説明

ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジリンまたはブラジレインの誘導体、一つの金属塩、過酸化水素および(重)炭酸塩を用いる染毛方法

【課題】特に毛髪に対してより攻撃的ではなく、同時に外部因子(光、悪天候、シャンプー操作)に耐え、持続性であり均質である一方強力に色が残る着色を得る必要が存在する。
【解決手段】本発明に係る方法はヒトのケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の利点を、洗浄操作、発汗、皮脂、および光に対して抵抗性を有し、さらに前記繊維に対して有害な変化を持続させることのない、強力かつあざやかな着色の結果と共に提示する。さらに、本方法から開始する、得られる着色は繊維の根から先端まで均質な色を与える(低い染色選択性)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、i)少なくともヘマトキシリンおよび/またはヘマテインおよび/またはブラジリンおよび/またはブラジレイン、ii)少なくとも一つの金属塩、iii)少なくとも過酸化水素または過酸化水素を生成する少なくとも一つの系およびiv)少なくとも(重)炭酸塩でのケラチン繊維の処理による、ケラチン繊維を染色するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ベースとして一般的に知られている例えばオルト‐またはパラ‐フェニレンジアミン、オルト‐またはパラ‐アミノフェノールおよび複素環化合物などの酸化染色前駆体を含む染色組成物で「永続的」な着色を得ることは既知である。これら酸化ベースは無色またはわずかに着色された化合物であり、酸化生成物との組み合わせでの酸化的縮合プロセスにより着色した化合物を生じることができる。これらの酸化ベースによって得られる色調は、カップラーもしくは着色調整剤を添加することによって変えることができ、後者は、特に、芳香族メタ‐ジアミノベンゼン類、メタ‐アミノフェノール類、メタ‐ジフェノール類、及び特定の複素環化合物、例えばインドール及びピリジン化合物から選択されることも既知である。この酸化染色方法は、酸化剤としてベースまたはベースおよびカップラーの混合物を過酸化水素(Hまたは過酸化水素水溶液)と共にケラチン繊維に適用させること、拡散させること、それから繊維をすすぐことから成る。これらの結果の着色は外部因子、特に光、悪天候、洗浄操作、発汗および摩擦作用に対して永続的かつ強力であり、抵抗性を有する。
【0003】
しかしながら、これらを含む市販の毛髪染料は欠点、例えば汚染または臭い、快適さ、およびケラチン繊維の分解の問題などを示しうる。これは特に酸化染色操作の場合である。
【0004】
染色の技術分野では、ケラチン物質、例えば毛髪や皮膚を金属塩、特にマンガンおよび/または亜鉛塩の存在下でオルト‐ジフェノール化合物から開始して染色することも既知である。特に特許出願FR2814943、FR2814945、FR2814946およびFR2814947は、少なくとも一つのオルト‐ジフェノール、マンガンおよび/または亜鉛塩および酸化物、特定のマンガンにおける炭酸水素塩タイプのアルカリ剤、亜鉛/炭酸水素塩比および任意で酵素を含む染色前駆体を含む、皮膚またはケラチン繊維を染色するための組成物を提供する。これらの文献によると、過酸化水素で処理する間に強い着色を得ることが可能である。しかし、得られる着色は特に毛髪繊維の場合において不適切な強さである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】FR2814943
【特許文献2】FR2814945
【特許文献3】FR2814946
【特許文献4】FR2814947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特定の染料または染料前駆体から開始してケラチン繊維の脱色を制限する一方で強力な着色を得ることを可能にする着色方法を開発する必要が存在する。特に毛髪に対してより攻撃的ではなく、同時に外部因子(光、悪天候、シャンプー操作)に耐え、持続性であり均質である一方強力に色が残る着色を得る必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、対象がケラチン繊維の染色のための方法である本発明により達成され、そこにおいて前記繊維は:
i)式(I)および(II)
【0008】
【化1】

【0009】
およびそれらのメソメリー形、立体異性体、化粧品上許容可能な酸または塩基との付加塩およびまた水和物から選択される合成または天然の化合物の単体また混合物;
[式(I)および(II)において、
【0010】
【化2】

【0011】
は単一のまたは対になった炭素‐炭素二重結合;
・Xは以下の基
【0012】
【化3】

【0013】
を表す:
・R、R、R、R、RおよびRは同一かまたは異なっており、水素原子、ヒドロキシ基、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアルコキシ基または任意に置換されたアシルオキシ基を表す;]
ii)一つまたは複数の金属塩、
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する一つまたは複数の系、および
iv)一つまたは複数の(重)炭酸塩
で処理される。
【0014】
本発明のその他の対象は、上記で規定された成分i)からiv)を含むケラチン繊維を染色するための化粧品組成物である。
【0015】
本発明のその他の対象は、上記で規定された成分i)からiv)を含む多区画装置に関する。
【0016】
本発明に係る方法はヒトのケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維の利点を、洗浄操作、発汗、皮脂、および光に対して抵抗性を有し、さらに前記繊維に対して有害な変化を持続させることのない、強力かつあざやかな着色の結果と共に提示する。さらに、本方法から開始する、得られる着色は繊維の根から先端まで均質な色を与える(低い染色選択性)。
【0017】
i) 式(I)または(II)の化合物;
上記で規定された式(I)の化合物は(Ia)および(Ib)
【0018】
【化4】

