ペダルのシール装置
【課題】ペダルの連結アームを挿通するために床面の開口部に配置されたシール装置から土が落下することを防止する。
【解決手段】2枚の所定板厚からなるクッション部材21を並設し、その上に平行な切込みB,Bにより形成された後方舌部23a、前方舌部23bを有する薄板部材23を取付ける。ペダル連結アーム12aをクッション部材21の合せ面Aを変形して挿通し、かつ該連結アーム12aに前方及び後方舌部23a,23bの先端がその可撓性復元力により接する。
【解決手段】2枚の所定板厚からなるクッション部材21を並設し、その上に平行な切込みB,Bにより形成された後方舌部23a、前方舌部23bを有する薄板部材23を取付ける。ペダル連結アーム12aをクッション部材21の合せ面Aを変形して挿通し、かつ該連結アーム12aに前方及び後方舌部23a,23bの先端がその可撓性復元力により接する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足踏み操作するペダルが可動するために床面に形成した開口部を塞ぐシール装置に係り、例えばHST(静油圧式無段変速装置)を備えた作業車輌において、HST操作用のペダルのシール装置に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車輌のキャビンに設けられるペダルのシール装置として、下記特許文献1及び2のものが提案されている。特許文献1に記載のシール装置は、所定間隔の空隙を有する軟質ゴムと、該軟質ゴムの前記空隙側面から起立し、ブレーキペダル等の操作手段の連結部に摺動するように配置された起毛材と、を備え、前記起毛材が、前記連結部の移動を許容しつつ床面等のキャビン筺体面の開口部を閉塞するように構成している。
【0003】
また、前記連結部を挿通する切欠穴を有するゴム板を、前記空隙の間隔より広い間隔の非固着部を存して、前記軟質ゴムの上面に固着している。
【0004】
これにより、操作手段連結部が開口部内を摺動しても、起毛材自身の弾性力と、該起毛材を保護する軟質ゴムが起毛材の歪みを吸収して柔軟に対応することが相俟って、操作手段の位置の変化に迅速・良好に追従して、キャビンの外部との閉塞状態を維持する。また、操作手段の摺動時には、連結部はゴム板の切欠穴内を摺動すると共に、下方にある起毛材や軟質ゴムが一時的に変形しても、ゴム板の弾性復元力によりその変形を徐々に復元させて、長期に亘る使用を可能としている。
【0005】
特許文献2に記載のシール装置は、弾性体と、該弾性体の上に重着する弾性変形可能な発砲体とで構成される。これにより、操作具の直線的な操作が繰り返しなされても、当該操作具の外周面に密着する弾性体により運転席側への遮音性が保たれ、弾性体上に重着した発砲体により運転席側への防塵性が保たれ、特にキャビンに適用した場合、運転席の気密性を二重に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−329730号公報
【特許文献2】特開2006−313396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1のシール装置は、起毛体により操作手段連結部の移動を許容しつつ開口部を閉塞するので、靴に付着しているゴミ、土等が上記開口部から、起毛体内に落下すると、連結部が該起毛体を変形しつつ移動する毎に上記土は徐々に起毛体の下方に移動して、床面から下方の機械部分に入り込んでしまう。これにより、例えばHSTを操作するための機構部分の動きを阻害したり、摩耗を促進する等の不具合を生じる。
【0008】
前記特許文献2のシール装置は、弾性体の上に発砲体が重着されているので、該操作具案内溝部分が上方に突出することになり、床面に形成したペダル用の開口部に適用することは、ペダルの操作量を制限したり、また床面にフロアマットを敷く際に支障となる。
【0009】
そこで、本発明は、床面からの出っ張り量が小さく、かつ土等がペダル用開口部から床面下方に落下することを防止したペダルのシール装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、床面(10)上にペダル(12)が突出して、該ペダルの連結アーム(12a)が前記床面(10)の開口部(16a)を挿通して床下に延び、かつ前記床面の開口部に臨んで配置されて前記連結アーム(12a)を挿通するペダルのシール装置(20)において、
可撓性を有する薄板部材(23)を備え、
該薄板部材(23)は、前記連結アーム(12a)の幅に対応する間隔を隔てて形成された2本の平行な切込み(B,B)を、その中間で切断することにより形成された後方舌部(23a)と前方舌部(23b)とを有し、
前記後方舌部(23a)の前端及び前記前方舌部(23b)の後端は、その可撓性復元力により前記連結アーム(12a)に接し、前記ペダル(12)の操作位置の変更に伴う前記連結アーム(12a)の前後方向移動により、前記後方舌部(23a)及び前記前方舌部(23b)の少なくとも一方が上方に捲り上がる、
ことを特徴とするペダルのシール装置にある。
【0011】
更に、幅方向に並設された所定板厚からなる2枚のクッション部材(21,21)を備え、
これら並設されたクッション部材(21,21)の合せ面(A)を変形して前記連結アーム(12a)を挿通すると共に、前記ペダル(12)の操作に伴い前記連結アーム(12a)が前記合せ面(A)に沿って前後方向に移動し、
