説明

ベンゾイミダゾール誘導体及びGABAAレセプター複合体を調節するためのそれらの使用

本出願は、一般式(I)の新規ベンゾイミダゾール誘導体又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩(ここで、Rは、ピリジル又はピリミジル基を表し、このピリジル又はピリミジル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている)、並びにGABAレセプター複合体のモジュレーターとしてのそれらの使用を開示する。他の態様において、本出願は、治療法におけるこれらの化合物の使用及びこれらの化合物を含む薬剤組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ベンゾイミダゾール誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物及びそれらによる治療方法に関する。
【0002】
本発明の化合物は、GABAレセプター複合体の調節に反応性がある中枢神経系疾患及び障害の治療に有用であり、特に不安及び関連する疾患と闘うために有用である。
【背景技術】
【0003】
例えばベンゾジアゼピン結合部位などのGABAレセプター複合体の調節部位は、伝統的な抗不安ベンゾジアゼピンなどの抗不安薬の標的である。しかし、これらは多数の望ましくない特徴と関連している。
【0004】
GABAレセプターの複数のアイソフォームが存在し、それぞれのレセプターは、α1−6、β1−3、γ1−3、δ、ε及びθサブユニットアイソフォーム由来のサブユニットを含む五量体複合体である。伝統的な抗不安ベンゾジアゼピンは、サブタイプ選択性を示さない。伝統的なベンゾジアゼパンの欠点(鎮静作用、依存性及び認知機能障害など)における主な要素の1つは、GABAレセプターのα1サブユニットと関連していることが示唆されている。したがって、α1サブユニットよりもα2及び/又はα3サブユニットに選択性を有する化合物は、改善された副作用プロフィールを有すると予測される。
【0005】
したがって、最適化された薬理学的プロフィールを有する化合物への強い要求が依然として存在する。更に、以前の化合物と関連している不要な副作用を有さない効果的な化合物を見出す強い要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
その第1態様において、本発明は、式Iの化合物:
【化1】


又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Rは下記に定義されているとおりである。
【0007】
その第2態様において、本発明は、本発明の化合物又はそのN−オキシド、その異性体のいずれか若しくはその異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0008】
更なる態様において、本発明は、GABAレセプター複合体の調節に反応性がある、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する医薬組成物を製造するための、本発明の化合物又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0009】
なお更なる態様において、本発明は、GABAレセプター複合体の調節に反応性がある、ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、本発明の化合物又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、それを必要とする動物の生体に投与するステップを含む方法に関する。
【0010】
本発明の他の目的は、以下の詳細な記載及び実施例によって当業者に明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
置換ベンゾイミダゾール誘導体
その第1態様において、本発明は、一般式Iの化合物:
【化2】


又はそのN−オキシド、その異性体のいずれか若しくはその異性体のいずれかの混合物
又はその薬学的に許容される塩を提供し、
式中、Rは、ピリジル又はピリミジル基を表し、
このピリジル又はピリミジル基は、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている。
【0012】
一般式(I)の化合物の一実施態様において、Rは、ピリジル又はピリミジル基を表し、そのピリジル又はピリミジル基は、ハロ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている。
【0013】
一般式(I)の化合物の更なる実施態様において、Rは下記を表し、
【化3】


ここで、X及びYの一方は、Nを表し、X及びYの他方は、CRを表し、R、R及びRは、互いに独立して、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル又はアルコキシを表す。
【0014】
更なる実施態様において、Rは水素を表す。更なる実施態様において、Rは、クロロ又はフルオロなどのハロを表す。なお更なる実施態様において、Rはシアノを表す。更なる実施態様において、Rは、メトキシなどのアルコキシを表す。
【0015】
更なる実施態様において、XはNを表し、YはCRを表す。更なる実施態様において、Rは水素を表す。
【0016】
なお更なる実施態様において、XはCRを表し、YはNを表す。更なる実施態様において、Rは水素を表す。なお更なる実施態様において、Rは、クロロなどのハロを表す。
【0017】
なお更なる実施態様において、Rは水素を表す。更なる実施態様において、Rはシアノを表す。
【0018】
一般式(I)の化合物のなお更なる実施態様において、Rは下記を表し、
【化4】


