説明

ヘキサフルオロプロピレンオキシドとフッ化パーフルオロアシルとの選択的反応

式X−Rf−COF(II)のフッ化パーフルオロアシルとヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を反応させて、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF(I)の単付加生成物を選択的に生成する方法であって、二付加生成物と比較して単付加生成物に対する選択率が90%以上、さらに典型的には95%以上である方法が提供される。a)X−Rf−COF(II)と、フッ化物塩と、極性溶媒との混合物を提供するステップ;b)X−Rf−COFがHFPOに対して少なくとも10%モル過剰で残るような量でヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を添加し、X−Rf−COFをHFPOと反応させるステップ;c)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)とX−Rf−COFとの付加生成物の混合物から、未反応X−Rf−COFを分離するステップ;d)ステップc)で分離された未反応X−Rf−COFを使用して、ステップa)を繰り返し行うステップを含む、連続または反復バッチ方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式X−Rf−COFのフッ化パーフルオロアシルとヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を反応させて、反応物の高い利用率で式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COFの単付加(monoaddition)生成物を選択的に生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組み込まれるHFPO単位数が異なる反応生成物の混合物が生じる、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)とフッ化パーフルオロアシルとの反応が知られている。これらの反応の実施では、1つを超えるHFPO単位を含む生成物など、望ましくない副生成物を除去するために、生成物混合物を注意深く分別する必要がある。
【0003】
米国特許第4,749,526号明細書には、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化ルビジウムおよび臭化ルビジウムから選択される少なくとも1種類の触媒の存在下で、フッ化カルボニル化合物をヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させることによる、フルオロ脂肪族エーテル含有カルボニルフルオリド化合物の製造が開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡潔には、本発明は、式(I):X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF(式中、X−は、F−、FOC−またはFSO2−であり、−Rf−は、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状フルオロアルケン基であって、高度にフッ素化されており、かつ、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよいフルオロアルケン基である)の化合物を製造するための連続または反復バッチ方法であって、a)X−Rf−COF(II)(式中、X−および−Rf−が、式(I)について定義されるとおりである)と、フッ化物塩と、極性溶媒との混合物を提供するステップ;b)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を、X−Rf−COFがHFPOに対して少なくとも10%モル過剰で残るような量で添加し、X−Rf−COFをHFPOと反応させるステップ;c)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)とX−Rf−COFとの付加生成物の混合物から、未反応X−Rf−COFを分離するステップ;d)ステップc)で分離された未反応X−Rf−COFを使用して、ステップa)を繰り返し行うステップを含む方法を提供する。
【0005】
他の態様において、本発明は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を式X−Rf−COF(II)(式中、Xおよび−Rf−は、上記で定義したとおりである)のフッ化パーフルオロアシルと反応させて、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF(I)の単付加生成物を含む付加生成物の混合物を形成する方法であって、その単付加生成物のモル量が、付加生成物の混合物における単付加生成物と、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF(III)の二付加(biaddition)生成物とを合わせたモル量に対して、90%以上の量である方法を提供する。さらに典型的には、単付加生成物のモル量は、付加生成物における単付加生成物と二付加生成物とを合わせたモル量に対して95%以上の量である。
【0006】
当技術分野で述べられておらず、本発明によって提供されるものは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)をフッ化パーフルオロアシルと反応させるための工業的に有用な方法であって、単付加生成物に対する高い選択性を提供し、かつ過剰なフッ化パーフルオロアシルを再利用した場合に、選択性のレベルに近い、つまり90%を超える、さらに典型的には95%を超える、HFPOとフッ化パーフルオロアシル反応物の両方の利用率を提供する方法である。
【0007】
