説明

ベシクルの形の水性コンディショニングゲル相を含むコンディショニングシャンプー

洗浄相ならびに16から30個の炭素を有するカチオン性界面活性剤および多層状ベシクルを含む水性コンディショニングゲル相を含む、コンディショニングシャンプー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンディショニングゲルを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
WO00/25741(ユニリーバ)は、ベシクルを含むヘア組成物を開示している。しかし記載されているベシクルは、多層状ベシクルではなく、湿潤コンディショニングの利点を提供していない。
【0003】
従来技術にもかかわらず、改良された湿潤感触コンディショニングを送達できるシャンプー組成物への要求がなお存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/25741号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明は、洗浄相および16から30個の炭素を有するカチオン性界面活性剤および多層状ベシクルを含む水性コンディショニングゲル相を含む、コンディショニングシャンプー組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
好ましくはゲルは、インラインミキサで高剪断にてループの周囲を循環させることによって得られる。好適なミキサの例は、ユニバーサル50L液体ミキサである。高剪断とは少なくとも10m/秒を意味する。
【0007】
好ましくは組成物は洗浄相および水性コンディショニングゲル相を含み、ゲル相の40から100体積%は前記ベシクルの形である。
【0008】
好ましくはゲル相の少なくとも60体積%は前記ベシクルの形である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
多層状ベシクルの形のコンディショニングゲルを有するシャンプーは、ベシクルの形でないコンディショニングゲルと比べて、改善された湿潤コンディショニングを提供する。このようなベシクルは、偏光下で観察したときのマルタ十字を特徴とする。
【0010】
好ましくは、コンディショニングシャンプー組成物は、水性コンディショニングゲル相を含み、この水性コンディショニングゲル相は:
(a)脂肪物質と;
(b)16から30個の炭素を有するアルキル基を含むゲル相アニオン性界面活性剤と;
(c)カチオン性界面活性剤と;
を含み、
コンディショニングゲル相は全体的な電荷を持たないか、またはアニオン性であり、およびクレンジング相は8から14個の炭素を有するアルキル基を含むクレンジングアニオン性界面活性剤を含む。
【0011】
カチオン性界面活性剤により脂肪物質/アニオン性界面活性剤ゲル相の頑健性の改善がもたらされ、このことがまた非カチオン性クレンジング相を含む組成物によるコンディショニング上の利点の改善につながる。クレンジング相中のアニオン性界面活性剤とコンディショニングゲル中のアニオン性界面活性剤との炭素鎖長の相違は、コンディショニングゲル相の安定性を著しく改善して、シャンプー組成物でのこの完全性を維持する。
【0012】
好ましくはゲル相中のアニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は4個以内の、好ましくは2個の炭素、および最も好ましくは同数の炭素を含有する。さらに好ましくはこれらは4個以内の、さらに好ましくは2個以内の、および最も好ましくは同じ長さの単一のアルキル基を含む。このことはゲル相の安定性の維持を補助する。
【0013】
好ましくはゲル相のカチオン性界面活性剤中の炭素は、単一のアルキル基中に存在する。さらに好ましくは、ゲル相のカチオン性界面活性剤は16から30個の炭素を有する。
【0014】
好ましくはカチオン性界面活性剤は、式N(R)(R)(R)(R)を有し、式中、R、R、RおよびRは独立して(C16−C30)アルキルまたはベンジルである。
【0015】
好ましくはR、R、RおよびRの1、2または3個は独立して(C16−C30)アルキルであり、他の1個または複数のR、R、RおよびR基は(C−C)アルキルまたはベンジルである。
【0016】
任意にアルキル基は、1個以上のエステル(−OCO−または−COO−)結合および/またはエーテル(−O−)結合をアルキル鎖内に含み得る。アルキル基は1個以上のヒドロキシル基によって、任意に置換され得る。アルキル基は、直鎖または分枝および3個以上の炭素原子を有するアルキル基では環式であり得る。アルキル基は飽和されているか、または1個以上の炭素間2重結合を含有し得る(例えばオレイル)。アルキル基は、アルキル鎖において1個以上のエチレンオキシ基によって、任意にエトキシル化される。
【0017】
