説明

ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物

【課題】樹脂成形体の耐熱性および高温信頼性を損なわずに難燃性を高める。
【解決手段】ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と樹脂成分とを含む樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を成形する。


nは1〜6の整数を示し、Aは、少なくとも一つが不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基であり、他が炭素数が1〜8のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和カルボキシレート化合物、特に、難燃剤として有用なホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシアクリレート樹脂やエポキシメタクリレート樹脂等のエポキシカルボキシレート樹脂は、感光材料、光学材料、歯科材料および電子材料等の機能性高分子材料として、産業用および民生用の機器、特に電気製品などにおいて幅広く用いられている。近年、これらの分野において、より高度な、厳しい性能・物性が要求されており、エポキシアクリレート樹脂を用いた樹脂材料は、耐熱性や耐湿性の点において高機能化が望まれていると同時に、燃焼し易い性質を有することから難燃性の付与が求められている。例えば、この樹脂材料は、プリント配線基板の製造におけるフォトソルダーレジストとして使用される場合、ハロゲン化合物やハロゲン含有化合物と酸化アンチモン等のアンチモン化合物との混合物が一般的な難燃剤として添加されている。ところが、このような難燃剤を配合した上記樹脂材料は、燃焼時や成形時等において、電子部品の電気的特性や機械的特性を阻害したり、環境を汚染したりするおそれがあるハロゲン系ガスを発生する可能性がある。そこで、最近では、上記樹脂材料用の難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤並びに特許文献1〜3に記載のような赤リン、リン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、リン酸アミド系およびポリリン酸アンモニウム系などのリン系難燃剤が多用されるようになっている。
【0003】
このうち、金属水和物系難燃剤は、脱水熱分解の吸熱反応とそれに伴う水の放出が樹脂材料の熱分解や燃焼開始温度と重複した温度領域で起こることで難燃化効果を発揮するが、その効果を高めるためには樹脂材料に対して多量に配合する必要がある。このため、この種の難燃剤を含む樹脂材料の成形品は、機械的強度が損なわれるという欠点がある。一方、リン系難燃剤のうち、リン酸エステル系および縮合リン酸エステル系のものは、可塑効果を有するため、難燃性を高めるために樹脂材料に対して多量に添加すると、樹脂成形品の機械的強度が低下するなどの欠点が生じる。また、リン酸エステル系、リン酸アミド系およびポリリン酸アンモニウム系のものは、容易に加水分解することから、機械的および電気的な長期信頼性が要求される樹脂成形品の製造用材料においては実質的に使用が困難である。
【0004】
そこで、樹脂材料用の難燃剤として、例えば特許文献4に記載のように、リン系難燃剤の一つであるホスファゼン系の難燃剤の使用が検討されている。ホスファゼン系の難燃剤は、他のリン系難燃剤に比べ、可塑効果および加水分解性が小さく、樹脂材料に対する添加量を大きくすることができ、それによって樹脂材料に効果的な難燃性を付与することができるものと期待されている。
【0005】
しかし、ホスファゼン系の難燃剤は、樹脂材料に対する添加量を増やすと耐熱性が低下し、高温下における樹脂成形品の信頼性を低下させる可能性がある。具体的には、熱可塑性樹脂系の樹脂材料の場合は、高温下においてその樹脂成形体からホスファゼン系の難燃剤がブリードアウト(溶出)し易く、また、熱硬化性樹脂系の樹脂材料の場合は、高温下においてその樹脂成形品にフクレ等の変形が発生し、当該樹脂成形品が積層基板等の電気・電子分野において用いられる場合は変形によるショート等の不具合を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−258446号公報
【特許文献2】特開2001−72835号公報
【特許文献3】特開2001−183820号公報
【特許文献4】特開2001−75270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ホスファゼン系の難燃剤について、樹脂成形体の耐熱性を損なわずに難燃性を高めることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述の課題を解決すべく研究を重ねた結果、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物を用いた場合に耐熱性および難燃性に優れた樹脂成形体が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物に関するものであり、より具体的には、下記の式(1)で表される、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物に関するものである。
【0010】
【化1】

【0011】
式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれる基を示し、かつ少なくとも一つがA3基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記のA3−1基、A3−2基およびA3−3基からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【0012】
A3−1基:下記の式(2)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化2】

【0013】
式(2)中、R〜Rは、不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選ばれる基であり、少なくとも1つが不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基である。
【0014】
A3−2基:下記の式(3)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化3】

式(3)中、R〜Rは、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yは、ビフェニレン基若しくはナフチル基を示す。
【0015】
A3−3基:下記の式(4)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化4】

式(4)中、R〜R11は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Zは、O、S、SO、CH、CH(CH)、C(CH、C(CF、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCCH、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOからなる群から選ばれる原子若しくは原子団を示す。
【0016】
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、式(1)中のAの一部がグリシジルオキシ基含有基であってもよい。
【0017】
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、式(1)におけるA3基である不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基における不飽和カルボニルオキシ基が、通常、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、チグロイルオキシ基およびクロトイルオキシ基からなる群から選ばれるものである。また、式(1)において、nは、通常、1若しくは2が好ましい。さらに、式(1)の化合物は、通常、(2n+4)個のAのうちの1〜(2n+2)個がA3基であるものが好ましい。
【0018】
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、式(1)のnが異なる二種以上のものの混合物であってもよく、また、多塩基酸無水物を用いて酸変性されていてもよい。ここで、酸変性のための多塩基酸無水物は、通常、芳香族ジカルボン酸無水物、脂肪族ジカルボン酸無水物および脂環式ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0019】
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造方法は、下記の式(5)で示されるグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と、下記の式(9)で示される不飽和モノカルボン酸とを反応させる工程を含んでいる。
【0020】
【化5】

【0021】
式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Eは下記のE1基、E2基およびE3基からなる群から選ばれる基を示し、かつ少なくとも一つがE3基である。
E1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
E2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
E3基:下記のE3−1基、E3−2基およびE3−3基からなる群から選ばれる少なくとも一種のグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【0022】
E3−1基:下記の式(6)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化6】

式(6)中、G〜Gは、グリシジルオキシ基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選ばれる基であり、少なくとも1つがグリシジルオキシ基である。
【0023】
E3−2基:下記の式(7)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化7】

式(7)中、Lはビフェニレン基若しくはナフチル基を示す。
【0024】
E3−3基:下記の式(8)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化8】

式(8)中、Mは、O、S、SO、CH、CH(CH)、C(CH、C(CF、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCCH、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOからなる群から選ばれる原子若しくは原子団を示す。
【0025】
【化9】

式(9)において、R12〜R14は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0026】
本発明に係る重合性組成物は、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の少なくとも二種類を含んでいる。また、本発明の他の形態に係る重合性組成物は、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含んでいる。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂成分とを含んでいる。
【0028】
本発明の樹脂成形体は、本発明の重合性組成物または樹脂組成物を硬化させて得られるものである。また、本発明の電気・電子部品は、本発明の樹脂成形体を用いたものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、樹脂成形体を形成するための樹脂材料へ混合された場合、樹脂成形体の耐熱性を損なわずに難燃性を高めることができる。また、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、それ自体を硬化することで、または、他の重合性化合物とともに硬化することで、耐熱性および難燃性に優れた樹脂成形体を形成することができる。
【0030】
本発明の製造方法によると、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物を製造することができる。
【0031】
本発明の重合性組成物および樹脂組成物は、電気・電子部品用途において特に有用な、耐熱性および難燃性に優れた樹脂成形体を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、下記の式(1)で表されるものである。
【0033】
【化10】

