説明

ベンゾジアゼピン薬物及びキトサンを含む粉末医薬組成物

本発明は、ベンゾジアゼピン薬物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩とを含む、鼻腔内送達のための粉末組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾジアゼピン薬物化合物を経鼻投与するための医薬組成物に関する。より詳しくは、本発明は、粉末の形態であり、ベンゾジアゼピン薬物化合物及びキトサンを含む、経鼻投与のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達の経鼻経路は、血流中への薬物の迅速な吸収をもたらすことができる。ある場合には、用量のほぼすべての吸収が実現され得、薬物動態は静脈内投与に対して実現されたものと同様であり得る。このような迅速かつ効果的な薬物送達は、疼痛(突出痛、頭痛を含む)、偏頭痛、不安、痙攣、陰萎、及び悪心などの危機的状況の治療において有用であり得る。
【0003】
経鼻送達の対象となる1つのクラスの化合物は、ベンゾジアゼピンである。これらの親油性薬物は中枢神経系に作用して、鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、及び抗痙攣作用を引き起こし、医薬に広く用いられている。治療のためにこれらを用いることができる状態には、不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、及び躁病が含まれる。これらの薬物は、前投薬手技において、及び獣医学においても用いることができる。ベンゾジアゼピン薬物の例には、それだけには限定されないが、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、ブロマゼパム、フルニトラゼパム、トリアゾラム、ベンタゼパム、ブロチゾラム、クロチアゼパム、デロラゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フルジアゼパム、ケトゾラム(ketozolam)、ロプラゾラム、ロルメタゼパム、ノルダゼパム、メキサゾラム、ニメタゼパム、ピナゼパム、及びテトラゼパムが含まれる。これらベンゾジアゼピンのいくつかの構造は、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版、McGraw Hill(1996年)、363頁に見ることができる。
【0004】
本明細書における、明らかに以前に公開された文書の列挙または考察は、必ずしも、文書が最新技術の部分であり、または共通の一般的な知識であることの認識として理解されるべきでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/034032号
【特許文献2】国際公開第99/01498号
【特許文献3】国際公開第98/30207号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版、McGraw Hill(1996年)、363頁
【非特許文献2】Illum、Drug Discovery Today、7巻、1184〜1189頁、2002年
【非特許文献3】Illum、J.Control.Rel.、87巻、187〜198頁、2003年
【非特許文献4】Chengら、Eur.J.Pharm.Sci.、26巻、9〜15頁、2005年
【非特許文献5】Thanouら、J.Pharm.Sci.、90巻、38〜46頁、2001年
【非特許文献6】Thanouら、Pharm.Res.、17巻、27〜31頁、2000年
【非特許文献7】Bernkop-Schnurchら、Int.J.Pharm.、260巻、229〜237頁、2003年
【非特許文献8】Holappaら、Macromol.Biosci.、6巻、139〜144頁、2006年
【非特許文献9】Roberts、Chitin Chemistry、MacMillan Press Ltd.、London(1992年)
【非特許文献10】Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lipincott、Williams and Wilkins、Baltimore、2000年、37章
【非特許文献11】Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms、J. T. Carstensen、Technomic、Lancaster、PA、1993年、6章
【非特許文献12】Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms、J. T. Carstensen, Technomic、Lancaster, PA、1993年、2章
【非特許文献13】Physicochemical Principles of Pharmacy、第3版、357〜360頁、A T Florence及びD Attwood、Macmillan、London、1998年
【非特許文献14】Physical Pharmacy、第4版、516〜519頁、A Martin、Wilkins、及びWilkins、Baltimore、1993年
