説明

ベンゼンの水素化方法

本発明は、接触改質ガソリン中に含有されるベンゼンの水素化方法に関するものであって、該接触改質ガソリン中に存在する水素を、分離手段を用いて該改質ガソリンから分離し、軽質のベンゼンリッチ留分を重質改質ガソリンから分離し、ベンゼンを含有する軽質改質ガソリンを、90℃〜150℃の温度、0.5〜10のVVHにてニッケル系水素化触媒と、及びセパレータタンクの頂部における前記水素分離工程中に得られ前記セパレータの出口圧力で使用される水素の少なくとも一部と、接触させる、ベンゼンの水素化方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゼンの水素化の分野に関し、より詳細には、接触改質ガソリン(reformate)中のベンゼンの水素化のための方法及び関連装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゼンは発癌性化合物であり、ガソリン中におけるその含有量は、多くの国において調節され、次第に低いレベルに低減されている。
【0003】
接触改質の際、得られる改質ガソリンは、0.5〜15%のベンゼンを含有し、平均すると2〜8%のベンゼンを含有する。このベンゼンを除去するための1つの解決法は、それを水素化することにある。したがって、接触改質装置を使用する製油所は、ベンゼン水素化装置を装備していることが望ましい。
【0004】
現在のところ、ベンゼンの水素化のための従来のスキームは、ベンゼンリッチ留分を水素化装置中で処理することにある。この目的のために、接触改質装置の出口に配置された中圧セパレータタンクから得られる改質ガソリンは、C留分を除去するための安定化カラム中に送られ、その後、改質ガソリンスプリッタに送られる。改質ガソリンスプリッタから得られるいわゆる軽質のベンゼンリッチ改質ガソリンC〜C留分は次にニッケル系又は白金系触媒を含有する反応器に送られる。
【0005】
この手順は、20barよりも高い圧力で行われ、このため上流の接触改質装置の中圧セパレータから得られる水素を圧縮することが必要となる場合が多い。
【0006】
この装置を用いて、要求される規格、即ち軽質改質ガソリン中0.2体積%未満、及び一般には改質ガソリンスプリッタの底部において得られる重質改質ガソリンと水素化装置から得られる軽質改質ガソリンを混合することにより得られる全改質ガソリン中0.5体積%を達成するようにベンゼンを水素化することが所望される場合、水素化反応器における入口運転温度はほとんどの場合、130℃よりも高い。
【0007】
このプロセススキームの欠点の1つは、反応器の運転圧を高めるための水素補給圧縮機の使用、並びに3基の蒸留カラム、即ち、2基の安定化カラム(接触改質よりも下流及び水素化よりも下流)及び改質ガソリンスプリッタ、の設置を必要とするので、多額の投資及びユーティリティーの大量な使用を必要とするということである。
【0008】
この種の装置は高温高圧にて動作する必要があるため、その運転条件により別の欠点が生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、その運転条件が3基以上の蒸留カラムの使用を必要としない、ベンゼンの水素化のための方法及び関連装置を提案することによって、先行技術の1つ以上の欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、接触改質ガソリン中に含有されるベンゼンの水素化方法であって、
・ 接触改質ガソリン中に存在する水素を、分離手段を用いてその改質ガソリンの残部から分離し、
・ 軽質のベンゼンリッチ留分を重質の改質ガソリンから分離し、
・ ベンゼンを含有する軽質改質ガソリンを、90℃〜150℃の温度、及び0.5〜10のVVHにてニッケル系水素化触媒、及び、セパレータタンクの頂部における前記水素分離工程の際に得られ前記セパレータの出口圧力にて使用される水素の少なくとも一部と、接触させる、
ベンゼンの水素化方法を提案する。
【0011】
本発明による方法において使用される触媒は、10〜60重量%のニッケルを含む。この触媒は活性表面を有し、活性表面の分散率は少なくとも10%である。
【0012】
本発明による方法では、触媒との接触は5〜25barの圧力にて行われる。
【0013】
本発明による方法では、触媒との接触は95℃〜140℃の温度にて行われる。
【0014】
本発明による方法では、触媒との接触は1〜4のVVHで行われる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、軽質改質ガソリンは改質ガソリンスプリッタからの側部抜き出しによって得られる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、C及びC留分を改質ガソリンスプリッタの頂部において抜き出す。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、C及びC留分は安定化カラムへと送られる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、軽質改質ガソリンは、改質ガソリンスプリッタの頂部における抜き出しによって得られる。
