説明

ヘミアミナール化合物の製造方法及びシアノアミン化合物の製造方法

【課題】ヘミアミナール化合物(1)及びシアノアミン化合物(4)を優れた収率で製造する方法を提供すること。
【解決手段】下記の工程Aを含むヘミアミナール化合物(1)の製造方法、並びに下記の工程A及び工程Bを含む、シアノアミン化合物(4)の製造方法:
〔工程A〕塩基存在下、アミド化合物(2)と(Ms+1/s4−mAl(ORで示される還元剤を反応させる工程;及び
〔工程B〕ヘミアミナール化合物(1)とシアノ化剤とを反応させる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘミアミナール化合物の製造方法及びシアノアミン化合物の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)
【0003】
【化1】

【0004】
[式中、環Wは置換基を有していてもよいヘテロ環を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいチオアルコキシ基又は置換基を有していてもよいチオアリールオキシ基を表す。]
で示されるヘミアミナール化合物又はその塩、並びに式(4)
【0005】
【化2】

【0006】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]
で示されるシアノアミン化合物又はその塩は、医農薬の製造中間体等として有用である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
例えば、非特許文献1には、式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩の製造方法として、N−ベンジル−2−ピロリジノンを水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red-Al(登録商標))で還元し、続けてそのままシアン化ナトリウム及び酢酸で処理することで、N−ベンジル−2−シアノピロリジンを収率66%で得る方法が記載されている。
【0008】
【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第98/19998号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Tetrahedron, Vol.62 (2006) p.6361-6369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、式(1)で示されるヘミアミナール化合物又はその塩並びに式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩を優れた収率で製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、式(1)で示されるヘミアミナール化合物又はその塩の製造方法並びに式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩の製造方法について鋭意検討した結果、本発明に至った。本発明は、以下の通りである。
【0013】
[1] 下記の工程Aを含む、式(1)
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、環Wは置換基を有していてもよいヘテロ環を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいチオアルコキシ基又は置換基を有していてもよいチオアリールオキシ基を表す。]
で示されるヘミアミナール化合物又はその塩の製造方法:
〔工程A〕
塩基存在下、式(2)
【0016】
【化5】

【0017】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]
で示されるアミド化合物と、
式(3):(Ms+1/s4−mAl(OR
[式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
s+は金属イオンを表す。
sは金属イオンの価数を表す。
mは1、2又は3を表す。]
で示される還元剤とを反応させる工程。
【0018】
[2] 下記の工程A及び工程Bを含む、式(4)
【0019】
【化6】

【0020】
[式中、環Wは置換基を有していてもよいヘテロ環を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいチオアルコキシ基又は置換基を有していてもよいチオアリールオキシ基を表す。]
で示されるシアノアミン化合物又はその塩の製造方法:
〔工程A〕
塩基存在下、式(2)
【0021】
【化7】

【0022】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ上記と同じ意味を表す。]
で示されるアミド化合物と、
式(3):(Ms+1/s4−mAl(OR
[式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
s+は金属イオンを表す。
sは金属イオンの価数を表す。
mは1、2又は3を表す。]
で示される還元剤とを反応させる工程;及び
〔工程B〕
工程Aで得られた式(1)
【0023】
【化8】

【0024】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ上記と同じ意味を表す。]
で示されるヘミアミナール化合物又はその塩とシアノ化剤とを反応させる工程。
【0025】
[3] 工程Aにおける式(3)で示される還元剤が、
式:(Ms+1/s4−mAl[O−(CH−OR
[式中、Rはアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは1、2、3又は4を表す。
s+、s及びmはそれぞれ上記と同じ意味を表す。]
で示される化合物である、[1]又は[2]記載の製造方法。
【0026】
[4] 工程Aにおける式(3)で示される還元剤が水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである、[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法。
【0027】
[5] 工程Aにおける塩基がアルカリ金属アルコキシドである、[1]〜[4]のいずれか記載の製造方法。
【0028】
[6] 工程Aにおける塩基がN,N’−ジメチルエチレンジアミンである、[1]〜[4]のいずれか記載の製造方法。
【0029】
[7] 工程Bにおけるシアノ化剤がシアン化金属又はシアン化水素である、[2]記載の製造方法。
【0030】
[8] Rが置換基を有していてもよいフェニル基であり、Rが水素原子、置換基を有していてもよいC〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である、[1]〜[7]のいずれか記載の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明によって、式(1)で示されるヘミアミナール化合物又はその塩並びに式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩を優れた収率で製造する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
「脂肪族炭化水素基」のうち1価のものとしては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
【0033】
「脂環式炭化水素基」としては、例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基等が挙げられる。
【0034】
「芳香族炭化水素基」としては、例えばアリール基等が挙げられる。
「複素環基」としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む単環若しくは二環式の芳香族又は非芳香族の複素環基等が挙げられる。具体的には、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアジアゾリル基、イソチアゾリル基等の5員芳香族複素環基;ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等の6員芳香族複素環;ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリジニル基等の5員非芳香族複素環基;ピペリジル基、テトラヒドロピリジル基、ジヒドロピリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基等の6員非芳香族複素環基;インドリル基、イソインドリル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンズチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等の二環式芳香族複素環基;インドリニル基、イソインドリニル基、チオクロマニル基、クロマニル基等の二環式非芳香族複素環基等が挙げられる。
【0035】
「アルキル基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0036】
「アルコキシ基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
「チオアルコキシ基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10チオアルコキシ基が挙げられ、具体的にはチオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオブトキシ基、sec-チオブトキシ基、tert−チオブトキシ基、チオペンチルオキシ基、チオヘキシルオキシ基、チオヘプチルオキシ基、チオオクチルオキシ基、チオノニルオキシ基、チオデシルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
「アルケニル基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
【0039】
「アルキニル基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニル基、デシニル基等が挙げられる。
【0040】
「シクロアルキル基」としては、例えば、C〜C10シクロアルキル基が挙げられ、具体的にはシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。
【0041】
「シクロアルケニル基」としては、例えば、C〜C10シクロアルケニル基が挙げられ、具体的にはシクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロノネニル基、シクロデセニル基等が挙げられる。
【0042】
「シクロアルキニル基」としては、例えば、C〜C10シクロアルキニル基が挙げられ、具体的にはシクロブチニル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、シクロヘプチニル基、シクロオクチニル基、シクロノニニル基、シクロデシニル基等が挙げられる。
【0043】
「シクロアルコキシ基」としては、例えば、C〜C10シクロアルコキシ基が挙げられ、具体的にはシクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基等が挙げられる。
【0044】
「アリール基」並びに「アリールオキシ基」及び「チオアリールオキシ基」におけるアリール基としては、例えば、C〜C10アリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0045】
「環Wにおけるヘテロ環」としては、例えば、1〜2個の窒素原子、0〜2個の酸素原子及び0〜1個の硫黄原子を含有する、単環性の5〜7員へテロ環、二環性の6〜11員ヘテロ環及び三環性の8〜15員ヘテロ環が挙げられる。具体的には、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン環、アザビシクロ[3.3.0]オクタン環等が挙げられる。
【0046】
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0047】
脂肪族炭化水素基、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アルケニル基又はアルキニル基に置換する「置換基」としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基(概アリール基はアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されていてもよい)等が挙げられる。
【0048】
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、シクロアルコキシ基又は環に置換する「置換基」としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基(概アリール基はアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基で置換されていてもよい)等が挙げられる。
【0049】
アリール基、アリールオキシ基又はチオアリールオキシ基に置換する「置換基」としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等が挙げられる。
【0050】
アミノ基に置換する「置換基」としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等が挙げられ、独立して1つ又は2つ置換することができる。
【0051】
s+における「金属イオン」としては、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)等のイオンが挙げられ、このましくはリチウム、ナトリウム、カリウム等のイオンが挙げられる。
【0052】
は、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基又は置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくは、C〜C10アルキル基、C〜C10アルケニル基又は置換基を有していてもよいC〜C10アリール基であり、さらに好ましくは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基又はフェニル基(当該フェニル基はハロゲン原子又はアルコキシ基を有していてもよい)である。
【0053】
は、好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基であり、より好ましくは、水素原子、C〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいC〜C10アリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、C〜Cアルキル基又はフェニル基(当該フェニル基はハロゲン原子又はアルコキシ基を有していてもよい)である。
【0054】
環Wは、好ましくは、単環性の5〜7員へテロ環(当該へテロ環は置換基を有していてもよい)又は二環性の6〜11員ヘテロ環(当該へテロ環は置換基を有していてもよい)である。
【0055】
は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は水素原子であり、より好ましくは、水素原子である。
【0056】
は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は水素原子であり、より好ましくは、水素原子である。
【0057】
本発明の製造方法によって、工程Aを含む工程を経ることで、式(1)で示されるヘミアミナール化合物又はその塩を優れた収率で製造することができる。また、工程A及び工程Bを含む2工程を経ることで、式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩を優れた収率で製造することができる。以下、工程A及び工程Bごとに、詳細に説明をする。
【0058】
〔工程A〕
【0059】
【化9】

