説明

ホッパ及びホッパを備える組合せ計量装置。

【課題】 本発明は、ホッパへ投入される物品の衝撃・跳ね返りを抑えて、物品の損傷防止及び計量速度の向上を図ることができるホッパ及びそれを備える組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】 物品投入用の上部開口及び物品排出用の下部開口を有する容器と、前記下部開口を開閉可能にしたゲートと、を備えるホッパにおいて、前記ゲートの物品受止面が緩衝部材で構成され、かつ、前記緩衝部材の背面に空間が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部開口及び下部開口を有する容器と、下部開口を開閉可能にしたゲートと、を備えるホッパ及びそれを備える組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品がホッパへの投入時の衝撃で損傷することを防止するため、ステンレス等の金属製ホッパ内の物品受止面に沿って、樹脂製シートを貼付したり、吊下したりするものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭58−27730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記ホッパでは、樹脂製シートで衝撃を或る程度吸収することはできるものの、樹脂製シートの背面にはステンレス等の硬い金属板が接しているため、物品の損傷を無くすことは難しい。また、投入した物品が樹脂製シートの背面の硬い板で跳ね返され、ホッパ内で落ち着くまでに時間がかかるため、計量ホッパである場合には、出力される計量信号が安定するまでの時間が長くなり、計量速度を上げることに限界がある。
【0004】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ホッパへ投入される物品の衝撃・跳ね返りを抑えて、物品の損傷防止及び計量速度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、物品投入用の上部開口及び物品排出用の下部開口を有する容器と、前記下部開口を開閉可能にしたゲートと、を備えるホッパにおいて、前記ゲートの物品受止面が緩衝部材で構成され、かつ、前記緩衝部材の背面に空間が設けられていることを特徴とするホッパを提供する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のホッパであって、計量装置用ホッパであるとともに、前記緩衝部材の張力を調整する張力調整機構を有することを特徴とするホッパを提供する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のホッパを複数備えることを特徴とする組合せ計量装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、ゲートの物品受止面が緩衝部材で構成され、その背面には空間が設けられているため、ホッパに投入される物品が物品受止面に勢いよく衝突しても、緩衝部材が背面側へ撓んで衝撃を吸収することができる。したがって、ホッパ投入時の衝撃で物品が損傷することが確実に防止されるという優れた効果を奏し得る。
【0009】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏し得る。張力調整機構で緩衝部材の張力を緩めることにより、物品受止面への衝突による物品の反発力が弱められ、ホッパ内における物品の跳ねを短時間で収束させることができる。したがって、計量ホッパの計量信号を短時間で安定させて、計量速度を速めることができる。また、緩衝部材の張力の調整しだいでは、物品が緩衝部材に衝突したときの振動周波数を、計量への影響が出にくい周波数帯域となるように加減できるので、その点においても計量信号が安定し、計量時間の短縮化が図られる。
【0010】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明が奏する効果と同様の優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る組合せ計量装置を模式的に表した図であり、図2は、組合せ計量装置に備えられるプールホッパ及び計量ホッパを示す図であり、図3は上記プールホッパ及び計量ホッパに備えられるゲートの構成を説明する組立斜視図である。
【0012】
図1に示される組合せ計量装置1は、上流工程から供給される物品を所定重量範囲内に収まるように組み合わせ計量し、当該組み合わせ物品を集合シュート11でまとめて排出する計量装置であり、複数台(図では1台のみ表示)の搬送フィーダ2・・2と、各搬送フィーダ2に対応するように設けられるプールホッパ3と、各プールホッパ3に対応するように二台ずつ設けられる計量ホッパ4,4と、を備えてなる。搬送フィーダ2は、トラフ21を斜め上下方向に振動させて、上流工程から供給されるバラ状の物品を一定速度で搬送することにより、物品を物品排出口2aから一定量ずつ落下排出する。
【0013】
(プールホッパ3)
プールホッパ3は、図2に示されるように、物品投入用の上部開口5a及び物品排出用の二つの下部開口5b,5bを有する概ね筒状の容器5と、下部開口5b,5bを開閉可能にしたゲート6,6を備えてなる。下部開口5b,5bは、筒状容器の下側が、図に対して直交する方向に延びる横断面山型のクロスバー5cによって分割されることにより形成され、ゲート6,6は、これらに接続されるリンクによっていずれか一方が選択的に回動させられるように構成されている。これにより、プールホッパ3は、トラフ21から落下供給される物品を、ゲート6,6を実線又は点線で示されるように閉じた状態で受け止めて一時的に保持し、所定タイミングでゲート6,6のいずれか一方を二点鎖線で示されるように開放することにより、下方に設けられる計量ホッパ4,4のいずれかへ排出する。