【非特許文献15】C.Washington、Particle size analysis in pharmaceutics and other industries、Ellis Horwood、Chichester、1992年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鼻腔内の経路によって全身作用のために薬物を送達する好ましい手段は、水溶液製剤を用いることである。しかし、ベンゾジアゼピンなどの親油性(非極性)薬物は、典型的には水溶性が低く、したがって、経鼻製剤をデザインする場合に大きな難題が出現する。
【0008】
薬物はまた、粉末の形態で、鼻腔内から送達することもできる。しかし、溶解するための鼻腔内の液体の体積が小さく、鼻腔内での製剤の滞留時間は低いので、粉末製剤は、親油性で溶解性の低い薬物の鼻腔内送達には通常適さない。したがって、薬物の溶解、したがって薬物の吸収に利用できる時間は限られている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、ベンゾジアゼピンなどの、親油性で、水溶性の低い薬物を、キトサンを含む粉末の形態で送達した場合、成功裏に鼻腔内投与することができることを見出した。成功裏に投与するとは、薬物の治療有効量が全身循環中に吸収され得ることを意味する。
【0010】
本発明は、ベンゾジアゼピン薬物化合物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、キトサン誘導体の塩とを含む、鼻腔内送達のための粉末組成物を提供する。
【0011】
キトサンは、グルコサミン及びN-アセチルグルコサミンを含む、生体接着性のカチオン性生体高分子である。キトサンは、鼻腔などの粘膜表面を通過するある種の薬物化合物の全身的バイオアベイラビリティを改善することが示されている(Illum、Drug Discovery Today、7巻、1184〜1189頁、2002年を参照されたい)。
【0012】
モルヒネなどの極性の小分子、ならびにカルシトニン及びロイプロリドなどのペプチド(Illum、J.Control.Rel.、87巻、187〜198頁、2003年)、ならびにヒト成長ホルモンなどのタンパク質(Chengら、Eur.J.Pharm.Sci.、26巻、9〜15頁、2005年)の鼻腔内吸収を改善するためのキトサンの使用について、数々の報告が存在する。
【0013】
ベンゾジアゼピン薬物などの親油性薬物の吸収を増強するための粉末形態のキトサンの使用は、報告されていない。
【0014】
キトサンはキチンの脱アセチル化によって調製される。本発明によれば、脱アセチル化によって取り除かれたN-アセチル基の割合を表す脱アセチル化度は、好ましくは約40%から約97%までの範囲、より好ましくは約60%から約96%までの範囲、最も好ましくは約70%から90%までの範囲であるべきである。
【0015】
キトサンの分子量は、好ましくは約5,000Daから約1,000,000Daまで、より好ましくは約10,000Daから約800,000Daまで、最も好ましくは約15,000Daから約600,000Daまで、または30,000Daもしくは50,000Daから約600,000Daまでであるべきである。
【0016】
「キトサン」の語は、キチンのすべての誘導体、すなわちより大きな割合のN-アセチル基が加水分解(脱アセチル化)によって取り除かれた、ポリグルコサミン及び様々な分子量のグルコサミン材料のオリゴマーをすべて含めたポリ-N-アセチル-D-グルコサミン、及び薬学的に許容できる有機塩または無機塩を含む。好適な塩には、それだけには限定されないが、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、塩酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、またはグルタミン酸塩が含まれる。好ましい塩は、キトサングルタメート及び塩酸キトサンである。最も好ましい塩はキトサングルタメートである。
【0017】
キトサン誘導体及びその塩も、本発明において用いるのに好適である。キトサン誘導体は、キトサンのヒドロキシル基またはアミノ基にある部分を結合することによって調製することができ、ポリマーに溶解特性、電荷密度、及び粘膜付着性などの性質の変更を付与することができる。例えば、キトサンのヒドロキシル基にある部分を結合することによって調製される好適なキトサン誘導体には、アシル基及び/またはアルキル基をヒドロキシル基と結合することによって形成される、エステル、エーテル、または他の誘導体が含まれる。例には、キトサンのO-アルキルエーテル、及びキトサンのO-アシルエステルが含まれる。キトサン誘導体の他の例には、カルボキシメチルキトサン(例えば、Thanouら、J.Pharm.Sci.、90巻、38〜46頁、2001年)、トリメチルキトサン(例えば、Thanouら、Pharm.Res.、17巻、27〜31頁、2000年)、チオール化キトサン(例えば、Bernkop-Schnurchら、Int.J.Pharm.、260巻、229〜237頁、2003年)、ならびにピペラジン誘導体(例えば、国際公開第2007/034032号、及びHolappaら、Macromol.Biosci.、6巻、139〜144頁、2006年)が含まれる。本発明において用いるためのキトサン誘導体には、国際公開第99/01498号に記載されているものなど、ポリエチレングリコールとのコンジュゲートによって修飾されているものも含まれる。好適な誘導体には、Roberts、Chitin Chemistry、MacMillan Press Ltd.、London(1992年)に公開されているものが含まれる。
