説明

ヘルニア修復の方法および装置

患者のヘルニア欠損を修復するための装置であって、処理された表面を有する生物適合性のメッシュ材料と処理された表面の少なくとも一部にコーティングされる組織組成物を有し、組織組成物が患者に由来することを特徴とする、装置。ヘルニア欠損を修復するための外科用メッシュの調製方法は、組織標本を容器に入れ、容器を遠心分離して標本を少なくとも2個の画分に分離した後、選択された画分を容器から抜き取り、生物適合性メッシュの表面を処理し、表面を処理した生物適合性メッシュを選択した画分でコーティングすることを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明の技術は、ヘルニアを修復し、それに関連した組織修復を促進しまたは高めるのに用いられる方法および装置に関する。
【0002】
多くのヘルニア修復では、組織の弱い部分の修復にメッシュの小片が用いられる。 例えば、ヘルニアの部位で切開を行い、周囲の組織を縫い合わせることなくメッシュの小片を挿入して腹壁欠陥部を被覆する。メッシュは生物適合性であり、通常は身体の自然な組織によって十分に受け容れられる。
【0003】
しかしながら、メッシュ製品はヘルニア修復に変革を起こしたが、幾つかの症例では不完全な治癒のようなメッシュ関連合併症が見られることがある。(例えば、Robinson et al, Surg Endosc (2005) 19:1556-1560を参照されたい)。ヘルニア修復に用いるメッシュを調製して使用する新規な方法が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の技術は、被験体のヘルニア欠損を修復する装置であって、処理された表面を有する生物適合性のメッシュ材料と処理された表面の少なくとも一部分にコーティングされる単離組織組成物を含んでなる装置を提供する。幾つかの装置では、単離組織組成物は被験体に由来する。
【0005】
本発明の技術は、ヘルニア欠損を修復するための外科用メッシュの調製方法も提供する。このような方法は、組織標本を容器に入れ、容器を遠心分離して標本を少なくとも3個の画分に分離し、選択された画分を容器から抜き取り、表面が処理された生物適合性メッシュ表面を選択した画分でコーティングすることを包含する。
【0006】
適用可能な他の分野は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明および具体例は単なる例示のためのものであり、本発明の教示の範囲を制限しようとするものではないことを理解すべきである。
【発明の具体的説明】
【0007】
下記の技術の説明は、1以上の発明の主題、製造および使用の単なる説明に過ぎず、本出願または本出願から発行される特許に対して優先権を主張して出願されることがあるような他の出願に記載の任意の特定発明の範囲、応用または使用を制限しようとするものではない。
【0008】
図1について説明すれば、被験者100のヘルニア欠損101は腹壁102における開口105の形成である。多くの症例では、内部組織例えば、腸106が開口105からはみ出すのである。ヘルニア欠損の治療は、典型的にははみ出している内臓106または腹壁102内の腹部組織を元に戻す手術に続く開口105の修復を含む。
【0009】
ヘルニア欠損101を治療する一般的方法を、図2に模式的に示す。簡略に説明すれば、単離組織組成物が工程14で得られる。任意材料を、工程16で単離組織組成物と組み合わせることもできる。ヘルニア欠損101の修復に適するメッシュは、工程12で表面を処理する。工程16で加えられた任意材料を有する工程14で形成した単離組織組成物を、次に工程18の表面が処理されたメッシュの少なくとも一部にコーティングして、インプラントを作製する。図5に更に示されるように、インプラント110を、次にヘルニア欠損101の部位に移植する。これらの工程のそれぞれを、以下において更に詳しく説明する。
【0010】
詳細には、血液成分のような単離組織組成物を、最初に工程14で得る。組織組成物は、ヘルニア欠損101を示す被験者100の組織標本に由来する自己組織材料または被験者100と適合すると確認された別のヒトまたは動物ドナーの組織材料を含んでなることができる。単離組織組成物は、更に処理しない組織標本または組織標本から単離したあるいは処理を行った組織材料を含んでなることがある。単離組織組成物の例としては、多血小板血漿、少血小板血漿、少血小板血漿濃縮物、寒冷沈降血漿(cryoprecipitated plasma)、骨髄吸引物、骨髄吸引濃縮物、および吸引脂肪由来細胞が挙げられる。幾つかの単離組織組成物は、造血幹細胞、間質幹細胞、間葉幹細胞、内皮前駆細胞、赤血球、白血球、繊維芽細胞、網状赤血球、脂肪細胞、血小板および内皮細胞の少なくとも1つを含んでなる。
【0011】
多血小板血漿を含んでなる単離組織組成物は、全血と比較して血小板の濃度が増加していることがある。例えば、血小板濃度は、全血における血小板濃度より約3倍 - 約10倍大きい可能性がある。あるいは、少血小板血漿を含んでなる単離組織組成物は、約0 - 約100,000個の血小板/mlのように全血と比較して血小板の濃度が減少していることがある。少血小板血漿を濃縮して、少血小板血漿濃縮物を作製することもできる。更に、工程14で得られる単離組織組成物は、分別血漿の組合せを含んでなることがある。例えば、単離組織組成物は、様々な比率の多血小板血漿および少血小板血漿を含んでなり、多血小板血漿から少血小板血漿までの血小板濃度の範囲を生じることがある。単離組織組成物は、多血小板血漿または単離血小板を含んでなることがあり、それらのいずれも少血小板血漿または少血小板血漿濃縮物で希釈しおよび/または再懸濁スルしてもよい。
