説明

ベンゾ[g]キノリン誘導体とプロスタグランジン誘導体を含む、組成物

本発明は、ベンゾ[g]キノリン誘導体とプロスタグランジン誘導体を含む固定された組み合わせ、およびそれらの医薬としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ベンゾ[g]キノリン誘導体とプロスタグランジン誘導体の固定された組み合わせ、医薬としてのそれらの使用、特に、それらの上昇した眼圧(IOP)の低下における相乗効果に関する。
【0002】
本明細書で使用する、ベンゾ[g]キノリン誘導体は、遊離塩基形または酸付加塩形の、式(I)
【化1】

〔式中、
AおよびBは、互いにHであるか、または一体となってさらなる結合を形成し、
XはCHまたはCOであり、
YはO、S、NR(RはHまたは低級アルキルである)、CHまたはO−CHであり、そして
Rは式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)または(i)
【化2】

(式中、RはHまたは低級アルキルであり、
はH、低級アルキル、またはチエニル、例えば2−チエニルであり、
はOまたはSであり、
はCHまたはNである)である。〕
の化合物に関する。
【0003】
上記で定義の低級アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、プロピルおよびイソ−プロピル、より好ましくはメチルを意味する。
【0004】
本明細書で使用する接頭語“低級”は、最大7個まで(7個を含む)、とりわけ最大4個まで(4個を含む)の炭素原子を含むラジカルを意味し、当該ラジカルは直鎖であるか、または一緒または複数箇所分枝しているかのいずれかである。
【0005】
AおよびBが各々Hであるとき、X−Y−R置換基は、好ましくは3R立体配置で存在する。
【0006】
酸付加塩は遊離塩基から既知の方法で製造でき、逆もそうである。本発明で使用するための適当な酸付加塩は、例えば塩酸塩を含む。
【0007】
好ましくは、式(I)の化合物において、
AおよびBは、互いにHであるか、または一体となってさらなる結合を形成し、
XはCHであり、
YはSであり、そして
Rは式(e)、(f)、または(h)
【化3】

(ここで、RはHまたは低級アルキルであり、
はSであり、
はCHまたはNであり、そして
はH、または低級アルキルである)
である。
【0008】
好ましいベンゾ[g]キノリンは:
【化4】

から成る群から選択される。
【0009】
上記のベンゾ[g]キノリン化合物は、EP77754、WO98/01444、WO00/37571、WO03/006458およびWO03/074511に記載であるおよび/またはこれらの記載に従って得られる。
【0010】
本明細書で使用するプロスタグランジン誘導体は、式(II)
【化5】

〔式中、
GはOH、低級アルコキシ、アミノ−低級−アルキルであり、
AおよびBは、互いにHであるか、または一体となってさらなる結合を形成し、
LはCO、CHOR(RはHまたは低級アルキルである)であり、
MはO、S、(CH)(nは1〜6である)であり、
QはHまたはArであり、ここで、Arは、好ましくは非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、シアノ、ハロ−低級−アルキル、例えばトリハロメチルにより1個またはそれ以上置換されているフェニルである。〕
の化合物に関する。
【0011】
好ましいプロスタグランジン誘導体は:
【化6】

から成る群から選択される。
【0012】
上記の好ましいプロスタグランジンは当分野で記載されている。故に、その元々から由来の化学構造または上記の構造式に誤りがある場合、上記は付与されている一般名に従って解釈すべきである。
【0013】
特に、本発明音組み合わせにおいて、プロスタグランジンはラタノプロスト、トラバプロスト、ビマトプロストおよびケトラタノプロスト、より好ましくはラタノプロストおよびトラバプロスト、そして特に好ましくはラタノプロストから選択される。
【0014】
式(I)の化合物と式(II)の化合物およびそれらの生理学的に許容される酸付加塩の組み合わせは、以後、本発明の薬剤と呼ぶが、動物実験において価値のある薬理学的特性を有し、従って、医薬として有用である。
【0015】
ベンゾ[g]キノリンとラタノプロストの好ましい組み合わせは:
【化7】

