説明

ベルト管状体、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】ベルトの寿命低下を招くことなく長期に亘って、片寄り走行や蛇行を防止することが可能なベルト管状体、及び該ベルト管状体を用い、信頼性が高く、小型化が可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】無端状のベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の縁部に沿って、長手方向の両端部を離間して配設された蛇行防止ガイドと、を有してなり、前記蛇行防止ガイドの長手方向の一端が、幅方向に対して垂直な方向で且つ前記長手方向に平行な方向に突出すると共に、幅方向の両端は前記突出の先端に向かって先細り形状となる凸部を有し、且つ、他端が該凸部と対応する凹部を有することを特徴とするベルト管状体、及び該ベルト管状体を備えることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト管状体、及びそれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置としては、例えば、中間転写ベルトを使用した中間転写方式のカラー画像形成装置がある。これは、電子写真プロセス等によりトナー像が形成される像保持体(例えば感光体ドラム)の転写部で接触して回転するような中間転写ベルトを複数のベルト支持ロール間に張架して配設したものであり、その像保持体上に形成される複数のトナー像を一旦中間転写ベルトの同じ位置に重ねあわせるように一次転写した後、その中間転写ベルト上に転写されたトナー像を用紙に一括して転写するものである。そして、用紙上に転写された多重のトナー像は、その後定着装置により定着されてカラー画像となる。
【0003】
この他、ベルト管状体を備えた画像形成装置としては、複数の画像形成ユニットの転写部を通過させるように用紙を搬送する用紙搬送ベルトを使用した、いわゆるタンデムタイプのカラー画像形成装置もある。これは、各色成分のトナー像を個々に形成するため画像形成ユニットを複数並べて配置し、その各画像形成ユニットの転写部で接触して回転するように用紙搬送ベルトを複数のベルト支持ロール間に張架して配設したものであり、その用紙搬送ベルトに吸着した用紙を各画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送することにより、各画像形成ユニットで形成される各トナー像を同じ用紙に順次重ねあわせるように転写し、最後に定着させてカラー画像とするものである。
【0004】
ところで、このような中間転写ベルトや用紙搬送ベルト等のベルト管状体を使用したカラー画像形成装置では、そのベルト管状体を張架支持する複数のベルト支持ロールの回転軸の平行度やロール外径がばらつくことや、そのベルト管状体自体の周長変化により張力が不均一となること等が原因となって、ベルト管状体が直進走行せず、ベルト支持ロールの軸方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や蛇行が発生することがある。このため、そのベルト管状体に直接又はベルト管状体により搬送される用紙に順次転写される各トナー像の位置がずれてしまうことがあり、この場合には、最終的には用紙上に形成されるカラー画像に色ずれや色相変化等がおこる画像欠陥が発生するという不具合がある。
【0005】
この問題を解決する手段として、蛇行防止ガイドを備えたベルトが知られている。この蛇行防止ガイド付きベルトは、例えば、シームレスベルトの内周面の開口両端部側に、弾性帯体からなる蛇行防止ガイドが周方向に向けてそれぞれ接着され、各蛇行防止ガイドの両端面が突き合わせて接着されて構成されている。
このような蛇行防止ガイドは、ロール部分で繰り返し屈曲されると、蛇行防止ガイドの両端面、すなわち継目に応力が集中し、蛇行防止ガイドの剥がれが発生するおそれがある。画像形成装置の小サイズ化に伴い、小径のロールを用いる傾向にあり、更に、蛇行防止ガイドの両端面の継目に応力が集中する傾向にある。
このような問題を解消する手段としては、蛇行防止ガイドに補強材を設ける方法(例えば、特許文献1参照)、蛇行防止ガイドの継目に接着剤を設ける方法(例えば、特許文献1及び2参照)、継目のない蛇行防止ガイドを使用する方法が用いられる。
更に、相対向する両端面を周方向に対し所定の角度でそれぞれ斜めに形成する蛇行防止ガイドを用いることで、製造工程や部品点数の増加を招くことなく、蛇行防止ガイドの継目からの破断を簡易な方法で抑制する方法もある(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2002−167021号公報
【特許文献2】特許第3544192号公報
【特許文献3】特開2002−72768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、以下の内容を課題とする。
即ち、ベルトの寿命低下を招くことなく長期に亘って、片寄り走行や蛇行を防止することが可能なベルト管状体を提供することを課題とする。
更に、前記ベルト管状体を用い、信頼性が高く、小型化が可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。
即ち、本発明は、
<1> 無端状のベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の縁部に沿って、長手方向の両端部を離間して配設された蛇行防止ガイドと、を有してなり、
前記蛇行防止ガイドの長手方向の一端が、幅方向に対して垂直な方向で且つ前記長手方向に平行な方向に突出すると共に、幅方向の両端は前記突出の先端に向かって先細り形状となる凸部を有し、且つ、他端が該凸部と対応する凹部を有することを特徴とするベルト管状体である。
【0008】
<2> 像保持体と、該像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像保持体の表面に潜像を形成させる潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、を有し、前記各手段の少なくとも1つは、<1>に記載のベルト管状体と、該ベルト管状体を回転可能に支持する複数の支持ロールと、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
