説明

プロセスカートリッジ

【課題】現像ローラと感光体とを離間させた状態で、被覆部材を簡単に装着することができるプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】
感光ドラム8を有するドラムカートリッジ6と、現像ローラ9を有する現像カートリッジ7と、感光ドラム8と現像ローラ9とを接触させる接触位置と、感光ドラム8と現像ローラ9とを離間させる離間位置とに移動可能な軸受部材30とを備えるプロセスカートリッジにおいて、感光ドラム8を被覆するドラムカバー81を設け、そのドラムカバー81で、感光ドラム8を被覆するときに軸受部材30を離間位置に配置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタに備えられるプロセスカートリッジとして、現像剤像を担持する感光体と、感光体に現像剤を供給する現像ローラとを備えるプロセスカートリッジが知られている。
【0003】
たとえば、感光体ドラムを有するプロセスケースと、現像ローラを有し、プロセスケースに着脱可能な現像ユニットとを備えるプロセスカートリッジが提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
このプロセスカートリッジでは、現像ユニットは、常には、現像ローラが感光体ドラムに対して圧接されるように、感光体ドラムに向かって付勢されている。
【0005】
そして、このプロセスカートリッジでは、レーザープリンタの本体部に装着されていないときに、感光体ドラムを覆うようにカバーが装着される。カバーには、現像ローラと感光体ドラムとを離間させる離間部材が一体的に備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−79128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、上記したプロセスカートリッジでは、ユーザは、現像ローラと感光体ドラムとを離間させるために、離間部材を現像ローラと感光体ドラムとの間に配置した後、カバーを、感光ドラムを覆うように装着する必要があり、カバーの装着が煩雑である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡単に、現像ローラと感光体とを離間させた状態で、被覆部材を装着することができるプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記した目的を達成するために、本発明のプロセスカートリッジは、感光体を有する感光体ユニットと、感光体ユニットに対して着脱可能な現像ユニットであって、現像ローラを有する現像ユニットとを備える。
【0010】
また、本発明のプロセスカートリッジは、現像ユニットが感光体ユニットに装着された状態において、感光体と現像ローラとを接触させる接触位置と、感光体と現像ローラとを離間させる離間位置とに移動するように構成された移動部材と、感光体を被覆する被覆部材であって、感光体を被覆するときに移動部材を離間位置に配置させる被覆部材とを備える。
【0011】
このような構成によれば、被覆部材で移動部材を離間位置に配置させることにより、感光体と現像ローラとを離間させることができる。
【0012】
そのため、簡単に、現像ローラと感光体とを離間させた状態で、被覆部材を装着することができる。
(2)また、移動部材は、現像ローラの長手方向における現像ユニットの端部に対して、感光体に対する現像ローラの離間方向上流側から対向配置されてもよい。
【0013】
また、被覆部材は、その長手方向端部において、移動部材に干渉する干渉部を備えていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、被覆部材を、現像ローラの離間方向上流側に対向配置される移動部材に干渉可能な大きさで構成することができる。
【0015】
そのため、少なくとも、感光体に対する現像ローラの接離方向において、被覆部材の小型化を図ることができる。
(3)また、移動部材は、長手方向における現像ユニットの両端部のそれぞれに対向配置されてもよい。この場合、干渉部は、長手方向における被覆部材の両端部のそれぞれに設けられていてもよい。
【0016】
このような構成によれば、被覆部材により、現像ユニットを、長手方向に安定して、感光体から離間させることができる。
