ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびテラプレビルを含む、HCV組合せ治療剤
本発明は、テラプレビルおよびペグ化インターフェロンα−2a、ならびにリバビリン含有または不含有の、C型肝炎ウイルスの処置のための組合せ治療剤に関する。本発明は、HCVに感染した患者の当該組合せ治療剤での処置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、基本的に、C型肝炎ウイルス(“HCV”)の、テラプレビル(TVR、TまたはVX−950)、HCVプロテアーゼの経口阻害剤、およびペグ化インターフェロンα−2a(peg−IFNまたはP)ならびに/またはリバビリン(RBVまたはR)を用いる処置のための併用療法に関する。本発明は、HCVに感染した線維性架橋形成(bridging fibrosis)を有する患者の、併用治療剤を用いる処置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
HCVによる感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)]。米国だけでも400万名近くが感染している可能性がある[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994);M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)]。
【0003】
HCVへの最初の暴露により、感染した個体の約20%のみが臨床的急性肝炎を発症し、その他は自然に感染を解消すると考えられる。しかしながら、症例の約70%において、該ウイルスは、数十年にわたって続く慢性感染を確立する[S. Iwarson, “The Natural Course of Chronic Hepatitis,” FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 201−204 (1994); D. Lavanchy, “Global Surveillance and Control of Hepatitis C,” J. Viral He, 6, pp. 35−47 (1999)]。このことは、通常、肝炎の再発および漸進的悪化をもたらし、しばしば、肝硬変および肝細胞癌のようなより重度の疾患状態に至る[M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211−220 (1994); I. Saito et al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547−6549 (1990)]。残念なことに、慢性HCV感染症の進行を遅らせるのに広く有効な処置は存在しない。
【0004】
HCVゲノムは、アミノ酸3010−3033のポリタンパク質をコードする[Q.L. Choo, et al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patiants with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990); A. Takamizawa et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる[R. Bartenschlager et al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993); A. Grakoui et al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993); A. Grakoui et al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993); L. Tomei et al., “NS3 is a serine protease required for processing of Hepatitis C Virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)]。
【0005】
HCV NS タンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染力に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染力を低減することが知られている[Chambers, T.J. et al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From yellow Fever Virus is a Serine Protease” Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を合成するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)]。
【0006】
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれと関係する補因子NS4Aは、全てのウイルス酵素プロセシングを補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。このプロセシングはまた、ウイルス酵素プロセシングに関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるものと同様のようである。ウイルスタンパク質プロセシングを阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を阻止することは、結果として治療的有効剤であることを示す。結果として、HCV NS3 セリンプロテアーゼはまた、創薬の魅力的な標的でもある。
【0007】
最近まで、HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみであった。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し[M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)]、長期寛解は症例の一部のみ(〜25%)である[O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)]。最近のペグ化インターフェロン(PEG−イントロン(登録商標)およびPEGASYS(登録商標))ならびにリバビリンとペグ化インターフェロン(REBETROL(登録商標))の併用療法の導入は、寛解率のわずかな改善と副作用の部分的な減少をもたらしただけであった。さらに、有効な抗HCVワクチンの展望は不確かなままである。
【0008】
これまでの前向き臨床試験は、異なる人種および民族グループ由来の未処置対象間でのHCV治療に対するより低い応答率を報告している。ペグ化インターフェロンαおよびリバビリンで処置した遺伝子型1型HCV感染を有する黒人は、19%ないし28%の率の持続性ウイルス応答(SVR)を達成した。peg−IFNα−2aおよびRBVで処置したラテン系のうち、白人の49%と比較して34%がSVRを達成した。
【0009】
これまでの前向き臨床試験では、進行性線維症を有する患者において、HCV感染治療に対して低い応答率であることが報告されていた。慢性C型肝炎に対するペグ化IFN α/RBV治療の3つの主試験において、SVRは、線維症のより軽度のステージの患者と比較して線維性架橋形成または肝硬変を有する患者で約10−15%低かった。
【0010】
故に、より有効な抗HCV治療剤の必要性がある。かかる阻害剤は、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤、より具体的にはHCV NS3 プロテアーゼ阻害剤として治療可能性を有し得る。具体的に、かかる化合物は、抗ウイルス剤、特に抗HCV剤として有用であり得る。
【0011】
次に示す構造を有するHCV阻害剤であるVX−950が、そのような必要とされる化合物である。VX−950は、PCT公開番号WO02/18369(その内容全体は、引用により本明細書中に包含される)に記載される。
【化1】
【0012】
強力な、かつ特異的なNS3−4Aプロテアーゼ阻害剤であるVX−950は、HCV遺伝子型1型に感染した対象のフェーズ1b臨床試験において実質的な抗ウイルス活性を実証した(Study VX04−950−101)。対象が処置に応答する程度およびウイルスリバウンドが観察される割合は、一部は、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性の遺伝子型による相違に依存し得る。HCVの高速複製は、そのポリメラーゼの不正確さと共に、そのゲノム全体に変異の蓄積をもたらす[P. Simmonds, “Genetic diversity and evolution of hepatitis C virus − 15 years on,” J. Gen. Virol., 85, pp. 3173−88 (2004)]。プロテアーゼ領域中の配列変化が酵素の触媒効率または阻害剤の結合に影響する程度は、知られていない。さらに、顕著な配列変化を有する多数のウイルスゲノムの発生は、抗ウイルス治療剤で処置した対象における薬剤耐性ウイルス出現の潜在的な問題を提起する。実際に、HIVプロテアーゼ阻害剤のような抗ウイルス剤に対する薬剤耐性は詳しく報告されている[Johnson et al., Top. HIV Med., 12, pp. 119−24 (2004)]。薬剤耐性変異は、HCVプロテアーゼ阻害剤の存在下、インビトロでの発生が既に示されている[Lin et al., “In vitro studies of cross−resistance mutations against two hepatitis C virus serine protease inhibitors, VX−950 and BILN 2061” J. Biol. Chem., 280, pp. 36784−36791 (2005)(引用によりその全体を本明細書中に包含させる); Lin et al., “In vitro resistance studies of hepatitis C virus serine protease inhibitors, VX−950 and BILN 2061: Structural analysis indicates different resistance mechanisms,” J. Biol. Chem., 279, pp. 17508−17514 (2004)(引用によりその全体を本明細書中に包含させる); Lu et al., Antimicrob. Agents Chemother., 48, pp. 2260−6 (2004); Trozzi et al., “In viero selection and characterization of hepatitis C virus serine protease variants resistant to an active−site peptide inhibitor” J. Virol. 77, pp. 3669−79 (2003)]。プロテアーゼ阻害剤BILN 2061に対する耐性の変異は、NS3遺伝子中、R155Q、A156TおよびD168V/A/Y部位に見出されているが、NS4領域中またはプロテアーゼ切断部位中には変異は発見されていない。VX−950耐性変異はまた、インビトロでA156S部位にも見出されている。VX−950およびBILN 2061の両方に対する交差耐性変異もまた、インビトロで156部位(A156V/T)に起こることが示されている(Lin et al., 2005, 上記)。
【0013】
VX−950の投与レジメンは、PCT公開番号WO2006/050250およびWO2008/144072(引用によりそれらの内容全体を本明細書中に包含させる)に記載される。
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本発明は、HCVの、テラプレビル、HCVプロテアーゼの経口阻害剤、およびペグ化インターフェロンα−2aならびに/またはリバビリンでの処置のための併用治療剤に関する。本発明は、HCVに感染した線維性架橋形成を有する患者の当該併用治療剤を用いる処置に関する。
【0015】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する、治療レジメンを提供する。
【0016】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する、治療レジメンを提供する。
【0017】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンであって、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する、治療レジメンを提供する。
【0018】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階(36週未満または約36週間の期間)に投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0020】
本発明は、ウイルス再燃(viral breakthrough)を低減するのに必要なテラプレビルおよびペグ化インターフェロンα−2aの投与量レベルを決定するのに有用な診断方法を含む。該方法は、テラプレビルおよびインターフェロンを治療の初めの12週間で投与される患者においてインターフェロンの血中濃度をモニターすること;および、インターフェロンの測定した血中濃度に基づき、インターフェロンの投与量を増加するかどうかを決定することを含む。一局面において、インターフェロンの血中濃度は、所定の所望のインターフェロンの血中濃度と比較され、それは、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上または20μg/mL以上であり得る。ある局面において、所定の所望のインターフェロンの血中濃度は、約5ないし約15μg/mLであり得る。
【0021】
本発明はまた、ウイルス再燃のリスクを低減するのに必要なテラプレビルおよびインターフェロンの投与量を決定する方法を含む。該方法は、テラプレビルの所望の用量を選択すること;および、ウイルス再燃のリスクを低減するインターフェロンの最小用量を決定することを含む。ウイルス再燃のリスクを低減するインターフェロンの最小用量の決定工程は、テラプレビルの用量と、テラプレビルおよびインターフェロンの濃度の関数としてのウイルス再燃の較正プロットとを比較することを含む。
【0022】
本発明はまた、ウイルス再燃のリスクを低減するのに必要なテラプレビルおよびインターフェロンの投与量を決定する方法を含む。該方法は、インターフェロンの所望の用量を選択すること;および、ウイルス再燃のリスクを低減するテラプレビルの最小用量を決定することを含む。ウイルス再燃のリスクを低減するテラプレビルの最小用量の決定工程は、インターフェロンの用量と、テラプレビルおよびインターフェロンの濃度の関数としてのウイルス再燃の較正プロットとを比較することを含む。
【0023】
Peg−IFNおよびRBVの現在のレジメンへのテラプレビルの添加は、臨床試験におけるSVR率の増大をもたらした。41%の患者が、48週間のPeg−IFN/RBV単独処置でSVRを達成し、TVRおよび48週間のPeg−IFN/RBVで67%(Peg−IFN/RBV単独に対してp=0.001)、TVRおよび24週間のPeg−IFN/RBVで61%(p=0.02)、そして12週間のTVRおよびPeg−IFN/RBVで35%がSVRを達成した。
【0024】
本発明者らは、テラプレビルに基づくレジメンが、線維性架橋形成を有する患者にて、Peg−IFNおよびRBV治療単独と比較して、改善されたウイルス応答をもたらすことを予期せず見出した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、人種によるPROVE1実験のSVRおよびRVR率を示す。
【図2】図2は、治療の初めの4週間の、PROVE1実験のウイルスダイナミクスを示す。(A)白人と比較して、ラテン系および黒人は、Peg−IFNα−2aおよびRBVで初期のウイルスダイナミクスが低減した。(B)TVRベースの処置において、初期のウイルスダイナミクスは、異なる人種/民族グループ間でより類似していた。
【図3】図3は、PROVE1実験における処置の最初の12週間の、平均ヘモグロビンレベルを示す。平均ヘモグロビンレベルは、PR(A)およびT/PR(B)レジメンにて処置時間とともに減少した。人種間で平均ヘモグロビンレベルの相違は見られなかった。AA=黒人;L=ラテン系;C=白人。
【図4】図4は、PROVE1実験における治療の最初の12週間の平均絶対好中球数を示す。平均絶対好中球数は、PR(A)およびT/PR(B)レジメンにて処置時間とともに減少した。人種間で平均絶対好中球数の相違は見られなかった。AA=黒人;L=ラテン系;C=白人。
【図5】図5は、PROVE1実験デザインを示す。
【図6】図6は、PROVE2実験デザインを示す。
【図7】図7は、PROVE2実験の第4週、第12週およびSVRでの検出不可能なHCV RNAを示す。結果を、両側フィッシャーの直接確率検定を用いて分析した。
【図8】図8は、割り当てられた処置の完了後24週のPROVE2再発率を示す。示したデータは、再発を有する患者数/ウイルス応答基準に対応する、割り当てられた処置期間の最後で検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有する患者数である。
【図9】図9は、RBVなしでT12/P12を受容するPROVE2患者の、第12週でのウイルス学的ブレークスルーを有する患者を示す。
【図10】図10は、T12/PR12およびT12/PR24を併用して受容するPROVE2患者の、第12週でのウイルス学的ブレークスルーを有する患者を示す。
【図11】図11は、PROVE2実験での割り当てられた処置期間中の平均ヘモグロビンレベルを示す。結果は、TVRベースの処置での好中球または血小板数への増加影響を示さない。
【図12】図12は、PROVE1実験のSVR率を示す。
【図13】図13は、人種および線維症の重症度によるSVR率を示す。
【図14】図14は、T/PR群の黒人の応答を示す。
【図15】図15は、指定された処置を完了した患者のSVR率を示す。
【図16】図16は、肝硬変の状態によるSVR率を示す(ITT分析)。
【図17】図17は、処置群および以前の応答によるRVR(第4週)で検出不可能なHCV RNAを示す(ITT)。
【図18】図18は、処置群による再発率を示す。
【図19】図19は、処置群による第4週から第24週までの累積的ウイルス再燃率を示す (ITT)。
【図20】図20は、PROVE1およびPROVE2実験における、線維性架橋形成を有する患者について収集したSVR率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳しい説明
VX−950またはその薬学的に許容される塩は、PCT公開番号WO02/018369およびWO2006/050250、ならびに2008年5月21日出願のPCT出願番号PCT/US2008/006572に記載され、次の構造式により示される:
【化2】
VX−950の他の記載を、PCT公開番号WO07/098270およびWO08/106151に見出し得る。
【0027】
VX−950は、ヒトにおいて単回用量で試験され、良好な耐容性があることが見出されている(実施例3)。有害事象の発生または程度は、VX−950用量と共に増加しなかった。重症(グレード3またはグレード4)であると見なされた有害事象はなかった。より一般的かつ重度の有害事象は、皮膚の有害事象(例えば、吹き出物および掻痒)、その後の消化器事象および貧血であった。血液学または臨床化学パラメーターについて、ベースライン測定値から臨床的に有意な変化はなかった。試験した対象は全て、身体検査、バイタルサイン、または心電図に臨床的に顕著な変化はなかった。
【0028】
本発明者らは、野生型HCVが、VX−950により10週間以内に根絶され得ることを発見した。HCVのVX−950耐性変異体(IC50の7−20倍の増大を有する)に関して、それらは、10−24週間のPeg−IFN/RBV投与レジメンの後処理により根絶され得る。
【0029】
VX−950への肝臓暴露を、統合した前臨床および臨床データを基に予測した。良好な耐容性が見込まれ、治療的有用性が生じる用量を決定するために、予測したヒト肝臓暴露をVX−950レプリコンアッセイおよび感染性ウイルスアッセイの結果と組合せた。予測した平均肝臓濃度値は、試験した用量範囲で、レプリコンアッセイIC90の57倍まで、レプリコンアッセイIC50の113倍までであった。
【0030】
試験中のC型肝炎プロテアーゼ阻害剤テラプレビルをペグ化インターフェロンおよびリバビリンを併用投与して評価する2つの大規模フェーズ2b臨床試験であるPROVE1およびPROVE2の中間分析の結果が本明細書に記載されている。24週間のテラプレビルベースの処置レジメンにおいて、遺伝子型1型の未処置のHCV患者が、PROVE1(SVR12およびSVR24)およびPROVE2(SVR12)にてそれぞれ、61%および65%の持続的ウイルス応答を達成した。さらに、臨床研究者らは、迅速なウイルス応答(RVR)を達成することと、24週間のテラプレビルベースのレジメンにおいてSVRを達成することとの相関関係を報告した。
【0031】
PROVE1およびPROVE2によるテラプレビル安全性の中間分析は、処置の割り当てにかかわらず、疲労、発疹、頭痛および悪心などの最も一般的な有害事象を含み、事前の分析と一致する。消化器障害、皮膚有害事象(発疹、掻痒)および貧血は、投与期間中の対照群と比較して、テラプレビル群において、より高かった。
【0032】
PROVE実験からのSVRデータは、現在利用可能な治療での48週の処置レジメンを受ける遺伝子型1型C型肝炎を有するヒトのおよそ40%ないし50%が、持続的ウイルス応答(SVR)を達成することが期待される。フェーズ2実験において、24週のテラプレビルベースのレジメンは、遺伝子型1型のC型肝炎を有する患者において60%以上のSVRをもたらす。
【0033】
本明細書で用いる“肝線維症”は、肝臓の瘢痕化、または慢性肝臓疾患の多くのタイプに生じるコラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質の過剰な蓄積である。“線維性架橋形成”は、肝臓の小葉ゾーンを超えた瘢痕化であり、“ステージ3の線維症”とも称される。
【0034】
本明細書で用いる“持続的ウイルス応答”または“SVR”は、投与完了後にウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。“SVR12”は、投与完了後12週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。“SVR24”は、投与完了後24週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。
【0035】
本明細書で用いる用語“未処理”および“未処置”は、C型肝炎の如何なる前処置も受けていない患者を意味する。
【0036】
本明細書で用いる“P/R非応答患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置に対して持続的ウイルス応答(SVR) (処置の完了後24週間、HCV RNAの検出不能)を達成しないか、または該応答を維持しない患者、ならびに応答がなかった患者を含む。応答の欠如は、HCVウイルスの検出不可能なレベルを達成し得ないか、または処置の中断後の再発等、ベースラインから<2−log10のHCV RNAの低下として定義される。上記の通り、HCV RNAの検出不能は、HCV RNAが、現在商業的に利用可能なアッセイ、例えばRoche COBAS TaqMan(商標) HCV/HPS アッセイにより決定される10IU/mL未満で存在することを意味する。例えば、“P/R非応答患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置に対して“第4週で全く応答しない患者”、“第12週で全く応答しない患者”、“第24週で全く応答しない患者”、“第26週ないし第48週で全く応答しない患者”、“部分的応答患者”、“ウイルス再燃した患者”および“再発した患者”を含む。“第4週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第4週でのHCV RNAの<1−log10の低下(HCV RNAのベースラインからの≧1−log10の低下を有さない)と定義される。“第12週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第12週でのHCV RNAの<2−log10の低下(第12週で、早期のウイルス応答(EVR)を達成せず、HCV RNAのベースラインからの≧2−log10の低下を有さない)と定義される。“第24週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第24週で、HCV RNAが検出可能であった対象であると定義する。“第26週ないし第48週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第26週ないし第48週で、HCV RNAが検出可能であった対象であると定義する。“部分的応答患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第12週での≧2−log10の低下を示すが、該処置の第24週でHCV RNAが検出可能であった対象であると定義する。“ウイルス再燃した患者”は、peg−IFNおよびRBV処置中に検出不可能なHCV−RNAを達成した後、HCV−RNAが検出可能であった対象と定義する。ウイルス再燃は、i)処置中に記録された最低の値と比較してHCV RNA値の>1−log10の増加、またはii)前の時点でHCV RNAを検出不可能であった患者での>100IU/mLのHCV RNAレベル、と定義される。ウイルス再燃した患者の特定の例には、第4週ないし第24週でウイルス再燃を有する患者が含まれる。“再発した患者”は、peg−IFNおよびRBV処置(前回の処置)の完了時(概して、最後の投薬後6週または6週以下)に検出不可能なHCV RNAを有するが、その後に(例えば、処置後24週以内に)再発した患者である。再発した患者は、48週のpeg−IFNおよびRBV処置後に再発し得る。
【0037】
本発明によれば、“ラテン系”は、もともと中南米のいずれかの人々またはスペイン語を話す子孫のいずれかに起源を有する人々を意味する。
【0038】
本発明によれば、“黒人”は、サハラ以南のアフリカの祖先を元々の祖先として有する人々を意味する。
【0039】
患者は通常、“人種”によって自己認識されるか、または彼らの身体特性を基に医者により確認され、ならびに/または出生国が人種を決定する。
【0040】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者にペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンを提供する。
一態様において、本発明は、肝硬変を有する患者にペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0041】
いくつかの態様において、VX−950は、約500mgないし約1500mg投与される。いくつかの態様において、VX−950は、750mgを1日3回投与される。いくつかの態様において、VX−950は、8時間毎に投与される。他の態様において、VX−950は、1125mgを1日2回投与される。いくつかの態様において、VX−950は12時間毎に投与される。
【0042】
いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンは、インターフェロンαである。いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンは、インターフェロンα2aである。いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンα2aは、1週間当たり180μg投与される。他の態様において、ペグ化インターフェロンは、インターフェロンα2bである。いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンα2bは、1週間当たり体重1kg当たり1.5mg投与される。
【0043】
いくつかの態様において、リバビリンは、1日当たり1000ないし1200mg投与される。
【0044】
いくつかの態様において、患者の少なくとも65%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも75%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも80%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも85%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0045】
いくつかの態様において、患者の少なくとも80%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも84%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも90%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも93%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0046】
いくつかの態様において、患者の少なくとも40%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも50%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも60%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも70%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0047】
いくつかの態様において、患者の少なくとも40%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも50%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも60%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも70%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0048】
上記の態様のいくつかにおいて、患者は、未処置患者である。他の態様において、患者は、P/R非応答患者である。
【0049】
上記の態様のいくつかにおいて、ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階に投与する。
【0050】
いくつかの態様において、第二段階は、36週未満または約36週間の期間である。いくつかの態様において、第一段階は24週未満の期間である。いくつかの態様において、第一段階は、約12週間である。いくつかの態様において、第二段階は、24週未満の期間である。いくつかの態様において、第二段階は、約12週間である。
【0051】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0052】
いくつかの態様において、本発明は、持続的ウイルス応答を達成する治療レジメンを提供する。
【0053】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する治療レジメンを提供する。
【0054】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンであって、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する治療レジメンを提供する。
【0055】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0056】
いくつかの態様において、VX−950は8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aは1週間当たり180μg、そしてリバビリンは1日当たり1000ないし1200mg投与される。
【0057】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に(36週未満または約36週間の期間)投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0058】
ある態様において、本発明の治療レジメンは、遺伝子型1型C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置を含む。遺伝子型1型HCV感染は、アメリカ合衆国において、処置の最も困難なHCV株であり、最も蔓延している株である。
【0059】
ある態様において、VX−950は、1日に、8時間毎に約450mgまたは約750mgか、または12時間毎に約1250mg投与される。
【0060】
