説明

プロジェクタ

【課題】3D画像の外部スクリーンへの投影時におけるステレオ表示効果を変更する。
【解決手段】本発明によるプロジェクタ100は、マイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイ122と、互いに視差を有する一対の表示画像を表示する複数の表示画素が、マイクロレンズに対応して配列される表示素子121と、マイクロレンズアレイ122を透過した複数の表示画素からの光束を、一対の表示画像を形成する一対の部分光束127aおよび127bとして投影する投影光学系123と、一対の部分光束127aおよび127bに対して互いに異なる偏光特性を与える偏光板124および125と、視差が可変となるように複数の表示画素を決定する制御装置130とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影板に画像を投影するプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
視差を利用して、看者が偏光眼鏡を着用すると立体視が可能となる3D画像を外部スクリーンに投影するプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−527392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のプロジェクタによると、外部スクリーンに投影される3D画像の視差を変更することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるプロジェクタは、複数の第1マイクロレンズが配列された第1マイクロレンズアレイと、互いに視差を有する一対の表示画像を表示する複数の表示画素が、複数の第1マイクロレンズの各々に対応して配列される表示素子と、第1マイクロレンズアレイを透過した複数の表示画素からの光束を、一対の表示画像を形成する一対の投影光束として投影する投影光学系と、一対の投影光束に対して互いに異なる偏光特性を与える偏光手段と、視差が可変となるように複数の表示画素を決定する決定手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、3D画像の外部スクリーンへの投影時におけるステレオ表示効果を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプロジェクタの全体構成を示した断面図である。
【図2】投影装置の予定結像面から見たマイクロレンズと、そのマイクロレンズに対応する複数の表示画素を示した図である。
【図3】投影装置の予定結像面から見たマイクロレンズと、そのマイクロレンズに対応する複数の表示画素を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるプロジェクタの全体構成を示した断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態におけるプロジェクタの全体構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−−−第1の実施の形態−−−
本発明の第1の実施の形態におけるプロジェクタを説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるプロジェクタ100の全体構成を示した断面図である。図1において、プロジェクタ100は、撮像装置110、投影装置120、制御装置130、および記憶装置140を含む。
【0009】
撮像装置110は、撮影レンズおよび絞りを含む撮影光学系111、複数の受光素子が配列されて構成される撮像素子113、および撮影光学系111と撮像素子113との間に配置され、複数のマイクロレンズが配列されて構成されるマイクロレンズアレイ112とを含む。撮影光学系111と撮像素子113とは、マイクロレンズアレイ112に関して略共役である。撮像装置110は、特開2007−4471号公報に開示された画像合成方法による画像データの合成に用いられる撮像データを出力する。
【0010】
撮影光学系111は、被写体からの被写体光束を透過し、撮影光学系111から被写体までの被写体距離に応じた位置に規定される予定結像面116に被写体像を結像させる。図1においては、予定結像面116はマイクロレンズアレイ112から距離h1の位置に規定され、例えば、被写体光束のうちの光線114aおよび114bは、予定結像面116上に規定される複数の仮想的な画素のうち、ハッチングを付した仮想的な画素116aに被写体像の一部を結像する。
【0011】
マイクロレンズアレイ112は、予定結像面116を通過した被写体光束を透過させる。マイクロレンズアレイ112を透過した被写体光束は、撮像素子113上の受光素子に受光され、受光データは光電変換される。例えば、仮想的な画素116aに結像される被写体像の一部を形成する光線114aは、マイクロレンズアレイ112に含まれるマイクロレンズ112aを透過して、マイクロレンズ112aに覆われた受光素子113bによって受光され、受光データは光電変換される。仮想的な画素116aに結像される被写体像の一部を形成する光線114bは、マイクロレンズアレイ112に含まれるマイクロレンズ112aを透過して、マイクロレンズ112aに覆われた受光素子113aによって受光され、受光データは光電変換される。
【0012】