(4)また、移動部材は、感光体ユニットに設けられていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、簡易な構成で、移動部材を現像ユニットに対して作用させることができる。
(5)また、移動部材は、接触位置と離間位置とに回動可能であってもよい。
【0018】
このような構成によれば、移動部材を、接触位置と離間位置との間でコンパクトに移動させることができる。
(6)また、被覆部材は、感光体を被覆するときに、移動部材に当接して移動部材を離間位置へ移動させる当接部と、移動部材が離間位置に配置された後に、移動部材を離間位置に保持する保持部とを備えてもよい。
【0019】
このような構成によれば、被覆部材で感光体を被覆する動作で、当接部によって移動部材を離間位置へ移動させ、移動部材が離間位置に配置された後に、保持部によって移動部材を離間位置に保持することができる。
(7)また、被覆部材は、弾性を有する樹脂から形成されていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、被覆部材の弾性を利用して、被覆部材を撓ませながら、容易に感光体を被覆することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプロセスカートリッジによれば、簡単に、現像ローラと感光体とを離間させた状態で、被覆部材を装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のプロセスカートリッジが装着されたプリンタの中央断面図を示す。
【図2】図2は、図1に示すプロセスカートリッジの左後側から見た斜視図である。
【図3】図3は、図2に示すプロセスカートリッジの要部拡大図である。
【図4】図4は、図2に示す感光ドラムを保護するドラムカバーを示し、(a)は、ドラムカバーを左後側から見た斜視図であり、(b)は、ドラムカバーを右前側から見た斜視図である。
【図5】図5は、プロセスカートリッジに対するドラムカバーの装着動作を説明する説明図であって、軸受部材が接触位置に配置されている状態において、ドラムカバーの第1係止部を、軸受部材の第1被係止部に係止した状態を示す。
【図6】図6は、図5に続いてプロセスカートリッジに対するドラムカバーの装着動作を説明する説明図であって、ドラムカバーを下側へ移動させて、軸受部材を離間位置に配置させた状態を示す。
【図7】図7は、図6に続いてプロセスカートリッジに対するドラムカバーの装着動作を説明する説明図であって、ドラムカバーの第2係止部を、ドラムカートリッジの第2被係止部に当接させた状態を示す。
【図8】図8は、図7に続いてプロセスカートリッジに対するドラムカバーの装着動作を説明する説明図であって、ドラムカバーのプロセスカートリッジに対する装着が完了した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.プリンタの全体構成
図1に示すように、プリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラープリンタである。
【0024】
なお、以下の説明において、方向について言及する場合には、プリンタ1を水平に載置した状態を基準として、図1における紙面右側を前側とし、図1における紙面左側を後側とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が左側であり、紙面奥側が右側である。
【0025】
プリンタ1は、略ボックス形状の本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の上端部には、本体開口部3を開閉するトップカバー4が、その後端部を支点として揺動可能に設けられている。プリンタ1は、複数(4つ)のプロセスカートリッジ5を備えている。
【0026】
すべてのプロセスカートリッジ5は、本体ケーシング2内に着脱可能に設けられている。また、複数のプロセスカートリッジ5のそれぞれは、複数(4つ)の色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のうちの1つに対応し、前側から後側へ向かって、ブラックプロセスカートリッジ5K、イエロープロセスカートリッジ5Y、マゼンタプロセスカートリッジ5M、シアンプロセスカートリッジ5Cの順に、互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0027】
