板714,716を上下動させるための遮光板駆動機構718とを有している。遮光部材710は、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に配置されている。
【0099】
板状部材712は、例えばアルミニウム合金からなる金属を好適に用いることができる。板状部材712の開口部の平面形状は、第1レンズアレイ120及び第2レンズアレイ130の平面形状と略同一である。
【0100】
遮光部材駆動機構718は、遮光板714,716を同期して上下動させる機能を有している。遮光板駆動機構718には、図示しないモータが配設されている。
【0101】
実施形態2に係るプロジェクタ1002は、遮光部材710の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部810(図示せず。)をさらに備えている。
【0102】
制御部810は、遮光部材710が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材710が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板714,716の移動状態を制御する機能を有している。
【0103】
このように、実施形態2に係るプロジェクタ1002は、実施形態1に係るプロジェクタ1000とは、遮光部材の構成が異なっているが、制御部810は、遮光部材710が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材710が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板714,716の移動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、2つの遮光板714,716の移動状態を制御することで、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合と同様に、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0104】
また、実施形態2に係るプロジェクタ1002は、遮光部材の構成が異なっている点以外は、実施形態1に係るプロジェクタ1000と同様の構成を有しているため、実施形態1に係るプロジェクタ1000が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0105】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係るプロジェクタ1004を説明するために示す図である。図5(a)はプロジェクタ1004の光学系を上面から見た図であり、図5(b)はプロジェクタ1004の光学系を横から見た図であり、図5(c)は遮光部材720の正面図であり、図5(d)は遮光部材720の背面図である。
なお、図5において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0106】
実施形態3に係るプロジェクタ1004は、基本的には実施形態2に係るプロジェクタ1002とよく似た構成を有しているが、図5に示すように、遮光部材の配置位置が実施形態2に係るプロジェクタ1002とは異なっている。
【0107】
すなわち、実施形態2に係るプロジェクタ1002においては、図4(a)及び図4(b)に示すように、遮光部材710が、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に配置されているのに対し、実施形態3に係るプロジェクタ1004においては、図5(a)及び図5(b)に示すように、遮光部材720が、光源装置110と第1レンズアレイ120との間に配置されている。
なお、実施形態3に係るプロジェクタ1004における遮光部材720は、図5(c)及び図5(d)に示すように、実施形態2に係るプロジェクタ1002における遮光部材710と同様の構成を有しており、詳細な説明は省略する。
【0108】
実施形態3に係るプロジェクタ1004は、遮光部材720の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部820(図示せず。)をさらに備えている。
【0109】
制御部820は、遮光部材720が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材720が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板724,726の移動状態を制御する機能を有している。
【0110】
このように、実施形態3に係るプロジェクタ1004は、実施形態2に係るプロジェクタ1002とは、遮光部材の配置位置が異なっているが、制御部820は、遮光部材720が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材720が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板724,726の移動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、2つの遮光板724,726の移動状態を制御することで、実施形態2に係るプロジェクタ1002の場合と同様に、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0111】
また、実施形態3に係るプロジェクタ1004は、遮光部材の配置位置が異なっている点以外は、実施形態2に係るプロジェクタ1002と同様の構成を有しているため、実施形態2に係るプロジェクタ1002が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0112】
[実施形態4]
図6は、実施形態4に係るプロジェクタ1006を説明するために示す図である。図6(a)はプロジェクタ1006の光学系を上面から見た図であり、図6(b)はプロジェクタ1004の光学系を横から見た図であり、図6(c)は遮光部材730を含む光学要素を上から見た図であり、図6(d)は遮光部材730の正面図である。
なお、図6において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0113】
実施形態4に係るプロジェクタ1006は、基本的には実施形態1に係るプロジェクタ1000とよく似た構成を有しているが、図6に示すように、遮光部材の構成及び配置位置が実施形態1に係るプロジェクタ1000とは異なっている。
【0114】
すなわち、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、図1に示すように、遮光部材として、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な2つの遮光板702,702を有する遮光部材700を用いている。
これに対し、実施形態4に係るプロジェクタ1006においては、図6に示すように、遮光部材として、偏光変換素子140の光入射面側に配置され照明光軸100axに垂直な仮想平面内で移動可能に構成された2つの遮光板732,732を有する遮光部材730を用いている。
【0115】
