説明

ペンタフルオロスルファニルフェニル−置換ベンゾイルグアニジン、それらの製造方法、医薬または診断用薬としてのそれらの使用、およびそれらの化合物を含有する医薬

本発明は、ペンタフルオロスルファニルフェニル−置換ベンゾイルグアニジン、それらの製造方法、医薬または診断用薬としてのそれらの使用、およびそれらの化合物を含有する医薬に関する。これらのペンタフルオロスルファニルフェニル−置換ベンゾイルグアニジンは、式(I)
【化1】


(R1〜R5は特許請求の範囲で言及された意味を有する)のものであり、そして例えば、梗塞を予防するため、梗塞を治療するためおよび狭心症を治療するための心臓保護成分を有する抗不整脈薬としての使用に適切である。これらの化合物は、虚血により誘発される損傷の発生時、特に虚血により誘発される心不整脈の開始時における病態生理学的過程を予防的にですら阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンタフルオロスルファニルフェニル−置換ベンゾイルグアニジン、それらの製造方法、医薬または診断用薬としてのそれらの使用、およびそれらの化合物を含有する医薬に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、式I:
【化1】

のペンタフルオロスルファニルフェニル−置換ベンゾイルグアニジンおよびそれらの薬学的に受容可能な塩に関する。
【0003】
式中、
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、Br、I、−CN、NR6R7、−O−(CH2b−(CF2c−CF3または−(SOde−(CH2f−(CF2g−CF3であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
dは、0、1または2であり;
b、c、e、fおよびgは、互いに独立して、0または1であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、NR6R7、−O−(CH2b−(CF2c−CF3、−(SOhk−(CH2l−(CF2m−CF3、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル(1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)、−(CH2n−フェニル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Oo−(CH2p−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1、2もしくは3個の基で置換されている)、または−(CH2q−ヘテロアリール(これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Or−(CH2s−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1、2もしくは3個の基で置換されている)であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
bおよびcは、互いに独立して、0または1であり;
hは、0、1または2であり;
kは、0または1であり;
lは、0、1、2、3または4であり;
mおよびoは、互いに独立して、0または1であり;
pは、0、1、2または3であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
rは、0または1であり;
sは、0、1、2または3であり;
qは、0、1、2、3または4であり;
【0004】
R3は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシまたは−Ot−(CH2u−CF3であり;
tは、0または1であり;
uは、0、1、2または3であり;
R4は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、NR6R7、−(SOvw−(CH2x−(CF2y−CF3、−O−(CH2aa−(CF2bb−CF3、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシまたは3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル(1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
vは、0、1または2であり;
xは、0、1、2、3または4であり;
w、y、aaおよびbbは、互いに独立して、0または1であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Odd−(CH2ee−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1、2または3個の基で置換されている−(CH2cc−フェニルであり;
ddは、0または1であり;
eeは、0、1、2または3であり;
ccは、0、1、2、3または4であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Ogg−(CH2hh−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1、2または3個の基で置換されている−(CH2ff−ヘテロアリールであり;
ggは、0または1であり;
hhは、0、1、2または3であり;
ffは、0、1、2、3または4であり;
R5は、F、Cl、Br、I、CF3、−SO2CH3または−S(O)OCH3であり;
Xは、直接の結合、O、NR8、S(O)kkであり;
R8は、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、−(CH2mm−CF3、または−SO2CH3であり;
kkは、0、1または2であり;
mmは、0、1、2または3であり;
ここで、R1およびR1’ならびにR2およびR2’の定義における−O−(CH2b−(CF2c−CF3は、互いに独立して選択され得、
R1およびR1’、R2およびR2’ならびにR4の定義におけるNR6R7は、互いに独立して選択され得る。
【0005】
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、NR6R7、−O−CH2−CF3または−(SOde−(CH2f−CF3であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
dは、0、1または2であり;
eおよびfは、互いに独立して、0または1であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、 F、Cl、−SO2CH3、−(SOhk−(CH2l−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)、フェニル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Oo−(CH2p−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されている)、またはヘテロアリール(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Or−(CH2s−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されている)であり;
hは、0、1または2であり;
kは、0または1であり;
lは、0、1、2、3または4であり;
oは、0または1であり;
pは、0、1、2または3であり;
rは、0または1であり;
sは、0、1、2または3であり;
R3は、水素、F、Cl、−SO2CH3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシまたは−Ot−(CH2u−CF3であり、
tは、0または1であり;
uは、0、1、2または3であり;
R4は、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOvw−(CH2x−CF3、−O−(CH2aa−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシまたは3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
vは、0、1または2であり;
w、xおよびaaは、互いに独立して、0または1であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、−Odd−(CH2ee−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されているフェニルであり;
ddおよびeeは、互いに独立して、0または1であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、−Ogg−(CH2hh−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されているヘテロアリールであり;
ggおよびhhは、互いに独立して、0または1であり;
R5は、F、Cl、CF3、−SO2CH3または−S(O)OCH3であり;
Xは、直接の結合、O、NR8またはS(O)kkであり;
R8は、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、−CH2−CF3または−SO2CH3であり;
kkは、0、1または2である;
式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩が好ましい。
【0006】
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、NR6R7、−O−CH2−CF3または−(SOde−(CH2f−CF3であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
dは、0、1または2であり;
eおよびfは、互いに独立して、0または1であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOhk−(CH2l−CF3、メチル、3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)、フェニル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Oo−(CH2p−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される基で置換されている)、またはヘテロアリール(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Or−(CH2s−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される基で置換されている)であり;
hは、0、1または2;であり
k、l、o、p、rおよびsは、互いに独立して、0または1であり;
R3は、水素、F、Cl、−SO2CH3、メチル、メトキシ、エトキシまたは−Ot−(CH2u−CF3であり;
tおよびuは、互いに独立して、0または1であり;
R4は、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOvw−(CH2x−CF3、−Oz−(CH2aa−CF3、メチル、メトキシ、エトキシまたは3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
vは、0、1または2であり;
w、x、zおよびaaは、互いに独立して、0または1であり;
R5は、F、Clまたは−SO2CH3であり;
Xは、直接の結合、O、NR8またはS(O)kkであり;
R8は、水素、メチル、エチル、−CH2−CF3または−SO2CH3であり;
kkは、0、1または2である;
式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩が特に好ましい。
【0007】
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、メチル、F、Cl、−CF3または−O−CH2−CF3であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、−SO2CH3、−SO2−CF3、−CF3またはメチルであり;
R3は、水素、F、Clまたはメチルであり;
R4は、水素、F、Clまたはメチルであり;
R5は、−SO2CH3であり;
Xは、Oである;
式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩が非常に好ましい。
【0008】
1つの実施形態において、R1およびR1’が互いに独立して、水素、メチル、F、Cl、−CF3または−O−CH2−CF3であると記載される式Iの化合物がなお好ましく、そしてR1およびR1’が互いに独立して、水素またはメチルであると記載される化合物が特に好ましい。さらなる実施形態において、R2およびR2’が互いに独立して、水素、F、Cl、−SO2CH3、−SO2CF3、−CF3またはメチルであると記載される式Iの化合物が好ましく、そしてR2およびR2’が互いに独立して、水素または−SO2CH3であると記載される化合物が特に好ましい。さらなる実施形態において、R3が水素、F、Cl、−SO2CH3、メチル、−CF3または−O−CH2−CF3であると記載される式Iの化合物が好ましく、そしてR3が水素であると記載される化合物が特に好ましい。
【0009】
さらなる実施形態において、R4が水素、F、Cl、−SO2CH3、−O−CH2−CF3またはメチルであると記載される式Iの化合物が好ましく、そしてR4が水素で
あると記載される化合物が特に好ましい。さらなる実施形態において、R5がF、Cl、CF3、−SO2CH3または−S(O)OCH3(特に、−SO2CH3)であると記載される式Iの化合物が好ましい。さらなる実施形態において、Xが直接の結合であるか、またはO、NR8もしくはS(O)kkであると記載され、R8が水素、メチル、エチル、−CH2−CF3または−SO2CH3(好ましくは、水素またはメチル)であり、そしてkkが0、1または2(好ましくは0または2)である式Iの化合物が好ましく;そしてXがOであると記載される式Iの化合物が特に好ましい。
【0010】
1つより多く存在する基は同じかまたは異なっていてもよく、そして互いに独立して、規定された意味を有する。
【0011】
N−[5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル−ベンゾイル]グアニジンおよびそれらの薬学的に受容可能な塩が特に好ましい。
【0012】
置換基R1、R1’、R2、R2’、R3、R4またはR5が1個またはそれ以上の不斉中心を含む場合、これらは互いに独立してS立体配置およびR立体配置の両方を有し得る。本化合物は、光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体または任意の比率のそれらの混合物の形態で存在してもよい。
【0013】
本発明は、式Iの化合物の全ての互変異性体を包含する。
【0014】
アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状であり得る。これはまた、それらが置換基を有するか、または他の基の置換基(例えば、フルオロアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基およびアルキルスルホニル基)として存在する場合にも適用される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル(=1−メチルエチル)、n−ブチル、イソブチル(=2−メチルプロピル)、sec−ブチル(=1−メチルプロピル)、tert−ブチル(=1,1−ジメチルエチル)、ペンチルおよびヘキシルである。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルであり、メチルおよびエチルが特に好ましい。アルキル基の1個またはそれ以上(例えば、1、2、3、4または5個)の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。このようなフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよびペンタフルオロエチルである。置換アルキル基は、いかなる位置で置換されていてもよい。
【0015】
シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。シクロアルキル基の1個またはそれ以上(例えば、1、2、3または4個)の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。置換シクロアルキル基は、いかなる位置で置換されていてもよい。
【0016】
フェニル基は非置換であっても、または同一もしくは異なる基で1回またはそれ以上(例えば、1回、2回または3回)置換されてもよい。これは、例えば、フェニルアルキルまたはフェニルオキシのような基の中のフェニル基にも同様に適用される。一置換フェニル基の置換基は、2位、3位または4位に存在し得る。二置換フェニルは2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位または3,5位で置換され得る。三置換フェニル基の置換基は、2,3,4位、2,3,5位、2,4,5位、2,4,6位、2,3,6位または3,4,5位に存在し得る。
【0017】
ヘテロアリール基は1個またはそれ以上の環原子が酸素原子、硫黄原子または窒素原子(例えば、1、2もしくは3個の窒素原子、1もしくは2個の酸素原子、1もしくは2個の硫黄原子)または種々のヘテロ原子の組合せである芳香環化合物である。ヘテロアリール基は、すべての位置(例えば、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位)で結合し得る。ヘテロアリール基は非置換であっても、あるいは同一または異なる基で1回またはそれ以上(例えば、1回、2回または3回)置換されていてもよい。これは、例えばヘテロアリールアルキル基のようなヘテロアリール基にも同様に適用される。ヘテロアリールの例としては、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニルおよびシンノリニルである。
【0018】
ヘテロアリール基は、特に、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イルまたは−5−イル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、3−または4−ピリダジニル、2−または3−ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、1−、2−、4−または5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−キノキサリニル、1−、4−、5−、6−、7−または8−フタラジニルである。これらの化合物の対応するN−オキシド、すなわち、例えば1−オキシ−2−、3−または4−ピリジルもまた包含される。特に好ましいヘテロアリール基は、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−、4−または5−イミダゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−または3−ピラジニル、2−、4−、5−または6−ピリミジニルおよび3−または4−ピリダジニルである。
【0019】
本発明はまた、式Iの化合物を製造するための、以下に記載される方法に関する。
【0020】
本発明は、Xが酸素である式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を製造する方法(スキーム1)に関し、
a)式IIIのフェノールを式IVの芳香族化合物と反応させて、式Vの化合物を得、
b)求電子芳香族置換反応によってR5を導入して、そして式VIの化合物に変換し、そして
c)式VIの化合物をグアニジンと反応させて、式Iaのアシルグアニジンを得ることを包含する
【化2】

