説明

ホップ酸の無機塩を含有する組成物、及び該組成物の製造方法

本発明は、改善されたバイオアベイラビリティを有する新規なホップ酸製剤の組成物及び製造方法、並びにそのような組成物の抗炎症剤、栄養補助食品、及び医薬品としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、以下の米国仮特許出願:2005年6月21日出願の第60/692、746号;2005年6月21日出願の第60/692,910号、及び2005年12月12日出願の第60/749,966号の利益を主張する;本願は、米国特許出願第11/302,308号の一部継続出願であり、これは次に前記した各米国仮特許出願の利益を主張する。これらの各出願の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
ホップは、数世紀に亘りビールの香味に使用されており、水、酵母及び麦芽と共にビールの主成分として認められている。現在の醸造技術の目標は、再現性のあるビールを製造することである。ホップ香味の再現性を改善する組成物及び方法は、ビール及びエールの風味付けを制御及び標準化する際に有用である。
最近の報告では、ホップ由来の酸が、抗炎症剤及び栄養補助食品として有用であることが提案されている。これらの酸は、他の医薬用途も有すると思われる。ホップ酸は、粘性の油又は樹脂の形態で存在するため、活性成分は、消化又は局所適用された際の吸収が乏しく、また取り扱いが不便である。加えて、ホップ酸の製造方法は時間集約的であり、これは生産コストを増大させる。改善されたバイオアベイラビリティを有し、取り扱いが便利なホップ酸製剤が必要とされている。
例えば特許文献1に記載されているホップ酸の固体塩の以前の製造方法は、ホップ酸のアルカリ性水溶液を塩水溶液と共に加熱して、ホップ酸の固体塩を製造することを含む4ステップの工程を必要とする。この加熱ステップは、塩形成中にα酸の分解を加速し、望ましくない。加えて、この方法は、マグネシウム塩形成反応中、濃度4%〜7%のホップ酸を使用する。これらのホップ酸の低い濃度は、反応に必要な時間を延長して、コストを増大させる。ホップ酸を、該ホップ酸の固体塩に変換する改善された方法が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第5,624,701号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ホップ酸組成物と、これら組成物の製造方法とを提供する。有利には、本発明の方法は、ロイソ(rhoiso)α酸、テトラヒドロイソα酸、及びヘキサヒドロ−イソα酸を含むイソα酸、並びに還元イソα酸の無機塩の製造に関して;またβ酸の無機塩及びその誘導体の製造に関しても、効率が非常に改善されている。より詳細には、これらβ酸は、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸を含む。一実施態様において、ホップ酸は、ルプロン、コルプロン、アドルプロン及びそれらの誘導体からなる群より選択されるβ酸である。別の実施態様において、β酸は、ヘキサヒドロβ酸又はテトラヒドロβ酸である。これら改善された方法は、以前記載された方法の5〜10倍の速度を有し、労働、エネルギー、及び他の生産コストを有利に低下させる。本発明の方法の他の利点は、これらが加熱ステップを必要とせず、室温で行われることである。このことは、塩形成中のホップ酸の分解を低下させる。
【発明の効果】
【0004】
本発明の組成物は、改善されたバイオアベイラビリティを有する新規なホップ酸製剤を含む。本発明は、それらの組成物の抗炎症剤、栄養補助食品、及び医薬品としての使用を提供する。そのような組成物は、不適切な炎症に関連するものを含む、疾病又は疾病徴候の処置に有用である。
【0005】
一局面において、本発明は、α酸、還元イソα酸(例、イソα酸、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、若しくはヘキサヒドロイソα酸)又はβ酸(例、ヘキサヒドロβ酸、テトラヒドロβ酸、ルプロン、コルプロン、アドルプロン若しくはそれらの誘導体)の無機塩(例、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びカドミウム)の製造方法に関する。同方法は、(a)10〜50%のイソα酸又は還元イソα酸を含有する水性組成物又は水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;(b)撹拌しながら該水溶液に無機塩(例、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びカドミウム)を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温(例、15〜25℃)であることと;(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;(d)スラリーを乾燥(例、スプレードライ、真空乾燥、ドラム乾燥、パン・ドライ、ウィンドウ・ドライ、及び/又は凍結乾燥)して、ホップ酸の無機塩を得るステップとを含む。一実施態様において、該方法は、更にステップ(d)の前に、ステップ(c)の均質なスラリーを濾過するステップを含む。別の実施態様において、水性組成物又は水溶液は、アルカリ性水溶液である。
【0006】
別の局面において、本発明は、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸又はヘキサヒドロイソα酸を含む還元イソα酸のマグネシウム塩(例、硫酸マグネシウム)の製造方法に関する。同方法は、(a)10〜50%の還元イソα酸を含有する水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;(b)撹拌しながら該水溶液に無機マグネシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;(d)スラリーを乾燥して、還元イソα酸のマグネシウム塩を得るステップとを含む。一実施態様において、該方法は、更にステップ(d)の前に、ステップ(c)の均質なスラリーを濾過するステップを含む。別の実施態様において、水溶液は、アルカリ性水溶液である。
【0007】
更なる別の局面において、本発明は、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸又はヘキサヒドロイソα酸を含む還元イソα酸のカルシウム塩の製造方法に関する。同方法は、(a)10〜50%の還元イソα酸を含有する水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;(b)撹拌しながら該水溶液に無機カルシウム塩(例、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、又は水酸化カルシウム)を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;(d)スラリーを乾燥して、還元イソα酸の無機カルシウム塩を得るステップとを含む。一実施態様において、該方法は、更にステップ(d)の前に、ステップ(c)の均質なスラリーを濾過するステップを含む。別の実施態様において、水溶液は、アルカリ性水溶液である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の局面の様々な実施態様において、水溶液中に存在するα酸又は還元イソα酸の濃度は、10%〜50%(例、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%)である。上記の局面の別の実施態様において、マグネシウム/α酸若しくは還元イソα酸、又はカルシウム/α酸若しくは還元イソα酸のモル比は、0.3〜0.8(例、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、及び0.8)の範囲内にある。上記の局面の任意の別の実施態様において、室温は、15〜25℃(例、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25℃)である。
【0009】
別の局面において、本発明は、上記の任意の局面の方法により製造したロイソα酸、テトラヒドロイソα酸又はヘキサヒドロイソα酸を含む還元イソα酸に関する。
【0010】
別の局面において、本発明は、テトラヒドロβ酸及び/又はヘキサヒドロβ酸を含む、β酸及び/又はβ酸の誘導体のマグネシウム塩の製造方法を提供する。本方法は、10〜50%のβ酸を含有するアルカリ性水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機マグネシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;スラリーが均質となる迄、混合するステップと;スラリーを乾燥して、β酸のマグネシウム塩を得るステップとを含む。一実施態様において、マグネシウム塩は、硫酸マグネシウムである。別の一実施態様において、該方法は、更にステップ(d)の前に、ステップ(c)のスラリーを濾過するステップを含む。
【0011】
別の局面において、本発明は、β酸のカルシウム塩の製造方法を提供する。同方法は、10〜50%のβ酸を含有するアルカリ性水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温(例、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25℃を含む15℃〜25℃)であることと;撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機カルシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;スラリーが均質となる迄、混合するステップと;スラリーを乾燥して、β酸のカルシウム塩を得るステップとを含む。一実施態様において、該方法は、更にステップ(d)の前に、ステップ(c)のスラリーを濾過するステップを含む。別の実施態様において、カルシウム塩は、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、又は水酸化カルシウムのうちの少なくとも一つである。別の実施態様において、アルカリ性水溶液中に存在するβ酸の濃度は、10%〜45%(例、10〜50の任意の整数、ここで該範囲の最低値は10〜49であり、該範囲の最高値は11〜50の整数である;代表的な整数は、10、15、20、25、30、35、40、又は45%を含む);15%〜45%;又は20%である。更なる別の実施態様において、無機塩/βのモル比(例、マグネシウム/β酸又はカルシウム/β酸のモル比)は、0.3〜0.8の範囲内(例、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、又は0.8)にある。更なる別の実施態様において、乾燥は、スプレードライ、真空乾燥、ドラム乾燥、パン・ドライ(pan drying)、ウィンドウ・ドライ(window drying)及び凍結乾燥、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法で達成される。尚別の実施態様において、β酸は、テトラヒドロβ酸、及びヘキサヒドロβ酸からなる群より選択される。
【0012】
尚別の一局面において、本発明は、前記の任意の局面の方法により製造されたβ酸を提供する。
【0013】
上記の任意の局面の様々な実施態様において、水溶液は、アルカリ性水溶液である。「アルカリ性水溶液」とは、塩基性pH、即ち中性よりも高いpHを有する任意の溶液を意味する。一般に、中性pHは、約7である。従って、アルカリ性水溶液は、7よりも高いpH、例えば、pH7.4〜12(例、7.4、7.6、7.8、8、9、10、11、又は12)(最低値と最高値を含む)を有する。
【0014】
ホップ酸誘導体は、ホップ酸から(自然の生合成過程(例、生体代謝(例、哺乳動物、植物、細菌))又はヒト介入によるホップ酸からの合成過程(例、化学合成))のいずれかを介して)化学的に誘導された化合物である。α酸誘導体(例、イソα酸、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、及びヘキサヒドロイソα酸)は、ホップα酸から誘導した化合物である。
【0015】
本発明は、更に、ルプロン、コルプロン、アドルプロン及びそれらの誘導体等のβ酸の無機塩を含有する組成物を提供する。β酸誘導体は、ホップβ酸から誘導した化合物である。特定の実施態様において、β酸は、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸を含む。
【0016】
別の一局面において、本発明は、式A、B、C及びD:
【化1】

(式中、Rはアルキルであり;
Z及びTは、独立してH及びPi軌道から選択されるが、T又はZの一方がPi軌道の場合、隣接するT又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、一価又は二価カチオンであり;
Wは、Cl、OH、SO、Br、I、又は式E、F、G若しくはH:
【化2】

の化合物であり、
Rは、H、Na、K、Li又はM−Wである)の任意の一種又はそれ以上を含有する組成物を含む組成物を提供する。
有利には、β酸のマグネシウム塩は、β酸それ自体よりも相当吸湿性が低い。
【0017】
一局面において、本発明は、1%〜95%(最低値と最高値を含む)のβ酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸の無機塩を含有する水性組成物を提供する。そのような水性製剤は、改善されたバイオアベイラビリティを有し、対象への経口又は局所投与に適している。加えて、それら製剤の製造は、先行技術の方法よりも効率がよく、また水性製剤は、先行技術の製剤と比較して、取り扱いがより便利である。
【0018】
一局面において、本発明は、1〜95%(例、1%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%)(最低値と最高値を含む)の式A、B、C及びD:
【化3】