図1に示す光線114aと撮影光学系111の光軸117との間に規定される部分光束115aは、仮想的な画素116aに結像される被写体像を形成する透過光束のうち、撮影光学系111の上半分を透過する部分光束を示している。撮影光学系111の上半分を透過する部分光束115aとは、すなわち図1がプロジェクタ100を上から見た平面図であるとすれば予定結像面116から見て撮影光学系111の右半分を透過する部分光束である。部分光束115aと部分光束115bとは互いに対をなす光束である。図1に示す光線114bと撮影光学系111の光軸117との間に規定される部分光束115bは、仮想的な画素116aに結像される被写体像を形成する透過光束のうち、撮影光学系111の下半分を透過する部分光束を示している。撮影光学系111の下半分を透過する部分光束115bとは、すなわち図1がプロジェクタ100を上から見た平面図であるとすれば予定結像面116から見て撮影光学系111の左半分を透過する部分光束である。
【0013】
上述したように、撮影光学系111と撮像素子113とは、マイクロレンズアレイ112に関して略共役であるから、部分光束115aは、マイクロレンズ112aに覆われた複数の受光素子のうち、受光素子113bを含む下半分の受光素子によって受光される。マイクロレンズ112aに覆われた複数の受光素子のうち、受光素子113bを含む下半分の受光素子とは、すなわち図1がプロジェクタ100を上から見た平面図であるとすれば予定結像面116から見てマイクロレンズ112aに覆われた複数の受光素子のうちの右半分の受光素子である。部分光束115bは、マイクロレンズ112aに覆われた複数の受光素子のうち、受光素子113aを含む上半分の受光素子によって受光される。マイクロレンズ112aに覆われた複数の受光素子のうち、受光素子113aを含む上半分の受光素子とは、すなわち図1がプロジェクタ100を上から見た平面図であるとすれば予定結像面116から見てマイクロレンズ112aに覆われた複数の受光素子のうちの左半分の受光素子である。
【0014】
特開2007−4471号公報に開示されている通り、距離h1が図1に示すよりも大きい場合に、一対の部分光束115aおよび115bはマイクロレンズアレイ112に含まれる複数のマイクロレンズの各々に対応する受光素子によって受光される場合がある。こうした場合であっても、部分光束115aを受光する受光素子は、各マイクロレンズに覆われた複数の受光素子のうちの右半分の範囲に含まれ、部分光束115bを受光する受光素子は、各マイクロレンズに覆われた複数の受光素子のうちの左半分の範囲に含まれる。
【0015】
一対の部分光束115aと115bとの間には、撮影光学系111の左半分を透過したか右半分を透過したかに起因する視差が生じている。したがって、部分光束115aを受光する受光素子の受光データと、部分光束115bを受光する受光素子の受光データとの間には、視差データが生じている。
【0016】
撮像素子113は、受光素子による受光データに対する光電変換によって得られた被写体像の撮像データを出力する。上述したように、一対の部分光束115aと115bを受光する一対の受光素子による一対の受光データには視差データが含まれるので、撮像データにも視差データが含まれている。撮像装置110の撮像素子113から出力された撮像データは、制御装置130によって、記憶装置140に記録される。
【0017】
投影装置120は、複数の表示画素が配列されて構成される表示素子121、投影レンズおよび絞りを含む投影光学系123、および表示素子121と投影光学系123との間に配置され、複数のマイクロレンズが配列されて構成されるマイクロレンズアレイ122とを含む。表示素子121と投影光学系123とは、マイクロレンズアレイ122に関して略共役である。以下に述べる投影装置120による投影処理は、上述した撮像装置110による撮像処理を逆にたどる処理に相当する。
【0018】
投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとの対応関係に基づき、制御装置130は以下のような制御を行う。制御装置130は、撮像装置110の撮像素子113から出力されて記憶装置140に記録された撮像データに基づく画像データを、撮像素子113上における各受光素子の配置位置が表示素子121上における各表示画素の配置位置に対応づけて、投影装置120の表示素子121へ入力する。
【0019】
表示素子121は、入力された画像データに基づき投影画像を表示し、表示した投影画像を内包するバックライトによって照射することによって、投影画像を形成する投影光束が射出される。
【0020】
マイクロレンズアレイ122は、表示素子121から射出された投影光束を透過させる。マイクロレンズアレイ122を透過した投影光束は、所定の位置に規定される予定結像面128に投影画像を結像させる。図1においては、予定結像面128はマイクロレンズアレイ122から距離h2の位置に規定されている。距離h2は、投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとの対応関係に基づいて定まる。例えば、表示素子121上の表示画素121aから射出された光線126aおよび表示画素121bから射出された光線126bは、ともにマイクロレンズアレイ122に含まれるマイクロレンズ122aを透過し、予定結像面128上のハッチングを付した仮想的な画素128aに結像され、投影画像の一部を形成する。
【0021】
