説明

ベンゾイミダゾール化合物を調製するためのSNAr法

式Ia−2を有するベンゾイミダゾールカルボン酸コア構造などの複素環化合物の合成のための方法が提供されており、式中のX、X、X、R、R及びRは本明細書で規定されている。式Ia−2の化合物及びそれらの合成中間体は、ベンゾイミダゾール誘導体などの複素環誘導体を調製するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年6月23日に申請された米国仮出願第60/693,374号の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は複素環化合物の調製方法に関する。より具体的には、本発明は医薬品を調製するために使用することができるベンゾイミダゾール誘導体などの化合物の合成に関する。本発明はさらに、本発明の複素環化合物の合成の間に得られる中間体化合物及びその調製方法を含む。
【背景技術】
【0003】
ベンゾイミダゾール誘導体は、癌、ウイルス感染症、並びに炎症を伴う疾患及び病理的状態を治療するための治療薬として研究されてきており、過去数年において以下のものを含む多数の特許及び刊行物で開示されてきた。米国特許公開第2003/0232869号、第2004/0116710号、及び第2003/0216460号、米国特許第5,525,625号、国際公開第98/43960号、国際公開第99/01421号、国際公開第99/01426号、国際公開第00/41505号、国際公開第00/42002号、国際公開第00/42003号、国際公開第00/41994号、国際公開第00/42022号、国際公開第00/42029号、国際公開第00/68201号、国際公開第01/68619号、国際公開第02/06213号、国際公開第03/077914号、及び国際公開第03/077855号。
【0004】
特に、国際公開03/077914号は、スキーム1に例示するように一連の11段階で行う、2,3,4−トリフルオロ安息香酸からのベンゾイミダゾール誘導体11のナトリウム塩の合成を記載している。二置換アニリンの導入は、非置換アニリン部分の導入の後に続く臭素化及び塩素化からなる段階的導入によって達成される。この方法は多くの一連の合成段階を要するという点で非効率であるばかりでなく、選択性の問題があり、また塩素化反応にまつわる安全性の問題もある。例えば、スキーム1に示した合成法は、生産規模での実行が危険であり、且つ/又は最終的な医薬品の有効成分(API)中では許容されないレベルの副生成物を生成することがあり得る化学変換を多く含む。ある方法が工業的な用途に適当であるためには(i)大規模で実施することができ、(ii)環境に対する影響が最小限であり(例えば必要な原料の量及び/又は廃棄物の生成量という点で)、(iii)安全で(例えば、毒性の廃棄物を生成しない低毒性の材料を使用する)、且つ(iv)コストが可能な限り低く(例えば、より高い生産性があり、よりまとまりのある合成法であることにより)なければならないことは、当業者にはよく理解されるであろう。ベンゾイミダゾールなどの複素環化合物には、治療薬として有用である可能性があり、大規模生産にもっと適当な、ベンゾイミダゾール誘導体を製造する、より効率的な合成経路の必要性が引き続いてある。したがって、置換アニリンの導入を可能にする単一段階の手順は、ベンゾイミダゾール誘導体製造の目的に極めて有用であろう。
【化1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的には、本発明は、ベンゾイミダゾール誘導体などの治療用化合物の製造に有用な複素環化合物及びそれらの合成中間体を調製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、一般式Ia−1、Ia−2、Ib−1、Ib−2
【化2】


[式中、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、トリアルキルシリル又はジアルキルアリールシリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル及びC〜Cへテロシクロアルキルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、式Ib−1、Ib−2についてはRは水素ではなく、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
及びXは、水素、F、Cl、Br、I、OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル及びC〜C10チオアルキルから独立に選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びチオアルキル部分は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルであり、
及びRは、独立に、水素、トリフルオロメチル、−OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルであり、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって4〜10員のヘテロアリール又は複素環を形成し、前記ヘテロアリール及び複素環は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド及びORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、アリール又はアリールアルキルである]の化合物及びこれらの合成中間体並びにこれらの塩及び溶媒和物の調製のための方法が提供される。
【0007】
より具体的には、本発明の一実施形態は、式Ia−2
【化3】


[式中、R、R、R、X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]で表されるN−3ベンゾイミダゾール化合物及びこれらの合成中間体並びにこれらの塩及び溶媒和物を調製するための、本明細書において方法1と呼ぶ方法を提供し、前記方法は、式Va又はVb
【化4】


[式中、Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、X及びRは、本明細書において規定されている通りであり、R3aはH或いは還元性条件下で除去可能な置換又は非置換のベンジル、アリル若しくは−C(O)ORなどの基である]の化合物を式VI
【化5】


で表されるアニリンと、塩基の存在下で反応させて、Aが−NR3aである式VII−1aを有する化合物又はAがNである式VII−1b
【化6】


[R、R、R3a、X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式VII−1a又はVII−1bの化合物を還元して式VIII−1
【化7】


[R、R、X、X及びXは本明細書において規定されている通りであり、前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−1の化合物のNHRはNHである]の化合物を得ること、
前記式VIII−1の化合物を環化させて式Ia−1
【化8】


[R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
前記式Ia−1の化合物のニトリル基を、場合により(i)酸若しくは塩基を用いる又は用いない水性加水分解或いは(ii)酵素加水分解を使用して、COORに変換して式Ia−2
【化9】


の化合物を得ることを含む。
【0008】
方法1の一実施形態においては、式Va又はVbの化合物は、式IIa
【化10】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I又はスルホン酸エステルであり、Xは、本明細書において規定されている通りである]を有する化合物を、ニトロ化して式IV
【化11】


[式中、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
前記式IVの化合物を、(i)アンモニアを含有若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである前記式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである前記式Vbの化合物を得ることを含む方法によって調製される。
【0009】
方法1の別の実施形態においては、式Va又はVbの化合物は、式IIb
【化12】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、Xは、本明細書において規定されている通りである]の化合物をニトロ化して式III
【化13】


[X及びX及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIの化合物のカルボン酸基を第一級アミド(CONH)に変換して式IIId
【化14】


の化合物を得ること、
前記式IIIdの化合物の第一級アミド基を脱水して式IV
【化15】


の化合物を得ること、及び
前記式IVの化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである前記式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである前記式Vbの化合物を得ることを含む方法によって調製される。
【0010】
さらに別の実施形態においては、式Va又はVbの化合物は、式IIb
【化16】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、Xは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を、ニトロ化して式III
【化17】


[X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIの化合物を、(i)アンモニアを含有若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IIIの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである式IIIa−1の化合物を得ること、或いは前記式IIIの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IIIの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである式IIIa−2
【化18】


[式中、R、R3a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIa−1又はIIIa−2の化合物のカルボン酸基を、カルボン酸エステルに変換して、それぞれ式IIIb−1又はIIIb−2
【化19】


[式中、R、R3a、X、及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIb−1又はIIIb−2の化合物のカルボン酸エステル基を、第一級アミド基に変換して、それぞれ式IIIc−1又はIIIc−2
【化20】


[式中、R、R3a、X、及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
前記式IIIc−1又はIIIc−2の化合物の前記第一級アミド基を脱水して、前記式Va又はVbの化合物を得ることを含む方法によって調製される。
【0011】
別の実施形態においては、本発明は、式Ia−2で表されるN−3ベンゾイミダゾール化合物を調製するための、本明細書において方法2と呼ぶ方法を提供し、前記方法は、方法1で記載した通りに調製された式VIII−1
【化21】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであり、前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−1の化合物のNHRはNHである]の化合物を準備すること、
前記式VIII−1の化合物のニトリル基を、場合により(i)酸若しくは塩基を用いる又は用いない水性加水分解、或いは(ii)酵素加水分解を使用して、COORに変換して式VIII−2
【化22】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
前記式VIII−2の化合物を環化させて、前記式Ia−2の化合物を得ることを含む。
【0012】
別の実施形態においては、本発明は、式Ia−2で表されるN−3ベンゾイミダゾール化合物を調製するための、本明細書において方法3と呼ぶ方法を提供し、前記方法は、方法1で記載した通りに調製された式VII−1a又はVII−1b
【化23】


[式中、R、R、R3a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を提供すること、
前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のニトリル基を、場合により(i)酸若しくは塩基を用いる又は用いない水性加水分解或いは(ii)酵素加水分解を使用して、COORに変換して式VII−2a又はVII−2b
【化24】


[式中、R、R、R、R3a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式VII−2a又はVII−2bの化合物を還元して式VIII−2
【化25】


[式中、R、R、R、R3a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであり、前記式VII−2a又はVII−2bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−2の化合物のNHRはNHである]の化合物を得ること、及び
前記式VIII−2の化合物を環化して式Ia−2の化合物を得ることを含む。
【0013】
さらに別の実施形態においては、本発明は、式Ib−2
【化26】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであるが、Rは水素ではないという条件が付く]で表されるN−1ベンゾイミダゾール化合物及びこれらの合成中間体並びにこれらの塩及び溶媒和物を調製するための、本明細書において方法4と呼ぶ方法を提供し、前記方法は、方法1に記載された通りに調製された式VIII−1
【化27】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであるが、Rは水素ではないという条件が付き、且つ前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−1の化合物のNHRはNHである]の化合物を準備すること、
前記式VIII−1の化合物を環化させて式Ib−1
【化28】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
Ib−1中のニトリル基を、場合により(i)酸若しくは塩基を用いる又は用いない水性加水分解、或いは(ii)酵素加水分解を使用して、COORに変換して式Ib−2
【化29】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ることを含む。
【0014】
一実施形態においては、以下に記載する環化の方法Aを、上記の方法4と併用することができる。
【0015】
上記の方法1〜4の任意の方法において、式VIII−1又はVIII−2の化合物を環化させてベンゾイミダゾールコア構造を得る段階は、いくつかの方法で実施することができる。5つの環化方法、すなわち方法A〜Eを、式VIII−1の化合物の環化に関して以下に一般的に記載する。しかし、方法A〜Eは、式VIII−2の化合物の環化に対しても同じく適用されることは理解されるはずである。これらの環化方法は、使用する試薬及び式VIII−1の化合物上の具体的なR置換基に応じてN−3ベンゾイミダゾール又はN−1ベンゾイミダゾールのいずれをも与える。
【0016】
方法A:Rが水素である式VIII−1の化合物は、式Ia−1で表され、Rが水素である対応するベンゾイミダゾールに、(i)ギ酸を用いて、場合により第2の酸の存在下で又は(ii)ギ酸誘導体を用いて、酸の存在下で処理すると「ワンポット」法によって環化させることができる。前記式Ia−1の化合物のニトリル基は、次いでRが本明細書において規定されている通りであるCOOR基に変換されて、式Ia−2によって表され、Rが水素であるベンゾイミダゾール互変異性体を得ることができる。所望であれば、式Ia−2の化合物は、アルキル化剤と反応させてN−1及びN−3アルキル化ベンゾイミダゾールIa−2及びIb−2
【化30】


