説明

プロービング冶工具および高電圧検査装置

【課題】LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長を制御して、コンタクトプローブ間の放電をより確実に回避することができる高電圧検査装置を提供する。
【解決手段】先端が突出したコンタクトプローブ2,3と、コンタクトプローブ2に導通して一方放電球4aが配設された放電ギャップの他方放電球4bがコンタクトプローブ3に導通するように配設された除電用プローブ5と、ウェハを搭載するウェハステージを動作させて、コンタクトプローブ2,3をウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動したコンタクトプローブ3の移動により、オーバドライブ動作の変位量を放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSIチップ検査におけるプロービング冶工具および、このプロービング冶工具を用いて高電圧印加検査を行う高電圧検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロービング冶工具としては、デバイスの端子に対して接続するコンタクトプローブを基板に固定搭載したプローブカードや、このコンタクトプローブをアームに固定したマニピュレータなどを示している。この従来のプロービング冶工具を用いて行う供給電圧の大きさは、信頼性検査で代表的なESD試験(静電放電信頼性試験)などを対象としており、およそ1〜10KVレベルの高電圧を対象としている。コンタクトプローブ間の距離が1mmに対して印加できる高電圧は1KV程度である。要するに、この高電圧検査は、人体や機械からの静電気がLSIチップに流れた場合の耐久性について試験するものである。
【0003】
図8は、従来のプロービング冶工具を用いて高電圧検査を行う場合のプローブ保護シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【0004】
まず、図8に示すように、ステップS11でデバイスの端子にコンタクトプローブを接続するデバイスコンタクトを行うチップコンタクト工程を実施する。
【0005】
次に、ステップS12でチップ有無を確認するため電気的検査を実施する。つまり、コンタクトプローブから端子を通してチップ回路の通電確認を行う。各コンタクトプローブで例えばLEDの2端子を接触させれば、チップ回路を介してLEDが点灯するなどデバイスが動作することにより、各コンタクトプローブがLEDの2端子などデバイスの端子に接触したかどうかが簡単に確認できる。この場合、コンタクト試験を実施するための電気計測器が必要である。ステップS12でデバイスがない場合、例えばLEDが点灯しないなどデバイスが動作しない場合に、「デバイスなし」として検査を終了する。また、ステップS12で、デバイスがある場合、例えばLEDが点灯するなどデバイスが何らかの動作をした場合に、「デバイスあり」として、次のステップS13の処理に移行する。
【0006】
続いて、ステップS13では、各コンタクトプローブ介してデバイスの各端子に高電圧を印加する試験を行う。この試験実施において、規定の高電圧がかかる試験ではそのまま試験を実施する。試験中に、雷サージなど、規定以上の高電圧がかかった場合、電気的に保護素子による電流バイパス機能が働き、デバイスや試験回路の破壊を防止することができる。
【0007】
このように、高電圧を用いたLSIチップ検査では、デバイスの複数の端子に、コンタクトプローブを介して高電圧や大電流を印加する検査を実施しているが、このとき、コンタクトプローブがデバイスの端子に接触しない状態で、ある閾値を超えた高電圧がコンタクトプローブに印加されてしまうと、電圧差のあるコンタクトプローブ間において、光や熱を放射する放電現象が確認できる。コンタクトプローブ間で放電が起こった場合、気中放電による発熱がプローブ先端で起こるため、プローブ先端径が微細な場合には、この放電熱によってプローブ先端が溶断したり熔解して変形したりプローブ先端部分が酸化によって変色したり、電気的なプローブによる接触自体が困難となったり、コンタクトプローブとの接触抵抗の変化により正しい測定や検査が継続できなくなる。
【0008】
上記放電閾値は、印加電圧やコンタクトプローブ間の距離、温度・湿度などによって変化する。現行技術として、コンタクトプローブやデバイスの保護を目的とした対策は、以下の(1)および(2)ように大別される。
【0009】
即ち、(1)試験回路内に電気的に動作する保護素子を組み込む手段と、(2)機械的な構造による放電ギャップ回路を付加した保護手段である。(1)の保護素子は自己整流素子による電流バイパス回路を示しており、サイリスタ・GTO(保護素子)・IGBT(保護素子)などが代表的である。このように、コンタクトプローブやデバイスの保護対策として、保護素子を用いた電気的手段と放電ギャップに関する機械的手段の2種類がある。この保護素子については特許文献1、2に開示されている。また、放電ギャップ回路については特許文献3に開示されている。
【0010】
図9は、特許文献1に開示されている従来の電気負荷駆動回路の回路図である。
【0011】
図9において、従来の電気負荷駆動回路100は、電流容量を大きくすることなく、出力MOSトランジスタ101を静電気から保護する保護用素子が開示されている。この保護用素子として、出力MOSトランジスタ101のドレイン・ソース間にツェナーダイオードZD1が設けられ、出力MOSトランジスタ101のゲート・グランド間にダイオードD1が逆方方向に設けられている。なお、103は直流電源、R0は抵抗、SWはスイッチ、TDは電源端子、TCはコントロール端子、TBは電源端子、TLは電気負荷102が接続される負荷端子である。
【0012】
上記構成により、電気負荷102側から正の静電気が印加されると、ツェナーダイオードZD1および出力MOSトランジスタ101の寄生ダイオードD0に順方向に電流が流れて静電気が吸収される。また、負の静電気が印加された際には、ツェナーダイオードZD1に降伏電流が流れて、ドレイン−ソース間が所定電圧にクランプされ、その後、ダイオードD1の動作によって出力MOSトランジスタ101がオンする。よって、保護用素子としてのツェナーダイオードZD1およびダイオードD1の電流容量(素子面積)を大きくすることなく、出力MOSトランジスタ101を静電気から確実に保護することができる。
【0013】
図10は、特許文献2に開示されている従来の静電保護素子付き高周波集積回路における静電保護素子の回路図である。
【0014】
図10において、従来の静電保護素子付き高周波集積回路200は、入出力端子を有する高周波回路201と、化合物半導体基板上に形成され、入出力端子の一方の端子が高周波回路201の入出力端子に接続され、他方の端子が第1の基準電位に接続され、ゲートが抵抗202を介して第2の基準電位に接続されたエンハンスメントタイプ電界効果トランジスタ203とを有している。入出力端子204からノイズや高圧パルスが印加されたときに、電界効果トランジスタ203を低インピーダンス化しESD保護を行うようにしている。
【0015】
図11は、特許文献3に開示されている従来の半導体装置の試験装置の構成図である。
【0016】
図11において、従来の半導体装置の試験装置300は、IC301を載せて固定する絶縁体302と、静電気放電電荷を発生させるための高電圧源303、コンデンサ304および抵抗305と、金属片306と放電電極307からなっている隙間長が可変な放電ギャップ308と、放電ギャップ308の前段として設けられ、隙間長が固定された放電ギャップ309と、放電回路に挿入される放電抵抗310と、静電気放電電荷を放電回路側に導くスイッチ311とを含んで構成される。IC301の被試験端子312に高電圧を印加する際に、被試験端子312に試験端子313を接続し、スイッチ311を実線側に切り換えてコンデンサ304に電気を貯めた後に、スイッチ311を破線側に切り換えて、放電ギャップ308にコロナ放電または火花放電を発生させて、立ち上がりの早い急激な通電が行われる。これによって、実際の静電気放電現象に近い状態が再現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−160748号公報
【特許文献2】特開2006−114618号公報
【特許文献3】特開平6−51018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1、2に開示されている従来の保護素子を用いた電気的手段では、一般的に、10ns以下のオーダで高速に動作する製品が多数あるものの、多数のデバイスを検査する場合、この電気的な装置機能としての保護素子自体の耐久性を考慮する必要があった。
【0019】
特許文献3に開示されている従来の放電ギャップに関する機械的手段のように、印加される過剰電圧を想定してギャップ長を調整できる手法は多いものの、ギャップ長は事前に設計製作するものであって、リアルタイムに放電ギャップ長を可変する手段は、処理時間の制約上、実現できない。
【0020】