【0018】
本発明において用いられるキトサン、キトサン誘導体、または塩が水溶性であるのが好ましい。「水溶性」とは、キトサン、キトサン誘導体、または塩が、室温及び大気圧で、少なくとも10mg/mlの量の水に溶解することを意味する。
【0019】
本発明において用いるのに適するキトサンは、Primex、アイスランド; NovaMatrix、ノルウェー; Cognis、ドイツ、及びMeron Biopolymers、インドを含めた様々な供給源から得ることができる。
【0020】
言及することができる、特に好ましいキトサン化合物には、キトサングルタメート(例えば、NovaMatrix、Drammen、ノルウェーからのProtosan UPG213として入手可能)が含まれる。
【0021】
本発明を、あらゆるベンゾジアゼピン化合物に適用することができる。ベンゾジアゼピン化合物の例には、それだけには限定されないが、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、ブロマゼパム、フルニトラゼパム、トリアゾラム、ベンタゼパム、ブロチゾラム、クロチアゼパム、デロラゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フルジアゼパム、ケトゾラム、ロプラゾラム、ロルメタゼパム、ノルダゼパム、メキサゾラム、ニメタゼパム、ピナゼパム、及びテトラゼパムが含まれる。
【0022】
本発明において用いるためのベンゾジアゼピン薬物の好ましいグループは、ジアゼパム(7-クロロ-1.3-ジヒドロ-1-メチル-5-フェニル-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン)、ロラゼパム(7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-1,3-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン)、クロナゼパム(5-(2-クロロフェニル)-1,3-ジヒドロ-7-ニトロ-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン)、及びミダゾラム(8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン)である。
【0023】
本発明の一態様において、クロナゼパムでなければ、あらゆるベンゾジアゼピン化合物を用いることができる。例えば、本発明によれば、クロナゼパムを含む組成物はA型カチオン性ゼラチンを含まない。
【0024】
粉末形態で投与するための原薬を製剤する方法は、当業者にはよく知られている。あらゆるそのような方法を用いて、本発明の組成物を製剤することができる。例えば、ベンゾジアゼピン薬物を、薬物粉末の他の成分とのブレンドとして、顆粒もしくはミクロスフェアとして、またはフリーズドライ粉末として配合してもよい。
【0025】
本発明の粉末組成物の最も単純な形態は、ベンゾジアゼピン薬物及びキトサンのブレンドである。本発明の組成物は、任意選択で、当技術分野においては標準的である、1つまたは複数の不活性な成分を含むことができる。このような成分には、それだけには限定されないが、希釈剤、例えば、リン酸カルシウム、ラクトース、デキストロース、糖(例えば、ショ糖及びデキストロース)、多価アルコール(例えば、マンニトール及びソルビトール)、ならびにセルロース(例えば、微結晶性セルロース)、流動促進剤(例えば、コロイド状シリカ)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)及び水素化植物油、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、甘味剤(例えば、アスパルテーム及びサッカリン)、ならびに香味料が含まれる。
【0026】
小規模で実質的に均一な粉末ブレンドを調製するためには、乳棒及び乳鉢、及び/または篩が適切であることがあるが、より大規模な製造には機械的な混合機が必要とされる。多くのタイプの混合機を利用することができ、これらはRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lipincott、Williams and Wilkins、Baltimore、2000年、37章などの文献に広く記載されている。「実質的に均一な」とは、薬物の用量を含む理論的な重量の粉末を薬物含量について分析すると、結果が名目上の量の80〜120%の範囲であるように製剤内に薬物が均等に分布することを意味し、すなわち、粉末製剤10mg中に薬物5mgが理論的に含まれる場合、粉末10mg中のアッセイされた薬物の量が4〜6mgの範囲であれば、薬物の分布は実質的に均一であるとみなされる。