とラタノプロストである。
【0016】
ベンゾ[g]キノリンとラタノプロストの他の好ましい組み合わせは:
【化8】

とラタノプロストである。
【0017】
ベンゾ[g]キノリンとラタノプロストの他の好ましい組み合わせは:
【化9】

とラタノプロストである。
【0018】
特に、本発明の薬剤が産生であるとき、塩は薬理学的に許容される非毒性塩基から製造できる。塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む、全ての安定な形の無機塩基に由来する。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基由来の塩は、1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチル−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルコサミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンなどの塩を含む。
【0019】
本発明の薬剤が塩基性であるとき、塩は、薬学的に許容される非毒性酸から製造できる。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを含む。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸および酒石酸である。塩基性塩はまた有機塩基との、アンモニウム塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩、および、アルギニンおよびリシンのようなアミノ酸との塩を含む。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えば塩化メチル、ジアルキルスルフェート、例えばジメチルスルフェート、長鎖ハライド、例えばステアリルクロライド、およびアラルキルハライド、例えばベンジルクロライドのような試薬で4級化できる。
【0020】
本明細書で使用する式(I)の化合物と式(II)の化合物の組み合わせは、少なくとも1個の式(I)の化合物が、少なくとも1個の式(II)の化合物と組み合わさっていることを意味する。
【0021】
本明細書で使用するアリールは、6〜14個の炭素原子を有する芳香族性部分を意味し、例えば、非置換であるか、または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、スルファモイル、低級アルカノイル、ハロゲンおよび/またはトリフルオロメチルで置換されているフェニルまたはナフチルである。
【0022】
本明細書で使用するアリールは、また、所望により部分的に水素化された5−または6−員単環式ヘテロアリールまたは5−または6員環を含む二環式ヘテロアリールである、非置換または置換ヘテロ芳香族性ラジカル、例えば、対応するフリル、低級アルキルフリル、例えば4−メチルフル−2−イル、チエニル、イミダゾリル、例えばイミダゾール−4−イル、オキサゾリル、カルボキシ−低級アルキル(オキソ)オキサゾリル、例えば2,5−ジヒドロ−3−オキソ−1,2−オキサゾリル、チアゾリル、ジヒドロチアゾリル、例えば4,5−ジヒドロチアゾリル、カルボキシ−低級アルキルチアゾリル、例えば4−カルボキシメチルチアゾリル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキルチアゾリル、例えば4−メトキシカルボニルメチルチアゾリルまたは4−エトキシカルボニル−メチルチアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、インドリル、例えばインドール−3−イル、キノリニル、例えばキノリン−4−イル、ベンズアゼピニルまたはカルボキシ−低級アルキル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピノ、例えば1−カルボキシメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピノも意味する。
【0023】
好ましくは、アリールは、非置換であるか、または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、スルファモイル、低級アルカノイル、ハロゲンおよび/またはトリフルオロメチルで置換されているフェニル、ピリジル、チエニルまたはナフチルである。
【0024】
低級アルケニルは、例えば、C−Cアルケニル、例えばビニル、1,3−プロプ−2−エニル、1,2−プロプ−2−エニル、1,4−ブト−2−エニル、1,2−ブト−3−エニル、1,2−ペント−4−エニル、1,2−ヘキセ−4−エニルまたは1,2−ヘキセ−5−エニルである。好ましいのは、ビニル、1,3−プロプ−2−エニル、1,2−プロプ−2−エニルまたは1,4−ブト−2−エニル、より好ましいのはビニル、1,3−プロプ−2−エニル、または1,2−プロプ−2−エニルである。
【0025】
低級アルキニルは、例えば、C−Cアルキニル、例えばエチニル、1−プロピン−1−イル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−1−イル、1−ブチン−4−イルなどである。好ましいのはエチニル、1−プロピン−1−イル、または1−プロピン−3−イルである。より好ましいのはエチニルまたは1−プロピン−3−イルである。
【0026】
低級アルコキシは、例えば、C−Cアルコキシ、好ましくはC−Cアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはブチルオキシだけでなく、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシまたはペンチルオキシ、ヘキシルオキシまたはヘプチルオキシ基でもあり得る。
【0027】
本明細書で使用するハロゲンは、好ましくはフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、より好ましくはフッ素、または塩素、非常に好ましくはフッ素である。
【0028】
2つの化合物の組み合わせにおいて、式(I)および(II)の2個の化合物は、典型的に50:1から1:50までの比率で存在する。このような比率の例は、20:1、10:1、5:1、2:1,1:1、1:2、1:3、1:5、1:7、1:10、1:20および1:50である。該比率は活性成分の総量の重量%である。