<3> 前記複数の支持ロールのうち少なくとも1つが、蛇行防止ガイドを沿わせるための溝を有することを特徴とする<2>に記載の画像形成装置である。
【0010】
<4> 前記ベルト管状体が、略鉛直方向に配置された複数のユニットに接するように備えられていることを特徴とする<2>又は<3>に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルトの寿命低下を招くことなく、片寄り走行や蛇行を長期に亘って防止することができるベルト管状体を提供することができる。
また、前記ベルト管状体を用い、信頼性が高く、小型化が可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<ベルト管状体>
本発明のベルト管状体は、無端状のベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の縁部に沿って、長手方向の両端部を離間して配設された蛇行防止ガイドと、を有してなり、前記蛇行防止ガイドの長手方向の一端が、幅方向に対して垂直な方向で且つ前記長手方向に平行な方向に突出すると共に、幅方向の両端は前記突出の先端に向かって先細り形状となる凸部を有し、且つ、他端が該凸部と対応する凹部を有することを特徴とする。
【0013】
以下、図面を参照して本発明のベルト管状体について詳細に説明する。ここで、図1は、本発明のベルト管状体の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、図1のベルト管状体において、ベルト本体に対する蛇行防止ガイドの配設状態を説明するための要部拡大断面図である。
図1に示されるように、本発明のベルト管状体1は、無端状のベルト本体2の幅方向の少なくとも片側の側縁に沿って、帯状の蛇行防止ガイド3が配設されたベルト管状体である。また、図1に示されるように、本発明のベルト管状体1は、蛇行防止ガイド3がベルト本体2の内周面に設けられていることが好ましい。
特に、図2に示すように、本発明のベルト管状体1は、蛇行防止ガイド3が接着層4を介して、ベルト本体2に接着固定されていることが好ましい。
以下、本発明のベルト管状体1を構成する各部材について説明する。
【0014】
−ベルト本体−
本発明のベルト管状体1を構成するベルト本体2は、ベルト管状体の用途、機能等に応じて、材質、形状、大きさ等が適宜設定される。
なお、ベルト本体2はつなぎ目があってもなくてもよい。ベルト本体2の厚さは、通常、0.02〜0.2mm程度が好ましい。
【0015】
ベルト本体2を構成する材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
なお、ベルト本体2の一例として、ベルト管状体1が電子写真方式を用いた画像形成装置等における中間転写ベルトや転写搬送ベルトに適用される場合、導電剤が分散された樹脂からなる半導電性ベルトが挙げられる。この場合、半導電性ベルトの材料としては、例えば、ポリアミドイミド樹脂として、東洋紡バイロマックスHR16NN(固形分18質量%)を好適に用いることができる。
【0016】
また、上述のように、ベルト本体2として半導電性ベルトを用いる場合、1×10Ω/□〜1×1014Ω/□の範囲に表面抵抗率を制御するために、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅合金などの金属又は合金、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化スズ−酸化インジウム又は酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、又は、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどの導電性フィラー(導電剤)が用いられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、導電性フィラーとしては、コストの点でカーボンブラックが好適である。また、必要に応じて分散剤、滑剤などの加工助剤を添加することができる。
ここで、表面抵抗率は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で測定し、JIS K 6911に従い測定した。ベルトの24点(幅方向3箇所×周方向8箇所)を測定し、その平均値をベルトの表面抵抗率とした。
【0017】
−蛇行防止ガイド−
本発明のベルト管状体1を構成する蛇行防止ガイド3は、帯状であって、無端状のベルト本体2の少なくとも片側の側縁に沿って、長手方向の両端部を離間して配設されるものである。また、蛇行防止ガイド3の長手方向の一端が、幅方向に対して垂直な方向で且つ長手方向に平行な方向に突出すると共に、幅方向の両端は突出の先端に向かって先細り形状となる凸部を有し、且つ、他端が該凸部と対応する凹部を有することを要する。
【0018】
ここで、蛇行防止ガイドの幅方向とは、図1に示されるように、ベルト本体に配設される際、該ベルト本体の軸方向と並行する方向であり、図2における矢印Xで示される方向である。本発明における蛇行防止ガイドは、その長手方向の一端に、幅方向に対して垂直な方向で且つ長手方向に平行な方向(即ち長手方向)に突出するような凸部を有する。この凸部は、幅方向の両端から突出の先端に向かって先細り形状を有することを特徴としており、蛇行防止ガイドの幅の両端から先細り形状が形成されることを意味する。つまり、帯状の蛇行防止ガイドにおいて、幅方向の一端(片側のみ)から先細り形状が形成されたものは、本願の範囲から外れるものとなる。
また、蛇行防止ガイドの長手方向の他端は、上記の特定の形状を有する凸部に対応した凹部を有する。ここで、上述のように、本発明における蛇行防止ガイドは、ベルト本体に対して、長手方向の両端を離間して配設されることから、凸部に対応する凹部は、凸部に付き合わせた際に完全に合致する必要はなく、蛇行防止ガイドの幅方向についての断面で見たときに、少なくとも蛇行防止ガイドを遮る状態であればよい。