(式中、Rはアルキルであり;
Z及びTは、独立してH及びPi軌道から選択されるが、T又はZの一方がPi軌道の場合、隣接するT又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、マグネシウム又はカルシウムであり;
Wは、Cl、OH、SO、Br、I、又は式E、F、G若しくはH:
【化4】

の化合物であり、
Rは、H、Na、K、Li又はM−Wである)の組み合わせを有する水性組成物を含む組成物に関する。
【0019】
一実施態様において、水性組成物は、β酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸、又はそれらの天然若しくは合成誘導体からなる群より選択される少なくとも一種のホップ酸を含む。別の実施態様において、水性組成物のpHは、7.0〜10.0(例、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0、9.2、9.4、9.5)(最低値と最高値を含む)である。更なる別の実施態様において、pHは、7.0〜10.0、7.0〜9.5、7.0〜8.0、又は7.2〜7.4である。尚別の実施態様において、水性組成物の含水率は、1〜95%(例、1%、3%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%95%)(最低値と最高値を含む)である。様々な実施態様において、該範囲の下限は、1%〜94%の任意の数であり、該範囲の上限は、4%〜95%の任意の数である。別の実施態様において、水性組成物の含水率は、1〜10%、1〜20%、20〜90%、15〜25%、30〜50%、55〜75%、又は80〜95%である。
【0020】
別の一局面において、本発明は、式A、B、C又はD:
【化5】

(式中、Rはアルキルであり;
Z及びTは、独立してH及びPi軌道から選択されるが、T又はZの一方がPi軌道の場合、隣接するT又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、マグネシウム又はカルシウムであり;
Wは、Cl、OH、SO、Br、I、又は式E、F、G若しくはH:
【化6】

の化合物であり、
Rは、H、Na、K、Li又はM−Wである)の少なくとも一つを含む組成物に関する。
【0021】
本発明の方法により製造し得る代表的なロイソα酸は、以下の式:
【化7】

(式中、R’は、ヒドロキシル、OR及びOCORからなる群より選択され、Rは、独立してアルキルであり、R’’’はHであるか;又はR’とR’’’はひとまとまりで=0であり;
R’’はアルキルであり;
R、T、X及びZは、独立してH、F、Cl、Br、I及びPi軌道からなる群より選択されるが、R、T、X、又はZがPi軌道の場合、隣接するR、T、X、又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、マグネシウム又はカルシウムであり;
Wは、Cl、OH、SO、Br、I、式C又は式Dである)の任意の一つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない。
【0022】
特定の一実施態様において、還元イソα酸(例、ロイソα酸)は、以下の式:
【化8】