【0034】
式(1)において、nは、1から6の整数を示すが、1から4の整数が好ましく、1若しくは2が特に好ましい。すなわち、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物として特に好ましいものは、nが1のシクロトリホスファゼン(3量体)を有する不飽和カルボキシレート化合物およびnが2のシクロテトラホスファゼン(4量体)を有する不飽和カルボキシレート化合物である。ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、nが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。
【0035】
また、式(1)において、Aは、下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基を示している。
【0036】
[A1基]
炭素数が1〜8のアルコキシ基。このアルコキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
【0037】
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、1−プロピル−2−ブテニルオキシ基、5−オクテニルオキシ基、ベンジルオキシ基および2−フェニルエトキシ基等を挙げることができる。このうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロペニルオキシ基およびベンジルオキシ基が好ましく、エトキシ基およびn−プロポキシ基が特に好ましい。
【0038】
[A2基]
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。
【0039】
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
【0040】
[A3基]
下記のA3−1基、A3−2基およびA3−3基からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
この不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基における不飽和カルボニルオキシ基は、通常、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、チグロイルオキシ基およびクロトイルオキシ基から選ばれるものである。
【0041】
A3−1基:下記の式(2)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化11】

式(2)において、R〜Rは、不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選ばれる基であり、少なくとも1つが不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基である。
【0042】
式(2)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基としては、例えば、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、2−メチル−3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基、3−エチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、2−メチル−3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基および3−エチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基等を挙げることができる。
【0043】
このうち、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基および4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基が好ましく、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基および4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基が特に好ましい。
【0044】
A3−2基:下記の式(3)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【0045】
【化12】

式(3)において、R〜Rは水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yはビフェニレン基若しくはナフチル基を示す。
【0046】
式(3)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基としては、例えば、2−(4’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、3−(4’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、5−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、6−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、2−(4’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、3−(4’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、5−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基および6−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基等を挙げることができる。
【0047】
このうち、3−(4’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、3−(4’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基および4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基が好ましく、4−(4’−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、4−(4’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基および4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基が特に好ましい。
【0048】
A3−3基:下記の式(4)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【0049】
【化13】

式(4)において、R〜R11は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Zは、O、S、SO、CH、CH(CH)、C(CH、C(CF、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCCH、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOからなる群から選ばれる原子若しくは原子団を示す。
【0050】
ここで、R〜R11は、RおよびR10が水素原子でありかつR11が水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、RおよびR10が水素原子でありかつR11が水素原子若しくは炭素数1のメチル基が特に好ましい。
【0051】
また、Zは、O、SO、CH、C(CH、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOが好ましく、O、SO、OCHCH(OH)CHOCおよびOCHCH(OH)CHOCSOが特に好ましい。
【0052】
式(1)において、Aは、(2n+4)個含まれており、このうちの少なくとも一つがA3基である。したがって、式(1)で表される本発明のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、次の形態に大別することができる。
【0053】
[形態1]
(2n+4)個の全てのAがA3基のものである。この場合、Aは、全てが同じA3基であってもよいし、二種以上のA3基であってもよい。
【0054】
この形態のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物としては、例えば、式(1)のnが1であるシクロトリホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが2であるシクロテトラホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが3であるシクロペンタホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物および式(1)のnが4であるシクロヘキサホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物であって、Aの全てが、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、2−メチル−3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基、3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基、3−エチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、2−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、3−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、5−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、6−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニル)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、2−メチル−3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基、3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基、3−エチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、2−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、3−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基、4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、5−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、6−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基および4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニル)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基からなるA3群基から選ばれた一種のA3基であるもの並びにAの全てが当該A3基群から選ばれた二種以上のA3基であるもの並びにこれらの任意の混合物を挙げることができる。
【0055】
[形態2]
(2n+4)個のAのうちの一部(すなわち、少なくとも一つ)がA3基であり、他のAがA1基およびA2基から選ばれた基のものである。(2n+4)個のAのうちの二つ以上がA3基の場合、各A3基は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、A3基以外の他のAは、全てが同じA1基若しくはA2基であってもよいし、二種以上のA1基若しくはA2基または一種若しくは二種以上のA1基とA2基とが混在した状態であってもよい。
【0056】
この形態のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物として好ましいものは、(2n+4)個のAのうちの1個〜(2n+2)個がA3基のものである。特に、式(1)のnが1であるシクロトリホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが2であるシクロテトラホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが3であるシクロペンタホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物および式(1)のnが4であるシクロヘキサホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物であって、(2n+4)個のAのうちの1個〜(2n+2)個がA3基のもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
【0057】
ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物としてこの種のものを用いると、他のホスファゼン環を有するエポキシ不飽和カルボキシレート化合物を用いた場合に比べ、耐熱性により優れた樹脂成形体(すなわち、ガラス転移温度がより高い樹脂成形体)を実現可能な点において有利である。
【0058】
なお、(2n+4)個のAのうちの1個〜(2n+2)個がA3基であるか否かは、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物またはその製造過程における中間体のTOF−MS分析により確認することができる。
【0059】
この形態のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物としては、例えば、式(1)のnが1であるシクロトリホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが2であるシクロテトラホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが3であるシクロペンタホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物および式(1)のnが4であるシクロヘキサホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物であって、Aが、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリオイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリオイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリオイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である5−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基で
あるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−4−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である5−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ナフチル−1−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロ
ポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、およびA3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物を挙げることができる。
【0060】
このうち、式(1)のnが1であるシクロトリホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、式(1)のnが2であるシクロテトラホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物および式(1)のnが3であるシクロペンタホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物であって、Aが、A3基である4−(3−アクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルチオ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルエチリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのものおよびA3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
【0061】
特に、式(1)のnが1であるシクロトリホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物および式(1)のnが2であるシクロテトラホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物であって、Aが、A3基である2−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのものおよびA3基である4−(3−(4−(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
【0062】
ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造方法
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、前駆体であるグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応(付加反応)することで製造することができる。
【0063】
ここで用いられるグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、下記の式(5)で表される。
【化14】

【0064】
式(5)において、nは1から6の整数を示しているが、1から4の整数が好ましく、1若しくは2が特に好ましい。すなわち、グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物として特に好ましいものは、nが1のグリシジルオキシ基含有シクロトリホスファゼン(3量体)およびnが2のグリシジルオキシ基含有シクロテトラホスファゼン(4量体)である。グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、nが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。
【0065】
また、式(5)において、Eは、下記のE1基、E2基およびE3基からなる群から選ばれた基であり、Eのうちの少なくとも一つはE3基である。
【0066】
[E1基]
炭素数が1〜8のアルコキシ基。このアルコキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。このようなアルコキシ基の例およびそのうちの好ましいものとしては、A1基の説明において挙げたものが挙げられる。
【0067】
[E2基]
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい。このようなアリールオキシ基の例およびそのうちの好ましいものとしては、A2基の説明において挙げたものが挙げられる。
【0068】
[E3基]
下記のE3−1基、E3−2基、E3−3基からなる群から選ばれる基。
【0069】
E3−1基:下記の式(6)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化15】