本出願において、「高度にフッ素化された」とは、40重量%以上、典型的に50重量%以上、さらに典型的には60重量%以上の量でフッ素を含有することを意味する。
【0008】
本発明の利点は、90%以上に近い、HFPOとフッ化パーフルオロアシル反応物の両方の利用率を提供する、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)をフッ化パーフルオロアシルと反応させる工業的に有利な方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、式(I)X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF(式中、X−は、F−、FOC−またはFSO2−であり、−Rf−は、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状フルオロアルケン基であって、高度にフッ素化されており、かつ、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよいフルオロアルケン基である)の化合物を製造するための連続または反復バッチ方法であって、a)X−Rf−COF(II)(式中、X−および−Rf−は、式(I)について定義したとおりである)と、フッ化物塩と、極性溶媒との混合物を提供するステップ;b)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を、X−Rf−COFがHFPOに対して少なくとも10%モル過剰で残るような量で添加し、X−Rf−COFをHFPOと反応させるステップ;c)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)とX−Rf−COFとの付加生成物の混合物から、未反応X−Rf−COFを分離するステップ;およびd)ステップc)で分離された未反応X−Rf−COFを使用して、ステップa)を繰り返し行うステップを含む方法を提供する。本発明による反応において、付加生成物の混合物は、HFPOとX−Rf−COFとの1:1の組み合わせから得られる、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF(I)の単付加生成物と、HFPOとX−Rf−COFとの2:1の組み合わせから得られる、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF(III)の二付加生成物と、場合によっては、3:1、4:1およびそれ以上の程度の付加から得られる生成物と、を含む。典型的には、本発明による反応は、1:1生成物に対して選択的である。典型的には、単付加生成物のモル量は、単付加(1:1)生成物と二付加(2:1)生成物との合計モル量の90%以上、さらに典型的には95%以上である。
【0010】
フッ化パーフルオロアシル反応物は、次式:
X−Rf−COF (II)
(式中、X−は、F−、FOC−またはFSO2−であり、−Rf−は、炭素原子1〜20個、典型的には炭素原子1〜10個、さらに典型的には炭素原子2〜4個を含有する、直鎖状、分枝鎖もしくは環状フルオロアルケン基であって、高度にフッ素化されており、かつ、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよいが、典型的には第3級アミン基を含まず、より典型的にはエーテル基も第3級アミン基も含まないフルオロアルケン基であり、これは典型的には直鎖状の基である)の化合物である。
【0011】
適切な反応容器が、連続またはバッチ方法に適宜使用される。通常、その方法は、反応のその後の繰り返しにおいてフッ化パーフルオロアシル反応物を回収および再利用することを可能にする、連続または反復バッチ方法である。フッ化パーフルオロアシル反応物を極性溶媒中でフッ化物塩と混合し、予備反応混合物を形成する。一価または多価カチオンの塩および多原子カチオンの塩、さらに典型的には単原子カチオン、最も典型的にはKFなどの適切なフッ化物塩を使用することができる。通常、塩は、フッ化パーフルオロアシル反応物の量に対して、0.1〜10重量%、さらに典型的には1〜5重量%、最も典型的には2〜4重量%の量で提供される。いかなる適切な極性溶媒も使用することができる。典型的には、溶媒は、フッ化パーフルオロアシル反応物に対して、10〜200重量%、さらに典型的には20〜40重量%、最も典型的には20〜30重量%の量で提供される。
【0012】
ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を添加して、反応混合物を形成する。HFPOは、X−Rf−COFがHFPOに対して少なくとも約10%、さらに典型的には少なくとも約20%、最も典型的には少なくとも約30%のモル過剰で残るような量で添加される。通常、X−Rf−COFは、すべてのHFPOを添加した後、HFPOに対して50%以下のモル過剰である。
【0013】
反応混合物は、適切な温度および圧力で維持される。典型的には、反応混合物は、−25℃〜40℃、さらに典型的には−25℃〜25℃、最も典型的には−20℃〜0℃の温度で維持される。典型的には、反応混合物は、真空〜300kPa、さらに典型的には20〜110kPaの圧力で維持される。好ましくない、著しいHFPOのオリゴマー化を生じるレベルまで温度が上昇しないという条件で、HFPOは任意の速度で添加される。適切な冷却装置を使用すれば、HFPOを非常に迅速に添加することができる。
【0014】
反応が完了した後に、未反応X−Rf−COFは、典型的には、溶媒分離および蒸留などの適切な手段によって、付加生成物の混合物から分離される。通常、このように回収された未反応X−Rf−COFは、その後の反応に使用される。
【0015】