【0019】
により表示される二つのメソメリー形であり得る。
【0020】
アルキル基は飽和の線状または分枝状炭化水素基であり、一般にはC〜C20基で、特にC〜C10基であり、好ましくはC〜Cアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルである。
【0021】
アルコキシ基は上記で規定されたアルキルのアルキルオキシ基であり、一般にはC〜C10アルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシである。
【0022】
アルコキシアルキル基は好ましくは(C〜C20)アルコキシ(C〜C20)アルキル基であり、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル等である。
【0023】
アルキルまたはアルコキシ基は、任意に置換される場合、以下の群:
‐ハロゲン原子;
‐ヒドロキシル基;
‐C〜Cアルコキシ基;
‐C〜C10アルコキシカルボニル基;
‐(ポリ)ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ基;
‐アミノ基;
‐5または6員の複素環式アルキル基;
‐任意にカチオン性の5または6員のヘテロアリール基、好ましくは、(C〜C)アルキル基、好ましくはメチル基で任意に置換されたイミダゾリウム基;
‐一つまたは二つの同一のまたは異なるC〜Cアルキル基で置換されたアミノ基であり、前記C〜Cアルキル基は任意で少なくとも下記を有する:
・一つのヒドロキシル基、
・一つまたは二つの任意に置換されたC〜Cアルキル基で任意に置換された一つのアミノ基であり、前記アルキル基は付属の窒素原子と共に、飽和または非飽和の、窒素とは異なるまたは同一の少なくとも一つのヘテロ原子を任意に含む、任意に置換された5から7員の複素環を形成することが可能である、
・一つの第四級アンモニウム基‐N+R’R’’R’’’M-であり、R’、R’’およびR’’’は同一であるか異なっており、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、M-は対応する有機酸、無機酸またはハライドの対イオンを表す、
・または一つの任意にカチオン性の5または6員のヘテロアリール基で、好ましくは、(C〜C)アルキル基、好ましくはメチル基で任意に置換されたイミダゾリウム基;
‐R基は水素原子または任意に少なくとも一つのヒドロキシル基を有するC〜Cアルキル基であり、R’基はC〜Cアルキル基であるアシルアミノ基(-NR-COR’);R基は同一または異なっており、水素原子または少なくとも一つのヒドロキシル基を任意に有するC〜Cアルキル基を表すカルバモイル基((R)2N-CO-);R基は水素原子または少なくとも一つのヒドロキシル基を任意に有するC〜Cアルキル基を表し、R’基はC〜Cアルキル基またはフェニル基を表すアルキルスルホニルアミノ基(R’SO2-NR-);またはR基は同一または異なっており、水素原子または少なくとも一つのヒドロキシル基を任意に有するC〜Cアルキル基を表すアミノスルホニル基((R)2N-NO2-)、
‐酸の形態または塩化された形態のカルボキシル基(好ましくはアルカリ金属または置換されたもしくは置換されていないアンモニウムでの塩化);
‐シアノ基;
‐ニトロ基;
‐カルボキシルまたはグリコシルカルボニル基;
‐一つまたは複数のヒドロキシル基により任意に置換されたフェニルカルボニルオキシ基;
‐グリコシルオキシ基;および
‐一つまたは複数のヒドロキシル基により任意に置換されたフェニル基
から選択される、少なくとも一つの炭素原子に運ばれる少なくとも一つの置換基により置換されて良い。
【0024】
グリコシル基は単糖または多糖類から導かれる基を意味すると理解される。
【0025】
本発明の方法における使用の式(I)の化合物は天然または合成であり得る。天然化合物とは天然に存在する化合物であり、化学合成により複製されて良い化合物を含む。
【0026】
本発明の式(I)の化合物の塩は、化粧品上許容可能である酸または塩基の塩であり得る。
【0027】
好ましくは、前記酸は塩酸であり、それは塩化物を導く。
【0028】
前記塩基は無機または有機塩基であり得る。特に、前記塩基はアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムであり、それはナトリウム塩を導く。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一つの特定の実施態様によると、式(I)または(II)の化合物はヒロドキシル基を表すR基を含有する。
【0030】
本発明の他の特定の実施態様はRが水素原子またはヒドロキシル基を表す式(I)または(II)の化合物に関する。
【0031】
本発明の一つの特定の実施態様は前記化合物、好ましくは式(I)の化合物に関する。
【0032】
より特に、ケラチン繊維を染色する方法は、成分i)のように、ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジシンおよびブラジレインの天然化合物から選択される一つまたは複数の化合物を使用する。
【0033】
ヘマトキシリン/ヘマテインおよびブラジリン/ブラジレイン化合物の間で、例として、インドクロマン族由来の化合物であり、商業的に入手可能であるヘマトキシリン(Natural Black 1)およびブラジリン(Natural Red 1)が挙げられて良い。後者は酸化された形態で存在可能であり、合成経路またはこれら化合物が豊富であることで知られる植物または野菜からの抽出経路により得ることが可能である。
【0034】
【化5】

