説明

ベルトコンベヤ蛇行修正装置

【課題】 ベルト蛇行補正用搬送ローラ(キャリヤローラ、リターンローラ)によるベルト蛇行の修正機能を改善したベルトコンベヤ蛇行修正装置の提供。
【解決手段】 搬送ローラ15を支持するローラスタンド13をベルト搬送面と平行な方向に正逆旋回させて、ベルト1の蛇行を修正する装置で、ローラスタンド13にベルト搬送方向と直交する上下方向に揺動させるスタンド揺動機構30を付設する。ローラスタンド13を搬送ローラ15と共に旋回させてベルト蛇行修正するときに、同時進行的にローラスタンド13を搬送ローラ15を揺動させる。この揺動で、旋回によるベルト蛇行修正の機能を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ローラ(キャリヤローラ、リターンローラ)に沿って搬送されるベルトの蛇行を自動修正するベルトコンベヤ蛇行修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土砂やセメントなどの所謂バラ物の搬送装置として使用されるベルトコンベヤは、長尺な無端のベルトをベルト搬送方向に並列させた多数のキャリヤローラで搬送し、搬送方向と逆方向にリターンローラで搬送する。キャリヤローラは、ベルト幅方向に横一列で並ぶ複数のローラをユニット化したものが一般的である。リターンローラは、ベルト幅より長い単品構造が一般的である。
【0003】
キャリヤローラまたはリターンローラの搬送ローラに沿ってベルトが搬送されるとき、搬送ローラ上でベルトが幅方向左右のいずれかに蛇行することがある。キャリヤローラ上でのベルトの蛇行を放置すると、蛇行量が増大してベルトから積載物のバラ物がこぼれ落ちたり、キャリヤローラからベルトが外れることがある。リターンローラ上でのベルトの蛇行を放置すると、リターンベルトの搬送に支障が生じ、この支障がキャリヤローラ上でのベルト搬送に影響を及ぼし、キャリヤローラ上でのベルトの蛇行を助勢することがある。そこで、搬送ローラ上でのベルトの蛇行量が許容値を超えると、このベルトの蛇行を自動的に修正するようにした様々な蛇行修正装置が実用化されている。
【0004】
上記蛇行修正装置は、例えばベルト搬送方向に多数並列に並ぶ搬送ローラの内の適宜に選択された搬送ローラを蛇行修正用ローラとして使用する。蛇行修正用搬送ローラをベルトの蛇行に応じてベルト搬送面に平行な前後方向に旋回させて、ベルトの蛇行を自動修正する。ベルトの蛇行を特別な検知手段で検知して、キャリヤローラをシリンダで強制的に旋回させて、ベルトの蛇行を自動修正する蛇行修正装置がある(例えば、特許文献1参照)。また、ベルトの蛇行が許容値を超えると、ベルトの蛇行した側方のベルト側辺に当接して変位するガイドローラを使用して、ベルトの蛇行力のみで蛇行修正用搬送ローラを旋回させる蛇行修正装置がある。この後者蛇行修正装置の従来例を図10及び図11と、図12及び図13に示し説明する。
【0005】
図10及び図11に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置は、キャリヤローラに適用した蛇行修正装置である。水平に固定されたスタンド支持体2上に1つのローラスタンド3が、1軸の旋回軸4を中心にベルト搬送方向と平行な方向に正逆旋回可能に設置される。ローラスタンド3は、ベルト1の幅方向に延在する1本の剛体で、水平な中央部3aと、ベルト幅方向両端に向け仰角で傾斜する両端部3b、3cを有する。中央部3a上に平行に蛇行修正用キャリヤローラ5aが軸受6で回転自在に設置され、両端部3b、3c上に平行に蛇行修正用キャリヤローラ5b、5cが軸受6で回転自在に設置される。ローラスタンド3の両端に、ベルト搬送方向Xの上流側に延在させて一対のアーム7、7が固定され、各アーム7、7の先端にガイドローラ8a、8bが回転可能に設置される。一対のガイドローラ8a、8bの間隔は、ベルト幅より少し大き目に設定される。
【0006】
ローラスタンド3上に横一列配置された3本のキャリヤローラ5a〜5cに沿ってベルト1が搬送される。このベルト1がベルト幅方向の左右いずれかに蛇行すると、左右一対のガイドローラ8a、8bの一方に当接する。例えば、図11においてベルト1が右方に蛇行すると、図11で右側のガイドローラ8bが蛇行するベルト1の右側辺で押されて、アーム7を介してローラスタンド3に旋回力を付与し、ベルト蛇行量に応じてローラスタンド3を旋回軸4を中心に反時計方向に旋回させる。この旋回でベルト1の蛇行が自動修正される。自動修正されると、ローラスタンド3が元の位置に自動復帰する。