前記薄板部材(23)を、前記2枚のクッション部材(21,21)の上部に取付け、かつ平面視において、前記薄板部材(23)の切込み(B,B)と前記クッション部材(21,21)の合せ面(A)とが、互いに平行でかつ幅方向に所定量オフセットして配置されてなる。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載された構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によると、ラバー等の可撓性を有する薄板部材からなり、床面上の突出量に対する影響は少なく、かつその後方舌部及び前方舌部の先端がその可撓性復元力によりペダル連結アームに接して、ペダルの踏圧操作により靴に付いた土等が床面上に落下しても、上記薄板部材により床下に入り込むことを阻止することができ、かつペダルの操作により連結アームが前後方向に移動しても、後方及び前方の舌部の少なくとも一方が上方に捲り上って、上記舌部によるシール機能を維持しつつ、ペダルの滑らかな操作を許容することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によると、上記薄板部材の下方に、2枚のスポンジ等からなるクッション部材が並設して配置され、その合せ面を変形して連結アームが挿通すると共に、該合せ面に沿って連結アームの移動を許容し、かつ該合せ面と前記薄板部材の切込みとはオフセットして配置されるので、連結アームの挿通により上記合せ面の変形に基づき、連結アームの前後に3角形状の隙間ができても、前記薄板部材の後方及び前方舌部が上記隙間を塞いで、土等の床下への落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用し得る作業車輌であるトラクタを示す斜視図。
【図2】そのキャビン内の床面部分を示す斜視図。
【図3】HSTの中立時におけるHST操作用の前部ペダル部分を示す斜視図。
【図4】そのHST前進時を示す斜視図。
【図5】そのHST後進時を示す斜視図。
【図6】前部ペダル部分のシール装置を示す概略平面図。
【図7】バックミラーの取付けを示す斜視図。
【図8】ミラーステーの回動基部を透視した斜視図。
【図9】ミラーステーを分解した状態を示す斜視図で、(A)はキャップをセットした状態を示し、(B)はキャップをセットする前を示す。
【図10】ボンネットを開放したエンジン部分を示す平面図。
【図11】その給油口トレイを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。作業車輌であるトラクタ1は、図1に示すように、前輪2及び後輪3により支持されている機体5を有しており、該機体5の前部にはボンネット6で覆われてエンジンが配置され、後部にはキャビン7で覆われている運転席が配置されている。エンジンからの動力は、静油圧式無段変速装置(HST)を含むトランスミッションを介して駆動輪である後輪3及び前輪2に伝達され、所定速度で走行する。
【0017】
運転席9は、図2に示すように、上記キャビン7の一部を構成する床面10を有しており、該床面は、ミッションケース11の左右に延びるステップ10a,10bを有している。右ステップ10aには、HSTの変速用ペダルである前進用ペダル12、後進用ペダル13(図4参照)及び左右のブレーキにそれぞれ連結する左右ブレーキペダル15a,15bが床面10を挿通して配置され、図示しないが右ステップ10bにはクラッチペダルが配置されている。
【0018】
HSTは、前進用及び後進用ペダル12,13がシーソー状に一体に連結して、トラニオン軸に連動しており、前進用ペダル12を踏圧操作することにより、HSTは、前進方向にかつその操作量(位置)によって変速比が設定され、また後進用ペダル13を踏圧操作することによりHSTは、後進方向にかつその操作量(位置)によって変速比が設定される。一体の前進用及び後進用ペダル12,13は、HSTが中立位置になるように付勢されており、かつ図示しないロックレバーによりその操作位置をロック自在になっている。従って、ロックレバーをロック位置した状態では、前進用及び後進用ペダルはその操作位置に保持されて、HSTは、一定の変速比に保たれ、ロックレバーを解除位置にすることにより、HSTは中立位置に戻される。
【0019】
図2に詳示するように、床面10上には、フロアマット16が敷かれており、該フロアマットの開口部16a,16b,16cから前進用ペダル12の連結アーム12a及び左右ブレーキペダル15a,15bの連結アームがそれぞれ貫通して突出している。左右ブレーキペダル15a,15bは、連結アーム17により一体に操作されるように連結自在となっている。
【0020】
図3、図4及び図5は、上記フロアマット16を取外した状態の床面10(右ステップ10a)を示す。床面10上にはクッション19が敷設されており、上記前進用ペダル12の連結アーム12aを挿通する開口部には本発明に係るシール装置20が配置されている。即ち、上記クッション19は、上記連結アーム12aを挿通する部分が切取られており、該切除部分19aに上記シール装置20が嵌め込まれるように固定されている。シール装置20は、図6も参照して、長方形の所定板厚(例えば10mm)からなるスポンジ等の多孔素材からなるクッション部材21,21が2枚幅方向に並べて配置されており、該並設されるクッション部材21が互いに合わされる部分Aは、ペット(PET)樹脂22,22が一体に貼り付けられている。2板のクッション部材21,21の合せ面Aの間に前進用ペダル12の連結アーム12aが挟まれるようにして配置され、該前進用ペダル12の操作による連結アーム12aの前後方向移動は、上記クッション部材21が合せ面Aの一部を拡げるように変形して許容される。この際、上記クッション部材21の合せ面A側にはペッド樹脂22が貼り付けられており、上記連結アーム12aの滑りをよくして、前進用ペダル12が滑らかに操作される。