ここで、R及びRは、互いに独立して、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル又はアルコキシを表す。
【0019】
更なる実施態様において、Rは、メトキシなどのアルコキシを表す。
【0020】
更なる実施態様において、Rは、メトキシなどのアルコキシを表す。
【0021】
一般式(I)の化合物の更なる実施態様において、Rは、2−クロロ−ピリジン−3−イル、2−クロロ−ピリジン−4−イル、2−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−4−イル、2−シアノ−ピリジン−4−イル、3−シアノ−ピリジン−5−イル、2−フルオロ−ピリジン−3−イル、2−フルオロ−ピリジン−4−イル又は2−メトキシ−ピリジン−3−イルを表す。
【0022】
一般式(I)の化合物の更なる実施態様において、Rは2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イルを表す。
【0023】
更なる実施形態において、本発明の化合物は、
2−{1−[4−フルオロ−3−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[3−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[3−(3−クロロ−ピリジン−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[4−フルオロ−3−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[4−フルオロ−3−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[3−(2−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
5−{2−フルオロ−5−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−フェニル}−ニコチノニトリル;
2−{1−[3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
4−{2−フルオロ−5−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−フェニル}−ニコチノニトリル;
又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物
又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0024】
上記に記載された実施態様の2つ以上の任意の組み合わせが、本発明の範囲内であると考慮される。
【0025】
用語の定義
本出願及び添付の請求項の全体を通して使用されるとき、以下の用語は示された意味を有する。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する飽和の分岐鎖又は直鎖の炭化水素基を意味し、例えば、C1〜3アルキル、C1〜4アルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルキル、C3〜6アルキルなどである。代表的な例は、メチル、エチル、プロピル(例えば、プロパ−1−イル、プロパ−2−イル(又はイソ−プロピル))、ブチル(例えば、2−メチルプロパ−2−イル(又はtert−ブチル)、ブタ−1−イル、ブタ−2−イル)、ペンチル(例えば、ペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル)、2−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−1−イル、ヘキシル(例えば、ヘキサ−1−イル)、ヘプチル(例えば、ヘプタ−1−イル)、オクチル(例えば、オクタ−1−イル)、ノニル(例えば、ノナ−1−イル)などである。
【0027】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0028】
用語「シアノ」は、ラジカル−CNを意味する。
【0029】
用語「ニトロ」は、ラジカル−NOを意味する。
【0030】
用語「ヒドロキシ」は、ラジカル−OHを意味する。
【0031】
本明細書で使用されるとき用語「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシルにより任意の炭素原子(単数又は複数)が1回又は複数回置換されているC1〜6アルキルを意味する。代表的な例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(例えば、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル)などである。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「アルコキシ」は、ラジカル−O−C1〜6アルキルを意味する。代表的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、1−プロポキシ、2−プロポキシ)、ブトキシ(例えば、1−ブトキシ、2−ブトキシ、2−メチル−2−プロポキシ)、ペントキシ(1−ペントキシ、2−ペントキシ)、ヘキソキシ(1−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ)などである。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「場合により置換されている」は、当該の基が非置換であるか又は1つ又は複数の特定の置換基で置換されていることを意味する。当該の基(単数又は複数)が2つ以上の置換基で置換されている場合、置換基は同一又は異なっていることができる。
【0034】
定義された用語の特定のものが、構造式において2回以上発生することができ、そのような発生の際には、それぞれの用語は、他から独立して定義される。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」は、疾患、障害又は状態と戦う目的で患者を管理及び看護することを意味する。この用語には、疾患、障害又は状態の進行を遅延すること、症状及び合併症を緩和又は軽減すること、並びに/或いは疾患、障害又は状態を治癒又は排除することが含まれる。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「疾患」、「状態」及び「障害」は、人の通常の生理学的状態ではない患者の状態を特定するために交換可能に使用される。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「医薬」は、患者に薬学的に活性な化合物を投与するのに適した医薬組成物を意味する。
【0038】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される」は、通常の薬学的適用に適していること、すなわち、患者に有害な事象を生じないことなどを意味する。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」は、患者の治療が、治療がないときと比較して有効であるために十分な投与量を意味する。
【0040】
本明細書で使用されるとき、化合物の「治療有効量」という用語は、所定の疾患及びその合併症の臨床症状を治癒する、緩和する又は部分的に阻止するのに十分な量を意味する。このことを達成するのに適切な量は、「治療有効量」と定義される。それぞれの目的において有効な量は、疾患又は損傷の重篤度、並びに対象の体重及び一般的状態によって決まる。適切な投与量を決定することは、値のマトリックスを構築し、マトリックスの異なる点で試験することによる日常的な実験を使用して達成することができ、これは、訓練を受けた医師又は獣医にとって全て通常の技能の範囲内であることが理解される。
【0041】
薬学的に許容される塩
本発明の化合物を、意図される投与に適した任意の形態で提供することができる。適切な形態には、薬学的(すなわち、生理学的)に許容される塩及び本発明の化合物のプレ−又はプロドラッグ形態が含まれる。
【0042】
