説明

ホスホイノシチド3−キナーゼ阻害剤としての三環式複素環化合物

式(I)で表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩であって、式中、WはO、N−H、N−(炭素数1〜10のアルキル)またはSであり;Xは各々独立にCHまたはNであり;Rは5〜7員の、飽和または不飽和の、任意で置換されていてもよい複素環であって、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;Rは(LQ)Yであり;Rは各々独立にH、炭素数1〜10のアルキル、アリールまたはヘテロアリールである、当該化合物は、驚くべき事にPI3K−p110δの阻害剤であり、治療において有用であることが見いだされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラスIA ホスホイノシチド 3−キナーゼ酵素、PI3K−p110δの阻害剤として作用する、癌、免疫および炎症性疾患の治療のための新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホイノシチド 3−キナーゼ類(PI3K)は、様々な細胞プロセスを制御するシグナル伝達経路のネットワークの調節に関与する、脂質キナーゼのファミリーを構成する。PI3Kはその基質特異性により、クラスI、IIおよびIIIと呼ばれる3つの異なるサブファミリーに分類される。クラスIA PI3Kは、p85α、p85βまたはp55δという3種の調節サブユニットのうちの一つと複合化した、p110α、p110βまたはp110δ触媒サブニットを有する。クラスIA PI3Kは受容体型チロシンキナーゼ、抗原受容体、Gタンパク質共役受容体(GPCR)およびサイトカイン受容体により活性化される。クラスIA PI3Kは主に、下流標的AKTを活性化するセカンドメッセンジャーであるホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸(PI(3,4,5)P3)を生成する。AKTの生物学的活性化の結果の例として、腫瘍細胞の進行(tumour cell progression)、増殖、生存および成長が挙げられ、PI3K/AKT経路が多くのヒトの癌において調節不全となっていることを示唆する有力な証拠がある。さらに、PI3K活性は内分泌(endocrinology)、循環器疾患、免疫疾患および炎症に関与するとされている。PI3K−p110δは、免疫および炎症細胞の補充および活性化において重大な役割を担うことが明らかになっている。PI3K−p110δはまた、多くのヒト腫瘍において上方制御されており、腫瘍細胞の増殖および生存において主要な役割を担っている。
p110δの活性を調節することができる化合物は、癌、ならびに免疫および炎症性疾患の治療において大きな将来性を有する。
【0003】
国際公開第2006/046035号においては、PI3Kの阻害剤としての活性を有する縮合ピリミジン類が記載されている。そこに開示された化合物は、クラスIa PI3K、特にp110δに対して選択性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/046035号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式Iで表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩である。
【化1】


式中、
WはO、N−H、N−(炭素数1〜10のアルキル)またはSであり;
Xは各々独立にCHまたはNであり;
は5〜7員の、飽和または不飽和の、任意で置換されていてもよい複素環であって、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
は(LQ)Yであり;
Lは各々独立に直接結合、炭素数1〜10のアルキレン、炭素数2〜10のアルケニレン、炭素数2〜10のアルキニレン、アリーレンまたは炭素数3〜10のシクロアルキレンであり;
Qは各々独立に直接結合、ヘテロアリーレン、複素環リンカー、−O−、−NR−、−C(O)−、−C(O)NR−、−SO−、−SO−NR−、−N−C(O)−NR−、−N−SO−NR、ハロゲン、−C(ハロゲン)(R(2−a))−、−NR−または−C(O)NRであって、ここでRおよびRはそれらが結合する窒素と共に5〜7員複素環リンカーを形成し;
mは0〜5であり;
YはH,炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルキニル、アリール、炭素数3〜10のシクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、−OR、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R、−SO−R、−SO−N(R、−N−C(O)−N(R、−N−SO−N(R、ハロゲン、−C(ハロゲン)(3−b)、−CN、−NR−または−C(O)NRであって、ここでRおよびRはそれらが結合する窒素と共に5〜7員複素環を形成し;
bは1〜3であり;
aは1または2であり;かつ
は各々独立にH、炭素数1〜10のアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。
【0007】
驚くべきことに、これらの化合物はPI3K−p110δの阻害剤であることが分かった。本明細書に開示される化合物の一部はさらにPI3K−p110βも阻害し得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において用いられる「アルキル」という語は、直鎖または分岐鎖であってよい炭素数1〜10のアルキル基を意味する。好ましくは、該アルキルは炭素数1〜6のアルキル部分である。より好ましくは、該アルキルは炭素数1〜4のアルキル部分である。その例としてメチル、エチル、n−プロピルおよびt−ブチルが挙げられる。該アルキルは、2価、例えばプロピレンであってもよい。
【0009】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子を含む。該シクロアルキルは1価または2価であってよい。
【0010】
本明細書において用いられる「アルケニル」という語は、炭素数2〜10のアルケニル基を意味する。好ましくは、該アルケニルは炭素数2〜6のアルケニル基である。より好ましくは、該アルケニルは炭素数2〜4のアルケニル基である。前記アルケニル基は1価または2価飽和であってよく、より好ましくは1価飽和である。例として、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニルおよび1−ブテニルが挙げられる。該アルケニルは、2価、例えばプロペニレンであってよい。
【0011】
本明細書において用いられる「アルキニル」という語は、直鎖または分岐鎖であり得る炭素数2〜10のアルキニル基である。好ましくは、該アルキニルは炭素数2〜4のアルキニル基または部分である。該アルキニルは二価であってよい。
【0012】
前記炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルおよび炭素数2〜10のアルキニル基は、それぞれ任意で互いを置換基として有していてもよい。すなわち、炭素数1〜10のアルキルは任意で炭素数2〜10のアルケニルを置換基として有していてもよい。これらは任意で、アリール、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜10)、アリールまたはヘテロアリールを置換基として有していてもよい。
【0013】
本明細書において用いられる「アリール」という語は、単環式、二環式または三環式の1価または2価芳香族基を意味し、例としてフェニル、ビフェニル、ナフチルおよびアントラセニルが挙げられ、これらは任意に、好ましくは炭素数1〜6のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のハロアルコキシ、アミノ、炭素数1〜3のモノアルキルアミノ、炭素数1〜3のビスアルキルアミノ、炭素数1〜3のアシルアミノ、炭素数1〜3のアミノアルキル、モノ(炭素数1〜3のアルキル)アミノ 炭素数1〜3のアルキル、ビス(炭素数1〜3のアルキル)アミノ 炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアシルアミノ、炭素数1〜3のアルキルスルホニルアミノ、ハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシ、炭素数1〜3のアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ 炭素数1〜3のアルキルアミノカルボニル、ビス 炭素数1〜3のアルキルアミノカルボニル、−SO3H、炭素数1〜3のアルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノ 炭素数1〜3のアルキルアミノスルホニル、およびビス 炭素数1〜3のアルキルアミノスルホニルの群より選択される5つまでの置換基を置換基として有していてもよい。
【0014】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」という語は、酸素、窒素および硫黄から選択される4つまでのヘテロ原子を有する、単環式、二環式または三環式の1価芳香族基を意味し、例としてチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリルおよびイソキノリルが挙げられ、ここで前記基は任意に、好ましくは炭素数1〜6のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のハロアルコキシ、アミノ、炭素数1〜3のモノアルキルアミノ、炭素数1〜3のビスアルキルアミノ、炭素数1〜3のアシルアミノ、炭素数1〜3のアミノアルキル、モノ(炭素数1〜3のアルキル)アミノ 炭素数1〜3のアルキル、ビス(炭素数1〜3のアルキル)アミノ 炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアシルアミノ、炭素数1〜3のアルキルスルホニルアミノ、ハロ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシ、炭素数1〜3のアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ 炭素数1〜3のアルキルアミノカルボニル、ビス 炭素数1〜3のアルキルアミノカルボニル、−SO3H、炭素数1〜3のアルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノ 炭素数1〜3のアルキルアミノスルホニル、およびビス 炭素数1〜3のアルキルアミノスルホニルの群より選択される3つまでの置換基を置換基として有していてもよい。
【0015】
本明細書において用いられる「複素環」という語は、酸素、窒素および硫黄から選択される4つまでのヘテロ原子を有する、1価または2価の炭素環式基を意味する。「リンカー」という語はここで、二価を意味するために用いられた。前記複素環が二価のリンカーである場合、該複素環は炭素原子を介して、またはヘテロ原子の1つ、例えばNを介して、近隣の基に結合してもよい。
【0016】
前記複素環は1価または2価不飽和(mono- or di-saturated)であってよい。前記の基は炭素数1〜6のアルキル、ヒドロキシ、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル、炭素数1〜3のアルコキシ、炭素数1〜3のハロアルコキシ、アミノ、炭素数1〜3のモノアルキルアミノ、炭素数1〜3のビスアルキルアミノ、炭素数1〜3のアシルアミノ、炭素数1〜3のアミノアルキル、モノ(炭素数1〜3のアルキル)アミノ 炭素数1〜3のアルキル、ビス(炭素数1〜3のアルキル)アミノ 炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のアシルアミノ、炭素数1〜3のアルキルスルホニルアミノ、ハロ(例えばF)、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシ、炭素数1〜3のアルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ 炭素数1〜3のアルキルアミノカルボニル、ビス 炭素数1〜3のアルキルアミノカルボニル、−SO3H、炭素数1〜3のアルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノ 炭素数1〜3のアルキルアミノスルホニル、およびビス 炭素数1〜3のアルキルアミノスルホニルから独立に選択される3個までの置換基を任意で置換基として有していてもよい。
【0017】
本明細書において、前記基は「−エン」という接尾辞が末尾についてもよい。これは、該基が二価である、すなわちリンカー基であることを意味する。
【0018】
好ましい一実施形態において、Rは次の構造のうちいずれかにより表される。
【化2】