【0060】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]
工程Aは、塩基存在下、式(2)で示されるアミド化合物(以下、アミド化合物(2)と記すことがある)と、式(3):(Ms+1/s4−mAl(OR[式中、R、Ms+、s及びmはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]で示される還元剤(以下、還元剤(3)と記すことがある)とを反応させる工程である。工程Aを行うことによって、式(1)で示されるヘミアミナール化合物又はその塩(以下、ヘミアミナール化合物(1)と記すことがある)が製造される。
【0061】
アミド化合物(2)は、市販の化合物であるか、又は市販の化合物から容易に調製することができる。例えば、非特許文献Synthetic Communications, 2009, vol.39, p.2297-2303に従って調製することができる。アミド化合物(2)は上記以外の方法で調製されたものでもよい。また、アミド化合物(2)は、不斉炭素を有している場合は、その不斉炭素によって光学活性体として、又はラセミ体として存在しうる。光学活性体のアミド化合物(2)を用いる場合は、工程A及び工程Bを通して、その光学純度は維持される。
【0062】
アミド化合物(2)としては、以下の式(2−1)〜(2−75)で示される化合物等及び式(2−1)〜(2−75)で示される化合物等の光学活性体が例示される。
【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
工程Aに用いる還元剤としては、還元剤(3)が挙げられ、好ましくは、式:(Ms+1/s4−mAl[O−(CH−OR[式中、Rはアルキル基又はシクロアルキル基を表す。n、Ms+、s及びmはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]で示される化合物が挙げられ、より好ましくは水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが挙げられる。ジイソブチルアルミニウムヒドリド等の還元剤を用いて、アミド化合物(2)を還元すると、ヘミアミナール化合物(1)の段階で止まらずにさらに還元が進行した過還元体が多量に副生するが、本発明者等は還元剤(3)を用いると、過還元体の副生を良好に防止できることを見出した。
【0068】
【化14】