式(6)において、G〜Gは、グリシジルオキシ基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選ばれる基であり、少なくとも1つがグリシジルオキシ基である。
【0070】
式(6)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基としては、2−グリシジルオキシフェニルオキシ基、3−グリシジルオキシフェニルオキシ基、4−グリシジルオキシフェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−3−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,4−ジメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,6−ジメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4,5−ジメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4,6−ジメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−5,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,4−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5,6−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−2,3−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−2,6−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−3,6−ジメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,4,5−トリメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,4,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,5,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4,5,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2,4,5−トリメチル−3−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2,5,6−トリメチル−3−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4,5,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2,3,5−トリメチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2,3,6−トリメチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3,4,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,4,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、2,3−ジグリシジルオキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2,3−ジグリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2,3−ジグリシジルオキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2,4−ジグリシジルオキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2,4−ジグリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2,4−ジグリシジルオキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2,5−ジグリシジルオキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2,5−ジグリシジルオキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2,5−ジグリシジルオキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2,6−ジグリシジルオキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2,6−ジグリシジルオキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2,6−ジグリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3−エチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−6−エチル−フェニルオキシ基、2−エチル−3−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−6−エチル−フェニルオキシ基、2−エチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−エチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3−アリル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4−アリル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−5−アリル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−6−アリル−フェニルオキシ基、2−アリル−3−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−アリル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−アリル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−6−アリル−フェニルオキシ基、2−アリル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−アリル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3−フェニル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−4−フェニル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−5−フェニル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−6−フェニル−フェニルオキシ基、2−グリシジルオキシ−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−フェニル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−フェニル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−6−フェニル−フェニルオキシ基、2−フェニル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−フェニル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−メチル−3−エチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−メチル−4−グリシジルオキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−グリシジルオキシ−6−エチル−フェニルオキシ基、2−エチル−3−メチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、2−エチル−4−グリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基および2−エチル−4−グリシジルオキシ−6−メチル−フェニルオキシ基等を挙げることができる。
【0071】
このうち、3−グリシジルオキシフェニルオキシ基、4−グリシジルオキシフェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,4−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−2,6−ジメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、2,3,5−トリメチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−2,4,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、3−エチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−アリル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−アリル−フェニルオキシ基、3−アリル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−4−フェニル−フェニルオキシ基、3−グリシジルオキシ−5−フェニル−フェニルオキシ基および3−フェニル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基が好ましく、4−グリシジルオキシフェニルオキシ基、3−メチル−4−グリシジルオキシ−フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基および4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基が特に好ましい。
【0072】
E3−2基:下記の式(7)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化16】

式(7)において、Lは、ビフェニレン基若しくはナフチル基を示す。
【0073】
式(7)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基としては、2−(4−グリシジルオキシフェニル)フェニルオキシ基、3−(4−グリシジルオキシフェニル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニル)フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシナフチル−1−オキシ基、5−グリシジルオキシナフチル−1−オキシ基および6−グリシジルオキシナフチル−1−オキシ等を挙げることができる。このうち3−(4−グリシジルオキシフェニル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニル)フェニルオキシ基、4−グリシジルオキシナフチル−1−オキシ基および5−グリシジルオキシナフチル−1−オキシ基が好ましく、4−(4−グリシジルオキシフェニル)フェニルオキシ基および4−グリシジルオキシナフチル−1−オキシ基が特に好ましい。
【0074】
E3−3基:下記の式(8)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化17】

【0075】
式(8)において、Mは、O、S、SO、CH、CH(CH)、C(CH、C(CF、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCCH、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOからなる群から選ばれる原子若しくは原子団を示す。
【0076】
式(8)で示されるグリシジルオキシ含有アリールオキシ基としては、4−(4−グリシジルオキシフェニルオキシ)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルチオ)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシベンジル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルエチリデン)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルヘキサフルオロイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基および4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基等を挙げることができる。
【0077】
このうち、4−(4−グリシジルオキシフェニルオキシ)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルチオ)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシベンジル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基および4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基が好ましく、4−(4−グリシジルオキシフェニルスルホニル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシベンジル)フェニルオキシ基、4−(4−グリシジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシベンジル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基、4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基および4−(3−(4−(4−グリシジルオキシフェニルスルホニル)フェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルオキシ基が特に好ましい。
【0078】
上述のような各種のグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、各種の文献、例えば、下記の非特許文献1および特許文献5、6に記載の方法に基づいて製造することができる。
【0079】
【非特許文献1】PHOSPHAZENES、A WORLDWIDE INSIGHT,M.GLERIA、R.DE JAEGER著、2004年刊、NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
【特許文献5】特開2001−335703号公報
【特許文献6】特開2007−153748号公報
【0080】
一方、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造において用いられる不飽和モノカルボン酸は、下記の式(9)で示されるものである。
【化18】