【0019】
本発明による方法においては、ベンゼンを含有する軽質改質ガソリンと水素化触媒との接触工程の終わりに得られる水素化生成物の一部は、安定化カラムへと送られる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、水素化生成物は、安定化カラムへと送られる前に気液セパレータへと送られる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、安定化カラムは、接触改質から得られる任意の未安定化炭化水素留分を供給されてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、安定化カラムの出口において、
・ ディーゼル燃料ネットワークに送られるC留分、
・ 石油化学の現場へと送られる高い蒸気圧を有する軽質留分、
・ ガソリンプール又は異性化装置へと送られる重質の留分、
の3つの留分が得られる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、使用される安定化カラムは、上流の接触改質装置の既存の安定化カラムである。
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、例として添付の図面及びデータを参照して下記に示された説明を読むことによって、よりよく理解され、また明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明によるベンゼンの水素化スキームの一変形形態を示す。
【図2】図2は、先行技術による標準的なベンゼンの水素化スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
接触改質の際、処理すべき原料(10)のナフテン系分子は、芳香族分子へと変換される。このようにして得られた原料は、より高いオクタン価を有する。接触改質後に得られるこの原料は、改質ガソリンとも呼ばれる。含有するベンゼンを水素化するよう処理するのは、この改質ガソリンである。
【0027】
図1及び図2に示される、ベンゼンの水素化方法において、接触改質の反応部(1)の流出液がセパレータとも呼ばれる分離タンク(2)へと送られる(11)。このセパレータ(2)は中程度の圧力、すなわち5〜20bar、好ましくは0〜20barにて作動し、改質ガソリンの残部(23)からの水素(24)の分離を可能にする。この水素(24)は水素を消費する下流の装置に供給するために使用され、特に、水素化反応器(5)において使用することができる。
【0028】
図1に示されている本発明による方法では、セパレータ(2)から得られる、重質留分及び軽質留分により形成される改質ガソリンは、続いてトルエンを含有する重質留分(44)の、軽質留分(42,43)からの分離を可能にする蒸留カラムである改質ガソリンスプリッタ(4)へと直接送られる(23)。図2に示される、安定化カラム(3)を使用する先行技術による水素化方法とは異なり、改質ガソリンはスプリッタへと送られる(23)前には安定化されない。図2に示す先行技術による方法においては、この安定化カラム(3)では、C留分(反応部から得られるC留分の10%未満、好ましくは5%未満、非常に好ましくは1%未満を含有する)のみが除去され、このカラムの底部から得られる改質ガソリンは、C留分の10%未満、好ましくは5%未満、非常に好ましくは1%未満を含有する。したがって、その後反応器(5)に送られる軽質改質ガソリン(41)は典型的には、接触改質から得られる、C留分の10%未満、好ましくは7.5%未満、非常に好ましくは5%未満、及びCの90%よりも多く、好ましくは95%よりも多く、及びベンゼンの50%よりも多く、好ましくは80%よりも多く、非常に好ましくは90%よりも多くを含んでいる。
【0029】
スプリッタ(4)における蒸留後に得られる軽質改質ガソリンは、側部抜き出し(42)において、又はカラムの頂部において(図示せず)収集することができる。
【0030】
改質ガソリンが側部抜き出し(42)において得られる場合、これはCリッチな及びベンゼンリッチな留分により形成される。スプリッタ(4)における蒸留後に得られ、ベンゼンの大部分を含有する軽質改質ガソリンは、トルエン濃度を減少させるように調節された分留点を有する。この分留点は一般に20〜100℃であり、好ましくは30〜80℃である。
【0031】
改質ガソリンがカラムの頂部において得られる場合には、C―C−Cベンゼン留分により形成される。
【0032】
頂部において又は側部抜き出しによって得られる、ベンゼンを含有する軽質改質ガソリンは、続いて水素化反応器(5)へと送られる(42)。軽質改質ガソリン中に含有されるベンゼンの水素化のための反応はこの反応器(5)中で行われる。この反応は、接触改質装置(1)の後に配置されるセパレータ(2)から得られる水素の全部又は一部(241)の存在下で行われる。本発明の特徴の1つは、水素の再圧縮(221)を必要とする先行技術の装置とは異なり、この水素が再圧縮せずに注入されるという事実から得られる。本発明の範囲内で使用される反応器はセパレータタンク(2)の圧力以下の圧力で作動するため、水素は再圧縮せずに使用される。水素を再圧縮しないという事実は、設備面での利点であり、したがって投資の面において利益となる。