本発明の別の局面は、HCV陽性またはHCV陰性のどちらかである患者において、肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群の1種以上を処置または予防するための方法を提供する。
【0061】
HCV陽性または陰性のどちらかである患者における、肝臓保護(hepatoprotection)のための方法もまた、本発明の範囲内である。
【0062】
本発明によるVX−950の量は、単一投与形態または2以上の投与形態で投与される。分割投与形態であるとき、各投与形態は、ほぼ同時に投与される。誤解を避けるために、1日2回以上の投与を求める投与レジメンについては、1個以上の丸剤または用量を、1日当たり各回で投与し得る(例えば、1個の丸剤を1日3回、または3個の丸剤を1日3回)。本発明の最も好ましい態様は、1回の投与につき少なくとも2個の丸剤を用い得る。
【0063】
当業者に実施可能なように、本発明の方法が患者の予防的処置に用いられ、その患者がC型肝炎ウイルスに感染するとき、該方法は、その後感染を処置し得る。故に、本発明の一態様は、患者におけるC型肝炎感染の処置または予防方法を提供する。
【0064】
C型肝炎に感染した患者の処置に加えて、本発明の方法は、C型肝炎の感染から患者を予防するために用いられ得る。従って、本発明の一態様は、本発明の組成物または投与形態を患者に投与することを含む、患者におけるC型肝炎ウイルス感染の予防方法を提供する。
【0065】
本発明の方法はまた、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの阻害剤(VX−950以外);HCV生活環の別の標的の阻害剤(NS3/4Aプロテアーゼ以外);内部リボソーム侵入の阻害剤、広域的ウイルス阻害剤;または、シトクロムP−450阻害剤;または、それらの組み合わせ、から選択されるさらなる薬剤を含む別の成分の投与を含み得る。さらなる薬剤はまた、ウイルスの細胞侵入の阻害剤からも選択される。
【0066】
従って、別の態様において、本発明は、VX−950および別の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与することを含む方法を提供する。そのような抗ウイルス剤には、α−、β−、およびγ−インターフェロンまたはチモシン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびチモシンのような免疫調節剤;リバビリン、アマンタジン、およびテルビブジンのような他の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リポソーム侵入の阻害剤;IMPDH阻害剤のような広域的ウイルス阻害剤(例えば、VX−497、VX−148、およびVX−944を含むが、それらに限定されない、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号および同第6,054,472号ならびにPCT公報WO97/40028、WO98/40381およびWO00/56331に記載の化合物;ならびにミコフェノール酸およびその誘導体);または、上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0067】
本発明の化合物と併用され得る他の薬剤(例えば、非免疫調節または免疫調節化合物)には、引用により本明細書中に包含されるWO02/18369(例えば、273頁、9−22行目、および274頁、4行目から276頁、11行目、本開示は、引用により明確に本明細書中に包含される)に記載されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0068】
種々の公開された米国特許出願に記載されるさらに他の薬剤が包含される。これらの刊行物は、本発明の方法、特に肝炎の処置方法においてVX−950と併用され得る化合物および方法のさらなる教示を提供する。そのような方法および組成物は全て、本発明の方法および組成物と併用され得ると考えられる。簡単には、それらの刊行物の開示内容は、公開番号を引用することにより言及されるが、化合物の開示が、特に、引用により本明細書中に明確に包含されることが、特記されるべきである。そのような刊行物の例には、米国特許公開番号:US20040058982、US20050192212、US20050080005、US20050062522、US20050020503、US20040229818、US20040229817、US20040224900、US20040186125、US20040171626、US20040110747、US20040072788、US20040067901、US20030191067、US20030187018、US20030186895、US20030181363、US20020147160、US20040082574、US20050192212、US20050187192、US20050187165、US20050049220、およびUS20050222236が含まれる。
【0069】
さらなる他の薬剤には、Human Genome Sciencesから市販されるアルブフェロン(商標)(アルブミン−インターフェロンα);PEG−イントロン(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);イントロン−A(登録商標)(VIRAFERON(登録商標)、インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから市販される;the Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載される);REBETROL(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);コーペガス(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJ);ペガシス(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);ロフェロン(登録商標)(組換えインターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);BEREFOR(登録商標)(インターフェロンα2、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから市販される);スミフェロン(登録商標)(スミフェロンのような、精製物と天然のαインターフェロンの混合物、住友製薬、日本から市販される);ウェルフェロン(登録商標)(インターフェロン α n1、Glaxo Wellcome Ltd., Great Britainから市販される);アルフェロン(登録商標)(Interferon Sciencesにより製造される天然αインターフェロンの混合物、およびPurdue Frederick Co., CTから市販される);α−インターフェロン;天然αインターフェロン 2a;天然αインターフェロン 2b;ペグ化αインターフェロン 2aまたは2b;コンセンサスαインターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CA);レベトロン(登録商標)(Schering Plough、インターフェロン−α 2B+リバビリン);ペグ化インターフェロンα(Reddy, K.R. et al. “Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd) Interferon alpha−2a Compared with Interferon alpha−2a in Noncirrhotic Patients with Chronic Hepatitis C”(Hepatology, 33, pp. 433−438 (2001);コンセンサスインターフェロン(インファゲン(登録商標))(Kao, J.H., et al., “Efficacy of Consensus Interferon in the Treatment of Chronic Hepatitis” J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418−1423 (2000);リンパ芽球様または“天然”インターフェロン;インターフェロン tau(Clayette, P. et al., “IFN−tau, A New Interferon Type I with Antiretroviral activity” Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553−559 (1999);インターロイキン−2(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−6(Davis et al. “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−12(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C." Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);および、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物(Davis et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999))が含まれるが、それらに限定されない。また、二本鎖RNA単独、またはトブラマイシンおよびイミキモド(3M Pharmaceuticals;Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))との組み合わせを含むが、これらに限定されない、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)も含まれる。また、WO02/18369、とりわけ272頁、15行目から273頁、8行目を参照のこと(この開示内容は、引用により本明細書中に明確に包含される)。
【0070】
当業者に認められる通り、VX−950は好ましくは経口投与される。インターフェロンは、通常、経口投与されないが、経口投与形態が開発されている。それにもかかわらず、本明細書中、本発明の方法または組み合わせを、何らかの特定の投与形態またはレジメンに限定すべきではない。従って、本発明の組み合わせの各成分は、個別に、共に、またはその何れかの組み合わせで投与され得る。当業者に認められる通り、インターフェロンの投与量は、一般的に、IUで特定される(例えば、約400万IUないし約1200万IU)。インターフェロンはまた、マイクログラム単位で投与され得る。例えば、Peg−イントロンの標準的用量は、1.0−1.5μg/kg/週であり、ペガシスのそれは、180μg/週である。
【0071】
ある局面において、該方法は、第一段階および第二段階の2期間中の薬剤投与を含む。例えば、第一段階は、約12週間または24週間未満の期間であり、第二段階は、約12週間より長いか、または約12週間であってよく、例えば第二段階は、約12−36週間であり得る。ある態様において、第二段階は12週間である。さらに他の態様において、第二段階は36週間である。ある態様において、第一および第二段階の期間の和は、約24週間ないし48週間(例えば、24、36または48週間)である。ある態様において、第一段階および第二段階は、期間が同一であり得る。
【0072】
VX−950は、第一段階、第二段階、または両段階のいずれかで投与され得る。ある態様において、VX−950は第一段階でのみ投与される。VX−950が、第一段階でのみ投与されるとき、VX−950は、単独でか、または他の薬剤と組み合わせて投与されてよく、1個以上の薬剤が第二段階で投与される。他の薬剤は、1個以上の抗ウイルス剤、1個以上の本明細書に記載の他の薬剤、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様において、第一段階および第二段階で投与される特定の薬剤は、同一である。
【0073】
ある態様において、該方法は、12週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の12週間のペグ化インターフェロンα−2a(Peg−IFN)およびリバビリン(RBV)の併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の24週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の36週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0074】
さらに他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の12週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の24週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の36週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0075】
さらに他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の12週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の24週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の36週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0076】
ある態様において、上記の第一段階の何れかは約12週間行われ、第二段階は約12週間行われ得る。あるいは、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約24週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約36週間行われ得る。
【0077】
ある態様において、上記の第一段階の何れかは約8週間行われ、第二段階は約16週間行われ得る。あるいは、第一段階は約8週間行われ、第二段階は約28週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階は約8週間行われ、第二段階は約40週間行われ得る。
【0078】
ある態様において、該方法は、48週間未満の、VX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満の、VX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。
【0079】
ある態様において、該方法は、48週間未満の、VX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満の、VX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。
【0080】
モデル化データはまた、V36A/M、T54A、R155K/T、A156S A156V/T、V36A/M−R155K/T、およびV36A/M−A156V/TのようなVX−950耐性変異体は、主に、VX−950処置後の、約10−24週間(または、8−26週間)のPEG−IFNおよびリバビリンの投与により根絶し得ることを示す。任意のこれらのレジメンは、24−48週間続く現在の標準的ケア処置レジメンにおいて、処置期間の減少を意味する。
【0081】
ある態様において、本発明の方法は、第4週のRVRおよび第12週の検出不可能な状態を達成し得る。
【0082】
従って、本発明はまた、VX−950とインターフェロンの併用投与法を提供する。ある態様において、インターフェロンを、約10週間(もしくは、10週間)、約12週間(もしくは、12週間)、約14週間(もしくは、14週間)投与する。リバビリンはまた、レジメン全体を含むが、それに限定されない該レジメンの全部または一部で所望により投与されてよい。
【0083】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0084】
一態様において、本発明の方法は、約12±4週間(例えば、8、12または16週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0085】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0086】
一態様において、本発明は、約24±4週間(例えば、20、24または28週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0087】
誤解を避けるために、本発明は、約8週間(または、8週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約16週間(または、16週間)のインターフェロンの投与を伴う合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンを含むが、これに限定されないことが理解されるべきである。また、約12週間(または、12週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約12週間(または、12週間)のインターフェロンの投与を含む合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンも提供する。かかるレジメンは、所望により、約24週間(または、24週間)のレジメン全体を含むが、これに限定されないレジメンの全部または一部でのリバビリンの投与を提供する。
【0088】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0089】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約12週間(または、12週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0090】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約36週間(または、36週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0091】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約24週間(または、24週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0092】
ある態様において、該方法は、VX−950(1250mg)の負荷用量、その後の750mg、8時間毎のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの組み合わせを提供することを含む。
【0093】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ(“CYP”)阻害剤は、本発明に関連して用いられ得る。CYP阻害剤には、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれるが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
【0094】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、公知である(米国特許番号第6,037,157号、およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403−407 (1993)を参照)。VX−950およびCYP阻害剤の対象への併用投与の影響を評価するための方法もまた、公知である(US2004/0028755)。かかる方法は全て、組み合わせの薬物動態学的影響を決定するために本発明に関連して用いられ得る。
【0095】
本発明の一態様は、CYP3A4およびVX−950の阻害剤の投与方法を提供する。
【0096】
本明細書に記載の方法は、a)VX−950および別の薬剤の組み合わせ;または、b)2個以上の投与形態のVX−950、を投与または併用投与することを含み得る。併用投与は、同一の投与形態または異なる投与形態で各阻害剤を投与することを包含する。異なる投与形態で投与されるとき、該阻害剤は、ほぼ同時または他の投与形態の投与中のいずれかの時間を含む、異なる時間に投与され得る。分割投与形態は、何れかの順序で投与され得る。すなわち、全ての投与形態は、他の投与形態の前に、共に、またはその後に投与され得る。
【0097】
VX−950および何れかのさらなる薬剤を、分割投与形態で製剤することができる。あるいは、患者に投与すべき投与形態の数を減らすために、VX−950および何れかのさらなる薬剤を、何れかの組み合わせで共製剤できる。全ての分割投与形態は、同時に、または異なる時間に投与され得る。投与形態は、その生物学的効果が有利になるように時間内に投与されるべきであることが理解されるべきである。
【0098】
本発明のレジメンおよび投与形態によれば、VX−950は、サンプルまたは患者内のウイルス量(該ウイルスは、ウイルス生活環に必須のNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードする)を減少するのに有効な量(または、本発明の方法を実行するのに有効な量)で、薬学的に許容される担体と共に存在する。あるいは、本発明の組成物には、本明細書に記載のさらなる薬剤が包含される。各成分は、個々の組成物、組合せ組成物、または単一組成物中に存在し得る。
【0099】
化合物の薬学的に許容される塩を、これらの組成物に用いるとき、それらの塩類は、好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。そのような酸性塩類には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphor sulfonate)、シクロペンタン−プロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基性塩類には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンのようなアミノ酸との塩などが含まれる。
【0100】
また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、プロピルおよびブチルのような低級ハロゲン化アルキル;硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジブチルおよび硫化ジアミルのような硫化ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルのような長鎖ハロゲン化物;ベンジルおよびフェネチル臭化物のようなハロゲン化アラルキルなどのような物質によって四級化され得る。それにより、水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0101】
本発明の組成物および方法に利用される化合物はまた、選択的生物学的特性を高めるのに適当な機能性を付加することにより修飾され得る。そのような修飾は、当技術分野で公知であり、所定の生物系(例えば、血液系、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加し、経口アベイラビリティーを増大し、注射による投与を可能にするための溶解性を増加し、代謝を変化させ、排泄速度を変化させることが含まれる。
【0102】
これらの組成物に用いられ得る薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸のような部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂のような塩類または電解質が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
好ましい態様によれば、本発明の組成物を、哺乳動物、特にヒトに薬剤投与するために製剤する。
【0104】
VX−950の製剤は、PCT公開番号WO05/123076、WO07/109604およびWO07/109605(引用によりその内容を本明細書に包含させる)に記載される。
【0105】
かかる本発明の医薬組成物(ならびに、本発明の方法において使用するための組成物、組み合わせ、キットおよびパッケージ)を、経口、非経腸、舌下、吸入スプレーにより、局所、経直腸、経鼻、口腔、経膣、または埋め込みリザーバー(implanted reservoir)により投与することができる。本明細書で用いる用語“非経腸”には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、該組成物を、経口または静脈内投与する。より好ましくは、該組成物を経口投与する。
【0106】
本発明の組成物の滅菌注射剤は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当技術分野で公知の技術により製剤され得る。該滅菌注射製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液であり得る。用い得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液および生理食塩水である。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁化媒体として都合よく用いられる。この目的に関して、合成モノまたはジグリセリドを含む、何れかの無菌性の不揮発性油を用い得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、注射剤の製造において、オリーブ油またはヒマシ油のような、とりわけそれらのポリオキシエチル化型で天然の薬学的に許容される油として有用である。これらの油溶液または油懸濁液にはまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の剤形において通常用いられる、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤が含まれ得る。他の通常用いられる、トゥイーン系、スパン系(Span)および他の乳化剤のような界面活性剤、または薬学的に許容される固体、液体もしくは他の投与形態の剤形に通常用いられるバイオアベイラビリティの増強剤はまた、製剤目的にも使用され得る。
【0107】
VX−950およびさらなる薬剤を含む本発明の組成物において、VX−950および該さらなる薬剤は、約10ないし100%の投与量レベルで存在すべきであり、より好ましくは、単剤療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10ないし80%で存在すべきである。
【0108】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、粒剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない何れかの経口的に許容される投与形態で経口投与され得る。経口用錠剤の場合において、通常用いられる担体には、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤もまた、一般的に添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液が経口使用に必要とされるとき、活性成分を、乳化剤および懸濁化剤と併用する。要すれば、何らかの甘味剤、香味剤または着色剤を添加することもできる。許容される液体投与形態には、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。
【0109】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用に坐剤の形態で投与され得る。これらは、該薬剤と、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、故に直腸で融解して薬剤を放出し得る、適当な無刺激性賦形剤を混合することにより製造できる。そのような物質には、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0110】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ処置の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む、局所適用により到達しやすい領域または臓器を含むとき、局所投与され得る。適当な局所用製剤は、これらの領域または臓器のそれぞれ用に容易に製造される。
【0111】
当技術分野で認識される通り、医薬組成物はまた、リポソーム形態でも投与され得る。
【0112】
本発明者らは、VX−950が、経口投与可能であることを証明した。従って、本発明の好ましい医薬組成物は、経口投与用に製剤される。
【0113】
CYP阻害剤に関して、1日当たり、体重1kg当たり約0.001ないし約200mgの投与量レベルが典型的であり得る。より典型的には、1日当たり約0.1ないし約50mg/kg、または約1.1ないし約25mg/kgの間の投与量レベルであり得る。
【0114】
リトナビルの好ましい投与形態に関しては、米国特許第6,037,157号、およびそこに引用される文献:米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号、およびPCT公開番号WO95/07696およびWO95/09614を参照のこと。
【0115】
本発明に関係する投与を、長期または短期療法として用い得る。単一投与形態を製造するために担体物質と併用され得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法によって変わり得る。典型的な製剤は、約5%ないし約95%の活性化合物(w/w)を含み得る。好ましくは、かかる製剤は、約20%ないし約80%の活性化合物を含む。
【0116】
患者の状態の改善により、必要ならば、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量が投与され得る。次いで、投与の量あるいは頻度、または両方を、その症状の関数として、症状が所望のレベルに軽減され、処置を終えるべきときに、改善された状態が維持されるレベルに減らし得る。しかしながら、患者は、何らかの疾患症状の再発により長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0117】
何れかの特定の患者に対する特定の投与量および処置レジメンが、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、混合薬、担当医の判断、および処置すべき特定の疾患の重症度、これまでの治療歴、共存疾患または併用薬、ベースラインのウイルス量、人種、疾患の期間、肝機能の状態および肝線維症/肝硬変の程度、ならびに治療目標(移植によるウイルス循環の排除またはウイルスの根絶)を含む、様々な因子によって変わり得ることも理解されるべきである。活性成分の量は、特定の記載した化合物、ならびに組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または不存在、および性質によっても変わり得る。
【0118】
他の態様によれば、本発明は、本発明の薬学的に許容される組成物を該患者に投与することにより、ウイルスの生活環に必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードするウイルスにより特徴付けられるウイルスに感染した患者の処置方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、HCV感染を有する患者の処置に用いられる。かかる処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重症度を低減し得る。好ましくは、該患者は哺乳動物である。より好ましくは、該患者はヒトである。
【0119】
本明細書に記載の投与量は、好ましくはインビボでの使用用である。それにもかかわらず、これは目的に応じてこれらの量のVX−950の使用に限定されるものと意図されない。さらに別の態様において、本発明は、生物学的物質と、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物を合わせる工程を含む、患者に投与することを目的として該生物学的物質を前処理する方法を提供する。かかる生物学的物質には、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団などのその成分;腎臓、肝臓、心臓、肺などの臓器;精子および卵子;骨髄およびその成分、ならびに食塩水、デキストロースなどのような患者に注入される他の液体が含まれるが、それらに限定されない。
【0120】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを組み合わせる工程を含む、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を製造するための方法を提供する(ここで、組成物中のVX−950の投与量は、本発明の何れかの態様に従う。)。本発明の別の態様は、該組成物が、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む方法を提供する。
