ヘッドマウントディスプレイ装置、画像制御方法および画像制御プログラム
【課題】撮影者が撮像部を操作することなく、撮像を行うことができ、尚且つ、焦点合わせの操作に時間のかからないHMDを提供する。
【解決手段】CCD5により撮像された外景から、トリガ色CLを有する領域が抽出され(SA4)、ボケ領域、即ち、画像ボケしている領域の抽出が行われる(SA5)。ボケ領域の抽出が行われると、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれかの部分が、予めROM13に記憶されている所定の形状SHと略一致するか否かが判断される(SA6)。SA6が肯定されると(SA6:Yes)、SA6にて、所定の形状SHと略一致する部分と判断された部分から、画像の切り出しが行われる範囲を示す撮像枠FRが決定される(SA7)。
【解決手段】CCD5により撮像された外景から、トリガ色CLを有する領域が抽出され(SA4)、ボケ領域、即ち、画像ボケしている領域の抽出が行われる(SA5)。ボケ領域の抽出が行われると、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれかの部分が、予めROM13に記憶されている所定の形状SHと略一致するか否かが判断される(SA6)。SA6が肯定されると(SA6:Yes)、SA6にて、所定の形状SHと略一致する部分と判断された部分から、画像の切り出しが行われる範囲を示す撮像枠FRが決定される(SA7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、撮影者が画像情報に基づいた画像光による情報画像と外光による外景画像とを同時に視認しながら、外景画像を撮像できるヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、撮像範囲内に映る撮影者の手指の位置や形に基づいて、外景画像の撮像や撮像した画像の画像処理を行うHMDが特許文献1に提案されている。
【0003】
このようなHMDを使用することで、撮影者はカメラに触れることなく、また、リモコン等の操作部材を使用することなく撮像を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−17501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、撮影者が特許文献1に開示されているHMDを使用する場合、撮像範囲を決定するために、少なくとも一度、手指に焦点を合わせる操作が必要となる。そのため、外景に焦点を合わせる操作と手指に焦点を合わせる操作との2つの焦点合わせ操作が必要となり、焦点合わせに時間がかかる。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、撮影者が撮像部を操作することなく、撮像を行うことができ、尚且つ、焦点合わせの操作に時間のかからないHMDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、外光による外景画像を撮像する撮像部を備え、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置であって、前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出部と、前記撮像部により撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識部と、前記低周波数領域抽出部により抽出された領域であって、前記色相認識部により認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定部と、前記撮像部により撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記低周波数領域抽出部は、前記外景画像のうち、明るさの変化勾配の大きさがあらかじめ設定された所定値以下の領域を抽出することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記撮像部の合焦位置を示すマーカー画像を生成するマーカー生成部を備え、前記マーカー画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠の画像を生成する撮像枠画像生成部を備え、前記撮像枠の画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記画像抽出部により抽出され、記憶された画像を読み出して生成する抽出画像生成部を備え、前記抽出画像生成部により生成された前記撮像枠内の画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記低周波数領域抽出部、前記色相認識部、前記撮像枠決定部、及び前記画像抽出部のうち、いずれの部位が動作しているかを検知する動作状態検知部と、前記動作状態検知部により検知された結果に応じて、動作状態を示す動作情報を生成する動作情報生成部と、を備え、前記動作情報生成部により生成された前記動作情報を前記撮影者に通知するための画像が、前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項7記載の本発明は、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御方法であって、前記外景画像を撮像する撮像ステップと、前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項8記載の本発明は、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御プログラムであって、前記外景画像を撮像する撮像ステップと、前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、をコンピュータにより実現することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者はあらかじめ手指の色相と形状とをHMDに設定しておくことで、撮影者が撮像部の撮像範囲に手指をかざし、手指を、高い空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域、即ち、画像ボケしている領域に入れることで、外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0016】
即ち、手指に焦点位置を合わせる操作は不必要となり、撮影者は焦点合わせの操作に時間をかけずに撮像することが可能となる。
【0017】
請求項2記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者はあらかじめ明るさの変化勾配の所定値をHMD装置に設定しておくことで、撮影者が撮像部の撮像範囲に手指をかざし、明るさの変化勾配が所定値以下の領域、即ち、画像ボケしている領域に手指を入れることで、外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0018】
即ち、手指に焦点位置を合わせる操作は不必要となり、撮影者は焦点合わせの操作に時間をかけずに撮像することが可能となる。
【0019】
請求項3記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は撮像部の合焦位置を示す、マーカー画像を視認することが可能となる。従って、撮影者は常に合焦位置を把握することができ、合焦位置からずらして手指をかざすことで容易に外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0020】
請求項4記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は画像の切り出し範囲を示す撮像枠を視認することができ、外景画像のどの部分を切り出すのかを正確に把握することができる。
【0021】
請求項5記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は外景とともに撮像した画像を視認することができる。従って、外景画像のうちのどの部分が撮像されたかを逐次正確に把握することができ、撮影者が切り出しに失敗し、もう一度手指で撮像枠を作りなおす際などに参考にできる。
【0022】
請求項6記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は低周波数領域抽出部、色相認識部、撮像枠決定部、及び画像抽出部のうち、いずれの部位が起動しているかに関連した情報を知ることが可能となる。
【0023】
従って、撮影者は撮像の過程のうち、どの段階に入っているのかを把握することができる。よって、撮影者が、画像の切り出し操作がなかなか行われない問題に直面した際に、撮像のどの過程でHMDの動作が止まってしまっているのかを把握でき、迅速な問題の解消が容易となる。
【0024】
請求項7記載の画像制御方法および請求項8記載の画像制御プログラムによれば、撮影者はあらかじめ手指の色相と形状とをHMDに設定しておくことで、撮影者がHMDの撮像範囲に手指をかざし、高い空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域、即ち、画像ボケしている領域に手指を入れることで、外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0025】
この結果、手指に焦点位置を合わせる操作は不必要となり、撮影者は焦点合わせの動作に時間をかけずに撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るHMD装置の外観を示す図である。
【図2】HMDの電気的及び光学的構成を示す説明図である。
【図3(a)】メイン処理を示すフローチャートである。
【図3(b)】ボケ領域を検出する処理を示すフローチャートである。
【図4(a)】CCD5により撮像され、且つ、撮影者Pにより視認されている外景を示す図である。