[式中、R及びRは水素ではない]の混合物を得ることができる。
【0017】
方法B:Rが水素ではない式VIII−1の化合物は、式Ib−1によって表される対応するN−1ベンゾイミダゾールに、(i)ギ酸を用いて、場合により第2の酸の存在下で、(ii)ギ酸誘導体を用いて、酸の存在下で、又は(iii)ホルムアルデヒド若しくはホルムアルデヒド誘導体を用いて、酸の存在下で処理すると「ワンポット」法によって環化させることができる。前記式Ib−1の化合物のニトリル基は、次いでRが本明細書で規定されている通りであるCOOR基に変換されて、式Ib−2の化合物を得ることができる。
【0018】
方法C:Rが水素である式VIII−1の化合物は、式Ia−1によって表され、Rがメチルである対応するN−3ベンゾイミダゾールに、2当量以上のホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体を用いて酸の存在下で処理すると、「ワンポット」法によって環化させることができる。前記式Ia−1の化合物のニトリル基は、次いでRが本明細書で規定されている通りであるCOOR基に変換されて、式Ia−2の化合物を得ることができる。
【0019】
方法D:Rが水素である式VIII−1の化合物は、対応するRが水素ではない式Ib−1によって表される対応するベンゾイミダゾールに、段階的方法によって環化させることができ、その方法は、
(a)(i)式VIII−1の化合物を
【化31】


アシル化剤と反応させて式IX−1
【化32】


[式中、R、R、X、X、Xは、本明細書において規定されている通りであり、R4aは、H、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルである]の化合物を得ること、及び
(ii)前記式IX−1の化合物のアミド基を還元して、式X−1
【化33】


[式中、R、R、R4a、X、X、Xは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、又は
(b)前記式VIII−1の化合物を、アルキル化剤と反応させて前記式X−1の化合物を得ること、並びに
(c)前記式X−1の化合物を、(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、第2の酸の存在下で、反応させて式Ia−1の化合物を得ることを含む。前記式Ia−1の化合物のニトリル基は、次いでRが本明細書において規定されている通りであるCOOR基に変換されて、式Ia−2の化合物を得ることができる。
【0020】
方法E:Rが水素ではない式VIII−1の化合物は、対応するRが水素ではない式XI−1のベンゾイミダゾール化合物に、段階的方法で環化されることができ、この方法は
(a)(i)式VIII−1
【化34】


の化合物を、適当なアシル化剤と反応させて式IX−1
【化35】


[式中、R、R、X、X、Xは、本明細書において規定されている通りであり、R4aは、H、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルである]の化合物を得ること、及び
(ii)前記式IX−1の化合物のアミド基を還元して、式X−1
【化36】


[式中、R、R、R4a、X、X、Xは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、又は
(b)前記式VIII−1の化合物を、アルキル化剤と反応させて前記式X−1の化合物を得ること、並びに
(c)前記式X−1の化合物を、(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、第2の酸の存在下で、反応させて式XI−1
【化37】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、さらに
基を除去して、式Ia−1のN−3ベンゾイミダゾール化合物を得ることを含む。前記式Ia−1の化合物のニトリル基は、次いでRが本明細書で規定されている通りであるCOOR基に変換されて、式Ia−2の化合物を得ることができる。
【0021】
本発明のさらなる利点及び新規な特徴は、部分的には以下の記載において示され、且つ部分的には以下の詳述を検討すれば当業者には明らかとなり、或いは本発明の実施によって分かるであろう。本発明の利点は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲で詳しく指摘する手段、組合せ、構成、及び方法によって十分に理解され達成されることができる。
【0022】
本明細書に組み入れられて明細書の一部分を形成する付帯の図面は、本発明の非限定的実施形態を例示し、説明と併せて、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一態様は、式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2
【化38】


[式中、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、トリアルキルシリル又はジアルキルアリールシリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル及びC〜Cへテロシクロアルキルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、式Ib−1、Ib−2についてはRは水素ではなく、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
及びXは、水素、F、Cl、Br、I、OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル及びC〜C10チオアルキルから独立に選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びチオアルキル部分は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルであり、
及びRは、独立に、水素、トリフルオロメチル、−OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルであり、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって4〜10員のヘテロアリール又は複素環を形成し、前記ヘテロアリール及び複素環は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド及びORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、アリール又はアリールアルキルである]の化合物及びこれらの合成中間体並びにこれらの塩及び溶媒和物の調製のための方法を提供する。
【0024】
一般式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2のN−3ベンゾイミダゾール化合物を調製する方法は、以下に記載するいくつかの方法で実施することができる。一般式Ia−1及びIa−2のN−3ベンゾイミダゾール化合物を調製するための3つの方法、すなわち方法1〜3は図1に示す。同じく図1に示す方法4は、式Ib−1及びIb−2によって表されるN−1ベンゾイミダゾール誘導体の合成を表している。
【0025】
方法1〜4のある実施形態においては、Xはハロゲンである。他の実施形態においては、XはFである。さらに別の実施形態においては、XはH又はハロゲンである。別の実施形態においては、Xはアルキル又はハロゲンである。一実施形態においてはXはBrである。
【0026】
方法1〜4のある実施形態においては、RはC〜C10アルキルである。特定の実施形態においては、Rはメチルである。
【0027】
方法1〜4の一部の実施形態においては、Rは水素である。
【0028】
方法1:本発明の一実施形態は、本明細書において方法1と呼ばれ、図1に図式的に示す、式Ia−1及びIa−2
【化39】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物及びこれらの合成中間体並びにこれらの塩及び溶媒和物を調製する方法を提供する。
【0029】
より具体的には、方法1は、図1に示す通り、式Ia−1又はIa−2の化合物の式Va又はVb
【化40】


[式中、XはF、Cl、Br、I又はスルホン酸エステル(例えばトリフルオロメタンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル又はp−トルエンスルホン酸エステル、ただしこれらだけには限定されない)であり、R3aはH又は還元性条件下で除去可能な基例えば置換若しくは非置換ベンジル、アリル又は−C(O)ORであり、X及びRは本明細書において規定されている]の化合物からの調製を含む。
【0030】
式Va又はVbの化合物は、図2に示すいくつかの方法によって調製することができる。例えば、一実施形態によれば式Va又はVbの化合物は、
式IIa
【化41】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、Xは、本明細書において規定されている通りである]の化合物をニトロ化して式IV
【化42】


[式中X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ることを含む方法によって調製される。一実施形態においては、X、X及びXはFである。式IVの化合物は、次いで(i)アンモニアを含有又は生成する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級又は第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件の下で反応させて、AがNR3aである前記式Vaの化合物を得るか、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件の下で反応させて、AがNである前記式Vbの化合物を得る。
【0031】
式IVの化合物の調製に適当なニトロ化反応条件は、当業者には周知であり、式IIaの化合物を濃硫酸などの活性化剤の存在下で硝酸と反応させることを含むが、これだけには限定されない。
【0032】
引き続いて図2を参照すると、式IVの化合物のX基は、次いで窒素求核剤によって選択的に置換されて、式Va又はVbの化合物を得る。アンモニアを含有するか又は発生する求核剤の例には、NH及びNHOHが含まれるが、これらだけには限定されない。求核性の第一級アミン及び第二級アミンの例には、式HNR3aを有し、R及びR3aが本明細書において規定されているアミンなどがある。第一級アミン及び第二級アミンの具体的な例には、メチルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン及びヘキサメチルジシラザンが含まれるが、これらだけには限定されない。後でアミンに変換できる基を供給する求核剤の例には、(1)ナトリウムアミド、カリウムアミド及びリチウムアミドなどの金属アミド、又はどれらのアルキル化誘導体、(2)これらだけには限定されないが、ヒドロキシアミン及びヒドラジンなどの保護されたアンモニア又はアミド等価物、(3)式MNR3aを有する窒素求核剤[MはNa、K、Li、Cs、Mg又はAlなどの金属であり、R及びR3aは本明細書において先に規定されており、NaNH、KNH又はLiNHなど]、及び(4)金属シリルアミド、例えば、リチウム(ビス)(トリメチルシリル)アミド、ナトリウム(ビス)(トリメチルシリル)アミド又はカリウム(ビス)(トリメチルシリル)アミドなどが含まれるが、これらだけには限定されない。求核性金属アジドの例には、ナトリウムアジド(NaN)、カリウムアジド(KN)及びリチウムアジド(LiN)などが含まれるが、これらだけには限定されない。
【0033】
芳香族環中のニトロ基に対してオルト又はパラの脱離基の求核置換は、芳香族環中へアミノ基を導入するための当技術分野において周知の方法である。式IVの化合物の場合は、制御された反応条件下では、脱離基X及びXは、別々の段階において独立に置換することができることが発見された。すなわち、式IV中のオルト位の基(すなわちX基)はニトロ基に、窒素求核剤によって選択的に置換され、反応が適切な反応条件下で実施される場合にはX基の置換は最小限にしか起こらないかまったく起こらない。式IVの化合物のニトロ基に対してオルト位での選択的なモノアミノ化を達成するために必要な反応条件(例えば、温度、圧力、求核剤の当量、その他)は、求核剤の強さに依存する。例えば、強い求核剤を使用する場合は、反応を室温以下の温度及び大気圧で1当量の求核剤を使用して容易に進行させて所望のモノアミノ化生成物を得ることができる。強い求核剤の例には、アンモニア水(30容積/容積%)並びにナトリウムアミド、カリウムアミド及びリチウムアミドなどの金属アミドが含まれるが、これらだけには限定されない。或いは、弱い求核剤を使用する場合は、モノアミノ化を達成するためにはもっと強制的な条件、例えば高温及び/又は高圧及び/又は過剰量の求核剤などが必要になることがある。弱い求核剤の例には、t−ブチルなどの立体的にかさ高い基で置換された第一級アミン又は第二級アミンが含まれるが、これらだけには限定されない。ニトロ基に対してオルト位にアミノ基を導入すると、式Va及びVbで表される置換生成物をもたらし、これはそれ以上の求核攻撃に対しては反応性がより低く、それ故にこの反応は高度の選択性を以って行うことができる。ニトロ基に対してパラ位の脱離基Xは、方法1の後に続く段階においてアニリン求核剤によって置換される。これら2つの置換反応を選択的に且つ独立に行うことができるという方法の発見は、1a−1及び1a−2によって表されるタイプの置換ベンゾイミダゾールの製造の効率的な経路を可能にする。
【0034】
特定の一実施形態においては、式Vaの化合物は、式IVの化合物を過剰の室温のNHOHと、水中(有機共溶媒あり又はなしで)で反応させることによって調製される。適当な有機共溶媒の例は、THF、1,4−ジオキサン及びN−メチルピロリドンなどである。或いは、式Vaの化合物は、式IVの化合物をアンモニア水と、0〜130℃、特には30〜130℃の温度で、1〜5barのNH(g)の下で反応させることによって調製することができる。一実施形態においては、式IVの化合物は、アンモニア水と、0℃〜室温の温度で反応させる。別の実施形態においては、式IVの化合物は、アンモニア水と1barのNH(g)の下で反応させる。
【0035】
図2に示す別の一実施形態によれば、式Va又はVbの化合物は、式IIb
【化43】