本発明によるコンディショナ組成物での使用に好適なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジウニムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG−2−オレアンモニウムクロリドおよびこの対応するヒドロキシドを含む。さらに好適なカチオン性界面活性剤は、CTFA名のクオタニウム−5、クオタニウム−31およびクオタニウム−18を有する物質を含む。上述の物質のいずれの混合物も好適であり得る。本発明によるコンディショナでの使用に特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えばヘキスト・セラニーズからゲナミンCTACとして市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナでの使用に特に有用な別のカチオン性界面活性剤は、例えばクラリアントからゲナミンKDMPとして市販されているべへニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0018】
単独でまたは1つ以上の他のカチオン性コンディショニング界面活性剤と混合してのどちらかで、本発明での使用に好適なカチオン性界面活性剤のクラスの別の例は、以下の(i)および(ii)の組合せである:
(i)一般式(I)に相当するアミドアミン:
【0019】
【化1】

(式中、Rは10個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、RおよびRは1から10個の炭素原子のヒドロカルビル鎖から独立して選択され、mは1から約10の整数であり);ならびに
(ii)酸。
【0020】
本明細書で使用する場合、ヒドロカルビル鎖という用語は、アルキルまたはアルケニル鎖を意味する。
【0021】
好ましいアミドアミン化合物は、式(I)に相当するものであり、式中、Rは約11から約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、RおよびRはそれぞれ独立してヒドロカルビル残基、好ましくは1から約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1から約4の整数である。
【0022】
好ましくはRおよびRはメチル基またはエチル基である。
【0023】
好ましくは、mは2または3、即ちエチレンまたはプロピレン基である。
【0024】
本明細書で有用な好ましいアミドアミンは、ステアリン酸アミド−プロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジエチルアミン、ステアリン酸アミドエチルジエチルアミン、ステアリン酸アミドエチルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジエチルアミン、パルミチン酸アミドエチルジエチルアミン、パルミチン酸アミドエチルジメチルアミン、ベヘン酸アミドプロピルジメチルアミン、ベヘン酸アミドプロピルジエチルアミン(behenamidopropyldiethylmine)、ベヘン酸アミドエチルジエチルアミン、ベヘン酸アミドエチルジメチルアミン、アラキドン酸アミドプロピルジメチルアミン、アラキドン酸アミドプロピルジエチルアミン、アラキドン酸アミド−エチルジエチルアミン、アラキドン酸アミドエチルジメチルアミン、およびこの混合物を含む。
【0025】
本明細書で有用な特に好ましいアミドアミンは、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドエチルジエチルアミン、およびこの混合物である。
【0026】
本明細書で有用な市販のアミドアミンは:ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン(イノレックス(フィラデルフィア、ペンシルバニア州、米国)から入手できる商標名レキサミンS−13および日光(東京、日本)から入手できる商標名アミドアミンMSP)、ステアリン酸アミドエチルジエチルアミン(日光から入手できる商標名アミドアミンS)、ベヘン酸アミドプロピルジメチルアミン(クローダ(ノースハンバーサイド、イギリス)から入手できる商標名インクロミンBB)および各種のアミドアミン(Scher(クリフトン、ニュージャージー州、米国)から入手できる商標名SCHERCODINE)を含む。
【0027】
酸(ii)は、ヘアトリートメント組成物中でアミドアミンをプロトン化することができる任意の有機酸または無機酸であり得る。本明細書で有用な好適な酸は、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、およびこの混合物を含む。好ましくは酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、およびこの混合物からなる群より選択される。
【0028】
酸の主な役割は、ヘアトリートメント組成物中のアミドアミンをプロトン化し、それゆえヘアトリートメント組成物にて3級アミン塩(TAS)をそのまま形成することである。TASは実際には、非持続性の4級アンモニウムまたは擬4級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0029】
好適には酸は、存在するアミドアミンすべてをプロトン化するのに十分量で、即ち組成物中に存在するアミドアミンの量と少なくとも等モルであるレベルで含まれている。
【0030】
カチオン性界面活性剤のレベルは概して、組成物の全重量に基づくカチオン性界面活性剤の全重量で0.01から10%、さらに好ましくは0.02から7.5%、最も好ましくは0.05から5%に及ぶ。
【0031】
ゲル相のアニオン性界面活性剤は、16から30個の炭素、好ましくは16から22個の炭素を有するアルキル鎖を含む。