薬学的に許容される付加塩の例には、例えば、塩酸から誘導される塩酸塩、臭化水素酸から誘導される臭化水素酸塩、硝酸から誘導される硝酸塩、過塩素酸から誘導される過塩素酸塩、リン酸から誘導されるリン酸塩、硫酸から誘導される硫酸塩、ギ酸から誘導されるギ酸塩、酢酸から誘導される酢酸塩、アコニット酸から誘導されるアコニット酸塩、アスコルビン酸から誘導されるアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸から誘導されるベンゼンスルホン酸塩、安息香酸から誘導される安息香酸塩、ケイ皮酸から誘導されるケイ皮酸塩、クエン酸から誘導されるクエン酸塩、エンボン酸から誘導されるエンボン酸塩、エナント酸から誘導されるエナント酸塩、フマル酸から誘導されるフマル酸塩、グルタミン酸から誘導されるグルタミン酸塩、グリコール酸から誘導されるグリコール酸塩、乳酸から誘導される乳酸塩、マレイン酸から誘導されるマレイン酸塩、マロン酸から誘導されるマロン酸塩、マンデル酸から誘導されるマンデル酸塩、メタンスルホン酸から誘導されるメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸から誘導されるナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸から誘導されるフタル酸塩、サリチル酸から誘導されるサリチル酸塩、ソルビン酸から誘導されるソルビン酸塩、ステアリン酸から誘導されるステアリン酸塩、コハク酸から誘導されるコハク酸塩、酒石酸から誘導される酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸から誘導されるトルエン−p−スルホン酸塩などの非毒性無機及び有機酸付加塩が、これらに制限されることなく挙げられる。そのような塩は、当該技術において周知であり記載されている手順により形成することができる。
【0043】
薬学的に許容されると考慮されない場合があるシュウ酸などの他の酸は、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る中間体として有用な塩の調製に有用である場合がある。
【0044】
本発明の化合物の薬学的に許容されるカチオン性塩の例には、アニオン基を含有する本発明の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リシニウム塩及びアンモニウム塩などが、これらに限定されることなく挙げられる。そのようなカチオン性塩は、当該技術において周知であり記載されている手順により形成することができる。
【0045】
本発明の文脈において、N含有化合物の「オニウム塩」も、薬学的に許容される塩として考慮される。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0046】
本発明の化合物のプレ−又はプロドラッグ形態の例には、親化合物の1つ又は複数の反応性又は誘導体化され得る基が修飾されている化合物を含む、本発明による物質の適切なプロドラッグの例が挙げられる。特に興味深いものは、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基が修飾されている化合物である。適切な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0047】
本発明の化合物は、例えば水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒と一緒に、溶解又は非溶解形態で提供することができる。溶解形態には、例えば一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和形態も含まれ得る。一般に、溶解形態は、本発明の目的において非溶解形態と同等であると考慮される。
【0048】
立体異性体
本発明の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー及びシス−トランス異性体を含む異なる立体異性体形態で存在できることが当業者に理解される。
【0049】
本発明は、そのような立体異性体及びラセミ混合物を含むその任意の混合物を全て含む。
【0050】
当業者に既知の光学異性体分割方法を使用することができ、平均的な当業者に理解される。そのような方法には、J.Jaques、A.Collet及びS.Wilenにより「鏡像異性体、ラセミ化合物及び分割(Enantiomers,Racemates and Resolutions)」、John Wiley and Sons、New York(1981)において考察されているものが含まれる。
【0051】
光学的に活性な化合物を、光学的に活性な出発物質から調製することもできる。
【0052】
N−オキシド
本発明の文脈において、N−オキシドは、芳香族N−複素環式化合物の窒素原子、非芳香族N−複素環式化合物、トリアルキルアミン及びトリアルケニルアミンを含む、第三級アミンの酸化物誘導体を意味する。例えば、ピリジルを含有する化合物のN−オキシドは、1−オキシ−ピリジン−2、−3又は−4イル誘導体であることができる。
【0053】
本発明の化合物のN−オキシドは、過酸化水素などの従来の酸化剤を酢酸などの酸の存在下、高温で使用する対応する窒素塩基の酸化により、或いは適切な溶媒中、例えばジクロロメタン、酢酸エチル若しくは酢酸メチル又はクロロホルム若しくはジクロロメタン中の過酢酸などの過酸と、3−クロロペルオキシ安息香酸との反応により調製することができる。
【0054】
標識化合物
本発明の化合物を標識又は非標識形態で使用することができる。本発明の文脈において、標識化合物は、天然において通常見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子に代えられている1つ又は複数の原子を有する。標識化は、前記化合物の容易な定量的検出を可能にする。
【0055】
本発明の標識化合物は、多様な診断方法及びインビボレセプター画像化において、診断ツール、放射性トレーサー又はモニタリング作用物質として有用であり得る。
【0056】
本発明の標識異性体は、好ましくは、少なくとも1つの放射性核種を標識として含有する。放射性核種を放出する陽電子は、使用の全候補である。本発明の文脈において、放射性核種は、好ましくはH(ジュウテリウム)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択される。
【0057】
本発明の標識異性体の物理的な検出方法は、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子画像化コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴映像法(MRI)及びコンピュータ体軸X線断層撮影法(CAT)又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0058】
調製方法
本発明の化合物を、従来の化学合成の方法、例えば実施例に記載されているものにより調製することができる。本出願に記載されている方法のための出発物質は、既知であるか又は市販の化学薬品から従来の方法により容易に調製することができる。
【0059】
また、本発明の1つの化合物を、従来の方法を使用して、本発明の別の化合物に変換することができる。
【0060】
本明細書に記載される反応の最終生成物を、従来の技術により、例えば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどにより単離することができる。
【0061】
本発明の化合物は、非溶媒和形態で、並びに例えば水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的において非溶媒和形態と同等であると考慮される。
【0062】
生物学的活性
本発明の化合物は、GABAレセプター複合体を調節することができる。特定のサブユニットを含むGABAレセプター複合体に結合する能力についてこれらを試験することができる。
【0063】
したがって、GABAレセプターへのベンゾジアゼピン結合部位のためのリガンドである本発明の化合物は、中枢神経系及びそれ以外での多様な障害の治療及び/又は予防に使用される。したがって、更なる態様において、本発明の化合物は、特に中枢神経系において、GABAレセプター複合体の調節に反応性がある疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和に有用であると考慮される。更なる実施態様において、本発明の化合物は、中枢神経系以外でGABAレセプター複合体のリガンドである。
【0064】
