説明

プロセスカートリッジ及びプロセスカートリッジの製造方法

【課題】シートを枠体へ取り付ける際に両面テープ等の部材を用いる必要がなく、プロセスカートリッジからの現像剤の漏れ経路を無くす。また、生産効率の向上が可能でシートの枠体への取付位置精度を高くする。更に、プロセスカートリッジ上のシート取付面を従来よりも小さくしてプロセスカートリッジの小型化を図る。
【解決手段】熱可塑性樹脂層とシーラント層を有するシートを枠体面とシーラント層が接するように枠体に対して位置固定する工程と、近赤外線を照射することにより吸収面又はシーラント層で近赤外線を吸収させてシーラント層を加熱溶融させる工程と、シーラント層を冷却固化させることによりシートを接着させる工程と、シートを接着させた枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着することによりプロセスカートリッジとする工程と、を有すること特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レ−ザ−プリンタや複写機等の電子写真方式を採用する電子写真画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関するものである。ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば電子写真複写機、電子写真プリンター(例えばレーザービームプリンター、LEDプリンター等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。なお、プロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
この種のプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンに頼らずにユーザー自身で行うことができ、格段に操作性を向上させることができる。そこで、このプロセスカートリッジ方式は電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
一般的に、電子写真画像形成装置では、画像形成時に以下のような工程が繰り返されている。すなわち、感光層を外周面に有する象担持体である電子写真感光体ドラム(感光体ドラム)に静電潜像を形成する。現像剤収納枠体、現像容器、現像剤担持体を経由して現像手段から搬送された現像剤によりこの静電潜像を像として現像(顕像化)し、得られた像を転写材に転写する工程が繰り返されている。また、1つの画像形成工程終了後に感光体ドラム表面に残留した現像剤及びその他の付着物を次の画像形成工程開始前にクリーニング手段によって十分に除去している。
【0004】
前記クリーニング手段の一例として、感光体ドラム上に残留したトナーを掻き落とすクリーニングブレードと、掻き落としたトナーをすくい取るためのスクイシートと、すくい取った廃トナーを溜めるためのクリーニング容器とで構成されたものがある。ここで、クリーニングブレードとスクイシートは、感光体ドラム表面に接触するように設けられている。また、スクイシートは二軸延伸ポリエステルからなり、クリーニング容器の所定位置(取付面)に両面テープによって貼り付けられている。ここで、感光体ドラムと接触するスクイシートに貼り付け時の位置ズレ、及び先端部のうねり等があると、前記スクイシート先端が感光体ドラム表面に完全に密着できない。この結果、クリーニングブレードで掻き落とした現像剤を確実に掬い取れなくなるため、スクイシートの貼り付け精度及び、スクイシート先端部の精度は非常に重要である(特許文献1参照)。
【0005】
また、現像手段の一例として現像剤担持体の上方に現像剤担持体に担持されている現像剤の層厚を規制する現像ブレード、現像剤担持体の下方に現像容器下部から外部への現像剤の吹き出し(漏出)を防止するための吹き出し防止シートを設けたものが知られている。この現像ブレード及び吹き出し防止シートは、現像剤担持体の表面に接触するように設けられている。また、吹き出し防止シートはニ軸延伸ポリエステルにより形成されており、現像容器の所定位置(取付面)に両面テープによって貼り付けられている。吹き出し防止シートに関しても前述のスクイシートと同様、貼り付け時の位置ズレ、及び先端部のうねり等があると間隙が生じる。この結果、この間隙から現像容器内の現像剤が吹き出してしまうため、吹き出し防止シートの取り付け精度及び先端精度も非常に重要である。
【0006】
以上のように、スクイシート及び吹き出し防止シート等のシートを両面テープを用いて枠体に貼り付ける際には、その貼り付け位置はクリーニング容器や現像容器からの現像剤漏れ防止に大きく影響するため重要である。このため、現像剤の漏れ防止のため両面テープを高精度に枠体に貼り付ける必要があった。
【0007】
また、両面テープを用いる以外のシート材の樹脂成形体への取り付け方法としては、金型等を加熱してシート類を溶着するヒートシール法が挙げられる。更に、昨今においてはレーザ光を用いて溶着するレーザ溶着方法が用いられはじめている。
【特許文献1】特許第3231848号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、自動機によるカートリッジの組立て工程において、更なるコストダウンのため生産効率や製品の製作精度の向上が求められていた。また、電子写真画像形成装置の高性能化・高画質化に伴いカートリッジの小型化が求められていた。
【0009】
しかしながら、両面テープを用いた枠体へのシートの接着方法では、両面テープが自動供給機から供給可能なロール状として供給されるためその幅を小さくするのには限界があった。更に、現像剤の漏れを防止するため両面テープは枠体に高精度に貼り付ける必要があった。しかしながら、両面テープは柔らかいためその幅が小さいほどカートリッジ枠体に高精度に貼り付けるのは難しく生産性向上の課題の一つであった。
【0010】
更に、ヒートシール法を用いた枠体へのシートの接着方法では、シート界面が融解するまで金型等により加熱するため、シートの他の部分や融着すべき部材としてヒートシール時に変形しないものを選択せねばならず使用できる材料に制約があった。
【0011】
さらに、上記ヒートシール法では、形状が保てなくなるほどの変形ではないが容器に部分的な変形やシート類に反りが生じてしまうという問題点もあった。このため、上記に示したようなスクイシートや吹き出し防止シートなど、高精度なシート先端部の取付精度が必要なシートの製造方法としては用いることが出来なかった。
【0012】
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、プロセスカートリッジを製造するに際し、シート部材又は枠体の材料を選択し、これらの部材に所定波長のレーザ光を照射することによりシートの一部それ自体を接着剤として機能させることが有用であることを発見した。また、このような製造方法によりプロセスカートリッジを製造することによりプロセスカートリッジの小型化に対応でき、且つシートの取付位置精度も高精度に保つことができることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、以下の特徴を有するものである。
【0014】
1.電子写真画像形成装置本体に着脱自在で、シートを接着した枠体を備えたプロセスカートリッジの製造方法であって、
近赤外線の吸収面を有する枠体を用意する工程と、
近赤外線を透過する熱可塑性樹脂層及びシーラント層を有するシートを、前記吸収面と前記シーラント層が接するように、前記枠体に対して位置固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂層側から吸収面側に向かって近赤外線を照射することにより前記吸収面で近赤外線を吸収、加熱させ、更にこの熱を前記吸収面からシーラント層まで伝導させることにより前記シーラント層を加熱溶融させる工程と、