【0007】
図12及び図13に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置は、リターンローラに適用した蛇行修正装置である。水平に固定されたスタンド支持体2’上に1つのローラスタンド3’が、1軸の旋回軸4’を中心にリターンベルト1’の搬送方向X’と平行な方向に正逆旋回可能に設置される。ローラスタンド3’は、ベルト1’の幅方向に延在する1本の直線状の剛体である。ローラスタンド3’上に平行に蛇行修正用リターンローラ5’が回転自在に設置される。ローラスタンド3’の両端に、リターンベルト搬送方向X’の上流側に延在させて一対のアーム7’、7’が固定され、その先端にガイドローラ8’a、8’bが回転可能に設置される。
【0008】
図12の蛇行修正装置の場合も、図10と同様にしてリターンベルト1’の蛇行を自動修正する。例えば、リターンベルト1’が図13において右方に蛇行すると、図13で右側のガイドローラ8’bが蛇行するリターンベルト1’の右側辺で押されて、ローラスタンド3’に旋回力を付与し、ベルト蛇行量に応じてローラスタンド3’とリターンローラ5’を旋回軸4’を中心に図13で時計方向に旋回させる。この旋回でリターンベルト1’の蛇行が自動修正される。
【特許文献1】特開平09−020415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような蛇行修正用搬送ローラ(キャリヤローラまたはリターンローラ)は、ベルト搬送方向と平行な方向に正逆旋回することで、ベルトに蛇行を修正する方向に摩擦抵抗力を作用させて、ベルトの蛇行を自動修正する。このようなベルト蛇行の修正機能は、ベルト幅が大きくなるほど安定的に発揮させることが難しい。実際、屋外で土砂などのバラ物を運搬する幅が1mを超える大型重量物のベルトコンベヤにおいては、キャリヤローラ上におけるベルト蛇行の修正機能が不十分となっているおり、この機能不足は構造上に仕方ないものとされている。また、リターンローラの場合は、バラ物を積載しない軽量のリターンベルトを搬送するのみであることから、蛇行修正機能は比較的に良好である。しかし、軽量のリターンベルトが蛇行し易いことから、更なる蛇行修正機能のものが要望されている。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、ベルトの蛇行修正機能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するため、ベルトを搬送する搬送ローラと、搬送ローラを回転可能に支持するローラスタンドと、ローラスタンドに旋回軸で連結され、旋回軸を支点にローラスタンドをベルト搬送面に平行な前後方向に正逆旋回可能に支持するスタンド支持体と、旋回軸にローラスタンドを、当該ローラスタンドの旋回方向と直交する上下方向に往復揺動可能に連結するヒンジと、ローラスタンドをヒンジを支点に揺動させるスタンド揺動機構とを具備し、ベルトの蛇行に対応させてローラスタンドを旋回および揺動させることを特徴とする。
【0012】
ここで、搬送ローラはキャリヤローラ、リターンローラのいずれか、または、両方が適用できる。ローラスタンドは、単体の搬送ローラを支持する他、複数の搬送ローラを横一列に並べて支持するものが適用できる。ローラスタンドとスタンド支持体が1軸の旋回軸で連結され、旋回軸の中心線を中心にローラスタンドと搬送ローラが正逆旋回する。旋回軸にローラスタンドがヒンジを介して連結され、ヒンジを支点にローラスタンドがスタンド揺動機構の作用で上下に揺動する。スタンド揺動機構は、ローラスタンドとスタンド支持体の間に設置した後述するような倣いローラとガイド面を有する機構や、ローラスタンドの旋回に連動するシリンダのような動力源が適用できる。
【0013】
ベルトが許容量を超えて蛇行すると、この蛇行を修正するようにローラスタンドを旋回させ、これと同時進行させてローラスタンドを上下に揺動させる。このスタンド旋回にスタンド揺動が加わることで、ベルト修正の機能が一段と上がる。ここでのローラスタンドの旋回は、ベルトの蛇行をガイドローラやセンサーで検知して、ベルト蛇行力を利用して行うか、シリンダーなどの動力源を使用して積極的に行う。