(ここで、R1、R1’、R2、R2’、R3、R4およびR5は上記の意味を有し、そして、
Halは、F、Cl、BrまたはIであり、
R9は、水素または1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルである)。
【0021】
式IIIのフェノールを、適切な溶媒、好ましくは双極性非プロトン溶媒(例えば、アセトニトリル、DMF、NMPまたはDMSO)中で、無機塩基(例えば、K2CO3もしくはCs2CO3)または有機塩基(例えば、トリエチルアミンもしくはTBTMG)を用いて、0℃〜使用される溶媒の沸点の間の温度にて脱プロトン化し、次いで0℃〜使用される溶媒の沸点の間の温度、好ましくは、RT〜150℃の間にて、求核芳香族置換反応で式IVの求電子芳香族化合物と反応させ、式Vの化合物を得る。
【0022】
式Vの化合物の式VIの化合物への変換を、求電子芳香族置換反応によって、好ましくは、例えば、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie 第4編,Organo−Stickstoff−Verbindungen IV,Part 1,Georg Thieme Verlag Stuttgart 1992,pp.262−341およびそれらに引用される文献に記載されるようなニトロ化によって行う。ニトロ化を、好ましくは、90% HNO3を用いて、−80℃〜RTの温度にて、特に好ましくは、−60℃〜0℃の間にて行う。
R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,VCH Publishers,New York,Weinheim,1999,821−828およびそれらに引用される文献に記載されるように、R5=NO2を有する式VIの化合物から対応するアニリン(R5=NH2)を製造することが可能である。R5のさらなる意味を有する式VIの化合物を、例えば、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie、第4版,Organo−Stickstoff−Verbindungen I,Part 2,Georg Thieme Verlag Stuttgart 1990,pp.1060−1136およびそれらに引用される文献に記載されるような当業者に公知の方法によってこれらのアニリンからジアゾニウム塩を経由して合成する。
【0023】
式Iaのアシルグアニジンを得るための式VIの化合物の反応は、遊離グアニジン塩基を用いて、または好ましくは不活性溶媒、好ましくは、DMFもしくはNMP中、KOtBuと一緒に初めに撹拌しておいた塩化グアニジニウムを用いて行い、次いで0℃〜溶媒の沸点の温度、好ましくは、RT〜100℃にて、前記エステルと一緒に撹拌する。
R9がアルキルである式Vのエステルはまた、カルボン酸に初めに加水分解することもでき、次いで、好ましくは、活性化剤の存在下、グアニジンと反応させ、式Iaのアシルグアニジンを得る。
【0024】
式IIIおよびIVの出発化合物は市販されているか、または当業者に公知の方法および文献に記載される方法と同様に製造され得る。
【0025】
出発化合物の官能基について保護形態または前駆体形態で存在させ、そして上記の方法によって製造された式Iの化合物において、その所望の基に変換することもまた可能である。適切な保護基技術は当業者に公知である。
【0026】
生成物および/または中間体の後処理、および所望である場合、その精製を、抽出、クロマトグラフィーまたは結晶化および通常の乾燥のような従来方法によって行う。
【0027】
本発明はまた、式VI:
【化3】

