説明

ヘッドアップディスプレイ装置

【課題】表示情報の上下方向の位置調整を的確に行うことができるとともに、距離感を容易に得ることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置は、ウインドシールドの投射エリア71の外縁部に沿って表示された四角枠状の開口ベゼルの虚像83Vの内側奥に、ガイド光の虚像51Vを反射部材30側の一端から順に表示し、さらにその奥に表示情報の虚像20Vを表示する。そして、ヘッドアップディスプレイ装置が備える反射部材が回動されたときのガイド光の虚像51Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さいので、表示情報の虚像20Vが投射エリアから外れてしまった場合においても、ガイド光の虚像51Vが投射エリアに残って表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示源と、前記表示源に表示された表示情報の表示光を車両のウインドシールド側投射エリアに向けて反射する反射部材と、を有し、前記反射部材によって前記投射エリアに投射される表示情報の虚像と、前記ウインドシールドを透して視認される前記車両の前景と、を重畳視認させるヘッドアップディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者が運転に際して求める情報の増加や多角化に伴って、例えば、緊急度の高い情報など、運転者に通知すべき情報を車両のウインドシールド上に虚像表示して、車両の前景と重畳視認させる、ヘッドアップディスプレイ装置(以下、「HUD装置」という)が自動車、列車等の車両の運転席に採用されている。
【0003】
このようなHUD装置は、車両のダッシュボード内部に表示源を配置し、この表示源の表示する画像や文字などの表示情報を示す表示光を、拡大系ミラー等の反射部材によりウインドシールドに設けられた投射エリアに向けて反射して、この投射エリア上に表示情報の虚像を表示して、車両の前景と重畳視認させる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、運転者は座高等の個人差により目の位置の高さが異なる。そのため、投射エリアに表示された表示情報の虚像を視認できる目の位置の範囲(以下、「アイレンジ」という)が限定されるHUD装置では、表示情報の虚像を形成する前記表示光が運転者の目に向かわないと、運転者は重畳表示された表示情報を十分に視認できない。そのため、反射部材の設置角(即ち、姿勢)を調節する調節手段を設け、その調節に応じて前記表示光を運転者の目に向かわせるように運転者自身に調節させるHUD装置が開示されている。
【0005】
このようなHUD装置701は、図23に示すように、開口719を有する箱状のケース710と、ケース710内に設けられた表示源720と、ケース710内に回動可能に設けられた反射部材730と、反射部材730を回動させる調整手段としての駆動部740と、を有している。
【0006】
ケース710は、車両のダッシュボード780内部に配置される。ケース710の開口719は、ダッシュボード780の上面781に設けられた開口782と重ねて配置される。また、この開口782の縁に沿って四角枠状の開口ベゼル783が設けられている。開口ベゼル783は自発光するとともに、その光がウインドシールド770の投射エリア771の外縁部に重なるように投射されて、その虚像783Vが表示される。反射部材730は、例えば、拡大ミラーなどで構成されており、表示源720に表示された表示情報の表示光をケース710の開口719を通じて車両のウインドシールド770に設けられた投射エリア771に向けて反射する。これにより、投射エリア771上に表示情報の虚像720Vが表示される。駆動部740は、例えば、モータと歯車機構などで構成されており、ダッシュボード780に設けられた図示しない操作スイッチなどが運転者に操作されることに応じて図示しない制御部から送られる制御信号に基づき、投射エリア771上における前記表示光の投射位置(即ち、表示情報の虚像720Vの位置)を前記車両の上下方向に移動させるように反射部材730を回動させて、その設置角を調整する。
【0007】
HUD装置701は、表示源720の表示情報の表示光を投射エリア771に投射させて、表示情報の虚像720Vを、開口ベゼル783の虚像783Vの内側に表示する(図24(a))。また、HUD装置701は、図23に示すように、標準的な座高の運手者の目の位置EPC、高座高の運転者の目の位置EPH、又は、低座高の運転者の目の位置EPL、などに合わせて反射部材730の設置角が調整されると、それぞれ、標準的な座高の運転者によって視認可能な位置(720VC)、高座高の運転者によって視認可能な位置(720VH)、又は、低座高の運転者によって視認可能な位置(720VL)、に表示情報の虚像720Vを表示する。
【0008】
このようなHUD装置701によれば、標準的な座高の運転者、高座高の運転者又は低座高の運転者など、目の位置の高さが異なる運転者が搭乗した場合でも、反射部材730を回動させてその設置角を調整することによって、表示光が各運転者の目(即ち、上記アイレンジ)に向かうように、表示光の投射位置を上下方向に移動させて、表示情報の虚像720Vを視認可能な位置に調整することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭62−72231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したHUD装置701では、例えば、表示情報の虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で高座高の運転者が搭乗した場合、又は、低座高の運転者が搭乗した場合など、表示光が上記アイレンジを外れてしまった場合には、投射エリア771に表示情報の虚像が表示(視認)されないので、運転者は、表示情報の虚像720Vが、投射エリア771の上方に位置している(図24(b))のか、又は、下方に位置している(図24(c))のか不明となり、そのため、表示情報の虚像720Vを移動させる方向が判断できず、虚像720Vが投射エリア771の上方にあるにもかかわらずさらに上方に移動させようとしたり、又は、虚像720Vが投射エリア771の下方にあるにもかかわらずさらに下方に移動させようとしたりしてしまうなど、表示情報の虚像720Vの位置を的確に調整できないという問題があった。また、このようなHUD装置701の表示情報の虚像は、一般的に、運転者の目の位置から数メートル(2〜2.5m程度)前方に見えるように表示され、車両のボンネットなどの比較対象物と同時に視認することによって運転手が距離感を得るものであるが、車両によってはボンネットが運転者から視認できないものがあり、HUD装置701のみでは、虚像720Vの距離感を得にくいという問題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、表示情報の上下方向の位置調整を的確に行うことができるとともに、距離感を容易に得ることができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、開口を有する箱状のケースと、前記ケース内に設けられた表示源と、前記表示源に表示された表示情報の表示光を前記ケースの開口を通じて車両のウインドシールドに設けられた投射エリアに向けて反射するように、前記ケース内に変位可能に設けられた反射部材と、前記投射エリア上における前記表示光の投射位置を前記車両の上下方向に移動させるように前記反射部材を変位させる反射部材変位手段と、を有するヘッドアップディスプレイ装置において、前記ケースにおける前記表示源と前記反射部材との間の内面に、前記表示光の光路に沿って配列された複数の発光体、又は、前記表示光の光路に沿って配置された棒状の発光体、を少なくとも備えたガイドライトユニットを有していることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置である。