遮光部材730は、図6に示すように、偏光変換素子140の光入射面側に配置され照明光軸100axに垂直な仮想平面内で移動可能に構成された2つの遮光板732,732と、2つの遮光板732,732を保持する保持部材738と、2つの遮光板732,732をそれぞれ移動させるための2つのモータ742,742とを有している。
【0116】
遮光板732は、図6(c)及び(d)に示すように、平面視略矩形状の板状部材であり、偏光変換素子140の偏光分離層142(図2参照。)に対応する位置に開口部734が形成されている。遮光板732は、光反射型の遮光板である。遮光板732は、例えば、アルミニウム合金からなる金属板である。
【0117】
遮光板732の下端部には、モータ742のモータ軸に形成されたギア部744と係合する係合部736が形成されている。これにより、モータ742の駆動を係合部736を介して遮光板732に伝達することができる。
【0118】
保持部材738の上部には図示しないスライド部が設けられており、このスライド部に遮光板732の上端部が係合している。これにより、遮光板732は、保持部材738のスライド部に沿って、すなわちx軸方向に沿って移動することが可能となる。
【0119】
モータ742としては、例えば、ガルバノモータ(ガルバノミラーやガルバノスキャナに用いられるモータ)を用いることができる。なお、ガルバノモータ以外のモータを用いてもよく、例えば、超音波モータを用いることにより、遮光板732の移動時における加速及び減速を高速に行うことが可能となる。
【0120】
実施形態4に係るプロジェクタ1006は、遮光部材730の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部830(図示せず。)をさらに備えている。
【0121】
制御部830は、遮光部材730が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材730が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板732,732の移動状態を制御する機能を有している。
【0122】
このように、実施形態4に係るプロジェクタ1006は、実施形態1に係るプロジェクタ1000とは、遮光部材の構成及び配置位置が異なっているが、制御部830は、遮光部材730が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材730が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、2つの遮光板732,732の移動状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、2つの遮光板732,732の移動状態を制御することで、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合と同様に、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0123】
また、実施形態4に係るプロジェクタ1006は、遮光部材の構成及び配置位置が異なっている点以外は、実施形態1に係るプロジェクタ1000と同様の構成を有しているため、実施形態1に係るプロジェクタ1000が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0124】
[実施形態5]
図7は、実施形態5に係るプロジェクタ1008を説明するために示す図である。図7(a)はプロジェクタ1008の光学系を上面から見た図であり、図7(b)は遮光部材750及び投写光学系600を上から見た図であり、図7(c)は遮光部材750の正面図である。
なお、図7(a)において、図1(a)と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0125】
実施形態5に係るプロジェクタ1008は、基本的には実施形態1に係るプロジェクタ1000とよく似た構成を有しているが、図7に示すように、遮光部材の構成及び配置位置が実施形態1に係るプロジェクタ1000とは異なっている。
【0126】
すなわち、実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、図1に示すように、遮光部材として、第1レンズアレイ120と第2レンズアレイ130との間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な2つの遮光板702,702を有する遮光部材700を用いている。
これに対し、実施形態5に係るプロジェクタ1008においては、図7に示すように、遮光部材として、投写光学系600の内部に配置され照明光束の光量を絞るように構成された遮光部材750を用いている。
【0127】
遮光部材750は、図7に示すように、複数の絞り羽根752と、複数の絞り羽根752を保持する保持枠754とを有しており、投写光学系600を構成するレンズ606とレンズ608との間に配置されている。絞り羽根752は、例えば薄い金属板からなり、表面には光を吸収して乱反射を防止するための黒色塗料等が塗布されている。
【0128】
投写光学系600は、図7(b)に示すように、5枚のレンズ602〜610と、鏡筒612とを有している。5枚のレンズ602〜610は、光軸方向に並列し、鏡筒612内にレンズ枠(図示せず。)を介して配置されている。鏡筒612は、プロジェクタ1008の筐体前面部に取り付けられている。
【0129】
実施形態5に係るプロジェクタ1008は、遮光部材750の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部850(図示せず。)をさらに備えている。
【0130】
制御部850は、遮光部材750が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材750が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材750の絞り状態を制御する機能を有している。
【0131】
このように、実施形態5に係るプロジェクタ1008は、実施形態1に係るプロジェクタ1000とは、遮光部材の構成及び配置位置が異なっているが、制御部850は、遮光部材750が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と遮光部材750が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、遮光部材750の絞り状態を制御する機能を有しているため、光源装置ごとに照明光束の面内光強度分布がばらついたり遮光部材ごとに照明光束の遮蔽状態がばらついたりしたとしても、遮光部材750の絞り状態を制御することで、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合と同様に、プロジェクタごとに投写画像のコントラスト特性及び階調特性にばらつきが生じてしまうのを抑制することが可能となる。
【0132】
また、実施形態5に係るプロジェクタ1008は、遮光部材の構成及び配置位置が異なっている点以外は、実施形態1に係るプロジェクタ1000と同様の構成を有しているため、実施形態1に係るプロジェクタ1000が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0133】
