説明

ベッドシステム

【課題】ベッドを所望の部屋等に容易に設置することができ、使用者のプライバシーの保護やストレスの緩和が可能であると共に、各種の生体情報の安定した測定も可能となるベッドシステムを提供する。
【解決手段】ベッドシステム10は、使用者18が横臥するベッド本体12と、ベッド本体12に着脱可能に取り付けられ、その上方に延びる複数の支柱24a〜24dと、支柱24a〜24dの上部に着脱可能に取り付けられ、ベッド本体12の上方に配置される梁26a〜26dと、支柱24a〜24d又は梁26a〜26dに着脱可能に取り付けられ、ベッド本体12で横臥する使用者18よりも上方に配置されると共に、該使用者18の生体情報を測定可能な測定器22と、ベッド本体12、支柱24a〜24d又は梁26a〜26dに着脱可能に取り付けられ、ベッド本体12の側面を囲繞して、該ベッド本体12を外部から遮蔽する側面パネル14a〜14dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド本体と、該ベッド本体に取り付けられる支柱及び梁とを備え、ベッド本体に横臥する使用者の生体情報を検出することにより、例えば、在宅医療に適用可能なベッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
健康不安を抱えた老齢者等に対する日常的な介護等のために、入院や長期療養型施設への入所ではなく、在宅医療(在宅介護)が行われることがある。
【0003】
ところが、在宅医療に用いられる設備や器具は、病院等の施設で使用されているものが転用されることが多い。特に、在宅医療で用いられるベッドについては、背もたれを電動で駆動可能なもの等、便利な機能を持つものがあるが、一般家庭向けとしては、大き過ぎたり、重過ぎたりするものが多く、集合住宅の狭いエレベータや戸建住宅の狭い階段等を通過させることができず、室内への搬入を断念しなければならないこともある。仮に、ベッドを室内に搬入できたとしても、大きなベッドが部屋の大部分を占めてしまうことがある。
【0004】
また、このような在宅医療においても、使用者のプライバシー保護は重要な問題であり、特に、ベッドで着替えや排泄等を行う場合には、ベッドを外部から適切に遮蔽できることが望ましい。
【0005】
例えば、特許文献1には、在宅医療用として、ベッドのサイドフレームに支柱を装着し、そこに取り付けるためのベッド装着型カーテン機構が提案されている。特許文献2には、ベッドの四隅を支える脚部を上方まで延ばして支柱とし、各支柱の上部を連結した梁にカーテンを取り付けた構成が提案されている。
【0006】
さらに、在宅医療では、使用者の健康管理も重要であり、特に、ベッドで使用者の各種の生体情報を測定できると、測定が容易であると共に、使用者にとっての負担が少ないという利点もある。
【0007】
例えば、特許文献3には、ベッドのヘッドボードに人体の血液循環により生じる身体の振動を検出する変位センサを設け、これにより人体の脈拍や血圧等の状態を判定する生体モニタ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−312003号公報
【特許文献2】実公平5―42785号公報
【特許文献3】特開平10−229973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、在宅医療用のベッドが、例えば、家族が集まるリビングルーム等に設置された場合には、使用者が眠りたいときには周囲の音がうるさく感じられてストレスを受けることがある一方、リビングルーム等から遠い部屋に設置された場合には、使用者が疎外感を受けることがある。
【0010】
このような点につき、上記特許文献1、2に記載のベッドでは、カーテンによってベッドを外部から遮蔽することができ、使用者のプライバシーを保護することができるが、カーテンのみでは周囲の音を十分に遮音できない可能性があり、リビングルーム等の設置には適さない場合もあり、上記のような生体情報の測定を行う機能もない。
【0011】
また、特許文献1、2に記載のベッドの場合、例えば、未だ在宅医療の必要のない中年等の使用者にとっては、カーテン等の設備が邪魔となり、つまり、在宅医療が不要な状態では通常の就寝用のベッドを購入し、在宅医療が必要になってからベッドを買い換える必要が生じることになる。
【0012】
一方、特許文献3に記載のベッドでは、人体の血液循環による身体の振動を非接触で測定する変位センサをヘッドボードに設けているが、このような変位センサのみでは、得られる生体情報は限られたものになり、特に、上記のようにプライバシーに配慮してベッドを周囲から遮蔽した場合には、使用者の体調管理を行う上でも各種の生体情報を正確に取得できることが望ましい。この点、特許文献3の変位センサは、ベッドに横臥する人体と略同一の高さに設置されているため、使用者が寝返りをうった場合等、身体の向きによっては正確な測定ができないことも予想される。