一実施態様において、本発明の化合物は、不安障害、広場恐怖症のある又はないパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、恐怖症、動物恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害(OCD)、全般性不安障害、物質誘発性不安障害、ストレス障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、急性ストレス障害、睡眠障害、記憶障害、神経症、痙攣性障害、てんかん、発作、痙攣、小児の熱性痙攣、気分障害、抑うつ障害、双極性障害、抑うつ、大うつ病性障害、一回発症大うつ病性障害、再発性大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、躁病、双極I型躁病、双極II型躁病、気分循環性障害、精神病性障害、統合失調症、認知障害、学習障害、記憶障害及び機能障害、認知症、注意欠陥、注意欠陥多動障害(ADHD)、ダウン症候群、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病、認知機能障害、統合失調症における認知障害、抜毛癖、吃音症、全身性チック障害、筋肉緊張性障害、脳虚血、卒中、頭部外傷、脳虚血により生じる神経変性、急性疼痛、慢性疼痛、軽度の疼痛、中程度の疼痛又は激痛からなる疼痛、術後疼痛、神経因性疼痛、中枢神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する、帯状疱疹後神経痛に関連する、末梢神経損傷に関連する、幻肢痛に関連する、線維筋痛症に関連する、慢性局所性疼痛症候群に関連する疼痛、体性痛、内臓痛又は皮膚痛、炎症又は感染により引き起こされる疼痛、骨関節症に関連する疼痛、リウマチ様関節炎、神経興奮性亢進障害、末梢神経興奮性亢進、慢性頭痛、片頭痛、片頭痛関連障害、緊張型頭痛、侵害受容性嘔吐、急性、遅発性及び先行性嘔吐、化学療法又は放射線により誘発される特定の嘔吐、乗物酔い、術後悪心、嘔吐、摂食障害、栄養補給障害、肥満症、体重増加、神経性食欲不振、神経性過食症、神経性オルトレキシア、むちゃ食い障害(BED)、月経前症候群、神経痛、三叉神経痛、筋痙攣、例えば対麻痺患者における痙縮、物質乱用又は依存の影響、アルコール離脱、耳鳴、日周期リズムの障害、時差ぼけ又は交代勤務の影響に苦しめられている対象における日周期リズムの障害、1型糖尿病、2型糖尿病、高インスリン血症、異脂肪血症、高脂血症、炎症性疾患又は自己免疫性障害の治療、予防又は緩和に有用であると考慮される。
【0065】
別の実施態様において、化合物は、不安、例えば、不安障害、広場恐怖症のある又はないパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、恐怖症、動物恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、全般性不安障害、物質誘発性不安障害、ストレス障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、急性ストレス障害又は睡眠障害の治療又は緩和に有用であると考慮される。別の実施形態において、化合物は、不安の治療又は緩和に有用であると考えられる。別の実施態様において、化合物は、疼痛、例えば、急性疼痛、慢性疼痛、軽度の疼痛、中程度の疼痛又は激痛、神経因性疼痛、中心性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する、帯状疱疹後神経痛に関連する、末梢神経損傷に関連する疼痛、体性痛、内臓痛又は皮膚痛、炎症又は感染により引き起こされる疼痛、術後疼痛、幻肢痛、神経興奮性亢進障害、末梢神経興奮性亢進、慢性頭痛、片頭痛、片頭痛関連障害又は緊張型頭痛の治療又は緩和に有用であると考慮される。別の実施形態において、化合物は、疼痛の治療又は緩和に有用であると考慮される。別の実施態様において、化合物は、統合失調症、認知障害、学習障害、記憶障害及び機能障害、認知症、注意欠陥、注意欠陥多動障害(ADHD)、ダウン症候群、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病、認知機能障害、統合失調症における認知障害、抜毛癖、吃音症、全身性チック障害、筋肉緊張性障害、脳虚血、卒中、頭部外傷、脳虚血により生じる神経変性の治療又は緩和に有用であると考慮される。別の実施形態において、化合物は、統合失調症の治療又は緩和に有用であると考慮される。
【0066】
更に、本発明の化合物は、ヒトGABAレセプターに結合することができる化合物を検出するアッセイにおいてラジオリガンドとして有用であり得る。
【0067】
活性医薬成分(API)の適切な投与量は、1日あたり約0.1〜約1000mgのAPI、より好ましくは、1日あたり約10〜約500mgのAPI、最も好ましくは、1日あたり約30〜約100mgのAPIであることが現在考慮されているが、正確な投与様式、投与される形態、考慮される適応症、対象、特に関与する対象の体重、更には担当の医師又は獣医の選択肢及び経験に応じて決まる。
【0068】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、本発明の化合物の治療有効量を含む新規医薬組成物を提供する。
【0069】
治療に使用される本発明の化合物を原料化合物の形態で投与することができるが、活性成分を、場合により生理学的に許容される塩の形態で、1つ又は複数の佐剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の慣用の医薬助剤と一緒に医薬組成物に導入することが好ましい。
【0070】
好ましい実施態様において、本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を、1つ又は複数の薬学的に許容される担体と、並びに場合により当該技術において既知であり使用される他の治療及び/又は予防成分と一緒に含む医薬組成物を提供する。担体(複数又は単数)は、製剤の他の成分と適合性があり、且つ受容者に有害ではないという意味において「許容」されなければならない。
【0071】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸内、気管内、鼻腔内、経肺、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、経膣若しくは非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹膜内、静脈内、動脈内、脳内、眼球内注射若しくは注入を含む)投与に適したもの、或いは粉末剤含む吸入若しくは通気による投与及び液体エアゾール剤投与又は持続放出系による投与に適した形態であることができる。持続放出系に適した例には、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、造形物品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態であることができる。
【0072】
したがって本発明の化合物を、従来の佐剤、担体又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及びその単位投与形態にすることができる。そのような形態には、全て経口使用の、固体、特に錠剤、充填カプセル剤、粉末剤及びペレット剤の形態、液体、特に水性又は非水性液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤及びこれらで充填されているカプセル剤、直腸投与用の坐剤、並びに非経口使用の滅菌注射液剤が含まれる。そのような医薬組成物及びその単位投与形態は、従来の成分を、追加の活性化合物若しくは有効成分を伴うか又は伴うことなく、従来の割合で含むことができ、そのような単位投与形態は、用いられる意図される1日投与量範囲に相応する活性成分のあらゆる適切な有効量を含有することができる。
【0073】
本発明の化合物を、多種多様な経口及び非経口投与形態で投与することができる。以下の投与形態が、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容される塩のいずれかを活性成分として含むことができることは、当業者には明白である。
【0074】
本発明の化合物による医薬組成物の調製では、薬学的に許容される担体は、固体又は液体のいずれかであることができる。固体形態の製剤には、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩解剤又はカプセル化材料としても作用することができる1つ又は複数の物質であることができる。
【0075】
粉末剤では、担体は、微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。
【0076】
錠剤では、活性成分は、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及び大きさに圧縮成形される。
【0077】
粉末剤及び錠剤は、好ましくは、5又は10から約70パーセントの活性化合物を含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、セルロース、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオバターなどである。用語「製剤」は、担体を有するか又は有しない活性成分が担体により周囲を囲まれている、すなわち担体と関連しているカプセル剤を提供する、担体としてのカプセル化材料を有する活性化合物の処方を含むことを意図している。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤が含まれる。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤を、経口投与に適した固体形態で使用することができる。