[式中X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物をニトロ化して式III
【化44】


[式中X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIの化合物のカルボン酸基を、当業者には周知の標準的条件下で(例えば、式IIIの化合物を濃水酸化アンモニウム水溶液を用いて室温で処理することによって)、第一級アミド基に変換して、式IIId
【化45】


[式中X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
前記式IIIdの化合物の第一級アミド基を、当業者には周知の標準的条件下で脱水して式IVの化合物
【化46】


を得ること、及び
前記式IVの化合物を、(i)アンモニアを含有する又は生成する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級又は第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件の下で反応させて、AがNR3aである前記式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件の下で反応させて、AがNである前記式Vbの化合物を得ることを含む方法によって調製される。例えば、一実施形態においては、X=X=X=Fである式IIIdの化合物は、POClを用いて、周囲温度を超える温度で及びこれだけには限定されないがアセトニトリルなどの適当な溶媒中で処理して式IVの化合物を得ることができる。
【0036】
式IIIの化合物を調製するためのニトロ化条件は、上記の通りである。例えば、一実施形態においては式IIbによって表されるトリハロ安息香酸を、発煙硝酸を用いてHSO中で処理して、式IIIによって表される2,3,4−トリハロ−5−ニトロ安息香酸を高収率でもたらすことができる。
【0037】
図2によって表されるさらにもう1つの実施形態においては、式Va又はVbの化合物は、
式IIb
【化47】


[式中X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物をニトロ化して式III
【化48】


[式中X、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIの化合物を、(i)アンモニアを含有又は生成する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級又は第二級アミンと、又は(iii)後で前記式IIIの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下においてアミンに変換できる基を供給する試薬と、反応させて、AがNR3aである式IIIa−1の化合物を得ること、或いは前記式IIIの化合物を、(iv)金属アジドと前記式IIIの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件の下で反応させて、AがNである前記式IIIa−2
【化49】


の化合物を得ること、
前記式IIIa−1又はIIIa−2の化合物のカルボン酸基を、当業者には周知の標準的条件下でカルボン酸エステルに変換してそれぞれ式IIIb−1又はIIIb−2
【化50】


[式中R、R3a、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、
前記式IIIb−1又はIIIb−2の化合物のカルボン酸エステル基を、当業者には周知の標準的条件下で第一級アミド基に変換してそれぞれ式IIIc−1又はIIIc−2
【化51】


[式中R、R3a、X及びXは本明細書において規定されている通りである]の化合物を得ること、及び
前記式IIIc−1又はIIIc−2の式の化合物の第一級アミド基を、当業者には周知の標準的条件下で脱水して式Va又はVbの化合物を得ること
を含む方法によって調製される。
【0038】
本発明はさらに、式Va及びVbの化合物及びその塩並びに溶媒和物を提供する。式Vaの化合物の一実施形態においては、X及びXはFであり、R及びR3aはHである。
【0039】
続いて図1を参照すると、式VII−1a又はVII−1b
【化52】


[式中、X、X、X、R、R、R3a、A及びZは、本明細書において規定されている通りである]の化合物は、次いで式Va又はVbの化合物をそれぞれ置換又は非置換アニリンと反応させることによって調製される。より具体的には、方法1による式VII−1aの化合物の調製のための一実施形態は、式Va又はVbの化合物及び式VI
【化53】


[式中、X、X及びRは本明細書において規定されている通りである]を有するアニリンの間の、適切な溶媒中の適当な塩基の存在下における、芳香族求核置換(SAr)反応を含む。前記式Va/Vbの化合物中のニトリル部分は、同じ位置にあるエステル基と比較して、この求核置換反応に関してより有効な活性化置換基であることが見出された。
【0040】
Ar反応は、連結された化合物VII−1aへの効率的な変換を達成するために、アニリン基剤を脱プロトン化するのに足る強さの塩基の存在下で実行する。反応性の求核性アニリンを生成することができる塩基の例には、ナトリウムヒドリドなどの金属水素化物;リチウムジアルキルアミン(例えば、リチウムジイソプロピルアミド)などのジアルキル金属アミド;ヘキサアルキルジシラジド(例えば、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド又はカリウムヘキサメチルジシラジド)などの金属シラジド、;第一級、第二級若しくは第三級アルコールから得られるカリウム、ナトリウム若しくはリチウムアルコキシド(例えば、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムイソアミラート)などの金属アルコキシド;金属アミド(例えば、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムアミド);グリニャー剤(例えば、アルキルマグネシウムハライド);及びトリアルキルアルミニウム剤などのアルミニウム剤が含まれるが、これらだけには限定されない。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、式VII−1a又はVII−1bの化合物は、図1に示す通り式Va又はVbの化合物を式VIのアニリンと、非プロトン性有機溶媒中の塩基の存在下に、−50〜80℃の温度で反応させることによって調製することができる。適当な有機溶媒の例には、THF、ジエチルエーテル及びN−メチルピロリドンが含まれるが、これらだけには限定されない。一実施形態においては、アニリンは式VI
【化54】


[X、X及びRは、本明細書において規定されている通りである]を有する。
特定の一実施形態においては、XはBrである。他の一実施形態においては、R及びR3aが水素であり、且つX及びXがFである式Vaの化合物は、4−ブロモ−2−クロロアニリンである式VIの化合物と、塩基、例えばカリウムtert−ブトキシドの存在下のTHF中で、−10〜50℃の温度で反応させて、R及びR3aが水素であり、XがFであり、Xが2−クロロであり、Xが4−ブロモである式VII−1aの化合物を得る。
【0042】
本発明は、さらに式VII−1a及びVII−1b
【化55】


の化合物並びにこれらの塩及び溶媒和物を提供する。式VII−1aの化合物の一実施形態においては、XはFであり、R、R及びR3aはHである。
【0043】
引き続き図1を参照すると、式VII−1a又はVII−1bの化合物のニトロ基は、次いで還元されて式VIII−1の化合物を得る。還元段階は当業者には周知の反応条件及び試薬を使用して実行することができる。ニトロ基を還元する適当な方法の例には、溶解金属還元、接触水素化、及び酵素反応が含まれるが、これらだけには限定されない。溶解金属還元のより具体的な例には、適当な溶媒中の金属の酸性条件下での使用などがある。溶解金属還元に適当な金属の例には、Zn、Fe及びSnが含まれるが、これらだけには限定されない。例えば、一実施例においてはVII−1aの化合物は、亜鉛末及び濃HClを適当な溶媒系中で使用して、0〜100℃、より通常には40〜60℃の温度で式VIII−1の化合物に変換できる。溶解金属還元に適当な溶媒系には、メタノール及びTHFの混合物などの有機溶媒系が含まれるが、これらだけには限定されない。接触水素化は、適当な溶媒系中の金属触媒の存在下において、水素下(例えば1〜20atmH)、0〜100℃で実行することができる。接触水素化において使用するのに適当な金属触媒には、Pd、Pt、Rh及びNiが含まれるが、これらだけには限定されない。適当な溶媒系の例には、イソプロパノール及びTHFの混合物などの有機溶媒及び/又は水性溶媒系が含まれるが、これらだけには限定されない。接触水素化は、有機溶媒中でもパラジウム又は白金に基づく触媒(例えば、炭素に担持されたパラジウム又は白金金属、ただしこれらだけには限定されない)の存在下、60psiよりも高い水素圧力で実行することができる。一実施形態においては、接触水素化が、式VII−1aの化合物の式VIII−1の化合物への変換を達成するのに特に有効であることが見出された。
【0044】
本発明はさらに、式VIII−1の化合物並びにそれらの塩及び溶媒和物を提供する。式VIII−1の化合物の一実施形態においては、XはFであり、R、R及びR3aはHである。
【0045】
引き続いて図1を参照すると、式VIII−1の化合物は、式Ia−1
【化56】