【0019】
好ましくは、WはSである。より好ましくは、WはOである。
【0020】
一般式Iに示すように、Rはアリール基上の任意の適切な原子に結合してよい。好ましくは、Rは次に示すように原子2または3に結合している。
【化3】

【0021】
は原子1または4に結合していてもよい。
【0022】
好ましくは、本発明の化合物は次の構造を有する。
【化4】

【0023】
上記のように、基が特定のアリール系に結合する必要があることを除けば、RおよびR基のいずれの配置も重要ではない。言い換えると、R基が結合可能な部位は4カ所あり、第1のR基が結合可能な部位は2カ所しかなく、もう一方のR基が結合可能な部位は3カ所ある。
【0024】
より好ましくは、本発明の化合物は下記式で表される。
【化5】

【0025】
好ましくは、式Iの6,5−環系はインドールである。あるいは、これはベンゾ縮合ピロロ、ピリジル縮合ピロロ、ピリダジニル縮合ピロロ、ピラジニル縮合ピロロまたはピリミジニル縮合ピロロであってもよい。
【0026】
好ましくは、式Iにおいて前記6,5環系に結合するR基は両方ともHである。
【0027】
好ましくは、少なくとも1個のQは−C(O)−NRであって、ここでRおよびRはそれらが結合する前記窒素と共に5〜7員複素環リンカーを形成する。より好ましくは、Qは
【化6】


である。
【0028】
好ましくは、少なくとも1個のQは−NR−である。
【0029】
好ましくは、少なくとも1個のQは直接結合である。
【0030】
好ましくは、少なくとも1個のLは炭素数1〜10のアルキレンであり、または少なくとも1個のLは炭素数2〜10のアルケニレンであり、または少なくとも1個のLはシクロアルキレンである。
【0031】
好ましくは、YはN(Rである。より好ましくは、Yはインドリル等のヘテロアリールであり、またはYは複素環である。
【0032】
好ましくは、RはHである。好ましくは、Rは−(炭素数1〜10のアルケニレン)−N(Rである。より好ましくは、Rは−CH−N(CHである。Rは−(炭素数2〜10のアルケニレン)−C(O)−N(R)−Rであってもよく、ここでRおよびRはそれらが結合する窒素と共に5〜7員複素環を形成する。より好ましくは、R
【化7】


である。
【0033】
さらになお好ましくは、Rは−(炭素数1〜10のアルキレン)−NRを有するか、またはRは−(炭素数1〜10のアルキレン)−NR−(炭素数1〜10のアルキレン)−シクロアルキルを有し、ここでR、RおよびRは上記定義の通りである。
【0034】
好ましくは、mは0、1または2である。
【0035】
本発明の具体的な構造の例として下記が挙げられる。
【化8】