前記シーラント層を冷却固化させることにより、前記シートを前記枠体に接着させる工程と、
前記シートを接着させた前記枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着することによりプロセスカートリッジとする工程と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【0015】
2.電子写真画像形成装置本体に着脱自在で、シートを接着した枠体を備えたプロセスカートリッジの製造方法であって、
前記シートの取付面を有する枠体を用意する工程と、
近赤外線を透過する熱可塑性樹脂層及び近赤外線を吸収するシーラント層を有するシートを、前記取付面と前記シーラント層が接するように、前記枠体に対して位置固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂層側からシーラント層側に向かって近赤外線を照射することにより前記シーラント層で近赤外線を吸収、加熱溶融させる工程と、
前記シーラント層を冷却固化させることにより、前記シートを前記枠体に接着させる工程と、
前記シートを接着させた前記枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着することによりプロセスカートリッジとする工程と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【0016】
3.前記近赤外線が、前記吸収面表面において0.05〜1.2J/mm2のエネルギー密度となるように照射されることを特徴とする上記1に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
4.前記近赤外線が、前記シーラント層表面において0.05〜1.2J/mm2のエネルギー密度となるように照射されることを特徴とする上記2に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【0017】
5.前記熱可塑性樹脂層が複数の層からなり、前記複数の層のうち少なくとも一層が二軸延伸ポリエステルからなることを特徴とする上記1〜4の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
6.前記シーラント層が、ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含むことを特徴とする上記1〜5の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【0018】
7.前記熱可塑性樹脂層の厚みが15〜180μm、前記シーラント層の厚みが15〜80μmであることを特徴とする上記1〜6の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
8.前記枠体が、重量平均分子量100000〜500000のスチレン系樹脂と、前記スチレン系樹脂100質量部に対して0.3〜1.5質量部の割合で個数平均粒径が10〜30nmのカーボンブラックを含有することを特徴とする上記1〜7の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【0019】
9.前記枠体がクリーニング容器であり、
前記シートが、前記プロセスカートリッジに内蔵された被クリーニング体に当接し、前記被クリーニング体から除去された除去物を掬い取って前記クリーニング容器に収容するスクイシートであることを特徴とする上記1〜8の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【0020】
10.前記枠体が現像剤を収容する現像容器であり、
前記シートが、前記プロセスカートリッジに内蔵された現像剤を担持、搬送する現像剤担持体に当接して前記現像容器と現像剤担持体との間から外部へのトナーの漏れを防ぐための吹き出し防止シートであることを特徴とする上記1〜8の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
11.上記1〜10の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法により製造されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シートを枠体へ取り付ける際に両面テープ等の部材を用いる必要がなく、プロセスカートリッジからの現像剤の漏れ経路の一つをほぼ無くすことができる。また、生産効率の向上が可能であり、シートの枠体への取付位置精度を高くすることが可能となる。更に、プロセスカートリッジ上のシート取付面を従来よりも小さくできプロセスカートリッジの小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(プロセスカートリッジの製造方法)
本発明は、シートを接着した枠体を備えたプロセスカートリッジの製造方法に関するものであり、その製造方法は主に枠体にシートを接着する工程を含む。
【0023】
本発明の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)近赤外線が透過性の熱可塑性樹脂層と、シーラント層を有するシートを、シーラント層が枠体に接するように、枠体に対して位置固定する工程。
(2)熱可塑性樹脂層側から枠体側に向かって近赤外線を照射することによりシーラント層を加熱溶融させる工程。
(3)シーラント層を冷却固化することにより、シーラント層を介して熱可塑性樹脂層を枠体に接着させる(シートを枠体に接着させる)工程。
(4)シートを接着した枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着する工程。
【0024】
上記工程(1)では、シートを枠体に接着させたい所望の位置に位置固定する。ここで、「位置固定」とは例えば、押圧治具等の加圧手段を用いてシートと枠体の間の相対的な位置関係が動かないように固定することを表す。この位置固定は、工程(2)の際にシートと枠体の間の相対的な位置関係がずれ、シートが枠体の所望の位置に接着できないことを防止するためになされるものであり、この位置固定は主に加圧によるものである。従って、この段階でシートが枠体に接着されているわけではない。また、この位置固定はシート(熱可塑性樹脂層、シーラント層)のうちシーラント層が枠体の吸収面又は取付面に接し、熱可塑性樹脂層が外側に面するように行う必要がある。
【0025】
上記工程(2)では近赤外線は、熱可塑性樹脂層側から枠体側に向かって(熱可塑性樹脂層から枠体に向かう方向)に照射される。この際、近赤外線は熱可塑性樹脂層を透過し、(i)更にシーラント層をも透過して枠体の吸収面に吸収されるか、(ii)シーラント層に吸収される。
【0026】
(i)近赤外線が枠体の吸収面に吸収された場合、この吸収面は発熱する。また、この吸収面とシーラント層とは接するように位置固定されているため、熱伝導等によりこの吸収面の熱がシーラント層にまで伝わる。この結果、この熱によりシーラント層は加熱溶融される。
【0027】
一方、(ii)近赤外線がシーラント層に吸収された場合、シーラント層自体が発熱し加熱溶融する。なお、上記(i)枠体の吸収面又は(ii)シーラント層の何れの部材で近赤外線が吸収されるかは、枠体の吸収面及びシーラント層としてどのような材料のものを用いるかによる。シーラント層に近赤外線を透過する材料、枠体の吸収面に近赤外線を吸収する材料を用いた場合には、上記(i)の場合となる。また、シーラント層に近赤外線を吸収する材料を用いた場合には、上記(ii)の場合となる。
なお、枠体の吸収面又は取付面は、枠体上のシートを接着させたい部分、シーラント層の大きさなどに合わせて所望の形状、大きさのものを用いることができる。
【0028】