【0078】
坐剤の調製では、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などの低融点ロウを最初に溶融し、活性成分を撹拌することにより均質に分散する。次に均質溶融混合物を、都合のよい大きさの成形型に注いで、冷却させ、それによって凝固させる。
【0079】
膣内投与に適した組成物は、活性成分に加えて当該技術において適切であることが知られている担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーとして存在することができる。
【0080】
液体製剤には、液剤、懸濁剤及び乳剤、例えば水又は水−プロピレングリコール液剤が含まれる。例えば、非経口注射液体製剤を、ポリエチレングルコール水溶液中の液剤として処方することができる。
【0081】
したがって本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例としてはボーラス注入又は持続注入による)のために処方することができ、アンプル剤、充填済注射器、防腐剤を添加した小容量注入容器又は多用量容器に単位用量形態で存在することができる。組成物は、懸濁剤、溶剤又は油性若しくは水性ビヒクル中の乳剤などの形態を取ることができ、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの配合剤を含有することができる。或いはまた、活性成分は、滅菌固体の無菌分離により得られる又は適切なビヒクル、例えば滅菌した、発熱物質を含まない水による構成用の溶液を使用前に凍結乾燥することにより得られる粉末形態であることができる。
【0082】
経口使用に適した水性液剤は、活性成分を水に溶解し、所望により適切な着色剤、風味剤、安定剤及び増粘剤を加えることによって調製することができる。
【0083】
経口使用に適した水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を、天然若しくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の懸濁剤などの粘性材料と共に水に分散することによって、作製することができる。
【0084】
また含まれるものは、経口投与のために、使用の少し前に液体形態製剤に変換されることが意図される固体形態製剤である。そのような液体形態には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。活性成分に加えて、そのような製剤は、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含むことができる。
【0085】
表皮への局所投与では、本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として又は経皮パッチ剤として処方することができる。例えば、軟膏剤及びクリーム剤は、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加え、水性又は油性基剤を用いて処方することができる。ローション剤を、水性又は油性基剤を用いて処方することができ、一般に、1つ又は複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤又は着色剤も含有する。
【0086】
口腔内の局所投与に適した組成物には、風味付けした基剤、通常、スクロース及びアカシア又はトラガカントに活性剤を含むロゼンジ剤;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤に活性成分を含むパステル剤;並びに適切な液体担体に活性成分を含む洗口剤が含まれる。
【0087】
液剤又は懸濁剤は、従来の手段、例えば、ドロッパー、ピペット又はスプレーを用いて直接鼻腔に適用される。組成物を単一又は多用量形態で提供することができる。
【0088】
気道への投与も、エアゾール製剤により達成することができ、活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤を用いた加圧パックにより提供される。エアゾールは、レシチンのような界面活性剤を都合よく含有することもできる。薬剤の用量を計量弁の設置により制御することができる。
【0089】
或いはまた、活性成分を、乾燥粉末の形態、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末基剤との化合物の混合粉末により提供することができる。都合良くは、粉末担体は鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンの例えばカプセル若しくはカートリッジ、又はブリスターパックのような単位用量形態で存在することができ、これから粉末剤を吸入器により投与することができる。
【0090】
鼻腔内組成物を含む、気道への投与が意図される組成物において、化合物は一般に例えば5ミクロン未満のオーダーの小さい粒径を有する。そのような粒径は、当該技術で既知の手段、例えば微粉砕により得ることができる。
【0091】
望ましい場合、活性成分に持続的放出を与えるように適合させた組成物を用いることができる。
【0092】
医薬製剤は、好ましくは単位投与形態である。そのような形態では、製剤は、活性成分の適切な量を含有する単位用量に細分化されている。単位投与形態は、包装製剤であることができ、包装は、包装錠剤、カプセル剤及びバイアル又はアンプル中の粉末剤など、製剤の別個の分量を含有する。また、単位投与形態は、それ自体カプセル剤、錠剤、カシェ剤又はロゼンジ剤であることができるか、又はこれらのうちのいずれかの適切な数の包装形態であることができる。
【0093】
一実施形態において、本発明は経口投与のための錠剤又はカプセル剤を提供する。
【0094】
他の実施形態において、本発明は、静脈内投与及び持続注入のための液剤を提供する。
【0095】
製剤及び投与の技術についての更なる詳細は、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)において見出すことができる。
【0096】
投与される用量は、当然のことながら、治療される個人の年齢、体重及び状態、並びに投与経路、投与形態及びレジメン及び望まれる結果に注意深く適合させなければならず、正確な投与量は、当然のことながら、医師によって決定されるべきである。
【0097】
実際の投与量は、治療される疾患の性質及び重篤度によって決まり、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を生じるために、本発明の特定の状況に対して投与量を滴定することにより変えることができる。しかし、個別の用量あたり約0.1〜約500mgの活性成分、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgを含有する医薬組成物が治療処置に適していることが、現在考慮されている。
【0098】
活性成分を1日あたり1回又は数回の用量で投与することができる。満足のいく結果は、特定の場合において、0.1μg/kgの静注及び1μg/kgの経口の低さの投与量により得ることができる。投与量範囲の上限は、現在、約10mg/kgの静注及び100mg/kgの経口であると考慮される。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日の静注及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日の経口である。
【0099】
治療方法
別の態様において、本発明は、ヒトを含む動物の生体の疾患、障害又は状態(その疾患、障害又は状態はGABAレセプター複合体の調節に対して反応性がある)を治療、予防又は緩和する方法であって、本発明の化合物の治療有効量を、それを必要とする、ヒトを含む動物の生体などに投与することを含む方法を提供する。
【0100】
適切な投与範囲は、通常どおり、正確な投与様式、投与される形態、投与が向けられる適応症、関与する対象及び関与する対象の体重、更には担当医師又は獣医師の選択肢及び経験に応じて、毎日0.1〜1000ミリグラム、毎日10〜500ミリグラム、特に毎日30〜100ミリグラムであることが、現在考慮される。
【実施例】
【0101】
本発明を、以下の実施例を参照して更に説明し、これらは、請求される本発明の範囲をいかようにも制限することを意図していない。
【0102】
概要
空気に対して敏感な試薬又は中間体を伴う全ての反応は、窒素下及び無水溶媒中で実施した。硫酸マグネシウム又は硫酸ナトリウムを検査手順において乾燥剤として使用し、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【化5】