(ここで、R1、R1’、R2、R2’、R3、R4、R5およびXは上記の意味を有し、そしてR9は、水素または1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルである)の前駆体およびそれらの塩、ならびに例えば、グアニジンとの反応によって薬学的活性成分(例えば、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩)を製造するための合成中間体としてのそれらの使用を包含する。
【0028】
式Iのペンタフルオロスルファニル置換ベンゾイルグアニジンは、一般に弱塩基であり、そして酸と結合して塩を形成し得る。適切な酸付加塩は、特に全ての薬理学的に受容可能な酸の塩、例えば、ハロゲン化物、特に、塩酸塩、乳酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、リン酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩である。
【0029】
化合物Iは、置換アシルグアニジンであり、そして細胞のナトリウム−プロトン対向輸送体(Na+/H+交換輸送体、NHE)、特にNHE−1サブタイプを阻害する。
【0030】
公知のNHEインヒイターと比較して、本発明の化合物は、Na+/H+交換輸送の阻害において極めて高い活性、ならびに改善されたADMET特性、例えば、より長いS9安定性(肝臓の安定性、酵素攻撃に対する安定性)およびhERGカリウムチャネルに関してより大きい選択性で区別される。これらは、さらに良好な吸収特性および高いバイオアベイラビリティを示す。
【0031】
NHE−阻害特性のために、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、NHEの活性化または活性化したNHEにより引き起こされる疾患、およびNHEが関与する損傷により二次的に引き起こされる疾患の予防および治療に適切である。
【0032】
NHEインヒビターは、主に細胞のpH調整を介して作用するので、一般に細胞内のpHを調整する他の化合物と有利に組合せることができ、適切な組合せのパートナーは、炭酸脱水酵素グループのインヒビター、重炭酸イオン輸送システム(例えば、重炭酸ナトリウム共輸送体(NBC)もしくはナトリウム依存性塩化物−重炭酸塩交換輸送体(NCBE))のインヒビター、および他のNHEサブタイプに対する阻害効果を有するNHEインヒビターであり、何故ならばこれらを通して本明細書中に記載したNHEインヒビターの薬理学的に関連したpH調整効果を高めるか、または調節することが可能だからである。
【0033】
本発明の化合物の使用は、獣医学および人間医学における急性および慢性の疾患の予防および治療に関する。
【0034】
従って、本発明のNHEインヒビターは、虚血および再潅流により引き起こされる疾患の治療に適切である。
【0035】
本明細書中に記載した化合物は、それらの薬理学的特性のため抗不整脈薬として適切である。それらの心臓保護成分のために、NHEインヒビターは、梗塞の予防および梗塞の治療、ならびに狭心症の治療に著しく適切であり、その場合において、これらは虚血により誘発される損傷の発症、特に虚血により誘発される心不整脈の引き金と関連する病態生理学的過程を、予防的にも阻害するか、または大きく軽減する。病的な低酸素および虚血状態に対するそれらの保護作用のために、本発明に従って使用される式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、細胞のNa+/H+交換輸送機構を阻害することにより、全ての急性もしくは慢性の虚血により誘発される損傷またはそれにより一次的または二次的に誘発される疾患を治療するための薬剤として使用することができる。
【0036】
本発明はまた、外科的介入のための医薬としてのそれらの使用に関する。従って、本化合物は、臓器移植時に使用することができ、ドナーからの摘出前および摘出時に臓器を保護するため、例えば、生理的浴液中でのそれらの処置または保存時、およびレシピエントの生体への移植時に摘出した臓器を保護するために使用することが可能である。
【0037】
同様に、本発明の化合物は、血管形成外科的介入を行なう場合に、例えば、心臓ならびに末梢器官および血管に対して保護作用を示す有用な医薬である。
【0038】
本発明の化合物は、さらに、バイパス術を行う場合に、例えば、バイパス術の間、冠状血管上でおよび冠動脈大動脈バイパスグラフト(CABG)中で使用し得る。
【0039】
虚血により誘発される損傷に対するそれらの作用により、本発明の式Iの化合物をまた、心拍停止に続く蘇生に利用し得る。
【0040】
本発明の化合物は、生命を脅かす不整脈のための興味深い医薬である。心室細動が止まり、そして心臓の生理的洞律動が回復する。
【0041】
ヒトの組織および臓器、特に心臓のNHE1インヒビターは、虚血および再潅流により引き起こされる損傷に対してだけでなく、特にガン治療および自己免疫疾患の治療に使用されるもののような医薬の細胞毒性作用に対しても効果的に保護するので、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩との組合せ投与は、前記化合物の細胞毒性、特に心臓毒性、副作用を阻害するのに適切である。NHE1インヒビターとの共投薬(comedication)によって生じる細胞毒性作用、特に心臓毒性の減少は、さらに細胞毒性の治療剤の投薬量を増加させ、そして/またはこのような医薬の投薬を延長することが可能となる。このような細胞毒性治療の治療上の利点は、NHEインヒビターとの組み合により大幅に増大し得る。
【0042】
さらに、NHE1インヒビターである本発明の式Iおよび/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、心臓に損傷を与える甲状腺ホルモンの産生過剰、甲状腺中毒症がある場合、または外部から甲状腺ホルモンを供給する場合に使用し得る。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、心臓毒性の医薬を用いる治療法を改善するのに適切である。
【0043】
虚血により誘発される損傷に対するそれらの保護作用により、本発明の化合物はまた、神経系、特に中枢神経系の虚血を治療するための医薬としても適切であり、これらは、例えば、発作または脳浮腫の治療に適切である。
【0044】
式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩はまた、中枢神経系の過剰興奮により誘発される疾患および状態の治療および予防、特にてんかん性障害、中枢神経により誘発される間代性および緊張性痙攣、心理的うつ状態、不安障害および精神病の治療に適切である。これらの場合において、本明細書に記載したNHEインヒビターは単独で、または抗てんかん活性を有する他の物質もしくは抗精神病活性成分、または炭酸脱水酵素インヒビター(例えば、アセタゾラミド、および他のNHEインヒビターもしくはナトリウム依存性塩化物−重炭酸塩交換輸送体(NCBE)のインヒビター)と組合せて使用することが可能である。
【0045】
さらに、本発明に従って使用される式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、同様に、例えばアレルギー性ショック、心臓性ショック、血液量減少性ショックおよび細菌性ショックのような種類のショックを治療するのに適切である。
【0046】
式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、同様に、NHEインヒビターとしてそれら自体が血小板凝集を阻害し得るので、血栓性障害の予防および治療にも使用され得る。さらに、これらは虚血および再潅流後に生じる炎症および凝固の媒介物質、特にフォン−ビルブラント因子および血栓形成性セレクチンタンパク質の過剰放出を阻害または予防し得る。従って、有意な血栓形成因子の病原作用を軽減および排除することが可能である。従って、本発明のNHEインヒビターは、他の抗凝血剤および/または血栓溶解活性成分(例えば、遺伝子組み換え型または天然型組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アセチルサリチル酸、トロンビンアンタゴニスト、Xa因子アンタゴニスト、線維素溶解活性を有する薬物、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼインヒビター、VIIa因子アンタゴニスト、クロピドグレル、チクロピジンなど)と組合せることができる。本発明のNHEインヒビターをNCBEインヒビターおよび/または炭酸脱水酵素のインヒビター(例えば、アセタゾラミド)と組合せた使用が特に有益である。
【0047】
NHE1インヒビターは、さらに、細胞増殖(例えば、線維芽細胞の増殖および血管平滑筋細胞の増殖)に対する強い阻害作用を示す。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、細胞増殖が一次的または二次的な原因である疾患のための有用な治療剤として適切であり、従って、抗アテローム性動脈硬化剤、慢性の腎不全、がんの治療剤として使用し得る。
【0048】
細胞移動がNHEインヒビターにより阻害されることを示すことができた。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、細胞移動が一次的または二次的な原因である疾患(例えば、顕著な転移傾向を示す癌)のための有用な治療剤として適切である。