【0027】
粉末のブレンドの形成が、最も簡単なアプローチであるが、使用できるいくつかの他の方法が存在する。例えば、造粒、マイクロカプセル化、及び凍結乾燥などの方法を用いることができ、粒径を制御する必要性、及び組成物内の薬物分布の均一性の必要性が存在する場合は、これらの方法は特に有用である。他の適切な製剤方法には、噴霧乾燥及び超臨界流体プロセスが含まれる。これらの他の方法の中で、造粒は複雑さが比較的低く、経済的なプロセスであるので好ましい。
【0028】
一態様において、本発明の組成物は、組成物の1つまたは複数の成分の顆粒を含む。顆粒は、より小型の粒子の凝集塊であり、湿式造粒、乾式造粒(スラッギング)、押出し/球状化、流動床造粒、及び噴霧凝固などの当業者にはよく知られている技術によって生成することができる。薬物及びキトサンの他に顆粒中に組み入れられる他の成分には、先に記載したような、希釈剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、及び香味剤などの不活性な成分が含まれ得る。さらに、顆粒には、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、及びアラビアゴムなどの結合剤、ならびにデンプン、クロスカルメロース、及びクロスポビドンなどの崩壊剤を含むことができる。本発明の組成物は、A型カチオン性ゼラチンを含むことができる。しかし、これは好ましくなく、本発明の特定の態様において、A型カチオン性ゼラチンを含まない組成物が提供される。
【0029】
湿式造粒プロセスにおいて、水性溶媒または有機溶媒中の結合剤の溶液(造粒溶媒)を、固体成分(例えば、薬物及びキトサン)中に混合して均質な塊を形成する。塊を粗いメッシュを通過させ、水性溶媒または有機溶媒を蒸発/乾燥によって除去して顆粒を生成する。次いで、顆粒を、所望により、さらに粉砕し、篩分して所望のサイズの粒子を生成してもよい。
【0030】
典型的には、結合剤を造粒溶媒中に溶解し、あるいはこれを乾燥形態で粉末混合物に加え、溶媒を粉末のブレンドに加えて均質な塊を形成してもよい。造粒のプロセスについてのさらなる詳細は、Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms、J. T. Carstensen、Technomic、Lancaster、PA、1993年、6章などの文献に見ることができる。
【0031】
ベンゾジアゼピン薬物及びキトサンが同じ顆粒内に含まれるのが好ましいが、他の構成が可能である。他の構成の例には、キトサン(非顆粒形態)と薬物の顆粒とのブレンド、キトサンの顆粒とベンゾジアゼピン薬物の顆粒とのブレンド、及びベンゾジアゼピン薬物粉末(非顆粒形態)とキトサンの顆粒とのブレンドが含まれる。すべての場合において、他の成分を、先に記載したように、必要に応じて組成物の顆粒及び/または非顆粒の構成成分に加えてもよい。
【0032】
実質的に均一な粉末組成物を、凍結乾燥を伴うプロセス(フリーズドライ)によって調製することもできる。所望により他の不活性な成分を含めた、薬物とキトサンとの溶液または懸濁液を調製する。溶液を凍結し、凍結乾燥して、プラグとしての粉末、または分散した(易流動性の)形態で、いずれかで放置する。フリーズドライによって生成された粉末の粒径は、不均一で、規定不十分のことがある。このように、凍結乾燥した粉末は、十分に規定されたサイズの粒子を生成するプロセスを受けることができる。粒径を低減するための方法は、顆粒組成物にも適用することができ、当業者にはよく知られている。組成物の粒径を低減するための好ましい方法は、粉砕及び/または篩分けによるものである。多くのタイプの粉砕機が入手可能であり、これらは、Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms、J. T. Carstensen, Technomic、Lancaster, PA、1993年、2章、及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lipincott、Williams and Wilkins、Baltimore、2000年、37章などの参考文献に広く記載されている。
【0033】
本発明の組成物は、ミクロスフェアの形態でもよい。ミクロスフェアを調製するための方法は当業者にはよく知られており、それだけには限定されないが、噴霧乾燥、界面重合、コアセルベーション/相分離、及び溶媒の蒸発が含まれる。ミクロスフェアを生成するための方法は、例えば、Physicochemical Principles of Pharmacy、第3版、357〜360頁、A T Florence及びD Attwood、Macmillan、London、1998年、ならびにPhysical Pharmacy、第4版、516〜519頁、A Martin、Wilkins及びWilkins、Baltimore、1993年に記載されている。ミクロスフェアは、代わりに、国際公開第98/30207号及びそれに引用される文献に記載されている方法を用いて生成してもよい。
【0034】