式(9)において、R12〜R14は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0081】
なお、式(9)で示される不飽和モノカルボン酸として好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびチグル酸である。
【0082】
グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と不飽和モノカルボン酸との反応方法は、多数の公知文献に記載されており、E3基の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、下記の特許文献7に記載されているように、グリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に含まれるエポキシ基1モルに対して、不飽和基含有モノカルボン酸を0.2〜1.3モルの割合で配合し、溶媒中または無溶媒下において60〜150℃、好ましくは70〜130℃に加熱して反応する。この際、反応中の重合によるゲル化を防止する目的で、ヒドロキノンやp−メチルヒドロキノン等のヒドロキノン類のような公知の重合禁止剤を用い、空気の存在下で反応するのが好ましい。また、反応時間を短縮するために、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドおよびテトラメチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム塩、ピリジン、2−ピコリンおよび2,6−ルチジンルチジン等のピリジン類若しくはトリフェニルホスフィンおよびトリブチルホスフィン等のホスフィン類または公知のエステル化促進剤を使用することができる。
【0083】
【特許文献7】特開昭44−31472号公報
【0084】
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基に加え、グリシジルオキシ基を同時に有するものであってもよい。すなわち、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、式(1)中のAの一部がグリシジルオキシ基含有基であってもよい。このグリシジルオキシ基含有基は、通常、上述の製造方法において用いる式(5)で表されるグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物のグリシジルオキシ基が不飽和モノカルボン酸と反応せずにそのまま残留したものである。より具体的には、E3−1基のグリシジルオキシ基の一部が未反応のまま残留したもの、未反応のE3−2基または未反応のE3−3基である。このようなグリシジルオキシ基含有基は、この形態のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物において、二種類以上のものが含まれていてもよい。
【0085】
ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物
本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、多塩基酸無水物を用いて酸変性されていてもよい。ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物は、希アルカリ水溶液に対する溶解性が高まるため、後記する重合性組成物または樹脂組成物を回路基板製造用のソルダーレジストとして用いる場合において、希アルカリ水溶液にて現像が可能となり、加工性が向上する。
【0086】
酸変性のために用いられる多塩基酸無水物は、芳香族ジカルボン酸無水物、脂環式ジカルボン酸無水物および脂肪族ジカルボン酸無水物であり、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラフタル酸、無水メチルヘキサフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸等を挙げることができる。このうち、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラフタル酸、無水メチルヘキサフタル酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸が好ましい。
【0087】
ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物は、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と多塩基酸無水物とを反応することで製造することができる。このための反応は、水酸基を有する不飽和カルボキシレート化合物と多塩基酸無水物との間での公知の反応方法を参照して実施することができる。
【0088】
この際、多塩基酸無水物の使用量は、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の水酸基当量に対して0.01〜1.2当量に設定するのが好ましく、0.05〜1.0当量に設定するのがより好ましい。
【0089】
また、反応は、無溶媒で実施してもよいし、溶媒中で実施してもよい。溶媒を使用する場合、使用可能な溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセルソロブアセテート、エチルセルソロブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類を挙げることができる。また、反応温度は、生成したホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物が熱重合しない温度であれば特に限定されるものではないが、通常、60〜130℃に設定するのが好ましい。
【0090】
重合性組成物
本発明の重合性組成物は、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の少なくとも二種類を含むものである。また、本発明に係る他の形態の重合性組成物は、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含むものである。この形態の重合性組成物において、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、二種以上のものが併用されてもよい。これらの重合性組成物は、必要により重合開始剤を配合して活性エネルギー線を照射することで硬化反応が進行し、樹脂状の硬化物を形成するため、樹脂成形体を形成するための材料として用いることができる。
【0091】
重合性組成物において使用可能な活性エネルギー線硬化性化合物は、各種のものであって特に限定されるものではないが、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスロトールトリアクリレートおよびジペンタエリスロトール等の水酸基含有アクリレート類、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびポリプロピレングリコールジアクリレートなどの水溶性のアクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびペンタエリスロトールテトラアクリレート等の多官能アルコールの多官能ポリエステルアクリレート類、トリメチロールプロパンおよび水添ビスフェノールA等の多官能アルコール若しくはビスフェノールAおよびビフェノール等の多官能フェノールのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物のアクリレート類、上記水酸基含有アクリレート類のイソシアネート変性物である多官能若しくは単官能ポリウレタンアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェノールノボラック若しくはクレゾールノボラックエポキシ樹脂のアクリル酸付加物であるエポキシアクリレート類並びにこれら各種アクリレート類に対応するメタクリレート類を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
【0092】
重合性組成物を硬化させる際に配合可能な重合開始剤は、活性エネルギー線を吸収し、アクリロイル基やメタクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノンおよび1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンおよびN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンおよび1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のα−ヒドロキシケトン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノンおよび1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタールおよびベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾイルパーオキシドおよびクメンパーオキシド等の有機過酸化物、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、リボフラビンテトラブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールおよび2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール類、2,4,6−トリス−sec−トリアジン、2,2,2−トリブロモエタノールおよびトリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化物、ベンゾフェノンおよび4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。このうち、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノ−1−プロパノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノンが特に好ましい。
【0093】
活性エネルギー線硬化性化合物を含む重合性組成物において、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の割合は、活性エネルギー線硬化性化合物の種類や重合性組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での活性エネルギー線硬化性化合物100重量部に対して0.1〜200重量部に設定するのが好ましく、0.5〜100重量部に設定するのがより好ましく、1〜50重量部に設定するのがさらに好ましい。ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の使用量が0.1重量部未満の場合は、当該重合性組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。逆に、200重量部を超えると、重合性組成物において使用する活性エネルギー線硬化性化合物から期待される特性を有する樹脂成形体が得られにくくなるおそれがある。
【0094】
上述の重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、二種以上のものを混合して用いられてもよい。また、上述の重合開始剤は、必要に応じ、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルおよびN,N−ジメチルアミノ安息香酸ペンチル等のエステル類並びにトリエチルアミンおよびトリエタノールアミン等の第3級アミン類等の重合開始助剤を添加して用いることができ、また、可視光領域に吸収のあるチタノセン化合物(例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「CGI−784」)等の重合開始促進剤を添加して用いることもできる。
【0095】
本発明の重合性組成物は、有機過酸化物やアゾ化合物などの重合開始剤を配合して加熱する加熱重合法、或いは、有機過酸化物と促進剤とを配合する常温重合法などによっても硬化反応が進行し、樹脂状の硬化物を形成することができる。
【0096】
これらの重合法において使用可能な有機過酸化物は、特に限定されるものではないが、例えば、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドおよびビス−4−tert−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
【0097】
また、常温重合法において使用可能な促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、コバルト、鉄およびマンガン等のオクチル酸並びにナフテン酸塩等の多価金属塩類、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、p−トルイジンおよびエタノールアミン等である。これらは、単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
【0098】
本発明の重合性組成物は、用途等に応じ、その目的とする物性を損なわない範囲で、各種の添加剤を含んでいてもよい。使用可能な添加剤としては、例えば、天然シリカ、焼成シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、ホワイトカーボン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、天然マイカ、合成マイカ、アエロジル、カオリン、クレー、タルク、焼成カオリン、焼成クレー、焼成タルク、ウオラストナイト、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラスおよびチタン酸カリウム繊維等の無機充填剤、アラミド繊維およびポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維等の有機繊維、シランカップリング剤などの充填材の表面処理剤、ワックス類、脂肪酸およびその金属塩、酸アミド類およびパラフィン等の離型剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、リン酸アンモニウム、赤リン、塩素化パラフィン、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンおよびサクシノグアナミン等の窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤並びに臭素系難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のドリッピング防止剤、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤、ヒンダートフェノールおよびスチレン化フェノールなどの酸化防止剤、チオキサントン系などの光重合開始剤、スチルベン誘導体などの蛍光増白剤、硬化剤、染料、顔料、着色剤、光安定剤、光増感剤、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤、チクソ性付与剤、可塑剤並びに帯電防止剤等を挙げることができる。
【0099】
また、本発明の重合性組成物は、必要により溶剤を添加して溶解することで、各種の基材に対して塗布可能な粘度に調整することができる。ここで使用可能な溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、セルソロブ、メチルセルソロブ、ブチルセルソロブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セルソロブアセテートおよびメチルセルソロブアセテート等の酢酸エステル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のアルコール類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサおよびソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
【0100】
本発明の重合性組成物は、それ自体について、或いは、上述の重合開始剤等を配合したものについて、活性エネルギー線を照射するか加熱することで硬化反応が進行し、樹脂状の硬化物を形成し得る。この硬化物は、高いガラス転移温度を示すことから高温下での機械的特性、すなわち耐熱性に優れており、また、高い難燃性を示す。このため、本発明の重合性組成物は、各種の用途において用いられる樹脂成形体の製造用材料並びに塗料用、接着剤用およびその他の用途用材料として活用することができる。
【0101】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂成分とを含むものである。ここで、本発明に係るホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、二種類以上のものが用いられてもよい。
【0102】
この樹脂組成物において使用可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリメチルアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、脂肪族系ポリアミド樹脂、芳香族系ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリチオエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂並びに液晶ポリマー樹脂等を挙げることができる。このうち、変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、通常、ポリフェニレンエーテル樹脂の一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基または無水ジカルボキシル基などの反応性官能基を、グラフト反応や共重合などの何らかの方法により導入したものが好ましい。なお、樹脂組成物を電子機器用途、特に、OA機器、AV機器、通信機器および家電製品用の筐体や部品用の材料として用いる場合は、熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂若しくはポリアミド樹脂を用いるのが好ましい。
【0103】
一方、この樹脂組成物において使用可能な熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂並びにエポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、マレイミド樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂等のポリイミド系樹脂は、その取り扱い加工性および接着性を向上するために、熱可塑性や溶媒可溶性が付与されたものであってもよい。なお、樹脂組成物を電子部品用途、特に、各種IC素子の封止材、配線板の基板材料、層間絶縁材料や絶縁性接着材料等の絶縁材料、Si基板またはSiC基板等のSi系絶縁材料、導電材料および表面保護材料として用いる場合は、熱硬化性樹脂として、ポリウレタン、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレイミドーシアン酸エステル樹脂、ポリイミド系樹脂若しくはエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0104】