【0032】
好ましくはゲル相のアニオン性界面活性剤中の炭素は単一のアルキル基中に存在する。
【0033】
ゲル相は、ゲル相への全体的なアニオン性電荷を得るための、またはゲル相への全体的な電荷を得ないためのアニオン性界面活性剤を含む。
【0034】
ゲル相のアニオン性界面活性剤は、組成物の0.1から5重量%で、さらに好ましくは0.5から2.0重量%で存在する。
【0035】
本発明の組成物は好ましくは脂肪物質を含む。
【0036】
好ましくは脂肪物質は、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、およびこの混合物から選択される。
【0037】
好ましくは脂肪物質は、14から30個の、さらに好ましくは16から22個の炭素原子を有する脂肪基を含む。好適な脂肪族アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこの混合物が挙げられる。好適な脂肪エステルの例はグリセリルモノステアレートである。
【0038】
本発明の組成物中の脂肪物質のレベルは好都合には、組成物の0.01から10重量%の、好ましくは0.1から5重量%である。
【0039】
好ましくは(a)と(b)との間の比は、0.1:1から100:1、好ましくは1.2:1から50:1、さらに好ましくは1.5:1から10:1および最も好ましくはほぼ2:1である。
【0040】
好ましくはゲル相中のアニオン性および脂肪物質は、4個以内の、好ましくは2個の炭素、および最も好ましくは同数の炭素を含有する。さらに好ましくはこれらは4個以内の、さらに好ましくは2個以内の、および最も好ましくは同じ長さの単一のアルキル基を含む。このことはゲル相の安定性の維持に役立つ。
【0041】
洗浄相はクレンジング界面活性剤を含む。クレンジング相のアニオン性界面活性剤は、8から14個の炭素、さらに好ましくは10から12個の、および最も好ましくは12個の炭素を有する。さらに好ましくは、これらの炭素は単一のアルキル基中に存在する。
【0042】
好ましいアニオン性クレンジング界面活性剤は、アルカリ金属アルキルサルフェート、さらに好ましくはアルキルエーテルサルフェートを含む。特に好ましいアニオン性クレンジング界面活性剤は、ナトリウムラウリルエーテルサルフェートを含む。
【0043】
クレンジング相は、組成物の0.5から70重量%の、好ましくは5から60重量%の、さらに好ましくは7から56重量%のクレンジング界面活性剤を含む。
【0044】
本発明は、通常のレベルのクレンジング界面活性剤を含む通常のシャンプー組成物ならびに濃縮シャンプーの両方を含む。通常のシャンプーにおいて、クレンジング界面活性剤のレベルは組成物の5から26重量%であるが、濃縮シャンプーでは、クレンジング界面活性剤のレベルは27から70重量%である。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、カチオン性被着ポリマーを含む。
【0046】
好適なカチオン性被着補助ポリマーは、カチオンによって置換されたホモポリマーであり得るか、または2種類以上のモノマーから形成され得る。ポリマーの重量平均(M)分子量は概して、100000から200万ダルトンである。ポリマーはカチオン性窒素含有基、例えば4級アンモニウムもしくはプロトン化アミノ基、またはこの混合物を有する。ポリマーの分子量が低すぎる場合には、コンディショニング効果は不十分である。高すぎる場合には、ここで注入時に組成物の曳糸性を引き起こす高い伸長粘度の問題があり得る。
【0047】
カチオン性窒素含有基は概して、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在する。それゆえポリマーがホモポリマーでないとき、ポリマーはスペーサ非カチオン性モノマー単位を含有することができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory,3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位の非カチオン性モノマー単位に対する比は、概して0.2から3.0meq/gmである要求される範囲のカチオン性電荷密度を有するポリマーを与えるように選択される。ポリマーのカチオン性電荷密度は、米国薬局方の窒素定量の化学的試験法に記載されたケルダール法によって適切に決定される。
【0048】
好適なカチオン性ポリマーは、例えばカチオン性アミン官能基または4級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと水溶性スペーサモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンとのコポリマーを含む。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは好ましくは、C1−C7アルキル基、さらに好ましくはC1−3アルキル基を有する。他の好適なスペーサはビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールを含む。
【0049】
カチオン性アミンは、組成物の特定の種およびpHに応じて、1級、2級または3級アミンであることができる。一般に、2級および3級アミン、特に3級が好ましい。