また、複数のプロセスカートリッジ5のそれぞれは、感光体ユニットの一例としてのドラムカートリッジ6と、ドラムカートリッジ6に着脱可能に装着される現像ユニットの一例としての現像カートリッジ7とを備えている。
【0028】
ドラムカートリッジ6は、感光体の一例としての感光ドラム8を備えている。
【0029】
感光ドラム8は、左右方向に長手の円筒形状に形成されており、ドラムカートリッジ6に回転可能に設けられている。
【0030】
現像カートリッジ7は、現像ローラ9を備えている。
【0031】
現像ローラ9は、左右方向(長手方向)に延び、現像カートリッジ7の後端部において後側から露出されるように設けられ、感光ドラム8に対して前上側から接触されている。
【0032】
また、現像カートリッジ7は、現像ローラ9にトナーを供給する供給ローラ10、現像ローラ9に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレード11を備え、それらの上側には、トナーが収容されている。
【0033】
現像カートリッジ7内のトナーは、供給ローラ10と現像ローラ9との間で正極性に摩擦帯電され、層厚規制ブレード11により、一定厚さの薄層として現像ローラ9の表面に担持される。
【0034】
一方、感光ドラム8の表面には、感光ドラム8の後上側に対向配置されるスコロトロン型帯電器12によって一様に帯電された後、感光ドラム8の上側に対向配置されるLEDユニット13によって所定の画像データに基づいて露光されることにより、画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ9に担持されるトナーが感光ドラム8の表面上の静電潜像に供給されることにより、感光ドラム8の表面上にトナー像(現像剤像)が担持される。
【0035】
用紙Pは、本体ケーシング2の底部に設けられる給紙トレイ14内に収容されており、ピックアップローラ15、給紙ローラ16、および、1対のレジストローラ17によって、後上側へUターンするように搬送されて、所定のタイミングで1枚ずつ、感光ドラム8と搬送ベルト18との間に給紙される。そして、搬送ベルト18によって、感光ドラム8と転写ローラ19との間を前側から後側に向かって搬送される。このとき、用紙Pに、すべての色のトナー像が順次転写され、カラー画像が形成される。
【0036】
そして、用紙Pは、加熱ローラ20と加圧ローラ21との間を通過するときに加熱および加圧される。このとき、用紙Pには、カラー画像が熱定着される。
【0037】
その後、用紙Pは、前上側へUターンするように搬送されて、トップカバー4に設けられる排紙トレイ22に排紙される。
2.プロセスカートリッジ
以下、プロセスカートリッジ5の説明において、方向について言及するときには、プロセスカートリッジ5を、ドラムカートリッジ6の下壁34が下側となるように水平面に載置した状態(図2参照)を基準とし、感光ドラム8が配置されている側をプロセスカートリッジ5の後側とする。
(1)ドラムカートリッジ
図2に示すように、ドラムカートリッジ6は、ドラムフレーム31と、押圧部材42と、左右1対の移動部材の一例としての軸受部材30とを備えている。
(1−1)ドラムフレーム
ドラムフレーム31は、平面視略矩形の有底枠形状に形成されている。詳しくは、ドラムフレーム31は、左右1対の側壁32、両側壁32の前端部間に架設される前壁33、両側壁32の下端部間に架設される下壁34、および、両側壁32の後端部の上端部間に架設される上壁35を備えている。
【0038】
両側壁32は、前後方向に延びる側面視略矩形状に形成されている。また、両側壁32の後端部には、軸受部材30が嵌合される嵌合穴36と、ドラムカバー81(後述)の第2係止部84(後述)が係止されるフレーム側被係止部40とが形成されている。
【0039】
嵌合穴36は、側壁32を左右方向に貫通するように、側面視略円形状に形成されている。嵌合穴36の内径は、軸受部材30の軸受部37(後述)の外径とほぼ同径(わずかに大径)に形成されている。
【0040】
フレーム側被係止部40は、嵌合穴36の前下側において、側壁32の左右方向外面から左右方向外側へ延びる略角柱形状に形成されている。詳しくは、フレーム側被係止部40は、傾斜面44と係止面45とを備えている。
【0041】