【0029】
本発明の薬剤の驚くべき効果は、相乗的IOP−低下効果である。
【0030】
生物学的部分
特に、本発明の薬剤は、ヒトにおける眼圧(IOP)の低下を誘導する。例えば、両側性原発性開放隅角緑内障または高眼圧症の対象において、該薬剤は、例えば0.1%眼溶液(例えば各眼に1滴1日2回(b.i.d.))として眼に局所的に適用したとき、典型的にIOPを基底に対して約20%まで低下させる。上記活性剤の組み合わせ(ベンゾ[g]キノリン−誘導体およびプロスタグランジン−誘導体)は、相乗的IOP低下効果を有する。
【0031】
本発明の薬剤は、したがって、緑内障処置に有用である。
【0032】
上記の適応症に関して、適当な投与量はもちろん例えば用いる化合物、宿主、投与形態および処置すべき状態の重症度に依存して変化するであろう。
【0033】
本発明の薬剤は遊離形または薬学的に許容される塩の形で投与し得る。このような塩は慣用法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0034】
従って、本発明は、例えば、緑内障の処置のための、医薬として使用するための本発明の薬剤を提供する。
【0035】
本発明の薬剤のさらに驚くべき発見は、脈絡網膜および視神経血流の改善である。視神経乳頭血液灌流の減少が、正常眼圧緑内障(NTG)、視野障害、視神経乳頭陥凹の病因の可能性のある因子である。故に、本発明の薬剤はまたNTGの処置におよび視野障害および/または視神経乳頭の陥凹の予防にも有用である。好ましい局面において、本発明の薬剤は、NTGの処置に有用である。
【0036】
本発明は、さらに、本発明の薬剤を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物を提供する。このような組成物は慣用法で製剤できる。
【0037】
本発明の薬剤は、任意の慣用の経路で、例えば非経腸的に、例えば注射用溶液または懸濁液の形で、または経腸的に、好ましくは経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で、または局所的に、例えば溶液、軟膏または月として投与できる。
【0038】
より好ましくは、それらは、眼に局所的に約0.0001〜1%眼科用液として適用する。
【0039】
眼用媒体は、本化合物が、本化合物が眼の角膜および内部領域に浸透するのに十分な時間、眼の表面と接触して維持されるようなものである。
【0040】
薬学的に許容される眼用媒体は、例えば軟膏、植物油または封入材料であり得る。
【0041】
さらに別の局面において、本発明は、処置を必要とする対象における緑内障を処置する方法であり、該対象に治療的有効量の本発明の薬剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0042】
任意の適当な投与経路を、有効量の本発明音薬剤を哺乳類、とりわけヒトに提供するために使用できる。例えば、経口、直腸、局所、非経腸、眼、肺、経鼻などの経路を用い得る。投与形は、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどを含む。
【0043】
担体は、投与のために望まれる製剤の性質、すなわち、経口、非経腸などに依存して広範囲の形を取り得る。経口投与形の製造において、通常の医薬媒体、例えば、液体製剤(例えば、懸濁液、エリキシルおよび溶液)の場合、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤など;または粉末、カプセルおよび錠剤のような経口固体製剤の場合、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用し得る。固体経口製剤は、液体経口製剤よりも好ましい。それらの投与の容易さから、錠剤およびカプセルは好ましい経口投与単位形である。所望により、カプセルを標準水性または非水性技術によりコーティングし得る。
【0044】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、各々粉末または顆粒形の予定された量の活性成分を含むカプセル、カシェまたは錠剤のような別々の単位として、または、水性または非水性液体中のまたは水中油型または油中水型エマルジョン中の溶液または懸濁液として、製造できる。このような組成物は薬の分野で既知の任意の方法により製造し得る。一般に、本組成物は活性成分と液体担体、微粉化固体担体、または両方と均質にかつ密接に混合し、次いで、必要であれば、製品を所望の形に形作ることにより製造する。例えば、錠剤は、圧縮または鋳造により、所望により1種またはそれ以上の助剤と共に製造できる。圧縮錠剤は、適当な機械で、所望により滑剤、不活性希釈剤または界面活性剤もしくは分散剤と混合された、粉末または顆粒のような自由に流動する形の活性成分を圧縮することにより製造できる。鋳造された錠剤を、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末の化合物の混合物を適当な機械で鋳造することにより、製造できる。
【0045】
眼用インサートは、例えばCarver Pressで、活性成分とHPCの混合物を、12,000ポンド(gauge)に、149℃で1−4分付すことにより製造した圧縮成型フィルムから製造できる。例示として、フィルムをプラテン中、循環冷水を付すことにより加圧下冷ます。次いで、インサートを個々にフィルムから棒形パンチにより切断する。各インサートをバイアルに入れ、それを次いで湿潤キャビネット(88%相対湿度、30℃)に2−4日間入れる。キャビネットから出した後、バイアルに蓋をし、次いで121℃で0.5時間オートクレーブする。
【0046】
組み合わせが局所用組成物であるとき、それは当分野の当業者に既知の局所的に許容される賦形剤または添加剤、例えば眼用担体、張性増強剤とも呼ばれる等張剤、緩衝剤、防腐剤、錯化剤、可溶化剤および他の非毒性賦形剤を含み得る。
【0047】