【0013】
本発明はこのような従来の課題を考慮してなされたものであり、ベッドを所望の部屋等に容易に設置することができ、使用者のプライバシーの保護やストレスの緩和が可能であると共に、各種の生体情報の安定した測定も可能となるベッドシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るベッドシステムは、人体が横臥するベッド本体と、前記ベッド本体に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体から上方に延びる複数の支柱と、前記支柱の上部に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体の上方に配置される梁と、前記支柱又は前記梁に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体で横臥する人体よりも上方に配置されると共に、該人体の生体情報を測定可能な測定器と、前記ベッド本体、前記支柱又は前記梁に着脱可能に取り付けられ、少なくとも前記ベッド本体の側面を囲繞して、該ベッド本体を外部から遮蔽する遮蔽部材とを備えることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、ベッド本体に対して着脱可能な支柱、梁及び遮蔽部材を備えたことにより、これらを必要に応じてベッド本体に増設可能なユニット式のベッドシステムを構成することができる。このため、例えば、当該ベッドシステムの各要素を分解した状態で搬送、搬入及び設置することができ、一般的な家庭であっても容易に設置することができる。また、遮蔽部材を設けたことにより、使用者のプライバシーの保護と、周囲の騒音等の遮断によるストレスの低減が可能となる。しかも、当該ベッドシステムでは、人体の生体情報を測定可能な測定器が設けられることにより、例えば、体温や心電等の生体情報を該測定器によってセンシングすることができる。この際、測定器がベッド本体で横臥する人体よりも上方に配置されることにより、使用者の体動等があった場合にも、その生体情報の受信感度を確保し易く、特に、人体が遮蔽物となるような周波数帯の無線機器を用いる場合であっても、測定器を人体の上方に設置することで生体情報を安定してモニタリングすることができる。また、センサが体のどの位置にあっても、例えば、頭頂部にあっても、足先部にあっても良好にセンシングすることができる。さらに、複数箇所にあっても良好にセンシングすることができる。
【0016】
前記遮蔽部材は、パネル又はカーテンであると、取り扱いが容易であり、且つ遮蔽効果も十分に確保することができる。特に、遮蔽部材としてパネルを用いると、遮光性と共に遮音性も十分に確保することができる。
【0017】
この場合、前記梁に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体の上方を覆う天面パネルを備えると、ベッド本体の遮光性や遮音性を一層向上させることができる。
【0018】
前記測定器としては、前記人体を撮影するカメラ、前記人体の音を感知するマイク、及び、前記ベッド本体に横臥する人体に装着されて所定の生体情報を検知する検知器からの生体情報を無線によって受信可能な無線測定器のうち、少なくとも1つを設置するとよく、カメラ、マイク及び無線測定器のいずれを用いた場合にも、当該測定器が人体の上方に設置されることにより、そのセンシングを安定して行うことができる。
【0019】
また、前記測定器から前記生体情報を受信するコンソールを備えてもよい。さらに、前記コンソールで受信した前記生体情報は、前記コンソールから外部機器に送信されるように構成されると、当該ベッドシステムの使用者の家族や介護者は、例えば、家庭内のテレビや外出先の携帯電話等の外部機器によって、使用者の健康状態を随時確認することが可能となる。なお、前記コンソールで受信した前記生体情報は、該コンソール内の記憶部に記憶されてもよい。
【0020】