(式中、R’’はアルキルであり;
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、又はカドミウムであり;
Wは存在しないか、又はCl、OH、SO、Br、若しくはIである)を有するヘキサヒドロイソα酸である。
【0023】
本明細書で特徴付ける任意の組成物の様々な実施態様において、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びカドミウムからなる群より選択される一価又は二価カチオンである。一実施態様において、Mは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、又は亜鉛である。存在するWの数は、複合体全体が電荷中性であるように、金属イオンMに電荷均衡を提供するように選択される。従って、Wは、選択された置換基が0〜2個存在すると表すことができる。例えば、MがNaの場合、Wは存在しない;Mがカルシウムの場合、Wは、電荷均衡を提供する置換基が1個存在することを表す。様々な実施態様において、Wは、アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、バイサルフェート、臭化物、ブチレート、シトレート、カンホレート、カンファースルホネート、塩化物、ジグルコネート、ドデシルサルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリコレート、ヘミサルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヒドロキシル、ヨウ化物、ラクテート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、硝酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチネート、パーサルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、タートレート、チオシナネート、トリレート及びウンデカノエートである。本明細書において本発明の化合物は特定の形態で示されるが、本発明はそれらに限定されるわけではない。他の互変形態(例、ケト/エノール互変異性体)は、本発明の範囲内に含まれる。
【0024】
尚別の局面において、本発明は、β酸の無機塩を含有する組成物(例、水性組成物)を提供する。ここでβ酸は、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸の任意の一つ又はそれ以上である。様々な実施態様において、塩は、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、又はカドミウム等の一価又は二価カチオン(例、金属)を含む。
【0025】
尚別の局面において、本発明は、還元イソα酸の無機塩を提供し、ここでイソα酸は、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、及びヘキサヒドロイソα酸からなる群より選択される。様々な実施態様において、塩は、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム等の一価又は二価カチオン(例、金属)を含む。
【0026】
前記の任意の局面の様々な実施態様において、本発明は、1〜95%(例、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%)(最低値と最高値を含む)の式A、B、C又はDの任意の1つ又はそれ以上(例、2、3、又は4つ)の組み合わせを含有する組成物に関する。一実施態様において、本発明は、3〜95%の式A、B、C、又はDの組み合わせを含有する組成物に関する。様々な別の実施態様において、該範囲の下限は、1%〜94%の任意の数であり、該範囲の上限は、4%〜95%の任意の数である。更なる別の実施態様において、組成物は、3%〜10%、10%〜25%、30%〜50%、60%〜75%、又は80%〜95%の式A及び式Bを含有する。尚別の実施態様において、組成物は、β酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸からなる群より選択される少なくとも一種のホップ酸を含有する。
【0027】
上記の任意の局面の様々な実施態様において、Wは、マグネシウム又はカルシウムである。上記の任意の局面の別の実施態様において、組成物は、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、リチウム塩、鉄塩、亜鉛塩、カルシウム及びマグネシウム塩、若しくはそれらの塩の組み合わせ、又は式A、B、C若しくはDの任意の1つ若しくはそれ以上(例、2、3、若しくは4つ)を含有する。上記の局面の別の実施態様において、水性組成物のpHは、7.0〜9.5(例、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0、9.2、9.4、9.5)である。上記の任意の局面の更なる別の実施態様において、無機塩/β酸のモル比(例、マグネシウム/β酸又はカルシウム/β酸のモル比)は、0.3〜0.8(例、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8)の範囲内にある。上記の任意の局面の一実施態様において、マグネシウム又はカルシウム/β酸のモル比は、0.4〜0.6である。関連する実施態様において、該範囲の下限は、0.3〜0.79の任意の数であり、該範囲の上限は、0.35〜0.8の任意の数である。上記の任意の局面の更なる別の実施態様において、組成物は、更にクルクミノイド、スチルベノイド、又はフラボノイドのうちの1つ、2つ、又は3つを含有する。
【0028】
別の局面において、本発明は、前記の任意の局面の組成物を、薬学的に許容される担体中に含む抗炎症、抗菌剤、又は抗菌組成物に関する。一実施態様において、組成物は、更に少なくとも一種の更なる治療薬を含有する。別の実施態様において、更なる治療薬は、免疫抑制剤(例、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド、及びメトトレキサート、抗炎症剤、並びにステロイド)、抗炎症剤(例、スルファサラジン、オルサラジン、メサルミン(mesalmine)、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセンナトリウム、スリンダク、アスピリン、コリンサブサリチル酸(cholinesubsalicylate)、ジフルニサル、オキサプロキシン(oxaproxin)、エトドラク、ケトロラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、フェナメート、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、オキシカム、ピロキシカム、サルサレート、トルメチン、及びサリチル酸マグネシウム)、並びにステロイド(例、コルチゾン、ブデソニド、及びプレドニゾン)からなる群より選択される。
【0029】
更なる別の局面において、本発明は、前記の任意の一局面の組成物を、栄養補助食品的に許容される担体中に含む栄養補助食品組成物に関する。一実施態様において、栄養補助食品組成物は、更に少なくとも一種の食用植物抽出物(例、ウコン)を含有する。別の実施態様において、組成物は、クルクミノイド、スチルベノイド、又はフラボノイドを含有する。更なる別の実施態様において、組成物は、クルクミン又はリスベラトロールを含有する。
【0030】
一局面において、本発明は、前記の任意の局面の組成物を含有する非アルコール性食品(例、牛乳、紅茶、清涼飲料、ジュース、コーヒー、調味料、シリアル、水、ヨーグルト、クッキー、チューインガム、チョコレート、又はスープ)に関する。別の実施態様において、組成物は、クルクミノイド、スチルベノイド、又はフラボノイドを含む。更なる別の実施態様において、組成物は、クルクミン又はリスベラトロールを含む。
【0031】
更なる別の局面において、本発明は、前記の任意の局面の組成物を含む栄養補助食品に関する。一実施態様において、組成物は、更にクルクミノイド、スチルベノイド、又はフラボノイドを含む。更なる別の実施態様において、組成物は、クルクミン又はリスベラトロールを含む。
【0032】
更なる別の局面において、本発明は、対象に有効量の前記の任意の局面の組成物を投与することを含む、その処置を必要とする対象(例、ヒト患者)における炎症性疾病又は疾病徴候の回復方法に関する。一実施態様において、疾病又は疾病徴候は、自己免疫疾患、喘息、アテローム性動脈硬化症、慢性炎症性腸疾患、大腸炎、冠動脈疾病、湿疹、炎症性皮膚疾患、若年性及び関節リウマチ、そう痒症/炎症、変形性関節症、乾癬、全身性エリトマトーデス、2型糖尿病、及び潰瘍性大腸炎のうちの任意の一つ又はそれ以上である。
【0033】
別の局面において、本発明は、病原体感染又はその疾病徴候の処置方法に関する。一実施態様において、病原体感染は、細菌感染(例、例えばヘリコバクター・ピロリ等のヘリコバクター、例えば結核菌等のマイコバクテリウム、又はプロピオニバクテリウム・アクネによる感染)である。
【0034】
別の局面において、本発明は、上記の任意の局面の組成物を使用した、細菌感染の処置方法を提供する。一実施態様において、細菌感染は皮膚科疾病、例えば尋常性ざ又はざ瘡を生じる。
【0035】
本発明の組成物を使用して処置し易い代表的な細菌は、好気菌、エアロモナス、アシネトバクター、イスラエル放線菌、アグロバクテリウム、バチルス、炭疽菌(Bacillus antracis)、バクテロイデス、バルトネラ、ボルデテラ、ボルテラ(Bortella)、ボレリア、ブルセラ、バークホルデリア、カリマトバクテリウム、カンピロバクター、シトロバクター、クロストリジウム、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringers)、破傷風菌、コリネバクテリウム(Cornyebacterium)、ジフテリア菌、コリネバクテリウム(corynebacterium sp.)、エンテロバクター、エンテロバクター・エロゲネス、腸球菌、ブタ丹毒菌、大腸菌類、フランシセラ、フソバクテリウム・ヌクレアタム、ガードネレラ、ヘモフィルス、ハフニア、ヘリコバクター、クレブシエラ、肺炎桿菌、レジオネラ、レプトスピラ、リステリア、モルガネラ、モラクセラ、マイコバクテリウム、ナイセリア、パスツレラ、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、プロテウス、プロビデンシア、シュードモナス、リケッチア、サルモネラ、セラチア、赤痢菌、ブドウ球菌、ステントロホモナス(Stentorophomonas)、連鎖球菌、ストレプトバシラス・モニリフォルミス、トレポネーマ、梅毒トレポネーマ、熱帯苺腫トレポネーマ(Treponema pertenue)、ザントモナス、ビブリオ、及びエルシニアを含むが、これらに限定されない、代表的な細菌病原体のうちの任意の一つ又はそれ以上を含む。
【0036】
更なる別の局面において、本発明は、対象に有効量の上記の局面の任意の一つの組成物を投与することを含む、対象の炎症性応答を低減する方法に関する。
【0037】
一局面は、例えばホップβ酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸等のホップ酸から選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物、それらの誘導体、並びに対象に前述した組成物を投与することによる、不適切な炎症及び関連する疾病の処置方法を提供するための、該組成物の使用である。
【0038】
本発明の一実施態様は、ホップ酸(例、β酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸)である、少なくとも一種の化合物を含む成分を含有する抗炎症組成物である。別の局面において、β酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸の組み合わせは、全組成物中のホップ酸の約85%、約90%、約95%、又は約98%である。別の局面において、β酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸の各々は、全組成物中のβ酸の約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%である。
【0039】
別の一実施態様は、β酸又はβ酸誘導体である少なくとも一種の化合物を含む成分を含有する抗炎症組成物である。特に好ましくは、β酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸の一つ又はそれ以上を含む(例、を含有する、から主に構成される、から構成される)組成物である。
【0040】
別の局面において、本発明は、ホップ酸又はホップ酸誘導体、及び薬学的に許容される担体を含有する組成物を提供する。組成物は、更に更なる治療薬を含有し得る。本明細書の組成物は、前述した化合物の一種又はそれ以上、及び栄養補助食品的に許容される担体を含有する栄養補助食品の組成物も含む。組成物は、一種又はそれ以上の更なる栄養補助剤を含有してもよい。
【0041】
更なる治療薬は、自己免疫疾病、疼痛、及び糖尿病に関連した抗炎症剤を含む。そのような薬剤は、サリチル酸、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、オルサラジン、スルファサラジン、アセトアニリド、アセトアミノフェン、フェナセチン、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ナトリウムダプロキセン(daproxen)、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロフェン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ピボキシカム(pivoxicam)、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、ジピロン、COX−2選択的非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(例、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ)、ナブメトン、アパゾン、ニメンスリド(nimensulide)、インドメタシン、スリンダク、及びエトドラク、並びに抗糖尿病薬を含む。本発明の組成物は、更に薬学的に許容される担体を含有し得る。そのような組成物は、経口、局所、又は直腸投与用に調製され得る。
【0042】
別の局面は、対象に、有効量の本明細書の任意の化合物を含む化合物を投与することを含む、その処置を必要とする対象(その処置を必要とすると識別されたものを含む)における、炎症性疾病又は疾病徴候を含む疾病又は疾病徴候の処置方法である。
【0043】
別の局面において、本発明は、本明細書の任意の式の化合物、更なる治療薬、及び薬学的に許容される担体を含有する組成物に関する。更なる治療薬は、免疫抑制剤(例、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、シクロスポリンA、タクロリムス、シクロホスファミド、及びメトトレキサート)、抗炎症剤(例、スルファサラジン、オルサラジン、メサルミン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセンナトリウム、スリンダク、アスピリン、コリンサブサリチル酸、ジフルニサル、オキサプロキシン、エトドラク、ケトロラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、フェナメート、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、オキシカム、ピロキシカム、サルサレート、トルメチン、及びサリチル酸マグネシウム)、ステロイド(例、コルチゾン、ブデソニド、及びプレドニゾン)、又は抗生物質(例、テトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジトリロマイシン(azitliromycin)、ミノサイクリン、クラリスロマイシン及び/又はオーグメンチン、ペニシリン、例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン;セファロスポリン、例えばセファクロル、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、マクロライド、リンコマイシン、ポリミキシン、スルホンアミド、キノロン、クロラムフェニカル(cloramphenical)、メトロニダゾール、スペクチノマイシン、トリメトプリム、及びバンコマイシンのうちの任意の一つ又はそれ以上であり得る。
【0044】
本発明の更なる別の局面は、炎症性病変に関連した疾病若しくは疾病徴候を有する又は該疾病若しくは疾病徴候で苦しむ対象(例、哺乳動物、ヒト、馬、犬、猫)の処置方法に関する。該方法は、対象(その処置を必要とすると識別された対象を含む)に、有効量の本明細書に記載する化合物、又は本明細書に記載する組成物を投与して、抗炎症作用を生成することを含む。その処置を必要とする対象は、医療専門家により識別される。この識別は、主観的(例、所見)又は客観的(例、試験若しくは診断方法により測定可能)であり得る。
【0045】
本発明の更なる別の局面は、尋常性ざ瘡、急性呼吸促迫症候群、アジソン病、アレルギー性鼻炎、アレルギー性眼内炎症性疾病、ANCA関連小血管炎、強直性脊椎炎、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、細菌感染、ベーチェット病、ベル麻痺、類天疱瘡、脳虚血、慢性閉塞性肺、硬変、コーガン症候群、接触性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、クッシング症候群、皮膚筋炎、糖尿病、円板状エリテマトーデス、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、剥離性皮膚炎、線維筋痛症、巣状糸球体硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、巨細胞性動脈炎、痛風、痛風関節炎、移植片対宿主病、手湿疹、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、多毛症、突発性角膜強膜炎(cerato−scleritis)、突発性肺線維症、突発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、炎症性腸又は胃腸疾患、炎症性皮膚疾患、扁平苔癬、ループス腎炎、リンパ腫気管気管支炎(lymphomatous tracheobronchitis)、黄斑浮腫、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、非特異性線維化性肺疾患、変形性関節症、膵炎、病原体感染、妊娠性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、歯周炎、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、陰嚢掻痒症(pruritus scroti)、そう痒症/炎症、乾癬、乾癬性関節炎、肺ヒストプラズマ症、関節リウマチ、再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシスを原因とする酒さ、強皮症を原因とする酒さ、スウィート症候群を原因とする酒さ、全身性エリトマトーデスを原因とする酒さ、じん麻疹を原因とする酒さ、帯状疱疹関連の疼痛を原因とする酒さ、サルコイドーシス、強皮症、分節性糸球体硬化症、敗血性ショック症候群、肩腱炎又は滑液包炎、シェーグレン症候群、スチル病、卒中により誘導される脳細胞死、スウィート病、全身性エリトマトーデス、全身性硬化症、高安動脈炎、側頭動脈炎、中毒性皮膚壊死症、移植片拒絶及び移植片拒絶関連の症候群、結核、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、及びウェゲナー肉芽腫症を含むが、これらに限定されない炎症性疾病又は疾病徴候を有する対象(例、哺乳動物、ヒト、馬、犬、猫)の処置方法に関する。該方法は、対象(例、その処置を必要とする対象)に、有効量の本明細書に記載する化合物、又は本明細書に記載する組成物を投与して、そのような作用を生成することを含む。その処置を必要とする対象は、医療専門家により識別される。この識別は、主観的(例、所見)又は客観的(例、試験又は診断方法により測定可能)であり得る。本明細書の方法は、対象が、実際に、対象又は医療提供者の診断試験又は所見により示されるように処置されているものも含む。
【0046】
該方法は、対象(その処置を必要とすると識別された対象を含む)に、有効量の本明細書に記載する化合物、又は本明細書に記載する組成物を投与して、そのような作用を生成することを含む、対象の炎症性応答又は慢性炎症を低減する方法も含む。同方法は、本明細書の化合物又は組成物の投与前、投与後、又はその両方に、炎症を監視(アッセイ、診断試験)するステップを含み得る。
【0047】
該方法はまた、対象(その処置を必要とすると識別された対象を含む)に、有効量の本明細書に記載する化合物、又は本明細書に記載する組成物を投与して、そのような作用を生成することを含む、対象のメタボリック症候群を処置する方法も含む。一実施態様において、組成物は、全身に投与される。別の実施態様において、該方法は、心疾病又は糖尿病の危険性を低下させる。同方法は、本明細書の化合物又は組成物の投与前、投与後、又はその両方に、メタボリック症候群を監視(アッセイ、診断試験)するステップを含み得る。
【0048】
別の局面において、組成物は、ホップβ酸又はホップβ酸誘導体である少なくとも一種の化合物を含む成分、及びウコン(例、クルクミン)に見出される化合物を含有する。詳細には、組成物は、一種又はそれ以上のβ酸誘導体(例、任意の2つ、3つ、4つ、又は1つの組み合わせの複数の組み合わせ、)及びウコン(例、クルクミン)に見出される化合物を含む(例、を含有する、から主に構成される、から構成される)。
【0049】
本発明は、本明細書に記載する化合物の製造方法にも関する。同方法は、本明細書のスキーム又は実施例に記載する任意の反応又は試薬又は工程(抽出、単離、精製を含む)を含む。代替的に、該方法は、本明細書に記載する中間体化合物の任意の一つを選択し、一つ又はそれ以上のステップにて一つ又はそれ以上の化学試薬と反応させて、本明細書に記載する化合物を製造することを含む。
【0050】
本発明の範囲内には、パッケージ製品も含まれる。パッケージ製品は、容器と、容器内の一種(又はそれ以上)の前述した化合物と、容器に関連し、かつ炎症に関連した疾患を処置する化合物の投与について指示する説明文(例、ラベル又は挿入物)とを含む。
【0051】
別の実施態様において、本明細書に記載する化合物、組成物、及び方法は、本明細書に記載する任意の化合物、又はそれらを含む方法である。
【0052】
以下の説明に、本発明の一つ又はそれ以上の実施態様の詳細を示す。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、この説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0053】
発明の詳細な説明
本発明は、一種又はそれ以上のホップ酸又はホップ酸誘導体を含有する組成物、及び一種又はそれ以上のホップ酸又はホップ酸誘導体の製造方法を提供する。この方法は、イソα酸、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、酸及びヘキサヒドロイソα酸、並びにβ酸、例えばルプロン、コルプロン、アドルプロン及びそれらの誘導体の製造に関して、効率が改善されている。特定の実施態様において、これらのβ酸は、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸を含む。
【0054】
本発明の方法により製造し得る代表的なロイソα酸は、以下の式:
【化9】