その他の従来構成において、例えばデバイスの端子に対するコンタクトプローブのコンタクト状態を電気的に検査し、デバイスの有無により、高電圧の通電を制御する方法があるが、当然のことながら、端子に対するコンタクトプローブのコンタクト状態を電気的に検出する電気的な装置機能が必要になる。
【0021】
また、複数のデバイスを同時に検査する場合には、ウェハの外周部分の検査時において、ウェハ外周エッジをはみ出すコンタクト領域に対しては、プローバ機能により通電しない制御ができるものの、このような電気的な計測装置や複雑なプロービング制御が必要となるため、電気的な装置機能や装置価格が増大する。
【0022】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、上記のような従来の電気的な装置機能を用いることなく、LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長を制御することにより、コンタクトプローブ間の放電を確実に回避することができるプロービング冶工具および、このプロービング冶工具を用いて高電圧検査を行う高電圧検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明のプロービング冶工具は、先端が突出した第1コンタクトプローブと、先端が突出した第2コンタクトプローブと、該第1コンタクトプローブに導通して一方放電ギャップ端が配設された放電ギャップの他方放電ギャップ端が該第2コンタクトプローブに導通するように配設された除電用プローブと、ウェハを搭載するウェハステージを動作させて、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブを該ウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動した該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかの移動により、該オーバドライブ動作の変位量を該放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構とを有したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0024】
また、好ましくは、本発明のプロービング冶工具における放電ギャップ長変換機構は、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか一方に各一端がそれぞれ回動自在に軸支されて横方向に配置された2本の第1プローブ支持アームと、該2本の第1プローブ支持アームの各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ回動自在に軸支され、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかに対向する縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを有すると共に、該除電用プローブが先端に取り付けられ、根元側が該第2プローブ支持アームに回動自在に取り付けられて、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかおよび上側の該第1プローブ支持アームの動作が角度に変換されて該除電用プローブを上下動させて前記放電ギャップ長を制御するクレーンアームを有する。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具における放電ギャップ長変換機構は、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか一方に一端が回動自在に軸支されて横方向に配置された第1プローブ支持アームと、該第1プローブ支持アームの他端が回動自在に軸支された縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを有すると共に、該除電用プローブが先端に取り付けられ、根元側が該第2プローブ支持アームに回動自在に取り付けられて、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかおよび該第1プローブ支持アームの動作が角度に変換されて該除電用プローブを上下動させて前記放電ギャップ長を制御するクレーンアームを有する。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具におけるクレーンアームの下端根元部は、前記固定の第2プローブ支持アームに回転自在に軸支され、該クレーンアームと前記上側の第1プローブ支持アームとが係合して該クレーンアームが該上側の第1プローブ支持アームにスライド自在に構成されている。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのうちの高電圧用のコンタクトプローブは、前記端子へのコンタクト機能と放電ギャップ端を兼ねている。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのうちのグランド用のコンタクトプローブは、前記第1プローブ支持アームに軸支され、前記除電用プローブは、該第1プローブ支持アームにスライド自在に取り付けられ、かつ前記第2プローブ支持アームに軸支された前記クレーンアームに取り付けられている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具におけるオーバドライブ動作の変位量は、前記ウェハの厚さよりも小さく、適正な放電ギャップ長が確保できる変位量である。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブは前記ウエハの各端子に対して垂直に接触するように構成されている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか他方に各一端がそれぞれ回動自在に軸支されて横方向に配置された2本の第1プローブ支持アームと、該2本の第1プローブ支持アームの各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ回動自在に軸支され、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかに対向する縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを有する。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか他方に一端が回動自在に軸支されて横方向に配置された第1プローブ支持アームと、該第1プローブ支持アームの他端が回動自在に軸支された縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを更に有する。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか他方が軸支されている第1プローブ支持アームに所定以上の回動を阻止するストッパー部材が設けられ、前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端は互いの当接により、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれか一方が軸支されている第1プローブ支持アームおよび前記クレーンアームを支持している。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具における放電ギャップ長は、前記ウェハステージのオーバドライブ量に応じて調整可能とする。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれかと、前記2本の第1プローブ支持アームと、前記固定の第2プローブ支持アームとにより、可動の平行4辺形が構成されている。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具におけるクレーンアームは、前記固定の第2プローブ支持アームと軸支された支点を上下方向に変更することにより初期角度と前記ウエハステージのオーバドライブ動作量に対する角度変化率を調整可能としている。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具におけるクレーンアームは、アーム長を変更することにより前記放電ギャップ長を調整可能とする。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具における除電用プローブは、前記ウエハ上のデバイスを移動するコンタクトOFF期間に、前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端とが当接して、試験回路の残留電荷を除電するスイッチング機能を有する。