【0014】
本発明においては、ローラスタンドのベルト幅方向で中央部に旋回軸を設置し、両端部それぞれにスタンド揺動機構を設置することができる。この場合、ローラスタンドは、ベルト幅より大きな長さのスタンドが適用される。このローラスタンドの両端部の旋回方向は、互いに常に逆の前後方向であり、揺動方向も互いに常に逆の上下方向であり、ベルトの蛇行を効果的に修正する。
【0015】
また、本発明においては、ローラスタンドのベルト幅方向で一方の片端部に旋回軸を設置し、他方の片端部にスタンド揺動機構を設置した構造とすることができる。この場合、ローラスタンドは、ベルト幅より短いスタンドが適用される。このローラスタンドの一対をベルトの幅方向両端部に配置して、それぞれをベルト蛇行に応じて互いに逆方向に旋回させ、同時に逆方向に揺動させることで、ベルトの蛇行を効果的に修正することができる。
【0016】
さらに、本発明においては、搬送ローラが、ベルトの幅方向両端部側それぞれに互いに向き合うように傾斜させて配置した一対のキャリヤローラで、この一対のキャリヤローラそれぞれを単独のローラスタンドで支持し、かつ、一対のキャリヤローラそれぞれのローラスタンドにスタンド揺動機構を付設した構造とすることができる。
【0017】
さらに、本発明においては、搬送ローラが、ベルトのリターン部分を保持して搬送するリターンローラである構造とすることができる。
【0018】
また、スタンド揺動機構は、ローラスタンドの旋回力で互いに当接した状態で旋回方向と交差する方向に相対移動して前記ローラスタンドを揺動させる上下二部材であって、スタンド支持体側の定位置に設置された下部揺動部材と、ローラスタンドに一体に設置されてローラスタンドの旋回で下部揺動部材に対して相対移動する上部揺動部材を備えた機構とすることができる。
【0019】
ここでのスタンド揺動機構は、下部揺動部材と上部揺動部材の一方が、ローラスタンドの旋回方向と交差する方向に傾斜するガイド面であり、他方がガイド面に沿って転動する倣いローラとすることができる。また、下部揺動部材と上部揺動部材の両方が、ローラスタンドの旋回方向と交差する方向に傾斜するガイド面で、両方のガイド面を互いに摺接容易に接合させた構造とすることもできる。このような下部揺動部材と上部揺動部材は、シリンダなどの特別な揺動用動力源を使用しないので安価に構成でき、かつ、ローラスタンドを旋回と共に常に安定して揺動させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のベルトコンベヤ蛇行修正装置によれば、搬送ローラを支持するローラスタンドが、ベルトの蛇行時に旋回して蛇行修正すると共に、旋回と同時進行的にローラスタンドが上下揺動して、この揺動でもベルトの蛇行を修正するので、ベルト蛇行の修正が二段階的に行われ、常に安定した高い機能でベルトの蛇行修正を行い、蛇行修正の信頼性が増すという優れた効果を奏し得る。特に、バラ物を積載して搬送するベルトコンベヤにおいて、搬送されるベルトが幅広重量物であっても、これの蛇行を確実性よく修正するこができ、実質的なベルト蛇行補正の機能向上化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の各種の実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
【0022】
図1〜図5は、第一の実施の形態のベルトコンベヤ蛇行修正装置を示す。同図の蛇行修正装置は、蛇行修正用搬送ローラがベルト幅方向に連続して並ぶ3体のキャリアローラ15a〜15cに適用する。3体のキャリアローラ15a〜15cは、ベルト1の幅方向中央部を保持する中部キャリヤローラ15aと、ベルト1の幅方向両端部を幅方向両端に向け仰角で傾斜させて保持する一対の端部キャリヤローラ15b、15cである。各キャリヤローラ15a〜15cは、独立した3体のローラスタンド13a〜13cに回転可能に支持され、3体の各ローラスタンド13a〜13cが水平なスタンド支持体12上にベルト搬送方向と平行な水平方向に正逆旋回可能に設置される。3体の各ローラスタンド13a〜13cは、それぞれ1軸の旋回軸21a〜21cで共通のスタンド支持体12に連結され、それぞれ旋回軸21a〜21cの中心線を中心に水平方向に正逆旋回する。
【0023】
