説明

ペーストおよびバンプ形成方法

【課題】バンプを自己集合的に形成する手法において生産性に優れたものを提供する。
【解決手段】配線基板31の電極32上にバンプ19を形成する方法およびそれに用いるペーストである。配線基板31のうち電極32を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体20を供給した後、配線基板31の上に流動体20を介して板状部材40を配置する。次に、流動体20を加熱して流動体20中に気泡30を発生させる。そして、その流動体20には、流動体20の表面張力を低下させて気泡30を消泡する消泡剤が含有されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーストに関し、特に、導電性材料からなる接続部を自己集合的に形成するためのペーストに関する。本発明はまた、バンプ形成方法、フリップチップ実装方法および基板間接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に使用される半導体集積回路(LSI)の高密度、高集積化に伴い、LSIチップの電極端子の多ピン、狭ピッチ化が急速に進んでいる。これらLSIチップの配線基板への実装には、配線遅延を少なくするために、フリップチップ実装が広く用いられている。そして、このフリップチップ実装においては、LSIチップの電極端子上にはんだバンプを形成し、当該はんだバンプを介して、配線基板上に形成された電極に一括接合されるのが一般である。
【0003】
従来、バンプの形成技術としては、メッキ法やスクリ−ン印刷法などが開発されている。メッキ法は狭ピッチには適するものの、工程が複雑になる点、生産性に問題があり、また、スクリーン印刷法は、生産性には優れているが、マスクを用いる点で、狭ピッチ化には適していない。
【0004】
こうした中、最近では、LSIチップや配線基板の電極上に、はんだバンプを選択的に形成する技術がいくつか開発されている。これらの技術は、微細バンプの形成に適しているだけでなく、バンプの一括形成ができるので、生産性にも優れており、次世代LSIの配線基板への実装に適応可能な技術として注目されている。
【0005】
その一つに、ソルダーペースト法と呼ばれる技術(例えば、特許文献1)がある。この技術は、はんだ粉とフラックスの混合物によるソルダーペーストを、表面に電極が形成された基板上にベタ塗りし、基板を加熱することによって、はんだ粉を溶融させ、濡れ性の高い電極上に選択的にはんだバンプを形成させるものである。
【0006】
また、スーパーソルダー法と呼ばれる技術(例えば、特許文献2)は、有機酸鉛塩と金属錫を主要成分とするペースト状組成物(化学反応析出型はんだ)を、電極が形成された基板上にベタ塗りし、基板を加熱することによって、PbとSnの置換反応を起こさせ、Pb/Snの合金を基板の電極上に選択的に析出させるものである。
【0007】
また、スーパージャフィット法と呼ばれる技術(例えば、特許文献3参照)は、表面に電極が形成された基板を薬剤に浸して、電極の表面のみに粘着性皮膜を形成した後、当該粘着性皮膜にはんだ粉を接触させて電極上にはんだ粉を付着させ、その後、基板を加熱することにより、溶融したはんだを電極上に選択的に形成させるものである。
【特許文献1】特開2000−94179号公報
【特許文献2】特開平1−157796号公報
【特許文献3】特開平7−74459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したソルダーペースト法は、もともと、基板に形成された電極上にはんだを選択的にプリコートする技術として開発されたもので、フリップチップ実装に必要なバンプ形成に適用するためには、以下のような課題がある。
【0009】
ソルダーペースト法は、ともに、ペースト状組成物を基板上に塗布により供給するので、局所的な厚みや濃度のバラツキが生じ、そのため、電極ごとのはんだ析出量が異なり、均一なバンプを得ることが困難である。また、これらの方法は、表面に電極の形成された凹凸のある配線基板上に、ペースト状組成物を塗布により供給するので、凸部となる電極上には、十分なはんだ量を安定して供給することが難しいという問題もある。
【0010】
また、スーパーソルダー法で使用される化学反応析出型はんだに用いられる材料は、特定な化学反応を利用しているので、はんだ組成の選択の自由度が低く、Pbフリー化への対応にも課題を残している。
【0011】
一方、スーパージャフィット法は、はんだ粉が均一に電極上に付着されるので、均一なはんだバンプを得ることができ、また、はんだ組成の選択の自由度が大きいので、Pbフリー化への対応も容易である点で優れている。しかしながら、スーパージャフィット法では、電極表面に粘着性皮膜を選択的に形成する工程が必須であるが、この工程においては化学反応を利用した特殊な薬剤処理を行なう必要があるので、工程が複雑になると共に、コストアップにもつながり、量産工程への適用には課題を残している。
【0012】
したがって、バンプの形成技術は、メッキ法やスクリ−ン印刷法のような普及した技術だけでなく、新たに開発された技術も課題を抱えている。本願発明者は、既存のバンプの形成技術にとらわれずに、新規なバンプ形成方法を開発することが、最終的には、ポテンシャルの高い技術に繋がると考え、研究開発を重ねていた。
【0013】
本願出願人は、上述のような課題を解決するために、独特なバンプ形成方法を開発することに成功した(例えば、国際公開公報WO2006/103948号パンフレット)。
【0014】