特に眼投与のための液体医薬用の担体は、例えば水、水と水混和性溶媒、0.5〜5重量%のヒドロキシエチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニル−ピロリドンおよび、例えば、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピル−セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キトサンおよびスクレログルカン、ポリサッカライド、例えばヒアルロン酸、アクリレートまたはメタクリレート、例えばポリアクリル酸もしくはアクリル酸エチルの塩、ポリアクリルアミド、天然産物、例えばゼラチン、アルギネート、ペクチン、トラガカント、カラヤガム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天およびアカシア、デンプン誘導体、例えばデンプンアセテートおよびヒドロキシプロピルデンプン、およびまた他の合成産物、例えばpoloxamer、例えばPoloxamer F127、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは架橋ポリアクリル酸、例えば中性Carbopol、またはこれらのポリマーの混合物のような眼用使用のための他の非毒性水溶性ポリマー、例えばC−からC−アルカノールを含む、植物油または鉱油である。好ましい担体は水、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、中性Carbopol、またはこれらの混合物である。担体の濃度は、例えば、活性成分の濃度の0.1〜100000倍である。
【0048】
可溶化剤もまた本発明の眼用組成物に使用でき、例えば、シクロデキストリン、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、ポリソルベート20、ポリソルベート80またはこれらの化合物の混合物である。とりわけ好ましい可溶化剤の具体例は、ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物、例えば市販品Cremophor EL(登録商標)またはCremophor RH 40(登録商標)である。ヒマシ油およびエチレンオキシドの反応産物は、眼に非常によく耐用される、特に良好な可溶化剤であることが証明されている。他の好ましい可溶化剤は、シクロデキストリンおよびチロキサポールである。使用する量は、とりわけ活性成分の量に依存する。添加する量は、典型的に活性成分を可溶化するのに十分である。例えば、可溶化剤の濃度は、活性成分の濃度の0.1〜5000倍である。
【0049】
緩衝剤の例は、アセテート、アスコルベート、ボレート、ハイドロゲンカーボネート/カーボネート、シトレート、グルコネート、ラクテート、ホスフェート、プロピオネートおよびTRIS(トロメタミン)緩衝剤である。トロメタミンおよびボレート緩衝剤が好ましい緩衝剤である。添加する緩衝剤の量は、例えば、生理学的に耐用のpH範囲を確実にし、維持するのに必要な量である。pH範囲は、典型的に5〜9、好ましくは6〜8.5およびより好ましくは6.5〜8.2の範囲である。
【0050】
張性増強剤は、例えば、イオン性化合物、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属ハライド、例えば、例えば、CaCl、KBr、KCl、LiCl、NaI、NaBrまたはNaCl、NaSOまたはホウ酸である。非イオン性張性増強剤は、例えば、ウレア、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコールまたはデキストロースである。例えば、十分な張性増強剤を、約50〜1000mOsmol、好ましくは100〜400mOsmol、より好ましくは200〜400mOsmolおよびよりさらに好ましくは250〜350mOsmolの浸透圧を直ぐ使用できる眼用組成物に付与するように添加する。
【0051】
防腐剤の例は、4級アンモニウム塩、例えばセパゾニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(セトリミド)、セチルピリジニウムクロライド、ベンズオキソニウムクロライド、ベンゼチオニウムクロライド、ドミフェンブロマイド(Bradosol(登録商標))または塩化ベンザルコニウム、チオサリチル酸のアルキル−水銀塩、例えば、例えば、チオメルサール、フェニル水銀ニトレート、フェニル水銀アセテートまたはフェニル水銀ボレート、例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのようなパラベン、例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノールのようなアルコール、例えば、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアナイドのようなグアニジン誘導体、ナトリウムペルボレート、Germal(登録商標)IIまたはソルビン酸である。好ましい防腐剤は、4級アンモニウム塩、アルキル−水銀塩およびパラベンである。適当であるとき、十分な量の防腐剤を眼用組成物に添加し、使用中の細菌または真菌による二次汚染に対する保護を確実にする。
【0052】
眼用組成物は、さらに、例えば、200、300、400および600と名付けられたポリエチレングリコール、または1000、1500、4000、6000および10000と名付けられたCarbowaxのような、例えば、乳化剤、湿潤剤または増量剤のような他の非毒性賦形剤を含み得る。所望により使用し得る他の賦形剤は、下記に示すが、それらは可能性のある賦形剤の範囲をいかなる方法でも限定するものではない。それらはとりわけ錯化剤、例えばジナトリウム−EDTAまたはEDTA、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル−ヒドロキシアニソール、ブチル−ヒドロキシトルエンまたはアルファ−トコフェロールアセテート;安定化剤、例えばチオウレア、チオソルビトール、ナトリウムジオクチルスルホスクシネートまたはモノチオグリセロール;または例えば、ラウリン酸ソルビトールエステル、トリエタノールアミンオレエートまたはパルミチン酸エステルのような他の賦形剤である。好ましい賦形剤は、錯化剤、例えばジナトリウム−EDTAである。添加する賦形剤の量およびタイプは、特定の要求に従い、一般に、約0.0001〜90重量%の範囲である。
【0053】
製剤例(Galenic example)
後記の実施例IからVにおいて、ベンゾ[g]キノリン誘導体は、式III、
【化10】