【0033】
ベンゼン水素化装置の運転圧力は一般に十分に低く、5〜25barである(1bar=0.1Mpa)。好ましくは、この圧力は10〜20bar、非常に好ましくは12〜18barである。反応器の入口における温度は90〜150℃であり、好ましくはこの温度は95〜140℃、非常に好ましくは100〜120℃である。これらの条件下では、軽質改質ガソリンは本質的に液相状態にある。液体体積流量(時間当たりの体積流量を触媒の体積で割ったもの、即ちVVH)は、0.5〜10であり、好ましくは1〜4である。
【0034】
反応器(5)の出口において得られる水素化生成物は続いて、冷却された後、気液セパレータ(6)に送られる(51)。液体の一部は、温度の上昇を制御するように反応器(5)へと再循環され(67)、他の部分は、改質装置の既存の安定化カラムであってよい安定化カラム(7)へと送られる(61)。軽質改質ガソリンはこの安定化カラムの底部(71)において得られる。このカラムの頂部では、反応器内の反応の過剰の水素、および、反応の水素から来るCが得られる。本発明による方法の場合には、再注入された改質ガソリンから得られるC留分もまたカラムの頂部に存在する。
【0035】
気液セパレータタンク(6)から得られる過剰の水素(62)は、触媒改質装置の後に配置されるセパレータタンク(2)から得られる水素を通常圧縮する圧縮機へと送られてもよい(62)。
【0036】
低圧ベンゼン水素化操作は、1〜2barという低い基準の分圧を伴う。したがって、この目的のために、分圧を(0.5barを超えて)最大にするように、改質ガソリンスプリッタ(4)からの側部抜き出しにおいて水素化の原料をサンプリングすることにより、反応器の気相中の軽質化合物の濃度を低くして軽質改質ガソリンの軽質化合物(C)を低減することが好ましい。
【0037】
水素化装置へと送られる原料が改質ガソリンスプリッタからの側部抜き出しから得られる場合、改質ガソリンスプリッタの頂部で抜き出され、改質ガソリンのC及びC留分を含有する軽質留分は、水素化生成物と再混合されて安定化カラム(7)中で安定化されるか、又はパラフィンの異性化のための装置に送られてもよい。
【0038】
ベンゼンの水素化のための工業方法において通常使用される触媒は白金系及びニッケル系の両方があるが、本発明による方法の範囲内では、驚くべきことに、ニッケル系触媒のみが十分な性能レベルを示すということが観察された。
【0039】
本発明による方法において使用される反応器のニッケル触媒は、十分に高い金属含有量、即ち10〜60重量%、好ましくは少なくとも20重量%を含み得る。それらは、例えば可溶性のニッケル塩を適切な基材に含浸させることによって、或いは鉱物ゲルと混合することによって、又は当業者には公知の任意の他の好適な技術によって、調製される。
【0040】
触媒は一般には、当業者に公知の技術によって前還元され、不動態化される。
【0041】
還元後、触媒は、特に少なくとも10%、好ましくは20%を超える分散率(ニッケルの全%に対する表面ニッケルの%)によって特徴付けられる、十分に大きな活性表面積を有するべきである。
【0042】
装置はまた、水素化装置又は改質ガソリンスプリッタ(4)よりも上流に配置された、混合Pd/不動態化アルミナ系(2008年4月25日にINPIに提出された特許出願、第08/02−345号による)を含んでいてもよい。この系は、接触改質から来る塩素化合物(HCl又は有機塩素化合物)から水素化触媒を保護すること、及び改質ガソリンスプリッタの頂部での塩の形成(塩化アンモニウム)を防止することを可能にする。
【0043】
既存の改質装置がその出口に追加の安定化カラムを既に装備している場合、このカラムは水素化装置よりも下流に配置される。
【0044】
このカラムは、その寸法が水素化装置で従来使用されているカラムよりも大きく、任意で3つの留分、即ち燃料ガスネットワークへと送られる軽質C留分、石油化学の現場へと送られる高蒸気圧を有する留分(特に石油化学ナフサに関して強化されたもの)、及びガソリンプール又は異性化装置へと送られる重質留分、を生産することができる。
【0045】
以下の実施例は本発明を例示するものである。実施例1は先行技術によるものであり、実施例2は本発明に対応する。実施例4は比較のためのものである。実施例3および5は比較試験結果を示す。
【0046】
実施例1:先行技術による方法を用いることによる、ニッケル系触媒を用いたベンゼンの水素化
【0047】
本実施例に使用される装置は、図2に記載されているものである。改質装置(1)の出口において、本装置は、改質から得られる改質ガソリン(11)を水素(24)から分離するように処理する分離カラム(2)を有する。この改質ガソリン(22)は続いてC4留分(32)の除去を可能にする安定化カラム(3)に通され、次いで同カラム(3)の流出物(31)はスプリッタ(4)中を通過する。スプリッタ(4)の出口において改質ガソリンは、重質改質ガソリン(42)と、水素化装置中で水素化工程にかけられることになる軽質改質ガソリン(41)とに分離される。
【0048】
処理された軽質改質ガソリンは、以下の組成を有する。
【0049】