なお、このように、蛇行防止ガイドが、その両端に凹部と凸部とが対応した形状を有していることから、この両端を離間して配設する際に、位置決めが容易となる。
【0019】
上述のように、本発明における蛇行防止ガイド3は、帯状であって、その一端に特定の形状を有する凸部と、他端に該凹部と対応する凹部と、を有する形状を有する。
以下、この凹凸形状の具体例について図3を用いて説明する。ここで、図3(a)〜(d)は、本発明における蛇行防止ガイドの両端部の凹凸形状の例を示す図である。
図3(a)〜(d)に示されるように、蛇行防止ガイドの一端(図中の左側の端部)には、長手方向に突出すると共に、幅方向の両端から突出の先端に向かって先細り形状となる凸部を有し、また、他端(図中の右側の端部)には、該凸部と対応する凹部を有する。
【0020】
図3(a)に示される蛇行防止ガイド3aは、凸部5aが幅方向の中心に頂点を有する三角形状であり、凹部6aとして、凸部5aと同形状のV字型の切り込みが形成されている。このように、凹部と凸部とを付き合わせた際に完全に合致する形状であり、且つ、簡易な形状であることから、両端を離間して配設する際に位置決めが容易となり、ズレを抑制することができる。
【0021】
図3(b)に示される蛇行防止ガイド3bは、凸部5bが幅方向の中心に頂点を有する円弧形状であり、凹部6bとして、幅方向の中心に頂点を有するV字型の切り込み(図3(a)と同形)が形成されている。このような凸部は、曲線で形成されており、その側面に角を有しないため、図4(b)に示すように、凸部の突出方向を、ベルト管状体の回転方向と逆にすることで、ロール支持体に形成された溝や、外縁部への乗り上げや、引っかかりを効果的に抑制することができる。
【0022】
図3(c)に示される蛇行防止ガイド3cは、凸部5cが末端に微小な凹凸(ギザギザ)が形成された形状を有し、凹部6cとして、凸部5cと同形状の切り込みが形成されている。このように、凹部と凸部とを付き合わせた際に完全に合致する形状であり、且つ、その形状が複雑であるため、両端を離間して配設する際に位置決めの精度が向上し、ズレを最小限に抑制することができる。
【0023】
図3(d)に示される蛇行防止ガイド3dは、凸部5dが幅方向の中心からずれた箇所を頂点とする鋭角を有する形状であり、凹部6dとして、凸部5dと同形状の切り込みが形成されている。このように、凹部と凸部とを付き合わせた際に完全に合致する形状であり、且つ、簡易な形状であることから、両端を離間して配設する際に位置決めが容易となり、ズレを抑制することができる。更に、この蛇行防止ガイド3dを、図4(d)に示すように、離間させて配設した場合、凸部5dの頂点が存在する図中の上側において機械的強度がより高くなる。そのため、この上側の縁部(凸部5dの頂点に近い側の縁部)を、ロール支持体に形成された溝の内側や、外縁部に沿わせることで、蛇行防止ガイドの剥れが効果的を効果的に抑制することができる。
【0024】
次に、図4を参照して、図3(a)〜(d)に示される蛇行防止ガイドの配設状態について説明する。ここで、図4(a)〜(d)は、図3(a)〜(d)に示される蛇行防止ガイドの配設状態を説明するための平面図である。
図4(a)〜(d)のように、図3(a)〜(d)に示される蛇行防止ガイド3a〜3dは、いずれも、凹部と凸部とを付き合わせた状態で離間して配設される。
この離間距離は、ベルト管状体や蛇行防止ガイドのサイズ、支持ロールの径等により適宜決定されるが、通常、1〜7mmの範囲であることが好ましく、1〜3mmの範囲であることがより好ましい。
なお、この離間距離は、蛇行防止ガイドの幅方向の同じ位置における凸部と凹部との間の距離を示す。つまり、図4(a)、(c)及び(d)では、離間距離は2mmである。
また、この離間距離が蛇行防止ガイドの幅方向の測定位置で変化する場合には、最も近接した部分での周方向と並行に計測した離間距離であり、例えば、図4(b)の場合、離間距離は1.5mmとなる。
【0025】
また、本発明のベルト管状体において、特定の凸部とそれに対応する凹部を有する蛇行防止ガイドを、図4(a)〜(d)に示されるように、離間して配設することで、擬似的にガイドの繋ぎ目をなくすことができる。つまり、蛇行防止ガイドに凸部及び凹部がない場合、その両端を離間して配設すると、ベルト管状体の周方向のある領域に、繋ぎ目として、蛇行防止ガイドがない状態ができてしまうが、本発明のベルト管状体では、蛇行防止ガイドを凸部と凹部とを付き合わせて配設することで、周方向のどの領域においても、蛇行防止ガイドがない状態を作らないようにすることができる。
また、本発明のベルト管状体において、蛇行防止ガイドを離間して配設したことにより、その繋ぎ目において、支持ロール部分での繰り返し屈曲の際に応力の集中を回避することができる。
また、本発明のベルト管状体において、蛇行防止ガイドの凸部を回転方向(図4の矢印方向)に対向するような状態で使用することで、凸部が鋭角な側面や端部を有しないことから、凸部と凹部との繋ぎ目において、支持ローラの溝や外縁部への引っかかりを起こりにくくすることができる。
以上のことから、本発明のベルト管状体は、支持ローラにより張架された状態で回転しても、蛇行防止ガイドの繋ぎ目に応力が集中することで生じる、蛇行防止ガイドの剥れ、破断等を抑制することができ、更に、支持ローラの溝や外縁部に乗り上げることを防止することができ、その結果、ベルトの寿命低下を招くことなく、片寄り走行や蛇行を長期に亘って防止することができる。
【0026】
本発明における蛇行防止ガイドの凸部は、対応する凹部との付き合わせ精度や、蛇行防止ガイド自体の取り扱い(特に凹部は長くなると2又以上の細いガイドになる)の点から、その長さが2〜15mmの範囲であることが好ましく、その長さが3〜10mmの範囲であることがより好ましく、その長さが4〜8mmの範囲であることが更に好ましい。
ここで、凸部の長さとは、蛇行防止ガイドの幅が変化した箇所から、突出先端までの距離を示す。なお、突出先端が複数ある場合には最も長い距離を意味する。例えば、図3(c)に示される蛇行防止ガイド3cであれば、6mmであるし、また、図3(d)に示される蛇行防止ガイド3dであれば、8mmである。
【0027】
