説明

ベルト式無段変速機

【課題】トルク伝達に伴うベルト4の滑りを抑制もしくは防止することができるとともに、ベルト4を挟持するための推力を減少させることができるベルト式無段変速機を提供する。
【解決手段】互いに対向する円錐状のプーリ面9a,10aを有する一対のプーリ3と、それらプーリ3に巻き掛けられトルクを伝達するベルト4とを有するベルト式無段変速機において、プーリ3は、プーリ面9a,10aにおける内周部の摩擦係数が外周部の摩擦係数より小さく形成され、摩擦係数の小さい部分のプーリ3の回転軸線に対する法線とプーリ面9a,10aとがなすプーリ角度α1が摩擦係数が大きい部分のプーリ角度α2より大きく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一対のプーリと、それらのプーリに巻き掛けられたベルトとで構成されたベルト式無段変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動力源からトルクが伝達されて回転するプライマリープーリと、そのプライマリープーリからトルクが伝達されて回転するセカンダリープーリと、それら各プーリに巻き掛けられてトルクを伝達するベルトとで構成されたベルト式無段変速機が知られている。また、それらのプーリは、回転軸と一体に回転する固定シーブと、その固定シーブと対向して配置され回転軸の軸線方向に移動することができるように保持された可動シーブとで構成されており、各シーブが互いに対向している面(以下、プーリ面と記す。)を円錐状に形成し、そのプーリ面とベルトの側面との摩擦力によってトルクを伝達するように構成されている。さらに、可動シーブを固定シーブ側に移動させてベルトを挟みつける溝幅を変化させることによって、変速比を連続的に変化させるように構成されている。
【0003】
上述したように構成されたベルト式無段変速機は、ベルトとプーリ面との摩擦力を得るためあるいはベルトとプーリ面との滑りを抑制もしくは防止するために可動シーブを軸線方向に押圧する推力を付与するように構成されている。すなわち、ベルトとプーリ面との摩擦係数と推力とに基づいて得られる摩擦力によって伝達するトルク容量を定め、プーリ面の円周方向にベルトが滑ることを抑制もしくは防止するように構成されている。一方、ベルトとプーリ面との摩擦力が増大するとベルトもしくはプーリ面が摩耗し耐久性が低下してしまう可能性があるので、特許文献1には、変速比が大きいときにベルトと接触するプーリ面にのみショットピーニング処理を施すことにより、プーリ面の摩擦係数を大きくし、かつプーリ面の耐摩耗性を向上させるように構成されている。
【0004】
また、特許文献2には、プーリに巻き掛けられたベルトの芯ずれによるベルトとプーリとの過度な摩耗を抑制するために、ベルトの巻き掛け半径に応じてプーリ面のテーパ角度が徐々に変化するように構成されたプーリが記載されている。さらに、特許文献3には、ベルトとプーリ面との接触による騒音を抑制するために、プーリ面の半径方向における中間部のみ、ベルトの側面のテーパ角度より大きく設定するように構成されたプーリが記載されている。そして、特許文献4には、固定シーブと可動シーブとのテーパ角度を異ならせるように構成されたプーリが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−065651号公報
【特許文献2】特開2002−031215号公報
【特許文献3】特開2001−355686号公報
【特許文献4】特開2002−013603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載されたベルト式無段変速機のように、プーリ面の一部にショットピーニング処理を施すことにより、ベルトとプーリ面との摩擦による耐久性の低下を抑制もしくは防止することができる。しかしながら、ショットピーニング処理を施しているプーリ面とベルトとが接触するときの変速比における推力に対して、ショットピーニング処理を施していないプーリ面とベルトとが接触するときの変速比おける推力が相対的に大きくなるので、その推力を得るための動力損失が増大してしまう可能性がある。また、変速比が連続的に変化することに伴い、ショットピーニング処理を施しているプーリ面と施していないプーリ面とをベルトが往来することとなり、推力を算出するための摩擦係数が変化することによって演算が煩雑となる可能性がある。