【図4(b)】HMD1の表示範囲に各種コンテンツ画像が表示されている状態を示す図である。
【図4(c)】撮像枠決定操作を説明するための説明図である。
【図4(d)】撮像枠FR内の画像を切り出す操作を説明するための説明図である。
【図5】ボケ領域の抽出を説明するための説明図である。
【図6】所定の形状SHを示す図である。
【図7】撮像枠の形成のされ方を説明するための説明図である。
【図8】図3(a)に示したSA3〜SA5の処理に相当する第2実施形態の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は本発明を網膜走査型ディスプレイに具体化したものである。
【0028】
網膜走査型ディスプレイとは、ヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)の一形態であり、装着者の頭部およびその近辺に装着され、画像光を装着者の眼に導き、装着者の網膜上で2次元方向に走査することにより、コンテンツ情報に対応する画像(以後、「コンテンツ画像」と記す。)が装着者により視認されるように構成されたものである。
【0029】
なお、「視認」とは画像光が装着者の網膜上で2次元方向に走査され、装着者が画像を認識する態様と、画像が表示パネルに表示され、装着者が表示パネルの画像から発生する画像光による画像を認識する態様の2つの態様を含む意味である。
【0030】
以後、「表示」という用語を用いた場合、装着者に対して画像光による画像を認識可能に動作することを意味するものとする。その点で上述のいずれの態様も画像光による画像を表示しているものと言える。
【0031】
本実施形態の網膜走査型ディスプレイは外景の撮像を行うことのできる撮像部を備えている。従って、以後、装着者を「撮影者」と呼ぶ。
【0032】
[HMD外観]
図1は、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ装置の外観を示す図である。図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)1は、フレーム部2と、画像表示部3と、ハーフミラー4と、CCD5と、システムボックス7と、を備えている。
【0033】
HMD1は、撮影者Pがフレーム部2を頭部に装着した状態で、文書ファイル、画像ファイル、動画ファイル等の各種コンテンツ情報を画像としてその撮影者Pに視認可能に表示する網膜走査型ディスプレイである。なお、本実施形態において、コンテンツ画像は、合焦位置を表すマーカーや撮像枠といった、撮像の際に用いられる画像も含むものである。
【0034】
フレーム部2は、図1に示す通り、眼鏡のフレーム形状をしており、フロント部2aと、一対のテンプル部2bとからなる。
【0035】
画像表示部3は、図1に示す通り、撮影者Pから見て左側のテンプル部2bに取り付けられている。画像表示部3は、画像光を2次元的に走査することで、コンテンツ画像を表示するための画像光を生成する。
【0036】
ハーフミラー4は、図1に示す通り、フロント部2aに設けられている。ハーフミラー4は、画像表示部3から発せられた画像光を反射し、撮影者Pの眼EYの網膜に導く。また、ハーフミラー4は半透明であり、外光ELを透過するため、撮影者Pは、HMD1の装着時に、コンテンツ画像と同時に外景を視認できる。
【0037】
なお、画像表示部3は、後述のROMに記憶されたデータを基に、あらかじめ設定されたハーフミラー4の所定位置で、画像光を反射し、網膜に導く。ハーフミラー4の反射範囲及び設置位置により、撮影者Pがコンテンツ画像を視認する範囲と位置と方向とがあらかじめ決定される。
【0038】
CCD(Charge Coupled Devices)5は、画像表示部3上に取り付けられている。本実施形態におけるCCD5は、本発明の撮像部の一例である。
【0039】
CCD5の光軸は、画像光がハーフミラーにて反射され、撮影者Pの網膜に導かれたとき、その画像光の網膜への入射方向と略一致するように設定されている。このように、CCD5の光軸が設定されることで、CCD5は、撮影者Pがコンテンツ画像を視認する範囲と略一致する範囲において、外景画像を撮像することが可能となる。
【0040】
システムボックス7は、画像表示部3と伝送ケーブル8を介して接続されている。システムボックス7は、HMD1の全体の動作を統括制御し、コンテンツ画像を形成するための画像光を生成する。伝送ケーブル8は、光ファイバや各種信号を伝送するためのケーブルを備える。
【0041】
[HMD電気的構成]
本実施形態に係るHMD1の電気的構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るHMD1の電気的及び光学的構成を示す説明図である。
【0042】
図2に示すように、HMD1は、HMD1全体の動作を統括制御する統括制御部10と、コンテンツ画像の画像光を生成する光生成部20と、コンテンツ画像が撮影者Pにより視認されるように画像光を走査する光走査部50と、を備えている。統括制御部10と、光生成部20とは、システムボックス7に内蔵され、光走査部50は、画像表示部3に内蔵されている。
【0043】
統括制御部10は、画像データを光生成部20へ供給する。ここで、画像データとは、撮影者Pが視認することとなるコンテンツ画像を表すデータである。光生成部20は、統括制御部10から供給される画像データに基づいて画像光を生成し、光走査部50に供給する。光走査部50は、光生成部20により生成された画像光を2次元的に走査することで、コンテンツ画像を表示し、撮影者Pに視認させる。
【0044】
統括制御部10は、CPU(Central Processing Unit)12と、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、VRAM(Video Random Access Memory)15と、バス16と、を備えている。
【0045】
CPU12は、ROM13に記憶されている各種情報処理プログラムを実行することにより、HMD1が備える各種機能を実行する演算処理装置である。ROM13は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリにより構成されている。ROM13は、HMD1により表示するコンテンツの再生、停止、早送り、巻き戻し等の制御を行う際に光生成部20、光走査部50等を動作させるための情報処理プログラム等、CPU12により実行される各種情報処理プログラムを記憶している。ROM13は、マーカーや撮像枠等の画像データや、統括制御部10が各種表示制御を行う際に参照する複数種類のテーブル等も記憶している。RAM14は画像データ等の各種データを一時的に記憶する領域である。VRAM15は、画像を表示する際に、表示される画像が表示前に一時的に描画される領域である。CPU12、ROM13、RAM14、及びVRAM15は、データ通信用のバス16にそれぞれ接続されており、バス16を介して各種情報の送受信を行う。
【0046】
統括制御部10は、HMD1の電源スイッチSW、及びCCD5と接続されている。
【0047】
光生成部20は、信号処理回路21と、光源部30と、光合成部40と、を備えている。
【0048】
画像データが、統括制御部10から、信号処理回路21に供給される。信号処理回路21は、供給された画像データに基づいて、画像を合成するための要素となる青、緑、赤の各画像信号22a〜22cを生成し、光源部30に供給する。信号処理回路21は、水平走査部70を駆動するための水平駆動信号23を水平走査部70に供給し、垂直走査部80を駆動するための垂直駆動信号24を垂直走査部80に供給する。
【0049】
光源部30は、信号処理回路21から供給される3つの画像信号22a〜22cをそれぞれ画像光にする画像光出力部として機能する。光源部30は、青色の画像光を発生するBレーザ34及びBレーザ34を駆動するBレーザドライバ31と、緑色の画像光を発生するGレーザ35及びGレーザ35を駆動するGレーザドライバ32と、赤色の画像光を発生するRレーザ36及びRレーザ36を駆動するRレーザドライバ33とを備えている。
【0050】
光合成部40は、光源部30から出力された3つの画像光を供給され、3つの画像光を1つの画像光に合成して任意の画像光を生成する。光合成部40は、光源部30から入射する画像光を平行光にコリメートする。光合成部40は、コリメート光学系41、42、43と、このコリメートされた画像光を合成するためのダイクロイックミラー44、45、46と、合成された画像光を伝送ケーブル8に導く結合光学系47とを備えている。各レーザ34、35、36から出射したレーザ光は、コリメート光学系41、42、43によってそれぞれ平行光化された後に、ダイクロイックミラー44、45、46に入射される。その後、これらのダイクロイックミラー44、45、46により、各画像光が波長に関して選択的に反射または透過される。
【0051】
光走査部50は、コリメート光学系60と、水平走査部70と、垂直走査部80と、リレー光学系75、90と、を備えている。
【0052】
コリメート光学系60は、伝送ケーブル8を介して出射される画像光を平行光化し、水平走査部70に導く。水平走査部70は、コリメート光学系60で平行光化された画像光を画像表示のために水平方向に往復走査する。垂直走査部80は、水平走査部70で水平方向に走査された画像光を垂直方向に往復走査する。リレー光学系75は、水平走査部70と垂直走査部80との間に設けられ、水平走査部70により走査された画像光を、垂直走査部80に導く。リレー光学系90は、水平方向と垂直方向とに走査(2次元的に走査)された画像光を瞳孔Eaへ出射する。
【0053】
水平走査部70は、共振型偏向素子71と、水平走査制御回路72と、水平走査角検出回路73と、を備えている。
【0054】
共振型偏向素子71は、画像光を水平方向に走査するための反射面を有する。水平走査制御回路72は、信号処理回路21から供給される水平駆動信号23に基づいて、共振型偏向素子71を共振させる。水平走査角検出回路73は、共振型偏向素子71から供給される変位信号に基づいて、共振型偏向素子71の反射面の揺動範囲及び揺動周波数等の揺動状態を検出する。水平走査角検出回路73は、検出した共振型偏向素子71の揺動状態を示す信号を統括制御部10へ供給する。
