説明

ベンダムスチンの調製方法

【解決手段】 ベンダムスチンおよびその薬学的な塩の新規の調製方法が記載されている。ベンダムスチンの調製に有用な新規な化合物もまた記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンダムスチン、特に、ベンダムスチン塩酸塩の向上した合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンダムスチン塩酸塩、4−{5−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−1−メチル−2−ベンズイミダゾリル}酪酸塩酸塩:
【化1】

はドイツ民主共和国(GDR)において1963年に最初に合成され、1971〜1992年には商品名Cytostasan(登録商標)で入手可能であった。その当時から、独国においては商品名Ribomustin(登録商標)で市販されている。ベンダムスチン塩酸塩は現在、米国において商品名Treanda(登録商標)(Cephalon,Inc.,Frazer,PA)で入手可能である。ベンダムスチンは、慢性リンパ性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、および乳がんなどの疾患の治療において治療上の実用性を有すると見られているアルキル化剤である。
【0003】
現在におけるベンダムスチン塩酸塩の商業的な調製では少なくとも9つの合成ステップが必要とされ、塩化チオニルなどの数々の有害で、悪臭を有する試薬の使用を伴う。例えば、J.Prakt.Chem.,20,178〜186ページ(1963年)およびZentralblatt fuer Pharmazie,Pharmakotherapie und Laboratoriumsdiagnostik,110(10)、1013〜1019ページ(1971年)を参照のこと。独国におけるその長年にわたる使用に関わらず、合成ステップ数および作業員の有害な試薬への露出を低減させるためにベンダムスチンの合成を改変するための試みはほとんどなされてきていない。それ故、必要とされる合成ステップが少なく、有害な試薬の使用が少量である新規なベンダムスチンの合成に対する要望が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ベンダムスチンおよびその薬学的に許容可能な塩の調製に対する向上された方法に関する。いくつかの実施形態は、1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼン:
【化2】


と、式Vの化合物:
【化3】

(式中、XはCl、BrまたはIであり、Rはマスキングされたカルボン酸である);
とを、式IIIの化合物:
【化4】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップを含む。
【0005】
他の実施形態は、2,4−ジニトロアニリン:
【化5】

と、式Vの化合物:
【化6】

(式中、XはCl、BrまたはIであり、Rはマスキングされたカルボン酸である);
とを、式VIの化合物:
【化7】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により式VIの化合物を単離するステップ;および
式VIの化合物を、式IIIの化合物:
【化8】

の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ
を含む。
【0006】
他の実施形態は、2,4−ジニトロアニリン:
【化9】

と、式Vの化合物:
【化10】

(式中、XはOHであると共に、Rは、マスキングされたカルボン酸である);
とを、式VIの化合物:
【化11】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により式VIの化合物を単離するステップ;および
式VIの化合物を、式IIIの化合物:
【化12】

の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ
を含む。
【0007】
本発明はさらに、式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して式IVの化合物:
【化13】

を形成するステップ;
式IVの化合物の生成に十分な時間および条件下で脱水して式IIの化合物
【化14】

を生成するステップ:
任意選択により式IIの化合物を単離するステップ;
式IIの化合物を還元アルキル化して式Iの化合物
【化15】

を生成するステップ:
式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で処理するステップ;ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および、任意選択により、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップを含む。本発明の好ましい実施形態は、式Iの化合物(式中、Rは、加水分解条件下でカルボン酸を形成することが可能であるマスキングされたカルボン酸である)を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で加水分解するステップ;ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および、任意選択により、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップを含む。特許請求の範囲に記載の方法により生成されたベンダムスチンおよびその薬学的に許容可能な塩もまた記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本明細書に記載の方法1により精製したベンダムスチン塩酸塩のXRPDスペクトルである。
【図2】図2は、本明細書に記載の方法2により精製したベンダムスチン塩酸塩のXRPDスペクトルである。
【図3】図3は、本明細書に記載の方法3により精製したベンダムスチン塩酸塩のXRPDスペクトルである。
【図4】図4は、本明細書に記載の方法4により精製したベンダムスチン塩酸塩のXRPDスペクトルである。
【図5】図5は、本明細書に記載の方法5により精製したベンダムスチン塩酸塩のXRPDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ベンダムスチン、特に、ベンダムスチン塩酸塩などのベンダムスチンの薬学的に許容可能な塩の新規な合成方法が開発されてきており、本明細書において開示されている。一定の実施形態において、ベンダムスチンは、市販されている出発材料から6つのステップで調製されることが可能である。特に、従来技術による方法がクロロエチル基の導入に少なくとも2つのステップを必要とするのに比して、ベンダムスチンのクロロエチル側鎖は単一の還元アルキル化ステップで導入される。これらの方法はまた、ベンダムスチンの非対称なベンズイミダゾール前駆体の新規な調製をも含む。これらの方法に関するさらなる詳細が、以下および添付のスキームに記載されている。
【化16】