ベルト本体2がベルト支持ロールの軸方向へ移動しようとする寄り力が発生すると、その寄り力に抗して発生する同じ強度の反力(応力)が蛇行防止ガイド3に直接かかることとなる。この応力を蛇行防止ガイド3内である程度分散吸収することができるという観点から、蛇行防止ガイド3は、デュロメータ硬さがA60〜A90の弾性部材であることが好ましく、デュロメータ硬さがA60〜A80であることがより好ましい。
ここで、デュロメータ硬さとは、JIS K 6253に準拠し、蛇行防止ガイドを6mmの厚みとして、タイプAデュロメータを用いて測定される。蛇行防止ガイドが6mmの厚みに満たない場合は、蛇行防止ガイドを6mmの厚みになるよう積層して測定する。
【0028】
前記弾性部材を構成する材質としては、ポリウレタン、ネオプレンゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の適度な硬度を有する弾性体等が使用できる。これらの中でも、電気絶縁性、耐湿、耐溶剤、耐オゾン及び耐熱性、耐磨耗性を考慮すると、特にポリウレタンゴムやシリコーンゴムが好ましく用いられる。
【0029】
本発明において、蛇行防止ガイド3の形状は、ベルト管状体の使用条件等により適宜定めることができるが、蛇行防止ガイド3が、前述の凸部及び凹部を有する両端部近傍を除き、ほぼ一定の幅を有し、その幅は、蛇行防止効果、耐久性等の点から、1〜10mmが好ましく、特に4〜7mmが好ましい。厚みは、特に制限されないが、蛇行防止効果や耐久性等の観点から、1〜5mmが好ましく、特に3〜5mmが好ましい。
【0030】
−接着層−
接着層4は、ベルト本体2と蛇行防止ガイド3とを接着させるために用いられる層であり、弾性接着剤から構成されていてもよいし、感熱型シート形状の接着剤(感熱性接着剤シート)で構成されていてもよい。
【0031】
接着層4に用いられる弾性接着剤は、硬化反応後のデュロメータ硬さがA30/S〜A50/Sの範囲である接着剤をいい、セメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008、コニシ(株)製の特殊変成シリコンポリマーを主成分とするサイフレックス100などを挙げることができ、ベルト本体2との接着強度の点から、セメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008が好ましくは用いられる。
【0032】
接着層4に用いられる感熱性接着剤シートとしては、使用されるベルト本体2及び蛇行防止ガイド3との接着性に優れたもので、後述する、スラスト剥離強度、T剥離強度、を得ることができる接着剤であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、アクリル系、シリコン系、天然又は合成のゴム系、ウレタン系、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂系などの樹脂系材料を主材料とする接着剤を用いることができる。
より具体的には、東洋紡(株)製ポリエステル系接着シートGM−913、GM−920、ソニーケミカル(株)製ポリエステル系接着シートD3600などをあげることができる。ベルト基材との接着強度よりソニーケミカル(株)製ポリエステル系接着シートD3600、東洋紡(株)製ポリエステル系接着シートGM−920が好ましくは用いられる。
【0033】
接着層4の厚みは、0.01〜0.3mmが好ましく、より好ましくは、0.02〜0.05mmである。接着層4の厚みが0.01mm未満の場合には、均一な接着強度が得られない場合があり、0.3mmを超える場合には、接着時に加える圧力によって、蛇行防止ガイド3の位置ずれを起こす場合がある。
【0034】
蛇行防止ガイド3は、所望の凹凸が設けてある両端部を有する形状のビグ型を製作し、ビグ型の上に蛇行防止ガイドの材料を、所望の厚さとなるように置いて、プレス加工して得ることができる。
【0035】
接着層4を用いたベルト本体2への蛇行防止ガイド3の貼設は、帯状のベルト本体2と蛇行防止ガイド3を貼設して、その後、ベルト本体2の両端部を接着してもよいし、無端状のベルト本体2に蛇行防止ガイド3を接着してもよい。
【0036】
蛇行防止ガイド3をベルト本体2へ貼設する方法は、特に制限されないが、一般的には、感熱性接着剤シートによる接着の場合には、感熱性接着剤シートを、蛇行防止ガイド3に加熱加圧して、貼り付けたのち、離型紙を剥離してから、ベルト本体2に加熱加圧して貼り付ける。
また、弾性接着剤を用いる場合には、弾性接着剤を蛇行防止ガイド3に塗布してから、ベルト本体2に相互に圧接して接着する方法が用いられる。
【0037】
なお、貼り合わせは、気泡を入れずに貼り合わせることが重要で、通常ハンドローラ、ゴムローラ、プレス等での貼り合わせ、減圧下での貼り合わせ、加圧下での貼り合わせ等の方法を用いることができる。また、蛇行防止ガイド3表面又はベルト本体2表面は、コロナ処理、プライマー処理又はエージング等を行って接着力を向上させていてもよい。
【0038】
図1では、ベルト本体2の内側面に蛇行防止ガイド3が貼設されているが、蛇行防止ガイド3の貼設面は、ベルト管状体1の適用される用途に応じて、ベルト本体2の外側面であってもよい。
【0039】
−スラスト剥離強度−
本発明のベルト管状体1において、接着されたベルト本体2と蛇行防止ガイド3のスラスト剥離強度は、5N/mm以上であることが好ましく、10N/mm以上20N/mm以下であることがより好ましい。スラスト剥離強度が5N/mm以上あることによって、ベルト管状体1の長時間駆動によって、蛇行防止ガイド3が位置ずれする、剥離が生じるなどの問題が少なくなる。また、スラスト剥離強度が20N/mm以下であると、ベルト管状体走行時に、ベルト本体/接着剤層/蛇行防止ガイドの界面に作用するせん断力によってベルト管状体1が破損するなどの問題が少なくなるので好ましい。
前記スラスト剥離強度の測定方法を以下に述べる。なお、該スラスト剥離強度の測定及び後記T型剥離強度の測定は22℃−55%RHの条件下で行うものとする。
【0040】
図5は、スラスト剥離試験の説明図であり、図5(a)は試験片40を示す平面図、図5(b)は試験片40を図5(a)の矢印Dの方向から見た側面図、図5(c)は試験方法の説明図であり、試験片40をベルト固定部材42に挿入する前の状態を示す図、図5(d)は試験片40をベルト固定部材42に挿入した状態を示す図、図5(e)は図5(d)の縦断面拡大図である。