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、トルク伝達に伴うベルトの滑りを抑制もしくは防止することができるとともに、ベルトを挟持するための推力を減少させることができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、互いに対向する円錐状のプーリ面を有する一対のプーリと、それらプーリに巻き掛けられトルクを伝達するベルトとを有し、前記互いに対向するプーリ面によって形成されたプーリ溝の溝幅を変化させて前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることによって変速比を変化させるように構成されたベルト式無段変速機において、前記プーリは、前記プーリ面における内周部の摩擦係数が外周部の摩擦係数より小さく形成され、該摩擦係数の小さい部分の前記プーリの半径方向に沿う面と前記プーリ面とがなすプーリ角度が前記摩擦係数が大きい部分のプーリ角度より大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ベルトが前記プーリの内周部と接触している場合の摩擦力と、外周部と接触している場合の摩擦力とを一定とするときの前記プーリへ作用させる推力が一定となるように、前記プーリ面の内周部と外周部との摩擦係数に応じて前記プーリ角度が形成されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0010】
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記摩擦係数が小さい部分と前記摩擦係数が大きい部分との境界位置で前記ベルトが継続的に接触する場合に前記変速比を変化させて、前記ベルトが前記摩擦係数が小さい部分と前記摩擦係数が大きい部分とのいずれか一方の部分と接触するように構成されていることを特徴とするベルト式無段変速機である。
【0011】
そして、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記ベルトは、前記プーリとの間に潤滑油を介在させずにトルクを伝達する乾式ベルトを含むことを特徴とするベルト式無段変速機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ベルトと接触するプーリ面の内周部の摩擦係数が外周部の摩擦係数より小さく形成されている。そのため、ベルトがプーリ面の内周部と接触している状態から外周部と接触する状態へ変化させる際に必要とする推力を小さくすることができる。また、摩擦係数の小さい部分のプーリの回転軸線に対する法線とプーリ面とがなすプーリ角度が摩擦係数が大きい部分のプーリ角度より大きく形成されているので、ベルトがプーリ面の内周部と接触している状態での、プーリの円周方向にベルトが滑ることを抑制する推力を小さくすることができる。さらに、ベルトがプーリ面の内周部と接触している状態から外周部と接触する状態へ変化させる際に要する推力を更に小さくすることができる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、ベルトがプーリの内周部と接触している場合の摩擦力と、外周部と接触している場合の摩擦力とを一定とするときのプーリへ作用させる推力が一定となるように、プーリ面の内周部と外周部との摩擦係数に応じてプーリ角度が形成されている。そのため、ベルトと接触している部分の摩擦係数に影響されずに、プーリ面の円周方向へのベルトの滑りを抑制する推力を算出することができる。言い換えれば、ベルトを挟持するための推力の制御を簡素化することができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明によれば、摩擦係数が小さい部分と摩擦係数が大きい部分との境界位置でベルトが継続的に接触する場合に、ベルトが摩擦係数が小さい部分と摩擦係数が大きい部分とのいずれか一方の部分と接触するように構成されているので、ベルトが摩擦係数の異なる二つの面と接触することにより、ベルトの挙動が変化したりその挙動の変化による異音が生じたりすることを抑制もしくは防止することができる。
【0015】