【0069】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]
還元剤(3)の使用量としては、分子内にヒドリドを1つ有する還元剤(3)[mが3である還元剤(3)]の場合、アミド化合物(2)1モルに対して例えば0.8〜10モル、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1.2〜4モル、より一層好ましくは1.4〜3.2モルが挙げられる。分子内にヒドリドを2つ有する還元剤(3)[mが2である還元剤(3)]の場合、アミド化合物(2)1モルに対して例えば0.4〜5モル、好ましくは0.5〜2.5モル、より好ましくは0.6〜2モル、より一層好ましくは0.7〜1.5モルが挙げられる。分子内にヒドリドを3つ有する還元剤(3)[mが1である還元剤(3)]の場合、アミド化合物(2)1モルに対して例えば0.27〜3.3モル、好ましくは0.33〜1.7モル、より好ましくは0.4〜1.1モル、より一層好ましくは0.47〜1.1モルが挙げられる。なお、本発明者らは、これらの還元剤が過還元体の副生を抑制するのは、還元剤のルイス酸性が弱められているためと考え、これら還元剤のルイス酸性の影響をさらに弱めるべく、塩基を添加したところ、過還元体が意外にも極端に減少することを見出した。
【0070】
従って、工程Aに用いる塩基としては、例えば、アルキル金属アルコキシド(カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムメトキシド等)、アルカリ土類金属アルコキシド(カルシウムメトキシド、マグネシウムメトキシド等)、水酸化アルカリ金属(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、水酸化アルカリ土類金属(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等)、炭酸アルカリ金属(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、炭酸アルカリ土類金属(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、窒素原子を2つ以上、又は酸素原子を1つ以上有するアミン(N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−メトキシエチル)アミン、1−(2−ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン、ビス(2−モルホリノエチル)エーテル等)が挙げられ、好ましくはアルキル金属アルコキシド、窒素原子を2つ以上有するアミン等が挙げられ、さらに好ましくはカリウムtert−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、N,N’−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられる。塩基の使用量としては、アミド化合物(2)1モルに対して0.01〜10モル、好ましくは0.1〜3モル、より好ましくは0.1〜0.5モルが挙げられる。ただし、工程A用いる塩基がアミンである場合、例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミンである場合、塩基の使用量はアミド化合物(2)1モルに対して、1モル以上であることが好ましい。
【0071】
溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル等)、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、少量のアルコール(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)を添加することもできる。好ましい溶媒としては、芳香族炭化水素、エーテル等が挙げられ、さらに好ましくはトルエン、エーテルが挙げられ、特に好ましくはトルエン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン等が挙げられる。溶媒の使用量としては、例えば、アミド化合物(2)の重量に対して1倍〜50倍の量、好ましくは1.5倍〜20倍の量、より好ましくは2倍〜10倍の量が挙げられる。
【0072】
反応温度としては、例えば−80℃〜60℃が挙げられ、好ましくは−40℃〜40℃が挙げられ、より好ましくは−20℃〜30℃が挙げられ、より一層好ましくは−10℃〜20℃が挙げられる。反応温度は低いほうが、過還元体の副生が抑えられる。反応時間としては、反応の進行及び副生物の量を確認して適宜選択することができるが、例えば、30分間〜40時間、好ましくは1時間〜10時間で選択することができる。
【0073】
上記の反応終了後、ヘミアミナール化合物(1)を含む反応混合物が得られる。得られる反応混合物をその状態のまま、続く工程Bに付すことが好ましいが、反応混合物を後処理に付し、ヘミアミナール化合物(1)を単離等することもできる。例えば、反応混合物と水とを混合することにより、還元剤を加水分解し、必要に応じて、水と分液可能な有機溶媒を加えて分液することにより、還元剤が加水分解された無機成分を水層に分配し、ヘミアミナール化合物(1)を有機層に分配することができる。無機成分が析出している場合には、濾過操作により無機成分を除去してもよい。
【0074】
反応混合物と混合する水は中性の水であってもよく、塩基性水溶液であってもよく、酸性水溶液であってもよい。好ましくは、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、酸水素カリウム等)、アルカリ土類水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)のような無機塩基の水溶液が使用される。
【0075】
また、反応混合物と、水又は塩基性水溶液とを混合する場合は、さらにキレート剤と混合してもよい。キレート剤としては、例えば、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸等が挙げられる。好ましくはグルコン酸ナトリウム等が挙げられる。これらキレート剤と混合することで、分液性がより一層優れたものになる。
【0076】
酸性水溶液を用いる場合の酸としては例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等が挙げられる。
【0077】
これらの水、塩基、酸及びキレート剤の使用量は特に制限されるものではない。還元剤の加水分解により生じた無機物を溶解させるために必要な量を使用することもできるし、還元剤の加水分解に必要なだけの量を使用し、生じた無機成分を濾過操作により除去してもよい。
【0078】
上述した水と分液可能な有機溶媒としては例えば、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エーテル(メチルtert−ブチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン等)、ケトン(メチルイソブチルケトン等)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等)が挙げられる。
【0079】
分液により得られた有機層は、さらに水洗浄、塩基性水溶液洗浄又は酸性水溶液洗浄等に付してもよい。水洗浄、塩基性水溶液洗浄又は酸性水溶液洗浄等は繰り返し行ってもよい。また、水洗浄に用いる水に無機塩等を溶解しておいてもよい。
【0080】
得られたヘミアミナール化合物(1)を含む有機層を、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー精製等に付し、ヘミアミナール化合物(1)を単離・精製することもできる。再結晶において、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸、又は酢酸、クエン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸を用いることで、ヘミアミナール化合物(1)を酸付加塩として取り出すこともできる。
【0081】
ヘミアミナール化合物(1)としては、以下の式(1−1)〜(1−75)で示される化合物等及び式(1−1)〜(1−75)で示される化合物等の光学活性体、並びにこれらの酸付加塩が例示される。
【0082】
【化15】

【0083】
【化16】

【0084】
【化17】

【0085】
【化18】

【0086】
〔工程B〕
【0087】
【化19】

【0088】
[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]
工程Bは、工程Aで得られたヘミアミナール化合物(1)とシアノ化剤とを反応させる工程である。工程Bを行うことによって、式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩(以下、シアノアミン化合物(4)と記すことがある)が製造される。工程Bは、工程Aで得られた反応混合物をそのまま工程Bに付すことにより行うことが好ましいが、工程Aで単離したヘミアミナール化合物(1)を用いることもできる。
【0089】
工程Aで得られた反応混合物をそのまま工程Bに付す場合は、工程Aで得られた反応混合物とシアノ化剤とを混合しながら、さらに水、酸又はアルコールと混合してもよい。水、酸又はアルコールは、それぞれを混合して使用することもでき、さらに上述したキレート剤と混合して使用することもできる。
【0090】
反応混合物と混合する水は中性の水であってもよく、塩基性水溶液であってもよく、酸性水溶液であってもよい。
【0091】
塩基性水溶液としては、例えばアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)のような無機塩基の水溶液が使用される。
【0092】
酸性水溶液を用いる場合の酸としては、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等)、有機酸(酢酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸等)等が挙げられる。好ましくは、塩酸又は酢酸等が挙げられる。
【0093】
また、混合するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。好ましくは、メタノール等が挙げられる。
【0094】
これらの水、アルコール、酸及びキレート剤の使用量は特に制限されるものではない。
シアノ化剤としては、シアン化金属(シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等のシアン化アルカリ金属、シアン化カルシウム、シアン化マグネシウム等のシアン化アルカリ土類金属等)、シアン化水素、シアン化トリメチルシリル等が挙げられ、好ましくはシアン化ナトリウム、シアン化カリウム等が挙げられる。これらのシアノ化剤は水又は有機溶媒に溶解された溶液状態のものを使用してもよい。シアノ化剤の使用量としては、ヘミアミナール化合物(1)の理論量1モルに対して、0.8〜30モル、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1.2〜3モルが挙げられる。
【0095】
酸を添加することも好ましい。添加する酸としては、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等)、有機酸(酢酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸等)等が挙げられ、好ましくは有機酸が挙げられ、より好ましくは酢酸等が挙げられる。酸の使用量としては、ヘミアミナール化合物(1)の理論量1モルに対して、0.01〜30モル、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.2〜5モルが挙げられる。
【0096】
溶媒としては、工程Aで用いる溶媒がそのまま使用でき、その使用量も、工程Aの使用量が好適に用いられる。
【0097】
反応温度としては、例えば−80℃〜100℃が挙げられ、好ましくは−20℃〜30℃が挙げられ、より好ましくは0℃〜10℃が挙げられ、より一層好ましくは0℃〜5℃が挙げられる。反応時間としては、反応の進行及び副生物の量を確認して適宜選択することができるが、例えば、30分間〜40時間、好ましくは1時間〜20時間で選択することができる。
【0098】
ヘミアミナール化合物(1)とシアノ化剤との反応終了後、シアノアミン化合物(4)を含む反応混合物が得られる。この反応混合物は、常法に従って後処理に付すことができる。
【0099】
例えば、必要に応じて、水或いは、水及び水と分液可能な有機溶媒を加えて分液することにより、過剰のシアノ化剤を水層に分配させることができる。また、シアノアミン化合物(4)を有機層に分配させることができる。さらに、後処理時のpHがアルカリ性である方が、シアノ化剤、還元剤及びこれらが加水分解された無機成分を効率的に水層に分配することができることから、上記後処理時に反応混合物と水とを混合させた後、塩基を加えてアルカリ性にするか、あるいは、反応混合物と混合する水として塩基性水溶液を使用することが好ましい。後処理操作におけるpHの範囲は例えば8〜14の範囲であり、好ましくは11〜13の範囲である。
【0100】
後処理における塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩のような無機塩基が使用される。
【0101】
上述した水と分液可能な有機溶媒としては例えば、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エーテル(メチルtert−ブチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン等)、ケトン(メチルイソブチルケトン等)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等)が挙げられる。
【0102】
得られた有機層はさらに水洗浄、塩基性水溶液若しくは酸性水溶液による洗浄等に付してもよい。水洗浄、塩基性水溶液若しくは酸性水溶液による洗浄等は繰り返し行ってもよい。また、水洗浄に用いる水に無機塩等を溶解しておいてもよい。
【0103】
余剰のシアノ化剤を分解するため、次亜塩素酸ナトリウム又は過酸化水素等を用いて後処理を行ってもよい。
【0104】
得られたシアノアミン化合物(4)を含む有機層を、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー精製等に付すことにより、シアノアミン化合物(4)を単離・精製することもできる。再結晶においては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等の無機酸、又は酢酸、クエン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸を用いることで、シアノアミン化合物(4)を酸付加塩として取り出すこともできる。
【0105】
シアノアミン化合物(4)としては、以下の式(4−1)〜(4−75)で示される化合物等及び式(4−1)〜(4−75)で示される化合物等の光学活性体、並びにこれらの酸付加塩が例示される。
【0106】
【化20】