(式中、R’は、ヒドロキシル、OR及びOCORからなる群より選択され、Rは、独立してアルキルであり、R’’’はHであるか;又はR’とR’’’はひとまとまりで=0であり;
R’’はアルキルであり;
R、T、X及びZは、独立してH、F、Cl、Br、I及びPi軌道からなる群より選択されるが、R、T、X、又はZがPi軌道の場合、隣接するR、T、X、又ZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、マグネシウム又はカルシウムであり;
Wは、Cl、OH、SO、Br、I、式C又は式Dである)の任意の一つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の方法により製造し得る代表的なβ酸は、以下の式:
式A、B、C及びD:
【化10】

(式中、Rはアルキルであり;
Z及びTは、独立してH及びPi軌道から選択されるが、T又はZの一方がPi軌道の場合、隣接するT又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、マグネシウム又はカルシウムであり;
Wは、Cl、OH、SO、Br、I、又は式E、F、G若しくはH:
【化11】

の化合物であり、
Rは、H、Na、K、Li又はM−Wである)の任意の一つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない。有利には、β酸のマグネシウム塩は、β酸それ自体よりも相当吸湿性が低い。
【0056】
詳細には、本発明は、改善されたバイオアベイラビリティを有する新規なホップ酸製剤、及びそれらの組成物の抗炎症剤、抗メタボリック症候群組成物、及び栄養補助食品としての使用を提供する。そのような組成物は、炎症性疾病、メタボリック症候群、細菌感染又は関連する疾病の処置に有用である。
【0057】
一局面において、本発明は、約1%〜95%(最低値と最高値を含む)のβ酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸の無機塩を含有する水性組成物の製造方法を提供する。それらの水性製剤は、改善されたバイオアベイラビリティを有し、対象への経口又は局所投与に適している。加えて、それらの製剤の製造は、先行技術の方法よりも効率が高く、また水性製剤は、先行技術の製剤と比較して取り扱いがより便利である。
【0058】
本明細書で使用するように、用語「イソα酸」は、ホップ植物生成物から単離され、続いて異性化された化合物を指す。α酸の異性化は、熱的に、例えば沸騰により起こり得る。イソα酸の例は、イソコフムロン、及びイソアドフムロンを含むが、これらに限定されない。
【0059】
イソα酸の例は、イソフムロン、イソコフムロン、及びイソアドフムロンを含むが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用するように、用語「ロイソα酸」は、ホップ植物生成物から単離され、続いて異性化及び還元された(例、水素化ホウ素ナトリウムを使用して)α酸を指し、シス及びトランス形態を含む。ロイソα酸の例は、ロイソフムロン、ロイソコフムロン、及びロアドフムロンを含むが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用するように、用語「テトラヒドロイソα酸」は、イソα酸の水素化により生成した還元イソα酸を指す。テトラヒドロイソα酸の例は、テトラヒドロイソフムロン、テトラヒドロイソコフムロン及びテトラヒドロアドフムロンを含むが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用するように、用語「ヘキサヒドロイソα酸」は、イソα酸の水素化と、得られたテトラヒドロイソα酸の水素化ホウ素ナトリウム還元により生成した還元イソα酸を指す。ヘキサヒドロイソα酸の例は、ヘキサヒドロイソフムロン、ヘキサヒドロイソコフムロン及びヘキサヒドロアドフムロンを含むが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用するように、用語「β酸」は、ルプロン、アドルプロン、コルプロン、テトラヒドロルプロン、テトラヒドロアドルプロン、テトラヒドロコルプロン及びそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない、ホップ植物生成物から単離され得る化合物を指す。代表的なβ酸は、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸を含むが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で使用するように、用語「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素のうちの任意の基を指す。
【0065】
用語「アルキル」は、1〜20個又は指定された数の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖であり得る炭化水素鎖を指す。例えば、C1−C5は、その基が、内部に1〜5個(最低値と最高値を含む)の炭素原子を有し得ることを示す。用語「低級アルキル」は、C1−C6アルキル鎖を指す。
【0066】
用語「アルケニル」は、1〜20個又は指定された数の炭素原子と、鎖内に一つ又はそれ以上の二重結合とを含む、直鎖又は分岐鎖であり得る炭化水素鎖子(例、プロピレニル、イソペンチレニル)を指す。例えば、C1−C10は、その基が、内部に1〜10個(最低値と最高値を含む)の炭素原子を有し得ることを示す。
【0067】
用語「アリールアルキル」は、アルキル水素原子がアリール基で置き換えられた部分を指す。用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキル水素原子がシクロアルキル基で置き換えられた部分を指す。
【0068】
用語「アリール」は、炭素環原子を有する芳香族の単環、二環、又は三環系を指し、各環の0、1、2、3、又は4個の原子は、置換基で置換されてもよい。
【0069】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は、3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素、より好ましくは3〜6個の炭素を有する飽和及び一部不飽和の環式炭化水素基を含む。
【0070】
用語「脱離基」は、反応(例、脱離反応、置換反応)中、分子から脱離し得る任意の安定な種であり、本明細書に引用する参考文献を含む当該技術分野にて周知であり、ハロゲン化物(例、I−、Cl−、Br−、F−)、ヒドロキシ、アルキコシ(例、−OMe、−O−t−Bu)、アシルオキシアニオン(例、−OAc、−OC(O)CF)、スルホネート(例、メシル、トシル)、アセトアミド(例、−NHC(O)Me)、カルバメート(例、N(Me)C(O)Ot−Bu)、ホスホネート(例、−OP(O)(OEt))、水又はアルコール(プロトン性条件)、及び同様物を含む。
【0071】
本発明により想定される置換基及び変数の組み合わせは、安定な化合物を形成するもののみである。本明細書で使用するように、用語「安定な」は、製造が可能な十分な安定性を有し、また本明細書に詳細する目的(例、対象への処置的又は予防的投与)に有用であるように十分な期間、化合物の一体性を維持する化合物を指す。
【0072】
本明細書で使用するように、用語「置換基」又は「置換された」は、化合物又は基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクリル、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクリル基)上の水素基が、化合物の安定性に実質的に悪影響を与えない任意の所望の基で置き換えられることを意味する。一実施態様において、所望の置換基は、化合物の活性に悪影響を与えない置換基である。用語「置換された」は、各々、水素原子を置き換えている一つ又はそれ以上の置換基(同一の又は異なり得る)を指す。
【0073】
置換基の例は、ハロゲン(F、Cl、Br、又はI)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、オキソ(即ち、カルボニル)、チオ、イミノ、ホルミル、カルバミド、カルバミル、カルボキシル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、アルキル、アルケニル、アルキコシ、メルカプトアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリルを含むが、これらに限定されず、ここでアルキル、アルケニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、及びヘテロシクリルは、場合によりアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、シアノ、ニトロ、オキソ(=0)、チオキソ(=S)、又はイミノ(=NR)で置換されてもよく、ここでRは、本明細書に定義した通りである。
【0074】
本発明により想定される置換基及び変数の組み合わせは、安定な化合物を形成するもののみである。本明細書で使用する用語「安定な」は、製造が可能な十分な安定性を有し、また本明細書に詳細する目的(例、対象への処置的又は予防的投与)に有用であるように十分な期間、化合物の一体性を維持する化合物を指す。
【0075】
還元イソα酸及びβ酸は、精製により天然ホップから調製し、また伝統的な方法に従った化学合成によっても調製し得る。本明細書で記載する化合物は、当該技術分野にて周知の従来の方法を用いて合成し得る。
【0076】
用語「抽出物」は、植物(例、薬用植物、ホップ)の主成分の濃縮調製物を指す。一般に、抽出物は、植物を乾燥し、粉末化して製造する。場合により、植物、乾燥植物又は粉末化植物は、溶液中で沸騰され得る。抽出物は、液体形態で使用してもよく、又は他の液体若しくは固体草本抽出物と混合してもよい。代替的に、草本抽出物は、更に液体形態から固体抽出物を沈殿させて獲得し得る。食用植物抽出物は、ヒト食用である任意の植物からのものを含み(例、果実抽出物、野菜抽出物、根抽出物、葉抽出物、樹木又は樹皮抽出物、マメ抽出物、及び同様物)、例えば、緑茶抽出物、赤タマネギ抽出物、ブドウ種抽出物、ココア抽出物、アカツメクサ抽出物、及び大豆抽出物を含む。
【0077】
抽出物は、乾燥した後、該乾燥した材料を切断又は粉砕して調製し得る。次に、適切な溶媒、一般に超臨界若しくは液体二酸化炭素、エタノール/水混合物、メタノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、ヘキサン、石油エーテル又は他の有機溶媒を選択して、浸漬、浸出、再浸出、対流抽出、タービン抽出により、又は二酸化炭素超臨界(温度/圧力)抽出により抽出工程を実施し得る。次に、抽出物を更に蒸発させて濃縮し、風乾、スプレードライ、真空炉乾燥、流体床乾燥又は凍結乾燥により抽出生成物を獲得し得る。
【0078】
合成した化合物を反応混合物から分離し、例えばカラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、又は再結晶化等の方法により更に精製し得る。当業者が認識し得るように、本明細書の化合物を合成する更なる方法が当業者に明らかであろう。加えて、様々な合成ステップを配列又は順序を入れ替えて実施して、目的化合物を提供し得る。本明細書に記載する化合物の合成に有用な合成化学変換及び保護基の方法体系(保護及び脱保護)は、当該技術分野にて周知であり、例えばR. Larock、Comprehensive Organic
Transformations、2nd. Ed.、Wiley-VCH
Publishers (1999); T.W. Greene and P.G.M. Wuts、Protective
Groups in Organic Synthesis、3rd. Ed.、John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons (1999); L. Paquette、ed.、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons (1995)、及びM. Verzele and