ベンゾジアゼピン薬物化合物及びキトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩の他に、本発明において用いられるミクロスフェアは、ミクロスフェア中に含まれるのに適する当技術分野では知られている成分を含むことができる。このような成分には、それだけには限定されないが、デンプン、デキストラン、ゼラチン、アルブミン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ラクトース、ショ糖、デキストロース、マンニトール、Eudragit(登録商標)ポリマー(Degussa、ドイツ)などのメタクリレートコポリマー、メチルセルロースなどのセルロース、及びポリ(ラクチド-コ-グリコリド)などのポリエステルが含まれる。本発明のミクロスフェアは、A型カチオン性ゼラチンを含むことができる。しかし、これは好ましくなく、本発明の特定の一態様は、A型カチオン性ゼラチンを含まないミクロスフェアを提供する。
【0035】
本発明の粉末組成物は、組成物の、好ましくは約10%w/wから約90%w/wまでの、より好ましくは約15%w/wから約85%w/wまでの、最も好ましくは約20%w/wから約80%w/wまでのベンゾジアゼピン薬物含量を有する。粉末組成物の残部は、キトサン、及び、任意選択で、先に記載したような他の成分を含む。他の成分の非存在下では、粉末組成物のキトサン含量は、組成物の、好ましくは10%w/wから約90%w/wまで、より好ましくは約15%w/wから約85%w/wまで、最も好ましくは約20%w/wから約80%w/wまでである。
【0036】
上記した1種または複数の追加の(不活性の)成分は、(組成物中に含まれるあらゆるさらなる(不活性の)(1つまたは複数の)成分の全重量をベースにして)好ましくは組成物の最高20%w/w、より好ましくは最高15%w/w、最も好ましくは最高10%w/w含まれていてよい。他のこのような成分が本発明の組成物中に含まれる場合、これらを単に、先に規定した量の薬物及びキトサンを含む組成物中に加えてもよい。あるいは、これらが、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩の部分に置き換わってもよい。
【0037】
本発明の好ましい組成物は、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、ミダゾラム、またはロラゼパムなどのベンゾジアゼピン)、キトサン(例えば、キトサンのグルタミン酸塩)、及び結合剤(例えば、ポビドン)を含む顆粒を含む。これら3つの成分の好ましい比率を、以下の表に提供する。
【0038】
【表1】

【0039】
本発明の好ましいジアゼパム組成物の2つの例は、ジアゼパム45%w/wから55%w/wまで、キトサングルタメート42%w/wから54%w/wまで、及びポビドン(結合剤)1%w/wから3%w/wまでを含む顆粒、ならびにジアゼパム70%w/wから80%w/wまで、キトサングルタメート17%w/wから29%w/wまで、及びポビドン(結合剤)1%w/wから3%w/wまでを含む顆粒を含む。
【0040】
本発明の好ましいロラゼパム含有組成物の一例は、ロラゼパム20から30%w/w、キトサングルタメート67から79%w/w、及びポビドン(結合剤)1から3%w/wを含む顆粒を含む。
【0041】
本発明の好ましいミダゾラム含有組成物の一例は、ミダゾラム35から45%w/w、キトサングルタメート52から64%w/w、及びポビドン(結合剤)1から3%w/wを含む顆粒を含む。
【0042】
本発明の好ましいクロナゼパム含有組成物の一例は、クロナゼパム10から50%w/w、キトサングルタメート47から89%w/w、及びポビドン(結合剤)1から3%w/wを含む顆粒を含む。
【0043】
本発明は、本発明の組成物を充填した経鼻薬物送達装置において用いるための、経鼻薬物送達装置または用量カートリッジを提供する。
【0044】
本発明の粉末組成物は、エアロゾル化した形態で患者に投与するのが好ましい。例えば、患者の吸引(嗅ぐ動作)からのエネルギーを用いて、粉末を鼻腔中にエアロゾル化してもよく(受動的送達装置)、または送達装置自体が、圧縮空気などによってエアロゾル化エネルギーを提供してもよい(能動的送達装置)。前者の装置の一例はPfeiffer、Radolfzell、ドイツによって製造されており、後者の一例はValois、Marly-le-Roi、フランスによって製造されている「Monopowder」、またはBespak、Milton Keynes、英国によって製造されている「UniDose」である。薬物を無能力な(例えば、意識のない)患者に投与しようとする場合は、能動的装置が好ましい。
【0045】