本発明の樹脂組成物において、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の使用量は、樹脂成分の種類や樹脂組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での樹脂成分100重量部に対して0.1〜200重量部に設定するのが好ましく、0.5〜100重量部に設定するのがより好ましく、1〜50重量部に設定するのが特に好ましい。ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の使用量が0.1重量部未満の場合は、当該樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さない可能性がある。逆に、200重量部を超えると、樹脂成分本来の特性を損ない、当該特性による樹脂成形体が得られにくい可能性がある。
【0105】
本発明の樹脂組成物は、用途や樹脂成分の種類等に応じ、その目的とする物性を損なわない範囲で、本発明の重合性組成物に配合可能なものと同様の各種の添加剤を配合することができる。
【0106】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂の硬化剤や硬化促進剤を配合することもできる。使用可能な硬化剤や硬化促進剤は、特に限定されるものではないが、通常、アミン化合物、フェノール化合物、酸無水物、イミダゾール類および有機金属塩などである。これらは、二種以上を併用することもできる。
【0107】
本発明の樹脂組成物として好ましいものは、樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いたものである。使用可能なエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂およびナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類との反応により得られるノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−AD型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロペンタジェン型エポキシ樹脂、アルキル置換ビフェノール型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等のフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン、オリゴプロピレングリコールおよび水添ビスフェノール−A等のアルコール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる脂肪族エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸若しくはフタル酸とエピクロルヒドリン若しくは2−メチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンやアミノフェノール等のアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン系エポキシ樹脂、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られる複素環式エポキシ樹脂、グリシジル基を有するホスファゼン化合物、エポキシ変性ホスファゼン樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂並びにウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂およびトリス(ヒドロキシフェニル)メタンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
【0108】
エポキシ樹脂を樹脂成分として用いた本発明の樹脂組成物(以下、このような樹脂組成物を「エポキシ樹脂組成物」という場合がある)において、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応することでエポキシ樹脂の硬化剤として機能し得る。また、エポキシ樹脂組成物は、他の硬化剤を含んでいてもよい。
【0109】
ここで用いられる他の硬化剤は、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンおよびポリアミドポリアミン等のポリアミン系硬化剤、無水ヘキサヒドロフタル酸および無水メチルテトラヒドロフタル酸等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等のフェノール系硬化剤、ヒドロキシ基またはグリシジル基を有するホスファゼン化合物、三フッ化ホウ素等のルイス酸およびそれらの塩類並びにジシアンジアミド類等を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。
【0110】
エポキシ樹脂組成物において、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の含有量またはホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と他の硬化剤との合計含有量は、樹脂組成物におけるホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の既述の使用量を維持しつつ、通常、エポキシ樹脂の硬化性を高める観点で、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量になるよう設定するのが好ましく、0.6〜1.2当量になるよう設定するのがより好ましい。なお、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と他の硬化剤との合計含有量に占めるホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の割合は、0.1〜99重量%に設定するのが好ましく、0.5〜90重量%に設定するのがより好ましい。ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の割合が0.1重量%未満の場合は、エポキシ樹脂組成物の硬化物が十分な難燃性を示さない可能性がある。
【0111】
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。使用可能な硬化促進剤は、種々のものであって特に限定されるものではないが、例えば、2−メチルイミダゾールおよび2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3アミン系化合物およびトリフェニルホスフィン化合物等を挙げることができる。硬化促進剤を用いる場合、その使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部に設定するのが好ましく、0.1〜10重量部に設定するのがより好ましい。
【0112】
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて反応性希釈剤や添加剤が配合されていてもよい。使用可能な反応性希釈剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよび3級カルボン酸グリシジルエステル等のアルキルグリシジルエステル、スチレンオキサイドおよびフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびノニルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族アルキルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの反応性希釈剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。一方、添加剤としては、既述のようなものを用いることができる。
【0113】
上述のエポキシ樹脂組成物等の本発明の樹脂組成物は、各成分を均一に混合することで調製することができる。この樹脂組成物は、樹脂成分に応じて100〜250℃程度の温度範囲で1〜36時間放置すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。例えば、エポキシ樹脂組成物は、通常、150〜250℃の温度で2〜15時間放置すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。このような硬化過程において、本発明のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、そのヒドロキシ基が樹脂成分と反応し、硬化物中において安定に保持されることになるため、当該硬化物の高温信頼性を損ないにくい。また、本発明のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物は、そのような硬化物の機械的特性(特に、ガラス転移温度)を損なわずに、当該硬化物の難燃性を高めることができる。したがって、本発明の樹脂組成物により得られる硬化物は、耐熱性および難燃性に優れている。このため、本発明の樹脂組成物は、各種の樹脂成形体の製造用材料並びに塗料用、接着剤用およびその他の用途用材料として活用することができる。
【0114】
樹脂成形体
本発明の樹脂成形体は、本発明の重合性組成物または樹脂組成物を用いて形成された硬化物からなるものである。
【0115】
この樹脂形成体は、本発明の重合性組成物または樹脂組成物を各種の成形機に仕込んで任意の形状に成形し、加熱したり活性エネルギー線を照射したりすることで硬化させると得られる。また、この樹脂成形体は、本発明の重合性組成物または樹脂組成物を既述の溶剤に溶解させたものを各種の基材、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維または紙などからなる基材に含浸させ、それを加熱乾燥することで得たプリプレグを熱プレス成形したり、当該プリプレグに活性エネルギー線を照射することで硬化させたりすることにより得られるものであってもよい。さらに、この樹脂成形体は、本発明の重合性組成物または樹脂組成物を既述の溶剤に溶解させたものをコーティング材や印刷インク等として塗布等の方法により膜状に成形して硬化させたシート状やフイルム状のものであってもよい。
【0116】
本発明の樹脂成形体は、本発明に係る重合性組成物または樹脂組成物からなるものであるため、耐熱性および難燃性に優れている。このため、この樹脂成形体は、電気・電子部品において、その構成材料、例えば、半導体封止材、回路基板用要素(特に、金属張り積層板、ビルドアップ配線板、プリント配線板用基板、プリント配線板用接着材、プリント配線板用接着剤シート、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、プリント配線板用導電体、多層プリント配線板用封止材、回路保護材、カバーレイフィルムおよびカバーレイインク、ソルダーレジスト)および絶縁体等として用いられるのが特に好ましい。
【実施例】
【0117】
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、式(1)については(PNA)を意味する。また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
【0118】
以下の合成例で得られた環状ホスファゼン化合物および実施例で得られたホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物等は、H−NMRスペクトルおよび31P−NMRスペクトルの測定、CHNP元素分析、IRスペクトルの測定、アルカリ溶融後の硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析並びにTOF−MS分析の結果に基づいて同定した。
【0119】
以下の合成例および実施例等において、水酸基当量は、JIS K 0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」において規定された水酸基価測定方法の中和滴定法に従って水酸基価(mgKOH/g)を測定し、その値を水酸基当量(g/eq.)に変換したものである。また、エポキシ当量(g/eq.:1当量のエポキシ基を含む組成物の質量g)は、JIS K−7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」において規定された方法に従い測定した。
【0120】
合成例1(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム4−メトキシフェノキシド(146.9g、1.01mol)のTHF(450mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(336.7g、2.90mol)のトルエン(1,250g)懸濁液に投入後、110℃にて10時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、さらに水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、373.2gの生成物を得た。この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、トルエン(400mL)およびピリジン(159.8g、2.02mol)を加えて撹拌溶解した。これに塩化水素ガス(97.3g、2.67mol)を撹拌しながら内温40℃以下で導入した。その後、加熱を開始してトルエンを留去後、内温200℃にて加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認後、冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて希釈した。MIBK層を5%塩酸水溶液、1%塩酸水溶液の順に洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、さらに水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、341.3(収率94.0%)の生成物を得た。この生成物の水酸基当量は373g/eq.であった。
【0121】
この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、メタノール(1,500mL)およびエピクロロヒドリン(169.3g、1.83mol)、99%水酸化ナトリウム(38.8g、0.96mol)を仕込み、内温60〜65℃にて1時間加熱撹拌した。反応混合物を減圧濃縮後、MIBK(1,000mL)に希釈し、脱イオン水(500mL)にて2回洗浄した。MIBK層を減圧濃縮し、372.8g(収率95.0%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下のとおりであった。
【0122】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.7(1H), 2.9(1H), 3.3(1H), 3.9(1H), 4.2(1H), 6.5〜7.3(14.8H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.3%,H:4.6%,N:5.0%,P:11.1%
実測値 C:60.1%,H:4.7%,N:5.0%,P:11.0%
◎TOF−MS(m/z):
726,754,784
◎残存塩素分析:
<0.1%
◎エポキシ当量:
440g/eq.
【0123】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOCO)(OC]、[N(OCOCO)(OC]、[N(OCOCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCOCO)1.35(OC0.65]のグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0124】
合成例2(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウム4−メトキシフェノキシドの代わりにナトリウム3−メチル−4−メトキシフェノキシド(147.58g、1.01mol)を使用した以外は合成例1と同様の操作をし、401.1g(収率93.1%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.1(3H), 2.7(1H), 2.9(1H), 3.3(1H), 3.6(1H), 3.9(1H), 6.7〜7.2(13H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.7〜10.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:61.0%,H:4.9%,N:4.9%,P:10.7%
実測値 C:61.1%,H:4.7%,N:4.9%,P:10.6%
◎TOF−MS(m/z):
780,866,952
◎エポキシ当量:
434g/eq.
【0125】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CH)OCO)(OC]、[N(OC(CH)OCO)(OC]および[N(OC(CH)OCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OCO)2.0(OC4.0]であることを確認した。
【0126】
合成例3(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウム4−メトキシフェノキシドの代わりにナトリウム4−メトキシ−3,5−ジメチル−フェノキシド(147.58g、1.01mol)を使用した以外は合成例1と同様の操作をし、401.1g(収率93.1%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0127】
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.2(12.6H), 2.7(2.1H), 2.9(2.1H), 3.3(2.1H), 3.6(2.1H), 3.9(2.1H), 6.7〜7.2(23.7H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.4〜9.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:61.8%,H:5.2%,N:4.7%,P:10.3%
実測値 C:61.6%,H:5.3%,N:4.7%,P:10.2%
◎TOF−MS(m/z):
794,894,993
◎エポキシ当量:
453g/eq.
【0128】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CHOCO)(OC]、[N(OC(CHOCO)(OC]および[N(OC(CHOCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CHOCO)2.1(OC3.9]であることを確認した。
【0129】
合成例4(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム4−(4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェノキシド(343.8g、1.01mol)のTHF(450mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(336.7g、2.90mol)のトルエン(1,250g)懸濁液に投入後、110℃にて15時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加えて分液ロートに移した。水層を分離後、トルエン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)にて洗浄後、希硝酸にて中和し、さらに水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル(1,000mL)に希釈して2リットルのナスフラスコに仕込み、5%パラジウムカーボン触媒(10g)を投入して水素雰囲気下、内温20〜30℃で5時間撹拌した。触媒を濾別後、濾液を減圧濃縮して476.8gの淡黄色固体の生成物を得た。この生成物の水酸基当量は481g/eq.であった。