【0055】
リレー光学系75は、水平走査部70と垂直走査部80との間で画像光を中継する。共振型偏向素子71によって水平方向に走査された光は、リレー光学系75によって垂直走査部80内の偏向素子81の反射面に収束される。
【0056】
垂直走査部80は、偏向素子81と、垂直走査制御回路82と、を備えている。
【0057】
偏向素子81は、リレー光学系75により導かれた画像光を垂直方向に走査する。垂直走査制御回路82は、信号処理回路21から供給される垂直駆動信号24に基づいて、偏向素子81を揺動させる。
【0058】
共振型偏向素子71により水平方向に走査され、偏向素子81によって垂直方向に走査された画像光は、2次元的に走査された走査画像光としてリレー光学系90へ出射される。
【0059】
共振型偏向素子71と偏向素子81とにより走査される画像光は、あるタイミングに、ある走査角度で走査される。即ち、あるタイミングにおいて、画像光は一本である。従って、以後便宜上、「走査画像光は走査された複数の画像光より成る」といった内容の表現を用いるが、実際には、走査画像光は、あるタイミングにおいて一本の画像光より成るものである。
【0060】
リレー光学系90は、正の屈折力を持つレンズ系91、92を備えている。レンズ系91は、共振型偏向素子71と偏向素子81とにより走査された各々の画像光を、各々の中心線が相互に略平行になるよう変換し、尚且つ、各々の画像光を、レンズ系91とレンズ系92との中間位置に一度収束させる。中間位置に一度収束された各々の画像光は、再び拡散し、レンズ系92に供給される。
【0061】
レンズ系92は、レンズ系91から供給された各々の画像光を、平行光化する。そして、レンズ系92は、各々の画像光を、各々の中心線が撮影者の瞳孔Eaに収束するように、変換する。
【0062】
レンズ系92から供給された画像光は、ハーフミラー4で一度反射された後、撮影者の瞳孔Eaに収束される。このようにして、撮影者Pはコンテンツ画像を視認することができる。
【0063】
統括制御部10は、共振型偏向素子71の揺動状態に基づいた信号を、水平走査角検出回路73から受け取る。そして、統括制御部10は、受け取った信号に基づいて、信号処理回路21の動作を制御する。信号処理回路21は、水平走査制御回路72へ水平駆動信号23を供給し、垂直走査制御回路82へ垂直駆動信号24を供給する。水平走査制御回路72は、供給された水平駆動信号23に基づき、共振型偏向素子71の動きを制御する。垂直走査制御回路82は供給された垂直駆動信号24に基づき、偏向素子81の動きを制御する。以上の一連の流れにより、水平走査と垂直走査との同期が成される。
【0064】
[HMD動作制御]
次に、図3(a)〜図3(b)、及び図4(a)〜図4(d)を参照して、HMD1の動作制御について説明する。
【0065】
図3(a)は、HMD1の動作制御を示すフローチャートである。一連の動作制御はCPU12により実行される。なお、CCD5は図4(a)に示す外景を撮像しており、同時に、図4(a)に示す外景は、撮影者Pにより視認されている。
【0066】
図3(a)に示す処理では、先ず、CCD5による外景画像の撮像が開始される(SA1)。本実施形態におけるCCD5、及びステップSA1が、本発明の撮像部、及び撮像ステップの一例である。
【0067】
外景画像の撮像が開始されると、外景画像がCCD5から統括制御部10に供給され、コンテンツ画像の表示が行われる(SA2)。SA2にて表示されるコンテンツ画像は、マーカー画像MKと、調整用画像ADと、撮像状態画像STとである。
【0068】
マーカー画像MKとは、撮影者にCCD5の合焦位置がどこにあるかを知らせるための画像である。マーカー画像MKはROM13に予め記憶されており、CPU12により読み出され、表示される。本実施形態におけるCPU12、ROM13、及びステップSA2が、本発明のマーカー生成部の一例である。
【0069】
調整用画像ADとは、後述の撮像枠内の画像が縮小され、図4(b)に示すように、表示範囲の左上端に表示されるものである。調整用画像ADは、撮影者Pが自分の意思通りに画像の切り出しが行われたかを確認し、撮像枠の微調整などを行うためのものである。初期状態、即ち、画像の切り出しがまだ行われていない状態では、図4(b)に示すように、CCD5により撮像されている画像が調整用画像ADとして、表示される。
【0070】
撮像状態画像STとは、後述の撮像過程のうち、HMD1がどの撮像過程に入ったかを撮影者Pに示すための画像である。撮像状態画像STは、図4(b)に示す通り、5つの円印で形成されており、後述の何れかの撮像過程に入った際に、対応する円印が赤く点灯する。初期状態では、どの撮像過程にも入っていないため、図4(b)に示す通り、どの円印も点灯しない。
【0071】
コンテンツ画像の表示が行われると、ROM13に予め記憶されているトリガ色CLがCCD5により撮像された外景画像中にあるか否かが判断される(SA3)。トリガ色CLとは、撮影者Pの手指の色相として予めROM13に記憶されている色相を指す。トリガ色CLは、画像の切り出しが行われるための条件の一つである。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA3が、本発明の色相認識部、及び色相認識ステップの一例である。
【0072】
トリガ色CLが外景中にあると判断されると(SA3:Yes)、CCD5により撮像された外景から、トリガ色CLを有する領域が抽出される(SA4)。
【0073】
トリガ色CLを有する領域の抽出が行われると、図3(b)に示すフローチャートに従って、ボケ領域の抽出が行われる(SA5)。ボケ領域とは、図4(c)に示す撮像範囲SRのうち、合焦位置から離れた位置にあるために、CCD5により、画像ボケした状態で撮像された領域を指す。SA5では、最終的に、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界が抽出される。即ち、図5に示すように、画像ボケした撮影者Pの手指HFの画像が抽出される。
【0074】
ボケ領域の抽出が行われると、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれかの部分が、予めROM13に記憶されている所定の形状SHと略一致するか否かが判断される(SA6)。所定の形状SHとは、図6に示すような撮影者Pの両手の親指と人指し指により形成される、一対の対向するL字型の形状である。SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれの部分も、所定の形状SHと略一致しないと判断されると(SA6:No)、SA3に戻り、トリガ色CLが外景中にあるか否かの判断がなされる。
【0075】
ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれかの部分が、所定の形状SHと略一致すると判断されると(SA6:Yes)、SA6にて、所定の形状SHと略一致する部分と判断された部分から、画像の切り出しが行われる範囲を示す撮像枠FRが決定される(SA7)。具体的には、図7に示すように、所定の形状SHの二つの角CNと、所定の形状SHの辺を延長した際に出来る二つの交点ETとから構成される長方形の枠が撮像枠FRとして決定される。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA7が、本発明の撮像枠決定部、及び撮像枠決定ステップの一例である。
【0076】
撮像枠FRが決定されると、図4(c)に示すように、撮像枠FRが表示される(SA8)。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA8が、本発明における撮像枠画像生成部の一例である。
【0077】
撮像枠FRが表示されると、撮像枠FR内の画像が抽出され、RAM14に一時的に記憶される(SA9)。RAM14に一時的に記憶されると、次に、記憶された画像が読み出され、一度VRAM15に描画され、その後、図4(c)に示す通り、調整用画像ADとして表示される(SA10)。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA10が、本発明における抽出画像生成部の一例である。
【0078】
調整用画像ADが表示されると、予めROM13に記憶されている所定のジェスチャJSがあるか否かが判断される(SA11)。所定のジェスチャJSは、CCD5の撮像範囲SR内で、図4(d)に示すような、L字型の形状を形成するために離していた親指と人差し指とを付けるジェスチャであり、撮像枠FR内の画像を「切り出せ」という指令の意味をもつものである。SA11は、SA3〜SA6の手順と同様の手順により、行われる。所定のジェスチャJSがないと判断されると(SA11:No)、SA3に戻る。
【0079】
所定のジェスチャJSがあると判断されると(SA11:Yes)、撮像枠FR内の画像が切り出される(SA12)。具体的には、撮像枠FR内の画像が抽出され、RAM14に記憶される。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA9、SA12が、本発明における画像抽出部、及び画像抽出ステップの一例である。
【0080】
画像の切り出しが行われると、電源スイッチSWから電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される(SA13)。電源OFFの指令が供給されていないと判断されると(SA13:No)、処理はSA3に戻る。電源OFFの指令が供給されたと判断されると(SA13:Yes)、処理が終了する。また、SA3において、トリガ色CLが外景中にないと判断されると(SA3:No)、SA13に進み、電源スイッチSWから電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される。このように本発明は簡単に撮像枠FRが決定され、撮像枠FR内の画像を切り出すことができる。従って、撮影者Pは、注目すべき部分の画像のみを容易に撮像し、HMD1に記憶させることができ、撮影者Pが撮像後に、トリミング等の処理をする手間が省ける。また、注目すべき部分の画像のみが記憶されることから、外景のうち余分な部分が撮像されることがないため、撮影者Pは、HMD1の記憶容量を節約することができる。