【0039】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具における除電用プローブは、前記クレーンアームの先端に一端が取り付けられ、前記他方放電ギャップ端が設けられた他端が前記一方放電ギャップ端に対してその真上に位置するように下方に折り曲げられている。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端の形状のいづれか一方が平面形状であり、他方が球面形状である。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端の形状は共に球面形状である。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブ、前記第2コンタクトプローブ、前記除電用プローブおよび前記放電ギャップ長変換機構の上方を覆うシールドボックスを更に有し、該シールドボックスは、高電圧印加による電磁放射ノイズを電磁遮蔽するように導電性の金属で形成されてGND接続されている。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブと、前記第2コンタクトプローブと、前記除電用プローブと、前記放電ギャップ長変換機構との組を複数設けて、各組がデバイスの有無により同時または独立に動作可能とする。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1プローブ支持アームと、前記第2プローブ支持アームと、前記クレーンアームとで囲まれた形状が三角形状であり、該第1プローブ支持アームと該第2プローブ支持アームの各端部が回動自在に軸支されて第1支点とされ、該第2プローブ支持アームと該クレーンアームの下端部が回動自在に軸支されて第2支点とされ、該クレーンアームと該第1プローブ支持アームとがスライド自在に係合されて、該第1支点を中心とした該第1プローブ支持アームの回動動作に応じて、該第2支点を中心とした該クレーンアームの回動動作が該第1プローブ支持アームと係合してスライドすることにより行われる。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具において、前記第1コンタクトプローブが複数、前記第2コンタクトプローブが単数設けられ、該第2コンタクトプローブの反対側に前記一方放電ギャップ端が設けられ、該第1コンタクトプローブに前記放電ギャップ長変換機構を介した前記除電用プローブの他方放電ギャップ端の組が複数組設けられて、各組がデバイスの有無により同時または独立に動作可能とする。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明のプロービング冶工具における放電ギャップ長変換機構は、シーソ形式により、前記オーバドライブ動作による前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブの移動に連動して、該オーバドライブ動作の変位量を前記放電ギャップの放電ギャップ長に変換する。
【0047】
本発明の高電圧検査装置は、本発明の上記プロービング冶工具を用いて前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブから前記ウエハ上のデバイスに対して高電圧印加検査を行うものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0048】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0049】
本発明においては、先端が突出した第1コンタクトプローブと、先端が突出した第2コンタクトプローブと、第1コンタクトプローブに導通して一方放電ギャップ端が配設された放電ギャップの他方放電ギャップ端が第2コンタクトプローブに導通するように配設された除電用プローブと、ウェハを搭載するウェハステージを動作させて、第1コンタクトプローブおよび第2コンタクトプローブをウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動した第1コンタクトプローブおよび第2コンタクトプローブのいずれかの移動により、オーバドライブ動作の変位量を放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構とを有している。
【0050】
これによって、上記のような従来の電気的な装置機能を用いることなく、LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長が制御されて、コンタクトプローブ間の放電がより確実に回避される。
【発明の効果】
【0051】
以上により、本発明によれば、上記のような従来の電気的な装置機能を用いることなく、LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長を制御することにより、コンタクトプローブ間の放電をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態1におけるプロービング冶工具を模式的に示す要部構成図であって、放電ギャップが無い状態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1におけるプロービング冶工具を模式的に示す要部構成図であって、放電ギャップが有りの状態を示す図である。
【図3】図1および図2のプロービング冶工具の動作について説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2におけるプロービング冶工具を模式的に示す要部構成図であって、放電ギャップが無い状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2におけるプロービング冶工具を模式的に示す要部構成図であって、放電ギャップが有りの状態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態3におけるプロービング冶工具の要部を模式的に示す構成図である。
【図7】本発明の実施形態4におけるプロービング冶工具の要部を模式的に示す構成図である。
【図8】従来のプロービング冶工具を用いて高電圧検査を行う場合のプローブ保護動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】特許文献1に開示されている従来の電気負荷駆動回路の回路図である。
【図10】特許文献2に開示されている従来の静電保護素子付き高周波集積回路における静電保護素子の回路図である。
【図11】特許文献3に開示されている従来の半導体装置の試験装置の構成図である。
【図12】本発明の実施形態2のプロービング冶工具における変形例として一方放電ギャップ端が凹面形状で他方放電ギャップ端が球面形状の場合を模式的に示す要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明のプロービング冶工具の実施形態1〜4を高電圧検査装置に適用した場合について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
【0054】
(実施形態1)
図1および図2はそれぞれ、本発明の実施形態1におけるプロービング冶工具を模式的に示す要部構成図であって、図1は放電ギャップが無い状態を示す図、図2は放電ギャップが有りの状態を示す図である。
【0055】
図1において、本実施形態1のプロービング冶工具1は、平行四辺形の枠組みの縦方向の一辺を構成し、先端が尖って突出した高電圧印加用のコンタクトプローブ2(第1コンタクトプローブ)と、平行四辺形の枠組みの縦方向の一辺を構成し、先端が尖ったグランド側のコンタクトプローブ3(第2コンタクトプローブ)と、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の反対側に設けられた放電球4a(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電球4b(他方放電ギャップ端)が下端部に設けられた除電用プローブ5と、除電用プローブ5が先端に取り付けられ、根元側がグランド側の平行四辺形の枠組みに取り付けられて、グランド側のコンタクトプローブ3の上下動を角度に変換して除電用プローブ5を上下動させるためのクレーンアーム6と、コンタクトプローブ2を縦一辺に含む平行四辺形の枠組み、コンタクトプローブ3を縦一辺に含む平行四辺形の枠組み、除電用プローブ5およびクレーンアーム6上を覆うシールドボックス7とを有している。
【0056】
高電圧印加用のコンタクトプローブ2を縦一辺に含む平行四辺形の枠組みは、コンタクトプローブ2に各一端がそれぞれ回動自在に軸支され、横方向に配置される互いに所定距離を置いて対向した2本のプローブ支持アーム21,22(第1プローブ支持アーム)と、プローブ支持アーム21,22の各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ回動自在に軸支され、コンタクトプローブ2に対向する縦方向のプローブ支持アーム23(第2プローブ支持アーム)とを有している。このプローブ支持アーム23がカード基板またはマニピュレータ8に取り付けられている。このコンタクトプローブ2がそれぞれ上下方向に移動可能とするように、平行四辺形の枠組みが変形可能に各四隅で回動自在に軸支されて取り付けられている。高電圧印加用のコンタクトプローブ2と放電球4a間は導電部材により導通しているものとする。