【0107】
【化21】

【0108】
【化22】

【0109】
【化23】

【0110】
工程Bで得られたシアノアミン化合物(4)は、例えば米国特許第4691022号明細書に記載される方法に準じて、アミノ酸化合物又はその塩に誘導することもできる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0112】
実施例1
〔工程A〕:(1R,5S)−3−ベンジル−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−オール(化合物A1)の合成
(1R,5S)−3−ベンジル−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−オン(化合物E)64.6g(300mmol)、カリウムtert−ブトキシド6.70g(59.7mmol)及びトルエン129gを混合して、−11℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、240mmol)69.3gを1時間20分かけて−10℃で滴下し、同温度で2時間20分撹拌した。その後、該反応混合液を2%水酸化ナトリウム水溶液195gとグルコン酸ナトリウム9.8gの混合液に、10℃で20分間かけて滴下した。その後、静置、分液し、得られた有機層を2%水酸化ナトリウム水溶液130gで2回、2%水酸化ナトリウム水溶液66gで1回、5%塩化ナトリウム水溶液66gで1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウム11gで乾燥後、濾過し、得られた濾液を減圧条件下に濃縮して溶媒を留去後、化合物A1 61.2g(282mmol:収率93.9%)*)を含む白色結晶62.4gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.33〜7.26(5H,m),4.18(1H,s),3.87(1H,d,J=14Hz),3.75(1H,d,J=14Hz),3.10(1H,dd,J=9Hz, 4Hz),2.62(1H,d,J=9Hz),1.35〜1.28(2H,m),1.08(3H,s),0.96(3H,s)
*) HPLCを用いて下記条件で定量分析した。
[HPLC条件]
カラム:CAPCELLPAC C18 MGIII、4.6mmφ×100mm,3μm(資生堂製)
流速: 1.35ml/min
検出波長:UV 220nm
移動相:A液(0.1%リン酸)/B液(アセトニトリル)
グラジエント条件:
時間(分) 0 45
A液 95 30
B液 5 70
カラム温度:35℃
【0113】
実施例2
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 10.0g(46.4mmol)、ナトリウムメトキシド0.50g(9.25mmol)及びトルエン20gを混合して、10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、30.2mmol)8.72gを2時間かけて10℃で滴下し、同温度で3時間撹拌した。この反応混合液をHPLCで分析した*1)
原料から生成物への転化率*2):99.8%
化合物A1と(1R,5S)−3−ベンジル−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(過還元体)との比:100.0/0.0
化合物A1のHPLC面積百分率:98.9%
*1) HPLC条件は実施例1のHPLC条件と同じである。
*2)転化率(%):(化合物A1+過還元体)/(化合物A1+過還元体+原料)×100
転化率(%)は他の実施例でも同様に計算される。
【0114】
実施例3
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.10g(0.89mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、4.74mmol)1.37gを20分間かけて−10℃で滴下して、同温度で25時間撹拌した。反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:98.3%
化合物A1と過還元体との比:99.4/0.6
化合物A1のGC面積百分率:96.6%
*) [GC条件]
カラム:DB−1701,0.25mmφ×30m,0.25μm(J&W Scientific社製)
検出方法:FID
流速: 1ml/min(ヘリウム)
カラム温度:
時間(分) 0 10 46 55
温度(℃) 100 100 280 280
インジェクター温度:150℃
検出器温度:280℃
【0115】
実施例4
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、カリウムtert−ブトキシド100mg(0.89mmol)及びメチルtert-ブチルエーテル2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、3.77mmol)1.09gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で22時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:99.2%
化合物A1と過還元体との比:99.8/0.2
化合物A1のGC面積百分率:97.7%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0116】
実施例5
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.10g(0.89mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、3.77mmol)1.09gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で1時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から化合物A1への転化率:98.7%
化合物A1と過還元体との比:99.6/0.4
化合物A1のGC面積百分率:97.1%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0117】
実施例6
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.50g(6.97mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.16g(1.40mmol)及びテトラヒドロフラン3.0gを混合して、20℃に加熱した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.68mmol)1.64gを20分間かけて20℃で滴下して、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:98.1%
化合物A1と過還元体との比:99.7/0.3
化合物A1のGC面積百分率:96.1%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0118】
実施例7
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.50g(6.97mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.16g(1.40mmol)及びテトラヒドロフラン3.0gを混合して、40℃に加熱した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.68mmol)1.64gを20分間かけて40℃で滴下して、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:98.2%
化合物A1と過還元体との比:99.0/1.0
化合物A1のGC面積百分率:88.8%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0119】
実施例8
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.50g(6.97mmol)、ナトリウムメトキシド38mg(0.70mmol)及びテトラヒドロフラン3.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.68mmol)1.64gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をHPLCで分析した*)
原料から生成物への転化率:99.9%
化合物A1と過還元体との比:97.8/2.2
化合物A1のHPLC面積百分率:96.7%
*) HPLC条件は実施例1のHPLC条件と同じである。
【0120】
実施例9
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.50g(6.97mmol)、ナトリウムメトキシド75mg(1.39mmol)及びテトラヒドロフラン3.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.68mmol)1.64gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で1時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から化合物A1への転化率:98.4%
化合物A1と過還元体との比:99.2/0.8
化合物A1のGC面積百分率:92.7%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0121】
実施例10
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.50g(6.97mmol)、ナトリウムメトキシド151mg(2.79mmol)及びテトラヒドロフラン3.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.67mmol)1.64gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をHPLCで分析した*)
原料から生成物への転化率:100.0%
化合物A1と過還元体との比:99.7/0.3
化合物A1のHPLC面積百分率:98.5%
*) HPLC条件は実施例1のHPLC条件と同じである。
【0122】
実施例11
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.50g(6.97mmol)、ナトリウムエトキシド95mg(1.40mmol)及びテトラヒドロフラン3.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.68mmol)1.64gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をHPLCで分析した*)