【0049】
NHE1インヒビターは、さらに、線維性障害の遅延または予防で区別される。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、心臓線維症、ならびに肺線維症、肝線維症、腎線維症および他の線維性障害を治療するための薬剤として適切である。従って、これらは、器官(例えば、心臓および前立腺)の肥大および過形成の治療のために使用され得る。従って、これらは心不全(うつ血性心不全=CHF)の予防および治療、ならびに前立腺肥大または前立腺過形成の治療および予防に適切である。
【0050】
本態性高血圧症において有意なNHEの増加があるので、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、高血圧の予防および治療ならびに心臓血管障害の治療に適切である。それらの場合において、これらは、単独で、または高血圧および心臓血管障害の治療に適切な組合せおよび処方パートナーと共に使用され得る。従って、例えば、チアジド様作用を有する1種またはそれ以上の利尿剤、ループ利尿剤、アルドステロンおよび偽性アルドステロンアンタゴニスト(例えば、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、ポリチアジド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、ブメタニド、アミロリド、トリアムテレン、スピロノラクトンもしくはエプレロン(eplerone))を組合せることができる。本発明のNHEインヒビターは、さらに、ベラパミル、ジルチアゼム、アムロジピンもしくはニフェジピンのようなカルシウムチャンネル遮断薬および例えばラミプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリルもしくはカプトプリルのようなACEインヒビターと組合せて使用することができる。さらなる有益な組合せパートナーはまた、β遮断薬(例えば、メトプロロール、アルブテロールなど)、アンギオテンシン受容体およびその受容体サブタイプのアンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン)、オマパトリラート、ゲモパトリラート(gemopatrilat)、エンドセリンアンタゴニスト、レニンインヒビター、アデノシン受容体アゴニスト、カリウムチャンネルのインヒビターおよび活性化剤(例えば、グリベンクラミド、グリメピリド、ジアゾキシド、クロマカリム、ミノキシジル、およびその誘導体)、ミトコンドリアATP感受性カリウムチャンネル(mitoK(ATP)チャンネル)の活性化剤、Kv1.5インヒビターなどである。
【0051】
NHE1インヒビターは有意な抗炎症作用を有し、従って、抗炎症薬として使用され得ることが明らかになった。これに関して、炎症の媒介物質の放出を阻害することは注目に値する。従って、本化合物は、慢性および急性の炎症性疾患の予防または治療のために単独で、または抗炎症薬と組合せて使用され得る。有利に使用される組合せパートナーは、ステロイド系および非ステロイド系抗炎症薬である。本発明の化合物はまた、原虫によって引き起こされる疾患(例えば、マラリアまたは家禽におけるコクシジウム症)を治療するために使用され得る。
【0052】
NHE1インヒビターは血清リポタンパク質に対して有益な作用を示すことがさらにわかった。一般に、高リポタンパク血と呼ばれる高すぎる血中脂肪レベルは動脈硬化性血管病変、特に冠動脈性心疾患の発症の重要な危険因子であると認知されている。従って、上昇した血清リポタンパク質の低下は、アテローム硬化性病変の予防および退縮に非常に重要である。総血清コレステロールの低下に加えて、この総コレステロールの特定のアテローム発生脂質フラクション、特に低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)の割合を減少させることは、これらの脂質フラクションがアテローム発生の危険因子であるため特に重要である。一方、冠動脈性心疾患に対する保護機能は高密度リポタンパク質によるものだとされている。従って、脂質低下剤は総コレステロールだけでなく、特に、VLDLおよびLDL血清コレステロールフラクションをもまた低下可能であるべきである。NHE1インヒビターが、血清脂質レベルに影響を与えることに関連して、治療的に利用可能な特性を示すことが今や見い出された。従って、これらは、例えば、コレステロールおよび脂質に富んだ食事の食物摂取の増加により、または病的な代謝の変調、例えば遺伝学的に関係がある高脂血症の場合に観察して、LDLおよびVLDLの上昇した血清濃度を有意に低下させる。
【0053】
従って、これらは原因危険因子を排除してアテローム硬化性病変を予防および退縮させるために使用され得る。一次性高脂血症だけでなく、例えば、糖尿病で併発する特定の二次性高脂血症もまた本発明中に包含される。さらに、NHE1インヒビターは、代謝異常により誘発される梗塞を著しく減少させ、特に誘発された梗塞の大きさおよびそれらの重症度を有意に軽減させる。
【0054】
従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、高コレステロール血症を治療する医薬を製造するため;アテローム発生を予防する医薬を製造するため;アテローム性動脈硬化症を予防および治療する医薬を製造するため;上昇したコレステロールレベルにより誘発される疾患を予防および治療する医薬を製造するため;内皮機能障害により誘発される疾患を予防および治療する医薬を製造するため;アテローム性動脈硬化症が誘発する高血圧症を予防および治療する医薬を製造するため;アテローム性動脈硬化症が誘発する血栓症を予防および治療する医薬を製造するため;高コレステロール血症が誘発するおよび内皮機能障害が誘発する虚血性損傷および虚血後再潅流損傷を予防および治療する医薬を製造するため;高コレステロール血症が誘発するおよび内皮機能障害が誘発する心臓肥大および心筋症、ならびにうつ血性心不全(CHF)を予防および治療する医薬を製造するため;高コレステロール血症が誘発するおよび内皮機能障害が誘発する冠動脈攣縮および心筋梗塞を予防および治療する医薬を製造するため;血圧降下剤、好ましくはアンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターおよびアンギオテンシン受容体アンタゴニストと組合せた前記障害を治療する医薬を製造するために有利に使用される。NHEインヒビターである式Iおよび/またはそれらの薬学的に受容可能な塩と血中脂質レベルを低下させる活性成分、好ましくは、HMG−CoA還元酵素インヒビター(例えば、ロバスタチンまたはプラバスタチン)の組合せは、効果が増強され、活性成分の使用を減少させた有利な組合せを提供する(後者は脂質低下作用をもたらし、従ってNHEインヒビターである式Iおよび/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の脂質低下特性を増大させる)。
【0055】
従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、種々の原因の内皮損傷に対して有効な保護をもたらす。この内皮機能障害症候群に対する血管の保護は、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩が冠動脈攣縮、末梢血管障害、特に間欠性跛行、アテローム発生およびアテローム性動脈硬化症、左室肥大および拡張型心筋症、ならびに血栓性障害を予防および治療する有用な医薬であることを意味する。
【0056】
NHE1インヒビターは抑制されているインスリン抵抗性を有する非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)の治療に適切であることがさらにわかった。これに関して、本発明の化合物の抗糖尿病活性および作用の質を向上させるために、これらをメトホルミンのようなビグアニド;グリブリド、グリメピリド、トルブタミドなどのような抗糖尿病性スルホニル尿素;グルコシダーゼインヒビター;ロシグリタゾン、ピオグリタゾンなどのようなPPARアゴニスト;種々の投与形態のインスリン産物;DB4インヒビター;インスリン感受性増強剤;またはメグリチニドと組合せることが有益であり得る。
【0057】
急性の抗糖尿病効果に加えて、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、糖尿病の後期合併症の進行を妨げ、従って、糖尿病からの後発損傷(late damage)(例えば、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症および糖尿病の結果として発症する他の状態)を予防および治療する医薬として使用され得る。これに関して、これらは、NIDDM治療の下に上記された抗糖尿病薬と有利に組合せることができる。これに関して、有益な投薬形態のインスリンとの組合せが、特に重要とされるべきである。
【0058】