【0014】
ゲート6は、図3(a)に示されるように、ゲートの骨組みとなる枠体61と、枠体61に固定されてホッパ内に投入される物品を受け止める物品受止面6aを形成するシート体62と、シート体62の上下端を枠体61との間で挟持固定するブラケット63,64と、を備えてなる。枠体61は、上下方向に延びて、その上端にゲート回転中心となる軸受部611aが形成されるアーム611と、アーム611の上端付近及び下端に長手方向の中央部が取り付けられて水平方向に延びる横骨612,613と、を備えてなる。アーム611には、横骨612と613の間における物品受止面6a側(ゲート内面側)を側面視コ字型に抉ってなる逃げ部611bが設けられている。逃げ部611bによって、物品受止面6aの背面側とアーム611との間には、所定の空間S1(図2)が設けられることになる。
【0015】
横骨612は、図3(a)に示されるように、横断面L字型の棒状部材であって、L字の外側面が物品受止面6a側及び上方に向けられた状態でアーム611に固定されており、上方に向けられた面には、シート体62を固定するための貫通穴612a,612aが形成されている。横骨613も、横骨612と同様の横断面L字型の棒状部材であって、L字の外側面が物品受止面側及び下方に向けられた状態でアーム611に固定され、物品受止面側の面には、シート体62を固定するための貫通穴613a,613aが形成されている。なお、貫通穴613a,613aは、シート体62を取り付ける際の張り具合(張力)を調整できるように、上下方向に延びる長穴とされている。
【0016】
シート体62は、物品の落下供給に伴う衝撃を吸収し得る樹脂板で形成される緩衝部材であって、図3(a)に示されるように、その上下端には、貫通穴62a,62a及び62b,62bが、上述した貫通穴612a,612a及び613a,613aと対応する位置に設けられている。なお、シート体62の上端側は、横断面L字型の横骨612に沿うように曲げ癖が付けられている。ブラケット63は、横骨612を覆うことができるように形成される横断面L字型の金具であって、その中央部にアーム611をかわすための切欠63aが形成されており、貫通穴612a,612aに対応する位置に下方へ突出する固定ボルト631,631が取り付けられている。ブラケット64は、横骨613を覆うことができるように形成される横断面くの字型の金具であって、貫通穴613a,613aに対応する位置に固定ボルト641,641が取り付けられている。
【0017】
上記のとおりであるから、シート体62の上端は、横骨612とブラケット63で挟み込まれることにより、貫通穴62a,62aに固定ボルト631,631が挿入されて位置決めされ、さらに固定ボルト631,631にナット65,65を螺合することによって固定される。また、シート体62の下端は、横骨613とブラケット64で挟み込むことにより、貫通穴62b,62bに固定ボルト641,641が挿入されて位置決めされ、さらに固定ボルト641,641にナット66,66を螺合することによって固定される。なお、ブラケット64は、ナット66,66を締め付ける前に、長穴(貫通穴613a)に沿って上下させることにより、シート体62を上下方向に引っ張ったり、緩めたりする張力調整機構として機能する。
【0018】
(計量ホッパ4)
計量ホッパ4は、図1に示されるように、プールホッパ3の二つの下部開口5bの各々の下方に、計量センサ部41を介して支持された状態で設けられ、図2に示されるように、物品投入用の上部開口7a及び物品排出用の下部開口7bを有する概ね筒状の容器7と、下部開口7bを開閉可能にしたゲート8を備えてなる。これにより、計量ホッパ4は、プールホッパ3から排出される物品を、実線で示されるように閉じたゲート8で受け止めて、その重量を計量し、所定タイミングにおいて二点鎖線で示されるようにゲート8を開放することにより、集合シュート11へ排出する。
【0019】
ゲート8は、図3(b)に示されるように、ゲートの骨組みとなる枠体81と、枠体81に固定されてホッパ内に投入される物品を受け止める物品受止面8aを形成するシート体82と、シート体82の上下端を枠体81との間で挟持固定するブラケット83,84と、を備えてなる。枠体81は、上下方向に延びて、その上端にゲート回転中心となる軸受部811aが形成されるアーム811と、アーム811の上端付近及び下端に長手方向の中央部が取り付けられて水平方向に延びる横骨812,813と、を備えてなる。アーム811には、横骨812と813の間における物品受止面8a側(ゲート内面側)を側面視コ字型に抉ってなる逃げ部811bが設けられている。逃げ部811bによって、物品受止面8aの背面側とアーム811との間には、所定の空間S2(図2)が設けられることになる。
【0020】
横骨812は、図3(b)に示されるように、横断面L字型の棒状部材であって、L字の外側面が物品受止面8a側及び上方に向けられた状態でアーム811に固定されており、上方に向けられた面には、シート体82を固定するための貫通穴812a,812aが形成されている。横骨813も、横骨812と同様の横断面L字型の棒状部材であって、L字の外側面が物品受止面側及び下方に向けられた状態でアーム811に固定され、下方に向けられた面には、シート体82を固定するための貫通穴813a,813aが形成されている。なお、貫通穴813a,813aは、シート体82を取り付ける際の張り具合(張力)を調整できるように長穴とされている。