【0021】
上記2枚のクッション部材21,21の上にはラバー等の薄板部材23が配置されている。該薄板部材23は、上記クッション部材21の合せ面Aに平行に、かつペダルの連結アーム12aの幅と略々同じか又は僅かにそれより広い間隙でかつ連結アーム12aの前後方向移動量より長い長さに亘って2個の切込みB,Bが形成されており、かつ両切込みB,Bの長さ方向中間部において両切込みの間を横切るように切断されている。従って、ラバー等の薄板部材23は、上記切込みB,Bにより、その前後方向の端部が薄板本体と連結する前後2板の舌部23a,23bが形成される。そして、該薄板部材23の舌部23a,23bは、自由に変形するように、かつ連結アーム12aの前後移動に追従してその先端が該連結アームに当接するように所定復元力(可撓性)を有しており、また該薄板部材23は、上記舌部23aの変形が可能となるように、その本体周辺部にて上記クッション部材21上面に一体に貼り付けられる。
【0022】
図3は、HSTが中立位置にある状態での前進用ペダル12とシール装置20との関係を示す。該中立(ニュートラル)位置にあっては、トラクタ1の走行は停止状態にあり、前進用ペダル12は、中間位置にあって、その連結アーム12aは所定角度で前方に傾斜した状態にある。この状態では、薄板部材23の後方舌部23aは、その前端が連結アーム12aに接して上方に捲れ上がって撓んだ状態になり、かつ前方舌部23bは、その後端が連結アーム12aに接して、僅かに上方に捲れ上がるか又は圧縮された状態になる。
【0023】
図4は、HSTが前進位置における最高速状態での前進用ペダル12とシール装置20との関係を示す。運転者が前進用ペダル12を一杯踏圧操作することにより、前進用ペダル12は床面10に近接するように移動し、HSTは前進状態での最高変速比に設定され、トラクタ1は所定速度で前進する。この状態では、シール装置20における連結アーム12aは、上記中立位置に比して前方向に移動した位置となり、薄板部材23の後方舌部23aは、その先端が連結アーム12aに接しかつ略々真直ぐに伸びた状態になり、かつ前方舌部23bは、その後端が連結アーム12aに接して、連結アームの下方移動により引き摺られて下方に巻き込まれるか、その弾性により上方に捲れ上がるか、又は先端(後端)が潰されるように圧縮される。
【0024】
図5は、HSTが後進位置における最高速状態での前進ペダル12とシール装置20との関係を示す。運転者が後進用ペダル13(図4参照)を一杯踏圧操作することにより、それと一体の前進用ペダル12は、床面10から離れた最上位置に移動し、HSTは後進状態での最高速比に設定され、トラクタ1は、所定速度で後進する。この状態では、シール装置20における連結アーム12aは、前後方向位置及びその傾斜角度が前記中立位置と略々同じ位置にある。従って、薄板部材23の後方舌部23aは、その前端が連結アーム12aに接して上方に捲れ上がって撓んだ状態になり、かつ前方舌部23bは、その後端が連結アーム12aに接して、略々真直ぐで先端が僅かに圧縮された状態になる。
【0025】
上記中立位置、前進位置及び後進位置のどの状態にあっても、図6に示すように、左右のクッション部材21,21は、その合せ面Aに連結アーム12aを挟んだ状態にあって、該連結アームの前後に3角形状の空間C,Cが形成される。しかし、これら空間C,Cは、前記薄板部材23の前方舌部23b、後方舌部23aが連結アームの前後面に接することにより塞がれる。また、上記左右クッション部材21,21の合せ面Aと、薄板部材23の切込みB,Bとは平面視において異なる位置にある。従って、靴に付いたゴミ、土等がペダル12の操作により落下しても、該土等が、シール装置20により床下のペダルの操作機構部分に入り込むことを阻止される。
【0026】
HSTは、前進状態及び中立位置が多用されるが、前進ペダル12が前進側及び中立位置にある状態の場合は、前方舌部23bが平らな状態又はそれに近い状態にあり、上記連結アーム12aの前方側の3角形状空間Cを、上記略々平らな状態の前方舌部23bが完全に塞いで、土等の床下への落下を確実に防止できる。
【0027】
トラクタ1のキャビン7の前部左右ピラー7a,7aには、図1に示すように、斜め外方に突出して取付けステー29,29が固定されており、これら取付けステー29には、それぞれ取付けユニット30,30を介して左右のバックミラー31,31が取付けられている。取付けユニット30は、図7及び図8に示すように、上記取付けステー29にブラケット29aを介して一体に設けられた支持筒35に回動位置を調節自在に支持されたミラーステー36を有している。該ミラーステー36はコ字形状からなり、一端部36aが上記支持筒35に嵌挿し、他端部36bに取付けナット33及び位置調節部材34を介してミラー31が取付けられている。上記一端部36aにはロールピン37が横刺し状に貫通して固定されると共に、ブッシュ39を介して上記支持筒35に回動自在に、かつ該支持筒の内周に形成された段部と上記一端部36aの先端に螺合されたナット38との間にスプリング40が縮設されている。上記支持筒35の上面には複数個の位置決め溝35aが形成されており、上記スプリング40の付勢力によりロールピン37が位置決め溝35aに係合することにより、使用位置及び収納位置に切換えられる。
【0028】