[式中、X、X、X、R及びRは、本明細書において規定されている通りである]で表されるベンゾイミダゾール誘導体へ環化することができる。ベンゾイミダゾールコア構造Ia−1を得る環化段階は、後に詳細に記載する方法A、C又はDのいずれか1つなどのいくつかの方法で実行することができる。
【0046】
本明細書においては式Ia−1の化合物並びにそれらの塩及び溶媒和物も提供される。
【0047】
式Ia−1によって表されるニトリル誘導体は、Rが本明細書において規定されている通りであるCOOR基へ変換して式Ia−2
【化57】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]によって表されるカルボキシ誘導体を得ることができる。ニトリルのカルボン酸又はカルボン酸エステルへの加水分解又は加アルコール分解、例えば化学的又は酵素的方法などは、当業者には周知である。例えば、ニトリルをCOORに変換する化学的方法は、有機共溶媒を用いる又は用いない水中での、酸又は塩基の存在下における加水分解を含む。適当な塩基には、I族又はII族金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが含まれるが、これらだけには限定されない。適当な酸の例には、鉱酸、例えば塩酸、硫酸などが含まれるが、これらだけには限定されない。一実施形態においては、式Ia−1のニトリル基の、RがHである式Ia−2の化合物を得る加水分解は、水酸化カリウムなどの塩基を使用して水中で、THFなどの有機共溶媒を用いて又は用いずに行う。
【0048】
化学的加水分解に代わる方法として、式Ia−1の化合物のニトリル基をカルボン酸に加水分解して式Ia−2の化合物を得る酵素も入手可能である。ニトリル基を直接カルボン酸に変換するかかる酵素の例にはニトリラーゼが含まれるが、これらだけには限定されない。
【0049】
方法2:さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、本明細書において方法2と呼ぶ、式Ia−2
【化58】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物及びこれらの合成中間体並びにこれらの塩及び溶媒和物を調製する方法を提供する。方法2は、図1に例示される通り、CN基を合成経路のより早い段階においてCOORに変換するということを除けば、方法1のSAr経路に従う。特に、方法2によって、ZがCNである式VIII−1の化合物を、ZがCOORであるVIII−2の化合物に変換する。加水分解は、方法1で記載した化学的又は酵素的触媒反応法を含む当業者には知られている方法を使用して行うことができる。
【0050】
式VIII−2の化合物は、次いで環化させてZがCOORである式Ia−2によって表されるN−3ベンゾイミダゾールコア構造を得ることができる。ベンゾイミダゾールコア構造を得る環化段階は、後で詳細に記載する方法A、C及びDのいずれか1つなどのいくつかの方法で実行することができる。
【0051】
方法3:さらに他の一実施形態において、本発明は式Ia−2の化合物及びこれらの合成中間体を調製するための、本明細書において方法3と呼ぶ方法を提供する。方法3は、図1で例示される通り、CN基を合成経路のより早い段階においてCOORに変換するということを除けば、方法1のSAr経路に従う。特に、方法3によれば、ZがCNである式VII−1a又はVII−1bの化合物を、それぞれZがCOORであるVII−2a又はVII−2bの化合物に変換する。式VII−1a又はVII−1bの化合物のニトリル部分の、Rが本明細書において規定されている通りであるCOOR基への変換は、方法1で記載した化学的又は酵素的触媒反応法を含む当業者には知られている方法を使用して行うことができる。
【0052】
式VII−2a及びVII−2bの化合物は、次いでニトロ部分を、方法1において記載したものなどの条件を使用して還元すると、式VIII−2の化合物に変換できる。式VIII−2の化合物は、環化させてZがCOORである式Ia−2によって表されるN−3ベンゾイミダゾールコア構造を得ることができる。ベンゾイミダゾールコア構造を得るこの環化段階は、後で詳細に記載する方法A、C及びDのいずれか1つなどの、いくつかの方法で実行することができる。
【0053】
方法4:さらに他の一実施形態において、本発明は、式Ib−2
【化59】


[式中、R、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであるが、Rは水素ではないという条件が付く]で表されるN−1ベンゾイミダゾール化合物及びそれらの合成中間体並びにそれらの塩及び溶媒和物を調製するための、本明細書において方法4と呼ぶ方法を提供する。方法4は、図1で例示される通り、式VIII
【化60】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物の調製までは、方法1のSAr経路に従う。後で詳細に記載する方法Bによる式VIII−1の化合物の環化は式Ib−1
【化61】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の1−Hベンゾイミダゾールを得る。
【0054】
次いでIb−1中のニトリル官能基の、Rが本明細書において規定されている通りであるCOOR基への変換を、方法1で記載した化学的又は酵素的触媒反応法を含む当業者には知られている方法を使用して行い、式Ib−2の化合物を得ることができる。
【0055】
本発明の方法1〜4は、一般式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2の化合物を調製するための従来の方法を超える、いくつかのはっきりした利点を提供する。例えば、本発明の方法は、従来の方法と比較して高い収率で、一般式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2化合物を得る。さらに、本発明は、式VIII−1及びVIII−2の化合物の位置選択的及び化学選択的な環化の方法を提供し、それぞれ式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2のベンゾイミダゾールを得る。加えて、本発明の方法は、ベンゾイミダゾールの大規模合成のためには、従来の方法よりも信頼性があり、且つ適当である。例えば、以下に詳細に記載する方法A及びC〜Eによる式VIII−1の化合物の式Ia−1の化合物への環化、又は以下に記載する方法Bによる式VIII−1の化合物の式Ib−1の化合物への環化は、先行技術においてベンゾイミダゾール環系の合成のために使用された方法よりもはるかに少ない毒性副生成物を生成し、且つさらに効率的な方法である。本発明の合成方法は選択的であり、また本発明の化合物の調製は高収率で行うことが可能であり、それ故に産業上の価値を提供する。さらに、式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2で表されるベンゾイミダゾール誘導体は、トリハロ安息香酸から比較的少数の段階で合成することができる。
【0056】
ベンゾイミダゾールの環化
先に述べた通り、本発明のベンゾイミダゾールコア構造Ia−1、Ia−2、Ib−1又はIb−2を得る方法1〜4における式VIII−1又はVIII−2の化合物の環化は、いくつかの方法で実行することができる。5つの方法、すなわち方法A〜Eは、以下に説明し、図3〜7で例示する。本環化方法は、使用する試薬及びR置換基の性格に応じてN−3ベンゾイミダゾール誘導体又はN−1ベンゾイミダゾール誘導体のいずれかを得る。方法A〜Eは、式VIII−1の化合物の環化に関して以下に説明する。しかし、これらの環化方法が、式VIII−2の化合物の環化にも等しく適用されることは理解されるはずである。
【0057】
方法A:図3に示す通り、環化方法Aによれば、式VIII−1
【化62】


[式中、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]の化合物は、式Ia−1
【化63】


で表される対応するベンゾイミダゾール互変異性体に、式VIII−1の化合物を(i)ギ酸と、場合により追加の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、酸の存在下で、当業者には知られている適切な条件の下で反応させることを含む「ワンポット」法によって、環化させることができる。本明細書で使用する「ギ酸誘導体」は、ギ酸のエステル、例えば、これらだけには限定されないオルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、及び酢酸ホルムアミジンを含むが、これらだけには限定されない。例えば、一実施形態においては、R及びR3aが水素である式VIII−1の化合物は、THF溶液中でオルトギ酸メチル及び硫酸と反応させると、式Ia−2の化合物に非常に高収率で変換された。所望とあれば、式Ia−2の化合物を、アルキル化剤と反応させてN−1及びN−3アルキル化ベンゾイミダゾールIa−2及びIb−2
【化64】


[式中、R及びRは水素ではない]の混合物を得ることができる。
【0058】
方法B:環化方法Bによれば、図4に示す通り、Rが水素ではない式VIII−1の化合物は、式Ib−1
【化65】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]によって表される対応するN−1ベンゾイミダゾール誘導体に、式VIII−1の化合物を(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、(ii)ギ酸誘導体と、酸の存在下で、又は(iii)ホルムアルデヒド若しくはホルムアルデヒド誘導体と、酸の存在下で、当業者には知られている適切な条件の下で反応させることを含む「ワンポット」法によって環化させることができて、Rが水素ではない式Ib−1で表されるN−1ベンゾイミダゾール誘導体を得る。
【0059】
方法C:環化方法Cは、図5に示す通り、式VIII−1の化合物を選択的且つ直接的に式Ia−1
【化66】


[式中、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであり、Rはメチルである]によって表されるN−3ベンゾイミダゾール誘導体に変換する「ワンポット」法を提供する。方法Cは、式VIII−1又はVIII−2の化合物を、2モル当量以上のホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体を用いて酸の存在下で処理することを含む。この反応は、好都合にも完全な位置選択性をもって進行し、式Ia−1によって表されるN−3メチルベンゾイミダゾールを得る。本明細書で使用する「ホルムアルデヒド誘導体」という用語には、ジエトキシメタン及びジメトキシメタンなどのジアルコキシメタンが含まれるが、これらだけには限定されない。この発明の目的に適当な酸には、鉱酸(例えば、硫酸、HCl、HBr)、スルホン酸(メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、その他)及びカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、その他)が含まれる。非限定的な一実施形態においては、この反応は、水及びジエトキシメタン又はジメトキシメタンを含むアセトニトリル中で、トルエンスルホン酸などの酸の存在下で実行する。
【0060】
方法D:他の一実施形態によれば、Rが水素ではない式Ia−1によって表されるN−3ベンゾイミダゾール誘導体を、式VIII−1の化合物から、図6に示す通り段階的な方法で調製することができる。より具体的には、方法Dは、Rが水素である式VIII−1の化合物を、適当なアシル化剤、ギ酸、酸無水物(例えば、無水酢酸)酸ハロゲン化物(例えば、塩化アセチル)又はエステル(例えば、ギ酸トリフルオロエチル)など、ただしこれだけには限定されない、を用いて処理して、式IX−1
【化67】


[式中、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであり、R4aは、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されている]によって表される中間体化合物を得ることを含む。
【0061】
次いで式IX−1の化合物のアミド基を還元して、式X−1
【化68】