【0050】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミン形で重合されて、4級化によってアンモニウムに変換することができる。
【0051】
カチオン性ポリマーは、アミンおよび/もしくは4級アンモニウム置換モノマーならびに/または適合性スペーサモノマーから得られたモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0052】
好適なカチオン性ポリマーは、例えば:
−例えば業界(CTFA)でそれぞれポリクオタニウム6およびポリクオタニウム7と呼ばれる、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含む、カチオン性ジアリル4級アンモニウム含有ポリマー;
−3から5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノアルキルエステルの無機酸塩(USP4,009,256に記載されているような);
−カチオン性ポリアクリルアミド(WO95/22311に記載されているような);
を含む。
【0053】
使用できる他のカチオン性ポリマーは、カチオン性ポリサッカライドポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性グアーガム誘導体を含む。
【0054】
本発明の組成物での使用に好適なカチオン性ポリサッカライドポリマーは、式:
A−O−[R−N(R)(R)(R)X
のモノマーを含み、
式中:Aは、アンヒドログルコース残基、例えばデンプンまたはセルロースアンヒドログルコース残基である。Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、もしくはヒドロキシアルキレン基、またはこの組合せである。R、RおよびRは独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、またはアルコキシアリール基を表し、各基は最大約18個の炭素原子を含有する。各カチオン性部分の炭素原子の総数(即ちR、RおよびRの炭素原子の和)は好ましくは約20個以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0055】
別の種類のカチオン性セルロースは、業界(CTFA)でポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性4級アンモニウム塩を含む。これらの物質は、アマコール・コーポレーションから、例えば商標名ポリマーLM−200として入手できる。
【0056】
他の好適なカチオン性ポリサッカライドポリマーは、4級窒素含有セルロースエーテル(例えばUSP3,962,418に記載されているような)、およびエーテル化セルロースおよびデンプンのコポリマー(例えばUSP3,958,581に記載されているような)を含む。
【0057】
使用できる特に好適な種類のカチオン性ポリサッカライドポリマーは、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(ローディアからこのジャグァ商標シリーズから市販)である。このような物質の例は、ジャグァC13S、ジャグァC14、ジャグァC15およびジャグァC17である。
【0058】
上のカチオン性ポリマーのいずれの混合物も使用され得る。
【0059】
カチオン性ポリマーは概して、本発明のシャンプー組成物中に、組成物の全重量に基づくカチオン性ポリマーの全重量で0.01から5%、好ましくは0.05から2%、さらに好ましくは0.07から1.2%のレベルにて存在する。
【0060】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は水性であり、即ちヘアケア組成物は水もしくは水性溶液または離液系列の液晶相をこの主要成分として有する。
【0061】
好適には組成物は、組成物の全重量に基づいて10から98重量%、好ましくは30から95重量%の水を含む。
【0062】
本発明による組成物は好ましくはシリコーンを含む。
【0063】
特に好ましいシリコーンコンディショニング剤は、シリコーンエマルジョン、例えばシリコーンから形成されたシリコーンエマルジョン、例えばポリジオルガノシロキサン、特にCTFA名ジメチコンを有するポリジメチルシロキサン、CTFA名ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、およびCTFA名アミノジメチコンを有するアミノ官能性ポリジメチルシロキサンである。
【0064】
エマルジョン液滴は通常、本発明の組成物において、0.01から20マイクロメートル、さらに好ましくは0.2から10マイクロメートルに及ぶソーター平均液滴径(D3,2)を有し得る。
【0065】
ソーター平均液滴径(D3,2)を測定するための好適な方法は、マルバーン・マスタサイザの装置を使用するレーザ光散乱による。
【0066】
本発明の組成物での使用に好適なシリコーンエマルジョンは、ダウコーニングおよびGEシリコーンなどのシリコーンの供給者から入手できる。このような事前に形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、シリコーン粒径の処理および制御を容易にするために好ましい。このような事前に形成されたシリコーンエマルジョンは通常さらに、好適な乳化剤、例えばアニオン性もしくは非イオン性乳化剤、またはこの混合物を含み得、化学乳化方法、例えばエマルジョン重合によって、または高剪断ミキサを使用する機械乳化によって調製され得る。0.15マイクロメートル未満のソーター平均液滴直径(D3,2)を有する事前に形成されたシリコーンエマルジョンは概して、マイクロエマルジョンと呼ばれる。