上記ロールピン37がミラーステー36に横刺し状に圧入された後、塗装されて仕上げられており、その後該ロールピン37及び上記支持筒35の上部分を覆うように合成樹脂製のキャップ41がミラーステー36に嵌挿される。ミラーステー36の他端部36bは、位置調節部材34のボルト34aを取付けナット33で締付けて固定するため、プレート状になっている。
【0029】
そして、図9(A)(B)に示すように、上記キャップ41は、断面円形状のミラーステー36に嵌合する孔部41aと上記ロールピン37を覆うスカート部41bからなり、従って上記孔部41aの周長l2は、上記円形状のミラーステー36本体の周長l3と略々同じからなる(l2≒l3)。また、上記一端プレート部36bの周長l1は、上記ミラーステー36本体の周長l3と同じか又はそれより僅かに小さく設定されている(l1≦l2)。
【0030】
従って、キャップ41の孔部41aの周長l2は、ミラーステーの一端プレート部36bの周長l1と同じか又は僅かに小さいので(l1≦l2≒l3)、合成樹脂製のキャップ41は、スカート部41bを先方として潰すように変形され、その孔部41aが一端プレート部36bを嵌挿してミラーステー36に差込まれる。そして、孔部41aをミラーステー36の本体円形部に沿って移動して、スカート部41bがロールピン37を覆ってかつ該ロールピン37が孔部41aに当接して位置決めして、図9(A)に示すように、キャップ41が装着される。
【0031】
これにより、ロールピン37がミラーステー36に圧入した後に該ステーは塗装して仕上げられ、ロールピンの圧入により塗装を傷付けることを防止できる。また、キャップ41は、小判状に押し潰してミラーステーの一端部36aを貫通することができ、ミラーステーの取付け部の形状は、丸棒に限らず、プレート状等の任意の形状を適用可能で、好きなバックミラーを取付けることができる。
【0032】
図10は、エンジン部分を示す平面図であり、図中、45は燃料給油口、46はエンジンオイル給油口、47はマフラー、49はキャビン7内のエアコン用コンプレッサ、50は該コンプレッサとキャビン7のルーフ部分に配置されたエアコンユニットとを連通するサクションホースである。該サクションホース50は、上記エアコンユニットからキャビンリヤピラー、フェンダー、エンジン仕切部を通ってエンジン右前の上記コンプレッサ49に配管されている。
【0033】
燃料給油口45には、燃料給油時に燃料がオーバフローした際、高温になっているエンジンにかからないように皿形状の給油口トレイ51が設けられている。該給油口トレイ51には、該トレイ上の燃料を排出するためのドレン穴52及び該ドレン穴からエンジン下方に燃料を導くドレンホース53が設けられている。
【0034】
一般に、上記給油口トレイ51は、図11に示すように、ゴム等の柔かい材料からなり、金属製の給油口パイプ45aに一体に設けられたトレイ受け55,56により支えられて取付けられている。上記サクションホース50は比較的剛性の高い部材からなり、図10に示すように、該サクションホース50を、上記給油口トレイ51の下を通って上記コンプレッサ49に導く。
【0035】
これにより、上記サクションホース50を、給油口トレイ51を支える部材として用い、上記トレイ受け55,56の一部又は全部の代りとして、上記給油口トレイを支える専用の部材を省き、部品点数の削減及びコストダウンを図ることができる。また、上記サクションホース50は、給油口トレイ51を下方から広い範囲で支えることができ、該トレイ自体柔軟性のある材料からなるが、その変形を少くできる。また、前記ドレン穴52及びドレンホース53が配置されている給油口トレイ51の反対側に上記サクションホース50を通すことにより、給油口トレイ51をドレン側が下り勾配となるように配置することができ、該給油口トレイ51上にオーバフローした燃料を確実に排出して、トレイ内に燃料が残らないようにすることができる。また、サクションホース50は、給油口トレイ51の下方を通るため、エンジンオイル給油口46部分の空間を広くして、エンジンオイルの供給を容易にすることができる。
【0036】
なお、上述した実施の形態では、シール装置20をHSTの前進用ペダル12用として配置したが、これは、ブレーキペダル等の他のペダルにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 作業車輌(トラクタ)
7 キャビン
10 床面
10a,10b ステップ
12 (HSTの前進用)ペダル
12a 連結アーム
16a 開口
20 シール装置
21 クッション部材
23 薄板部材
23a 後方舌部
23b 前方舌部
A 合せ面
B 切込み
【技術分野】
【0001】
本発明は、足踏み操作するペダルが可動するために床面に形成した開口部を塞ぐシール装置に係り、例えばHST(静油圧式無段変速装置)を備えた作業車輌において、HST操作用のペダルのシール装置に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車輌のキャビンに設けられるペダルのシール装置として、下記特許文献1及び2のものが提案されている。特許文献1に記載のシール装置は、所定間隔の空隙を有する軟質ゴムと、該軟質ゴムの前記空隙側面から起立し、ブレーキペダル等の操作手段の連結部に摺動するように配置された起毛材と、を備え、前記起毛材が、前記連結部の移動を許容しつつ床面等のキャビン筺体面の開口部を閉塞するように構成している。
【0003】
また、前記連結部を挿通する切欠穴を有するゴム板を、前記空隙の間隔より広い間隔の非固着部を存して、前記軟質ゴムの上面に固着している。
【0004】