[式中、R、R4a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]で表される中間体化合物を得る。適当な還元剤には、THFなどの適切な溶媒中のボラン型還元剤(例えば、BH・THF)が含まれるが、これだけには限定されない。
【0062】
別の方法として、式X−1の化合物は、図6に示す通り式VIII−1の化合物から直接に、アルキル化剤との反応によって形成させることができる。適当なアルキル化剤の例には、ハロゲン化アルキル(ヨウ化エチルなど)、アルキルトシレート、アルキルメシレート及びアルキルトリフレートが含まれるが、これらだけには限定されない。
【0063】
式Ia−1
【化69】


[式中、R4は水素ではない]によって表されるベンゾイミダゾールを得るための式X−1の化合物の環化は、式X−1の化合物を(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、酸の存在下で、当業者には知られている適切な条件下において反応させて式Ia−1の化合物を得ることによって遂行される。適当なギ酸エステルの例には、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル及び酢酸ホルムアミジンが含まれるが、これらだけには限定されない。
【0064】
方法E:本明細書において方法Eと呼ぶ、別の多段環化方法においては、Rが水素ではない式Ia−1によって表されるN−3ベンゾイミダゾール誘導体は、図7に示す通り、式VIII−1の化合物から段階的方法で調製することができる。
【0065】
より具体的には、方法Eは、Rが水素ではない式VIII−1の化合物を、適当なアシル化剤、ギ酸、酸無水物(例えば、無水酢酸)、酸ハロゲン化物(例えば塩化アセチル)又はエステル(例えばギ酸トリフルオロエチル)など、ただしこれらだけには限定されない、で処理して式IX−1
【化70】


[式中、R、R、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りであり、R4aは、H、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されている]によって表される中間体化合物を得ることを含む。
【0066】
式IX−1の化合物のアミド基は、次いで還元されて式X−1
【化71】


[式中、R、R、R4a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]によって表される中間体化合物を得る。適当な還元剤には、THFなどの適切な溶媒中のボラン型還元剤(例えば、BH・THF)が含まれるが、これだけには限定されない。別法としては、式X−1の化合物は、方法Dにおいて論じた通り、式VIII−1の化合物から直接に、図7に示すように、アルキル化剤との反応によって形成させることができる。式X−1の化合物の環化は、式XI−1
【化72】


[式中、R、R、R4a、X、X及びXは、本明細書において規定されている通りである]によって表されるベンゾイミダゾールを得る。前記式XI−1の化合物からのR基の除去は、式Ia−1のN−3ベンゾイミダゾール化合物を得る。
【0067】
ベンゾイミダゾールからN−1置換基を除去する方法は、当業者には周知であり、必要な試薬及び反応条件はR基の性格に依存する。例えば、式XI−1の化合物のR基が、N−アルキル、N−アリル、N−ベンジル、−C(O)OR又は−CORである場合は、R基の除去は水素化によって達成することができる。N−1アリル置換基は、式XI−1の化合物を、ウィルキンソン触媒としても知られているRh(PPhClなどの有機金属触媒の存在下で加熱することによっても、式XI−1の化合物から除去することができる。
【0068】
環化方法A、B、C及びEのためのギ酸エステルの例には、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、及び酢酸ホルムアミジンが含まれる。
【0069】
上記の本発明の環化方法A〜Eは、従来のベンゾイミダゾール誘導体の調製方法を超えるいくつかの利点を提供する。第1に、ジアミノアリール化合物のベンゾイミダゾールへの変換の文献例が少数だけあるが(例えば、G.P.Ellis、R.T.Jones、J.Chem.Soc.,Perkin 1、1974、903頁、G.T.Morgan、W.A.P.Challenor、J.Chem.Soc.Trans.、1921、1537頁、N.S.Zefirov、et al.、Zyk、ECHET98:Electronic Conference on Heterocyclic Chemistry、(1988)406〜408頁、V.Milata、D.Ilavsky、Organic Proc.And Prep.Int.、(1993)、25:703〜704頁、参照)、しかし、報告された例のどれも本発明の方法に含まれているもののような高度に置換された基剤を含んではいない。加えて、文献例の多くにおいて位置選択性が不確かである(G.T.Morgan、W.A.P.Challenor、J.Chem.Soc.Trans.、1921、1537頁)。さらに、本発明の方法は、従来の方法で使用されるHCl/HCHO混合試薬よりも毒性の弱い試薬を使用し、それ故にジクロロメチルエーテルなどの毒性の副生成物を生成しないので、産業上の用途により適している。
【0070】
本明細書で使用する「C〜C10アルキル」及び「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する飽和で直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基のことを言うものであり、そのアルキル基は以下に記載する1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、3−メチルペンチル、ヘプチル、オクチルなどが含まれるが、これらだけには限定されない。
【0071】
「C〜C10アルケニル」及び「低級アルケニル」という用語は、1〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基のことを言うものであり、エテニル、プロペニル、1−ブト−3−エニル、1−ペント−3−エニル、1−ヘクス−5−エニルなどが含まれるが、これらだけには限定されず、そのアルケニル基は本明細書に記載されている1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよく、また「シス」及び「トランス」配向、或いは「E」及び「Z」配向を有する基を含む。
【0072】
「C〜C10アルキニル」及び「アルキニル」という用語は、炭素原子2〜12個の少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基のことを言うものである。例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチン−2−イルなどが含まれるが、これらだけには限定されず、そのアルキニル基は本明細書に記載されている1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。
【0073】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「シクロアルキル」又は「C〜C10シクロアルキル」という用語は、3〜10個の炭素原子を有する飽和又は部分的に不飽和の環状炭化水素基のことを言うものである。「シクロアルキル」という用語は、単環式及び多環式(例えば、二環式及び三環式)の環状アルキル構造を含み、その多環構造は場合により飽和若しくは部分的に不飽和の環状アルキル又は複素環状アルキル環又はアリール環又はヘテロアリール環に縮合した飽和若しくは部分的に不飽和の環状アルキルを含む。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが含まれるが、これらだけには限定されない。シクロアルキルは、独立に、1つ又は複数の置換可能な位置においてさまざまな基で場合により置換されていてもよい。例えば、かかるシクロアルキル基は、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、アミノ(C〜C)アルキル、モノ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル又はジ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルで場合により置換されていてもよい。
【0074】
「ヘテロアルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を有する飽和で直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基であり、その少なくとも1個の炭素原子がN、O、又はSから選択されたヘテロ原子で置換されており、且つこの基は炭素基又はヘテロ原子基であってよい(すなわち、ヘテロ原子は基の中程又は末端に出現することができる)もののことを言うものである。ヘテロアルキル基は、本明細書に記載されている1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。「ヘテロアルキル」という用語は、アルコキシ基及びヘテロアルコキシ基を包含する。
【0075】
「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロサイクル」又は「ヘテロシクリル」という用語は、飽和又は部分的に不飽和で環原子3〜8個の炭素環基であり、その少なくとも1個の環原子が窒素、酸素及びイオウから選択されたヘテロ原子であり、残りの環原子はCであり、1個又は複数の環原子は場合により独立に、以下に記載する1つ又は複数の置換基で置換されていてもよいものを言うものである。この基は炭素基又はヘテロ原子基であってよい。この用語はさらに縮合二環系及び縮合三環系を含み、これらは1つ又は複数の炭素環又は複素環と縮合した複素環を含む。「ヘテロシクロアルキル」は、またその中の複素環基が芳香環又はヘテロ芳香環と縮合している基をも含む。ヘテロシクロアルキル環の例には、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリル、及びキノリジニルが含まれるが、これらだけには限定されない。スピロ部分もこの定義の範囲内に含まれる。前述の基は、上に挙げた基から導かれたままで、それが可能な場合はC結合又はN結合でよい。例えば、ピロールから導かれた基は、ピロール−1−イル(N結合)又はピロール−3−イル(C結合)でよい。さらに、イミダゾールから導かれた基は、イミダゾール−1−イル(N結合)又はイミダゾール−3−イル(C結合)でよい。2個の環炭素原子がオキソ(=O)部分で置換された複素環基の一例は、1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。本明細書における複素環基は、非置換又は、指定された場合は、1つ又は複数の置換可能な位置においてさまざまな基で置換されている。例えば、かかる複素環は、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、アミノ(C〜C)アルキル、モノ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル又はジ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルで場合により置換されていてもよい。
【0076】
「アリール」という用語は、単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)、又は縮合多環[環のうち少なくとも1つは芳香族環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル)であり、この環は、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、アリール、ヘテロアリール、及びヒドロキシで場合によりモノ、ジ、又はトリ置換されている]を有する一価の芳香族炭素環基のことを言うものである。
【0077】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、若しくはイオウから選択された少なくとも1個ないし4個までのヘテロ原子を含有する5〜10個の原子からなる縮合環系(環の少なくとも1つは芳香族)を含み、5、6又は7員の環からなる一価の芳香環基のことを言うものである。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラジニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。スピロ部分もこの定義の範囲内に含まれる。ヘテロアリール基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、及びC〜Cヘテロシクロアルキルで、場合によりモノ、ジ、又はトリ置換されている。
【0078】
「アリールアルキル」という用語は、1つ又は複数のアリール部分(上記で定義した通り)で置換されたアルキル部分(上記で定義した通り)を意味する。より好ましいアリールアルキル基は、アリールC1〜3アルキルである。例にはベンジル、フェニルエチルなどが含まれる。
【0079】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール部分(上記で定義した通り)で置換されたアルキル部分(同じく上記で定義した通り)を意味する。より好ましいヘテロアリールアルキル基は、5員又は6員のヘテロアリールC1〜3アルキルである。例にはオキサゾリルメチル、ピリジルエチルなどが含まれる。
【0080】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリル部分(上記で定義した通り)で置換されたアルキル部分(同じく上記で定義した通り)を意味する。より好ましいヘテロシクリルアルキル基は、5員又は6員のヘテロシクリルC1〜3アルキルである。例にはテトラヒドロピラニルメチルが含まれる。
【0081】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキル部分(上記で定義した通り)で置換されたアルキル部分(同じく上記で定義した通り)のことを言うものである。より好ましいシクロアルキルアルキル基は、5員又は6員のシクロアルキルC1〜3アルキルである。例にはシクロプロピルメチルが含まれる。
【0082】
「Me」という用語はエチルを意味し、「Et」はエチルを意味し、「Bu」はブチルを意味し、「Ac」はアセチルを意味する。
【0083】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素を意味する。
【0084】
一般的に、本発明のいずれの化合物のさまざまな部分又は官能基も、1つ又は複数の置換基によって場合により置換することができる。本発明の目的に適当な置換基の例には、オキソ(ただし、アリール又はヘテロアリール上ではないという条件が付く)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR’、−NR’SOR’’’’、−SONR’R’’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−OC(O)R’、−NR’(O)OR’’’’、−NR’C(O)R’’、−C(O)NR’R’’、−SR’、−S(O)R’’’’、−SOR’’’’、−NR’R’’、−NR’C(O)NR’’R’’’、−NR’C(NCN)NR’’R’’’、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル[式中、R’、R’’、R’’’、R’’’’は、独立に、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニルである]が含まれるが、これらだけには限定されない。
【0085】
ある構造に結合される置換基を規定するために2つ以上の基が使用される場合は、最初に挙げる基は末端基であると見なし、最後に挙げる基は問題の構造に結合すると見なすと解釈するものとする。したがって、例えば、基アリールアルキルは、アルキル基によって問題の構造に結合される。
【0086】
本発明の方法によって調製されたある種の化合物は、2つ以上の互変異性体の形態で存在し得る。化合物の互変異性体形態は、例えば、エノール化/脱エノール化などによって相互に入れ替わることができる。したがって、本発明は、Rが水素である式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2の化合物のすべての互変異性体形態の調製を含む。
【0087】
この発明は、式VIII−1、VIII−2、XI−1、Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2の化合物をも包含する。
【0088】
この発明は、さらに式VIII−1、VIII−2、XI−1、Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2の化合物の溶媒和物を含む。「溶媒和物」という用語は、この発明の化合物の1つ又は複数の溶媒分子との凝集体のことを言うものである。
【0089】
この発明は、式VIII−1、VIII−2、XI−1、Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2の化合物の塩をも包含する。すなわち、本発明の化合物は、十分な酸性、十分な塩基性、又は両方の官能基を有することができ、したがって多くの無機又は有機の塩基、及び無機及び有機の酸のいずれかと反応して塩を形成する。塩の例には、本発明の化合物の鉱酸若しくは有機酸又は無機塩基との反応によって調製される塩が含まれ、かかる塩には、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩(propiolates)、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオン酸塩、ヘキシン−1,6−ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、及びマンデル酸塩が含まれる。単一の本発明の化合物は、2つ以上の酸性部分又は塩基性部分を含むことがあるので、本発明の化合物は、単一化合物中にモノ、ジ又はトリ塩を含むことがある。
【0090】
本発明の化合物が塩基である場合は、所望の塩は、当技術分野において利用可能な任意の適当な方法、例えば、遊離塩基の、酸性化合物、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、又は酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸又はガラクチュロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えばp−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸などの有機酸、を用いる処理によって調製することができる。
【0091】
本発明の化合物が酸である場合は、所望の塩は、任意の適当な方法、例えば、遊離の酸の無機又は有機の塩基を用いる処理によって調製することができる。好ましい無機塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム及びカルシウムを用いて形成させたものである。好ましい有機塩基塩には、例えば、アンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアミン、ジベンジルエチレンジアミンなどの塩が含まれる。酸性部分の他の塩には、例えば、プロカイン、キニン及びN−メチルグルコサミンと形成する塩、加えて塩基性アミノ酸、例えばグリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リシン及びアルギニンと形成する塩が含まれ得る。
【0092】
本発明の化合物は、本明細書で記載した反応経路及び合成体系を使用し、当技術分野において利用可能な技法を使用し、簡単に入手できる出発原料を使用して調製することができるか或いは当技術分野において知られている方法を使用して合成することが可能である。
【0093】
本発明の代表的な化合物であり、本発明によって包含される化合物には、実施例の化合物及びそれらの酸又は塩基付加塩が含まれるが、これらだけには限定されない。以下に提示する実施例は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図されており、本明細書又は特許請求の範囲の範囲を限定することは決して意図されていない。
【実施例】
【0094】
以下に提示する実施例及び調製は、本発明の化合物及び当該化合物を調製する方法をさらに詳しく例示する。本発明の範囲は、以下の実施例及び調製の範囲によって決して限定されないことは理解されるはずである。記載されている化学反応は、多くの他の本発明のMEK阻害剤を調製するために容易に適合させることができること、及び本発明の化合物を調製するための代替方法は、本発明の範囲内であると見なされることを、当業者は認識するであろう。例えば、例示されていない本発明による化合物の合成は、当業者には明白な変更によって、例えば、妨害基を適切に保護することによって、記載されているもの以外の当技術分野で知られている適当な試薬を使用して、及び/又は反応条件の常套的な変更を行うことによって、首尾よく実行することができる。或いは、本明細書において開示されているか又は当技術分野において知られている他の反応は、他の本発明の化合物を調製するための適用性を有しているものと認識されるであろう。
【0095】
以下に記載する実施例においては、別途に表示しない限り、すべての温度は摂氏温度で記載されている。試薬は、商業的供給者、例えば、Aldrich Chemical Company、Lancaster、TCI又はMaybridgeなどから購入し、別途に表示しない限り、さらなる精製は行わずに使用した。テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、トルエン、ジオキサン及び1,2−ジフルオロエタンはAldrichから確実密封ボトル入りで購入し、受け取ったままで使用した。
【0096】
以下に記載する反応は、全般的に窒素若しくはアルゴンの陽圧下で又は無水溶媒中の乾燥管(別途に表示しない限り)を用いて行い、反応フラスコには通常基剤及び試薬の注射器による導入のためのゴム隔膜を取り付けてあった。ガラス器具は、オーブン及び/又は熱で乾燥した。
【0097】
H−NMRは、Varian又はBukerの機器によって400又は500MHzで記録した。H−NMRスペクトルは、CDCl又はDMSO−d溶液として得た(ppmで記録した)。必要に応じて他のNMR溶媒を使用した。ピークの多重度を報告する場合は、以下の省略形を使用する:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、m(多重項)、br(広幅)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)。カップリング定数は、与えられる場合は、ヘルツ(Hz)で報告する。
【0098】
(実施例1)
6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸の調製
【化73】