原料から生成物への転化率:99.8%
化合物A1と過還元体との比:99.7/0.3
化合物A1のHPLC面積百分率:98.1%
*) HPLC条件は実施例1のHPLC条件と同じである。
【0123】
実施例12
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 0.43g(含量99.3%、1.86mmol)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン0.17g(1.93mmol)及びテトラヒドロフラン3.7gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、2.98mmol)0.86gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で22時間撹拌した。その後、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、2.04mmol)0.59gを−10℃で滴下し、同温度で3時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から化合物A1への転化率:95.3%
化合物A1と過還元体との比:100/0
化合物A1のGC面積百分率:95.3%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0124】
実施例13
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.05g(含量95.6%、4.64mmol)、N,N'−ジメチルエチレンジアミン0.20g(2.27mmol)及びジエチレングリコールジメチルエーテル2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:87.9%
化合物A1と過還元体との比:100.0/0.0
化合物A1のGC面積百分率:87.8%
*) GCを用いて下記条件で定量した。
[GC条件]
カラム:DB−1,0.25mmφ×30m,0.25μm(J&W Scientific社製)
検出方法:FID
流速: 1ml/min(ヘリウム)
カラム温度:
時間(分) 0 10 46 55
温度(℃) 100 100 280 280
インジェクター温度:150℃
検出器温度:280℃
【0125】
実施例14
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.05g(含量95.6%、4.64mmol)、N,N'−ジメチルエチレンジアミン61mg(0.69mmol)及びジエチレングリコールジメチルエーテル2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:97.5%
化合物A1と過還元体との比:96.2/3.8
化合物A1のGC面積百分率:93.8%
*) GC条件は実施例13のGC条件と同じである。
【0126】
実施例15
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン0.40g(2.32mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。その後、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:98.3%
化合物A1と過還元体との比:80/20
化合物A1のGC面積百分率:78.3%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0127】
実施例16
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、1−(2−ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン0.40g(2.34mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。その後、この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:98.1%
化合物A1と過還元体との比:82/18
化合物A1のGC面積百分率:79.6%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0128】
実施例17
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル0.37g(2.31mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分間かけて−10℃で滴下し、滴下終了後に同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:97.9%
化合物A1と過還元体との比:85/15
化合物A1のGC面積百分率:83.2%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0129】
実施例18
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、ビス(2−モルホリノエチル)エーテル0.56g(2.29mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分間かけて−10℃で滴下し、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:97.8%
化合物A1と過還元体との比:81/19
化合物A1のGC面積百分率:77.1%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0130】
実施例19
〔工程A〕:化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)、ビス(2−メトキシエチル)アミン0.31g(2.32mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、7.58mmol)2.19gを20分間かけて−10℃で滴下して、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:97.9%
化合物A1と過還元体との比:94/6
化合物A1のGC面積百分率:89.0%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0131】
実施例20
〔工程A〕:1−ベンジルアゼパン−2−オール(化合物A2)の合成
1−ベンジルアゼパン−2−オン8.02g(含量99.8%、39.35mmol)、ナトリウムメトキシド0.43g(7.96mmol)及びテトラヒドロフラン24gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、31.48mmol)9.09gを1時間かけて−8〜−5℃の間で滴下した。その後、−10℃で3時間撹拌し、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、0.52mmol)0.15gを加え、同温で17時間攪拌した。この反応混合液をHPLCで分析した*)。なお、化合物A2の構造はLC/MSで確認した。
MS,m/z:206[M+H],188[M-HO]
原料から生成物への転化率:100.0%
化合物A2と1−ベンジル−アゼパン(過還元体)との比:100.0/0.0
化合物A2のHPLC面積百分率:95.0%
*) HPLC条件は実施例1のHPLC条件と同じである。
【0132】
実施例21
〔工程A+B〕:(1R,2S,5S)−3−ベンジル−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボニトリル(化合物B1)の合成
化合物E 20.0g(92.9mmol)、ナトリウムメトキシド1.00g(18.5mmol)及びテトラヒドロフラン40.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、74.3mmol)21.46gを2時間かけて−10℃で滴下し、同温度で21時間撹拌した。その後、該反応混合液をグルコン酸ナトリウム6.35g(29.1mmol)とシアン化ナトリウム5.46g(111.4mmol)と水40gの混合液に30分間かけて5℃で滴下した。この反応混合液に酢酸1.67g(27.8mmol)を5℃で滴下し、同温で12時間攪拌した後、トルエン10gを加え攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液89g(2.0%重量濃度)で4回洗浄後、更に食塩水42g(4.8%重量濃度)で洗浄した。得られた有機層を減圧条件下に溶媒を留去後、化合物B1 21.2g(93.5mmol、収率100%)*)を含む溶液を27.0g得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.33−7.23(5H,m),3.83−3.70(3H,m),2.98(1H,d,J=10Hz)2.82(1H,dd,J=5Hz,10Hz),1.47(1H,d,J=8Hz),1.37(1H,dd,J=4Hz,7Hz),1.29(3H,s),0.99(3H,s)
*) HPLCを用いて下記条件で定量した。
[HPLC条件]
カラム:ZORBAX CN,4.6mmφ×250mm,5μm(アジレント製)
流速: 1.00ml/min
検出波長:UV 220nm
移動相:A液(ヘキサン) / B液(テトラヒドロフラン)
グラジエント条件:
時間(分) 0 5 30
A液(%) 95 95 75
B液(%) 5 5 25
カラム温度: 25℃
【0133】
実施例22
〔工程A+B〕:化合物B1の合成
化合物E 100.0g(464.5mmol)、ナトリウムメトキシド5.02g(92.9mmol)及びテトラヒドロフラン200gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、371.6mmol)107.32gを3時間かけて−10℃で滴下し、同温度で21時間撹拌した*1)。その後、該反応混合液をグルコン酸ナトリウム31.8g、シアン化ナトリウム27.3g及び水200gの混合液に4〜8℃の間を保ちながら滴下し、同温で21時間攪拌した。得られた反応混合液を同温で、静置、分液した。得られた有機層にトルエン50gを加えた後、水酸化ナトリウム水溶液446g(2.0%重量濃度)で4回洗浄後、更に塩化ナトリウム水溶液210g(4.8%重量濃度)で洗浄した。得られた有機層を減圧条件下に溶媒を留去後、化合物B1 102.8g(収率97.7%)*2)を含む溶液を得た。
原料から生成物への転化率:99.7%
化合物A1と過還元体との比:99.4/0.6
*1)HPLC条件は実施例1のHPLC条件にて、以下の転化率および化合物A1と過還元体との比を算出した。