【0036】
本発明の医薬組成物は、典型的には、85重量%までの本発明の化合物を含む。より典型的には、50重量%までの本発明の化合物を含む。好ましい医薬組成物は無菌であり、かつ発熱物質を含まない。さらに、本発明により提供される医薬組成物は、典型的には、実質的に純粋な光学異性体である本発明の化合物を含む。好ましくは、該医薬組成物は、本発明の化合物の、薬理学的に許容される塩の形態を含む。
【0037】
本明細書に用いられる薬理学的に許容される塩とは、薬理学的に許容される酸または塩基との塩である。薬理学的に許容される酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸または硝酸等の無機酸;およびクエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸等の有機酸;の両者が挙げられる。薬理学的に許容される塩基としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)の水酸化物、ならびにアルキルアミン類、アリールアミン類または複素環式アミン類等の有機塩基が挙げられる。
【0038】
誤解を避けるために述べると、本発明は、in vivoで反応して本発明の化合物を生ずるプロドラッグをも包含する。
【0039】
本発明の化合物は当業者に明白な合成経路により、例えば実施例に基づき、調製されてよい。
【0040】
本発明の化合物およびそれらを含む組成物は、各種の剤形で投与してよい。一実施形態において、本発明の化合物を含む医薬組成物は、経口、経腸、非経口、鼻腔内、もしくは経皮投与、または吸入もしくは坐剤による投与に適した形式に製剤してよい。投与の典型的な経路は、非経口、鼻腔内もしくは経皮投与、または吸入による投与である。
【0041】
本発明の化合物は経口的に、例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁剤、分散(dispersible)粉末剤または顆粒剤として、投与することが出来る。本発明の好ましい医薬組成物は、錠剤およびカプセル剤等による経口投与に適した組成物である。
【0042】
本発明の化合物は非経口的に、皮下にも、静脈内にも、筋肉内にも、胸骨内にも、経皮的にも、または輸液法によっても投与してよい。該化合物は坐剤として投与してもよい。
【0043】
本発明の化合物は吸入により投与してもよい。吸入療法の利点は、経口経路で摂取される多くの薬物と比べ、血液供給に富む領域に直接送達されることである。従って、肺胞が莫大な表面積と豊富な血液供給とを有するために吸収が非常に速く、かつ初回通過代謝が回避される。さらなる利点は肺系統の疾患の治療であり、吸入によって薬物が治療を要する細胞近傍まで送達される。
【0044】
本発明はこのような医薬組成物を含む吸入装置も提供する。典型的には該装置は、薬物を吸入器から押し出すための、薬理学的に許容される化学的噴射剤(chemical propellant)を有する定量吸入器(MDI)である。
【0045】
本発明の化合物は鼻腔内投与により投与してもよい。鼻腔の高度に透過性の組織は薬物に対して非常に受容性があり、錠剤型の薬物と比べ、薬物を速やかにかつ効率的に吸収する。経鼻的な薬剤送達は注射よりも苦痛が少なく、侵襲的でもないため、患者の不安が少ない。この方法によれば吸収が非常に速く、通常は初回通過代謝が回避され、そのため患者間でのばらつきが減少する。さらに、本発明はこのような医薬組成物を含む鼻腔内投与装置(intranasal device)も提供する。
【0046】
本発明の化合物は経皮投与により投与してもよい。本発明は従って本発明の化合物を含む経皮パッチも提供する。
【0047】
本発明の化合物は舌下投与により投与してもよい。本発明は従って本発明の化合物を含む舌下錠も提供する。
【0048】
本発明の化合物は、抗菌剤;あるいは、患者内に、または患者上もしくは患者内に生息する共生もしくは寄生生物内に、存在する可能性があって該化合物を分解し得るプロテアーゼ酵素の阻害剤;等の、患者の正常な代謝以外の過程によって前記物質が分解されるのを減ずる薬剤とともに製剤されてもよい。
【0049】
経口投与のための液状分散体はシロップ剤、乳剤または懸濁剤であってよい。
【0050】
懸濁剤および乳剤は担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含んでいてもよい。筋肉内注入用の懸濁剤または溶液は、前記活性化合物とともに薬理学的に許容される担体、例えば滅菌水;オリーブ油;オレイン酸エチル;プロピレングリコール等のグリコール類;および所望により、適した量の塩酸リドカイン;を含んでいてよい。
【0051】
注射または吸入のための溶液は、担体として、例えば滅菌水を含んでいてよく、または好ましくは該溶液は無菌、水性、等張食塩液の形態であってよい。
【0052】
本発明の化合物は癌の治療および予防の両者において用いることが出来、また単独療法において、または併用療法において用いることが出来る。併用療法において用いられる場合、本発明の化合物は典型的には白金錯体等の小化合物、代謝拮抗剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、放射線、抗体を用いた療法(例えば、ハーセプチンおよびリツキシマブ)、抗癌ワクチン注射、遺伝子治療、細胞治療、ホルモン治療、またはサイトカイン療法とともに用いられる。
【0053】
本発明の一実施形態において、本発明の化合物は、癌の治療において他の化学療法薬または抗腫瘍薬と組み合わせて用いられる。このような他の化学療法薬または抗腫瘍薬の例としては、シスプラチンおよびカルボプラチン等の白金錯体;ミトキサントロン;ビンクリスチンおよびビンブラスチン等のビンカ・アルカロイド;ダウノルビシンおよびドキソルビシン等のアントラサイクリン系抗生物質;クロラムブシルおよびメルファラン等のアルキル化剤;パクリタキセル等のタキサン類;メトトレキサートおよびトムデックス等の抗葉酸剤;エトポシド等のエピポドフィロトキシン類;イリノテカンおよびその活性代謝物SN38等のカンプトテシン類;ならびに国際公開第02/085400号に開示されているDNAメチル化阻害剤等のDNAメチル化阻害剤;が挙げられる。
【0054】
本発明により、従って、本発明の化合物と他の化学療法薬または抗腫瘍薬とを含む製品が、癌の緩和において同時に、別々にまたは順次用いるための組み合わせ製剤として提供される。さらに本発明によって提供されるのは、他の化学療法薬または抗腫瘍薬との同時投与による癌の緩和において用いるための薬物の製造における、本発明の化合物の使用である。本発明の化合物と前記の他の薬剤はどのような順序で投与されてもよい。これら両者の場合において、本発明の化合物と前記の他の薬剤とは一緒に、または、別々の場合には医師が決定したどのような順序においても、投与し得る。
【0055】
本発明のPI3K阻害剤は、手術中の体組織の損傷による異常な細胞増殖を治療するために用いてもよい。これらの損傷は関節手術、腸手術、ケロイド瘢痕(cheloid scarring)等の各種外科的処置の結果生じ得る。本発明のPI3K阻害剤を用いて治療してよい、線維性組織を生成する疾患の例として、気腫が挙げられる。本発明を用いて治療してよい反復動作疾患(repetitive motion disorder)の例として手根管症候群が挙げられる。本発明を用いて治療してよい細胞増殖性疾患の例として骨腫瘍が挙げられる。
【0056】
本発明のPI3K阻害剤を用いて治療し得る、臓器移植と関連する増殖反応の例として、潜在的な臓器拒絶反応または関連する合併症に寄与する増殖反応が挙げられる。具体的には、これらの増殖反応は、心臓、肺、肝臓、腎臓およびその他の体器官または器官系の移植中に発生し得る。
【0057】
本発明を用いて治療し得る異常血管形成の例として、関節リウマチ;虚血再かん流関連脳水腫および傷害;皮質虚血;卵巣過形成および血管過多;多嚢胞性卵巣症候群;子宮内膜症;乾癬;糖尿病性網膜症および他の眼の血管新生疾患、例えば未熟児網膜症(水晶体後線維増殖)、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障(neuroscular glaucoma)およびOster Webber症候群;に伴う異常血管形成が挙げられる。
【0058】
本発明により治療し得る、制御されない血管新生と関連した疾患の例としては、網膜/脈絡膜新生血管形成および角膜新生血管形成が挙げられるが、これらに限定されない。網膜/脈絡膜新生血管形成の一部構成要素を含む疾患の例として、ベスト病、近視、視窩、シュタルガルト病、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、鎌状赤血球貧血症、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮黄色腫(pseudoxanthoma elasticum)頚動脈閉塞性疾患(carotid apo structive disease)、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎(chroiditis)を起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー照射後合併症、ルベオーシス(rubesis)に関連する疾患(隅角血管新生)、ならびに増殖性硝子体網膜症の全形態を含む、線維血管性組織または線維性組織の異常増殖によって引き起こされる疾患が挙げられるが、これらに限定されない。角膜血管新生の例としては、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過度の装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾燥角膜炎、シェーグレン症候群、酒さ性痊瘡、フリクテン症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性、辺縁表皮剥離、多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫、強膜炎、ペリフィゴイド放射状角膜切開(periphigoid radial keratotomy)、血管新生緑内障および後水晶体繊維増殖症、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状疱疹感染、原虫感染症ならびにカポジ肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
制御されない血管新生と関連した慢性炎症性疾患も、本発明のPI3K阻害剤を用いて治療してよい。慢性炎症は、炎症細胞の流入を維持する毛細血管芽の持続的な形成に依存している。この流入と炎症細胞の存在により肉芽腫が形成され、そのため慢性炎症状態が維持される。PI3K阻害剤の単独使用による、または他の抗炎症剤との組み合わせ使用による、血管新生の阻害は、肉芽腫の形成を防ぎ得るため、疾患を緩和し得る。慢性炎症性疾患の例としては、クローン病および潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患;乾癬;サルコイドーシス;および関節リウマチが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
クローン病および潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患は、消化管の随所における慢性炎症および血管新生により特徴付けられる。例えば、クローン病は最も一般的には回腸末端部および結腸を侵す慢性貫壁性炎症疾患として発症するが、口から肛門および肛門周囲の領域の消化管のどの部位にも発症し得る。クローン病患者は一般に、腹痛を伴う慢性下痢、発熱、食欲不振、体重減少および腹部膨満を有する。潰瘍性大腸炎も慢性、非特異的、炎症性の、結腸粘膜で生ずる潰瘍性疾患であり、血性下痢の存在を特徴とする。これらの炎症性腸疾患は一般に、炎症細胞の筒に囲まれた新たな毛細血管芽を伴う、消化管全体にわたる慢性肉芽腫性炎により引き起こされる。これら阻害剤による血管新生の阻害により、この芽の形成が阻害され、肉芽腫の形成が防止されるはずである。炎症性腸疾患は皮膚病変等の腸管外症状も示す。このような病変は炎症および血管新生を特徴とし、消化管以外の多くの部位で生じ得る。本発明のPI3K阻害剤による血管新生の阻害によって炎症細胞の流入を減少させ、症状の形成を防止することが出来る。
【0061】
別の慢性炎症性疾患であるサルコイドーシスは、多臓器肉芽腫性疾患として特徴付けられる。この疾患の肉芽腫は生体内のいずれの部位にも形成され得る。従って、症状は該肉芽腫の部位、および該疾患が活動性であるかによって異なる。該肉芽腫は、炎症細胞の恒常的な供給を提供する新生毛細血管芽(angiogenic capillary sprout)により生成される。本発明によるPI3K阻害剤を用いて血管新生を阻害することにより、このような肉芽腫形成を阻害することが出来る。同じく慢性で再発性の炎症性疾患である乾癬は、各種サイズの丘疹および斑により特徴付けられる。これらの阻害剤を単独で、または他の抗炎症剤と併せて用いる治療により、特徴的病変を維持するのに必要な新生血管の形成を防止し、患者に症状の緩和が提供されるはずである。
【0062】
関節リウマチ(RA)も慢性炎症性疾患であり、末梢関節の非特異的炎症によって特徴付けられる。関節の滑膜表層の血管に血管新生が起こるとされている。新生血管網が形成されることに加え、内皮細胞がパンヌス増殖および軟骨破壊をもたらす因子および活性酸素種を放出する。血管新生に関与する因子は関節リウマチの慢性的炎症状態に活発に寄与し、その維持を補助する場合がある。本発明によるPI3K阻害剤を単独で、または他の抗RA剤と併せて用いる治療により、慢性炎症を維持するのに必要な新生血管の形成が防止され得る。
【0063】
好ましくは、前記状態は癌、特に、慢性骨髄性白血病および急性骨髄性白血病等の白血病;リンパ腫;固形腫瘍;ならびにPTEN陰性の腫瘍、例えばPTEN陰性血液癌、乳癌、肺癌、子宮内膜癌、皮膚癌、脳腫瘍および前立腺癌である(ここでPTENは「第10染色体上におけるホスファターゼ(phosphatise)およびテンシンホモログの欠失」を表す)。より好ましくは、本発明の化合物により治療されるべき前記状態は、関節リウマチ;喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);多発性硬化症;乾癬および他の炎症性皮膚疾患;全身性エリテマトーデス;炎症性腸疾患;ならびに臓器移植拒絶である。より好ましくは、
【0064】
本発明を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0065】
実施例A:2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン
【化9】

【0066】
i. 3−アミノ−チエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、2
アルゴン雰囲気下、2−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、1(3.026g、21.8mmol)および炭酸ナトリウム(2.511g、23.7mmol)を無水エタノール(11.5mL)中に溶解した。次にエチル−2−メルカプト酢酸(Ethyl−2−meracaptacetate)(3.1mL、28.3mmol)を加え、該反応混合物を還流させながら4時間35分間加熱した。次いで該反応液を室温まで冷やし、水(140mL)を加えたところ、この時点で沈殿が形成され、その後、得られた反応混合物をさらに30分間撹拌した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し(2x15mL)、得られた残渣を回収し、真空乾燥し、2(4.435g、20mmol、92%)を橙色の固体として供給した。
【表1】