【0121】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、本明細書中に記載の投与量で含む治療レジメンを提供する。本発明の別の態様において、治療レジメンはさらに、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む。
【0122】
医薬組成物はまた、単一パッケージ、通常ブリスターパッケージに一連の処置全体を含む“患者パック(patient pack)”で患者に処方され得る。患者パックには、従来の処方薬には通常添付されていない添付文書が含まれていて患者がいつでも利用できる点で、薬剤師が、大量供給物(bulk supply)から患者への薬剤分配を行なう従来の処方よりも有利である。添付文書の包含は、患者に医者の指示の順守を改善させることが証明されている。
【0123】
患者が本発明の正しい使用をするように指示する添付文書を包含する単一の患者パック、または各製剤の患者パックを用いる本発明の併用投与は、本発明の望ましいさらなる特徴であることが理解され得る。
【0124】
さらなる局面によれば、本発明は、VX−950(本発明の投与量)および本発明の併用使用の指示書を含む添付情報を含むパッケージである。全ての組成物、投与形態、治療レジメンまたは本発明の他の態様は、医薬パッケージ中に存在し得る。本発明の別の態様において、該医薬パッケージは、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤をさらに含む。さらなる薬剤または複数の薬剤は、同一のパッケージまたは異なるパッケージで提供され得る。
【0125】
本発明の他の局面は、単一または複数の各医薬成分の製剤;貯蔵中および投与前に製剤(複数可)を保存する容器;ならびに、HCV感染の処置または予防のための有効な方法で薬剤投与を行うための指示書を含む、HCV感染の処置またはHCV感染の予防における使用のための(または、本発明の他の方法における使用のための)患者用のパッケージ化されたキットを含む。
【0126】
従って、本発明は、VX−950(および、所望によりさらなる薬剤)の用量の同時または連続投与のためのキットを提供する。典型的に、そのようなキットは、例えば、薬学的に許容される担体中(および、単一または複数の製剤中)、各化合物の組成物および任意のさらなる薬剤(複数可)、ならびに同時または連続投与のための指示書を含み得る。
【0127】
別の態様において、パッケージキットは、自己投与のための1個以上の投与形態;貯蔵中および使用前に該投与形態を保存するための、好ましくは密閉された容器;および、薬剤投与を行うための患者への指示書を包含して提供される。該指示書は、一般的に、添付文書、ラベル、および/またはキットの他の成分の指示が記載され、投与形態または複数の投与形態が、本明細書中に記載されている。各投与形態は、一枚の金属箔−プラスチック薄板で形成される個々の空間(cell)または半球形(bubble)中に、他から分離されたそれぞれの投与形態を包含させるか、または投与形態は、プラスチック容器のような単一の容器中に包含され得る。本発明のキットはまた、典型的には、個々のキット成分をパッケージングするための手段、すなわち、投与形態、容器手段、および使用のための指示書を含み得る。そのようなパッケージング手段は、段ボール箱または紙箱、プラスチック容器または金属箔容器などの形態であり得る。
【0128】
本発明のキットは、何れかの組成物、投与形態、治療レジメンまたは医薬パッケージのような、本発明のいずれかの局面を具現化し得る。
【0129】
本発明のパッケージおよびキットは、所望により、複数の組成物または投与形態を含む。従って、1個の組成物または2個以上の組成物を含むパッケージおよびキットは、本発明の範囲内に包含され得る。
【0130】
ある例示的態様は、以下に説明され、記載されているが、本発明の化合物が、当業者に一般的に利用可能な適当な出発物質を用いて、概して上記の方法に従い製造され得ることは、当然のことである。
【0131】
全ての引用文献は、引用により本明細書中に包含される。
【0132】
本発明をより十分に理解するために、以下の製造例および実験例を記載する。これらの実施例は、説明のみを目的とし、いかなる点でも本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0133】
実施例
実施例1:PROVE1およびPROVE2臨床試験
PROVE1は、投与完了後24週間でHCV RNAが検出不可能(10IU/mL未満、Roche TaqMan(R)アッセイにより測定)であるとして定義されるSVRを達成する患者の割合を評価することを主目的とする、250名の未処置の遺伝子型1型HCV患者の4群比較フェーズ2b臨床試験である。該試験は、ペグ化インターフェロンおよびリバビリンの48週対照群と比較して、12週、24週および48週間のテラプレビルベースの処置レジメンを受ける患者を評価する。PROVE1は、米国の30を超える臨床施設で行われる。
【0134】
ベースライン患者特性は、PROVE1において、テラプレビル処置および対照群で同様であった。テラプレビルで処置された対象の20%は、ヒスパニック系(10%)または黒人(10%)であった。対照群において、8%の患者がヒスパニック系であって、12%が黒人であった。試験開始時の平均HCV RNAは、全ての群で同様であって(テラプレビル処置群で6.6Log10IU/mL、および対象群で6.7Log10IU/mL)、87%の患者が、>800,000IU/mLとして定義される、高ウイルス量を有していた。平均して、患者は、平均体重82.1kg(46−136kgの範囲)の平均年齢49歳(21−63歳の範囲)であった。
【0135】
PROVE2は、患者SVRを達成する患者の割合を評価することを主目的とする、323名の未処置の遺伝子型1型HCV患者の4群比較フェーズ2b臨床試験である。該試験は、48週対照群と比較して、12週、24週および48週間のテラプレビルベースの処置レジメンを受ける患者を評価する。PROVE2は、欧州の40を超える臨床施設で行われる。
【0136】
PROVE2の患者の平均ベースラインウイルス量は、6.4Log10IU/mL(3.3−7.7)であって、83%の患者が、>800,000IU/mLとして定義される、高ウイルス量を有していた。大多数の患者が、男性(94.1%)の、白人(94.1%)であって、遺伝子型1a(34.1%)と比較して遺伝子型1bに感染していた(54.1%)。平均して、患者は、平均体重70.9kg(45−115kgの範囲)の平均年齢45歳(18−65歳の範囲)であった。
【0137】
PROVE1およびPROVE2による持続的ウイルス応答(SVR)を、下記の表1に示す。
【表1】
【0138】
PROVE1の48週のテラプレビル処置群(12+36;n=79)において、65%が、処置の最後において検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した。
【0139】
PROVE1およびPROVE2の対照群からの持続的ウイルス応答結果は、該当なしである。PROVE1の対照群(n=75)において、中間分析の時、48週間のペグ化インターフェロンおよびリバビリンを受容する患者の45%が、処置の最後に検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した。PROVE2の対照群(n=82)において、中間分析の時点で、48週間のpeg−IFNおよびRBVを受容する患者の59%が、処置の第36週にて検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した。典型的に、peg−IFN+RBVでの48週間の処置の完了後、検出不可能なHCV RNAを有する患者の任意の割合が、再発する。
【0140】
テラプレビル群で供されるSVR率は、患者の実験群での投与が完了した患者、ならびに投与完了前に処置を中止したが、SVR24(処置の完了後24週での検出不可能なHCV RNAが<10IU/mLと定義される)基準に達した患者を含む。
【0141】
PROVE1およびPROVE2の併用において、ITTベースで、PROVE1およびPROVE2の対照群の患者での平均12%と比較して(PROVE1において11%、PROVE2において13%;各実験における比較についてp<0.001)、peg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容する患者の77%が、Roche TaqMan(R)アッセイにより測定した検出不可能なHCV RNA<10IU/mLとして定義される、4週での迅速なウイルス応答を達成した(PROVE1において79%、PROVE2において75%)。
【0142】
RVRを達成し、24週のテラプレビルベースの治療を完了し、そしてSVR分析に利用可能なデータを有した患者に関して、91%がSVR24またはSVR12を達成した。この発見は、24週のテラプレビルベースの治療レジメンにおける、RVRとSVRとの相関関係を証明する。
【0143】
PROVE1およびPROVE2の併用において、peg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容する患者の5%が、処置の最初の12週間にウイルス再燃を経験した(PROVE1において7%、PROVE2において2%)。多くのウイルス再燃は処置の最初の1ヶ月に生じ、一般的に、インターフェロンの低血中濃度と関係していた。患者が、検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した後、peg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容する患者の2%未満が、処置中のウイルス再燃を経験した。
【0144】
PROVE1およびPROVE2の併用において、24週の処置を完了した患者の再発率は9%であった(PROVE1において2%、PROVE2において14%)。PROVE1およびPROVE2の併用において、RVRを達成し、24週の処置を完了した患者に関して、7%が、処置後の期間にウイルス再発現を経験した(PROVE1において2%、PROVE2において11%)。PROVE1プロトコールでは、RVRを達成した患者のみが、24週の治療で処置を中止した;そのような基準はPROVE2では利用しなかった。処置の完了後、PROVE1において、24週の処置後の期間中、第12週後に再発したpeg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容した患者はいなかった。
【0145】
Peg−IFNおよびRBVで通常観察される有害事象タイプは、PROVE1およびPROVE2の全ての処置群で観察された。指定の処置にかかわらず、最もよく見られる有害事象は、疲労、発疹、頭痛および悪心であった。消化器障害、皮膚の有害事象(発疹、掻痒)および貧血は、投与期間にわたり、対照群と比較してテラプレビル投与群でより高かった。
【0146】
PROVE1において、12週中の全体の中断率は、全てのテラプレビル処置群で18%であって、対照群で3%であった。これは、有害事象、同意の撤回および追跡調査中の患者の喪失による中断を含む。有害事象による12週中の処置中断率は、テラプレビルおよび対照群でそれぞれ、13%および2%であった。中断の最も一般的な理由は発疹であり、処置の最初の12週間にテラプレビル処置群においてこの理由により中断した患者は7%であった。12週後、有害事象による中断は、テラプレビルおよび対照群でそれぞれ8%であった。全処置期間中、重度の有害事象の発生は、テラプレビル処置群で27%、対照群で24%であった。
【0147】
PROVE2において、12週中の全体の中断率は、全てのテラプレビル処置群で14%であって、対照群で6%であった。これは、有害事象、同意の撤回および追跡調査中の患者の喪失による中断を含む。有害事象による12週中の処置中断率は、テラプレビルおよび対照群でそれぞれ、10%および3%であった。PROVE1と同様に、中断の最も一般的な理由は発疹であり、処置の最初の12週間にテラプレビル処置群においてこの理由により中断した患者は7%であった。12週中、報告される暫定安全性分析の時、重度の有害事象の発生は、テラプレビル処置群で17%、対照群で10%であった。
【0148】
実施例2:耐容性および薬物動態実験
VX−950を、無作為化、二重盲検、プラセボ−対照の単回用量漸増試験において試験した。25名の健康な男性ボランティアが登録され、各対象は、VX−950の複数の単回用量(少なくとも7日間、3種の用量のVX−950を増加用量レベルで)、および1種の用量のプラセボを個別に受容した。
【0149】
25mgないし1250mgの用量を評価した。2倍ずつ増量して合わせ、より低用量範囲で積極的であり、より高用量範囲で保守的になるようにフィボナッチ数を改変した、用量漸増スキームを用いた。
【0150】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性であったという結果を示した。重大な有害事象は試験中には報告されなかった。そして、用量レベルの増加により有害事象が増大することはなかった。
【0151】
実施例3:黒人、ラテン系および白人におけるウイルス応答
黒人およびラテン系は、白人と比較して、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)の現在の治療に対して、より低い持続的ウイルス応答(SVR)率を有する。黒人(AA)、ラテン系(L)および白人(C)のサブ分析は、テラプレビルの添加が、ペグ化インターフェロン−αおよびリバビリン(PR)処置がPROVE1試験における増大したSVR率をもたらすことを示す。
【0152】
試験において、患者は、遺伝子型1型HCV感染を有する未処置対象において、ペグ化インターフェロンα−2a 180μg/週およびリバビリン1000−1200mg/日と共にTVR 750mg q8hを受容した。対象を4群に無作為化した(図5)。対照群(n=75)は、48週のPRを受容した(PR群)。3つの他の群は全て、12、24または48週のPRと組み合わせて12週間TVRを受容した(T/PR群、n=175)。この分析は、これらの群の黒人、ラテン系および白人対象のウイルス応答および薬物動態に重点をおく。人種および民族を、対象の自己申告により決定した。
【0153】
Roche COBAS TaqMan(登録商標)アッセイを、HCV RNAを測定するために用いた(LOD 10IU/mL)。ウイルスダイナミクスモデリングに関して、<10IU/mLと報告される値は、5IU/mLと置き換えられた。
【0154】
表2に示す通り、ベースライン特性は、グループ間で均衡がとれていた。白人の登録(73.8%、n=192)は、黒人(10.4%、n=27)およびラテン系(8.8%、n=23)よりも多かった。
【表2】
【0155】
PR群において、第1週でのウイルス減少の相違は、白人と黒人サブグループとの間で顕著に異なる(p=0.04);T/PR群において、サブグループ間で顕著な相違はない(p=−0.36)[P値は、ラテン系グループについては少数なために計算できなかった]。表3に示す通り、TVRを受容する対象のSVR率は、白人(82/133、62% vs 27/59、46%)、黒人(8/18、44% vs 1/9、11%)およびラテン系(11/17、65% vs 2/6、33%)対象におけるPR群と比較して増大を示す。SVRを達成した黒人に関して、処置群への分布は、下記の通り:T12/PR12、n=3;T12/PR24、n=1;および、T12/PR48、n=4である。SVRを達成したラテン系に関して、処置群の分布は、下記の通り:T12/PR12、n=1;T12/PR24、n=6;および、T12/PR48、n=4である。
【0156】
【表3】
【0157】
テラプレビルベースのレジメンは、早期にウイルスダイナミクスを増強し、その後、黒人、ラテン系および白人において、ウイルス応答の改善をもたらす(図1および14)。図2は、処置の最初の4週間のウイルスダイナミクスを示す。パネルAは、白人と比較して、ラテン系および黒人が、Peg−IFNおよびRBVにて早期のウイルスダイナミクスが低減したことを示す;パネルBは、Peg−IFNα−2aおよびRBVへのTVRの添加が、改善した早期のウイルスダイナミクスが全ての群で観察され、異なる人種/民族群間で同様であったことを示す。異なる人種/民族群間で、テラプレビルの薬物動態に相違は見られなかった(図3および4)。
【0158】
実験集団全体において、プラセボよりも高頻度で報告された最も一般的な有害事象(AE)は、消化器事象、皮膚事象(発疹、掻痒)および貧血であった。皮膚/発疹AEによる12週中の処置の中止は、T/PR群で7%、PR群で1%であった。
【0159】
表4は、異なるグループ間でより一般的な有害事象をまとめる。有害事象は、割合が、処置群で20%を超えるか、またはグループが、有害事象を経験したグループ中、10名未満、少なくとも3名の対象であったとき、表に包含された。少人数グループと仮定して、異なる人種/民族群において有害事象プロファイルに相違は見られなかった。中程度または重度と記載された人種は、黒人およびラテン系対象で報告されなかった。
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
本発明のある態様において、黒人、ラテン系および白人を処置するための投与レジメンは、WO2006/050250に記載のものを含む。VX−950についてのさらなる投与レジメンは、2008年5月21日に出願されたPCT出願番号PCT/US2008/006572(その内容は、引用により本明細書中に包含される)に記載される。
【0163】
実施例4:リバビリン併用または非併用でのペグ化インターフェロンα−2aとテラプレビルの併用
テラプレビルは、HCV RNA血漿レベルの迅速かつ一定の減少を生じる(図7).PROVE2試験は、遺伝子型1型慢性HCVの硬変を有さない未処置患者における、リバビリン併用または非併用でのPeg−IFNα−2aとTVRの併用の安全性および効果を評価するために設計された。
【0164】
PROVE2実験において、323名の患者を、(i)Peg−IFN 180μg/wk、RBV 1000または1200mg/日、TVR−プラセボ 48週(PR48;n=82);(ii)TVR 750mg q8h、Peg−IFN+RBVを12週間、その後Peg−IFN+RBVを12週間(T12/PR24;n=81);(iii)TVR 750mg q8h、Peg−IFN+RBV 12週(T12/P12;n=82);または、(iv)TVR+Peg−IFN 12週(T12/P12;n=78)に無作為化した(図6)。主要な項目は、持続的ウイルス応答であった(治療終了後の検出不可能なHCV RNA 24週)。
【0165】
表6に示す通り、ベースライン特性は、グループ間で均衡がとれていた。集団全体は、59%が男性であり;94%が白人であり;年齢45歳(範囲18−65);BMI 23.75kg/m2(範囲17−41);HCV RNA 6.5log10IU/mL(3.4−7.7)、86% HCV RNA>600,000IU/mL、遺伝子型1a/1b:44%/55%、ALT:55;7% METAVIR F3であった。処置の中止までの、迅速な、および持続的ウイルス応答、ならびに再発率および有害事象(AE)を表7に示す。
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
図8に示す通り、第4週および第12週の検出不可能なHCV RNAを有するT12/PR24を受容する患者の再発率は、7%であった(3/45)。ウイルス再燃(処置中、患者において12週にて;基底からの>1 log10増大、または先の検出不可能後の100 IU/mL HCV RNA)は、24%(T12/P12)(図9)および3%(T12/PR12およびT12/PR24併用)(図10)であって、これは、リバビリンが該レジメンの重要な成分であることを示唆する。T12/P12レジメンにおけるウイルス再燃を有する患者において、下記のNS3変異が検出された:V36M/R155K、R155K、A156T、A156S、T54T/A、T54A/A156S、V36V/A、A156S/T、T54T/A、R155R/KおよびA156A/S/T。T12/PR12およびT12/PR24併用レジメンにおけるウイルス再燃を有する患者において、下記のNS3変異が検出された:V36M/R155KおよびA156T。
【0169】
表8に示す通り、48週中の最も一般的なAEは、全ての処置群で、重症度にかかわらず、≧25%の患者で報告された。AEには、掻痒、発疹、貧血、疲労、衰弱および頭痛が含まれる。ほとんどのAEはグレード1または2であった。グレード3のAEがPR48の3%の患者について報告された:貧血(4%);T12/P12:発疹(3%)および鬱病(3%);T12/P12:発疹(6%)および無力/疲労(5%);T12/PR24:発疹(7%))。表9は、全ての処置群における処置の中止理由を示す。
【0170】
【表8】
【0171】
【表9】
【0172】
TVRベースのレジメンでの処置は、さらなる好中球減少症または血小板減少症にはならなかった。図11は、実験の各群の割当処置期間中の平均ヘモグロビンレベルを示す。
【0173】
黒人および白人のRVR率は、T/PR群で同じであった(72% 対 80%)。黒人の高RVR率とより低いSVR率との不一致は、処置の中止との関連が大きい。ラテン系のRVRおよびSVR率は、白人と同様であった。
【0174】
Peg−IFN/RBVとテラプレビルとの併用は、遺伝子型1型HCVに感染した患者の対照グループと比較して、ほとんどの患者で全処置期間を半分に短縮する可能性を有する、かなり高いSVR率を示した。
【0175】
【表10】
【0176】
実施例5:線維性架橋形成を有する患者の処置
慢性C型肝炎に対するPeg−IFNα/RBV治療の3つの主試験において、SVRは、線維症のより軽度のステージの患者と比較して線維性架橋形成または肝硬変を有する患者にて約10−15%低かった。Peg−IFNおよびRBV(T/PR)の現在のレジメンへのテラプレビル(TVR、VX−950)の添加は、PROVE1試験における増加したSVRをもたらす(図12)。
【0177】
実験において、遺伝子型1型HCV感染を有する未処置患者は、TVR 750mgを8時間毎に、そしてペグ化インターフェロンα2aを180μg/週およびリバビリンを1000−1200mg/日を受容する。対象を無作為に4つの群に分けた(図5)。対照群(n=75)は、PRを48週受容した(PR群)。他の3群は全て、PRを12、24または48週と組み合わせてTVRを12週間受容した(T/PR群、n=175)。線維症の重症度を、各センターの地域の病理学者による組織学的評価により定義した。
【0178】
Roche COBAS TaqMan(登録商標)アッセイを用いて、HCV RNA (検出限界 10IU/mL)を測定した。ウイルス動態モデルに関して、<10IU/mLと報告された値は、5IU/mLに置き換えられた。
【0179】
Peg−IFNα/RBV治療の以前の報告において、SVRは、顕著に減少した血小板数を有する患者でより低い。今回の研究にて、血小板数は、Peg−IFNα/RBV対照群でのSVRと相関しなかった。血小板数は、TVRベース群でのSVRと相関しなかった。血小板数は、このコホートでのSVRの重要な因子ではなかった。
【0180】
小さいグループを考慮して、異なるグループにおけるAEプロファイルの違いは観察されなかった。処置の最初の12週の間、ヘモグロビン(Hb)または絶対好中球数(ANC)または血小板数の変化の相違は観察されなかった。
【0181】
線維性架橋形成を有する患者のうち、Peg−IFNα/RBV群における26%と比較して、T/PR群にて69%がSVRを達成した(図13)。Peg−IFNα/RBVへのTVRの添加は、これらの“治療が困難な”患者群でのウイルス応答を改善した。
【0182】
PROVE1およびPROVE2研究における線維性架橋形成を有する患者について収集されたSVRデータを図20に示す。
【表11】
【0183】
【表12】
【0184】
実施例6:以前にペグ化インターフェロン−α−2a/Bおよびリバビリン治療に非応答であリ、ウイルス再燃または再発を有する遺伝子型1型C型肝炎に感染した患者におけるテラプレビル: PROVE3研究のSVR結果
PROVE3は、以前のPR処置に失敗した遺伝子型1型HCV感染患者におけるテラプレビル(T)+ペグ化インターフェロンα2a(P)±リバビリン(R)の安全性および効果を行う無作為化、プラセボ対照フェーズ2研究である。
【0185】
無作為化を、1:1:1:1とした:T/PRを12週、その後PRを12週(T12/PR24);T/PRを24週、その後PRを24週(T24/PR48);T/Pを24週(T24/P24);または、プラセボ/PR(P 180μg/週、R 1000−1200mg/日)を24週、その後PRを24週(PR48)。
【0186】
453名の患者がITT分析に含まれ、418名(92%)がベースラインHCV RNA ≧800,000 IU/mLを有し、196名(43%)が肝硬変または線維性架橋形成を有し、そして40名(9%)が黒人であった;235名(52%)の患者が指定された処置を完了した。
【0187】
PR48よりもT12/PR24またはT24/PR48でよく生じた最も頻繁に起こった有害事象は、疲労、悪心、頭痛、発疹、掻痒、下痢、貧血、不眠、発熱、脱毛症および冷え症であった。グレード3の発疹が、T12/PR24、T24/PR48、T24/P24およびPR48それぞれで7名(6%)、5名(4%)、6名(5%)および1名(1%)の患者で観察された。グレード3の貧血が、T12/PR24、T24/PR48、T24/P24、およびPR48それぞれで0名(0%)、7名(6%)、1名(1%)および1名(1%)の患者で観察された。T12/PR24、T24/PR48、T24/P24およびPR48それぞれで11名(10%)、29名(25%)、10名(9%)および5名(4%)の患者が、AEのために中止した。
【0188】
T/PRレジメンを受容する全ての処置群のSVR率は、PR48でのSVR率よりも顕著に高かった。T12/PR24の一般的安全プロファイルは、未処置患者で観察されたものと同様であった。T24/PR48と比較してT12/PR24でのより高い再発率が、処置された患者での全48週のPRを必要とし得る。
【0189】
【表13】
【表14】
【0190】
T12/PR24およびT24/PR48群の全体のSVR率は、対照群の14%と比較して51−52%であった。特に、以前に非応答であった患者のT12/PR24およびT24/PR48群の全体のSVR率は、対照群の9%と比較して38−39%であり;以前に再発した患者では、対照群の20%に対して69−76%であり;そして、肝硬変を有する患者では、対照群の8%と比較して45−54%であった。割り当てられた処置を完了した患者のSVR率を図15に示す。肝硬変の有無にかかわらず、患者のSVR率を図16に示す。以前に非応答であった患者および以前に再発した患者の第4週での検出不可能なHCV RNA率(実験処置を開始後4週間で検出不可能なHCV RNAを達成することが示された迅速なウイルス応答(RVR))を図17に示す。処置(全体)の最終投与量で検出不可能なHCV−RNAを有した患者および割り当てられた処置の完了(完了したレジメン)後最終投与量で検出不可能なHCV−RNAを有した患者の再発率を図18に示す。処置群による第4週から第24週まで(包括解析(ITT)分析)の累積的ウイルス再燃率を図19に示す。
【0191】
実施例7
下記の実施例は、流動床スプレー乾燥(FSD)法を詳述し、HPMCASポリマーと溶媒の混合物(プラセボ)ならびにVX−950、HPMCASおよび溶媒の混合物(活性)の2種の混合物の流動床スプレー乾燥結果物を提供する。FSD法のパラメーターを変えることにより、結果生成物の特性を、その後の処理または使用に最適化かる適合させ得る。
【0192】
本明細書に記載の実施例は、一部において:
i)流動床スプレー乾燥モードで操作する市販のスプレー乾燥機(例えば、FSDモードで操作する1250kg/hrの能力を有する乾燥機)を用いて、VX−950分散体に行ったスプレー乾燥実験を説明すること。
ii)生成物密度、粒子サイズ分布、および残留溶媒に対する、選択された操作パラメーターの変更の効果を報告すること
を設計された。
【0193】
増大した粒子サイズおよび/または生成物密度は、直接圧縮生成物を得るのに有利である。より大きな粒子を得て、例えば直接圧縮に適当な高密度を有する生成物を得るために、流動床スプレー乾燥機(FSDモード)に設定された、商業規模の乾燥機(例えば、1250kg/時の能力を有する乾燥機)を用いた。直接圧縮可能な物質を得るために、20−40μmの範囲ないしより大きな平均粒子サイズに増大することが望ましく、一方、生成物密度を維持するか、または増大することが望ましい(例えば、バルク密度>0.2g/mlおよびタップ密度>0.4g/ml)。さらなる基準は、乾燥後、許容される範囲内に残留溶媒レベルを低減し得ることである。
【0194】
スプレー乾燥物質および最終生成物の分析作業は、粒子特性(生成物密度および粒子サイズ分布)の分析ならびに残留溶媒のレベルに関する。
【0195】
2種の供給溶液を、本実験中に製造した。高薬物製剤(high drug formula)についてのプラセボ供給溶液(プラセボ)、および各々の高薬物負荷製剤供給溶液(活性)である。表15に、各実験でスプレー乾燥された供給溶液をまとめる。
【0196】
【表15】
【0197】
供給溶液を、機械的スターラーおよび供給溶液の温度を制御するための熱回路を備える8000Lステンレススチール撹拌槽反応機中で製造した。プラセボバッチの製造では、ポリマー(HPMCAS)を仕込む前に溶媒を該反応機に仕込んた。完全な溶解を、低ないし中程度の撹拌(30ないし80rpm)下で観察した。活性剤製造において、初めに固体を仕込み、その後溶媒を仕込んだ。溶解にはおよそ6時間かかった。供給反応機内の溶液の温度を、スプレー乾燥機に供するまで約20℃(15ないし30℃)に維持した。
【0198】
プラセボ供給溶液および活性供給溶液の流動床スプレー乾燥法
圧力ノズル噴霧化システムを備えるステンレススチール製の商業スケールのスプレー乾燥機(NIRO、サイズ4)を、試験に用いた。用いる噴霧化ノズルは、Spraying Systems(MFP (Maximum Free Passage) SK Series SPRAYDRY(登録商標) Nozzles Series variety, コア27を有するオリフィス52)のものであった。
【0199】
スプレー乾燥ユニットを、密閉サイクルモード、すなわち乾燥ガスの再循環モードで操作した。該スプレー乾燥ユニットは、開始から終了操作の間に用いるための溶媒を含む供給タンク(T510)、ならびに乾燥されるべき物質を含む供給タンク(R240)を含む。スプレー乾燥法を開始するために、バルブV2を開き、スプレー乾燥されるべき物質を供給タンクR240からスプレー乾燥チャンバーDCにポンプHP−Pを介して供給した。該物質は、乾燥チャンバー中で部分的に乾燥され、その後、より軽い乾燥粒子は、乾燥ガスを用いてサイクロンCに排出され、より重い粒子は、流動床FB1に落下した。該粒子は、FB1から最終的に第二流動床FB2およびFB3に循環され、完全に冷却および乾燥された。サイクロンCに排出された軽い粒子(微粒子)は、その後、サイクロンで分離され、微粒子返還FRにて乾燥チャンバーに戻された。サイクロンを通過する微粒子は全て、フィルターバッグFBで捕捉され、次いでガス再循環ユニットRUに至った。
【0200】
乾燥ガスの再循環を、再循環ユニットから、流路(1)および(2)で示される閉ループのどちらか一方を介してガスを再循環することにより達成した。再循環ユニットから排出されるガスを取り込む流路は、バルブ操作により決定した(記載なし)。ガスは流路(2)を介して再循環され、微粒子をサイクロンから乾燥チャンバーDCに戻した。ガスはまた、乾燥チャンバーDCの乾燥ガスとして、熱交換器HX1を介して乾燥チャンバーに再循環された。
【0201】
ブローファン(Fl)の設定で制御される乾燥窒素の流量を、10ないし18cmH2Oの、サイクロン(AP_サイクロン)を通過する圧力低下を得るために調整した。高圧ポンプを用い(HP−P)、そして供給圧(P−feed)を、所望の設定値(P_feed_SP)にするために自動的に制御した。粒子の戻る位置(FR位置)は、乾燥チャンバーの頂部(凝集を促進する)または乾燥チャンバーの中間(凝集を抑制する)のどちらかであった。閉ループへのバルブ(1)を開口したとき、ガスが流動床チャンバーFB1−FB3に独立したファン(VT−FB)を介して供給され、3個の流動床チャンバーのそれぞれの温度(T_FB1、T_FB2、T_FB3)を、3個の熱交換器(HE1、HE2、HE3)により制御した。これらを試験値(それぞれ30℃、35℃および40℃)に設定した。
【0202】
該供給溶液を、ノズルチップで噴霧化し、乾燥チャンバー内で並流加熱窒素により乾燥した。サイクロンに入る前の頂部に存在する乾燥生成物を含む流れは、乾燥チャンバー内で逆方向にされ、ここで多くの固体が分離され、微粒子が、乾燥チャンバーの頂部(スプレー形成物とノズルにて混合される)または、乾燥チャンバーの中間に軸方向に再導入された。上記の通り、より重い粒子が、乾燥中、および/または凝集処理中に形成され、乾燥チャンバー内およびメイン流動床チャンバー(FB1)内に落下した。該処理を、生成物の層が得られる(FB1を通過する圧力差として測定される)まで行った。その後、FB1中の生成物部分を、乾燥後処理工程が行われるFB2に放出し、次いで、FB2中の生成物をFB3に移した。FB3中、生成物を環境温度まで冷却し、その後、最終的に包装室に放出した。上記の通り、サイクロンを通過後、窒素をフィルターバッグに通し、ここで微粒子が捕捉され、その後、排気ファン(F2)に入り、そこからガス再循環ユニットにループ(1)および/または(2)を介して再循環させた。排気ファンスピードを、システムの内側からの圧力を制御するために調節した。