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、ガイドライトユニットが、前記ケースにおける前記表示源と前記反射部材との間の内面に、前記表示光の光路に沿って(即ち、該光路に平行又は略平行に)配列された複数の発光体、又は、前記表示光の光路に沿って配置された棒状の発光体、を少なくとも備えているので、この発光体の発する光(即ち、ガイド光)は、表示源の表示光とともに反射部材によって反射されて投射エリアに投射され、そのため、反射部材変位手段によって反射部材が変位されると、ガイド光の投射位置(即ち、ガイド光の虚像の位置)は、表示源の表示光の投射位置(即ち、表示情報の虚像の位置)とともに上下方向に移動する。また、発光体は、表示源に比べて反射部材の近くに配置されているので、ガイド光の虚像は、表示情報の虚像より運転者寄り(手前側)に表示されるとともに、反射部材が変位されたときのガイド光の虚像の移動量は、表示情報の虚像の移動量より小さくなる。また、ガイド光の虚像においても、運転者寄りの一端の移動量は、運転者から遠い(即ち、表示情報の虚像寄りの)他端の移動量より小さくなる。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記発光体が、前記ケースにおける前記表示源の左右方向に相対する一対の側壁の少なくとも一方の内面に前記表示光の光路に平行に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、前記発光体が、前記ケースにおける前記表示源の左右方向に相対する一対の側壁の少なくとも一方の内面に前記表示光の光路に平行に設けられているので、表示情報の虚像が、運転者に対して正面を向くように投射エリアに表示されたときに、ガイド光の虚像が水平になる。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記発光体をその一端から他端に向けて順に発光させる発光制御手段を有していることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載された発明によれば、前記発光体をその一端から他端に向けて順に発光させる発光制御手段を有しているので、ガイド光の虚像に運転者の視認方向に沿って移動する動きを与えることができる。
【0018】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された発明において、前記ガイドライトユニットが、前記複数の発光体を備え、前記複数の発光体が、光源と、長手方向が前記表示光の光路と直交するように前記ケースの内面に突出して設けられ、前記光源の光を前記ケース内側に向けられた発光面に導いて出光させるように形成された角柱状の導光部材と、を備え、且つ、前記導光部材の発光面が、前記表示源から前記反射部材に向かうにしたがって、前記ケースの内面に近づくように傾斜されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4に記載された発明によれば、前記ガイドライトユニットが、前記複数の発光体を備え、前記複数の発光体が、光源と、長手方向が前記表示光の光路と直交するように前記ケースの内面に突出して設けられ、前記光源の光を前記ケース内側に向けられた発光面に導いて出光させるように形成された角柱状の導光部材と、を備えているので、点状の発光体による場合に比べて、ガイド光の虚像が大きく表示され、また、導光部材によって、ケース内面で反射部材に向けて反射された表示情報の表示光が遮られる。また、前記導光部材の発光面が、前記表示源から前記反射部材に向かうにしたがって、前記ケースの内面に近づくように傾斜されているので、発光面が表示源とは反対方向の反射部材に向けられており、そのため、発光面で表示情報の表示光が反射されることを防ぐ。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載された発明によれば、発光体によるガイド光の虚像の位置は、表示情報の虚像の位置とともに上下方向に移動するとともに、反射部材の変位されたときのガイド光の虚像の移動量は、表示情報の虚像の移動量より小さいので、表示情報の虚像が投射エリアから外れてしまった場合においても、ガイド光の虚像が投射エリアに残って表示され、そのため、ガイド光の虚像が表示される位置やガイド光の向きなどによって、表示情報の虚像が、投射エリアの上方にあるのか、下方にあるのか容易に判断することができ、表示情報の上下方向の位置調整を的確に行うことができる。また、ガイド光の虚像は、表示情報の虚像より運転者寄りに表示(視認)されるので、ガイド光の虚像と表示情報の虚像とが同時に視認されることにより、距離感を得ることができる。また、発光体がケース内に設けられているので、装置の大型化を防ぐことができる。また、複雑な機構を要することなく、装置を安価に構成できる。
【0021】
請求項2に記載された発明によれば、表示情報の虚像が、運転者に対して正面を向くように投射エリアに表示されたときに、ガイド光の虚像が水平になるので、即ち、表示情報の虚像が正しく表示されると、ガイド光の虚像が水平になり、そのため、ガイド光の虚像が水平か否かで表示情報の虚像が正しい位置にあるかを判断でき、容易に表示情報の虚像の位置を調整できる。
【0022】
請求項3に記載された発明によれば、ガイド光の虚像表示に運転者の視認方向、即ち、運転者の手前から奥に向かう方向、又は、その逆の方向(車両前後方向)に沿って移動する動きを与えることができるので、HUD装置の表示に運転者の注意を向けさせることができるとともに、運転者の視認方向に奥行き感を演出することができる。
【0023】
請求項4に記載された発明によれば、ガイド光の虚像が大きく表示されるので、ガイド光の視認性を向上できる。また、導光部材によって、ケース内面によって反射部材に向けて反射された表示情報の表示光が遮られるとともに、発光面で表示情報の表示光が反射されることを防ぐので、表示情報の虚像のゴースト(二重表示)や、ケース内が明るくなることによる該虚像のコントラスト低下を防いで、表示情報の視認性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態のヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1のHUD装置が設けられた車両のダッシュボード近傍を示す斜視図である。
【図3】図1のHUD装置のケース上壁を外した状態の斜視図である。
【図4】(a)は、図1のHUD装置によって表示される虚像の配置を模式的に示す平面図であり、(b)は、図1のHUD装置によって表示される虚像の配置を模式的に示す正面図である。
【図5】(a)は、図1のHUD装置によって表示される虚像の位置が運転者に正しく視認されるように調整されている場合の、虚像の配置を模式的示す正面図であり、(b)は、虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で高座高の運転者が搭乗した場合の、虚像の配置を模式的に示す正面図であり、(c)は、虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で低座高の運転者が搭乗した場合の、虚像の配置を模式的に示す正面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図1のHUD装置の複数の発光体によって表示されるガイド光の虚像の第1〜3の変更例の配置を模式的に示す正面図である。