さらに、実施形態5に係るプロジェクタ1008においては、遮光部材750は、投写光学系600における第2次光源像が形成される位置の近傍に配置されているため、結像面であるスクリーンSCR面において投写画像の全面にわたって均質に光量を絞ることができる開口絞りとして作用するようになる。このため、投写画像におけるフレアの発生及び輝度むらの発生を抑制しながら照明光束の光量を調整することができるという効果もある。
【0134】
なお、投写光学系600にズームレンズを採用することも可能であり、その場合には、投写光学系における第2次光源像が形成される位置は動いてしまうこととなるが、投写画像におけるフレアの発生及び輝度むらの発生を抑制しながら照明光束の光量を調整できる範囲内で第2次光源像が形成される位置の近傍に遮光部材750を配置すればよい。
【0135】
以上、本発明のプロジェクタ及びプロジェクタの製造方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0136】
(1)上記実施形態1〜4に係るプロジェクタ1000〜1006は、遮光板として、光反射型の遮光板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、光吸収型の遮光板も好ましく用いることができる。
【0137】
(2)上記実施形態4に係るプロジェクタ1006においては、遮光板732をx軸方向に沿って移動させるための手段として、モータ軸にギア部744が配設されたガルバノモータからなるモータ742を用いて、遮光板732の係合部736とギア部744とを係合させてモータ742を駆動させることによって、遮光板732をx軸方向に沿って移動させるように構成されたものを例示的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遮光板732をx軸方向に沿って移動させることが可能な公知の手段を用いることが可能である。
【0138】
(3)上記実施形態4に係るプロジェクタ1006においては、2つの遮光板732,732をそれぞれ移動させるために2つのモータ742,742を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つのモータ742を用いて2つの遮光板732,732を移動させることも可能である。この場合には、モータ742の駆動を2つの遮光板732,732に伝達するための公知の駆動伝達手段を用いることが好ましい。
【0139】
(4)上記実施形態4に係るプロジェクタ1006においては、遮光部材730として、2つの遮光板732,732を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの遮光板を有するものであってもよい。
【0140】
(5)上記各実施形態のプロジェクタ1000〜1008は、第1レンズアレイ120の第1小レンズの平面形状としては、「縦寸法:横寸法=9:16の長方形」のものを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、「縦寸法:横寸法=3:4の長方形」のものなどをも好ましく用いることができる。
【0141】
(6)上記各実施形態に係るプロジェクタ1000〜1008は、光源装置として、楕円面リフレクタ114と、楕円面リフレクタ114の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管112と、凹レンズ118とを有する光源装置110を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、放物面リフレクタと、放物面リフレクタの焦点近傍に発光中心を有する発光管とを有する光源装置をも好ましく用いることができる。
【0142】
(7)上記各実施形態に係るプロジェクタ1000〜1008は、光源装置110として、発光管112に補助ミラー116が配設された光源装置を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発光管に補助ミラーが配設されていない光源装置をも好ましく用いることができる。
【0143】
(8)上記各実施形態において、3つの液晶装置400R,400G,400Bを用いたプロジェクタを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
【0144】
(9)上記各実施形態に係るプロジェクタ1000〜1008は、電気光学変調装置として液晶装置を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。電気光学変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置などを利用してもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0145】
(10)本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクタに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクタに適用する場合にも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】実施形態1に係るプロジェクタ1000を説明するために示す図。
【図2】偏光変換素子140を説明するために示す図。
【図3】実施形態1に係るプロジェクタ1000の効果を説明するために示す図。
【図4】実施形態2に係るプロジェクタ1002を説明するために示す図。
【図5】実施形態3に係るプロジェクタ1004を説明するために示す図。
【図6】実施形態4に係るプロジェクタ1006を説明するために示す図。
【図7】実施形態5に係るプロジェクタ1008を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0147】
100…照明装置、100ax…照明光軸、110…光源装置、112…発光管、114…楕円面リフレクタ、116…補助ミラー、118…凹レンズ、120…第1レンズアレイ、130…第2レンズアレイ、140…偏光変換素子、142…偏光分離層、144…反射層、146…位相差板、150…重畳レンズ、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、230,240,250…反射ミラー、260…入射側レンズ、270…リレーレンズ、300R,300G,300B…集光レンズ、400R,400G,400B…液晶装置、500…クロスダイクロイックプリズム、600…投写光学系、602,604,606,608,610…レンズ、612…鏡筒、700,710,720,730,750…遮光部材、702,714,716,724,726,732…遮光板、704…回動装置、712,722…板状部材、718,728…遮光板駆動機構、734…開口部、736…係合部、738…保持部材、742…モータ、744…ギア部、752…絞り羽根、754…保持枠、1000,1002,1004,1006,1008…プロジェクタ、SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明領域側に照明光束を射出する光源装置を有する照明装置と、
前記照明装置からの照明光束を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系と、