*2) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。
【0134】
実施例23
〔工程A+B〕:化合物B1の合成
化合物E 10.0g(46.45mmol)、ナトリウムメトキシド0.50g(9.29mmol)及びテトラヒドロフラン20gを混合して、20℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、37.15mmol)10.73gを2時間かけて20℃で滴下し、同温度で1時間撹拌した*1)。その後、該反応混合液をグルコン酸ナトリウム1.52g、シアン化ナトリウム2.73g及び水20gの混合液に4〜7℃の間を保ちながら滴下し、同温で15時間攪拌した。得られた反応混合液に次亜塩素酸ナトリウム水14.4g(12%重量濃度)を同温で滴下し、トルエン10gを加えた。その後、攪拌し、静置、分液した。得られた有機層を塩化ナトリウム水溶液20g(10%重量濃度)にて、同温で1回洗浄後、更に水20gで2回洗浄した。得られた有機層を減圧条件下に溶媒を留去後、化合物B1 10.3g(収率97.6%)*2)を含む溶液を得た。
原料から生成物への転化率:99.8%
化合物A1と過還元体との比:99.3/0.7
*1)HPLC条件は実施例1のHPLC条件にて以下の転化率および化合物A1と過還元体との比を算出した。
*2) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。
【0135】
実施例24
〔工程A+B〕:化合物B1の合成
化合物E 10.0g(46.45mmol)、ナトリウムメトキシド0.50g(9.29mmol)及びトルエン20gを混合して、10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、37.15mmol)10.73gを2時間かけて10℃で滴下し、同温度で16時間撹拌した*1)。その後、該反応混合液をグルコン酸ナトリウム1.52g、シアン化ナトリウム2.73g、酢酸1.39g、及び水20gの混合液に4〜8℃の間を保ちながら滴下し、同温で24時間攪拌した。得られた反応混合液に次亜塩素酸ナトリウム水14.4g(12%重量濃度)を同温で滴下し、トルエン10gを加えた。その後、攪拌し、静置、分液した。得られた有機層を塩化ナトリウム水溶液20g(10%重量濃度)にて、同温で1回洗浄し、更に水20gで2回洗浄した。得られた有機層を減圧条件下に溶媒を留去後、化合物B1 9.90g(収率94.3%)*2)を含む溶液を得た。
原料から生成物への転化率:99.8%
化合物A1と過還元体との比:99.2/0.8
*1) HPLC条件は実施例1のHPLC条件にて以下の転化率および化合物A1と過還元体との比を算出した。
*2) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。
【0136】
実施例25
〔工程A+B〕:化合物B1の合成
化合物E 10.0g(46.45mmol)、ナトリウムメトキシド0.50g(9.29mmol)及びトルエン20gを混合して、10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、37.15mmol)10.73gを2時間かけて10℃で滴下し、同温度で2時間撹拌した*1)。その後、該反応混合液をグルコン酸ナトリウム1.52g、シアン化ナトリウム2.73g、イソプロピルアルコール5.0g、及び水20gの混合液に5〜7℃の間を保ちながら滴下し、同温で18時間攪拌した。得られた反応混合液に次亜塩素酸ナトリウム水14.4g(12%重量濃度)を同温で滴下し、更にトルエン10gを加え攪拌した。その後、亜硫酸ナトリウム水溶液14.6g(10%重量濃度)を同温で滴下し、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を塩化ナトリウム水溶液20g(10%重量濃度)にて、同温で1回洗浄し、更に水20gで2回洗浄した。得られた有機層を減圧条件下に溶媒を留去後、化合物B1 10.00g(収率96.0%)*2)を含む溶液を得た。
原料から生成物への転化率:99.8%
化合物A1と過還元体との比:99.3/0.7
*1) HPLC条件は実施例1のHPLC条件にて以下の転化率および化合物A1と過還元体との比を算出した。
*2) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。
【0137】
実施例26
〔工程A+B〕:化合物B1の合成
化合物E 14.0g(65.0mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.46g(13.0mmol)及びテトラヒドロフラン28.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、52.0mmol)15.0gを2時間かけて−10℃で滴下し、同温度で20時間撹拌した。その後、該反応混合液を酢酸のメタノール溶液2.42g(48.3%重量濃度)に滴下した。この反応液にシアン化ナトリウム水溶液17.8g(21.5%重量濃度、78.2mmol)を35分間かけて5℃で滴下し、同温で11時間攪拌した。その後、更に酢酸0.78gを5分間かけて5℃で滴下し、同温で15時間攪拌した。その後、同温で、シアン化ナトリウム0.32(6.52mmol)を加え、3時間攪拌し、更に同温でシアン化ナトリウム0.64g(13.1mmol)を加え、3時間攪拌した。得られた反応混合液をグルコン酸ナトリウム4.44gと水酸化ナトリウム水溶液49.0g(2.85%重量濃度)の混合液に10℃で滴下し、同温で攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液62.5g(2.0%重量濃度)で3回洗浄後、更に食塩水29.4g(4.8%重量濃度)で洗浄した。得られた有機層を減圧条件下に溶媒を留去後、化合物B1 13.44g(59.4mmol、収率91%)*)を含む溶液17.8gを得た。
*) GC条件は実施例13のGC条件と同じである。
【0138】
実施例27
〔工程A+B〕:1−ベンジルピロリジン−2−カルボニトリル(化合物B2)の合成
1−ベンジルピロリジン−2−オン 8.00g(45.7mmol)、ナトリウムメトキシド 0.49g(9.07mmol)及びテトラヒドロフラン16.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、36.5mmol)10.55gを3時間かけて−10℃から−5℃の間で滴下し、−10℃で19時間撹拌した*1)。その後、該反応混合液に酢酸0.82gとメタノール0.88gの混合液を、−10℃で5分かけて滴下した。シアン化ナトリウム水溶液(25%重量濃度、54.9mmol)10.69gを30分かけて−10℃〜−2℃の間で滴下し、8℃に昇温後、同温で、2時間撹拌し、シアン化ナトリウム4.48g(91.4mmol)を加え、2時間攪拌した。更に、酢酸0.54gを加え、1.5時間攪拌した。その後、該反応混合液にグルコン酸ナトリウム水溶液(12%重量濃度)27.1gを30分かけて8〜12℃の間で滴下し、トルエン50gを加え、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2%重量濃度)35gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)35gで4回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、化合物B2 7.50g(40.29mmol:収率88.3%)*2)を含む濾液を83.95gを得た。
化合物B2と1−ベンジルピロリジン(過還元体)との比:100/0
H−NMR(CDCl)δ:7.37−7.26(5H,m),3.92(1H,d,J=13Hz),3.71−3.69(1H,m),3.67(1H,d,J=13Hz),2.97−2.91(1H,m),2.58(1H,dd,J=9Hz,17Hz),2.20−2.07(2H,m),1.90−1.86(2H,m)
*1) この反応混合液を実施例13と同じGC条件で分析したところ、1−ベンジルピロリジン(過還元体)は生成していなかった。
*2) GC条件は実施例13のGC条件と同じである。
【0139】
実施例28
〔工程A+B〕:1−ベンジルピペリジン−2−カルボニトリル(化合物B3)の合成
1−ベンジルピぺリジン−2−オン 8.00g(42.27mmol)、ナトリウムメトキシド 0.46g(8.52mmol)及びテトラヒドロフラン16.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、33.83mmol)9.77gを3時間かけて−10℃から−6℃の間で滴下し、−10℃で1.5時間撹拌した*1)。その後、該反応混合液に酢酸0.76gとメタノール0.81gの混合液を、−10℃〜−6℃の間で5分かけて滴下した。シアン化ナトリウム水溶液(23.7%重量濃度、50.8mmol)10.5gを5分かけて−1℃〜6℃の間で滴下し、1℃で0.6時間撹拌した後、シアン化ナトリウム水溶液(24%重量濃度、76.31mmol)15.74gを加え、同温で1時間攪拌した。その後、該反応混合液にグルコン酸ナトリウム水溶液(11%重量濃度)26.9gを5〜10℃の間で加えた後、トルエン24gを加え、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2%重量濃度)36gで2回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)36gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)17gで2回洗浄し、化合物B3 7.74g(38.63mmol:収率91.4%)*2)を含む有機層を41.2gを得た。
化合物B3と1−ベンジルピぺリジン(過還元体)との比:100/0
H−NMR(CDCl)δ:7.35−7.25(5H,m),3.74−3.72(1H,m),3.69(1H,d,J=13Hz),3.53(1H, d,J=13Hz),2.81−2.73(1H,m),2.46−2.40(1H,m),1.88−1.54(6H,m)
*1) この反応混合液を実施例13と同じGC分析条件で分析したところ、1−ベンジルピぺリジン(過還元体)は生成していなかった。
*2) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。
【0140】
実施例29
〔工程A+B〕:1−エチルピロリジン−2−カルボニトリル(化合物B4)の合成