【0035】
式(I)または(II)の化合物は抽出物の形態で使用されてよい。下記植物(属および種)の抽出物が使用されて良い:アカミノキ(Haematoxylon campechianum)、アカミノキ(Haematoxylon brasiletto)、ペルナンブコ(Caesalpinia echinata)、スオウボク(Caesalpinia sappan)、タラ(Caesalpinia spinosa)、ブラジルボク(Caesalpina Brasiliensis)。
【0036】
抽出物は、植物の様々な部分、例えば根、木部、樹皮または葉の抽出により得られる。
【0037】
一つの実施態様によると、天然のヘマトキシリン/ヘマテインおよびブラジリン/ブラジレインはアカミノキの木部またはブラジルボクの葉由来である。
【0038】
好ましくは、本発明の式(I)または(II)の天然化合物は植物の抽出物由来である。
【0039】
特に、成分i)は、上記で規定された成分i)、ii)、iii)およびiv)またはi)、ii)およびiii)の総重量に対して、少なくとも80重量%を表す。
【0040】
野菜の抽出物の混合物の使用も可能である。
【0041】
本発明に係る天然抽出物は粉末または液体の形態で良い。好ましくは、本発明の抽出物は粉末の形態である。
【0042】
本発明によると、本発明に係る方法における使用の一つまたは複数の組成物中の成分i)として使用される合成または天然の式(I)および(II)の単数または複数の化合物、例えばヘマトキシリン/ヘマテインおよびブラジリン/ブラジレイン化合物および/または天然抽出物は、好ましくは前記化合物または式(I)および(II)の化合物、例えばヘマトキシリン/ヘマテインおよびブラジリン/ブラジレイン化合物または抽出物または複数の抽出物を含む組成物の総重量の0.001から20重量%を表す。
【0043】
式(I)および(II)の純粋な化合物、例えば純粋なヘマトキシリン/ヘマテインおよびブラジリン/ブラジレイン化合物に関して、これらを含む単数または複数の組成物における含有率は、好ましくはそれぞれのこれら組成物の0.001から5重量%の間である。
【0044】
前記抽出物に関して、前記抽出物を含む単数または複数の組成物における含有率は、好ましくはそれぞれのこれら組成物の0.5から20重量%の間である。
【0045】
ii) 金属塩
本発明の方法は金属塩である一つまたは複数の成分ii)を使用する。
【0046】
特に、金属塩はマンガン(Mn)および亜鉛(Zn)の塩から選択される。
【0047】
本発明の意味の範囲内において、塩は酸の金属に対する作用から適切に導かれる、これら金属の酸化物および塩を意味する。好ましくは、前記塩は酸化物ではない。前記塩の間で、ハライド、例えば塩化物、フッ化物およびヨウ化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩およびカルボン酸の塩およびポリマー塩およびまたそれらの混合物を挙げて良い。
【0048】
より特に、マンガン塩は炭酸マンガン、炭酸水素マンガンまたは炭酸二水素マンガン以外である。
【0049】
本発明において使用可能であるカルボン酸の塩はまたグルコン酸のような水酸化されたカルボン酸の塩を含む。
【0050】
ポリマー塩の例として、ピロリドンカルボン酸マンガンを挙げて良い。
【0051】
例として、塩化マンガン、フッ化マンガン、酢酸マンガン四水和物、乳酸マンガン三水和物、リン酸マンガン、ヨウ化マンガン、硝酸マンガン三水和物、臭化マンガン、過塩素酸マンガン四水和物、硫酸マンガン一水和物およびグルコン酸マンガンを挙げて良い。有利には使用される塩はグルコン酸マンガンおよび塩化マンガンである。
【0052】
亜鉛塩の間で、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸亜鉛、グリシン酸亜鉛およびアスパラギン酸亜鉛を挙げて良い。
【0053】
マンガンおよび亜鉛の塩は固体の形態で組成物中に導入可能であり、天然の鉱物もしくは温泉のこれらイオンが豊富な水または海水(特に死海(Dead Sea)の水)起源であり得る。これらはまた無機化合物、例えば土またはオークル、粘土(例えば緑粘土)、またはこれらを含む植物抽出物(例えば、特許文献FR2814943)起源でさえあり得る。
【0054】
特に、本発明の金属塩は、Mn(II)およびZn(II)のように2の酸化状態を有する。
【0055】
本発明の好ましい実施態様によると、使用される金属塩または塩は、このまたはこれら金属塩を含む組成物の総重量のおよそ0.001から0.1重量%を表し、より好ましくはおよそ0.05から10重量%である。
【0056】
iii) 過酸化水素または過酸化水素を生成する系
本発明の文脈において、三番目の構成要素は、下記のようなiii)過酸化水素または過酸化水素を生成する系である:
a)過酸化尿素;
b)過酸化水素を放出するポリマー複合体、例えば特に粉末の形態で提供されるポリビニルピロリドン/H、およびUS5008093、US3376110およびUS5183901に記述されている他のポリマー複合体;
c)適切な基質存在下で過酸化水素を生成する酸化酵素(例えばグルコースオキシダーゼの場合にグルコース、または尿酸とウリカーゼ);
d)水中で過酸化水素を生成する金属過酸化物、例えば過酸化カルシウムまたは過酸化マグネシウム;
e)過ホウ酸塩;または
f)過炭酸塩。
【0057】
本発明の好ましい実施態様によると、過酸化水素を生成する一つまたは複数の系を含む単数または複数の前記組成物は、a)過酸化尿素;b)過酸化水素を放出するポリマー複合体、例えばポリビニルピロリドン/H;c)酸化酵素;e)過ホウ酸塩;およびf)過炭酸塩から選択される。
【0058】
特に、第三の構成要素は過酸化水素または過酸化尿素であり、好ましくは過酸化水素である。
【0059】
さらに、過酸化水素または過酸化水素の生成元を含む単数または複数の前記化合物は、下記のパートiv)で規定されるような、毛髪を染色するための組成物に従来使用される種々のアジュバントをも含み得る。
【0060】
本発明の特定の形態によると、使用される過酸化水素または過酸化水素を生成する系は、これまたはこれらを含む単数または複数の組成物の総重量に対して、好ましくは0.001から12重量%を、より好ましくは0.2から2.7重量%を表す。
【0061】
iv) (重)炭酸塩または(重)炭酸塩を生成する系
本発明の文脈において、四番目の構成要素は(重)炭酸塩から選択される。
【0062】
(重)炭酸塩とは下記を意味すると理解される:
a)アルカリ金属(Met+2 CO32-)、アルカリ土類金属(Met’2+ CO32-)、アンモニウム((R’’4N+2 CO32-)またはホスホニウム((R’’4+2 CO32-)の炭酸塩であり、ここでMet’はアルカリ土類金属を表し、Metはアルカリ金属を表し、R’’は同一または異なっており水素原子または任意に置換された(C〜C)アルキル基、例えばヒドロキシエチル基を表し、
b)炭酸水素塩としても知られる、以下の式のバイカーボネート:
‐R’+HCO3-でR’は水素原子、アルカリ金属を表し、またはアンモニウムR’’4N+またはホスホニウムR’’4P+基でR’’は同一または異なっており、水素原子または任意に置換された(C〜C)アルキル基、例えばヒドロキシエチル基を表し、R’が水素原子を表す場合炭酸水素塩は炭酸二水素塩と称される(CO、HO);および
‐Met’2+ (HCO3でMet’はアルカリ土類金属を表す。
【0063】
より特に、四番目の構成要素はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の(重)炭酸塩から選択され、好ましくはアルカリ金属(重)炭酸塩である。
【0064】
ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの炭酸塩または炭酸水素塩およびそれらの混合物、特に炭酸水素ナトリウムが挙げられて良い。これら炭酸水素塩は天然の水、例えばVichy basinもしくはLa Roche−Psayの温泉の水またはBadoitの水(例えば特許文献FR2814943)起源であり得る。特に、炭酸ナトリウム[497−19−8]=NaCO、炭酸水素ナトリウムまたはバイカーボネートナトリウム[144−55−8]=NaHCO、および炭酸二水素ナトリウム=Na(HCOが挙げられて良い。
【0065】