【0010】
ベンダムスチンの薬学的に許容可能な塩の調製の例示的な方法は、スキーム1に示されているとおり、2,4−ジニトロアニリンから開始される。2,4−ジニトロアニリンは、Rがマスキングされたカルボン酸である式VIの化合物に転化される。
【0011】
本明細書において用いられるところ、「マスキングされたカルボン酸」という用語は、1回以上の化学形質転換でカルボン酸(−COOH)官能基に転化されることが可能である任意の化学的部分を指す。マスキングされたカルボン酸の例としては、例えば、エステル、チオエステル、オキサゾール、ニトリル、アミド、アルキルアルコール、フェニル、エーテルおよびオルトエステルが挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、Rは、Rの各々が、独立して、例えば、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(R)、−C(=O)N(R、−CHOH、−フェニル、−CHOC1〜6アルキルまたは−C(OC1〜6アルキル)であるマスキングされたカルボン酸である。
【0012】
2,4−ジニトロアニリンは、式Vの化合物(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)との処理によって式VIの化合物(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)に転化され、好ましくは、式Vの化合物において、Rは、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)であると共に、Xは、クロロ、ブロモまたはヨード(Cl、BrまたはI)である。好ましくは、Rは−C(=O)OCHまたは−C(=O)OCHCHであり、最も好ましくは、−C(=O)OCHである。例示的な実施形態において、Xはクロロである。特に好ましい実施形態において、式Vの化合物は、メチル−5−クロロ−5−オキソ吉草酸である。フェニルをカルボン酸に転化するための例示的な条件は、例えば、Sharplessら,J.Org.Chem.,1981年,46,3936〜3938ページに見出すことが可能である。
【0013】
2,4−ジニトロアニリンからの式VIの化合物の調製は、典型的には、有機溶剤の存在下に実施される。この反応はまた、典型的には、周囲温度を超える温度、好ましくは少なくとも約50℃で実施され、最も好ましくは、反応温度は、約75℃超または約100℃超である。いくつかの実施形態において、この反応は、有機溶剤の沸点で実施される。好ましい有機溶剤としては、アセトニトリルおよびトルエンが挙げられる。
【0014】
他の実施形態において、式Vの化合物は、例えば、炭酸カリウムなどの無機塩基またはトリエチルアミンなどのアミン塩基といった塩基の存在下に、2,4−ジニトロアニリンと組み合わされる。このような実施形態について好ましい有機溶剤としては、ジメチルアセタミド、酢酸エチル、ジクロロメタン、トルエン、または、これらの混合物が挙げられる。好ましくは、これらの反応は、例えば約50℃といった周囲温度以上で実施される。
【0015】
さらに他の実施形態において、2,4−ジニトロアニリンは、例えば、HOOC−(CHR(式中、Rはマスキングされたカルボン酸であって、例えば、Rは、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−CHOH、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)である)といった好適なカルボン酸でのアニリンのカップリングステップを介して式VIの化合物に転化されることが可能である。好ましくは、カルボン酸は、ペンタン二酸モノエチルエステルである。このようなカップリングステップは技術分野において周知であると共に、公知のカップリングステップ試薬を用いて達成可能である(例えば、1−エチル−3−(3'−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)と触媒性ジメチルアミノピリジン(DMAP))。カップリングステップは、典型的には、例えば、ジクロロメタンまたはトルエンといった有機溶剤の存在下に、0℃〜周囲温度〜有機溶剤の沸点(すなわち、還流)の範囲の温度で実施される。代替的な実施形態において、2,4−ジニトロアニリンは、適切なカルボン酸と共に、硼酸の存在下でトルエンなどの溶剤中で、例えば還流といった高温でカップリングされることが可能である。
【0016】
式VIの化合物は所望の場合には単離可能であり、好ましくは無機塩基といったメチル化剤および塩基で処理されて、式IIIの化合物が生成される。好ましいメチル化剤としては、ヨウ化メチルおよびジメチル硫酸が挙げられる。例示的な塩基の1種は炭酸カリウムである。他の塩基としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウムおよび炭酸ルビジウムが挙げられる。典型的には、メチル化は、例えばアセトニトリルといった有機溶剤中で実施される。
【0017】
【化17】

式IIIの化合物の調製のための代替的な実施形態がスキーム2に示されている。1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼンの式Vの化合物(式中、Xは、Cl、BrまたはIであり、好ましくはClであると共に、Rは、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−フェニル、−CHOC1〜6アルキルまたは−C(OC1〜6アルキル)であり、好ましくは−C(=O)OCHまたは−C(=O)OCHCH、最も好ましくは−C(=O)OCHである)での処理が式IIIの化合物をもたらすであろう。この反応は、一般に、例えばキシレンまたはキシレンの混合物といった有機溶剤の存在下に実施される。反応は、典型的には、例えば還流での周囲温度を超える温度で実施される。
【0018】
他の実施形態において、1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼンは、例えば、ナトリウム、リチウムあるいはカリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウム、水素化ナトリウム、または、カリウムt−ブトキシドといった塩基の存在下での式Vの化合物での処理により式IIIの化合物に転化されることが可能である。好ましくは、この反応は、例えば、ジメチルアセタミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドまたはこれらの混合物といった有機溶剤中で実施される。反応温度は、典型的には、約−65℃〜約−20℃〜約0℃の低い範囲から、周囲温度〜約50℃の高い範囲である。
【0019】
【化18】

式IIIの化合物は、スキーム3に示されている方法を介して式IIの化合物に転化されることが可能である。式IIIの化合物のニトロ基は、技術分野において公知である還元技術を用いて、対応するアミンに還元されることが可能である。好ましくは、この還元ステップは触媒水素化を介する。触媒水素化のための例示的な触媒はパラジウム、好ましくは、炭素に担持されたパラジウム(例えば、5%パラジウムまたは10%パラジウム)または水酸化パラジウム(約20%パラジウム)である。典型的には、触媒水素化は、大気圧を超える水素圧下で実施される。好ましい水素圧は、約20psi〜約100psi、好ましくは少なくとも40psiである。水素化は、典型的には、例えばエタノールまたはメタノールといったC1〜6アルキルアルコールの存在下で実施され、ここで、メタノールが特に好ましい。テトラヒドロフランおよび水もまた好適な溶剤である。好ましい実施形態において、水素化は、周囲温度〜約60℃で実施される。
【0020】
他の実施形態において、還元は、亜ジチオン酸ナトリウムなどの試薬と酢酸などの酸とを採用することにより実施され得る。このような実施形態は、典型的には、周囲温度にて水溶液中で実施される。
【0021】
C(2)(スキーム3を参照のこと)ニトロの還元は、一般に、インサイツでの環化をもたらして式IVの化合物が形成される。式IVの化合物は、任意選択により単離されてもよい。好ましくはろ過による任意の触媒の任意選択による除去の後、反応混合物(または、ろ過が採用された場合には濾液)は好ましくは濃酸といった酸で処理されて式IVの化合物が脱水されて、式IIの化合物が生成される。好ましくは、濃塩酸が脱水に用いられて、生成される式IIの化合物の塩酸塩がもたらされる。硫酸、臭化水素酸およびリン酸などの他の酸もまた許容可能な酸であり、対応する塩を形成するであろう。好ましい溶剤としては、例えばメタノールおよびエタノールなどのアルコール、ならびに、テトラヒドロフランが挙げられる。溶剤の混合物もまた利用し得る。典型的には、この反応は、用いられる溶剤系の沸点で実施される。式IIの化合物は、例えばテトラヒドロフランまたはメチルt−ブチルエーテルといった適切な逆溶剤の添加によって反応混合物から析出され得る。このステップは、任意選択により、ニトロ還元ステップの最中における酸の添加によって実施され得る。典型的には、このステップは、周囲温度を超える温度で実施される。
【0022】
他の実施形態において、脱水は、例えば水酸化ナトリウムといった塩基の存在下に実施されることが可能である。他の実施形態において、脱水は、加熱によって達成されることが可能である。
【0023】
【化19】