傾斜面44は、フレーム側被係止部40の下面であって、前後方向に延びている。なお、傾斜面44は、感光ドラム8の中心軸線を基準に、左側面視反時計回り方向に向かうに従って、感光ドラム8の径方向外側へ向かうように傾斜されている。
【0042】
係止面45は、フレーム側被係止部40の前上側面であって、感光ドラム8の径方向に延びている。
【0043】
前壁33は、左右方向に延びる略平板形状に形成されている。
【0044】
下壁34は、前壁33の下端部に連続して、前後左右に延びる略平板形状に形成されている。
【0045】
上壁35は、左右方向に延びる略平板形状に形成され、感光ドラム8を上側から被覆するように設けられている。また、上壁35には、スコロトロン型帯電器12が支持されている。
【0046】
また、ドラムフレーム31において、下壁34の前側半分と、その下壁34の前側半分に対応する両側壁32および前壁33と、上壁35の前端縁とによって、現像カートリッジ7を装着するための現像カートリッジ装着部39が区画されている。
(1−2)押圧部材
図5に示すように、ドラムフレーム31の前壁33には、現像カートリッジ7の前壁55(後述)に前側から当接されるように、押圧部材42が設けられている。
【0047】
押圧部材42は、前後方向に延びる角柱形状に形成されている。押圧部材42は、ドラムフレーム31の前壁33に、前後方向にスライド可能に支持されている。
【0048】
そして、押圧部材42の前端部と、ドラムフレーム31の前壁33のとの間には、押圧部材42のスライド方向に沿って圧縮可能な圧縮コイルばね43が介在されている。
【0049】
これにより、押圧部材42は、常には、後側へ向かって付勢されており、現像カートリッジ7を、感光ドラム8へ向かって後側へ付勢している。
(1−3)軸受部材
両軸受部材30のそれぞれは、図3および図5に示すように、感光ドラム8の左右方向端部を軸受する軸受部37と、ドラムカバー81(後述)の第1係止部83(後述)が係止される軸受側被係止部41と、現像カートリッジ7を押圧する押圧部38とを一体的に備えている。
【0050】
軸受部37は、左右方向に延びる略円筒形状に形成されている。軸受部37の内径は、感光ドラム8の左右方向端部の外径とほぼ同径(わずかに大径)に形成されている。
【0051】
軸受側被係止部41は、軸受部37の後上側端部から後上側へ向かって延び、その後上側端部において前上側へ屈曲される側面視略鉤形状に形成されている。
【0052】
押圧部38は、軸受部37の前端部から前側へ突出し、左右方向に厚みを有する略平板形状に形成されている。また、押圧部38の前端部は、前側へ向かうに従って下側へ湾曲されている。
【0053】
そして、両軸受部材30のそれぞれは、その軸受部37において、感光ドラム8の左右方向両端部のそれぞれに対して、感光ドラム8の径方向外側から相対回転可能に嵌合されるとともに、ドラムフレーム31の両側壁32のそれぞれの嵌合穴36に相対回転可能に内嵌されている。
【0054】
これにより、軸受部材30は、押圧部38の先端(前端部)が現像カートリッジ7の離間係合部66の後下側に対向配置される接触位置(図5参照)と、押圧部38の先端(前端部)が現像カートリッジ7の離間係合部66を前側へ押圧する離間位置(図6参照)とに、感光ドラム8の中心軸線を中心として回動可能に構成されている。
(2)現像カートリッジ
現像カートリッジ7は、図2に示すように、カートリッジフレーム51と、カートリッジフレーム51の左側に配置される駆動ユニット52と、カートリッジフレーム51の右側に配置される検知ユニット53とを備えている。
(2−1)カートリッジフレーム
カートリッジフレーム51は、左右方向に延びる略ボックス形状に形成されている。カートリッジフレーム51は、左右1対の側壁54と、前壁55(図1参照)と、下壁56(図1参照)と、上壁57とを一体的に備えている。なお、以下の説明において、左側の側壁54を左壁54Lとし、右側の側壁54を右壁54Rとする。
【0055】
両側壁54は、上下前後に延びる側面視略矩形状に形成され、互いに左右方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0056】
前壁55は、左右方向に延び、両側壁54の前端部間に架設されている。
【0057】
下壁56は、左右方向に延び、前壁55の下端部に連続するように、両側壁54の下端部間に架設されている。
【0058】