【0012】
単離組織組成物は、濾過、寒冷沈降反応、および密度分別など1以上の方法によって工程14で得ることができる。密度分別としては、一工程遠心分離、多工程の遠心分離、および連続フロー遠心分離(continuous flow遠心分離)が挙げられる。
【0013】
工程14で単離組織組成物を形成するのに用いられることがある装置の一例を、図3に示す。これに関しては、装置22は、血液を満たした後に遠心分離機に入れる管のような容器24を含む。容器24はアイソレーター26とブイ28を有するブイシステムを含んでいる。ブイ28は、遠心分離時に選択された平衡位置に達するように調製される選択された密度を有し、この位置は一層濃密な血液画分と余り濃密でない血液画分との間にある。遠心分離中に、ブイ28は、2個の画分の間の位置へ沈降することによって画分同士を実質的に混合するなく容器24中の血液を少なくとも2個の画分に分離する。これに関して、アイソレーター26とブイ28は多血小板血漿30を含んでなる層を画定し、余り濃密でない少血小板血漿32は通常はアイソレーター26の上方に分別され、一層濃密な赤血球細胞34は通常はブイ28の下に分別される。遠心分離の後に、注射器または管をブイシステムの一部と相互に連結して、単離組織組成物として用いる1以上の選択した画分を抽出することができる。図3に開示されているものなどの装置および関連の方法は、米国特許第7,179,391号明細書, Leach et al, 2007年2月20日発行;米国特許出願公表第2005/0109716号明細書, Leach et al., 2005年5月26日公表に記載されており、前記特許明細書のいずれの内容も、その開示の一部として本明細書に引用されている。市販されているこのような装置は、GPS(登録商標)Platelet Concentrate System、Biomet Biologies, Inc.製(ワルシャワ, インディアナ)である。
【0014】
密度分別によって多血小板血漿を単離する目的で工程14で用いることができる装置のもう一つの例は、遠心分離ドラム分離装置と赤血球捕捉トラップを含んでなる。一態様では、遠心分離ドラム分離装置に、赤血球を受け取って閉じ込めるための大きさを有する細孔と通路を有するデプスフィルターをコーティングする。血液を遠心分離ドラムに入れ、ドラムをその軸に沿って十分な速度で回転させて、赤血球を血液からデプスフィルターに押し込む。回転後に、赤血球はフィルターに残り、残りの多血小板血漿は抽出される。多血小板血漿は、乾燥によって濃縮することができる。このような装置としては、VortechTMConcentration System (Biomet Biologies, Inc., ワルシャワ, インディアナ)が挙げられ、米国特許出願公表第2006/0175244号明細書, Dorian et al., 2006年8月10日公表および米国特許出願公表第2006/0175242号明細書, Dorian et al, 2006年8月10日公表に開示されており、前記特許明細書のいずれの内容も、その開示の一部として本明細書に引用されている。このような装置は、上記されかつ図3に示されているブイを有する管を用いる代わりにまたはことに加えて多血小板血漿の調製に用いることができる。
【0015】
工程14で得られた単離組織組成物は、少血小板血漿濃縮物を含むことがある。工程14の少血小板血漿濃縮物の形成に用いることができる装置の一例を図4Aおよび4Bに示す。これに関しては、装置40は、上室41と下室42を有する。上室41は末端壁43を有し、これを通ってゲルビーズ攪拌機45の攪拌機軸44が伸びている。装置40は、末端壁43を通って上室41中に伸びている血漿取り入れ口46も有する。装置40は、血漿濃縮物導管48と連通している血漿濃縮物取り出し口47も有する。上室41の床はフィルター49を含み、その上部表面は乾燥した濃縮ポリアクリルアミドビーズ50を支持している。
【0016】
使用の際には、血漿52(好ましくは無細胞)を最初に血漿取り入れ口46を通して上室41に導入する。上室41に入る血漿52は室の底部へと流れ、そこで図4Aに示されるようにポリアクリルアミドビーズ50と接触する。ポリアクリルアミドビーズ50は血漿52から水を取り除くので、血漿タンパク質は濃縮される。この濃縮工程の際に、血漿およびその成分はその最初の濃度より約1.5 - 約3倍高い濃度まで濃縮することができる。
【0017】
図4Bについて説明すれば、装置40を次に通常の実験室遠心分離機(図示せず)のカップレセプターに入れ、血漿濃縮物53をポリアクリルアミドビーズ50から除いて血漿濃縮物53がフィルター49中を流れるようにする遠心分離力を生じる速度で回転させる。フィルター49は、10 gを上回る遠心分離力で液体がそこを通って流れるように構築することができる。遠心分離を完了した後、装置40を遠心分離機から取り出す。次に、血漿濃縮物53を下室42から導管48を通って血漿濃縮物出口47へ取り出す。
【0018】