の化合物であり、プロスタグランジン誘導体はラタノプロストである。
【0054】
実施例I:
経口投与形の医薬組成物:錠剤
【表1】

【0055】
実施例II:
液体投与形の医薬組成物:非経腸投与(%w/w)
【表2】

【0056】
実施例III:
液体投与形の医薬組成物:点眼(%w/w)
【表3】

【0057】
実施例IV:
局所投与用医薬組成物:眼用軟膏(%w/w)
【表4】

【0058】
実施例V:
局所投与用医薬組成物:眼用ゲル(%w/w)
【表5】

【0059】
本明細書で使用する“処置”または“処置する”なる用語は、予防的または防止的処置ならびに治癒的または疾患修飾処置の両方を意味し、疾患を発症する危険性のあるまたは疾患を発症している疑いのある患者ならびに病気であるかまたは疾患もしくは医学的状態を有すると診断されている患者の処置を含む。
【0060】
本発明はまた、特に上昇したIOPを有する対象であるが、これらに限定されない対象における、緑内障を処置および/または予防する方法であり、該患者にベンゾ[g]キノリン誘導体とプロスタグランジン誘導体を含む医薬を投与することを含む、方法に関する。
【0061】
他の態様は、特許請求の範囲の独立項および従属項にのみ記載しているかもしれないが、同等に本発明の一部であるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾ[g]キノリン誘導体および/または薬学的に許容されるその塩と、プロスタグランジン誘導体および/または薬学的に許容されるその塩を含む、組み合わせ。
【請求項2】
該ベンゾ[g]キノリンが、遊離塩基形または酸付加塩形の、式(I)
【化1】