【0203】
材料
本試験中に用いる材料を、表16に記載する。
【表16】
【0204】
分析法
用いる分析対照は、バルクおよびタップ密度(例えば、United States Pharmacopeia (USP)法<601>により測定される)、典型的な容積レーザー回折(例えば、Malvern Mastersizer、またはSympatec HELOS もしくは MYTOS)による粒子サイズ分布、ならびにガスクロマトグラフィー(GC)による有機溶媒(ジクロロメタン(DCM)、アセトンおよび酢酸エチル)であった。
【0205】
スプレー乾燥試験:データおよび観察
7つのスプレー乾燥試験を行った(5個のプラセボおよび2個の活性物)。主な結果を、表17にまとめた。走査型電子顕微鏡(SEM)画像を用いた。スプレー乾燥機の頂部で導入される微粒子で製造された分散体およびスプレー乾燥機の中間に導入される微粒子で製造された分散体の画像を得た。スプレー乾燥機の頂部に微粒子を導入することにより、より凝集した生成物を得た。スプレー乾燥機の中間に微粒子を導入することにより、より凝集していない生成物を得た。画像を、30、100および300倍で得た。
【0206】
【表17】
a)F_solids(=_feed x C_feed)は、スプレー乾燥機に供給される固体物質の流速である。
b)収率は、乾燥機が試験間で清掃されなかったとき、大きな誤差を有する。
【0207】
実施例8
本実施例は、流動床スプレー乾燥法により製造されるVX−950の分散体が、錠剤に直接圧縮された実験の結果を提供する。
【0208】
錠剤特性は、APIの物理的−化学的および機械的特性、関係する賦形剤、ならびに方法パラメーターのような多くの因子により影響を受け得る。強固な製剤を達成するため、これらの効果は、製剤開発段階で評価される。これらの実験は、ビタミンE添加の異なる方法(スプレー凝集物、BASF Vit Eアセテート、賦形剤上で融解造粒した物、および分散体上で融解造粒した物)を含む流動床スプレー乾燥法によりスプレー乾燥される分散体の効果を評価した。打錠特性は、錠剤硬度、突出力および厚さにより特徴付けられた。
【0209】
異なるタイプのVit Eの添加およびVit Eの異なる添加方法を評価した。Vit Eのタイプおよび分散体への添加方法を以下に記載する。
【0210】
VX−950の分散体は、本明細書に記載の流動床スプレー乾燥法により製造される。
【表18】
【0211】
【表19】
注釈:VX 950 SD Lot 02
有効性:250mg VX950
【0212】
【表20】
【0213】
【表21】
注釈:VX 950 SD Lot 02
有効性:250mg VX950
【0214】
【表22】
注釈:VX 950 SD Lot 02
有効性:250mg VX950
【0215】
【表23】
【0216】
【表24】
【0217】
【表25】
【0218】
実施例9
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
HPMC 40 cp 49.5%
SLS 1%
【0219】
組成物1を、メタノール:塩化メチレン(1:1)中に、VX−950、HPMCおよびSLSを溶解し、次いで回転蒸発器を真空下で用いて溶媒を蒸発させて製造した。生成物を、約200μmの平均粒子サイズを有する粒子に粉砕した。
【0220】
実施例10
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
HPC 49.5%
SLS 1%
【0221】
組成物2を、塩化メチレン中に、VX−950およびHPCを溶解して製造した。SLSを該溶液に懸濁した。その後、溶媒を、真空下で回転蒸発により蒸発させた。生成物を、約200μmの平均粒子サイズを有する粒子に粉砕した。
【0222】
実施例11
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
PVP K30 49.5%
SLS 1%
【0223】
組成物3を、メタノール:塩化メチレン中に、VX−950、PVP K30を溶解し、SLSを懸濁し、次いでスプレー乾燥させて溶媒を除去することにより製造した。生成物の平均粒子サイズは約150μmである。
【0224】
実施例12
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
HPMCP 49.5%
SLS 1%
【0225】
組成物4を、実施例3の方法と同様の方法を用いて製造した。生成物の平均粒子サイズは約150μmである。
【0226】
ポリマーおよび界面活性剤の他のタイプもまた、試験した(以下の実施例を参照)。VX−950とポリマーと界面活性剤の量比もまた、種々のアッセイで試験した(以下の実施例を参照)
【0227】
実施例13
種々のVX−950組成物を、ラットの薬物動態学的(PK)アッセイにおいて試験した。
【表26】
【0228】
実施例14
種々のVX−950組成物を、イヌの薬物動態学的(PK)アッセイにおいて試験した。この試験において、試験したVX−950化合物は、L:D異性体の60:40(+/−5%)混合物であった。
【表27】
【0229】
実施例15
種々の組成物の物理的安定性を試験した。結果を下記の表28に示す。
【表28】
【0230】
実施例16
種々の組成物のキラル安定性を試験した。結果を下記の表29に示す。
【表29】
【0231】
実施例17
種々の組成物の溶解性を試験した。結果を下記の表30に示す。
【表30】
【0232】
実施例18
VX−950固体分散体の見掛けの溶解度に対するSLS濃度の効果を試験した。結果を下記の表31に示す。
【表31】
【0233】
実施例19
経口投与製剤を下記の通りに製造した。VX−950およびPVP K29/32を塩化メチレン中に溶解し、次いでラウリル硫酸ナトリウムを添加し、溶液中に分散させて、均一な懸濁液を形成した。この懸濁液を、90℃の入口温度および56℃の出口温度を用いてスプレー乾燥させて、生成物をサイクロンから集めた。スプレー乾燥分散体を、75℃にて8時間、流動床乾燥させた。
【0234】
【表32】
【0235】
固体分散体を、スチールロータリーミキサーを用いて、1%HPMC、0.002%シメチコン溶液中に懸濁した。得られた懸濁液は、0.8−50mg/ml濃度のVX−950で少なくとも24時間、物理的かつ化学的に安定である。その後、粉末を懸濁し、下記の通り24時間以内に投与する。
【表33】
【0236】
実施例20
単回用量ガラスバイアル中で1%HPMCビヒクルと混合した分散体を、投与した。バイアル中に残る固体残渣は、シリンジ中で水と混合して投与した時、28%−56%と比較して0.8%−4%であった(下記の1月20日の投与)。投与した分散体は、VX950/PVPK−30/SLS(tox. lot、新鮮)、VX950/HPMCAS/SLS/SDBS(5%PVPK−30を含む結晶DSから出発して、ISPでスプレー乾燥)、VX950/HPMC E15/10% Vit E TPGS、VX950/PVP−VA/10% Vit E TPGSであった。これらの実験の結果を、下記に示す。
【0237】
【表34】
【0238】
上記の表に示される通り、HPMC E−15/10% Vit ETPGSは、最も高いCmaxおよび%Fを有した。PVP−VA/10% Vit ETPGSは、次に高いCmaxおよび%Fを有した。HPMCASは、PVPK−30新鮮な分散体と同程度のCmaxおよびPVP−VAと同程度の%Fを有して、若干の持続放出プロファイルを示した。
【0239】
実施例21
3つの製剤を、SD Micro spray drier (100gm)で製造した。最初の2つの製剤は、同一成分を有したが、アセトンレベルが異なった。3番目の製剤は、HPCおよびHPMCフタレート(2:1)のポリマー混合物であった。3つの製剤は全て、1%SLSおよび1%SDBSおよび5%PVPK−30を有した製剤原料を含んだ。
【0240】
ポリマーの溶解は均質化を必要とし、3つの製剤は全て、非常に簡単にスプレー乾燥された。全ての製剤は、製造後に検出可能な残留溶媒を有したが、両溶媒は、オーブン乾燥(60℃)で簡単に除去された。アセトンの添加は、塩化メチレンの初期含量を低減するように見えた。残留溶媒レベルを下記にまとめる。
【0241】
【表35】
【0242】
実施例22
HPMCE 50/1% SLSを含む液体分散体を、下記の通り、室温または冷蔵条件にて、数種のビヒクル中懸濁液として広く検討した:
1. 3mg/mL濃度のVX950にて、種々の濃度のVit E TPGSを含む1%HPMCビヒクル。
0.067%、1%、5%および10% Vit E TPGSを含む、懸濁液中、HPMC E50/1% SLS分散体の溶解性および物理的安定性を、実際のtox.実験での投与(b.i.d.投与、8−12時間毎)と同様のいくつかの方法に従ってHPLCおよびXRDを用いて評価した。
方法1:懸濁液をRTで製造して貯蔵し、1、3、24、48時間に評価した(3時間撹拌し、その後、24時間の時点まで撹拌せずに貯蔵し、サンプリング前にそれらを15分間撹拌した)。
方法2:懸濁液をRTで製造するが、撹拌せずに3時間後に5℃で貯蔵した。24時間の時点で、懸濁液をサンプリング前に5℃にて撹拌した(氷上)。
方法3:懸濁液をRTで製造するが、撹拌せずに3時間後に5℃で貯蔵した。24時間の時点で、懸濁液をサンプリング前にRT(温めた)で15分間撹拌した。
方法4:ビヒクルを含む10% Vit E TPGSについてのみ評価した。懸濁液を5℃で製造して貯蔵し、1、3、24、48時間の時点で評価した(3時間撹拌し、その後、24時間の時点まで撹拌せずに貯蔵し、それらをサンプリング前に氷上で15分間撹拌した)。
【0243】
上記の全てに関して、37℃での人工腸液中の溶解速度論を、製造後1時間および貯蔵後24時間で上記の条件下で評価した。
【0244】
結果:
A.方法1:溶解度は、% Vit E TPGSの関数として増加する(1および3時間)。実際の溶解度値は600−700Tg/mLという高いままであるが、溶解度の顕著な低下が、より高濃度のVit E TPGS(10%および5%)との懸濁の1時間後に観察された。24−48時間乾燥させて集めた固体残渣は、結晶性を示した。溶解度のわずかな低下ならびにわずかな結晶性が、1% Vit E TPGSを含む懸濁液で観察された。0.067% Vit ETPGS濃度では低下は観察されず、固体残渣はアモルファス形であった。。
【0245】
方法2:何れのVit E TPGS濃度でも溶解度の低下(変化)は観察されなかった。
方法3(ウォーミングアップ):何れのVit E TPGS濃度でも溶解度の低下(変化)は観察されず、値は、方法2と同様であった。
方法4:1ないし3時間後、恐らくより低い温度での遅延拡散/より高粘度のために、溶解度は方法2と比較して低かった(すなわち、5℃で、またはRTで製造したとき)。48時間以上では溶解度の低下は観察されず、値は、24時間後の方法2で得られた値と同程度であった。
【0246】
B.方法1、1時間後:溶解度の顕著な低下が、1時間後に、10% Vit E TPGS濃度で観察され、わずかな低下が、3時間後にのみ、5% Vit E TPGS濃度で観察された。5時間以降、より低濃度(1%および0.067%)では低下は観察されなかった。相対的に、製造され、1時間、氷上(5℃)で撹拌された10% Vit E TPGSを含む懸濁液は、5時間以上、溶解度の低下を示さないが、実際の溶解度値は、RTで製造したものよりも顕著に低い。このことは、ラットにおける後者の低下した% Fを説明し得る。
【0247】
方法1、24時間後:製造され、1時間後に評価された懸濁液と比較して、溶解度/溶解は、1%および5% Vit E TPGS濃度において顕著に低下する。0.067%懸濁液は、新鮮に製造した懸濁液て観察される溶解度(1時間後に試験した)と同様の初期溶解度を示したが、新鮮な懸濁液で観察されなかった溶解度のわずかな低下が、SIFにおいて2時間後に観察された。
【0248】
方法2、24時間:方法1で観察された結果と同様の結果であり、より低い% Vit E TPGS(0.067%および1%)懸濁液は、5時間後に溶解性/溶解の低下が見られず、絶対値も製造後1時間に試験したときの値と同じであった。
【0249】
結論:懸濁溶解度および37℃でのSIF中の動力学的溶解度から、0.067% Vit E TPGSを含む懸濁液は、RTまたは5℃で貯蔵したとき、性能の変化は示されなかった(24時間以降の懸濁溶解性の低下、ならびに新鮮な、および24時間後の古いサンプルについての、5時間以降の溶解度の低下はなかった)。同様の挙動が、5℃(RTで製造)で貯蔵したときのみ、1%および5% Vit E TPGSを含む懸濁液で観察された。
【0250】
37℃でのSIF中、動力学的溶解度の緩やかな減少が、RTまで温めるか、または評価前には温めないのどちらであっても、5℃で貯蔵後に、24時間の古いサンプルで5時間以上で観察された。5℃で製造した懸濁液は、恐らく、5℃での貯蔵中の継続した溶解のために、24時間後と比較して、製造の1時間後に評価したとき、SIF中、より低い溶解/溶解度を示した。
【0251】
実施例23
下記の成分の混合物をスプレー乾燥させて、VX−950の固体分散体を得た。VX−950/HPMCAS−HG/SLSを、49.5/49.5/1 wt/wtで合わせ、10の固体濃度で溶媒系に合わせた。ここで、該溶媒系は、43.03のd50および0.37のバルク密度を有する生成物を得るために、66.6/28.5/5比で塩化メチレン/アセトン/氷酢酸を含んだ。
【0252】
実施例24
下記の成分の混合物をスプレー乾燥させて、VX−950の固体分散体を得た。VX−950/HPMCAS−HG/SLSを49.5/49.5/1 wt/wtで合わせて、10の固体濃度で溶媒系に合わせた。ここで、該溶媒系は、47.02のd50および0.41のバルク密度を有する生成物を得るために、63/27/10比で塩化メチレン/アセトン/氷酢酸を含んだ。
【0253】
実施例25
VX−950のスプレー乾燥分散体を、複数のVX−950ロット、HPMCAS−HG(酢酸コハク酸ヒプロメロース、HGグレード、Shin−Etsu Chemical Co.)ポリマー、およびSLS(ラウリル硫酸ナトリウム、Fisher)界面活性剤を用いて製造した。スプレー乾燥およびその後のバイコニカルドライヤーでの後乾燥処理を行った。残余溶媒が少なく、かつ標的粉末特性を有する乾燥分散体を製造した。成功基準は、許容される方法収率(>80%)を有し、全ての標的医薬品が純度の製品規格に合致し、そして標的特性が、物理的特性(粒子サイズおよびバルク密度)に関して特定の範囲内に一致することを含んだ。
【0254】
製剤組成および方法の概要
2つの活性分散体製造法のそれぞれについての製剤組成全体を、表36に記載する。
【表36】
【0255】
処理の流れの説明を下記に示す:
A)溶液の製造およびスプレー乾燥機
1)塩化メチレンを、平衡溶媒タンク中で製造した。
2)所定のアセトン量の100kgを混合反応機に添加した(表36参照)。
3)適当量の塩化メチレン(表36参照)を、メイン溶液反応機中で製造した。差圧セルにより、充填溶媒の正確な量を確認した。
4)VX−950薬剤物質を、メイン溶液反応機に充填した(表36参照)。総固体充填量は、13wt%であった。サンプルを取り出し、目視検査により該薬剤物質が溶解したことを確認した。
5)HPMCAS−HGを、メイン溶液反応機中に充填した(表36参照)。総固体充填量は、13wt%であった。
6)残りの所定のアセトン量を、該混合反応機に添加した(表36参照)。
7)アセトン、SLSおよびDI水を、メイン溶液反応機に充填した。
8)得られたバッチを、溶解後の外観および粘度について試験した。
9)スプレーシステムSK−MFP圧力ノズルを取り付け、平衡溶媒を用いて的確な噴霧化について試験した(ノズル48/21、50/21または52/21も使用可能である)。
【0256】
B)スプレー乾燥機の作動
1)スプレー乾燥機を、適当な出口温度まで加熱した。
2)平衡溶媒を、全てのパラメーターが平衡化され、一定になるまで、スプレーした。
3)供給溶液のスプレー乾燥を、スプレー乾燥機が平衡化した時点で開始した。
4)乾燥粒子を、サイクロンにより処理ガスから慣性的に分離し、ポリエチレンバッグ内に集めた。その後、処理ガスをフィルター処理して微粒子を取り出し、凝縮して処理溶媒を除去した。
5)最初のサンプルを取り出し、粒子サイズ分布ならびにバルクおよびタップ密度を試験した。
a)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内であって、標的に近かったとき、処理を継続し、そしてサンプルをサンプリングプランに沿って取り出した。
b)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内ではなく、標的に近くなかったとき、必要に応じて、処理を最適化した(例えば、下記の1個以上:ノズル、出口温度、供給圧を変えることにより)。収集バッグを変え、合格基準外の粉末を別に集めた。サンプルが本明細書の範囲内であったとき、現パラメーターでの処理を開始した。
【0257】
C)スプレー乾燥の実行
1)サンプルをサンプリングプランに沿って取り出した。
2)処理パラメーターの如何なる変更も記載した。
3)処理の停止または継続的操作の停止も記載した。
4)供給溶液のスプレー乾燥完了により、平衡溶媒を交換し、次いで方法の通常の停止処理行った。
【0258】
D)乾燥後処理
1)スプレー乾燥分散体を、第2の乾燥機に充填し、全ての残留溶媒(塩化メチレン、アセトン、酢酸エチルおよびトルエン)が、本明細書の記載以下であると確認されるまで乾燥させた。
【0259】
装置
機械的スターラーおよび熱回路を備える8000L大規模反応機(industrial scale reactor)を、初期溶液の混合に用いた。大規模スプレー乾燥機(Niro Pharmaceutical Spray Dryer FSD12.5CC)を、通常の並流スプレー乾燥モードで用いた。圧力ノズルシステム(Spraying Systems Maximum Free Passage SK−MFPシリーズ類、オリフィス48−54、コア21)を用いた。溶媒−互換性/抵抗性ガスケットを備える高性能圧力ポンプは、スプレー乾燥容器中にアトマイザーを通して供給溶液を注入した。慣性的サイクロンにより、処理ガスから生成物を分離し、溶媒を蒸発させた。次いで、フィルターバックに、サイクロンにより分離されなかった微粒子を集めた。得られたガスを凝縮して処理溶媒を取り出し、ヒーターおよびスプレー乾燥機に再利用した(密閉サイクル)。
【0260】
得られた生成物を、残留溶媒の乾燥のためにバイコニカル真空乾燥機に移した。
【0261】
重要な工程コントロールおよびパラメーター
重要な工程コントロールおよびパラメーターは、スプレー乾燥およびバイコニカル乾燥処理の両方に必要であった。一次処理コントロールおよびパラメーターは、予備研究バッチを用いて同定されている。
【0262】
実行時間全体で測定および記録されたスプレー乾燥処理に重要な処理コントロールおよびパラメーターは、下記:
・アトマイザー/設置したノズル
・供給圧
・入口温度
・コンデンサー温度設定(約−10ないし−15℃)
であった。
【0263】
実行時間全体で測定および記録されたスプレー乾燥処理の重要な処理基準は、下記:
・溶液供給速度
・出口温度
・サイクロン差圧およびガス乾燥流速
であった。
【0264】
表37は、スプレー乾燥工程パラメーター/基準、設定/範囲、および標的指針を定義する。
【表37】
【0265】
材料
用いた全ての賦形剤および処理溶媒は、表36および33に示す通り、ヨーロッパ薬局方、日本薬局方またはUSP/NFの現行の一般薬承認基準(monograph)に適合した。全ての賦形剤および処理溶媒は、適当な供給者から購入した。製造業者の分析証明を受領し、全ての受けとった材料を試験することができる。
【表38】
【0266】
製造の変法
分散体について最適化された製造法2を用いた。この分散体は、製造法1よりも大きな粒子サイズおよびバルク密度を有し、必要に応じて、粉末流動性を増大させ、高速錠剤圧縮で直接圧縮した。スプレー乾燥パラメーターを、そのような粉末を製造するために変えた。変法はまた、該処理を厳密化(tighten)し、そして可能性のある逸脱(deviation)を避けるためにも作られた。
【0267】
実施例26
VX−950のスプレー乾燥分散体を、記載の通り、水を含む溶媒系を用いて製造した。該溶媒系は、塩化メチレンを75%;アセトンを24%;および、水を1%含んでいた(w/w/w)。該分散体は、VX−950を49.5%;HPMCAS−HGを49.5%;および、SLSを1%含んでいた(w/w/w)。出口温度、供給圧、サイクロン圧、コンデンサー設定温度、ノズルタイプ、固体充填、および溶液供給速度の様々な組合せを、スプレー乾燥処理において試験した。これらのパラメーター変化は、得られる分散体の特性(粒子サイズ(PS))、スパン、バルク密度、タップ密度、および残留溶媒レベルを変えた。
【0268】
実施例27
目的物および成功基準
低い残留溶媒レベルで、かつ標的粉末特性を有する乾燥分散体を製造する。成功基準には、許容される処理収率(>80%)を有すること、全ての標的医薬品が純度規格に合致すること、ならびに標的特性が物理的特性(粒子サイズおよびバルク密度)に関して特定される範囲内に一致することが含まれる。
【0269】
製剤組成および処理概要
2つの活性分散体製造法に関する製剤組成全体を、表39に記載する。
【表39】
【0270】
該方法の流れを下記に説明する:
A)溶液の製造およびスプレー乾燥機
1)塩化メチレンを、平衡溶媒タンク中に製造する。
2)DI水を第二混合反応機に充填する(表39を参照)。
3)適当量の塩化メチレン(表39を参照)を、メイン溶液反応機中に製造する。差圧セルにより、充填溶媒の正確な量を確認する。
4)VX−950薬剤物質を、メイン溶液反応機に充填する。総固体充填量は、15wt%である。サンプルを取り出し、目視検査により該薬物が溶解したことを確認する。
5)HPMCAS−HGを、メイン溶液反応機に充填する(表39を参照)。総固体充填量は、15wt%である。
6)上記量のアセトンを、該混合物反応機に添加する(表39を参照)。サンプルを取り出し、全ての固体が溶解されるかどうかを決定する。
7)SLSおよび水を、該メイン混合反応機に添加する。
8)スプレーシステムSK−MFP圧力ノズルを取り付け、平衡溶媒を用いて的確な噴霧化について試験する。
【0271】
B)スプレー乾燥機の作動
1)スプレー乾燥機を、適当な出口温度まで加熱する。
2)平衡溶媒を、全てのパラメーターが平衡化され、一定になるまで、スプレーする。
3)供給溶液のスプレー乾燥を、スプレー乾燥機が平衡化したとき開始する。
4)乾燥粒子を、サイクロンにより処理ガスから慣性的に分離し、ポリエチレンバックに集める。その後、該処理ガスをフィルター処理して微粒子を取り出し、凝縮して処理溶媒を除去する。
5)最初のサンプルを取り出し、粒子サイズ分布ならびにバルクおよびタップ密度を試験する。
a)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内であって、標的に近いとき、処理を継続し、そしてサンプルをサンプリングプランに沿って取り出す。
b)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内ではなく、標的に近くないとき、必要に応じて、処理を最適化する(例えば、下記の1個以上:出口温度、供給圧またはコンデンサー温度を変えることにより)。収集バッグを変え、合格基準外の粉末を別に集める。サンプルが本明細書の範囲内であるとき、現パラメーターでの処理を開始する。
【0272】
C)乾燥後処理
1)スプレー乾燥した分散体を、第2乾燥機に入れる。
2)全ての残留溶媒(塩化メチレン、アセトン、酢酸エチルおよびトルエン)が本明細書の記載以下になるまで、乾燥を継続する。
D)試験、出荷
1)この分散体のサンプルを、放出試験について試験する。
【0273】
装置
機械的スターラーおよび熱回路を備える8000L大規模反応機を、最初の溶液の混合に用いる。反応機(R32)をSLSと水の混合に用いる。大規模スプレー乾燥機(Niro Pharmaceutical Spray Dryer FSD12.5CC)を、通常の並流スプレー乾燥モードで用いる。圧力ノズルシステム(Spraying Systems Maximum Free Passage SK−MFPシリーズ類、オリフィス48−54、コア21)を用いる。溶媒−互換性/抵抗性ガスケットを有する高性能圧力ポンプは、スプレー乾燥容器中にアトマイザーを通して供給溶液を注入する。慣性的サイクロンにより、処理ガスから生成物を分離し、溶媒を蒸発させる。次いで、フィルターバックに、サイクロンにより分離されなかった微粒子を集める。得られたガスを凝縮して処理溶媒を取り出し、ヒーターおよびスプレー乾燥機に再利用する(密閉サイクル)。
【0274】
得られた生成物を、残留溶媒の乾燥のためにバイコニカル真空乾燥機(S901)に移す。乾燥生成物を、窒素スイープによりグローブボックス内に篩過し、パッケージングする。
【0275】
重要な処理コントロールおよびパラメーター
重要な処理コントロールおよびパラメーターは、スプレー乾燥およびバイコニカル乾燥処理の両方に必要である。一次処理コントロールおよびパラメーターは、予備研究バッチを用いて同定されている。
【0276】
実行時間全体で測定および記録される必要のあるスプレー乾燥工程に重要な処理コントロールおよびパラメーターは、下記:
・アトマイザー/設置したノズル
・供給圧
・入口温度
・コンデンサー温度設定
である。
【0277】
実行時間全体で測定および記録される必要のあるスプレー乾燥処理の重要な処理基準は、下記:
・溶液供給速度
・出口温度
・サイクロン差圧およびガス乾燥流速
である。
【0278】
表40は、スプレー乾燥処理パラメーター/基準、設定/範囲、および標的指針を定義する。
【表40】
【0279】
材料
用いた全ての賦形剤および処理溶媒は、ヨーロッパ薬局方、日本薬局方またはUSP/NFの現行の一般薬承認基準(monograph)に適合する。全ての賦形剤および処理溶媒は、適当な供給者から購入する。製造業者の分析証明を受領し、全ての受容した材料を試験する。
【表41】
【0280】
製造の変法
10%または30wt%溶液を該製造法で用いる。また、該溶液製造法を変えることができる。いくつかのバッチにおいて、SLS/DI水混合物を、メイン溶液反応機に最後に添加する。該スプレー乾燥機の入口温度をモニターするが、いくつかの製造においては、範囲または標的は定義されていない。減少した処理中サンプリングが指示される。充填前に該ポリマーのKF試験を行うことができる。
【0281】
他の態様
本発明の多くの態様および実施例が記載されているが、これらの態様および実施例は、本発明の製剤および薬剤レジメンを利用するさらなる態様および実施例を提供するために改変されてもよいことは明白である。故に、本発明の範囲は、上記の実施例として示されている特定の態様というよりむしろ、添付の特許請求の範囲により定義されるべきであることは、理解され得る。
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、基本的に、C型肝炎ウイルス(“HCV”)の、テラプレビル(TVR、TまたはVX−950)、HCVプロテアーゼの経口阻害剤、およびペグ化インターフェロンα−2a(peg−IFNまたはP)ならびに/またはリバビリン(RBVまたはR)を用いる処置のための併用療法に関する。本発明は、HCVに感染した線維性架橋形成(bridging fibrosis)を有する患者の、併用治療剤を用いる処置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
HCVによる感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)]。米国だけでも400万名近くが感染している可能性がある[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994);M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)]。
【0003】
HCVへの最初の暴露により、感染した個体の約20%のみが臨床的急性肝炎を発症し、その他は自然に感染を解消すると考えられる。しかしながら、症例の約70%において、該ウイルスは、数十年にわたって続く慢性感染を確立する[S. Iwarson, “The Natural Course of Chronic Hepatitis,” FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 201−204 (1994); D. Lavanchy, “Global Surveillance and Control of Hepatitis C,” J. Viral He, 6, pp. 35−47 (1999)]。このことは、通常、肝炎の再発および漸進的悪化をもたらし、しばしば、肝硬変および肝細胞癌のようなより重度の疾患状態に至る[M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211−220 (1994); I. Saito et al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547−6549 (1990)]。残念なことに、慢性HCV感染症の進行を遅らせるのに広く有効な処置は存在しない。
【0004】
HCVゲノムは、アミノ酸3010−3033のポリタンパク質をコードする[Q.L. Choo, et al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patiants with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990); A. Takamizawa et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる[R. Bartenschlager et al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993); A. Grakoui et al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993); A. Grakoui et al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993); L. Tomei et al., “NS3 is a serine protease required for processing of Hepatitis C Virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)]。
【0005】
HCV NS タンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染力に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染力を低減することが知られている[Chambers, T.J. et al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From yellow Fever Virus is a Serine Protease” Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を合成するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)]。
【0006】
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれと関係する補因子NS4Aは、全てのウイルス酵素プロセシングを補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。このプロセシングはまた、ウイルス酵素プロセシングに関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるものと同様のようである。ウイルスタンパク質プロセシングを阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を阻止することは、結果として治療的有効剤であることを示す。結果として、HCV NS3 セリンプロテアーゼはまた、創薬の魅力的な標的でもある。
【0007】
最近まで、HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみであった。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し[M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)]、長期寛解は症例の一部のみ(〜25%)である[O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)]。最近のペグ化インターフェロン(PEG−イントロン(登録商標)およびPEGASYS(登録商標))ならびにリバビリンとペグ化インターフェロン(REBETROL(登録商標))の併用療法の導入は、寛解率のわずかな改善と副作用の部分的な減少をもたらしただけであった。さらに、有効な抗HCVワクチンの展望は不確かなままである。
【0008】
これまでの前向き臨床試験は、異なる人種および民族グループ由来の未処置対象間でのHCV治療に対するより低い応答率を報告している。ペグ化インターフェロンαおよびリバビリンで処置した遺伝子型1型HCV感染を有する黒人は、19%ないし28%の率の持続性ウイルス応答(SVR)を達成した。peg−IFNα−2aおよびRBVで処置したラテン系のうち、白人の49%と比較して34%がSVRを達成した。