【0067】
ii. 1H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン、3
アルゴン雰囲気下、化合物2(518mg、2.33mmol)および尿素(1.143g、19.0mmol)を合わせ、190℃で撹拌下2.5時間加熱した。その後反応混合物を冷却し、該混合物を加温しつつ1M NaOH(10mL)を加え;次いで得られた混合物を撹拌し、濾過した。濾液を1M HClで酸性にすると、沈殿物が生じた;次いで該混合物を濾過し、回収された固体を真空乾燥し、3を橙色/褐色固体として供給した(125mg、0.574mmol、25%)。
【表2】

【0068】
iii. 2,4−ジクロロ−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン、4
化合物3(15.2mg、0.070mmol)およびPCl(592.2mg、2.84mmol)にアルゴン雰囲気下、POCl(2mL)を加え、得られた反応混合物を還流させながら26時間加熱した。次に、POClを真空下で除去して固形残渣を生成し、これを砕いた氷(4g)に撹拌しながらゆっくりと加えた。次いで水相をCHClで抽出し、層を分離して、有機相を水で洗い、全ての残留リン酸を除去した。次いで有機層を乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮して4を生成した(3.8mg、0.015mmol、21%)。
【表3】

【0069】
iv. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン、5
メタノール(1.5mL)中の4(34.3mg、0.14mmol)にモルホリン(25μL、0.29mmol)を滴下し、得られた反応液を1時間室温で撹拌した。その後、該混合物を濾過し、水、次いでメタノールで洗浄し、残った固体をCHClに溶解し、真空下で濃縮して5を薄褐色固体として供給した(30.1mg、0.098mmol、73%)。
【表4】

【0070】
v. 2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン、A
アルゴン雰囲気下、化合物5(14.97mg、0.049mmol)、インドール−4−ボロン酸(8.70mg、0.054mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.81mg、0.0026mmol)および炭酸水素ナトリウム(12.50mg、0.15mmol)の混合物にエタノール(0.75mL)、次いでトルエン(1.25mL)を加え、その後、水(0.35mL)を加えた。該反応液を電子レンジ中で120℃(300W)にて1時間加熱した。その後、該反応混合物を室温に冷却し、CHClと水との間で分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0:1〜1:99 MeOH/CHCl)し、A(1mg、0.0026mol、5%)を白色固体として供給した。
【表5】

【0071】
実施例B:2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化10】

【0072】
i. 3−アミノ−フロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、2
2−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、1(4.00g、28.9mmol)、CsCO(28.2g、86.6mmol)およびエチルグリコレート(3mL、31.7mmol)をアルゴン雰囲気下、フラスコ内に入れた。無水NMPを加え、懸濁液を75℃で20時間、強く撹拌しながら加熱した。該反応混合物を室温に冷却し、その後、水(200mL)およびEtO(3x100mL)を加えた。有機層を合わせ、水で洗浄(3x15mL)し、その後乾燥して(MgSO)、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 15〜40% EtOAc/Hex)し、2(2.41g、11.7mmol、40%)を白色固体として生成した。
【表6】

【0073】
ii. 1H−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン、3
アルゴン雰囲気下、0℃にて、化合物2(1.189g、5.77mmol)のCHCl溶液(20mL)に、クロロスルホニルイソシアネート(0.55mL、6.34mmol)を滴下した。該反応混合物を室温まで昇温させ、4時間後、これを真空下で濃縮した。水(20mL)を加え、懸濁液を、70℃に加熱しながら10分間強く撹拌した[MS分析により、尿素中間体の形成が完全であることが示された]。続いて、該混合物を冷却し、濾過し、水で洗浄した。得られた固形物(0.87g)を水(61mL)に懸濁し、NaOH(3.15g)を加えた。1時間の撹拌後、LCMS分析により、反応が完了したことが確認された。その後、該混合物を濾過し、水で洗浄し、3(460mg、2.3mmol、40%)を白色固体として供給した。
【表7】

【0074】
iii. 2,4−ジクロロ−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、4
化合物3(0.14g、0.70mmol)およびPCl(2.4g、2.84mmol)に、アルゴン雰囲気下、POCl(8mL)を加え、得られた反応混合物を還流させながら20時間加熱した。次いで該混合物を室温まで冷却し、砕いた氷(200mL)上に強く撹拌しながら注いだ。水相をCHCl(3x50mL)で抽出した。次に、合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮して、4(66mg、0.28mmol、40%)をオフホワイトの固体として生成した。
【表8】

【0075】
iv. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、5
4(64mg、0.27mmol)の無水メタノール溶液(10mL)にモルホリン(55μL、0.62mmol)を滴下し、得られた反応液を2時間室温で撹拌した。次に、得られた沈殿物を濾過し、水、その後5:1 メタノール/水の混合物で洗浄し、残った固体を真空下で乾燥して5(50mg、0.17mmol、64%)を白色固体として供給した。
【表9】

【0076】
v. 2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、B
アルゴン雰囲気下、化合物5(25mg、0.086mmol)、インドール−4−ボロン酸(15.2mg、0.095mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3mg、0.004mmol)および炭酸水素ナトリウム(22mg、0.26mmol)の混合物に、エタノール(1mL)、次いでトルエン(1.6mL)、さらに水(0.5mL)を加えた。該反応混合物を電子レンジ内で120℃(300W)にて45分間加熱し、次いで室温まで冷却し;その後、該混合物をCHClと水との間で分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。これをフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 30〜60% EtOAc/Hex)することにより、B(24.5mg、0.067mol、77%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表10】

【0077】
実施例C:4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン
【化11】

【0078】
i. 3−アミノ−チエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、2
2−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、1(3.026g、21.8mmol)および炭酸ナトリウム(2.511g、23.7mmol)を無水エタノール(11.5mL)にアルゴン雰囲気下で溶解した。その後、エチル−2−メルカプト酢酸(Ethyl−2−meracaptacetate)(3.1mL、28.3mmol)を加え、該反応混合物を還流させながら4.5時間加熱した。次いで該反応混合物を室温まで冷やし、水(140mL)を加えたところ、この時点で沈殿が形成され、その後、得られた反応混合物をさらに30分間撹拌した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し(2x15mL)、得られた残渣を回収し、真空乾燥し、2(4.435g、20mmol、92%)を橙色の固体として供給した。
【表11】

【0079】
ii. 1H−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン、3
化合物2(518mg、2.33mmol)および尿素(1.143g、19.0mmol)を合わせ、190℃で撹拌下2.5時間加熱した。その後反応混合物を冷却し、該混合物を加温しつつ1M NaOH(10mL)を加え;次いで得られた混合物を撹拌し、濾過した。水層を1M HClで酸性にすると、沈殿物が生じた;次いで該混合物を濾過し、回収された固体を真空乾燥し、3を橙色/褐色固体として供給した(125mg、0.574mmol、25%)。
【表12】

【0080】
iii. 2,4−ジクロロ−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン、4
化合物3(15.2mg、0.070mmol)およびPCl(592mg、2.84mmol)にアルゴン雰囲気下、POCl(2mL)を加え、得られた反応混合物を還流させながら26時間加熱した。次に、POClを真空下で除去して固形残渣を供給し、これを砕いた氷(50g)に撹拌しながらゆっくりと加えた。次いで水相をCHClで抽出し、層を分離して、有機相を水で洗い、全ての残留リン酸を除去した。次いで有機層を乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮して4を生成した(3.8mg、0.015mmol、21%)。
【表13】

【0081】
iv. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2−d]ピリミジン、5
無水メタノール(1.5mL)中の化合物4(34.3mg、0.14mmol)にモルホリン(25μL、0.29mmol)を滴下し、得られた混合物を1時間室温で撹拌した。その後、該混合物を濾過し、水、次いでメタノールで洗浄し、残った固体をCHClに溶解し、真空下で濃縮して5を薄褐色固体として供給した(30.1mg、0.098mmol、73%)。
【表14】

【0082】
v. 4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピリド[3’,2’:4,5]チエノ[3,2d]ピリミジン、C
化合物5(16.0mg、0.052mmol)、7−アザインドール−4−ボロン酸ピナコールエステル(14.3mg、0.058mmol)、炭酸水素ナトリウム(13.5mg、0.16mmol)およびジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.2mg、0.0031mmol)の混合物にトルエン(1.25mL)、次いでエタノール(0.75mL)、そして蒸留水(0.35mL)を加えた。次に、該反応混合物を電子レンジ中で120℃(300W)にて1時間加熱し、その後室温まで冷却し;該混合物をCHCl(40mL)と水(40mL)との間で分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 70〜90% EtOAc/Hex)し、C(4.81mg、0.012mmol、24%)を薄緑色固体として供給した。
【表15】

【0083】
実施例D:4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化12】

【0084】
i. 3−アミノ−フロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、2
2−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、1(4.00g、28.9mmol)、CsCO(28.2g、86.6mmol)およびエチルグリコレート(3mL、31.7mmol)をアルゴン雰囲気下、フラスコ内に入れた。無水NMPを加え、懸濁液を75℃で20時間、強く撹拌しながら加熱した。該反応混合物を室温に冷却し、その後、水(200mL)およびEtO(3x100mL)を加えた。有機層を合わせ、水で洗浄(3x15mL)し、その後乾燥して(MgSO)、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 15〜40% EtOAc/Hex)し、2(2.41g、11.7mmol、40%)を白色固体として生成した。
【表16】