前記光源装置から前記電気光学変調装置までの光路内又は前記投写光学系の内部に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材と、
前記遮光部材の遮蔽状態を制御することにより照明光束の通過光量を調整する制御部とを備えるプロジェクタであって、
前記制御部は、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、前記遮光部材の遮蔽状態を制御する遮蔽状態制御機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、
前記遮光部材は、前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置されそれぞれ回動可能な複数の遮光板を有し、
前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記複数の遮光板の回動状態を制御する機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、
前記遮光部材は、前記第1レンズアレイと前記第2レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸に垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された複数の遮光板を有し、
前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記複数の遮光板の移動状態を制御する機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、
前記遮光部材は、前記光源装置と第1レンズアレイとの間に照明光束を挟んで対向配置され照明光軸に垂直な仮想平面内でそれぞれ移動可能に構成された複数の遮光板を有し、
前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記複数の遮光板の移動状態を制御する機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記照明装置は、前記光源装置からの照明光束を複数の部分光束に分割する複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイと、前記複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイと、前記第2レンズアレイからの各部分光束を偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光に変換して射出する偏光変換素子と、前記偏光変換素子から射出される各部分光束を被照明領域上で重畳する重畳レンズとをさらに有し、
前記偏光変換素子は、前記第2レンズアレイからの各部分光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分に係る光束を透過し他方の直線偏光成分に係る光束を反射する偏光分離層と、前記偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分に係る光束を照明光軸に略平行な方向に向けて反射する反射層と、前記偏光分離層を透過した一方の直線偏光成分に係る光束が通過する部分又は前記反射層で反射された他方の直線偏光成分に係る光束が通過する部分のいずれかに配置される位相差板とを有し、
前記遮光部材は、前記偏光変換素子の前記偏光分離層に対応する開口部を有し、前記偏光変換素子の光入射面側に配置され照明光軸に垂直な仮想平面内で移動可能に構成された遮光板を有し、
前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記遮光板の移動状態を制御する機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記遮光部材は、前記投写光学系の内部に配置され照明光束の光量を絞るように構成された遮光部材であり、
前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記遮光部材の絞り状態を制御する機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクタにおいて、
前記遮光部材は、前記投写光学系における第2次光源像が形成される位置の近傍に配置されていることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態と、前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態とを記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクタにおいて、
前記記憶部は、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態と、前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態とに加えて、前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときと前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときとの間で前記遮光部材が照明光束を所定割合だけ遮蔽するときにおける前記遮光部材の遮蔽状態を記憶することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
画像情報の処理を行う画像処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記遮蔽状態制御機能として、前記画像処理部からの画像情報に基づいて、前記遮光部材の遮蔽状態を動的に制御する機能を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項11】
被照明領域側に照明光束を射出する光源装置を有する照明装置と、
前記照明装置からの照明光束を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系と、
前記光源装置から前記電気光学変調装置までの光路内又は前記投写光学系の内部に配置され、照明光束を部分的に遮蔽する遮光部材と、
前記遮光部材の遮蔽状態を制御することにより照明光束の光量を調整する制御部とを備えるプロジェクタを製造するための製造方法であって、
前記遮光部材の遮蔽状態を変化させながら照明光束の通過光量を測定するステップと、
前記遮光部材が照明光束を最も少なく遮蔽するときの照明光束の通過光量と前記遮光部材が照明光束を最も多く遮蔽するときの照明光束の通過光量との比率が所定の値となるように、前記制御部が遮光部材の遮蔽状態を制御する際に用いる制御パラメータを決定するステップとを含むことを特徴とするプロジェクタの製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−133195(P2007−133195A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327057(P2005−327057)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】