【図7】(a)は、図1のHUD装置によってガイド光の虚像が重なって表示された状態を模式的に示す正面図であり、(b)は、ガイド光の虚像が車両上下方向にずらされて表示された状態を模式的に示す正面図である。
【図8】(a)〜(d)は、図1のHUD装置によって表示されるガイド光の虚像の第1の発光制御の動作例を模式的に示す正面図である。
【図9】(a)〜(d)は、図1のHUD装置によって表示されるガイド光の虚像の第2の発光制御の動作例を模式的に示す正面図である。
【図10】図1のHUD装置によって表示されるガイド光の虚像を経路誘導に利用する場合のこれら虚像の配置を模式的に示す正面図である。
【図11】(a)〜(e)は、図10のガイド光の虚像を経路誘導に利用するために、一端から他端まで順に点灯する発光制御の動作例を模式的に示す正面図である。
【図12】図1のHUD装置のケースの変形例の構成を示す、ケース上壁を外した状態の斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態のヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の構成を示す、ケース上壁を外した状態の斜視図である。
【図14】図13のHUD装置が備える発光体の構成を示す斜視図である。
【図15】(a)〜(c)は、図13の発光体の第1〜3の変形例の構成を示す斜視図である。
【図16】本発明の第3の実施形態のヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の構成を示す、ケース上壁を外した状態の斜視図である。
【図17】図16のHUD装置が備える発光体の構成を示す断面図である。
【図18】(a)は、図17の発光体が備える導光部材の斜視図であり、(b)は、(a)のX−X線に沿う断面図である。
【図19】図16のHUD装置によって表示される虚像の配置を模式的に示す正面図である。
【図20】(a)は、ケースの一対の側壁内面が平面の構成における表示光の進路を模式的に示す平面図であり、(b)は、ケースの一対の側壁内面に照り返し防止壁が設けられた構成における表示光の進路を模式的に示す平面図であり、(c)は、図16のHUD装置の構成における表示光の進路を模式的に示す平面図である。
【図21】(a)〜(c)は、図16のHUD装置が備える発光体の第1〜3の変形例の構成を示す断面図である。
【図22】図16のHUD装置が備える複数の発光体の導光部材の長さがそれぞれ異なる構成を示す断面図である。
【図23】従来のヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す断面図である。
【図24】(a)は、図23のHUD装置によって表示される虚像の位置が運転者に正しく視認されるように調整されている場合の、虚像の配置を模式的示す正面図であり、(b)は、虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で高座高の運転者が搭乗した場合の、虚像の配置を模式的に示す正面図であり、(c)は、虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で低座高の運転者が搭乗した場合の、虚像の配置を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下に、本発明のヘッドアップディスプレイ装置の第1の実施形態を、図1〜図15を参照して説明する。
【0026】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置1は、図1などに示すように、ケース10と、表示源20と、反射部材30と、反射部材変位手段としての駆動部40と、ガイドライトユニット50と、制御部60と、図示しない操作部と、を備えている。HUD装置1は、車両のウインドシールド(ウインドシールドガラス)70に対向するダッシュボード80内に設けられている。
【0027】
ウインドシールド70には、長方形状の投射エリア71が設けられている。この投射エリア71には、後述の開口ベゼル83が発する光、並びに、HUD装置1が備える後述の表示源20の表示光L及びガイドライトユニット50のガイド光、などが投射される。
【0028】
ダッシュボード80には、図1、図2に示すように、ウインドシールド70と相対する上面81に車両幅方向Wに延びるスリット状の開口82が設けられている。また、ダッシュボード80の上面81には、開口82の縁部に沿って開口ベゼル83が設けられている。
【0029】
開口ベゼル83は、透光性樹脂などを用いて四角枠状に形成された導光部材と、発光ダイオードなどの光源と、で構成されている。開口ベゼル83は、導光部材によって光源の光を導いて、投射エリア71の外縁部に重なるように投射することにより、投射エリア71に開口ベゼル83の虚像83Vを表示する。なお、本発明では、開口ベゼル83が自発光しない構成でもよく、又は、開口ベゼル83を設けない構成でもよい。
【0030】
ケース10は、例えば、非透光性の合成樹脂部材や金属部材等によって略直方体の箱状に形成されている。ケース10の上壁11における車両前方寄りの箇所には、後述する表示源20の表示光Lを車両のウインドシールド70に向けて出射するための開口19が設けられている。この開口19は、表示源20の表示面20aに対応した形状(略長方形状)、大きさで形成されている。開口19は、その形状に沿って透明な合成樹脂で形成された表カバー18によって塞がれている。ケース10は、ダッシュボード80内に配置されるとともに、その開口19がダッシュボード80の開口82に重ねられる。
【0031】
表示源20は、パネル状の自発光デバイス(例えば、FE〔フィールドエミッション〕ディスプレイ、蛍光表示管、EL〔エレクトロルミネッセンス〕ディスプレイ等)や、バックライト付きの液晶ディスプレイ等が用いられる。表示源20は、図3に示すように、ケース10における車両後方寄り(運転者寄り)の後壁12内面に重ねられて、その表示面20aを車両前方に向けて配置されている。また、表示源20は、後壁12内面における車両上下方向Vの中央で且つ車両幅方向Wの中央に配置されている。つまり、表示源20は、ケース10内に固定して設けられている。表示源20は、後述する制御部60の制御によって要求された表示情報を表示することで、その表示情報の表示光Lを表示面20aから出射している。なお、表示情報は、その一例として、画像データ、誘導データ、指標データ等の任意のデータを有して構成している。
【0032】
反射部材30は、反射ミラー、拡大ミラー等が用いられ、ケース10における車両前方寄りの前壁13内面に、その反射面30aを車両後方側に向けて配置されている。つまり、表示源20と反射部材30とは、ケース10内で車両前後方向Hに沿って対向するように配置されている。反射部材30は、車両幅方向Wと平行に設けられた回動軸30bによって回動可能に軸支されている。反射部材30は、回動軸30bを中心に回動されることにより、その反射面30aの向きを車両後方から車両上方の範囲内で変えることができる。つまり、反射部材30は、ケース10内に変位可能に設けられている。
【0033】
反射部材30は、表示源20に表示された表示情報の表示光Lを、ケース10の開口19を通じて車両のウインドシールド70に設けられた投射エリア71に向けて反射する。これにより、投射エリア71に表示光Lが投射されて、その投射位置に表示情報の虚像20Vが表示される。また、反射部材30は、回動軸30bを中心に回動されることによって、その反射面30aの向きが変えられると、表示光Lの反射角度が変わり、これにより、表示情報の虚像20Vが、表示光Lの反射角度に応じて車両上下方向Vに移動する。なお、本実施形態では、1つの反射部材30を設ける場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、複数の反射部材30を設けて表示光Lを複数回反射させるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0034】