近赤外線としてはレーザ光を用いることが好ましく、枠体の吸収面、シーラント層、熱可塑性樹脂層の構成材料に応じて所定波長、強度を有するものを用いることができる。また、レーザ光は枠体の所望の部分にシートを装着させるために、枠体の吸収面又はシーラント層に沿って走査させても良い。
【0029】
次に、工程(3)において上記工程(2)(i)及び(ii)により加熱溶融したシーラント層を冷却固化させることにより、シーラント層を介して熱可塑性樹脂層を枠体に接着させる(シートを枠体に接着させる)ことができる。この後、加圧手段を用いてシートを枠体に対して位置固定させていた場合には加圧手段による加圧を止める。本発明の製造方法では熱可塑性樹脂層はシーラント層の加熱溶融時に軟化する場合があるが溶融しないため、加圧手段は熱可塑性樹脂層に接着されず、また熱可塑性樹脂層が変形することもない。
【0030】
この後、工程(4)により、シートを接着した枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着する。プロセスカートリッジ本体部は、プロセスカートリッジのうちシートを接着した枠体部分を除いた全ての構成部材であり、別工程等により予め準備しておく。また、枠体のプロセスカートリッジ本体部への装着は、接着剤を用いて接着させても枠体をプロセスカートリッジ本体部へはめ込むことによって行っても良い。
【0031】
本発明の製造方法では、このようにシーラント層によってシートをプロセスカートリッジに接着させるため、枠体に高い位置精度でずれがないようにシートを接着させることができる。また、シートが枠体に接着される部分の面積を小さくできプロセスカートリッジの小型化にも対応することができると共に、プロセスカートリッジ内の空隙をふさいで現像剤の漏れ経路を効果的に無くすことができる。
【0032】
(近赤外線)
本発明の製造方法で用いる近赤外線は波長が750〜3000nmの範囲内のものであれば特に限定されず、シーラント層やプロセスカートリッジ枠体の吸収面の材質に合わせて所望の波長を選択することができる。また、近赤外線照射にはレーザ光を用い、吸収体では焦点を絞って照射することが好ましい。この場合、吸収体(シーラント層又は枠体の吸収面)の表面上でのレーザ光のエネルギー密度は0.05〜1.2J/mm2であることが好ましい。
【0033】
なお、本発明において「近赤外線を透過する」とは一方の面から入射した近赤外線が反射又は吸収されずに実質的に他方の面から出て行くことを表す。好ましくは、入射光の95%以上が透過していくのが良く、98%以上が透過していくことがより好ましい。更に、「近赤外線を吸収する」とは一方の面から入射した近赤外線が反射又は透過せずに実質的に吸収されることを表す。入射光の85%以上が吸収されるのが好ましく、90%以上が吸収されるのがより好ましく、95%以上が吸収されるのが更に好ましい。
【0034】
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層はシーラント層の加熱時に溶融状態とならない層である。場合によっては、熱可塑性樹脂層は軟化しても良い。熱可塑性樹脂層が軟化することによって枠体との間に隙間を設けることなく枠体−シート間を密着して接着させることができる。熱可塑性樹脂層としては二軸延伸ポリエステルを用いることが好ましい。二軸延伸ポリエステルは近赤外線の透過性が高く枠体への接着性にも優れる。
【0035】
更に本発明では、熱可塑性樹脂層を多層構造とし、例えば表層(第一層)に前記二軸延伸ポリエステル、第二層としてオレフィン系の樹脂層(例えば、ポリエチレン層)を用いることができる。熱可塑性樹脂層をこのような多層構造とすることで、シート全体のコシ(弾性率)を製品機能上、最適なものとしたり、熱可塑性樹脂層に溶着後の環境変動によるシートへのダメージを低減させるためのクッション効果をもたせることも可能である。
【0036】
熱可塑性樹脂層の総厚は15〜180μmであることが好ましい。熱可塑性樹脂層の厚みをこれらの範囲内とすることによって近赤外線を効果的に透過させると共に、機械的強度の高いシートとすることができる。
【0037】
(シーラント層)
シーラント層は加熱時に溶融する層のことを表す。シーラント層としては90〜160℃で溶融するものを用いることが好ましく、135〜150℃で溶融するものを用いることがより好ましい。
【0038】
シーラント層にはホットメルト等を用いることができる。具体的にはポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いることが好ましい。また、ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いることがより好ましい。ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は容易に溶融させることができ、冷却固化後には高い接着性を有することができる。なお、シーラント層は、このポリエチレン又はEVAからなっていても、ポリエチレン又はEVAと他の材料(樹脂材料やカーボンブラックなど)から構成されていても良い。シーラント層がポリエチレン又はEVAを含む場合、シーラント層中のこれらの樹脂の含量、ポリエチレンの形成方法(低圧法、中圧法、高圧法)、EVA中の酢酸ビニル含量、他の材料の組成・種類等、シーラント層の構成を適宜、調節することができる。このようにシーラント層の構成を適宜、調節することによってシーラント層を近赤外線の透過性又は吸収性の層とすることができる。
【0039】
シーラント層の厚みは15〜80μmであることが好ましい。シーラント層の厚みをこれらの範囲内とすることによって熱が伝わりやすく加熱溶融しやすいシーラント層とすることができる。また、工程(3)において冷却固化時には優れた接着性を有することができる。
【0040】
なお、シーラント層を近赤外線を吸収する層とするときは、シーラント層の構成材料自体を近赤外線の吸収性材料としても、シーラント層中にカーボンブラックなどの近赤外線の吸収性材料を添加して近赤外線を吸収する層としても良い。
【0041】
また、本発明の製造方法で使用するシートは熱可塑性樹脂層及びシーラント層以外の層を有していても良い。この場合、熱可塑性樹脂層及びシーラント層以外の層は、熱可塑性樹脂層とシーラント層との間、又は熱可塑性樹脂層の外側に存在することができる。また、この層は、近赤外線を透過するものであり、この層が存在することにより本発明の効果には何ら影響しない。
【0042】
本発明の製造方法により製造した、像担持体に作用するプロセス手段を備えたカートリッジ(以下、プロセスカートリッジと記載)、プロセスカートリッジの構成部材及び電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と記載する)について以下に詳細に説明する。なお、以下の説明で像担持体の長手方向と、プロセスカートリッジの長手方向とは、記録媒体の搬送方向に交叉し、記録媒体に平行な方向をいう。
【0043】
(プロセスカートリッジ及び画像形成装置本体の説明)
図1に本発明に係るプロセスカートリッジの主断面図、図2に本発明に係る画像形成装置の主断面図を示す。このプロセスカートリッジは、像担持体と像担持体に作用するプロセス手段を備えたものである。ここでプロセス手段としては例えば像担持体の表面を帯電させる帯電手段、像担持体にトナー像を形成する現像手段、像担持体表面に残留したトナーを除去するためのクリーニング手段等がある。
【0044】
プロセスカートリッジBは、図1に示すように、像担持体である電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラムという)7、その周囲に帯電手段、現像手段、クリーニング手段、現像剤収納枠体(以下、トナー枠体と記載)11によって構成されている。ここで、帯電手段は帯電ローラ8、現像手段は現像ローラ9c、現像ブレード9d、吹き出し防止シート15を有する現像枠体14、クリーニング手段はクリーニングブレード10a、スクイシート10cを配したクリーニング枠体13から構成されている。