段階A:2,3,4−トリフルオロ−5−ニトロ安息香酸:90%発煙硝酸(549.0g、7.84mol、90重量%に補正済み、1.26当量)を、濃HSO 2.0L(3.35kg)に撹拌しながら18分間かけて加えた。HNOの溶液を、次いで第2のフラスコ内の濃HSO 3.3L(5.85kg)中の2,3,4−トリフルオロ安息香酸(1094g、6.21mol、1当量)の混合物に、氷水浴で冷却しながら1時間かけて加えた。添加が完了したら反応溶液は室温まで加温させた。5時間後、HPLCで決定して反応は完了しており、反応混合物(褐色の溶液)を機械的に撹拌されている蒸留水10.6kg及び氷11.8kgの混合物中に、10分間かけて注ぎ入れた。黄色のスラリーを14℃まで冷却し、2時間撹拌してからろ過した。ケーキを蒸留水4.0Lでリンスし、次いでヘプタン5Lでリンスした。ウエットケーキをオーブンで一晩乾燥した。次いで粗製の固体(1.791kg)を、蒸留水16L(9倍容)中で撹拌し、ろ過し、55℃、高真空で一晩オーブン乾燥して、2,3,4−トリフルオロ−5−ニトロ安息香酸1035.9g(75%)を、黄色がかった固体として得た。HPLCは98%(220nm)及び100%(254nm)であった。
【化74】


【化75】

【0099】
段階B:4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロ安息香酸:蒸留水400mL中の2,3,4−トリフルオロ−5−ニトロ安息香酸(167.2g、0.756mol、1当量)の混合物に、濃水酸化アンモニウム(NH 28%溶液、340g、380mL 4.23mol、5.6当量)を、内部温度を確実に6.0℃未満に維持しながら2〜2.5時間かけて加えた。混合物を50分間撹拌し、次いで室温まで3〜4時間かけて加温した。反応が、HPLCで決定して>90%完了したら、混合物を氷水浴中で冷却し、次いで濃HCl(350mL)を滴加してpH=2に調節した。スラリーを氷浴冷却しながら1時間撹拌し、次いでろ過した。ケーキを蒸留水1Lでリンスし、次いでMTBE350mLでリンスした。ケーキを48℃で一晩オーブン乾燥して、黄色の固体134.9gを得た。HPLCは83.6a%(220nm)及び96.96a%(354nm)であった。MTBEろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、一晩ポンピングして、第2収量9.9gを黄色の固体として得た。HPLCは81.1a%(220nm)及び95.40a%(254nm)であった。4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロ安息香酸の合計収量は144.8g(88%)であった。
【化76】


【化77】

【0100】
段階C:4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロ安息香酸メチルエステル:TMSCl(132g、1.21mol、2.0当量)を、MeOH325mL中の4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロ安息香酸(132.3g、0.607mol、1当量)スラリーに5分間かけて加えた。混合物を15時間加熱還流させた。反応がHPLCで決定して完了したら、反応混合物を氷水浴中で45分間冷却した。次いで反応混合物をろ過し、ケーキをMeOH 65mLで洗浄した。ウエットケーキを55℃、高真空で一晩乾燥して、4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロ安息香酸メチルエステル128.8g(92%)を得た。HPLCは97.9a%(220nm)及び99.2a%(254nm)であった。
【化78】


【化79】

【0101】
段階D:4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロベンズアミド:14M NHOH(1L、14mol、〜7倍容)中の4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロ安息香酸メチルエステル(150g、0.646mol)の混合物を室温で撹拌した。8日後、HPLC分析は、反応がほとんど完了していることを示した。固形生成物をろ別し、水(2×200mL)で洗浄し、次いで真空オーブン中50℃で乾燥して、4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロベンズアミド(118.7g、収率85%)を黄色粉末として得た。HPLC93.3a%。
【化80】