典型的な血漿濃縮装置は米国特許出願公表第2006/0175268号明細書, Dorian et al., 2006年8月10日公表、米国特許出願公表第2006/0243676号明細書, Swift et al., 2006年11月2日公表に開示されており、前記特許明細書のいずれの内容も、その開示の一部として本明細書に引用されている。このような装置はPlasmaxTMPlus Plasma Concentrator, Biomet Biologies, Inc.製 (ワルシャワ, インディアナ)として市販されている。
【0019】
工程14で単離組織組成物を得るのに用いることができる他の装置は、例えば、米国特許第6,398,972号明細書, Blasetti et al, 2002年6月4日発行、米国特許第6,649,072号明細書, Brandt et al, 2003年11月18日発行、米国特許第6,790,371号明細書, Dolecek, 2004年9月14日発行、および米国特許第7,011,852号明細書, Sukavaneshvar et al., 2006年3月14日発行、および米国特許第7,223,346号明細書, Dorian et al., 2007年5月29日発行に記載されている。GPS(登録商標)Platelet Concentrate SystemおよびVortechTMConcentration Systemに加えて、単離組織組成物を工程14で得るのに用いることができる他の市販の装置としては、MegellanTMAutologous Platelet Separator System, Medtronic, Inc. (ミネアポリス, ミネソタ)から発売、SmartPRePTM, Harvest Technologies Corporation (プリマス, マサチューセッツ)から発売、DePuy (ワルシャワ, インディアナ)、AutoloGelTMProcess, Cytomedix (ロックビル, メリーランド)から発売、およびGenesisCS成分濃縮システム, EmCyte Corporation (フォートマイアー, フロリダ)から発売が挙げられる。
【0020】
幾つかの態様では、工程14で得られた単離組織組成物は骨髄吸引物または骨髄吸引濃縮物を含んでなる。骨髄吸引物は、注射器と針を用いて骨の骨髄内領域からのような任意の適当な方法で得ることができる。骨髄吸引物は工程14におけるままで用いることができ、または更に処理を行って骨髄濃縮物または他の単離組織組成物を作製することができる。赤血球および白血球、骨髄間質細胞および間葉幹細胞のような有核細胞を含んでなる骨髄吸引濃縮物を得ることができる。
【0021】
幾つかの態様では、図3に示されるような密度分別装置を用いて、骨髄吸引物を処理することができる。骨髄吸引物は、単独でまたは全血との組合せで濃縮することができる。例えば、全血と骨髄吸引物の混合物を図3に示される装置に加えて、骨髄由来の有核細胞を少なくとも4倍大きい濃度で含む軟膜画分を得ることかできる。 骨髄吸引物から単離組織組成物を得る方法は、米国特許出願公表第2006/0278588号明細書, Woodell-May, 2006年12月14日公表に開示されており、前記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0022】
工程14の単離組織組成物は、骨髄由来の幹細胞および脂肪由来の間質細胞のような幹細胞を含んでなることがある。1つの方法では、脂肪由来の間質細胞は、当該技術分野で知られている脂肪吸引(liposuction)および脂肪吸引(lipoaspiration)法によって脂質組織の処理によって得ることができる。脂肪組織は、消化酵素およびキレート化剤で処理して、隣接細胞間の結合を弱め、細胞を余り破損することなく組織を個々の細胞の懸濁液に分散させることも可能である。もう一つの方法では、骨髄から由来した間質細胞は、当該技術分野で知られている方法によって採取される骨髄吸引物などの骨髄組織から単離することができる。方法は、脂肪間質細胞と骨髄由来の間質細胞を両方とも含んでなる間質細胞の組成物を包含することもある。脂肪および骨髄組織由来の間質細胞は、同一生物または異なる生物から得ることができる。
【0023】
離解の後、脂肪間質細胞は、細胞と脂肪組織または骨髄吸引物のような離解組織の懸濁液から単離することができる。GPS(登録商標)Platelet Concentrate Systemのような図3に示されるような装置を用いて、脂肪間質細胞単離することができる。
【0024】
幾つかの態様では、工程14で得られた単離組織組成物を工程16において1以上の任意材料合わせる。このような任意材料としては、例えば、血小板活性化剤、アルブミン結合剤、骨格、生物活性材料、サイトカイン、およびそれらの組合せが挙げられる。任意材料は、工程18における単離組織組成物の投与の直前に工程16において適用することができる。あるいは、任意材料は、工程16において工程18の単離組織組成物のメッシュへの投与と同時にまたは工程18における単離組織組成物の投与後に適用してもよい。
【0025】
血小板活性化剤を工程16で添加して、単離組織組成物に含まれている血小板中の1以上の増殖因子を活性化することができる。血小板活性化剤による血小板の活性化は、単離組織組成物のメッシュへの投与前に、単離組織組成物の投与と同時にまたは単離組織組成物の投与後に行うことができる。本明細書で有用な血小板活性化剤としては、トロンビン(例えば、自己トロンビン)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム)、コラーゲン、凝固因子およびそれらの混合物が挙げられる。凝固因子としては、1以上の因子、すなわちV、VII、VIIa、IX、IXaβ、X、Xa、XI、XIa、XII、α-XIIa、β-XIIaおよびXIIIが挙げられる。