【0057】
グランド側のコンタクトプローブ3を縦一辺に含む平行四辺形の枠組みは、コンタクトプローブ3に各一端がそれぞれ回動自在に軸支され、横方向に配置される互いに所定距離を置いて対向した2本のプローブ支持アーム31,32(第1プローブ支持アーム)と、プローブ支持アーム31,32の各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ軸支され、コンタクトプローブ3に対向する縦方向のプローブ支持アーム33(第2プローブ支持アーム)とを有している。このプローブ支持アーム33がカード基板またはマニピュレータ9に取り付けられている。このコンタクトプローブ3がそれぞれ上下方向に移動可能とするように、平行四辺形の枠組みが変形可能に各四隅で回動自在に軸支されて取り付けられている。グランド側のコンタクトプローブ3と除電用プローブ5の先端の放電球4bとの間は導電部材により導通して接地されているものとする。
【0058】
これらのように、コンタクトプローブ2と、2本のプローブ支持アーム21,22と、固定のプローブ支持アーム23とにより、可動の平行4辺形が構成されていると共に、コンタクトプローブ3と、2本のプローブ支持アーム31,32と、固定のプローブ支持アーム33とにより、可動の平行4辺形が構成されているため、コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して垂直に接触するように構成することができる。コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して垂直に接触すると、コンタクトプローブ2,3の先端部分が撓み過ぎて破損するのが回避される。また、コンタクトプローブ2,3がウエハの端子に接触した瞬間に一方放電ギャップ端と他方放電ギャップ端(放電球4a、4b)の当接状態から離間してタイムラグがない。
【0059】
除電用プローブ5は、クレーンアーム6の先端に一端が取り付けられ、他方放電ギャップ端(放電球4b)が設けられた他端が一方放電ギャップ端(放電球4a)に対してその真上に位置するように下方に折り曲げられている。この除電用プローブ5は、ウエハ上のデバイスを移動するコンタクトOFF期間に、一方放電ギャップ端(放電球4a)と他方放電ギャップ端(放電球4b)とが当接して、試験回路の残留電荷を除電するスイッチング機能を有している。これによって、コンタクトプローブ2,3がデバイスの端子に接続されていない期間は、放電球4a,4bを当接して高電圧用のコンタクトプローブ2およびグランド用のコンタクトプローブ3とをショートさせて滞留電荷を除去することができる。この場合の放電球4a,4bは共に球面形状であるため、対向電極との放電特性において、クレーンアーム6の設定角度に依存せずに接触位置や離間位置が変わっても放電特性は変わらない。
【0060】
さらに、ウェハを搭載するウェハステージ(図示せず)を動作させて、コンタクトプローブ2,3をウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動したコンタクトプローブ3の移動により、オーバドライブ動作の変位量を放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構が設けられている。この放電ギャップ長変換機構は、グランド側のコンタクトプローブ3を縦一辺に含む平行四辺形の枠組み構成の他に、除電用プローブ5が先端に取り付けられ、根元側がプローブ支持アーム33に回動自在に取り付けられて、コンタクトプローブ3および上側のプローブ支持アーム31の動作が角度に変換されて除電用プローブ5を上下動させて放電ギャップ長を制御するクレーンアーム6を有している。
【0061】
クレーンアーム6は、固定のプローブ支持アーム33と軸支された支点を上下方向に変更することにより初期角度とウエハステージのオーバドライブ動作量に対する角度変化率を調整可能としている。また、クレーンアーム6は、アーム長を変更することにより放電ギャップ長を調整することもできる。
【0062】
クレーンアーム6の下端部は、プローブ支持アーム33に回転自在に軸支され、クレーンアーム6の途中に立設されたピン部材が、上側のプローブ支持アーム31の長穴に通されてスライド自在に係合されている。したがって、コンタクトプローブ3が上に移動すると、プローブ支持アーム31が他方端部を中心に時計回りに回動することにより、クレーンアーム6を時計回りに回動させてその角度が大きくなって立ち、除電用プローブ5の放電球4bがコンタクトプローブ2の反対側に設けられた放電球4aに対して上方向に離間するように動作する。この場合、図1から図2の状態になる。逆に、コンタクトプローブ3が下に移動すると、プローブ支持アーム31が他方端部を中心に反時計回りに回動することにより、クレーンアーム6が反時計回りに回動させてその角度が小さくなって寝て、除電用プローブ5の放電球4bがコンタクトプローブ2の反対側に設けられた放電球4a側に近づき、さらに放電球4a,4bが互いに当接する。この場合、図2から図1の状態になる。
【0063】
このように、プローブ支持アーム31,33とクレーンアーム6とを三角形部A1およびB1にリンクする状態とし、チップコンタクト時におけるウェハステージのオーバドライブ変位量をクレーンアーム6の角度に変換して、放電球4a、4b間の放電ギャップ長を増大させるように構成されている。また、プローブ支持アーム31,33とクレーンアーム6は、2点の回動自在な支点と、1点のスライド支持で構成している。これによって、プローブ支持アーム31の角度に応じてクレーンアーム6の角度を変えることができる。要するに、チップコンタクト時のオーバドライブ変位量を、平行四辺形の枠組みおよびクレーンアーム6を介して、除電用プローブ5の放電球4bによる放電ギャップ長に増幅変換する。
【0064】
即ち、動作を実現するための構成としては、グランド側のコンタクトプローブ2、3と除電用プローブ5の2種類のプローブで構成されている。ウェハステージのオーバドライブ動作と、コンタクトプローブ3の動作により、プローブ支持アーム31,33とクレーンアーム6が連動して除電用プローブ5を移動するように機能する。除電用プローブ5の放電球4bによる放電ギャップ長は、ウェハステージのオーバドライブ変位量に対してクレーンアーム6の角度変化により決定することができる。十分な放電ギャップ長を確保することで絶縁状態となり、デバイス側に高電圧を与えることができる。放電ギャップ長の設計は、クレーンアーム6の角度だけでなく、クレーンアーム長を変更することによってもギャップ長の設計が可能である。具体的には、ウェハステージのオーバドライブ変位量が50μmのとき、10倍となるレバー比で設計すると、500μmの放電ギャップ長を確保することができる。最適な放電ギャップ長は印加電圧により決定する。
【0065】
コンタクトプローブ2、3は、高電圧供給側の1本と、GND側の1本で構成され、除電用プローブ5はGND側の1本で構成されている。また、高電圧供給側のコンタクトプローブ2は、プローブの両端において、デバイスの端子へのコンタクト機能と放電ギャップ端を兼ねている。さらに、GND側のコンタクトプローブ3は可動するプローブ支持アーム31に軸支され、除電用プローブ5は、可動するプローブ支持アーム31にスライドするように取り付けられ、固定のプローブ支持アーム33に軸支されたクレーンアーム6に取り付けられている。
【0066】
さらに、オーバドライブ動作の変位量は、ウェハの厚さよりも小さく、適正な放電ギャップ長が確保できる変位量である。コンタクトプローブ2,3はウエハの各端子に対して垂直に接触するように構成されている。これによって、コンタクトプローブ2,3の先端部分が撓み過ぎて破損するのを回避することができる。
【0067】
さらに、コンタクトプローブ2が軸支されている上側のプローブ支持アーム21が所定以上の回動するのを阻止するように、プローブ支持アーム21の下側にストッパー部材(図示せず)が設けられている。このストッパー部材(図示せず)は、突起でもよく、突起とプローブ支持アーム21との間に緩衝部材や弾性部材を設けてもよい。放電球4a,4bが互いに当接することにより、コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して接触していない状態で、コンタクトプローブ3が軸支されている第1プローブ支持アーム31およびクレーンアーム6を支持することによりコンタクトプローブ3が下方に落ちないようにしている。このように、コンタクトプローブ2が連結されているプローブ支持アーム21の下側にストッパー部材を置いて、コンタクトプローブ2が所定位置でそれ以上、下方向に移動しないように支持すると共に、放電球4a,4bが互いに当接することにより、クレーンアーム6を介してプローブ支持アーム31を支持し、これによって、コンタクトプローブ3もそれ以上、下方向に移動しないように支持することができるようになっている。
【0068】
コンタクトプローブ2,3、除電用プローブ5および放電ギャップ長変換機構の上方を覆うシールドボックス7を更に有している。シールドボックス7は、高電圧印加による電磁放射ノイズを電磁遮蔽するように導電性の金属で形成されて、GND接続されている。