前記測定器による測定項目は、体温、心電、心拍、血圧、血中酸素飽和度、脈波、脳波、筋電、呼吸、体動、血糖、画像、及び、音のうち、いずれか1つ又は複数の生体情報であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ベッド本体に対して着脱可能な支柱、梁及び遮蔽部材を備えたことにより、これらを必要に応じてベッド本体に増設可能なユニット式のベッドシステムを構成することができる。このため、例えば、当該ベッドシステムの各要素を分解した状態で搬送、搬入及び設置することができ、一般的な家庭であっても容易に設置することができる。しかも、当該ベッドシステムでは、人体の生体情報を測定可能な測定器が設けられることにより、例えば、体温や心電等の生体情報を該測定器によってセンシングすることができる。この際、測定器がベッド本体で横臥する人体よりも上方に配置されることにより、使用者の体動等があった場合にも、その生体情報の受信感度を確保し易く、特に、人体が遮蔽物となるような周波数帯の無線機器を用いる場合であっても、測定器を人体の上方に設置することで生体情報を安定してモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るベッドシステムの構成図である。
【図2】図1に示すベッドシステムの一部省略分解斜視図である。
【図3】図1に示すベッドシステムの制御系統を示すブロック構成図である。
【図4】図1に示すベッドシステムにおいて、側面パネルに代えてカーテンを設置した例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るベッドシステムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るベッドシステム10の構成図であり、該ベッドシステム10を構成するベッド本体12の周囲を囲繞する側面パネル14a〜14dの一部及び天面パネル16を取り外した状態で図示している。図2は、図1に示すベッドシステム10の一部省略分解斜視図である。本実施形態に係るベッドシステム10は、例えば、老齢の使用者18の在宅医療(在宅看護)に用いられ、使用者18が睡眠や休息をとる通常のベッドとして、さらに、使用者18の体温等の生体情報を測定器22でセンシングし、該使用者18の健康状態の管理を行う医療用のベッドとして用いることができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、ベッドシステム10は、使用者18が横臥するベッド本体12と、ベッド本体12の四隅に取り付けられて鉛直上方に延びた支柱24a、24b、24c、24dと、支柱24a〜24dの上部を連結するように水平方向に取り付けられた梁26a、26b、26c、26dと、梁26cに装着された測定器22と、ベッド本体12の下部に設置されたコンソール28とを備える。さらに、ベッドシステム10は、各支柱24a〜24dの間に取り付けられた4枚の側面パネル14a〜14dと、各梁26a〜26dに取り付けられた天面パネル16と、ベッド本体12の短尺な前後縁部からの寝具等の落下を防止する柵30a、30bとを備える。
【0026】
図2から諒解されるように、ベッド本体12は、それ単体で通常のベッドとしても用いることが可能な簡易な構造であり、使用者18が横臥するマット12aと、該マット12aが載置される平板等を含む脚部12bとを有する。
【0027】
支柱24a〜24d及び梁26a〜26dは、例えば、角形や円形のパイプで構成される。図2に示すように、支柱24a〜24dは、その下端面から突出した円柱状又は角柱状の係合凸部32が、ベッド本体12の四隅に設けられた係合凹部34に挿入・係合されることにより、ベッド本体12に対して着脱可能である。梁26a〜26dは、その両端面から突出した円柱状又は角柱状の係合凸部36が、対向する支柱24a〜24dの側面に設けられた係合凹部38に挿入・係合されることにより、支柱24a〜24d、つまりベッド本体12に対して着脱可能である。このように、支柱24a〜24d及び梁26a〜26dは、ベッド本体12に対して着脱可能に構成されているが、その着脱構造は、係合凸部及び係合凹部を用いた構造以外であってもよく、例えば、ねじ等の締結具を用いてもよく、要は、支柱24a〜24d及び梁26a〜26dをベッド本体12に対して着脱可能に構成されていればよい。
【0028】
柵30a、30bは、その両端側から突出した円柱状又は角柱状の係合凸部40が、ベッド本体12の前後位置で対向する支柱24a〜24dの側面に設けられた係合凹部42に挿入・係合されることにより、支柱24a〜24d、つまりベッド本体12に対して着脱可能である。柵30a、30bの着脱構造は、上記した支柱24a〜24dと同様に他の構造であってもよく、勿論、支柱24a〜24dではなくベッド本体12に対して直接的に着脱する構造であってもよい。
【0029】