これにより、操作手段連結部が開口部内を摺動しても、起毛材自身の弾性力と、該起毛材を保護する軟質ゴムが起毛材の歪みを吸収して柔軟に対応することが相俟って、操作手段の位置の変化に迅速・良好に追従して、キャビンの外部との閉塞状態を維持する。また、操作手段の摺動時には、連結部はゴム板の切欠穴内を摺動すると共に、下方にある起毛材や軟質ゴムが一時的に変形しても、ゴム板の弾性復元力によりその変形を徐々に復元させて、長期に亘る使用を可能としている。
【0005】
特許文献2に記載のシール装置は、弾性体と、該弾性体の上に重着する弾性変形可能な発砲体とで構成される。これにより、操作具の直線的な操作が繰り返しなされても、当該操作具の外周面に密着する弾性体により運転席側への遮音性が保たれ、弾性体上に重着した発砲体により運転席側への防塵性が保たれ、特にキャビンに適用した場合、運転席の気密性を二重に高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−329730号公報
【特許文献2】特開2006−313396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1のシール装置は、起毛体により操作手段連結部の移動を許容しつつ開口部を閉塞するので、靴に付着しているゴミ、土等が上記開口部から、起毛体内に落下すると、連結部が該起毛体を変形しつつ移動する毎に上記土は徐々に起毛体の下方に移動して、床面から下方の機械部分に入り込んでしまう。これにより、例えばHSTを操作するための機構部分の動きを阻害したり、摩耗を促進する等の不具合を生じる。
【0008】
前記特許文献2のシール装置は、弾性体の上に発砲体が重着されているので、該操作具案内溝部分が上方に突出することになり、床面に形成したペダル用の開口部に適用することは、ペダルの操作量を制限したり、また床面にフロアマットを敷く際に支障となる。
【0009】
そこで、本発明は、床面からの出っ張り量が小さく、かつ土等がペダル用開口部から床面下方に落下することを防止したペダルのシール装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、床面(10)上にペダル(12)が突出して、該ペダルの連結アーム(12a)が前記床面(10)の開口部(16a)を挿通して床下に延び、かつ前記床面の開口部に臨んで配置されて前記連結アーム(12a)を挿通するペダルのシール装置(20)において、
可撓性を有する薄板部材(23)を備え、
該薄板部材(23)は、前記連結アーム(12a)の幅に対応する間隔を隔てて形成された2本の平行な切込み(B,B)を、その中間で切断することにより形成された後方舌部(23a)と前方舌部(23b)とを有し、
前記後方舌部(23a)の前端及び前記前方舌部(23b)の後端は、その可撓性復元力により前記連結アーム(12a)に接し、前記ペダル(12)の操作位置の変更に伴う前記連結アーム(12a)の前後方向移動により、前記後方舌部(23a)及び前記前方舌部(23b)の少なくとも一方が上方に捲り上がる、
ことを特徴とするペダルのシール装置にある。
【0011】
更に、幅方向に並設された所定板厚からなる2枚のクッション部材(21,21)を備え、
これら並設されたクッション部材(21,21)の合せ面(A)を変形して前記連結アーム(12a)を挿通すると共に、前記ペダル(12)の操作に伴い前記連結アーム(12a)が前記合せ面(A)に沿って前後方向に移動し、
前記薄板部材(23)を、前記2枚のクッション部材(21,21)の上部に取付け、かつ平面視において、前記薄板部材(23)の切込み(B,B)と前記クッション部材(21,21)の合せ面(A)とが、互いに平行でかつ幅方向に所定量オフセットして配置されてなる。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載された構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によると、ラバー等の可撓性を有する薄板部材からなり、床面上の突出量に対する影響は少なく、かつその後方舌部及び前方舌部の先端がその可撓性復元力によりペダル連結アームに接して、ペダルの踏圧操作により靴に付いた土等が床面上に落下しても、上記薄板部材により床下に入り込むことを阻止することができ、かつペダルの操作により連結アームが前後方向に移動しても、後方及び前方の舌部の少なくとも一方が上方に捲り上って、上記舌部によるシール機能を維持しつつ、ペダルの滑らかな操作を許容することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によると、上記薄板部材の下方に、2枚のスポンジ等からなるクッション部材が並設して配置され、その合せ面を変形して連結アームが挿通すると共に、該合せ面に沿って連結アームの移動を許容し、かつ該合せ面と前記薄板部材の切込みとはオフセットして配置されるので、連結アームの挿通により上記合せ面の変形に基づき、連結アームの前後に3角形状の隙間ができても、前記薄板部材の後方及び前方舌部が上記隙間を塞いで、土等の床下への落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用し得る作業車輌であるトラクタを示す斜視図。
【図2】そのキャビン内の床面部分を示す斜視図。
【図3】HSTの中立時におけるHST操作用の前部ペダル部分を示す斜視図。
【図4】そのHST前進時を示す斜視図。
【図5】そのHST後進時を示す斜視図。
【図6】前部ペダル部分のシール装置を示す概略平面図。
【図7】バックミラーの取付けを示す斜視図。
【図8】ミラーステーの回動基部を透視した斜視図。