スキーム4に示されているとおり、塩または遊離塩基での式IIの化合物の、好ましくはクロロ酢酸の存在下での新規な還元アルキル化が式Iの化合物をもたらす。例示的な実施形態においては、クロロ酢酸が用いられると共に、還元剤は、ボラン、好ましくはボラン−テトラヒドロフラン、水素化ホウ素リチウム、または水素化ホウ素ナトリウムである。この反応は、一般に、例えばテトラヒドロフランといった有機溶剤の存在下に、例えば周囲温度〜約90℃、好ましくは約40〜60℃での周囲温度以上の温度で実施される。
【0024】
他の実施形態において、クロロアセトアルデヒドが、ボランシアノ水素化ホウ素ナトリウム(任意選択によりリン酸緩衝剤の存在下に)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、および、水素化ホウ素ナトリウム(例えば、例えばジグリムまたは水酸化ナトリウム水溶液といった溶液中の水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウム)または、水素化ホウ素リチウムおよびその溶液を含む好適な還元剤と共に用いられる。この反応の実施に好ましい溶剤としては、メタノール、ジクロロメタン、水、アセトニトリル、ジクロロエタン、ジメチルアセタミド、テトラヒドロフラン、トルエンまたはこれらの混合物が挙げられる。この反応は、典型的には、周囲温度または約0℃〜約60℃で実施される。Palani,A.ら,J.Med.Chem.,2005、48、4746;Delfourne,E.,Bioor.& Med.Chem2004、12、3987;Delfourne,E.ら,J.Med.Chem.,2002、45、3765を参照のこと。
【0025】
水素化を介した還元もまた好適である。好ましい水素化条件は、触媒として例えば炭素上に担持されたパラジウムを用いる触媒水素化を含む。水素が、大気圧〜約145psiの範囲の圧力でHガスとして添加され得る。インサイツでの水素生成もまた利用され得る。この水素化は、典型的には、周囲温度で実施される。重炭酸アンモニウムおよび炭素上に担持されたパラジウムもまた好適である。
【0026】
【化20】

式Iの化合物からのベンダムスチンの調製は、スキーム5に記載の手法に従って行われることが可能である。マスキングされたカルボン酸基(R)は、当業者に公知の方法を用いて対応するカルボン酸に転化される。好ましい実施形態において、マスキングされたカルボン酸が加水分解条件でのカルボン酸の形成が可能である場合、式Iの化合物のマスキングされたカルボン酸は加水分解されて、ベンダムスチンまたは好ましくはその塩が生成される。カルボン酸の形成が可能であるマスキングされたカルボン酸を含む実施形態は、Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、または−C(OC1〜6アルキル)であるものを含む。いくつかの実施形態において、Rは、加水分解を介してカルボン酸に転化される−C(=O)OC1〜6アルキルである。好ましくは、酸が加水分解に用いられると共に、この酸は好ましくは濃塩酸であって、これは、ベンダムスチンの塩酸塩を生成する。一般に、加水分解は、例えば、周囲温度〜還流、好ましくは約80℃〜約100℃といった周囲温度以上で実施される。好ましくは、生成される塩が塩酸塩である場合、塩は再結晶され得る。
【0027】
あるいは、式Iの化合物の加水分解は、例えば水酸化リチウムといった水酸化物で、メタノールおよび水などの水含有溶媒混合物中で達成されることが可能である。この反応は、典型的には、例えば約0℃〜約12℃といった室温より低温で実施される。
【0028】
他の実施形態において、ベンダムスチンは、式IIの化合物から直接的に調製されることが可能である。このような実施形態において、例えばHPLCによる観測で還元アルキル化が完了すると、溶剤の体積の約半分から四分の三が減圧で除去される。次いで、例えば塩酸といった濃酸、または、いずれかの他の好適な酸が添加される。この反応は、典型的には、還流まで加熱されてベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩が生成される。
【0029】
本発明の方法により調製されたベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩は、例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィまたはNMRといった任意の公知の分析方法により分析された場合に、少なくとも約85%のベンダムスチン純度を有していることが好ましいであろう。最も好ましい実施形態において、この方法は、少なくとも約90%の純度を有するベンダムスチンを生成するであろう。より好ましくは、この方法は、少なくとも約95%の純度を有するベンダムスチンを生成するであろう。最も好ましくは、この方法は、少なくとも約98%の純度を有するベンダムスチンを生成するであろう。
【0030】
【化21】

本明細書に記載の方法を用いるベンダムスチン塩酸塩の好ましい調製がスキーム6に示されている。2,4−ジニトロアニリンをメチル−5−クロロ−5−オキソ吉草酸(V−a)とトルエン中に還流で反応させて式VI−aの化合物を生成した。炭酸カリウムを塩基として用いるアセトニトリル中での周囲温度でのVI−aの硫酸ジメチルでのメチル化は式III−aの化合物をもたらした。一定の実施形態において、ヨウ化メチルを硫酸ジメチルの代わりに用いることが可能である。炭素上に担持されたパラジウムおよび約40psiの水素を用いる周囲温度での、メタノールを溶剤として用いるIII−aの触媒水素化は式IV−aの化合物をもたらした。還流で濃塩酸を用いる酸−媒介脱水は式II−aの化合物をもたらした。ボラン−テトラヒドロフランおよびクロロ酢酸を周囲温度で用いるII−aの還元アルキル化は式I−aの化合物をもたらした。濃塩酸を還流で用いる酸媒介加水分解はベンダムスチン塩酸塩をもたらした。
【0031】
【化22】