そして、請求項4の発明によれば、ベルトは、プーリとの間に潤滑油を介在させずにトルクを伝達する乾式ベルトを含むので、ベルトとプーリとの摩擦係数を大きくすることができ、その結果、ベルトとプーリとの摩擦力を得るための推力を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係るベルト式無段変速機のプーリの形状を説明するための概略図である。
【図2】そのベルト式無段変速機が車両に搭載された例を説明するための断面図である。
【図3】プーリ面の摩擦係数を説明するための図である。
【図4】ベルトとプーリ面とが接触している状態を説明するための拡大図である。
【図5】この発明に係るベルト式無段変速機のプーリの他の形状を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎにこの発明に係るベルト式無段変速機の構成の一例を具体的に説明する。図2は、車両に搭載されたベルト式無段変速機1の一例を模式的に示したものである。図に示すベルト式無段変速機1は、図示しないエンジンなどの動力源からトルクが伝達されて駆動するプライマリープーリ2と、そのプライマリープーリ2からトルクが伝達されて、図示しない車輪やギヤトレーン部などにトルクを出力するセカンダリープーリ3と、それらのプーリ2,3に巻き掛けられてトルクを伝達するベルト4とで構成されている。また、プライマリープーリ2は、このベルト式無段変速機1の入力軸5と一体に回転するように構成された固定シーブ6と、その固定シーブ6に対向して配置され、入力軸5の軸線方向に移動できるように保持された可動シーブ7とで構成されており、それらのシーブ6,7が互いに対向する面(以下、単にプーリ面6a,7aと記す。)にベルト4が摩擦接触してトルクを伝達するように構成されている。さらに、セカンダリープーリ3は、上記のプライマリープーリ2と同様に構成されており、このベルト式無段変速機1の出力軸8と一体に回転するように構成された固定シーブ9と、その固定シーブ9に対向して配置され、出力軸8の軸線方向に移動できるように保持された可動シーブ10とで構成されており、それらのシーブ9,10が互いに対向する面(以下、単にプーリ面9a,10aと記す。)にベルト4が摩擦接触してトルクを伝達するように構成されている。
【0018】
詳細は図示しないが、ベルト4は、一例として非金属製複合ベルト4であり、非金属製複合ベルト4は、プーリ2,3に巻き掛かる際に各プーリ面6a,7a(9a,10a)同士の隙間(以下、単にベルト溝と記す。)に当接するとともに、ベルト溝の溝表面から受ける圧力に対抗する多数のブロックと、それら多数のブロックを環状に保持するための内部に心線が埋没された環状のバンドとを備えている。
【0019】
ブロックは、例えば鋼やアルミ合金などの金属製の板片状の部材に樹脂等をコーティングすることにより形成されている。あるいは、高強度の合成樹脂等を材料として樹脂製のバンドに一体に形成することもできる。そして、ブロックのベルト幅方向における左右の側面が傾斜面とされていて、各プーリ面6a,7a,9a,10aに当接するようになっている。なお、非金属製複合ベルト4は、プーリ面6a,7a,9a,10aとの摩擦係数が大きくなるように構成されており、したがって、ベルト4と各プーリ面6a,7a,9a,10aとの接触部には、潤滑油などを供給せずにトルク伝達するように構成されている。
【0020】
また、それぞれの可動シーブ7,10の背面、すなわちプーリ面7a.10aとは反対側の面には、図示しない油圧アクチュエータが付設され、その油圧アクチュエータの油圧もしくは油量を増減させることによって、可動シーブ7,10を回転軸線に沿って移動させるように構成されている。すなわち、一方のプーリ2(3)に付設した油圧アクチュエータの油圧もしくは油量を増減させることによって、ベルト溝の幅を変化させて変速比を変化させ、他方のプーリ3(2)に付設した油圧アクチュエータの油圧もしくは油量を増減させてベルト4を挟み付ける挟圧力を変化させてトルク容量を変化させるように構成されている。
【0021】
さらに、図に示すベルト式無段変速機1は、変速速度を向上させるため、もしくはベルト式無段変速機1が停止している状態であっても、変速比を最大変速比へ変化させることができるように、図3に示すようにセカンダリープーリ3の内周部の摩擦係数が小さく形成されている。すなわち、セカンダリープーリ3の内周部のプーリ面9a,10aの表面粗さを小さくしたり、プーリ面9a,10aの表面に摩擦係数の小さい樹脂材料などの皮膜を塗布したりすることによって、プーリ面9a,10aの内周部の摩擦係数が外周部の摩擦係数より小さく形成されている。