【化81】

【0102】
段階E:4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロベンゾニトリル:アセトニトリル(630mL)中の4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロベンズアミド(90g、0.416mol)撹拌懸濁液に、POCl(96mL、1.04mol)を一度で加えた。次いで混合物を70℃まで加熱すると、反応が進行するに従って懸濁液は褐色の溶液になった。1.5時間後HPLC分析は、残っている出発原料はないことを示した。反応混合物を30℃まで冷却し、次いで水(4.5L)に30分間かけて加え、その間温度を17〜25℃に保った。得られた鮮やかな黄色のスラリーを1時間撹拌し、真空ろ過し、残った固形物を真空オーブン中50℃で乾燥して、4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロベンゾニトリルを黄色固体として得た(74.4g、収率90%)。HPLC95a%。
【化82】


【化83】

【0103】
段階F:4−アミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)3−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル:窒素下、10℃で撹拌されているKtOBu溶液(321mL、1M THF溶液、0.321mol)に、4−ブロモ−2−クロロアニリン(22.8g、0.11mol)を加えた。混合物は、速やかに濃紫色に変わり、7〜10℃で10分間撹拌させた後で、THF(150mL)中の4−アミノ−2,3−ジフルオロ−5−ニトロベンゾニトリル(20g、0.10mol)を10分間かけて加えた。添加が完了した後、混合物を周囲温度まで加温させ、次いで一晩撹拌した。HPLC分析は出発原料の8%が残っていることを示した。追加のKtOBu(20mL、0.2当量、1M THF溶液)及び4−ブロモ−2−クロロアニリン(1g、0.0005mol)を加えたが、さらに4時間後に出発原料はまだ残っていた。次いで混合物を10℃まで冷却し、2N HCl(水溶液)(140mL)を一度に加えて処理し(温度は30℃まで上昇した)、次いでメタノール(140mL)で処理した。次いでさらに水(150mL)及びメタノール(200mL)を加え、混合物を濃縮して、濃厚なスラリーにした。次いでメタノール(300mL)を加え混合物を再度濃縮し、次いで固形物を粗くフリットを付けたロートを通してろ過し、メタノール(200mL)で洗浄した。固形物が乾き始めたら、これを水(200mL)で洗浄し、次いで再度メタノール(100mL)で洗浄し、次いで真空オーブン中50℃で一晩乾燥して、4−アミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)3−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル25gを黄褐色の固体として得た(HPLCによる含有量93%)。
【化84】


【化85】

【0104】
段階G:4,5−ジアミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)3−フルオロベンゾニトリル:
方法1:撹拌されている4−アミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−3−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル(20.0g、51.9mmol)のTHF(200mL)溶液及びメタノール(100mL)に、10ミクロンの亜鉛末(16g、244mmol、4.7当量)を加えた。次いで塩酸(35mL、12M、424mmol、8.2当量)を反応混合物に、内部温度〜50℃を維持する速度で加えた。このときのHPLC分析は、出発原料が残っていないことを示した。混合物を1時間かけて室温まで冷まし、次いで粗いフリット付きのロートを通してろ過して未反応の亜鉛を除去した。ろ液に水(200mL)、続いてNHOAc(60mL、飽和水溶液)を加えた。混合物のpHはこのとき6〜7であり、次いで大部分の有機溶媒を減圧蒸発によって除去して、茶色/紫色の懸濁液を得た。懸濁液をろ過して紫色の固形物を得て、これを水(4×50mL)で洗浄した。次いで固形物を真空オーブン中50℃で一晩乾燥して、4,5−ジアミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−3−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル16.0gを得た(収率86%、HPLCにより>95%)。
【化86】

【0105】
方法2:撹拌されている4−アミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−3−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル(200mg、0.52mmol)並びにTHF(4mL)及びメタノール(2mL)中の5%Pt/C(40mg)の混合物を、1atmの水素下で一晩水素化した。次いで混合物をシリンジフィルターを通してろ過し、減圧下で溶媒を除去して黄褐色の固形残留物を得て、これをさらに高真空下で2時間乾燥して、4,5−ジアミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−3−フルオロベンゾニトリル171mgを得た(収率84%、HPLCによる含有量〜90%[HPLCによるデスブロモ誘導体〜0.18%])。
【化87】


【化88】

【0106】
段階H:6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル:室温で撹拌されている4,5−ジアミノ−2−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−3−フルオロベンゾニトリル(5g、14mmol)及びジエトキシメタン(2.6mL、29.5mmol)のTHF(50mL)溶液に、濃硫酸(1.5mL、28mL、14.1mmol)を5分間かけて加えた。次いで反応混合物を50℃に4時間加熱した。その後のHPLC分析は出発原料の6%が残っていることを示した。ジエトキシメタン(0.5mL、0.2当量)のさらなるアリコートを加えて50℃での加熱をさらに1.5時間続けた。このときHPLCは出発原料が残っていないことを示した。混合物を室温まで冷ましてからまず水(30mL)(pHは1であった)で処理し、次いで水酸化ナトリウム水溶液(約6mL、5N)でゆっくり処理し、さらに水(20mL)でpHが6〜7になるまで処理した。次いでイソプロパノール(70mL)を加え、混合物が濃厚な紫色のスラリーになるまで、大部分のTHFをロータリーエバポレーターで除去した。次いでスラリーを中程度にフリットを付けたロートを通してろ過した。紫色の固形残留物を50%iPrOH/水(2×20mL)で洗浄し、次いで真空オーブン中50℃で一晩乾燥して、6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル3.7gを得た(収率69.3%)。HPLC分析は、この物質が86%の含有量を有していることを示した。
【化89】


【化90】

【0107】
段階I:6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸:エタノール/水/THF(比率2:1:0.3)中の6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(200mg、0.53mmol)の撹拌混合物に、固体KOH(0.15g、5当量)を加えた。混合物を85℃で16時間加熱した。その後のHPLC分析は、6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸への完全な変換を示した。
【化91】

【0108】
以上の記載は本発明の原理を例示するものに過ぎないと考えられている。さらに、多数の変更及び交換が当業者には直ちに明白になると思われるので、本発明を上記で示した通りの構成及び方法に限定することを望むものではない。したがって、すべての適切な変更及び等価物は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に入るものと見なすことができる。
【0109】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する「含む」、「含んでいる」という語は、述べられた特徴、数、要素、若しくは段階の存在を指定することを意図されているが、これらは1つ又は複数の他の特徴、数、要素、段階、若しくは群の存在又は付加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】は、式Ia−1、Ia−2、Ib−1及びIb−2を有する化合物及びこれらの合成中間体の合成のための反応スキーム(方法1〜4)を示す。
【図2】は、式Va及びVbで表される中間体化合物を調製するためのいくつかの合成経路を示す。
【図3】は、Rが水素である式Ia−1で表されるベンゾイミダゾール互変異性体の調製のための、ギ酸又はギ酸誘導体を使用する「ワンポット」環化法(方法A)を示す。
【図4】は、Rが水素ではない式Ib−1で表されるベンゾイミダゾールコア構造の調製のための、ギ酸、ギ酸誘導体、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体を使用する「ワンポット」環化法(方法B)を示す。
【図5】は、Rがメチルである式Ia−1で表されるベンゾイミダゾールの調製のための、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体を使用する「ワンポット」環化法(方法C)を示す。
【図6】は、Rが水素ではない式Ia−1で表されるベンゾイミダゾールの調製のための、多段階環化法(方法D)を示す。
【図7】は、Rが水素ではない式Ia−1で表されるベンゾイミダゾールの調製のための、別の多段階環化法(方法E)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia−2
【化1】


[式中、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、トリアルキルシリル又はジアルキルアリールシリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル及びC〜Cへテロシクロアルキルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
及びXは、水素、F、Cl、Br、I、OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル及びC〜C10チオアルキルから独立に選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びチオアルキル部分は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルであり、
及びRは、独立に、水素、トリフルオロメチル、−OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルであり、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって4〜10員のヘテロアリール又は複素環を形成し、前記ヘテロアリール及び複素環は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド及びORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、アリール又はアリールアルキルである]の化合物並びにそれらの塩及び溶媒和物を調製する方法であって、
式Va又はVb
【化2】


[式中、Xは、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、Rは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、R3aは、水素、置換若しくは非置換のベンジル、アリル又は−C(O)ORである]の化合物を式VI
【化3】


の化合物と、塩基の存在下で反応させて、Aが−NR3aである式VII−1aの化合物又はAがNである式VII−1b
【化4】


の化合物を得、
前記式VII−1a又はVII−1bの化合物を還元して式VIII−1
【化5】


[式中、前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−1の化合物のNHRはNHである]の化合物を得、
前記式VIII−1の化合物を環化させて式Ia−1
【化6】


の化合物を得、
前記式Ia−1の化合物のニトリル基をCOORに変換して、前記式Ia−2の化合物を得ることを含む方法。
【請求項2】
前記式Va又はVbの化合物が、
式IIa
【化7】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I又はスルホン酸エステルであり、Xは、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルである]の化合物をニトロ化して式IV
【化8】


の化合物を得ること、及び
前記式IVの化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである前記式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである前記式Vbの化合物を得ること
を含む方法によって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式Va又はVbの化合物が、
式IIb
【化9】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、Xは、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルである]の化合物をニトロ化して式III
【化10】


の化合物を得ること、
前記式IIIの化合物の酸基を第一級アミド基に変換して式IIId
【化11】


の化合物を得ること、
前記式IIIdの化合物の前記アミド基をニトリル基に変換して式IV
【化12】


の化合物を得ること、及び
前記式IVの化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである前記式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである前記式Vbの化合物を得ることを含む方法によって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式Va又はVbの化合物が、
式IIb
【化13】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I、又はスルホン酸エステルであり、Xは、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルである]の化合物をニトロ化して式III
【化14】