【0045】
このプロセスカートリッジBは、図2に示すような画像形成装置Aに装着されて画像形成に用いられる。装置下部に装着された給紙カセット3aから記録媒体2をピックアップローラ3bで送り出し、ついで搬送ローラ3c、3dによって記録媒体2を搬送し、レジストローラ3eで記録媒体2を待機させる。この記録媒体と同期して、感光体ドラム7に露光装置1から選択的な露光をして潜像を形成する。その後、トナー枠体11に収納したトナーを現像ブレード9dにより現像ローラ9c表面に薄層担持し、現像ローラ9cに現像バイアスを印加する事によって、潜像に応じて感光体ドラム7にトナーを供給しトナー像を形成する。前記感光体ドラム7上のトナー像の形成とタイミングを合せてレジストローラ3eから転写ローラ4と感光体ドラム7の対向部へ記録媒体2を送り出す。このトナー像を搬送される記録媒体2上に転写ローラ4へのバイアス電圧印加によって転写する。転写後、クリーニング手段によって感光体ドラム7上の残留トナーを除去する。またトナー像が転写された記録媒体2は、定着装置5へ搬送されて画像定着され、排紙ローラ3g、3hによって装置上部の排出トレイ6に排出される。
【0046】
(枠体)
本発明の製造方法でシートを装着される枠体としては、プロセスカートリッジ内で枠体状の部材として用いられるものであれば特に限定されない。好ましくは、枠体として現像枠体14又はクリーニング枠体13、シートとして吹き出し防止シート15又はスクイシート10cを用いるのが良い。
【0047】
枠体の材質は、シートの枠体への装着性に影響するため、シーラント層の材料等に応じてシートの装着性の良いものを適宜、選択する。なお、枠体の材料としてはスチレン系樹脂組成物を用いることが好ましく、具体的にはゴム変性スチレン系樹脂であるHIPS(ハイインパクトポリスチレン)を挙げることができる。この材料は、安価でかつ流動性が良いPS(ポリスチレン)に耐衝撃性を向上させるためゴム状重合体、又はゴム状共重合体を混合したものである。
【0048】
上記ゴム状重合体或いはゴム状共重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、天然ゴム及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される重合体が好ましく用いられる。
【0049】
スチレン系樹脂としてはGPC測定による重量平均分子量が100000〜500000のものが好ましい。このような範囲の重量平均分子量を有するスチレン系樹脂を用いることにより、機械的強度が高くシートとの接着性にも優れた枠体とすることができる。
また、枠体に近赤外線の吸収面を設ける場合には、スチレン系樹脂100質量部に対して0.3〜1.5質量部の割合で個数平均粒径が10〜30nmのカーボンブラックを含有させることが好ましい。このようなカーボンブラックを含有することにより、枠体の吸収面において効果的に近赤外線を吸収することができる。
【0050】
また、枠体には火災に対する安全性として、UL−94のV2ランクの難燃性が求められる。このため、スチレン系樹脂組成物には第1の難燃剤として臭素系難燃剤(例えば、エチレンビスペンタブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールA誘導体、ポリ臭化脂肪族エーテル誘導体など)やリン酸エステル系難燃剤(例えば、レゾルシノールビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェート)など)を添加するのが良い。
【0051】
更に、第2の難燃剤を添加することで第1の難燃剤の添加量を減らすことが可能となり、ベースポリマーとなるスチレン系樹脂組成物の耐熱性の低下を防ぐことができる。第1の難燃剤として臭素系難燃剤を用いる場合、第2の難燃剤としては三酸化アンチモンが最も効果が高いため好ましく用いられる。
【0052】
(現像手段)
次にプロセスカートリッジ内の現像手段の構成について説明する。本発明の製造方法では、この現像手段を構成する現像容器を枠体(現像枠体)とし、これにシートとして吹き出し防止シートを接着させたプロセスカートリッジを製造することができる。
【0053】
現像手段は、図1で示されるようにトナー収納枠体(現像容器)11内のトナーをトナー送り部材9bで送り出し、現像ローラ9cを回転させる。これと共に、トナーの層厚を規制する現像ブレード9dによって摩擦帯電電荷を付与したトナー層を現像ローラ9cの表面に形成する。そのトナーを潜像に応じて感光体ドラム7へ転移させることによってトナー像を形成して可視像化するものである。ここで、現像容器14下部には現像ローラ9cと現像容器14の間の隙間から外部へトナーが漏れるのを防止するために吹き出し防止シート15が、現像ローラ9cの外周面に当接するように設けられている。本発明の製造方法では、この吹き出し防止シート15を現像容器に接着する工程を含むプロセスカートリッジを製造することができる。
【0054】
(クリーニング手段)
次に、プロセスカートリッジ内のクリーニング手段の構成について図3〜図5を用いて詳細に説明する。図3はクリーニング手段と感光体ドラムを示す模式構成断面図、図4はクリーニング手段の構成を示す模式断面図、図5はクリーニング手段を図4中の矢印a方向から見た構成説明図である。本発明の製造方法では、このクリーニング手段を構成するクリーニング枠体を枠体とし、これにシートとしてスクイシート10cを接着させたプロセスカートリッジを製造することができる。
【0055】
図3及び図4に示すように、クリーニング手段10は感光体ドラム7から廃トナー等の残留物を掻き落とすクリーニングブレード10aと、掻き落とされた残留物を掬い取るスクイシート10cが設けられている。また、残留物を収納する廃トナー溜10bと、前記廃トナー溜10bから残留物が漏れ出ないように前記クリーニングブレード10aの両端部に配したブレード端部シール10dと、その他のシール部材10eとを有している。、これら各部材がクリーニング枠体13に組み込まれてクリーニング手段を構成されている。
【0056】
具体的には、クリーニングブレード10a及びスクイシート10cは相互に干渉しない位置で感光体ドラム7の外周面に当接している。また、ブレード端部シール10dは、図5に示すようにクリーニングブレード10a及びスクイシート10cの両端部に接触しており、且つ図3に示すように感光体ドラム7の外周面とも接触している。更にシール部材10eによって前記クリーニングブレード10aとクリーニング枠体13の隙間等を密閉している。
【0057】
従って、上記構成のクリーニング手段10では、クリーニングブレード10aで感光体ドラム7上に残留したトナーを掻き落とし、このトナーをスクイシート10cで掬い取って廃トナー溜10bへ集め収納している。そして、感光体ドラム7とブレード端部シール10dの接触部においては端部シール10dが廃トナーを保持している。即ち、感光体ドラム7上の廃トナーをクリーニングブレード10a、スクイシート10c、ブレード端部シール10dで構成される開口部10gから廃トナー溜10bへと導く。このようにして廃トナー溜10b内に収納された廃トナーは漏れ出ないようになっている。
以下、本発明の製造方法の例を示す。
【0058】
(実施形態1)
本発明の実施形態1として、クリーニング手段の一部であるスクイシート10cをクリーニング枠体13へ取り付けたプロセスカートリッジの製造方法に関して以下に詳細に述べる。本実施形態では、熱可塑性樹脂層及びシーラント層が近赤外線を透過する場合のプロセスカートリッジの製造方法に関するものである。
【0059】
まず、本実施形態で取り付けたスクイシート10cに関して図6を用いて述べる。スクイシート10cは、図6に示すように表層(熱可塑性樹脂層)10c1とクッション層10c3とシーラント層10c2とからなる3層構造となっている。更に詳細には表層10c1は厚さ38μmの2軸延伸ポリエステル、クッション層10c3は厚さ50μmのポリスチレン層、シーラント層10c2は厚さ30μmのエチレン−酢酸ビニルの共重合体から構成されている。