【0009】
これまでの前向き臨床試験では、進行性線維症を有する患者において、HCV感染治療に対して低い応答率であることが報告されていた。慢性C型肝炎に対するペグ化IFN α/RBV治療の3つの主試験において、SVRは、線維症のより軽度のステージの患者と比較して線維性架橋形成または肝硬変を有する患者で約10−15%低かった。
【0010】
故に、より有効な抗HCV治療剤の必要性がある。かかる阻害剤は、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤、より具体的にはHCV NS3 プロテアーゼ阻害剤として治療可能性を有し得る。具体的に、かかる化合物は、抗ウイルス剤、特に抗HCV剤として有用であり得る。
【0011】
次に示す構造を有するHCV阻害剤であるVX−950が、そのような必要とされる化合物である。VX−950は、PCT公開番号WO02/18369(その内容全体は、引用により本明細書中に包含される)に記載される。
【化1】
【0012】
強力な、かつ特異的なNS3−4Aプロテアーゼ阻害剤であるVX−950は、HCV遺伝子型1型に感染した対象のフェーズ1b臨床試験において実質的な抗ウイルス活性を実証した(Study VX04−950−101)。対象が処置に応答する程度およびウイルスリバウンドが観察される割合は、一部は、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性の遺伝子型による相違に依存し得る。HCVの高速複製は、そのポリメラーゼの不正確さと共に、そのゲノム全体に変異の蓄積をもたらす[P. Simmonds, “Genetic diversity and evolution of hepatitis C virus − 15 years on,” J. Gen. Virol., 85, pp. 3173−88 (2004)]。プロテアーゼ領域中の配列変化が酵素の触媒効率または阻害剤の結合に影響する程度は、知られていない。さらに、顕著な配列変化を有する多数のウイルスゲノムの発生は、抗ウイルス治療剤で処置した対象における薬剤耐性ウイルス出現の潜在的な問題を提起する。実際に、HIVプロテアーゼ阻害剤のような抗ウイルス剤に対する薬剤耐性は詳しく報告されている[Johnson et al., Top. HIV Med., 12, pp. 119−24 (2004)]。薬剤耐性変異は、HCVプロテアーゼ阻害剤の存在下、インビトロでの発生が既に示されている[Lin et al., “In vitro studies of cross−resistance mutations against two hepatitis C virus serine protease inhibitors, VX−950 and BILN 2061” J. Biol. Chem., 280, pp. 36784−36791 (2005)(引用によりその全体を本明細書中に包含させる); Lin et al., “In vitro resistance studies of hepatitis C virus serine protease inhibitors, VX−950 and BILN 2061: Structural analysis indicates different resistance mechanisms,” J. Biol. Chem., 279, pp. 17508−17514 (2004)(引用によりその全体を本明細書中に包含させる); Lu et al., Antimicrob. Agents Chemother., 48, pp. 2260−6 (2004); Trozzi et al., “In viero selection and characterization of hepatitis C virus serine protease variants resistant to an active−site peptide inhibitor” J. Virol. 77, pp. 3669−79 (2003)]。プロテアーゼ阻害剤BILN 2061に対する耐性の変異は、NS3遺伝子中、R155Q、A156TおよびD168V/A/Y部位に見出されているが、NS4領域中またはプロテアーゼ切断部位中には変異は発見されていない。VX−950耐性変異はまた、インビトロでA156S部位にも見出されている。VX−950およびBILN 2061の両方に対する交差耐性変異もまた、インビトロで156部位(A156V/T)に起こることが示されている(Lin et al., 2005, 上記)。
【0013】
VX−950の投与レジメンは、PCT公開番号WO2006/050250およびWO2008/144072(引用によりそれらの内容全体を本明細書中に包含させる)に記載される。
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本発明は、HCVの、テラプレビル、HCVプロテアーゼの経口阻害剤、およびペグ化インターフェロンα−2aならびに/またはリバビリンでの処置のための併用治療剤に関する。本発明は、HCVに感染した線維性架橋形成を有する患者の当該併用治療剤を用いる処置に関する。
【0015】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する、治療レジメンを提供する。
【0016】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する、治療レジメンを提供する。
【0017】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンであって、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する、治療レジメンを提供する。
【0018】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階(36週未満または約36週間の期間)に投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0020】
本発明は、ウイルス再燃(viral breakthrough)を低減するのに必要なテラプレビルおよびペグ化インターフェロンα−2aの投与量レベルを決定するのに有用な診断方法を含む。該方法は、テラプレビルおよびインターフェロンを治療の初めの12週間で投与される患者においてインターフェロンの血中濃度をモニターすること;および、インターフェロンの測定した血中濃度に基づき、インターフェロンの投与量を増加するかどうかを決定することを含む。一局面において、インターフェロンの血中濃度は、所定の所望のインターフェロンの血中濃度と比較され、それは、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上または20μg/mL以上であり得る。ある局面において、所定の所望のインターフェロンの血中濃度は、約5ないし約15μg/mLであり得る。
【0021】
本発明はまた、ウイルス再燃のリスクを低減するのに必要なテラプレビルおよびインターフェロンの投与量を決定する方法を含む。該方法は、テラプレビルの所望の用量を選択すること;および、ウイルス再燃のリスクを低減するインターフェロンの最小用量を決定することを含む。ウイルス再燃のリスクを低減するインターフェロンの最小用量の決定工程は、テラプレビルの用量と、テラプレビルおよびインターフェロンの濃度の関数としてのウイルス再燃の較正プロットとを比較することを含む。
【0022】
本発明はまた、ウイルス再燃のリスクを低減するのに必要なテラプレビルおよびインターフェロンの投与量を決定する方法を含む。該方法は、インターフェロンの所望の用量を選択すること;および、ウイルス再燃のリスクを低減するテラプレビルの最小用量を決定することを含む。ウイルス再燃のリスクを低減するテラプレビルの最小用量の決定工程は、インターフェロンの用量と、テラプレビルおよびインターフェロンの濃度の関数としてのウイルス再燃の較正プロットとを比較することを含む。
【0023】
Peg−IFNおよびRBVの現在のレジメンへのテラプレビルの添加は、臨床試験におけるSVR率の増大をもたらした。41%の患者が、48週間のPeg−IFN/RBV単独処置でSVRを達成し、TVRおよび48週間のPeg−IFN/RBVで67%(Peg−IFN/RBV単独に対してp=0.001)、TVRおよび24週間のPeg−IFN/RBVで61%(p=0.02)、そして12週間のTVRおよびPeg−IFN/RBVで35%がSVRを達成した。
【0024】
本発明者らは、テラプレビルに基づくレジメンが、線維性架橋形成を有する患者にて、Peg−IFNおよびRBV治療単独と比較して、改善されたウイルス応答をもたらすことを予期せず見出した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、人種によるPROVE1実験のSVRおよびRVR率を示す。
【図2】図2は、治療の初めの4週間の、PROVE1実験のウイルスダイナミクスを示す。(A)白人と比較して、ラテン系および黒人は、Peg−IFNα−2aおよびRBVで初期のウイルスダイナミクスが低減した。(B)TVRベースの処置において、初期のウイルスダイナミクスは、異なる人種/民族グループ間でより類似していた。
【図3】図3は、PROVE1実験における処置の最初の12週間の、平均ヘモグロビンレベルを示す。平均ヘモグロビンレベルは、PR(A)およびT/PR(B)レジメンにて処置時間とともに減少した。人種間で平均ヘモグロビンレベルの相違は見られなかった。AA=黒人;L=ラテン系;C=白人。
【図4】図4は、PROVE1実験における治療の最初の12週間の平均絶対好中球数を示す。平均絶対好中球数は、PR(A)およびT/PR(B)レジメンにて処置時間とともに減少した。人種間で平均絶対好中球数の相違は見られなかった。AA=黒人;L=ラテン系;C=白人。
【図5】図5は、PROVE1実験デザインを示す。
【図6】図6は、PROVE2実験デザインを示す。
【図7】図7は、PROVE2実験の第4週、第12週およびSVRでの検出不可能なHCV RNAを示す。結果を、両側フィッシャーの直接確率検定を用いて分析した。
【図8】図8は、割り当てられた処置の完了後24週のPROVE2再発率を示す。示したデータは、再発を有する患者数/ウイルス応答基準に対応する、割り当てられた処置期間の最後で検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有する患者数である。
【図9】図9は、RBVなしでT12/P12を受容するPROVE2患者の、第12週でのウイルス学的ブレークスルーを有する患者を示す。
【図10】図10は、T12/PR12およびT12/PR24を併用して受容するPROVE2患者の、第12週でのウイルス学的ブレークスルーを有する患者を示す。
【図11】図11は、PROVE2実験での割り当てられた処置期間中の平均ヘモグロビンレベルを示す。結果は、TVRベースの処置での好中球または血小板数への増加影響を示さない。
【図12】図12は、PROVE1実験のSVR率を示す。
【図13】図13は、人種および線維症の重症度によるSVR率を示す。
【図14】図14は、T/PR群の黒人の応答を示す。
【図15】図15は、指定された処置を完了した患者のSVR率を示す。
【図16】図16は、肝硬変の状態によるSVR率を示す(ITT分析)。
【図17】図17は、処置群および以前の応答によるRVR(第4週)で検出不可能なHCV RNAを示す(ITT)。
【図18】図18は、処置群による再発率を示す。
【図19】図19は、処置群による第4週から第24週までの累積的ウイルス再燃率を示す (ITT)。
【図20】図20は、PROVE1およびPROVE2実験における、線維性架橋形成を有する患者について収集したSVR率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳しい説明
VX−950またはその薬学的に許容される塩は、PCT公開番号WO02/018369およびWO2006/050250、ならびに2008年5月21日出願のPCT出願番号PCT/US2008/006572に記載され、次の構造式により示される:
【化2】
VX−950の他の記載を、PCT公開番号WO07/098270およびWO08/106151に見出し得る。
【0027】
VX−950は、ヒトにおいて単回用量で試験され、良好な耐容性があることが見出されている(実施例3)。有害事象の発生または程度は、VX−950用量と共に増加しなかった。重症(グレード3またはグレード4)であると見なされた有害事象はなかった。より一般的かつ重度の有害事象は、皮膚の有害事象(例えば、吹き出物および掻痒)、その後の消化器事象および貧血であった。血液学または臨床化学パラメーターについて、ベースライン測定値から臨床的に有意な変化はなかった。試験した対象は全て、身体検査、バイタルサイン、または心電図に臨床的に顕著な変化はなかった。
【0028】
本発明者らは、野生型HCVが、VX−950により10週間以内に根絶され得ることを発見した。HCVのVX−950耐性変異体(IC50の7−20倍の増大を有する)に関して、それらは、10−24週間のPeg−IFN/RBV投与レジメンの後処理により根絶され得る。
【0029】
VX−950への肝臓暴露を、統合した前臨床および臨床データを基に予測した。良好な耐容性が見込まれ、治療的有用性が生じる用量を決定するために、予測したヒト肝臓暴露をVX−950レプリコンアッセイおよび感染性ウイルスアッセイの結果と組合せた。予測した平均肝臓濃度値は、試験した用量範囲で、レプリコンアッセイIC90の57倍まで、レプリコンアッセイIC50の113倍までであった。
【0030】
試験中のC型肝炎プロテアーゼ阻害剤テラプレビルをペグ化インターフェロンおよびリバビリンを併用投与して評価する2つの大規模フェーズ2b臨床試験であるPROVE1およびPROVE2の中間分析の結果が本明細書に記載されている。24週間のテラプレビルベースの処置レジメンにおいて、遺伝子型1型の未処置のHCV患者が、PROVE1(SVR12およびSVR24)およびPROVE2(SVR12)にてそれぞれ、61%および65%の持続的ウイルス応答を達成した。さらに、臨床研究者らは、迅速なウイルス応答(RVR)を達成することと、24週間のテラプレビルベースのレジメンにおいてSVRを達成することとの相関関係を報告した。
【0031】
PROVE1およびPROVE2によるテラプレビル安全性の中間分析は、処置の割り当てにかかわらず、疲労、発疹、頭痛および悪心などの最も一般的な有害事象を含み、事前の分析と一致する。消化器障害、皮膚有害事象(発疹、掻痒)および貧血は、投与期間中の対照群と比較して、テラプレビル群において、より高かった。
【0032】
PROVE実験からのSVRデータは、現在利用可能な治療での48週の処置レジメンを受ける遺伝子型1型C型肝炎を有するヒトのおよそ40%ないし50%が、持続的ウイルス応答(SVR)を達成することが期待される。フェーズ2実験において、24週のテラプレビルベースのレジメンは、遺伝子型1型のC型肝炎を有する患者において60%以上のSVRをもたらす。
【0033】
本明細書で用いる“肝線維症”は、肝臓の瘢痕化、または慢性肝臓疾患の多くのタイプに生じるコラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質の過剰な蓄積である。“線維性架橋形成”は、肝臓の小葉ゾーンを超えた瘢痕化であり、“ステージ3の線維症”とも称される。
【0034】
本明細書で用いる“持続的ウイルス応答”または“SVR”は、投与完了後にウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。“SVR12”は、投与完了後12週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。“SVR24”は、投与完了後24週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。
【0035】
本明細書で用いる用語“未処理”および“未処置”は、C型肝炎の如何なる前処置も受けていない患者を意味する。
【0036】
本明細書で用いる“P/R非応答患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置に対して持続的ウイルス応答(SVR) (処置の完了後24週間、HCV RNAの検出不能)を達成しないか、または該応答を維持しない患者、ならびに応答がなかった患者を含む。応答の欠如は、HCVウイルスの検出不可能なレベルを達成し得ないか、または処置の中断後の再発等、ベースラインから<2−log10のHCV RNAの低下として定義される。上記の通り、HCV RNAの検出不能は、HCV RNAが、現在商業的に利用可能なアッセイ、例えばRoche COBAS TaqMan(商標) HCV/HPS アッセイにより決定される10IU/mL未満で存在することを意味する。例えば、“P/R非応答患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置に対して“第4週で全く応答しない患者”、“第12週で全く応答しない患者”、“第24週で全く応答しない患者”、“第26週ないし第48週で全く応答しない患者”、“部分的応答患者”、“ウイルス再燃した患者”および“再発した患者”を含む。“第4週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第4週でのHCV RNAの<1−log10の低下(HCV RNAのベースラインからの≧1−log10の低下を有さない)と定義される。“第12週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第12週でのHCV RNAの<2−log10の低下(第12週で、早期のウイルス応答(EVR)を達成せず、HCV RNAのベースラインからの≧2−log10の低下を有さない)と定義される。“第24週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第24週で、HCV RNAが検出可能であった対象であると定義する。“第26週ないし第48週で全く応答しない患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第26週ないし第48週で、HCV RNAが検出可能であった対象であると定義する。“部分的応答患者”は、標準的peg−IFNおよびRBV処置の第12週での≧2−log10の低下を示すが、該処置の第24週でHCV RNAが検出可能であった対象であると定義する。“ウイルス再燃した患者”は、peg−IFNおよびRBV処置中に検出不可能なHCV−RNAを達成した後、HCV−RNAが検出可能であった対象と定義する。ウイルス再燃は、i)処置中に記録された最低の値と比較してHCV RNA値の>1−log10の増加、またはii)前の時点でHCV RNAを検出不可能であった患者での>100IU/mLのHCV RNAレベル、と定義される。ウイルス再燃した患者の特定の例には、第4週ないし第24週でウイルス再燃を有する患者が含まれる。“再発した患者”は、peg−IFNおよびRBV処置(前回の処置)の完了時(概して、最後の投薬後6週または6週以下)に検出不可能なHCV RNAを有するが、その後に(例えば、処置後24週以内に)再発した患者である。再発した患者は、48週のpeg−IFNおよびRBV処置後に再発し得る。
【0037】
本発明によれば、“ラテン系”は、もともと中南米のいずれかの人々またはスペイン語を話す子孫のいずれかに起源を有する人々を意味する。
【0038】
本発明によれば、“黒人”は、サハラ以南のアフリカの祖先を元々の祖先として有する人々を意味する。
【0039】
患者は通常、“人種”によって自己認識されるか、または彼らの身体特性を基に医者により確認され、ならびに/または出生国が人種を決定する。
【0040】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者にペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンを提供する。
一態様において、本発明は、肝硬変を有する患者にペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0041】
いくつかの態様において、VX−950は、約500mgないし約1500mg投与される。いくつかの態様において、VX−950は、750mgを1日3回投与される。いくつかの態様において、VX−950は、8時間毎に投与される。他の態様において、VX−950は、1125mgを1日2回投与される。いくつかの態様において、VX−950は12時間毎に投与される。
【0042】
いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンは、インターフェロンαである。いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンは、インターフェロンα2aである。いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンα2aは、1週間当たり180μg投与される。他の態様において、ペグ化インターフェロンは、インターフェロンα2bである。いくつかの態様において、ペグ化インターフェロンα2bは、1週間当たり体重1kg当たり1.5mg投与される。
【0043】
いくつかの態様において、リバビリンは、1日当たり1000ないし1200mg投与される。
【0044】
いくつかの態様において、患者の少なくとも65%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも75%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも80%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも85%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0045】
いくつかの態様において、患者の少なくとも80%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも84%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも90%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも93%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0046】
いくつかの態様において、患者の少なくとも40%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも50%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも60%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも70%が、投与完了後12週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0047】
いくつかの態様において、患者の少なくとも40%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも50%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも60%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。いくつかの態様において、患者の少なくとも70%が、投与完了後24週間、検出不可能なHCV RNAレベルを有する。
【0048】
上記の態様のいくつかにおいて、患者は、未処置患者である。他の態様において、患者は、P/R非応答患者である。
【0049】
上記の態様のいくつかにおいて、ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンおよびリバビリンを、第一段階後の第二段階に投与する。
【0050】
いくつかの態様において、第二段階は、36週未満または約36週間の期間である。いくつかの態様において、第一段階は24週未満の期間である。いくつかの態様において、第一段階は、約12週間である。いくつかの態様において、第二段階は、24週未満の期間である。いくつかの態様において、第二段階は、約12週間である。
【0051】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0052】
いくつかの態様において、本発明は、持続的ウイルス応答を達成する治療レジメンを提供する。
【0053】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を投与することを含む治療レジメンであって、ここで、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する治療レジメンを提供する。
【0054】
一態様において、本発明は、患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンであって、VX−950を8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aを1週間当たり180μg、そしてリバビリンを1日当たり1000ないし1200mg投与する治療レジメンを提供する。
【0055】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0056】
いくつかの態様において、VX−950は8時間毎に750mg、ペグ化インターフェロンα−2aは1週間当たり180μg、そしてリバビリンは1日当たり1000ないし1200mg投与される。
【0057】
一態様において、本発明は、線維性架橋形成を有する患者に、ペグ化インターフェロンα−2a、リバビリンおよびVX−950を第一段階に、そしてペグ化インターフェロンα−2aおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に(36週未満または約36週間の期間)投与することを含む治療レジメンを提供する。
【0058】
ある態様において、本発明の治療レジメンは、遺伝子型1型C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置を含む。遺伝子型1型HCV感染は、アメリカ合衆国において、処置の最も困難なHCV株であり、最も蔓延している株である。
【0059】
ある態様において、VX−950は、1日に、8時間毎に約450mgまたは約750mgか、または12時間毎に約1250mg投与される。
【0060】
本発明の別の局面は、HCV陽性またはHCV陰性のどちらかである患者において、肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群の1種以上を処置または予防するための方法を提供する。
【0061】
HCV陽性または陰性のどちらかである患者における、肝臓保護(hepatoprotection)のための方法もまた、本発明の範囲内である。
【0062】
本発明によるVX−950の量は、単一投与形態または2以上の投与形態で投与される。分割投与形態であるとき、各投与形態は、ほぼ同時に投与される。誤解を避けるために、1日2回以上の投与を求める投与レジメンについては、1個以上の丸剤または用量を、1日当たり各回で投与し得る(例えば、1個の丸剤を1日3回、または3個の丸剤を1日3回)。本発明の最も好ましい態様は、1回の投与につき少なくとも2個の丸剤を用い得る。
【0063】
当業者に実施可能なように、本発明の方法が患者の予防的処置に用いられ、その患者がC型肝炎ウイルスに感染するとき、該方法は、その後感染を処置し得る。故に、本発明の一態様は、患者におけるC型肝炎感染の処置または予防方法を提供する。
【0064】
C型肝炎に感染した患者の処置に加えて、本発明の方法は、C型肝炎の感染から患者を予防するために用いられ得る。従って、本発明の一態様は、本発明の組成物または投与形態を患者に投与することを含む、患者におけるC型肝炎ウイルス感染の予防方法を提供する。
【0065】
本発明の方法はまた、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの阻害剤(VX−950以外);HCV生活環の別の標的の阻害剤(NS3/4Aプロテアーゼ以外);内部リボソーム侵入の阻害剤、広域的ウイルス阻害剤;または、シトクロムP−450阻害剤;または、それらの組み合わせ、から選択されるさらなる薬剤を含む別の成分の投与を含み得る。さらなる薬剤はまた、ウイルスの細胞侵入の阻害剤からも選択される。
【0066】
従って、別の態様において、本発明は、VX−950および別の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与することを含む方法を提供する。そのような抗ウイルス剤には、α−、β−、およびγ−インターフェロンまたはチモシン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびチモシンのような免疫調節剤;リバビリン、アマンタジン、およびテルビブジンのような他の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リポソーム侵入の阻害剤;IMPDH阻害剤のような広域的ウイルス阻害剤(例えば、VX−497、VX−148、およびVX−944を含むが、それらに限定されない、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号および同第6,054,472号ならびにPCT公報WO97/40028、WO98/40381およびWO00/56331に記載の化合物;ならびにミコフェノール酸およびその誘導体);または、上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0067】
本発明の化合物と併用され得る他の薬剤(例えば、非免疫調節または免疫調節化合物)には、引用により本明細書中に包含されるWO02/18369(例えば、273頁、9−22行目、および274頁、4行目から276頁、11行目、本開示は、引用により明確に本明細書中に包含される)に記載されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0068】
種々の公開された米国特許出願に記載されるさらに他の薬剤が包含される。これらの刊行物は、本発明の方法、特に肝炎の処置方法においてVX−950と併用され得る化合物および方法のさらなる教示を提供する。そのような方法および組成物は全て、本発明の方法および組成物と併用され得ると考えられる。簡単には、それらの刊行物の開示内容は、公開番号を引用することにより言及されるが、化合物の開示が、特に、引用により本明細書中に明確に包含されることが、特記されるべきである。そのような刊行物の例には、米国特許公開番号:US20040058982、US20050192212、US20050080005、US20050062522、US20050020503、US20040229818、US20040229817、US20040224900、US20040186125、US20040171626、US20040110747、US20040072788、US20040067901、US20030191067、US20030187018、US20030186895、US20030181363、US20020147160、US20040082574、US20050192212、US20050187192、US20050187165、US20050049220、およびUS20050222236が含まれる。
【0069】