【0026】
アルブミン結合剤は、工程16で添加することができる。様々な態様では、アルブミン結合剤を血漿と組み合わせる。アルブミン結合剤としては、ポリエチレングリコールおよびビリルビンが挙げられる。
【0027】
幾つかの態様では、工程16は、インプラントを適用される被験体にとって治療、栄養または化粧上の利益を提供する1以上の生物活性材料の添加も包含することがある。このような利益は、不健康なまたは損傷を受けた組織を修復し、インプラント部位110における感染を最小限にし、健康な組織のインプラント110への組込みを増加し、健康なまたは損傷を受けた組織における疾患または欠陥を予防することを包含することがある。
【0028】
工程16において包含されることがある生物活性材料としては、有機分子、タンパク質、ペプチド、擬似ペプチド、核酸、核タンパク質、アンチセンス分子、多糖類、糖タンパク質、リポタンパク質、炭水化物、および多糖類、合成および生物学的に遺伝子工学処理を行ったそれらの類似体、軟骨細胞、骨髄細胞、幹細胞、ウイルスおよびウイルス粒子、天然抽出物、および間質細胞のような生細胞、およびそれらの組合せが挙げられる。生物活性材料の具体的な非制限的例としては、サイトカイン、ホルモン、抗生物質および他の感染防止剤、造血剤、血小板新生剤、抗ウイルス薬、抗腫瘍薬(化学療法薬)、解熱薬、鎮痛薬、抗炎症薬、酵素、ワクチン、免疫薬、およびアジュバント、サイトカイン、増殖因子、細胞誘引剤および連結剤、遺伝子調節剤、ビタミン、ミネラルおよび他の栄養、血小板活性化剤、およびそれらの組合せが挙げられる。軟骨欠陥10の部位に隣接していない部位で効果を有する(上記薬剤の他に)造血剤、血小板新生剤、抗痴呆剤、抗アレルギー薬、抗鬱薬、向精神薬、抗パーキンソン病薬、骨粗鬆症の治療薬、強心薬、抗不整脈薬、血管拡張薬、抗高血圧薬、利尿薬、抗コリン作動薬、抗糖尿病薬、コレステロール降下薬、胃腸薬、筋弛緩薬、およびそれらの組合せのような生物活性化剤が包含されることがある。
【0029】
幾つかの態様では、工程16は、単離した、合成または組換え分子など1以上のサイトカインの添加を包含することもある。本明細書で有用なサイトカインとしては、形質転換増殖因子(TGF-β)、骨形態発生タンパク質(BMP、BMP-2、BMP-4、BMP-6およびBMP-7)、ニューロトロフィン(NGF、BDNFおよびNT3)、繊維芽増殖因子(FGF)、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、神経増殖因子(NGF)、ニューロトロフィン、血小板由来の増殖因子(PDGF)、エリトロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、ミオスタチン(GDF-8)、増殖分化因子-9(GDF9)、塩基性繊維芽増殖因子(bFGFまたはFGF2)、血管内皮増殖因子(VEGF)、表皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子(IGF- I、IFG-II)、およびそれらの組合せのような増殖因子が挙げられる。
【0030】
図2について説明すれば、単離組織組成物をヘルニア欠損101の治療に適するメッシュコーティングする。メッシュは、好ましくはメッシュが被験者100に挿入した後に破れたりまたは裂けたりしないようにするのに十分な強度を有し、2層以上の材料を含んでなることがある。メッシュは、被験者100に挿入された後に組織がメッシュを通ることができる細孔径を有することがある。幾つかの態様では、メッシュは「記憶」、すなわち変形後にその形状を回復する能力を有しており、これによって外科手術の際に被験者100へのメッシュの挿入が促進される。
【0031】
メッシュは、プラスチックおよび他のポリマーなど任意の生物適合性の合成、半合成材料から作製することができる。幾つかの態様では、メッシュ吸収性または非吸収性材料から作製することができる。メッシュの作製に有用な材料としては、ポリ(エチレン)、ポリエステル、ポリ(プロピレン)、ポリ(プロピレン)フマレートのようなポリ(プロピレン)ポリエステル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、ポリプロピレン/PTFE、ポリプロピレン/セルロース、ポリプロピレン/モノクリアル(monochryal)、ポリエステル/コラーゲン、ポリ(アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(カーボネート)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレン-コビニルアセテート)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(アリーレート)、ポリ(イミド)、ポリ(無水物-コイミド)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(ラクチド-コグリコリド)、ポリ(ε-カプトラクトン)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