【0085】
ii. 1H−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン、3
アルゴン雰囲気下、0℃にて、化合物2(1.189g、5.77mmol)のCHCl溶液(20mL)に、クロロスルホニルイソシアネート(0.55mL、6.34mmol)を滴下した。該反応混合物を室温まで昇温させ、4時間後、これを真空下で濃縮した。水(20mL)を加え、懸濁液を、70℃に加熱しながら10分間強く撹拌した。続いて、該混合物を冷却し、濾過し、水で洗浄した。得られた固形物(0.87g)を水(61mL)に懸濁し、NaOH(3.15g)を加えた。1時間の撹拌後、LCMS分析により、前記反応が完了したことが確認された。その後、該混合物を濾過し、水で洗浄し、3(460mg、2.3mmol、40%)を白色固体として供給した。
【表17】

【0086】
iii. 2,4−ジクロロ−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、4
化合物3(0.14g、0.70mmol)およびPCl(2.4g、2.84mmol)に、アルゴン雰囲気下、POCl(8mL)を加え、得られた反応混合物を還流させながら20時間加熱した。次いで該混合物を室温まで冷却し、砕いた氷(200mL)上に強く撹拌しながら注いだ。水相をCHCl(3x50mL)で抽出した。その後、合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮して、4(66mg、0.28mmol、40%)をオフホワイトの固体として生成した。
【表18】

【0087】
iv. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、5
4(64mg、0.27mmol)の無水メタノール溶液(10mL)にモルホリン(55μL、0.62mmol)を滴下し、得られた反応液を2時間室温で撹拌した。その後、得られた沈殿物を濾過し、水、次いで5:1 メタノール/水の混合物で洗浄し、残った固体を真空下で乾燥して5(50mg、0.17mmol、64%)を白色固体として供給した。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δH: 8.63 (dd, J=5.0, 2.0Hz, 1 H), 8.52 (dd, J=7.5, 2.0Hz, 1 H), 7.48 (dd, J=7.5, 5.0Hz, 1 H), 4.10-4.23 (m, 4H), 3.86-3.91 (m, 4H). MS (ES+) 291 (100%, [M+H]+).
【0088】
v. 4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、D
アルゴン雰囲気下、化合物5(20mg、0.069mmol)、7−アザインドール−4−ボロン酸ピナコールエステル(18.5mg、0.076mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.4mg、0.003mmol)および炭酸水素ナトリウム(17.4mg、0.21mmol)の混合物に、エタノール(1mL)、次いでトルエン(1.6mL)、そして水(0.5mL)を加えた。該反応混合物を電子レンジ中で120℃(300W)にて1時間加熱し、その後室温まで冷却し;該混合物をCHClと水との間で分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 30〜90% EtOAc/Hex)し、D(20mg、0.054mol、78%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表19】

【0089】
実施例E:2,8−ビス−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化13】

【0090】
i. 3−アミノ−5−ブロモ−フロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、2
5−ブロモ−2−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、1(4.802g、22.08mmol)、CsCO(21.6g、66.2mmol)およびエチルグリコレート(2.3mL、24.3mmol)をアルゴン雰囲気下、フラスコ内に入れた。無水NMP(50mL)を加え、懸濁液を75℃で20時間、強く撹拌しながら加熱した。該反応混合物を室温に冷却し、その後、水(200mL)およびEtO(3x100mL)を加えた。有機層を合わせ、水で洗浄(3x15mL)し、その後乾燥して(MgSO)、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 15〜25% EtOAc/Hex)し、2(1.701g、5.97mmol、27%)を黄色固体として生成した。
【表20】

【0091】
ii. 8−ブロモ−1H−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン、3
アルゴン雰囲気下、0℃にて、化合物2(1.701g、5.97mmol)のCHCl溶液(70mL)に、クロロスルホニルイソシアネート(0.62mL、7.16mmol)を滴下した。該反応混合物を室温まで昇温させ、2.5時間後、これを真空下で濃縮した。水(140mL)を加え、懸濁液を、70℃に加熱しながら1時間強く撹拌した[MS分析により、尿素中間体の形成が完全であることが示された]。続いて、該混合物を室温まで冷却し、その後、NaOH(5.6g[これにより1M溶液が生成する])を加えた。25分後、黄/白色沈殿が形成された。1M HClを該懸濁物に加えてpHを5にし、その後、該混合物を濾過し、水で洗浄し、3(1.418g、5.03mmol、84%)を黄色固体として供給した。
【表21】

【0092】
iii. 2,4−ジクロロ−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、4
化合物3(0.615g、2.18mmol)およびPCl(7.2g、34.6mmol)に、アルゴン雰囲気下、POCl(24mL)を加え、得られた反応混合物を還流させながら24時間加熱した。次いで該混合物を室温まで冷却し、砕いた氷(400mL)上に強く撹拌しながら注いだ。水相をCHCl(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮して、4および不純物の1:1混合物(0.532g)をオフホワイトの固体として生成し、これを次の工程で直接用いた。
【表22】

【0093】
iv. 8−ブロモ−2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、5
4(532mg)の無水メタノール溶液(25mL)にモルホリン(321μL、3.7mmol)を滴下し、得られた反応液を1時間室温で撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥して5(251mg、0.68mmol、31%、2工程)を白色固体として供給した。
【表23】

【0094】
v. 2,8−ビス−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、E
アルゴン雰囲気下、化合物5(8mg、0.022mmol)、インドール−4−ボロン酸(10.5mg、0.065mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.5mg、0.002mmol)および炭酸水素ナトリウム(8mg、0.097mmol)の混合物に、エタノール(1mL)、次いでトルエン(1.6mL)、さらに水(0.5mL)を加えた。該反応混合物を電子レンジ内で120℃(300W)にて1時間加熱し、次いで室温まで冷却し;その後、該混合物をCHClと水との間で分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。これをフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 20〜40% EtOAc/Hex)することにより、E(2.7mg、0.005mol、25%)を黄色固体として供給した。
【表24】

【0095】
実施例F:(E)−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−[4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル]−プロペノン
【化14】

【0096】
i. 1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロペノン、6
0℃において、N−メチルピペラジン(3mL、27mmol)のCHCl溶液(15mL)に、塩化アクリロイル(879mL、10.8mmol)をアルゴン雰囲気下で滴下した。2時間後、水(20mL)を加えた。有機層を分離し、水で洗浄し(2x10mL)、乾燥し(MgSO)、その後真空下で濃縮して、6(463mg、3mmol、28%)を、さらなる精製が不要な薄黄色油状物として生成した。
【表25】

【0097】
ii. (E)−3−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル)−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)プロペノン、7
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに5(上記実施例Eの通り、50mg、0.14mmol)、6(20.9mg、0.14mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.9mg、0.004mmol)、XPhos(3.9mg、0.008mmol)およびNaOAc(33mg、0.41mmol)を入れ、さらに無水DMF(4mL)を加えた。蓋を密閉し、チューブを110℃まで16時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(40mL)で希釈した。有機層を水で洗浄し(2x20mL);その後、水層を合わせたものをCHCl(3x60mL)で抽出した。その後、有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 2〜6% MeOH/CHCl)し、7(44mg、0.10mol、71%)を白色固体として供給した。
【表26】

【0098】
iii. (E)−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−3−[4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル]−プロペノン、F
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに7(20mg、0.045mmol)、インドール−4−ボロン酸(18mg、0.11mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(6.3mg、0.009mmol)およびNaCO(9.6mg、0.09mmol)を入れ、さらにジオキサン(2mL)および水(0.8mL)を加えた。蓋を密閉し、チューブを88℃で20時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(30mL)および50%食塩水(5mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(3x15mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 2〜5% MeOH/CHCl)し、F(6.8mg、0.013mol、29%)を白色固体として供給した。
【表27】

【0099】
実施例G:(E)−3−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル]−N,N−ジメチルアクリルアミド
【化15】

【0100】
i. (E)−3−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル)−N,N−ジメチルアクリルアミド、7
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに5(上記実施例Eの通り、50mg、0.14mmol)、ジメチルアクリルアミド(6、14mL、0.14mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.8mg、0.004mmol)、XPhos(3.9mg、0.008mmol)およびNaOAc(33mg、0.41mmol)を入れ、さらに無水DMF(3.5mL)を加えた。蓋を密閉し、チューブを110℃まで16時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(40mL)で希釈した。有機層を50%食塩水(3x10mL)で洗浄し、その後、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 50〜100% EtOAc/Hex、その後1%MeOH)し、7(44mg、0.11mol、84%)を白色固体として供給した。
【表28】