【0021】
シート体82は、物品の落下供給に伴う衝撃を吸収し得る樹脂板で形成される緩衝部材であって、図3(b)に示されるように、その上下端には、貫通穴82a,82a及び82b,82bが、それぞれ上述した枠体81の貫通穴812a,812a及び813a,813aと対応する位置に設けられている。なお、シート体82の上端側は、横断面L字型の横骨812に沿うように曲げ癖が付けられている。ブラケット83は、横骨812を覆うことができるように形成される横断面L字型の金具であって、貫通穴812a,812aに対応する位置に下方へ突出する固定ボルト831,831が取り付けられている。ブラケット84は、横骨813の下面を覆うことができるように形成される平板状の金具であって、貫通穴813a,813aに対応する位置に固定ボルト841,841が取り付けられている。
【0022】
上記のとおりであるから、シート体82の上端は、横骨812とブラケット83で挟み込むことにより、貫通穴82a,82aに固定ボルト831,831が挿入されて位置決めされ、さらに固定ボルト831,831にナット85,85を螺合することによって固定される。また、シート体82の下端は、横骨813とブラケット84で挟み込むことにより、貫通穴82b,82bに固定ボルト841,841が挿入されて位置決めされ、さらに固定ボルト841,841にナット86,86を螺合することによって固定される。なお、ブラケット84は、ナット86,86を締め付ける前に、長穴(貫通穴813a)に沿って位置を前後にずらすことにより、シート体82を上下方向で引っ張ったり、緩めたりして、その張力を調整する張力調整機構として機能する。
【0023】
(組合せ計量装置1の特徴)
上述した組合せ計量装置1は、プールホッパ3及び計量ホッパ4に設けられるゲート6,8の物品受止面6a,8aが、緩衝部材であるシート体62,82で構成されており、かつ、物品受止面6a,8aの背面側に空間S1,S2が設けられているという特徴を有する。物品受止面6a,8aが緩衝部材で構成されているため、プールホッパ3又は計量ホッパ4に投入される物品が、物品受止面6a,8aに衝突しても衝撃を吸収することができる。特に、物品受止面6a,8aの背面側には、空間S1,S2が設けられているので、物品が勢いよく衝突して大きな衝撃力が発生しても、緩衝部材が背面側へ撓んで確実に吸収される。
【0024】
また、組合せ計量装置1は、緩衝部材であるシート体62,82の張力を調整することができる張力調整機構を備えるという特徴を有する。シート体62,82の張力を緩めることにより、物品受止面6a,8aへの衝突による物品の反発力が弱められ、ホッパ内における物品の跳ねを短時間で収束させることができる。したがって、計量ホッパ4では、計量信号を短時間で安定させる結果として、計量速度を速めることができる。また、シート体82の張力の調整しだいでは、物品が衝突したときの振動周波数を、計量への影響が出にくい周波数帯域となるように加減できるので、計量信号が安定し、計量時間の一層の短縮化が図られる。
【0025】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、緩衝部材を固定するための貫通穴613a,613a及び813a,813aを長穴にして、ブラケット64,84をずらすようにすることで、緩衝部材の張力調整機構を構成したが、それ以外の構造を採用しても良い。例えば、アーム611,811をゲートの開閉動作に影響しない範囲で伸縮可能な構造としても良い。また、物品受止面6a,8aの背面と枠体61,81の間に空間S1,S2を確保するため、アーム611,811を抉ることにより逃げ部611b,811bを形成したが、アーム611,811を湾曲等させることにより逃げ部を形成することとしても良い。
【0026】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る組合せ計量装置を模式的に表した図。
【図2】組合せ計量装置に備えられるプールホッパ及び計量ホッパを示す図
【図3】プールホッパ及び計量ホッパに備えられるゲートの組立斜視図。
【符号の説明】
【0028】
1 計量装置
2 搬送フィーダ
3 プールホッパ
4 計量ホッパ
5 容器
5a 上部開口
5b 下部開口
6 ゲート
6a 物品受止面
62 シート体(緩衝部材)
7 容器
7a 上部開口
7b 下部開口
8 ゲート
8a 物品受止面
81 枠体
82 シート体(緩衝部材)
S1 空間
S2 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品投入用の上部開口及び物品排出用の下部開口を有する容器と、
前記下部開口を開閉可能にしたゲートと、を備えるホッパにおいて、
前記ゲートの物品受止面が緩衝部材で構成され、かつ、前記緩衝部材の背面に空間が設けられていることを特徴とするホッパ。
【請求項2】
請求項1に記載のホッパであって、
計量装置用ホッパであるとともに、前記緩衝部材の張力を調整する張力調整機構を有することを特徴とするホッパ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホッパを複数備えることを特徴とする組合せ計量装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−213917(P2008−213917A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57280(P2007−57280)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】