【0081】
なお、SA3、SA5、SA6、SA7、SA12のいずれかのステップに入る度に、各ステップに対応した撮像過程に処理が入ったということが検知され、前述の撮像状態画像STの各撮像過程に対応した円印が赤く点灯される。本実施形態におけるCPU12が、本発明における動作状態検知部、及び、動作情報生成部の一例である。
【0082】
図3(b)は、ボケ領域を抽出する処理の概要を示すフローチャートである。
【0083】
図3(b)に示す処理では、先ず、CCD5により撮像された外景画像が、複数の区分に分割される(SB1)。分割された区分のうち、SA4により抽出されたトリガ色CLを有する領域と、背景領域、即ち、外景画像のうちトリガ色CLでない領域と、トリガ色CLを有する領域の境界と、を含む区分の周波数解析が行われる(SB2)。
【0084】
周波数解析が行われると、SB2にて周波数解析が行われた複数の区分のうち、あらかじめROM13に記憶されている所定の空間周波数FQ以下の空間周波数成分が含まれている区分が集められ、抽出される(SB3)。ここで、空間周波数FQとは、画像の単位長さあたりにおける濃淡変化の繰り返し回数を表したものである。SB3により、最終的に、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界が抽出されることとなる。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA5、SB1、SB2、SB3が、本発明の低周波数領域抽出部、及び低周波数領域抽出ステップの一例である。このステップには特開平9−15506号公報に開示されている、フーリエ変換等を適用した公知の周波数解析技術が用いられる。
【0085】
SB3が行われると、ボケ領域を抽出する処理が終了し、次の処理が、図3(a)に示すメイン処理のSA6に戻る。
【0086】
(第2の実施形態)
発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第1の実施形態において、トリガ色CLの認識と、ボケ領域の抽出とは、図3(a)に示すSA3〜SA5の手順で行われていたが、これに限らず、図8に示すように行われてもよい。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。
【0087】
図8は、第1の実施形態におけるSA3〜SA5の処理に相当する第2の実施形態の処理を示すフローチャートである。
【0088】
図8に示す処理では、先ず、Sobelオペレータなどにより、CCD5により撮像された外景画像の明るさ変化勾配検出が行われる(SX1)。
【0089】
明るさ変化勾配検出が行われると、画像の明るさの変化勾配が予めROM13に記憶された所定値GR以下の領域が抽出される(SX2)。SX2により、画像ボケしている領域が抽出される。
【0090】
SX2が行われると、SX2にて抽出された領域の各部分の色相が認識される(SX3)。本実施形態におけるCPU12、及びステップSX3が、本発明における色相認識部、及び色相認識ステップの一例である。
【0091】
SX3が行われると、SX2にて抽出された領域のうち、予めROM13に記憶されているトリガ色CLを有する部分が抽出される(SX4)。
【0092】
SX4が行われると、図8に示す処理が終了し、図3(a)に示すメイン処理のSA6に戻る。
【0093】
なお、本実施形態では撮像された画像の明るさの変化勾配から、画像のボケを認識している。明るさの変化勾配が所定値以下の領域は、高周波数成分を持たない空間周波数特性の領域に相当することから、この所定値以下の領域を抽出することは画像の空間周波数が低い部分を抽出することの一例である。従って、第2の実施形態におけるCPU12、及びステップSX2が、本発明の低周波数領域抽出部、及び低周波数領域抽出ステップの一例である。
【0094】
(変形例)
本実施形態において、トリガ色CLは予めROM13に記憶されていたが、これに限らず、図3(a)に示すSA3の前に予め撮影者Pの手指を撮像し、撮像された撮影者Pの手指の画像の色相を検出することで、トリガ色CLを設定してもよい。この場合、トリガ色CLとして検出された撮影者Pの手指の色相は、一度RAM14に記憶され、SA3にて、トリガ色CLがCCD5により撮像された外景中にあるか否かが判断される際に、読み出される。
【0095】
本実施形態において、HMD1は、網膜走査型ディスプレイであったが、これに限らず、HMD1は、LCD表示パネル等を用いたヘッドマウントディスプレイ装置であってもよい。
【0096】
本実施形態は観察者Pの左眼に対し、コンテンツ画像の表示を行う片眼モデルであったが、両眼モデルであってもよい。
【0097】
本実施形態において、調整用画像ADは、表示範囲の左上端に表示されるものであったが、これに限らず、左下端であっても、右上下端であっても、表示範囲の中央部近辺であってもよい。
【0098】
本実施形態において、所定の形状SHは、一対の対向するL字型の形状であったが、これに限らず、例えば、円や四角であってもよい。円や四角の場合、撮影者Pは、左手の各指と右手の各指とを互いに突き合わせて、所定の形状SHを形成すればよい。
【0099】
本実施形態において、撮像枠FR内の画像を「切り出せ」という指令の意味をもつものは、所定のジェスチャJSであったが、これに限らず、例えば、「切り出せ」という撮影者Pの声であってもよい。この場合、HMD1に音声認識部を設け、CPU12が撮影者Pの「切り出せ」という声を認識するよう構成すればよい。
【0100】
本実施形態において、カメラのズーム機能については言及していなかったが、CCD5のレンズ部にズーム機能を持たせてもよい。本実施形態において、撮像枠FR内には画像ボケした部分が含まれている可能性があるが、撮像枠FRが決定された後、ズーム機能により、撮像枠FR内の画像ボケ部分が、撮像枠FRの外に出るまでズームさせてもよい。また、CCD5の撮像された外景画像にトリガ色CLを有するボケ領域がない場合には、レンズ部を広角にし、撮影者Pの手指やボケ領域がCCD5の撮像範囲に入るよう、制御してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 HMD
2 フレーム部
3 画像表示部
4 ハーフミラー
5 CCD
7 システムボックス
10 統括制御部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 VRAM
21 信号処理回路
P 撮影者
Ea 瞳孔
AD 調整用画像
MK マーカー画像
ST 撮像状態画像
SR 撮像範囲
HF 撮影者の手指
FR 撮像枠
SH 所定の形状
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、撮影者が画像情報に基づいた画像光による情報画像と外光による外景画像とを同時に視認しながら、外景画像を撮像できるヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、撮像範囲内に映る撮影者の手指の位置や形に基づいて、外景画像の撮像や撮像した画像の画像処理を行うHMDが特許文献1に提案されている。
【0003】
このようなHMDを使用することで、撮影者はカメラに触れることなく、また、リモコン等の操作部材を使用することなく撮像を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−17501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、撮影者が特許文献1に開示されているHMDを使用する場合、撮像範囲を決定するために、少なくとも一度、手指に焦点を合わせる操作が必要となる。そのため、外景に焦点を合わせる操作と手指に焦点を合わせる操作との2つの焦点合わせ操作が必要となり、焦点合わせに時間がかかる。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、撮影者が撮像部を操作することなく、撮像を行うことができ、尚且つ、焦点合わせの操作に時間のかからないHMDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、外光による外景画像を撮像する撮像部を備え、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置であって、前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出部と、前記撮像部により撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識部と、前記低周波数領域抽出部により抽出された領域であって、前記色相認識部により認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定部と、前記撮像部により撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記低周波数領域抽出部は、前記外景画像のうち、明るさの変化勾配の大きさがあらかじめ設定された所定値以下の領域を抽出することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記撮像部の合焦位置を示すマーカー画像を生成するマーカー生成部を備え、前記マーカー画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠の画像を生成する撮像枠画像生成部を備え、前記撮像枠の画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記画像抽出部により抽出され、記憶された画像を読み出して生成する抽出画像生成部を備え、