側面パネル14a〜14dは、遮光性及び遮音性を有するパネル部材であり、例えば、その上面に設けられた一対のリング部材44、44が、梁26a〜26dの外側面に設けられた一対のフック46、46に引っ掛けられることでベッド本体12に対して着脱可能である。これにより、側面パネル14a〜14dは、各支柱24a〜24d間を塞ぎ、ベッド本体12を外部空間から遮蔽する遮蔽部材として機能する。天面パネル16は、側面パネル14a〜14dと略同様な構成であり、例えば、下面に突出した係合凸部48が、梁26a、26cの上面に設けられた係合凹部49に挿入・係合されることにより、ベッド本体12の上部を塞ぐ着脱可能な遮蔽部材として機能する。
【0030】
側面パネル14a〜14d及び天面パネル16の着脱構造についても、上記した支柱24a〜24d等と同様に他の構造であってもよく、要は、側面パネル14a〜14d及び天面パネル16をベッド本体12に対して容易に着脱できるものであればよい。
【0031】
本実施形態の場合、測定器22は、マット12a上に横臥する使用者18の生体情報として、例えば、使用者18の身体の各部に3つ装着されたセンサである検知器50a、50b、50cにより検知された使用者18の体温、心電及び心拍の情報を、該検知器50a〜50cから無線通信によって受信可能な無線測定器である。
【0032】
測定器22は、その取付部52を、梁26a〜26d(又は支柱24a〜24dの上部)の各所に形成された被取付部54のいずれかに対して締結することにより、ベッド本体12の上部に着脱することができる。測定器22が受信・取得した生体情報は、例えば、該測定器22から延びたケーブル56のコネクタ58を、梁26a〜26dの被取付部54に近接した接続端子60に接続することでコンソール28へと供給される。
【0033】
すなわち、図1に示すように、接続端子60は、ケーブル62により、コンソール28から延びたケーブル64のコネクタ65を接続する接続端子66へと接続される。接続端子66は、例えばベッド本体12の脚部12bに設けられる。2つの接続端子60、66間、つまり測定器22とコンソール28の間を繋ぐケーブル62は、所定の支柱24a〜24d及び梁26a〜26dの側部に配置すればよいが、例えば、脚部12b、支柱24a〜24d及び梁26a〜26dの内部に、それぞれ予め埋設しておき、これらを組み立てた際に全体として接続端子60、66間を繋ぐケーブル62として機能する構造であってもよい。
【0034】
測定器22によりセンシングされる使用者18の生体情報としては、上記した体温、心電及び心拍以外にも、例えば、血圧、血中酸素飽和度(SPO2)、脈波、脳波、筋電、呼吸、体動、血糖、画像、及び、音(呼吸音や音声)のうち、いずれか1つ又は複数の生体情報が挙げられる。この場合、体温、心電、心拍、血圧、血中酸素飽和度、脈波、脳波、筋電及び血糖等の各項目に関しては、それぞれの測定に適した検知器50a等を使用者18の身体に装着し、その検知した生体情報を無線測定器として機能する測定器22によって受信・測定すればよい。画像及び体動の測定は、例えば、測定器22としてカメラを用い、上部から使用者18の状態を観察し、必要に応じて画像解析可能なシステムとして構成すればよく、体動の測定には検知器50aとして行動量計等を用いてもよい。音の測定は、例えば、測定器22としてマイクを用い、使用者18の発する音を上部から感知・測定すればよい。
【0035】
なお、測定器22として前記無線測定器を用い、使用者18の身体の各部に装着された検知器50a〜50cにより検知された生体情報を無線通信によって測定器22で受信・測定する無線測定システムを構成する場合には、例えば、検知器50a〜50cにRFIDタグ等を設けて該RFIDタグを測定器22で読み取る構成や、検知器50a〜50cに無線通信用の送信器を設け、該送信器からの通信を測定器22で受信する構成を例示することができる。このような検知器50a〜50cは、それ自体に演算処理機能等を設ける必要がないことから小型化・軽量化が可能であり、また、コードレスで測定器22と接続されることから、使用者18の動作が制限されず、使用者18の受けるストレスを低減することができる。より具体的には、例えば、検知器50aとして、温度センサ、体動センサ(体動による3軸方向の加速度センサ)、心臓活動電位センサ及び心拍数センサを組み込み、さらに無線送信機を組み込んだ小型の検知器を用い、その計測される生体情報を無線受信器として機能する測定器22によって受信するシステムを構成することができる。
【0036】
このような測定器22は、ベッド本体12に横臥する使用者18よりも上方に設置可能であればよく、被取付部54を支柱24a〜24dに設け、該支柱24a〜24dに取り付ける構造としてもよい。また、測定器22を複数台設置してもよく、例えば、図1中に2点鎖線で示すように、一方の測定器22を使用者18の上半身に向けて梁26dに設置し、他方の測定器22を下半身に向けて梁26bに設置して、検知器50a等からの生体情報の受信感度を向上させることもできる。勿論、測定器22として、検知器50a等と併用される前記無線測定器と共に、カメラやマイクを併用してもよい。