中部キャリヤローラ15aは、対応する逆門形フレームの中部ローラスタンド13aに水平に支持される。中部ローラスタンド13aの下面の中央部に1軸の中部旋回軸21aが連結される。中部旋回軸21aがスタンド支持体12の中央部に連結されて、中部ローラスタンド13aがスタンド支持体12の中央部上でベルト幅方向中央部のベルト面に沿って水平方向に正逆旋回する。一対の端部ローラスタンド13b、13cは同一構造で、ベルト幅方向両端側に向けて所定の仰角(トラフ角)で傾斜させてスタンド支持体12の両端部上に設置される。各端部ローラスタンド13b、13cの下面の最も下位に傾斜した内側端部に1軸ずつの端部旋回軸21b、21cが連結される。この両側の端部旋回軸21b、21cがスタンド支持体12に連結されて、一対の端部ローラスタンド13b、13cそれぞれがスタンド支持体12の両端部上でベルト幅方向両端部の傾斜面に沿って水平方向に正逆旋回する。
【0024】
また、3体のローラスタンド13a〜13cの各旋回軸21a〜21cに、任意の旋回軸の回転力を他の旋回軸に伝達する回転力伝達機構40が連接される。回転力伝達機構40は、例えば図1及び図4に示すような平行リンク機構で、各旋回軸21a〜21cの下端部から軸半径方向に延びる3本平行な横リンク42と、この横リンク42の先端部に枢着された縦リンク41を備える。縦リンク41は、スタンド支持体12の長さ方向に平行である。この長さ方向は、3軸の旋回軸21a〜21cの並び方向と平行である。縦リンク41に長さ方向に外力を作用させると、3本平行な横リンク42が同時に同方向、同速度で回転して、対応する3軸の旋回軸21a〜21cが同時に同方向、同速度で回転する。
【0025】
図1の実施の形態は、図10と同様な一対のガイドローラ18a、18bでベルト1の蛇行を検知し、ベルト1の蛇行力で3体のローラスタンド13a〜13cを正逆旋回させる。一対のガイドローラ18a、18bは、図2及び図3に示すように、一対の端部ローラスタンド13b、13cの外側端面に連結されたアーム17の先端部に枢着される。一対のガイドローラ18a、18bは、端部ローラスタンド13b、13cよりベルト搬送方向Xで上流側に配置される。各ガイドローラ18a、18bの間隔は、ベルト幅より少し大き目に設定され、ベルト1が左右いずれかの方向に蛇行すると一対のガイドローラ18a、18bのいずれかに当接するようにしてある。
【0026】
以上の実施の形態は、左右一対の端部ローラスタンド13b、13cそれぞれを対応する端部旋回軸21b、21cの上端部にヒンジ22を介して連結し、各ローラスタンド13b、13cを対応するヒンジ22を支点にスタンド旋回方向と直交する上下方向に揺動させるスタンド揺動機構30を具備することを特徴とする。各端部ローラスタンド13b、13cは、対応する端部旋回軸21b、21cの中心線を中心として水平方向に旋回揺動すると共に、このときの旋回力で旋回しながらヒンジ22を支点にトラフ角方向の上下方向に揺動する。左右一対の各スタンド揺動機構30は、スタンド支持体12の左右両端部上の所定の高さに設置された下部揺動部材31と、左右一対の端部ローラスタンド13b、13cの下面中央部に固定された上部揺動部材32を備える。
【0027】
下部揺動部材31と上部揺動部材32は、互いに当接した状態でスタンド旋回方向と交差する方向に相対移動して対応するローラスタンド13b、13cを揺動させる。図5(B)に示す下部揺動部材31は、スタンド支持体12上に突設された支柱33に回転自在に枢着された倣いローラで、以下、必要に応じ倣いローラ31と称する。上部揺動部材32は、倣いローラ31が常時当接するガイド面で、以下、必要に応じガイド面32と称する。ガイド面32は、ローラスタンド13b、13cの下面に固定したガイド板34の下面で形成される。下向きのガイド面32は。スタンド旋回方向と所定の角度θで交差する方向に傾斜する。
【0028】
ベルト1の蛇行量が許容値内にあるとき、ガイド面32の中央部が倣いローラ31に当接して支持される。ベルト1が許容値を超える蛇行をして、端部ローラスタンド13b、13cのいずれかが正逆旋回すると、図5(A)(B)に示すように、傾斜したガイド面32が定位置の倣いローラ31を転動させながら移動して、対応する端部ローラスタンド13b、13cを上下いずれかに揺動させる。このようなスタンド揺動機構30は、傾斜させた端部ローラスタンド13b、13cの姿勢を安定したものにし、端部ローラスタンド13b、13cの水平方向旋回や上下揺動を安定したものにする。