【0103】
4−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル(3)の合成
NMP(300ml)中の4−フルオロ−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル1(60g;301mmol)、3−ブロモ−4−フルオロ−アニリン2(57.25g;301mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(38.94g;301mmol)の溶液を、85℃に5時間加熱した。TLCは完全な変換を示し、反応混合物を室温に冷却し、橙色の沈殿物が形成された。この沈殿物を濾取し、HOで十分に洗浄し、減圧下で乾燥して、100gの化合物3を得た。収率89%。化合物はNMR及びHPLCで見ると十分に純粋なので、次のステップに進めた。
【0104】
3−アミノ−4−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−安息香酸メチルエステル(4)の合成
4−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル3(100g;270mmol)をMeOH(500ml)に溶解し、ラネーニッケル(10g;76mmol)を加えた。これに、ヒドラジン水和物(25ml;514mmol)を滴加し、添加が完了した後、反応混合物を1時間撹拌した。TLCは完全な変換を示し、不均質混合物をセライトで濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をCHClに溶解し、HOで十分に洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、75gの4を白色の固体として得た。収率75%。化合物はNMR及びHPLCで見ると十分に純粋なので、次のステップに進めた。
【0105】
1−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(5)の合成
3−アミノ−4−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニルアミノ)−安息香酸メチルエステル4(75g;221mmol)を500mlの無水THFに溶解し、オルトギ酸トリメチル(37ml;331mmol)及びp−トルエンスルホン酸(1g)を加え、反応混合物を60℃に3時間加熱した。LCMSは、ほぼ完全な変換を示し、反応を、重炭酸ナトリウムで停止させ、EtOAc(500ml3)で抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して目的の生成物5を褐色の固体75gとして得た。収率97%。化合物はNMR及びHPLCで見ると十分に純粋なので、次のステップに進めた。
【0106】
2−[1−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−プロパン−2−オール(6)の合成
1−(3−ブロモ−4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル5(70g;200mmol)を800mlの無水THFに溶解し、−20℃に冷却した。この溶液に、MeMgBr(3M、200ml;601mmol)を滴加し、添加の終了した後、反応混合物を室温に到達させ、周囲温度で一晩撹拌した。反応をNHCl(飽和)の添加により停止させ、続いてEtOAcで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、続いて真空下で濃縮して、75gの不純な油状生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(MeOH/CHCl)による精製によって、生成物画分を濃縮した後、純粋な生成物6(23g)を得た。収率30%。化合物はNMR及びHPLCで見ると十分に純粋なので、次のステップに進めた。
【0107】
方法A:スズキカップリングの一般的手順
化合物6(1当量)の溶液及びヘテロアリールボロン酸(1.5当量)又は対応するボロン酸エステルを、DME/HO/1,3−プロパンジオール又はジオキサン/HO/EtOHに溶解/懸濁し、NaCO(約3当量)を加えた。触媒(PhP)PdCl(5mol%)又は(PhP)Pd(5mol%)を加え、反応混合物を90℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(勾配)又はCHCl/MeOH/NH4水溶液(95:5:0.1%)のいずれかを移動相として使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標的化合物7a〜7iを得た。
【化6】