上記公報に開示された方法は、気泡を用いて半田粉を端子上に自己集合させてバンプを形成するものであり、それにより種々のメリットを得ることができる。しかしながら、本願発明者の研究により、当該方法における気泡は、次のような問題が発生することがわかった。すなわち、端子間を覆ってしまうくらい大きな気泡が発生すると、その気泡に覆われた端子の上にはバンプが形成できないという問題である。一方で、当該方法では気泡を用いて自己集合的にバンプを形成するため、気泡の発生をなくすわけにはいかない。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、導電性材料からなる接続部(バンプ)を自己集合的に形成する手法において、生産性に優れたバンプ形成方法やそれに用いるペースト等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のペーストは、導電性材料からなる接続部を自己集合的に形成するためのペーストであり、導電性粒子を含有した樹脂と、前記樹脂中に導入される気泡を消泡させるために、前記樹脂の表面張力を低下させる消泡剤とを含む、ペーストである。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記消泡剤は、フッ素系材料およびシリコーン系材料の少なくとも一つからなる。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記消泡剤は、液体である。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記ペーストには、加熱時に前記樹脂中に気泡を発生させる気泡発生剤が含有されている。
【0020】
ある好適な実施形態において、前記樹脂は、熱硬化樹脂である。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記ペーストは、前記加熱の前においてシート状の形態を有する樹脂組成物である。
【0022】
本発明のバンプ形成方法は、配線基板の電極上にバンプを形成する方法であり、配線基板のうち電極を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体を供給する工程(a)と、前記配線基板の上に、前記流動体を介して、板状部材を配置する工程(b)と、前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる工程(c)とを含み、前記流動体には、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤が含有されていることを特徴とする。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記消泡剤は、フッ素系材料およびシリコーン系材料の少なくとも一つからなる。
【0024】
ある好適な実施形態において、前記工程(c)では、前記発生した気泡で前記導電性粒子を移動させることによって、前記導電性粒子を前記電極上に自己集合させる。
【0025】
ある好適な実施形態では、前記工程(c)の加熱によって、前記導電性粒子は溶融する。
【0026】
ある好適な実施形態において、前記流動体には、前記工程(c)の加熱において気泡を発生させる気泡発生剤が含有されている。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記工程(c)において発生する気泡は、前記配線基板から発生した気泡である。
【0028】
ある好適な実施形態では、前記工程(c)において、前記配線基板上に供給された前記流動体を前記板状部材で当接させながら、前記流動体を加熱する。
【0029】
ある好適な実施形態では、前記工程(c)において、前記配線基板上に形成された前記電極と前記板状部材との間に、一定の隙間が設けられている。
【0030】
ある好適な実施形態において、前記一定の隙間は、前記導電性粒子の粒径よりも広い。
【0031】
ある好適な実施形態では、前記工程(c)において、前記板状部材に一定の圧力を加えることによって、前記流動体を押圧しながら加熱する。
【0032】
ある好適な実施形態において、前記工程(c)において、前記気泡は、前記板状部材と前記配線基板との間に設けられた隙間の周辺部から、外部に排出される。
【0033】
本発明のフリップチップ実装方法は、配線基板の電極端子と半導体チップとをフリップチップ実装する方法であり、配線基板のうち電極端子を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体を供給する工程(a)と、前記配線基板の上に、前記流動体を介して、素子端子を有する半導体チップを配置する工程(b)と、前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる工程(c)とを含み、前記流動体には、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤が含有されていることを特徴とする。
【0034】
ある好適な実施形態において、前記工程(c)では、前記発生した気泡によって、前記導電性粒子が、前記電極端子と前記素子端子との間に自己集合させる。
【0035】
ある好適な実施形態において、前記流動体には、前記工程(c)の加熱において気泡を発生させる気泡発生剤が含有されている。
【0036】
ある好適な実施形態において、前記工程(c)において発生する気泡は、前記配線基板から発生した気泡である。
【0037】
ある好適な実施形態では、前記工程(c)の後、前記流動体を硬化させて、当該流動体をアンダーフィル材にする。
【0038】