前記抽出画像生成部により生成された前記撮像枠内の画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記低周波数領域抽出部、前記色相認識部、前記撮像枠決定部、及び前記画像抽出部のうち、いずれの部位が動作しているかを検知する動作状態検知部と、前記動作状態検知部により検知された結果に応じて、動作状態を示す動作情報を生成する動作情報生成部と、を備え、前記動作情報生成部により生成された前記動作情報を前記撮影者に通知するための画像が、前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項7記載の本発明は、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御方法であって、前記外景画像を撮像する撮像ステップと、前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項8記載の本発明は、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御プログラムであって、前記外景画像を撮像する撮像ステップと、前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、をコンピュータにより実現することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者はあらかじめ手指の色相と形状とをHMDに設定しておくことで、撮影者が撮像部の撮像範囲に手指をかざし、手指を、高い空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域、即ち、画像ボケしている領域に入れることで、外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0016】
即ち、手指に焦点位置を合わせる操作は不必要となり、撮影者は焦点合わせの操作に時間をかけずに撮像することが可能となる。
【0017】
請求項2記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者はあらかじめ明るさの変化勾配の所定値をHMD装置に設定しておくことで、撮影者が撮像部の撮像範囲に手指をかざし、明るさの変化勾配が所定値以下の領域、即ち、画像ボケしている領域に手指を入れることで、外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0018】
即ち、手指に焦点位置を合わせる操作は不必要となり、撮影者は焦点合わせの操作に時間をかけずに撮像することが可能となる。
【0019】
請求項3記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は撮像部の合焦位置を示す、マーカー画像を視認することが可能となる。従って、撮影者は常に合焦位置を把握することができ、合焦位置からずらして手指をかざすことで容易に外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0020】
請求項4記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は画像の切り出し範囲を示す撮像枠を視認することができ、外景画像のどの部分を切り出すのかを正確に把握することができる。
【0021】
請求項5記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は外景とともに撮像した画像を視認することができる。従って、外景画像のうちのどの部分が撮像されたかを逐次正確に把握することができ、撮影者が切り出しに失敗し、もう一度手指で撮像枠を作りなおす際などに参考にできる。
【0022】
請求項6記載のヘッドマウントディスプレイ装置によれば、撮影者は低周波数領域抽出部、色相認識部、撮像枠決定部、及び画像抽出部のうち、いずれの部位が起動しているかに関連した情報を知ることが可能となる。
【0023】
従って、撮影者は撮像の過程のうち、どの段階に入っているのかを把握することができる。よって、撮影者が、画像の切り出し操作がなかなか行われない問題に直面した際に、撮像のどの過程でHMDの動作が止まってしまっているのかを把握でき、迅速な問題の解消が容易となる。
【0024】
請求項7記載の画像制御方法および請求項8記載の画像制御プログラムによれば、撮影者はあらかじめ手指の色相と形状とをHMDに設定しておくことで、撮影者がHMDの撮像範囲に手指をかざし、高い空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域、即ち、画像ボケしている領域に手指を入れることで、外景画像の一部を切り出し、撮像することが可能となる。
【0025】
この結果、手指に焦点位置を合わせる操作は不必要となり、撮影者は焦点合わせの動作に時間をかけずに撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るHMD装置の外観を示す図である。
【図2】HMDの電気的及び光学的構成を示す説明図である。
【図3(a)】メイン処理を示すフローチャートである。
【図3(b)】ボケ領域を検出する処理を示すフローチャートである。
【図4(a)】CCD5により撮像され、且つ、撮影者Pにより視認されている外景を示す図である。
【図4(b)】HMD1の表示範囲に各種コンテンツ画像が表示されている状態を示す図である。
【図4(c)】撮像枠決定操作を説明するための説明図である。
【図4(d)】撮像枠FR内の画像を切り出す操作を説明するための説明図である。
【図5】ボケ領域の抽出を説明するための説明図である。
【図6】所定の形状SHを示す図である。
【図7】撮像枠の形成のされ方を説明するための説明図である。
【図8】図3(a)に示したSA3〜SA5の処理に相当する第2実施形態の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は本発明を網膜走査型ディスプレイに具体化したものである。
【0028】
網膜走査型ディスプレイとは、ヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)の一形態であり、装着者の頭部およびその近辺に装着され、画像光を装着者の眼に導き、装着者の網膜上で2次元方向に走査することにより、コンテンツ情報に対応する画像(以後、「コンテンツ画像」と記す。)が装着者により視認されるように構成されたものである。
【0029】
なお、「視認」とは画像光が装着者の網膜上で2次元方向に走査され、装着者が画像を認識する態様と、画像が表示パネルに表示され、装着者が表示パネルの画像から発生する画像光による画像を認識する態様の2つの態様を含む意味である。
【0030】
以後、「表示」という用語を用いた場合、装着者に対して画像光による画像を認識可能に動作することを意味するものとする。その点で上述のいずれの態様も画像光による画像を表示しているものと言える。
【0031】
本実施形態の網膜走査型ディスプレイは外景の撮像を行うことのできる撮像部を備えている。従って、以後、装着者を「撮影者」と呼ぶ。
【0032】
[HMD外観]
図1は、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ装置の外観を示す図である。図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)1は、フレーム部2と、画像表示部3と、ハーフミラー4と、CCD5と、システムボックス7と、を備えている。
【0033】
HMD1は、撮影者Pがフレーム部2を頭部に装着した状態で、文書ファイル、画像ファイル、動画ファイル等の各種コンテンツ情報を画像としてその撮影者Pに視認可能に表示する網膜走査型ディスプレイである。なお、本実施形態において、コンテンツ画像は、合焦位置を表すマーカーや撮像枠といった、撮像の際に用いられる画像も含むものである。
【0034】
フレーム部2は、図1に示す通り、眼鏡のフレーム形状をしており、フロント部2aと、一対のテンプル部2bとからなる。
【0035】
画像表示部3は、図1に示す通り、撮影者Pから見て左側のテンプル部2bに取り付けられている。画像表示部3は、画像光を2次元的に走査することで、コンテンツ画像を表示するための画像光を生成する。
【0036】
ハーフミラー4は、図1に示す通り、フロント部2aに設けられている。ハーフミラー4は、画像表示部3から発せられた画像光を反射し、撮影者Pの眼EYの網膜に導く。また、ハーフミラー4は半透明であり、外光ELを透過するため、撮影者Pは、HMD1の装着時に、コンテンツ画像と同時に外景を視認できる。
【0037】
なお、画像表示部3は、後述のROMに記憶されたデータを基に、あらかじめ設定されたハーフミラー4の所定位置で、画像光を反射し、網膜に導く。ハーフミラー4の反射範囲及び設置位置により、撮影者Pがコンテンツ画像を視認する範囲と位置と方向とがあらかじめ決定される。
【0038】
CCD(Charge Coupled Devices)5は、画像表示部3上に取り付けられている。本実施形態におけるCCD5は、本発明の撮像部の一例である。
【0039】
CCD5の光軸は、画像光がハーフミラーにて反射され、撮影者Pの網膜に導かれたとき、その画像光の網膜への入射方向と略一致するように設定されている。このように、CCD5の光軸が設定されることで、CCD5は、撮影者Pがコンテンツ画像を視認する範囲と略一致する範囲において、外景画像を撮像することが可能となる。
【0040】
システムボックス7は、画像表示部3と伝送ケーブル8を介して接続されている。システムボックス7は、HMD1の全体の動作を統括制御し、コンテンツ画像を形成するための画像光を生成する。伝送ケーブル8は、光ファイバや各種信号を伝送するためのケーブルを備える。
【0041】
[HMD電気的構成]
本実施形態に係るHMD1の電気的構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るHMD1の電気的及び光学的構成を示す説明図である。