【0037】
コンソール28は、測定器22から生体情報を受信し、その情報を適宜演算処理すると共に、必要な指令を測定器22等に送信するベッドシステム10の総合的な制御部であり、ベッド本体12の下部以外、例えば、ベッドサイドやその近傍、枕元等に設置してもよい。コンソール28と測定器22との間は、ケーブル62を用いた有線ではなく、無線によって接続してもよい。
【0038】
図3は、図1に示すベッドシステム10の制御系統を示すブロック構成図である。図3に示すように、本実施形態に係るベッドシステム10は、検知器50a〜50cと、測定器22と、コンソール28と、コンソール28に電話回線やLAN等によって接続される外部機器70とを備える。
【0039】
コンソール28は、使用者18や他の者、例えば家族や訪問介護者が当該ベッドシステム10の設定として、測定器22や検知器50a〜50cの種類等を設定入力するためのボタン等を含む入力部72と、入力部72での設定情報と測定器22から供給される生体情報とに基づき、該生体情報に所定の演算処理を施す演算制御部74と、入力部72での設定情報や演算制御部74での演算結果である使用者18の生体情報(例えば、体温や心電の数値やグラフ)を表示する表示部76と、入力部72での設定情報や演算制御部74での演算結果である使用者18の生体情報(例えば、体温や心電の数値やグラフ)を外部機器70へと供給する通信部78と、記憶部としてのメモリ79とを備える。
【0040】
外部機器70は、コンソール28の通信部78から使用者18の生体情報等の供給を受けて、その情報の表示や通知等を行う機器であり、例えば、ベッドシステム10が設置された家庭のテレビ(TV)80や、使用者18の家族等の携帯電話82や、使用者18の訪問看護(訪問医療)を行う訪問看護ステーション84に設置されたPC等である。このような外部機器70にベッドシステム10が接続されることにより、測定器22で測定された使用者18の生体情報は、コンソール28の表示部76だけでなく、外部機器70を構成するテレビ80、携帯電話82及び訪問看護ステーション84にて表示されるため、使用者18の容態急変等の緊急情報も迅速に外部機器70へと通知可能となっている。
【0041】
また、メモリ79には、使用者18の生体情報を保存しておくことができるため、例えば、検知器50aとして心電計を用い、その心電図に係るデータ(生体情報)を該メモリ79に保存しておき、後日、該心電図を医師等が診断することも可能である。
【0042】
次に、上記のように構成される本実施形態に係るベッドシステム10の作用について説明する。
【0043】
本実施形態に係るベッドシステム10は、上記のように、ベッド本体12に対して、支柱24a〜24b、梁26a〜26d及び測定器22等を増設することで、その機能を拡張可能なユニット式の構成となっている。
【0044】
そこで、使用者18が在宅医療を受ける必要のない若年齢等の場合には、ベッド本体12のみを室内に設置すれば、該ベッド本体12を通常の就寝用ベッドとして用いることができる。ベッド本体12は、一般的な就寝用のベッドと略同様な構造であり、支柱24a〜24b等の拡張器具が設置されていないことから、小型且つ軽量であり、一般家庭にも容易に搬入及び設置することができ、しかも安価である。
【0045】
ベッドシステム10を、例えば在宅医療用として使用する場合には、先ず、ベッド本体12に対し、支柱24a〜24d及び梁26a〜26dを取り付ける(図2参照)。この際、ベッドシステム10のラインナップとして、ベッド本体12や支柱24a〜24d、梁26a〜26dの寸法・仕様を複数準備すると共に、各仕様のベッド本体12における各仕様の支柱24a〜24d及び梁26a〜26dの着脱構造を共通規格として統一しておく。すなわち、係合凸部32及び係合凹部34を共通規格にすると共に、係合凸部36及び係合凹部38を共通規格にしておく。これにより、使用者18は、予め購入して使用していたベッド本体12に対し、その設置された室内や健康状態の状況に応じて必要な寸法や構造を持つ支柱24a〜24d及び梁26a〜26dを適宜組み合わせることができ、ベッドシステム10を使用者18の要求仕様に最適な天蓋式ベッドとして構成することができる。
【0046】
この際、使用者18について、測定器22を用いた健康管理が不要である場合には、該測定器22を設けず、ベッドシステム10を通常の天蓋式ベッドとして使用する。そして、着替えや排泄等が必要な場合には、側面パネル14a〜14dを適宜取り付けることにより、ベッド内外を視覚的且つ聴覚的に遮断し、使用者18のプライバシーを十分に保護することができる。また、必要に応じて、天面パネル16を取り付ければ、ベッド本体12の周囲を完全に囲繞することができ、遮音性を一層高めることができる。