【0029】
以上の実施の形態のコンベヤ蛇行修正装置は、搬送されるベルト1が蛇行せず、蛇行しても許容値以下の場合は、一対のガイドローラ18a、18bが変位せず、3体のキャリヤローラ15a〜15cはいずれも旋回せず、図4の破線で示すように平面視で直列状態にある。この3体のキャリヤローラ15a〜15cで、ベルト1が図4の矢印方向Xに搬送される。ベルト1が、図4で例えば右方に許容値を超えて蛇行すると、図4で右側のガイドローラ18bがベルト1の右側辺で押されて変位し、対応する端部ローラスタンド13cに図4で反時計方向に旋回力を付与する。この付与で右側端部ローラスタンド13cが旋回軸21の中心線を中心にして反時計方向に旋回して、右方に蛇行しようとするベルト1を左方に移動させるように蛇行修正動作をする。同時に、図4で右側の端部ローラスタンド13cの1軸の旋回軸21cの回転力が回転力伝達機構40を介して他のローラスタンド13a、13bの各旋回軸21a、21bに伝達されて、旋回軸21cと同期して同方向、同速度で回転する。その結果、中部ローラスタンド13aと端部ローラスタンド13bのキャリヤローラ15a、15bが、図4の実線で示すように端部ローラスタンド13cのキャリヤローラ15cと同時に同方向、同速度で旋回して、それぞれが独自にベルト1の蛇行修正動作をする。この3体のキャリヤローラ15a〜15cがベルト1の中央部と両端部の異なる部分で同時に旋回して、それぞれが独自に蛇行修正動作をすることで、蛇行修正が常に安定した高い機能で行うことができる。特に、中部ローラスタンド13aには、ベルト1の幅方向中央部が重くのしかかっているため、中部ローラスタンド13aが旋回することでベルト1の中央部の蛇行修正が直接的にして効果的に行われる。
【0030】
また、3体の各キャリヤローラ15a〜15cが同時に同方向に旋回するとき、図5(A)(B)に示すように左右一対の端部ローラスタンド13b、13cとその端部キャリヤローラ15b、15cが水平方向に旋回しながら上下揺動する。ベルト1が蛇行する方向にある図4で右側の端部キャリヤローラ15cは、旋回しながら上昇する揺動をして、右方に蛇行しようとするベルト1を左方へと積極的に移動させ、旋回する端部キャリヤローラ15cによるベルト蛇行修正動作を助勢する。また、ベルト1が蛇行する方向と反対側にある図4で左側の端部ローラスタンド13bとそのキャリヤローラ15bは、旋回しながら下降する揺動をして、左方へと蛇行修正されるベルト1の左方への移動をし易いものにし、旋回する端部キャリヤローラ15bによるベルト蛇行修正動作を助勢する。
【0031】
ベルト1の蛇行が修正されると、3体の各ローラスタンド13a〜13cとそのキャリヤローラ15a〜15cは、旋回前及び上下揺動前の元の状態に自動復帰する。この自動復帰は、図示しない復帰用ばね材を介して行うことができる。
【0032】
図6(A)(B)は、スタンド揺動機構30の変形例を示す。図6(A)は、下部揺動部材31を傾斜させた固定式ガイド面とし、上部揺動部材32を倣いローラとしている。この場合、ガイド面を倣いローラが転動して、対応するローラスタンドを旋回時に揺動させる。図6(B)は、図6(A)の固定式ガイド面を円弧状にしている。この円弧状ガイド面は、ベルトの蛇行方向にあるローラスタンドをその旋回量に比例させて揺動させ、ベルトの蛇行修正を効果的に行う。
【0033】
次に、他の実施の形態を、図7〜図9に基づき順に説明する。
【0034】
図7の実施の形態に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置は、ガイドローラなどの接触式ベルト検知手段を使用しないでベルトの蛇行を自動で検出し、各キャリヤローラ15a〜15cをモータなどの駆動源60を利用して強制的に旋回させるものに適用している。同図の蛇行修正装置は、3体のキャリヤローラ15a〜15cで搬送されるベルト1の蛇行の方向と蛇行量を検出して電気信号を出力するセンサー機構50と、センサー機構50からの出力信号を演算処理する駆動制御回路61と、駆動制御回路61で演算処理された出力信号に基づいて回転力伝達機構40を駆動する駆動源60を備える。図7に示す駆動源60は正逆回転式電動モータで、回転力伝達機構40の縦リンク41に連結された操作リンク43を縦リンク41と平行な方向に往復駆動させる。