本発明によると、使用される単数または複数の(重)炭酸塩剤は、好ましくは単数または複数の(重)炭酸塩剤を含む単数または複数の組成物の総重量の0.001から10重量%を、より好ましくは0.005から5重量%を表す。
【0066】
v) 水:
本発明の一つの実施態様によると、好ましくは水が本発明の方法に含まれる。それはケラチン繊維の湿潤および/または上記で規定された化合物i)からiv)を含む単数または複数の組成物または一つまたは複数の他の組成物起源であり得る。
【0067】
好ましくは、前記水は少なくとも、上記で規定されたi)からiv)より選択される少なくとも一つの化合物を含む組成物起源である。
【0068】
vi) 化粧品組成物:
本発明の一つの対象は下記:
i)式(I)および(II)の誘導体またはそれらのメソメリー形、それらの立体異性体、化粧品上許容される酸または塩基とのそれらの付加塩およびまた水和物から選択される一つまたは複数の合成または天然誘導体の単独または複合体;
ii)一つまたは複数の金属塩;
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する一つまたは複数の系;および
iv)一つまたは複数の(重)炭酸塩または(重)炭酸塩を生成する一つまたは複数の系
を含む化粧品染色組成物に関係する。
【0069】
本発明に係る化粧品組成物は化粧品上許容可能である。それらは粉末または非粉末の形態であり得る。
【0070】
これら組成物は、水または水および一つまたは複数の有機溶媒の混合物または有機溶媒の混合物を一般に含む着色賦形剤を含み得る。
【0071】
本発明の一つの特定の実施態様によると、本発明に係る化粧品染色組成物はまた水も含む。
【0072】
有機溶媒:
有機溶媒として、例えば低級C〜Cアルカノール、例えばエタノールおよびイソプロパノール、ポリオールおよびポリオールエーテル、例えば2‐ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはヘキシレングリコールおよび芳香族アルコール、例えばベンジルアルコールまたはフェノキシエタノールが挙げられて良い。
【0073】
前記有機溶媒は染色組成物の総重量に対して好ましくはおよそ1から40重量%の間、より好ましくはおよそ5から30重量%の間の割合で存在する。
【0074】
アジュバント:
本発明に従う着色方法の単数または複数の組成物は、毛髪を染色するための組成物で従来使用される種々のアジュバント、例えば陰イオン、陽イオン、非イオン、両性または両性イオン性界面活性剤またはそれらの混合物、陰イオン、陽イオン、非イオン、両性または両性イオン性ポリマーまたはそれらの混合物、無機または有機増粘剤、特に陰イオン、陽イオン、非イオンおよび両性ポリマー会合性増粘剤、抗酸化剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、調整剤、例えば揮発性または不揮発性の修正されたまたは未修正のシリコーン、塗膜形成剤、セラミド、保存剤または乳白剤を含み得る。
【0075】
前記アジュバントは好ましくは界面活性剤、例えば陰イオンまたは非イオン性界面活性剤またはそれらの混合物、および無機または有機増粘剤から選択される。
【0076】
上記アジュバントは、それぞれについて、一般には前記組成物の重量に対して0.01から40重量%の間、好ましくは前記組成物の重量に対して0.1から20重量%の間の量で存在する。
【0077】
言うまでも無く、当業者は本発明に従う着色方法における使用の組成物に本質的に付随する有利な性質が予期される単数または複数の付加により悪影響を受けない、または本質的に悪影響を受けないために、これら任意の付加化合物の選択に注意を払うであろう。
【0078】
追加の染料:
上記で規定された成分i)からiv)を含む染色組成物および上記で規定された成分i)からiv)を使用する方法は、一つまたは複数の追加の直接染料を含むことができ、または使用することもできる。
【0079】
これら直接染料は、例えば直接染色において従来使用されたものから選択され、それらのうち普通に使用される全ての芳香族および/または非芳香族染料、例えば中性、酸性または陽イオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、酸性または陽イオン性アゾ直接染料、オルト‐ジフェノール以外の中性直接染料、中性、酸性または陽イオン性キノンおよび特にアントラキノン直接染料、アジン、トリアリールメタンまたはインドアミン直接染料、メチン、スチリル、ポルフィリン、メタロポルフィリン、フタロシアニン、メチンシアニンおよび蛍光染料を挙げて良い。
【0080】
中性直接染料のうち、ローソン、ジュグロン、藍、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジンまたはオルセインが挙げられて良い。これら天然染料を含む抽出物または煎剤、および特にパップまたはヘナに基づく抽出物が使用されて良い。
【0081】
それから本発明に係る染色方法の単数または複数の組成物における、または本発明に係る組成物の単数または複数の直接染料は、好ましくは使用される単数または複数の前記組成物の総重量のおよそ0.001から10重量%を、より好ましくはおよそ0.05から5重量%を表す。
【0082】
上記で規定された成分i)からiv)を含む単数または複数の化粧品組成物はまた、ケラチン繊維を染色するために従来使用される一つまたは複数の酸化ベースおよび/または一つまたは複数のカップラーをも含み得る。
【0083】
酸化ベースのうち、パラ‐フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラ‐アミノフェノール、ビス‐パラ‐アミノフェノール、オルト‐アミノフェノール、複素環塩基およびそれらの付加塩が挙げられて良い。
【0084】
これらカップラーのうち、特にメタ‐フェニレンジアミン、メタ‐アミノフェノール、メタ‐ジフェノール、ナフタレンカップラー、複素環カップラーおよびそれらの付加塩が挙げられて良い。
【0085】
単数または複数の前記組成物に存在する単数または複数の酸化ベースは、単数または複数の染色組成物の総重量の0.01から10重量%のそれぞれの量で一般に存在する。
【0086】
本発明の化粧品組成物は様々な製剤形態、例えば散剤、ローション、泡、クリームまたはゲル、またはケラチン繊維の染色を実施するために適する何れか他の形態で提供され得る。これはまた推進剤を含まないポンプ式スプレーまたは推進剤の存在下のエアロゾル容器中の圧力下で泡を形成するように包装される事も可能である。
【0087】
前記組成物のpH
本発明の特定の形態によると、iv)の単数または複数の(重)炭酸塩を含む単数または複数の水性組成物のpHは7より大きく、好ましくは8から12の間であり、特に8から10の間である。
【0088】
単数または複数の前記組成物が(重)炭酸塩を含まない場合、過酸化水素または過酸化水素を生成する系を含む単数または複数の前記組成物のpHは好ましくは7より小さく、より特に1から5の間である。
【0089】
好ましくは、本発明の式(I)または(II)の単数または複数のi)の化合物を含み、(重)炭酸塩を含まない単数または複数の組成物は7より小さく好ましくは3から6.5の間である。
【0090】
本発明の特定の形態によると、ii)の金属塩または塩を含み、(重)炭酸塩を含まない前記組成物は7より小さいpHであり、好ましくは3から6.5の間である。
【0091】
これら組成物のpHは、ケラチン繊維の染色で普通に使用される酸性化剤または塩基性化剤を使用して、または従来の緩衝系を使用して所望の値に調節することができる。
【0092】
本発明で使用される組成物の酸性化剤のうち、例として無機または有機酸、例えば塩酸、オルトホスホン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸または乳酸、またはスルホン酸を挙げて良い。
【0093】
一つの有利な変形は、単数または複数の(重)炭酸塩を含む着色方法の単数または複数の組成物に塩基性化剤を加えることである。より特に、この塩基剤はアンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン、例えばモノ‐、ジ‐およびトリエタノールアミンおよびそれらの誘導体、水酸化ナトリウムまたはカリウムおよび下記の式(IV):
【0094】
【化6】