【0047】
このように、側面パネル14a〜14d及び天面パネル16を必要に応じて着脱することで、ベッドシステム10を他の家族等が集まるリビングルーム等に設置した場合であっても、側面パネル14a等を外した状態とすることにより、使用者18が周囲から疎外感を受けることが回避される一方、側面パネル14a等を取り付けた状態とすることにより、周囲の話し声等の騒音や光等が遮られ、使用者18が安心してストレスなく睡眠等を行うことができる。
【0048】
一方、使用者18について、測定器22を用いた健康管理を行う場合には、先ず、上記で例示した所望の生体情報に適した測定器22をベッド本体12上部に取り付ける。例えば、使用者18の体温、心電及び心拍以外を検知するための検知器50a〜50cを身体の各部に装着すると共に、該検知器50a〜50cから無線によって情報を受信可能な仕様の測定器22を梁26cの被取付部54に固定してコネクタ58を接続端子60に接続する。さらに、検知器50a〜50c及び測定器22に対応するコンソール28を設置し、コネクタ65をベッド本体12に設けられた接続端子66に接続する。これにより、検知器50a〜50cと測定器22との間が無線で接続されると共に、測定器22とコンソール28との間がケーブル62によって接続される。
【0049】
従って、コンソール28の電源を入れることにより、検知器50a〜50cによって検知される使用者18の生体情報(ここでは、体温、心電及び心拍)は、測定器22によって受信及び測定されると共に、コンソール28の演算制御部74によって処理され、表示部76に表示され、さらに外部機器70に送信される。
【0050】
これにより、使用者18の家族や介護者は、例えば、家庭内のテレビ80や外出先の携帯電話82によって使用者18の健康状態を随時確認することができ、訪問看護ステーション84においても同様である。
【0051】
ところで、ベッド本体12の周囲を側面パネル14a〜14d及び天面パネル16で囲繞した状態では、使用者18がベッド外部と遮断され、そのプライバシーは保護されるが、この状態で使用者18の容態が急変した場合等には、家族や介護者等による発見が遅れる可能性がある。これに対して、ベッドシステム10では、使用者18の生体情報を、検知器50a〜50cから測定器22、コンソール28を介して外部機器70であるテレビ80、携帯電話82及び訪問看護ステーション84に常時通知することができるため、家族や介護者等は、使用者18の容態の変化を迅速に把握することが可能である。
【0052】
以上のように、本実施形態に係るベッドシステム10は、ベッド本体12に対して着脱可能な支柱24a〜24d、梁26a〜26d、側面パネル14a〜14d、天面パネル16及び測定器22を備えたことにより、これらを必要に応じてベッド本体12に増設することができるユニット式のベッドシステムとして構成されている。このため、例えば、ベッドシステム10の各要素を分解した状態で搬送、搬入及び設置することができるため、一般的な家庭であっても容易に設置することができる。特に、ベッド本体12は、支柱24a〜24d等を外した状態では、通常のベッドと略同様な構造であることから、将来的に在宅医療が必要ではあるが、現状は在宅医療が不要と見込まれる使用者18に対しても用いることができる。
【0053】
測定器22は、ベッド本体12に横臥する使用者18の上方に設けられるため、使用者18の体動等があった場合にも、検知器50a等からの生体情報の受信感度を確保し易いという利点があり、使用者18がベッド本体12上に居る限りは安定して生体情報をモニタリングすることができる。また、測定器22をこのように配置することにより、検知器50a等が体のどの位置にあっても、例えば、頭頂部にあっても、足先部にあっても良好にセンシングすることができると共に、複数箇所にあっても良好にセンシングすることができる。なお、検知器50a等及び測定器22のようなワイヤレス測定システムでは、その無線の周波数帯によっては人体が遮蔽物となり、使用者18の体の向きによって受信感度が大きく変動し、測定が不可能になる可能性もあり、特に受信側である測定器22を人体と同一以下の高さ位置に設置した場合には、人体が無線を遮蔽し易くなる。これに対して、ベッドシステム10では、使用者18の上方に測定器22を設置できるため、弱い信号等であっても正確にモニタリングすることが可能であり、また、該測定器22がベッド上で邪魔になることもない。
【0054】