【0101】
ii. (E)−3−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル]−N,N−ジメチルアクリルアミド、G
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに7(30mg、0.077mmol)、インドール−4−ボロン酸(31mg、0.19mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(13.6mg、0.02mmol)およびNaCO(24.4mg、0.23mmol)を入れ、さらにジオキサン(3mL)および水(1.2mL)を加えた。蓋を密閉し、チューブを88℃で20時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(30mL)および50%食塩水(5mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x5mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜3% MeOH/CHCl)し、G(6.9mg、0.015mol、19%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表29】

【0102】
実施例H:[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−ジメチル−アミン
【化16】

【0103】
i. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−カルバルデヒド、8
(E)−3−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イル)−N,N−ジメチルアクリルアミド(7、上記実施例Gの通り)(13mg、0.034mmol)のTHF溶液(1.5mL)に、HO(0.5mL)、次いでNaIO(22mg、0.10mmol)、およびOsOの溶液(2.5% wt/v、tBuOH中;9mL、0.0009mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。2日間室温で撹拌後、EtOAc(25mL)およびチオ硫酸ナトリウム(0.1M、5mL)を加えた。有機層を分離し、食塩水(3mL)で洗浄し、その後乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 5〜20% EtOAc/CHCl)し、8(8mg、0.025mmol、74%)を白色固体として供給した。
【表30】

【0104】
ii. (2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル)−ジメチル−アミン、9
8(7.8mg、0.024mmol)の無水DMF懸濁液(2.5mL)に、ジメチルアミン(2M、MeOH中;24mL、0.049mmol)の溶液、次いでNaBH(OAc)(8mg、0.037mmol)を、アルゴン雰囲気下で加えた。室温で23時間撹拌後、さらなる量のジメチルアミン(2M、MeOH中;35mL、0.071mmol)およびNaBH(OAc)(6mg、0.028mmol)を加えた。3日後、反応液を真空下で濃縮した。EtOAc(40mL)および50%飽和食塩水(5mL)を加え、有機層を分離し、水層をEtOAc(2x15mL)で再抽出した。その後、有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜6% MeOH/CHCl)し、9(5mg、0.014mol、60%)を白色固体として供給した。
【表31】

【0105】
iii. [2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−ジメチル−アミン、H
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに9(5mg、0.014mmol)、インドール−4−ボロン酸(5.8mg、0.036mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2.0mg、0.0029mmol)およびNaCO(3.1mg、0.029mmol)を入れ、さらにジオキサン(2mL)および水(0.8mL)を加えた。蓋を密閉し、チューブを88℃で18時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(35mL)および50%飽和食塩水(5mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 2〜5% MeOH/CHCl)し、H(2mg、0.005mmol、32%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表32】

【0106】
実施例I:2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−8−ピペリジン−1−イルメチル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2d]ピリミジン
【化17】

【0107】
i. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−8−ピペリジン−1−イルメチル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、10
無水DMF(6.3mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(19.7mg、0.062mmol)に、ピペリジン(12.2μL、0.14mmol)、次いでNaBH(OAc)(20.05mg、0.095mmol)を加え、該反応液を5時間撹拌した。その後、NaBHCN(5.8mg、0.092mmol)を加え、反応液をさらに48時間撹拌した。DMFを真空下で除去し、EtOAc(50mL)を50%飽和食塩水(50mL)とともに加え、層を分離し、EtOAc(2x30mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0:1〜6:94 MeOH/CHCl)し、10(12.9mg、0.033mmol、54%)を白色固体として供給した。
【表33】

【0108】
ii. 2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−8−ピペリジン−1−イルメチル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2d]ピリミジン、I
インドール−4−ボロン酸(13.4mg、0.083mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(4.60mg、0.0065mmol)および炭酸ナトリウム(7.22mg、0.068mmol)に、ジオキサン/水(2mL/0.8mL)に溶解した化合物10(12.9mg、0.033mmol)を加えた。該反応液を密閉チューブ内で88℃にて16時間加熱した。反応液を室温まで冷却し、その後EtOAc/水(30mL/5mL)間で該反応液を分配し、層を分離し、EtOAc(3x10mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0:1〜6:94 MeOH/CHCl)し、I(4mg、0.0085mol、26%)を白色固体として生成した。
【表34】

【0109】
実施例J:2−(1H−インドール−4−イル)−8−(4−メチルーピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化18】

【0110】
i. 2−クロロ−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、11
無水CHCl(6.6mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(19.13mg、0.060mmol)に、N−メチルピペラジン(13.3μL、0.12mmol)、次いでNaBHCN(4.6mg、0.073mmol)を加え、該反応混合物を21時間撹拌した。その後、NaBH(OAc)(11.3mg、0.053mmol)を加え、該反応混合物をさらに6.5時間撹拌した。EtOAc(50mL)を50%飽和食塩水(50mL)とともに加え;層を分離し、EtOAc(2x30mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0:1〜1:9 MeOH/CHCl)し、11(8.48mg、0.021mmol、35%)を白色固体として供給した。
【表35】

【0111】
ii. 2−(1H−インドール−4−イル)−8−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、J
インドール−4−ボロン酸(14.1mg、0.088mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(4.77mg、0.0068mmol)および炭酸ナトリウム(7.47mg、0.070mmol)に、ジオキサン/水(2mL/0.8mL)に溶解した化合物11(13.1mg、0.032mmol)を加えた。次に、得られた反応混合物を密閉チューブ内で88℃にて16時間加熱した。その後、該混合物を室温まで冷却し、EtOAc/水(30mL/5mL)間で分配し;次に層を分離し、EtOAc(2x10mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0:1〜1:9 MeOH/CHCl)し、J(3.97mg、0.0082mol、25%)を白色固体として供給した。
【表36】

【0112】
実施例K:2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−8−モルホリン−4−イルメチル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化19】

【0113】
i. 2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−8−モルホリン−4−イルメチル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、12
無水DMF(3mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(19.7mg、0.062mmol)に、モルホリン(11μL、0.13mmol)、次いでNaBH(OAc)(20mg、0.095mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、該反応混合物を3日間撹拌した。その後NaBHCN(5mg、0.07mmol)を加え、該反応混合物をさらに5時間撹拌した。DMFを真空下で除去し、EtOAc(40mL)を50%飽和食塩水(5mL)とともに加え、生じた層を分離し、EtOAc(2x15mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜2.5% MeOH/CHCl)し、12(15mg、0.038mmol、61%)を白色固体として供給した。
【表37】

【0114】
ii. 2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−8−モルホリン−4−イルメチル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、K
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに化合物12(15mg、0.038mmol)、インドール−4−ボロン酸(15.5mg、0.1mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(5.4mg、0.008mmol)およびNaCO(8.2mg、0.077mmol)を入れ、さらにジオキサン(2mL)および水(0.8mL)を加えた。前記チューブを88℃で18時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(35mL)および50%飽和食塩水(5mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜3% MeOH/CHCl)し、K(6.7mg、0.014mmol、37%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表38】

【0115】
実施例L:[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン
【化20】

【0116】
i. (2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル)−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン、13
アルゴン雰囲気下、無水CHCl(5mL)、MeOH(2mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(23mg、0.072mmol)に、3Å分子ふるい、(2−メトキシエチル)メチルアミン(12μL、0.11mmol)、次いでNaBH(OAc)(46mg、0.22mmol)およびNaBHCN(4.5mg、0.07mmol)を加えた。18時間後、反応混合物を濾過し、CHCl(30mL)で洗浄した。その後、50%飽和食塩水(5mL)を濾液に加え、層を分離し、CHCl、次いでEtOAcにより抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。まずフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜4% MeOH/CHCl)し、次にイオン交換カラムクロマトグラフィー(SCX−3、MeOH−MeOH中の0.5M NH)で精製して、13(11mg、0.028mmol、39%)を白色固体として供給した。
【表39】

【0117】
ii. [2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン、L
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに化合物13(11mg、0.028mmol)、インドール−4−ボロン酸(11.3mg、0.07mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(4mg、0.006mmol)およびNaCO(6mg、0.056mmol)を入れ、さらにジオキサン(2mL)および水(0.8mL)を加えた。前記チューブを88℃で18時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(35mL)および50%飽和食塩水(5mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜3% MeOH/CHCl)し、L(4.5mg、0.01mmol、34%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表40】

【0118】
実施例M:2−(1H−インドール−4−イル)−4,8−ジ−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化21】

【0119】
i. 2−クロロ−4,8−ジ−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、14
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに化合物5(上記実施例Eの通り、20mg、0.054mmol)、Pd(dba)(1.5mg、0.0016mmol)、±BINAP(2mg、0.0032mmol)およびCsCO(26mg、0.081mmol)を入れ、その後無水トルエン(2mL)およびモルホリン(5.7mL、0.065mmol)を加えた。前記チューブを90℃で18時間加熱した。次いで室温まで冷却し、EtOAc(35mL)および50%飽和食塩水(5mL)を加えた。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0.5〜2% MeOH/CHCl)し、14(10mg、0.027mmol、49%)を黄色固体として供給した。
【表41】