式III−aの化合物は、代わりに、スキーム7に示されているスキームに従って調製されることが可能である。1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼンとメチル−5−クロロ−5−オキソ吉草酸とのキシレン中での還流での反応は式III−aの化合物をもたらした。次いで、化合物III−aは、スキーム6に記載の反応シーケンスを用いてベンダムスチン塩酸塩に変換することが可能である。
【0032】
以下の実施例は例示的であることが意図され、本発明の方法を限定しない。
【実施例】
【0033】
以下の実施例において言及されている高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法は以下のとおり実施した。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
実施例1
4−(2,4−ジニトロ−フェニルカルバモイル)−酪酸メチルエステルの調製:攪拌棒、加熱マントル、還流凝縮器、熱電対、およびNスイープを備えた250mL丸底3首フラスコに、10.0g(54.6mmol)の2,4−ジニトロアニリンおよび100mL(10倍量)のトルエンを室温で仕込んだ。この攪拌混合物に、9.06mL(10.78g、65.5mmol、1.2当量)のメチル−5−クロロ−5−オキソ吉草酸をシリンジで添加した。次いで、この黄色の反応混合物を110℃で還流に加熱した。約100℃で溶解が生じた。反応の進行は、高性能液体クロマトグラフィー、HPLC法Aにより周期的に監視した。反応は還流で18.5時間後に終了し50℃に冷却した。
【0038】
次いで、およそ100mLの反応混合物を丸底フラスコ中の100mLの水に添加し、トルエンを減圧中で除去した。所望の生成物が黄色の固体として析出し、得られた生成物スラリーを室温で1時間攪拌した。次いで、固形分を減圧ろ過により単離し、60℃で一晩乾燥させて、16.67gを得た(98%、53.6mmol、99.0HPLC面積%(HPLC法A))。H NMR(400MHz,CDCl)δ10.7(s,b,1H),9.14(d,J=2.68Hz,1H),9.10(d,J=9.44Hz,1H),8.5(dd,1H),3.7(s,3H),2.65(t,J=7.32Hz,2H),2.48(t,J=7.08Hz,2H),2.10(m,2H)。
【0039】
実施例1a
4−(2,4−ジニトロ−フェニルカルバモイル)−酪酸メチルエステルの調製:反応器は清浄化されて乾燥され、次いで、室温(15〜25℃)で制限剤である2,4−ジニトロアニリンを仕込んだ。反応器は不活性化されており、10倍量のトルエンが仕込まれる。攪拌が開始されて固形分が懸濁され、1.2当量のメチルグルタリルクロリドが仕込まれる。バッチはゆっくりと還流まで加熱される。固形分は80〜90℃で溶解する。加熱の間、塩化水素ガスが発生し、ガス洗浄されなければならない。還流に達したら、バッチは、プロセス分析が1.0面積%未満の残留2,4−ジニトロアニリン(HPLC法A)を示すまで、4〜6時間保持される。バッチは55±5℃に冷却され、6倍量の1:1飽和重炭酸ナトリウム/塩水で洗浄される。層分離の後、減圧蒸留が実施されて、最初のトルエン仕込み量の三分の一が除去される。50℃超の温度で、この同一の体積のヘプタンが逆溶剤として仕込まれる。次いで、バッチは45℃に冷却され、0.1〜1.0重量%4−(2,4−ジニトロ−フェニルカルバモイル)−酪酸メチルエステルがシード添加され、および、以下のプロファイルで5℃に冷却される前に3時間エージングされる:2℃/時間で35℃まで、6℃/時間で20℃まで、15℃/時間で5℃まで、次いで、5℃で1時間保持。次いで、固形分が減圧ろ過により回収され、5℃の1倍量の2:1トルエン/ヘプタンで洗浄され、次いで50℃の真空オーブン中で一定の重量となるまで乾燥される。収率は、典型的には、85〜95%であり、純度はHPLC法Aで98〜99面積%の範囲である。
【0040】
実施例2
4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステルの調製:攪拌棒、熱電対およびNスイープを備える100mL丸底3首フラスコに、16.67g(53.6mmol)の4−(2,4−ジニトロ−フェニルカルバモイル)−酪酸メチルエステルおよび50mL(対ジニトロアニリンで5倍量)のアセトニトリルを室温で仕込んだ。次いで、この清透な黄色の攪拌溶液に、6.09mL(8.10g、64.2mmol、1.2当量)のジメチル硫酸および14.80g(107mmol、2.0当量)のKCOを添加した。混合物は添加に伴って濃い赤みのあるオレンジ色に変色し、5℃未満の発熱を示した。この反応を、HPLC法Aにより周期的に監視し、これは、室温で22.5時間後に完了した。
【0041】
反応混合物をろ過してKCOを除去し、ウェットケーキをアセトニトリルで洗浄した。次いで、得られた60mLの濃い紫色の濾液を、滴下漏斗を介して225mL(出発材料に対して13.5倍量)のHOに、室温で、激しく攪拌しながら10分間かけて滴下した。所望の生成物は油を形成し、次いで、黄色の固体として析出した。これらの固形分を室温でさらに2時間攪拌し、減圧ろ過で回収し、および、60℃で一晩乾燥させて、14.99gを得た(86%、46.1mmol、HPLC法Aで98.5面積%)。
【0042】
実施例2a
4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステルの調製:反応器は清浄化されて乾燥され、次いで、制限剤である4−(2,4−ジニトロ−フェニルカルバモイル)−酪酸メチルエステルがしこまれる。次いで、反応器が不活性化されて、3倍量のアセトニトリルが仕込まれる。攪拌が100〜150rpmで開始され、バッチは固形分が溶解するまで35℃に加熱される。15〜25℃に冷却した後、2.0当量の炭酸カリウム粉末が添加され、続いて、1.2当量のジメチル硫酸が添加される。次いで、バッチは、15〜25℃で3時間攪拌され、その時点で、追加の0.5当量の炭酸カリウム粉末が添加される。攪拌は、プロセス分析が1.0面積%未満の残留出発材料を示すまで継続される(HPLC法A)。固体炭酸カリウムがろ過で除去され、塩基のウェットケーキが2倍量のアセトニトリルで洗浄される。同一のまたは第2の清浄で乾燥した反応器に、10倍量の脱イオン水が仕込まれる。次いで、濾液がこの反応器に30〜90分間にわたって15〜25℃で仕込まれる。移動が完了したら、バッチは、15〜25℃で18〜24時間攪拌されて残存ジメチル硫酸が破砕される。このバッチはおよそ1時間かけて0〜10℃に冷却され、次いで、ろ過によって単離される。ウェットケーキは1倍量の脱イオン水で洗浄され、次いで、一定重量になるまで50℃にて減圧下で乾燥される。収率は、典型的には85〜95%であり、純度は、HPLCで97〜99面積%の範囲である(HPLC法A)。
【0043】
実施例3
4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステルの調製:2,4−ジニトロアニリン(6.00g、32.76mmol)のアセトニトリル(60mL)中の溶液に、メチル−5−クロロ−5−オキソ吉草酸(5.44mL、39.31mmol、1.2当量)を20℃で、一度に添加した。次いで、この反応混合物を75℃に加熱した。反応の進行はHPLCにより周期的に監視した(HPLC法A)。この反応は、75℃で23時間攪拌した後に完了して、4−(2,4−ジニトロ−フェニルカルバモイル)−酪酸メチルエステルが得られた。この反応混合物を20℃に冷却し、次いで、溶剤の一部を減圧中で除去して、およそ25mLの総反応体積を得た。次いで、濃縮混合物に、炭酸カリウム(13.58g、98.26mmol、3.0当量)およびヨウ化メチル(10.20mL、163.48mmol、5.0当量)を20℃で添加した。反応の進行はHPLC法Aにより周期的に監視した。反応は20℃で17時間に完了して4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステルが得られた。この反応混合物をろ過して過剰量のKCOを除去し、濾液を冷水(200mL)に注ぎ入れて、オフホワイトの固体を得た。固体生成物を減圧ろ過により回収し、減圧/Nスイープ下に60℃で一晩乾燥させて、8.914g(84%収率)を明るい黄褐色の固体として得た。
【0044】
実施例4
4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステルの調製:1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼン(1.00g、5.07mmol)のキシレン(10mL)中の攪拌懸濁液に、メチル−5−クロロ−5−オキソ吉草酸(3.50mL、25.28mmol、5.0当量)を20℃で添加した。次いで、この反応混合物をおよそ138℃の還流に加熱した。反応の進行はHPLC法Aにより周期的に監視した。反応は、138℃でおよそ24時間攪拌した後に完了した。この反応混合物を0℃に冷却し、ヘキサン(10mL)を添加して、生成物を結晶化させた。得られたスラリーを−10℃〜0℃でおよそ1時間攪拌し、次いでろ過した。ウェットケーキを減圧/Nスイープ下に60℃で一晩乾燥させて、1.30g(79%収率)をオフホワイトの固体として得た。
【0045】
実施例5