駆動部40は、制御部60に接続された図示しないモータと、モータの動力を反射部材30に伝達する図示しない歯車機構とで構成されている。駆動部40のモータ及び歯車機構は、ケース10に収容されている。駆動部40は、制御部60から送られる制御信号に基づいてモータが回動し、歯車機構がこのモータの回動力を反射部材30に伝達して、反射部材30を、回動軸30bを中心に回動させる。
【0035】
本実施形態において、反射部材30は回動軸30bによって軸支され、駆動部40は反射部材30を回動軸30bを中心に回動させるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、反射部材30は、所定の円弧状の軌道上を移動可能に設けられ、駆動部40は反射部材30をこの円弧状の軌道に沿って移動させるなど、反射部材30の反射面30aの向きを変えて、つまり、反射部材30を変位させて、表示情報の虚像20Vを車両上下方向Vに移動させるものであれば、これらの構成は任意である。
【0036】
ガイドライトユニット50は、複数の発光体51を備えている。これら複数の発光体51は、例えば、砲弾形状の周知の発光ダイオード(LED)が用いられる。複数の発光体51は、図3に示すように、ケース10における車両幅方向Wに相対する一対の側壁14、15に、その砲弾形状の先端が各側壁内面から突出するように埋め込まれている。なお、本実施形態において、車両幅方向Wは、表示源20に表示される表示情報の向きに対する左右方向と一致する(即ち、表示源20の左右方向)。また、本実施形態において、複数の発光体51は、各側壁14、15にそれぞれ4個ずつ、計8個設けられている。もちろん、これ以外の個数でもよい。
【0037】
複数の発光体51は、一対の側壁14、15における車両上下方向Vの中央の箇所(即ち、表示源20の車両上下方向Vの中央と同じ高さ)に、互いに間隔をあけて表示源20から反射部材30に向かう方向(即ち、表示光Lの光路、車両前後方向H)に平行に配列されている。以下、各発光体51、又は、後述するガイド光の虚像51Vを個別に指定するときなどは、反射部材30寄りの一端から他端に向けて順に符号a、b、c、dで示す。複数の発光体51は、制御部60に接続されており、制御部60から送られる制御信号に応じて、各発光体51が同時に点灯又は消灯される。制御の一例として、複数の発光体51は、表示情報の虚像20Vの表示又は表示消去に合わせて、同時に点灯又は消灯される。つまり、複数の発光体51は、制御部60によって発光制御される。
【0038】
複数の発光体51が発する光(以下、「ガイド光」という)は、反射部材30によって、表示源20の表示光Lと同様に、ケース10の開口19を通じて車両のウインドシールド70に設けられた投射エリア71に向けて反射される。これにより、投射エリア71にガイド光が投射されて、その投射位置にガイド光の虚像51Vが表示される。また、反射部材30が回動されると、表示情報の虚像20Vと同様に、ガイド光の虚像51Vが車両上下方向Vに移動する。
【0039】
上述した表示情報の虚像20V、ガイド光の虚像51V、及び、開口ベゼル83の虚像83V、が投射エリア71に表示された状態を、図4(a)、(b)に模式的に示す。開口ベゼル83の虚像83Vは、投射エリア71の外縁部に沿って表示される。この開口ベゼル83の虚像83Vの内側に、ガイド光の虚像51V及び表示情報の虚像20Vが表示される。ガイド光の虚像51Vは、車両幅方向Wに間隔をあけて且つ車両前後方向Hに沿って2列に配列されて表示されるとともに、表示情報の虚像20Vを列の間に挟んで対向するように表示される。また、最も運転者寄りに開口ベゼル83の虚像83Vが表示され、その奥にガイド光の虚像51Vが反射部材30側の一端から他端に向けて順(a、b、c、dの順)に表示され、さらにその奥に表示情報の虚像20Vが表示される。
【0040】
複数の発光体51は、表示源20に比べて反射部材30の近くに配置されているので、ガイド光の虚像51Vは、表示情報の虚像20Vより運転者寄りに表示されるとともに、反射部材30が回動されたとき、ガイド光の虚像51Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さくなる。また、ガイド光の虚像51Vにおいても、反射部材30に近づくにしたがって、より運転者寄りに表示されるとともに、反射部材30が回動されたときの移動量がより小さくなる。即ち、ガイド光の虚像51Vは、運転者寄りから、a、b、c、dの順に配置され、これらの移動量がa<b<c<dの順となる。
【0041】
制御部60は、公知であるCPU(中央処理装置)、ROM(読み出し専用メモリー)、及びRAM(随時書き込み読み出しメモリー)を含むマイクロコンピュータから構成されている。ROMは、上述した反射部材30の回動方向、回動量等を制御するための回動制御処理プログラム、及び、ガイドライトユニット50の発光体51の発光制御処理プログラム等の各種データを記憶している。これらプログラムを実行することにより、CPU(即ち、制御部60)は、回動制御手段及び発光制御手段などの各種手段として機能する。RAMには、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶されている。
【0042】
図示しない操作部は、制御部60と電気的に接続されており、例えば、反射部材30の回動方向、回動量(即ち、表示光Lの投射位置の車両上下方向Vにおける移動方向、移動量)などを運転者に選択させる複数の操作スイッチ(図示せず)を有している。操作部は、それらの操作スイッチに対する操作に応じた操作信号を制御部60に出力する。制御部60は、操作信号に応じて、駆動部40に制御信号を送信する。操作部は、ダッシュボード80における運転者と対向するフロントパネル等に、運転者が操作可能に設けられている。
【0043】
上述したHUD装置1は、表示源20の表示面20aから出射された表示光L及びガイドライトユニット50の複数の発光体51が発したガイド光を、反射部材30によって、ケース10の開口19を通じてウインドシールド70の投射エリア71に向けて反射する。そして、投射エリア71に投射された表示光L及びガイド光が、それぞれ、表示情報の虚像20V及びガイド光の虚像51Vとして表示され、これら虚像とウインドシールド70を通して視認される車両の前景とを運転者に重畳視認させる。
【0044】
また、HUD装置1は、運転者の目の位置EPがアイレンジを外れてしまった場合でも、上記表示情報の虚像20V及びガイド光の虚像51Vの位置を、駆動部40などによって、車両上下方向Vに移動することにより上記各虚像の位置を調整して、運転者に視認させることができる。
【0045】
次に、上述した第1の実施形態のヘッドアップディスプレイ装置における本発明に係る動作(作用)について、図5(a)〜(c)を参照して説明する。
【0046】
表示源20の表示情報の虚像20Vの位置が運転者に正しく視認されるように調整されている場合、図5(a)に示すように、表示情報の虚像20Vは、開口ベゼルの虚像83Vの内側中央に表示され、そして、2列のガイド光の虚像51Vが、この表示情報の虚像20Vを間に挟むように車両幅方向Wに対向して表示される。このとき、ガイド光の虚像51Vは車両幅方向Wと平行(即ち、水平)に表示される。
【0047】