【0060】
表層10c1は、スクイシートとしての機能を安定して発揮し、クリープ性などの強度が高く安価で生産性にも優れたものとするため、好ましくは厚さ15〜80μm、より好ましくは25〜50μmの2軸延伸ポリエステルであるのが良い。クッション層10c3は製品使用時の環境変動により、クリーニング枠体13の材料であるポリスチレンとスクイシートの表層10c1の二軸延伸ポリエステルとの熱膨張率の違いを吸収するものである。クッション層は好ましくは厚さ50〜150μm、より好ましくは厚さ75〜100μmのポリエチレンであるのが良い。
【0061】
また、シーラント層10c2は、クリーニング枠体13に対し、十分な接着強度を確保できるものとするため、好ましくは厚さ15〜80μm、より好ましくは厚さ25〜50μmのエチレン−酢酸ビニルの共重合体であるのが良い。ここで、ポリエステル、ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニルの共重合体は、共に近赤外線に対する透過性のある材料である。
【0062】
次に、スクイシート10cのクリーニング枠体13への取付工程について図7〜12を用いて説明する。
まず、図7(a)に示すようにクリーニング枠体13を用意する。この際、環境変動等によりスクイシート10cの先端(感光ドラム7との接触部)に図7(b)に示すようなうねりxが生ずることがある。このため、スクイシート10cを取り付けるときは、図8(a)に示すように引張工具20によってクリーニング枠体13の取付面13dの力受け部(取付面13dを湾曲させるとき力を受ける力受け部)を下方へ引っ張る。この際の弾性変形により湾曲させ、この状態でスクイシート10cを取り付けた後に、この湾曲を解放しても良い。このようにクリーニング枠体13を湾曲させることによってスクイシート10cの先端に図8(b)に示すようにテンションを与え、前記うねりを防ぐことができる。
【0063】
本実施形態においては図9〜図11に示すように、クリーニング枠体13の取付面13dを引張り工具20を用いて湾曲させた状態で、スクイシート10cのシーラント層10c2を取付面13dに接するように重ね合わせる。更にスクイシート10cの上(熱可塑性樹脂層上)から近赤外線に対して透過性を有する押圧治具40を用いて加圧する。このようにすることにより、スクイシート10c接着時にスクイシート10cのクリーニング枠体13に対する相対的な配置がずれないように位置固定する。
【0064】
この後、スクイシート10cの熱可塑性樹脂層側からクリーニング枠体13の取付面13d側に向けてレーザ照射ヘッド30より近赤外線のレーザ光eを照射する。この取付面(近赤外線の吸収面)13dは近赤外線を吸収する部材で構成されるか、表面に近赤外線を吸収する層が設けられている。このため、照射されたレーザ光eは共に近赤外線の透過性を有する押圧治具40、スクイシート10cを透過して、クリーニング枠体13の取付面13dで吸収される。
【0065】
取付面13dで吸収されたレーザ光は熱に変換され、取付面13dは発熱しその熱が取付面13dに接しているスクイシート10cのシーラント層10c2まで伝わる。ここで、取付面13dからの熱によりシーラント層10cが所定温度以上となると溶融する。この溶融したシーラント層10cを冷却固化させることにより、クリーニング枠体13とスクイシート10cを溶着(接着)させることが可能となる。次に、押圧治具40による加圧を止めることによりシートを装着したクリーニング枠体13を得ることできる。更に、このクリーニング枠体13をプロセスカートリッジの本体部(図1でクリーニング枠体13及びスクイシート10c以外の部分に相当)に装着する。このような製造方法とすることにより、プロセスカートリッジを製造することができる。
【0066】
ここで、前記照射ヘッドより照射されたレーザ光eは取付面13dに到達するときには直径φ1.5mmmの円状となるように集光させた。即ち、レーザのスポット径はφ1.5mmである。よって、シーラント層の溶融幅e1も約1.5mmである。また、レーザ光をスクイシート10cの一方の端部から他方の端部までその長手方向に連続的に照射する。このようにすることで、図12に示すような長手方向に対して連続的に繋がっている溶着面g1を得ることが出来た。
【0067】
また、押圧治具40としてはレーザ光eに対して透過性があり、かつ、スクイシート10cとクリーニング枠体13の取付面13dとの接触面全域を加圧することが可能な剛性を有する部材を用いることが好ましい。具体的にはアクリル樹脂、ガラス等を用いるのが良い。
【0068】
また、取付面13dを有するクリーニング枠体13は樹脂材料からなっており、スクイシート10cを取り付ける際には取付面13dが湾曲して取付面13dに若干の凹凸や変形が生じる場合がある。また、クリーニング枠体13に対するスクイシート10cの相対的な位置がずれる場合がある。そこで、本実施形態では押圧部材40として弾性体を用いて、スクイシート10cをクリーニング枠体13に対して加圧して位置固定することによりスクイシート10cと取付面13dとの密着性を向上させることができる。また、スクイシート10cの位置ずれを防止することが可能になる。
【0069】
本実施形態では押圧部材40として、アクリル樹脂40aに硬度50°(JIS K6301A)、厚さ2mmのシリコーンゴム40bを透過性のある両面テープを用いて貼り付けたものを用いた。
なお、本実施形態は後述の吹き出し防止シートを装着したプロセスカートリッジの製造にも適用することが可能である。
【0070】
(実施形態2)
本発明の実施形態2として、現像手段の一部である吹き出し防止シート15を、現像容器(電子写真枠体)14へ取り付けた、プロセスカートリッジの製造方法を図13〜図15を用いて詳細に説明する。本実施形態では、熱可塑性樹脂層及が近赤外線を透過する(シーラント層は近赤外線を吸収する)場合のプロセスカートリッジの製造方法に関するものである。
【0071】
まず、本実施形態で用いた吹き出し防止シート15に関して述べる。本実施形態の吹き出し防止シート15は、図13に示すように表層(熱可塑性樹脂層)15aとシーラント層15bとからなる2層構造となっている。この表層15aには厚さ38μmの2軸延伸ポリエステル、シーラント層15bには厚さ30μmのカーボンブラックを練りこんだエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた。
【0072】
ポリエステルは近赤外線に対して透過性であり、シーラント層15bを構成しているエチレン−酢酸ビニル共重合体はカーボンブラックを含有することで近赤外線を吸収することができる。カーボンブラックは安価で生産性に優れた近赤外線の吸収剤である。
【0073】
次に、本発明のプロセスカートリッジの製造方法について以下に詳細に述べる。図14に示されるように現像容器14の取付面14dに吹き出し防止シート15のシーラント層15bが接するように重ね合わせる。この後、実施形態1で用いたものと同じ透過性のあるアクリル樹脂41aとシリコーンゴム41bからなる押圧治具41を用いて吹き出し防止シート15を加圧し、位置固定する。
【0074】
この後、吹き出し防止シート15の上方(表層側)からシーラント層15b側に向かって近赤外線のレーザ光eを照射ヘッド30より照射する。照射されたレーザ光eは、近赤外線に対して透過性の押圧治具41と吹き出し防止シート15の表層15aを透過し、吹き出し防止シート15のシーラント層15bで吸収される。吸収されたレーザ光は熱に変換されシーラント層15bが発熱する。この熱によりシーラント層15bが所定温度以上となると溶融する。この溶融したシーラント層10cを冷却固化することにより現像枠体14と吹き出し防止シート15を溶着(接着)させることが可能となる。