【0130】
この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、メタノール(2,000mL)およびエピクロロヒドリン(183.4g、1.98mol)、99%水酸化ナトリウム(42.0g、1.04mol)を仕込み、内温60〜65℃にて1時間加熱撹拌した。反応混合物を減圧濃縮後、MIBK(1,000mL)に希釈し、脱イオン水(500mL)にて2回洗浄した。MIBK層を減圧濃縮し、372.8g(収率95.0%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下のとおりであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
1.8(10H), 2.7(1H), 2.9(1H), 3.3(1H), 3.9(1H), 4.2(1H), 6.7〜7.2(18H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.4〜9.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:68.3%,H:5.7%,N:3.4%,P:7.5%
実測値 C:68.5%,H:5.8%,N:3.3%,P:7.4%
◎TOF−MS(m/z):
1017,1180,1343
◎エポキシ当量:
432g/eq.
【0131】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCCHOCO)(OC]、[N(OCCHOCO)(OC]および[N(OCCHOCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CHOCO)1.95(OC4.05]であることを確認した。
【0132】
合成例5(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウム4−(4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン)フェノキシドの代わりにナトリウム4−(4’−ベンジルオキシフェニルスルホン)フェノキシド(366.0g、1.01mol)を使用した以外は合成例4と同様に操作し、534.1g(収率95.0%)の淡黄色固体の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.7(1H), 2.9(1H), 3.3(1H), 3.9(1H), 4.2(1H),6.7〜7.2(9H), 7.9(9H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.4〜9.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:57.0%,H:4.1%,N:3.2%,P:7.1%
実測値 C:57.2%,H:4.2%,N:3.1%,P:7.0%
◎TOF−MS(m/z):
1074,1264,1453
◎エポキシ当量:
450g/eq.
【0133】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCSOOCO)(OC]、[N(OCSOOCO)(OC]および[N(OCSOOCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCSOOCO)2.1(OC3.9]であることを確認した。
【0134】
合成例6(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム4−メトキシフェノキシド(146.9g、1.01mol)のTHF(450mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(336.7g、2.90mol)のトルエン(1,250g)懸濁液に投入後、110℃にて10時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加えて分液ロートに移した。水層を分離後、トルエン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)にて洗浄後、希硝酸にて中和し、さらに水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、373.2gの生成物を得た。
【0135】
この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、トルエン(400mL)およびピリジン(159.8g、2.02mol)を加えて撹拌溶解した。これに塩化水素ガス(97.3g、2.67mol)を撹拌しながら内温40℃以下で導入した。その後、加熱を開始してトルエンを留去後、内温200℃にて加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認後、冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)と5%塩酸水溶液(500mL)とを加えて分液ロートに移した。水層を分離してMIBK層を1%塩酸水溶液(500mL)にて洗浄後、希硝酸にて中和し、さらに洗浄した。MIBK層を減圧濃縮し、341.3の生成物を得た。この生成物の水酸基当量は373g/eq.であった。
【0136】
この生成物を3リットルの4つ口フラスコに仕込み、THF(700mL)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量:170g/eq.、389.3g、2.29mol)およびジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン(17.1g、0.96mol)を仕込み、内温60〜65℃にて30時間加熱撹拌した。反応混合物を減圧濃縮後、クロロホルム(1,400mL)に希釈して分液ロートに移し、1%硝酸水溶液(700mL)にて洗浄した。クロロホルム層を脱イオン水(700mL)にて3回洗浄した。クロロホルム層を脱水後、減圧濃縮し、730.6g(収率94%)の褐色固体の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下のとおりであった。
【0137】
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.2(12.6H), 2.7(2.1H), 2.9(2.1H), 3.3(2.1H), 3.6(2.1H), 3.9(2.1H), 6.7〜7.2(23.7H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.4〜9.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:66.5%,H:5.4%,N:2.5%,P:5.5%
実測値 C:66.3%,H:5.3%,N:2.6%,P:5.7%
◎エポキシ当量:
706g/eq.
【0138】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOCHCHOHCHOCC(CHOCO)(OC]、[N(OCOCHCHOHCHOCC(CHOCO)(OC]および[N(OCOCHCHOHCHOCC(CHOCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOCHCHOHCHOCC(CHOCO)2.0(OC4.0]であることを確認した。
【0139】
合成例7(グリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ビスフェノールAジグリシジルエーテルの代わりにビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量:157g/eq.、359.5g、2.29mol)を使用した以外は合成例6と同様に操作し、701g(収率94%)の褐色固体の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下のとおりであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.2(12.6H), 2.7(2.1H), 2.9(2.1H), 3.3(2.1H), 3.6(2.1H), 3.9(2.1H), 6.7〜7.2(23.7H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.4〜9.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:65.8%,H:5.2%,N:3.1%,P:6.9%
実測値 C:65.8%,H:5.3%,N:3.2%,P:7.0%
◎エポキシ当量:
684g/eq.
【0140】
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OCOCHCHOHCHOCCHOCO)(OC]、[N(OCOCHCHOHCHOCCHOCO)(OC]および[N(OCOCHCHOHCHOCCHOCO)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOCHCHOHCHOCCHOCO)2.1(OC3.9]であることを確認した。
【0141】
合成例8(環状ホスファゼン化合物の製造)
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、151頁、ACADEMIC PRESS社に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン81%とオクタクロロシクロテトラホスファゼン19%とのシクロホスファゼン混合物を用いて[N=P(OCと[N=P(OCとの混合物(白色固体/融点:65〜112℃)を得た。
【0142】
実施例1(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:440g/eq.)100.0g、アクリル酸17.4g、メトキノン1.0g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.1gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて7時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が3.5mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分が54.0%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0143】
実施例2(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例2で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:434g/eq.)98.5gを使用した以外は実施例1と同様の操作をし、固形分が53.7%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0144】
実施例3(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例3で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:453g/eq.)102.8gを使用した以外は実施例1と同様の操作をし、固形分が54.0%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0145】
実施例4(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例4で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:432g/eq.)98.1gを使用した以外は実施例1と同様の操作をし、固形分が53.6%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0146】
実施例5(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例5で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:450g/eq.)102.2gを使用した以外は実施例1と同様の操作をし、固形分が54.4%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0147】
実施例6(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:706g/eq.)100.0g、アクリル酸10.7g、メトキノン0.5g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.05gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて6時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が1.9mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分が54.0%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0148】
実施例7(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例7で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:684g/eq.)97.1gを使用した以外は実施例6と同様の操作をし、固形分が54.4%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0149】
実施例8(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:440g/eq.)100.0g、アクリル酸11.5g、メトキノン0.5g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.05gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて5時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が0.5mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分が52.5%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0150】
実施例9(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例2で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:434g/eq.)98.5gを使用した以外は実施例8と同様の操作をし、固形分が52.1%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0151】
実施例10(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例3で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:453g/eq.)102.8gを使用した以外は実施例8と同様の操作をし、固形分が52.1%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0152】
実施例11(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例4で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:432g/eq.)98.1gを使用した以外は実施例8と同様の操作をし、固形分が52.0%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0153】
実施例12(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例5で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:450g/eq.)102.2gを使用した以外は実施例8と同様の操作をし、固形分52.9%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0154】
実施例13(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:706g/eq.)100.0g、アクリル酸5.4g、メトキノン0.5g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.05gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて4時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が0.8mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分が51.5%のホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0155】
実施例14(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に替えて合成例7で得られたグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(エポキシ当量:684g/eq.)97.1gを使用した以外は実施例13と同様の操作をし、固形分50.8%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0156】
実施例15(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:440g/eq.)100.0g、メタクリル酸20.8g、メトキノン1.0g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.1gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら130℃にて9時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が3.2mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分54.7%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0157】
実施例16(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例2で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:434g/eq.)98.5gを使用した以外は実施例15と同様の操作をし、固形分54.4%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0158】