また、表示情報の虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で高座高の運転者が搭乗した場合、表示光Lが運転者のアイレンジを外れて、図5(b)に示すように、表示情報の虚像20Vが、開口ベゼルの虚像83Vの上方に位置して、表示情報の虚像20Vが表示されない(運転者から視認できない)が、このような場合でも、ガイド光の虚像51Vの運転者寄りの一端部分(a、b)が開口ベゼルの虚像83Vの内側に上方寄りに表示され、さらにガイド光の虚像51Vが手前から奥に向かうにしたがって徐々に上方に表示される(即ち、ガイド光の虚像51Vの向きが上方に向かっている)ので、運転者は、表示情報の虚像20Vが開口ベゼルの虚像83V(即ち、投射エリア71)の上方に位置していることを認識できる。
【0048】
また、表示情報の虚像の位置が標準的な座高の運転者に合わせて調整されている状態で低座高の運転者が搭乗した場合、表示光Lが運転者のアイレンジを外れて、図5(c)に示すように、表示情報の虚像20Vが、開口ベゼルの虚像83Vの下方に位置して、表示情報の虚像20Vが表示されない(運転者から視認できない)が、このような場合でも、ガイド光の虚像51Vの運転者寄りの一端部分(a、b)が開口ベゼルの虚像83Vの内側に下方寄りに表示され、さらにガイド光の虚像51Vが手前から奥に向かうにしたがって徐々に下方に表示される(即ち、ガイド光の虚像51Vの向きが下方に向かっている)ので、運転者は、表示情報の虚像20Vが開口ベゼルの虚像83V(即ち、投射エリア71)の下方に位置していることを認識できる。
【0049】
このように本実施形態によれば、ガイドライトユニット50が、ケース10における表示源20と反射部材30との間の一対の側壁14、15の内面に、表示光Lの光路に沿って配列された複数の発光体51を備えているので、この発光体51の発するガイド光は、表示源20の表示光Lとともに反射部材30によって反射されて投射エリア71に投射され、そのため、駆動部40によって反射部材30が回動されると、ガイド光の投射位置(即ち、ガイド光の虚像51Vの位置)は、表示源20の表示光Lの投射位置(即ち、表示情報の虚像20Vの位置)とともに車両上下方向Vに移動する。また、複数の発光体51は、表示源20に比べて反射部材30の近くに配置されているので、ガイド光の虚像51Vは、表示情報の虚像20Vより運転者寄り(手前側)に表示されるとともに、反射部材30が回動されたときのガイド光の虚像51Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さくなる。また、ガイド光の虚像51Vにおいても、運転者寄りの一端aの移動量は、運転者から離れた(即ち、表示情報の虚像20V寄り)の他端dの移動量より小さくなる。
【0050】
また、複数の発光体51が、ケース10における表示源20の左右方向に相対する一対の側壁14、15の内面に表示光Lの光路と平行に設けられているので、表示情報の虚像20Vが、運転者に対して正面を向くように投射エリア71に表示されたときに、ガイド光の虚像51Vが水平になる。
【0051】
以上より、本発明によれば、複数の発光体51のガイド光の虚像51Vの位置は、表示情報の虚像20Vの位置とともに車両上下方向Vに移動するとともに、反射部材30が回動されたときのガイド光の虚像51Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さいので、表示情報の虚像20Vが投射エリア71から外れてしまった場合においても、ガイド光の虚像51Vが投射エリア71に残って表示され、そのため、ガイド光の虚像51Vが表示される位置(即ち、上寄りか下寄りか)やその向き(即ち、一端から他端に向かう方向)によって、表示情報の虚像20Vが、投射エリア71の上方にあるのか、下方にあるのか容易に判断することができ、表示情報の虚像20Vの車両上下方向Vの位置調整を的確に行うことができる。また、ガイド光の虚像51Vは、表示情報の虚像20Vより運転者寄り(手前)に表示されるので、ガイド光の虚像51Vと表示情報の虚像20Vとが同時に視認されることにより、距離感を得ることができる。また、複数の発光体51がケース10内に設けられているので、HUD装置1の大型化を防ぐことができる。また、複雑な機構を要することなく、HUD装置1を安価に構成できる。
【0052】
また、表示情報の虚像20Vが、運転者に対して正面を向くように投射エリア71に表示されたときに、ガイド光の虚像51Vが水平になるので、即ち、表示情報の虚像20Vが正しく表示されると、ガイド光の虚像51Vが水平になり、そのため、ガイド光の虚像51Vが水平か否かで表示情報の虚像20Vが正しい位置にあるかを判断でき、容易に表示情報の虚像20Vの位置を調整できる。
【0053】
本実施形態において、複数の発光体51は、一対の側壁14、15の内面における車両上下方向Vの中央の箇所に、互いに間隔をあけて車両前後方向H(即ち、表示光Lの光路)に平行に配列されているものであったが、これに限定されるものではない。これら複数の発光体51を、例えば、(1)ケース10における車両前後方向Hに沿う4辺の内側に配列したり、(2)ケース10における車両前後方向Hに沿う4辺のうち下壁16に接する2辺の内側に配列したり、(3)ケース10の下壁16内面に車両前後方向Hに平行に2列に配置したり、してもよい。これら(1)〜(3)の構成における虚像表示の例を、それぞれ図6(a)〜(c)に示す。
【0054】
また、投射エリア71が小さい場合やケース10を小型化した場合など、一対の側壁14、15の間隔を十分に確保できない場合や複数の発光体51の互いの間隔が十分に確保できない場合などにおいて、図7(a)に示すように、ガイド光の虚像51Vが重なってしまうことがある。このようなときは、各発光体51を表示源20から反射部材30に向かうにしたがって車両上下方向Vに徐々にずらすように配置してもよい。このように配置することで、図7(b)に示すように、ガイド光の虚像51Vが重なってしまうことを防いで、ガイド光の虚像51Vの視認性を向上できる。特に、発光体51の幅以上ずらして配置することが好ましい。
【0055】
このように、ガイドライトユニット50の複数の発光体51は、ケース10の上壁11、下壁16、側壁14、15のいずれかの内面に、即ち、ケース10における表示源20と反射部材30との間の内面に設けられていればよい。また、複数の発光体51は、表示光Lの光路に沿って、即ち、本発明の目的に反しない範囲で表示光Lの光路に平行又は略平行に配列されていればよい。
【0056】
また、本実施形態において、複数の発光体51は、各発光体51が同時に点灯又は消灯するように制御されるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、(1)複数の発光体51を、反射部材30に近い一端(即ち、発光体51のa)から一定時間(例えば、1秒)毎に順次点灯していき、反射部材30から遠い他端(即ち、発光体51のd)まで点灯した後、全てを消灯して、再度、同様に一端から順次点灯する動作や、(2)複数の発光体51を、反射部材30に近い一端(即ち、発光体51のa)から一定時間(例えば、1秒)毎に順次点灯するとともに直前に点灯していたものを消灯していき、反射部材30から遠い他端(即ち、発光体51のd)まで点灯した後、再度、同様に一端から順次点灯する動作、をするように制御部60によって制御してもよい。これら(1)、(2)の動作における虚像表示の例を、それぞれ図8(a)〜(d)、図9(a)〜(d)に示す。このような制御を行うことによって、ガイド光の虚像に運転者の視認方向(即ち、車両前後方向H)に沿って移動する動きを与えることができ、HUD装置1の表示に運転者の注意を向けさせることができるとともに、運転者の視認方向に奥行き感を演出することができる。