【表1】

【0050】
使用される水素は、接触改質のための中圧セパレータタンクにおける再圧縮後に30barの圧力で送達され、以下の組成を有する。
【0051】
【表2】

【0052】
金属分散率30%及び表面積170mの、25重量%のニッケルを含有するニッケル系触媒を使用する。
【0053】
触媒は固定床反応器中に充填する。はじめに以下の条件下で水素で前処理する。
・ 圧力:5bar
・ 温度:150℃
・ 体積当たりの時間体積流量、100Nm/mCATA触媒
・ 持続時間:6時間
・ 塩素は、例えば、2008年4月25日にINPIに提出された特許出願、第08/02−345号に記載されているシステムにおける吸収によって、除去される。
【0054】
軽質改質ガソリンは、以下の条件下で注入する。
・ LHSV:触媒体積当たりの時間体積流量:1.5
・ 反応器入口温度:150℃
・ 圧力:28bar
【0055】
上述した水素は、反応器の出口において、有効な少なくとも3barに等しい水素分圧が得られるように、水素化されるべきベンゼンに対して化学量論的にかなり過剰な流速で注入される。
【0056】
反応器中の温度の上昇を60℃未満に制限するために、水素化生成物は約4の流量で反応器中に再循環される。
【0057】
実施例2:本発明による方法を用いることによる、ニッケル系触媒を用いたベンゼンの水素化
【0058】
本実施例で用いる装置は、図1に記載するものである。
【0059】
処理された軽質改質ガソリンは、実施例1のものと同様の組成を有する。
【0060】
使用される水素は、中圧セパレータタンクから得られる。圧力18bar/gで送達され、実施例1のものと同様の組成を有する。
【0061】
同じ処理に供した実施例1の触媒を使用する。
【0062】
塩素は実施例1と同様にして除去する。
【0063】
軽質改質ガソリンは、以下の条件下で注入する。
・ 圧力:16bar
・ LHSV:触媒体積当たりの時間体積流量:1.5
・ 反応器入口温度:120℃
【0064】
上述した水素は、反応器の出口において、有効な少なくとも1barに等しいH分圧が得られるように、水素化されるべきベンゼンに対して化学量論的にやや過剰に注入される。
【0065】
反応器中の温度の上昇を60℃の値未満に制限するために、反応器中の水素化生成物は約4の流量で再循環される。
【0066】
実施例3:先行技術による方法と本発明による方法についての、ニッケル系触媒を用いて得られる性能レベルの比較
【0067】
実施例1及び2で得られる性能レベルを以下の表にまとめる。
【0068】
【表3】

【0069】
これら2つの場合において、ベンゼンの変換はほとんど全て(>99%)であることが注目される。したがって、投資の面でより経済的であり(反応部がより低圧であり、接触改質及びベンゼンの水素化のための安定化カラムが1基で済む)、実施がより簡単である(水素の再圧縮なし)、本発明による方法は、ベンゼンのほぼ完全な水素化を達成することを可能にする。
【0070】
実施例4:本発明による方法を用いることによる、白金系触媒を用いたベンゼンの水素化
【0071】
この実施例では、反応器に白金系触媒を充填する。それは、比表面積が200m/gのアルミナ上に付着された、0.3重量%の白金を含有する。白金の分散率は100%である。
【0072】
液体及び気体の原料並びに運転条件は、実施例2と同様である。
【0073】
実施例5:本発明による方法についての、ニッケル系触媒及び白金系触媒を用いて得られる性能レベルの比較
【0074】
実施例2及び4において得られる性能レベルを下記の表にまとめる。
【0075】
【表4】

【0076】
ニッケルを有する触媒のみが、本発明のスキームの条件下で、ベンゼンのほぼ完全な水素化を達成することを可能にするということが注目される。
【0077】
本発明によるスキーム、並びに推奨された触媒の使用は、1基の蒸留カラムを除去すること、即ち標準的なスキームにおける3基(1基のスプリッタ及び2基の安定化カラム)の代わりに2基のカラム(1基のスプリッタ及び1基の安定化カラム)が可能であるということを示している。装置の補給物質として使用される水素は、反応器に入る前に圧縮されない。
【0078】
本発明は、上記に示された詳細に限定されるべきではなく、本発明の適用分野から離れることなく多くの他の特定の形態のもとでの実施形態を可能にすることが、当業者にとって自明であろう。したがって、これらの実施形態は実例とみなされるべきであり、添付特許請求の範囲により定義される範囲を超えることなく、修正され得る。
【0079】
更に詳述することなく、当業者は、前述の説明を用いて、本発明を最大限利用することができると考えられる。前述の好ましい特定の実施形態は、したがって、単なる例示であって決して本開示の残りの部分を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0080】
上記及び実施例において、とくに指示しない限り、すべての温度は摂氏温度において修正されずに記載され、すべての部及び百分率は重量による。
【0081】
本明細書で引用された、すべての出願書類、特許、及び出版物、また対応する2008年7月18日に出願されたフランス出願番号08/04,102の全開示が、本明細書に参考として組み込まれる。