さらなる他の薬剤には、Human Genome Sciencesから市販されるアルブフェロン(商標)(アルブミン−インターフェロンα);PEG−イントロン(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);イントロン−A(登録商標)(VIRAFERON(登録商標)、インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから市販される;the Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載される);REBETROL(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);コーペガス(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJ);ペガシス(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);ロフェロン(登録商標)(組換えインターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);BEREFOR(登録商標)(インターフェロンα2、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから市販される);スミフェロン(登録商標)(スミフェロンのような、精製物と天然のαインターフェロンの混合物、住友製薬、日本から市販される);ウェルフェロン(登録商標)(インターフェロン α n1、Glaxo Wellcome Ltd., Great Britainから市販される);アルフェロン(登録商標)(Interferon Sciencesにより製造される天然αインターフェロンの混合物、およびPurdue Frederick Co., CTから市販される);α−インターフェロン;天然αインターフェロン 2a;天然αインターフェロン 2b;ペグ化αインターフェロン 2aまたは2b;コンセンサスαインターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CA);レベトロン(登録商標)(Schering Plough、インターフェロン−α 2B+リバビリン);ペグ化インターフェロンα(Reddy, K.R. et al. “Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd) Interferon alpha−2a Compared with Interferon alpha−2a in Noncirrhotic Patients with Chronic Hepatitis C”(Hepatology, 33, pp. 433−438 (2001);コンセンサスインターフェロン(インファゲン(登録商標))(Kao, J.H., et al., “Efficacy of Consensus Interferon in the Treatment of Chronic Hepatitis” J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418−1423 (2000);リンパ芽球様または“天然”インターフェロン;インターフェロン tau(Clayette, P. et al., “IFN−tau, A New Interferon Type I with Antiretroviral activity” Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553−559 (1999);インターロイキン−2(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−6(Davis et al. “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−12(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C." Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);および、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物(Davis et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999))が含まれるが、それらに限定されない。また、二本鎖RNA単独、またはトブラマイシンおよびイミキモド(3M Pharmaceuticals;Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))との組み合わせを含むが、これらに限定されない、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)も含まれる。また、WO02/18369、とりわけ272頁、15行目から273頁、8行目を参照のこと(この開示内容は、引用により本明細書中に明確に包含される)。
【0070】
当業者に認められる通り、VX−950は好ましくは経口投与される。インターフェロンは、通常、経口投与されないが、経口投与形態が開発されている。それにもかかわらず、本明細書中、本発明の方法または組み合わせを、何らかの特定の投与形態またはレジメンに限定すべきではない。従って、本発明の組み合わせの各成分は、個別に、共に、またはその何れかの組み合わせで投与され得る。当業者に認められる通り、インターフェロンの投与量は、一般的に、IUで特定される(例えば、約400万IUないし約1200万IU)。インターフェロンはまた、マイクログラム単位で投与され得る。例えば、Peg−イントロンの標準的用量は、1.0−1.5μg/kg/週であり、ペガシスのそれは、180μg/週である。
【0071】
ある局面において、該方法は、第一段階および第二段階の2期間中の薬剤投与を含む。例えば、第一段階は、約12週間または24週間未満の期間であり、第二段階は、約12週間より長いか、または約12週間であってよく、例えば第二段階は、約12−36週間であり得る。ある態様において、第二段階は12週間である。さらに他の態様において、第二段階は36週間である。ある態様において、第一および第二段階の期間の和は、約24週間ないし48週間(例えば、24、36または48週間)である。ある態様において、第一段階および第二段階は、期間が同一であり得る。
【0072】
VX−950は、第一段階、第二段階、または両段階のいずれかで投与され得る。ある態様において、VX−950は第一段階でのみ投与される。VX−950が、第一段階でのみ投与されるとき、VX−950は、単独でか、または他の薬剤と組み合わせて投与されてよく、1個以上の薬剤が第二段階で投与される。他の薬剤は、1個以上の抗ウイルス剤、1個以上の本明細書に記載の他の薬剤、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様において、第一段階および第二段階で投与される特定の薬剤は、同一である。
【0073】
ある態様において、該方法は、12週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の12週間のペグ化インターフェロンα−2a(Peg−IFN)およびリバビリン(RBV)の併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の24週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の36週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0074】
さらに他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の12週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の24週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の36週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0075】
さらに他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の12週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の24週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、12週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の36週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0076】
ある態様において、上記の第一段階の何れかは約12週間行われ、第二段階は約12週間行われ得る。あるいは、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約24週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約36週間行われ得る。
【0077】
ある態様において、上記の第一段階の何れかは約8週間行われ、第二段階は約16週間行われ得る。あるいは、第一段階は約8週間行われ、第二段階は約28週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階は約8週間行われ、第二段階は約40週間行われ得る。
【0078】
ある態様において、該方法は、48週間未満の、VX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満の、VX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。
【0079】
ある態様において、該方法は、48週間未満の、VX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満の、VX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。
【0080】
モデル化データはまた、V36A/M、T54A、R155K/T、A156S A156V/T、V36A/M−R155K/T、およびV36A/M−A156V/TのようなVX−950耐性変異体は、主に、VX−950処置後の、約10−24週間(または、8−26週間)のPEG−IFNおよびリバビリンの投与により根絶し得ることを示す。任意のこれらのレジメンは、24−48週間続く現在の標準的ケア処置レジメンにおいて、処置期間の減少を意味する。
【0081】
ある態様において、本発明の方法は、第4週のRVRおよび第12週の検出不可能な状態を達成し得る。
【0082】
従って、本発明はまた、VX−950とインターフェロンの併用投与法を提供する。ある態様において、インターフェロンを、約10週間(もしくは、10週間)、約12週間(もしくは、12週間)、約14週間(もしくは、14週間)投与する。リバビリンはまた、レジメン全体を含むが、それに限定されない該レジメンの全部または一部で所望により投与されてよい。
【0083】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0084】
一態様において、本発明の方法は、約12±4週間(例えば、8、12または16週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0085】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0086】
一態様において、本発明は、約24±4週間(例えば、20、24または28週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0087】
誤解を避けるために、本発明は、約8週間(または、8週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約16週間(または、16週間)のインターフェロンの投与を伴う合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンを含むが、これに限定されないことが理解されるべきである。また、約12週間(または、12週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約12週間(または、12週間)のインターフェロンの投与を含む合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンも提供する。かかるレジメンは、所望により、約24週間(または、24週間)のレジメン全体を含むが、これに限定されないレジメンの全部または一部でのリバビリンの投与を提供する。
【0088】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0089】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約12週間(または、12週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0090】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約36週間(または、36週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0091】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約24週間(または、24週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0092】
ある態様において、該方法は、VX−950(1250mg)の負荷用量、その後の750mg、8時間毎のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの組み合わせを提供することを含む。
【0093】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ(“CYP”)阻害剤は、本発明に関連して用いられ得る。CYP阻害剤には、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれるが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
【0094】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、公知である(米国特許番号第6,037,157号、およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403−407 (1993)を参照)。VX−950およびCYP阻害剤の対象への併用投与の影響を評価するための方法もまた、公知である(US2004/0028755)。かかる方法は全て、組み合わせの薬物動態学的影響を決定するために本発明に関連して用いられ得る。
【0095】
本発明の一態様は、CYP3A4およびVX−950の阻害剤の投与方法を提供する。
【0096】
本明細書に記載の方法は、a)VX−950および別の薬剤の組み合わせ;または、b)2個以上の投与形態のVX−950、を投与または併用投与することを含み得る。併用投与は、同一の投与形態または異なる投与形態で各阻害剤を投与することを包含する。異なる投与形態で投与されるとき、該阻害剤は、ほぼ同時または他の投与形態の投与中のいずれかの時間を含む、異なる時間に投与され得る。分割投与形態は、何れかの順序で投与され得る。すなわち、全ての投与形態は、他の投与形態の前に、共に、またはその後に投与され得る。
【0097】
VX−950および何れかのさらなる薬剤を、分割投与形態で製剤することができる。あるいは、患者に投与すべき投与形態の数を減らすために、VX−950および何れかのさらなる薬剤を、何れかの組み合わせで共製剤できる。全ての分割投与形態は、同時に、または異なる時間に投与され得る。投与形態は、その生物学的効果が有利になるように時間内に投与されるべきであることが理解されるべきである。
【0098】
本発明のレジメンおよび投与形態によれば、VX−950は、サンプルまたは患者内のウイルス量(該ウイルスは、ウイルス生活環に必須のNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードする)を減少するのに有効な量(または、本発明の方法を実行するのに有効な量)で、薬学的に許容される担体と共に存在する。あるいは、本発明の組成物には、本明細書に記載のさらなる薬剤が包含される。各成分は、個々の組成物、組合せ組成物、または単一組成物中に存在し得る。
【0099】
化合物の薬学的に許容される塩を、これらの組成物に用いるとき、それらの塩類は、好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。そのような酸性塩類には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphor sulfonate)、シクロペンタン−プロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基性塩類には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンのようなアミノ酸との塩などが含まれる。
【0100】
また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、プロピルおよびブチルのような低級ハロゲン化アルキル;硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジブチルおよび硫化ジアミルのような硫化ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルのような長鎖ハロゲン化物;ベンジルおよびフェネチル臭化物のようなハロゲン化アラルキルなどのような物質によって四級化され得る。それにより、水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0101】
本発明の組成物および方法に利用される化合物はまた、選択的生物学的特性を高めるのに適当な機能性を付加することにより修飾され得る。そのような修飾は、当技術分野で公知であり、所定の生物系(例えば、血液系、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加し、経口アベイラビリティーを増大し、注射による投与を可能にするための溶解性を増加し、代謝を変化させ、排泄速度を変化させることが含まれる。
【0102】
これらの組成物に用いられ得る薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸のような部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂のような塩類または電解質が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
好ましい態様によれば、本発明の組成物を、哺乳動物、特にヒトに薬剤投与するために製剤する。
【0104】
VX−950の製剤は、PCT公開番号WO05/123076、WO07/109604およびWO07/109605(引用によりその内容を本明細書に包含させる)に記載される。
【0105】
かかる本発明の医薬組成物(ならびに、本発明の方法において使用するための組成物、組み合わせ、キットおよびパッケージ)を、経口、非経腸、舌下、吸入スプレーにより、局所、経直腸、経鼻、口腔、経膣、または埋め込みリザーバー(implanted reservoir)により投与することができる。本明細書で用いる用語“非経腸”には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、該組成物を、経口または静脈内投与する。より好ましくは、該組成物を経口投与する。
【0106】
本発明の組成物の滅菌注射剤は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当技術分野で公知の技術により製剤され得る。該滅菌注射製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液であり得る。用い得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液および生理食塩水である。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁化媒体として都合よく用いられる。この目的に関して、合成モノまたはジグリセリドを含む、何れかの無菌性の不揮発性油を用い得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、注射剤の製造において、オリーブ油またはヒマシ油のような、とりわけそれらのポリオキシエチル化型で天然の薬学的に許容される油として有用である。これらの油溶液または油懸濁液にはまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の剤形において通常用いられる、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤が含まれ得る。他の通常用いられる、トゥイーン系、スパン系(Span)および他の乳化剤のような界面活性剤、または薬学的に許容される固体、液体もしくは他の投与形態の剤形に通常用いられるバイオアベイラビリティの増強剤はまた、製剤目的にも使用され得る。
【0107】
VX−950およびさらなる薬剤を含む本発明の組成物において、VX−950および該さらなる薬剤は、約10ないし100%の投与量レベルで存在すべきであり、より好ましくは、単剤療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10ないし80%で存在すべきである。
【0108】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、粒剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない何れかの経口的に許容される投与形態で経口投与され得る。経口用錠剤の場合において、通常用いられる担体には、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤もまた、一般的に添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液が経口使用に必要とされるとき、活性成分を、乳化剤および懸濁化剤と併用する。要すれば、何らかの甘味剤、香味剤または着色剤を添加することもできる。許容される液体投与形態には、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。
【0109】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用に坐剤の形態で投与され得る。これらは、該薬剤と、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、故に直腸で融解して薬剤を放出し得る、適当な無刺激性賦形剤を混合することにより製造できる。そのような物質には、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0110】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ処置の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む、局所適用により到達しやすい領域または臓器を含むとき、局所投与され得る。適当な局所用製剤は、これらの領域または臓器のそれぞれ用に容易に製造される。
【0111】
当技術分野で認識される通り、医薬組成物はまた、リポソーム形態でも投与され得る。
【0112】
本発明者らは、VX−950が、経口投与可能であることを証明した。従って、本発明の好ましい医薬組成物は、経口投与用に製剤される。
【0113】
CYP阻害剤に関して、1日当たり、体重1kg当たり約0.001ないし約200mgの投与量レベルが典型的であり得る。より典型的には、1日当たり約0.1ないし約50mg/kg、または約1.1ないし約25mg/kgの間の投与量レベルであり得る。
【0114】
リトナビルの好ましい投与形態に関しては、米国特許第6,037,157号、およびそこに引用される文献:米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号、およびPCT公開番号WO95/07696およびWO95/09614を参照のこと。
【0115】
本発明に関係する投与を、長期または短期療法として用い得る。単一投与形態を製造するために担体物質と併用され得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法によって変わり得る。典型的な製剤は、約5%ないし約95%の活性化合物(w/w)を含み得る。好ましくは、かかる製剤は、約20%ないし約80%の活性化合物を含む。
【0116】
患者の状態の改善により、必要ならば、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量が投与され得る。次いで、投与の量あるいは頻度、または両方を、その症状の関数として、症状が所望のレベルに軽減され、処置を終えるべきときに、改善された状態が維持されるレベルに減らし得る。しかしながら、患者は、何らかの疾患症状の再発により長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0117】
何れかの特定の患者に対する特定の投与量および処置レジメンが、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、混合薬、担当医の判断、および処置すべき特定の疾患の重症度、これまでの治療歴、共存疾患または併用薬、ベースラインのウイルス量、人種、疾患の期間、肝機能の状態および肝線維症/肝硬変の程度、ならびに治療目標(移植によるウイルス循環の排除またはウイルスの根絶)を含む、様々な因子によって変わり得ることも理解されるべきである。活性成分の量は、特定の記載した化合物、ならびに組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または不存在、および性質によっても変わり得る。
【0118】
他の態様によれば、本発明は、本発明の薬学的に許容される組成物を該患者に投与することにより、ウイルスの生活環に必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードするウイルスにより特徴付けられるウイルスに感染した患者の処置方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、HCV感染を有する患者の処置に用いられる。かかる処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重症度を低減し得る。好ましくは、該患者は哺乳動物である。より好ましくは、該患者はヒトである。
【0119】
本明細書に記載の投与量は、好ましくはインビボでの使用用である。それにもかかわらず、これは目的に応じてこれらの量のVX−950の使用に限定されるものと意図されない。さらに別の態様において、本発明は、生物学的物質と、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物を合わせる工程を含む、患者に投与することを目的として該生物学的物質を前処理する方法を提供する。かかる生物学的物質には、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団などのその成分;腎臓、肝臓、心臓、肺などの臓器;精子および卵子;骨髄およびその成分、ならびに食塩水、デキストロースなどのような患者に注入される他の液体が含まれるが、それらに限定されない。
【0120】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを組み合わせる工程を含む、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を製造するための方法を提供する(ここで、組成物中のVX−950の投与量は、本発明の何れかの態様に従う。)。本発明の別の態様は、該組成物が、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む方法を提供する。
【0121】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、本明細書中に記載の投与量で含む治療レジメンを提供する。本発明の別の態様において、治療レジメンはさらに、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む。
【0122】
医薬組成物はまた、単一パッケージ、通常ブリスターパッケージに一連の処置全体を含む“患者パック(patient pack)”で患者に処方され得る。患者パックには、従来の処方薬には通常添付されていない添付文書が含まれていて患者がいつでも利用できる点で、薬剤師が、大量供給物(bulk supply)から患者への薬剤分配を行なう従来の処方よりも有利である。添付文書の包含は、患者に医者の指示の順守を改善させることが証明されている。
【0123】
患者が本発明の正しい使用をするように指示する添付文書を包含する単一の患者パック、または各製剤の患者パックを用いる本発明の併用投与は、本発明の望ましいさらなる特徴であることが理解され得る。
【0124】
さらなる局面によれば、本発明は、VX−950(本発明の投与量)および本発明の併用使用の指示書を含む添付情報を含むパッケージである。全ての組成物、投与形態、治療レジメンまたは本発明の他の態様は、医薬パッケージ中に存在し得る。本発明の別の態様において、該医薬パッケージは、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤をさらに含む。さらなる薬剤または複数の薬剤は、同一のパッケージまたは異なるパッケージで提供され得る。
【0125】
本発明の他の局面は、単一または複数の各医薬成分の製剤;貯蔵中および投与前に製剤(複数可)を保存する容器;ならびに、HCV感染の処置または予防のための有効な方法で薬剤投与を行うための指示書を含む、HCV感染の処置またはHCV感染の予防における使用のための(または、本発明の他の方法における使用のための)患者用のパッケージ化されたキットを含む。
【0126】
従って、本発明は、VX−950(および、所望によりさらなる薬剤)の用量の同時または連続投与のためのキットを提供する。典型的に、そのようなキットは、例えば、薬学的に許容される担体中(および、単一または複数の製剤中)、各化合物の組成物および任意のさらなる薬剤(複数可)、ならびに同時または連続投与のための指示書を含み得る。
【0127】
別の態様において、パッケージキットは、自己投与のための1個以上の投与形態;貯蔵中および使用前に該投与形態を保存するための、好ましくは密閉された容器;および、薬剤投与を行うための患者への指示書を包含して提供される。該指示書は、一般的に、添付文書、ラベル、および/またはキットの他の成分の指示が記載され、投与形態または複数の投与形態が、本明細書中に記載されている。各投与形態は、一枚の金属箔−プラスチック薄板で形成される個々の空間(cell)または半球形(bubble)中に、他から分離されたそれぞれの投与形態を包含させるか、または投与形態は、プラスチック容器のような単一の容器中に包含され得る。本発明のキットはまた、典型的には、個々のキット成分をパッケージングするための手段、すなわち、投与形態、容器手段、および使用のための指示書を含み得る。そのようなパッケージング手段は、段ボール箱または紙箱、プラスチック容器または金属箔容器などの形態であり得る。
【0128】
本発明のキットは、何れかの組成物、投与形態、治療レジメンまたは医薬パッケージのような、本発明のいずれかの局面を具現化し得る。
【0129】
本発明のパッケージおよびキットは、所望により、複数の組成物または投与形態を含む。従って、1個の組成物または2個以上の組成物を含むパッケージおよびキットは、本発明の範囲内に包含され得る。
【0130】
ある例示的態様は、以下に説明され、記載されているが、本発明の化合物が、当業者に一般的に利用可能な適当な出発物質を用いて、概して上記の方法に従い製造され得ることは、当然のことである。
【0131】
全ての引用文献は、引用により本明細書中に包含される。
【0132】
本発明をより十分に理解するために、以下の製造例および実験例を記載する。これらの実施例は、説明のみを目的とし、いかなる点でも本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0133】
実施例
実施例1:PROVE1およびPROVE2臨床試験
PROVE1は、投与完了後24週間でHCV RNAが検出不可能(10IU/mL未満、Roche TaqMan(R)アッセイにより測定)であるとして定義されるSVRを達成する患者の割合を評価することを主目的とする、250名の未処置の遺伝子型1型HCV患者の4群比較フェーズ2b臨床試験である。該試験は、ペグ化インターフェロンおよびリバビリンの48週対照群と比較して、12週、24週および48週間のテラプレビルベースの処置レジメンを受ける患者を評価する。PROVE1は、米国の30を超える臨床施設で行われる。
【0134】
ベースライン患者特性は、PROVE1において、テラプレビル処置および対照群で同様であった。テラプレビルで処置された対象の20%は、ヒスパニック系(10%)または黒人(10%)であった。対照群において、8%の患者がヒスパニック系であって、12%が黒人であった。試験開始時の平均HCV RNAは、全ての群で同様であって(テラプレビル処置群で6.6Log10IU/mL、および対象群で6.7Log10IU/mL)、87%の患者が、>800,000IU/mLとして定義される、高ウイルス量を有していた。平均して、患者は、平均体重82.1kg(46−136kgの範囲)の平均年齢49歳(21−63歳の範囲)であった。
【0135】
PROVE2は、患者SVRを達成する患者の割合を評価することを主目的とする、323名の未処置の遺伝子型1型HCV患者の4群比較フェーズ2b臨床試験である。該試験は、48週対照群と比較して、12週、24週および48週間のテラプレビルベースの処置レジメンを受ける患者を評価する。PROVE2は、欧州の40を超える臨床施設で行われる。
【0136】
PROVE2の患者の平均ベースラインウイルス量は、6.4Log10IU/mL(3.3−7.7)であって、83%の患者が、>800,000IU/mLとして定義される、高ウイルス量を有していた。大多数の患者が、男性(94.1%)の、白人(94.1%)であって、遺伝子型1a(34.1%)と比較して遺伝子型1bに感染していた(54.1%)。平均して、患者は、平均体重70.9kg(45−115kgの範囲)の平均年齢45歳(18−65歳の範囲)であった。
【0137】
PROVE1およびPROVE2による持続的ウイルス応答(SVR)を、下記の表1に示す。