【0057】
また、ガイド光の虚像51Vの動きを、ナビゲーション装置による経路誘導などに用いてもよい。例えば、複数の発光体51を、ケース10の下壁16内面に、車両前後方向Hに沿って互いに平行に3列(左側、中央、右側)に配列し、さらに、左右に位置する2列における表示源20側の他端を車両幅方向Wに沿って左右方向に折り曲げて延長して配列する。そして、車両が曲がる方向に応じて、右側又は左側に配列された複数の発光体51を、反射部材30側の一端から他端に向けて順に点灯させる。図10に、複数の発光体51を全て点灯したときの表示を示し、図11(a)〜(e)に、経路誘導時のガイド光の虚像51Vの表示の一例を示す。
【0058】
また、本実施形態において、ケース10は、略直方体の箱状に形成されるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、ケース10の後壁12から前壁13に向かうにしたがい縦断面積が徐々に大きくなるように形成された四角錐台形状や、上面視L字状の箱形に形成されていてもよい。図12に示すHUD装置1Aは、上面視L字状の箱状に形成されたケース10Aを備え、ケース10AのL字の一端に表示源20、L字の他端に反射部材30、L字の角部に表示源20の表示光を反射部材30に向けて反射する補助反射部材31、L字の長辺及び短辺に相当する側壁内面にガイドライトユニット50(即ち、複数の発光体51)、がそれぞれ設けられている。このように、HUD装置のケース形状やその構成などは、本発明の目的に反しない限り任意である。
【0059】
(第2の実施形態)
以下に、本発明のヘッドアップディスプレイ装置の第2の実施形態を、図13〜図15を参照して説明する。
【0060】
ヘッドアップディスプレイ装置2は、図13に示すように、ケース10と、表示源20と、反射部材30と、反射部材変位手段としての駆動部40と、ガイドライトユニット50Aと、制御部60と、図示しない操作部と、を備えている。HUD装置2は、上述した第1の実施形態のHUD装置1と同様に、車両のウインドシールド(ウインドシールドガラス)70に対向するダッシュボード80内に設けられている。なお、第2の実施形態において、ガイドライトユニット50A以外の構成要素は上述した第1の実施形態と同一であるので、これら同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
ガイドライトユニット50Aは、一対の発光体52を備えている。発光体52は、図14に示すように、光拡散材を含有する透光性樹脂を用いて角柱状(即ち、棒状)に形成された導光部材53と、導光部材53の一端に設けられた入光面に光を入光する、周知の表面実装型の発光ダイオードなどからなる光源54と、で構成されている。
【0062】
導光部材53は、図13に示すように、ケース10の一対の側壁14、15の内面における車両上下方向Vの中央の箇所に、表示源20から反射部材30に向かう方向(即ち、表示光Lの光路、車両前後方向H)に平行に配置されている。導光部材53は、角柱や円柱など長尺の棒状に形成されるとともに、上記方向に沿って、即ち、本発明の目的に反しない範囲で上記方向に平行又は略平行に配置されていればよい。
【0063】
また、光源54は、導光部材53における表示源20寄りに配置された一端に光を入光するように、導光部材53の入光面に相対して一対の側壁14、15に設けられている。発光体52の光源54は、制御部60に接続されており、制御部60から送られる制御信号に応じて、例えば、表示情報の虚像20Vの表示又は表示消去に合わせて、点灯又は消灯される。導光部材53は、光源54が点灯して入光面に入光されると、その全体に亘って発光する。また、発光体52は、一方の側壁内面にのみ設けられていてもよく、ケース10の上壁11、下壁16、側壁14、15のいずれかの内面に、即ち、ケース10における表示源20と反射部材30との間の内面に設けられていればよい。
【0064】
本実施形態によれば、ガイドライトユニット50Aが、ケース10における表示源20と反射部材30との間の一対の側壁14、15の内面に、表示光Lの光路に沿って配列された一対の発光体52を備えているので、この発光体52の発するガイド光は、表示源20の表示光Lとともに反射部材30によって反射されて投射エリア71に投射され、そのため、駆動部40によって反射部材30が回動されると、ガイド光の投射位置(即ち、ガイド光の虚像(図示なし)の位置)は、表示源20の表示光Lの投射位置(即ち、表示情報の虚像20Vの位置)とともに車両上下方向Vに移動する。また、一対の発光体52は、表示源20に比べて反射部材30の近くに配置されているので、ガイド光の虚像は、表示情報の虚像20Vより運転者寄り(手前側)に表示されるとともに、反射部材30が回動されたときのガイド光の虚像の移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さくなる。また、ガイド光の虚像においても、運転者寄りの一端の移動量は、運転者から離れた(即ち、表示情報の虚像20V寄り)の他端の移動量より小さくなる。なお、本実施形態におけるガイド光の虚像は、上述した第1の実施形態のガイド光の虚像51Vをそれぞれ連続させた直線のように表示され、且つ、虚像51Vと同様に移動される。
【0065】
また、一対の発光体52が、ケース10における表示源20の左右方向に相対する一対の側壁14、15の内面に表示光Lの光路と平行に設けられているので、表示情報の虚像20Vが、運転者に対して正面を向くように投射エリア71に表示されたときに、ガイド光の虚像が水平になる。
【0066】
以上より、本発明によれば、一対の発光体52のガイド光の虚像の位置は、表示情報の虚像20Vの位置とともに車両上下方向Vに移動するとともに、反射部材30が回動されたときのガイド光の虚像の移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さいので、表示情報の虚像20Vが投射エリアから外れてしまった場合においても、ガイド光の虚像が投射エリアに残って表示され、そのため、ガイド光の虚像が表示される位置(即ち、上寄りか下寄りか)やその向き(即ち、一端から他端に向かう方向)によって、表示情報の虚像20Vが、投射エリア71の上方にあるのか、下方にあるのか容易に判断することができ、表示情報の虚像20Vの車両上下方向Vの位置調整を的確に行うことができる。また、ガイド光の虚像は、表示情報の虚像20Vより運転者寄り(手前)に表示されるので、ガイド光の虚像と表示情報の虚像20Vとが同時に視認されることにより、距離感を得ることができる。また、一対の発光体52がケース10内に設けられているので、HUD装置2の大型化を防ぐことができる。また、複雑な機構を要することなく、HUD装置2を安価に構成できる。
【0067】
また、表示情報の虚像20Vが、運転者に対して正面を向くように投射エリア71に表示されたときに、ガイド光の虚像が水平になるので、即ち、表示情報の虚像20Vが正しく表示されると、ガイド光の虚像が水平になり、そのため、ガイド光の虚像が水平か否かで表示情報の虚像20Vが正しい位置にあるかを判断でき、容易に表示情報の虚像20Vの位置を調整できる。
【0068】