【図9】ミラーステーを分解した状態を示す斜視図で、(A)はキャップをセットした状態を示し、(B)はキャップをセットする前を示す。
【図10】ボンネットを開放したエンジン部分を示す平面図。
【図11】その給油口トレイを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。作業車輌であるトラクタ1は、図1に示すように、前輪2及び後輪3により支持されている機体5を有しており、該機体5の前部にはボンネット6で覆われてエンジンが配置され、後部にはキャビン7で覆われている運転席が配置されている。エンジンからの動力は、静油圧式無段変速装置(HST)を含むトランスミッションを介して駆動輪である後輪3及び前輪2に伝達され、所定速度で走行する。
【0017】
運転席9は、図2に示すように、上記キャビン7の一部を構成する床面10を有しており、該床面は、ミッションケース11の左右に延びるステップ10a,10bを有している。右ステップ10aには、HSTの変速用ペダルである前進用ペダル12、後進用ペダル13(図4参照)及び左右のブレーキにそれぞれ連結する左右ブレーキペダル15a,15bが床面10を挿通して配置され、図示しないが右ステップ10bにはクラッチペダルが配置されている。
【0018】
HSTは、前進用及び後進用ペダル12,13がシーソー状に一体に連結して、トラニオン軸に連動しており、前進用ペダル12を踏圧操作することにより、HSTは、前進方向にかつその操作量(位置)によって変速比が設定され、また後進用ペダル13を踏圧操作することによりHSTは、後進方向にかつその操作量(位置)によって変速比が設定される。一体の前進用及び後進用ペダル12,13は、HSTが中立位置になるように付勢されており、かつ図示しないロックレバーによりその操作位置をロック自在になっている。従って、ロックレバーをロック位置した状態では、前進用及び後進用ペダルはその操作位置に保持されて、HSTは、一定の変速比に保たれ、ロックレバーを解除位置にすることにより、HSTは中立位置に戻される。
【0019】
図2に詳示するように、床面10上には、フロアマット16が敷かれており、該フロアマットの開口部16a,16b,16cから前進用ペダル12の連結アーム12a及び左右ブレーキペダル15a,15bの連結アームがそれぞれ貫通して突出している。左右ブレーキペダル15a,15bは、連結アーム17により一体に操作されるように連結自在となっている。
【0020】
図3、図4及び図5は、上記フロアマット16を取外した状態の床面10(右ステップ10a)を示す。床面10上にはクッション19が敷設されており、上記前進用ペダル12の連結アーム12aを挿通する開口部には本発明に係るシール装置20が配置されている。即ち、上記クッション19は、上記連結アーム12aを挿通する部分が切取られており、該切除部分19aに上記シール装置20が嵌め込まれるように固定されている。シール装置20は、図6も参照して、長方形の所定板厚(例えば10mm)からなるスポンジ等の多孔素材からなるクッション部材21,21が2枚幅方向に並べて配置されており、該並設されるクッション部材21が互いに合わされる部分Aは、ペット(PET)樹脂22,22が一体に貼り付けられている。2板のクッション部材21,21の合せ面Aの間に前進用ペダル12の連結アーム12aが挟まれるようにして配置され、該前進用ペダル12の操作による連結アーム12aの前後方向移動は、上記クッション部材21が合せ面Aの一部を拡げるように変形して許容される。この際、上記クッション部材21の合せ面A側にはペッド樹脂22が貼り付けられており、上記連結アーム12aの滑りをよくして、前進用ペダル12が滑らかに操作される。
【0021】
上記2枚のクッション部材21,21の上にはラバー等の薄板部材23が配置されている。該薄板部材23は、上記クッション部材21の合せ面Aに平行に、かつペダルの連結アーム12aの幅と略々同じか又は僅かにそれより広い間隙でかつ連結アーム12aの前後方向移動量より長い長さに亘って2個の切込みB,Bが形成されており、かつ両切込みB,Bの長さ方向中間部において両切込みの間を横切るように切断されている。従って、ラバー等の薄板部材23は、上記切込みB,Bにより、その前後方向の端部が薄板本体と連結する前後2板の舌部23a,23bが形成される。そして、該薄板部材23の舌部23a,23bは、自由に変形するように、かつ連結アーム12aの前後移動に追従してその先端が該連結アームに当接するように所定復元力(可撓性)を有しており、また該薄板部材23は、上記舌部23aの変形が可能となるように、その本体周辺部にて上記クッション部材21上面に一体に貼り付けられる。
【0022】
図3は、HSTが中立位置にある状態での前進用ペダル12とシール装置20との関係を示す。該中立(ニュートラル)位置にあっては、トラクタ1の走行は停止状態にあり、前進用ペダル12は、中間位置にあって、その連結アーム12aは所定角度で前方に傾斜した状態にある。この状態では、薄板部材23の後方舌部23aは、その前端が連結アーム12aに接して上方に捲れ上がって撓んだ状態になり、かつ前方舌部23bは、その後端が連結アーム12aに接して、僅かに上方に捲れ上がるか又は圧縮された状態になる。
【0023】