(ラクチド-コグリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン-コグリコリド)、ポリ(グリコリド-コトリメチレンカーボネート)、ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド-δ-バレロラクトンコポリマー、ラクチド(ε-カプトロラクトンコポリマー)、ポリ(ラクチド)/ポリエチレンオキシドコポリマー、非対称的に3,6-置換したポリ(l,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)/(β-ヒドロキシバレレート)コポリマー、ポリ(β-マレイン酸)およびポリ(β-ヒドロキシプロピオネート)のようなポリ(β-アルカン酸)、ポリ(δ-バレロラクトン)、メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー、ポリエステルアミド、シュウ酸のポリエステル、ポリジヒドロピラン、ポリアルキル-2-シアノアクリレート、それらの複合体、セルロース性材料、およびそれらの組合せが挙げられる。本明細書で有用なものの中で市販のメッシュとしては、Ethicon(サマービル, ニュージャージー)から発売されているProlene(登録商標)、 Genzyme Biosurgery(ケンブリッジ, マサチューセッツ)から発売されているSepramesh(登録商標)、およびWL Gore & Associates (ニューアーク, デラウェア)から発売されているMycromesh(登録商標)が挙げられる。
【0032】
更に図2について説明すれば、メッシュを工程12で表面を処理して、細胞接着の促進、ポリマー表面の湿潤化および組織組成物の接着の増強のような表面特性を高める。例えば、メッシュの表面を処理して表面を高め、単離組織組成物ががメッシュの表面に固着して、移植後に筋肉のような組織がメッシュの細孔中への内部成長を促進するようにすることができる。表面処理は、メッシュの実質的に全表面であることもまたはその一部であることもある。
【0033】
工程12における表面処理としては、CASING (不活性ガスの活性化種による架橋)、プラズマエッチング、プラズマ蒸着、およびプラズマクリーニングのようなプラズマ処理、コロナ放電、クロム酸のような酸性液体による化学攻撃などの化学修飾、アセチレンまたはメタンのような反応性ガスの存在下におけるγ線への暴露による修飾、およびそれらの組合せが挙げられる。工程12の表面処理は境界層の除去、表面局所解剖学または表面の他の物理的構造の変化、表面の化学的性状の変化、および表面の親水性または親油性の変更の1以上によって表面領域を変更することがある。
【0034】
工程18では、組織組成物を表面処理したメッシュの表面にコーティングしてインプラント110を作製する。コーティングは、メッシュの実質的に全表面についてであることもまたはその1以上の部分についてであることもある。コーティングは連続的でよく、またはコーティングした(複数の)表面について不連続性を有することもある。コーティングは、表面を処理したメッシュ、組成物および目的とする使用に適当な任意の方法によって、例えば注射器の使用、浸漬、水浸、スワッビング(swabbing)、噴霧、または真空補助水和(vacuum assisted hydration)によって行うことができる。コーティングを表面が処理されたメッシュに適用して、メッシュをヘルニア欠損101に移植する前、メッシュを移植した後、またはその前後に、インプラント110を作製することができる。
【0035】
更に図2について説明すれば、工程18で作製したインプラント110を、任意の医学的に適当な手続きに従って工程20のヘルニア欠損101の部位に移植する。例えば、図5に更に例示されるように、インプラント110を用いて被験者100の腹壁102における開口105を修復することができる。ヘルニア欠損101の部位を切開し、インプラント110を挿入して、周囲の組織を互いに抱合することなく腹壁102の開口105を被覆する。あるいは、インプラント110を、腹腔内視鏡下で移植してもよい。例えば、腹腔内視鏡による外科的技術は、腹壁102における細い穴を通って伸びるカニューレを用いる。腹腔は閉じたままであるので、外科医はカニューレの1つを通る照明用光学装置を用いて、ヘルニア欠損101をテレビモニターに映し出す。手術器具は、外科医によって腹壁102中の他のカニューレを通して操作され、インプラント110を腹壁開口105に置く。
【0036】
本発明の技術は、図3に例示されている装置22のような密度分別装置の消耗可能な成分と外科用過程成分を含んでなるヘルニア修復システムも提供する。例えば、システムは、図3を参照することにより、容器24の遠心分離中に操作して多成分組織標本を異なる密度の2以上の画分30、32、34に分離することができるアイソレーター26とブイ28を有するブイシステムを含んでなる容器24と、画分の少なくとも1個を用いてヒトまたは他の動物被験体100のヘルニア欠損101の修復を促進するように操作可能な外科用過程成分とを含んでなることができる。外科用過程成分は、画分30、32、34の1つをコーティングする目的で操作可能な表面が処理されたメッシュを含んでなることができる。外科用過程成分は、ヘルニア欠損101を修復するための外科的方法説明書を含んでなることもでき、この説明書は、画分30、32、34の1つを含んでなる単離組織組成物を得て、単離組織組成物を表面が処理されたメッシュの表面に適用し、ヘルニア欠損101をコーティングしたメッシュインプラント110で処理する工程を含んでなる。