1−エチルピロリジン−2−オン10.00g(88.37mmol)、ナトリウムメトキシド 0.95g(17.59mmol)及びテトラヒドロフラン20.0gを混合して、−9℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、70.71mmol)20.42gを3時間かけて−10℃から−8℃の間で滴下した。その後、テトラヒドロフランを20g加え、−10℃で2時間撹拌した*。その後、該反応混合液に酢酸1.59gとメタノール1.70gの混合液を、−10℃〜−1℃の間で5分かけて滴下した。シアン化ナトリウム水溶液(34%重量濃度、106.1mmol)15.2gを5分かけて0℃〜7℃の間で滴下し、5℃で1時間攪拌した。更に、シアン化ナトリウム水溶液(34%重量濃度、159.2mmol)22.8gを加え、5℃で1時間攪拌した。その後、該反応混合液にグルコン酸ナトリウム水溶液(17%重量濃度)36gを5〜13℃の間で加えた後、トルエン30gを加え、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2%重量濃度)40gで1回、水酸化ナトリウム水溶液(20%重量濃度)40gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)40gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)21gで1回洗浄し、化合物B4 7.73g(62.30mmol:収率70.5%)*)を含む有機層を87.25gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.80(1H,dd,J=3Hz,8Hz),2.94−2.88(1H,m),2.79−2.73(1H,m),2.65−2.51(2H,m),2.21−2.11(2H,m),1.97−1.87(2H,m),1.15(3H,t,J=8Hz)
*) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。
【0141】
実施例30
〔工程A+B〕:1−(プロプ−2−エン−1−イル)ピロリジン−2−カルボニトリル(化合物B5)の合成
1−(プロプ−2−エン−1−イル)ピロリジン−2−オン7.62g(含量98.4、59.98mmol)、ナトリウムメトキシド 0.65g(12.03mmol)及びテトラヒドロフラン15.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、47.93mmol)13.84gを3時間かけて−10℃から−9℃の間で滴下した。その後、−10℃で1.5時間撹拌した*1)。該反応混合液に酢酸1.08gとメタノール1.15gの混合液を、−11℃〜4℃の間で8分かけて滴下した。そしてシアン化ナトリウム水溶液(25%重量濃度、179.8mmol)35.24gを20分かけて−2℃〜7℃の間で滴下し、5℃で1時間20分撹拌した後、酢酸0.72gを加えた。その後、該反応混合液にグルコン酸ナトリウム水溶液(15%重量濃度)27gを6〜12℃で10分かけて滴下した後、トルエン23gを加え、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2%重量濃度)30gで1回、水酸化ナトリウム水溶液(10%重量濃度)40gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)30gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)15gで1回洗浄し、化合物B5 7.30g(53.60mmol:収率89.4%)*2)を含む有機層を42.57g得た。
化合物B5と1−(プロプ−2−エン−1−イル)ピロリジン(過還元体)との比:100/0
H−NMR(CDCl)δ:5.96−5.77(1H,m),5.32(1H,dd,J=1Hz,17Hz),5.20−5.16(1H,m),3.80(1H,dd,J=3Hz,7Hz),3.40−3.34(1H,m),3.19(1H,dd,J=7Hz,13Hz),2.95−2.89(1H,m),2.55(1H,ddd,J=10Hz,10Hz,10Hz),2.24−2.09(2H,m),2.04−1.83(2H,m)
*1) この反応混合液を下記記載のGC条件で分析したが、1−(プロプ−2−エン−1−イル)ピロリジン(過還元体)は生成していなかった。
[GC条件]
カラム:DB−1,0.25mmφ×30m,0.25μm(J&W Scientific社製)
検出方法:FID
流速: 1ml/min(ヘリウム)
カラム温度:
時間(分) 0 10 56 65
温度(℃) 50 50 280 280
インジェクター温度:150℃
検出器温度:280℃
*2) GC条件は実施例13のGC条件と同じである。
【0142】
実施例31
〔工程A+B〕:(5S)−1−ベンジル−5−(ベンジルオキシメチル)ピロリジン−2−カルボニトリル(化合物B6)の合成
(S)−1−ベンジル−5−(ベンジルオキシメチル)ピロリジン−2−オン 8.14g(含量98.3%、27.08mmol)、ナトリウムメトキシド 0.29g(5.37mmol)及びテトラヒドロフラン16gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、21.67mmol)6.26gを3時間かけて−9℃で滴下した。その後、−10℃で2.5時間撹拌し、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、1.35mmol)0.39gを加え、同温で1時間20分攪拌した*1)。該反応混合液に酢酸0.49gとメタノール0.52gの混合液を、−10℃〜−4℃の間で3分かけて滴下した。そしてシアン化ナトリウム水溶液(33%重量濃度、81.2mmol)11.98gを10分かけて0℃〜6℃の間で滴下し、5℃で16時間撹拌した。酢酸0.48gを加え、同温で3時間30分攪拌し、更に酢酸0.48gを加え、同温で1時間20分攪拌した。その後、該反応混合液にグルコン酸ナトリウム水溶液(7%重量濃度)26gを5〜13℃の間で5分かけて滴下した後、トルエン24gを加え、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2%重量濃度)32gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)32gで2回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)17gで1回洗浄し、化合物B6 7.06g(23.07mmol:収率85.2%)*2)を含む有機層を37.2g得た。
化合物B6と1−ベンジル−5−(ベンジルオキシメチル)ピロリジン(過還元体)との比:100/0
主異性体のH−NMR(CDCl)δ:7.36−7.16(10H,m),4.55(2H,s),4.26(1H,d,J=14Hz),3.70(1H,d,J=6Hz),3.63(1H,d,J=14Hz),3.54(1H,dd,J=5Hz,9Hz),3.46(1H,dd,J=6Hz,10Hz),3.12−3.06(1H,m),2.27−2.16(1H,m),2.08−1.97(2H,m),1.86−1.77(1H,m)
MS,m/z:307[M+H],280[M-CN]
*1) この反応混合液を実施例13のGC条件で分析したが、1−ベンジル−5−(ベンジルオキシメチル)ピロリジン(過還元体)は生成していなかった。
*2) HPLC条件は実施例21のHPLC条件と同じである。収率は2種のジアステレオマー(83:17)を併せた値である。
【0143】
参考例1
塩基非存在下での化合物A1の合成
化合物E 1.00g(4.64mmol)及びテトラヒドロフラン2.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、4.74mmol)1.37gを20分間かけて−10℃で滴下して、同温度で25時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:98.8%
化合物A1と過還元体との比:69/31
化合物A1のGC面積百分率:67.6%
*) GC条件は実施例3のGC条件と同じである。
【0144】
参考例2
ジイソブチルアルミニウムヒドリドを用いた化合物A1の合成
化合物E 1.04g(含量96.2%,4.64mmol)及びテトラヒドロフラン10mlを混合して、−35℃に冷却した。ジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘプタン溶液4.35g(19%重量濃度,5.80mmol)を25分間かけて滴下して、同温度で19時間撹拌した。この反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析した*)
原料から生成物への転化率:63.2%
化合物A1と過還元体との比:33/67
化合物A1のGC面積百分率:17.3%
*) GC条件は実施例13のGC条件と同じである。
【0145】
参考例3
化合物B2の合成(塩基非存在下での還元)
1−ベンジルピロリジン−2−オン4.50g(25.68mmol)及びテトラヒドロフラン9.0gを混合して、−10℃に冷却した。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、15.51mmol)4.48gを45分かけて−10℃から−7℃で滴下し、−10℃で5時間撹拌した*1)
その後、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムのトルエン溶液(70%重量濃度、5.16mmol)1.49gを−10℃で滴下し、同温で19.5時間攪拌した*2)。その後、該反応混合液に酢酸0.45gとメタノール0.49gの混合液を、−10℃〜−7℃の間で5分かけて滴下した。シアン化ナトリウム水溶液(25%重量濃度、30.65mmol)6.01gを30分かけて−10℃〜−5℃の間で滴下し、8℃に昇温後、同温で1時間撹拌した後、シアン化ナトリウム2.52g(51.42mmol)を加え、1時間攪拌した。更に、酢酸0.30gを加え、4時間攪拌した。その後、25℃に昇温し、同温で1時間攪拌した。該反応混合液にグルコン酸ナトリウム水溶液(12%重量濃度)15.3gを30分かけて25℃で滴下した後、トルエン28gを加え、攪拌後、静置、分液した。得られた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2%重量濃度)20gで1回、塩化ナトリウム水溶液(5%重量濃度)20gで4回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、化合物B2 3.10g(16.63mmol:収率64.8%)*3)を含む濃縮液を43.17gを得た。
化合物B2と1−ベンジルピロリジン(過還元体)との比:80/20
*1) *2)この反応混合液を実施例3と同じ分析条件で分析した結果、1−ベンジルピロリジン(過還元体)の生成が確認できた。
*3) GC条件は実施例13のGC条件と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明によって、式(1)で示されるヘミアミナール化合物又はその塩及び式(4)で示されるシアノアミン化合物又はその塩を優れた収率で製造する方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程Aを含む、式(1)
【化1】