4−(5−アミノ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−酪酸メチルエステル塩酸塩の調製:1リットルBuchi反応器に、20グラムの4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステル、1.0gの炭素上に担持されたパラジウム(乾量基準、10%Pd)、および、180mLのメタノールを周囲温度で仕込んだ。得られた混合物を、40psiで一晩(約18時間)、0.12〜0.28の水素物質同係数(kLa)での水素化に供した。この反応混合物をCelite(登録商標)540の薄いパッドを通してろ過した。この濾液に、2.8mLの濃塩酸(出発材料に対して1.1当量)を添加した。得られた混合物を還流下で3.5時間攪拌した。およそ3/4量の溶剤を減圧下で除去した。次いで、激しく攪拌しながら温かいテトラヒドロフラン(THF)(150mL)を添加した。析出物をろ過により回収し、減圧下で一晩乾燥させて、コーヒー色の固体(16.1g、収率92%)をHPLC分析(HPLC法B)による98面積%の純度で得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.83(d,J=8.8Hz,1H),7.50(s,1H),7.27(d,J=8.6Hz,1H),3.91(s,3H),3.58(s,3H),3.17(t,J=7.7Hz,2H),2.53(t,J=7.3Hz,2H,DMSOと部分的に重畳),2.07(五重項,J=7.5Hz,2H);LC/MS(ESI,m/z)248(M+1)。
【0046】
実施例6
4−(5−アミノ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−酪酸メチルエステル塩酸塩の調製:2リットルBuchi反応器に、42.7g(131.4mmol、1.0当量)の4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステル、20gの10%炭素上に担持されたパラジウム(出発材料に対して4.7%重量比パラジウム)、および650mLのメタノールを周囲温度で仕込んだ。得られた混合物を40psiで一晩、約18時間、水素化に供した。HPLCは、この反応は、約6〜7時間で完了したことを示した(HPLC法B)。この反応混合物を、Celite(登録商標)540の薄い層を通してろ過した。この濾液に、11mLの濃塩酸(1.0当量)を添加した。得られた混合物を還流下で3.5時間攪拌した。溶剤のおよそ半量を減圧下で除去した。T−ブチルメチルエーテル(MTBE、900mL)を激しく攪拌しながら添加した。析出物を、ろ過により回収し、MeOH−MTBEの混合物(1:10)で洗浄した。生成物を60℃のオーブンで一晩減圧下で乾燥させて、黄褐色の固体(36.8g、99%収率)をHPLC分析による99面積%の純度で得た(HPLC法B)。
【0047】
実施例6a
4−(5−アミノ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−酪酸メチルエステル塩酸塩の調製:1リットルBuchi反応器に、42.7g(131.4mmol、1.0当量)の4−[(2,4−ジニトロ−フェニル)−メチル−カルバモイル]−酪酸メチルエステル、20gの10%炭素上に担持されたパラジウム(出発材料に対して4.7%重量比パラジウム)および650mLのメタノールを周囲温度で仕込んだ。得られた混合物を40psiで一晩、約18時間水素化に供した。HPLCは、この反応は約6〜7時間で完了したことを示した(HPLC法B)。この反応混合物をCelite(登録商標)540の薄い層を通してろ過した。この濾液に、12mLの濃塩酸(1.1当量)を添加した。得られた混合物を還流下で3.5時間攪拌した。溶剤を減圧下で除去し、固形分を、1800mLの2vol%のメタノール/T−ブチルメチルエーテル中に室温で一晩スラリー化した。固形分をろ過により回収した。この生成物を45〜50℃で一晩、減圧下で乾燥させて、コーヒー色の固体(36.8g、99%収率)をHPLC分析による99面積%の純度で得た(HPLC法B)。
【0048】
実施例7
4−{5−[ビス−(2−クロロ−エチル)−アミノ]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−酪酸メチルエステルの調製:攪拌バー、窒素スイープを備えるコンデンサ、温度コントローラを備える熱電対、および、加熱マントルを備えた1リットル三首丸底フラスコに、4−(5−アミノ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−酪酸メチルエステル塩酸塩(15.0g、52.9mmol、1.0当量)、および、クロロ酢酸(105.0g、21当量)、および、22.5mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)を仕込んだ。このスラリーを水道水浴中で攪拌して、固形分のすべてを溶解させた。ボラン−THF(370.0mL、370mmol、7当量)を滴下漏斗を介してゆっくりと添加した。BH−THFの添加が完了したら、得られた反応溶液を室温で5時間攪拌し、メタノールで室温で急冷した。得られた溶液をおよそ三分の一の重量に蒸発させて濃縮し、氷水浴中で、炭酸ナトリウム水溶液でpH7〜8に中和した。黄褐色の固体を減圧ろ過により回収し、次いで、水およびメチルt−ブチルエーテルで洗浄した。室内減圧(house vacuum)のロータリーエバポレータで室温にて一晩乾燥させた後、黄褐色の固体を、実質的に定量的な収率で、97.8面積%の純度(HPLC法C)で得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.32(d,J=8.8Hz,1H),6.92(d,J=2.3Hz,1H),6.78(dd,J=8.8,2.3Hz,1H),3.70(br s,8H),3.66(s,3H),3.59(s,3H),2.83(t,J=7.4Hz,2H),2.48(t,J=7.4Hz,2H,DMSOと部分的に重畳),2.01(五重項,J=7.4Hz,2H);LC/MS(ESI,m/z)372(M+1),mp60〜63℃。
【0049】
実施例8
4−{5−[ビス−(2−クロロ−エチル)−アミノ]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−酪酸メチルエステルの再結晶:
空気式上部攪拌機、熱電対、還流凝縮器、および窒素雰囲気(ガスシール)を備えた500mLジャケット付き反応器に、20.0g(53.7mmol)の粗4−{5−[ビス−(2−クロロ−エチル)−アミノ]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−酪酸メチルエステル(98.3HPLC A%)および400mL(20倍量)のMTBEを仕込んだ。この攪拌混合物をおよそ40℃に加熱し、この時点で、1.00g(5重量%)のCeliteを添加した。次いで、混合物を50℃に加熱したところ、Celiteを除くすべての固形分が溶解した。50℃でおよそ2時間攪拌した後、この混合物を45℃でろ過してCeliteを除去した。反応器およびウェットケーキを120mL(6倍量)の温かいMTBE(45℃)で洗浄した。この組み合わせた濾液を反応器に戻し、420mL(21倍量)のMTBEを45℃での減圧蒸留により除去した。得られた溶液を曇り点である35℃にゆっくりと冷却し、この時点で、バッチに既に再結晶された材料をシード添加した。次いで、冷却機を22℃に設定した。バッチを冷却し、33℃で析出させた。およそ30℃で、100mL(5倍量)のヘプタンを逆溶剤として9分間にわたって添加した。次いで、このバッチを0℃に冷却し、1.5時間攪拌した。固形分を減圧ろ過により回収し、ウェットケーキおよび反応器を80mL(4倍量)のヘプタンで洗浄した。再結晶化させた生成物を一晩、30℃の真空オーブン中で乾燥させて、14.5g、72%の生成物を、HPLCで99.3面積%の純度(HPLC法C)を有する白色の結晶性固体として得た。
【0050】
実施例9
ベンダムスチン塩酸塩の調製:4−{5−[ビス−(2−クロロ−エチル)−アミノ]−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−酪酸メチルエステル(10.0g)および濃塩酸(40mL)を還流で4時間加熱した。加水分解を、反応混合物中の溶剤の70重量%を58℃にて減圧下で蒸発させることにより完了させた。温水を添加した後、得られた混合物を0〜5℃に冷却させて、生成物を析出させた。減圧ろ過、ならびに、冷水次いで冷アセトンでの洗浄により、99.1面積%の純度(HPLC法C)を有するオフホワイトの固体(8.6g、81%)を得た。この粗生成物を、エタノール中の炭と共に還流することによりさらに処理し、熱いうちにろ過し、冷却し、結晶をろ過により回収し、および、熱いアセトン(必要な場合には2〜4回)で洗浄して純度を高めた。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ12.3(br s,1H),7.72(d,J=9.3Hz,1H),7.14(d,J=2.3Hz,1H),6.89(dd,J=9.3,2.3Hz,1H),3.90(s,3H),3.80(m,8H),3.14(t,J=7.6Hz,2H),2.42(t,J=7.2Hz,2H),2.01(quint,J=7.6Hz,2H);LC/MS(ESI,m/z)358(M+1)。
【0051】
実施例10
ベンダムスチン塩酸塩の精製(方法1):ベンダムスチンHCl(9.2g)をジメチルホルムアミド(DMF):THFの混合物(2:1、40mL)中で、75℃で約30分間攪拌し、周囲温度に冷却し、および、固形分をろ過により回収した。回収した固形分をアセトン中で還流下に1時間加熱し、室温に冷却した。固形分(ベンダムスチン塩酸塩形態1)をろ過により回収し乾燥させた。粉末X線回折(XRPD)スペクトルが図1に示されている。最初の25個のXRPDピークについての付随するデータが以下に示されている。
【0052】
【表4】