【0095】
の化合物
(式(IV)において、Wはヒドロキシル基で任意に置換されたプロピレン基またはC〜Cアルキル基であり、R、R、RおよびRは同一または異なっており、水素原子、C〜Cアルキル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基を表す)
から選択される。
【0096】
vii) 単一または多段階の着色方法
本発明の一つの特定の実施態様によると、前記着色方法は、一つまたは複数の段階で、下記成分:
i)式(I)および(II)の誘導体またはそれらのメソメリー形、立体異性体、化粧品上許容される酸または塩基とのそれらの付加塩、およびまた水和物から選択される、一つまたは複数の合成または天然の誘導体の単独または混合物;
ii)一つまたは複数の金属塩、好ましくはMnおよびZnの塩から選択される;
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する一つまたは複数の系;および
iv)一つまたは複数の(重)炭酸塩
を一緒にまたは別々に含む一つまたは複数の化粧品組成物をケラチン繊維に適用させることにより実施される。
【0097】
有利には、成分i)からiv)を一緒にまたは別々に含む前記組成物の少なくとも一つは水性である。
【0098】
単数または複数の成分i)、ii)、iii)および/またはiv)を含む前記組成物の適用段階の間の放置時間は3から120分、好ましくは10から60分、およびより好ましくは15から45分の間で設定される。
【0099】
より特に、本発明の方法において、単数または複数の化合物iv)は:
‐成分i)、ii)およびiii)との混合物であるか;
‐または成分i)、ii)およびiii)を含む化粧品組成物の適用後に別々に適用されるか;または
‐成分i)およびii)を含む化粧品組成物の適用後に成分iii)と共に適用される。
【0100】
本発明の特定の実施態様は、単一または二段階の着色方法に関する。
【0101】
本発明の特定の形態によると、ケラチン繊維を着色するための方法は単一段階でケラチン繊維に上記で規定されたi)、ii)、iii)およびiv)を含む化粧品染色組成物を適用させることにより実施される。
【0102】
放置時間は一般には3から120分、好ましくは10から60分、およびより好ましくは15から45分の間で設定される。
【0103】
本発明の別の特定の実施態様によると、ケラチン繊維を着色するための方法は二段階で実施される。
【0104】
二段階の方法の第一の代替形態において、第一の段階は前記繊維に上記で規定された成分i)、ii)およびiii)を含む化粧品組成物を適用することから成り、それから第二の段階において上記で規定された成分iv)を含む化粧品組成物が前記繊維に適用され、この二つの組成物の少なくとも一つは水性であると理解されている。
【0105】
二段階でケラチン繊維を着色するための方法の第二の代替形態において、第一の段階は前記繊維に上記で規定された成分i)およびii)を含む組成物を適用させることから成り、それから第二の段階において上記で規定された成分iii)およびiv)を含む第二の化粧品組成物が前記繊維に適用される。
【0106】
本発明の特定の実施態様によると、ケラチン繊維を着色するための方法はケラチン繊維処理の成分iv)での処理により終了する少なくとも二つの段階で実施され、処理後の段階、例えば古典的な洗髪の援助を用いる洗髪の段階、特に水を用いるすすぎの段階、および/または以下に規定される加熱処理によるケラチン繊維の乾燥の段階などが続くことができる;前記方法は、成分iv)を実施する段階の直前に成分をすすぐ段階を含まない。
【0107】
優先的には、ケラチン繊維を着色するための方法は二つの段階で実施される:第一の段階において、成分i)およびii)がケラチン繊維に一緒に適用され、それから第二の段階において成分iii)およびiv)がケラチン繊維に適用される、または第一の段階において単数または複数の成分i)、ii)およびiii)がケラチン繊維に一緒に適用され、それから第二の段階において成分iv)がケラチン繊維に適用される。これらの方法には、一つまたは複数の段階、例えば特に水を用いるすすぎの段階および/または古典的な洗髪の援助を用いる洗髪の段階、および/または以下に規定される加熱処理によるケラチン繊維の乾燥の段階などを含む後処理が続くことができる。非常に重要な実施態様によると、少なくとも二つの段階でケラチン繊維を着色するための方法は、第一の段階と第二の段階の間、すなわち成分i)、ii)、iii)およびiv)の混合物を用いるケラチン繊維の処理の間、または成分i)、ii)の混合物およびiii)、iv)の混合物を用いるケラチン繊維の処理の間に、中間のすすぎの段階を伴っては実施されない。
【0108】
本発明のケラチン繊維を着色するための方法の非常に特定の形態によると、ケラチン繊維は、成分iv)を実施する段階の直前では:
a)以下に規定されるように機械的に拭き取られる;
b)以下に規定されるように加熱処理により乾燥させられる;または
c)すすがれない、すなわち各段階は連続的に実施される。
【0109】
より特別には、前記方法の第一および第二の段階の間でケラチン繊維は:
a)以下に記述されるように機械的に拭き取られる;
b)以下に記述されるように加熱処理により乾燥させられる;または
c)すすがれない、すなわち各段階は連続的に実施される。
【0110】
より優先には、第一および第二の段階の間にケラチン繊維は吸収力のある品、特に布片、例えばタオル、特にテリータオル、または布巾、または吸収力のある紙、例えばキッチンタオルなどにより拭き取られ、またはケラチン繊維は特に60から220℃、好ましくは120から200℃の間に含まれる温度における加熱処理での加熱により乾燥させられる。
【0111】
少なくとも二つの段階でケラチン繊維を着色するための方法の他の特定の実施態様によると、第一および第二の段階の間、すなわち成分i)、ii)、iii)およびiv)の混合物を用いるケラチン繊維の処理の間、または成分i)、ii)の混合物およびiii)、iv)の混合物を用いるケラチン繊維の処理の間に、中間の非常に早いすすぎの段階が実施される。すすぎの段階の期間の長さは、強力な水流の水道水または水道シャワー水の元、1秒から1分間、より特別には1秒から30秒間、および優先的には2から5秒間、例えば2秒間である。後者の早いすすぎの段階には以下に規定するような機械的な拭き取りが続く。
【0112】
これら後者の方法のために、第一の段階で化粧品組成物を適用した後の放置時間は一般には3から120分、好ましくは10から60分、およびより好ましくは15から45分の間に設定される。第二の段階で第二の化粧品組成物を適用した後の放置時間は3から120分、好ましくは3から60分、およびより好ましくは5から30分の間に設定される。