実施例17(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例3で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:453g/eq.)102.8gを使用した以外は実施例15と同様の操作をし、固形分55.3%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0159】
実施例18(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例4で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:432g/eq.)98.1gを使用した以外は実施例15と同様の操作をし、固形分54.3%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0160】
実施例19(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例5で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:450g/eq.)102.2gを使用した以外は実施例15と同様の操作をし、固形分55.1%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0161】
実施例20(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:706g/eq.)100.0g、メタクリル酸10.7g、メトキノン0.5g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.05gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて6時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が1.9mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分52.9%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0162】
実施例21(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例7で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:684g/eq.)97.1gを使用した以外は実施例20と同様の操作をし、固形分52.2%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0163】
実施例22(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:440g/eq.)100.0g、メタクリル酸13.7g、メトキノン1.0g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.1gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら130℃にて7時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が0.5mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分53.0%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0164】
実施例23(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例2で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:434g/eq.)98.5gを使用した以外は実施例22と同様の操作をし、固形分52.6%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0165】
実施例24(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例3で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:453g/eq.)102.8gを使用した以外は実施例22と同様の操作をし、固形分53.6%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0166】
実施例25(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例4で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:432g/eq.)98.1gを使用した以外は実施例22と同様の操作をし、固形分52.5%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0167】
実施例26(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例1で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例5で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:450g/eq.)102.2gを使用した以外は実施例22と同様の操作をし、固形分53.4%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0168】
実施例27(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコに合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:706g/eq.)100.0g、メタクリル酸6.4g、メトキノン0.3g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.05gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて6時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が0.5mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分51.8%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0169】
実施例28(ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例6で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物に替えて合成例7で得られたグリシジルオキシ基含有ホスファゼン化合物(エポキシ当量:684g/eq.)97.1gを使用した以外は実施例27と同様の操作をし、固形分51.1%のホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0170】
合成例9(不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管および空気導入管を備えた1リットルのフラスコにビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量:170g/eq.)100.0g、アクリル酸42.3g、メトキノン0.1g、ベンジルトリエチルアミン塩酸塩0.1gおよびエチルカルビトールアセテート100mLを仕込み、50mL/分の割合で空気を導入しながら110℃にて7時間加熱撹拌した。反応混合物の酸価が3.5mgKOH/g以下になったのを確認後、冷却し、固形分が58.5%のビスフェノールAのアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0171】
合成例10(不飽和カルボキシレート化合物の製造)
合成例9で使用したアクリル酸に替えてメタクリル酸50.6gを使用した以外は合成例9と同様の操作をし、固形分が59.9%のビスフェノールAのメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0172】
実施例29(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
攪拌機、温度計、冷却管を備えた200ミリリットルのフラスコに実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.0%)94.6gおよびテトラヒドロ無水フタル酸15.2gを仕込み、80℃にて8時間撹拌した。IR測定にて酸無水物由来のピークが消失したのを確認後に冷却し、固形分が60.4%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0173】
実施例30(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例2で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分53.7%)94.6gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.1%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0174】
実施例31(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例3で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.0%)95.6gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.8%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0175】
実施例32(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例4で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分53.6%)93.8gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.1%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0176】
実施例33(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例5で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.4%)96.1gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.6%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0177】
実施例34(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例6で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.0%)73.9gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.5%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0178】
実施例35(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例7で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.4%)72.0gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.2%のホスファゼン環を有する酸変性アクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0179】
実施例36(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例8で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.7%)96.0gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分60.9%のホスファゼン環を有する酸変性エポキシメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0180】
実施例37(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例9で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.4%)96.1gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.6%のホスファゼン環を有する酸変性メタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0181】
実施例38(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例10で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分55.3%)97.1gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が61.3%のホスファゼン環を有する酸変性メタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0182】
実施例39(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例11で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分54.3%)95.2gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.6%のホスファゼン環を有する酸変性メタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0183】
実施例40(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例12で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分55.1%)97.5gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が61.2%のホスファゼン環を有する酸変性メタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0184】
実施例41(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例13で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分52.9%)74.5gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分が60.9%のホスファゼン環を有する酸変性メタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0185】
実施例42(ホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物の製造)
実施例1で得られたホスファゼン環を有するアクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液に替えて実施例14で得られたホスファゼン環を有するメタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液(固形分52.2%)72.8gを使用した以外は実施例29と同様の操作をし、固形分60.5%のホスファゼン環を有する酸変性メタクリレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液を得た。
【0186】
実施例43〜70(樹脂組成物の調製および樹脂成形体の作製)
実施例1〜28で得られたホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物、2−メチルイミダゾール(2MZ)、メチルエチルケトン(MEK)およびオルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN)(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)を表1および表2の割合(重量部)で混合、溶解し、ワニス(樹脂組成物)を調製した。このワニスをステンレス製の型に流し込み、140℃で20分加熱して乾燥させた後、200℃で3時間加熱硬化して硬化物(樹脂成形体)を製造した。ここでは、1/16インチ厚および5mm厚の二種類のシート状硬化物を製造した。硬化物は、DSC測定により硬化の完了を確認した。
【0187】
比較例1、2(樹脂組成物の調製および樹脂成形体の作製)
合成例9および10で得られた不飽和カルボキシレート化合物、合成例8で得られた環状ホスファゼン化合物、メチルエチルケトン(MEK)およびオルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN)(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)を表1および表2の割合(重量部)で混合、溶解し、ワニス(樹脂組成物)を調製した。このワニスをステンレス製の型に流し込み、140℃で20分加熱して乾燥させた後、200℃で3時間加熱硬化し、硬化物(樹脂成形体)を製造した。ここでは、1/16インチ厚および5mm厚の二種類のシート状硬化物を製造した。硬化物は、DSC測定により硬化の完了を確認した。
【0188】
評価1
実施例43〜70および比較例1,2で得られたシート状硬化物について、燃焼性および耐熱性を評価した。燃焼性の評価では、1/16インチ厚のシート状硬化物を試験片として用いた。また、耐熱性の評価では、5mm厚のシート状硬化物を試験片として用いた。各項目の評価方法は次の通りである。結果を表1および表2に示す。
【0189】
(燃焼性)
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0、V−1、V−2、規格外の順に低下する。
【0190】
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
【0191】
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
【0192】
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)試験片5本のうち、少なくとも1本は、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
【0193】
(耐熱性)
株式会社島津製作所製のDSC−60(商品名)を用い、JIS−K7121に規定された測定法によりガラス転移温度(℃)を測定した。測定環境は次のとおりである。ガラス転移温度は、高いほど耐熱性に優れていることを示す。
【0194】
【表1】