【0108】
以下の化合物は、スズキカップリングについての上記プロトコールを使用して調製した。
【表1】

【0109】
2−{1−[4−フルオロ−3−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7a
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、366.1407Daを示し、計算値は366.141793Daであり、偏差は−3ppmである。
【0110】
2−{1−[3−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7b
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、382.1129Daを示し、計算値は382.112243Daであり、偏差は1.7ppmである。
【0111】
2−{1−[3−(3−クロロ−ピリジン−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7c
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、382.1122Daを示し、計算値は382.112243Daであり、偏差は−0.1ppmである。
【0112】
2−{1−[4−フルオロ−3−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7d
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、378.1617Daを示し、計算値は378.16178Daであり、偏差は−0.2ppmである。
【0113】
2−{1−[4−フルオロ−3−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7e
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、366.1436Daを示し、計算値は366.141793Daであり、偏差は4.9ppmである。
【0114】
2−{1−[3−(2−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7f
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、400.1016Daを示し、計算値は400.102821Daであり、偏差は−3.1ppmである。
【0115】
5−{2−フルオロ−5−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−フェニル}−ニコチノニトリル7g
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、373.1476Daを示し、計算値は373.146464Daであり、偏差は3ppmである。
【0116】
2−{1−[3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール7h
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、409.1688Daを示し、計算値は409.167049Daであり、偏差は4.3ppmである。
【0117】
4−{2−フルオロ−5−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−フェニル}−ニコチノニトリル7i
[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、373.1468Daを示し、計算値は373.145919Daであり、偏差は2.4ppmである。
【0118】
試験方法
本発明の化合物を、Mirza NRら、NS11394([3’−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−ビフェニル−2−カルボニトリル])、特有のサブタイプ選択性GABAレセプターの正のモジュレーター:インビトロ作用、薬物動態特性及びインビボ抗不安効能(a unique subtype−selective GABA receptor positive modulator:In vitro actions,pharmacokinetic properties and in−vivo anxiolytic efficacy);Journal of Pharmacology And Experimental Therapeutics Fast Forward;first published on September 12,2008;DOI:10.1124/jpet.108.138859に記載されたものなどの、細胞溶媒又は実験動物における標準的な薬理学的手順を使用して、インビトロ作用、薬物動態特性及びインビボ作用について試験することができる。
【0119】
試験方法1
H−フルニトラゼパム(H−FNM)結合のインビトロ阻害
GABA認識部位及びベンゾジアゼピン調節ユニットをH−フルニトラゼパムで選択的に標識することができる。
【0120】
組織調製
調製は、指示のない限り0〜4℃で実施される。雄Wistarラット(150〜200g)からの大脳皮質を、Ultra−Turraxホモジナイザーを使用して、20mlのTris−HCl(30mM、pH7.4)において5〜10秒間均質化する。懸濁液を、27,000×gで15分間遠心分離し、ペレットを緩衝剤で3回洗浄する(27,000×gで10分間遠心分離する)。洗浄したペレットを20mlの緩衝剤で均質化し、水浴(37℃)で30分間インキュベートして、内在性GABAを除去し、次に27,000×gで10分間遠心分離する。次にペレットを緩衝剤で均質化し、27,000×gで10分間遠心分離する。最終ペレットを30mlの緩衝剤に再懸濁し、調製物を凍結し、−20℃で保存する。
【0121】
アッセイ
膜調製物を解凍し、27,000×gにより2℃で10分間遠心分離する。ペレットを、Ultra−Turraxホモジナイザーを使用して20mlの50mM Tris−クエン酸、pH7.1で2回洗浄し、27,000×gで10分間遠心分離する。最終ペレットを50mMのTris−クエン酸、pH7.1に再懸濁し(元の組織1gあたり500mlの緩衝剤)、次に結合アッセイに使用する。組織の0.5mlのアリコートを、25μlの試験溶液及び25μlのH−FNM(1nM、最終濃度)に加え、混合し、2℃で40分間インキュベートする。非特異的結合を、クロナゼパム(1μM、最終濃度)を使用して決定する。インキュベートした後、試料を5mlの氷冷緩衝剤に加え、Whatman GF/Cガラス繊維フィルターに吸引によって直接注ぎ、直ちに5mlの氷冷緩衝剤で洗浄する。フィルターの放射能の量を、従来の液体シンチレーションカウントにより決定する。特異的結合は、全結合引く非特異的結合である。
【0122】
結果
IC50の計算の前に、特異的結合の25〜75%の阻害が得られなければならない。
【0123】
試験値はIC50として得られる(H−FNMの特異的結合を50%阻害する試験物質の濃度(μM))。
【数1】