組成物の粒径分布は、これらが送達装置から効率的にエアロゾル化され、鼻腔の吸収性の表面を通過して均等に分配されるようになされる必要がある。さらに、薬物は、鼻腔中に沈着する場合、やはり速やかに溶解する必要がある。これらの性質は、より小型の粒子であれば容易に達成される。しかし、極めて小型の粒子(直径10μm未満)の数は、肺内への沈着を最小にするためにコントロールされる必要がある。篩分析、光学顕微鏡、及びレーザー回折を含めた、粉末の粒径分布を測定するための方法は数々存在する(C.Washington、Particle size analysis in pharmaceutics and other industries、Ellis Horwood、Chichester、1992年を参照されたい)。粒径分布は、バルクの粉末において、または装置から放出されたままの粉末において測定することができる。粉末の平均粒径(直径)は、好ましくは0.012〜0.6mmの範囲であり、より好ましくは0.014〜0.5mmの範囲であり、最も好ましくは0.016〜0.4mmの範囲である。10μm未満の粒子のパーセント値(体積によって)は、好ましくは25%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは15%未満である。
【0046】
本発明は、本発明の組成物を調製するためのプロセスを提供する。これらのプロセスは上記に記載してある。
【0047】
本発明の組成物を、中枢神経系のある種の障害、状態、または疾患を治療、及び/または予防するのに用いることができ、特に、鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、及び抗痙攣作用を引き起こすために用いることができる。これらは、不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、及び躁病を治療及び/または予防するためにも用いることができる。したがって、本発明は、ベンゾジアゼピン薬物化合物、特に上記に列挙した化合物を、それを必要とする患者に、例えば、上記に記載した障害、状態、または疾患を予防または治療するために、ならびに/あるいは上記に記載した効果を誘導するために投与する方法を提供し、この方法は先に規定した組成物の患者への鼻腔内投与を含む。
【0048】
本明細書において用いるように、本発明者らは「患者」の語を用いて、ヒト及び非ヒトの動物両方を意味する。本発明は、ヒト、及びイヌなどの動物の治療における使用に特に適する。
【0049】
本発明は、上記に列挙した薬物などの、ベンゾジアゼピン薬物、及びキトサンの、薬物を必要とする患者に経鼻投与するための薬剤の製造における使用も提供する。このような薬剤は、中枢神経系の障害、状態、または疾患を治療及び/または予防するため、ならびに/あるいは鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、及び抗痙攣作用を誘導するため、あるいは不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、または躁病を治療するためであってよい。
【0050】
本発明は、中枢神経系の障害、状態、または疾患を治療及び/または予防するのに用いるための、ならびに/あるいは鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、及び抗痙攣作用を誘導するための、あるいは不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、または躁病を治療するために使用するための経鼻送達のための、ベンゾジアゼピン薬物化合物、及びキトサン、及び任意選択で先に規定したさらなる成分を含む粉末組成物も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】キトサン/ジアゼパム粉末をヒツジに鼻腔内投与した後のジアゼパムの平均血漿濃度を示す図である(実施例9を参照されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【0053】
[実施例1]
50%w/wジアゼパム及び50%w/wキトサングルタメートを含む粉末ブレンド
ジアゼパム(Cambrex、イタリア)400mg及びキトサングルタメート(Protasan UPG213、NovaMatrix、ノルウェー)400mgを秤量し、乳鉢及び乳棒に移した。2成分を一緒に穏やかに混合した後、粉末を90μm篩に通過させた。篩分けた粉末をガラス壜に移し、栓をし、次いでスピード設定2のTurbula T2C混合機(Willy Bachofen、スイス)を用いて30分間混合した。
【0054】
[実施例2]
50%w/wジアゼパム、48.5%w/wキトサングルタメート、及び1.5%w/wポリビニルピロリドンを含む顆粒
ジアゼパム500mg及びキトサングルタメート485mgを秤量し、ビーカーに移した。ポリビニルピロリドン15mg(Kollidon 30、BASF、ドイツ)をエタノール(Fisher、英国)1mlに溶解し、スパーテルを用いて完全に混合した。ドラフトチャンバー中で、次いで40℃のオーブンで溶媒を蒸発させた。乾燥した顆粒を、振幅設定2.5のFritsch A3振動性篩シェーカーを用いて20分間、150μmの篩に、次いで25μmの篩上に通過させた。25μmと150μmの間の顆粒を回収した。
【0055】
[実施例3]
75%w/wジアゼパム、23.5%w/wキトサングルタメート、及び1.5%w/wポリビニルピロリドンを含む顆粒