【0022】
このようにプーリ面9a,10aにおける内周部の摩擦係数を小さくすることによって、変速比を増大させる方向へ変化させやすくなり、すなわち変速比を増大させる方向への変速速度を速くすることができ、またベルト式無段変速機1が停止している状態であっても過剰な推力を付与することなく変速比を増大させることができる。
【0023】
一方、ベルト式無段変速機1は、プーリ面9a,10aとベルト4とが摩擦接触してトルクが伝達されるように構成されている。式(1)は、ベルト4がプーリ面9a,10aの円周方向に滑ることを抑制する際に必要とされる推力を算出するための演算式である。
F=(KTcosα)/(2μR)・・・(1)
なお、式(1)に示すKは安全率、Tは伝達するトルク、αはプーリ3の半径方向に沿う面とプーリ面9a,10aとがなす角度(以下、単にプーリ角度と記す。)、μはベルト4とプーリ面9a,10aとの摩擦係数、Rはベルト掛かり径を示している。
【0024】
式(1)に示すようにベルト4とプーリ面9a,10aとの摩擦係数が低いと、ベルト4がプーリ面9a,10aの円周方向に滑ることを抑制もしくは防止するための推力が増大してしまう。そのため、プーリ3に付与する推力を増大させること、すなわち油圧アクチュエータの油圧を高くすることとなり、動力損失が増大してしまう可能性がある。したがって、この発明に係るベルト式無段変速機1は、図1に示すようにプーリ面9a,10aにおける内周側のプーリ角度α1を外周側のプーリ角度α2より大きく形成し、そのプーリ角度が変化する境界位置γcが、図3に示す摩擦係数が変化する境界位置γcと同一となるように構成されている。
【0025】
上述したようにプーリ面9a,10aにおける内周側のプーリ角度α1が外周側のプーリ角度α2より大きく形成されているので、内周側でベルト4を挟持している状態での、ベルト4がプーリ面9a,10aの円周方向に滑ることを抑制もしくは防止するための推力を小さくすることができる。すなわち、プーリ角度α1,α2は90°以下となり、プーリ角度α1,α2の増大に伴って上記の式(1)における(cosα)が小さくなるので、プーリ面9a,10aの円周方向にベルト4が滑ることを抑制するために必要とされる推力を小さくすることができる。
【0026】
また、プーリ面9a,10aにおける内周側の部分でベルト4を挟持している状態と外周側の部分でベルト4を挟持している状態とでは摩擦係数が異なっているので、ベルト4がプーリ面9a,10aの円周方向に滑ることを抑制するための推力の制御が煩雑となってしまう。そのため、図に示すベルト式無段変速機1は、上記のプーリ角度α1,α2を式(2)となるように定めている。
cosα1/μ1=cosα2/μ2・・・(2)
なお、式(2)で示すμ1はプーリ面9a,10aにおける内周側の摩擦係数、μ2はプーリ面9a,10aにおける外周側の摩擦係数を示している。
【0027】
このようにプーリ角度α1,α2を定めることによって、必要とされる推力を算出するための制御が簡素化することができる。すなわち、上記の式(1)で示す(cosα/μ)を定数項として演算することができるので、制御を簡素化することができる。
【0028】
なお、プーリ面9a,10aからベルト4が半径方向に受ける力(変速力)、すなわち、プーリ面9a,10aの外周側にベルト4が受ける力は、(Ftan(α+β))となる。なお、βは(arctan(−μ))である。したがって、プーリ面9a,10aの内周側でベルト4を挟持している状態では、プーリ角度α1を大きくすることにより変速力が大きくなる。一方、プーリ面9a,10aの内周側の摩擦力μ1は小さいので、変速力を低下させる力が小さくなる。したがって、プーリ面9a,10aの内周側の部分は、変速力が大きくなりやすい構成となっているので、その結果、ベルト4を半径方向に移動させるための推力を低下させることができる。
【0029】
また、ベルト4の両側壁面の傾斜角度は、プーリ面9a,10aの外周側のプーリ角度α2に沿うように構成することが好ましい。これは、変速比が大きい場合ではセカンダリープーリ3に入力されるトルクが大きいので、ベルト4の側面とプーリ面9a,10aとが面接触するように構成し、ベルト4およびプーリ面9a,10aの面圧を低下させることによって、ベルト4およびプーリ面9a,10aの耐久性の低下を抑制もしくは防止するためである。