図1に示す光線126aと投影光学系123の光軸129との間に規定される部分光束127aは、仮想的な画素128aに結像される被写体像を形成する投影光束に含まれる。部分光束127aは、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうち、表示画素121aを含む上半分の表示画素によって射出される。マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうち、表示画素121aを含む上半分の表示画素とは、すなわち図1がプロジェクタ100を上から見た平面図であるとすればマイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうちの右半分の表示画素であり、範囲P2に含まれる。図1に示す光線126bと投影光学系123の光軸129との間に規定される部分光束127bは、仮想的な画素128aに結像される被写体像を形成する投影光束に含まれる。部分光束127bは、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうち、表示画素121bを含む下半分の表示画素によって射出される。マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうち、表示画素121bを含む下半分の表示画素とは、すなわち図1がプロジェクタ100を上から見た平面図であるとすればマイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうちの左半分の表示画素であり、範囲P1に含まれる。部分光束127aと127bとは互いに対をなす光束である。一対の部分光束127aおよび127bは、一対の範囲P1およびP2に含まれる複数の表示画素が表示する一対の表示画像に対応し、仮想的な画素128aに結像され、投影画像の一部を形成する。上述したように、表示素子121と投影光学系123とは、マイクロレンズアレイ122に関して略共役であるから、部分光束127aは投影光学系123の右半分を透過し、部分光束127bは投影光学系123の左半分を透過する。
【0022】
上述した撮像装置110と同様に、距離h2が図1に示すよりも大きい場合に、一対の部分光束127aおよび127bはマイクロレンズアレイ122に含まれる複数のマイクロレンズの各々に対応する表示画素によって射出される場合がある。こうした場合であっても、部分光束127aを射出する表示画素は、各マイクロレンズに覆われた複数の表示画素のうちの右半分の範囲に含まれ、部分光束127bを射出する表示画素は、各マイクロレンズに覆われた複数の表示画素のうちの左半分の範囲に含まれる。
【0023】
上述したように、表示素子121に入力された画像データは、撮像装置110の撮像素子113から出力された撮像データに基づいて生成されたものであり、撮像データには視差データが含まれていることから、表示素子121に入力された画像データには視差データが含まれている。したがって、一対の部分光束127aと127bとの間には視差が生じている。
【0024】
予定結像面128を通過した投影光束は、投影光学系123を透過し、偏光板124および125によって偏光制御された後、外部スクリーン200に入射して投影画像を形成する。投影光学系123の右半分を透過した部分光束127bの偏光板124による偏光と、投影光学系123の左半分を透過した部分光束127aの偏光板125による偏光とは互いに直交する。偏光眼鏡を着用した看者は、外部スクリーン上に投影された投影画像について、偏光板124によって偏光制御された部分光束127bによる投影画像を右眼で感知し、偏光板125によって偏光制御された部分光束127aによる投影画像を左眼で感知する。上述したように、一対の部分光束127aと127bとの間には視差が生じているため、投影画像を3D画像として立体視することができる。
【0025】
図2および図3を用いて、上述した表示画素の範囲P1およびP2を変化させることにより、一対の部分光束127aと127bとの間の視差を異ならせることが可能となることを説明する。図2および図3は、ともに、投影装置120の予定結像面128から見たマイクロレンズ122aと、そのマイクロレンズ122aに対応する複数の表示画素1211および1212を示した図である。
【0026】
マイクロレンズ122aは、マイクロレンズアレイ122に含まれる。複数の表示画素1211および1212は、ともに表示素子121に含まれる。複数の表示画素1211は、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうちの左半分の表示画素であり、範囲P1に含まれる。複数の表示画素1212は、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうちの右半分の表示画素であり、範囲P2に含まれる。基線長gは、範囲P1の重心G1と範囲P2の重心G2との間の重心間距離に等しい。図3に示す一対の範囲P1およびP2は、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうちの左右両端の表示画素のみを含むため、図2に示す一対の範囲P1およびP2と比べて、基線長gが大きい。なお、図3において、一対の範囲P1またはP2に含まれない表示画素には、画像データが入力されないため、何も表示されない。
【0027】
例えば、投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとが等しい場合を想定する。その場合、表示素子121へ入力する画像データを、撮像装置110の撮像素子113から出力された撮像データと一致させても良いので、図2および図3に示した表示素子121における一対の範囲P1およびP2に対応する撮像素子113上の範囲に含まれる受光素子の出力データを表示素子121への入力画像データとすることができる。撮像素子113上の全ての受光素子が撮影光学系111の透過光束を受光して撮像データが生成されている場合であっても、マイクロレンズアレイ112に含まれる各マイクロレンズについて、制御装置130が基線長gが大きくなるように1組の受光素子の出力データを選択して決定し、表示素子121へ入力することによって、大きな視差が含まれる投影画像が得られる。
【0028】