本発明のフリップチップ実装体は、配線基板の電極上に形成されたバンプを介して半導体チップが実装されたフリップチップ実装体であり、前記配線基板の電極上に形成されたバンプは、導電性粒子が自己集合することによって形成された接続部であり、前記半導体チップと前記配線基板との間には、樹脂を含む材料から構成されたアンダーフィル材が形成されており、前記アンダーフィル材には、前記樹脂の表面張力を低下させる機能を有する消泡剤が含有されている。
【0039】
ある好適な実施形態において、前記消泡剤は、フッ素系材料およびシリコーン系材料の少なくとも一つからなる。
【0040】
本発明の基板間接続方法は、対向する配線基板の電極端子を接続する基板間接続方法であり、配線基板のうち電極端子を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体を供給する工程(a)と、前記配線基板の上に、前記流動体を介して、他の配線基板を配置する工程(b)と、前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる工程(c)とを含み、前記流動体には、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤が含有されている。
【発明の効果】
【0041】
本発明の方法によれば、導電性粒子を含有した流動体を介して、配線基板の上に板状部材を配置した後、前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる際に、前記流動体に、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤を含有されているので、気泡を流動体の外部へ効果的に排出させることができる。したがって、導電性粒子の自己集合プロセスが、大きな気泡の存在によって阻害されることを抑制することができ、その結果、導電性材料からなる接続部(バンプ)を自己集合的に形成する手法における生産性を向上させることができる。
【0042】
また、本発明のペーストによれば、導電性粒子を含有した樹脂に、その樹脂の表面張力を低下させて、樹脂中に導入される気泡を消泡させる消泡剤を含めているので、導電性粒子の自己集合プロセスが、大きな気泡の存在によって阻害されてしまうことを抑制することができる。その結果、導電性材料からなる接続部(バンプ)を自己集合的に形成する手法における生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本願の出願人は、配線基板や半導体チップ等の電極上に、導電性粒子(例えば、はんだ粉)を自己集合させて、バンプを形成する方法、あるいは、配線基板と半導体チップの電極間に導電性粒子を自己集合させて、電極間に接続体を形成し、フリップチップ実装する方法について、種々検討を行ない、自己集合的なバンプ形成方法、フリップチップ実装方法を提案している(特願2004−257206号、特願2004−365684号、特願2005−094232号)。なお、これらの特許出願を本願明細書に参考のため援用する。
【0044】
図1(a)〜(d)、及び図2(a)〜(d)は、本願出願人が上記特許出願明細書で開示したバンプ形成方法の基本工程を示した図である。
【0045】
まず、図1(a)に示すように、複数の電極32を有する基板31上に、はんだ粉16と気泡発生剤(不図示)を含有した樹脂14を供給する。次に、図1(b)に示すように、樹脂14表面に、平板40を配設する。
【0046】
この状態で、樹脂14を加熱すると、図1(c)に示すように、樹脂14中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。そして、図1(d)に示すように、発生した気泡30が成長することで、樹脂14は押し出される。
【0047】
押し出された樹脂14は、図2(a)に示すように、基板31の電極32との界面、及び平板40との界面に柱状に自己集合する。次に、樹脂14をさらに加熱すると、図2(b)に示すように、樹脂14中に含有するはんだ粉16が溶融し、電極32上に自己集合した樹脂14中に含有するはんだ粉16同士が溶融結合する。
【0048】
電極32は、溶融結合したはんだ粉16に対して濡れ性が高いので、図2(c)に示すように、電極32上に溶融はんだ粉よりなるバンプ19を形成する。最後に、図2(d)に示すように、樹脂14と平板40を除去することにより、電極32上にバンプ19が形成された基板31が得られる。
【0049】
この方法の特徴は、基板31と平板40の隙間に供給された樹脂14を加熱することによって、気泡発生剤から気泡30を発生させ、気泡30が成長することで樹脂14を気泡外に押し出すことにより、樹脂14を基板31の電極32と平板40との間に自己集合させる点にある。
【0050】
樹脂14が電極32上に自己集合する現象は、図3(a)、(b)に示すようなメカニズムで起きているものと考えられる。
【0051】
図3(a)は、樹脂14が、成長した気泡(不図示)によって、基板31の電極32上に押し出された状態を示した図である。電極32に接した樹脂14は、その界面における界面張力(いわゆる樹脂の濡れ広がりに起因する力)Fsが、樹脂の粘度ηから発生する応力Fηよりも大きいので、電極32の全面に亙って広がり、最終的に、電極32の端部を境とした柱状樹脂が、電極32と平板40間に形成される。
【0052】
なお、電極32上に自己集合して形成された柱状の樹脂14には、図3(b)に示すように、気泡30の成長(または移動)による応力Fbが加わるが、樹脂14の粘度ηによる応力Fηの作用により、その形状を維持することができ、一旦自己集合した樹脂14が消滅することはない。
【0053】