【0067】
好適な事前に形成されたシリコーンエマルジョンの例は、すべてダウコーニングから入手できる、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788およびマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870を含む。DC7051は好ましいシリコーンである。これらはすべてジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。アモジメチコンエマルジョン、例えばDC2−8177およびDC939(ダウコーニングより)ならびにSME253(GEシリコーンより)も好適である。
【0068】
例えばWO03/094874に記載されているような、高分子量のある種の表面活性ブロックコポリマーがシリコーンエマルジョン液滴とブレンドされているシリコーンエマルジョンも好適である。このような物質において、シリコーンエマルジョン液滴は好ましくは、上述したものなどのポリジオルガノシロキサンから形成される。表面活性ブロックコポリマーの1つの好ましい形は、以下の式による:
HO(CHCHO)(CH(CH)CHO)(CHCHO)
式中、xの平均値は4以上であり、yの平均値は25以上である。
【0069】
表面活性ブロックコポリマーの別の好ましい形は、以下の式による:
(HO(CHCHO)(CH(CH)CHO)−N−CH−CH−N((OCHCH(CH))(OCHCHOH)
式中、aの平均値は2以上であり、bの平均値は6以上である。
【0070】
上述のシリコーンエマルジョンのいずれの混合物も使用され得る。
【0071】
上述のシリコーンエマルジョンは概して本発明の組成物中に、組成物の全重量に基づくシリコーンの全重量で0.05から15%の、好ましくは0.5から12%のレベルにて存在する。
【0072】
シリコーンは好ましくは0.5から15重量%で、さらに好ましくは1から12重量%で存在する。
【0073】
任意に本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を向上させるために以下に記載するようなさらなる成分を含有し得る。
【0074】
組成物は共界面活性剤を含有して、組成物への美的特性、物理的特性またはクレンジング特性の付与を補助することができる。
【0075】
共界面活性剤の例は非イオン性界面活性剤であり、組成物の全重量に基づいて0.5から10重量%に、好ましくは0.7から6重量%に及ぶ量で含めることができる。
【0076】
例えば本発明のシャンプー組成物に含まれ得る代表的な非イオン性界面活性剤は、脂肪族(C−C18)1級もしくは2級直鎖もしくは分枝鎖アルコールまたはフェノールと、アルキレンオキシド、通常、エチレンオキシドとの縮合生成物を含み、概して6から30個のエチレンオキシド基を有する。
【0077】
他の代表的な非イオン性界面活性剤は、モノまたはジアルキルアルカノールアミドを含む。例としてはココモノまたはジエタノールアミドおよびココモノイソプロパノールアミドが挙げられる。特に好ましい非イオン性界面活性剤はココモノエタノールアミドである。
【0078】
本発明のシャンプー組成物に含むことができる、さらなる非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)である。通常、APGは1個以上のグリコシル基のブロックに(任意に架橋基によって)結合されたアルキル基を含むものである。好ましいAPGは、以下の式によって定義される:
RO−(G)
式中、Rは飽和または不飽和であり得る、分枝または直鎖アルキル基であり、Gはサッカライド基である。
【0079】
Rは、約Cから約C20の平均アルキル鎖長を表し得る。好ましくはRは、約Cから約C12の平均アルキル鎖長を表し得る。最も好ましくは、Rの値は約9.5から約10.5に存在する。Gは、CまたはCモノサッカライド残基から選択され得、好ましくはグリコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノースおよびこの誘導体を含む群より選択され得る。好ましくはGはグルコースである。
【0080】
重合度nは、約1から約10以上の値を有し得る。好ましくは、nの値は約1.1から約2に存在する。最も好ましくは、nの値は約1.3から約1.5に存在する。
【0081】
本発明での使用に好適なアルキルポリグリコシドは市販されており、セピックからのオラミックスNS10;ヘンケルからのプランタレン1200およびプランタレン2000とされる物質を含む。
【0082】
本発明の組成物に含むことができる他の糖由来非イオン性界面活性剤は、C10−C18N−アルキル(C−C)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えばC12−C18N−メチルグルカミド、例えばWO9206154およびUS5194639に記載されているようなメチルグルカミド、ならびにN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えばC10−C18N−(3−メトキシプロピル)グルカミドを含む。