【0030】
そして、この発明に係るベルト式無段変速機1は、上述したようにプーリ角度α1,α2が異なるプーリ面9a,10aを有しているので、ベルト4が、プーリ面9a,10aにおける摩擦係数が大きい部分と小さい部分との双方と接触してしまう可能性がある。すなわち、ベルト4は各シーブ9,10に挟まれているので、ベルト4の内周部分、すなわち図に示す下方部が少なからず変形して、プーリ面9a,10aにおける摩擦係数が大きい部分と小さい部分との双方と接触してしまう可能性がある。そのため、この発明に係るベルト式無段変速機1は、ベルト4がプーリ面9a,10aにおける内周部と外周部との双方に接触する位置での変速比で、継続的に走行しないように構成されている。具体的に説明すると、図4に示すようにベルト4がプーリ面9a,10aにおける内周部と外周部との双方に接触する位置での変速比で、車両が走行する場合には、変速比を増減させて内周部と外周部とのいずれか一方の面9a(10a)と接触する変速比に変化させるように構成されいる。
【0031】
このように構成することによってプーリ面9a,10aにおける内周部と外周部との双方にベルト4が接触すること、あるいは双方の面を交互に接触することにより、ベルト4の挙動が不安定となり、その結果、異音などの発生もしくは異音の増大を抑制もしくは防止することができる。
【0032】
なお、この発明に係るベルト式無段変速機1は、要は、異なる摩擦係数を有するプーリ面9a,10aのプーリ角度α1,α2を変化させるように構成されていればよく、図1に示す構成のようにプーリ角度α1,α2の境界位置γcが屈曲して構成されたものであってもよく、図5に示すように境界位置γcを湾曲させて構成してもよい。また、上述した構成では、非金属製複合ベルト4を利用した構成を例に挙げたが、金属製のベルトを利用し、ベルトと各プーリ面とに潤滑油などの供給しながらトルクを伝達するように構成されたベルト式無段変速機であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…ベルト式無段変速機、 2…プライマリープーリ、 3…セカンダリープーリ、 4…ベルト、 6a,7a,9a,10a…プーリ面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する円錐状のプーリ面を有する一対のプーリと、それらプーリに巻き掛けられトルクを伝達するベルトとを有し、前記互いに対向するプーリ面によって形成されたプーリ溝の溝幅を変化させて前記ベルトの巻き掛け半径を変化させることによって変速比を変化させるように構成されたベルト式無段変速機において、
前記プーリは、前記プーリ面における内周部の摩擦係数が外周部の摩擦係数より小さく形成され、該摩擦係数の小さい部分の前記プーリの半径方向に沿う面と前記プーリ面とがなすプーリ角度が前記摩擦係数が大きい部分のプーリ角度より大きく形成されていることを特徴とするベルト式無段変速機。
【請求項2】
前記ベルトが前記プーリの内周部と接触している場合の摩擦力と、外周部と接触している場合の摩擦力とを一定とするときの前記プーリへ作用させる推力が一定となるように、前記プーリ面の内周部と外周部との摩擦係数に応じて前記プーリ角度が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項3】
前記摩擦係数が小さい部分と前記摩擦係数が大きい部分との境界位置で前記ベルトが継続的に接触する場合に前記変速比を変化させて、前記ベルトが前記摩擦係数が小さい部分と前記摩擦係数が大きい部分とのいずれか一方の部分と接触するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。
【請求項4】
前記ベルトは、前記プーリとの間に潤滑油を介在させずにトルクを伝達する乾式ベルトを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のベルト式無段変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219969(P2012−219969A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89000(P2011−89000)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】