式中、
は、対照アッセイにおける特異的結合であり、
は、試験アッセイにおける特異的結合である。
(計算は、通常の質量作用動態を仮定する)。
【0124】
本発明の多数の化合物によるこれらの実験の試験結果を下記の表1に示す。
【表2】

【0125】
本発明の特定の実施形態が本明細書において例示の目的で記載されてきたが、多様な変更を、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく実施できることが、前記から理解されるであろう。したがって、本発明は添付の請求項によって、そのように制限されるものではない。
【0126】
前記記載、請求項及び/又は添付の図面に開示された特徴は、別個及び任意の組み合わせの両方でその多様な形態において本発明を理解する材料となり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物:
【化1】


又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩[式中、
Rは、ピリジル又はピリミジル基を表し、
このピリジル又はピリミジル基は、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている]。
【請求項2】
Rが、
【化2】


を表し、
ここで、X及びYの一方が、Nを表し、X及びYの他方が、CRを表し、R、R及びRが、互いに独立して、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル又はアルコキシを表す、
請求項1に記載の化合物、そのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Rが、
【化3】


を表し、
ここで、R及びRが、互いに独立して、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル又はアルコキシを表す、
請求項1に記載の化合物、そのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
2−{1−[4−フルオロ−3−(2−フルオロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[3−(2−クロロ−ピリジン−3−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[3−(3−クロロ−ピリジン−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[4−フルオロ−3−(2−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[4−フルオロ−3−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
2−{1−[3−(2−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
5−{2−フルオロ−5−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−フェニル}−ニコチノニトリル;
2−{1−[3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−フルオロ−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−プロパン−2−オール;
4−{2−フルオロ−5−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ベンゾイミダゾール−1−イル]−フェニル}−ニコチノニトリル;
又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物。
【請求項6】
医薬の製造のための、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項7】
ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態(その疾患、障害又は状態はGABAレセプター複合体の調節に反応性がある)を治療、予防又は緩和する医薬組成物を製造するための、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
疾患、障害又は状態が、不安障害、広場恐怖症のある又はないパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、恐怖症、動物恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害(OCD)、全般性不安障害、物質誘発性不安障害、ストレス障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、急性ストレス障害、睡眠障害、記憶障害、神経症、痙攣性障害、てんかん、発作、痙攣、小児の熱性痙攣、気分障害、抑うつ障害、双極性障害、抑うつ、大うつ病性障害、一回発症大うつ病性障害、再発性大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、躁病、双極I型躁病、双極II型躁病、気分循環性障害、精神病性障害、統合失調症、認知障害、学習障害、記憶障害及び機能障害、認知症、注意欠陥、注意欠陥多動障害(ADHD)、ダウン症候群、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病、認知機能障害、統合失調症における認知障害、抜毛癖、吃音症、全身性チック障害、筋肉緊張性障害、脳虚血、卒中、頭部外傷、脳虚血により生じる神経変性、急性疼痛、慢性疼痛、軽度の疼痛、中程度の疼痛又は激痛からなる疼痛、術後疼痛、神経因性疼痛、中枢神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する、帯状疱疹後神経痛に関連する、末梢神経損傷に関連する、幻肢痛に関連する、線維筋痛症に関連する、慢性局所性疼痛症候群に関連する疼痛、体性痛、内臓痛又は皮膚痛、炎症又は感染により引き起こされる疼痛、骨関節症に関連する疼痛、リウマチ様関節炎、神経興奮性亢進障害、末梢神経興奮性亢進、慢性頭痛、片頭痛、片頭痛関連障害、緊張型頭痛、侵害受容性嘔吐、急性、遅発性及び先行性嘔吐、化学療法又は放射線により誘発される特定の嘔吐、乗物酔い、術後悪心、嘔吐、摂食障害、栄養補給障害、肥満症、体重増加、神経性食欲不振、神経性過食症、神経性オルトレキシア、むちゃ食い障害(BED)、月経前症候群、神経痛、三叉神経痛、筋痙攣、例えば対麻痺患者における痙縮、物質乱用又は依存の影響、アルコール離脱、耳鳴、日周期リズムの障害、時差ぼけ又は交代勤務の影響に苦しめられている対象における日周期リズムの障害、1型糖尿病、2型糖尿病、高インスリン血症、異脂肪血症、高脂血症、炎症性疾患又は自己免疫性障害である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
GABAレセプター複合体の調節に反応性がある、ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物又はそのN−オキシド、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、それを必要とする動物の生体に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項10】
医薬としての使用のための、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
GABAレセプター複合体の調節に反応性がある、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態の治療、予防又は緩和に使用される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物又はその薬学的に許容される塩。

【公表番号】特表2012−508726(P2012−508726A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536026(P2011−536026)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065121
【国際公開番号】WO2010/055128
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】