【0069】
上記構成により、以下、本実施形態1のプロービング冶工具1の動作について説明する。
【0070】
図3は、図1および図2のプロービング冶工具1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0071】
図3に示すように、まず、ステップS1で、デバイスの端子にコンタクトプローブ2、3を接続するチップコンタクト工程を実施する。このとき、放電球4a,4bが当接してコンタクトプローブ2、3が下に下がらずバランスしている。一般に、コンタクトプローブ2、3で例えばLEDの2端子を接触させれば、LEDが点灯して、コンタクトプローブ2、3がLEDの2端子に接触したかどうかが分かるが、本実施形態1では、デバイスの動作が無くても、コンタクトプローブ2、3がLEDの2端子に接触したかどうかが機械的に分かるようになっている。
【0072】
即ち、ウエハステージ上にウエハが搭載され、ウエハ上の各デバイスの端子に、コンタクトプローブ2、3が接触することになるが、そのウエハステージがウエハと共に下から上に移動し、ウエハ上の各デバイスの端子にコンタクトプローブ2、3が接触して、コンタクトプローブ2、3を下から上に、ウエハの厚さよりも少ない量だけ持ち上げる。このとき、「デバイスあり」と判定して次のステップS2に移行する。
【0073】
ステップS2で、ウエハ上の各デバイスの端子にコンタクトプローブ2、3が接触した状態で、コンタクトプローブ2、3を下から上に持ち上げに連動して、二つの平行四辺形の枠組みがそれぞれ変形し、図2に示すように、クレーンアーム6が立って放電球4a,4bが離間して放電ギャップが開放される。このとき、コンタクトプローブ2、3がそれぞれデバイスの各端子に接続されているので、高電圧がコンタクトプローブ2、3間に印加されたとしても、印加された高電圧はコンタクトプローブ2からデバイス側に抜けて、コンタクトプローブ2、3間で放電することはない。
【0074】
また、ウエハステージ上にウエハが搭載されていない場合には、ウエハの厚み分までは、ウエハステージが下から上に移動してもコンタクトプローブ2、3を下から上に持ち上げることはない。この場合、「デバイスなし」と判定して次のステップS3に移行する。ステップS3で、図1に示すように、放電球4a,4bは当接したままで、コンタクトプローブ2、3はショート状態にある。
【0075】
次に、ステップS4で高電圧印加試験を実施する。これは、プローブ支持アーム21または31などの機械的な動きを検知するリミットスイッチなどを用いて「デバイスあり」を検出して自動的に高電圧印加工程に移行することもできるし、人が眼で「デバイスあり」を検知してスイッチ操作などによって高電圧印加工程に移行することもできる。いずれの場合にも、高電圧はデバイスに吸収されてコンタクトプローブ2、3間で放電することはない。「デバイスなし」の場合は、コンタクトプローブ2、3間に高電圧が印加されても、放電球4a,4bが接触したままなので、ステップS5でコンタクトプローブ2、3間にかかる高電圧は放電ギャップをバイパスして短絡し、コンタクトプローブ2,3間(高圧電源−GND)に放電は起こらない。
【0076】
チップ移動時に高電圧回路内部の除電機能も兼ねている。チップ移動時とCHIPが存在しない場合には、放電球4a,4bが接触した図1の状態になる。
る。
【0077】
このようにして、プロービング冶工具1を用いてコンタクトプローブ2,3からウエハ上のデバイスの各端子に対して高電圧を印加して高電圧検査を行うことができる。
【0078】
以上により、本実施形態1によれば、上記従来の電気的な装置機能を用いることなく、LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長を制御することにより、コンタクトプローブ間の放電をより確実に回避して、コンタクトプローブの放電ダメージを回避することができる。また、本実施形態1の放電ギャップ機構は、高電圧試験回路の残留電荷をディスチャージするための断続リレー機能があるため、高電圧回路内に搭載すべき除電リレーを削除することができる。さらに、電気的な保護回路や保護素子が必要ないことから通電すべき高電圧回路のコンパクト化を実現することができる。
【0079】
このように、デバイスコンタクト状態は、ウェハステージのオーバドライブ変位量をデバイスを介して自動的に検知し、このオーバドライブ動作を機械的に放電ギャップ長に変換するため、低機能・低価格のプロービング装置で検査を実施することができる。
【0080】
(実施形態2)
図4および図5はそれぞれ、本発明の実施形態2におけるプロービング冶工具を模式的に示す要部構成図であって、図4は放電ギャップが無い状態を示す図、図5は放電ギャップが有りの状態を示す図である。なお、図4および図5はそれぞれ、図1および図2と同一の作用効果を奏する部材には同一の部材番号を付して説明する。
【0081】
図4および図5において、本実施形態2のプロービング冶工具1Aは、先端が尖って突出した高電圧印加用のコンタクトプローブ2(第1コンタクトプローブ)と、先端が尖って突出したグランド側のコンタクトプローブ3(第2コンタクトプローブ)と、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の反対側に設けられた放電平板4c(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電球4b(他方放電ギャップ端)が下端部に設けられた除電用プローブ5と、除電用プローブ5が先端に取り付けられ、根元側がグランド側の枠組みに取り付けられて、グランド側のコンタクトプローブ3の上下動を角度に変換して除電用プローブ5を上下動させるためのクレーンアーム6と、コンタクトプローブ2を縦一辺に含む枠組み、コンタクトプローブ3を縦一辺に含む枠組み、除電用プローブ5およびクレーンアーム6上を覆うシールドボックス7とを有している。
【0082】
高電圧印加用のコンタクトプローブ2を縦一辺に含む枠組みは、コンタクトプローブ2に一端が回動自在に軸支され、横方向に配置されるプローブ支持アーム21(第1プローブ支持アーム)と、プローブ支持アーム21の他端が上端に回動自在に軸支され、コンタクトプローブ2に対向する縦方向のプローブ支持アーム24(第2プローブ支持アーム)とを有している。このプローブ支持アーム24がカード基板またはマニピュレータ8に取り付けられている。このコンタクトプローブ2が上下方向に移動可能とするように、枠組みが変形可能に軸支されて取り付けられている。高電圧印加用のコンタクトプローブ2と放電球4a間は導電部材により導通しているものとする。
【0083】
グランド側のコンタクトプローブ3を縦一辺に含む枠組みは、コンタクトプローブ3に一端が回動自在に軸支され、横方向に配置されるプローブ支持アーム31(第1プローブ支持アーム)と、プローブ支持アーム31の他端が上端に軸支され、コンタクトプローブ3に対向する縦方向のプローブ支持アーム33(第2プローブ支持アーム)とを有している。このプローブ支持アーム33がカード基板またはマニピュレータ9に取り付けられている。このコンタクトプローブ3が上下方向に移動可能とするように、枠組みが変形可能に軸支されて取り付けられている。グランド側のコンタクトプローブ3と除電用プローブ5の先端の放電球4bとの間は導電部材により導通して接地されているものとする。
【0084】
本実施形態2では、上記実施形態のようなプローブ支持アーム22やプローブ支持アーム32がなく、平行四辺形の枠組みが構成できないものの、プローブ支持アームの形状は、カンチレバー形状で上記実施形態の場合と同一機能を有する。
【0085】
即ち、コンタクトプローブ2と、プローブ支持アーム21と、固定のプローブ支持アーム23とにより、可動の枠組みが構成されていると共に、コンタクトプローブ3と、プローブ支持アーム31と、固定のプローブ支持アーム33とにより、可動の枠組みが構成されている。このため、コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して垂直に接触するように構成する。コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して垂直に接触すると、コンタクトプローブ2,3の先端部分が撓み過ぎて破損するのが回避される。また、コンタクトプローブ2,3がウエハの端子に接触した瞬間に一方放電ギャップ端と他方放電ギャップ端の当接状態から離間してタイムラグがない。
【0086】
また、一方放電ギャップ端としての放電平板4cと他方放電ギャップ端としての放電球4bのように一方が平面形状で、他方が球面形状である。この放電ギャップ端の一方を平面形状にすることによって、機械的な位置誤差を吸収することができる。
【0087】
なお、上記実施形態1、2では、コンタクトプローブ2,3と、除電用プローブ5と、放電ギャップ長変換機構との組を1組設けた場合について説明したが、これに限らず、コンタクトプローブ2,3と、除電用プローブ5と、放電ギャップ長変換機構との組を複数組設けてもよく、各組がデバイスの有無により独立に動作可能とする。
【0088】