【0082】
前述の実施例は、一般的に又は具体的に記載した本発明の反応物及び/又は運転条件を、前述の実施例において使用されたものの代わりに用いることによって、同様の成功を伴って反復することができる。
【0083】
前述の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、かつ本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の用途及び条件に適合させるように本発明の種々の変更及び修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 接触改質装置
2 セパレータタンク
3 安定化カラム
4 改質ガソリンスプリッタ
5 水素化反応器
6 気液セパレータ
7 安定化カラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触改質ガソリン中に含有されるベンゼンの水素化方法であって、
該接触改質ガソリン中に存在する水素を、分離手段を用いて該改質ガソリンから分離し、
軽質のベンゼンリッチ留分を重質改質ガソリンから分離し、
ベンゼンを含有する軽質改質ガソリンを、90℃〜150℃の温度、0.5〜10のVVHにてニッケル系水素化触媒と、及びセパレータタンクの頂部における前記水素分離工程中に得られ前記セパレータの出口圧力で使用される水素の少なくとも一部と、接触させる、
ベンゼンの水素化方法。
【請求項2】
前記触媒が、10〜60重量%のニッケルを含む、請求項1に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項3】
前記触媒が、活性表面を有し、活性表面の分散率は少なくとも10%である、請求項1〜2のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項4】
前記触媒との接触が、5〜25barの圧力にて行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項5】
前記温度が95℃〜140℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項6】
前記VVHが1〜4である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項7】
前記軽質改質ガソリンが、改質ガソリンスプリッタ(4)からの側部抜き出しによって得られる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項8】
及びC留分が、改質ガソリンスプリッタ(4)の頂部において抜き出される、請求項7に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項9】
前記C及びC留分が、安定化カラム(7)へと送られる、請求項8に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項10】
前記軽質改質ガソリンが、改質ガソリンスプリッタ(4)の頂部における抜き出しによって得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項11】
ベンゼンを含有する前記軽質改質ガソリンと水素化触媒との間の前記接触工程の終わりに得られる水素化生成物の一部が、安定化カラム(7)へと送られる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項12】
前記水素化生成物が、前記安定化カラム(7)へと送られる前に気液セパレータ(6)へと送られる、請求項11に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項13】
前記安定化カラムが、接触改質から得られる任意の未安定化炭化水素留分を供給されることができる、請求項12に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項14】
前記安定化カラムの出口において、
ディーゼル燃料ネットワークへと送られるC留分、
石油化学の現場へと送られる高蒸気圧を有する軽質留分、
ガソリンプール又は異性化装置へと送られるより重質の留分、
の3つの留分が得られる、請求項13に記載のベンゼンの水素化方法。
【請求項15】
使用される前記安定化カラムが、上流の触媒改質装置の既存の安定化カラムである、請求項14に記載のベンゼンの水素化方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−528388(P2011−528388A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517963(P2011−517963)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000829
【国際公開番号】WO2010/007244
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】