【0113】
本出願の方法が何であれ、適用時の温度は一般には周囲温度(15から25℃)から80℃およびより特には15から45℃の間である。従って、有利には本発明に係る組成物の適用の後に、毛髪に30から60℃の間の温度での加熱による加熱処理を与えることが可能である。実際には、この操作はヘアースタイリングフード、ヘアードライヤー、赤外線のディスペンサーおよび他の従来の加熱装置を用いて実施可能である。
【0114】
毛髪の加熱および平滑化の両方の方法として、60から220℃および好ましくは120から200℃の間の温度の加熱アイロンが使用されて良い。
【0115】
本発明の特定の形態は周囲温度(25℃)で実施される着色方法に関する。
【0116】
上記方法の全ての特定の形態および全ての代替の形態において、挙げられた組成物は使用時に2つまたはそれより多くの組成物、特に染色キットに存在する組成物を混合することにより得られる、使用準備のできた組成物である。
【0117】
viii)機械的な拭い取りおよび/または乾燥の段階
本発明に係るケラチン繊維を乾燥させるための方法は、繊維の機械的な拭き取りおよび/または乾燥の少なくとも一つの中間段階を含む。機械的な拭き取りおよび乾燥の段階はまた、強力な水流下での「すすぎ落とし」および「すすがない」段階または染色の第二の段階への即時の進行中に存在する「放置」から区別されるために「制御された放置」と称される。
【0118】
繊維の機械的な拭き取りとは、繊維上を吸収力のある品でこすること、および吸収力のある品を介した繊維に浸透しなかった余剰の前記成分の物理的な除去を意味すると理解される。吸収力のある品は布片、例えばタオル、特にテリータオル、または布巾、または吸収力のある紙、例えばキッチンタオルであり得る。
【0119】
本発明のケラチン繊維を着色するための方法の非常に興味深い実施態様によると、ケラチン繊維の全体的な乾燥を含まずに、機械的な拭き取りは実施され前記繊維を湿らせる。
【0120】
乾燥とは、上記で規定された一つまたは複数の成分i)からiv)を含むまたは含まない、本発明の方法で使用される一つまたは複数の組成物中に存在する有機溶媒および/または水を蒸発させる作用を意味すると理解される。乾燥は熱源(対流、伝導または放射)を介して、一つまたは複数の前記溶媒の蒸発のために必要な、例えば熱い空気のような気体の流動を送ることにより実施され得る。熱源として、フードヘアードライヤーを含むヘアードライヤー、毛髪を平滑化するためのアイロン、赤外線のディスペンサーおよび他の従来の加熱装置が挙げられ得る。
【0121】
ix)染色装置または「キット」:
本発明の他の対象は染色「キット」または多区画装置である。有利には、このキットは下記成分:
i)式(I)および(II)の誘導体またはそれらのメソメリー形、立体異性体、化粧品上許容される酸または塩基とのそれらの付加塩、およびまた水和物から選択される、一つまたは複数の合成または天然の誘導体の単独または混合物;
ii)一つまたは複数の金属塩;
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する一つまたは複数の系;および
iv)一つまたは複数の(重)炭酸塩
が分配される2から5の組成物を含む2から5の区画を含み、前記組成物は水性または粉末であり、特にこれら組成物の少なくとも一つは水性である。
【0122】
第一の代替形態によると、キットは5つの区画を含み、最初の4つの区画は上記で規定される成分i)、ii)、iii)およびiv)を粉末で含み、5つめの区画は水のような水性組成物を含む。この場合、単数または複数の化合物iii)は過酸化水素前駆体である。
【0123】
他の代替形態は4つの区画を含み、それらのうちの一つは水性組成物を含み、それらの区画が上記で規定される成分i)からiv)を含むキットに関連する。
【0124】
他の代替形態では、装置は4つの区画を含む:第一の区画は上記で規定されるi)を含む化粧品組成物を含み、第二の区画は上記で規定されるii)を含み、第三の区画は上記で規定されるiii)を含み、第四の区画は上記で規定されるiv)を含む。
【0125】
他の好ましい実施態様は以下の3つの区画を含む装置に関連する:
(a)第一の区画は以下を含む組成物を含み:
i)式(I)および(II)の誘導体またはそれらのメソメリー形、立体異性体、化粧品上許容される酸または塩基とのそれらの付加塩、およびまた水和物から選択される、一つまたは複数の合成または天然の誘導体の単独または混合物;および
(b)第二の区画は以下を含む組成物を含み:
ii)一つまたは複数の金属塩;
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する一つまたは複数の系;
(c)第三の区画はiv)一つまたは複数の(重)炭酸塩または一つまたは複数の(重)炭酸塩を生成する一つまたは複数の系を含む。
【0126】
他の実施態様において、前記3つの組成物の少なくとも一つは水性であり、単数または複数の式(I)および(II)の誘導体は粉末形態であり得る。
【0127】
第一のa)は上記で規定されるi)およびii)を含む組成物を含み、第二のb)は上記で規定されるiii)を含む組成物を含み、第三のc)は上記で規定されるiv)を含む組成物を含む、3つの区画を含むキットを有することもまた可能である。
【0128】
本発明の特定の形態によると、キットは2つの区画を有する:第一の区画は上記で規定されるi)、ii)およびiii)を含む組成物を含み、第二の区画は上記で規定されるiv)を含む。
【0129】
2つの区画を含むキットは、第一の区画に上記で規定されるi)、ii)およびiv)を含む組成物を含み、第二の区画に上記で規定されるiii)をそれぞれ含む区画を含むキットもまた含んで良い。
【0130】
2つの区画を含むキットのこれら2つの代替形態において、i)、ii)およびiii)またはi)、ii)およびiv)のどちらかを含む第一の区画に存在する第一の組成物は、粉末形態である。
【0131】
代替形態によると、本発明に係る装置は一つまたは複数の処理剤を含む更なる組成物(c)を更に含む。
【0132】
本発明に係る装置の組成物は、同一または異なる適切な適用手段、例えば精密ブラシを含むブラシまたはスポンジなどが任意に付随する別々の区画に包装される。
【0133】
上記で挙げられた装置は、所望の混合物を毛髪へ送達することを可能にする手段、例えば特許FR2586913で記述される装置などを備えることもまた可能である。
【実施例】
【0134】
I)染色例
下記組成物が準備された:
【0135】
【表1】