図5(a)に示すように、前記ベルト管状体1を切断して、図面上Y方向に30mm、X方向に50mmの試験片40を作製する。また、図5(c)〜図5(e)に示すように、スラスト剥離強度試験に使用するベルト固定部材42の幅W2は10mmであり、側面にはベルト本体貫通溝44及び蛇行防止ガイド貫通溝46が形成されている。前記試験片40のベルト本体2部分及び蛇行防止ガイド3部分をそれぞれ前記ベルト固定部材42側面に設けられたベルト本体貫通溝44及び蛇行防止ガイド貫通溝46に、図5(d)に示すように挿入する。試験片40をベルト固定部材42に挿入した後、ベルト固定部材42を固定した状態で試験片40を図5(e)に示す矢印Eの方向に10mm/minの速度で引っ張る。その際、前記ベルト本体2と蛇行防止ガイド3との接着部分にはスラスト力(せん断力)が作用する。
前記ベルト本体2と前記蛇行防止ガイド3とが剥離した時の力P2(N)を測定し、測定したP2(N)と前記固定部材40の幅W2(10mm)とからスラスト剥離強度(P2/W2)(N/mm)を算出する。
【0041】
−T型剥離強度−
本発明のベルト管状体1において、接着層4により接着されたベルト本体2と蛇行防止ガイド3とのT型剥離強度は、0.8N/mm以上4N/mm以下であることが好ましく、1N/mm以上3N/mm以下であることがより好ましい。T型剥離強度が、0.8N/mm以上あることによって、ベルト管状体1の長時間駆動によって、蛇行防止ガイド3が位置ずれする、剥離が生じるなどの問題が少なくなる。一方、4N/mm以下であると、ベルト管状体走行時に、ベルト本体/接着剤層/蛇行防止ガイドの界面に作用するせん断力によってベルト管状体1が破損するなどの問題が少なくなるため好ましい。
前記T型剥離強度の測定方法を以下に述べる。
【0042】
図6は、T型剥離試験の説明図である。図6(a)はT型剥離試験の試験片30を作製する部分を示す。図6(b)は試験片30の側面図を示す。図6(c)はT型剥離試験の試験方法の説明図である。
図6(a)に示すように、幅W1の蛇行防止ガイド3と同じ幅にベルト本体2を切断し、幅W1、長さ50mmの試験片30を得た。図6(b−1)は、試験片30を矢印Aの方向から見た図であり、図6(b−2)は、試験片30を矢印Bの方向から見た図である。
得られた試験片30の一端を、図6(c)に示すようにベルト本体2と蛇行防止ガイド3の界面で剥離させ、ベルト本体2を固定し、蛇行防止ガイド3を矢印Cの方向に50mm/minの速度で引っ張りT字型に引き裂いたときの引張力P1(N)を測定する。測定されたP1及びW1を用いてT型剥離強度(P1/W1)(N/mm)を算出する。
【0043】
本発明のベルト管状体は、種々のベルト装置に適用可能であり、その用途は特に限定されないが、画像形成装置、特に、電子写真方式を利用した画像形成装置に適用されることが好ましい。
より具体的には、本発明のベルト管状体は、電子写真方式を利用した画像形成装置において、中間転写ベルトや転写搬送ベルトに適用されることが好ましい。
【0044】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、像保持体と、該像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像保持体の表面に潜像を形成させる潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、を有し、前記各手段の少なくとも1つが、請求項1に記載のベルト管状体と、該ベルト管状体を回転可能に支持する複数の支持ロールと、を備えることを特徴とする。なお、複数の支持ロールのうち少なくとも1つの支持ロールが蛇行防止ガイドを沿わせるための溝を有するものであることが好ましい態様である。
この画像形成装置の構成は特に限定されず、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
【0045】
まず、図7を参照して、画像形成装置と本発明のベルト管状体との関係について説明する。なお、図7(a)は、溝20が設けてある支持ロール21を示すための斜視図であり、図7の(b)は、図7(a)の溝20が設けてある支持ロール21を、軸方向に切断したときの要部拡大断面図である。
本発明の画像形成装置において、図1及び図2に示されるベルト管状体(本発明のベルト管状体)1は、図7(a)及び(b)に示されるような、溝20が設けてある支持ロール21により張架されることが好ましい。この溝20は、蛇行防止ガイド3を沿わせる(規制する)ためのものであり、図7(c)に示すように、この溝20に対し、本発明のベルト管状体1における蛇行防止ガイド3がはめ込まれ、その動きが規制されることで、ベルト管状体1の片寄り走行や蛇行を防止することができる。
また、本発明のベルト管状体は、支持ロールの縁部に蛇行防止ガイドを外接するようにして張架されてもよい。この場合、蛇行防止ガイド3が支持ロールの側端部(縁部)により規制されることにより、ベルト管状体の片寄り走行や蛇行を防止することができる。
【0046】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の一例として、本発明のベルト管状体を用いた用紙搬送ベルト方式の画像形成装置、及び、本発明のベルト管状体を用いた中間転写体方式の画像形成装置について説明する。
【0047】
まず、本発明の画像形成装置の1例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。図8は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図8に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスローラ103、被転写体である用紙を供給するトレー104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、バックアップローラ122、導電性ローラ125、電極ローラ126、クリーニングブレード131、用紙束141、ピックアップローラ142、並びにフィードローラ143を備えてなり、中間転写ベルト102として本発明のベルト管状体が用いられる。