また、上記実施形態1、2では、コンタクトプローブ2を高電圧印加用のコンタクトプローブとし、コンタクトプローブ3をグランド(接地)用のコンタクトプローブとして構成したが、これに限らず、逆であってもよい。即ち、コンタクトプローブ2をグランド(接地)用のコンタクトプローブとし、コンタクトプローブ3を高電圧印加用のコンタクトプローブとして構成してもよい。この場合には、高電圧印加用のコンタクトプローブ側に放電ギャップ長変換機構が設けられることになる。
【0089】
なお、上記実施形態2では、一方放電ギャップ端の形状が平面形状であり、他方放電ギャップ端の形状が球面形状である場合、即ち、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の先端の反対側に設けられた放電平板4c(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電球4b(他方放電ギャップ端)が除電用プローブ5の下端部に設けられた場合について説明したが、これに限らず、他方放電ギャップ端の形状が平面形状であり、一方放電ギャップ端の形状が球面形状である場合、即ち、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の先端の反対側に設けられた放電球4b(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電平板4c(他方放電ギャップ端)が除電用プローブ5の下端部に設けられた場合についても上記実施形態1,2を適用することができる。要するに、一方放電ギャップ端と他方放電ギャップ端の形状のいづれか一方が平面形状であり、他方が球面形状である。
【0090】
また、上記実施形態2では、一方放電ギャップ端の形状が平面形状であり、他方放電ギャップ端の形状が球面形状である場合、即ち、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の先端の反対側に設けられた放電平板4c(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電球4b(他方放電ギャップ端)が除電用プローブ5の下端部に設けられた場合について説明したが、これに限らず、一方放電ギャップ端の形状が凹面形状であり、他方放電ギャップ端の形状が球面形状である場合、即ち、図12に示すように、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の先端の反対側に設けられた放電凹板4d(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電球4b(他方放電ギャップ端)が除電用プローブ5の下端部に設けられた場合についても上記実施形態1,2を適用することができる。このように、一方放電ギャップ端としての放電凹板4dと他方放電ギャップ端としての放電球4bのように、放電ギャップ端の一方が放電凹板4dで受け皿形状とし、他方が放電球4bで球面形状とする。または、他方放電ギャップ端の形状が凹面形状であり、一方放電ギャップ端の形状が球面形状である場合、即ち、高電圧印加用のコンタクトプローブ2の先端の反対側に設けられた放電球4b(一方放電ギャップ端)に対して当接または離間可能とする放電凹板4d(他方放電ギャップ端)が除電用プローブ5の下端部に設けられた場合についても上記実施形態1,2を適用することができる。要するに、一方放電ギャップ端と他方放電ギャップ端の形状のいづれか一方が凹面形状であり、他方が球面形状である。放電凹板4dの受け皿形状は、中央部分が低く外周部分が高い、下に凸の断面曲線状の曲面で構成されている。
【0091】
以上のように、放電ギャップ端の一方を受け皿形状(放電凹板4d)とし、放電ギャップ端の他方を球面形状(放電球4b)とすることにより、機械的な位置誤差を強制的に規定の接点位置に補正することができる。
【0092】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3におけるプロービング冶工具の要部を模式的に示す構成図である。
【0093】
図6において、本実施形態3のプロービング冶工具1Cでは、放電平板41aに対して複数の放電球41b、42bおよび43b(ここでは3つ)が当接している。放電平板41aは、グランド用のコンタクトプローブ3の反対側に設けられ、放電球41bは、除電用プローブ51の下端に設けられた他方放電ギャップ端である。この他は、上記実施形態1,2の構成とそれぞれ同じである。要するに、本実施形態3のプロービング冶工具1Cが上記実施形態1,2と異なるのは、グランド用のコンタクトプローブ3の上方に大きい放電平板41aが設けられ、高電圧印加用のコンタクトプローブ2側に放電ギャップ長変換機構さらに除電用プローブ51を介して、その下端に放電球41bが設けられている点である。しかも、この他に、高電圧印加用のコンタクトプローブ2側に放電ギャップ長変換機構さらに除電用プローブ52を介して、その下端に放電球42bが設けられ、高電圧印加用のコンタクトプローブ2側に放電ギャップ長変換機構さらに除電用プローブ53を介して、その下端に放電球43bが設けられている。グランド用のコンタクトプローブ3が1本で、高電圧印加用のコンタクトプローブ2が複数本(ここでは3本)ある。
【0094】
本実施形態3のプロービング冶工具1Cは、コンタクトプローブ2が複数、コンタクトプローブ3が単数設けられ、コンタクトプローブ3の反対側に一方放電ギャップ端(放電平板41a)が設けられ、コンタクトプローブ2に放電ギャップ長変換機構(クレーンプローブ6を含む)を介した除電用プローブ51〜53のいずれかの組が複数組(ここでは3つ)設けられて、各組がデバイスの有無により同時に動作可能とする。
【0095】
即ち、高電圧印加用のコンタクトプローブ2を縦一辺に含む平行四辺形の枠組みは、コンタクトプローブ2に各一端がそれぞれ回動自在に軸支され、横方向に配置される互いに所定距離を置いて対向した2本のプローブ支持アーム21,22(第1プローブ支持アーム)と、プローブ支持アーム21,22の各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ軸支され、コンタクトプローブ2に対向する縦方向のプローブ支持アーム23(第2プローブ支持アーム)とを有している。このプローブ支持アーム23がカード基板またはマニピュレータ9に取り付けられている。このコンタクトプローブ2がそれぞれ上下方向に移動可能とするように、平行四辺形の枠組みが変形可能に各四隅で回動自在に軸支されて取り付けられている。高電圧印加用のコンタクトプローブ2と除電用プローブ51〜53のいずれかの先端の放電球41b〜43bのいずれかとの間は導電部材により導通して接地されている。
【0096】
グランド用のコンタクトプローブ3を縦一辺に含む平行四辺形の枠組みは、コンタクトプローブ3に各一端がそれぞれ回動自在に軸支され、横方向に配置される互いに所定距離を置いて対向した2本のプローブ支持アーム31,32(第1プローブ支持アーム)と、プローブ支持アーム31,32の各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ回動自在に軸支され、コンタクトプローブ3に対向する縦方向のプローブ支持アーム33(第2プローブ支持アーム)とを有している。このプローブ支持アーム33がカード基板またはマニピュレータ8に取り付けられている。このコンタクトプローブ3がそれぞれ上下方向に移動可能とするように、平行四辺形の枠組みが変形可能に各四隅で回動自在に軸支されて取り付けられている。グランド用のコンタクトプローブ3と放電球4a間は導電部材により導通しているものとする。
【0097】
これらのように、コンタクトプローブ2と、2本のプローブ支持アーム21,22と、固定のプローブ支持アーム23とにより、可動の平行4辺形が構成されていると共に、コンタクトプローブ3と、2本のプローブ支持アーム31,32と、固定のプローブ支持アーム33とにより、可動の平行4辺形が構成されているため、コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して垂直に接触するように構成することができる。コンタクトプローブ2,3がウエハの各端子に対して垂直に接触すると、コンタクトプローブ2,3の先端部分が撓み過ぎて破損するのが回避される。また、コンタクトプローブ2,3がウエハの端子に接触した瞬間に一方放電ギャップ端と他方放電ギャップ端(放電球4a、4b)の当接状態から離間してタイムラグがない。
【0098】
除電用プローブ51〜53はそれぞれ、クレーンアーム6の先端に一端が取り付けられ、他方放電ギャップ端(放電球41b〜43b)が設けられた他端が一方放電ギャップ端(放電平板41a)に対してその真上に位置するように下方に折り曲げられている。この除電用プローブ51〜53はそれぞれ、ウエハ上のデバイスを移動するコンタクトOFF期間に、一方放電ギャップ端(放電平板41a)と各他方放電ギャップ端(放電球41b〜43b)とがそれぞれ当接して、試験回路の残留電荷を除電するスイッチング機能を有している。これによって、コンタクトプローブ2,3がデバイスの端子に接続されていない期間は、放電平板41aと放電球41b〜43bとをそれぞれ当接して高電圧用のコンタクトプローブ2およびグランド用のコンタクトプローブ3とをショートさせて滞留電荷を除去することができる。