本実施形態における発光体52は、上述した構成以外にも、例えば、図15(a)に示す発光体52Aのように、透明な合成樹脂を用いて角柱状に形成された導光部材53Aのケース10内側に向けられる前面53aに、その一端を斜めに切り欠いて形成した全反射面53bを設けて、導光部材53Aにおける各側壁と重ねられる背面53cの一端側に前記全反射面53bで全反射されるように光源54の光を入光する構成としてもよい。または、例えば、図15(b)に示す発光体52Bのように、透明な合成樹脂を用いて角柱状に形成された導光部材53Bに、ケース10の内側に向けて光源54の光を反射するように、一端から他端に向かい徐々に深くなるくさび状の切り欠きからなる複数のプリズムカット部Pが背面53cに長手方向に間隔をあけて設けられていてもよく、又は、図15(c)に示す発光体52Cのように、透明な合成樹脂を用いて角柱状に形成された導光部材53Cに、光源54の光を拡散反射するように、乱反射加工を施して形成された乱反射処理部Rが背面53cに長手方向に間隔をあけて設けられていてもよい。または、上述したプリズムカット部Pや乱反射処理部Rに代えて、導光部材の背面に複数の入光面を設けて、各入光面に対応する複数の光源を設けた構成などにしてもよい。このような、52B、52Cを用いることで、直線状のガイド光の虚像とは異なり、上述した第1の実施形態と同様に、視認方向に沿って間隔をあけて配列された複数のガイド光の虚像が表示される。
【0069】
(第3の実施形態)
以下に、本発明のヘッドアップディスプレイ装置の第3の実施形態を、図16〜図22を参照して説明する。
【0070】
ヘッドアップディスプレイ装置3は、図16などに示すように、ケース10と、表示源20と、反射部材30と、反射部材変位手段としての駆動部40と、ガイドライトユニット55と、制御部60と、図示しない操作部と、を備えている。HUD装置3は、上述した第1の実施形態のHUD装置1と同様に、車両のウインドシールド(ウインドシールドガラス)70に対向するダッシュボード80内に設けられている。なお、第3の実施形態において、ガイドライトユニット55以外の構成要素は上述した第1の実施形態と同一であるので、これら同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
ガイドライトユニット55は、複数の発光体56を備えている。これら複数の発光体56は、図17に示すように、一端に平面状の入光面57aが設けられた、透明な合成樹脂からなる角柱状の導光部材57と、導光部材57の入光面57aに光を入光する、周知の表面実装型の発光ダイオードなどからなる光源58と、でそれぞれ構成されている。導光部材57は、長手方向が表示源20から反射部材30に向かう方向(即ち、表示光Lの光路、車両前後方向H)に直交するように(即ち、車両上下方向Vに平行に)、ケース10の一対の側壁14、15の内面に突出して設けられている。導光部材57は、入光面57aに入光された光源58の光を、ケース10内側に向けられた発光面57bに導いて出光させる。
【0072】
導光部材57の発光面57bは、図17及び図18(a)に示すように、縦断面が円弧状の凹面状に形成されているとともに、図18(b)に示すように、表示源20側の縁部57cから反射部材30側の縁部57dに向かうにしたがって、ケース10の側壁14又は側壁15の内面に近づくように傾斜されている。なお、発光面57bは、縦断面が直線の平面状に形成されていてもよい。
【0073】
複数の発光体56は、一対の側壁14、15における車両上下方向Vの中央の箇所に、互いに間隔をあけて表示源20から反射部材30に向かう方向(即ち、表示光Lの光路方向、車両前後方向H)に沿って配列されている。本実施形態において、複数の発光体56は、各側壁14、15にそれぞれ4個ずつ、計8個設けられている。もちろん、これ以外の個数でもよい。複数の発光体56(即ち、光源58)は、制御部60に接続されており、制御部60から送られる制御信号に応じて、例えば、表示情報の虚像20Vの表示又は表示消去に合わせて、各発光体56が同時に点灯又は消灯される。また、図8、図9と同様に、端から順に点灯又は消灯されるなどの動作を与えてもよい。つまり、複数の発光体56は、制御部60によって発光制御される。
【0074】
複数の発光体56が発する光(即ち、ガイド光)は、反射部材30によって、表示源20の表示光Lと同様に、ケース10の開口19を通じて車両のウインドシールド70に設けられた投射エリア71に向けて反射される。これにより、投射エリア71にガイド光が投射されて、その投射位置にガイド光の虚像56Vが表示される。また、反射部材30が回動されると、表示情報の虚像20Vと同様に、ガイド光の虚像56Vが車両上下方向Vに移動する。
【0075】
上述した表示情報の虚像20V、ガイド光の虚像56V、及び、開口ベゼル83の虚像83V、が投射エリア71に表示された状態を、図19に模式的に示す。開口ベゼル83の虚像83Vは、投射エリア71の外縁部に沿って表示される。この開口ベゼル83の虚像83Vの内側に、ガイド光の虚像56V及び表示情報の虚像20Vが表示される。ガイド光の虚像56Vは、車両幅方向Wに間隔をあけて且つ車両前後方向Hに沿って2列に配列されて表示されるとともに、表示情報の虚像20Vを列の間に挟んで対向するように表示される。また、最も運転者寄りに開口ベゼル83の虚像83Vが表示され、その奥にガイド光の虚像56Vが反射部材30側の一端から他端に向けて順に表示され、さらにその奥に表示情報の虚像20Vが表示される。また、ガイド光の虚像56Vは、複数の三日月形状が車両前後方向Hに沿って配列されるように表示される。
【0076】
複数の発光体56は、表示源20に比べて反射部材30の近くに配置されているので、ガイド光の虚像56Vは、表示情報の虚像20Vより運転者寄りに表示されるとともに、反射部材30が回動されたとき、ガイド光の虚像56Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さくなる。また、ガイド光の虚像56Vにおいても、反射部材30に近づくにしたがって、より運転者寄りに表示されるとともに、反射部材30が回動されたときの移動量がより小さくなる。また、複数の発光体56は、発光面57bが発光する。
【0077】
次に、上述した第3の実施形態のヘッドアップディスプレイ装置における本発明に係る動作(作用)について、図20(a)〜(c)を参照して説明する。
【0078】
図20(a)は、ケース10の一対の側壁14、15の内面が平面状に形成された構成における表示源20の表示光Lの進路を模式的に示す図である。この場合、表示光Lが側壁14、15の内面で反射されるとともに、反射部材30によって反射されて、投射エリア71に投射されてしまうので、表示情報の虚像20Vのゴースト(二重表示)や、ケース内が明るくなることによる該虚像20Vのコントラスト低下が生じて、表示情報の視認性が低下する。
【0079】
図20(b)は、ケース10の一対の側壁14、15の内面に、長手方向が表示源20から反射部材30に向かう方向に直交するように(即ち、車両上下方向Vに平行に)、突出して設けられた、複数の角柱状の照り返し防止壁17を設けた構成における表示源20の表示光Lの進路を模式的に示す図である。この構成によれば、照り返し防止壁17によって、側壁14、15の内面で反射部材30に向けて反射された表示光Lを遮ることができる。しかしながら、照り返し防止壁17のケース10内側に向けられた面で表示光Lが反射されてしまうので、上述したような表示情報の視認性の低下を十分に防ぐことができない。
【0080】
図20(c)は、上述した第3の実施形態の構成における表示源20の表示光Lの進路を模式的に示す図である。この構成によれば、複数の発光体56の導光部材57によって、側壁14、15の内面で反射部材30に向けて反射された表示光Lを遮ることができる。また、導光部材57のケース10内側に向けられた発光面57bが、表示源20から反射部材30に向かうにしたがって、一対の側壁14、15内面に近づくように傾斜されているので、発光面57bで表示光Lが反射されることがなく、表示情報の視認性を向上できる。また、このような作用に加えて、上述した第1の実施形態と同様の作用も有する。
【0081】