中間転写ベルト102の内側に備えられた蛇行防止ガイドは、ベルト支持ロール121、123、及び124に設けられた溝に沿うように位置する、若しくはベルト支持ロール121、123、及び124の側縁部に接触するように位置するため、ベルト走行時、中間転写ベルト102は蛇行防止ガイドに案内される。そのため、中間転写ベルト102は、ベルト走行時、蛇行する問題を防止することができる。
【0048】
図8に示す画像形成装置において、感光体ドラム101は矢印F方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム101にレーザー書込み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えば、BK)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置105によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転で導電性ローラ125が配置された一次転写部に到り、導電性ローラ125からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写ベルト102に吸着されつつ中間転写ベルト102の矢印G方向の回転で一次転写される。
【0049】
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され中間転写ベルト102において重ね合せられて、多重トナー像が形成される。
【0050】
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の回転でバイアスローラ103が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト102のトナー像が保持された表面側に設置されたバイアスローラ103と該中間転写ベルト102の裏側からバイアスローラに対向するごとく配置されたバックアップローラ122及びこのバックアップローラ122に圧接して回転する電極ローラ126から構成される。
【0051】
用紙141は、用紙トレー104に収容された用紙束からピックアップローラ142で一枚ずつ取り出され、フィードローラ143で二次転写部の中間転写ベルト102とバイアスローラ103との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスローラ103及びバックアップローラ122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に保持されたトナー像が転写される。
【0052】
トナー像が転写された用紙141は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙141への転写の終了した中間転写ベルト102は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ103は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード131が常時接触する如くとりつけられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0053】
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ103と中間転写ベルト102を介して対向配置したバックアップローラ122に圧接した電極ローラ126にトナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで該トナー像を用紙141に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0054】
次に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。
図9に示す画像形成装置は、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKを含む画像形成ユニットY、M、C、BK(図示せず)と、用紙搬送ベルト206と、転写ロール207Y、207M、207C、207BKと、ベルト支持ロール210及び211と、用紙搬送ロール(図示せず)と、定着器(図示せず)とを備えている。用紙搬送ベルト206として、本発明のベルト管状体が用いられる。
ここで、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BK、及び転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206に対し、略鉛直方向に配置されている。
【0055】
用紙搬送ベルト206は、その内側(内周側)に備えられた蛇行防止ガイドが、ベルト支持ロール210及び211の側縁部に接触する、又は、支持ロール210及び211に形成された溝にはめ込まれることで、ベルト走行時に、蛇行する問題を防止することができる。
本発明のベルト管状体を用紙搬送ベルト206に適用する場合、ベルトを支持するベルト支持ロールの少なくとも1つの外径が14〜20mmである場合でも、蛇行防止ガイドが剥離する問題なく使用することができる。
【0056】
感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKは、所定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能であり、その周囲には、例えば、コロトロン帯電器(図示せず)と、露光器(図示せず)と、各色現像装置(図示せず)と、感光体ドラムクリーナー(図示せず)と、がそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0057】