NHE1インヒビターは、急性の虚血イベントおよび続いて起こる同様に急性のストレスを与える再潅流イベントに対する保護作用に加えて、慢性的に進行する老化過程の徴候と関係があり、そして急性虚血状態とは無関係に正常な非虚血状態下で発生する全哺乳動物の疾患および状態に対して直接的に治療に利用可能な作用を示す。NHEインヒビターを用いる治療を今や可能にする、長い加齢期間にわたって誘発されたこれらの加齢に伴う病的な徴候(例えば、病気、病弱および死亡)は、重要器官の加齢に伴う変化およびその機能により本質的に引き起こされる疾患および状態であり、そして老化する生命体においてますます重要になる。加齢に伴う機能障害または加齢に伴う器官損耗の兆候と関係がある障害は、例えば、収縮および弛緩反応に対する血管の不十分な応答および反応性である。心臓血管系、すなわち生命および健康の重要な過程である収縮および弛緩の刺激に対する血管の反応性の加齢に伴う低下は、NHEインヒビターにより有意に排除または軽減され得る。血管の反応性の維持の1つの重要な機能および尺度は、内皮機能障害の加齢に伴う進行の遮断または遅延であり、それはNHEインヒビターにより極めて有意に排除され得る。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、内皮機能障害、特に、間欠性跛行の加齢に伴う進行の治療および予防に極めて適切である。
【0059】
老化過程を特徴付ける別の変数の例としては、心臓の収縮性低下および必要な心臓拍出量に対する心臓の適応力低下である。この老化過程の結果による心臓の減退した能率は、たいていの場合、とりわけ心筋組織における結合組織の沈着により引き起こされる心臓の機能障害と関係がある。この結合組織の沈着は、心臓の重量増加、心臓の拡張および制限された心臓機能によって特徴付けられる。驚くべきことに、このような心臓器官の老化をほぼ完全に阻害することが可能であった。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、心不全、うつ血性心不全(CHF)の治療および予防に極めて適切である。増殖の阻害によりすでに発生した癌を治癒できるだけでなく、NHEインヒビターにより加齢に伴う癌の発生を減少させ、そして極めて有意に遅延させることもまた可能である。特に注目すべきことは、特定の種類の癌だけでなくすべての器官の老化の結果として発生する障害が抑制されるか、または発生が極めて有意に遅延することである。従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、加齢に伴う種類の癌の治療、特に予防に極めて適切である。
【0060】
NHEインヒビターを使用して、心臓、血管、肝臓などを含む調査した全ての器官の加齢に伴う障害の発生において、極めて有意に時間をシフトさせ、統計的に正常範囲を超えて遅延させるだけでなく、高齢者の癌もまた極めて有意に遅延させることが今やわかった。一方、驚くべきことに、他のグループの医薬またはいずれかの天然物ではこれまで達成できなかった程度まで寿命が延長される。また、このNHEインヒビターの特異な効果は、ヒトおよび動物に対して活性成分の単独使用に加えて、これらのNHEインヒビターを老人病学で使用され、そして種々の作用機序に基づく他の活性成分、手段、物質および天然物と組合せることを可能にする。老人治療で使用されるこのようなクラスの活性成分としては、特に抗酸化活性を有するビタミンおよび物質である。カロリー負荷または食物摂取と老化過程との間に相関関係があるので、食事量との組合せは、例えば、食欲抑制剤を用いて行われ得る。同様に、ACEインヒビター、アンギオテンシン受容体アンタゴニスト、利尿剤、Ca+2チャンネル遮断薬などのような血圧降下剤、またはコレステロール低下剤のような代謝を正常化する医薬との組合せも考慮することが可能である。
【0061】
従って、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、加齢に伴う組織変化を予防するのに、および質の高い生活を維持しながら寿命を延長させるのに極めて適切である。
【0062】
本発明の化合物は、多数の障害(本態性高血圧症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病など)において容易に測定可能な細胞(例えば赤血球、血小板または白血球)中で増加する細胞のナトリウム−プロトン対向輸送体(Na/H交換輸送体)の有効なインヒビターである。従って、本発明に従って使用される化合物は、例えば、様々な種類の高血圧症だけでなく、アテローム性動脈硬化症、糖尿病および糖尿病後期合併症、増殖性疾患などを測定および区別するための診断剤としてのそれらの使用において優れた簡便な科学的ツールとして適切である。
【0063】
有効量の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を、単独で、または他の薬理学的活性成分もしくは医薬と組合せて、薬学的に受容可能な担体および添加剤と一緒に含有する、人間、動物または植物防護に使用するための薬剤もまた特許請求される。
【0064】
これに関して、式Iおよび/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を含有する医薬は、例えば、経口的、非経口的、経静脈的、直腸的、経皮的に、または吸入により投与され得、好ましい投与は、疾患の特定の性質に依存する。さらに、式Iの化合物は、動物用医薬および人間用医薬の両方において、単独または医薬品賦形剤と一緒に使用してもよい。医薬は、一般的に、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の活性成分を投薬単位あたり0.01mg〜1gの量で含有する。
【0065】
所望の医薬製剤に適切な賦形剤は、専門的な知識に基づいて当業者によく知られている。溶媒、ゲル化剤、坐剤用基剤、錠剤用賦形剤および他の活性成分担体に加えて、例えば、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、矯味矯臭料、保存剤、可溶化剤または着色剤を使用することが可能である。
【0066】
経口投与用形態について、活性化合物は、担体、安定剤または不活性希釈剤のようなこの目的に適切な添加剤と混合され、そして、錠剤、被覆錠剤、ゼラチン硬カプセル剤、水性液剤、アルコール性液剤または油性液剤のような適切な投薬形態に、従来の方法によって変換される。使用され得る不活性担体の例としては、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコースまたはデンプン(特に、コーンスターチ)である。さらに、その調製では乾式顆粒剤および湿式顆粒剤の両方の形で行なうことが可能である。適切な油性担体または溶媒の例としては、ヒマワリ油または魚肝油のような植物油または動物油である。
【0067】
皮下、筋肉内または静脈内投与用について、使用される活性化合物は、所望される場合、可溶化剤、乳化剤または他の賦形剤のようなこの目的のための慣用の物質を用いて、溶液、懸濁液または乳濁液に変換される。
【0068】
適切な溶媒の例としては、水、生理食塩水またはアルコール(例えば、エタノール、プロパノール、グリセロール)ならびにグルコースもしくはマンニトール溶液のような糖溶液、または上記の種々の溶媒の混合物である。
【0069】
エアゾール剤またはスプレー剤の形態で投与するのに適切な医薬製剤は、例えば、薬学的に受容可能な溶媒(特に、エタノールもしくは水)またはこのような溶媒の混合物中の、式Iおよび/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の活性成分の溶液、懸濁液または乳濁液である。必要に応じて、製剤はまた、他の医薬品賦形剤(例えば、界面活性剤、乳化剤、安定剤)およびプロペラントガスを含有してもよい。このような製剤は、通常、活性成分を約0.1〜10質量%、特に約0.3〜3質量%の濃度で含有する。
【0070】
投与しようとする式Iの活性成分の投薬量および投与頻度は、使用される化合物の効力および作用持続時間、さらに治療しようとする疾患の性質および重症度、ならびに治療しようとする哺乳動物の性別、年齢、体重および個々の反応性に依存する。
【0071】
平均して、体重が約75kgの患者について、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の日用量は、体重の少なくとも0.001mg/kg(例えば、0.01mg/kg)〜最大10mg/kg(例えば、1mg/kg)である。障害の急性エピソード、例えば、心筋梗塞を被った直後では、より高い投薬量(例えば、1日に4回までの単回用量)が必要とされ得る。特に静脈内投与の際、例えば集中治療室にいる梗塞患者について、1日に700mgまでが必要とされ得、そして本発明の化合物は注入によって投与され得る。
【0072】
略語表:
ADMET 吸収−分布−代謝−排泄−毒性
DIP ジイソプロピルエーテル
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
HEP n−ヘプタン
hERG ヒトether−a−go−go関連遺伝子
HOAc 酢酸
KOtBu カリウム2−メチルプロパン−2−オラート
MeOH メタノール
mp 融点
MTB tert−ブチルメチルエーテル
NMP 1−メチルピロリジン−2−オン
RT 室温
TBTMG N’’−tert−ブチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン
THF テトラヒドロフラン
【実施例】
【0073】
実施例1:N−[5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化4】