D. De Keukeleire、Chemistry and Analysis of Hop and Beer
Bitter Acids、Elsevier (1991)、並びにそれらの改訂版に記載されているものを含む。
【0079】
本発明の化合物は、一つ又はそれ以上の不斉中心を含んでもよく、従ってラセミ体及びラセミ混合物、単独のエナンチオマー、個々のジアステレオマー及びジアステレオマー混合物として生じる。これら化合物のそれら異性体形態の全部は、本発明に明白に含まれる。本発明の化合物は、複数の互変異性形態でも表すことができ、その場合、本発明は、本明細書に記載する化合物の全互変異性形態を明白に含む(例、複数の部位のアルキル化により環系のアルキル化が起こり、本発明は、そのような反応生成物の全部を明白に含む)。それらの化合物のそのような異性体形態の全部は、本発明に明白に含まれる。本明細書に記載する化合物の全結晶形態は、本発明に明白に含まれる。
【0080】
用語「処置する」又は「処置される」は、疾病、疾病徴候又は疾病に向かう素因を、治療、治癒、緩和、軽減、変更、改善、回復、好転、又は影響を与える目的で、本明細書に記載する化合物を対象に投与することを指す
【0081】
「有効量」は、処置する対象に治療効果を与える化合物の量を指す。治療効果は、客観的(即ち、試験又はマーカーで測定可能)又は主観的(即ち、対象は、効果の指標を与え、又は効果を感じる)であり得る。有効量の上記に記載した化合物は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kgの範囲にあり得る。また有効用量は、投与経路、及び他の薬剤との共使用に応じて変動するであろう。
【0082】
「抗炎症」化合物は、炎症を低減する。炎症を低減するとは、炎症性応答を減少させ、回復させ又は抑制することを指す。当業者は、炎症性応答に関連したサイン又は徴候の低減を容易に認識することができる。
【0083】
喘息及びアレルギー性鼻炎に関連した病的状態は、肺及び鼻道内で生じる炎症に関連している。アレルギーは、通常な免疫応答を生じないアレルゲンに対する、過敏な免疫応答に関連している。本発明の方法は、アレルギー、アレルギー性鼻炎、及び関連した炎症の処置に有用である。
【0084】
炎症は、当該技術分野にて周知の任意の方法を用いて評価し得る。一例において、炎症は、プロ炎症性マーカー若しくはプロ炎症性分子(例、IL−12、TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−10、GRO−CINC−1、IL−5、IL−18又はMCP−1)の放出、又はプロ炎症性シグナリングの活性化を検出することにより評価し得る。それらの分子の検出量は、インビトロで(例えばウェスタン又はノーザン分析により)又はインビボで(免疫組織化学的方法で測定して)決定し得る。代替的に、炎症は、急性炎症の指標であるミエロペルオキシダーゼ活性を測定するアッセイにより決定し得る。場合により、炎症は、組織全体の形態を評価して、又は例えば白血球、単球、マクロファージ(例えばF4/80、若しくはER−MP20)、リンパ球(IgA、IgG、IgM、CD4及びCD8染色)、好中球、及び好酸球等のプロ炎症性細胞の浸潤の検出(免疫組織化学的方法で)により検出される。
【0085】
メタボリック症候群は、まとまって発生し、患者の心疾病、卒中及び糖尿病を含む重篤な疾病の危険性を増大させる、心疾病及び糖尿病の危険因子の集合である。メタボリック症候群の基準は、大きいウエスト周囲(腹部肥満)、高いトリグリセリド、低い高密度リポ蛋白コレステロール(HDL−C)、高血圧、及び/又は高い空腹時血糖を含む。より詳細には、トリグリセリドレベル150mg/dL若しくはそれ以上;男性に関して40mg/dL未満及び女性に関して50mg/dL未満の高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール;血圧レベル130/85mm Hg若しくはそれ以上;又は空腹時血糖100mg/dL若しくはそれ以上である。殆どの米国人において、女性に関して35インチ又はそれ以上及び男性に関して40インチ又はそれ以上のウエスト周囲は、異常に大きいと考慮される。リストした基準の少なくとも3つの異常なレベルを有する個人は、メタボリック症候群を有すると考慮される。多数の医師は、メタボリック症候群が、インスリンに対する抵抗性に関連するのではないかと考えている。メタボリック症候群は、アテローム硬化性心血管系疾病の危険性を1.5〜3倍増大させ、また2型糖尿病の危険性を3〜5倍増大させる。メタボリック症候群は、26パーセントを越える成人、又は5000万人を越える米国人に発症している。
【0086】
メタボリック症候群の臨床管理は、アテローム硬化性心血管系疾病の危険性と、未だ臨床的糖尿病を発症していない患者の2型糖尿病の危険性の低減に焦点を当てている。最近公表された結果により、米国において5人中1人の成人がメタボリック症候群を有することが示された。メタボリック症候群の現在の処置方法は、不十分である。本明細書に記載した方法で形成されるβ酸を含有する本発明の組成物は、メタボリック症候群の予防若しくは処置、又はメタボリック症候群に関連した危険因子の任意の一つ若しくはそれ以上の予防若しくは処置に有用である。
【0087】
本明細書で使用するように、本明細書に記載した式の化合物を含む本発明の化合物は、薬学的に許容されるその誘導体又はプロドラッグを含むよう定義される。「薬学的に許容される誘導体又はプロドラッグ」は、受容者に投与されると、(直接又は間接的に)本発明の化合物を提供し得る、薬学的に許容される任意の本発明の化合物の塩、エステル、エステルの塩、又は他の誘導体を意味する。哺乳動物に投与された際に(例、経口投与された化合物を、血中により容易に吸収させることにより)本発明の化合物のバイオアベイラビリティを増大させる、又は親化合物の生物学的区画(例、脳若しくはリンパ系)への送達を、親種と比較して高める誘導体及びプロドラッグが、特に好まれる。好ましいプロドラッグは、本明細書に記載した式の構造に、水溶性を高める又は内臓膜を通した能動輸送を高める基が付加されている誘導体を含む。例えばAlexander、J. et al. Journal of Medical
Chemistry 1988、31、318-322;
Bundgaard、H. Design of Prodrugs; Elsevier: Amsterdam、1985; pp 1〜92; Bundgaard、H.; Nielsen、N. M. Journal of Medical
Chemistry 1987、30、451 -454;
Bundgaard、H.Textbook of Drug Design and Development;
Harwood Academic Publ.: Switzerland、1991; pp 113-191;
Digenis、G. A. et al. Handbook of Experimental
Pharmacology 1915、28、86-112;
Friis、G. J.; Bundgaard、H.Textbook
of Drug Design and Development; 2 ed.; Overseas Publ.: Amsterdam、1996; pp 351〜385;を参照されたい。
【0088】
本発明の化合物は、選択的な生物学的性質を高めるように、適切な官能基を付加して修飾することができる。かような修飾は当該技術分野にて周知であり、所定の生物学的区画(例、血液、リンパ系、神経系)内への生物学的浸透を高める、経口アベイラビリティを高める、溶解度を上昇させて注入投与を可能にする、代謝を変更する、及び排泄速度を変更するものを含む。
【0089】
薬学的に許容される塩を含む、本発明の化合物の許容される塩は、許容される無機及び有機酸並びに塩基から誘導されるものを含む。適切な酸塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、臭化物、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、水酸化物、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩を含む。他の酸、例えばシュウ酸は、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体としての塩の調製に有用である。適切な塩基から誘導される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅を含むが、これらに限定されない任意の一価カチオン、又はマグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びカドミウムを含むが、これらに限定されない二価カチオンを含む。特定の実施態様において、塩は、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウム、リチウム)、アルカリ土類金属(例、マグネシウム、カルシウム)、アンモニウム及びN−(アルキル)塩から誘導される。本発明は、本明細書に開示した化合物の任意の塩基性含窒素基の第四級化も想定している。そのような第四級化により、水溶性若しくは油溶性又は水分散性若しくは油分散性の生成物を得ることができる。
【0090】
本明細書に記載した式の化合物は、例えば経口、口腔、鼻腔内、直腸内、経粘膜、局所、眼科用製剤で、皮下注射により、腹腔内、筋内、若しくは皮下;又は吸入により、体重当たり約0.5〜約100mg/kgの範囲の用量で、代替的に1回用量1mg〜1000mgで、4〜120時間毎に、又は特定の薬物の要求に従って;又は範囲の下限が0.1mg/日〜400mg/日の任意の量、及び範囲の上限が1mg/日〜500mg/日の任意の量である任意の用量範囲(例、5mg/日〜95mg/日、100mg/日〜500mg/日)で;又は範囲の下限が0.1mg/kg/日〜90mg/kg/日の任意の量、及び範囲の上限が1mg/kg/日〜100mg/kg/日の任意の量である任意の用量範囲(例、0.5mg/kg/日〜5mg/kg/日、25mg/kg/日〜75mg/kg/日)で投与し得る。本明細書の方法は、有効量の化合物又は化合物の組成物を投与して所望の又は記述した効果を達成することを想定している。一般に、本発明の医薬組成物は、1日約1〜約6回投与されると思われる。このような投与は、慢性又は急性療法として使用し得る。担体材料と組み合わせて単一剤形を製造し得る活性成分の量は、処置する宿主及び特定の投与モードに応じて変動するであろう。一般的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有すると思われる。代替的に、そのような製剤は、約20%〜約80%の活性化合物を含有する。一局面において、臨床又は栄養補助食品用途での用量は、通常、例えばβ酸、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸、又は任意のβ酸誘導体等のβ酸誘導体に関して、成人一人当たり0.05g〜3g/日である。代替的に、α酸又はα酸誘導体が使用される。
【0091】
上記に引用した用量よりも低い又は高い用量が必要であり得る。任意の特定の患者のための特定の用量及び処置計画は、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬物の組み合わせ、疾病、病状又は徴候の重篤さ及び過程、患者の疾病、病状又は徴候に対する傾向、並びに処置する医師の判断を含む様々な要因に依存するであろう。
【0092】
患者の病状の改善により、必要であれば、本発明の化合物、組成物又は組み合わせの維持用量が投与され得る。続いて、用量若しくは投与頻度、又はその両方を、徴候が所望のレベルに緩和された際、改善された病状を維持するレベルまで、徴候の関数として、低下させてもよく、そして処置を終了するべきである。しかしながら、患者は、疾病徴候のいずれかの再発により、長期間ベースでの断続的な処置を必要とし得る。
【0093】
本明細書に記載した組成物は、炎症性疾患又はその徴候を含む、疾病又は疾病徴候の調節に有効な量の本明細書に記載した式の化合物、及び、存在する場合、更なる治療薬を含有する。更なる治療薬の例を含む参考文献は:1) Burger's Medicinal Chemistry & Drug Discovery 6th
edition、by Alfred Burger、Donald