また、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKは、用紙搬送ベルト206に対して4つ並列に、Y、M、C、BKの順に配置されているが、その順序等は、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0058】
用紙搬送ベルト206は、ベルト支持ロール210、211によって、反時計方向に、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、同じ周速度をもって回転可能になっている。この用紙搬送ベルト206は、ベルト用クリーニング装置(図示せず)が備えられていてもよい。
【0059】
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206の内側であって、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、トナー画像を用紙(被転写体)に転写する転写領域を形成している。
【0060】
用紙搬送ロール(図示せず)は、用紙(被転写体)を
用紙搬送ベルト206へと搬送するものである。
用紙搬送ベルト206へと搬送された用紙(被転写体)は、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとの間の転写領域を通過した後、
定着装置(図示せず)へと搬送される。
【0061】
図9に示す画像形成装置における転写サイクルについて、感光体ドラム201BKを有する画像形成ユニットBKを一例として説明する。回転する感光体ドラム201BKの表面を、コロトロン帯電器(図示せず)を用いて、所定の極性・電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器(図示せず)によって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0062】
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置(図示せず)によって現像されることで、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0063】
一方、用紙(被転写体)は静電的に用紙搬送ベルト206に吸着して、感光体ドラム201BKと用紙搬送ベルト206との間の転写領域まで搬送される。この転写領域において、感光体ドラム201BKの表面に形成された
トナー画像が、転写ロール207BKから印加される転写バイアスにより形成される電界により、用紙(被転写体)の表面に転写される。
【0064】
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラムクリーナ(図示せず)によって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の転写サイクルに供される。
【0065】
以上の転写サイクルは、画像形成ユニットC、M、及びYでも同様に行われる。
つまり、上記のような転写サイクルにより、転写ロール207BK、207C、207M、及び207Yによって、各色のトナー画像が順次転写された用紙(被転写体)は、定着装置(図示せず)に搬送され、定着が行われる。
以上により用紙(被転写体)上に所望の画像が形成される。
【0066】
以上、ベルト管状体の一例として中間転写ベルト、用紙搬送ベルトに関して説明したが、これに限らず、例えば、前記像保持体に代えて像保持体ベルトを用いる画像形成装置のように、他の手段にも本発明を適用することができる。また、本発明の画像形成装置は、ベルト本体からの蛇行防止ガイドの剥離を防止できる本発明のベルト管状体を用いているので、ベルト管状体の片寄り走行や蛇行を、ベルトの寿命低下を招くことなく長期にわたって簡単、確実に防止することができる。また、本発明のベルト管状体は、外径が14〜20mm(好ましくは16〜20mmである。)である支持ロールに支持されて用いることができるので、前記複数の支持ロールの少なくとも1つを外径が14〜20mmの支持ロールとすることができるため画像形成装置の小型化が可能となる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
<ベルト本体2の作製>
本発明におけるベルト本体2は、ポリアミドイミド樹脂として、溶剤可溶型のポリアミドイミド樹脂:東洋紡(株)製、バイロマックスHR16NN(固形分18質量%、溶剤:メチル−2−ピロリドン)を用い、更に、導電剤として、カーボンブラック(デギサ(株)製スペシャルブラック4:pH3.揮発分14質量%)を樹脂成分100質量部あたり25質量部添加して、分散機(ジーナス(株)製)を用いて分散を行い塗布液を得た。この塗布液を外径168mmのアルミ製パイプの外面に塗布し、150℃で30分間回転乾燥後、250℃で1時間加熱して、外径168mm、幅368mmのポリアミドイミド樹脂ベルト(無端状のベルト本体2)を得た。このベルトの表面抵抗率は1.1×1012Ω/□であった。
【0068】
<蛇行防止ガイド3>
蛇行防止ガイドの材料として、厚さ1mm、JIS硬度70度の熱硬化性ウレタンシート(タイガースポリマー(株)タイプレン TR100−70)を用いて、ビグ型にて、図3(a)に示すように、幅5mm、一端に三角形状の凸部(長さ6mm)、他端にV字型の切れ込み形状の凹部が形成された蛇行防止ガイドを作製した。
【0069】
<蛇行防止ガイド付きベルト管状体の製作>
得られた蛇行防止ガイドに弾性接着剤としてセメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo8008を20μmの厚さで塗布して、次いで、ポリアミドイミド樹脂ベルトの片側のベルト内面に配置して、0.03Mpaの圧力で加圧して、蛇行防止ガイド付きベルト管状体を製作した。なお、蛇行防止ガイドの配設の際には、図4(a)に示すように、蛇行防止ガイドの凸部と凹部とを付き合わせるようにし、離間距離は2mmとした。
【0070】
(実施例2)
蛇行防止ガイドとして、図3(b)に示すような、幅5mm、円弧形状を有する凸部(長さ9mm)とV字の切れ込み形状の凹部とが形成されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして、図4(b)に示すように、離間距離が平均1.5mmとなる蛇行防止ガイド付きベルト管状体を製作した。