【0037】
本発明の技術は、本明細書に記載の方法を促進するためのキットも提供する。このようなキットは、インプラント110の作製に用いられるあるいは本発明の技術の方法に用いられる1以上の成分または材料を含んでなることがある。例えば、キットは、表面が処理されたメッシュ、未処理のメッシュ、メッシュを表面処理するための表面処理組成物または装置、被験者100から組織標本を得るための注射器または他の装置、組織標本から組織組成物を作製するための図3のセパレーター装置22またはその成分、血液成分のような単離組織組成物をメッシュに適用するための装置、および抗凝固薬または本明細書に記載の他の任意材料の1以上を含むことができる。
【0038】
キットは、情報の連絡手段および/または使用説明書を含むことがある。連絡手段は、例えば、ラベルまたは包装挿入物の形態を採ることができる。幾つかの態様では、連絡手段は、例えば、米国食品医薬品局のような組織または行政機関によって要求される言語を含んでいる。幾つかの態様では、連絡手段は、パンフレット、広告、文書、ディスケットまたはCDのようなコンピューターで読み取ることができるデジタルの光学的読み物、音声による紹介、例えば、オーディオテープまたはCD、公式紹介、例えば、ビデオテープまたはDVD、および/またはウェブサイト上の1頁以上を含んでなることができる。
【0039】
本明細書に記載の態様および実施例は、本発明の技術の装置、組成物および方法の全範囲の記載を制限しようとするものではない。同等な変更、修飾および変化を、本発明の技術の範囲内で行い、実質的に同様な結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の技術は、詳細な説明および添付の図面から一層完全に理解されるであろう。
【図1】本発明の技術の幾つかの態様による治療を必要とする被験者についてのヘルニア欠損の代表的部位。
【図2】本発明の技術の一態様によるヘルニア欠損の典型的治療方法の線図による説明。
【図3】本発明の技術の一態様による血液成分の単離に用いる典型的装置の断面図。
【図4A】本発明の技術の一態様による濃縮した血液成分の形成に用いる典型的装置の断面図。
【図4B】本発明の技術の一態様による濃縮した血液成分の形成に用いる典型的装置の断面図。
【図5】本発明の技術の一態様によるヘルニア欠損治療を被験者に施す典型的方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損を修復する装置であって、
処理した表面を有する生物適合性のメッシュ材料と、
処理した前記表面の少なくとも一部にコーティングされた単離組織組成物と
を含んでなり、前記組織が前記被験体の自己由来のものである、装置。
【請求項2】
前記組織組成物が、多血小板血漿、少血小板血漿、寒冷沈降血漿、少血小板血漿濃縮物、フィブリンシーラント、骨髄吸引物、骨髄吸引濃縮物、吸引脂肪由来細胞、およびそれらの組合せからなる群から選択される組織を含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記組織組成物が前記被験体から得た組織標本を遠心分離することによって誘導される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記組織標本が、全血、骨髄吸引物、脂肪吸引物、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記メッシュが、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(p-ジオキサノン)、ポリ(ラクチド-コグリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン-コグリコリド)、ポリ(グリコリド-コトリメチレンカーボネート)、 ラクチド/テトラメチルグリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド-δ-バレロラクトンコポリマー、ラクチド (ε-カプトラクトン)コポリマー、ポリデプシペプチド、ポリ(ラクチド)/ポリエチレンオキシドコポリマー、非対称的に3,6-置換したポリ(l,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ポリ(β- ヒドロキシブチレート)/(β-ヒドロキシバレレート)コポリマー、ポリ(β-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(δ-バレロラクトン)、メチルメタクリレート-N-ビニルピロリドンコポリマー、ポリエステラミド、シュウ酸のポリエステル、ポリジヒドロピラン、ポリアルキル-2-シアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリペプチド、ポリ(β-マレイン酸)、ポリ(β-アルカン酸)、ポリ(プロピレン)フマレート、セルロース性材料、それらの複合体、およびそれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記生物適合性メッシュ材料が、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、PTFE、ポリプロピレン/PTFE、ポリプロピレン/セルロース、ポリエステル/コラーゲン、ナイロン、それらの複合体、およびそれらの組合せからなる群から選択される化合物を含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