【0195】
【表2】

【0196】
実施例43〜70と比較例1、2との結果を対比すると、実施例43〜70は比較例1、2に比べて難燃性および耐熱性に優れている。
【0197】
実施例71〜98(重合性組成物の調製)
実施例1〜28のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液100部(固形分換算)に、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを2部添加して重合性組成物を調製した。
【0198】
評価2
実施例71〜98で得られた重合性組成物をスクリーン印刷機で銅張積層板上に塗布し、送風乾燥機を用いて80℃で30分乾燥した後、パターンフィルムを通して、高圧水銀灯にて2000mJ/cmの露光をした。露光後、メチルエチルケトンを用いて現像し、樹脂硬化物による現像パターンを得た。この樹脂硬化物の硬度を鉛筆引っかき硬度(JIS K5600)に基づいて評価した。結果を表3および表4に示す。
【0199】
評価3
実施例71〜98で調製した重合性組成物をステンレス製の型に流し込み、80℃で30分乾燥後、高圧水銀灯にて2000mJ/cmの露光をした。その後、200℃で6時間加熱硬化し、1/16インチ厚のシート状硬化物を作製した。このシート状硬化物はDSC測定により硬化の完了を確認した。得られたシート状硬化物について、難燃性および耐熱性を評価1と同様の手法にて評価した。結果を表3および表4に示す。
【0200】
実施例99〜112(重合性組成物の調製)
実施例29〜42のホスファゼン環を有する酸変性不飽和カルボキシレート化合物のエチルカルビトールアセテート溶液100部(固形分換算)に、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを2部添加して重合性組成物を調製した。
【0201】
評価4
実施例99〜112で得られた重合性組成物をスクリーン印刷機で銅張積層板上に塗布し、送風乾燥機を用いて80℃で30分乾燥した後、パターンフィルムを通して、高圧水銀灯にて2000mJ/cmの露光をした。露光後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いて現像し、樹脂硬化物による現像パターンを得た。この樹脂硬化物の硬度を鉛筆引っかき硬度(JIS K5600)に基づいて評価した。結果を表5に示す。
【0202】
評価5
実施例99〜112で調製した重合性組成物をステンレス製の型に流し込み、80℃で30分乾燥後、高圧水銀灯にて2000mJ/cmの露光をした。その後、200℃で6時間加熱硬化し、1/16インチ厚のシート状硬化物を作製した。このシート状硬化物はDSC測定により硬化の完了を確認した。得られたシート状硬化物について、難燃性および耐熱性を評価1と同様の手法にて評価した。結果を表5に示す。
【0203】
【表3】

【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
表3、表4および表5から明らかなように、実施例71〜112の硬化物は、プリント基板の製造において用いられるソルダーレジストとして好ましい硬度を有するものであり、また、難燃性および耐熱性も良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表される、ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【化1】

(式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれる基を示し、かつ少なくとも一つがA3基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記のA3−1基、A3−2基およびA3−3基からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
A3−1基:下記の式(2)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化2】

式(2)中、R〜Rは、不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選ばれる基であり、少なくとも1つが不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基である。
A3−2基:下記の式(3)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化3】

式(3)中、R〜Rは、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yは、ビフェニレン基若しくはナフチル基を示す。
A3−3基:下記の式(4)で示される不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基。
【化4】

式(4)中、R〜R11は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Zは、O、S、SO、CH、CH(CH)、C(CH、C(CF、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCCH、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOからなる群から選ばれる原子若しくは原子団を示す。)
【請求項2】
式(1)中のAの一部がグリシジルオキシ基含有基である、請求項1に記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項3】
前記不飽和カルボニルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基含有アリールオキシ基における不飽和カルボニルオキシ基は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、チグロイルオキシ基およびクロトイルオキシ基からなる群から選ばれるものである、請求項1または2に記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項4】
式(1)のnが1若しくは2である、請求項1から3のいずれかに記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項5】
式(1)において、(2n+4)個のAのうちの1〜(2n+2)個がA3基である、請求項1から4のいずれかに記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項6】
式(1)のnが異なる二種以上のものの混合物である、請求項1から5のいずれかに記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項7】
多塩基酸無水物を用いて酸変性されている、請求項1から6のいずれかに記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項8】
前記多塩基酸無水物が、芳香族ジカルボン酸無水物、脂肪族ジカルボン酸無水物および脂環式ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項7に記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物。
【請求項9】
下記の式(5)で示されるグリシジルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と、下記の式(9)で示される不飽和モノカルボン酸とを反応させる工程を含む、
ホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の製造方法。
【化5】

(式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Eは下記のE1基、E2基およびE3基からなる群から選ばれる基を示し、かつ少なくとも一つがE3基である。
E1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
E2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
E3基:下記のE3−1基、E3−2基およびE3−3基からなる群から選ばれる少なくとも一種のグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
E3−1基:下記の式(6)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化6】

式(6)中、G〜Gは、グリシジルオキシ基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基からなる群から選ばれる基であり、少なくとも1つがグリシジルオキシ基である。
E3−2基:下記の式(7)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化7】

式(7)中、Lはビフェニレン基若しくはナフチル基を示す。
E3−3基:下記の式(8)で示されるグリシジルオキシ基含有アリールオキシ基。
【化8】

式(8)中、Mは、O、S、SO、CH、CH(CH)、C(CH、C(CF、OCHCH(OH)CHOC、OCHCH(OH)CHOCCH、OCHCH(OH)CHOCC(CHおよびOCHCH(OH)CHOCSOからなる群から選ばれる原子若しくは原子団を示す。)
【化9】

(式(9)において、R12〜R14は、水素原子若しくは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物の少なくとも二種類を含む重合性組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の重合性組成物を硬化させて得られる樹脂成形体。
【請求項12】
請求項11に記載の樹脂成形体を用いた電気・電子部品。
【請求項13】
請求項1から8のいずれかに記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と、活性エネルギー線硬化性化合物とを含む重合性組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の重合性組成物を硬化させて得られる樹脂成形体。
【請求項15】
請求項14に記載の樹脂成形体を用いた電気・電子部品。
【請求項16】
請求項1から8に記載のホスファゼン環を有する不飽和カルボキシレート化合物と、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂成分とを含む樹脂組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂成形体。
【請求項18】
請求項17に記載の樹脂成形体を用いた電気・電子部品。

【公開番号】特開2011−1275(P2011−1275A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143752(P2009−143752)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(591286270)株式会社伏見製薬所 (50)
【Fターム(参考)】