ここで、自己集合した樹脂14が一定の形状を維持できるかどうかは、上記界面張力Fsの他に、電極32の面積S及び電極32と平板40との隙間の距離Lや、樹脂14の粘度ηにも依存する。樹脂14を一定形状に維持させる目安をTとすると、定性的には、以下のような関係が成り立つものと考えられる。
【0054】
T=K・(S/L)・η・Fs (Kは定数)
上記の説明のように、この方法は、樹脂14の界面張力による自己集合を利用して、電極32上に樹脂14を自己整合的に形成するものであるが、かかる界面張力による自己集合は、基板31表面に形成された電極32が凸状に形成されているが故に、基板31と平板40間に形成されたギャップの中で狭くなっている電極32上にて起きる現象を利用したものと言える。
【0055】
本願の出願人が提案した上記の方法を用いると、樹脂中に分散したはんだ粉を効率良く電極上に自己集合させることができ、また、均一性に優れ、かつ、生産性の高いバンプ形成が実現できる。また、樹脂中に分散したはんだ粉を、樹脂が供給された基板上の複数の電極上に分け隔てなく自己集合させることができるので、上記の方法は、樹脂が供給された配線基板上の全ての電極上に一括してバンプを形成する際に特に有用である。
【0056】
上記方法においてバンプを自己集合的に一括して形成する場合に気泡30の存在が重要であるものの、本願発明者が気泡30の影響について更に検討したところ、以下のような問題があることがわかった。図4及び図5を参照しながら、その問題について説明する。なお、図4及び図5では、気泡30の問題をわかりやすくするために、図1及び図2にて示したはんだ粉(導電性粒子)16やバンプ19等は省略している。
【0057】
まず、図4(a)に示すように、複数の電極32を有する配線基板31上に、はんだ粉(導電性粒子)を含む樹脂14を塗布し、その上に、板状部材40を載せる。
【0058】
板状部材40は、図1(b)に示したような平板であってもよいし、図4(a)に示したように、電極32に対向する面に突起部41が形成された部材を用いることができる。突起部41は、例えば電極であり、板状部材40は、配線基板であったり、半導体チップであったりしてもよい。樹脂(流動体)14中には、はんだ粉(導電性粒子)とともに、気泡発生剤を含めることができるが、樹脂14中に気泡発生剤を含有させずに、加熱時に配線基板31または板状部材40から発生する気体によって樹脂14中に気泡を発生させるようにすることもできる。
【0059】
次に、図4(b)に示すように、配線基板31または樹脂14を加熱すると、樹脂14中に気泡30が発生する。発生した気泡30は、矢印35のように樹脂14中を激しく動き回る。すると、図4(c)に示すように、気泡30の一部が結合して、大きな気泡30aになるものができる。
【0060】
その後、図5(a)に示すように、気泡30がさらに結合して、より大きく成長した気泡30bができたりする。さらには、図5(b)に示すように、電極32の間を覆うような大きな気泡30cも生成する可能性もある。例えば図5(b)に示すような大きな気泡30cの存在は、その箇所に、図2(a)及び(b)に示したような樹脂柱ができないことに繋がるので、一部の電極32の上にバンプが形成されない問題を引き起こしてしまう。すなわち、大きすぎる気泡30の存在は、全ての電極32上に一括してバンプを形成するプロセスにとって大きな問題になる。一方で、気泡30を発生させないと、電極32上に一括してバンプを形成することはできない。
【0061】
本願発明者は、そのような問題を解決すべく、鋭意検討した結果、樹脂の表面張力を低下させる消泡剤を用いることによって問題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0062】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、説明の簡略化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0063】
図6および図7を参照しながら、本発明の実施形態に係るバンプ形成方法及びそれに用いるペーストについて説明する。図6及び図7は、図4及び図5に対応する工程断面図であり、図4及び図5と同様に、説明を簡明にするため、図1及び図2で示したはんだ粉(導電性粒子)16やバンプ19等は省略している。
【0064】
まず、図6(a)に示すように、配線基板31のうち電極32を含む領域の上に、導電性粒子(不図示)を含有した流動体20を供給する。配線基板31の上に、流動体20を介して、板状部材40を配置する。
【0065】
本実施形態の流動体20は、導電性材料からなる接続部を自己集合的に形成するためのペーストであり、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)から構成されている。さらに説明すると、本実施形態の流動体(又はペースト)20は、導電性粒子を含有した樹脂と、その樹脂中に導入される気泡を消泡させるために、樹脂の表面張力を低下させる消泡剤とから構成されている。なお、消泡剤が液体である場合、樹脂中に均一分散させるのが容易となる。
【0066】
気泡を消す意味での消泡には、物理的な消泡、化学的な消泡がある。物理的な消泡としては、圧力の変化(例えば、減圧)、加熱、周波数印加などがあり、化学的な消泡としては、Marangoni効果、気泡物質の分離、pH変化・脱水・塩析、消泡剤添加などがある。本実施形態では、消泡剤添加による消泡を行っており、さらに詳細には、樹脂の表面張力を低下させて、気泡を樹脂の外へ排出し易くすることによる消泡(気泡の低減)を行っている。
【0067】