【0035】
センサー機構50は、ベルト1の幅方向両端の側辺の真上に、側辺と直交する方向で固定された一対のセンサー支持体51と、センサー支持体51をスタンド支持体12に固定する支柱52を備える。左右一対のセンサー支持体51のそれぞれは、下面に投光素子と受光素子を組み合わせた複数の光学センサー53を所定間隔で一列に有する。各センサー支持体51は、3体のキャリヤローラ15a〜15cより上流側にあるベルト1の両側辺の真上の定位置に設置される。各センサー支持体51の光学センサー53は、ベルト1の側辺の内外近傍に向けて投光して、ベルト1からの反射光を受光することでベルト有りを検出し、反射光を受光しないことでベルト無しを検出する。左右一対のセンサー支持体51における複数の光学センサー53からのベルト有無の検出信号を演算することで、ベルト1が左右いずれの方向に蛇行したかが検知され、蛇行量が検出される。
【0036】
駆動制御回路61はセンサー機構50からのベルト蛇行の検出信号を演算して、ベルト1が蛇行して修正が必要な場合に、ベルト1を修正するように電動モータ60に正逆いずれかの回転方向指令信号と、回転数信号を出力して電動モータ60を作動させる。電動モータ60の作動で、回転力伝達機構40の縦リンク41が左右いずれかの方向に駆動制御され、3軸の旋回軸21a〜21cが正逆いずれかの方向に回転駆動する。3体のキャリヤローラ15a〜15cが正逆いずれかの方向に旋回し、両端のキャリヤローラ15b、15cがそれぞれのスタンド揺動機構30により上下揺動して、ベルト1の蛇行が強制的に修正される。
【0037】
図8の実施の形態に示されるベルトコンベヤ蛇行修正装置は、図10の蛇行修正装置に適用したもので、図10と同一または相当部分には同一符号を付して、説明の重複を避ける。図8の蛇行修正装置は、旋回軸4の上端部にローラスタンド3の中央部をヒンジ22で回転自在に連結し、かつ、ローラスタンド3の両端部それぞれにスタンド揺動機構30を設置したことを特徴とする。
【0038】
図8の蛇行修正装置の場合、ベルト1がベルト幅方向の例えば図8で右方に蛇行して、右方のガイドローラ8bに当接すると、ローラスタンド3が旋回する。このとき、図8で右側のスタンド揺動機構30がローラスタンド3の右側端部を上方に揺動させ、左側のスタンド揺動機構30がローラスタンド3の左側端部を下方に揺動させる。このローラスタンド3の旋回と左右両端部の互いに逆方向の揺動で、ベルト1の蛇行が効果的に修正される。
【0039】
図9に示す実施の形態のベルトコンベヤ蛇行修正装置は、図12のリターンローラ5’に適用したものである。この場合も図12と同一又は相当部分には同一符号を付して、説明の重複を避ける。図9の蛇行修正装置は、旋回軸4’の上端部にローラスタンド3’の中央部をヒンジ22で回転自在に連結し、かつ、ローラスタンド3’の両端部それぞれにスタンド揺動機構30を設置したことを特徴とする。
【0040】
図9の蛇行修正装置の場合、リターンベルト1’がベルト幅方向の例えば図9で右方に蛇行して、右方のガイドローラ8’bに当接すると、ローラスタンド3’がリターンベルト1’の蛇行を修正する方向(図13で時計方向)に旋回する。同時進行的に図9で右側のスタンド揺動機構30がローラスタンド3’の右側端部を上方に揺動させ、左側のスタンド揺動機構30がローラスタンド3’の左側端部を下方に揺動させる。このローラスタンド3’とリターンローラ5’の旋回と左右両端部の互いに逆方向の揺動で、ベルト1の蛇行が効果的に修正される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図2】図1装置の側面図である。
【図3】図1装置におけるガイドローラ部分の側面図である。
【図4】図1装置における要部の平面図である。
【図5】(A)は図1装置におけるスタンド揺動機構の動作時の正面図、(B)はその側面図である。
【図6】(A)(B)は、スタンド揺動機構の他の変形例を示す側面図である。
【図7】他の実施の形態を示すベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図8】他の実施の形態を示すベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図9】他の実施の形態を示すベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図10】従来のベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図11】図10装置の要部の平面図である。