[式中、環Wは置換基を有していてもよいヘテロ環を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいチオアルコキシ基又は置換基を有していてもよいチオアリールオキシ基を表す。]
で示されるヘミアミナール化合物又はその塩の製造方法:
〔工程A〕
塩基存在下、式(2)
【化2】

[式中、R〜Rはそれぞれ前記と同じ意味を表す。]
で示されるアミド化合物と、
式(3):(Ms+1/s4−mAl(OR
[式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
s+は金属イオンを表す。
sは金属イオンの価数を表す。
mは1、2又は3を表す。]
で示される還元剤とを反応させる工程。
【請求項2】
下記の工程A及び工程Bを含む、式(4)
【化3】

[式中、環Wは置換基を有していてもよいヘテロ環を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいチオアルコキシ基又は置換基を有していてもよいチオアリールオキシ基を表す。]
で示されるシアノアミン化合物又はその塩の製造方法:
〔工程A〕
塩基存在下、式(2)
【化4】

[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ上記と同じ意味を表す。]
で示されるアミド化合物と、
式(3):(Ms+1/s4−mAl(OR
[式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
s+は金属イオンを表す。
sは金属イオンの価数を表す。
mは1、2又は3を表す。]
で示される還元剤とを反応させる工程;及び
〔工程B〕
工程Aで得られた式(1)
【化5】

[式中、環W及びR〜Rはそれぞれ上記と同じ意味を表す。]
で示されるヘミアミナール化合物又はその塩とシアノ化剤とを反応させる工程。
【請求項3】
工程Aにおける式(3)で示される還元剤が、
式:(Ms+1/s4−mAl[O−(CH−OR
[式中、Rはアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは1、2、3又は4を表す。
s+、s及びmはそれぞれ上記と同じ意味を表す。]
で示される化合物である、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
工程Aにおける式(3)で示される還元剤が水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムである、請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
工程Aにおける塩基がアルカリ金属アルコキシドである、請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】
工程Aにおける塩基がN,N’−ジメチルエチレンジアミンである、請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
工程Bにおけるシアノ化剤がシアン化金属又はシアン化水素である、請求項2記載の製造方法。
【請求項8】
が置換基を有していてもよいフェニル基であり、Rが水素原子、置換基を有していてもよいC〜C10アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である、請求項1〜7のいずれか記載の製造方法。

【公開番号】特開2013−10733(P2013−10733A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273348(P2011−273348)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】