【0042】
図2に示すように、HMD1は、HMD1全体の動作を統括制御する統括制御部10と、コンテンツ画像の画像光を生成する光生成部20と、コンテンツ画像が撮影者Pにより視認されるように画像光を走査する光走査部50と、を備えている。統括制御部10と、光生成部20とは、システムボックス7に内蔵され、光走査部50は、画像表示部3に内蔵されている。
【0043】
統括制御部10は、画像データを光生成部20へ供給する。ここで、画像データとは、撮影者Pが視認することとなるコンテンツ画像を表すデータである。光生成部20は、統括制御部10から供給される画像データに基づいて画像光を生成し、光走査部50に供給する。光走査部50は、光生成部20により生成された画像光を2次元的に走査することで、コンテンツ画像を表示し、撮影者Pに視認させる。
【0044】
統括制御部10は、CPU(Central Processing Unit)12と、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、VRAM(Video Random Access Memory)15と、バス16と、を備えている。
【0045】
CPU12は、ROM13に記憶されている各種情報処理プログラムを実行することにより、HMD1が備える各種機能を実行する演算処理装置である。ROM13は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリにより構成されている。ROM13は、HMD1により表示するコンテンツの再生、停止、早送り、巻き戻し等の制御を行う際に光生成部20、光走査部50等を動作させるための情報処理プログラム等、CPU12により実行される各種情報処理プログラムを記憶している。ROM13は、マーカーや撮像枠等の画像データや、統括制御部10が各種表示制御を行う際に参照する複数種類のテーブル等も記憶している。RAM14は画像データ等の各種データを一時的に記憶する領域である。VRAM15は、画像を表示する際に、表示される画像が表示前に一時的に描画される領域である。CPU12、ROM13、RAM14、及びVRAM15は、データ通信用のバス16にそれぞれ接続されており、バス16を介して各種情報の送受信を行う。
【0046】
統括制御部10は、HMD1の電源スイッチSW、及びCCD5と接続されている。
【0047】
光生成部20は、信号処理回路21と、光源部30と、光合成部40と、を備えている。
【0048】
画像データが、統括制御部10から、信号処理回路21に供給される。信号処理回路21は、供給された画像データに基づいて、画像を合成するための要素となる青、緑、赤の各画像信号22a〜22cを生成し、光源部30に供給する。信号処理回路21は、水平走査部70を駆動するための水平駆動信号23を水平走査部70に供給し、垂直走査部80を駆動するための垂直駆動信号24を垂直走査部80に供給する。
【0049】
光源部30は、信号処理回路21から供給される3つの画像信号22a〜22cをそれぞれ画像光にする画像光出力部として機能する。光源部30は、青色の画像光を発生するBレーザ34及びBレーザ34を駆動するBレーザドライバ31と、緑色の画像光を発生するGレーザ35及びGレーザ35を駆動するGレーザドライバ32と、赤色の画像光を発生するRレーザ36及びRレーザ36を駆動するRレーザドライバ33とを備えている。
【0050】
光合成部40は、光源部30から出力された3つの画像光を供給され、3つの画像光を1つの画像光に合成して任意の画像光を生成する。光合成部40は、光源部30から入射する画像光を平行光にコリメートする。光合成部40は、コリメート光学系41、42、43と、このコリメートされた画像光を合成するためのダイクロイックミラー44、45、46と、合成された画像光を伝送ケーブル8に導く結合光学系47とを備えている。各レーザ34、35、36から出射したレーザ光は、コリメート光学系41、42、43によってそれぞれ平行光化された後に、ダイクロイックミラー44、45、46に入射される。その後、これらのダイクロイックミラー44、45、46により、各画像光が波長に関して選択的に反射または透過される。
【0051】
光走査部50は、コリメート光学系60と、水平走査部70と、垂直走査部80と、リレー光学系75、90と、を備えている。
【0052】
コリメート光学系60は、伝送ケーブル8を介して出射される画像光を平行光化し、水平走査部70に導く。水平走査部70は、コリメート光学系60で平行光化された画像光を画像表示のために水平方向に往復走査する。垂直走査部80は、水平走査部70で水平方向に走査された画像光を垂直方向に往復走査する。リレー光学系75は、水平走査部70と垂直走査部80との間に設けられ、水平走査部70により走査された画像光を、垂直走査部80に導く。リレー光学系90は、水平方向と垂直方向とに走査(2次元的に走査)された画像光を瞳孔Eaへ出射する。
【0053】
水平走査部70は、共振型偏向素子71と、水平走査制御回路72と、水平走査角検出回路73と、を備えている。
【0054】
共振型偏向素子71は、画像光を水平方向に走査するための反射面を有する。水平走査制御回路72は、信号処理回路21から供給される水平駆動信号23に基づいて、共振型偏向素子71を共振させる。水平走査角検出回路73は、共振型偏向素子71から供給される変位信号に基づいて、共振型偏向素子71の反射面の揺動範囲及び揺動周波数等の揺動状態を検出する。水平走査角検出回路73は、検出した共振型偏向素子71の揺動状態を示す信号を統括制御部10へ供給する。
【0055】
リレー光学系75は、水平走査部70と垂直走査部80との間で画像光を中継する。共振型偏向素子71によって水平方向に走査された光は、リレー光学系75によって垂直走査部80内の偏向素子81の反射面に収束される。
【0056】
垂直走査部80は、偏向素子81と、垂直走査制御回路82と、を備えている。
【0057】
偏向素子81は、リレー光学系75により導かれた画像光を垂直方向に走査する。垂直走査制御回路82は、信号処理回路21から供給される垂直駆動信号24に基づいて、偏向素子81を揺動させる。
【0058】
共振型偏向素子71により水平方向に走査され、偏向素子81によって垂直方向に走査された画像光は、2次元的に走査された走査画像光としてリレー光学系90へ出射される。
【0059】
共振型偏向素子71と偏向素子81とにより走査される画像光は、あるタイミングに、ある走査角度で走査される。即ち、あるタイミングにおいて、画像光は一本である。従って、以後便宜上、「走査画像光は走査された複数の画像光より成る」といった内容の表現を用いるが、実際には、走査画像光は、あるタイミングにおいて一本の画像光より成るものである。
【0060】
リレー光学系90は、正の屈折力を持つレンズ系91、92を備えている。レンズ系91は、共振型偏向素子71と偏向素子81とにより走査された各々の画像光を、各々の中心線が相互に略平行になるよう変換し、尚且つ、各々の画像光を、レンズ系91とレンズ系92との中間位置に一度収束させる。中間位置に一度収束された各々の画像光は、再び拡散し、レンズ系92に供給される。
【0061】
レンズ系92は、レンズ系91から供給された各々の画像光を、平行光化する。そして、レンズ系92は、各々の画像光を、各々の中心線が撮影者の瞳孔Eaに収束するように、変換する。
【0062】
レンズ系92から供給された画像光は、ハーフミラー4で一度反射された後、撮影者の瞳孔Eaに収束される。このようにして、撮影者Pはコンテンツ画像を視認することができる。
【0063】
統括制御部10は、共振型偏向素子71の揺動状態に基づいた信号を、水平走査角検出回路73から受け取る。そして、統括制御部10は、受け取った信号に基づいて、信号処理回路21の動作を制御する。信号処理回路21は、水平走査制御回路72へ水平駆動信号23を供給し、垂直走査制御回路82へ垂直駆動信号24を供給する。水平走査制御回路72は、供給された水平駆動信号23に基づき、共振型偏向素子71の動きを制御する。垂直走査制御回路82は供給された垂直駆動信号24に基づき、偏向素子81の動きを制御する。以上の一連の流れにより、水平走査と垂直走査との同期が成される。
【0064】
[HMD動作制御]
次に、図3(a)〜図3(b)、及び図4(a)〜図4(d)を参照して、HMD1の動作制御について説明する。
【0065】
図3(a)は、HMD1の動作制御を示すフローチャートである。一連の動作制御はCPU12により実行される。なお、CCD5は図4(a)に示す外景を撮像しており、同時に、図4(a)に示す外景は、撮影者Pにより視認されている。
【0066】
図3(a)に示す処理では、先ず、CCD5による外景画像の撮像が開始される(SA1)。本実施形態におけるCCD5、及びステップSA1が、本発明の撮像部、及び撮像ステップの一例である。
【0067】
外景画像の撮像が開始されると、外景画像がCCD5から統括制御部10に供給され、コンテンツ画像の表示が行われる(SA2)。SA2にて表示されるコンテンツ画像は、マーカー画像MKと、調整用画像ADと、撮像状態画像STとである。
【0068】
マーカー画像MKとは、撮影者にCCD5の合焦位置がどこにあるかを知らせるための画像である。マーカー画像MKはROM13に予め記憶されており、CPU12により読み出され、表示される。本実施形態におけるCPU12、ROM13、及びステップSA2が、本発明のマーカー生成部の一例である。
【0069】
調整用画像ADとは、後述の撮像枠内の画像が縮小され、図4(b)に示すように、表示範囲の左上端に表示されるものである。調整用画像ADは、撮影者Pが自分の意思通りに画像の切り出しが行われたかを確認し、撮像枠の微調整などを行うためのものである。初期状態、即ち、画像の切り出しがまだ行われていない状態では、図4(b)に示すように、CCD5により撮像されている画像が調整用画像ADとして、表示される。
【0070】
撮像状態画像STとは、後述の撮像過程のうち、HMD1がどの撮像過程に入ったかを撮影者Pに示すための画像である。撮像状態画像STは、図4(b)に示す通り、5つの円印で形成されており、後述の何れかの撮像過程に入った際に、対応する円印が赤く点灯する。初期状態では、どの撮像過程にも入っていないため、図4(b)に示す通り、どの円印も点灯しない。