ジアゼパム375mg及びキトサングルタメート117.5mgを秤量し、ビーカーに移した。ポリビニルピロリドン7.5mgをエタノール(Fisher、英国)0.5mlに溶解し、スパーテルを用いて完全に混合した。ドラフトチャンバー中で、次いで40℃のオーブンで溶媒を蒸発させた。乾燥した顆粒を、振幅設定2.5のFritsch A3振動性篩シェーカーを用いて20分間、150μmの篩に、次いで25μmの篩上に通過させた。25μmと90μmの間の顆粒を回収した。
【0056】
[実施例4]
20%w/wミダゾラム、77%w/wキトサングルタメート、及び3%w/wポリビニルピロリドンを含む顆粒
ミダゾラム400mg(Sigma)をガラスビーカー中に秤量し、ポリビニルピロリドン(Kollidon 30、BASF、ドイツ)60mgを加えた。エタノール(Sigma)5mlをビーカーに加え、内容物が溶解するまで撹拌した。にキトサングルタメート1540mgをビーカーに加え、ミダゾラム/ポリビニルピロリドン溶液中に混合した。ビーカー及び内容物をドラフトチャンバー中に配置し、エタノールの大部分を蒸発させた。ビーカーの内容物を、次いで、40℃のオーブンに移し、一定の重量に達するまで乾燥させた。乾燥した材料を、90μmメッシュサイズの篩に通過させ、顆粒を回収した。
【0057】
[実施例5]
ジアゼパムとブレンドしたキトサン顆粒を含む製剤
ジアゼパムとキトサン顆粒とのブレンドを、ブレンディング及び造粒プロセスの組合せを用いて調製した。キトサン97%w/w及びPVP3%w/wを含む、粒径25〜150μmのプラセボ顆粒を、実施例2に記載したプロセスによって調製した。次いで、ジアゼパム300mgを、スピード設定2のTurbula T2C混合機を用いて、30分間、20mlバイアル中、プラセボ顆粒300mgとブレンドした。
【0058】
[実施例6]
50%w/wキトサングルタメート及び50%w/wジアゼパムを含むフリーズドライ粉末
キトサングルタメート100mgを10mlメスフラスコ中に秤量し、水約8mlに溶解した。次いで、フラスコ内容物を水でメスアップした。ジアゼパム100mgを小ガラスビーカー中に秤量し、撹拌しながらキトサン溶液を滴下添加して、懸濁液を形成した。キトサン懸濁液を50ml三角フラスコに移し、穏やかに振盪しながら、フラスコを液体窒素中に浸漬して内容物を凍結させた。フラスコをフリーズドライヤー中に移し、48時間、凍結乾燥させた。得られた固体材料のケークを、0.2mm篩に通過させ、経鼻投与に適する粒子を回収した。
【0059】
[実施例7]
50%w/wジアゼパム、35%w/wキトサングルタメート、及び15%w/wマンニトールを含むフリーズドライ粉末
キトサングルタメート100mg及びマンニトール(Gattefosse、フランス)43mgを、10mlメスフラスコ中に秤量し、水約8mlに溶解した。次いで、フラスコ内容物を水でメスアップした。ジアゼパム143mgを小ガラスビーカー中に秤量し、撹拌しながらキトサン/マンニトール溶液を滴下添加して、懸濁液を形成した。キトサン懸濁液を50ml三角フラスコに移し、穏やかに振盪しながら、フラスコを液体窒素中に浸漬して内容物を凍結させた。フラスコをフリーズドライヤー中に移し、48時間、凍結乾燥させた。得られた固体材料のケークを、0.2mm篩に通過させ、経鼻投与に適する粒子を回収した。
【0060】
[実施例8]
20%w/wロラゼパム及び80%w/w塩酸キトサンを含む粉末
ロラゼパム(Sigma)100mg及び塩酸キトサン(Protasan UP CL 213、NovaMatrix、ノルウェー)400mgを秤量し、乳鉢及び乳棒に移す。2成分を一緒に穏やかに混合した後、粉末を90μmの篩に通過させる。篩分けた粉末をガラス壜に移し、栓をし、次いでスピード設定2のTurbula T2C混合機(Willy Bachofen、スイス)を用いて30分間混合する。
【0061】
[実施例9]
ジアゼパム粉末製剤のヒツジにおける薬物動態性能の評価
実施例2において記載した製剤の薬物動態性能を、ヒツジ(n=6)への鼻腔内投与後に評価した。絶対的バイオアベイラビリティを判定する目的で、ジアゼパムの静脈内注射を投与した(ジアゼパム注射剤、5mg/ml、Wockhardt UK Ltd.)。
【0062】
ジアゼパム0.25mg/kg(動物1匹あたり約10mgに等しい)に等しく、鼻孔間で等しく分割した、用量0.5mg/kgの鼻腔内粉末を投与した。粉末は、経口/経鼻気管チューブ(鼻孔1つあたりチューブ1本)を用いて投与した。同じジアゼパム用量の静脈内の対照を投与した。0分(投与前)、ならびに投与後2、5、15、30、45、60、120、180、240、300、及び360分に血液検体を採取した。血液検体を、速やかに5mlヘパリンリチウム(LH)管に分配した後、遠心分離によって血漿を分離した。血漿検体を、分析まで-80℃で凍結貯蔵した。
【0063】
血漿検体を、LC-MS/MSを用いてジアゼパム含量について分析した。薬物動態パラメータを、ジアゼパム血漿濃度のデータから計算したとともに、以下の表に示す。経鼻粉末製剤の血漿濃度対時間プロファイルを、図1に示す。ジアゼパムは、粉末製剤から速やかに、かつ効率的に吸収された。
【0064】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾジアゼピン薬物化合物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩とを含む、鼻腔内送達のための粉末組成物。