消泡剤は少量で効果が出るので、その含有量は特に限定されない。典型的には、消泡剤の含有量は、流動体(樹脂)に対して0.5重量%以下(例えば、0.3重量%)でも十分効果を示すが、0.5重量%以上(例えば、0.5〜10重量%)の範囲にすることも可能である。一方で、悪影響がでないのであれば、10重量%以上にしても構わない。
【0068】
本実施形態の消泡剤は、シリコーン系材料またはフッ素系材料からなるものを用いている。シリコーン系の消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイルの化学構造式を有するものを挙げることができる。このジメチルシリコーンオイルの化学構造式は、フレキシブルな主鎖構造とその外側に突き出した有機置換基を持っている。
【0069】
シリコーン系消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、シリコーンペースト、シリコーンエマルション、有機変性ポリシロキサン、フルオロシリコーンオイル、フッ素シリコーンを挙げることができるが、以下のように分類することができる。
(1)オイル型:ジメチルシリコーンオイル、変性シリコーンなどの消泡剤である。
(2)オイルコンパウンド型:オイルにシリカなどの無機粉末を添加し、少量で消泡効果を発揮する消泡剤である。
(3)エマルジョン型:オイルコンパウンドを乳化剤として用いて水中に乳化分散して、エマルジョン(W/O)にした消泡剤である。
(4)変性油型:側鎖の一部を有機基に置換した消泡剤(フッ素変性シリコーンオイルや、自己乳化型の消泡剤など)である。
(5)溶液型:シリコーンオイルやオイルコンパウンドなどの消泡剤成分を有機溶剤に溶解した消泡剤である。
(6)粉末型:シリコーン消泡成分をシリカなどの高吸油性粉体に担時させて粉末化した消泡剤である。
(7)固形型:シリコーン消泡成分に固形状乳化剤や高重合度のポリオキシエチレンで変性したシリコーンオイル、高級脂肪酸等を配合し、加熱溶融後に冷却することで得られる消泡剤である。
【0070】
本実施形態の一例では、シリコーン系の消泡剤として、信越化学工業製のKS−603、KF−6702を用い、それを樹脂に含有させている。
【0071】
フッ素系の消泡剤としては、例えば、分子中にパーフルオロアルキル基やパーフルオロアルケニル基などを有するフッ素系樹脂を挙げることができる。フッ素系消泡剤のイオン性には、アニオン、カチオン、ノニオン、両性タイプがあり、大日本インキ化学工業株式会社製の「メガファック」、住友スリーエム社製の「ノベックFC4430/FC4432」、株式会社ネオス製の「フタージェント」、セイケミカル株式会社製の「サーフロン」、株式会社ジェムコの「エフトップ」などを挙げることができる。本実施形態の一例では、フッ素系の消泡剤として、住友スリーエム社製のFC−4430、FC−4432を用い、それを樹脂に含有させている。
【0072】
さらに、消泡剤には、シリコーン系、フッ素系以外にも、例えば、以下のような種類がある。
(1)鉱油系:灯油、流動パラフィン
(2)油脂系:動植物油、ゴマ油、ヒマシ油
(3)アルコール系:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類、ポリオキシアルキレングリコールとその誘導体、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール
(4)アミド系:ポリオキシアルキレンアミド、アルリレートポリアミン
(5)リン酸エステル系:リン酸トリブチル、オクチルリン酸ナトリウム
流動体(ペースト)20としては、室温から導電性粒子の溶融温度の範囲内において、流動可能な程度の粘度を有するものであればよく、また、加熱することによって流動可能な粘度に低下するものも含む。代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑性樹脂、又は光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。なお、樹脂以外にも、高沸点溶剤、オイル等も使用することができる。
【0073】
なお、流動体20としてエポキシ樹脂、消泡剤としてKF6702を用いると、エポキシ樹脂のみの表面張力が40mN/mが、エポキシ樹脂+消泡剤(樹脂に対する含有量1%)により、18mN/mまで低下する。
【0074】
配線基板31は、導電性材料からなる接続部(バンプ)を載置可能な電極32が形成された基板であればよく、例えば、リジッド基板(例えば、FR4基板)の他、フレキシブル基板や、リジッドフレキ基板であってもよい。また、配線基板31は、片面配線基板でもよいし、両面配線板や多層配線板でもよく、あるいは、電子部品が内蔵された部品内蔵基板であってもよい。加えて、配線基板31は、樹脂からなる基板(例えば、FR4基板)に限らず、セラミック基板であってもよい。
【0075】
次に、図6(b)に示すように、流動体20を加熱して、流動体20中に気泡30を発生させる。この気泡30の発生は、流動体20の加熱時に気泡30を発生させる気泡発生剤を流動体20中に含有させておくことで実行することができる。気泡発生剤の種類については後述する。また、この気泡30は、配線基板31から発生した気体に起因した気泡30であってもよい。配線基板31から発生する気泡30は、配線基板31中に含まれていた気体が流動体20に出てきたもの、配線基板31中に含まれて液体が気化したもの、または、配線基板31の材料が分解して発生した気体などによって生じ得る。
【0076】
流動体20の加熱時において、気泡30は、例えば矢印35に示すように流動体20中を移動する。そして、この気泡30の移動によって、流動体20中の導電性粒子(はんだ粉)が電極32上に移動し、および/または、電極32上に樹脂柱(図2中の符号14参照)が形成される。