処理した前記表面が、プラズマエッチング、プラズマクリーニング、プラズマ蒸着、コロナ放電、酸性液体による化学的攻撃、反応性気体の存在下におけるガンマー線照射への暴露による修飾、またはそれらの組合せによって形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
抗生物質、化学療法薬、遺伝子療法薬、抗炎症薬、凝固薬、抗酸化薬、増殖因子、サイトカインおよびそれらの組合せからなる群から選択される任意材料を更に含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
処理した前記表面にコーティングされた凝固カスケードの少なくとも1種類の外来性活性化剤を更に含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記組織組成物が、造血幹細胞、間質幹細胞、間葉幹細胞、内皮前駆細胞、微小血管内皮細胞、赤血球、白血球、繊維芽細胞、網状赤血球、脂肪細胞、内皮細胞、またはそれらの組合せを含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
処理した前記表面が、前記メッシュ材料の全表面を実質的に含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損を修復するための外科用メッシュを製造する方法であって、
前記被験体から血液を含んでなる第一の標本を取りだし、
前記被験体から骨髄吸引物を含んでなる第二の標本を取りだし、
前記第一の標本と前記第二の標本を、前記第一の標本と前記第二の標本の組合せを異なる密度に分画するように操作可能な容器の中に合わせて、
前記容器を遠心分離して、前記組合せを少なくとも2個の画分に分離し、
少なくとも1個の画分を容器から取りだし、
外科用メッシュの表面を処理して表面が処理されたメッシュを形成し、
前記表面を前記画分でコーティングする
ことを含んでなる、方法。
【請求項13】
少なくとも1個の画分が、多血小板血漿、少血小板血漿、寒冷沈降血漿、少血小板血漿濃縮物、フィブリンシーラント、骨髄吸引物、骨髄吸引濃縮物、吸引脂肪由来細胞、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
外科用メッシュの表面の前記処理が、本質的にプラズマエッチング、プラズマ蒸着、プラズマクリーニング、コロナ放電、酸性液体による化学的攻撃、反応性気体の存在下におけるガンマー線照射への暴露による修飾、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
処理した前記表面を、抗生物質、化学療法薬、遺伝子療法薬、抗炎症薬、凝固薬、抗酸化薬、増殖因子、サイトカインまたはそれらの組合せからなる群から選択される任意材料でコーティングすることを更に含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1個の前記画分と共に,凝固カスケードの少なくとも1種類の外来性活性化剤をコーティングすることを更に含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損を修復するための外科用メッシュを製造する方法であって、
前記被験体から組織標本を取りだし、
前記標本をブイを含んでなる容器に入れ、
前記容器を遠心分離して標本を前記ブイによって隔離されている少なくとも2個の画分に分離し、
少なくとも2個の画分から選択した画分を前記容器から取りだし、
生物適合性メッシュの表面を処理し、
前記表面を選択した画分でコーティングする
ことを含んでなる、方法。
【請求項18】
選択した画分が、多血小板血漿、少血小板血漿、寒冷沈降血漿、少血小板血漿濃縮物、フィブリンシーラント、骨髄吸引物、骨髄吸引濃縮物、吸引脂肪由来細胞、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生物適合性メッシュの表面の前記処理が、プラズマエッチング、プラズマ蒸着、プラズマクリーニング、コロナ放電、酸性液体による化学的攻撃、反応性気体の存在下におけるガンマー線照射への暴露による修飾、およびそれらの組合せの少なくとも1つを更に含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記標本が、全血、骨髄吸引物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
処理した前記表面を、抗生物質、化学療法薬、遺伝子療法薬、抗炎症薬、凝固薬、抗酸化薬、増殖因子、サイトカイン、またはそれらの組合せからなる群から選択される任意材料でコーティングすることを更に含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
表面が処理された前記生物適合性メッシュを凝固カスケードの少なくとも1種類の外来性活性化剤でコーティングすることを更に含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法によって作製した外科用メッシュを移植することを含んでなる、ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損を修復する方法。