【0074】
a)3−ペンタフルオロスルファニルフェノール
【化5】

3−ペンタフルオロスルファニルアニリン(5.0g)を、35% H2SO4水溶液(50ml)に懸濁した。次いで、0℃で、水(5ml)中のNaNO2(1.57g)の溶液を、10分間にわたって滴下して添加した。混合物を0℃にて40分間撹拌した。次いで、0℃まで冷却した水(50ml)中のCu(NO32(8.56g)の溶液をこの懸濁液に添加した。その後すぐに、Cu2O(3.26g)も添加すると、その後ガスの著しい発生が観察された。CH2Cl2(毎回100ml)で3回抽出し、有機相を飽和NaCl溶液(100ml)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥させ、そして溶媒を真空で除去した。DIPを用いる短いシリカゲルカラムのクロマトグラフィーにより、無色の油状物としてフェノール(3.5g)を得た。
f(EA/HEP 1:10)=0.15 MS(EI):220
【0075】
b)5−メタンスルホニル−2−メチル−4−(3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)安息香酸メチル
【化6】

4−フルオロ−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(600mg)、3−ペンタフルオロスルファニルフェノール(700mg)およびCs2CO3(1.6g)を、無水DMF(4ml)中で100℃にて3時間撹拌した。次いで、混合物をRTまで冷却し、EA(100ml)で希釈し、そして水(毎回20ml)で3回洗浄した。残留物をMgSO4で乾燥させ、真空で溶媒を除去した後、DIPを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに供した。無色の油状物(300mg)を得た。
f(DIP)=0.27 MS(ES+):446
【0076】
c)5−メタンスルホニル−4−(4−ニトロ−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル−安息香酸メチル
【化7】

5−メタンスルホニル−2−メチル−4−(3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−安息香酸メチル(3.50g)を、−40℃の90% HNO3(100ml)中に溶解した。反応混合物をこの温度にて10分間撹拌し、次いで氷(800g)中に注いだ。この混合物を10分間撹拌し、次いで生成物を吸引濾過して取り出した。淡黄色固体(3.89g)を得た、mp 145〜148℃(分解を伴う)。
f(DIP)=0.09
【0077】
d)4−(4−アミノ−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−5−メタンスルホニル−2−メチル−安息香酸メチル
【化8】

5−メタンスルホニル−4−(4−ニトロ−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル−安息香酸メチル(3.80g)を、HOAc(30ml)およびMeOH(30ml)中に溶解し、Pd/C(10%)(200mg)を添加し、そして24時間、6 barの水素圧下で水素化を行った。反応が不完全なままなので、さらにPd/C(10%)(300mg)、HOAc(30ml)およびMeOH(30ml)を添加し、そして24時間、6barの水素圧下で水素化を行った。次いで、触媒を濾過して除去し、そして溶媒を真空で除去した。淡い灰色の固体(3.4g)を得た、mp 175℃(分解を伴う)。
f(MTB)=0.44
【0078】
e)4−(4−クロロスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル
【化9】

4−(4−アミノ−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−5−メタンスルホニル−2−メチル−安息香酸メチル(3.4g)をHOAc(30ml)中に溶解し、そして氷(30g)、次いで飽和HCl水溶液(30ml)を添加した。水(5ml)中のNaNO2(0.56g)の溶液を、0℃でこの溶液に5分間にわたって滴下して添加した。混合物を0℃にて10分間撹拌した。次いで、この溶液を、0℃に冷却した懸濁液(SO2−飽和HOAc(100ml)中CuCl(12.4mg)およびCuCl2(二水和物)(125.6mg))に少しずつ添加した。混合物をRTにて2時間撹拌し、次いで水(300ml)で希釈し、そしてEA(毎回200ml)で3回抽出した。MgSO4で乾燥させた後、溶媒を真空で除去した。粘稠な油状物(3.5g)を得、そしてさらに精製することなく反応させた。
【0079】
f)4−(2−メタンスルホニル−4−メトキシカルボニル−5−メチルフェノキシ)−2−ペンタフルオロスルファニルベンゼンスルフィン酸ナトリウム
【化10】

4−(4−クロロスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−5−メタンスルホニル−2−メチル安息香酸メチル(3.5g)を、70℃のNa2SO3(8.10g)の水溶液(75ml)に少しずつ添加し、この間、pHを、10モルのNaOH水溶液で約pH=10に維持した。次いで、混合物を70℃にて45分間撹拌し、そして冷却させた後、pHをHCl水溶液を用いてpH=2に調節した。EA(毎回200ml)を用いて3回抽出を行った。MgSO4で乾燥させた後、溶媒を真空で除去した。残留物を水(100ml)に懸濁し、そして2モルのNaOH水溶液を用いてpH=10に調節し、そして揮発物を真空で除去した。次いで、初めに2回、トルエン(毎回100ml)、次いで無水DMF(100ml)で共蒸発(coevaporation)を行い、そして残留物(3.0g)をさらに精製することなく反応させた。
【0080】
g)5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル安息香酸メチルおよび5−メタンスルホニル−4−(4−メトキシスルフィニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル安息香酸メチル
【化11】

4−(2−メタンスルホニル−4−メトキシカルボニル−5−メチルフェノキシ)−2−ペンタフルオロスルファニルベンゼンスルフィン酸ナトリウム(3.0g)を無水DMF(100ml)中に溶解し、CH3I(4.0g)を添加し、そして混合物を45℃にて9時間撹拌した。次いで、反応混合物をRTにて2日間放置した。次いで、溶媒を真空で除去し、そして残留物を水(100ml)およびEA(100ml)に溶解した。次いで、5% NaHSO4水溶液(50ml)を添加し、そして相を分離した。次いで、これをEA(毎回100ml)で3回抽出した。MgSO4で乾燥させた後、溶媒を真空で除去し、そして残留物をMTB/DIP 1:1を用いて、シリカゲルクロマトグラフィーに供した。5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル安息香酸メチル(0.59g)および5−メタンスルホニル−4−(4−メトキシスルフィニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル−安息香酸メチル(0.49g)。
f(MTB/DIP 1:1)=0.13:5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル安息香酸メチル
f(MTB/DIP 1:1)=0.32:5−メタンスルホニル−4−(4−メトキシスルフィニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル安息香酸メチル
【0081】
h)N−[5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチルベンゾイル]グアニジン
【化12】

塩化グアニジニウム(546mg)およびKotBu(535mg)を、無水DMF(20ml)中RTで30分間撹拌した。次いで、5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル安息香酸メチル(500mg)を添加し、そして混合物をRTにて16時間放置した。反応混合物を水(20ml)中に注ぎ、HCl水溶液を用いてpH=8に調節し、そしてEA(毎回50ml)で3回抽出した。次いで、合わせたEA相を5% NaHCO3水溶液(20ml)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥させ、そして溶媒を真空で除去した。非結晶質固体(420mg)を得た。
f(EA/MeOH 10:1)=0.29 MS(ES+):551
【0082】
k)N−[5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチルベンゾイル]グアニジン,塩酸塩
【化13】