図4は、HSTが前進位置における最高速状態での前進用ペダル12とシール装置20との関係を示す。運転者が前進用ペダル12を一杯踏圧操作することにより、前進用ペダル12は床面10に近接するように移動し、HSTは前進状態での最高変速比に設定され、トラクタ1は所定速度で前進する。この状態では、シール装置20における連結アーム12aは、上記中立位置に比して前方向に移動した位置となり、薄板部材23の後方舌部23aは、その先端が連結アーム12aに接しかつ略々真直ぐに伸びた状態になり、かつ前方舌部23bは、その後端が連結アーム12aに接して、連結アームの下方移動により引き摺られて下方に巻き込まれるか、その弾性により上方に捲れ上がるか、又は先端(後端)が潰されるように圧縮される。
【0024】
図5は、HSTが後進位置における最高速状態での前進ペダル12とシール装置20との関係を示す。運転者が後進用ペダル13(図4参照)を一杯踏圧操作することにより、それと一体の前進用ペダル12は、床面10から離れた最上位置に移動し、HSTは後進状態での最高速比に設定され、トラクタ1は、所定速度で後進する。この状態では、シール装置20における連結アーム12aは、前後方向位置及びその傾斜角度が前記中立位置と略々同じ位置にある。従って、薄板部材23の後方舌部23aは、その前端が連結アーム12aに接して上方に捲れ上がって撓んだ状態になり、かつ前方舌部23bは、その後端が連結アーム12aに接して、略々真直ぐで先端が僅かに圧縮された状態になる。
【0025】
上記中立位置、前進位置及び後進位置のどの状態にあっても、図6に示すように、左右のクッション部材21,21は、その合せ面Aに連結アーム12aを挟んだ状態にあって、該連結アームの前後に3角形状の空間C,Cが形成される。しかし、これら空間C,Cは、前記薄板部材23の前方舌部23b、後方舌部23aが連結アームの前後面に接することにより塞がれる。また、上記左右クッション部材21,21の合せ面Aと、薄板部材23の切込みB,Bとは平面視において異なる位置にある。従って、靴に付いたゴミ、土等がペダル12の操作により落下しても、該土等が、シール装置20により床下のペダルの操作機構部分に入り込むことを阻止される。
【0026】
HSTは、前進状態及び中立位置が多用されるが、前進ペダル12が前進側及び中立位置にある状態の場合は、前方舌部23bが平らな状態又はそれに近い状態にあり、上記連結アーム12aの前方側の3角形状空間Cを、上記略々平らな状態の前方舌部23bが完全に塞いで、土等の床下への落下を確実に防止できる。
【0027】
トラクタ1のキャビン7の前部左右ピラー7a,7aには、図1に示すように、斜め外方に突出して取付けステー29,29が固定されており、これら取付けステー29には、それぞれ取付けユニット30,30を介して左右のバックミラー31,31が取付けられている。取付けユニット30は、図7及び図8に示すように、上記取付けステー29にブラケット29aを介して一体に設けられた支持筒35に回動位置を調節自在に支持されたミラーステー36を有している。該ミラーステー36はコ字形状からなり、一端部36aが上記支持筒35に嵌挿し、他端部36bに取付けナット33及び位置調節部材34を介してミラー31が取付けられている。上記一端部36aにはロールピン37が横刺し状に貫通して固定されると共に、ブッシュ39を介して上記支持筒35に回動自在に、かつ該支持筒の内周に形成された段部と上記一端部36aの先端に螺合されたナット38との間にスプリング40が縮設されている。上記支持筒35の上面には複数個の位置決め溝35aが形成されており、上記スプリング40の付勢力によりロールピン37が位置決め溝35aに係合することにより、使用位置及び収納位置に切換えられる。
【0028】
上記ロールピン37がミラーステー36に横刺し状に圧入された後、塗装されて仕上げられており、その後該ロールピン37及び上記支持筒35の上部分を覆うように合成樹脂製のキャップ41がミラーステー36に嵌挿される。ミラーステー36の他端部36bは、位置調節部材34のボルト34aを取付けナット33で締付けて固定するため、プレート状になっている。
【0029】
そして、図9(A)(B)に示すように、上記キャップ41は、断面円形状のミラーステー36に嵌合する孔部41aと上記ロールピン37を覆うスカート部41bからなり、従って上記孔部41aの周長l2は、上記円形状のミラーステー36本体の周長l3と略々同じからなる(l2≒l3)。また、上記一端プレート部36bの周長l1は、上記ミラーステー36本体の周長l3と同じか又はそれより僅かに小さく設定されている(l1≦l2)。
【0030】
従って、キャップ41の孔部41aの周長l2は、ミラーステーの一端プレート部36bの周長l1と同じか又は僅かに小さいので(l1≦l2≒l3)、合成樹脂製のキャップ41は、スカート部41bを先方として潰すように変形され、その孔部41aが一端プレート部36bを嵌挿してミラーステー36に差込まれる。そして、孔部41aをミラーステー36の本体円形部に沿って移動して、スカート部41bがロールピン37を覆ってかつ該ロールピン37が孔部41aに当接して位置決めして、図9(A)に示すように、キャップ41が装着される。
【0031】
これにより、ロールピン37がミラーステー36に圧入した後に該ステーは塗装して仕上げられ、ロールピンの圧入により塗装を傷付けることを防止できる。また、キャップ41は、小判状に押し潰してミラーステーの一端部36aを貫通することができ、ミラーステーの取付け部の形状は、丸棒に限らず、プレート状等の任意の形状を適用可能で、好きなバックミラーを取付けることができる。
【0032】
図10は、エンジン部分を示す平面図であり、図中、45は燃料給油口、46はエンジンオイル給油口、47はマフラー、49はキャビン7内のエアコン用コンプレッサ、50は該コンプレッサとキャビン7のルーフ部分に配置されたエアコンユニットとを連通するサクションホースである。該サクションホース50は、上記エアコンユニットからキャビンリヤピラー、フェンダー、エンジン仕切部を通ってエンジン右前の上記コンプレッサ49に配管されている。