【0136】
組成物Aが毛髪1gあたり製剤5gの浴比で、90%の白髪を含む乾燥した天然の毛髪および90%の白髪を含む乾燥したパーマがかかった毛髪の房に適用される。処理された毛髪は続いて50℃の温度で30分間、染色するために放置される。
【0137】
終わりに、第一の組成物が浸透した毛髪を、過剰の製剤を除去するために吸収力のある紙タオルを用いて拭き取る。
【0138】
【表2】

【0139】
続いて組成物Bが房1gあたり4gの浴比で毛髪に適用される;染色時間は周囲温度で10分間である。数分後、非常に強力な着色が見られる。続いて毛髪を水ですすぎ、従来のシャンプーで洗浄しフード下で乾燥させる。
【0140】
比色結果:
毛髪の着色は視覚的に評価され、ミノルタ(Minolta)の分光比色計(CM3600d、イルミナント D65、角度10°、SCI値)でL*、a*、b*の比色測定値が読取られる。
【0141】
このL*、a*、b*の系において、L*は色の強度を表し、a*は緑/赤色の軸を示し、b*は青/黄色の軸を示す。Lの値が低い程、色はより暗く、またはより強くなる。a*の値が高い程、色はより赤くなる;b*の値が高い程、色はより黄になる。
【0142】
未処理(コントロール)および処理後の天然/パーマがかかった白髪の着色された房の着色の変動は以下の数式:
【0143】
【数1】