上壁57は、両側壁54の前側部分および前壁55の上端部に連結され、平面視略矩形の平板形状に形成されている。上壁57の後端部には、層厚規制ブレード11が、現像ローラ9に上側から接触されるように配置されている。
(2−2)駆動ユニット
駆動ユニット52は、現像カップリング61および駆動側ギヤカバー62を備えている。
【0059】
現像カップリング61は、左右方向に延びる略円柱形状に形成され、左壁54Lに回転可能に支持されている。現像カップリング61の左側面には、結合凹部63が形成されている。
【0060】
結合凹部63は、現像カップリング61の左面から右側へ凹むように、現像カップリング61の径方向に延び、その径方向中央が幅狭な側面視略長穴形状に形成されている。結合凹部63には、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された状態で、本体ケーシング2内に備えられる本体カップリング(図示せず)の先端が相対回転不能に挿入され、本体カップリング(図示せず)を介して、本体ケーシング2から回転駆動力が入力される。現像カップリング61に入力された回転駆動力は、図示しないギヤ列を介して、現像ローラ9および供給ローラ10に伝達される。
【0061】
駆動側ギヤカバー62は、左右方向に延び、左端部が閉鎖された略角筒形状に形成されている。
【0062】
駆動側ギヤカバー62は、カップリングカラー65と、離間係合部66とを備えている。
【0063】
カップリングカラー65は、駆動側ギヤカバー62の前後方向略中央の左壁から左側へ突出する略円筒形状に形成されている。なお、カップリングカラー65の右端部は、駆動側ギヤカバー62内に連通されている。
【0064】
離間係合部66は、カップリングカラー65の後端部から後側へ向かって突出し、左右方向に延びる突条として形成されている。離間係合部66の後面は、上下方向に延びている。
【0065】
そして、駆動側ギヤカバー62は、カップリングカラー65内に現像カップリング61の左端部が嵌合されるように、左壁54Lにねじ止めされている。なお、結合凹部63は、カップリングカラー65の左端部から露出されている。
(2−3)検知ユニット
検知ユニット53は、検知側ギヤカバー72を備えている。
【0066】
検知側ギヤカバー72は、左右方向に延び、右端部が閉鎖された略角筒形状に形成されている。なお、検知側ギヤカバー72の後端部には、駆動側ギヤカバー62の離間係合部66と同じ形状の離間係合部(図示せず)が設けられている。また、検知側ギヤカバー72は、新品検知ギヤ(図示せず)を部分的に露出しながら収容し、右壁54Rにねじ止めされている。
【0067】
なお、新品検知ギヤ(図示せず)は、現像カートリッジ7が新品(未使用)の状態で本体ケーシング2に装着された後、現像カップリング61から図示しないギヤ列を介して伝達される回転駆動力により、所定の駆動量で回転される。このとき、新品検知ギヤ(図示せず)の回転は、検知側ギヤカバー72から露出されている部分において、本体ケーシング2の検知手段(図示せず)に検知される。すると、その検知に基づいて、本体ケーシング2において、現像カートリッジ7の新旧および仕様に関する情報が判断される。
3.感光ドラムの保護
(1)ドラムカバー
ドラムフレーム31の後端部には、感光ドラム8を被覆して保護するために、被覆部材の一例としてのドラムカバー81が装着される(図8参照)。
【0068】
以下、ドラムカバー81の説明において、方向について言及する場合には、ドラムカバー81がドラムフレーム31に装着された状態(図8参照)を基準とする。
【0069】
ドラムカバー81は、樹脂からなり、図4に示すように、被覆部82と、鍔部80とを一体的に備えている。
【0070】
被覆部82は、左右方向に延び、感光ドラム8の周面に沿うように湾曲された湾曲板形状に形成されている。被覆部82は、プロセスカートリッジ5に装着されたときに感光ドラム8を後下側からほぼ完全に被覆するように、形成されている。
【0071】
鍔部80は、被覆部82の左右方向両端部から、前上側へ突出する略平板形状に形成されている。また、鍔部80は、干渉部および当接部の一例としての第1係止部83と、保持部の一例としての第2係止部84とを備えている。
【0072】
第1係止部83は、鍔部80の上端部から前側へ向かって延び、その前端部において下側へ屈曲される側面視略鉤形状に形成されている。
【0073】