【0071】
コンテンツ画像の表示が行われると、ROM13に予め記憶されているトリガ色CLがCCD5により撮像された外景画像中にあるか否かが判断される(SA3)。トリガ色CLとは、撮影者Pの手指の色相として予めROM13に記憶されている色相を指す。トリガ色CLは、画像の切り出しが行われるための条件の一つである。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA3が、本発明の色相認識部、及び色相認識ステップの一例である。
【0072】
トリガ色CLが外景中にあると判断されると(SA3:Yes)、CCD5により撮像された外景から、トリガ色CLを有する領域が抽出される(SA4)。
【0073】
トリガ色CLを有する領域の抽出が行われると、図3(b)に示すフローチャートに従って、ボケ領域の抽出が行われる(SA5)。ボケ領域とは、図4(c)に示す撮像範囲SRのうち、合焦位置から離れた位置にあるために、CCD5により、画像ボケした状態で撮像された領域を指す。SA5では、最終的に、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界が抽出される。即ち、図5に示すように、画像ボケした撮影者Pの手指HFの画像が抽出される。
【0074】
ボケ領域の抽出が行われると、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれかの部分が、予めROM13に記憶されている所定の形状SHと略一致するか否かが判断される(SA6)。所定の形状SHとは、図6に示すような撮影者Pの両手の親指と人指し指により形成される、一対の対向するL字型の形状である。SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれの部分も、所定の形状SHと略一致しないと判断されると(SA6:No)、SA3に戻り、トリガ色CLが外景中にあるか否かの判断がなされる。
【0075】
ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界のいずれかの部分が、所定の形状SHと略一致すると判断されると(SA6:Yes)、SA6にて、所定の形状SHと略一致する部分と判断された部分から、画像の切り出しが行われる範囲を示す撮像枠FRが決定される(SA7)。具体的には、図7に示すように、所定の形状SHの二つの角CNと、所定の形状SHの辺を延長した際に出来る二つの交点ETとから構成される長方形の枠が撮像枠FRとして決定される。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA7が、本発明の撮像枠決定部、及び撮像枠決定ステップの一例である。
【0076】
撮像枠FRが決定されると、図4(c)に示すように、撮像枠FRが表示される(SA8)。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA8が、本発明における撮像枠画像生成部の一例である。
【0077】
撮像枠FRが表示されると、撮像枠FR内の画像が抽出され、RAM14に一時的に記憶される(SA9)。RAM14に一時的に記憶されると、次に、記憶された画像が読み出され、一度VRAM15に描画され、その後、図4(c)に示す通り、調整用画像ADとして表示される(SA10)。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA10が、本発明における抽出画像生成部の一例である。
【0078】
調整用画像ADが表示されると、予めROM13に記憶されている所定のジェスチャJSがあるか否かが判断される(SA11)。所定のジェスチャJSは、CCD5の撮像範囲SR内で、図4(d)に示すような、L字型の形状を形成するために離していた親指と人差し指とを付けるジェスチャであり、撮像枠FR内の画像を「切り出せ」という指令の意味をもつものである。SA11は、SA3〜SA6の手順と同様の手順により、行われる。所定のジェスチャJSがないと判断されると(SA11:No)、SA3に戻る。
【0079】
所定のジェスチャJSがあると判断されると(SA11:Yes)、撮像枠FR内の画像が切り出される(SA12)。具体的には、撮像枠FR内の画像が抽出され、RAM14に記憶される。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA9、SA12が、本発明における画像抽出部、及び画像抽出ステップの一例である。
【0080】
画像の切り出しが行われると、電源スイッチSWから電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される(SA13)。電源OFFの指令が供給されていないと判断されると(SA13:No)、処理はSA3に戻る。電源OFFの指令が供給されたと判断されると(SA13:Yes)、処理が終了する。また、SA3において、トリガ色CLが外景中にないと判断されると(SA3:No)、SA13に進み、電源スイッチSWから電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される。このように本発明は簡単に撮像枠FRが決定され、撮像枠FR内の画像を切り出すことができる。従って、撮影者Pは、注目すべき部分の画像のみを容易に撮像し、HMD1に記憶させることができ、撮影者Pが撮像後に、トリミング等の処理をする手間が省ける。また、注目すべき部分の画像のみが記憶されることから、外景のうち余分な部分が撮像されることがないため、撮影者Pは、HMD1の記憶容量を節約することができる。
【0081】
なお、SA3、SA5、SA6、SA7、SA12のいずれかのステップに入る度に、各ステップに対応した撮像過程に処理が入ったということが検知され、前述の撮像状態画像STの各撮像過程に対応した円印が赤く点灯される。本実施形態におけるCPU12が、本発明における動作状態検知部、及び、動作情報生成部の一例である。
【0082】
図3(b)は、ボケ領域を抽出する処理の概要を示すフローチャートである。
【0083】
図3(b)に示す処理では、先ず、CCD5により撮像された外景画像が、複数の区分に分割される(SB1)。分割された区分のうち、SA4により抽出されたトリガ色CLを有する領域と、背景領域、即ち、外景画像のうちトリガ色CLでない領域と、トリガ色CLを有する領域の境界と、を含む区分の周波数解析が行われる(SB2)。
【0084】
周波数解析が行われると、SB2にて周波数解析が行われた複数の区分のうち、あらかじめROM13に記憶されている所定の空間周波数FQ以下の空間周波数成分が含まれている区分が集められ、抽出される(SB3)。ここで、空間周波数FQとは、画像の単位長さあたりにおける濃淡変化の繰り返し回数を表したものである。SB3により、最終的に、ボケ領域のうち、SA4にて認識されたトリガ色CLを有する領域の境界が抽出されることとなる。本実施形態におけるCPU12、及びステップSA5、SB1、SB2、SB3が、本発明の低周波数領域抽出部、及び低周波数領域抽出ステップの一例である。このステップには特開平9−15506号公報に開示されている、フーリエ変換等を適用した公知の周波数解析技術が用いられる。
【0085】
SB3が行われると、ボケ領域を抽出する処理が終了し、次の処理が、図3(a)に示すメイン処理のSA6に戻る。
【0086】
(第2の実施形態)
発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第1の実施形態において、トリガ色CLの認識と、ボケ領域の抽出とは、図3(a)に示すSA3〜SA5の手順で行われていたが、これに限らず、図8に示すように行われてもよい。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。
【0087】
図8は、第1の実施形態におけるSA3〜SA5の処理に相当する第2の実施形態の処理を示すフローチャートである。
【0088】
図8に示す処理では、先ず、Sobelオペレータなどにより、CCD5により撮像された外景画像の明るさ変化勾配検出が行われる(SX1)。
【0089】
明るさ変化勾配検出が行われると、画像の明るさの変化勾配が予めROM13に記憶された所定値GR以下の領域が抽出される(SX2)。SX2により、画像ボケしている領域が抽出される。
【0090】
SX2が行われると、SX2にて抽出された領域の各部分の色相が認識される(SX3)。本実施形態におけるCPU12、及びステップSX3が、本発明における色相認識部、及び色相認識ステップの一例である。
【0091】
SX3が行われると、SX2にて抽出された領域のうち、予めROM13に記憶されているトリガ色CLを有する部分が抽出される(SX4)。
【0092】
SX4が行われると、図8に示す処理が終了し、図3(a)に示すメイン処理のSA6に戻る。
【0093】
なお、本実施形態では撮像された画像の明るさの変化勾配から、画像のボケを認識している。明るさの変化勾配が所定値以下の領域は、高周波数成分を持たない空間周波数特性の領域に相当することから、この所定値以下の領域を抽出することは画像の空間周波数が低い部分を抽出することの一例である。従って、第2の実施形態におけるCPU12、及びステップSX2が、本発明の低周波数領域抽出部、及び低周波数領域抽出ステップの一例である。
【0094】
(変形例)
本実施形態において、トリガ色CLは予めROM13に記憶されていたが、これに限らず、図3(a)に示すSA3の前に予め撮影者Pの手指を撮像し、撮像された撮影者Pの手指の画像の色相を検出することで、トリガ色CLを設定してもよい。この場合、トリガ色CLとして検出された撮影者Pの手指の色相は、一度RAM14に記憶され、SA3にて、トリガ色CLがCCD5により撮像された外景中にあるか否かが判断される際に、読み出される。
【0095】
本実施形態において、HMD1は、網膜走査型ディスプレイであったが、これに限らず、HMD1は、LCD表示パネル等を用いたヘッドマウントディスプレイ装置であってもよい。