【請求項2】
前記薬物が、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、ブロマゼパム、フルニトラゼパム、トリアゾラム、ベンタゼパム、ブロチゾラム、クロチアゼパム、デロラゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エチゾラム、フルジアゼパム、ケトゾラム、ロプラゾラム、ロルメタゼパム、ノルダゼパム、メキサゾラム、ニメタゼパム、ピナゼパム、またはテトラゼパムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記薬物が、ジアゼパム、ロラゼパム、クロナゼパム、またはミダゾラムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
キトサンの分子量が約50,000Daから約600,000Daである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
キトサングルタメートを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
フリーズドライ粉末である、または顆粒を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
顆粒を含み、顆粒が薬物及びキトサンを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を充填した経鼻薬物送達装置において用いるための、経鼻薬物送達装置または用量カートリッジ。
【請求項9】
それを必要とする患者に経鼻投与するための薬剤の製造における、ベンゾジアゼピン薬物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩との使用。
【請求項10】
中枢神経系の障害、状態、または疾患を治療及び/または予防するための薬剤の製造における、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、または抗痙攣作用を誘導するための薬剤の製造における、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、または躁病を治療及び/または予防するための薬剤の製造における、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
中枢神経系の障害、状態、または疾患を治療及び/または予防するための鼻腔内投与において用いるための、ベンゾジアゼピン薬物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩とを含む粉末組成物。
【請求項14】
鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、または抗痙攣作用を誘導するために鼻腔内投与において用いるための、ベンゾジアゼピン薬物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩とを含む粉末組成物。
【請求項15】
不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、または躁病を治療、及び/または予防するために鼻腔内投与において用いるための、ベンゾジアゼピン薬物と、キトサン、キトサンの塩、キトサン誘導体、またはキトサン誘導体の塩とを含む粉末組成物。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を鼻腔内投与することを含む、それを必要とする患者にベンゾジアゼピン薬物を投与する方法。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を鼻腔内投与することを含む、中枢神経系の障害、状態、または疾患を治療または予防する方法。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を鼻腔内投与することを含む、鎮静、催眠、不安の低減、筋肉の弛緩、前向性健忘、または抗痙攣作用を誘導する方法。
【請求項19】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を鼻腔内投与することを含む、不安、癲癇、不眠、アルコール依存症、筋障害、または躁病を治療または予防する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−537964(P2010−537964A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522448(P2010−522448)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002949
【国際公開番号】WO2009/027705
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(504312715)アルキメデス・デベロップメント・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】