の化合物を得ること、
前記式IIIの化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IIIの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである式IIIa−1の化合物を得ること、或いは前記式IIIの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IIIの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである式IIIa−2
【化15】


[式中、Rは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、R3aは、水素、置換若しくは非置換のベンジル、アリル又は−C(O)ORである]の化合物を得ること、
前記式IIIa−1又はIIIa−2の化合物のカルボン酸基を、カルボン酸エステルに変換して、それぞれ式IIIb−1又はIIIb−2
【化16】


の化合物を得ること、
前記式IIIb−1又はIIIb−2の化合物のカルボン酸エステル基を、第一級アミド基に変換して、式IIIc−1又はIIIc−2
【化17】


の化合物を得ること、及び
前記式IIIc−1又はIIIc−2の化合物の第一級アミド基を脱水して、前記式Va又はVbの化合物を得ること
を含む方法によって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンモニアを含有する又は発生する試薬が、NH又はNHOHである、請求項2から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式IVの化合物を、過剰の水酸化アンモニウムと水中において室温で反応させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記式IVの化合物を、30〜130℃の温度において及び1〜5barのNH(g)の下でアンモニア水と反応させる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第一級又は第二級アミンが、メチルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン又はヘキサメチルジシラザンである、請求項2から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記後でアミンに変換できる基を提供する試薬が、(a)金属アミド、(b)保護されているアンモニア又はアミドの等価物、(c)式MNR3aを有し、MはNa、K、Li、Cs及びAlから選択された金属である窒素求核剤、及び(d)金属シリルアミドから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属アミドが、NaNH、KNH又はLiNHである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記保護されているアンモニア又はアミド等価物が、ヒドロキシルアミン又はヒドラジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記金属シリルアミドが、リチウム(ビス)(トリメチルシリル)アミド、ナトリウム(ビス)(トリメチルシリル)アミド又はカリウム(ビス)(トリメチルシリル)アミドである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記金属アジドが、NaN、KN又はLiNである、請求項2から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記環化が、Rが水素である前記式VIII−1の化合物を、(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、酸の存在下で反応させてRが水素である前記式Ia−1の化合物を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記環化が、Rが水素である前記式VIII−1の化合物を、2当量以上のホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体と、酸の存在下で反応させてRがメチルである前記式Ia−1の化合物を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記環化が、
(a)(i)Rが水素である式VIII−1の化合物をアシル化剤と反応させて式IX−1
【化18】


[式中、R4aは、H、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルである]の化合物を得ること、及び
(ii)前記式IX−1の化合物のアミド基を還元して式X−1
【化19】


の化合物を得ること、又は
(b)Rが水素である前記式VIII−1の化合物をアルキル化剤と反応させて前記式X−1の化合物を得ること、並びに
(c)前記式X−1の化合物を、(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、第2の酸の存在下で反応させてRが水素ではない前記式Ia−1の化合物を得ること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記環化が、
(a)(i)Rが水素ではない式VIII−1の化合物をアシル化剤と反応させて式IX−1
【化20】


[式中、R4aは、H、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルである]の化合物を得ること、及び
(ii)前記式IX−1の化合物のアミド基を還元して式X−1
【化21】


の化合物を得ること、又は
(b)Rが水素ではない前記式VIII−1の化合物をアルキル化剤と反応させて前記式X−1の化合物を得ること、並びに
(c)前記式X−1の化合物を、(i)ギ酸と、場合により第2の酸の存在下で、又は(ii)ギ酸誘導体と、第2の酸の存在下で反応させて式XI−1
【化22】


の化合物を得ること、及び
(d)R基を除去してRが水素ではない前記式Ia−1の化合物を得ること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ギ酸誘導体が、ギ酸のエステルを含む、請求項14、16又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ギ酸エステルが、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル又は酢酸ホルムアミジンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ホルムアルデヒド誘導体が、ジアルコキシメタンである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記ニトリル基のCOOR基への変換が、前記式Ia−1の化合物を水又はアルコールを用いて、酸又は塩基の存在下で、有機共溶媒を用いて又は用いずに処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ニトリル基のCOOR基への前記変換が、前記式Ia−1の化合物をニトリラーゼを用いて処理してRがHである前記式Ia−2の化合物を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
式Ia−2
【化23】


[式中、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、トリアルキルシリル又はジアルキルアリールシリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル及びC〜Cへテロシクロアルキルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
及びXは、水素、F、Cl、Br、I、OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル及びC〜C10チオアルキルから独立に選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びチオアルキル部分は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルであり、
及びRは、独立に、水素、トリフルオロメチル、−OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルであり、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって4〜10員のヘテロアリール又は複素環を形成し、前記ヘテロアリール及び複素環は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド及びORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、アリール又はアリールアルキルである]の化合物並びにそれらの塩及び溶媒和物を調製する方法であって、
式IV
【化24】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I又はスルホン酸エステルである]の化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである式Vb
【化25】


[式中、Rは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、R3aは、水素、置換若しくは非置換のベンジル、アリル又は−C(O)ORである]の化合物を得ること、
前記式Va又はVbの化合物を、式VI
【化26】


の化合物と、塩基の存在下で反応させて、Aが−NR3aである式VII−1aの化合物又はAがNである式VII−1b
【化27】


の化合物を得ること、
前記式VII−1a又はVII−1bの化合物を還元して式VIII−1
【化28】


[式中、前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−1の化合物のNHRはNHである]の化合物を得ること、
前記式VIII−1の化合物のニトリル基をCOORに変換して式VIII−2
【化29】


の化合物を得ること、及び
前記式VIII−2の化合物を環化させて式Ia−2の化合物を得ること
を含む方法。
【請求項24】
式Ia−2
【化30】


[式中、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、トリアルキルシリル又はジアルキルアリールシリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル及びC〜Cへテロシクロアルキルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アジド、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cへテロシクロアルキル、−NR及び−ORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
及びXは、水素、F、Cl、Br、I、OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル及びC〜C10チオアルキルから独立に選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びチオアルキル部分は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルであり、
及びRは、独立に、水素、トリフルオロメチル、−OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルであり、
或いはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって4〜10員のヘテロアリール又は複素環を形成し、前記ヘテロアリール及び複素環は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド及びORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、アリール又はアリールアルキルである]の化合物並びにそれらの塩及び溶媒和物を調製する方法であって、
式IV
【化31】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I又はスルホン酸エステルである]の化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである式Vb
【化32】


[式中、Rは、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、R3aは、水素、置換若しくは非置換のベンジル、アリル又は−C(O)ORである]の化合物を得ること、
前記式Va又はVbの化合物を、式VI
【化33】


の化合物と、塩基の存在下で反応させて、Aが−NR3aである式VII−1aの化合物又はAがNである式VII−1b
【化34】


の化合物を得ること、
前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のニトリル基をCOORに変換して、AがNR3aである式VII−2aの化合物又はAがNである式VII−2bの化合物を得ること
【化35】


前記式VII−2a又はVII−2bの化合物を還元して式VIII−2
【化36】


[式中、前記式VII−2a又はVII−2bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−2の化合物のNHRはNHである]の化合物を得ること、及び
前記式VIII−2の化合物を環化させて式Ia−2の化合物を得ること
を含む方法。
【請求項25】
式Ib−2
【化37】


[式中、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、トリアルキルシリル又はジアルキルアリールシリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリルアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル及びC〜Cへテロシクロアルキルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル及びC〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、ベンジル、アリル、アリールアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、−COR、−C(O)OR又は−C(O)NRであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、アリル及びアリールアルキル部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
及びXは、水素、F、Cl、Br、I、OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル及びC〜C10チオアルキルから独立に選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びチオアルキル部分は、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、H、F、Cl、Br、I又はC〜Cアルキルであり、
及びRは、独立に、水素、トリフルオロメチル、−OR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキルであり、
或いはR及びRは、これらが結合している原子と一緒になって4〜10員のヘテロアリール又は複素環を形成し、前記ヘテロアリール及び複素環は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド及びORから独立に選択された1つ又は複数の基で場合により置換されており、
は、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、アリール又はアリールアルキルである]の化合物並びにそれらの塩及び溶媒和物を調製する方法であって、
式IV
【化38】


[式中、X及びXは、独立に、F、Cl、Br、I又はスルホン酸エステルである]の化合物を、(i)アンモニアを含有する若しくは発生する試薬と、(ii)芳香族アミン以外の第一級アミン若しくは第二級アミンと、又は(iii)後でアミンに変換できる基を供給する試薬と、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNR3aである式Vaの化合物を得ること、或いは前記式IVの化合物を、(iv)金属アジドと、前記式IVの化合物のXの選択的な置換を可能にする条件下で反応させて、AがNである式Vb
【化39】


[式中、R3aは、水素、置換若しくは非置換のベンジル、アリル又は−C(O)ORである]の化合物を得ること、
前記式Va又はVbの化合物を、式VI
【化40】


の化合物と、塩基の存在下で反応させて、Aが−NR3aである式VII−1aの化合物又はAがNである式VII−1b
【化41】


の化合物を得ること、
前記式VII−1a又はVII−1bの化合物を還元して式VIII−1
【化42】


[式中、前記式VII−1a又はVII−1bの化合物のAがN、NH−ベンジル、NH−アリルである場合は、前記式VIII−1の化合物のNHRはNHである]の化合物を得ること、
前記式VIII−1の化合物を(i)ギ酸を用いて、場合により第2の酸の存在下で、(ii)ギ酸誘導体を用いて酸の存在下で、又は(iii)ホルムアルデヒド若しくはホルムアルデヒド誘導体を用いて酸の存在下で反応させて式Ib−1
【化43】


の化合物を得ること、及び
前記式Ib−1の化合物のニトリル基をCOORに変換して式Ib−2の化合物を得ること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−501145(P2009−501145A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518313(P2008−518313)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/023986
【国際公開番号】WO2007/002092
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(504344509)アレイ バイオファーマ、インコーポレイテッド (87)
【出願人】(507207775)アストラゼネカ エービー (11)
【Fターム(参考)】