J. Abraham、ed.、Volumes 1 to 6、Wiley Interscience Publication、NY、2003である。
【0094】
用語「薬学的に許容される担体又は補助剤」は、本発明の化合物と共に患者に投与され得、その薬理学的活性を破壊せず、また治療量の化合物の送達に十分な用量で投与された際に無毒である担体又は補助剤を指す。
【0095】
本発明の医薬組成物中に使用し得る薬学的及び栄養補助食品的に許容される担体、補助剤及びビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、例えばd−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネートのような自己乳化型薬物送達システム(SEDDS)、医薬剤形に使用される界面活性剤、例えばTween、又は他の同様のポリマー送達マトリクス、例えばヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、緩衝物質例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和野菜脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ロウ、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂を含むが、これらに限定されない。シクロデキストリン、例えばα−、β−、及びγ−シクロデキストリン、又は化学的に修飾された誘導体、例えば2−及び3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン、又は他の可溶化誘導体を、本明細書に記載する式の化合物の送達を高めるために有利に使用し得る。
【0096】
本発明の医薬組成物は、経口、吸入スプレーにより、局所、直腸内、鼻腔内、口腔、経膣又は移植リザーバを介して、好ましくは経口又は注入により投与され得る。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される無毒の従来の担体、補助剤又はビヒクルを含有し得る。ある場合に、薬学的に許容される酸、塩基又は緩衝液を用いて、製剤のpHを調整して、調製した化合物又はその送達形態の安定性を向上させ得る。本明細書で使用するように、用語、非経口は、皮下、皮内、筋内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内及び頭蓋内注入を含む。
【0097】
医薬組成物は、例えば無菌注射用水性又は油性縣濁液としての無菌注射用製剤の形態であり得る。この縣濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween 80)及び懸濁化剤を使用して、当該技術分野で公知の技術に従って調製され得る。無菌注射用製剤は、非経口的に許容される無毒の希釈剤又は溶媒、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としての無菌注射用溶液又は縣濁液でもあってもよい。使用し得る許容されるビヒクル及び溶媒には、マンニトール、水、リンゲル液及び等張等浸透圧の塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来使用されている。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む、刺激の少ない任意の固定油を使用し得る。薬学的に許容される油、例えばオリーブ油又はヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化形態等の脂肪酸、例えばオレイン酸及びそのグリセリド誘導体は、注射用製剤に有用である。これらの油溶液又は縣濁液は、長鎖アルコール希釈剤若しくは分散剤、又はカルボキシメチルセルロース、又は例えば乳剤及び若しくは縣濁液等の薬学的に許容される剤形の調製に通常使用されている同様の分散剤を含有してもよい。通常使用される他の界面活性剤、例えばTween若しくはSpan、及び/又は薬学的に許容される固体、液体、若しくは他の剤形の製造に通常使用されている同様の他の乳化剤若しくはバイオアベイラビリティエンハンサーも、調製の目的のために使用し得る。
【0098】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、乳剤及び水性縣濁剤、分散剤並びに液剤を含むが、これらに限定されない任意の経口的に許容される剤形で、経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、通常使用される担体は、乳糖及びトウモロコシ澱粉を含む。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムも通常加えられる。カプセル形態での経口投与において、有用な希釈剤は、乳糖及び乾燥トウモロコシ澱粉を含む。水性縣濁剤及び/又は乳剤が経口投与される場合、油相に懸濁又は溶解し得る活性成分を、乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせる。所望であれば、所定の甘味剤及び/又は矯味矯臭剤及び/又は着色剤を加えてもよい。
【0099】
本発明の医薬組成物の局所投与は、所望の処置が、局所適用により容易に接近し得る領域又は器官に関与する場合に有用である。皮膚への局所投与のために、医薬組成物は、担体中に懸濁又は溶解した活性成分を含む適切な軟膏を用いて調製される必要がある。本発明の化合物の局所投与のための担体は、無機油、鉱油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ロウ及び水を含むが、これらに限定されない。代替的に、医薬組成物は、適切な乳化剤と共に担体中に懸濁又は溶解された活性化合物を含む、適切なローション又はクリームにより調製されてもよい。適切な担体は、無機油、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を含むが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物は、直腸坐薬製剤により、又は適切な浣腸製剤中で、下部腸道(lower intestinal tract)に対して局所的にも適用し得る。本発明には、局所経皮パッチも含まれる。
【0100】
本発明の医薬組成物は、鼻用エアゾル、又は吸入により投与し得る。これらの組成物は、医薬製剤の技術分野にて周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール又は他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを改善する吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は当該技術分野にて周知の他の可溶化剤又は分散剤を使用して、生理食塩水溶液として調製され得る。
【0101】
本明細書の式の化合物及び更なる薬剤(例、治療薬)を含有する組成物は、移植デバイスを使用して投与し得る。移植デバイス及び関連技術は、当該技術分野にて周知であり、本明細書に記載した化合物又は組成物の連続又は持続放出送達が所望される際の送達システムとして有用である。加えて、移植デバイス送達システムは、化合物又は組成物の特定の送達地点(例、局所部位、器官)を標的とするのに有用である(Negrin et al.、Biomaterials、22(6): 563、2001)。本発明では、代替的な送達方法を含む時間放出技術も使用し得る。例えば、ポリマー技術に基づく時間放出製剤、持続放出技術及びカプセル化技術(例、ポリマー、リポソーム)も、本明細書に記載した化合物及び組成物の送達に使用し得る。
【0102】
本発明の範囲には、本明細書の活性化学療法薬の組み合わせを送達するパッチも含まれる。パッチは、材料層(例、ポリマー、布、ガーゼ、包帯)及び本明細書に記載した本明細書の式の化合物を含む。材料層の片面は、該材料層に接着した保護層を有して、化合物又は組成物の通過に抵抗し得る。パッチは、更に、該パッチを対象上の定位置に保持する接着剤を含み得る。接着剤は、対象の皮膚と接触すると、一時的に皮膚に接着する天然又は合成起源のものを含む組成物である。パッチは耐水性であり得る。接着剤は、パッチ上に配置されて、対象の皮膚との接着を長時間、保持し得る。接着剤は、偶発的な接触を受けるデバイスを定位置に保持するが、積極的行動(例、はぐ、むく、又は他の意図的除去)によって、接着剤がデバイス又は接着剤自体に付与される外圧に負けて、接着接触が断絶される粘着性、又は接着強度を有するように製造され得る。接着剤は、圧力に感応し得、即ち接着剤又はデバイスに対する圧力の付与(例、押す、擦る)によって、該接着剤(及び皮膚に接着するべきデバイス)を皮膚に配置することができる。
【0103】
本発明の組成物は、本明細書に記載する式の化合物と、一種又はそれ以上の更なる治療薬又は予防薬の組み合わせを含み、化合物と更なる薬剤の両方は、単剤療法の投薬計画で通常投与される用量の約1〜100%の用量レベル、より好ましくは約5〜95%の用量レベルにて存在する必要がある。更なる薬剤は、複数回投与の投薬計画の一部として、本発明の化合物とは別個に投与され得る。代替的に、それらの薬剤は、単一剤形の一部として、単一組成物中に本発明の化合物と共に混合されてもよい。
【0104】
本明細書において、任意の変数の定義における化学基リストの引用は、任意の単独の基又はリストした基の組み合わせとしての変数の定義を含む。本明細書において変数に関する実施態様の引用は、任意の単独の実施態様又は任意の他の実施態様若しくはその一部との組み合わせとしての実施態様を含む。別の一実施態様は、本明細書のスキーム及び実施例に例示した方法を含む、本明細書に記載した方法で製造した本明細書の任意の式の化合物である。本発明の別の局面は、本明細書に記載した疾病、疾患又は徴候を有する対象の処置又は予防における使用のための、本明細書の任意の式の化合物である。本発明の別の局面は、本明細書に記載した疾病、疾患又は徴候を有する対象の処置又は予防用の医薬の製造のための、本明細書の任意の式の化合物の使用である。
【0105】
β酸を含有する製剤は、通常の容器及び食品添加剤を用いて、通常の方法により製造される。製剤は、経口製剤として、通常の錠剤、カプセル剤、微細な顆粒又は散剤の形態で調製され得る。製剤はまた、純粋な形態で又は抽出したホップとして食品に添加されてもよい。食品は、例えば牛乳、紅茶、清涼飲料、ジュース、コーヒー、調味料、シリアル、水、クッキー、ヨーグルト、チューインガム、チョコレート、又はスープ等の固体、ペースト、又は液体食品であり得る。食品は、アルコール含有率が低い(例、<3%、<2%、<1%、<0.5%、<0.25%、、<0.1%、<0.05%)又はアルコールを全く含まない(例、基本的にゼロ)食品である、「非アルコール性」食品であり得る。本明細書において、本明細書の組成物のための栄養補助食品担体は、果物、野菜、又は果物若しくは野菜ジュース若しくはピューレのベース、野菜スープ又はブイヨンのベース、豆乳飲料、紅茶若しくはコーヒー飲料、又は栄養補助食品を含み得る。
【0106】
加えて、成分は、電解質、矯味矯臭剤、他の植物抽出物、保存剤、及び他の添加剤(例、ビタミンサプルメント及びマルトデキストリン)で補強し得る。保存剤の例は、アスコルビン酸及び没食子酸プロピルを含むが、これらに限定されない。電解質の例は、硫酸マグネシウム及び塩化カリウムを含むが、これらに限定されない。
【0107】
本発明を以下の実施例にて更に説明する。これらの実施例は、例示のみを目的とし、本発明を如何様にも限定すると解釈するべきではないことを理解されたい。
【0108】
(実施例)
一般に、ホップ酸の無機塩は、以下のように調製される。β酸、α酸、イソα酸、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、ヘキサヒドロイソα酸、又はそれらの任意の混合物として周知のホップ酸を含む、一つ又はそれ以上のホップ酸の水溶液又は樹脂質の調製物は、水及び適切な塩基(例、NaOH、KOH)を、ホップ酸混合物のpHが7〜12になる迄、またホップ酸混合物の濃度が50%〜1%になる迄、ホップ酸混合物に加えることにより調製する。次に、水溶液又は樹脂質調製物を、使用する金属塩の水溶性に応じて、カリウム塩、鉄塩、カルシウム塩、リチウム塩、若しくは亜鉛塩を含むが、これらに限定されない無機金属塩の水スラリー、又はそれら塩の水性製剤のいずれかと混合する。