【表1】
【0138】
PROVE1の48週のテラプレビル処置群(12+36;n=79)において、65%が、処置の最後において検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した。
【0139】
PROVE1およびPROVE2の対照群からの持続的ウイルス応答結果は、該当なしである。PROVE1の対照群(n=75)において、中間分析の時、48週間のペグ化インターフェロンおよびリバビリンを受容する患者の45%が、処置の最後に検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した。PROVE2の対照群(n=82)において、中間分析の時点で、48週間のpeg−IFNおよびRBVを受容する患者の59%が、処置の第36週にて検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した。典型的に、peg−IFN+RBVでの48週間の処置の完了後、検出不可能なHCV RNAを有する患者の任意の割合が、再発する。
【0140】
テラプレビル群で供されるSVR率は、患者の実験群での投与が完了した患者、ならびに投与完了前に処置を中止したが、SVR24(処置の完了後24週での検出不可能なHCV RNAが<10IU/mLと定義される)基準に達した患者を含む。
【0141】
PROVE1およびPROVE2の併用において、ITTベースで、PROVE1およびPROVE2の対照群の患者での平均12%と比較して(PROVE1において11%、PROVE2において13%;各実験における比較についてp<0.001)、peg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容する患者の77%が、Roche TaqMan(R)アッセイにより測定した検出不可能なHCV RNA<10IU/mLとして定義される、4週での迅速なウイルス応答を達成した(PROVE1において79%、PROVE2において75%)。
【0142】
RVRを達成し、24週のテラプレビルベースの治療を完了し、そしてSVR分析に利用可能なデータを有した患者に関して、91%がSVR24またはSVR12を達成した。この発見は、24週のテラプレビルベースの治療レジメンにおける、RVRとSVRとの相関関係を証明する。
【0143】
PROVE1およびPROVE2の併用において、peg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容する患者の5%が、処置の最初の12週間にウイルス再燃を経験した(PROVE1において7%、PROVE2において2%)。多くのウイルス再燃は処置の最初の1ヶ月に生じ、一般的に、インターフェロンの低血中濃度と関係していた。患者が、検出不可能なHCV RNA(<10IU/mL)を有した後、peg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容する患者の2%未満が、処置中のウイルス再燃を経験した。
【0144】
PROVE1およびPROVE2の併用において、24週の処置を完了した患者の再発率は9%であった(PROVE1において2%、PROVE2において14%)。PROVE1およびPROVE2の併用において、RVRを達成し、24週の処置を完了した患者に関して、7%が、処置後の期間にウイルス再発現を経験した(PROVE1において2%、PROVE2において11%)。PROVE1プロトコールでは、RVRを達成した患者のみが、24週の治療で処置を中止した;そのような基準はPROVE2では利用しなかった。処置の完了後、PROVE1において、24週の処置後の期間中、第12週後に再発したpeg−IFNおよびRBVと併用してテラプレビルを受容した患者はいなかった。
【0145】
Peg−IFNおよびRBVで通常観察される有害事象タイプは、PROVE1およびPROVE2の全ての処置群で観察された。指定の処置にかかわらず、最もよく見られる有害事象は、疲労、発疹、頭痛および悪心であった。消化器障害、皮膚の有害事象(発疹、掻痒)および貧血は、投与期間にわたり、対照群と比較してテラプレビル投与群でより高かった。
【0146】
PROVE1において、12週中の全体の中断率は、全てのテラプレビル処置群で18%であって、対照群で3%であった。これは、有害事象、同意の撤回および追跡調査中の患者の喪失による中断を含む。有害事象による12週中の処置中断率は、テラプレビルおよび対照群でそれぞれ、13%および2%であった。中断の最も一般的な理由は発疹であり、処置の最初の12週間にテラプレビル処置群においてこの理由により中断した患者は7%であった。12週後、有害事象による中断は、テラプレビルおよび対照群でそれぞれ8%であった。全処置期間中、重度の有害事象の発生は、テラプレビル処置群で27%、対照群で24%であった。
【0147】
PROVE2において、12週中の全体の中断率は、全てのテラプレビル処置群で14%であって、対照群で6%であった。これは、有害事象、同意の撤回および追跡調査中の患者の喪失による中断を含む。有害事象による12週中の処置中断率は、テラプレビルおよび対照群でそれぞれ、10%および3%であった。PROVE1と同様に、中断の最も一般的な理由は発疹であり、処置の最初の12週間にテラプレビル処置群においてこの理由により中断した患者は7%であった。12週中、報告される暫定安全性分析の時、重度の有害事象の発生は、テラプレビル処置群で17%、対照群で10%であった。
【0148】
実施例2:耐容性および薬物動態実験
VX−950を、無作為化、二重盲検、プラセボ−対照の単回用量漸増試験において試験した。25名の健康な男性ボランティアが登録され、各対象は、VX−950の複数の単回用量(少なくとも7日間、3種の用量のVX−950を増加用量レベルで)、および1種の用量のプラセボを個別に受容した。
【0149】
25mgないし1250mgの用量を評価した。2倍ずつ増量して合わせ、より低用量範囲で積極的であり、より高用量範囲で保守的になるようにフィボナッチ数を改変した、用量漸増スキームを用いた。
【0150】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性であったという結果を示した。重大な有害事象は試験中には報告されなかった。そして、用量レベルの増加により有害事象が増大することはなかった。
【0151】
実施例3:黒人、ラテン系および白人におけるウイルス応答
黒人およびラテン系は、白人と比較して、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)の現在の治療に対して、より低い持続的ウイルス応答(SVR)率を有する。黒人(AA)、ラテン系(L)および白人(C)のサブ分析は、テラプレビルの添加が、ペグ化インターフェロン−αおよびリバビリン(PR)処置がPROVE1試験における増大したSVR率をもたらすことを示す。
【0152】
試験において、患者は、遺伝子型1型HCV感染を有する未処置対象において、ペグ化インターフェロンα−2a 180μg/週およびリバビリン1000−1200mg/日と共にTVR 750mg q8hを受容した。対象を4群に無作為化した(図5)。対照群(n=75)は、48週のPRを受容した(PR群)。3つの他の群は全て、12、24または48週のPRと組み合わせて12週間TVRを受容した(T/PR群、n=175)。この分析は、これらの群の黒人、ラテン系および白人対象のウイルス応答および薬物動態に重点をおく。人種および民族を、対象の自己申告により決定した。
【0153】
Roche COBAS TaqMan(登録商標)アッセイを、HCV RNAを測定するために用いた(LOD 10IU/mL)。ウイルスダイナミクスモデリングに関して、<10IU/mLと報告される値は、5IU/mLと置き換えられた。
【0154】
表2に示す通り、ベースライン特性は、グループ間で均衡がとれていた。白人の登録(73.8%、n=192)は、黒人(10.4%、n=27)およびラテン系(8.8%、n=23)よりも多かった。
【表2】
【0155】
PR群において、第1週でのウイルス減少の相違は、白人と黒人サブグループとの間で顕著に異なる(p=0.04);T/PR群において、サブグループ間で顕著な相違はない(p=−0.36)[P値は、ラテン系グループについては少数なために計算できなかった]。表3に示す通り、TVRを受容する対象のSVR率は、白人(82/133、62% vs 27/59、46%)、黒人(8/18、44% vs 1/9、11%)およびラテン系(11/17、65% vs 2/6、33%)対象におけるPR群と比較して増大を示す。SVRを達成した黒人に関して、処置群への分布は、下記の通り:T12/PR12、n=3;T12/PR24、n=1;および、T12/PR48、n=4である。SVRを達成したラテン系に関して、処置群の分布は、下記の通り:T12/PR12、n=1;T12/PR24、n=6;および、T12/PR48、n=4である。
【0156】
【表3】
【0157】
テラプレビルベースのレジメンは、早期にウイルスダイナミクスを増強し、その後、黒人、ラテン系および白人において、ウイルス応答の改善をもたらす(図1および14)。図2は、処置の最初の4週間のウイルスダイナミクスを示す。パネルAは、白人と比較して、ラテン系および黒人が、Peg−IFNおよびRBVにて早期のウイルスダイナミクスが低減したことを示す;パネルBは、Peg−IFNα−2aおよびRBVへのTVRの添加が、改善した早期のウイルスダイナミクスが全ての群で観察され、異なる人種/民族群間で同様であったことを示す。異なる人種/民族群間で、テラプレビルの薬物動態に相違は見られなかった(図3および4)。
【0158】
実験集団全体において、プラセボよりも高頻度で報告された最も一般的な有害事象(AE)は、消化器事象、皮膚事象(発疹、掻痒)および貧血であった。皮膚/発疹AEによる12週中の処置の中止は、T/PR群で7%、PR群で1%であった。
【0159】
表4は、異なるグループ間でより一般的な有害事象をまとめる。有害事象は、割合が、処置群で20%を超えるか、またはグループが、有害事象を経験したグループ中、10名未満、少なくとも3名の対象であったとき、表に包含された。少人数グループと仮定して、異なる人種/民族群において有害事象プロファイルに相違は見られなかった。中程度または重度と記載された人種は、黒人およびラテン系対象で報告されなかった。
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
本発明のある態様において、黒人、ラテン系および白人を処置するための投与レジメンは、WO2006/050250に記載のものを含む。VX−950についてのさらなる投与レジメンは、2008年5月21日に出願されたPCT出願番号PCT/US2008/006572(その内容は、引用により本明細書中に包含される)に記載される。
【0163】
実施例4:リバビリン併用または非併用でのペグ化インターフェロンα−2aとテラプレビルの併用
テラプレビルは、HCV RNA血漿レベルの迅速かつ一定の減少を生じる(図7).PROVE2試験は、遺伝子型1型慢性HCVの硬変を有さない未処置患者における、リバビリン併用または非併用でのPeg−IFNα−2aとTVRの併用の安全性および効果を評価するために設計された。
【0164】
PROVE2実験において、323名の患者を、(i)Peg−IFN 180μg/wk、RBV 1000または1200mg/日、TVR−プラセボ 48週(PR48;n=82);(ii)TVR 750mg q8h、Peg−IFN+RBVを12週間、その後Peg−IFN+RBVを12週間(T12/PR24;n=81);(iii)TVR 750mg q8h、Peg−IFN+RBV 12週(T12/P12;n=82);または、(iv)TVR+Peg−IFN 12週(T12/P12;n=78)に無作為化した(図6)。主要な項目は、持続的ウイルス応答であった(治療終了後の検出不可能なHCV RNA 24週)。
【0165】
表6に示す通り、ベースライン特性は、グループ間で均衡がとれていた。集団全体は、59%が男性であり;94%が白人であり;年齢45歳(範囲18−65);BMI 23.75kg/m2(範囲17−41);HCV RNA 6.5log10IU/mL(3.4−7.7)、86% HCV RNA>600,000IU/mL、遺伝子型1a/1b:44%/55%、ALT:55;7% METAVIR F3であった。処置の中止までの、迅速な、および持続的ウイルス応答、ならびに再発率および有害事象(AE)を表7に示す。
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
図8に示す通り、第4週および第12週の検出不可能なHCV RNAを有するT12/PR24を受容する患者の再発率は、7%であった(3/45)。ウイルス再燃(処置中、患者において12週にて;基底からの>1 log10増大、または先の検出不可能後の100 IU/mL HCV RNA)は、24%(T12/P12)(図9)および3%(T12/PR12およびT12/PR24併用)(図10)であって、これは、リバビリンが該レジメンの重要な成分であることを示唆する。T12/P12レジメンにおけるウイルス再燃を有する患者において、下記のNS3変異が検出された:V36M/R155K、R155K、A156T、A156S、T54T/A、T54A/A156S、V36V/A、A156S/T、T54T/A、R155R/KおよびA156A/S/T。T12/PR12およびT12/PR24併用レジメンにおけるウイルス再燃を有する患者において、下記のNS3変異が検出された:V36M/R155KおよびA156T。
【0169】
表8に示す通り、48週中の最も一般的なAEは、全ての処置群で、重症度にかかわらず、≧25%の患者で報告された。AEには、掻痒、発疹、貧血、疲労、衰弱および頭痛が含まれる。ほとんどのAEはグレード1または2であった。グレード3のAEがPR48の3%の患者について報告された:貧血(4%);T12/P12:発疹(3%)および鬱病(3%);T12/P12:発疹(6%)および無力/疲労(5%);T12/PR24:発疹(7%))。表9は、全ての処置群における処置の中止理由を示す。
【0170】
【表8】
【0171】
【表9】
【0172】
TVRベースのレジメンでの処置は、さらなる好中球減少症または血小板減少症にはならなかった。図11は、実験の各群の割当処置期間中の平均ヘモグロビンレベルを示す。
【0173】
黒人および白人のRVR率は、T/PR群で同じであった(72% 対 80%)。黒人の高RVR率とより低いSVR率との不一致は、処置の中止との関連が大きい。ラテン系のRVRおよびSVR率は、白人と同様であった。
【0174】
Peg−IFN/RBVとテラプレビルとの併用は、遺伝子型1型HCVに感染した患者の対照グループと比較して、ほとんどの患者で全処置期間を半分に短縮する可能性を有する、かなり高いSVR率を示した。
【0175】
【表10】
【0176】
実施例5:線維性架橋形成を有する患者の処置
慢性C型肝炎に対するPeg−IFNα/RBV治療の3つの主試験において、SVRは、線維症のより軽度のステージの患者と比較して線維性架橋形成または肝硬変を有する患者にて約10−15%低かった。Peg−IFNおよびRBV(T/PR)の現在のレジメンへのテラプレビル(TVR、VX−950)の添加は、PROVE1試験における増加したSVRをもたらす(図12)。
【0177】
実験において、遺伝子型1型HCV感染を有する未処置患者は、TVR 750mgを8時間毎に、そしてペグ化インターフェロンα2aを180μg/週およびリバビリンを1000−1200mg/日を受容する。対象を無作為に4つの群に分けた(図5)。対照群(n=75)は、PRを48週受容した(PR群)。他の3群は全て、PRを12、24または48週と組み合わせてTVRを12週間受容した(T/PR群、n=175)。線維症の重症度を、各センターの地域の病理学者による組織学的評価により定義した。
【0178】
Roche COBAS TaqMan(登録商標)アッセイを用いて、HCV RNA (検出限界 10IU/mL)を測定した。ウイルス動態モデルに関して、<10IU/mLと報告された値は、5IU/mLに置き換えられた。
【0179】
Peg−IFNα/RBV治療の以前の報告において、SVRは、顕著に減少した血小板数を有する患者でより低い。今回の研究にて、血小板数は、Peg−IFNα/RBV対照群でのSVRと相関しなかった。血小板数は、TVRベース群でのSVRと相関しなかった。血小板数は、このコホートでのSVRの重要な因子ではなかった。
【0180】
小さいグループを考慮して、異なるグループにおけるAEプロファイルの違いは観察されなかった。処置の最初の12週の間、ヘモグロビン(Hb)または絶対好中球数(ANC)または血小板数の変化の相違は観察されなかった。
【0181】
線維性架橋形成を有する患者のうち、Peg−IFNα/RBV群における26%と比較して、T/PR群にて69%がSVRを達成した(図13)。Peg−IFNα/RBVへのTVRの添加は、これらの“治療が困難な”患者群でのウイルス応答を改善した。
【0182】
PROVE1およびPROVE2研究における線維性架橋形成を有する患者について収集されたSVRデータを図20に示す。
【表11】
【0183】
【表12】
【0184】
実施例6:以前にペグ化インターフェロン−α−2a/Bおよびリバビリン治療に非応答であリ、ウイルス再燃または再発を有する遺伝子型1型C型肝炎に感染した患者におけるテラプレビル: PROVE3研究のSVR結果
PROVE3は、以前のPR処置に失敗した遺伝子型1型HCV感染患者におけるテラプレビル(T)+ペグ化インターフェロンα2a(P)±リバビリン(R)の安全性および効果を行う無作為化、プラセボ対照フェーズ2研究である。
【0185】
無作為化を、1:1:1:1とした:T/PRを12週、その後PRを12週(T12/PR24);T/PRを24週、その後PRを24週(T24/PR48);T/Pを24週(T24/P24);または、プラセボ/PR(P 180μg/週、R 1000−1200mg/日)を24週、その後PRを24週(PR48)。
【0186】
453名の患者がITT分析に含まれ、418名(92%)がベースラインHCV RNA ≧800,000 IU/mLを有し、196名(43%)が肝硬変または線維性架橋形成を有し、そして40名(9%)が黒人であった;235名(52%)の患者が指定された処置を完了した。
【0187】
PR48よりもT12/PR24またはT24/PR48でよく生じた最も頻繁に起こった有害事象は、疲労、悪心、頭痛、発疹、掻痒、下痢、貧血、不眠、発熱、脱毛症および冷え症であった。グレード3の発疹が、T12/PR24、T24/PR48、T24/P24およびPR48それぞれで7名(6%)、5名(4%)、6名(5%)および1名(1%)の患者で観察された。グレード3の貧血が、T12/PR24、T24/PR48、T24/P24、およびPR48それぞれで0名(0%)、7名(6%)、1名(1%)および1名(1%)の患者で観察された。T12/PR24、T24/PR48、T24/P24およびPR48それぞれで11名(10%)、29名(25%)、10名(9%)および5名(4%)の患者が、AEのために中止した。
【0188】
T/PRレジメンを受容する全ての処置群のSVR率は、PR48でのSVR率よりも顕著に高かった。T12/PR24の一般的安全プロファイルは、未処置患者で観察されたものと同様であった。T24/PR48と比較してT12/PR24でのより高い再発率が、処置された患者での全48週のPRを必要とし得る。
【0189】
【表13】
【表14】
【0190】
T12/PR24およびT24/PR48群の全体のSVR率は、対照群の14%と比較して51−52%であった。特に、以前に非応答であった患者のT12/PR24およびT24/PR48群の全体のSVR率は、対照群の9%と比較して38−39%であり;以前に再発した患者では、対照群の20%に対して69−76%であり;そして、肝硬変を有する患者では、対照群の8%と比較して45−54%であった。割り当てられた処置を完了した患者のSVR率を図15に示す。肝硬変の有無にかかわらず、患者のSVR率を図16に示す。以前に非応答であった患者および以前に再発した患者の第4週での検出不可能なHCV RNA率(実験処置を開始後4週間で検出不可能なHCV RNAを達成することが示された迅速なウイルス応答(RVR))を図17に示す。処置(全体)の最終投与量で検出不可能なHCV−RNAを有した患者および割り当てられた処置の完了(完了したレジメン)後最終投与量で検出不可能なHCV−RNAを有した患者の再発率を図18に示す。処置群による第4週から第24週まで(包括解析(ITT)分析)の累積的ウイルス再燃率を図19に示す。
【0191】
実施例7
下記の実施例は、流動床スプレー乾燥(FSD)法を詳述し、HPMCASポリマーと溶媒の混合物(プラセボ)ならびにVX−950、HPMCASおよび溶媒の混合物(活性)の2種の混合物の流動床スプレー乾燥結果物を提供する。FSD法のパラメーターを変えることにより、結果生成物の特性を、その後の処理または使用に最適化かる適合させ得る。
【0192】
本明細書に記載の実施例は、一部において:
i)流動床スプレー乾燥モードで操作する市販のスプレー乾燥機(例えば、FSDモードで操作する1250kg/hrの能力を有する乾燥機)を用いて、VX−950分散体に行ったスプレー乾燥実験を説明すること。
ii)生成物密度、粒子サイズ分布、および残留溶媒に対する、選択された操作パラメーターの変更の効果を報告すること
を設計された。
【0193】
増大した粒子サイズおよび/または生成物密度は、直接圧縮生成物を得るのに有利である。より大きな粒子を得て、例えば直接圧縮に適当な高密度を有する生成物を得るために、流動床スプレー乾燥機(FSDモード)に設定された、商業規模の乾燥機(例えば、1250kg/時の能力を有する乾燥機)を用いた。直接圧縮可能な物質を得るために、20−40μmの範囲ないしより大きな平均粒子サイズに増大することが望ましく、一方、生成物密度を維持するか、または増大することが望ましい(例えば、バルク密度>0.2g/mlおよびタップ密度>0.4g/ml)。さらなる基準は、乾燥後、許容される範囲内に残留溶媒レベルを低減し得ることである。
【0194】
スプレー乾燥物質および最終生成物の分析作業は、粒子特性(生成物密度および粒子サイズ分布)の分析ならびに残留溶媒のレベルに関する。
【0195】
2種の供給溶液を、本実験中に製造した。高薬物製剤(high drug formula)についてのプラセボ供給溶液(プラセボ)、および各々の高薬物負荷製剤供給溶液(活性)である。表15に、各実験でスプレー乾燥された供給溶液をまとめる。
【0196】
【表15】
【0197】
供給溶液を、機械的スターラーおよび供給溶液の温度を制御するための熱回路を備える8000Lステンレススチール撹拌槽反応機中で製造した。プラセボバッチの製造では、ポリマー(HPMCAS)を仕込む前に溶媒を該反応機に仕込んた。完全な溶解を、低ないし中程度の撹拌(30ないし80rpm)下で観察した。活性剤製造において、初めに固体を仕込み、その後溶媒を仕込んだ。溶解にはおよそ6時間かかった。供給反応機内の溶液の温度を、スプレー乾燥機に供するまで約20℃(15ないし30℃)に維持した。
【0198】
プラセボ供給溶液および活性供給溶液の流動床スプレー乾燥法
圧力ノズル噴霧化システムを備えるステンレススチール製の商業スケールのスプレー乾燥機(NIRO、サイズ4)を、試験に用いた。用いる噴霧化ノズルは、Spraying Systems(MFP (Maximum Free Passage) SK Series SPRAYDRY(登録商標) Nozzles Series variety, コア27を有するオリフィス52)のものであった。
【0199】
スプレー乾燥ユニットを、密閉サイクルモード、すなわち乾燥ガスの再循環モードで操作した。該スプレー乾燥ユニットは、開始から終了操作の間に用いるための溶媒を含む供給タンク(T510)、ならびに乾燥されるべき物質を含む供給タンク(R240)を含む。スプレー乾燥法を開始するために、バルブV2を開き、スプレー乾燥されるべき物質を供給タンクR240からスプレー乾燥チャンバーDCにポンプHP−Pを介して供給した。該物質は、乾燥チャンバー中で部分的に乾燥され、その後、より軽い乾燥粒子は、乾燥ガスを用いてサイクロンCに排出され、より重い粒子は、流動床FB1に落下した。該粒子は、FB1から最終的に第二流動床FB2およびFB3に循環され、完全に冷却および乾燥された。サイクロンCに排出された軽い粒子(微粒子)は、その後、サイクロンで分離され、微粒子返還FRにて乾燥チャンバーに戻された。サイクロンを通過する微粒子は全て、フィルターバッグFBで捕捉され、次いでガス再循環ユニットRUに至った。
【0200】
乾燥ガスの再循環を、再循環ユニットから、流路(1)および(2)で示される閉ループのどちらか一方を介してガスを再循環することにより達成した。再循環ユニットから排出されるガスを取り込む流路は、バルブ操作により決定した(記載なし)。ガスは流路(2)を介して再循環され、微粒子をサイクロンから乾燥チャンバーDCに戻した。ガスはまた、乾燥チャンバーDCの乾燥ガスとして、熱交換器HX1を介して乾燥チャンバーに再循環された。
【0201】
ブローファン(Fl)の設定で制御される乾燥窒素の流量を、10ないし18cmH2Oの、サイクロン(AP_サイクロン)を通過する圧力低下を得るために調整した。高圧ポンプを用い(HP−P)、そして供給圧(P−feed)を、所望の設定値(P_feed_SP)にするために自動的に制御した。粒子の戻る位置(FR位置)は、乾燥チャンバーの頂部(凝集を促進する)または乾燥チャンバーの中間(凝集を抑制する)のどちらかであった。閉ループへのバルブ(1)を開口したとき、ガスが流動床チャンバーFB1−FB3に独立したファン(VT−FB)を介して供給され、3個の流動床チャンバーのそれぞれの温度(T_FB1、T_FB2、T_FB3)を、3個の熱交換器(HE1、HE2、HE3)により制御した。これらを試験値(それぞれ30℃、35℃および40℃)に設定した。
【0202】
該供給溶液を、ノズルチップで噴霧化し、乾燥チャンバー内で並流加熱窒素により乾燥した。サイクロンに入る前の頂部に存在する乾燥生成物を含む流れは、乾燥チャンバー内で逆方向にされ、ここで多くの固体が分離され、微粒子が、乾燥チャンバーの頂部(スプレー形成物とノズルにて混合される)または、乾燥チャンバーの中間に軸方向に再導入された。上記の通り、より重い粒子が、乾燥中、および/または凝集処理中に形成され、乾燥チャンバー内およびメイン流動床チャンバー(FB1)内に落下した。該処理を、生成物の層が得られる(FB1を通過する圧力差として測定される)まで行った。その後、FB1中の生成物部分を、乾燥後処理工程が行われるFB2に放出し、次いで、FB2中の生成物をFB3に移した。FB3中、生成物を環境温度まで冷却し、その後、最終的に包装室に放出した。上記の通り、サイクロンを通過後、窒素をフィルターバッグに通し、ここで微粒子が捕捉され、その後、排気ファン(F2)に入り、そこからガス再循環ユニットにループ(1)および/または(2)を介して再循環させた。排気ファンスピードを、システムの内側からの圧力を制御するために調節した。
【0203】
材料
本試験中に用いる材料を、表16に記載する。
【表16】
【0204】
分析法
用いる分析対照は、バルクおよびタップ密度(例えば、United States Pharmacopeia (USP)法<601>により測定される)、典型的な容積レーザー回折(例えば、Malvern Mastersizer、またはSympatec HELOS もしくは MYTOS)による粒子サイズ分布、ならびにガスクロマトグラフィー(GC)による有機溶媒(ジクロロメタン(DCM)、アセトンおよび酢酸エチル)であった。
【0205】
スプレー乾燥試験:データおよび観察
7つのスプレー乾燥試験を行った(5個のプラセボおよび2個の活性物)。主な結果を、表17にまとめた。走査型電子顕微鏡(SEM)画像を用いた。スプレー乾燥機の頂部で導入される微粒子で製造された分散体およびスプレー乾燥機の中間に導入される微粒子で製造された分散体の画像を得た。スプレー乾燥機の頂部に微粒子を導入することにより、より凝集した生成物を得た。スプレー乾燥機の中間に微粒子を導入することにより、より凝集していない生成物を得た。画像を、30、100および300倍で得た。
【0206】
【表17】
a)F_solids(=_feed x C_feed)は、スプレー乾燥機に供給される固体物質の流速である。
b)収率は、乾燥機が試験間で清掃されなかったとき、大きな誤差を有する。
【0207】
実施例8
本実施例は、流動床スプレー乾燥法により製造されるVX−950の分散体が、錠剤に直接圧縮された実験の結果を提供する。
【0208】
錠剤特性は、APIの物理的−化学的および機械的特性、関係する賦形剤、ならびに方法パラメーターのような多くの因子により影響を受け得る。強固な製剤を達成するため、これらの効果は、製剤開発段階で評価される。これらの実験は、ビタミンE添加の異なる方法(スプレー凝集物、BASF Vit Eアセテート、賦形剤上で融解造粒した物、および分散体上で融解造粒した物)を含む流動床スプレー乾燥法によりスプレー乾燥される分散体の効果を評価した。打錠特性は、錠剤硬度、突出力および厚さにより特徴付けられた。
【0209】
異なるタイプのVit Eの添加およびVit Eの異なる添加方法を評価した。Vit Eのタイプおよび分散体への添加方法を以下に記載する。
【0210】
VX−950の分散体は、本明細書に記載の流動床スプレー乾燥法により製造される。
【表18】
【0211】
【表19】
注釈:VX 950 SD Lot 02
有効性:250mg VX950
【0212】
【表20】
【0213】
【表21】
注釈:VX 950 SD Lot 02
有効性:250mg VX950
【0214】
【表22】
注釈:VX 950 SD Lot 02
有効性:250mg VX950
【0215】
【表23】
【0216】
【表24】
【0217】
【表25】
【0218】
実施例9
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
HPMC 40 cp 49.5%
SLS 1%
【0219】
組成物1を、メタノール:塩化メチレン(1:1)中に、VX−950、HPMCおよびSLSを溶解し、次いで回転蒸発器を真空下で用いて溶媒を蒸発させて製造した。生成物を、約200μmの平均粒子サイズを有する粒子に粉砕した。
【0220】
実施例10
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
HPC 49.5%
SLS 1%
【0221】
組成物2を、塩化メチレン中に、VX−950およびHPCを溶解して製造した。SLSを該溶液に懸濁した。その後、溶媒を、真空下で回転蒸発により蒸発させた。生成物を、約200μmの平均粒子サイズを有する粒子に粉砕した。
【0222】
実施例11
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
PVP K30 49.5%
SLS 1%
【0223】
組成物3を、メタノール:塩化メチレン中に、VX−950、PVP K30を溶解し、SLSを懸濁し、次いでスプレー乾燥させて溶媒を除去することにより製造した。生成物の平均粒子サイズは約150μmである。
【0224】
実施例12
固体分散体を、下記の成分を包含して製造した(全重量の%):
VX−950 49.5%
HPMCP 49.5%
SLS 1%
【0225】
組成物4を、実施例3の方法と同様の方法を用いて製造した。生成物の平均粒子サイズは約150μmである。
【0226】
ポリマーおよび界面活性剤の他のタイプもまた、試験した(以下の実施例を参照)。VX−950とポリマーと界面活性剤の量比もまた、種々のアッセイで試験した(以下の実施例を参照)
【0227】
実施例13
種々のVX−950組成物を、ラットの薬物動態学的(PK)アッセイにおいて試験した。
【表26】
【0228】
実施例14
種々のVX−950組成物を、イヌの薬物動態学的(PK)アッセイにおいて試験した。この試験において、試験したVX−950化合物は、L:D異性体の60:40(+/−5%)混合物であった。
【表27】
【0229】
実施例15
種々の組成物の物理的安定性を試験した。結果を下記の表28に示す。
【表28】
【0230】
実施例16
種々の組成物のキラル安定性を試験した。結果を下記の表29に示す。
【表29】
【0231】
実施例17
種々の組成物の溶解性を試験した。結果を下記の表30に示す。
【表30】
【0232】
実施例18
VX−950固体分散体の見掛けの溶解度に対するSLS濃度の効果を試験した。結果を下記の表31に示す。
【表31】
【0233】
実施例19
経口投与製剤を下記の通りに製造した。VX−950およびPVP K29/32を塩化メチレン中に溶解し、次いでラウリル硫酸ナトリウムを添加し、溶液中に分散させて、均一な懸濁液を形成した。この懸濁液を、90℃の入口温度および56℃の出口温度を用いてスプレー乾燥させて、生成物をサイクロンから集めた。スプレー乾燥分散体を、75℃にて8時間、流動床乾燥させた。
【0234】
【表32】
【0235】
固体分散体を、スチールロータリーミキサーを用いて、1%HPMC、0.002%シメチコン溶液中に懸濁した。得られた懸濁液は、0.8−50mg/ml濃度のVX−950で少なくとも24時間、物理的かつ化学的に安定である。その後、粉末を懸濁し、下記の通り24時間以内に投与する。
【表33】
【0236】
実施例20