【図12】従来の他のベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図13】図12装置の要部の平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ベルト
1’ リターンベルト
2 スタンド支持体
3 ローラスタンド
4 旋回軸
5’ リターンローラ
5a〜5c キャリヤローラ
12 スタンド支持体
13a〜13c ローラスタンド
15 搬送ローラ
15a〜15c キャリヤローラ
21a〜21c 旋回軸
22 ヒンジ
30 スタンド揺動機構
31 下部揺動部材、倣いローラ
32 上部揺動部材、ガイド面
40 回転力伝達機構
41 縦リンク
42 横リンク
43 操作リンク
50 センサー機構
53 光学センサー
60 電動モータ
X ベルト搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転可能に支持するローラスタンドと、前記ローラスタンドに旋回軸で連結され、前記旋回軸を支点に前記ローラスタンドをベルト搬送面に平行な前後方向に正逆旋回可能に支持するスタンド支持体と、前記旋回軸に前記ローラスタンドを、当該ローラスタンドの旋回方向と直交する上下方向に往復揺動可能に連結するヒンジと、前記ローラスタンドを前記ヒンジを支点に揺動させるスタンド揺動機構とを具備し、
前記ベルトの蛇行に対応させて前記ローラスタンドを旋回および揺動させることを特徴とするベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項2】
前記ローラスタンドのベルト幅方向で中央部に前記旋回軸を設置し、両端部それぞれに前記スタンド揺動機構を設置したことを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項3】
前記ローラスタンドのベルト幅方向で一方の片端部に前記旋回軸を設置し、他方の片端部に前記スタンド揺動機構を設置したことを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項4】
前記搬送ローラが、前記ベルトの幅方向両端部側それぞれに互いに向き合うように傾斜させて配置した一対のキャリヤローラで、この一対のキャリヤローラそれぞれを単独の前記ローラスタンドで支持し、かつ、一対のキャリヤローラそれぞれの前記ローラスタンドに前記スタンド揺動機構を付設したことを特徴とする請求項3に記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項5】
前記搬送ローラが、前記ベルトのリターン部分を保持して搬送するリターンローラであることを特徴とする請求項2または3に記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項6】
前記スタンド揺動機構は、前記ローラスタンドの旋回力で互いに当接した状態で前記旋回方向と交差する方向に相対移動して前記ローラスタンドを揺動させる上下二部材であって、前記スタンド支持体側の定位置に設置された下部揺動部材と、前記ローラスタンドに一体に設置されてローラスタンドの旋回で前記下部揺動部材に対して相対移動する上部揺動部材を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項7】
前記下部揺動部材と上部揺動部材の一方が、前記ローラスタンドの旋回方向と交差する方向に傾斜するガイド面であり、他方が前記ガイド面に沿って転動する倣いローラであることを特徴とする請求項6に記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−94546(P2008−94546A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277977(P2006−277977)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(504385982)株式会社JRC (17)
【Fターム(参考)】