【請求項24】
処理された表面を有する生物適合性外科用メッシュと、
組織標本の選択された画分であって、処理された前記表面の少なくとも一部にコーティングされた前記選択画分
を含んでなるインプラントであって、
前記選択画分が、前記組織標本を異なる密度に分画するように操作可能な容器の中で遠心分離された前記組織標本から選択される、インプラント。
【請求項25】
前記生物適合性外科用メッシュが、本質的にプラズマエッチング、プラズマ蒸着、プラズマクリーニング、コロナ放電、酸性液体による化学的攻撃、反応性気体の存在下におけるガンマー線照射への暴露による修飾およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載のインプラント。
【請求項26】
前記選択画分が、多血小板血漿、少血小板血漿、寒冷沈降血漿、少血小板血漿濃縮物、フィブリンシーラント、骨髄吸引物、骨髄吸引濃縮物、吸引脂肪由来細胞、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載のインプラント。
【請求項27】
組織標本が、全血、骨髄吸引物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載のインプラント。
【請求項28】
ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損を修復するための外科用メッシュを製造する方法であって、
組織標本を、異なる密度の画分に分離するように操作可能な容器の中に入れ、
前記容器を遠心分離して組織標本を少なくとも2個の異なる密度の画分に分離し、
少なくとも2個の画分から選択した画分を前記容器から取りだし、
表面が処理された生物適合性メッシュを、選択された画分でコーティングする
ことを含んでなる、方法。
【請求項29】
前記標本が前記被験体の自己由来のものである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記組織標本が、全血、骨髄吸引物、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項28に記載の方法に従って作製した外科用メッシュを移植することを含んでなる、ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損を修復する方法。
【請求項32】
ヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損の修復に使用する装置を製造する方法であって、
前記装置がブイを含んでなる容器を含んでなり、前記容器とブイが、前記容器の遠心分離中に、多成分水性組織部分を、異なる密度を有する2個以上の画分に分離するように操作可能なものであり、
前記修復が、組織標本を前記被験体から取りだし、前記標本を前記容器に入れ、前記容器を遠心分離して前記部分を少なくとも2個の画分に分離し、前記画分の少なくとも1個を前記容器から取りだし、前記画分を表面が処理された生物適合性メッシュの表面に塗布し、前記メッシュを前記ヘルニア欠損の部位に移植することを含んでなる、方法。
【請求項33】
ブイを含んでなる容器を含んでなる装置であって、前記容器とブイが、前記容器の遠心分離中に、多成分水性組織部分を、異なる密度を有する2個以上の画分に分離するように操作可能であるものと、
前記画分の少なくとも1個を用いてヒトまたは他の動物被験体のヘルニア欠損の修復を促進するように操作可能な外科用過程成分
を含んでなる、ヘルニア修復システム。
【請求項34】
前記外科用過程成分が、前記画分の1個をコーティングするように操作可能な表面が処理されたメッシュを含んでなる、請求項33に記載のヘルニア修復システム。
【請求項35】
前記外科用過程成分がヘルニア欠損の修復のための外科的方法の説明書を含んでなり、前記説明書が、前記画分の1個を含んでなる組織組成物を得て、該組織組成物を表面が処理されたメッシュの表面に塗布し、その表面が処理されたメッシュを前記ヘルニア欠損の部位に移植する工程を含んでなる、請求項34に記載のヘルニア修復システム。
【請求項36】
ブイを有するセパレーターと、
表面が処理された生物適合性外科用メッシュと
を含んでなる、ヘルニア修復用キット。
【請求項37】
注射器を更に含んでなる、請求項36に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−510743(P2011−510743A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545084(P2010−545084)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/032134
【国際公開番号】WO2009/097283
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(510206198)バイオメット、バイオロジクス、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】BIOMET BIOLOGICS, LLC
【Fターム(参考)】