【0144】
に係るΔE*により規定される。
【0145】
この数式において、L*、a*およびb*は90%の白髪を含む天然/パーマがかかった毛髪の染色後に測定される値を表し、L0*、a0*およびb0*は90%の白髪を含む未処理の天然/パーマがかかった毛髪で測定される値を表す。
【0146】
ΔEの値が大きい程、コントロールの房と染色された房の間の色の違いが大きくなる。
【0147】
毛髪の着色は視覚的に評価され、ミノルタ(Minolta)の分光比色計(CM3600d、イルミナント D65、角度10°、SCI値)でL*、a*、b*の比色測定値が読取られる。
【0148】
【表3】

【0149】
【表4】

【0150】
本発明に係る組成物で処理された天然またはパーマがかかった白髪の房は非常にあざやかかつ強力に染色することを可能にすることが上記の表より明らかであり、これは天然またはパーマがかかったケラチン繊維である。
【0151】
II)比較試験
【0152】
【表5】

【0153】
組成物A’が毛髪1gあたり製剤5gの浴比で、90%の白髪を含む乾燥した天然の毛髪および90%の白髪を含む乾燥したパーマがかかった毛髪の房に適用される。処理された毛髪は続いて50℃の温度で30分間、染色するために放置される。
【0154】
終わりに、第一の組成物が浸透した毛髪を、過剰の製剤を除去するために吸収力のある紙タオルを用いて拭き取る。
【0155】
【表6】

【0156】
続いて組成物B’が房1gあたり4gの浴比で毛髪に適用される;染色時間は周囲温度で10分間である。数分後、非常に強力な着色が見られる。続いて毛髪を水ですすぎ、従来のシャンプーで洗浄しフード下で乾燥させる。
【0157】
比色結果
毛髪の着色は視覚的に評価され、ミノルタ(Minolta)の分光比色計(CM3600d、イルミナント D65、角度10°、SCI値)でL*、a*、b*の比色測定値が読取られる。
【0158】
色度:C*
CIE L*、a*、b*比色システムにおける色度は下記数式:
【0159】
【数2】

【0160】
に従い算出される。
【0161】
C*の値が大きい程、色度は大きくなる。
【0162】
【表7】

【0163】
【表8】

【0164】
本発明に係る組成物で処理された天然またはパーマがかかった白髪の房は対照組成物(実施例8のA’2+B’1に対する実施例7のA’1+B’1を参照)よりも著しくよりあざやかに染色することを可能にすることが上記の表より明らかであり、これは天然またはパーマがかかったケラチン繊維である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を染色するための方法であり、前記繊維が:
i)式(I)および(II)
【化1】

の化合物およびそれらのメソメリー形、立体異性体、化粧品上許容可能な酸または塩基との付加塩およびまた水和物から選択される一つまたは複数の合成または天然の化合物の単独また混合物;
[式(I)および(II)において、
【化2】

は単一のまたは対になった炭素‐炭素二重結合;
・Xは以下の基
【化3】

を表す:
・R、R、R、R、RおよびRは同一かまたは異なっており、水素原子、ヒドロキシ基、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアルコキシ基または任意に置換されたアシルオキシ基を表す;]
ii)一つまたは複数の金属塩、
iii)過酸化水素または過酸化水素を生成する一つまたは複数の系、および
iv)一つまたは複数の(重)炭酸塩
で処理される方法。
【請求項2】
成分i)が天然の誘導体から選択される請求項1に記載の染色方法。
【請求項3】
一つまたは複数の式(I)または(II)の化合物がヒドロキシル基を表すR基を含む請求項1または2に記載の染色方法。
【請求項4】
一つまたは複数の式(I)または(II)の化合物が水素原子またはヒドロキシル基を表すRを含む請求項1から3の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項5】
成分i)がヘマトキシリン、ブラジリン、ヘマテインおよびブラジレイン化合物
【化4】

およびそれらのメソメリー形、立体異性体、化粧品上許容可能な酸または塩基との付加塩およびまた水和物から選択される化合物である、請求項1から4の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項6】
成分i)が式(I)の化合物から選択される化合物である請求項1から5の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項7】
成分i)がアカミノキ(Haematoxylon campechianum)、アカミノキ(Haematoxylon brasiletto)、ペルナンブコ(Caesalpinia echinata)、スオウボク(Caesalpinia sappan)、タラ(Caesalpinia spinosa)、及びブラジルボク(Caesalpina Brasiliensis)の抽出物から選択される請求項1から6の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項8】
ii)の金属塩がマンガンおよび亜鉛の酸化物より選択される請求項1から7の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項9】
マンガンおよび亜鉛の塩がハライド、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩および過塩素酸塩、カルボン酸塩およびポリマー塩およびまたそれらの混合物から選択される請求項1から7の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項10】
成分iii)が過酸化水素または
a)過酸化尿素;
b)過酸化水素を放出してよいポリマー複合体;
c)適切な基質存在下で過酸化水素を生成する酸化酵素;
d)水中で過酸化水素を生成する金属過酸化物;
e)過ホウ酸塩;または
f)過炭酸塩、
から選択される過酸化水素を生成する系を含む請求項1から9の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項11】
成分iv)がアルカリ金属またはアルカリ土類金属の(重)炭酸塩を含む請求項1から10の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項で規定される成分i)、ii)、iii)およびiv)を含む化粧品組成物をケラチン繊維へ適用することが含まれる、一つの段階における請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
第1の段階において請求項1から10の何れか一項で規定される成分i)、ii)およびiii)を含む化粧品組成物をケラチン繊維へ適用することが含まれ、第2の段階において請求項1または11で規定される成分iv)を含む化粧品組成物を適用することが含まれる、2つの段階における請求項1から11の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項14】
第1の段階において請求項1から9の何れか一項に規定される成分i)およびii)を含む組成物をケラチン繊維へ適用することが含まれ、第2の段階において請求項1、10または11で規定される成分iii)およびiv)を含む組成物が適用されることが含まれる、2つの段階における請求項1から11の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項15】
成分iv)を適用する段階の直前にケラチン繊維が
a)機械的に拭き取られる;
b)加熱処理により乾燥させられる;または
c)すすがれない、すなわち各段階が連続的に実施される、
請求項1から14の何れか一項に記載の染色方法。
【請求項16】
ケラチン繊維が事前に湿らされた毛髪である請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
成分i)からiv)の少なくとも1つを含む組成物の少なくとも1つが水性である請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
‐請求項1から7の何れか一項で規定される一つまたは複数の成分i)
‐請求項1、8および9の何れか一項で規定される一つまたは複数の成分ii)
‐請求項1および10の何れか一項で規定される一つまたは複数の成分iii)および
‐請求項1および11で規定される一つまたは複数の成分iv)
を含む化粧品染色組成物。
【請求項19】
請求項1から11の何れか一項で規定される成分i)、ii)、iii)およびiv)が分配されている2から5の組成物を含む、2から5の区画を含む多区画装置。

【公開番号】特開2010−138176(P2010−138176A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−281837(P2009−281837)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】