N−[5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチルベンゾイル]グアニジン(400mg)を希HCl水溶液中に溶解し、次いで揮発物を真空で除去した。残留物を水から再結晶させ、淡い灰色の固体(200mg)を得た、mp 275℃。
【0083】
NHE阻害の測定
NHE−1阻害の阻害濃度IC50を、以下のように測定した:
NHE−1阻害のIC50を、FLIPRアッセイでヒトNHE−1を発現するトランスフェクト細胞株におけるpHiの回復を測定することにより決定した。アッセイを、透明な底部を有する黒壁96−ウェルマイクロタイタープレートを備えたFLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)で行った。種々のNHEサブタイプを発現するトランスフェクト細胞株(親細胞株LAP−1は、突然変異誘発とその後の選択の結果として、内因性NHE活性を示さない)を前日に約25000細胞/ウェルの密度で播種した。トランスフェクト細胞の成長培地(Iscove+10%ウシ胎仔血清)は、トランスフェクト配列の存在を確実にするために選択的抗生物質としてG418を追加的に含有した。
【0084】
実際のアッセイを、成長培地の除去および1ウェルあたり100μlのローディング緩衝液(20mM NH4Cl、115mM 塩化コリン、1mM MgCl2、1mM CaCl2、5mM KCl、20mM HEPES、5mM グルコース中5μMのBCECF−AM[2’,7’−ビス(カルボキシエチル)−5−(および−6−)カルボキシフルオレセイン、アセトキシメチルエステル];pH7.4[KOHで調整した])の添加により開始した。次いで、細胞を37℃で20分間インキュベートした。このインキュベーションは、蛍光強度がpHiに依存する蛍光染料、および細胞をわずかにアルカリ性にするNH4Clの細胞への負荷をもたらした。エステルとしての非蛍光性染料の前駆体BCECF−AMは、膜透過性である。実際の染料BCECFは、膜透過性ではないが、エステラーゼにより細胞内部に放出される。
【0085】
このインキュベーションの20分後、NH4Clおよび遊離のBCECF−AMを含有するローディング緩衝液を、細胞洗浄器(Tecan Columbus)中で、洗浄緩衝液(133.8mM 塩化コリン、4.7mM KCl、1.25mM MgCl2、1.25mM CaCl2、0.97mM K2HPO4、0.23mM KH2PO4、5mM HEPES、5mM グルコース;pH7.4[KOHで調整した])(毎回400μl)で3回洗浄することにより除去した。各ウェルに残留する残存量は、90μl(50〜125μlが可能)である。この洗浄工程により遊離BCECF−AMを除去し、そして細胞外NH4+イオンの除去の結果として細胞内の酸性化をもたらした(約pHi 6.3〜6.4)。
【0086】
細胞内のNH4+とNH3およびH+の平衡は、細胞外のNH4+の除去とその後の
瞬間的なNH3の細胞膜通過により妨害されるので、洗浄工程は、H+を細胞内部に残留させ、これが細胞内酸性化の原因となった。これが十分に長く持続する場合、最終的に細胞死をもたらし得る。
細胞外のナトリウムイオンはクローン化NHEアイソフォームの活性によりpHiの瞬間的回復をもたらすので、洗浄緩衝液はナトリウムを含まない(<1mM)ことがこの点で重要であった。
同様に、重炭酸塩の存在が、親のLAP−1細胞株に存在する干渉重炭酸塩依存性pHi調節系の活性化をもたらすので、使用される全ての緩衝液(ローディング緩衝液、洗浄緩衝液、回復緩衝液)はいずれのHCO3-イオンをも含まないことが重要であった。
【0087】
次いで、(酸性化後20分以内)、酸性化細胞を含むマイクロタイタープレートをFLIPRに移した。FLIPRにおいて、細胞内の蛍光染料は、アルゴンレーザーによって発生した波長488nmを有する光により励起され、そして測定パラメーター(レーザー出力、照明時間およびFLIPRに組み込まれたCCDカメラの口径)を、1ウェル当りの平均蛍光シグナルが30000〜35000の相対蛍光単位であるように選択した。
【0088】
FLIPR中での実測は、ソフトウェア制御下、2秒毎にCCDカメラで写真を撮ることにより開始した。10秒後、細胞内pHの回復を、FLIPRに組み込まれた96−ウェルピペッターにより回復緩衝液(133.8mM NaCl、4.7mM KCl、1.25mM MgCl2、1.25mM CaCl2、0.97mM K2HPO4、0.23mM KH2PO4、10mM HEPES、5mM グルコース;pH7.4[NaOHで調整した])(90μl)を加えることにより開始した。
【0089】
陽性コントロールウェル(100%NHE活性)は純粋な回復緩衝液を添加したものであり、一方、陰性コントロール(0%NHE活性)は洗浄緩衝液を添加したものであった。試験物質の2倍の濃度を有する回復緩衝液を、他の全てのウェルに添加した。FLIPR測定は、60回の測定後(2分)に終了した。
【0090】
生データは、ActivityBaseプログラムに送られる。このプログラムは、最初に各試験物質濃度に対するNHE活性を計算し、これらから物質についてのIC50値を計算する。pHi回復の進行は、実験全体を通してでは線形ではないが、高いpHi値でNHE活性が減少により最終的に減衰したので、測定の評価にとって陽性コントロールの蛍光増加が線形である部分を選択することが重要であった。
実施例 NHE1阻害IC50[nM]
1 33

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

のペンタフルオロスルファニルベンゾイルグアニジンおよびそれらの薬学的に受容可能な塩。
式中、
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、F、Cl、Br、I、−CN、NR6R7、−O−(CH2b−(CF2c−CF3または−(SOde−(CH2f−(CF2g−CF3であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
dは、0、1または2であり;
b、c、e、fおよびgは、互いに独立して、0または1であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、NR6R7、−O−(CH2b−(CF2c−CF3、−(SOhk−(CH2l−(CF2m−CF3、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル(ここで、1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)、−(CH2n−フェニル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Oo−(CH2p−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1、2もしくは3個の基で置換されている)、または−(CH2q−ヘテロアリール(これは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Or−(CH2s−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1、2もしくは3個の基で置換されている)であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、または−CH2−CF3であり;
bおよびcは、互いに独立して、0または1であり;
hは、0、1または2であり;
kは、0または1であり;
lは、0、1、2、3または4であり;
mおよびoは、互いに独立して、0または1であり;
pは、0、1、2または3であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
rは、0または1であり;
sは、0、1、2または3であり;
qは、0、1、2、3または4であり;
R3は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、または−Ot−(CH2u−CF3であり;
tは、0または1であり;
uは、0、1、2または3であり;
R4は、水素、F、Cl、Br、I、−CN、−SO2CH3、NR6R7、−(SOvw−(CH2x−(CF2y−CF3、−O−(CH2aa−(CF2bb−CF3、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、または3、4、5、6、7もしくは8個の炭素原子を有するシクロアルキル(ここで、1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、または−CH2−CF3であり;
vは、0、1または2であり;
xは、0、1、2、3または4であり;
w、y、aaおよびbbは、互いに独立して、0または1であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Odd−(CH2ee−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1、2もしくは3個の基で置換されている−(CH2cc−フェニルであり;
ddは、0または1であり;
eeは、0、1、2または3であり;
ccは、0、1、2、3または4であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I、−Ogg−(CH2hh−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルコキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1、2もしくは3個の基で置換されている−(CH2ff−ヘテロアリールであり;
ggは、0または1であり;
hhは、0、1、2または3であり;
ffは、0、1、2、3または4であり;
R5は、F、Cl、Br、I、CF3、−SO2CH3または−S(O)OCH3であり;
Xは、直接の結合、O、NR8、S(O)kkであり;
R8は、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、−(CH2mm−CF3または−SO2CH3であり;
kkは、0、1または2であり;
mmは、0、1、2または3であり;
ここで、R1およびR1’ならびにR2およびR2’の定義における−O−(CH2b−(CF2c−CF3は、互いに独立して選択され得、
R1およびR1’、R2およびR2’ならびにR4の定義におけるNR6R7は、互いに独立して選択され得る。
【請求項2】
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、NR6R7、−O−CH2−CF3または−(SOde−(CH2f−CF3であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、または−CH2−CF3であり;
dは、0、1または2であり;
eおよびfは、互いに独立して、0または1であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOhk−(CH2l−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(ここで、1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)、フェニル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Oo−(CH2p−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されている)、またはヘテロアリール(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Or−(CH2s−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されている)であり;
hは、0、1または2であり;
kは、0または1であり;
lは、0、1、2、3または4であり;
oは、0または1であり;
pは、0、1、2または3であり;
rは、0または1であり;
sは、0、1、2または3であり;
R3は、水素、F、Cl、−SO2CH3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシまたは−Ot−(CH2u−CF3であり、
tは、0または1であり;
uは、0、1、2または3であり;
R4は、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOvw−(CH2x−CF3、−O−(CH2aa−CF3、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシまたは3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(ここで、1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
vは、0、1または2であり;
w、xおよびaaは、互いに独立して、0または1であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、−Odd−(CH2ee−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されているフェニルであり;
ddおよびeeは、互いに独立して、0または1であり;
または
R4は、非置換であるか、またはF、Cl、−Ogg−(CH2hh−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルおよび−SO2CH3からなる群から選択される1〜2個の基で置換されているヘテロアリールであり;
ggおよびhhは、互いに独立して、0または1であり;
R5は、F、Cl、CF3、−SO2CH3または−S(O)OCH3であり;
Xは、直接の結合、O、NR8またはS(O)kkであり;
R8は、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、−CH2−CF3または−SO2CH3であり;
kkは、0、1または2である;
請求項1に記載の式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項3】
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシ、F、Cl、NR6R7、−O−CH2−CF3または−(SOde−(CH2f−CF3であり;
R6およびR7は、互いに独立して、水素、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルまたは−CH2−CF3であり;
dは、0、1または2であり;
eおよびfは、互いに独立して、0または1であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOhk−(CH2l−CF3、メチル、3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(ここで、1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)、フェニル(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Oo−(CH2p−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される基で置換されている)、またはヘテロアリール(これは、非置換であるか、またはF、Cl、−Or−(CH2s−CF3、メトキシ、エトキシ、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキル、および−SO2CH3からなる群から選択される基で置換されている)であり;
hは、0、1または2であり;
k、l、o、p、rおよびsは、互いに独立して、0または1であり;
R3は、水素、F、Cl、−SO2CH3、メチル、メトキシ、エトキシまたは−Ot−(CH2u−CF3であり;
tおよびuは、互いに独立して、0または1であり;
R4は、水素、F、Cl、−SO2CH3、−(SOvw−(CH2x−CF3、−Oz−(CH2aa−CF3、メチル、メトキシ、エトキシまたは3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するシクロアルキル(ここで、1、2、3もしくは4個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
vは、0、1または2であり;
w、x、zおよびaaは、互いに独立して、0または1であり;
R5は、F、Clまたは−SO2CH3であり;
Xは、直接の結合、O、NR8またはS(O)kkであり;
R8は、水素、メチル、エチル、−CH2−CF3または−SO2CH3であり;
kkは、0、1または2である;
請求項1または2に記載の式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項4】
R1およびR1’は、互いに独立して、水素、メチル、F、Cl、−CF3または−O−CH2−CF3であり;
R2およびR2’は、互いに独立して、水素、F、Cl、−SO2CH3、−SO2−CF3、−CF3またはメチルであり;
R3は、水素、F、Clまたはメチルであり;
R4は、水素、F、Clまたはメチルであり;
R5は、−SO2CH3であり;
Xは、Oである;
請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
N−[5−メタンスルホニル−4−(4−メタンスルホニル−3−ペンタフルオロスルファニルフェノキシ)−2−メチル−ベンゾイル]グアニジンから選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項6】
式VI:
【化2】