【0053】
実施例11
ベンダムスチン塩酸塩の精製(方法2):ベンダムスチンHCl(9.2g)をDMF:THFの混合物(2:1、40mL)中に、75℃で約30分間攪拌し、周囲温度に冷却し、および、固形分をろ過により回収した。回収した固形分をアセトン中で周囲温度で約1時間攪拌した。固形分(ベンダムスチン塩酸塩形態1)をろ過により回収し乾燥させた。粉末X線回折(XRPD)スペクトルが図2に示されている。最初の25個のXRPDピークについての付随するデータが以下に示されている。
【0054】
【表5】

【0055】
実施例12
ベンダムスチン塩酸塩の精製(方法3):ベンダムスチンHCl(3.0g)をTHF(15mL)中に還流で約90分攪拌し、および、周囲温度に冷却した。固形分(ベンダムスチン塩酸塩形態1)をろ過により回収し乾燥させた。粉末X線回折(XRPD)スペクトルが図3に示されている。最初の25個のXRPDピークについての付随するデータが以下に示されている。
【0056】
【表6】

【0057】
実施例13
ベンダムスチン塩酸塩の精製(方法4):ベンダムスチンHCl(0.52g)をDMF:THFの混合物(3:7、2.6mL)中に周囲温度で約1時間攪拌した。固形分(ベンダムスチン塩酸塩形態1)をろ過により回収し乾燥させた。粉末X線回折(XRPD)スペクトルが図4に示されている。最初の25個のXRPDピークについての付随するデータが以下に示されている。
【0058】
【表7】

【0059】
実施例14
ベンダムスチン塩酸塩の精製(方法5):ベンダムスチンHCl(0.52g)をDMF:THFの混合物(1:9、2.6mL)中に、周囲温度で約2時間攪拌した。固形分(ベンダムスチン塩酸塩形態1)をろ過により回収し乾燥させた。粉末X線回折(XRPD)スペクトルが図5に示されている。最初の25個のXRPDピークについての付随するデータが以下に示されている。
【0060】
【表8】