付加生成物の混合物は、HFPOとX−Rf−COFとの1:1の組み合わせから得られる、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF(I)の単付加生成物と、HFPOとX−Rf−COFとの2:1の組み合わせから得られる、式X−Rf−CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF(III)の二付加生成物と、場合によっては、典型的ではないが、3:1、4:1およびそれ以上の付加の程度から得られる生成物とを含む。生成物の混合物は、低レベルの、典型的には1%未満のHFPO二量体、三量体および四量体以上のオリゴマーも含み得る。本発明による反応は1:1生成物に対して選択性であり、そのため、単付加生成物のモル量は、典型的には、単付加(1:1)生成物と二付加(2:1)との合計モル量の90%以上、さらに典型的には95%以上である。HPFOの重付加が不均衡な量のHPFOを消費するため、HPFO、貴重な反応物は、反応選択率に近いが、反応選択率よりも低い量で生産的に消費される。さらに、過剰なフッ化パーフルオロアシルを再循環する場合、フッ化パーフルオロアシル反応物の利用率も、反応選択率に近い。未反応フッ化パーフルオロアシル反応物を再利用する可能性、両方の反応物の高い、90%以上に近い利用率、および単付加生成物の浄化の排除または低減すべてによって、本発明による方法が工業用途において非常に有用となる。
【0016】
本発明は、HFPO−フッ化パーフルオロアシル付加物の工業的合成において有用である。
【0017】
本発明の目的および利点は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらの実施例に記載の特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を過度に限定するように解釈すべきではない。
【実施例】
【0018】
別段の指定がない限り、すべての試薬は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から入手されたか、または市販されており、あるいは公知の方法により合成することもできる。
【0019】
実施例1
2ガロン(7571ml)のステンレス鋼反応器に、KF113gおよびジグライム1960gを装入し、攪拌し、−17℃に冷却した。米国特許第2,732,398号明細書に記載のように、1,4−ブタンスルトンの電気化学的フッ素化によって製造された4−(フルオロスルホニル)ヘキサフルオロブチリルフルオリド、FSO2CF2CF2CF2COF(分子量280.1)3240g(11.7モル)を反応器に真空装入し、30分間攪拌した。(重量3240gは、純度55.8%の材料5807gの純量である)。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)(分子量166.0)1485g(8.95モル)を1時間にわたって添加し、それに伴って反応温度は−4℃に上昇し、圧力は28kPaに上がった。モル比は11.7/8.95=1.29であった。その反応混合物を30分間攪拌し、室温に温めた。未反応酸フッ化物10重量%、1:1付加生成物、すなわちパーフルオロ−4−(フルオロスルホニル)ブトキシプロピオニルフロライドFSO2−CF2CF2CF2CF2−O−CF(CF3)COF45重量%、2:1付加副生成物、すなわちFSO2−CF2CF2CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF1.8重量%を含有する下部のフルオロケミカル相7350gを回収した。この結果から、1:1付加生成物のHFPOに対する収率83%(1:1付加生成物(モル)/HFPO反応物(モル))と、1:1付加生成物に対する目的の選択率96%(1:1付加生成物(モル)/1:1および2:1生成物(モル))とが示された。
【0020】
実施例1C(比較例)
600mlステンレス鋼反応器に、KF9gおよびジグライム200mlを装入し、攪拌し、0℃に冷却した。4−(フルオロスルホニル)ヘキサフルオロブチリルフルオリド、FSO2CF2CF2CF2COF(分子量280.1)180g(0.64モル)を反応器に真空装入し、30分間攪拌した。(重量180gは、純度45%の材料400gの純量である)。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)(分子量166.0)107g(0.64モル)を2時間30分にわたって添加した。モル比は0.64/0.64=1.00であった。反応混合物を30分間攪拌し、下部のフルオロケミカル相を蒸留して、1:1付加生成物75重量%、2:1付加副生成物23重量%、3:1付加副生成物2重量%を含有する、110℃を超える沸点を有する留分210gを得た。この結果から、1:1付加生成物のHFPOに対する収率は55%であるが、1:1および2:1付加生成物を比較して、1:1付加生成物に対する選択率77%が示された。
【0021】
実施例2
2ガロン(7571ml)のステンレス鋼反応器に、KF73gおよびジグライム3386gを装入し、−5℃に冷却した。米国特許第6,482,979号明細書に記載のように製造されたパーフルオロメトキシプロピオニルフルオリド、CF3−O−CF2CF2COF(分子量232.0)1693g(7.30モル)を反応器に真空装入し、30分間攪拌した。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)(分子量166.0)848g(5.11モル)を15分間にわたって添加し、さらに15分間反応させた。モル比は7.30/5.11=1.43であった。下部のフルオロケミカル相を蒸留して、出発酸フッ化物26.2%、所望の1:1付加生成物、すなわちパーフルオロメトキシプロポキシルプロピオニルフルオリド、CF3−O−CF2CF2CF2−O−CF(CF3)COF16%を含有するプレカット(precut)1099gを得た。生成物留分1533gは、目的の1:1付加生成物90重量%を含有し、最終留分141gは2:1副生成物66%であった。この結果から、1:1付加生成物のHFPOに対する収率77%および1:1付加生成物に対する目的の選択率94%が示された。
【0022】
実施例2C(比較例)