【0075】
次に、押圧治具40による加圧を止めることによりシートを装着した枠体を得ることできる。更に、この枠体をプロセスカートリッジの本体部(図1で現像枠体14及び吹き出し防止シート15以外の部分に相当)に装着することにより、プロセスカートリッジを製造することができる。
【0076】
ここでも、レーザ光は吹き出し防止シート15の一方の端部から他方の端部までその長手方向に連続的に照射することで、図15に示すような長手方向に連続的に繋がる溶着面g2が得られる。
【0077】
なお、本実施形態2では現像枠体の取付面を湾曲させずにシートを溶着しているが、テンションを付与するため、取付面を湾曲させた状態でシートを取り付けた後にこの湾曲を解放しても良い。
【0078】
また、本実施形態においては、枠体に取り付けるシートとして表層がポリエステル、シーラント層がエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる2層構成のシートを用いた。しかし、表層とシーラント層の間にシーラント層のクッションとして機能するポリエチレン層などの層を有する多層構成としても良い。なお、本実施形態は、前述のスクイシートを装着したプロセスカートリッジの製造にも適用することが可能である。
【0079】
なお、上記実施形態1及び2では近赤外線の照射装置としてファインディバイス社のFD200(波長:960nm)を用いた。また、近赤外線の照射装置の長手方向の走査速度を速度50mm/sec、出力20W、被吸収面(シーラント層又は枠体の吸収面)でのスポット径φ1.5mmとした。また、被吸収面におけるエネルギー密度を0.22J/mm2とした。
【0080】
また、上記実施形態1及び2では、カートリッジ枠体(現像枠体又はクリーニング枠体)として重量平均分子量220000のスチレン系樹脂と、スチレン系樹脂100質量部に対して個数平均粒径1.8μmのゴムを8質量部及びリン酸エステル系難燃剤(CR741(製品名)、大八化学社製)を8質量部、含有するものを用いた。
カートリッジ枠体中に近赤外線の吸収面を有する場合、これに更にスチレン系樹脂100質量部に対して個数平均粒径16nmのカーボンブラックを0.7質量部、含有させたものを用いた。この材料は板厚2mmのもので透過率0.5%であった。
【0081】
(本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジの作用効果)
1.クリーニング手段からの現像剤の漏出防止効果
実施形態1と同様の製造方法により、クリーニング枠体にスクイシートを取り付けたクリーニング手段とすることにより、クリーニング手段からの現像剤の漏出を防止することができる。以下にこの効果を説明する。なお、本発明の製造方法の基本的な構成は実施形態1と同様であり、実施形態1と異なる構成部分については個別に説明し、実施形態1と同様の構成・機能を有する部材については同一の参照番号を付して実施形態1の説明を授用する。
【0082】
図17にスクイシート端部の拡大図を示す。図17(a)は本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジ端部の拡大図であり、図17(b)は両面テープを用いた従来例により製造したプロセスカートリッジ端部の拡大図である。尚、図17では一方の端部のみで説明を行うが、反対側の端部も同様の構成である。
【0083】
図17(b)の従来例では、ブレード端部シール10dはクリーニングブレード10aの角に沿うようにL字形状に設けられている。また、スクイシート120(点線で示している)がクリーニング枠体13に対して両面テープ131で固定されている。スクイシート120の端部は長手方向において、ブレード端部シール10dと重なる位置まで延伸している。このブレード端部シール10dとスクイシート120が重なる領域(範囲をIで示した斜線部分)においては、ブレード端部シール10dとスクイシート120間に空隙が存在する。このため、ブレード端部シール10d下部に図示していない感光体ドラム7を組み付けることで、感光体ドラム7によってスクイシート120を押し、ブレード端部シール10dを押しつぶすことにより、この空隙をなくし現像剤の漏れを封止している。
【0084】
このような構成の現像手段において現像剤が漏れ出る可能性がある空隙は3つ考えられる。空隙(1)は、クリーニングブレード10aの先端とブレード端部シール10dの隙間からブレード端部シール10dの外形に沿って形成されるものである。次に、空隙(2)は、ブレード端部シール10dの下部と、クリーニング枠体13が有するブレード端部シール10dの下部と対向する面13eの間とで形成されるものである。空隙(3)は、スクイシート120の裏面とクリーニング枠体13のシート取り付け面13dと両面テープ131の上面とで形成されるものである。
【0085】
このブレード端部シール10dとクリーニングブレード10aの側面との空隙(1)をE、ブレード端部シール10dとクリーニング枠体(クリーニング容器)13の有する面13eの空隙(2)をFとして図17(b)中に示す。また、クリーニング枠体のシート貼り付け座面の感光体ドラム回転方向下流側の端部133(上流側端部は134で示す)と両面テープの空隙(3)をGとして図17(b)中に示す。現像剤の漏出を防止するためにはE、F、Gのそれぞれが現像剤を封止可能な(現像剤の漏出を防止可能な)微小な空隙となるようにする必要がある。
ここで、空隙E、Fはブレード端部シール10dの貼り付け位置によって規定され、空隙Gは両面テープ131の貼り付け位置によって規定される。
【0086】
以上のように従来のプロセスカートリッジでは、現像剤を封止する為にブレード端部シール10d、両面テープ131のそれぞれをクリーニング枠体13に対して高精度に取り付け、これらの部材間に形成される空隙を微小なものとする必要があった。
また、生産性の観点からは、従来例のように両面テープのような柔らかいものを高精度に貼り付ける事は困難であった。そこで、本発明の製造方法では両面テープを使用せず、シーラント層の熱融着によるシートの接着方法を採用した。本発明の製造方法では、スクイシート溶着部g3を図17(a)に示すような領域(斜線部分)とできるため、プロセスカートリッジ製造の生産性を向上させると共に、現像剤経路の一つである空隙Gを小さくすることができる。この結果、プロセスカートリッジ内の空隙を小さくし、現像剤の漏出を効果的に防止することができる。
【0087】
以下、本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジの空隙の状態について説明する。本発明の製造方法により製造した図17(a)のプロセスカートリッジでは、ブレード端部シール10dは図17(b)に示した従来例のブレード端部シール10と同様の構成である。ブレード端部シール10dはL字形状に設けられており、隙間E、Fは従来例と同様にブレード端部シール10dの貼り付け位置によって規定される。
【0088】
しかしながら、本発明の製造方法では空隙Gが形成される原因の一つであった両面テープを使用せずスクイシートの接着層(シーラント層)と枠体とを溶着するものであるため、設計上、空隙Gをゼロとすることが可能となる。
【0089】
図17(a)において斜線部で示す領域(溶着部g3)が溶着により固定される。溶着部g3として、スクイシート10cの中央部(図中に範囲Jで示す)が長手方向に連続的に繋がっている。更にスクイシート10cとブレード端部シール10dが長手方向に重なる領域である範囲Kにおいて、座面13d上の感光体ドラムの回転方向下流側端部133(上流側端部は134で示す)の少なくとも一部が、シーラント層により溶着されている。このため、下流側端部133とシーラント層との接着により空隙Gを小さくすることが可能となる。
【0090】