【0077】
なお、この加熱工程において、配線基板31上に供給された流動体20を板状部材40で当接させながら、流動体20を加熱すること好ましい。これは、板状部材40を流動体20に当接させることによって、電極32上に樹脂柱が形成されやすくするためであり、板状部材40を加熱中に取り除くのは、バンプが形成された後にすることが望ましいからである。
【0078】
配線基板31上に形成された電極32と板状部材40との間には、図6(b)に示すように、一定の隙間が設けられているが、これは、導電性粒子(図1中の符号16参照)の粒径よりも広いものである。加熱工程時には、板状部材40に一定の圧力を加えて、流動体20を押圧しながら加熱することができるが、加熱工程時に板状部材40を所定量上下に移動させて、成長するバンプの高さを揃えるようなプロセスを実行することもできる。
【0079】
次に、図6(c)に示すように、気泡30の一部が結合して比較的大きな気泡30aに成長するものもあるが、その一方で、消泡剤の作用によって表面張力が低下した流動体(樹脂)20の外部へ排出される気泡34も数多く存在する。換言すると、本実施形態の構成では、流動体(樹脂)20に消泡剤が含有されているので、流動体20の表面張力が低下し、流動体20の外部へ排出される気泡34が増える。その結果、流動体20中だけを移動する気泡30が減ることになる。
【0080】
したがって、図7(a)に示すように、流動体20の外部へ排出される気泡34が増えることにより、流動体20中に留まる気泡30の量を軽減させたり、調整したりすることができる。すると、樹脂柱を作成するのに必要な気泡30を発生させながら、樹脂柱を破壊してしまうほど多くの気泡30は発生させないようにすることができる。すなわち、過剰の気泡を流動体(樹脂)20の外部へ排出させることができる。
【0081】
次いで、図7(b)に示すように、流動体(樹脂)20の加熱が終わった後は、流動体20中に存在する気泡30の量は少ないので、板状部材40が半導体チップの場合には、流動体20を硬化させると、そのまま、フリップチップ実装のアンダーフィル材として利用することができる。また、板状部材40が配線基板の場合には層間接続絶縁材として利用することもできる。
【0082】
本実施形態によれば、導電性粒子を含有した流動体20を介して、配線基板31の上に板状部材40を配置した後、流動体20を加熱して、流動体20中に気泡30を発生させる際に、流動体20の表面張力を低下させる消泡剤を流動体20に含有させているので、気泡30を流動体20の外部へ効果的に排出させることができる。したがって、導電性粒子の自己集合プロセスが、大きな気泡(例えば、図5(b)中の符号30c参照)の存在によって阻害されることを抑制することができる((図6(c)及び図7(a)参照))。その結果、導電性材料からなる接続部(バンプ)を自己集合的に形成する手法における生産性を向上させることができる。
【0083】
次に、図8を参照しながら、本実施形態の構成に基づく実施例について説明する。
【0084】
実施例1(Ex.1)および実施例2(Ex.2)は、配線基板31の電極32におけるピッチが200μmで電極径が100μm(電極32は10×10のエリアアレイ配列)の実験結果を示しており、一方、実施例3(Ex.3)および実施例4(Ex.3)は、配線基板31の電極32におけるピッチが500μmで電極径が300μm(電極32は6×6のエリアアレイ配列)の実験結果を示している。実施例1と3は、同じ材料を用い、そして、実施例2と4は同じ材料を用いている。なお、電極32の形状は円形である。消泡剤はKF6702を用いた。配線基板31は、FR4基板を用いた。配線基板31と電極32との隙間(ギャップ)は、おおよそ50μmとした。
【0085】
実施例1と3のケースは、流動体20として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用い、その樹脂に、はんだ粒子SnAgCuと、はんだ粒子の酸化膜除去剤としてのロジン系フラックスと、気泡発生剤としてのジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル(沸点:140〜141℃)を含有させた材料を用いた。実施例2と4のケースは、流動体20として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用い、その樹脂に、はんだ粒子SnAgCu(平均粒径D50=12μm)と、はんだ粒子の酸化膜除去剤としてのステアリン酸とを含有させた材料を用いた。また、実施例1から4において、流動体(樹脂)20と、はんだ粒子と、はんだ粒子の酸化膜除去剤の割合(wt%)は、40:50:10とし、その重量割合において消泡剤を1wt%添加した。なお、消泡剤1wt%は、実験のためのやや過剰の量であり、典型的には、0.5wt%以下(例えば、0.3wt%)で十分であり得る。実施例2と4のケースでは、気泡発生剤は、配線基板31からの基板水分(HO)を利用した。配線基板31の加熱は、250℃のホットプレートにて実行し、加熱時間は、約30秒(予熱時間約10秒を除く)であった。
【0086】
図8に示した実験結果を見てわかるとおり、消泡剤の添加のなし(Ref)とありの差によって顕著な効果が確認された。実施例1では、消泡剤の添加のなしの場合に、ショート率が12%だったものが、2%に低下した(その差(デルタ)は、−10%)。バンプ形成率は、88%から98%へと向上した(その差(デルタ)は、+10%)。他の実施例でも、すべて良好な結果が得られた。これは、過剰な気泡30の発生が抑制されて、図5(b)に示すような状態の所望でない気泡30cの発生を回避できたことによるものである。