図2に示すような、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素の全てが一対の範囲P1またはP2に含まれる場合において、基線長gの算出式を示す。投影光学系123の絞り値と、マイクロレンズアレイ122に含まれる各マイクロレンズの絞り値とが等しいとき、基線長gは投影光学系123の口径Dを用いて式(1)のように表される。
g=πD/12 (1)
【0029】
投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとが等しい場合、撮像素子113における基線長と撮影光学系111の口径との関係も、式(1)と同様に表される。
【0030】
式(1)によれば、投影光学系123または撮影光学系111として、特性が100mmF/2のレンズを用いると、口径は50mmなので、基線長はおよそ13mmとなる。
【0031】
なお、図3に示すような、マイクロレンズ122aに覆われた複数の表示画素のうちの左右両端の表示画素のみが範囲P1またはP2に含まれる場合においては、投影光学系123または撮影光学系111として、特性が100mmF/2のレンズを用いると、口径は50mmなので、基線長もおよそ50mmとなる。このようにして、制御装置130が表示画素の範囲P1およびP2を変化させることにより、一対の部分光束127aと127bとの間の視差を異ならせることが可能となる。
【0032】
上述した第1の実施の形態におけるプロジェクタ100は、以下の作用効果を奏する。
(1)マイクロレンズ122aを含むマイクロレンズアレイ122と、互いに視差を有する一対の表示画像を表示する複数の表示画素1211および1212が、マイクロレンズ122aに対応して配列される表示素子121と、マイクロレンズアレイ122を透過した複数の表示画素1211および1212からの、一対の表示画像を形成する一対の部分光束127aおよび127bを投影する投影光学系123と、一対の部分光束127aおよび127bに対して互いに異なる偏光特性を与える偏光板124および125と、視差が可変となるように複数の表示画素1211および1212を決定する制御装置130とを含む。これにより、3D画像の外部スクリーンへの投影時におけるステレオ表示効果を変更することができる。
【0033】
(2)偏光板124および125は、一対の部分光束127aおよび127bの偏光を互いに直交させるので、看者は、偏光眼鏡を着用することにより、外部スクリーン上に投影された投影画像を3D画像として立体視することができる。
【0034】
−−−第2の実施の形態−−−
本発明の第2の実施の形態におけるプロジェクタを説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態におけるプロジェクタ400の全体構成を示した断面図である。図4において、プロジェクタ400は、第1の実施の形態におけるプロジェクタ100と同様に、投影装置120、制御装置130、および記憶装置140を含むが、撮像装置110の代わりにデータ入力装置150を含む。
【0035】
視差データを含む画像データがデータ入力装置150を介してプロジェクタ400に入力されると、入力された画像データが、制御装置130によって記憶装置140に記録される。データ入力装置150を介してプロジェクタ400に入力される画像データは、例えば、特開2007−4471号公報に開示された画像合成方法による画像データの合成に用いられる撮像データである。
【0036】
投影装置120の構成および投影装置120による投影処理は、上述した第1の実施の形態によるプロジェクタ100と同様である。
【0037】
上述した第2の実施の形態におけるプロジェクタ400は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0038】
−−−変形例−−−
(1)偏光板124および125として、1/4λ位相板(四分の一波長位相板)を用いても良い。これにより、偏光板124によって偏光制御された部分光束127bと、偏光板125によって偏光制御された部分光束127aとの間の位相差が90度となるため、偏光制御された部分光束127aおよび127bの光量を大きく保つことができる。
【0039】
(2)範囲P1に含まれる複数の表示画素1221における投影画像表示と、範囲P2に含まれる複数の表示画素1222における投影画像表示とを交互に表示しても良い。この場合、看者は、自己の左右の眼を交互に遮蔽する眼鏡を着用すれば、偏光板124および125を用いることなく投影画像を3D画像として立体視することができる。
【0040】
(3)基線長gが小さくなるように1組の入力画素データを選択して表示素子121へ入力しても良い。これにより、立体感を緩和した投影画像が得られる。
【0041】
(4)第1の実施の形態においては、投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとが等しい場合を想定している。その場合、表示素子121へ入力する画像データを、撮像装置110の撮像素子113から出力された撮像データと一致させても良い。
【0042】
しかし、投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとが異なっても良い。特開2009−290157号公報に開示されるように、撮像素子113において撮影光学系111の光軸117から離れた領域ほど、撮影光学系111の透過光束を受光する受光素子の位置が、その受光素子を覆うマイクロレンズの光軸の位置から離間する。同様に、表示素子121において投影光学系123の光軸129から離れた領域ほど、投影光束を射出する表示画素の位置が、その表示画素を覆うマイクロレンズの光軸の位置から離間する。
【0043】