600mlステンレス鋼反応器に、KF4.3gおよびジグライム188gをパーフルオロメトキシプロピオニルフルオリド、CF3−O−CF2CF2COF(分子量232.0)112g(0.48モル)と共に装入し、その混合物を0℃に冷却した。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)(分子量166.0)80.2g(0.48モル)を10℃で1時間にわたって添加した。モル比は0.48/0.48=1.00であった。相が分離した後、目的の1:1付加生成物78%、2:1副生成物23%を含有するフルオロケミカル182gを回収した結果、1:1付加生成物のHFPOに対する収率は74%であり、選択率はわずか78%であった。
【0023】
実施例3
米国特許第6,482,979号明細書に記載のように、アジピン酸ジメチルの電気化学的フッ素化により製造されたパーフルオロアジポイルフルオリド、FOC−CF2CF2CF2CF2−COF(分子量294.0)1000g(3.40モル)と共に、2リットルの三口丸底フラスコにKF22gおよびジグライム300gを装入し、その混合物を30分間攪拌し、−17℃に冷却した。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)(分子量166.0)480g(2.89モル)を5℃で1時間にわたって添加し、反応混合物をさらに30分間攪拌した。モル比は3.40/2.89=1.18であった。目的の1:1付加生成物、すなわちパーフルオロ−6−(フルオロアシル)ヘキソキシプロピオニルフルオリド、FOC−CF2CF2CF2CF2CF2−O−CF(CF3)COF69重量%、2:1付加副生成物、すなわちFOC−CF2CF2CF2CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF8.8重量%を含有する、下部のフルオロケミカル相1490gを回収した。この結果から、1:1付加生成物のHFPOに対する収率78%、1:1付加生成物に対する目的の選択率89%が示された。
【0024】
実施例3C(比較例)
パーフルオロアジポイルフルオリド、FOC−CF2CF2CF2CF2−COF(分子量294.0)1043g(3.55モル)と共に、5リットルの三口丸底フラスコにKF33gおよびジグライム2140gを装入し、混合物を30分間攪拌し、0℃に冷却した。(重量1043gは、純度83%の材料1257gの純量である)。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)(分子量166.0)587g(3.54モル)を室温で3時間にわたって添加した。モル比は3.55/3.54=1.00であった。混合物を蒸留して、目的の1:1付加生成物74重量%、2:1付加副生成物26重量%を含む混合物1470gを得た。この結果から、1:1付加生成物のHFPOに対する収率は67%であるが、1:1付加生成物に対する目的の選択率は74%であることが示された。
【0025】
実施例1、1C、2、2C、3、および3Cの反応条件を表Iに示し、その結果を表IIにまとめる。「NM」は「求められなかった」ことを意味する。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
本発明による方法は、しばしばより高い収率で、1:1付加(単付加)生成物に対する選択性を大幅に改善することが容易に分かる。さらに、貴重な未反応フッ化パーフルオロアシル反応物は再利用のために回収することができ、それによって、本発明の方法は、連続または反復バッチ方法などの工業用途において非常に有用となる。過剰なフッ化パーフルオロアシルが再循環される場合、フッ化パーフルオロアシル反応物の利用率は、反応選択性の程度に近い。貴重な反応物でもあるHFPOは、反応選択性よりもわずかに低い量で生産的に消費されることから、HFPOおよびフッ化パーフルオロアシル反応物の両方の利用率は、選択性のレベルに近い、つまり90%を超える、さらに典型的には95%を超える。
【0029】
本発明の種々の修正および変更は、本発明の範囲および原理から逸脱することなく、当業者には明らかになるだろう。本発明は、上記に記述される例証となる実施形態に過度に限定されるものではないことは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF (I)
(式中、X−は、F−、FOC−またはFSO2−であり、−Rf−は、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状フルオロアルケン基であって、高度にフッ素化されており、かつ、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよいフルオロアルケン基である)の化合物を製造するための連続または反復バッチ方法であって、
a)X−Rf−COF (II)
(式中、X−および−Rf−は、式(I)について定義したとおりである)と、フッ化物塩と、極性溶媒との混合物を提供するステップ;
b)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を、X−Rf−COFがHFPOに対して少なくとも10%モル過剰で残るような量で添加し、X−Rf−COFをHFPOと反応させるステップ;
c)ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)とX−Rf−COFとの付加生成物の混合物から未反応X−Rf−COFを分離するステップ;および
d)ステップc)で分離された未反応X−Rf−COFを使用して、ステップa)を繰り返し行うステップ;
を含む方法。
【請求項2】
付加生成物の前記混合物が、式(I):
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF (I)
の単付加生成物と、式(III):
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF (III)