(ここで、R1、R1’、R2、R2’、R3、R4、R5およびXは上記の意味を有し、そしてR9は、水素または1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルである)の化合物をグアニジンと反応させることを包含する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を製造するための方法。
【請求項7】
医薬として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項8】
虚血または再潅流イベントにより生じる器官および組織の急性もしくは慢性の損傷、障害または間接的な続発症を治療または予防するため;不整脈、生命を脅かす心臓の心室細動、心筋梗塞、狭心症を治療または予防するため;心臓の虚血状態、末梢および中枢神経系の虚血状態、または発作もしくは末梢器官および組織の虚血状態の治療または予防のため;ショック状態、細胞増殖が一次的原因または二次的原因である疾患、がん、転移、前立腺肥大および前立腺過形成、アテローム性動脈硬化症または脂質代謝障害、高血圧症、本態性高血圧症、中枢神経系の障害、CNSの過剰興奮から生じる障害、てんかんまたは中枢誘発性痙攣、中枢神経系の障害(特に、不安状態、うつ病もしくは精神病)を治療または予防するため;インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)または糖尿病からの後発損傷、血栓症、内皮機能障害から生じる障害、間欠性跛行を治療または予防するため;内部器官の線維症、肝臓の線維症、腎臓の線維症、血管の線維症および心臓の線維症を治療または予防するため;心不全またはうつ血性心不全、急性または慢性の炎症性疾患、原虫が引き起こす障害、マラリアもしくは家禽におけるコクシジウム症を治療または予防するため;ならびに外科手術および臓器移植に使用するため;外科手術用移植片を貯蔵および保存するため;バイパス術に使用するため;心拍停止後の蘇生に使用するため;加齢関連組織変化を予防するため;老化現象に対する医薬を製造するため、または寿命延長のため;甲状腺中毒症の心臓毒性作用を治療および軽減するため;または診断補助薬を製造するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項9】
虚血または再潅流イベントにより生じる器官および組織の急性もしくは慢性の損傷、障害または間接的な続発症を治療または予防するため;不整脈、生命を脅かす心臓の心室細動、心筋梗塞、狭心症を治療または予防するため;心臓の虚血状態、末梢および中枢神経系の虚血状態、または発作もしくは末梢器官および組織の虚血状態の治療または予防のため;ショック状態、細胞増殖が一次的原因または二次的原因である疾患、がん、転移、前立腺肥大および前立腺過形成、アテローム性動脈硬化症もしくは脂質代謝障害、高血圧症、本態性高血圧症、中枢神経系の障害、CNSの過剰興奮から生じる障害、てんかんまたは中枢誘発性痙攣、中枢神経系の障害(特に、不安状態、うつ病もしくは精神病)を治療または予防するため;インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)もしくは糖尿病からの晩発損傷、血栓症、内皮機能障害から生じる障害、間欠性跛行を治療または予防するため;内部器官の線維症、肝臓の線維症、腎臓の線維症、血管の線維症および心臓の線維症を治療または予防するため;心不全またはうつ血性心不全、急性もしくは慢性の炎症性疾患、原虫が引き起こす障害、マラリアもしくは家禽におけるコクシジウム症を治療または予防するため;ならびに外科手術および臓器移植に使用するため;外科手術用移植片を貯蔵および保存するため;バイパス術に使用するため;心拍停止後の蘇生に使用するため;加齢関連組織変化を予防するため;老化現象に対する医薬を製造するため、または寿命延長のため;甲状腺中毒症の心臓毒性作用を治療および軽減するため;または診断補助薬を製造するために他の医薬または活性成分と組み合わせた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項10】
心臓毒性および細胞毒性が低減された医薬を製造するための、心臓毒性および細胞毒性の医薬または活性成分と組合せた請求項9に記載の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項11】
虚血または再潅流イベントにより生じる器官および組織の急性もしくは慢性の損傷、障害または間接的な続発症を治療または予防するための、医薬の製造における単独または他の医薬もしくは活性成分と組合せた請求項8または9に記載の式Iの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項12】
生命を脅かす心臓の心室細動を治療するための、医薬の製造における単独または他の医薬もしくは活性成分と組合せた請求項8または9に記載の式Iの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項13】
転移を治療または予防するための医薬の製造における単独または他の医薬もしくは活性成分と組合せた請求項8または9に記載の式Iの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項14】
心臓の線維症、心不全またはうつ血性心不全を治療または予防するための、医薬の製造における単独または他の医薬もしくは活性成分と組合せた請求項8または9に記載の式Iの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項15】
有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能な担体および添加剤と一緒に含有する、人間、動物および/または植物防護に使用するための薬剤。
【請求項16】
有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩を、薬学的に受容可能な担体および添加剤と一緒に含有し、他の薬理学的活性成分または医薬と組合せた人間、動物または植物防護に使用するための薬剤。

【公表番号】特表2008−512410(P2008−512410A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530619(P2007−530619)
【出願日】平成17年8月27日(2005.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009272
【国際公開番号】WO2006/027130
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】