【0099】
ウェハを搭載するウェハステージ(図示せず)を動作させて、コンタクトプローブ2,3をウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動したコンタクトプローブ2の移動により、オーバドライブ動作の変位量を放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構が設けられている。この放電ギャップ長変換機構は、グランド側のコンタクトプローブ2を縦一辺に含む平行四辺形の枠組み構成の他に、除電用プローブ5が先端に取り付けられ、根元側がプローブ支持アーム23に回動自在に取り付けられて、コンタクトプローブ2および上側のプローブ支持アーム21の動作が角度に変換されて除電用プローブ51〜53を上下動させて放電ギャップ長を制御する各クレーンアーム6をそれぞれ有している。
【0100】
なお、上記実施形態3では、コンタクトプローブ2を高電圧印加用のコンタクトプローブとし、コンタクトプローブ3をグランド(接地)用のコンタクトプローブとして構成したが、これに限らず、逆であってもよい。即ち、コンタクトプローブ2をグランド(接地)用のコンタクトプローブとし、コンタクトプローブ3を高電圧印加用のコンタクトプローブとして構成してもよい。この場合には、高電圧印加用のコンタクトプローブ側に放電ギャップ長変換機構が設けられることになる。
【0101】
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4におけるプロービング冶工具の要部を模式的に示す構成図である。
【0102】
図7において、本実施形態4のプロービング冶工具1Dが、上記実施形態1〜3とことなるのは、シーソ形式であるという点である。高電圧印加用のコンタクトプローブ24がプローブ支持アーム25を介して支点54aの回りに回転自在に軸支され、コンタクトプローブ24が突き上げられると、放電球44a,44bが離間するようになっている。また同様に、グランド用のコンタクトプローブ34も、プローブ支持アーム35を介して支点54bの回りに回転自在に軸支され、コンタクトプローブ34が突き上げられると、放電球45a,45bが離間するようになっている。
【0103】
または、高電圧印加用のコンタクトプローブ24、34がそれぞれプローブ支持アーム25、35をそれぞれ介して支点54a、54bの回りに回転自在にそれぞれ軸支され、コンタクトプローブ24、34が突き上げられると、放電球44a,44bが離間すると共に放電球45a,45bが離間するようにしてもよい。この場合は、グランド用のコンタクトプローブは放電球44b,45bに接続されている。
【0104】
この場合、上記放電ギャップ長変換機構は、シーソ形式により、コンタクトプローブ24,34の移動に連動して、オーバドライブ動作の変位量を放電ギャップの放電ギャップ長に変換する。
【0105】
なお、本実施形態1〜4では、特に説明しなかったが、例えば、先端が突出したコンタクトプローブ2,3と、コンタクトプローブ2に導通して一方放電球4aが配設された放電ギャップの他方放電球4bがコンタクトプローブ3に導通するように配設された除電用プローブ5と、ウェハを搭載するウェハステージを動作させて、コンタクトプローブ2,3をウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動したコンタクトプローブ2,3のいずれかの移動により、オーバドライブ動作の変位量を放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構とを有している。これによって、上記のような従来の電気的な装置機能を用いることなく、LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長を制御して、コンタクトプローブ間の放電をより確実に回避することができる本発明の目的を達成することができる。
【0106】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜4を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜4に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜4の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、LSIチップ検査におけるプロービング冶工具および、このプロービング冶工具を用いて高電圧印加検査を行う高電圧検査装置の分野において、記のような従来の電気的な装置機能を用いることなく、LSI試験において測定対象のチップの有無に応じて、機械的な動作で放電ギャップ長を制御することにより、コンタクトプローブ間の放電をより確実に回避することができる。
【符号の説明】
【0108】
1、1A、1C,1D プロービング冶工具
2、24 高電圧印加用のコンタクトプローブ(第1コンタクトプローブ)
21、22、25、35 プローブ支持アーム(第1プローブ支持アーム)
23、24 固定のプローブ支持アーム(第2プローブ支持アーム)
3、34 グランド用のコンタクトプローブ(第2コンタクトプローブ)
31、32 プローブ支持アーム(第1プローブ支持アーム)
33、34 プローブ支持アーム(第2プローブ支持アーム)
4a、44b,45b 放電球(一方放電ギャップ端)
4b,41b〜43b、44a、45a 放電球(他方放電ギャップ端)
4c、4d、41a 放電平板(一方放電ギャップ端)
5、51〜53 除電用プローブ
6 クレーンアーム
7 シールドボックス
8,9 カード基板またはマニピュレータ
54a、54b 支点
A1、A2、B1、B2 三角形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が突出した第1コンタクトプローブと、先端が突出した第2コンタクトプローブと、該第1コンタクトプローブに導通して一方放電ギャップ端が配設された放電ギャップの他方放電ギャップ端が該第2コンタクトプローブに導通するように配設された除電用プローブと、ウェハを搭載するウェハステージを動作させて、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブを該ウェハの各端子にそれぞれ接続させるチップコンタクト時のオーバドライブ動作に連動した該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかの移動により、該オーバドライブ動作の変位量を該放電ギャップの放電ギャップ長に変換する放電ギャップ長変換機構とを有したプロービング冶工具。
【請求項2】
前記放電ギャップ長変換機構は、
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか一方に各一端がそれぞれ回動自在に軸支されて横方向に配置された2本の第1プローブ支持アームと、該2本の第1プローブ支持アームの各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ回動自在に軸支され、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかに対向する縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを有すると共に、該除電用プローブが先端に取り付けられ、根元側が該第2プローブ支持アームに回動自在に取り付けられて、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかおよび上側の該第1プローブ支持アームの動作が角度に変換されて該除電用プローブを上下動させて前記放電ギャップ長を制御するクレーンアームを有する請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項3】
前記放電ギャップ長変換機構は、
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか一方に一端が回動自在に軸支されて横方向に配置された第1プローブ支持アームと、該第1プローブ支持アームの他端が回動自在に軸支された縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを有すると共に、該除電用プローブが先端に取り付けられ、根元側が該第2プローブ支持アームに回動自在に取り付けられて、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかおよび該第1プローブ支持アームの動作が角度に変換されて該除電用プローブを上下動させて前記放電ギャップ長を制御するクレーンアームを有する請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項4】