の二付加生成物と、を含み、
付加生成物の前記混合物における単付加生成物のモル量が、前記単付加生成物と前記二付加生成物を合わせたモル量に対して90%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
付加生成物の前記混合物が、式(I):
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF (I)
の単付加生成物と、式(III):
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF (III)
の二付加生成物と、を含み、
前記付加生成物における単付加生成物のモル量が、前記単付加生成物と前記二付加生成物を合わせたモル量に対して95%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)で添加されたHFPOのモル数に対する前記単付加生成物のモル収率が75%以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)で添加されたHFPOのモル数に対する前記単付加生成物のモル収率が75%以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)が、前記フッ化物塩以外の触媒を添加することなく行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フッ化物塩がKFである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フッ化物塩がKFである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
−Rf−が、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状の過フッ素化フルオロアルケン基であって、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよい過フッ素化フルオロアルケン基である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
−Rf−が、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状の過フッ素化フルオロアルケン基である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
次式:
X−Rf−COF (II)
(式中、X−は、F−、FOC−またはFSO2−であり、−Rf−は、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状フルオロアルケン基であって、高度にフッ素化されており、かつ、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよいフルオロアルケン基である)
のフッ化パーフルオロアシルとヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を反応させて、次式:
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)COF (I)
の単付加生成物を含む付加生成物の混合物を形成する方法であって、
前記単付加生成物のモル量が、付加生成物の前記混合物において、前記単付加生成物と、次式:
X−Rf−CF2−O−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)COF (III)
の二付加生成物との合計モル量の90%以上である方法。
【請求項12】
前記単付加生成物のモル量が、付加生成物の前記混合物において、前記単付加生成物と前記二付加生成物との合計モル量の90%以上である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)で添加されたHFPOのモル数に対して前記単付加生成物のモル収率が75%以上である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)で添加されたHFPOのモル数に対して前記単付加生成物のモル収率が75%以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップb)が、前記フッ化物塩以外の触媒を添加することなく行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記フッ化物塩がKFである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記フッ化物塩がKFである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
−Rf−が、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状の過フッ素化フルオロアルケン基であって、エーテル基及び第3級アミン基を含んでいてもよいフルオロアルケン基である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
−Rf−が、炭素原子1〜20個を含有する直鎖状、分枝鎖もしくは環状の過フッ素化フルオロアルケン基である、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2006−510719(P2006−510719A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564820(P2004−564820)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/033958
【国際公開番号】WO2004/060849
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】