【0061】
粉末X線回折法
粉末XRDパターンを、X'celerator検出器を備えるPANalytical X'Pert Pro回折計でCu Kα放射線を40kVおよび40mAで用いて記録した。Kα1放射線は、高配向結晶(Ge111)入射ビームモノクロメターで得た。10mmビームマスクおよび固定(1/4°)発散および散乱線除去(1/8°)スリットを入射ビーム側に挿入した。固定0.10mm受光スリットを回折ビーム側に挿入した。X線粉末パターン走査を約2〜40°2θから0.0080°ステップサイズおよび96.06秒計測時間で回収したところ、およそ0.5°/分の走査速度となった。
【0062】
サンプルを、ケイ素ゼロバックグラウンド(ZBG)プレート上に計測のために広げた。サンプルをPANalytical PW2064 Spinner上で4°/分で回転させた。
【0063】
データ集計の前のSi参照用標準の計測は、2θについての値、および、十分に28.38<2θ<28.50の許容誤差内であると共に150cpsの最低ピーク高よりも顕著に大きい強度をもたらした。
【0064】
本明細書に記載の方法により生成したベンダムスチン塩酸塩は、形態1異形体であるベンダムスチン塩酸塩の結晶形態をもたらした。この異形体は、本明細書において提供されるXRPDスペクトルへの参照と共に、形態1の特徴である1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の反射ピークによって特徴づけられ得る。
【0065】
当業者が認識するであろうとおり、上記教示に鑑みて本発明の数多くの変更および変形が可能である。従って、添付の特許請求の範囲内において、本発明は本明細書における特定的な記載以外の態様でも実施され得、本発明の範囲は、このような変形のすべてを含むことが意図されていることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化23】

またはその薬学的に許容可能な塩(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)の調製方法であって:
式IIの化合物:
【化24】

またはその薬学的に許容可能な塩を還元アルキル化するステップを含む方法。
【請求項2】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−CHOH、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式IIの化合物の還元アルキル化ステップが、クロロ酢酸またはクロロアセトアルデヒドおよび還元剤の存在下に、前記式Iの化合物の生成に十分な時間および条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が有機溶剤中で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶剤が、テトラヒドロフラン、メタノール、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジクロロエタン、ジメチルアセタミド、トルエンまたはこれらの混合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤が、ボラン、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドまたは水素化ホウ素ナトリウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記還元剤がボランである、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記還元剤が水素である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記還元剤が炭酸アンモニウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
Rが−C(=O)OCHまたは−C(=O)OCHCHである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記式IIの化合物
【化25】

または前記その薬学的に許容可能な塩が:
式IIIの化合物
【化26】

を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して、式IVの化合物:
【化27】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、前記式IIの化合物の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ;および
任意選択により、前記式IIの化合物を単離するステップ
を含む方法により調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
Rが−C(=O)OCHまたは−C(=O)OCHCHである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式IIIの化合物の前記還元ステップが触媒水素化により実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒水素化がパラジウムの存在下に実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒水素化がC1〜6アルキルアルコール中で実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記C1〜6アルキルアルコールがメタノールである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒水素化が大気圧を超える水素圧下で実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記水素圧が約20〜約100psiである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水素圧が少なくとも40psiである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
式IIIの化合物の前記還元ステップが、チオン酸ナトリウム(sodium thionite)の存在下に実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
脱水ステップが酸の存在下に実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記酸が濃塩酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記脱水ステップが塩基の存在下に実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記塩基が水酸化ナトリウムである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記式IIIの化合物が、2,4−ジニトロアニリン:
【化28】

と、式Vの化合物
【化29】

(式中、XはCl、BrまたはIである);
とを、式VIの化合物:
【化30】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により、前記式VIの化合物を単離するステップ;および
前記式VIの化合物を、前記式IIIの化合物の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ
を含む方法により調製される、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
XがClである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
Rが−C(=O)OCHまたは−C(=O)OCHCHである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記式VIの化合物を調製する前記方法が有機溶剤中で実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記溶剤が、トルエン、アセトニトリル、ジメチルアセタミド、酢酸エチル、ジクロロメタンまたはこれらの混合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記式VIの化合物が塩基の存在下に実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記塩基が無機塩基である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記塩基が炭酸カリウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記塩基がアミン塩基である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記アミン塩基がトリエチルアミンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記式VIの化合物の前記メチル化ステップが、前記式VIの化合物とメチル化剤および無機塩基とを接触させるステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記無機塩基が炭酸カリウムである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記メチル化剤がジメチル硫酸またはヨウ化メチルである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記式VIの化合物がろ過により単離される、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記式IIIの化合物を単離するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記式IIIの化合物を水溶液から析出させ、濾過して前記式IIIの化合物を単離して、前記式IIIの化合物を得る、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記式IIIの化合物が、2,4−ジニトロアニリン:
【化31】

と、式Vの化合物
【化32】

(式中、XはOHである);
とを、式VIの化合物:
【化33】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により、前記式VIの化合物を単離するステップ;および
前記式VIの化合物を、前記式IIIの化合物の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ
を含む方法により調製される、請求項12に記載の方法。
【請求項43】
前記式VIの化合物が、2,4−ジニトロアニリンの前記式Vの化合物とのカップリングステップにより生成される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記カップリングステップが、カップリング剤、および、任意選択により触媒の存在下に実施される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記カップリングステップが硼酸の存在下に実施される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記式IIIの化合物が、1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼン:
【化34】

と、式Vの化合物
【化35】

(式中、XはCl、BrまたはIである);
とを、前記式IIIの化合物の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ
を含む方法により生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項47】
XがClである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
Rが−C(=O)OCHまたは−C(=O)OCHCHである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が有機溶剤中で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記溶剤がキシレンまたはキシレンの混合物である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記式IIIの化合物が塩基の存在下に調製される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記塩基が、ヘキサメチルジシラザンナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、ルチルリチウム(lutyllithium)、水素化ナトリウム、またはカリウムt−ブトキシドである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ベンダムスチン:
【化36】

またはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
式Iの化合物:
【化37】

またはその薬学的に許容可能な塩(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である);
を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で処理するステップ;前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項54】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−CHOH、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ベンダムスチン:
【化38】

またはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
式Iの化合物:
【化39】

またはその薬学的に許容可能な塩(式中、Rは、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である);
を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で加水分解するステップ;前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項56】
前記加水分解が酸の存在下に実施される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記酸が濃塩酸であると共に、ベンダムスチンの前記薬学的に許容可能な塩がベンダムスチン塩酸塩である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記加水分解が塩基の存在下に実施される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
ベンダムスチンの前記薬学的に許容可能な塩がろ過により濾過される、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記ベンダムスチンの前記精製ステップが、ベンダムスチンの前記薬学的に許容可能な塩を炭と一緒にC1〜6アルキルアルコール中で加熱するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記C1〜6アルキルアルコールがエタノールである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
ベンダムスチンの前記薬学的に許容可能な塩のアセトンでの処理をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって:
1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼン:
【化40】

と、式Vの化合物:
【化41】

(式中、XはCl、BrまたはIであり、Rはマスキングされたカルボン酸である);
とを、前記式IIIの化合物
【化42】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ:
前記式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して式IVの化合物:
【化43】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、式IIの化合物
【化44】

の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ:
任意選択により、前記式IIの化合物を単離するステップ;
前記式IIの化合物を還元アルキル化して式Iの化合物:
【化45】

を生成するステップ;
前記式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で処理するステップ;
前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により、前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項64】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって:
1−メチルアミノ−2,4−ジニトロベンゼン:
【化46】

と、式Vの化合物:
【化47】

(式中、XがCl、BrまたはIであると共に、Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である);
とを、式IIIの化合物
【化48】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ:
前記式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して式IVの化合物:
【化49】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、式IIの化合物
【化50】

の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ:
任意選択により前記式IIの化合物を単離するステップ;
前記式IIの化合物を還元アルキル化して式Iの化合物:
【化51】

を生成するステップ;
前記式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で加水分解するステップ;
前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項67】
ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって:
2,4−ジニトロアニリン:
【化52】

と、式Vの化合物:
【化53】

(式中、XはCl、BrまたはIであり、Rはマスキングされたカルボン酸である);
とを、前記式VIの化合物
【化54】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により前記式VIの化合物を単離するステップ;
前記式VIの化合物を、式IIIの化合物
【化55】

の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ:
前記式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して、式IVの化合物
【化56】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、式IIの化合物
【化57】

の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ:
任意選択により前記式IIの化合物を単離するステップ;
前記式IIの化合物を還元アルキル化して、式Iの化合物
【化58】

を生成するステップ:
前記式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で処理するステップ;
前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項68】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって:
2,4−ジニトロアニリン:
【化59】

と、式Vの化合物:
【化60】

(式中、XはCl、BrまたはIであると共に、Rは、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である);
とを、前記式VIの化合物
【化61】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により前記式VIの化合物を単離するステップ;
前記式VIの化合物を、式IIIの化合物
【化62】

の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ:
前記式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して、式IVの化合物:
【化63】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、式IIの化合物
【化64】

の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ:
任意選択により前記式IIの化合物を単離するステップ;
前記式IIの化合物を還元アルキル化して式Iの化合物
【化65】

を生成するステップ:
前記式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で加水分解するステップ;
前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項71】
ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
2,4−ジニトロアニリン:
【化66】

と、式Vの化合物:
【化67】

(式中、XはOHであると共に、Rはマスキングされたカルボン酸である);
とを、式VIの化合物:
【化68】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により前記式VIの化合物を単離するステップ;
前記式VIの化合物を、式IIIの化合物
【化69】

の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ:
前記式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して、式IVの化合物:
【化70】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、式IIの化合物:
【化71】

の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ
任意選択により前記式IIの化合物を単離するステップ;
前記式IIの化合物を還元アルキル化して式Iの化合物
【化72】

を生成するステップ:
前記式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で処理するステップ;
前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項72】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、−フェニル、−CHOC1〜6アルキル、または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
Rが、−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の調製方法であって、
2,4−ジニトロアニリン:
【化73】

と、式Vの化合物:
【化74】

(式中、XはOHであると共に、Rは−C(=O)OC1〜6アルキル、−C(=O)オルトフェニル、−C(=O)SC1〜6アルキル、−オキサゾール、−CN、−C(=O)NH(C1〜6アルキル)、−C(=O)N(C1〜6アルキル)または−C(OC1〜6アルキル)である);
とを、式VIの化合物:
【化75】

の生成に十分な時間および条件下で接触させるステップ;
任意選択により前記式VIの化合物を単離するステップ;
前記式VIの化合物を、式IIIの化合物:
【化76】

の生成に十分な時間および条件下でメチル化するステップ
前記式IIIの化合物を、ニトロ基を還元するのに十分な時間および条件下で還元して、式IVの化合物:
【化77】

を形成するステップ;
前記式IVの化合物を、式IIの化合物
【化78】

の生成に十分な時間および条件下で脱水するステップ:
任意選択により前記式IIの化合物を単離するステップ;
前記式IIの化合物を還元アルキル化して式Iの化合物
【化79】

を生成するステップ:
前記式Iの化合物を、ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の形成に十分な時間および条件下で処理するステップ;
前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を単離するステップ;および
任意選択により、前記ベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を精製するステップ
を含む方法。
【請求項75】
請求項63、66、67、70、71または74のいずれか一項に記載の方法により生成されるベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項76】
請求項63、66、67、70、71または74のいずれか一項に記載の方法により生成されるベンダムスチン塩酸塩形態1。
【請求項77】
前記ベンダムスチン塩酸塩形態1が、以下:25.19、24.87、22.94、22.01、および/または14.11±0.2度2θ、の反射の1つ以上を含む粉末X線回折パターンを生成する、請求項76に記載のベンダムスチン塩酸塩形態1。
【請求項78】
前記ベンダムスチン塩酸塩形態1が、以下:16.88、17.51および/または18.43±0.2度2θ、の反射の1つ以上をさらに含む粉末X線回折パターンを生成する、請求項77に記載のベンダムスチン塩酸塩形態1。
【請求項79】
少なくとも約90%の純度を有する、請求項63、66、67、70、71または74のいずれか一項に記載の方法により生成されるベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項80】
少なくとも約95%の純度を有する請求項79に記載のベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項81】
少なくとも約98%の純度を有する請求項79に記載のベンダムスチンまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項82】
【化80】

(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)
の化合物。
【請求項83】
【化81】

(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)
の化合物。
【請求項84】
【化82】

(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)
の化合物。
【請求項85】
【化83】

(式中、Rはマスキングされたカルボン酸である)
の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−505224(P2012−505224A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531131(P2011−531131)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059765
【国際公開番号】WO2010/042568
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(509021085)セファロン、インク. (24)
【Fターム(参考)】