【0033】
燃料給油口45には、燃料給油時に燃料がオーバフローした際、高温になっているエンジンにかからないように皿形状の給油口トレイ51が設けられている。該給油口トレイ51には、該トレイ上の燃料を排出するためのドレン穴52及び該ドレン穴からエンジン下方に燃料を導くドレンホース53が設けられている。
【0034】
一般に、上記給油口トレイ51は、図11に示すように、ゴム等の柔かい材料からなり、金属製の給油口パイプ45aに一体に設けられたトレイ受け55,56により支えられて取付けられている。上記サクションホース50は比較的剛性の高い部材からなり、図10に示すように、該サクションホース50を、上記給油口トレイ51の下を通って上記コンプレッサ49に導く。
【0035】
これにより、上記サクションホース50を、給油口トレイ51を支える部材として用い、上記トレイ受け55,56の一部又は全部の代りとして、上記給油口トレイを支える専用の部材を省き、部品点数の削減及びコストダウンを図ることができる。また、上記サクションホース50は、給油口トレイ51を下方から広い範囲で支えることができ、該トレイ自体柔軟性のある材料からなるが、その変形を少くできる。また、前記ドレン穴52及びドレンホース53が配置されている給油口トレイ51の反対側に上記サクションホース50を通すことにより、給油口トレイ51をドレン側が下り勾配となるように配置することができ、該給油口トレイ51上にオーバフローした燃料を確実に排出して、トレイ内に燃料が残らないようにすることができる。また、サクションホース50は、給油口トレイ51の下方を通るため、エンジンオイル給油口46部分の空間を広くして、エンジンオイルの供給を容易にすることができる。
【0036】
なお、上述した実施の形態では、シール装置20をHSTの前進用ペダル12用として配置したが、これは、ブレーキペダル等の他のペダルにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 作業車輌(トラクタ)
7 キャビン
10 床面
10a,10b ステップ
12 (HSTの前進用)ペダル
12a 連結アーム
16a 開口
20 シール装置
21 クッション部材
23 薄板部材
23a 後方舌部
23b 前方舌部
A 合せ面
B 切込み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上にペダルが突出して、該ペダルの連結アームが前記床面の開口部を挿通して床下に延び、かつ前記床面の開口部に臨んで配置されて前記連結アームを挿通するペダルのシール装置において、
可撓性を有する薄板部材を備え、
該薄板部材は、前記連結アームの幅に対応する間隔を隔てて形成された2本の平行な切込みを、その中間で切断することにより形成された後方舌部と前方舌部とを有し、
前記後方舌部の前端及び前記前方舌部の後端は、その可撓性復元力により前記連結アームに接し、前記ペダルの操作位置の変更に伴う前記連結アームの前後方向移動により、前記後方舌部及び前記前方舌部の少なくとも一方が上方に捲り上がる、
ことを特徴とするペダルのシール装置。
【請求項2】
幅方向に並設された所定板厚からなる2枚のクッション部材を備え、
これら並設されたクッション部材の合せ面を変形して前記連結アームを挿通すると共に、前記ペダルの操作に伴い前記連結アームが前記合せ面に沿って前後方向に移動し、
前記薄板部材を、前記2枚のクッション部材の上部に取付け、かつ平面視において、前記薄板部材の切込みと前記クッション部材の合せ面とが、互いに平行でかつ幅方向に所定量オフセットして配置されてなる、
請求項1記載のペダルのシール装置。
【請求項1】
床面上にペダルが突出して、該ペダルの連結アームが前記床面の開口部を挿通して床下に延び、かつ前記床面の開口部に臨んで配置されて前記連結アームを挿通するペダルのシール装置において、
可撓性を有する薄板部材を備え、
該薄板部材は、前記連結アームの幅に対応する間隔を隔てて形成された2本の平行な切込みを、その中間で切断することにより形成された後方舌部と前方舌部とを有し、
前記後方舌部の前端及び前記前方舌部の後端は、その可撓性復元力により前記連結アームに接し、前記ペダルの操作位置の変更に伴う前記連結アームの前後方向移動により、前記後方舌部及び前記前方舌部の少なくとも一方が上方に捲り上がる、
ことを特徴とするペダルのシール装置。
【請求項2】
幅方向に並設された所定板厚からなる2枚のクッション部材を備え、
これら並設されたクッション部材の合せ面を変形して前記連結アームを挿通すると共に、前記ペダルの操作に伴い前記連結アームが前記合せ面に沿って前後方向に移動し、
前記薄板部材を、前記2枚のクッション部材の上部に取付け、かつ平面視において、前記薄板部材の切込みと前記クッション部材の合せ面とが、互いに平行でかつ幅方向に所定量オフセットして配置されてなる、
請求項1記載のペダルのシール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−78997(P2012−78997A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222424(P2010−222424)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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