【0109】
本方法の説明に数個の実施例を含むが、これらの実施例は、使用する金属塩、ホップ酸、又はホップ酸混合物の種類、及び濃度の変更により変動し得る方法又は調製物を全て含むものではない。実施例は、これら金属塩を製造する様々な可能な方法を説明するために含まれる。様々なホップ酸の異なる製剤、水の量、使用する金属塩の種類、及び乾燥技術は、交換可能であると考慮される。
【実施例1】
【0110】
ロイソα酸塩の調製
ロイソα酸の無機塩は、当該技術分野にて周知の任意の標準的な方法を用いて製造される。一実施態様において、ロイソα酸は、以下の方法に従って製造される。
【0111】
空のドラムをスケール上に配置し、風袋を計測した。ドラムに、脱イオン水(75L)中のロイソα酸(30%)混合物80kgを室温で加えた。混合物を緩やかに撹拌して水性スラリーを形成した。MgSO(45kg)をスラリーに一度に加え、MgSOが均質に分配される迄、撹拌を5〜10分間継続した。10分後、少量のサンプルを取り出し、反応が完了に到達したか否かを決定した。これは、HPLCを用いて、ロイソα酸マグネシウム塩の存在を検定することにより決定した。反応が完了したら、混合物を取り出して、脱イオン水を加えて、ロイソα酸マグネシウム塩の濃度を、83〜85%含水率を有する15〜17%に調整した。次に、混合物を標準的な方法により乾燥した。乾燥が完了したら、分析前に、薄片状の生成物をアルミニウム被覆ポリエチレン袋内に詰め、熱融着させ、室温で保管した。
【実施例2】
【0112】
β酸マグネシウム塩の調製
β酸マグネシウム塩を、以下のように調製した。β酸カリウム塩約500gを含むホップβ酸溶液5000mlを、室温で撹拌した。20%KOH溶液100mlを滴加して溶液のpHをpH11.50に調整した。次に、pH11.50に保ちながら溶液を脱イオン水(1100ml)で希釈した。
【0113】
室温での激しい撹拌下で、溶液に10%MgSO溶液840mlを加えた。添加後、混合物を30分間撹拌し、次にWhatman#45フィルター紙を用いて、ブフネルロートを通して白色沈殿を濾過した。沈殿を脱イオン水で洗浄し、乾燥してβ酸マグネシウム塩490g(純度:>95%、マグネシウム含有率として)を得た。
【0114】
β酸カリウム塩約500gを含むホップβ酸溶液5000mlを、室温で撹拌した。20%KOH溶液100mlを滴加して溶液のpHをpH11.50に調整した。次に、pH11.50に保ちながら溶液を脱イオン水(1100ml)で希釈した。
【0115】
室温での激しい撹拌下で、溶液に10%MgSO溶液840mlを加えた。添加後、混合物を30分間撹拌し、次に該混合物を蒸発させて薄黄色固体560gを得た。(純度:>70%)。
【実施例3】
【0116】
テトラヒドロβ酸マグネシウム塩の調製
テトラヒドロβ酸マグネシウム塩を、以下のように調製した。20%テトラヒドロβ酸を含むアルカリ性水溶液1.25リットルを、6M炭酸カリウム水溶液1.25リットルと室温で混合した。30分間撹拌した後、20%KOH溶液50mlを滴加して溶液のpHをpH11.50に調整した。次に、pH11.50に保ちながら溶液を脱イオン水(550ml)で希釈した。室温での激しい撹拌下で、溶液に10%MgSO溶液420mlを加えた。添加後、混合物を30分間撹拌し、次に白色沈殿をWhatman#45フィルター紙を用いて、ブフネルロートを通して濾過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥してβ酸マグネシウム塩220g(純度:>95%、マグネシウム含有率として)を得た。
【実施例4】
【0117】
ロイソα酸鉄塩の調製
ロイソα酸の鉄塩を調製するために、pH10の30%ロイソα酸水溶液300グラムを、以前に500mL脱イオン水と混合してある70グラムのFeSO7HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、スラリーを乾燥トレー上に直接注ぎ、乾燥した。
【実施例5】
【0118】
ロイソα酸カルシウム塩の調製
ロイソα酸のカルシウム塩を調製するために、pH11の30%ロイソα酸水溶液300グラムを、以前に脱イオン水200mLと混合してある37グラムのCaCl−2HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、スラリーを乾燥トレー上に直接注ぎ、乾燥した。
【実施例6】
【0119】
ロイソα酸リチウム塩の調製
ロイソα酸のリチウム塩を調製するために、pH9の30%ロイソα酸水溶液300グラムを、以前に300mL脱イオン水と混合してある21グラムのLiOH−HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、ブフネルロートを通してスラリーを濾過して過剰の水を除去し、乾燥トレー上に配置し、乾燥した。
【実施例7】
【0120】
ロイソα酸カルシウム塩の調製
ロイソα酸のカルシウム塩を調製するために、pH11の30%ロイソα酸水溶液300グラムを、以前に200mL脱イオン水と混合してある37グラムのCaCl−2HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、スラリーを乾燥トレー上に直接注ぎ、乾燥した。
【実施例8】
【0121】
ロイソα酸亜鉛塩の調製
ロイソα酸の亜鉛塩を調製するために、pH8の30%ロイソα酸水溶液300グラムを、以前に500mL脱イオン水と混合してある72グラムのZnSO7HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、スラリーを乾燥トレー上に直接注ぎ、乾燥した。
【実施例9】
【0122】
ロイソα酸カリウム塩の調製
ロイソα酸のカリウム塩を調製するために、pH10の30%ロイソα酸水溶液300グラムを、以前に300mL脱イオン水と混合してある35グラムのKCOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、スラリーを乾燥トレー上に直接注ぎ、乾燥した。
【実施例10】
【0123】
テトラヒドロイソα酸カルシウム塩の調製
テトラヒドロイソα酸のカルシウム塩を調製するために、pH10.5の9%テトラヒドロイソα酸水溶液1000グラムを、以前に脱イオン水100mLと混合してある2グラムのCaCl−2HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、ブフネルロートを通してスラリーを濾過して過剰の水を除去し、乾燥トレー上に配置し、乾燥した。
【実施例11】
【0124】
テトラヒドロイソα酸亜鉛塩の調製
テトラヒドロイソα酸及びヘキサヒドロイソα酸の混合物の亜鉛塩を調製するために、pH10の水性10%ヘキサヒドロイソα450グラム及び水性10%テトラヒドロイソα溶液450グラムを、以前に脱イオン水200mLと混合してある73グラムのZnSO7HOと混合した。このスラリーを均質となる迄、混合した。次に、ブフネルロートを通してスラリーを濾過して過剰の水を除去し、乾燥トレー上に配置し、乾燥した。
【0125】
事実上、上記に示した方法では、任意の無機塩(例、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、リチウム、又は亜鉛塩)を使用し得る。一実施態様において、塩は、マグネシウム塩(例、硫酸マグネシウム)、鉄塩(例、FeSO)、カルシウム塩(例、CaCl)、リチウム塩(例、LiOH)、亜鉛塩(例、ZnSO)、カリウム塩(例、ZnSO)、又はカリウム塩(例、KCO)である。上記の任意の局面の更なる別の実施態様において、無機塩/ホップ酸のモル比、マグネシウム/ロイソα酸又はカルシウム/ロイソα酸のモル比は、0.3〜0.8(例、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8)(最低値と最高値を含む)の範囲内にある。上記の任意の局面の一実施態様において、マグネシウム/ロイソα酸又はカルシウム/ロイソα酸のモル比は、0.4〜0.6の範囲内にある。関連する実施態様において、範囲の下限は、0.3〜0.79の任意の数であり、範囲の上限は、0.35〜0.8の任意の数である。
【0126】
上記の実施例に示したように、本発明は、α酸又はβ酸の固体塩の製造方法を提供する。事実上、任意のイソα酸、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、ヘキサヒドロイソα酸、β酸、ヘキサヒドロβ酸、テトラヒドロβ酸、ルプロン、コルプロン、アドルプロン又はそれらの誘導体を本発明の方法に使用し得る。一実施態様において、水溶液中に存在するロイソα酸又はβ酸の濃度は、5%〜50%(最低値と最高値を含む)の範囲にある。別の実施態様において、濃度は、5〜45%(例、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、及び45%)(最低値と最高値を含む)の範囲にある。更なる別の実施態様において、範囲の下限は、9〜49%の任意の数であり;範囲の上限は、10〜50%の任意の数である。スラリーをスプレードライ、真空乾燥、ドラム乾燥、パン・ドライ、ウィンドウ・ドライ及び凍結乾燥を含むが、これらに限定されない任意の標準的な方法又は方法の組み合わせを用いて乾燥して、ロイソα酸の無機塩(例、マグネシウム又はカルシウム)を獲得し得る。
【0127】
この方法は、例えば米国特許第5,624,701号(特許文献1)に記載されているような、ホップ酸のアルカリ性水溶液を塩水溶液と共に加熱してホップ酸の固体塩を生成することを含む4ステップ工程を必要とする、ホップ酸の固体塩を生成するための以前の方法を越える利点を提供する。この加熱ステップは、塩形成中にα酸の分解を加速し、望ましくない。有利には、本方法は、加熱ステップを必要とせず、室温で実施される。用語「室温」は、15℃〜25℃(例、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25℃)を意味し、ここで該範囲の下限は、15〜24の任意の数であり;該範囲の上限は、16〜25の任意の数である。
【0128】
加えて、以前の方法は、マグネシウム塩形成反応中に、濃度4%〜7%のホップ酸の使用を必要とする。これらホップ酸の低い濃度は、反応に必要な時間を延長し、またコストを増大させる。本発明は、濃度9%〜50%(例、9、10、15、20、25、30、35、45、及び50%)(最低値と最高値を含む)の還元イソα酸を使用する。これらの高い濃度は、反応を以前に記載された方法の5〜10倍速くして、労働、エネルギー、及び他の生産コストを有利に低下させる。
【0129】
化合物は、主に上述した方法、及び一般的スキームで調製される。任意の変数の定義にリストした化学基の引用は、任意の単独の基、又はリストした基の組み合わせとしての変数の定義を含む。本明細書において、変数に関する実施態様の引用は、任意の単独の実施態様、又は任意の他の実施態様若しくはその一部との組み合わせとしての実施態様を含む。別の実施態様は、本明細書のスキーム及び実施例に例示した方法を含む本明細書に記載した方法により製造した、本明細書の任意の式の化合物である。本発明の別の局面は、本明細書に記載した疾病、疾患又はそれらの徴候を有する対象の処置又は予防における使用のための、本明細書の任意の式の化合物である。本発明の別の局面は、本明細書に記載した疾病、疾患又はそれらの徴候を有する対象の処置又は予防用の医薬の製造における、本明細書の任意の式の化合物の使用である。
【0130】
要約、記事、定期刊行物、出版物、教科書、論文、インターネットウエブサイト、データベース、特許、及び特許出願を含むがこれらに限定されない、本明細書に引用した全参考文献は、印刷物、電子、コンピュータ可読の記憶媒体、又は他の形態のいずれであっても、その全体が参照により本明細書に明白に組み入れられる。
【0131】
本発明をその詳細な説明と共に記載してきたが、前述の記載は、例示を意図し、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではないことを理解するべきである。他の局面、利点、及び変更は、特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A、B、C及びD:
【化1】