それぞれの離間の程度を考慮して、投影装置120に含まれる表示素子121、マイクロレンズアレイ122、および投影光学系123の光学的配置および光学パラメータと、撮影装置110に含まれる撮像素子113、マイクロレンズアレイ112、および撮影光学系111の光学的配置および光学パラメータとの対応関係を予め測定しておくことが好ましい。この場合、撮影装置110のマイクロレンズアレイ112に含まれる各マイクロレンズの絞り値FTおよび焦点距離ftと、投影装置120のマイクロレンズアレイ122に含まれる各マイクロレンズの絞り値FPおよび焦点距離fpとにおいて、ft/FTがfp/FPに等しくなるような、すなわち投影に好適となるような撮像データが取得されるのが好ましい。
【0044】
(5)第2の実施の形態において、データ入力装置150を介してプロジェクタ400に入力される、視差データを含む画像データは、従来のステレオ写真に基づく一対の入力画像データであっても良い。
【0045】
(6)基線長gが大きくなるように1組の入力画素データを選択して表示素子121へ入力する際に、その1組の入力画素データの一方を図2に示す範囲P1に含まれる複数の表示画素1211の全てに表示し、その1組の入力画素データの他方を図2に示す範囲P2に含まれる複数の表示画素1212の全てに表示するようにしても良い。1組の入力画素データに含まれる基線長gは大きいので、大きな視差が含まれる投影画像が得られるとともに、その1組の入力画素データのを図3に示す範囲P1および範囲P2に含まれる複数の表示画素に表示するよりも大きな光量を有する投影画像が得られる。
【0046】
(7)図5に示すように、第1の実施の形態のプロジェクタ100が有する撮像装置110と、第2の実施の形態のプロジェクタが有するデータ入力装置150とをともに有しても良い。図5に示すプロジェクタ500において、制御回路130は、撮像装置110から出力されて記憶装置140に記憶される撮像データと、データ入力装置150を介して入力されて記憶装置140に記憶される画像データとのうちから、投影装置120へ入力する画像データを選択する。
【0047】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0048】
本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0049】
100、400、500 プロジェクタ、
110 撮像装置、
111 撮影光学系、112 マイクロレンズアレイ、113 撮像素子、
114 光線、115 部分光束、116 予定結像面、117 光軸、
120 投影装置、
121 表示素子、122 マイクロレンズアレイ、123 投影光学系、
124、125 偏光板、126 光線、127 部分光束、
128 予定結像面、129 光軸、
130 制御装置、140 記憶装置、150データ入力装置、
1211、1212 表示画素


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1マイクロレンズが配列された第1マイクロレンズアレイと、
互いに視差を有する一対の表示画像を表示する複数の表示画素が、前記複数の第1マイクロレンズの各々に対応して配列される表示素子と、
前記第1マイクロレンズアレイを透過した前記複数の表示画素からの光束を、前記一対の表示画像を形成する一対の投影光束として投影する投影光学系と、
前記一対の投影光束に対して互いに異なる偏光特性を与える偏光手段と、
前記視差が可変となるように前記複数の表示画素を決定する決定手段とを備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記偏光手段は、前記一対の投影光束の偏光を互いに直交させることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記偏光手段は、四分の一波長位相板であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
被写体像を形成する被写体光束を透過する撮影光学系と、
複数の第2マイクロレンズが配列された第2マイクロレンズアレイと、
前記第2マイクロレンズアレイを介して前記被写体光束を受光する複数の受光素子が配列され、前記被写体光束のうちの一部の光束によって形成される第1部分被写体像に対応する第1の受光信号と、前記被写体光束のうちの残部の光束によって形成される第2部分被写体像に対応する第2の受光信号とを出力する撮像素子と、
前記第1の受光信号と前記第2の受光信号とに基づいて視差データを含む撮像データを生成する生成手段と、
前記撮像データに基づいて、前記複数の表示画素に前記一対の表示画像を表示させるための画像データを前記表示素子へ入力する制御手段とをさらに備え、
前記第1部分被写体像は、前記第2部分被写体像に対して、前記視差を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
外部装置から視差を有する入力画像データが入力される入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記画像データとして、前記入力手段へ入力される前記入力画像データと、前記生成手段によって生成される前記撮像データとを択一的に前記表示素子へ入力することを特徴とするプロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−133173(P2012−133173A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285795(P2010−285795)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】