単回用量ガラスバイアル中で1%HPMCビヒクルと混合した分散体を、投与した。バイアル中に残る固体残渣は、シリンジ中で水と混合して投与した時、28%−56%と比較して0.8%−4%であった(下記の1月20日の投与)。投与した分散体は、VX950/PVPK−30/SLS(tox. lot、新鮮)、VX950/HPMCAS/SLS/SDBS(5%PVPK−30を含む結晶DSから出発して、ISPでスプレー乾燥)、VX950/HPMC E15/10% Vit E TPGS、VX950/PVP−VA/10% Vit E TPGSであった。これらの実験の結果を、下記に示す。
【0237】
【表34】
【0238】
上記の表に示される通り、HPMC E−15/10% Vit ETPGSは、最も高いCmaxおよび%Fを有した。PVP−VA/10% Vit ETPGSは、次に高いCmaxおよび%Fを有した。HPMCASは、PVPK−30新鮮な分散体と同程度のCmaxおよびPVP−VAと同程度の%Fを有して、若干の持続放出プロファイルを示した。
【0239】
実施例21
3つの製剤を、SD Micro spray drier (100gm)で製造した。最初の2つの製剤は、同一成分を有したが、アセトンレベルが異なった。3番目の製剤は、HPCおよびHPMCフタレート(2:1)のポリマー混合物であった。3つの製剤は全て、1%SLSおよび1%SDBSおよび5%PVPK−30を有した製剤原料を含んだ。
【0240】
ポリマーの溶解は均質化を必要とし、3つの製剤は全て、非常に簡単にスプレー乾燥された。全ての製剤は、製造後に検出可能な残留溶媒を有したが、両溶媒は、オーブン乾燥(60℃)で簡単に除去された。アセトンの添加は、塩化メチレンの初期含量を低減するように見えた。残留溶媒レベルを下記にまとめる。
【0241】
【表35】
【0242】
実施例22
HPMCE 50/1% SLSを含む液体分散体を、下記の通り、室温または冷蔵条件にて、数種のビヒクル中懸濁液として広く検討した:
1. 3mg/mL濃度のVX950にて、種々の濃度のVit E TPGSを含む1%HPMCビヒクル。
0.067%、1%、5%および10% Vit E TPGSを含む、懸濁液中、HPMC E50/1% SLS分散体の溶解性および物理的安定性を、実際のtox.実験での投与(b.i.d.投与、8−12時間毎)と同様のいくつかの方法に従ってHPLCおよびXRDを用いて評価した。
方法1:懸濁液をRTで製造して貯蔵し、1、3、24、48時間に評価した(3時間撹拌し、その後、24時間の時点まで撹拌せずに貯蔵し、サンプリング前にそれらを15分間撹拌した)。
方法2:懸濁液をRTで製造するが、撹拌せずに3時間後に5℃で貯蔵した。24時間の時点で、懸濁液をサンプリング前に5℃にて撹拌した(氷上)。
方法3:懸濁液をRTで製造するが、撹拌せずに3時間後に5℃で貯蔵した。24時間の時点で、懸濁液をサンプリング前にRT(温めた)で15分間撹拌した。
方法4:ビヒクルを含む10% Vit E TPGSについてのみ評価した。懸濁液を5℃で製造して貯蔵し、1、3、24、48時間の時点で評価した(3時間撹拌し、その後、24時間の時点まで撹拌せずに貯蔵し、それらをサンプリング前に氷上で15分間撹拌した)。
【0243】
上記の全てに関して、37℃での人工腸液中の溶解速度論を、製造後1時間および貯蔵後24時間で上記の条件下で評価した。
【0244】
結果:
A.方法1:溶解度は、% Vit E TPGSの関数として増加する(1および3時間)。実際の溶解度値は600−700Tg/mLという高いままであるが、溶解度の顕著な低下が、より高濃度のVit E TPGS(10%および5%)との懸濁の1時間後に観察された。24−48時間乾燥させて集めた固体残渣は、結晶性を示した。溶解度のわずかな低下ならびにわずかな結晶性が、1% Vit E TPGSを含む懸濁液で観察された。0.067% Vit ETPGS濃度では低下は観察されず、固体残渣はアモルファス形であった。。
【0245】
方法2:何れのVit E TPGS濃度でも溶解度の低下(変化)は観察されなかった。
方法3(ウォーミングアップ):何れのVit E TPGS濃度でも溶解度の低下(変化)は観察されず、値は、方法2と同様であった。
方法4:1ないし3時間後、恐らくより低い温度での遅延拡散/より高粘度のために、溶解度は方法2と比較して低かった(すなわち、5℃で、またはRTで製造したとき)。48時間以上では溶解度の低下は観察されず、値は、24時間後の方法2で得られた値と同程度であった。
【0246】
B.方法1、1時間後:溶解度の顕著な低下が、1時間後に、10% Vit E TPGS濃度で観察され、わずかな低下が、3時間後にのみ、5% Vit E TPGS濃度で観察された。5時間以降、より低濃度(1%および0.067%)では低下は観察されなかった。相対的に、製造され、1時間、氷上(5℃)で撹拌された10% Vit E TPGSを含む懸濁液は、5時間以上、溶解度の低下を示さないが、実際の溶解度値は、RTで製造したものよりも顕著に低い。このことは、ラットにおける後者の低下した% Fを説明し得る。
【0247】
方法1、24時間後:製造され、1時間後に評価された懸濁液と比較して、溶解度/溶解は、1%および5% Vit E TPGS濃度において顕著に低下する。0.067%懸濁液は、新鮮に製造した懸濁液て観察される溶解度(1時間後に試験した)と同様の初期溶解度を示したが、新鮮な懸濁液で観察されなかった溶解度のわずかな低下が、SIFにおいて2時間後に観察された。
【0248】
方法2、24時間:方法1で観察された結果と同様の結果であり、より低い% Vit E TPGS(0.067%および1%)懸濁液は、5時間後に溶解性/溶解の低下が見られず、絶対値も製造後1時間に試験したときの値と同じであった。
【0249】
結論:懸濁溶解度および37℃でのSIF中の動力学的溶解度から、0.067% Vit E TPGSを含む懸濁液は、RTまたは5℃で貯蔵したとき、性能の変化は示されなかった(24時間以降の懸濁溶解性の低下、ならびに新鮮な、および24時間後の古いサンプルについての、5時間以降の溶解度の低下はなかった)。同様の挙動が、5℃(RTで製造)で貯蔵したときのみ、1%および5% Vit E TPGSを含む懸濁液で観察された。
【0250】
37℃でのSIF中、動力学的溶解度の緩やかな減少が、RTまで温めるか、または評価前には温めないのどちらであっても、5℃で貯蔵後に、24時間の古いサンプルで5時間以上で観察された。5℃で製造した懸濁液は、恐らく、5℃での貯蔵中の継続した溶解のために、24時間後と比較して、製造の1時間後に評価したとき、SIF中、より低い溶解/溶解度を示した。
【0251】
実施例23
下記の成分の混合物をスプレー乾燥させて、VX−950の固体分散体を得た。VX−950/HPMCAS−HG/SLSを、49.5/49.5/1 wt/wtで合わせ、10の固体濃度で溶媒系に合わせた。ここで、該溶媒系は、43.03のd50および0.37のバルク密度を有する生成物を得るために、66.6/28.5/5比で塩化メチレン/アセトン/氷酢酸を含んだ。
【0252】
実施例24
下記の成分の混合物をスプレー乾燥させて、VX−950の固体分散体を得た。VX−950/HPMCAS−HG/SLSを49.5/49.5/1 wt/wtで合わせて、10の固体濃度で溶媒系に合わせた。ここで、該溶媒系は、47.02のd50および0.41のバルク密度を有する生成物を得るために、63/27/10比で塩化メチレン/アセトン/氷酢酸を含んだ。
【0253】
実施例25
VX−950のスプレー乾燥分散体を、複数のVX−950ロット、HPMCAS−HG(酢酸コハク酸ヒプロメロース、HGグレード、Shin−Etsu Chemical Co.)ポリマー、およびSLS(ラウリル硫酸ナトリウム、Fisher)界面活性剤を用いて製造した。スプレー乾燥およびその後のバイコニカルドライヤーでの後乾燥処理を行った。残余溶媒が少なく、かつ標的粉末特性を有する乾燥分散体を製造した。成功基準は、許容される方法収率(>80%)を有し、全ての標的医薬品が純度の製品規格に合致し、そして標的特性が、物理的特性(粒子サイズおよびバルク密度)に関して特定の範囲内に一致することを含んだ。
【0254】
製剤組成および方法の概要
2つの活性分散体製造法のそれぞれについての製剤組成全体を、表36に記載する。
【表36】
【0255】
処理の流れの説明を下記に示す:
A)溶液の製造およびスプレー乾燥機
1)塩化メチレンを、平衡溶媒タンク中で製造した。
2)所定のアセトン量の100kgを混合反応機に添加した(表36参照)。
3)適当量の塩化メチレン(表36参照)を、メイン溶液反応機中で製造した。差圧セルにより、充填溶媒の正確な量を確認した。
4)VX−950薬剤物質を、メイン溶液反応機に充填した(表36参照)。総固体充填量は、13wt%であった。サンプルを取り出し、目視検査により該薬剤物質が溶解したことを確認した。
5)HPMCAS−HGを、メイン溶液反応機中に充填した(表36参照)。総固体充填量は、13wt%であった。
6)残りの所定のアセトン量を、該混合反応機に添加した(表36参照)。
7)アセトン、SLSおよびDI水を、メイン溶液反応機に充填した。
8)得られたバッチを、溶解後の外観および粘度について試験した。
9)スプレーシステムSK−MFP圧力ノズルを取り付け、平衡溶媒を用いて的確な噴霧化について試験した(ノズル48/21、50/21または52/21も使用可能である)。
【0256】
B)スプレー乾燥機の作動
1)スプレー乾燥機を、適当な出口温度まで加熱した。
2)平衡溶媒を、全てのパラメーターが平衡化され、一定になるまで、スプレーした。
3)供給溶液のスプレー乾燥を、スプレー乾燥機が平衡化した時点で開始した。
4)乾燥粒子を、サイクロンにより処理ガスから慣性的に分離し、ポリエチレンバッグ内に集めた。その後、処理ガスをフィルター処理して微粒子を取り出し、凝縮して処理溶媒を除去した。
5)最初のサンプルを取り出し、粒子サイズ分布ならびにバルクおよびタップ密度を試験した。
a)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内であって、標的に近かったとき、処理を継続し、そしてサンプルをサンプリングプランに沿って取り出した。
b)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内ではなく、標的に近くなかったとき、必要に応じて、処理を最適化した(例えば、下記の1個以上:ノズル、出口温度、供給圧を変えることにより)。収集バッグを変え、合格基準外の粉末を別に集めた。サンプルが本明細書の範囲内であったとき、現パラメーターでの処理を開始した。
【0257】
C)スプレー乾燥の実行
1)サンプルをサンプリングプランに沿って取り出した。
2)処理パラメーターの如何なる変更も記載した。
3)処理の停止または継続的操作の停止も記載した。
4)供給溶液のスプレー乾燥完了により、平衡溶媒を交換し、次いで方法の通常の停止処理行った。
【0258】
D)乾燥後処理
1)スプレー乾燥分散体を、第2の乾燥機に充填し、全ての残留溶媒(塩化メチレン、アセトン、酢酸エチルおよびトルエン)が、本明細書の記載以下であると確認されるまで乾燥させた。
【0259】
装置
機械的スターラーおよび熱回路を備える8000L大規模反応機(industrial scale reactor)を、初期溶液の混合に用いた。大規模スプレー乾燥機(Niro Pharmaceutical Spray Dryer FSD12.5CC)を、通常の並流スプレー乾燥モードで用いた。圧力ノズルシステム(Spraying Systems Maximum Free Passage SK−MFPシリーズ類、オリフィス48−54、コア21)を用いた。溶媒−互換性/抵抗性ガスケットを備える高性能圧力ポンプは、スプレー乾燥容器中にアトマイザーを通して供給溶液を注入した。慣性的サイクロンにより、処理ガスから生成物を分離し、溶媒を蒸発させた。次いで、フィルターバックに、サイクロンにより分離されなかった微粒子を集めた。得られたガスを凝縮して処理溶媒を取り出し、ヒーターおよびスプレー乾燥機に再利用した(密閉サイクル)。
【0260】
得られた生成物を、残留溶媒の乾燥のためにバイコニカル真空乾燥機に移した。
【0261】
重要な工程コントロールおよびパラメーター
重要な工程コントロールおよびパラメーターは、スプレー乾燥およびバイコニカル乾燥処理の両方に必要であった。一次処理コントロールおよびパラメーターは、予備研究バッチを用いて同定されている。
【0262】
実行時間全体で測定および記録されたスプレー乾燥処理に重要な処理コントロールおよびパラメーターは、下記:
・アトマイザー/設置したノズル
・供給圧
・入口温度
・コンデンサー温度設定(約−10ないし−15℃)
であった。
【0263】
実行時間全体で測定および記録されたスプレー乾燥処理の重要な処理基準は、下記:
・溶液供給速度
・出口温度
・サイクロン差圧およびガス乾燥流速
であった。
【0264】
表37は、スプレー乾燥工程パラメーター/基準、設定/範囲、および標的指針を定義する。
【表37】
【0265】
材料
用いた全ての賦形剤および処理溶媒は、表36および33に示す通り、ヨーロッパ薬局方、日本薬局方またはUSP/NFの現行の一般薬承認基準(monograph)に適合した。全ての賦形剤および処理溶媒は、適当な供給者から購入した。製造業者の分析証明を受領し、全ての受けとった材料を試験することができる。
【表38】
【0266】
製造の変法
分散体について最適化された製造法2を用いた。この分散体は、製造法1よりも大きな粒子サイズおよびバルク密度を有し、必要に応じて、粉末流動性を増大させ、高速錠剤圧縮で直接圧縮した。スプレー乾燥パラメーターを、そのような粉末を製造するために変えた。変法はまた、該処理を厳密化(tighten)し、そして可能性のある逸脱(deviation)を避けるためにも作られた。
【0267】
実施例26
VX−950のスプレー乾燥分散体を、記載の通り、水を含む溶媒系を用いて製造した。該溶媒系は、塩化メチレンを75%;アセトンを24%;および、水を1%含んでいた(w/w/w)。該分散体は、VX−950を49.5%;HPMCAS−HGを49.5%;および、SLSを1%含んでいた(w/w/w)。出口温度、供給圧、サイクロン圧、コンデンサー設定温度、ノズルタイプ、固体充填、および溶液供給速度の様々な組合せを、スプレー乾燥処理において試験した。これらのパラメーター変化は、得られる分散体の特性(粒子サイズ(PS))、スパン、バルク密度、タップ密度、および残留溶媒レベルを変えた。
【0268】
実施例27
目的物および成功基準
低い残留溶媒レベルで、かつ標的粉末特性を有する乾燥分散体を製造する。成功基準には、許容される処理収率(>80%)を有すること、全ての標的医薬品が純度規格に合致すること、ならびに標的特性が物理的特性(粒子サイズおよびバルク密度)に関して特定される範囲内に一致することが含まれる。
【0269】
製剤組成および処理概要
2つの活性分散体製造法に関する製剤組成全体を、表39に記載する。
【表39】
【0270】
該方法の流れを下記に説明する:
A)溶液の製造およびスプレー乾燥機
1)塩化メチレンを、平衡溶媒タンク中に製造する。
2)DI水を第二混合反応機に充填する(表39を参照)。
3)適当量の塩化メチレン(表39を参照)を、メイン溶液反応機中に製造する。差圧セルにより、充填溶媒の正確な量を確認する。
4)VX−950薬剤物質を、メイン溶液反応機に充填する。総固体充填量は、15wt%である。サンプルを取り出し、目視検査により該薬物が溶解したことを確認する。
5)HPMCAS−HGを、メイン溶液反応機に充填する(表39を参照)。総固体充填量は、15wt%である。
6)上記量のアセトンを、該混合物反応機に添加する(表39を参照)。サンプルを取り出し、全ての固体が溶解されるかどうかを決定する。
7)SLSおよび水を、該メイン混合反応機に添加する。
8)スプレーシステムSK−MFP圧力ノズルを取り付け、平衡溶媒を用いて的確な噴霧化について試験する。
【0271】
B)スプレー乾燥機の作動
1)スプレー乾燥機を、適当な出口温度まで加熱する。
2)平衡溶媒を、全てのパラメーターが平衡化され、一定になるまで、スプレーする。
3)供給溶液のスプレー乾燥を、スプレー乾燥機が平衡化したとき開始する。
4)乾燥粒子を、サイクロンにより処理ガスから慣性的に分離し、ポリエチレンバックに集める。その後、該処理ガスをフィルター処理して微粒子を取り出し、凝縮して処理溶媒を除去する。
5)最初のサンプルを取り出し、粒子サイズ分布ならびにバルクおよびタップ密度を試験する。
a)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内であって、標的に近いとき、処理を継続し、そしてサンプルをサンプリングプランに沿って取り出す。
b)粒子サイズ分布および密度が、合格基準内ではなく、標的に近くないとき、必要に応じて、処理を最適化する(例えば、下記の1個以上:出口温度、供給圧またはコンデンサー温度を変えることにより)。収集バッグを変え、合格基準外の粉末を別に集める。サンプルが本明細書の範囲内であるとき、現パラメーターでの処理を開始する。
【0272】
C)乾燥後処理
1)スプレー乾燥した分散体を、第2乾燥機に入れる。
2)全ての残留溶媒(塩化メチレン、アセトン、酢酸エチルおよびトルエン)が本明細書の記載以下になるまで、乾燥を継続する。
D)試験、出荷
1)この分散体のサンプルを、放出試験について試験する。
【0273】
装置
機械的スターラーおよび熱回路を備える8000L大規模反応機を、最初の溶液の混合に用いる。反応機(R32)をSLSと水の混合に用いる。大規模スプレー乾燥機(Niro Pharmaceutical Spray Dryer FSD12.5CC)を、通常の並流スプレー乾燥モードで用いる。圧力ノズルシステム(Spraying Systems Maximum Free Passage SK−MFPシリーズ類、オリフィス48−54、コア21)を用いる。溶媒−互換性/抵抗性ガスケットを有する高性能圧力ポンプは、スプレー乾燥容器中にアトマイザーを通して供給溶液を注入する。慣性的サイクロンにより、処理ガスから生成物を分離し、溶媒を蒸発させる。次いで、フィルターバックに、サイクロンにより分離されなかった微粒子を集める。得られたガスを凝縮して処理溶媒を取り出し、ヒーターおよびスプレー乾燥機に再利用する(密閉サイクル)。
【0274】
得られた生成物を、残留溶媒の乾燥のためにバイコニカル真空乾燥機(S901)に移す。乾燥生成物を、窒素スイープによりグローブボックス内に篩過し、パッケージングする。
【0275】
重要な処理コントロールおよびパラメーター
重要な処理コントロールおよびパラメーターは、スプレー乾燥およびバイコニカル乾燥処理の両方に必要である。一次処理コントロールおよびパラメーターは、予備研究バッチを用いて同定されている。
【0276】
実行時間全体で測定および記録される必要のあるスプレー乾燥工程に重要な処理コントロールおよびパラメーターは、下記:
・アトマイザー/設置したノズル
・供給圧
・入口温度
・コンデンサー温度設定
である。
【0277】
実行時間全体で測定および記録される必要のあるスプレー乾燥処理の重要な処理基準は、下記:
・溶液供給速度
・出口温度
・サイクロン差圧およびガス乾燥流速
である。
【0278】
表40は、スプレー乾燥処理パラメーター/基準、設定/範囲、および標的指針を定義する。
【表40】
【0279】
材料
用いた全ての賦形剤および処理溶媒は、ヨーロッパ薬局方、日本薬局方またはUSP/NFの現行の一般薬承認基準(monograph)に適合する。全ての賦形剤および処理溶媒は、適当な供給者から購入する。製造業者の分析証明を受領し、全ての受容した材料を試験する。
【表41】
【0280】
製造の変法
10%または30wt%溶液を該製造法で用いる。また、該溶液製造法を変えることができる。いくつかのバッチにおいて、SLS/DI水混合物を、メイン溶液反応機に最後に添加する。該スプレー乾燥機の入口温度をモニターするが、いくつかの製造においては、範囲または標的は定義されていない。減少した処理中サンプリングが指示される。充填前に該ポリマーのKF試験を行うことができる。
【0281】
他の態様
本発明の多くの態様および実施例が記載されているが、これらの態様および実施例は、本発明の製剤および薬剤レジメンを利用するさらなる態様および実施例を提供するために改変されてもよいことは明白である。故に、本発明の範囲は、上記の実施例として示されている特定の態様というよりむしろ、添付の特許請求の範囲により定義されるべきであることは、理解され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を、線維性架橋形成を有する患者に投与することを含む治療レジメン。
【請求項2】
ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を、肝硬変を有する患者に投与することを含む治療レジメン。
【請求項3】
VX−950を、約500mgないし約1500mg投与する、請求項1または2記載の治療レジメン。
【請求項4】
VX−950を、750mgを1日3回投与する、請求項3記載の治療レジメン。
【請求項5】
VX−950を8時間毎に投与する、請求項4記載の治療レジメン。
【請求項6】
VX−950を、1125mgを1日2回投与する、請求項3記載の治療レジメン。
【請求項7】
VX−950を12時間毎に投与する、請求項6記載の治療レジメン。
【請求項8】
ペグ化インターフェロンがインターフェロンαである、請求項1−7のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項9】
ペグ化インターフェロンがインターフェロンα2aである、請求項8記載の治療レジメン。
【請求項10】
ペグ化インターフェロンα2aを、1週間当たり180μg投与する、請求項9記載の治療レジメン。
【請求項11】
ペグ化インターフェロンがインターフェロンα2bである、請求項8記載の治療レジメン。
【請求項12】
ペグ化インターフェロンα2bを、1週間当たり1.5mg投与する、請求項11記載の治療レジメン。
【請求項13】
リバビリンを、1日当たり1000ないし1200mgを投与する、請求項1−12のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項14】
患者の少なくとも65%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−13のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項15】
患者の少なくとも75%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項14記載の治療レジメン。
【請求項16】
患者の少なくとも80%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項15記載の治療レジメン。
【請求項17】
患者の少なくとも85%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項16記載の治療レジメン。
【請求項18】
患者の少なくとも80%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−13のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項19】
患者の少なくとも84%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項18記載の治療レジメン。
【請求項20】
患者の少なくとも90%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項19記載の治療レジメン。
【請求項21】
患者の少なくとも93%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項20記載の治療レジメン。
【請求項22】
患者の少なくとも40%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−21のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項23】
患者の少なくとも50%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項22記載の治療レジメン。
【請求項24】
患者の少なくとも60%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項23記載の治療レジメン。
【請求項25】
患者の少なくとも70%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項24記載の治療レジメン。
【請求項26】
患者の少なくとも40%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−21のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項27】
患者の少なくとも50%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項26記載の治療レジメン。
【請求項28】
患者の少なくとも60%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項27記載の治療レジメン。
【請求項29】
患者の少なくとも70%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項28記載の治療レジメン。
【請求項30】
患者が未処置患者である、請求項1−29のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項31】
患者が、P/R 非応答患者である、請求項1−30のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項32】
ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を、第一段階に投与し、そしてペグ化インターフェロンおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に投与する、請求項1−31のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項33】
第二段階が、36週未満または約36週間である、請求項32記載の治療レジメン。
【請求項34】
第一段階が24週未満である、請求項33記載の治療レジメン。
【請求項35】
第一段階が約12週間である、請求項34記載の治療レジメン。
【請求項36】
第二段階が24週未満である、請求項33記載の治療レジメン。
【請求項37】
第二段階が約12週間である、請求項36記載の治療レジメン。
【請求項1】
ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を、線維性架橋形成を有する患者に投与することを含む治療レジメン。
【請求項2】
ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を、肝硬変を有する患者に投与することを含む治療レジメン。
【請求項3】
VX−950を、約500mgないし約1500mg投与する、請求項1または2記載の治療レジメン。
【請求項4】
VX−950を、750mgを1日3回投与する、請求項3記載の治療レジメン。
【請求項5】
VX−950を8時間毎に投与する、請求項4記載の治療レジメン。
【請求項6】
VX−950を、1125mgを1日2回投与する、請求項3記載の治療レジメン。
【請求項7】
VX−950を12時間毎に投与する、請求項6記載の治療レジメン。
【請求項8】
ペグ化インターフェロンがインターフェロンαである、請求項1−7のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項9】
ペグ化インターフェロンがインターフェロンα2aである、請求項8記載の治療レジメン。
【請求項10】
ペグ化インターフェロンα2aを、1週間当たり180μg投与する、請求項9記載の治療レジメン。
【請求項11】
ペグ化インターフェロンがインターフェロンα2bである、請求項8記載の治療レジメン。
【請求項12】
ペグ化インターフェロンα2bを、1週間当たり1.5mg投与する、請求項11記載の治療レジメン。
【請求項13】
リバビリンを、1日当たり1000ないし1200mgを投与する、請求項1−12のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項14】
患者の少なくとも65%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−13のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項15】
患者の少なくとも75%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項14記載の治療レジメン。
【請求項16】
患者の少なくとも80%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項15記載の治療レジメン。
【請求項17】
患者の少なくとも85%が、第4週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項16記載の治療レジメン。
【請求項18】
患者の少なくとも80%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−13のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項19】
患者の少なくとも84%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項18記載の治療レジメン。
【請求項20】
患者の少なくとも90%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項19記載の治療レジメン。
【請求項21】
患者の少なくとも93%が、第12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項20記載の治療レジメン。
【請求項22】
患者の少なくとも40%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−21のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項23】
患者の少なくとも50%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項22記載の治療レジメン。
【請求項24】
患者の少なくとも60%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項23記載の治療レジメン。
【請求項25】
患者の少なくとも70%が、投与完了後12週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項24記載の治療レジメン。
【請求項26】
患者の少なくとも40%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項1−21のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項27】
患者の少なくとも50%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項26記載の治療レジメン。
【請求項28】
患者の少なくとも60%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項27記載の治療レジメン。
【請求項29】
患者の少なくとも70%が、投与完了後24週で検出不可能なHCV RNAレベルを有する、請求項28記載の治療レジメン。
【請求項30】
患者が未処置患者である、請求項1−29のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項31】
患者が、P/R 非応答患者である、請求項1−30のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項32】
ペグ化インターフェロン、リバビリンおよびVX−950を、第一段階に投与し、そしてペグ化インターフェロンおよびリバビリンを第一段階後の第二段階に投与する、請求項1−31のいずれか一項記載の治療レジメン。
【請求項33】
第二段階が、36週未満または約36週間である、請求項32記載の治療レジメン。
【請求項34】
第一段階が24週未満である、請求項33記載の治療レジメン。
【請求項35】
第一段階が約12週間である、請求項34記載の治療レジメン。
【請求項36】
第二段階が24週未満である、請求項33記載の治療レジメン。
【請求項37】
第二段階が約12週間である、請求項36記載の治療レジメン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2012−517478(P2012−517478A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550243(P2011−550243)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/023978
【国際公開番号】WO2010/093843
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/023978
【国際公開番号】WO2010/093843
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】
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