第2係止部84は、鍔部80の下端部から前上側へ向かって延びる略平板形状に形成されている。なお、第2係止部84は、後上側と前下側とを結ぶ方向に厚みを有するとともに、左右方向に幅を有している。これにより、第2係止部84は、後上側と前下側とを結ぶ方向に弾性変形可能である。また、第2係止部84の前上側端部には、後上側へ突出する爪部85が設けられている。
【0074】
爪部85は、後上側へ向かう頂部を有する側面視略直角三角形状に形成されている。詳しくは、爪部85は、傾斜面86と、係止面87とを備えている。
【0075】
傾斜面86は、第2係止部84の前上側端縁から連続して、後側へ延びている。つまり、傾斜面86は、第2係止部84が延びる方向(後下側から前上側へ向かう方向)の上流側(後下側)へ向かうに従って後上側へ傾斜している。
【0076】
係止面87は、傾斜面86の後端縁から連続して、前下側へ延びている。つまり、係止面87は、第2係止部84が延びる方向と直交する方向に延びている。
(2)ドラムカバーの装着
次いで、図5〜図8を参照して、プロセスカートリッジ5へのドラムカバー81の装着について説明する。なお、ドラムカバー81が装着されていない状態(図2参照)では、軸受部材30は、接触位置(図5参照)に配置されており、現像ローラ9は、感光ドラム8に対して前側から圧接されている。
【0077】
ドラムカバー81をプロセスカートリッジ5に装着するには、図5に示すように、まず、軸受部材30の軸受側被係止部41に、ドラムカバー81の第1係止部83を上側から係止する。
【0078】
次いで、ドラムカバー81をプロセスカートリッジ5に装着するには、図6に示すように、ドラムカバー81を下側へ移動させて、軸受部材30を左側面視反時計回りに回動させる。
【0079】
すると、軸受部材30の押圧部38の前端部が、現像カートリッジ7の離間係合部66の後端部に下側から当接する。
【0080】
そして、軸受部材30がさらに左側面視反時計回りに回動されると、現像カートリッジ7の離間係合部66は、押圧部38の前端縁を摺動するように、前側へ押圧される。
【0081】
すると、現像カートリッジ7は、押圧部材42からの付勢力に抗して、感光ドラム8から離間するように、前側へ移動される。これにより、現像ローラ9が感光ドラム8から離間される。
【0082】
次いで、ドラムカバー81をプロセスカートリッジ5に装着するには、図7に示すように、軸受部材30を離間位置に配置させた状態で、ドラムカバー81を、第1係止部83を支点として、左側面視反時計回りに回動させる。
【0083】
すると、ドラムカバー81の第2係止部84の爪部85が、ドラムフレーム31のフレーム側被係止部40に後下側から当接される。
【0084】
そして、ドラムカバー81を左側面視反時計回りにさらに回動させると、第2係止部84が、爪部85の傾斜面86においてフレーム側被係止部40の傾斜面44上を摺動するように前側へ撓み、フレーム側被係止部40を乗り越える。
【0085】
そして、第2係止部84は、フレーム側被係止部40を乗り越えると、その弾性によって復元する。
【0086】
すると、図8に示すように、第2係止部84の係止面87と、フレーム側被係止部40の係止面45とが対向されて、第2係止部84がフレーム側被係止部40に対して係止される。
【0087】
これにより、軸受部材30は、離間位置に配置された状態で、ドラムカバー81を介して、ドラムフレーム31に対して位置固定される。また、感光ドラム8は、ドラムカバー81の被覆部82によって、後側および下側から被覆される。
【0088】
これにより、ドラムカバー81のプロセスカートリッジ5に対する装着が完了する。
4.作用効果
(1)このプロセスカートリッジ5によれば、図8に示すように、ドラムカバー81で軸受部材30を離間位置に配置させることにより、感光ドラム8と現像ローラ9とを離間させることができる。
【0089】
そのため、簡単に、現像ローラ9と感光ドラム8とを離間させた状態で、ドラムカバー81を装着することができる。
(2)また、このプロセスカートリッジ5によれば、図4および図8に示すように、ドラムカバー81を、現像カートリッジ7に後側(離間方向上流側)から対向配置される軸受部材30に干渉可能な大きさで構成することができる。
【0090】
そのため、少なくとも、前後方向において、ドラムカバー81の小型化を図ることができる。