このように本実施形態によれば、ガイドライトユニット55が、ケース10における表示源20と反射部材30との間の一対の側壁14、15の内面に、表示光Lの光路に沿って配列された複数の発光体56を備えているので、この発光体56の発するガイド光は、表示源20の表示光Lとともに反射部材30によって反射されて投射エリア71に投射され、そのため、駆動部40によって反射部材30が回動されると、ガイド光の投射位置(即ち、ガイド光の虚像56Vの位置)は、表示源20の表示光Lの投射位置(即ち、表示情報の虚像20Vの位置)とともに車両上下方向Vに移動する。また、複数の発光体56は、表示源20に比べて反射部材30の近くに配置されているので、ガイド光の虚像56Vは、表示情報の虚像20Vより運転者寄り(手前側)に表示されるとともに、反射部材30が回動されたとき、ガイド光の虚像56Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さくなる。また、ガイド光の虚像56Vにおいても、運転者寄りの一端の移動量は、運転者から離れた(即ち、表示情報の虚像20V寄り)の他端の移動量より小さくなる。
【0082】
また、ガイドライトユニット55が、複数の発光体56を備え、複数の発光体56が、光源58と、長手方向が表示光Lの光路と直交するようにケース10の一対の側壁14、15の内面に突出して設けられ、光源58の光をケース10内側に向けられた発光面57bに導いて出光させるように形成された角柱状の導光部材57と、を備えているので、点状の発光体による場合に比べて、ガイド光の虚像56Vが大きく表示され、また、導光部材57によって、ケース10の一対の側壁14、15の内面で反射部材30に向けて反射された表示源20の表示光Lが遮られる。また、導光部材57の発光面57bが、表示源20から反射部材30に向かうにしたがって、ケース10の一対の側壁14、15の内面に近づくように傾斜されているので、発光面57bが表示源20とは反対方向の反射部材30に向けられており、そのため、発光面57bで表示源20の表示光Lが反射されることを防ぐ。
【0083】
以上より、本発明によれば、複数の発光体56のガイド光の虚像56Vの位置は、表示情報の虚像20Vの位置とともに車両上下方向Vに移動するとともに、反射部材30が回動されたときのガイド光の虚像56Vの移動量は、表示情報の虚像20Vの移動量より小さいので、表示情報の虚像20Vが投射エリア71から外れてしまった場合においても、ガイド光の虚像56Vが投射エリア71に残って表示され、そのため、ガイド光の虚像56Vが表示される位置(即ち、上寄りか下寄りか)やその向き(即ち、一端から他端に向かう方向)によって、表示情報の虚像20Vが、投射エリア71の上方にあるのか、下方にあるのか容易に判断することができ、表示情報の虚像20Vの車両上下方向Vの位置調整を的確に行うことができる。また、ガイド光の虚像56Vは、表示情報の虚像20Vより運転者寄り(手前)に表示されるので、ガイド光の虚像56Vと表示情報の虚像20Vとが同時に視認されることにより、距離感を得ることができる。また、複数の発光体56がケース10内に設けられているので、HUD装置3の大型化を防ぐことができる。また、複雑な機構を要することなく、HUD装置3を安価に構成できる。
【0084】
また、ガイド光の虚像56Vが大きく表示されるので、ガイド光の視認性を向上できる。また、導光部材57によって、ケース10の一対の側壁14、15の内面によって反射部材30に向けて反射された表示源20の表示光Lが遮られるとともに、発光面57bで表示源20の表示光Lが反射されることを防ぐので、表示情報の虚像20Vのゴースト(二重表示)や、ケース内が明るくなることによる該虚像20Vのコントラスト低下を防いで、表示情報の視認性を向上できる。
【0085】
本実施形態において、導光部材57の一端に設けられた入光面57aは平面状に形成されているものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、図21(a)に示すように、凸レンズ状に形成されていたり、図21(b)に示すように凹レンズ状に形成されていたり、してもよく、または、図21(c)に示すように、導光部材57の発光面57bに、その一端を斜めに切り欠いて形成した全反射面57eを設けて、発光面57bと対向する背面57fの一端側に前記全反射面57eで全反射されるように光源58の光を入光する構成としてもよく、導光部材57及び光源58の形状及び配置は、本発明の目的に反しない限り任意である。
【0086】
また、本実施形態において、各導光部材57の長さは同一であったが、これに限定されるものではなく、例えば、図22に示すHUD装置3Aのように、反射部材30から表示源20に向かうにしたがって、導光部材57の長さを徐々に短くしてもよい。このようにすることで、より奥行き感を演出することができる。
【0087】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、2、3、3A ヘッドアップディスプレイ装置
10 ケース
14、15 一対の側壁
19 開口
20 表示源
20a 表示面
20V 表示情報の虚像
30 反射部材
30a 反射面
30b 回動軸
40 駆動部(反射部材変位手段)
50、50A、55 ガイドライトユニット
51、52、52A、52B、56 発光体
51V、56V ガイド光の虚像
53、53A、53B、57 導光部材
54、58 光源
57b 発光面
60 制御部(発光制御手段)
70 ウインドシールド
71 投射エリア
83 開口ベゼル
83V 開口ベゼルの虚像
L 表示光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する箱状のケースと、前記ケース内に設けられた表示源と、前記表示源に表示された表示情報の表示光を前記ケースの開口を通じて車両のウインドシールドに設けられた投射エリアに向けて反射するように、前記ケース内に変位可能に設けられた反射部材と、前記投射エリア上における前記表示光の投射位置を前記車両の上下方向に移動させるように前記反射部材を変位させる反射部材変位手段と、を有するヘッドアップディスプレイ装置において、
前記ケースにおける前記表示源と前記反射部材との間の内面に、前記表示光の光路に沿って配列された複数の発光体、又は、前記表示光の光路に沿って配置された棒状の発光体、を少なくとも備えたガイドライトユニットを有している
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記発光体が、前記ケースにおける前記表示源の左右方向に相対する一対の側壁の少なくとも一方の内面に前記表示光の光路に平行に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記発光体をその一端から他端に向けて順に発光させる発光制御手段を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ガイドライトユニットが、前記複数の発光体を備え、
前記複数の発光体が、光源と、長手方向が前記表示光の光路と直交するように前記ケースの内面に突出して設けられ、前記光源の光を前記ケース内側に向けられた発光面に導いて出光させるように形成された角柱状の導光部材と、を備え、且つ、
前記導光部材の発光面が、前記表示源から前記反射部材に向かうにしたがって、前記ケースの内面に近づくように傾斜されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2011−128450(P2011−128450A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288069(P2009−288069)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】