【0083】
共界面活性剤の好ましい例は両性または両性イオン性界面活性剤であり、組成物の全重量に基づいて0.5から10重量%に、好ましくは1から6重量%に及ぶ量で含めることができる。
【0084】
両性または両性イオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートが挙げられ、アルキル基およびアシル基は8から19個の炭素原子を有する。本発明のシャンプーで使用するための典型的な両性および両性イオン界面活性剤は、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびナトリウムココアンホアセテートを含む。
【0085】
特に好ましい両性または両性イオン界面活性剤はコカミドプロピルベタインである。
【0086】
上述の両性または両性イオン界面活性剤のいずれの混合物も好適であり得る。好ましい混合物は、コカミドプロピルベタインと上述のようなさらなる両性または両性イオン界面活性剤との混合物である。好ましいさらなる両性または両性イオン界面活性剤はナトリウムココアンホアセテートである。
【0087】
本発明のシャンプー組成物中の(共界面活性剤、および/または乳化剤を含む)界面活性剤の全量は概して、組成物の全重量の基づく界面活性剤の全重量で1から70%、好ましくは2から65%、さらに好ましくは8から60%である。
【0088】
好ましくは本発明の水性シャンプー組成物はさらに懸濁化剤を含む。好適な懸濁化剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル系エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロポリサッカライドガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は望ましくは、エチレングリコールステアレート、16から22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびこの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートが好ましい長鎖アシル誘導体であるのは、これらが組成物に真珠光沢を付与するためである。ポリアクリル酸は、カルボポール420、カルボポール488またはカルボポール493として市販されている。多官能性剤によって架橋されたアクリル酸のポリマーも使用され得る;これらはカルボポール910、カルボポール934、カルボポール941およびカルボポール980として市販されている。カルボン酸含有モノマーおよびアクリル酸エステルの好適なコポリマーの例は、カルボポール1342である。すべてのカルボポール(商標)物質はグッドリッチから入手できる。
【0089】
アクリル酸およびアクリレートエステルの好適な架橋ポリマーは、ペミュレンTR1またはペミュレンTR2である。好適なヘテロポリサッカライドガムは、例えばケルザンミューとして入手できるキサンタンガムである。
【0090】
上の懸濁化剤のいずれの混合物も使用され得る。好ましいのは、アクリル酸の架橋ポリマーおよび結晶性長鎖アシル誘導体の混合物である。
【0091】
懸濁化剤は概して、本発明のシャンプー組成物中に、組成物の全重量に基づく懸濁化剤の全重量で0.1から10%の、好ましくは0.5から6%の、さらに好ましくは0.9から4%のレベルにて存在する。
【0092】
本発明の組成物で使用され得るさらなる成分は、炭化水素油またはエステル油である。シリコーン油と同様に、これらの物質は本発明の組成物で見出されるコンディショニング上の利点を向上させ得る。
【0093】
好適な炭化水素油は、少なくとも12個の炭素原子を有し、パラフィン油、ポリオレフィン油、鉱油、飽和および不飽和ドデカン、飽和および不飽和トリデカン、飽和および不飽和テトラデカン、飽和および不飽和ペンタデカン、飽和および不飽和ヘキサデカン、ならびにこの混合物を含む。これらの化合物の分枝鎖異性体、ならびにより長い鎖長の炭化水素の分枝鎖異性体も使用できる。また好適なのは、C2−6アルケニルモノマーの炭化水素、例えばポリイソブチレンである。
【0094】
好適なエステル油は少なくとも10個の炭素原子を有し、脂肪酸またはアルコールから得たヒドロカルビル鎖を有するエステルを含む。代表的なエステル油は式R’COORであり、式中、R’およびRは独立して、アルキルまたはアルケニルラジカルを示し、R’およびR中の炭素原子の和は少なくとも10、好ましくは少なくとも20である。カルボン酸のジおよびトリアルキルエステルならびにアルケニルエステルも使用できる。
【0095】
好ましい脂肪油は、モノ、ジおよびトリグリセリド、さらに特にグリセロールと長鎖カルボン酸、例えばC1−22カルボン酸とのモノ、ジ、およびトリエステルである。このような物質の例としては、ココアバター、パームステアリン、ヒマワリ油、ダイズ油およびヤシ油が挙げられる。
【0096】
上述の炭化水素/エステル油のいずれの混合物も使用され得る。
【0097】
本発明の組成物中の炭化水素油およびエステル油を合わせた総量は好適には、組成物の0.05から10重量%、特に0.2から5重量%、および特に0.5から3重量%に及び得る。