【0071】
(実施例3)
蛇行防止ガイドとして、図3(c)に示すように、幅5mm、先端がギザギザ形状の凸部(長さ6mm、小山の長さは2mm)と該凸部と同じ形状の切り込みが設けられた凹部とが形成されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして、図4(c)に示すように、離間距離が2mmとなる蛇行防止ガイド付きベルト管状体を製作した。
【0072】
(実施例4)
蛇行防止ガイドとして、図3(d)に示すように、幅5mm、幅方向の中心からずれた箇所を頂点とする鋭角を有する凸部と該凸部と同形状の切り込みが設けられた凹部とが形成されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして、図4(d)に示すように、離間距離が2mmとなる蛇行防止ガイド付きベルト管状体を製作した。
【0073】
(比較例1)
蛇行防止ガイドとして、図10(a)に示すように、幅5mm、両端部に凸部及び凹部を設けていないものを用いた以外は、実施例1と同様にして、図10(b)に示すように、離間距離が2mmとなる蛇行防止ガイド付きベルト管状体を製作した。
【0074】
(比較例2)
蛇行防止ガイドとして、図11(a)に示すように、幅5mm、両端部が斜めに切り込まれた形状を有するものを用いた以外は、実施例1と同様にして、図11(b)に示すように、離間距離が2mmとなる蛇行防止ガイド付きベルト管状体を製作した。
【0075】
(評価)
ベルト駆動による外径18mmの金属ロール210と外径28mmの金属ロール211の2本の金属ロールの間に、外径25mmの2本の金属ロールを設け、これら4本の金属ロールに、実施例1〜4、及び比較例1〜2の蛇行防止ガイド付きベルトをそれぞれ50Nの張力をかけて懸架し、回転速度を15回転/分として回転させ、蛇行防止ガイド付きベルトの耐久性を試験した。なお、4本の金属ロールには、図3のように蛇行防止ガイドを規制するための溝が設けられている。なお、実施例1〜4、及び比較例1〜2の蛇行防止ガイド付きベルトは、図4、図10、及び図11に記載の矢印方向が回転方向になるように、張架される。
試験は、蛇行防止ガイド付きベルトに破断が生じない場合には、10000K回転で終了した。
【0076】
実施例1〜4の蛇行防止ガイド付きベルト管状体は、10000K回転させても、なんら耐久性に問題がないのを確認した。これに対し、比較例1の蛇行防止ガイド付きベルトは、8K回転で、蛇行防止ガイドの端部に剥がれが観察された。比較例2では、蛇行防止ガイドの端部の剥れは見られなかったが、400K回転でベルトの挙動が異常となり、観察した結果、ガイドの繋ぎ目近傍で破れ(破断)が確認された。
【0077】
なお、実施例1〜4、及び比較例1〜2の蛇行防止ガイド付きベルト管状体について、前述の方法でスラスト剥離強度を測定したところ、いずれも、10N/mm以上の値を示し、十分な強度を有することが分かった。
【0078】
このことより、本発明のベルト管状体は、ベルトの寿命低下を招くことなく、長期に亘って片寄り走行や蛇行を防止することができる。また、このベルト管状体を用いることで、信頼性が高く、小型化が可能な画像形成装置を提供しうることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のベルト管状体の構成概略図である。
【図2】図1のベルト管状体において、ベルト本体に対する蛇行防止ガイドの配設状態を説明するための要部拡大断面図である。
【図3】本発明における蛇行防止ガイドの両端部の凹凸形状の例を示す図である。
【図4】図3(a)〜(d)に示される蛇行防止ガイドの配設状態について説明するための概略平面図である。
【図5】スラスト剥離試験の説明図である。
【図6】T型剥離試験の説明図である。
【図7】本発明のベルト管状体と溝を有する支持ロールとの関係を示す概略図である。
【図8】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図9】本発明の画像形成装置の他の例の要部を示す概略構成図である。
【図10】比較例1の蛇行防止ガイドの形状とその配設状態を説明するための概略平面図である。
【図11】比較例2の蛇行防止ガイドの形状とその配設状態を説明するための概略平面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 ベルト管状体
2 ベルト本体
3 蛇行防止ガイド
4 接着層
5a〜5d 凸部
6a〜6d 凹部
20 溝
21 支持ロール
30 (T型剥離試験用)試験片
40 (スラスト剥離試験用)試験片
42 ベルト固定部材
44 ベルト本体貫通溝
46 蛇行防止ガイド貫通溝
102 中間転写ベルト
206 用紙搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の縁部に沿って、長手方向の両端部を離間して配設された蛇行防止ガイドと、を有してなり、
前記蛇行防止ガイドの長手方向の一端が、幅方向に対して垂直な方向で且つ前記長手方向に平行な方向に突出すると共に、幅方向の両端は前記突出の先端に向かって先細り形状となる凸部を有し、且つ、他端が該凸部と対応する凹部を有することを特徴とするベルト管状体。
【請求項2】
像保持体と、該像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像保持体の表面に潜像を形成させる潜像形成手段と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、を有し、
前記各手段の少なくとも1つが、請求項1に記載のベルト管状体と、該ベルト管状体を回転可能に支持する複数の支持ロールと、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−116486(P2008−116486A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296750(P2006−296750)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】