【0087】
図9は、本実施形態のバンプ形成方法を実行するための好適なバンプ形成装置60を表している。
【0088】
図9に示したバンプ形成装置60は、基板31を載置するためのステージ61と、ステージ61に対向して配置される板状部材40とから構成されている。この形成装置60において、ステージ61上に載置された基板31とステージ61に対向して配置された板状部材40との間(55)に流動体20が供給される。
【0089】
本実施形態の構成において板状部材40は脱着可能である。なお、流動体20を供給可能な供給機を、本形成装置60に設けることも可能である。流動体20の供給後、その流動体20を加熱することにより、流動体20中に気泡30を発生させることができる。流動体20の加熱は、ステージ61にヒータ63を設置して、それによって実行してもよいし、板状部材40にヒータをあててそれによって行っても良い。図9に示した例では、ステージ61の下にヒータ63が取り付けられている。
【0090】
ステージ61上に配置される配線基板31は、図10に示すように電極32がペリフェラル配列したものであってもよいし、あるいは、図11に示すように電極32がエリアアレイ配列したものであってもよい。
【0091】
導電性粒子及び気泡発生剤としては、図12および図13に示すような材料から適宜組み合わせて使用することができる。なお、導電性粒子の融点を、気泡発生剤の沸点よりも高い材料を用いれば、流動体20を加熱して気泡発生剤から気泡を発生させて、流動体を自己集合させた後、さらに、流動体20を加熱して、自己集合した流動体中の導電性粒子を溶融させ、導電性粒子同士を金属結合させることができる。
【0092】
また、気泡発生剤は、沸点の異なる2種類以上の材料からなるものであってもよい。沸点が異なれば、気泡の発生、及び成長するタイミングに差が生じ、その結果、気泡の成長による流動体20の押し出しが、段階的に行なわれるので、流動体20の自己集合過程が均一化され、これにより、均一性のよい導電パターンを形成することができる。
【0093】
なお、気泡発生剤としては、図13に挙げた材料以外に、流動体20が加熱されたときに、気泡発生剤が熱分解することにより気泡を発生する材料も使用することができる。そのような気泡発生剤としては、図14に挙げた材料を使用することができる。例えば、結晶水を含む化合物(水酸化アルミニウム)を使用した場合、流動体20が加熱されたときに熱分解し、水蒸気が気泡となって発生する。さらに、上述した通り、気泡30は、流動体20中に含まれる気泡発生剤からだけでなく、配線基板31から流動体(樹脂)20へ導入することもできる。
【0094】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、導電性材料からなる接続部(バンプ)を自己集合的に形成する手法において、生産性に優れたバンプ形成方法やそれに用いるペースト等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】(a)〜(d)は、樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図2】(a)〜(d)は、樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図3】(a)及び(b)は、樹脂が自己集合するメカニズムを説明する図
【図4】(a)〜(c)は、気泡によるバンプの自己集合形成を説明するための工程断面図
【図5】(a)及び(b)は、気泡によるバンプの自己集合形成を説明するための工程断面図
【図6】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るバンプ形成方法を示す工程断面図
【図7】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るバンプ形成方法を示す工程断面図
【図8】本発明の実施形態に係る構成に基づく実験結果を示す図
【図9】本発明の実施形態に係るバンプ形成装置60の構成を示す断面図
【図10】ペリフェラル配列の配線基板31を示す平面図
【図11】エリアアレイ配列の配線基板31を示す平面図
【図12】本発明の実施形態に係る導電性粒子の材料を示す図
【図13】本発明の実施形態に係る気泡発生剤の材料を示す図
【図14】本発明の実施形態に係る気泡発生剤の材料を示す図
【符号の説明】
【0097】
14 樹脂
16 はんだ粉
19 バンプ
20 流動体
30 気泡
31 配線基板
32 電極
40 板状部材
41 突起部
60 バンプ形成装置
61 ステージ
63 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料からなる接続部を自己集合的に形成するためのペーストであって、
導電性粒子を含有した樹脂と、
前記樹脂中に導入される気泡を消泡させるために、前記樹脂の表面張力を低下させる消泡剤と
を含む、ペースト。
【請求項2】
前記消泡剤は、フッ素系材料およびシリコーン系材料の少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項1に記載のペースト。
【請求項3】
前記消泡剤は、液体である、請求項1に記載のペースト。
【請求項4】
前記ペーストには、加熱時に前記樹脂中に気泡を発生させる気泡発生剤が含有されている、請求項1から3の何れか一つに記載のペースト。
【請求項5】
前記樹脂は、熱硬化樹脂である、請求項1から3の何れか一つに記載のペースト。
【請求項6】
前記ペーストは、前記加熱の前においてシート状の形態を有する樹脂組成物である、請求項1から3の何れか一つに記載のペースト。