【0096】
本実施形態は観察者Pの左眼に対し、コンテンツ画像の表示を行う片眼モデルであったが、両眼モデルであってもよい。
【0097】
本実施形態において、調整用画像ADは、表示範囲の左上端に表示されるものであったが、これに限らず、左下端であっても、右上下端であっても、表示範囲の中央部近辺であってもよい。
【0098】
本実施形態において、所定の形状SHは、一対の対向するL字型の形状であったが、これに限らず、例えば、円や四角であってもよい。円や四角の場合、撮影者Pは、左手の各指と右手の各指とを互いに突き合わせて、所定の形状SHを形成すればよい。
【0099】
本実施形態において、撮像枠FR内の画像を「切り出せ」という指令の意味をもつものは、所定のジェスチャJSであったが、これに限らず、例えば、「切り出せ」という撮影者Pの声であってもよい。この場合、HMD1に音声認識部を設け、CPU12が撮影者Pの「切り出せ」という声を認識するよう構成すればよい。
【0100】
本実施形態において、カメラのズーム機能については言及していなかったが、CCD5のレンズ部にズーム機能を持たせてもよい。本実施形態において、撮像枠FR内には画像ボケした部分が含まれている可能性があるが、撮像枠FRが決定された後、ズーム機能により、撮像枠FR内の画像ボケ部分が、撮像枠FRの外に出るまでズームさせてもよい。また、CCD5の撮像された外景画像にトリガ色CLを有するボケ領域がない場合には、レンズ部を広角にし、撮影者Pの手指やボケ領域がCCD5の撮像範囲に入るよう、制御してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 HMD
2 フレーム部
3 画像表示部
4 ハーフミラー
5 CCD
7 システムボックス
10 統括制御部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 VRAM
21 信号処理回路
P 撮影者
Ea 瞳孔
AD 調整用画像
MK マーカー画像
ST 撮像状態画像
SR 撮像範囲
HF 撮影者の手指
FR 撮像枠
SH 所定の形状
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光による外景画像を撮像する撮像部を備え、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出部と、
前記撮像部により撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識部と、
前記低周波数領域抽出部により抽出された領域であって、前記色相認識部により認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定部と、
前記撮像部により撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出部と、を備えるヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
前記低周波数領域抽出部は、前記外景画像のうち、明るさの変化勾配の大きさがあらかじめ設定された所定値以下の領域を抽出することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
前記撮像部の合焦位置を示すマーカー画像を生成するマーカー生成部を備え、
前記マーカー画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠の画像を生成する撮像枠画像生成部を備え、
前記撮像枠の画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項5】
前記画像抽出部により抽出され、記憶された画像を読み出して生成する抽出画像生成部を備え、
前記抽出画像生成部により生成された前記撮像枠内の画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項6】
前記低周波数領域抽出部、前記色相認識部、前記撮像枠決定部、及び前記画像抽出部のうち、いずれの部位が動作しているかを検知する動作状態検知部と、
前記動作状態検知部により検知された結果に応じて、動作状態を示す動作情報を生成する動作情報生成部と、を備え、
前記動作情報生成部により生成された前記動作情報を前記撮影者に通知するための画像が、前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項7】
撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御方法であって、
前記外景画像を撮像する撮像ステップと、
前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、
前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、を備える画像制御方法。
【請求項8】
撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御プログラムであって、
前記外景画像を撮像する撮像ステップと、
前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、
前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、
をコンピュータにより実現する画像制御プログラム。
【請求項1】
外光による外景画像を撮像する撮像部を備え、撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出部と、
前記撮像部により撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識部と、
前記低周波数領域抽出部により抽出された領域であって、前記色相認識部により認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定部と、
前記撮像部により撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出部と、を備えるヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
前記低周波数領域抽出部は、前記外景画像のうち、明るさの変化勾配の大きさがあらかじめ設定された所定値以下の領域を抽出することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
前記撮像部の合焦位置を示すマーカー画像を生成するマーカー生成部を備え、
前記マーカー画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
前記撮像枠決定部により決定された前記撮像枠の画像を生成する撮像枠画像生成部を備え、
前記撮像枠の画像が前記情報画像及び前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項5】
前記画像抽出部により抽出され、記憶された画像を読み出して生成する抽出画像生成部を備え、
前記抽出画像生成部により生成された前記撮像枠内の画像が前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項6】
前記低周波数領域抽出部、前記色相認識部、前記撮像枠決定部、及び前記画像抽出部のうち、いずれの部位が動作しているかを検知する動作状態検知部と、
前記動作状態検知部により検知された結果に応じて、動作状態を示す動作情報を生成する動作情報生成部と、を備え、
前記動作情報生成部により生成された前記動作情報を前記撮影者に通知するための画像が、前記外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項7】
撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御方法であって、
前記外景画像を撮像する撮像ステップと、
前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、
前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、を備える画像制御方法。
【請求項8】
撮影者の頭部及びその近辺に装着され、画像情報に基づいた画像光による情報画像が外光による外景画像とともに前記撮影者により視認されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ装置に使用される画像制御プログラムであって、
前記外景画像を撮像する撮像ステップと、
前記外景画像のうち、あらかじめ設定された所定の空間周波数以上の空間周波数成分を持たない空間周波数特性の領域を抽出する低周波数領域抽出ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、あらかじめ設定された所定の色相を認識する色相認識ステップと、
前記低周波数領域抽出ステップにより抽出された領域であって、前記色相認識ステップにより認識された前記所定の色相で、あらかじめ設定された所定の形状である部分の画像から、画像の切り出し範囲を示す撮像枠を決定する撮像枠決定ステップと、
前記撮像ステップにより撮像された前記外景画像から、前記撮像枠決定ステップにより決定された前記撮像枠内の画像を抽出し、記憶する画像抽出ステップと、
をコンピュータにより実現する画像制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−206673(P2010−206673A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51644(P2009−51644)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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