(3)また、このプロセスカートリッジ5によれば、図4および図8に示すように、軸受部材30は、現像カートリッジ7の左右方向両端部のそれぞれに対向配置されており、第1係止部83は、ドラムカバー81の左右方向両端部のそれぞれに設けられている。
【0091】
そのため、ドラムカバー81により、現像カートリッジ7を、左右方向に安定して、感光ドラム8から離間させることができる。
(4)また、このプロセスカートリッジ5によれば、図2に示すように、軸受部材30は、ドラムカートリッジ6に設けられている。
【0092】
そのため、簡易な構成で、軸受部材30を現像カートリッジ7に対して作用させることができる。
(5)また、このプロセスカートリッジ5によれば、図5および図6に示すように、軸受部材30は、接触位置(図5参照)と離間位置(図6参照)とに回動可能であってもよい。
【0093】
そのため、軸受部材30を、接触位置と離間位置との間でコンパクトに移動させることができる。
(6)また、このプロセスカートリッジ5によれば、図8に示すように、ドラムカバー81で感光ドラム8を被覆する動作で、第1係止部83によって軸受部材30を離間位置へ回動させ、軸受部材30が離間位置に配置された後に、第2係止部84によって軸受部材30を離間位置に保持することができる。
(7)また、このプロセスカートリッジ5によれば、ドラムカバー81は、弾性を有する樹脂から形成されている。
【0094】
そのため、ドラムカバー81(具体的には、第2係止部84)の弾性を利用して、ドラムカバー81を撓ませながら、容易に感光ドラム8を被覆することができる。
【符号の説明】
【0095】
5 プロセスカートリッジ
6 ドラムカートリッジ
7 現像カートリッジ
8 感光ドラム
9 現像ローラ
30 軸受部材
81 ドラムカバー
83 第1係止部
84 第2係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を有する感光体ユニットと、
前記感光体ユニットに対して着脱可能な現像ユニットであって、現像ローラを有する現像ユニットと、
前記現像ユニットが前記感光体ユニットに装着された状態において、前記感光体と前記現像ローラとを接触させる接触位置と、前記感光体と前記現像ローラとを離間させる離間位置とに移動するように構成された移動部材と、
前記感光体を被覆する被覆部材であって、前記感光体を被覆するときに前記移動部材を前記離間位置に配置させる被覆部材と、
を備えるプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記移動部材は、前記現像ローラの長手方向における前記現像ユニットの端部に対して、前記感光体に対する前記現像ローラの離間方向上流側から対向配置され、
前記被覆部材は、その前記長手方向端部において、前記移動部材に干渉する干渉部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記移動部材は、前記長手方向における前記現像ユニットの両端部のそれぞれに対向配置され、
前記干渉部は、前記長手方向における前記被覆部材の両端部のそれぞれに設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記移動部材は、前記感光体ユニットに設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記移動部材は、前記接触位置と前記離間位置とに回動可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記被覆部材は、
前記感光体を被覆するときに、前記移動部材に当接して前記移動部材を前記離間位置へ移動させる当接部と、
前記移動部材が前記離間位置に配置された後に、前記移動部材を前記離間位置に保持する保持部と
を備えることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記被覆部材は、弾性を有する樹脂から形成されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114108(P2013−114108A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261253(P2011−261253)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】