なお、端部133を確実に溶着する為に、レーザ照射ヘッドにより照射されたレーザ光を端部133を超えてブレード端部シール10dに照射させた場合でもブレード端部シール10dはカーボンブラックを含まない為、レーザ光によって発熱や溶融することは無い。
【0091】
2.クリーニング手段からの現像剤の漏出防止効果
実施形態1と同様の製造方法により、クリーニング枠体にスクイシートを取り付けたクリーニング手段とすることにより、更にクリーニング手段からの現像剤の漏出を防止することができる。以下にこの効果を説明する。図18にクリーニング手段の断面図を示す。図18(a)は本発明の製造方法により製造したクリーニング手段の断面図、図18(b)は従来例により製造したクリーニング手段の断面図である。
従来例においては、図18(b)に示すように、クリーニング枠体13とスクイシート120の間を、両面テープ131によって接着している。従って、両面テープ131の厚みによる段差が生じる事となり、その段差によって、Dで示す範囲の分だけ、空隙(3)(空隙G)の断面積が広くなっている。
【0092】
一方、本発明の製造方法により製造したクリーニング手段は図18(a)に示すように、両面テープが無く段差が生じない構成となっている。このため、空隙(3)(空隙G)をより狭くすることができる。
【0093】
以上の構成により、本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジのクリーニング手段では、実質的に空隙Gをゼロと同等にする事により、従来例で示した空隙(3)からの封止(現像剤の漏出)が可能となった。また、トナー封止性能の向上と両面テープの廃止による生産性の向上を両立する事が可能となった。
【0094】
3.現像手段からの現像剤の漏出防止効果
実施形態2と同様の製造方法により、現像枠体に吹き出し防止シートを取り付けた現像手段とすることにより、更に現像手段の別の空隙からの現像剤の漏出を防止することができる。以下にこの効果を説明する。なお、本製造方法の基本的な構成は実施形態2と同様であり、実施形態2と異なる構成部分については個別に説明し、実施形態2と同様の構成・機能を有する部材については同一の参照番号を付して実施形態2の説明を授用する。
【0095】
図19に、本実施形態で吹き出し防止シートを接着させた現像枠体14を備えた現像ユニットを示す。この現像ユニットは、現像ローラ9c(点線で示す)、現像ローラ9cに近接するブレード端部シール140、現像容器14、現像ローラ9cに当接する吹き出し防止シート15(2点鎖線で示す)を有する。吹き出し防止シート15の構成、及びシート部材周辺の構成は実施形態2と同様である。
【0096】
すなわち、吹き出し防止シート15は、表層とシーラント層の2層から構成され、シーラント層と現像容器の取付面14dがレーザ照射により溶着固定される。そして、吹き出し防止シート15の中央部(範囲Pで示す)は長手方向に連続的に繋がっている。また、吹き出し防止シート15とブレード端部シール140が長手方向に重なる領域である範囲Qにおいて、取付面14dの少なくとも現像ローラ9cの回転方向下流側端面の一部141が溶着されている。従って、溶着部g4の一例としては斜線部で示される領域とすることができ、図19中に(4)で表される空隙(4)を遮断し、この空隙からの現像剤の漏出を防止することができる。
【0097】
4.枠体上へのシート取付幅の低減効果
本発明の製造方法と従来の技術(両面テープによる貼り付け)とで、枠体上のシート取付面として必要なスペースの比較を行った。ここでは、実施形態1の製造方法により製造したスクイシートを装着したプロセスカートリッジについて図16を用いて説明する(ただし、スクイシートは熱可塑性樹脂層10c1とシーラント層10c2とからなる)。図16(a)は本発明により枠体上のシート取付面に取り付けたスクイシート10cの部分断面図、図16(b)は従来の両面テープ131を用いて枠体上のシート取付面に取り付けたスクイシート120の部分断面図である。
【0098】
まず、本発明の製造方法により枠体上に取り付けたシートから説明する。実施形態1で用いたレーザ溶着方法では、スクイシート10cとクリーニング枠体13の取付面13dの溶着部幅e1は、レーザの照射条件によって変化する。すなわち、レーザ発振器よりレーザを搬送するファイバーの径と前記ファイバーから出たレーザを集光させるための光学系レンズ、及びデフォーカスによって定められるレーザ光のスポット径によって変化する。実施形態1では前述のようにスポット径をφ1.5mmとしたため、溶着幅e1も約1.5mmとなる。また、一般的に接合幅以外で取付面13dに必要なスペースとしては、取り付け時の溶着部幅e1の誤差を考慮した余白が挙げられる。
【0099】
本発明の製造方法ではこの誤差要因として、(i)シート取り付け時のズレ、(ii)レーザ照射時のズレの二つが考えられる。
各々について更に述べると、(i)のシート取り付け時のズレは、シート自体が柔らかいため、シートの配設(枠体への取り付け)を高精度に行うことが難しいために生じてしまうズレである。従来の製造方法では、一般的にこのズレとして1mm程度のスペースが必要であった。しかしながら、本実施形態1においてはシートを配設した後、レーザを照射する前であればセンサー等を用いることで取り付け位置を微調整することが可能である。このため、このズレは最小限に留めることができ、スペーサ幅としては0.5mm程度とすることができる。
【0100】
また、(ii)のレーザ照射時のズレは、レーザ照射ヘッドを長手方向に走査させるロボット動作精度によるズレである。本実施形態1ではレーザ照射ヘッドは一方向にのみ動かす動作なので高精度な制御が可能であり、スペーサ幅としては0.5mm程度とすることができる。従って、実施形態1の場合、上記接合幅e1及びズレ(i)、(ii)に更にシート自体の寸法精度等を考慮して取付面13dの幅は3.0mm程度とすることができる。
【0101】
一方、従来技術である両面テープによる枠体へのシートの貼り付けでは、両面テープ131の接合幅131dは、自動供給機による供給を安定的に行うため少なくとも2.5mm程度あることが必要である。また、従来技術において考えられる取付幅の誤差要因としては、(iii)両面テープ取り付け時のズレ、(iv)シート取り付け時のズレが挙げられる。(iii)、(iv)については両面テープ及びシートは共に柔らかいため、高精度に制御することが困難である。また、両面テープは粘着性があるため、一度、配設するとその後に位置の微調整することが出来ない。シートに関しても同様に両面テープで取り付けられているため、一度取り付けた後に取付位置を微調整することは難しい。従って、上記両面テープの幅及び、ズレ(iii)、(iv)は共に1mm程度、必要となり、これらの幅及びシート自体の寸法精度を考慮すると取付面113dの幅は5.0mmが必要となる。
【0102】
従って、本実施形態1では、従来例に比べると図16(c)に示すように113dの幅と13dの幅の差z分だけ小さくすることが可能となる。実施形態1では、このz分として約2.0mm小さくすることができ、この結果からプロセスカートリッジの小型化が可能となることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明のプロセスカートリッジ断面図である。
【図2】本発明のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置断面図である。
【図3】本発明の製造方法により製造したクリーニング手段の感光体ドラムへの当接状態を示す模式断面図である。
【図4】本発明の製造方法により製造したクリーニング手段を示す模式断面図である。
【図5】本発明の製造方法により製造したクリーニング手段を図5の矢印a方向から見た構成説明図である。
【図6】本発明の製造方法により枠体に接着するスクイシートの部分断面図である。
【図7】図7(a)は本発明の製造方法によりスクイシートを取り付けた枠体の状態説明図である。図7(b)は本発明の製造方法により取り付けたスクイシート上端がうねった枠体の状態説明図である。