【0098】
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を向上させるための他の成分を含有し得る。このような成分は、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調節剤、ならびに保存料または抗菌薬を含む。これらの各成分は、この目的を達成するために効果的な量で存在する。概してこれらの任意の成分は、全組成物の最大5重量%のレベルで個別に含まれる。
【0099】
好ましくは、ゲルはインライン・ループ・ミキサ内でゲル成分を少なくとも75℃、さらに好ましくは少なくとも80℃で混合物が完全に分散するまで混合することによって作製される。均質な混合物が得られたときに、ミルによる循環を維持しながら混合物を冷却する。
【0100】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例証され、実施例では、別途示さない限り、引用されるすべてのパーセンテージが全重量に基づく重量である。
【実施例1】
【0101】
処方例
【0102】
【表1】

【0103】
方法
PC液体設定ミキサ内で少なくとも7%の水を80℃に加熱した。これに脂肪族アルコール、2級アニオン性(ナトリウムセチルステアリルサルフェート)およびカチオン性(べへニルトリメチルアンモニウムクロリド)界面活性剤を添加した。得られたブレンドを高剪断インラインミキサによってループ周囲を循環させた。均質な分散物が得られたときに、ミルによる循環を維持しながらこの混合物を約45℃に冷却した。この混合物を次に希釈した1級界面活性剤溶液(ナトリウムラウレスサルフェート)を添加して、続いて残りの成分を中程度の速度で引き続き撹拌した。
【実施例2】
【0104】
以下の実験は、2つの比較物:ゲルを含まない比較物および標準ゲルを含む、即ちベシクルを含まない比較物の湿潤コンディショニング感触を比較した。
【0105】
標準ゲルを含む比較物は、以下の方法によって作製した。
【0106】
サイドポット内で少なくとも7%の水を約80℃に加熱した。これに脂肪族アルコール、2級アニオン性(ナトリウムセチルステアリルサルフェート)およびカチオン性(べへニルトリメチルアンモニウムクロリド)界面活性剤を高速で撹拌しながら添加した。均質な分散物が得られたときに、同じ速度の撹拌を維持しながらこの混合物を約45℃に冷却した。この混合物を次に希釈した1級界面活性剤溶液(ナトリウムラウレスサルフェート)を添加して、続いて残りの成分を中程度の速度で引き続き撹拌した。
【0107】
パネル(n=50)において、リンスの湿潤平滑性を:
A:非コンディショニングゲル相を含む組成物
B:20から80%の、ベシクルの形のゲル相を含まない従来のゲルを含む組成物
C:コンディショニングゲルを含み、コンディショニングゲル相の20から80体積%がベシクルの形である組成物の間で比較した。
【0108】
【表2】

【0109】
比較物の湿潤平滑性効果は同等であったが、本発明の実施例の効果は著しくより良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄相ならびに16から30個の炭素を有するカチオン性界面活性剤および多層状ベシクルを含む水性コンディショニングゲル相を含む、コンディショニングシャンプー組成物。
【請求項2】
ゲルの20から100体積%、さらに好ましくはゲル相の少なくとも40体積%が前記ベシクルの形である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コンディショニングゲル相が脂肪物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
脂肪物質が脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸および脂肪酸アミドから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
脂肪物質が直鎖または分枝であり、14から30個の炭素を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
ゲル相が16から22個の炭素を有するアニオン性界面活性剤を含む、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
カチオン性ポリマーを含む、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項8】
シリコーンを含む、請求項1から7に記載の組成物。
【請求項9】
ゲルが高剪断インラインミキサでループの周囲を循環させることによって得られる、請求項1から8に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−508209(P2012−508209A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535064(P2011−535064)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063173
【国際公開番号】WO2010/052093
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】