(式中、Rはアルキルであり;
Z及びTは、独立してH及びPi軌道から選択されるが、T又はZの一方がPi軌道の場合、隣接するT又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、及びカドミウムからなる群より選択される一価又は二価カチオンであり;
Wは、存在しないか、又はCl、OH、SO、Br、I、式E、F、G若しくはH:
【化2】

であり:
Rは、H、Na、K、Li又はM−Wである)
で示される化合物の一種又はそれ以上を含有する組成物。
【請求項2】
1〜95%の式A、B、C及びD:
【化3】

(式中、Rはアルキルであり;
Z及びTは、独立してH及びPi軌道から選択されるが、T又はZの一方がPi軌道の場合、隣接するT又はZもPi軌道であることを条件とし、それにより二重結合を形成し;
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、又はカドミウムであり;
Wは、存在しないか、又はCl、OH、SO、Br、I、式E、F、G若しくはH:
【化4】

であり:
Rは、H、Na、K、Li又はM−Wである)
の少なくとも二種の組み合わせを含有する水性組成物を含む組成物。
【請求項3】
水性組成物が、β酸、ヘキサヒドロβ酸又はテトラヒドロβ酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
がイソプロピル、イソブチル又はsec−ブチルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
水性組成物のpHが7.0〜10.0である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
水性組成物のpHが7.0〜9.5である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
水性組成物のpHが7.0〜8.0である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
水性組成物のpHが7.2〜7.4である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水性組成物の含水率が1〜20%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
水性組成物の含水率が1〜10%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
塩組成物の含有率が20〜90%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
【化5】

(式中、R’’はアルキルであり;
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、又はカドミウムであり;Wは存在しないか、又はCl、OH、SO、Br、若しくはIである)
で示される化合物の一種又はそれ以上を含有する組成物。
【請求項13】
ホップ酸の無機塩の製造方法であって:
a)10〜50%のホップ酸を含有する水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
b)撹拌しながら該水溶液に無機塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
d)スラリーを乾燥して、ホップ酸の無機塩を得るステップとを含む方法。
【請求項14】
イソα酸の無機塩の製造方法であって:
(a)10〜50%のイソα酸を含有するアルカリ性水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
(b)撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
(d)スラリーを乾燥して、イソα酸の無機塩を得るステップとを含む方法。
【請求項15】
β酸の無機塩の製造方法であって:
(a)10〜50%のβ酸を含有するアルカリ性水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
(b)撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
(d)スラリーを乾燥して、イソα酸の無機塩を得るステップとを含む方法。
【請求項16】
無機塩が、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、銀、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、又はカドミウム塩である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
無機塩が、マグネシウム、カルシウム、カリウム、リチウム、鉄、又は亜鉛塩である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ホップ酸が、イソα酸、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、及びヘキサヒドロ−イソα酸、並びにそれらの誘導体又は混合物からなる群より選択されるイソα酸である、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ホップ酸が、ルプロン、コルプロン、アドルプロン及びそれらの誘導体又は混合物からなる群より選択されるβ酸である、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項20】
β酸が、ヘキサヒドロβ酸又はテトラヒドロβ酸である、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項21】
更にステップ(d)の前に、ステップ(c)の均質なスラリーを濾過するステップを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
イソα酸又はロイソα酸のマグネシウム塩の製造方法であって:
(a)10〜50%のイソα酸又はロイソα酸を含有する水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
(b)撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機マグネシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
(d)スラリーを乾燥して、イソα酸又はロイソα酸の無機マグネシウム塩を得るステップとを含む方法。
【請求項23】
水溶液がアルカリ性水溶液である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
マグネシウム塩が硫酸マグネシウムである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
イソα酸又は還元イソα酸のカルシウム塩の製造方法であって:
(a)10〜50%のイソα酸又は還元イソα酸を含有する水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
(b)撹拌しながら該水溶液に無機カルシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
(d)スラリーを乾燥して、イソα酸又は還元イソα酸の無機カルシウム塩を得るステップとを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
水溶液がアルカリ性水溶液である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
カルシウム塩が、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、又は水酸化カルシウムのうちの少なくとも一つである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
水溶液中に存在するイソα酸又はロイソα酸の濃度が、10%〜45%である、請求項14、15、及び17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
水溶液中に存在するイソα酸又はロイソα酸の濃度が、15%〜45%である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
水溶液中に存在するイソα酸又はロイソα酸の濃度が15%である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
マグネシウム/イソα酸若しくはロイソα酸、又はカルシウム/イソα酸若しくはロイソα酸のモル比が、0.3〜0.8の範囲内にある、請求項14、15、及び17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
乾燥が、スプレードライ、真空乾燥、ドラム乾燥、パン・ドライ、ウィンドウ・ドライ及び凍結乾燥、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法により達成される、請求項14、15、及び17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
還元イソα酸が、テトラヒドロイソα酸及びヘキサヒドロイソα酸からなる群より選択される、請求項14、15、及び17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
室温が15℃〜25℃である、請求項14、15、及び17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
更にステップ(d)の前に、ステップ(c)の均質なスラリーを濾過するステップを含む、請求項14、15、及び17〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項14〜35のいずれか一項に記載の方法により形成される、還元イソα酸又は還元イソα酸の無機塩。
【請求項37】
イソα酸が、ロイソα酸、テトラヒドロイソα酸、及びヘキサヒドロイソα酸からなる群より選択される、還元イソα酸の無機塩。
【請求項38】
塩が一価又は二価カチオンを含む、請求項37に記載の無機塩。
【請求項39】
一価カチオンが、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅からなる群より選択される、請求項38に記載の無機塩。
【請求項40】
二価カチオンが、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムである、請求項38に記載の無機塩。
【請求項41】
β酸のマグネシウム塩の製造方法であって:
(a)10〜50%のβ酸を含有するアルカリ性水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
(b)撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機マグネシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
(d)スラリーを乾燥して、β酸のマグネシウム塩を得るステップとを含む方法。
【請求項42】
マグネシウム塩が硫酸マグネシウムである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
β酸のカルシウム塩の製造方法であって:
(a)10〜50%のβ酸を含有するアルカリ性水溶液を提供するステップと、ここで溶液は、室温であることと;
(b)撹拌しながら該アルカリ性水溶液に無機カルシウム塩を加えて、スラリーを形成するステップと、ここでスラリーは、室温であることと;
(c)スラリーが均質となる迄、混合するステップと;
(d)スラリーを乾燥して、β酸のカルシウム塩を得るステップとを含む方法。
【請求項44】
カルシウム塩が、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、又は水酸化カルシウムのうちの少なくとも一つである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
アルカリ性水溶液中に存在するβ酸の濃度が、10%〜45%である、請求項41〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
アルカリ性水溶液中に存在するβ酸の濃度が、15%〜45%である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
アルカリ性水溶液中に存在するβ酸の濃度が、20%である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
マグネシウム/β酸又はカルシウム/β酸のモル比が、0.3〜0.8の範囲内にある、請求項41〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
更にステップ(d)の前に、ステップ(c)の均質なスラリーを濾過するステップを含む、請求項41〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
乾燥が、スプレードライ、真空乾燥、ドラム乾燥、パン・ドライ、ウィンドウ・ドライ及び凍結乾燥、又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される方法により達成される、請求項41〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
β酸が、テトラヒドロβ酸、及びヘキサヒドロβ酸からなる群より選択される、請求項41〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
室温が15℃〜25℃である、請求項41〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法により製造されるβ酸。
【請求項54】
β酸が、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、ヘキサヒドロβ酸及びテトラヒドロβ酸からなる群より選択される、β酸の無機塩。
【請求項55】
塩が一価又は二価カチオンを含む、請求項54に記載の無機塩。
【請求項56】
一価カチオンが、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀、銅からなる群より選択される、請求項55に記載の無機塩。
【請求項57】
二価カチオンが、マグネシウム、カルシウム、バリウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウムである、請求項55に記載の無機塩。
【請求項58】
請求項1〜11、36及び52のいずれか一項に記載の組成物を、薬学的に許容される担体中に含む抗炎症組成物。
【請求項59】
更に少なくとも一種の更なる治療薬を含む、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
更なる治療薬が、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、シクロフルキサシン、アジスロマイシン、ミノサイクリン、クラリスロマイシン、オーグメンチン、ペニシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン、セファロスポリン、セファクロル、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、カルバペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、マクロライド、リンコマイシン、ポリミキシン、スルホンアミド、キノロン、クロラムフェニコール(cloramphenical)、メトロニダゾール、スペクチノマイシン、トリメトプリム、及びバンコマイシンからなる群より選択される抗生物質である、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
細菌感染の抑制方法であって、そのような処置を必要とする対象に、有効量の請求項1〜11、34及び46のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項62】
細菌が、尋常性ざ瘡に関連する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
細菌が、プロピオニバクテリウム・アクネである、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
細菌が、ヘリコバクター・ピロリ又は結核菌である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
対象に、有効量の請求項1〜11、36及び52のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、尋常性ざ瘡の処置方法。
【請求項66】
組成物が局所的に投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
組成物が全身に投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
対象に、有効量の請求項1〜11、36及び52のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、メタボリック症候群の処置又は予防方法。
【請求項69】
組成物が全身に投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
心疾患又は糖尿病の危険性を低下させる、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、又はこれらの病状に関連した炎症の処置方法であって、対象に、有効量の請求項1〜11、36及び52のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−543942(P2008−543942A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518335(P2008−518335)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/024045
【国際公開番号】WO2007/002128
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507411316)ジョン アイ. ハース, インク (2)
【Fターム(参考)】