【図8】図8(a)は本発明の製造方法によりスクイシートを取り付ける枠体のスクイシート取付面を引っ張り工具にて湾曲させた状態の説明図である。図8(b)は枠体の取付面の湾曲を解放してスクイシート上端にテンションを付与した状態の説明図である。
【図9】本発明の製造方法によりスクイシートのシーラント層を溶着させた状態を表す説明図である。
【図10】図9の状態の断面図である。
【図11】図10の部分拡大図である
【図12】本発明の製造方法によりスクイシートを溶着させた枠体を表す説明図である。
【図13】本発明の製造方法により枠体に接着する吹き出し防止シートの部分断面図である。
【図14】本発明の製造方法により吹き出し防止シートのシーラント層を溶着させた状態を表す説明図である。
【図15】本発明の製造方法により吹き出し防止シートを溶着させた枠体を表す説明図である。
【図16】図16(a)は本発明の製造方法においてシートを枠体に取り付けるのに必要なスペースを説明する図である。図16(b)は従来技術においてシートを枠体に取り付けるのに必要なスペースを説明する図である。図16(c)は本発明の製造方法と従来技術とのシートの取り付けスペースの差を説明する図である。
【図17】図17(a)は本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジの空隙の状態を説明する図である。図17(b)は従来技術により製造したプロセスカートリッジの空隙の状態を説明する図である。
【図18】図18(a)は本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジの空隙の状態を説明する図である。図18(b)は従来技術により製造したプロセスカートリッジの空隙の状態を説明する図である。
【図19】図19は本発明の製造方法により製造したプロセスカートリッジの空隙の状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0104】
A:画像形成装置
B:プロセスカートリッジ
e:レーザ光
e1:溶着幅
g1、g2 、g3、g4:溶着部
x:うねり
z:幅比較時の差
1:露光装置
2:記録媒体
3a:カセット
3b:ピックアップローラ
3c、3d:搬送ローラ
3e:レジストローラ
3g、3h:排紙ローラ
4:転写ローラ
5:定着装置
6:排紙トレイ
7:感光体ドラム
8:帯電ローラ
9b:トナー送り部材
9c:現像ローラ
9d:現像ブレード
10a:クリーニングブレード
10b:廃トナー溜め
10c:スクイシート
10c1:表層
10c2:シーラント層
10c3:クッション層
10d:端部シール
10e:シール部材
10g:開口部
11:トナー収納枠体
13:クリーニング枠体
13d:取付面
14:現像容器
14d:取付面
15吹き出し防止シート
15a:表層
15b:シーラント層
20:引張り治具
30:レーザ照射ヘッド
40、41:押圧治具
40a、40a:アクリル部材
40b、41b:シリコーンゴム
113:クリーニング容器
113d:シート取付面
120:スクイシート
131:両面テープ
131d:両面テープ幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真画像形成装置本体に着脱自在で、シートを接着した枠体を備えたプロセスカートリッジの製造方法であって、
近赤外線の吸収面を有する枠体を用意する工程と、
近赤外線を透過する熱可塑性樹脂層及びシーラント層を有するシートを、前記吸収面と前記シーラント層が接するように、前記枠体に対して位置固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂層側から吸収面側に向かって近赤外線を照射することにより前記吸収面で近赤外線を吸収、加熱させ、更にこの熱を前記吸収面からシーラント層まで伝導させることにより前記シーラント層を加熱溶融させる工程と、
前記シーラント層を冷却固化させることにより、前記シートを前記枠体に接着させる工程と、
前記シートを接着させた前記枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着することによりプロセスカートリッジとする工程と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項2】
電子写真画像形成装置本体に着脱自在で、シートを接着した枠体を備えたプロセスカートリッジの製造方法であって、
前記シートの取付面を有する枠体を用意する工程と、
近赤外線を透過する熱可塑性樹脂層及び近赤外線を吸収するシーラント層を有するシートを、前記取付面と前記シーラント層が接するように、前記枠体に対して位置固定する工程と、
前記熱可塑性樹脂層側からシーラント層側に向かって近赤外線を照射することにより前記シーラント層で近赤外線を吸収、加熱溶融させる工程と、
前記シーラント層を冷却固化させることにより、前記シートを前記枠体に接着させる工程と、
前記シートを接着させた前記枠体をプロセスカートリッジ本体部に装着することによりプロセスカートリッジとする工程と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項3】
前記近赤外線が、前記吸収面表面において0.05〜1.2J/mm2のエネルギー密度となるように照射されることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項4】
前記近赤外線が、前記シーラント層表面において0.05〜1.2J/mm2のエネルギー密度となるように照射されることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂層が複数の層からなり、前記複数の層のうち少なくとも一層が二軸延伸ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項6】
前記シーラント層が、ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂層の厚みが15〜180μm、前記シーラント層の厚みが15〜80μmであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項8】
前記枠体が、重量平均分子量100000〜500000のスチレン系樹脂と、前記スチレン系樹脂100質量部に対して0.3〜1.5質量部の割合で個数平均粒径が10〜30nmのカーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項9】
前記枠体がクリーニング容器であり、
前記シートが、前記プロセスカートリッジに内蔵された被クリーニング体に当接し、前記被クリーニング体から除去された除去物を掬い取って前記クリーニング容器に収容するスクイシートであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項10】
前記枠体が現像剤を収容する現像容器であり、
前記シートが、前記プロセスカートリッジに内蔵された現像剤を担持、搬送する現像剤担持体に当接して前記現像容器と現像剤担持体との間から外部へのトナーの漏れを防ぐための吹き出し防止シートであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載のプロセスカートリッジの製造方法により製造されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−171818(P2007−171818A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372476(P2005−372476)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】