前記クレーンアームの下端根元部は、前記固定の第2プローブ支持アームに回転自在に軸支され、該クレーンアームと前記上側の第1プローブ支持アームとが係合して該クレーンアームが該上側の第1プローブ支持アームにスライド自在に構成されている請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項5】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのうちの高電圧用のコンタクトプローブは、前記端子へのコンタクト機能と放電ギャップ端を兼ねている請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項6】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのうちのグランド用のコンタクトプローブは、前記第1プローブ支持アームに軸支され、前記除電用プローブは、該第1プローブ支持アームにスライド自在に取り付けられ、かつ前記第2プローブ支持アームに軸支された前記クレーンアームに取り付けられている請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項7】
前記オーバドライブ動作の変位量は、前記ウェハの厚さよりも小さく、適正な放電ギャップ長が確保できる変位量である請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項8】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブは前記ウエハの各端子に対して垂直に接触するように構成されている請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項9】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか他方に各一端がそれぞれ回動自在に軸支されて横方向に配置された2本の第1プローブ支持アームと、該2本の第1プローブ支持アームの各他端がそれぞれ上端および下端にそれぞれ回動自在に軸支され、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれかに対向する縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを有する請求項2に記載のプロービング冶工具。
【請求項10】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか他方に一端が回動自在に軸支されて横方向に配置された第1プローブ支持アームと、該第1プローブ支持アームの他端が回動自在に軸支された縦方向の固定の第2プローブ支持アームとを更に有する請求項3に記載のプロービング冶工具。
【請求項11】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれか他方が軸支されている第1プローブ支持アームに所定以上の回動を阻止するストッパー部材が設けられ、前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端は互いの当接により、該第1コンタクトプローブおよび該第2コンタクトプローブのいずれか一方が軸支されている第1プローブ支持アームおよび前記クレーンアームを支持している請求項9または10に記載のプロービング冶工具。
【請求項12】
前記放電ギャップ長は、前記ウェハステージのオーバドライブ量に応じて調整可能とする請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項13】
前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブのいずれかと、前記2本の第1プローブ支持アームと、前記固定の第2プローブ支持アームとにより、可動の平行4辺形が構成されている請求項2または9に記載のプロービング冶工具。
【請求項14】
前記クレーンアームは、前記固定の第2プローブ支持アームと軸支された支点を上下方向に変更することにより初期角度と前記ウエハステージのオーバドライブ動作量に対する角度変化率を調整可能としている請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項15】
前記クレーンアームは、アーム長を変更することにより前記放電ギャップ長を調整可能とする請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項16】
前記除電用プローブは、前記ウエハ上のデバイスを移動するコンタクトOFF期間に、前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端とが当接して、試験回路の残留電荷を除電するスイッチング機能を有する請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項17】
前記除電用プローブは、前記クレーンアームの先端に一端が取り付けられ、前記他方放電ギャップ端が設けられた他端が前記一方放電ギャップ端に対してその真上に位置するように下方に折り曲げられている請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項18】
前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端の形状のいづれか一方が平面形状であり、他方が球面形状である請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項19】
前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端の形状は共に球面形状である請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項20】
前記一方放電ギャップ端と前記他方放電ギャップ端の形状のいづれか一方が受け皿形状であり、他方が球面形状である請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項21】
前記第1コンタクトプローブ、前記第2コンタクトプローブ、前記除電用プローブおよび前記放電ギャップ長変換機構の上方を覆うシールドボックスを更に有し、該シールドボックスは、高電圧印加による電磁放射ノイズを電磁遮蔽するように導電性の金属で形成されてGND接続されている請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項22】
前記第1コンタクトプローブと、前記第2コンタクトプローブと、前記除電用プローブと、前記放電ギャップ長変換機構との組を複数設けて、各組がデバイスの有無により同時または独立に動作可能とする請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項23】
前記第1プローブ支持アームと、前記第2プローブ支持アームと、前記クレーンアームとで囲まれた形状が三角形状であり、該第1プローブ支持アームと該第2プローブ支持アームの各端部が回動自在に軸支されて第1支点とされ、該第2プローブ支持アームと該クレーンアームの下端部が回動自在に軸支されて第2支点とされ、該クレーンアームと該第1プローブ支持アームとがスライド自在に係合されて、該第1支点を中心とした該第1プローブ支持アームの回動動作に応じて、該第2支点を中心とした該クレーンアームの回動動作が該第1プローブ支持アームと係合してスライドすることにより行われる請求項2または3に記載のプロービング冶工具。
【請求項24】
前記第1コンタクトプローブが複数、前記第2コンタクトプローブが単数設けられ、該第2コンタクトプローブの反対側に前記一方放電ギャップ端が設けられ、該第1コンタクトプローブに前記放電ギャップ長変換機構を介した前記除電用プローブの他方放電ギャップ端の組が複数組設けられて、各組がデバイスの有無により同時または独立に動作可能とする請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項25】
前記放電ギャップ長変換機構は、シーソ形式により、前記オーバドライブ動作による前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブの移動に連動して、該オーバドライブ動作の変位量を前記放電ギャップの放電ギャップ長に変換する請求項1に記載のプロービング冶工具。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載のプロービング冶工具を用いて前記第1コンタクトプローブおよび前記第2コンタクトプローブから前記ウエハ上のデバイスに対して高電圧印加検査を行う高電圧検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−69711(P2012−69711A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212869(P2010−212869)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】