図4に示すように、ベッドシステム10では、側面パネル14a〜14dに代えて、又はその一部に代えて、着脱可能なカーテンレール90a、90b、90c、90dにより遮光性及び遮音性に優れたカーテン(遮蔽部材)92a、92b、92c、92dを設置してもよい。この場合、カーテン92a〜92dは、側面パネル14a〜14dに比べて、遮音性等で不利とはなるが、開閉の手間が低減されるという利点がある。また、カーテン92a〜92dと共に、天面パネル16を併用することで、必要十分な遮音性を確保することもできる。勿論、カーテン92a〜92dと側面パネル14a〜14dとを併用してもよい。
【0055】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
【0056】
例えば、支柱24a〜24d及び梁26a〜26dは、それぞれ全て別体に構成しなくてもよく、支柱24b、24c及び梁26bを門状の枠体として一体的に構成したもの等であってもよい。
【0057】
また、ベッドシステム10には、上記のような各種増設器具と共に、さらに他の設備を追加で設置してもよいことは勿論であり、例えば、使用者18が家族等と連絡可能なインターフォン装置(図示せず)を支柱24a等に設置したり、マット12aに横臥した使用者18の背もたれを自動で調整する機構(図示せず)をマット12aの下面側に設置したり、使用者18をマット12a上で持ち上げる介護用リフト(図示せず)を梁26a等に設置したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
10…ベッドシステム 12…ベッド本体
14a〜14d…側面パネル 16…天面パネル
18…使用者 22…測定器
24a〜24d…支柱 26a〜26d…梁
28…コンソール 50a〜50c…検知器
70…外部機器 92a〜92d…カーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体が横臥するベッド本体と、
前記ベッド本体に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体から上方に延びる複数の支柱と、
前記支柱の上部に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体の上方に配置される梁と、
前記支柱又は前記梁に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体で横臥する人体よりも上方に配置されると共に、該人体の生体情報を測定可能な測定器と、
前記ベッド本体、前記支柱又は前記梁に着脱可能に取り付けられ、少なくとも前記ベッド本体の側面を囲繞して、該ベッド本体を外部から遮蔽する遮蔽部材と、
を備えることを特徴とするベッドシステム。
【請求項2】
請求項1記載のベッドシステムにおいて、
前記遮蔽部材は、パネル又はカーテンであることを特徴とするベッドシステム。
【請求項3】
請求項2記載のベッドシステムにおいて、
前記梁に着脱可能に取り付けられ、前記ベッド本体の上方を覆う天面パネルを備えることを特徴とするベッドシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のベッドシステムにおいて、
前記測定器として、前記人体を撮影するカメラ、前記人体の音を感知するマイク、及び、前記ベッド本体に横臥する人体に装着されて所定の生体情報を検知する検知器からの生体情報を無線によって受信可能な無線測定器のうち、少なくとも1つが設置されることを特徴とするベッドシステム。
【請求項5】
請求項4記載のベッドシステムにおいて、
前記測定器から前記生体情報を受信するコンソールを備えることを特徴とするベッドシステム。
【請求項6】
請求項5記載のベッドシステムにおいて、
前記コンソールで受信した前記生体情報は、前記コンソールから外部機器に送信されることを特徴とするベッドシステム。
【請求項7】
請求項5又は6記載のベッドシステムにおいて、
前記コンソールで受信した前記生体情報は、該コンソール内の記憶部に記憶されることを特徴とするベッドシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のベッドシステムにおいて、
前記測定器による測定項目は、体温、心電、心拍、血圧、血中酸素飽和度、脈波、脳波、筋電、呼吸、体動、血糖、画像、及び、音のうち、いずれか1つ又は複数の生体情報であることを特徴とするベッドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−188897(P2011−188897A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55346(P2010−55346)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】