【0120】
ii.2−(1H−インドール−4−イル)−4,8−ジ−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、M
アルゴン雰囲気下、化合物14(10mg、0.027mmol)、インドール−4−ボロン酸(10.9mg、0.068mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.7mg、0.005mmol)およびNaCO(5.7mg、0.054mmol)を密閉チューブに入れ、さらにジオキサン(2mL)および水(0.8mL)を加えた。前記チューブを88℃で18時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(35mL)および50%飽和食塩水(5mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。まずフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0.5〜1.5% MeOH/CHCl)し、次にイオン交換カラムクロマトグラフィー(SCX−3、MeOH−MeOH中の0.5M NH)で精製し、M(3.2mg、0.007mmol、26%)を白色固体として供給した。
【表42】

【0121】
実施例N:2−(1H−インドール−4−イル)−7−メチル−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化22】

【0122】
i. 3−アミノ−6−メチル−フロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、16
アルゴン雰囲気下、2−クロロ−3−シアノ−6−メチルピリジン、15(2.0g、13.1mmol、1当量)および炭酸セシウム(12.8g、39.3mmol、3当量)の無水NMP懸濁液(20mL)に、室温でエチルグリコレート(1.36mL、14.4mmol、1.1当量)を加えた。該反応混合物を75℃まで一晩加熱し;一旦冷却し、HO(200mL)で分配し、EtOAc(3x70mL)で抽出した。合わせた有機層をHO(3x75mL)で十分に洗浄し、その後MgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。残渣をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーでヘキサン/EtOAc(4:1〜1:3)を用いて精製し、16を薄黄色固体として生成した(1.30g、45%)。
【表43】

【0123】
ii. 7−メチル−1H−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン、17
丸底フラスコに3−アミノ−6−メチル−フロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、16(926mg、4.20mmol、1当量)、および尿素(2.52g、42.0mmol、10当量)を入れた。該混合物を190℃で3時間、アンモニアの放出が観察されなくなるまで加熱した。HO(10mL)を加え、該反応混合物を30分間強く撹拌し;次いで濾過し、固体をHO(3x10mL)で洗浄した後、乾燥して薄褐色固体として前記産物を供給した(1.60g、定量)。
【表44】

【0124】
iii. 2−クロロ−7−メチル−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、18
7−メチル−1H−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(1.6g、4.20mmol、1当量) 17およびPCl(10.5g、50mmol、12当量)の混合物に、室温でアルゴン雰囲気下、POCl(33.5mL、357mmol、85当量)を加えた。該反応混合物を115℃で一晩還流させた。該混合物を一旦室温に冷却し、撹拌された砕いた氷上に2時間かけて極めてゆっくりと滴下し、次いで室温まで1時間加温した。得られた水層をEtOAc(3x100mL)およびCHCl(4x100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。無水MeOH(50mL)中のこの残渣に室温でモルホリン(0.92mL,10.5mmol、2.5当量)をアルゴン雰囲気下加えた。該反応混合物を3時間撹拌し、その後溶媒を真空下で除去した。残渣をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーでヘキサン/EtOAc(1:1〜0:1)を用いて精製し、前記産物を薄褐色固体として生成した(384mg、30%)。
【表45】

【0125】
iv. 2−(1H−インドール−4−イル)−7−メチル−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、N
ジオキサン(2mL)およびHO(1.0mL)の混合物中の2−クロロ−7−メチル−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、18(27mg、0.09mmol、1当量)、インドール−4−ボロン酸(43mg、0.27mmol、3当量)およびPdCl(PPh(12.4mg、0.02mmol、20mol%)の溶液に、アルゴン雰囲気下、NaCO(19mg、0.18mmol、2当量)を加えた。該反応混合物を圧力チューブ(pressure tube)内で18時間90℃にて加熱した。一旦冷却し、該混合物をHO(10mL)で分配し、CHCl(2x10mL)およびEtOAc(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。残渣をさらにSCX−3カートリッジ溶出によりCHCl/MeOH(1:0〜0:1、その後 +1M NH)を用いて精製し、次にシリカゲルカラムクロマトグラフィーでヘキサン/EtOAc(3:1〜0:1)を用いて精製し、Nを薄褐色固体として生成した(5.4mg、16%)。
【表46】

【0126】
実施例O:8−(4−フルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化23】

【0127】
i. 2−クロロ−8−(4−フルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、19
無水DMF(12mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(80mg、0.25mmol)に、4−フルオロピペリジン塩酸塩(70mg、0.5mmol)およびNaOAc(41mg、0.5mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。20分後、NaBH(OAc)(106mg、0.5mmol)およびNaBHCN(16mg、0.25mmol)を加え、該懸濁液を16時間撹拌した。その後、DMFを真空下で除去し、EtOAc(45mL)を50%飽和食塩水(7mL)とともに加え、層を分離し、EtOAc(2x15mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜2% MeOH/CHCl)し、9(58mg、0.014mmol、57%)を白色固体として供給した。
【表47】

【0128】
ii. 8−(4−フルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、O
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに化合物19(55mg、0.136mmol)、インドール−4−ボロン酸(55mg、0.34mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(19mg、0.027mmol)およびNaCO(29mg、0.27mmol)を入れ、さらにジオキサン(3.5mL)および水(1.4mL)を加えた。前記チューブを88℃で18時間加熱し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(45mL)および50%飽和食塩水(7mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜3% MeOH/CHCl)し、O(30mg、0.06mmol、45%)を褐色固体として供給した。
【表48】

【0129】
実施例P:8−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化24】

【0130】
i. 8−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、20
無水DMF(12mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(80mg、0.25mmol)に、4,4−ジフルオロピペリジン塩酸塩(79mg、0.5mmol)およびNaOAc(41mg、0.5mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。20分後、NaBH(OAc)(106mg、0.5mmol)およびNaBHCN(16mg、0.25mmol)を加え、該懸濁液を16時間撹拌した。その後、DMFを真空下で除去し、EtOAc(45mL)を50%飽和食塩水(7mL)とともに加え、層を分離し、EtOAc(2x15mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1〜2% MeOH/CHCl)し、20(41mg、0.097mmol、39%)を白色固体として供給した。
【表49】

【0131】
ii. [2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン、N
アルゴン雰囲気下、密閉チューブに20(41mg、0.097mmol)、インドール−4−ボロン酸(39mg、0.24mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(13.6mg、0.02mmol)およびNaCO(21mg、0.19mmol)を入れ、さらにジオキサン(3.5mL)および水(1.4mL)を加えた。前記チューブを88℃で18時間加熱し、次いで反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc(45mL)および50%飽和食塩水(7mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2x10mL)で抽出した。その後、有機層を合わせたものを乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0.5〜2% MeOH/CHCl)し、P(7.4mg、0.015mmol、15%)を白色固体として供給した。
【表50】

【0132】
実施例Q:2−(1H−インドール−4−イル)−8−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化25】

【0133】
i. 2−クロロ−8−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、21
無水CHCl/MeOH(5mL/2mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(22.2mg、0.070mmol)に、1−(2−メトキシエチル)ピペラジン(13μL、0.093mmol)を加え、該反応液を1時間撹拌した。NaBH(OAc)(45.8mg、0.022mmol)、次いでNaBHCN(4.4mg、0.070mmol)を加え、該反応混合物を48時間撹拌した。EtOAc(30mL)を水/飽和食塩水(10mL/5mL)とともに加え、層を分離し、EtOAc(2x30mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 2:98〜6:94 MeOH/CHCl)し、21(10mg、0.022mmol、32%)を白色固体として供給した。
【表51】

【0134】
ii. 2−(1H−インドール−4−イル)−8−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン、Q
インドール−4−ボロン酸(8.6mg、0.053mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.0mg、0.0043mmol)および炭酸ナトリウム(4.7mg、0.045mmol)に、ジオキサン/水(2mL/0.8mL)中に溶解した化合物21(10.0mg、0.022mmol)を加えた。反応液を密閉チューブ内で88℃にて16時間加熱し、次いで室温まで冷却し;EtOAc/水(30mL/5mL)間で分配し、層を分離し、EtOAc(2x30mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 0:1〜2:98 MeOH/CHCl)し、Q(1.09mg、0.0021mol、9%)を白色固体として供給した。
LCMS(ES+)528.3(100%,[M+H]+)。
【0135】
実施例R:3−{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオニトリル
【化26】