【請求項7】
配線基板の電極上にバンプを形成する方法であって、
配線基板のうち電極を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体を供給する工程(a)と、
前記配線基板の上に、前記流動体を介して、板状部材を配置する工程(b)と、
前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる工程(c)と
を含み、
前記流動体には、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤が含有されていることを特徴とする、バンプ形成方法。
【請求項8】
前記消泡剤は、フッ素系材料およびシリコーン系材料の少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項7に記載のバンプ形成方法。
【請求項9】
前記工程(c)では、前記発生した気泡で前記導電性粒子を移動させることによって、前記導電性粒子を前記電極上に自己集合させることを特徴とする、請求項7に記載のバンプ形成方法。
【請求項10】
前記工程(c)の加熱によって、前記導電性粒子は溶融する、請求項7に記載のバンプ形成方法。
【請求項11】
前記流動体には、前記工程(c)の加熱において気泡を発生させる気泡発生剤が含有されている、請求項7に記載のバンプ形成方法。
【請求項12】
前記工程(c)において発生する気泡は、前記配線基板から発生した気泡である、請求項7に記載のバンプ形成方法。
【請求項13】
前記工程(c)において、前記配線基板上に供給された前記流動体を前記板状部材で当接させながら、前記流動体を加熱する、請求項7から12の何れか一つに記載のバンプ形成方法。
【請求項14】
前記工程(c)において、前記配線基板上に形成された前記電極と前記板状部材との間に、一定の隙間が設けられている、請求項7から12の何れか一つに記載のバンプ形成方法。
【請求項15】
前記一定の隙間は、前記導電性粒子の粒径よりも広いことを特徴とする請求項14に記載のバンプ形成方法。
【請求項16】
前記工程(c)において、前記板状部材に一定の圧力を加えることによって、前記流動体を押圧しながら加熱する、請求項7から12の何れか一つに記載のバンプ形成方法。
【請求項17】
前記工程(c)において、前記気泡は、前記板状部材と前記配線基板との間に設けられた隙間の周辺部から、外部に排出されることを特徴とする請求項7から12の何れか一つに記載のバンプ形成方法。
【請求項18】
配線基板の電極端子と半導体チップとをフリップチップ実装する方法であって、
配線基板のうち電極端子を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体を供給する工程(a)と、
前記配線基板の上に、前記流動体を介して、素子端子を有する半導体チップを配置する工程(b)と、
前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる工程(c)と
を含み、
前記流動体には、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤が含有されていることを特徴とする、フリップチップ実装方法。
【請求項19】
前記工程(c)では、前記発生した気泡によって、前記導電性粒子が、前記電極端子と前記素子端子との間に自己集合させることを特徴とする、請求項18に記載のフリップチップ実装方法。
【請求項20】
前記流動体には、前記工程(c)の加熱において気泡を発生させる気泡発生剤が含有されている、請求項18に記載のフリップチップ実装方法。
【請求項21】
前記工程(c)において発生する気泡は、前記配線基板から発生した気泡である、請求項18に記載のフリップチップ実装方法。
【請求項22】
前記工程(c)の後、前記流動体を硬化させて、当該流動体をアンダーフィル材にすることを特徴とする、請求項18から21の何れか一つに記載のフリップチップ実装方法。
【請求項23】
配線基板の電極上に形成されたバンプを介して半導体チップが実装されたフリップチップ実装体であって、
前記配線基板の電極上に形成されたバンプは、導電性粒子が自己集合することによって形成された接続部であり、
前記半導体チップと前記配線基板との間には、樹脂を含む材料から構成されたアンダーフィル材が形成されており、
前記アンダーフィル材には、前記樹脂の表面張力を低下させる機能を有する消泡剤が含有されている、フリップチップ実装体。
【請求項24】
前記消泡剤は、フッ素系材料およびシリコーン系材料の少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項23に記載のフリップチップ実装体。
【請求項25】
対向する配線基板の電極端子を接続する基板間接続方法であって、
配線基板のうち電極端子を含む領域の上に、導電性粒子を含有した流動体を供給する工程(a)と、
前記配線基板の上に、前記流動体を介して、他の配線基板を配置する工程(b)と、
前記流動体を加熱して、当該流動体中に気泡を発生させる工程(c)と
を含み、
前記流動体には、当該流動体の表面張力を低下させて前記気泡を消泡する消泡剤が含有されていることを特徴とする、基板間接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−258397(P2008−258397A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99130(P2007−99130)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】