〔式中、
AおよびBは、互いにHであるか、または一体となってさらなる結合を形成し、
XはCHまたはCOであり、
YはO、S、NR(RはHまたは低級アルキルである)、CHまたはO−CHであり、そして
Rは、式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)または(i)
【化2】

(式中、RはHまたは低級アルキルであり、
はH、低級アルキル、またはチエニル、例えば2−チエニルであり、
はOまたはSであり、
はCHまたはNである)である。〕
の化合物および/または薬学的に許容されるその塩であり、そして、該プロスタグランジン誘導体が、式(II)、
【化3】

〔式中、
GはOH、低級アルコキシ、アミノ−低級−アルキルを意味し、
AおよびBは互いにHであるか、または一体となってさらなる結合を形成し、
LはCO、CHOR(RはHまたは低級アルキルである)であり、
MはO、S、(CH)(nは1〜6である)であり、
QはHまたはArであり、ここで、Arは、好ましくは非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、シアノ、ハロ−低級−アルキル、例えばトリハロメチルにより1個またはそれ以上置換されているフェニルである。〕
の化合物および/または薬学的に許容されるその塩である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項3】
該ベンゾ[g]キノリンが:
【化4】

から成る群から選択されるいずれかの化合物であり、そして、該プロスタグランジンが:
【化5】

から成る群から選択されるいずれかの化合物である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項4】
該ベンゾ[g]キノリンが、式(I)
【化6】

〔式中、
AおよびBが、互いにHであるか、または一体となってさらなる結合を形成し、
XがCHであり、
YがSであり、そして
Rが式(e)、(f)、または(h)
【化7】

(式中、RはHまたは低級アルキルであり、
はSであり、
はCHまたはNであり、そして
はH、または低級アルキルである)
である。〕
の化合物および/または薬学的に許容されるその塩である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項5】
プロスタグランジンが、ラタノプロスト、トラバプロスト、ビマトプロストおよびケトラタノプロスト、好ましくはラタノプロストおよびトラバプロスト、より好ましくはラタノプロストから選択される、請求項4記載の組み合わせ。
【請求項6】
【化8】

およびラタノプロストを含む、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項7】
【化9】

およびラタノプロストを含む、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項8】
【化10】

およびラタノプロストを含む、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項9】
緑内障、例えば眼圧(IOP)の上昇に基づくものの処置用医薬の製造のための、請求項1から8のいずれかに記載の組み合わせの使用。
【請求項10】
対象における緑内障を処置および/または予防する方法であり、該患者に、ベンゾ[g]キノリン誘導体とプロスタグランジン誘導体から成る医薬を投与することを含む、方法。
【請求項11】
該対象が上昇したIOPを有する、請求項5記載の方法。
【請求項12】
正常眼圧緑内障(NTG)を処置する方法であり、該患者に、ベンゾ[g]キノリン誘導体とプロスタグランジン誘導体から成る医薬を投与することを含む、方法。
【請求項13】
該患者の脈絡網膜のおよび/または視神経の血流が障害されている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
該投与が、局所的眼投与である、請求項10記載の方法。
【請求項15】
眼用組成物である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項16】
眼用インサートである、請求項15記載の組み合わせ。
【請求項17】
式(I)および(II)の化合物が、50:1から1:50までの比率で存在する、請求項1から2のいずれかに記載の組み合わせ。


【公表番号】特表2007−504198(P2007−504198A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525124(P2006−525124)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009866
【国際公開番号】WO2005/023258
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】