【0136】
i. 3−[4−(2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−プロピオニトリル、22
無水CHCl/MeOH(5mL/2mL)中の化合物8(上記実施例Hの通り)(24.2mg、0.076mmol)に、3−(1−ピペラジニル)プロピオニトリル(15μL、0.11mmol)を加え、該反応混合物を15分間撹拌した。次いでNaBH(OAc)(47.8mg、0.023mmol)を加え、得られた混合物を17時間撹拌した。NaBHCN(4.8mg、0.076mmol)を加え、さらに5時間撹拌し、その後、反応混合物をEtOAc/水/飽和食塩水(30mL/10mL/5mL)の間で分配し、層を分離し、EtOAc(2x30mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。SCX−2カラムを用いてMeOH/CHCl(1:9〜1:1〜1:1+MeOH中の0.2M NH)で精製し、その後、フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 1:9 MeOH/CHCl)し、22(15.1mg、0.034mmol、45%)を白色固体として供給した。
【表52】

【0137】
ii. 3−{4−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−プロピオニトリル、R
インドール−4−ボロン酸(14.6mg、0.091mmol)、ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(4.7mg、0.0066mmol)および炭酸ナトリウム(7.5mg、0.071mmol)に、ジオキサン/水(2mL/0.8mL)中に溶解した22(15.1mg、0.034mmol)を加えた。該反応混合物を密閉チューブ内で88℃にて16時間加熱し、次いで室温まで冷却し、その後EtOAc/水(30mL/5mL)間で分配した。層を分離し、EtOAc(2x30mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 2:98〜4:96〜6:94 MeOH/CHCl)し、R(6.8mg、0.013mol、38%)を白色固体として供給した。
【表53】

【0138】
実施例S:シクロプロピル−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−メチル−アミン
【化27】

【0139】
i. 2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−カルバルデヒド、23
アルゴン雰囲気下、トルエン(2.5mL)、エタノール(1.5mL)およびHO(0.8mL)の混合物中の、化合物8(上記実施例Hの通り)(40mg、0.13mmol、1当量)、インドール−4−ボロン酸(61mg、0.38mmol、3当量)およびPdCl(PPh(18.0mg、0.03mmol、20mol%)に、NaHCO3(32mg、0.38mmol、3当量)を加えた。該反応混合物を電子レンジ中で120℃にて1時間加熱した。一旦冷却し、該混合物をHO(10mL)で分配し、CHCl(2x10mL)およびEtOAc(2x10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーでCHCl/MeOH(1:0〜19:1)を用いて精製し、23を薄黄色固体として生成した(33.0mg、65%)。
【表54】

【0140】
ii. シクロプロピル−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−メチル−アミン、S
アルゴン雰囲気下、無水CHCl(2mL)、MeOH(2mL)およびDMF(0.5mL)の混合物中の、化合物23(19mg、0.048mmol、1当量)、NaBHCN(6.0mg、0.096mmol、2当量)およびNaBH(OAc)(31mg、0.144mmol、3当量)の溶液に、シクロプロピル−メチル−アミン(19μL、0.19mmol、4当量)を加えた。該反応混合物を室温で一晩撹拌し、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をHO(10mL)で分配し、CHCl(3x10mL)およびEtOAc(2x10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。残渣をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーでCHCl/MeOH(1:0〜24:1)を用いて精製し、前記産物、Sを白色固体として生成した(9.56mg、44%)。
【表55】

【0141】
実施例T:シクロプロピルメチル−[2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−8−イルメチル]−メチル−アミン
【化28】

【0142】
アルゴン雰囲気下、無水CHCl(2mL)、MeOH(2mL)およびDMF(0.5mL)の混合物中の、化合物23(上記実施例Sの通り)(19mg、0.048mmol、1当量)、NaBHCN(6.0mg、0.096mmol、2当量)、NaBH(OAc)(31mg、0.144mmol、3当量)およびNaOAc(15.7mg、0.19mmol、4当量)の溶液に、シクロプロピルメチル−メチル−アミン塩酸塩(23mg、0.19mmol、4当量)を加えた。該反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去した。その後、残渣をHO(10mL)で分配し、CHCl(3x10mL)およびEtOAc(2x10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、溶媒を真空下で除去した。残渣をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーでCHCl/MeOH(1:0〜47:3)を用いて精製し、前記産物、Tを白色固体として生成した(8.35mg、37%)。
【表56】

【0143】
実施例U:8−アゼチジン−1−イルメチル−2−(1H−インドール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−ピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン
【化29】

【0144】
アルゴン雰囲気下、無水DMF(2mL)、CHCl(0.5mL)およびMeOH(0.2mL)の混合物中の化合物23(上記実施例Sの通り)(17mg、0.04mmol)に、アゼチジン塩酸塩(16mg、0.17mmol)およびNaOAc(14mg、0.17mmol)を加えた。5分後、NaBH(OAc)(27mg、0.13mmol)およびNaBHCN(5.4mg、0.09mmol)を加え、該反応混合物を16時間撹拌した。EtOAc(45mL)を50%飽和食塩水(5mL)とともに加え;層を分離し、EtOAc(3x10mL)で抽出し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカ上で精製(溶離液 2〜8% MeOH/CHCl)し、U(5.4mg、0.012mmol、28%)をオフホワイトの固体として供給した。
【表57】

【0145】
生物学的データ
1)PI3Kアイソフォーム生化学データ
【表58】


2)抗炎症活性:刺激されたヒト末梢血単核球(hPBMC)からの炎症性サイトカインの産生の阻害
LPS(TNFα)、PHA(IFNγ)および抗CD3(IL−17A、IL−17F、IL−21、IL−23)により刺激されたhPBMCにおけるサイトカイン放出阻害について、各化合物を1μMの濃度で試験した:
【表59】


3)関節リウマチ滑膜線維芽細胞(RASF)増殖のIn Vitro阻害
【表60】


4)腫瘍細胞増殖のIn Vitro阻害
【表61】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物、またはその薬理学的に許容される塩。
【化1】


(式中、
WはO、N−H、N−(炭素数1〜10のアルキル)またはSであり;
Xは各々独立にCHまたはNであり;
は5〜7員の、飽和または不飽和の、任意で置換されていてもよい複素環であって、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
は(LQ)Yであり;
Lは各々独立に直接結合、炭素数1〜10のアルキレン、炭素数2〜10のアルケニレン、炭素数2〜10のアルキニレン、アリーレンまたは炭素数3〜10のシクロアルキレンであり;
Qは各々独立に直接結合、ヘテロアリーレン、複素環リンカー、−O−、−NR−、−C(O)−、−C(O)NR−、−SO−、−SO−NR−、−N−C(O)−NR−、−N−SO−NR、ハロゲン、−C(ハロゲン)(R(2−a))−、−NR−または−C(O)NRであって、ここでRおよびRはそれらが結合する窒素と共に5〜7員複素環リンカーを形成し;
mは0〜5であり;
YはH,炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルキニル、アリール、炭素数3〜10のシクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、−OR、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R、−SO−R、−SO−N(R、−N−C(O)−N(R、−N−SO−N(R、ハロゲン、−C(ハロゲン)(3−b)、−CN、−NR−または−C(O)NRであって、ここでRおよびRはそれらが結合する窒素と共に5〜7員複素環を形成し;
bは1〜3であり;
aは1または2であり;かつ
は各々独立にH、炭素数1〜10のアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。)
【請求項2】
が下記構造のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物。
【化2】



【請求項3】
下記構造を有する、請求項1または2に記載の化合物。
【化3】

【請求項4】
WがOである、先行請求項のうちいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
WがSである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
式I中の6,5−環系に結合する前記R基の両者がHである、先行請求項のうちいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が−(炭素数1〜10のアルキレン)−NRを含むか、またはRが−(炭素数1〜10のアルキレン)−NR−(炭素数1〜10のアルキレン)−シクロアルキルを含み、R、RおよびRが請求項1に定義した通りである、先行請求項のうちいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
mが0、1または2である、先行請求項のうちいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
下記構造のいずれかを有する、先行請求項のうちいずれかに記載の化合物。
【化4】

【請求項10】
先行請求項のうちいずれかに記載の化合物と、薬理学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項11】
治療において用いるための、先行請求項のうちいずれかに記載の化合物または組成物。
【請求項12】
前記治療が癌、免疫疾患または炎症性疾患に対するものである、請求項11に記載の化合物または組成物。
【請求項13】
前記癌が白血病またはPTEN陰性固形腫瘍である、請求項12記載の化合物または組成物。
【請求項14】
前記治療が関節リウマチに対するものである、請求項11または請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
臓器移植後の拒絶反応抑制治療に用いるための、請求項11記載の化合物または組成物。
【請求項16】
治療に用いる薬物の製造のための、請求項1〜10のいずれか1項に定義される化合物または組成物の使用。
【請求項17】
前記治療が請求項12〜14のいずれか1項に定義されるものである、請求項16記載の使用。

【公表番号】特表2013−502404(P2013−502404A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525212(P2012−525212)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051370
【国際公開番号】WO2011/021038
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(511183940)カルス セラピューティクス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】